障害者政策委員会(第35回)議事録
13:00~17:00
中央合同庁舎8号館 1階 講堂
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、第35回「障害者政策委員会」を開会いたします。
委員におかれましては、御多用のところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
本日の会議は、17時までを予定しております。長時間にわたる会議となりますけれども、休憩を入れながら進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
なお、会議冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で、取材の撮影が行われますことを御了解いただきたいと思います。
まず事務局から、委員の出欠状況について、御報告をいただきます。
○坂本参事官 事務局でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。
委員の皆様の出欠状況でございますけれども、本日は、飯塚委員、大日方委員、高橋委員、辻委員、野澤委員が所用により、御欠席との連絡を受けております。
また、佐藤委員、柘植委員が遅れて到着されるとの御連絡を受けております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、議事に入りたいと思います。
まずは当委員会におきます発言ルールの確認です。毎回で恐縮です。
委員長が発言を求めます。発言を希望される方は、挙手をお願いします。委員長指名を待って、御発言をいただきます。
できるだけ、最初に結論を述べていただき、その後、その理由、説明をつけ加えていただくのがわかりやすいと思います。
御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限り、わかりやすく、ゆっくりお話しいただきたく思います。
発言の際は、マイクに近づいてお話しください。また、発言終了後は、マイクのスイッチをオフにしてください。
それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をいただきたいと思います。
○坂本参事官 事務局です。
本日は、まず議題1としまして、情報アクセシビリティの世界的大家であり、G3ict、Global Initiative for Inclusive Information and Communication Technologiesの副代表でいらっしゃいます、ジェームス・サーストン氏から、冒頭、情報アクセシビリティ政策の世界的な動向及び好事例について、御講演をいただきます。
次に、議題2といたしまして、第4次障害者基本計画案の各論について、御審議をいただきます。
具体的な進め方を申し上げますと、冒頭、事務局から、各論の審議方法のイメージについて、御説明をいたします。その上で、本日は、教育の振興、文化芸術活動・スポーツ等の振興、国際協力の推進の3つの分野について、それぞれ御審議をいただきたいと考えております。
関係資料といたしましては、資料1、資料2-1及び資料2-2を御用意いたしております。
途中、ジェームス・サーストン氏の講演の終了後と教育の振興の審議の後の2回、それぞれ15分程度の休憩時間を設ける予定でおります。
また、委員の皆様には、関係法令等をまとめたファイルを机上に御用意させていただいております。
ジェームス・サーストン氏は、英語で御講演されますので、講演のときは、日本語と英語の同時通訳の形で行います。お手元にレシーバーをお配りしておりますけれども、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
このレシーバーの使い方ですが、既に私は、耳につけておりますけれども、アンテナを左側に持ちまして、右側の大きなつまみが電源とボリュームということになってございます。電源を入れていただきまして、その左側にある小さなつまみがチャンネルスイッチとなっております。日本語が聞こえるほう、1チャンネルでございますけれども、そこに合わせてお聞きをいただければと思います。
なお、これ以降の写真撮影は、御遠慮いただきますよう、よろしくお願いいたします。報道関係のカメラも、ここで御退室をお願いいたします。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、ジェームス・サーストン氏より、御講演をいただきます。
情報アクセシビリティ政策の世界的動向や好事例について、御講演をいただく予定でありまして、今後の基本計画案の審議を充実したものとするためにも、大変有益な機会であると考えております。
障害者政策委員会を代表いたしまして、遠路、私どものために、党政策委員会に御出席をいただきましたことに対しまして、深く感謝の意をあらわしたいと思います。
それでは、よろしくお願いします。
○サーストン氏 皆様、こんにちは。
私は、ジェームス・サーストンといいます。
まず石川先生、委員の皆様に対しまして、今回、日本に来られたこと、皆様にお会いできたことを感謝したいと思います。楽しみにしてまいりました。
私たちG3ictが何をやっているかということについて、まず導入で話したいと思います。
私たちは、世界中で定期的に調査や分析を行っております。私たちの団体が、皆様のような委員会がどのように権利条約を実施していく上で、前進しているかを知ることは非常に重要です。ですので、そうしたお話もしたいと思います。
皆様がやっていらっしゃるお仕事は、非常に重要だと思っています。私自身がいくつかトレンドや、グッドプラクティスについて話すことで、皆様のお役に立てればと思っています。世界中でデジタルインクルージョンを促進するために、どのようなことを他の国がやっているか、そして、どのようなイノベーティブな、アクセシブルなテクノロジーがどのように進展しているのかについて、お話したいと思います。
それでは、まず私自身と私の組織について、お話したいと思います。
私は、アクセシビリティと障害者政策について、15年携わってきております。私は、たまたまこの分野に足を踏み入れました。そのとき、私は、世界でも大きなテクノロジー会社に働いておりましたが、そこでは、私たちも政策問題とか、技術的なことについて、働いておりました。
そのときに、私のボスが「ジェームス、君にはアクセシブルなテクノロジーについてやってほしいのだ」と言いました。アメリカにおいては、第508条という新しい法律ができました。これについては、後でお話しますけれども、それに沿う形でやってほしいということでした。
そのとき、私は、本当に忙しくて、新しい仕事をする余裕はなかったのですけれども、私に他の選択肢がなかったので、私はそこに足を踏み入れて、そうしましたら、とても興味を持ちまして、今は、情熱を傾けてやっております。今、障害者のデジタルインクルージョンというのは、非常に大事だと思っています。ですので、その後の私のキャリアは、全てその分野に焦点を当ててきております。
世界でも大きな50社の中のうちの1つ、マイクロソフトで働き出しまして、そこで、マイクロソフトがグローバルで、デジタルインクルージョンとアクセシブルなテクノロジーについての仕事をやってきました。私は、ここ数年、G3ictに移り、そこで働き出しましたけれども、G3ictがどういった組織かについて、簡単にお話したいと思います。
10年前に結成されましたこちらは、国連障害者権利条約がちょうど施行されるときでした。私たちは、国連の支援を受けて結成されました。特に各国政府が権利条約の中で、テクノロジーの部分を、どのように発展させるのかということを支援するために、結成されました。
グローバルなコミュニティー、G3ictのような組織を結成させるということは、非常にすばらしい考えだったと思います。そう言いますのは、国連の権利条約におきまして、テクノロジーの部分というのは、非常に重要だと認識していたわけです。ですので、私たちはツールもつくりまして、さまざまなアドバイスやコンサルテーションを、政府、市民社会、企業に対して、提供してきております。
私たちがどのように仕事をしているかというと、これも興味深い点ではありますが、いくつかのアプローチをとっております。そして、世界中で活動しておりまして、全ての地域、北、南、新興国全てに対して、私たちの業務を提供しています。
私たちがどのようにアプローチをしているのかというと、一番興味があって、インパクトがあると思っているのは、私たちは、国連のさまざまな機関とも協力しまして、モデルとなるような政策をつくりました。これはICTに関してのことです。ですので、各国政府は、そうした私たちのモデルをコピペして、自分たちの法的枠組み、政策に取り入れることができます。
そこで、私たちは、ユネスコとも協力して、教育に関してのインクルーシブ技術について、つくってきました。ですので、障害のある学生たちが、どのように教室にインクルージョンされるか、政府に対して、どのような政策をつくれば、それが実現するのかということを提言してきました。
私たちは、ITU、国際電気通信連合とともに、例えばATMとか、KIOSK端末など一緒に、そうしたところがアクセシブルになるように、また、他の電気通信アクセシビリティが改善するようにということ、そして、後で話しますけれども、いくつかのアクセシブルなテクノロジーということ、とてもインパクトがあるもの、そうしたものの開発に携わってきました。他にも、いくつかモデルとなる政策がありますけれども、そちらは、私どものウエブサイトを御覧ください。
私たちが、他にどういうことをやるかというと、政府と直接的なコンサルテーションを行ったりもします。メキシコ政府と覚書を交わしまして、いくつかの政策において、私たちはアドバイスをすることになっております。そのうちの1つは、ウエブのアクセシビリティについての政策、そして、公共調達の政策、それは政府がアクセシブルやテクノロジーを調達することに当たってのものでありますが、そうしたところで助言をしています。また、ブラジル、インド、南アフリカ、エジプトなど、世界のあらゆる国において、私どもはさまざまな提言をしております。
私たちが政府とこのような政策に関してパートナーを組むときに、まずやるのは、その国の市民社会団体と一緒に協力をすることです。つまり障害者団体に対してのトレーニングカリキュラムをつくったり、そういうこともしております。障害者権利条約の精神におきましても、市民社会団体が権利条約の実施において、あらゆる全ての面におきまして、その場にいるべきであるなど、テーブルにつくべきであると思っています。
障害者団体は、テクノロジーに関して、同じようなレベルの知識を持っていなかったりもします。ですので、私たちは、そのようなトレーニングを障害者団体にも提供していて、その際に当たり、政策をつくるに当たり、平等なパートナーとなり得るかという支援をしています。
私たちは、ユニークなベンチマーキングもしております。ですので、隔年ごとに権利条約に署名した国に対しての調査と分析を行っております。そして、デジタルインクルージョンを促進するということ、アクセシブルな技術を使うこと、そうしたことを促進しています。このような定期的な分析と調査というのは、非常にユニークなものでして、国連において、同じようなユニークなデータベースはないのではないかと思います。これは、国ごとに具体的にやっているわけではなくて、どこかの国を責めるものにはなってはおりません。
このデータをお見せしたいと思います。つまりこれがグローバルにおいて、どのような傾向にあるのかということを話したいと思います。
毎年、私たちは大きな会議を行っております。今年は、先週、ワシントンで行われましたけれども、M-Enabling Summitといいます。日本からも参加者がいらっしゃいました。これがユニークなのは、最も大きなモバイルテクノロジーとデジタルインクルージョンに焦点を当てた大会だからです。今年は、世界中から600人が参加しました。ですので、非常に興味深いセッションが3日間にわたって行われました。
私たちが行い始めた、とてもエキサイティングなものとしましては、去年、始めたことですが、国際アクセシビリティ専門家協会、IAAPと協力しまして、私たちはそこの運営を任されるようになりました。IAAPは、数年前に設立されました。こちらは、私たちがデジタルインクルージョンを実施するということ、障害者のデジタルインクルージョンを実現するために、私たちはこの技術に関しての専門家を集めて、話そうということを行いました。
業界、政府、公的セクターと一同となり、前進をしてきたわけです。ですが、大学からも、きちっと障害のことを理解する専門家が必要だということになりました。ですので、国際アクセシビリティ専門家協会を設立し、より技術のわかる、深い知識を持った方、そして、障害に関しても、知識を持った人たちを一堂に会しました。そして、最終的に、昨年、この専門家協会が設立されたわけです。
その後、国際憲章、国際の場でも活動をしていき、日本でも意見をお聞きしております。さらには認証活動も行っております。ですので、専門家の方たちが国際認証を得ることができれば、ICTのアクセシビリティに関して、あるいはウエブアクセシビリティに関しての認証というデジタルに関する認証を、今後やっていこうと思っております。
こういった作業に加えまして、さらにサービスとして提供しているものは、日常的に世界中の政策活動のトラッキングをしているということです。何百万以上のニュースの記事を見て、例えばカンボジア、ベトナム、エクアドル、日本で、どういったアクセシブル技術、デジタルインクルージョンに関しての政策がとられたかというニュースの提供をしております。これにより、実際にどれだけ政策活動が深く進んでいるのかということの進捗を見ております。こういったことを、私たちは活動でしており、経験を積み重ねているわけですが、どちらかというと、小さい組織ではあります。しかし、サイズは小さくても、大きな影響を与えていきたいと思っています。
どのようにこれが可能なのかというと、国連の組織とのパートナーシップですとか、あるいは世銀のような多国籍のパートナー、業界とのパートナーシップ、国際的、国内の市民社会団体とパートナーをしていく。大体1,200人ぐらいのアクセシビリティの専門家と、常に世界中で活動をともにしております。
もう一つ、お話したいこととしては、簡単にスナップショットとして、実際、世界が技術面でどれくらいアクセシブルになっているのかということをお見せすることです。これを御理解いただくために、私たちが先ほど申し上げた、2年間に一度行っている調査の結果を共有したいと思います。それぞれの国で、どれだけ権利条約が推進されているか、実際、技術の面で、世界はどれくらいアクセシブルなのか、そういった質問をされると、答えとしては、それほどアクセシブルではないと言わざるを得ません。まだまだやるべきことはたくさんあります。
そのためにも、今日、このような機会を持って、皆様にお話するということは、非常によいことだと思っています。課題をグローバルで見ていくために、最近のいくつかのデータで、昨年の調査結果からお話したいと思います。例えば100カ国以上で調査を行い、分析をいたしました。そのうち、57%の国のみが、その国の主要言語でのスクリーンリーダーを持っています。つまり半分程度の国だけしか、主要言語でスクリーンリーダーがない。
主要言語ではないもの、国によっては、例えばインドなどでは、22の公用語があるのですが、その中でも、権利条約に際して、17%の国だけが、マイノリティーの言語でのスクリーンリーダーがあるといっています。つまりスクリーンリーダーがないと、教育へのアクセスという意味では、大きな障壁になるわけです。
それと同様に、32%の批准国が視覚障害者のための図書館、もしくは公共図書館でeBookサービスを提供していると答えております。
27%の批准国は、主要な大学において、学生たちに必要なサポートを提供している。余り勇気づけられる数字ではありません。
さらにはアクセシブルな政府のウエブサイトです。ウエブでアクセスできる政策は、政府が実際にデジタルインクルージョンの政策を考えるときに、一番やりやすい、始めやすいところだと思うのですが、それも45%のみが、いくつかのウエブサイトがアクセシブルであると答えております。世界中で45%の国のみです。アクセシブルなウエブサイトで、民間部門のものに関して、企業のウエブサイトは、それよりさらに低い数字になっています。
そういうことで、おわかりいただけたかと思うのですが、私たちは、世界をさらにアクセシブルにしていくためには、もっと前進していかなくてはいけないです。私たちとしては、政策というところから、やるべきことが始まっていくと思います。
世界のアクセシビリティ業界には、よいニュースもあれば、余りよくないニュースもあります。この調査・分析を2年に一度行っておりますが、それだけではなく、実際に私たちの国で政策がつくられているのか、権利条約に関して、コミットメントをして、アクセシブルなテクノロジーポリシーをつくって、実施しているのかということも確認しております。
答えとしては、余りよいものではないと言わざるを得ません。特に私たちが課題として考えているのは、もしかしたら国は、政策をつくっているのかもしれないけれども、実施されていないということが見られております。例えば一例といたしまして、権利条約の批准した国の半分が、何らかのデジタルインクルージョンに関して、初等・中等教育で行っているということがあります。つまり学校教育に対して、アクセシブル技術がきちっと使われているかということです。そして、51%に関しては、政策はない。49%は政策がある。
しかし、それと同時に、私たちが把握したのは、この政策があったとしても、どの国もまだ実施していないということです。調査をしたときに、まずどの国が政策を持っていて、政策を持っていないかということではなく、その政策を実際に実施しているのか、あるいは部分的に実施しているのか、それとも、全く実施していないのかということも確認しております。
ウエブサイトに関してですが、国のうち40%は、政策はあるけれども、実施はしていない。さらに職場での配慮に関しても同様です。42%は、何らかの政策が職場の配慮に関してあるのですが、それを完全に実施しているとは言いがたいという状況です。もちろん国ごとに、それぞれ政策を適用しているけれども、実施していないという理由はあると思います。
そうですが、1つは、もしかしたらきちっと訓練を受けた専門家がいないという問題があるのではないか。先ほど私が申し上げましたような問題があると思います。例えばメキシコで、私たちが行っている活動で、政府との合意に基づきまして、非常にすばらしい政策をつくることができました。政府のウエブサイトがアクセシブルで、主要政府レベル、州レベル、都市レベルでもアクセシブルであるわけです。
しかし、現実的に何が起きているかというと、ウエブの開発者で、障害のことを理解している、アクセシビリティの基準をどう使って、アクセシブルなサイトをつくればいいかということがわかる開発者の数が少ないということでした。そういった意味でのリソースがないということがわかったわけです。ですので、明らかに課題があります。
ただ、楽観的に考えると、今後、前進していく上で、どのように国が準備をして、備えをして、今後、前進していけるのか、その国には、何らかの制度が既にあって、今後、権利条約を前進させていけることができるのか。最初に言ったように、データに対して、回帰分析をいたしまして、どういった変動要素や決定要素が実施に関してあるのかということを調査しました。
1つは、このような政府の委員会で、これはすごくいいニュースです。78%の国々が何らかの政府の組織で、障害者に特化した機関があるということが、いいニュースだと言えると思います。
もう一つは、成功要因として、条約を進めていくために必要なことは、その国が国際基準の発展に関して、関与しているのかということです。例えばWCAGのアクセシビリティに関してですとか、あるいはこういった国際基準を活発に、積極的に取り組んでいるか、これに関しては、26%のみが参加していると答えております。
他にもさまざまな変動要素があるのですが、今後、前進していく上で、役に立つものがあります。成功するであろうという影響があるのは、市民社会の役割です。例えば政府が財政的にサポートを、障害者の雇用団体に関してしているのかとか、あるいはNGOや障害者団体が活動をするための場を提供しているか、こういった要素が成功への鍵となっていきます。こういった変動要素があるとしても、国によっては余りない。ただ、日本に関しては、私の感触では、非常に持っていらっしゃるのではないかと思いますし、私にとって勇気づけられることです。
これが、今、世界のある意味バッドニュース、悪い状況だと思われます。ですが、今後、前進していく上で、私どもは、どこに向かっていこうとしているのかと、楽観的に考えております。私は、この仕事を15年以上していると申し上げました。特にアクセシビリティ、デジタルインクルージョンに関してです。そして、私が実際に感じているのは、もっとエキサイティングな時間を、今後やっていけるのではないか。多くの活動をグローバルでやり始めております。特に障害者のインクルージョンの政策立案に関してです。
これは、もちろん権利条約から牽引されているものでもあります。そして、数分前に、毎日トラッキングをしているという話をしました。世界中の国々で、どういった活動が行われているか。そういった意味で、昨年、多くの政策立案を見ることができました。85か国で活動を見ることができました。これはすばらしいことです。もちろんさまざまな分野です。ウエブアクセシビリティのところもあれば、インクルーシブ政策、インクルーシブ教育政策、あるいはアクセシブルなモバイル技術への政策、技術調達のための政策などです。
違う力も働いております。私たちが前進していくための違う力です。これは、障害者のインクルーシブに関して、例えば人口統計などがあるのですけれども、世界中には10億人の障害を持つ人たちがいます。世界中の15%の人口になります。こうなると、この問題への関心ももっと高くなってくる。
さらには高齢化という問題があります。日本のような国では、高齢化が深刻化しております。これにより、アクセシブル技術、アクセシビリティへの注目が高まります。なぜかというと、私たちは加齢してしまうと、何らかの障害が出てきて、アクセシビリティによって、助けられる技術を使うことになっていくからです。
もう一つ、進歩をもたらす牽引力としては、市民社会の関与です。これは非常に増えております。障害者団体の力は、権利条約の中核となっていきます。そして、政策立案に関して分析をしたときに、もう一つ、トラッキングをしたことがあるのですが、その国での政策立案が、市民社会によって牽引されているのかどうかの調査もいたしました。市民社会、障害者団体が政府に対して、何らかの後押しをし、よりよい政策をつくろうとしています。ただ、政府だけではなく、業界に対しても、よりイノベーティブで革新的なアクセシブル技術への後押しをしております。
デジタルインクルージョンが、今後、進んでいくための重要な牽引要素としては、市場での需要という問題もあります。多くの人たち、企業でも、製品をもっと使ってもらえて、アクセシブルになるようにとしています。つまり市場調査をし、障害者の力をどういったアクセシブルの技術の上で使っていけるのか、世界で10億人の人たちが、障害を持っているという事実があるということになると、例えば近い家族の人たちにも、そういった人が出てくる。そうなると、そういったものに支出をしていこうという気持ちも出てきて、9兆ドルレベルの可処分所得も使われていくことになるわけです。ですので、ここも市場セグメントとしても、今後、企業が注目していき、アクセシブル技術製品も出てくると思われます。
それを頭に置きまして、まず私としましては、過去数年間、動きを見ておりますと、前進するための一番の大きな要因というのは、公共政策だと思います。政府が効果的な政策を打ち立てるということ、障害者のデジタルインクルージョンを促進するようなことを行い、アクセシブルなテクノロジーをもっと大きくイノベーションとして、取り入れていくことだと思います。
公共政策を考えますと、2つ、とても重要な政策があると思っています。ICTのアクセシビリティに非常に大きなインパクトを持つものです。そのうちの1つは、国連障害者権利条約自身です。皆さんはもちろんですが、特に今回、石川先生も権利条約委員会の委員もされております。ですので、国連権利条約というのは、テクノロジーに対して、とても大きなインパクトを持っています。
また、前文の3、第9条、こちらはアクセシビリティのことについてですけれども、そちらを見てみましても、人権条約は、初めてテクノロジーを基本的な人権に高めた条約だと思います。ですので、私たちは、権利条約を批准した国は、もっとこの分野において、前進していいと思っております。
2つ目の大きなインパクトを持つ要素としましては、デジタルアクセシビリティについてですけれども、アメリカにおきます第508条です。既に何年も前につくられたものです。こちらを他の国にも、このようなものを受け入れてほしいと思っております。そう言いますのは、アクセシブルなテクノロジーを広めるために、非常に効果的だと思っています。
508条とは何かと言いますと、アメリカの連邦政府がアクセシブルなテクノロジーしか買わないということを定めたものです。ですので、企業に対して、アクセシブルなテクノロジーをつくることを求めるものではありません。連邦政府に対して、アクセシブルなテクノロジーだけを購入するようにと定めたものです。
1986年につくられた法律ですけれども、そのときは、テクノロジーについて、アクセシブルとは何かということを定義づけておりませんでした。そこで、2000年にテクノロジーについて、アクセシブルとは何かを定義しました。この2年間、アメリカ政府は、アクセシビリティについての定義を、さらに詳しく考えて、検討してきました。
10年経った、今年、2017年1月に、アメリカは508条を改定しました。これがどれだけ力強いのかと言いますと、アクセシブルとは何かということを、あらゆる形のテクノロジー、ハードウエア、ソフトウエア、サービス、それについて定めたことです。あらゆる障害種別の人たちにとって、アクセシビリティとは何かということを明記しました。ですので、それをもとに連邦政府は、アクセシブルなテクノロジーしか、調達することができません。
これは企業に対してだけではなく、政府に対して求めている法律ですけれども、政府が調達政策を適用するというときには、この企業がそれに追従するというところがあります。そう言いますのも、公共調達というのは、経済全体の10~15%となります。アメリカだけではなくて、多くの国でそれぐらいの割合だと思います。つまり政府は、テクノロジーの大きな消費者、もしくは最大の消費者と言えます。
例えばアメリカにおいては、連邦政府だけで全てのテクノロジーの25%を購入しています。そこに州政府、地方自治体を加えますと、政府だけで、全米におけるテクノロジーの40%を購入しているわけです。ですので、そのような大口顧客が企業に対して、あなたたちの商品が、障害者に対して、アクセシブルなものしか買わないと言った場合、企業はそれに注意を払うわけです。一番の顧客がそのように言うのであれば、どういったものがアクセシブルなテクノロジーなのかを考え、競争するわけです。
こうした政策を実施している国におきましては、とても効果的だと思います。例えばアメリカにおいて、私が企業で働いているときに、私のボスが言ったのは、まさにこれにちゃんと対応できるようにということでした。つまり企業が他の企業と政府のビジネスを獲得するために、自分たちの商品のアクセシビリティを考えるようになったのです。
もちろんこのような政策の恩恵というのは、非常に大きいです。これはテクノロジーの会社がさらに革新的になり、競争を促進していきます。そして、アメリカでそれが起こりますと、他の国におきましても、テクノロジー産業が地元のエコシステムの中で、支援技術を発展させていくと思います。例えば支援技術を一番使っている国というのは、アメリカだと思います。アメリカの大きな会社は、それに関わっておりますけれども、なぜかというと、アクセシブルなテクノロジー、支援テクノロジーというのは、アメリカで非常に大きいのは、市場がとても大きいところで、常にアメリカ政府という客がいることを理解しているからだと思います。
このような調達政策ですけれども、商品を標準と調和させることによって、さらに値段も下がってきます。アメリカにおきましても、アクセシブルなテクノロジーとは何かを明確するための標準をつくりました。多くの人たちが、国際標準に合わせるということになりますと、アクセシビリティについてのコストも下がってきます。
こうした政策のとても大事な点というのは、もし政府がアクセシブルなテクノロジーやサービスを買わないというのであれば、そうしましたら、この政府のサービスというのが、アクセシブルにあるということ、そして、市民がこの政府の活動により関与しやすくなるというところがあります。
アメリカの連邦政府は、障害者を雇用するに当たり、一番の雇用主だと思います。それにはいくつかの理由があります。そのうちの1つは、障害のある人が連邦政府において、職を求める場合、そうしたときに、職場でのテクノロジーがアクセシブルだからということで、安心できるわけです。なぜなら政府は、アクセシブルなテクノロジーしか購入しておりません。ですから、雇用するに当たり、大きな利点になると思います。
アメリカでの経験ですが、このような調達政策は、企業や産業にもっと障害者をインクルージョンさせる上で展開するに当たり、とても効果的だと思います。私たちは、多くの国が似たような政策を取り入れているのを見ております。その多くはヨーロッパで活発に行われております。
ヨーロッパでは、今、EUには28の加盟国があったと思いますが、欧州調達指令というものがあります。加盟国に対して、2014年につくられた指令ですけれども、どういった指令かといいますと、欧州の加盟国におきまして、政府が調達するものに関して、アクセシビリティを検討しなければいけないということでした。テクノロジーも含めてです。2014年に施行されました。この政府がそれを実施するには、猶予を与えられました。これは、ヨーロッパにおいても、成功していると思っています。
ヨーロッパにおいて大事なのは、この指令をつくっただけではなくて、指令においては、政府が調達するときに、アクセシブルなものしか買わないという指令ですけれども、それだけではなくて、アクセシブルとは何かということを定義する標準をつくりました。その基準ですけれども、EN301549と呼ばれている欧州規格です。アメリカが508条の標準を改定しているときとほぼ同じときに、このような規格がつくられました。そこで、2つの政府は、それぞれの規格がほぼ同じであるようにというところで、連携をとりました。ですので、95%同じものとなっております。ヨーロッパとアメリカのアクセシビリティ標準が同じであるために、2カ国だけでやったわけではなくて、他の国の専門家を招いて行われました。ですので、アメリカとヨーロッパにおいて、アクセシビリティの標準をつくっているときに、カナダ、オーストラリア、日本からも専門家を招いて、アクセシビリティ標準の作成に当たって、参加してもらいました。
今日、私たちに幸運なのは、EUとアメリカの標準がほぼ同じということです。最後の5%の違いがありますが、ここは解決されていかれるであろう。そして、ISO、あるいは国際標準になり、真の国際標準の規格になっていくであろうと願っております。
ただ、既に起きていることなのですけれども、数カ国に関しては、ヨーロッパの標準を適用しているところがあります。例えばオーストラリアは、既にヨーロッパのアクセシビリティ標準を、オーストラリアの国内標準として使っております。現在、オーストラリアでは、もし標準を使っていたとしても、アメリカやヨーロッパのように、調達がアクセシブルであるべきであるという必須ではありません。そうなのですが、そちらの方向に動いていくであろうと思っておりますし、今、任意のベースではありますけれども、標準を適用していかれると思われます。
メキシコでも同様です。プロセスがほぼ終わるところで、ヨーロッパの基準を、メキシコの国の基準にしようとしているところです。これも私たちの合意動向の1つとして、彼らの調達政策の中で、技術に関しては、この調達政策を使うようにと勧告しております。
さらには他の国に関しても、調達政策を考えているところがあり、1つ、私がアドバイスしているところで、カナダもあります。御存じかもしれませんが、非常に重要な法規制のプロセスが1年前から始まっております。多分2015年だと思うのですが、新しい首相が任命されたときに、全ての人権委員会に対してくる半分以上の苦情は、障害者に関わることであった。ですので、首相としても、新しい政策が必要である。これは、障害を持つカナダ人法という、ADAに非常に似たものであるのですが、明らかに障害を持つ人たちに対して、カナダでは、差別が多かったということがあります。
既に1年間経ちますが、12ぐらいの相談があり、国を通して行いました。そして、どういった法制度になるべきかということに関してのコンサルテーションも行ってきました。これは、現在、まだ開発中のものですが、既に認識していることでは、いくつかの集中分野があります。例えば障害を持つ人の雇用に関して、あるいは交通アクセシビリティの問題などです。技術、情報、コミュニケーションに関してもしています。
新しい法制度で注目している6つの部分の中では、1つ、アクセシブルなグッズとサービスの調達というところがあります。ですので、第508条に同様な法律になると思われます。そして、今後、私たちG3ictとしても、アメリカのカウンターパーティーと何が好事例なのか、ベストプラクティスなのかということを話し始めております。
政策を見るときに、多くのさまざまな使える有効な政策があります。他のことに関しても、お話しできるのですが、このような公共調達政策により、成功に向かっていけると思われます。よりインクルージョン、技術のアクセシビリティを推し進めていけると思われます。
私たちが強く思っておりますこととして、月曜日にウエブポータルをローンチいたしました。特にこの問題に関してです。アクセシブル技術調達に関するポータルサイトを始めました。
これで、私の発表を終わらせていただきたいと思います。
もし何か御質問等がございましたら、お受けしたいと思います。ありがとうございます。
○石川委員長 サーストン氏、ありがとうございました。
またとない機会でございますので、御質問を受けたいと思います。
質問のある委員は、挙手をお願いいたします。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下といいます。今日のスピーチをありがとうございました。
2つほど質問をさせてください。
まず1つは、権利条約を実施する上で、情報アクセシビリティを広げるために、障害者団体に対する支援、あるいは研修を行うということを話されました。これは非常に重要だと思っております。障害者団体の果たす役割の大きさを考えたとき、どのような形で研修が行われているのか、あるいはその内容について、少し補足をお願いしたいと思います。
もう一つは、情報アクセシビリティがどこまで進んでいるかということについて、何を基準にするのか。情報アクセシビリティが進んでいるのか、遅れているかの指標となるものは、どうやって定められているのかについて、教えていただきたいと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
サーストン氏、よろしくお願いいたします。
○サーストン氏 非常にすばらしい御質問をありがとうございました。
まず最初の質問なのですが、私たちが行っているトレーニングに関して、障害者団体に対してのトレーニングでは、2つ、注目しています。
1つは技術、テクノロジーに関してです。つまりどういった技術が入手可能なのか、アクセシビリティとはどういう意味なのか、それによって、よりよい会話を業界、政府とやっていき、アクセシビリティに関して、向上していけるのか。
もう一つのトレーニングとして、私たちがやっているのは、世界中で市民社会に対してやっているのですが、政策立案プロセスに関してです。一般的なことではあります。どういった政策があるのか、何がよい政策なのか、デジタルインクルージョン、アクセシブル技術をサポートするためには、何がよいものなのか、何がベストプラクティスなのか。さらにはどういった方法論として、政府がそういった政策を採択できるのかということをトレーニングしています。
2つ目の御質問なのですけれども、アクセシブルテクノロジーの基準ですが、私たちが調査や分析をするときに、2年に一度行っているのですが、私たちが見ているのは、例えばクローズド・キャプショニングなどがテレビで見られているかとか、あるいは通信モバイル技術なので、さまざまな技術に対して、それぞれのベンチマーク項目を設定しています。
今、私たちが政府、市民社会、業界との会話の中でやっているのは、より新しい技術に関してで、今、日本で開発されているものもあるのですが、例えば人工知能とか、自然なユーザインターフェース、機械学習などです。こういった最先端の技術が障害を持つ人たちにどういうことを示唆しているのか。新しい技術のR&Dをどううまく利用していけるのか。
ただ、それより重要なのは、こういった新しい技術として開発されているものがアクセシブルなのか、どうなのか、そして、これによって、障害を持つ人たちを排除していることにならないかということです。
○石川委員長 石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
サーストン氏の御講演を伺いまして、非常に感動しております。私どもは、情報アクセシビリティという分野に、これから力を入れなければならないと思っております。非常に大きな力になりました。
2つほど、質問させてください。
1つ目ですが、先ほどの話で、508条について触れられました。多分リハビリテーション法のものだと思うのですが、情報がこちらにあります範囲で申し上げますと、アメリカの通信及び映像アクセシビリティ法があると聞いているのですけれども、リハビリテーション法と通信・映像アクセシビリティ法との連携、または違いについて教えてください。
2つ目の質問ですが、テクノロジーについてです。人的な支援ということを考えますと、人材育成が非常に重要なポイントになります。それに関する法律があるのかどうか、お尋ねします。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
○サーストン氏 そうですね。アメリカには、508以外にもいくつか法律があります。今、おっしゃられたリハビリテーション法もそうです。
また、新しいのは、CVAA、21世紀における通信及び映像アクセシビリティ法があります。その法律は、こちらも実施されておりまして、焦点を当てているのは、新しいテクノロジーサービスを、障害者にとって、アクセシブルにすることです。例えばビデオやデジタルコミュニケーションテクノロジーの分野においてです。そして、いくつか実施されているものもあれば、どのように実施するべきかというところで、まだ検討されているものもあります。
私の個人的な意見としては、508とどう関連づけるのかということについて、1つの違いというのは、508は政府に対してのものです。ですので、産業、企業に対してのものではありません。例えば企業が政府に対して、商品を売りたくないというのであれば、別に508は関係がないわけです。誰が判断をするかわかりません。
ただ、CVAAは企業に向けてのものです。ですので、マーケットで、アメリカの市場で売るには、ある程度のデザインの基準を生み出さなければいけないというところで、企業に向けての基準となります。ですので、CVAAは、マーケットにアクセスするための要件となります。いくつかの企業は、そうした法律に対する規制を嫌がるところもありますけれども、市民社会、団体が、このような電話通信を、より早くプッシュしようとしていたと思います。その点で508と違います。
2つ目の質問は、トレーニングに対してでしたね。それについてですが、アメリカにもトレーニングプログラムがあります。他の国でもありますが、そうしたサポートシステムというのは、非常に重要です。ですので、テクノロジーがアクセシブルにするようにというところで、命令することが大事ですけれども、アメリカでの経験から見ましても、他の新システムが必要です。
そうすることによって、社会全体をインクルーシブにして、障害者がそれをちゃんと利用できるようにするためには、トレーニングを提供しなければなりませんけれども、それについて、どういったトレーニングプログラムがあるのかということについて、私の手元に情報がないのですが、石川先生とか、他の方に調べまして、お伝えすることはできます。
○石川委員長 ありがとうございました。
私からも1点だけ、質問をさせてください。
CRPDと公共調達法、リハ法508条について、特に御説明いただいたのですけれども、アメリカには、障害者差別禁止法であるADAがあります。民間の事業者に対しても、合理的配慮の提供を義務づけている法律だと思いますが、これに基づいて、民間事業者のサービス、例えばウエブサイト等のアクセシビリティを求めるということが行われてきたと思うのですが、それだけでは不十分ということで、例えばADAの上に、よりスペシフィックな法律をつくっていらっしゃるのでしょうか。
○サーストン氏 アメリカでは、特定のウエブに関するアクセシビリティ法がありません。今、ADAを施行する上で、作業が進められているところです。つまり大学や企業に関しては、ウエブサイトをアクセシブルにしなくてはいけないことになっているわけです。
司法省としましても、かなり長期間かけて、ウエブサイトのアクセシビリティに関して、何が特定な要件なのかということを考えてきましたが、ちょっと遅れているところがあります。現在、ウエブアクセシビリティの要件は、来年、発表されると思っております。
しかし、石川先生がおっしゃったように、CVAAは、ウエブサイト絡みのことだけではなく、今後のVoice Over IPのような高度通信技術が開発されることにより、連邦通信協議会で今後されていくと、新技術に関しても、インターネット、技術を今後、含まれていくという意味でつくられたと思います。
○石川委員長 サーストン氏、ありがとうございました。
盛大な拍手をお願いしたいと思います。(拍手)
大変有用なお話をお聞きできまして、今後の基本計画の策定のための政策委員会としての意見具申に反映させていきたいと思います。どうもありがとうございました。
ここで、休憩を10分入れさせていただきます。
(休 憩)
○石川委員長 再開します。
議題2です。第4次障害者基本計画の各論部分について、審議を始めるわけですけれども、それに先立ちまして、各論の審議方法のイメージについて、事務局より説明、提案がございますので、よろしくお願いいたします。
○坂本参事官 事務局でございます。
これから各施策分野、各論の審議を進めていただくということになるわけでございますけれども、それに先立ちまして、まずは具体的な各論の審議方法のイメージについて、御説明して、認識の共有といったことをさせていただきたいと思っております。
資料1を御覧いただきたいと思います。
まず議題となっている施策分野の基本的な考え方について、内閣府から御説明を差し上げた上で、計画案に盛り込むべき施策であるとか、あるいは成果目標などの概要、方向性、考え方、こういったものについて、主要な関係省庁から、御説明をいただくというスタイルにしたいと考えております。
その後、政策委員会での審議に入っていくというわけでございますけれども、この場合、施策等の審議ということと、成果目標等の審議ということと、2つに大きく分けて、御審議いただくことを考えております。
前半の施策等の審議では、計画案に盛り込まれた施策等の内容が妥当と言えるかどうか、あるいは他に盛り込むべき施策等はないか、こういったような観点から御審議をいただくということを想定いたしております。
特に総論のところで掲げました、6つの各分野に共通する横断的視点があるわけですけれども、こういったものに即した内容になっているのか、こういった観点からも御議論をいただければと考えておるわけでございます。
後半の成果目標等の審議でございますが、ここでは計画案に盛り込まれた成果目標の水準でありますとか、成果目標が用いる指標は妥当と言えるかどうか、他に盛り込むべき成果目標はないか、施策の目的と各成果目標に適切な因果関係が認められるか、すなわち、それが論理的に説明可能で、いわゆるロジックモデルとして、妥当と言えるかどうか、適切なPDCAサイクルの実施の観点から課題はないのか。こういった観点から御審議をいただくことを想定いたしております。
審議時間は、各施策分野の内容に応じて、多少めり張りをつけたいと考えております。すなわち、施策等の絶対数がどうしても多い分野はありますし、論点が相対的に見て多いこういう分野といったところは、長めにしていくとか、重点的な御審議をいただけるようにしたいと考えております。具体的にどの程度の審議時間にするのかにつきまして、委員長とも都度相談しながら、事務局で整理をしていきたいと考えております。
事務局からの説明は以上でございますが、今後、少々長丁場の審議が続くということにはなりますけれども、委員の皆様から、忌憚のない御意見、御議論をいただければと考えております。よろしくお願い申し上げます。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明のあった審議方法に沿って、順次、各論の審議に入ってまいりたいと思います。
本日は、3つの各論、教育の振興、文化芸術活動・スポーツ等の振興及び国際協力の推進、この3つの分野を取り上げまして、審議をしてまいりたいと思います。
最初に、教育の振興について取り上げたいと思います。
冒頭、事務局と文部科学省から、それぞれ御説明をいただきます。よろしくお願いします。
○坂本参事官 事務局でございます。
今申し上げたように、これから個別分野の審議が始まるわけでございますけれども、先ほどの御説明いたしましたとおり、まず冒頭に事務局、内閣府から、基本的な考え方を御説明して、その後、関係省庁から、主な施策や成果目標の概要、方向性、考え方等について御説明いただくということにいたしたいと思います。
9.教育の振興の分野につきましては、資料2-1を御覧いただきたいと思いますけれども、基本的考え方につきましては、1ページ目の四角囲み部分のところにお示しをいたしております。
ポイントを申し上げますと、障害の有無にかかわらず、ともに教育を受けることができる仕組みの構築、障害に対する理解を深めるための取組の推進、高等教育における合理的配慮の提供等の一層の充実、障害学生への適切な支援に向けた環境の整備、障害者への年齢能力、障害の特性等を踏まえた、障害にわたる教育、こういったことを基本的考え方の要素として、盛り込んでおるという形になっております。
基本的考え方についての説明は、以上でございます。
続きまして、文部科学省から、主な施策、成果目標の概要、方向性、考え方等について、御説明をいただきたいと思います。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課:森下企画官) 文部科学省の特別支援教育課で特別支援教育企画官をしております、森下と申します。本日はよろしくお願いをいたします。
内閣府から御説明のありました基本的な考え方に沿いまして、9.教育の振興のところの案文について、施策の方向性について、御説明をさせていただきたいと思います。
お時間にも限りがございますので、私どもが昨今、力を入れて、向こう5年に進めていきたい部分を中心に、お話をさせていただきたいと思っております。
資料2-1に沿ってお話を進めてまいります。
(1)インクルーシブ教育システムの推進ということで、文部科学省では、平成24年の中教審報告に沿いまして、障害の有無にかかわらず、可能な限り、共に教育を受けられるように条件の整備を進めるとともに、自立と社会参加を見据えて、小中学校の通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校という連続性のある多様な学びの場の整備を推進しております。その旨を前回の計画から引き続いて、記載をしております。
その上で、2つ目の○でございますけれども、昨年度、通級による指導を担当する先生につきまして、関係者のお力添えをいただきながら、財務省とも熱心に協議をいたしまして、いわゆる基礎定数化が実現いたしました。予算の範囲内ではなくて、子供の数に応じて、確実に教諭が配置されるような仕組みを構築することができました。また、高校においても、来年度から通級を行えるように制度化をしたところでございます。今後は、それらが一層普及するように努めたいと考えておりまして、成果指標には、通級による指導を受けている児童・生徒数を掲げておるところでございます。
3つ目と4つ目の○でございますけれども、多様な学びの場の中からどこに就学するのか、就学先の決定の場面、教育を受ける際の合理的配慮の提供の場面、それぞれにおいて、本人や保護者の意見を最大限尊重しつつ、合意形成を図ることが望ましい、こういったことを周知していく旨を添えておるところでございます。
1ページ目の一番下の○でございますけれども、看護師であるとか、ST、OT、PTといった専門家、あるいは就学等の早期支援や就労をコーディネートする職員など、外部人材の活用の促進に力を入れてございます。この部分につきましては、新たに記載を追加しているところでございます。
おめくりをいただきまして、上から2つ目の○のところも、今、力を入れているところでございます。障害のある方々が就学前から卒業後まで、切れ目のない支援を受けることができるように、市区町村が個別の教育支援計画等を活用しまして、医療、保健、福祉、労働といった教育以外の分野との連携体制を整備する。こういったことに対して、今年度から補助を行うようにしてございます。これにかかる成果目標として、個別の教育支援計画の作成率を掲載しておるところでございます。
教育の(1)の残りについては前計画とほぼ同様ですので、ここでは割愛をさせていただきます。
(2)教育環境の整備の部分でございます。まずは教員の質ということで、特別支援学校の免許状の保有率、当分の間、通常の小中高や幼稚園の免許で授業ができることになっており、まだ100%に至っていないところでございます。これを向上していくことをはじめ、特別支援教育に関わる全ての教職員の専門性の向上を、冒頭に掲げておるところでございます。
特別支援学校が周辺の小中高の学校などを支援するセンター的機能の充実、あるいはICTを活用した教材、支援機器の充実、学校施設のバリアフリー化であるとか、教室不足の解消などについても、若干書きぶりを増やしまして、引き続き記載をしておるところでございます。
成果目標といたしましては、今、申し上げた免許状の保有率の話であるとか、特別支援学校において、センター的機能を担当する組織の整備状況を掲げておるところでございます。
(3)高等教育における障害学生支援の推進ということで、御案内のとおり、大学等の高等教育機関におきましても、障害のある学生の在籍数、年々増加をしておるところでございます。障害のある学生が障害のない学生と平等に高等教育の機会を享受できるように、授業における情報保障、あるいはコミュニケーションや教材における配慮、施設のバリアフリー化などを促進してまいりたいと思っております。
大学における相談窓口の統一であるとか、支援担当部署の設置、あるいは支援人材の育成といった大学における受け入れ体制、支援体制の整備は、引き続き、促進してまいりますし、これが9-(3)-2の2つ目の○になります。
これに加えまして、その下の○です。学内の関係部署内の連携に加えて、さらに学外の地域における、労働や福祉などの支援機関、あるいは就職先となる企業や団体、こうしたところとの連携やネットワークづくりを促進していきたいと考えておりまして、記載を増やしておるところでございます。
障害のある学生の支援についての理解・啓発であるとか、センター試験における配慮、単位認定における配慮などについても、これまで同様、引き続き記載をしておるところでございます。
成果指標といたしましては、今、申し上げたような障害のある学生に対する支援を実施している大学の割合、障害学生支援に対する対応要領の整備状況、あるいはホームページにおいて、こうした支援の内容を情報公開しているかどうか、こういったものを掲げまして、これらをできるだけ100%に近づけるように、努めてまいりたいと考えておるところでございます。
3ページ目の最後になりますけれども、3行だけ新たに追加した部分です。生涯を通じた多様な学習活動の充実について、これまで私が申し上げたとおり、文部科学省では、障害者支援施策について、主として特別支援教育を中心に展開してきたところでございます。しかしながら、障害者権利条約にも、障害者の生涯学習の機会には、言及もあるところでございまして、今後は、学校教育以外の分野につきましても、促進していかなければならないと考えておるところでございます。
この4月から、生涯学習政策局に障害者学習支援推進室という新たな室を設けまして、専属の職員を置きまして、教育のみならず、文化、スポーツ、生涯学習、こういった文科省内の関係局も交えた検討チームを発足させて、省を挙げて障害のある方々の生涯を通じた多様な学習活動の充実に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
私からは以上でございます。
御意見を賜れたら幸いでございます。よろしくお願いします。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、施策と成果目標、大きく言うと2つに分かれているわけですけれども、まず施策につきまして、これを中心にして、議論をいただきたいと思います。
御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。
順にいきたいと思います。阿部委員、次に安部井委員、伊藤委員、加野委員といきまして、まず阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日身連の阿部です。
2ページの2つ目の○の個別の教育支援計画の策定・活用についての質問と確認でございます。
個別の支援教育計画というのは、特別支援学校で策定されているというのは、承知いたしていましたけれども、その他の学校でも、障害のある児童・生徒の場合もつくられるということだと思うとともに、その確認とともに、医療、保健、福祉、労働等との連携ということになりますと、この策定に関わる人材というのは、どういう人なのかの確認です。よろしくお願いいたします。
○文部科学省(森下企画官) お答えを申し上げます。
まず1つ目の御質問につきまして、確かに現在においては、学習指導要領で、特別支援学校の子供たちについては、全て義務化をされております。しかし、今般改訂する小中学校の学習指導要領におきましては、全ての障害のある子供について、こういった計画を作成するように努めるという形にした上で、特別支援学級や通級による指導を受ける子供たちについては、作成を義務化するという運びになってございます。
まだ予定でございますけれども、学習指導要領の施行は、平成32年、平成33年と先なのですが、これにつきましては、先行して施行することを予定しておるところでございます。それが1点目です。
2点目の計画を作成する人材でございますけれども、一義的には、特別支援学校の中で、特別支援教育コーディネーターとか、担任の先生などが話し合いながらつくります。しかしながら、そのときに、支援内容につきましては、それまでに受けている医療や福祉、そういった支援内容をしっかりと学校、あるいは進級先であるとか、そういったところに引き継いでいかなければいけませんので、誰か1人だけ、例えば、学校の先生だけで黙々と書くものではございませんで、保護者、あるいは必要に応じて、福祉部局や教育委員会の力も借りながら、しっかりと協力をしながらつくっていくということが想定されているものでございます。
○石川委員長 安部井委員、お願いします。
○阿部委員 3ページ目の生涯を通じた多様な学習活動の充実について、申し上げます。
文部科学大臣から先日、特別支援教育の生涯学習化に向けたメッセージを出していただきました。障害の重い子供を持つ親には、一条の光となって、私どもは本当に喜んでおります。医療的ケアが必要な人工呼吸器を使用しているなどの超重症児者・準超重症児者は、学校教育も普通に受ける環境も未だ整っておらず、ましてや卒業後の日中活動の場も整備されていません。障害が重いことから外出もままならず、スポーツや芸術活動をしている場に触れたくても行くこともできません。本当は特別支援学校に留年を望んでいるのですが、留年もままならず、その先の大学進学も、全くなく、そういう機会の保証もありません。多様な障害を持つ方、要するに障害が重い方たちの生涯教育を、今、全国各地で、NPO、法人や任意団体等がボランティア精神で、賃金もいただかず、自宅に訪問して障害の重い方たちへの生涯学習という観点で実践されている方たちがたくさんおります。
ただし、財政的な支援がない中でやっておりますので、非常に危うい状況で、いつまで続けられるのかということがあります。担い手の人的確保にも困難があり、育成のための研修も望まれます。生涯学習支援を受けている子供たちや母親は、大変危機感を持っております。生涯教育を充実させていくためには、ぜひそういう活動をしている団体への財政的な支援も考えていただきたいと思っております。
先日、大臣表彰という話を伺いましたが、そういう机上論ではなく、実際の活動のところにぜひ御支援をいただきたいと思っております。バックアップをよろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
伊藤委員、お願いいたします。
○伊藤委員 御存じのように、今は難病も障害の中に入れていただきまして、早い段階から長期慢性の病気につきましても、内部障害という形で、障害者施策の中に取り入れられているわけですけれども、毎回のことですが、特別支援教育に少し偏っているのではないかという印象があるのです。病弱児、あるいはそういう医療的なケアが必要な子供、長期慢性の病気を抱えていている人たちが、どんどん大学に行ったり、さらにさまざまな職業につくような時代になっているのですけれども、そういうものに対しても、もう少し研究していただきたいというのが1点です。
とにかく医療・医学が発展することに伴って、今後ともそういう対象者が増えていくだろうということは、かなりはっきりしているわけですから、今のうちに、そういう基盤をつくっておくべきであるということと、人材の養成が必要であろう。それは、単に特別支援教育の専門家ということだけではなくて、もっと医療、保健、看護の専門家、あるいはそこに携わる人たちということを、今からきちんと手当をしなければならないだろうと思います。
例えば言葉のわかりにくさ、さまざまなことでは、多くの国民の支持を得なければならないわけですけれども、依然としてインクルーシブ教育ということが出てくるのです。あと、OTとか、PTなどになると、括弧がついて何であるかと書くわけですが、インクルーシブ教育は、私どもの会合で、昨日、一昨日もあって、いろいろ聞いたのですけれども、医療の世界にいる人たちにとっては、インクルーシブとは何だとほとんどわからないのです。それは既に使っているところだけだから、それが通じると思っていると、通じない。ですから、説明なり日本語なりをカッコ書きにするとかのそういう丁寧な環境づくりも必要なのではないかと思いますので、そこのあたりも配慮すべきことであろうということで、お願いをしておきたいと思います。
あと、お話をするときに、少しゆっくり、はっきりおっしゃってください。半分聞き取れなかったので、よろしくお願いいたします。
○石川委員長 森下企画官、よろしいですか。
○文部科学省(森下企画官) お答えをいたします。ありがとうございます。
病弱の子供につきましては、特別支援学校、従来の養護学校に在籍をしておるわけですが、いくつか研究事業をしておりまして、例えば昨今の課題として、通常の小中学校、あるいは高校に通っていた子供が急に病気になって、特別支援学校に転校することになったときに、もとの在籍校とどのように連携をとったらいいかということ、特に昔のように、必ずしも長く入院しているわけでもなくて、短期で入退院を繰り返すこともございますので、そういったところの体制のとり方を研究する事業をしてございます。こういったことを普及させていくこともございますので、記載に反映できないか検討します。
あわせて、医療的ケアについても、同様でございます。私どもは、看護師の配置であるとか、あるいは先ほどちょっと話題になりました人工呼吸器を装着している子供たちが、学校に行けるようにしなければいけません。学校に行くために、どうしたらいいかということも研究しておりますので、そういったことが簡潔に記載できないか、検討してみたいと思っております。ありがとうございます。
インクルーシブという言葉につきましても、おっしゃるとおりで、本文の見出しには、大分使わせていただきましたけれども、本文では、かなりかみ砕いて書いたつもりでございます。私ども、これから施策を説明していくに当たっては、丁寧に説明をしていきたいと考えてございます。ありがとうございます。
○石川委員長 インクルーシブ教育という言葉は、ぜひ使っていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
加野委員、お願いします。
○加野委員 加野です。
第4次の基本計画の議論の際に、インクルーシブ教育の到達点は、どのようにあるべきかということを議論すべきだという委員会で意見が出されたと思うのですけれども、この点について、どういうふうに施策に反映させるかということがあると思うのですが、障害者権利条約との整合性を考えるときに、インクルーシブの中での個別の支援というのが、権利条約の内容だと思うのですが、ここで、基本的考え方では「障害の有無にかかわらず、可能な限り共に教育を受けることができる仕組みを構築する」とはっきり書かれているのです。
施策の内容として「可能な限り共に教育を受けることのできる仕組み」とある一方で、現状は「通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある学びの場」となっている中で、しかも、特別支援学校での児童数は、非常に増加しているという現状がある中で、子供のときに、共に場を共有して過ごすということの重要性というのは、委員会でも何度もそういうお話が出ましたし、障害者差別解消法の議論の中でも、子供のときのインクルーシブというのは、どれだけ大事かということが、何度も確認されてきたところですので、そういった点を施策の中で、どういうふうに入れていただけるのか、多様な学びの場がある中でも、原則できるだけともに学ぶための合理的配慮をしながら、共に学ぶということがあるべきだと考えますけれども、そういった点を、何かの形で盛り込むことができないのかと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
関連で、三浦委員長代理、お願いします。
○三浦委員長代理 今、お二人の委員がおっしゃったところで、(2)教育環境の整備の1つ目の○と2つ目の○の書き方で、ちょっと気になるところがございまして、同様の意見です。
1つ目の○で「全ての教員を対象とした特別支援教育に対する理解を深める取組を推進する」ということで、3つ目の○を見ますと、そこで言われている特別支援教育というのは、通常の学校におけるということなので、インクルーシブ教育の中での個別支援と読み取れます。
しかし、これまでの私たちの議論から、インクルーシブ教育という目標は、もう少し高いところに委員会でも持っていると鑑みますと、1つ目の○で「全ての教員を対象とし、インクルーシブ教育の理解を深める」と書いていただいたほうが、理解しやすいところがございます。
特別支援教育というのが、特別なニーズのある人への個別支援と定義づけられていれば、ここは読みとれるのですが、そうではない印象を与えてしまうので、1つ目の○と2つ目の○の書きぶりを御検討いただきたいと思います。
○石川委員長 まず森下企画官からのお話の前に、私も1点、ここに関連しまして、補足させていただきたいのですが、インクルーシブ教育という言葉と特別支援教育という言葉、1つの計画の中で両方使うと、この2つは、どういう関係にあるのかということが、非常にわかりづらいということはあると思いますので、この点は、明確にする必要があると思います。伊藤委員がおっしゃったこととも、一定程度関連があるのかと思います。
障害者権利委員会は、権利条約の24条、教育に関しまして、一般的意見を出しておりまして、4つの概念の違いを注意してほしいと述べています。それは、排除と分離と統合と包摂です。
排除というのは、そもそも教育の機会を与えないという論外ですけれども、日本ではそういうことはないであろうと思います。
次に分離です。場所を分けるというのが分離です。
統合は、一緒に教育する。ただし、合理的配慮の提供については、含まれないということになります。
最後の包摂というのは、先ほど加野委員がおっしゃったように、それぞれの個別性に対応した合理的配慮の提供を行いつつ、一緒の場でというのが包摂、つまりインクルージョンです。そういう観点から、第4次の基本計画の書きぶりをさらに改定していただけると、大変ありがたいと思います。
これに関しまして、あるいはそれ以外につきまして、先ほどもっと多くの方が挙手されていたと思いますので、もう一度、挙手をお願いいたします。
柘植委員、お願いします。
○柘植委員 ありがとうございます。
職場の関係上、遅れてきました。申しわけありませんでした。
まず用語の問題ですけれども、1年ぐらい前に、ここの場所で私が発言したと思いますが、インクルーシブ教育とか、包摂、包容、特別支援教育、あるいは、共生社会など、その辺の関係の整理整頓を各省庁で、1つの省庁の中でも違った言葉を使っているので、何か整理整頓しないとまずいのではないですかという話を発言しました。議事録に載っていると思います。
さて、先ほど加野委員がおっしゃったことに関してです。1年くらい前、第3期のときに、インクルーシブ教育の到達点について、整理整頓すべきではないのか、尺度をつくるべきではないのかという発言をしたことを思い出しました。そのときの私のプレゼンの資料は、内閣府のホームページで公表されています。
そのことと関連はしないのですけれども、いや少しは関連するのですが、一人一人の学びを大切にするということが大事だと思うのです。ところが先ほどの報告を見ましたら、個別の教育支援計画とか、個別支援計画のことが書いてあるのですが、個別の指導計画のことが書いていないのです。
まさに教育の本質というのは、子供一人一人の確かな学力とか、豊かな心の育成、体力ということ、そこを図るものが個別の指導計画であるので、先ほどの議論のまさに中核のところは、個別の指導計画なのです。それがどう進んでいったのかということが、成果を計るとても重要な尺度だと思いますので、個別の指導計画を明記されたほうがいいと思います。
十分な教育をする。先ほど統合とインクルーシブの説明がございましたけれども、ただ一緒にいればいいのではなく、障害が重くても、軽くても、どんな障害の方も、障害のない子供の方と一緒に学んで、こんなに成果があったのだということをきちんと見ていくことが必要で、その成果がなかったら、指導する方法を変えていかなければいけないという、その辺の大きな行動の変容につながる大事なものと思います。
それから、先ほど三浦委員長代理がおっしゃったことと関連するのですけれども、今回、書かれていることは、障害のある子供本人のことが多いのですが、共に学ぶ障害のない子供たちの学びだとか、理解啓発とか、とても残念な事件が相模原であったり、ですから、子供のうちから、幼稚園とか、小学生などのうちから、障害の理解を進めることも加えると良いでしょう。あるいは障害のない子とある子が共に学ぶ共同学習の場なのかもしれませんけれども、その言葉も入っていないようですので、障害のある子供も大事なのですが、障害のない子供たちへの教育の成果というか、それをどう見るのかということも、盛り込んだほうがいいと思いました。
以上の2点です。
○石川委員長 森下企画官、お願いいたします。
○文部科学省(森下企画官) ありがとうございました。
先に柘植委員の今の御意見で、個別の指導計画のこと、障害者理解のことですが、確かにおっしゃるとおりです。基本的な考え方のところには入っておりますので、本文にもしっかり記載するような中で、調整をしたいと思います。
インクルーシブ教育の考え方について、私どももできるだけ、特別支援学校よりは、通常の小中学校に向けて、障害のない子とともに学ぶ方向を目指すべきであるということを、目指していくのはもちろんそのとおりでございます。
一方で、今、柘植委員からお話があった、一人一人にとって、最も学びが進む場所として選択肢をしっかり用意するものという点、この2つをあわせて取り組んでいくことが、特別支援教育であって、そういったものが整った状態がインクルーシブ教育システムなのだろうと、つまり障害のある子供がそういったシステム全体から排除されない、最終的には、できるだけ包摂された状態で、教育を受けることができる仕組みをつくっていくものが、インクルーシブ教育システムなのであろうと考えてございます。
用語の使い方につきましては、先ほど御意見がございましたので、この計画の中で、どのように表現するかは、事務局と委員長ともこの場でも御相談をしていきたいと考えてございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
執拗に確認させていただきたいのですけれども、インクルーシブ教育システムというのは、4つの場所、多様な学びの場所を提供するというのは理解しておりますけれども、それは、それぞれの障害のいわば心身の機能的障害、インペアメントの程度に応じて、それぞれの場が用意されているというようにも、誤解されやすいと思うのです。
そうではなくて、インクルーシブ教育というのは、通常学校でも合理的配慮の提供をする、通級でも多様性があるので、そこでも合理的配慮、至るところで合理的配慮を提供するということが同時にないと、場所で分けているだけではないですかという話になってしまうと思うので、インクルーシブ教育システムという名前に、ふさわしい枠組みなのだろうかという疑念が生じると思うのです。ですので、基本計画の中では、通常学級において、合理的配慮、環境整備を整えて、相当程度の多様性のある子供たちに対して、その場所で、それぞれの子供たちにとって、最適な教育が提供できるようにしていくということを、まず、ばんと掲げていただくと嬉しいと思うのですが、いかがでしょうか。
○文部科学省(森下企画官) 御指摘ありがとうございました。
私どもも、そのつもりでというか、通常の学級でも合理的配慮の提供が必要なのです。合理的配慮は全ての学校において必要なもので、例えば特別支援学校だけで措置するつもりで書いているわけではありませんで、通常の学校も含めて、措置することを前提で書いていますけれども、目からうろこというか、学びの「場」の話が最初にぼんと出てくるので、そういう印象を与えてしまったのではないかと思っています。今の御趣旨で、私どもも通常の学校において、必要な合理的配慮、あるいは個別の合理的配慮ではなくても、それ以前に環境を整えておくということをしていかなければいけないと思っていますし、それを政府として支えていかなければいけないと思っていますので、それがわかるような記載ぶりを検討してみたいと思います。ありがとうございます。
○石川委員長 ぜひよろしくお願いいたします。
河井委員、お願いします。
○河井委員 河井です。ありがとうございます。
先ほどからありまして、私も思いましたのは、2ページ目の教育環境の整備のところで、繰り返しになって申しわけありませんが「全ての教員を対象とした特別支援教育に対する理解を深める取組を推進する」というのが、まず初めにあってこそだと思います。ここの文章は、並び方が逆ということは、私も思いました。
1ページの4つ目の○で、合理的配慮の部分なのですが、先ほどのお答えの中にも触れていただきましたけれども、本人の体力、意思があるにもかかわらず、保護者の送迎を必要とするがために、訪問教育にならざるを得ない子供たちがたくさんいますので、そこの部分は、通学の機会を保障するという観点で、きちんと計画の中に盛り込んでいただくことが必要であると思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
森下企画官、いかがでしょうか。
○文部科学省(森下企画官) ありがとうございます。
1つ目の意見は、御指摘のとおりだと思います。ありがとうございます。
2つ目の通学の問題につきまして、御指摘ありがとうございます。検討したいとは思います。現在は、特別支援教育就学奨励費という形の中で、交通費の支援などを行わせていただいているのですけれども、今、顕著なのは、医療的ケアのある子供たちです。
私どもは、先日、初めて調査をいたしまして、医療的ケアの子のお子さんが、どのくらい送り迎えをしているかというと、65%ぐらいの子供たちが親御さんの送り迎えを必要としているということでございまして、何分、規模が多くございますし、ましてや医療的ケアの子供だけの問題とも限らないので、どういったサポートができるかというものを検討して、ここに書けるかどうかも含めて、少し検討してまいりたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
辻井委員、お願いします。
○辻井委員 辻井です。
大きく3つあるのですが、1つは、先ほど柘植委員がおっしゃったことと重なっていく形なのですが、個々の児童・生徒の教育的ニーズに応じた教育を、きちっと提供していくということが、もちろん重要なわけなのですが、それは個別の教育支援計画、個別の指導計画ということが、どの程度実際に行われていて、それがなおかつどの程度子供の教育として、より効果的なものであったのかということ、要するにつくればいいのではなくて、つくって行われたものが実際に子供のニーズにあったものであったのかどうかということが、検証されていくというところまでが非常に重要で、それが行われているかどうかということで、インクルーシブな教育が行われているかどうかということが、後で検証できていくということになっていくわけですので、個別の支援計画の話で、1のインクルーシブ教育の推進の後ろに置くのではなくて、前にきちっと位置づけていただくということです。
ここに書かれているのは、育ちを通じたものでつくっていくということしか書いていないので、軸として、個別の支援計画、指導計画ということ、それが本当にニーズに応じたものであって、受ける子供の満足度を反映したものになっていることを、示していただくことが非常に重要なので、位置づけをきちっとしていただければ、外枠としてどういうものなのかということが中心になっているので、軸が教育の質の問題なので、そこを問えるようにしていくことが大事だと思っています。
2つ目、合理的配慮のところになると思うのですが、実際にいじめの問題、不登校の問題と重なってしまっている障害を持った子供たちというのが一定割合、それも発達障害においては、少なからずいまして、合理的配慮をきちっとする中では、そうした状況まで踏まえて、書いていただくということがいいのではないかと思っています。
3つ目で、教育環境の整備のところで、現実的に、今、通常学校のところでも、支援員という形で、今、一定の役割を既に教育の場においても持っているわけですので、支援員のことについて書いていただいて、必要な支援員の確保がなされるかどうかということを、検証できるようにしていただきたいと思っています。
以上です。
○石川委員長 森下企画官、お願いいたします。
○文部科学省(森下企画官) お答えいたします。
最後の特別支援教育支援員のところは、御指摘のとおりですので、記載を検討したいと思います。
まずいじめ、不登校の問題につきましてですけれども、記載を検討したいと思っております。現状ですが、先日、いじめの対応指針、もともとは5年ぐらい前に、大津の事件を機につくったものですが、それの見直しの機会がございまして、前回も発達障害という言葉がちらっと書いてあったぐらいだったと思いますけれども、少し文脈を増やしまして、各教育委員会に意識をして対応してもらうように、指示をしておるところでございますし、私ども、折を見て、そこに記載されたことは強調して説明をしておるところでございます。
これを今後、どういうふうに、いわば特別支援教育以前の通常の生徒指導をいかに適切にやるかという問題でもございますので、ある意味学校では、障害の有る無しにかかわらず、まさにやらなければいけない部分なので、この文脈で書くのは書けると思うのですが、それをどういうふうに取り出して、うまくいっているかどうかを図るのが難しいというのが直感です。生徒指導とかの担当と相談をしてみたいと思います。
冒頭の個別の指導計画の役割につきましては、柘植委員からも御指摘いただいたとおり、個別の指導計画のことがそもそも余り触れられていませんので、そこで記載をする中で、その役割をしっかりと書けないか検討したいと思います。ありがとうございます。
○石川委員長 よろしくお願いします。
平川則男委員、お願いいたします。
○平川(則)委員 ありがとうございます。平川でございます。
基本的な考え方のところとインクルーシブ教育システムの概念について発言いたします。これまでいろいろな意見がございましたし、柘植委員からは、可能な限り、共にいい教育を受けるという観点について、しっかりと(1)の中に入れるべきだという意見については、全くの同意見でございまして、これについては、特に答弁は要りませんけれども、ぜひともその辺についての御配慮をお願いしたいと思います。
2ページ目の2つ目の○の切れ目のない指導・支援という観点でございます。これは例えば就学前教育であるとか、保育所等を含めて、小学校との接続という観点も重要だと考えておりますので、その辺を補強してもいいのではないかと思いました。
次に教育の振興という観点から若干外れて、やや労働的な話をさせていただきます。文章を入れるというのは、なかなか難しいと思うのですが、教育に絡んで意見を言わせてもらいますと、障害を持つ教職員が抱える課題ということも、現状ございます。例えば、担任を持たせてもらえないとか、転勤にともない通勤が困難になったということで、教員が働き続けるためのさまざまな障害があると聞いておりますので、その辺についても、この部分に入れるのはなかなか難しいと思いますけれども、どちらといえば、雇用・労働の関係になってしまうと思いますが、教育の分野においても、障害を持つ教職員の課題があるということについても、課題として認識を持っていただければと考えておりました。これについては、意見ということで、言わせていただきます。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
お願いいたします。
○文部科学省(森下企画官) 2点目の保育所等の部分について、もともと強くこの中には想定をされておるものでございます。切れ目のない支援を自治体について補助するという仕組みは、今年から始めましたけれども、模範となっているのは、一部の市区町村のところで、まさに就学前の療育の段階から、保育所、あるいは幼稚園といったところで、それぞれどんな支援を受けているか、ときには幼稚園や保育所で、どんな指導というか、学びをしているかといったことを、市区町村が特に教育委員会と福祉部局が同じ課になるような形でやっている自治体もございます。
そうすると、保育所から来ようが、幼稚園から来ようが、小学校にそれまで受けてきた支援がうまく引き継がれていて、例えばそれが先ほどの個別の教育支援計画、指導計画に値するものがシステム化されていて、それが各機関で閲覧ができる。もちろん個人情報はかなり配慮しているのですが、そんな仕組みを設けている自治体がありましたので、こういったところを全国に広めていきたいというところから、事業化をしたというところでございます。保育所は、この中でいうと、福祉の中に入ってくるだろうと思いますけれども、認識としては、入っているということだけ、とりあえずこの場ではお答えをしたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
他にも御意見があると思いますので、挙手をお願いいたします。
あと5人にさせていただきます。
まず門川委員、お願いいたします。
○門川委員 門川です。
盲ろうの立場から、発言させていただきたいと思います。
結論を先に申し上げますと、他の委員も発言されていたことと重なりますが、環境整備において、移動やコミュニケーションの支援員の配置を加えることです。
盲ろうの児童・生徒、義務教育から高等教育、全ての教育に関してですが、盲ろうに関しては、情報のアクセシビリティに関して厳しいために、盲ろうという障害の早期発見、早い時期からの教育が重要だと思っております。
盲ろう教育のインクルーシブ教育を実現するために、学校に通う際の通学の保障をしていただくことと、学校生活の学級活動を行っていくためには、コミュニケーションの支援をしっかりとしていくことが必要です。
支援員という形になると思いますが、盲ろうの場合には、特にコミュニケーションといった専門分野、これは非常に専門的な技術を持った通訳介助者といった支援員をきちんと配置していただかなければ、子供たちの学校生活がままならない状況になってしまいます。支援員の配置、通学、学校への送迎について、ぜひ福祉行政との連携をとりながら、今後、盛り込んでいっていただきたいと思います。
もう一点、テクノロジーの活用について、情報技術の活用についても重要です。教科書のアクセシビリティについて、取り上げられていますが、教科書だけではなくて、コミュニケーションなど情報へのアクセシビリティにも、非常に役に立つテクノロジー・技術が最近あります。先ほどの御講演の中にも関連して、非常にメリットも多いですから、コミュニケーションについても、ぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
以上について、よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございます。
森下企画官には、御負担になりますが、時間の関係があるので、残りの御意見も全部聞いた上で、最後に、要領よく御答弁いただくということで、よろしいでしょうか。お願いいたします。
石野委員、お願いします。
○石野委員 石野です。
質問ではないのですが、インクルージョン教育の考え方について、障害者権利条約24条3項a、b、cとあり、その中に、手話の獲得と手話の習得、言語権、コミュニケーションについての記述があります。障害を持っている子供たちは、当然言語の権利は持っているわけです。また、コミュニケーション選択を保障しなければならず、合理的配慮も考えねばならないということは、重要な視点だと思います。
子供の権利条約との関係も、視点に入れなければならないと思います。子供の権利条約の中では、障害を持っている子供の育成、親がどのようにサポートをしていくかということ、これも1つ重要な視点だと思います。子供の権利条約については、今まで議論がなかった部分です。そのあたり、検討していただきたいと思います。
2つ目ですが、障害を持つ学生に対する支援ですが、全国には聴覚障害者の学生が1,500人くらいいると聞いております。例えば筑波技術大学では、他の大学と連携して、遠隔通訳サービスなどのサポートをしています。大学内での支援者は、なかなか獲得できないということもありますので、筑波技術大学のように技術を活かして、遠隔の中継支援システムを設けているような事例もあります。ここの中にもありますように、テクノロジーの考え方も重要な視点ですので、その方向性も含めるべきではないかという2点を申し上げました。
○石川委員長 ありがとうございます。
玉木委員、お願いします。
○玉木委員 ありがとうございます。
3点ぐらいあります。1つは、言葉の整理です。2つ目には、ここに書かれている教育の体系を整備してほしいということと、3つ目に、教職員の育成について、この3つだと思います。
1つは、私の言うことは、余り聞き入れてもらえないと思っていますけれども、いい加減に特別支援教育という表現はやめましょうということです。それは個別の支援教育をやっていくから、その中で、個別性の高い合理的配慮をやっていくことが、本当に必要な教育の提供ではないかということです。
なぜそんなことを言っているのかというと、例えば先ほど石川委員長も、排除がだめと言っているのですけれども、分離ということについては、ここ数年、特別支援学校、特に高等部が爆発的に大人気で、某県などは、一昨年は、4校の新設校ができたと聞いているのです。それは、別に肢体不自由とか、視覚障害の人、知的障害の人が爆発的に増えたかというと、発達障害のある人が普通学校で対応しにくくなってきているから、特別支援学校の高等部に行き始めました。だから、増やしていきます。
でも、それをやっていくと、結果的に例えば大学に行ったとしても、大学で結局困っているとか、卒業してから困るとか、要は社会生活を送っていくための教育であるはずなのに、教育的合理的配慮ができていないから、卒業したときに困ってしまっているという現状があるので、そこは整理をしていただきたいということです。
もう一つは、ここで書かれている高等教育というのは、いわゆる大学の教育、私が整理していただきたいと言っていたのは、義務教育と高等学校と大学の高等教育ということを、整備する必要があります。
余談ですけれども、私は4月から、教育資金の貸付けの担当者になっているのです。そうしたら、借りるのは本人さんなのです。高校に行くとか、大学に行くなどで、15~16歳ぐらいから、80万とか、それにお金を足していくと、15~16歳で200万とか、300万の負債を背負って、勉強しないといけないのです。
それが本当に平等な教育環境なのかということで、押さえ直さないと、以前、政策委員会でも、持続可能な開発のためのアジェンダと、財務省の方が来られて、その中でも、目標の中に教育というのがきっちりと位置づけられているわけですから、そこら辺のことをきっちりと整理していく必要があります。勉強をしたいと思う人がちゃんと勉強をできるような環境を保障していくということを、明確に出していただきたい。
最後です。教職員の養成については、お医者さんの養成と似たところがあって、お医者さんでいくと、今、例えば地域の内科さんとか、外科さんなどに、知的障害や精神障害があったり、その方が行くと、うちは精神の専門ではないから、専門機関に行ってくださいと内科の先生が言うわけです。でも、知的障害者専門内科医などいますかという話です。いないのです。
それでいくと、教員も本当はどんな生徒・児童が来ても、教育ができるようなスキルというのを基礎科目として、しっかり持っておいてもらわないと、結局、排除につながって、うちは障害児教育の教育を受けていないから、提供できませんというのは、本末転倒だと思うのです。そういう中でいくと、教職員の教育体系のあり方も、一緒に考えていかないと、特別支援教育のことだけを小手先的に話をしても、いけないのかということです。
以上、終わります。
○石川委員長 ありがとうございました。インパクトのある御意見をいただきました。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
3点あります。
まず1つ目ですけれども、インクルーシブ教育について、条約の24条と障害者権利委員会に出された一般的意見4の趣旨を踏まえて、障害のある子供も、ない子供も、地域の学校で共に学ぶという方向性を明確に記述していただきたいと思います。
さらに原則地域の学校でという就学体制の確立に向けた計画が必要です。障害のある児童・生徒が普通学校で一緒に学ぶことができるインクルーシブ教育のあり方、普通学校におけるバリアフリーやアクセシビリティの整備目標、合理的配慮の現状や課題の整理、今後、どのように増やすかを計画に盛り込んでいただきたいと思います。
第4次障害者基本計画の策定の背景として、3つの柱が言われました。その中に、条約の批准が入っているわけですけれども、今回、条約を踏まえて、どのような計画にするのかという視点で、作成するべきだと考えております。
そういう中で、条約では24条で、インクルーシブ教育が明記されています。一般的意見のパラグラフ11では、教育の場は統合が前提であるとか、あるいはパラグラフ19では、自分の住んでいる地域で、質の高いインクルーシブ教育を受ける、パラグラフ26では、自宅から遠くに送られるべきではない、こういったことが書かれており、場を分けないというのが基本的な条約の考え方です。ですので、それに沿った記述にしていただきたいと思います。
2点目は、障害児童・生徒の学籍データの集積と、学籍推移の把握と分析などを計画に盛り込んでいただきたいということです。2年前だったと思いますけれども、第21回の障害者政策委員会で、障害者権利委員会の元委員長のロン・マッカラム氏が講演をしてくださったのですけれども、その御講演の中で、その国の障害を持つ人は、普通学校にどのくらい行けているか、あるいはどのくらい行けていないのかというものがわかるものが必要だということをおっしゃっていました。
普通学校に在籍する児童や、特別支援学校、特別支援学級といったように、障害の種別も踏まえて、データ集積と分析が必要です。特に普通学校の障害学生の在籍データというのは、今まで出ていないと思いますので、インクルーシブ教育を進めるためにも、データを集積し、現状を分析して、計画に盛り込むことが必要だと思います。
3点目です。学習指導要領の中に、障害の社会モデルの理解を盛り込んでいただきたいと思います。UD2020行動計画では、障害の社会モデルを全ての人が理解し、それをみずからの意識に反映させ、具体的な行動を変えていき、社会全体の人々の心のあり方を変えていくことが必要とあります。この具体化に向けて、障害のない児童・生徒が社会モデルをちゃんと学んでいけるように、学校教育の中で明確に記述することが必要だと思います。
以上です。
○石川委員長 現在、15分ほど、予定より押しております。森下企画官への御意見も、大分集積されておりまして、一遍に答えるのは、大変になってきていると思うのですが、どうしましょう。あとお二人と考えております。最後までいってしまいますか。ここまでいけば一緒ですか。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。
私は1点だけです。河井委員とか、門川委員と重なりますけれども、通学保障が抜けていると思います。基本的な考え方のところで「可能な限り共に教育を受けることのできる仕組みを構築する」とあります。それを受けて、(1)の4番目の○のところでは「合理的配慮については、児童生徒一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて」決定するとされているわけです。
もう片方で、来年の平成30年4月から、障害者総合支援法の改正法が施行されるのですけれども、その中で、移動支援事業が通勤・通学については、訓練という名目で限定された範囲で適用されます。通学に関して言えば、極めて限定されている要件がいくつかあります。
今日は触れませんけれども、そのときに、厚生行政で言われているのは、教育行政における合理的配慮との調整の問題があるので、全面適用にはならないのだと説明しておられます。そうであれば、谷間に置かれた障害児が通学できなくなったり、通学時に危険な場面に遭遇することは、絶対避けるべきであることを踏まえたときに、どうしても通学保障を前提とした合理的配慮について書き込んでいただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
最後に、加藤委員、お願いします。
○加藤委員 加藤です。ありがとうございます。時間のないところ、申しわけありません。
2点あります。1点は、以前、この場で申し上げたことがあるのですが、学校教育という塀の中でどうするかという話ではなくて、地域全体を見渡した中での教育、教員のあり方ということが大事なことになると思うのです。
そういう意味では、例えば福祉行政の中で、自立支援協議会という組織が地域の中で立ち上がっているのです。そういうところに、学校教育がどこまでコミットしているかということを常々感じているのです。ここを積極的に垣根を取っ払って、教育現場からもそういう事業、実践に積極的にコミットするという方針といいますか、そういうものを打ち出す必要があるのではないかと思います。
子供たちは、学校だけで生きているわけではありませんので、そういう意味では、地域で育てる、地域で学ぶという、その中に学校もあるという視点が大切だと考えます。ぜひ御配慮いただけたらということです。
これは蛇足ですけれども、文科省では、統合教育という言葉は、ほとんど使わないと思うのです。交流教育という言葉を使われていると思うのですが、それはそれなりの背景、ポリシーがおありだと思うのですが、インクルージョンというのは、ある意味では、一元論だと思うのです。統合、交流という概念というのは、基本的には二元論です。
そういう意味では、先ほど来、ずっと皆さんがおっしゃっている話も、どちらなのかという話で、ある子とない子をどうするみたいな話は、明らかに二元論の話であるわけで、これからの先の話というのは、一元論であるべきだという視点に立って、これからの議論といいますか、具体化が積み上がっていけばいいと思う次第です。ありがとうございました。
○石川委員長 森下企画官、たくさんありましたので、よろしくお願いいたします。
○文部科学省(森下企画官) 少しお時間をいただきまして、答え漏れがございましたら、申しわけございません。いずれにしましても、ちゃんと検討したいと思います。
まず初めのほうから、門川委員を中心に、早期発見の重要性という指摘がございまして、原案では、発達障害を例示して、早期発見の話もございますけれども、盲ろうなど他の障害も含めて読むことができないのかを考えてみたいと思っております。
たくさんの方々から、通学についての支援の重要性について、御指摘がございました。現時点の考え方は先ほど御説明したとおりですけれども、ここでも御意見をいただいたということをもって、これからも検討に努めていきたいと思っております。
門川委員のお話の中で、コミュニケーションのお話がございまして、今、原案ではさらりとICTのことが2ページ目の中央のところに書いてあって、教材や支援機器の活用ということで、当然コミュニケーションのことも、ここには入っているつもりではございますけれども、何かここの書きぶりを充実できないか、少し考えてみたいと思ってございます。
石野委員の手話の関係でお話がありましたけれども、お話のとおり、手話のみならず、多様なコミュニケーション手段が、特に聾学校、盲学校もそうだと思いますが、他の学校において、選択が重要だということですが、これはまさに教員のそれぞれの指導力の問題でもございまして、免許を持っていない先生もかなり多くいる中で、私どもとして、できるだけその指導力を上げていくように、努めてまいりたいと考えております。一般的な指導力の話として、この中で記載できるかを考えてみたいと思っております。
教職員の育成のことも、その中で考えていきたいと思いますけれども、今度、教員養成過程の中で、特別支援教育のことを、障害のある子供たちへの支援のことについて、しっかり学ぶことになる見通しです。なので、そういったことを含めて、先ほど玉木委員からお話があったように、全ての先生が障害のある子供たちに対する支援が勉強できるような形で、どういうふうにできるのかというものを、今後は考えていきたいところでございます。
権利条約の記載ぶりを踏まえた今回の記載ぶりを、改めて考えてみたいと思いますが、今回の冒頭に書かれているインクルーシブ教育システムというのは、我々文科省がこれまでしてきたことは、条約を締結時に中教審の皆様にも検討をいただいて、現状、これで進めておるところでございまして、当然、共に学ぶ、障害のある子、ない子が共に学ぶということを前提に、個々のニーズに応じて、それぞれが最大限に伸ばす場を選んでいく。
その「場」だけではなくて、それぞれの場における合理的な配慮が必要だと御意見を賜りましたので、そういったことを考えてみたいと思いますが、それを数値にして、どう表現するのかというものは、持ち帰って検討したいと思います。
私どもの手元にあるのは、いわゆる政令の22条の3と呼ばれているものですが、かつて特別支援学校に基準とかつてされていて、今では基準のひとつとなっているものではございますが、このレベルの障害の程度の子が、通常の学校にどのぐらいいるかというデータを持ち合わせておりますので、こういった考え方に入れられないかとか、そういったことも、この中で考えてみたいと思っております。
社会モデルを学習指導要領にというところですが、学習指導要領は、ちょうど改定したばかりでございまして、直接的にどうかはわかりませんが、ただ、議論は並行して、先ほど佐藤委員から御指摘があった、ユニバーサルデザインの政府全体の動きがございましたので、恐らくその考え方、精神は、今の指導要領をつくる中でも議論されていたはずですので、考え方はそうなっていると考えております。担当課には伝えておきます。
最後のところで、地域との連携のところは、先ほど少し生涯学習の話もお伝えしましたし、この中に入れられるかどうかは分かりませんが、確かに一般的に学校が地域と連携していくというのは、文科省としても、ずっと指導しているところでございまして、いわゆるコミュニティースクールのような形、あるいは学校協議会という形で、地域の人が学校に入ってくるものが、あいにく特別支援学校とか、障害のある子供たちの教育の観点で、協力ができているかというと、そういうところがないところもあるので、そういう面で、地域の力を将来のある子供たちに生かせないかということは、これからも検討していきたいというか、進めてまいりたいと考えているところです。
最後は、一元論の話がございました。特別支援教育という言葉をなくしてほしいという御意見を賜りましたけれども、確かに理想的には、それぞれ障害のあるも、ないも、一人一人違うわけですから、究極的な理想の教育は、一人一人に最も適切な教育が行われることだろうと思います。なので、ゴールは、恐らくそうなのだろうと思います。
一方で、いわば障害のある子供を、いかに特別に支援するかということが大事で、そういった子供たちが、他の子供たちと対等に教育の機会が得られるために、どう支援していくかという視点で、私ども、皆様のお力添えをいただきながら、これまで頑張ってきたことも事実でございますので、理想は高く持ちつつも、障害のある子供たちをどう支えていくかは、いい意味においては、「特別」支援教育という考え方は大事でございます。御理解をいただきながら、考え方というか、ゴールは同じだと思っておりますので、御理解を賜ればと思います。
最後、大学のところだけ、高等局からお話をさせていただきたいと思います。
○文部科学省(高等教育局学生・留学生課:小代課長補佐) 高等教育局学生・留学生課の小代と申します。
先ほど聴覚障害の学生さんのお話がございました。これについて、お答えを申し上げたいと思います。
日本学生支援機構の調査、28年度の調査によりますと、大学、短期大学、高等専門学校を合わせまして、1,917人ということで、聴覚言語障害を合わせた学生さんの数ですけれども、大学で学んでいらっしゃるという数字が出ております。
先ほど例でお示しをいただきました、筑波技大の支援策です。私も存じておりまして、大変すぐれた支援策で、これを広めるということで、筑波技大でも頑張っているところでございます。また、筑波技大が中心となりまして、聴覚障害の学生さんを支援するペップネットというネットワークもございますが、こういった中で、普及を図っているところでございまして、私どもとしましても、各大学がこういうすぐれた取組を、知らなくて利用できないという話がないように、こういった情報を積極的に発信していくことが、非常に重要だと思っておりまして、ここでいう情報保障を促進するという中には、そういった取組例を普及する、情報を発信していくということも含めていくと考えております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
時間がないところで恐縮なのですが、1点、確認させていただきたいのですけれども、先ほどの支援機器の利用促進というお話があったのですが、教科書もそうですし、支援機器もそうなのですが、学校と自宅と両方で使えないといけないものですけれども、支援機器の給付の仕組みは何があるのかというと、総合支援法の地域生活支援事業の中の日常生活用具給付という制度がありますが、自治体の裁量事業になっているということと、自治体によっては、児童・生徒に給付ができるのかどうか、私は不案内なのですが、この2点について、所管されている厚労省の自立支援振興室からも、今日は、御出席いただいているということなので、もし即答可能であれば、追加的に御説明いただけると、ありがたいと思いますが、またの機会に確認したいと思いますが、森下企画官、この点につきまして、つまり利用促進という、文科省としてのイメージはどのようなものなのか、教えていただけますか。
○文部科学省(森下企画官) 現状、いわゆる給付という形では、一部特別支援教育就学奨励費の中で読める部分があろうかと思いますけれども、それぞれ一人一人用いる支援機器が違うケースがありますし、家庭でも使うことということもあるので、全てに対して、金銭的な形での支援というのは、すぐには難しいと思っております。
私どもが、今、支援をしておるのは、どちらかというと、支援機器の開発の部分でございまして、障害に応じた教育指導であるとか、あるいはコミュニケーションに役立つ開発に対して、委託をする。また、今年度から始めるところでございますけれども、事業の中で、支援機器をある子供は使うし、ある子供は使わないといったときに、学校としては、どういうふうに判断したらいいのかというのは、なかなか難しいところがございまして、そういったときに、どういう子供が、どういうふうに困っているときに、どういう機器が適切なのか、あるいはその機器を使わせたことが適切だったかとか、そういったことが何か図れるようにできないかということを、中で議論をしておるところでございますけれども、いわゆる物理的に支援機器を支給するというのは、昔のパソコン整備とは違って難しいのです。私どもが促進をイメージしているのは、そういったところでございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、成果目標につきまして、御意見をいただきたいと思います。
ここに示されております成果目標というのは、目標を達成することを目指すという趣旨でありまして、高い目標を掲げて達成できないよりは、低い目標で達成したほうがいいという意味では全くありませんので、そういう観点からも、ぜひ御意見をいただければと思いますので、よろしく願いします。
辻井委員、お願いします。
○辻井委員 辻井です。
目標で、インクルーシブ教育システムの推進の3つ目の個別の指導支援計画の作成率で、目標値は前年度比増なのですが、こんなことはないと思うので、100%をきちっと目指していくということが、このタイミングではないかと思います。
もう一個は、作成ということと、作成したものを年度末で検証して、どうであったのかということについて、何らかの数値がもし出せるのであれば、それをやっていかないと、つくってお終いということにしかならないので、質を保っていくためには、何らかの指標をここで入れ込むということ、指導計画でもいいのですけれども、指導計画だと若干ハードルが上がるのかもしれないと思いまして、どちらかになると思っています。
2つ目で、先ほども少しお話をしたのですが、支援員の数値を出していったほうがいいのではないかと思います。利用できている子供の数ということでいくのか、実際にそういうのが活用できている学校の率ということでいくのかという話は、あるかもしれません。
3つ目が通級指導の児童・生徒数というところで、数値はもちろん大事なのですが、もう一個、設置できている学校数というのが、どの程度の設置率であるのかということを入れ込んでいったほうが、自分の学校であれば、利用ができるけれども、実際問題として、同じ市内にあっても、他の学校に行ってということは、実際に利用が非常に難しい状況になっていますので、ここは設置率を入れていただくことが大事だと思っています。
最後に、先ほどの教育の振興のところで、4番目の生涯を通じてというところなのですが、ここでいくのか、次の文化芸術のところでいくのかというのは、どちらでもいいと思ったりはするのですが、余暇支援を利用できている方たちの割合を、10だとスポーツと文化だけになっているので、余暇支援の何らかのサービスをうまく使いながら、活用できている人の割合を、何らかの形で数値化できていけると、かなり充実した生活をつくっていくことにはつながると思いますので、御検討をお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございます。
他に何人ぐらいの方が御意見をお持ちか、1回確認をさせていただきたいのですが、先ほどの最後の方式でいかせていただきたいと思います。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 阿部です。
簡単な確認なのですけれども、通級による指導の普及状況ということで、対象となるのは、公立の学校しかならないのでしょうかということと、児童・生徒数ということで、トータルの人数を書いてありますけれども、今回は、高等学校の通級というのは、とても大事なことですので、その数もわかるような指標というか、それぞれの現状値も示していただきたいと思います。小中高全部の数字で、どれが高等学校なのかとわからないとならないようにというお願いです。簡単ですけれども、お願いします。
○石川委員長 ありがとうございました。
安部井委員、お願いします。
○安部井委員 先ほども申し上げましたけれども、生涯を通じた多様な学習活動の充実という項目がありませんので、もしできましたら、目標分野に1つ立てていただけると、ありがたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
成果目標として、どういうふうに立てられるのかについては、後ほど森下企画官から御答弁をいただきたいと思います。
柘植委員、お願いします。
○柘植委員 お願いします。
先ほどの資料2-1の議論で、個別の指導計画の話をしましたけれども、個別の指導計画もここに入れるといいと思います。特に通常の学級に、障害のある子供がという発言の方が何人かいらっしゃったので、小中学校でどうか、幼稚園でどうかというレベルではなく、特学と通級と通常学級があるとすると、それぞれでつくられている状況はどうかというところで、見ていくのもいいのかもしれないと思いました。
2つ目ですけれども、そのことと関連するのかもしれないのですが、障害のある子供が、障害のない子供と言ったら、二元論と言われそうなのですが、学ぶときに必要な合理的配慮を提供するわけです。つまり障害のある子供が障害のない子供と学ぶときに、必要な合理的配慮の提供状況がどうなのかということは、チャレンジしないといけないと思います。
最後、3つ目です。通級のところ、先ほど辻井委員がおっしゃいましたけれども、自校にあるのか、他校にあるのかは、かなり負担がかかりますので、自校か、他校か、あるいは教員が回ってくる巡回なのかという区別での集計をされると、次にどうするのかというアクションが具体的に起こしやすいのではないのかと思いました。
以上、3点でした。
○石川委員長 ありがとうございます。
玉木委員、お願いします。
○玉木委員 ありがとうございます。
書きぶりの問題で、今後にかかわってくる問題だと思いますが、例えば指標の出し方と目標値の関係性でいくと、一番わかりやすいのが、一番最後のページの高等教育における障害学生支援の推進の要は入試における配慮に関する情報公開で、ちょっと回りくどい書き方だと思うのですけれども、この指標で、入試要項等、障害学生の配慮に関する記載を行っている大学というのが、ちょっと気になっていて、例えば時間の延長をしているとか、1個でもあれば、配慮をやっているということになって、それよりは、中身について、どのボリュームが書かれていたらカウントするのかという、そこら辺の具体的な明示がなかったので、評価もしづらいと思いました。さらに目標値があると、ちょっとでも増えたらいいみたいな、消極的な書きぶりだと思っていますので、そういった部分を見直しを検討していただければと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
3点あります。
1つ目は、普通学校の障害児童学生の在籍状況がわかるようなデータ、もしくは目標数値を入れていただきたいと思います。先ほどの森下企画官のお話の中で、22条の3レベルの障害学生は把握されているということでしたので、ぜひそれをお願いしたいと思います。
2つ目は、アクセシビリティです。一般的意見4のパラグラフの22では、教育施設及びプログラムは、差別なく全ての人にアクセシブルでなければならないと書かれていまして、具体的に校舎とか、情報通信ツール、カリキュラム、教材、指導方法、アセスメント及び言語支援サービスと書かれています。ですので、一般の学校において、アクセシビリティがどのぐらい整備されているか、目標も含めて、書いていただきたいと思います。
3点目は、先ほど柘植委員がおっしゃったことと同じで、合理的配慮の実施状況、一般の学校でどのように合理的配慮が実施されているかということも、ぜひ入れていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
以上の御意見に対しまして、森下企画官からお願いいたします。
○文部科学省(森下企画官) お答えをしていきたいと思います。
上から、先ほどの今、佐藤委員の普通学校における22条の3のテーマは、少し検討してみたいと思います。
まず通級による指導に関してなのですけれども、先ほどおっしゃられた学校の設置状況であるとか、自校、他校のものというのは、例年、調査をとっておりますので、データ自体はございますが、辻井委員の御指摘の「設置率」というのが、自校通級や他校通級、あるいは巡回指導という形で、先生が対応していくようなケースもあり、何パーセントというのが言いにくいと思います。
この計画の中にどのぐらいの数の指標を入れていいのかを、事務的に御相談をさせていただきますが、どちらかというと、私どもの調査で、しっかり見ていきたいと思っておるところでございます。
私学についても、調査によって、計画の作成率とか、そういったものについては、私学もとっておりますので、入れられるものについては、少し検討してみたいと思います。
特別支援教育支援員につきましては、利用率だと、誰が使うべきでという分母からとらなければいけませんが、今、手元にあるのは、全国で何人配置されているかというもので、例年何千人と増えておりまして、それをしっかり総務省が地方交付税措置をしてくれていますので、そういったものは、実績ベースになってしまいますけれども、それが評価指標にできるのかどうかを検討していきたいと思います。
個別の指導計画については、データをとっていますので、先ほどと同じで、掲載できる評価指標の数との兼ね合いで検討します。
今、お答えしたもので、難しいと思ったのは、合理的配慮の提供の割合でございまして、結局、何をもって合理的配慮というのかも難しいのです。法的に言えば、合理的配慮は障害のある方から意思の表明があってというところからスタートするのでしょうけれども、必ずしもそうでない場合、学校側から積極的にやる場合、合理的配慮ではないのかというと、外形的には同じですし、また、合理的配慮の調査をかけて、我々文科省に申告しなければいけなくなるということで、配慮の提供のハードルが上がることも懸念します。何か代わりに合理的配慮の実施状況が図られるというか、それが進んでいることがわかることができないか、少し検討してみたいと思います。
アクセシビリティの達成状況も、一般的なところで、どこまで書けるかどうか、条約の中を照らしまして、何か追記できることがないかを検討してみたいと思います。
余暇活動の利用率であるとか、生涯学習の観点は、担当が来ておりまして、話を聞いておりますので、今、指標がございませんので、持ち帰って、何か追記できないかを検討してみたいと思います。
個別の指導計画なり、個別の教育支援計画を検証すべきことについて、通知をということですが、3月に障害のある子供たちを通常の学校で受け入れる際のガイドラインを全国に配布しておりまして、その中で、計画のつくり方、あるいは検証という言葉だったかわかりませんけれども、PDCAを回してちゃんと見直すようにということを記載して、周知しております。あれを配っただけではまだまだ浸透していないので、これから私どもがしっかりと普及をしてまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
どうぞ。
○文部科学省(森下企画官) 高等局からも一言お願いします。
○文部科学省(小代課長補佐) 高等局でございます。
先ほど指標の出し方というお話で、入試のところを例にして、お話をいただきました。全体を御指摘に基づいて、見直す必要があると思いまして、とりあえず今日は、入試のところについてのところです。
入試要項等に障害学生の配慮に関する記載を行っている大学等の数というので、調査のときには、いろんな配慮を求めていらして、その配慮の内容が多種多様であるということが考えられますので、その例を出して、困難の程度に応じた配慮内容をある程度記載している場合と、そういうことの相談がある場合は、事前に御相談くださいと書いているもの、いずれにしても、要望がある場合には、ちゃんと受けますということを明示していることで、一応この数字を出しているところでございます。ですから、その中で、確かにおっしゃるとおり、中身がわかりにくいといったところがありますので、どういった形でこれが検証できるのかといったことは、検討してみたいと思っています。
達成目標ですが、消極的は、まさにおっしゃるとおりかと思っております。932校というのは、79.6%、約8割といったところで、ここからあとは、要望の度合いにもよるというところもありまして、少しでも後退しない、少しでも前にということで、一応こういう書き方をさせていただきましたが、これについては、前のところでほぼ100%を目指そうというところで、記載はできるのではないかというところがありますので、これをまさに上げる形で、検討させていただきたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
私からもコメントさせてください。
佐藤委員の御意見と重なると思いますが、権利条約、あるいは権利委員会が一番注目しているのは、障害のある児童・生徒、学生が通常の学級、通常の高等教育機関で、どれぐらい学んでいるのか、また、合理的配慮の提供を受けつつ、学んでいるのかという実績を知りたいという、それが国内実施の一番わかりやすい成果なので、通級ももちろん大事だと思いますけれども、通級を把握する前に、通常学級における障害のある児童・生徒の在籍について、成果目標として、御検討をいただければと思います。
高等教育に関して言いますと、障害学生支援室、あるいは障害学習支援担当者の配置を行っている高等教育機関の活動、5年間でどれぐらいまで目標として掲げるのかといったことも、加えていただけるとよいのではないかと考えます。特に時間もありませんので、御答弁は結構です。
厚労省の自立支援振興室からも御出席がございますので、先ほど支援機器の利用促進に関して、そもそも支援機器を給付する仕組みというのが、各自治体の裁量事業になっていたり、あるいは私の認識が間違っているのかもしれませんが、学齢期の児童・生徒に対して、給付を行っていない自治体がありはしないのかということについて、所管の自立支援振興室から御回答いただければ幸いです。よろしくお願いします。
○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部自立支援振興室:加藤室長補佐) 厚生労働省の障害保健福祉部自立支援振興室でございます。
福祉機器等に給付につきましては、石川委員長のお話いただいたとおり、自治体の裁量でございます。その給付に当たっては、当然ながら、お子様の身体の状況、または日常生活から学校生活の状況等を、総合的に勘案した上で、個々の状況に応じた判断をしていると考えております。
今回、こういう御意見があったということにつきましては、私どものほうでもそれを踏まえまして、何かできるかどうかというのは、持ち帰ってみたいと思っております。
以上でございます。
○石川委員長 確認ですが、学齢期の児童・生徒を給付対象にしていない自治体というのは、存在していますでしょうか。
○厚生労働省(加藤室長補佐) 今、実態については、把握はしておりません。基本的には、学齢期であっても、必要であれば給付がされるというのが、本来の制度でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、ここで休憩とさせていただきます。10分休憩で、3時55分再開とさせていただきます。
(休 憩)
○石川委員長 再開します。
次に、文化芸術・スポーツの振興について、内閣府並びに文化庁、スポーツ庁から御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
○坂本参事官 内閣府でございます。
「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」でございますけれども、まず基本的考え方でございますが、資料2-1の4ページ目になりますけれども、一番上の四角囲みのところに、基本的考え方ということで、お示しをいたしております。
ポイントを申し上げますと、全ての障害者の文化芸術活動への参加、レクリエーション活動を通じた障害者等の体力増強、交流、余暇の充実、地域における障害者スポーツの一層の普及、競技性の高い障害者スポーツにおけるアスリートの育成強化、こういったことを基本的考え方のポイントとして掲げてございます。
内閣府からの説明は、以上でございますので、次に、文化庁及びスポーツ庁から、主な施策や施策目標の概要、方向性、考え方等について、御説明をお願いいたします。
○文化庁(文化部芸術文化課:木村課長) 文化庁でございます。文化庁芸術文化課長の木村でございます。
お時間をいただきまして、ありがとうございます。
それでは、私からは、文化芸術活動の振興についてということで、御説明をさせていただきます。
障害の有無にかかわらず、全ての人が芸術に親しみ、すぐれた才能を生かして活躍することのできる社会を築いていくことが重要であることから、文化庁におきましては、障害の有無にかかわらず、文化芸術を鑑賞、参加、創造することができるよう、各般の取組を進めておるところでございます。
(1)の最初の○でございますが、特別支援学校におきまして、一流の文化芸術活動団体による実演芸術、例えばオーケストラでありますとか、バレエであるとか、あるいは能、狂言といった、実演芸術の巡回の公演や芸術家を派遣いたしまして、特別支援学校の子供たちに対して、鑑賞・体験などの機会を提供するということ、また、小中学校の子供たちに対しまして、障害のある芸術家の方などを派遣いたしまして、鑑賞・体験機会の充実を図るというのが、最初の○でございます。
2つ目の○でございますが、こちらにつきましては、障害者の方が、地域において文化芸術に親しむことができるように、施設・設備の整備を図っていく、あるいは人材の養成を進めていくということでございまして、障害の有無にかかわらず、文化芸術活動を行うことができる環境づくりに取り組む。特に障害のある方の文化芸術活動に対する支援、芸術作品等の展示、公演といったことの推進を図ってまいるということでございます。
3つ目の○でございますが、国立の文化施設におきまして、字幕あるいは音声案内のサービスを提供するということで、障害がある方々のニーズに応じた工夫・配慮を提供するように努めていくものでございます。
4つ目の○でございますが、こちらにつきましては、厚生労働省が主催をされて、全国障害者芸術・文化祭を開催されているところでございますが、今年の奈良県におきましては、国民文化祭と一体的に開催いたしまして、交流を通じて、障害のある方の社会参加、障害のある方々への理解の促進を図っているものでございます。
次の○でございますが、こちらにつきましては、映画あるいはアニメーションの制作を支援する文化芸術振興費の補助金にあわせまして、バリアフリーの字幕を作成したり、あるいは音声ガイド制作の支援を行うことで、映像芸術の普及・振興につなげていく取組をするということでございます。
以上が、資料2-1の関係でございます。
あわせて、指標も申し上げたほうがよろしいですね。
指標につきましては、資料2-2の4ページ目でございます。「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」でございます。
こちらにつきましては、文化芸術活動の充実に向けた社会環境の整備という観点から、最初の把握すべき状況といたしまして、障害者の文化芸術活動に対する支援の状況といたしまして、こちらは厚生労働省の事業でございますが、障害者芸術文化活動普及支援事業の採択団体数ということで、現状、10団体のところを、31年度は、47団体に持っていってはどうかということでございます。
2点目の状況といたしましては、特別支援学校等の子供たちに対するすぐれた文化芸術の鑑賞・体験機会の提供状況ということで、指標といたしましては、鑑賞・体験を通じて、豊かな心や感性、創造性を育むことができたと回答した開催校の割合ですが、現状は89.4%という高い値になっているところでございますが、これを維持し、かつ90%に達することが目標ということで、34年度の数字として置いているところでございます。
文化庁からは、以上でございます。
○スポーツ庁(健康スポーツ課障害者スポーツ振興室:田中室長) 続きまして、スポーツ庁障害者スポーツ振興室でございます。
スポーツ関係について、説明をさせていただきます。
計画につきましては、4ページから5ページにわたりまして、(2)のところで、スポーツ関係の記載について、4つほど○がございます。その中で、最初の3つは、第3次の基本計画、前計画を基本的に踏襲しているものでございまして、最後の4つ目の○が、新たに加えているものでございます。
4ページの最初の○でございますが、こちらは、施設・設備の整備、あるいは人材の養成などの障害の有無にかかわらず、スポーツを行うことができる環境づくりということを、まず記載しております。
2番目の○でございますが、こちらは、普及の促進、全国障害者スポーツ大会の開催でございますとか、民間団体等が行うスポーツに関する取組の支援など、普及に関する取組を記載しているところでございます。
5ページ目でございますが、3番目の○は、パラリンピック、デフリンピック、スペシャルオリンピックスなどのいわゆる国際競技大会の支援、あるいは競技性の高いスポーツにおけるアスリートの育成強化ということを記載しております。
最後の○でございますが、こちらは、平成26年度に障害者スポーツの所管が、厚生労働省から文部科学省に移る中で、我々文部科学省の一番の資産は、学校でございますので、特に特別支援学校のスポーツについても力を入れて取り組んでいきたいと思っております。
そうした中で、2020年にスペシャルプロジェクト、スペシャルは、Special needs education、特別支援教育の略でございますが、パラリンピックが行われる2020年に、全国に1,000ございます特別支援学校で、障害の種類にかかわらず、あるいはパラリンピック、東京に来られない障害のある子供たちも多数いると思います。そうした中で、全国どこの特別支援学校においても、パラリンピックとは別の文脈で、特別な感動を味わう、それを2020年東京大会のレガシーの1つとしてつくりたいという取組を行う予定でございますので、そのことを新しく記載しているところでございます。
続きまして、目標値でございますが、資料2-2の4ページでございます。
前計画におきましては、スポーツに関しては、具体的な数値目標を記載していなかったところでございますが、新たに何点か記載をさせていただいているところでございます。
その背景といたしましては、スポーツ基本計画という計画がございまして、その第2期、新しいスポーツ基本計画が、この4月にスタートしております。平成23年に成立いたしました、第1期のスポーツ基本計画におきましては、当時、障害者スポーツの所管が文部科学省ではなかったということもございまして、障害者スポーツに関する記述はほとんどございませんでした。ただ、第2期のスポーツ基本計画におきましては、障害者スポーツの所管が文部科学省に移る中で、障害者スポーツに関する取組をかなり記載したところでございまして、また、第2期のスポーツ基本計画は、目標値というものも、第1期に比べてかなり多く記載をいたしまして、20個の目標値を記載しているところでございます。
20個の目標値のうち、5個が障害者スポーツに特化した目標値となっておりまして、5個の目標値の中から、特に中核となるような目標値を2つ抜き出しているというのが、まずスポーツに親しめる環境の整備のところの目標値でございます。
具体的には、障害者の週1回のスポーツ実施率は、過去のスポーツ基本計画では、いわゆる健常者の方々のスポーツ実施率というものは、目標値を定めておりましたが、新たに第2期の基本計画におきましては、健常者の方のみならず、障害者の方に絞ったスポーツ実施率の目標値も記載をしたところでございます。
目標値を記載しておりまして、具体的には、現状、成人でいいますと、約20%のところを、倍でございます、40%を目指していくというのが、1点でございます。
それから、特に子供たち、若年層、19歳以下の若年層に絞った目標値を設定しているところが、健常者とは違うところでございまして、そこにございますように、若年層は30%であるものを、50%を目指していくということで、特に若年層に絞って記載をしているところでございます。
指導者につきましては、現在、2万2,000人です。これは日本障がい者スポーツ協会の公認の指導者がいるわけでございますが、2万2,000人を3万人に増やしていくということを、養成の目標値として掲げているところでございます。
また、競技力の向上につきましては、スポーツ基本計画をなぞりまして、これはオリンピックも一緒でございますが、過去最高の金メダル数ということを、記載しているところでございます。
スポーツに関する説明は、以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、一括しまして、施策と成果目標をあわせて議論したいと思います。御意見がおありの方は、挙手をお願いいたします。
岩上委員、お願いします。
○岩上委員 岩上でございます。
私は、精神障害者の支援を長年やっている立場から、芸術文化とスポーツについて、1点ずつ申し上げたいと思います。
芸術文化につきましては、スウェーデンの事例なのですけれども、かつて精神科病院であった一部をミュージアムに改造して、精神科の歴史とともに、患者さんの作品を展示しているという事例がございまして、そういったことを我が国でも考えていく必要があるのではないかと思っています。生きた証しとしての作品をきちんと保存しておく。それはなぜかと申しますと、精神科病院も、新しい病院にどんどん変わっていますので、そういった作品が埋もれていくというか、なくなっていくこともございますので、その辺は、早急に、現在の障害者の支援ももちろんなのですけれども、そういったことも文化としてはお考えいただけると、ありがたいと思います。
スポーツについてですけれども、全国障害者スポーツ大会の開催の中で、精神障害者のスポーツを振興するということは、前回の目標でも掲げられております。しかし、3次計画の実施状況の中では、バレーボールを正式競技として実施したというのが、26年度、27年度の結果として載せられていますけれども、バレーボールというのは、平成20年に正式種目になったものなのです。それを永遠と正式種目になりましたと言い続けていて、いいのかどうかということがあります。
実際には、全スポには、さまざまな競技団体が出場しているので、その枠組みの中で、精神障害のスポーツを振興しようとすると、他の障害者の皆さんに多少お譲りいただかないと、そこの枠組みがとれないのではないかという懸念があるわけです。ですから、今回、計画として挙げていただくとするならば、そのあたりは、どういう方向性を示すかということを、お考えいただかなければいけない。
一方で、フットサルであるとか、バスケットボールというのは、精神障害者の種目として、全国団体がございまして、フットサルにつきましては、160チームが全国にございまして、1,800人ぐらいの方が競技をされているということもございます。そういったことを考えますと、全スポの中で、精神障害者のことも考えていただくのか、もう少し精神障害者のスポーツとして、全体を見えるような形にして、振興していただくのかということを、今回の計画に当たっては、お考えいただけるとありがたいと思います。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
スポーツ庁から、御答弁いただければと思います。
○スポーツ庁(田中室長) 全国障害者スポーツ大会につきましては、御指摘のとおり、いろんな種目ですとか、特に開催自治体の運営、さらに開催自治体だけで運営をするわけではなくて、実際にはいろんな障害者スポーツ団体の方々に来ていただいて、運営をしている。そういった体制をとれるかどうかということで、議論していくことが必要になっております。
これまで国体につきましては、見直しを検討するような場を、例えば文科省と日本体育協会、関係団体で持っていましたが、全国障害者スポーツ大会については、そもそもそういう場がなかったということがございます。そういった場を設けることが必要だということで、日障協のもとに、全国障害者スポーツ大会在り方委員会を設けて、そこは、スポーツ庁と日障協だけではなくて、障害種別の団体にも来てもらって、全体的に議論しています。
その中の検討項目の1つとして、精神障害者スポーツについても、全スポの中で充実させるという観点から、特にバレーはチーム種目ですので、個人種目の導入という観点から、卓球を導入できないかという議論を、今、まさにしているところでございまして、そうした議論を重ねているということを、御報告させていただきたいと思っております。
それから、フットサルの話がございましたが、フットサルに限らず、サッカー、特に精神障害者サッカーの部分については、これまで身体障害と知的障害には、パラリンピックですとか、デフリンピックですとか、スペシャルオリンピックスなどの国際大会がある中で、精神障害者の場合だけは、国際大会がないという状況がございました。
そうした中で、昨年3月、これは総合大会ではないですけれども、精神障害者のサッカーの国際大会を大阪で開こうという取組がありまして、実際は、国際大会といっても、3カ国、日本とイタリアとペルーだけでございましたが、そうした試みも生まれたところでございます。それには、スポーツ庁からも、鈴木長官がセレモニーに出席をして、いわゆる振興していこうという意気込みといいますか、そういったアシストなどもしているところでございますし、そういった精神障害者サッカーの取組は、我々も連携してやっていますので、そうした取組は、今後もしたいと思います。
サッカーにつきましては、特に日本サッカー協会が中心となって、いわゆるサッカーという競技種目を軸に、障害種を横断的に連携していこう。精神障害者サッカーもそうでございますが、そのほか、ろう、デフでございますとか、アンプティー、電動車椅子、7つに分かれていますので、いろんなものを共通してやれば、資金とか、人材の面でも、いろいろなことができるのではないかということで、今、連携してやっています。
そうした中で、去年、例えばデフのフットサルの大会に、精神障害者のサッカーのチームにも来てもらって、お互いそれなりの競技力向上でやっていますので、一緒に大会をしたり、そういった取組もしておりますので、それぞれの障害種の取組と、障害種を越えた連携、そういったものを図っていくことが必要ではないかと思っております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
次に、北岡委員、お願いします。
○北岡委員 ありがとうございます。北岡です。
私は、社会福祉法人として、13年間、博物館相当施設を美術館として運営してきた経験に基づいて、少しお話をしたいと思います。5点ございます。
1つ目の○の人材養成のところなのですが、障害のある人のニーズの中には、活動を直接支援するだけではなくて、自分たちの文化芸術活動を適切に評価したり、活動やその成果を発信する際のマネジメントなど、そういう機能を持つ人材を求めているのではないかと思っておりまして、そういう意味では、人材養成という言葉をもう少し書き足していただくことができないだろうか。これは長いかもしれませんが「活動支援評価及びマネジメントなど、障害者のニーズに応じた文化芸術活動に関する人材」という形まで書いていただくと、大変ありがたいと思います。
2つ目は、芸術作品も生み出されておりまして、その展示の推進に当たっては、作者の権利保護が大前提になるのではないかと思いますので、権利保護に関する十分な配慮についても盛り込んでいただけると、ありがたいと思います。それが2つ目です。
3つ目の○なのですけれども、障害者のニーズに応じた工夫・配慮というところなのですが、今後、改善されるようですけれども、例えば国立美術館においては、入館者数を集計するに当たり、これまでは、障害のある方の入場者数をカウントしていなかったということがありました。これは、今後、改善されるようですが、こういうことから、この工夫や配慮というところに、当事者の方や福祉関係者との十分な連携を図っていただいて、博物館とか、美術館とか、劇場で働く職員の皆さんに、障害のある人に対するサポートや理解に関する研修を実施することが必要ではないかと思っています。
また、研修の実施については、成果目標に盛り込んで推進していただければと考えます。例えば2016年8月から9月に、日本財団のパラリンピックサポートセンターのパラリンピック研究会が実施した、障がい者の舞台芸術表現・鑑賞に関する実態調査によると、2015年4月以降に、障害のある人に対するサポートや理解に関する研修を実施した劇場、文化施設は、全体の20.9%にとどまっているという結果が出ていますので、ぜひ成果目標に盛り込んでいただいて、お願いをしたいと思います。
4つ目は、発掘と発信ということなのですが、近年、日本の障害者のさまざまな芸術作品は、国内外、とりわけ海外で高い評価を受けている事例が数多く出てまいりました。
今日、お手元にお配りしております、ジャパン×ナントプロジェクトというものも、今年10月には、世界有数の文化都市として有名なフランスのナント市において、ナント市の文化施設と日本の文化庁が主催をする、国際文化交流事業が開催されることになっています。そこでは、日本の障害者の造形活動や舞台表現が大々的に紹介される予定であります。
これらに共通するのは、障害者の芸術活動のうち、質が高いと言われるものが、数多くあるということであります。こういうことから、芸術性の高い文化芸術の発掘と発信も必要なのではないかと思っていまして、これは他にも盛り込むべく施策として御検討いただければ、ありがたいと思います。
最後の5つ目ですが、政府レベルにおいては、文化庁と厚生労働省がしっかりと連携されながら、この分野に取り組んでいただいていて、本当に感謝申し上げるところなのですが、地方公共団体においても、このような連携が進むように、ぜひ働きかけが必要だと考えておりますので、このあたりもお願いしたいと思います。これが5つ目であります。
最後に1つだけ、経験からお話したいことは、特にすぐれた芸術性とか、すぐれた才能を伸ばすことについてですが、これを考えるときに、当然選ばれる作品と選ばれない作品が出てきます。障害者の福祉の現場では、障害のある人が頑張ってつくっているのだから、みんな同様に評価されるべき、そこに優劣をつけるようなことは、障害のある人を傷つけるなどと、結果の平等に価値を置きがちになります。実際、私どももこういう批判を受けてまいりました。評価される機会が平等となる支援は、必要だと考えますが、結果、選ばれる作品とそうでない作品が出てくることは、障害のある人たちを差別することとは別であるということも、私たちは認識を持っておきたいと思いまして、あえて言葉にしてお話をさせていただきました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
5つ目は、100%私も同感です。
これは文化庁から御答弁をいただければと思います。
○文化庁(木村課長) 文化庁でございます。
さまざまな御指摘ありがとうございます。
1つ目としていただきました、人材養成のニーズの中に、マネジメントができるような、発信できる人材が必要ではないかということは、御指摘のとおりでございまして、この中にも書き込ませていただいた、障害者のニーズに応じた文化芸術活動に関する人材の養成ということでございますが、こういったものも、単に芸術活動を支援、推進するということではなくて、芸術活動をサポートしていける、支援する、支援されるという関係だけではなく、作家同士あるいは人間同士の関係を構築していくという取組は、現在も、例えば東京藝術大学と福祉施設の利用者の協働で、そういった事業も進めているところでございますので、そういった取組に資する人材の養成という趣旨も、加えていってはどうかと考えたところでございます。
2点目でございます。芸術作品の権利保護に関する十分な配慮といった点でございます。こちらも御指摘のとおりでございまして、作家の方々の権利が保護されるような相談体制の充実であるとか、そういったことも重要だと考えているところでございます。
また、国立美術館の入館者について、障害者をカウントしていなかったということについて、今後の研修が重要ではないかという御指摘もいただいたところでございます。こちらにつきましても、こういった事業の実施に当たりまして、研修を進めていくということ、こちらの中では、国立文化施設の中の障害者ニーズに配慮した工夫等を提供するように努めるといった中に、そういった趣旨も入っていると考えたところでございますが、そういったことが進められるように、趣旨に関するようなことを考えていければと思ってございます。
4点目の発掘、発信の件でございます。ジャパン×ナントプロジェクトということで、質が高い芸術、我が国を代表する、すぐれたアールブリュットの芸術作品であるとか、あるいは神楽であるとか、太鼓であるとか、そういったものも、今回、ナントでこういう事業を実施していくということでございますが、発掘、発信が行われるよう、この文章の中でも、障害者の文化芸術活動に対する支援、障害者の芸術作品の展示等の推進というところに、趣旨としては書き込んでおったところでございますが、そこをより明示するということであれば、そういった表現ぶりを強調していくことは、あろうかと思ってございます。
また、文化庁と厚労省が連携して取り組んでいることにあわせまして、地方への働きかけということも、御指摘をいただいたところでございますが、現在、文化庁と厚労省が連携して、有識者による懇談会を開催して、障害者芸術文化活動の推進につきまして、議論を進めているところでございますが、そちらにも、地方公共団体の関係の方にも入っていただいているところでございますが、今後、一層、そういうネットワークといいますか、連携が進むように、我々としても努力していきたいと思っているところでございます。
ありがとうございます。以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
門川委員、お願いします。
○門川委員 門川です。
スポーツについての成果目標です。視聴覚障害者、つまり盲ろう者のことですが、盲ろう者のスポーツ人口は一体何人いるのか、何名参加しているのかということがわかるように、出していただきたいと思います。
なぜならば、盲ろうの障害がありながら、スポーツに参加している盲ろう者はいるのですが、オリンピックや国際大会の場で参加している盲ろう者が一体何名いるのかということが、わからない状況です。パラリンピックに出場したいと、常日ごろ頑張っている盲ろう者もたくさんいます。ただし、盲ろう者の場合には、サッカーや野球、バレーボール、卓球などといった、チームプレーが難しい状況にあります。マラソン、レースなどの個人競技に参加することは可能です。ですが、視覚障害者もしくは聴覚障害者の人たちと競技をしていることが多く、盲ろう者はそのような視覚障害、聴覚障害の単一障害者の中に埋もれていて、実態を把握しにくい状況にあります。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
ここからは、時間の関係で、まず各委員から意見を出していただいて、文化庁、スポーツ庁それぞれにお答えいただくという形に、切りかえさせていただきたいと思います。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 文化も、スポーツに関しても同様なのですが、病弱者とか、高齢者も含めて同じだと思うのですが、観戦する立場というのが、この中に余りない。観戦、鑑賞ということです。
特に文化芸術は、鑑賞がなかなか難しいというか、国立も含めてそうですけれども、とてもいい企画のものは、行っても、入場するまでに2時間並ばなければいけないとか、入場料が割引というのはいいのですが、並ばなければいけない。中に入ったら入ったで、ひたすら歩かなければならない。ゆっくり座る場所が途中にないなど、まだまだ改善の必要があるのではないか。国の公的なところから、そういう改善をお願いしたいということです。
スポーツについても、プロスポーツとか、現場のものを観戦したいのですけれども、さまざまな条件が難しくて、いま一つ、工夫が必要なのではないかという気がいたします。利用施設などでも、これは小さな公的なところが多いのですけれども、よく市民プールとか、そういうところでも、何か病気とか、変わった障害などを持っていると、大概プールの利用は断られてしまうこともありまして、これも長い間、改善を要求しているのですが、なかなか難しい。
いずれにしましても、参加するだけではなくて、観戦する、鑑賞するという立場、しかも、一部の病弱者ではなくて、高齢者も含めた対応をぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
辻井委員、お願いします。
○辻井委員 大きく2つあります。
成果のほうを見ていただくとあれなのですが、基本的に障害を持っている人たちが、どのぐらいスポーツや芸術に取り組めて、どのぐらいそういう場所があるのかということが、すごく大事なことであると思っています。そういう意味では、障害者の週1回以上のスポーツ実施率という、同じような形でいくならば、芸術と触れ合ってということが、障害を持った方たちがどのぐらい実際にできて、どのぐらい場所があるか。例えば字幕上映であるとか、あるいはフレンドリー上映といって、発達障害の人たちは、暗いところだと怖かったりするので、若干明るくして上映する機会が設けられたりということも出てきていますので、むしろそうした実際のものをきちっと捉えていただくことのほうが、いいと思っています。
成果で、特に芸術のほうは、こういう事業をやっていますということを挙げてきたと思うのですが、これは必要性がよくわからない形なので、成果のほうでいうと、むしろ障害のような形で、どのぐらいそれに触れているのか、あるいはそうしたことの対応がなされている施設や場所がどのぐらいあるのかという形を挙げていただいたほうが、いいのではないかと思っています。
2つ目です。先ほどインクルーシブ教育ということをずっとやったところですので、成果のところの2つ目にあるような、特別支援学校で何かをしたら、それは障害者向けというようなコンセプトは、やめていただいたほうがいいのではないかと思っています。成果としてという意味です。むしろ合理的配慮に基づいて、障害を持っている方たちが十分に芸術に対して取り組めたり、楽しめた機会がどのぐらいあるのかということが、重要なのではないかと思っておりますので、そのあたり、御検討いただければ、ありがたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 阿部です。
先ほど示していただいて、障害がある人のスポーツの実施率が明確に示されるということは、とても大事なことだと思いますし、また、若年層ということで分けて出すのも、とても大事です。
そうなりますと、先ほどの教育の振興と関係することではありますけれども、通常学校で学ぶ障害のある児童・生徒にとっての体育の授業の実態というのは、どういうことなのかということで、以前も議論があったような気がしますが、通常学校で学ぶときに、体育の授業を、私はずっと昔だから、見学ということだったかもしれません。ここで、体育の授業にしっかりと取り組むことは、スポーツへ続くことになろうかと思いますので、関連のことで、体育の授業についての実態を明確にしていただきたいと思います。
それから、成果目標の中で、障害者スポーツの指導者数の数値がありますけれども、これまでも2万2,000人の方々がいらっしゃる中で、どういう課題があったのか、検証をするべきではないかと思います。
実際に、障害者スポーツの指導員の方々にお話を伺いますと、資格は取ったけれども、関わる場がないということで、登録の継続をしない方々がいらっしゃるとお伺いしていますので、全国障害者スポーツ大会だけではなくて、ここにも、民間団体が行うスポーツなどに関する取組を支援するということで、特に企画、運営をどのように支えていくかということが、大きな広がりになると思いますので、そのことも指摘させていただきたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 最後に、三浦委員長代理、お願いします。
○三浦委員長代理 ありがとうございます。
文化芸術活動のところ、(1)の3つ目の○で、国立博物館、国立美術館等のアクセシビリティのことが書かれているのですけれども、これは国立のみならず、公立も民間も、各地域において必要ではないかと。このことはその地域住民みんなが望んでいることではないかと思います。できれば、把握すべき状況のところで、美術館や博物館のアクセシビリティは、どのレベルの現状にあるかというところを把握していただき、数値目標を立てて、もっと芸術文化に近づけるように、意図を込めて、目標値を設定していただきたいと思います。意見です。
○石川委員長 最後と言いましたが、大河内委員、どうぞ。
○大河内委員 大河内です。
スポーツ、芸術双方に共通してのことなのですけれども、障害者が地域でスポーツや芸術に親しむための施設・設備の整備の充実がうたわれていますが、同時に既存の施設とか、設備に対するアクセスのことも盛り込んでおいたほうがいいと思います。
実際問題、障害者スポーツは、非常に盛んに行われてきていますけれども、例えば一般の町中にあるスポーツジムだったり、一般の美術館とか、博物館に、障害を持った人がアクセスしにくい、拒否されることも多々散見されています。例えば美術館とか、博物館では、大きな声を出してはいけないとか、静かに鑑賞しなければいけないとか、そういう暗黙の了解のうちに、障害を持った人たちはなかなかアクセスできていませんし、ジムについては危ないということと、他のお客さんに迷惑がかかるということが、かなり大きな理由として、断られる状況が何件も報告されています。そういうところも含めて、先ほど北岡委員がおっしゃっていましたけれども、まさに既存の施設の管理者等に対する障害理解教育等の充実も、同時に図っていくべきではないかと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
他にも御意見のある委員がいらっしゃるのですけれども、先に国際協力のほうをやらせてください。もし時間が残れば、最後に御意見をいただきたいと思います。
文化庁とスポーツ庁で、今、ございました意見の中で、受けとめていただけるものについてはそのままで、ここでおっしゃっておいたほうがよいことがございましたら、述べていただくということでもよろしいでしょうか。
文化庁、いかがでしょうか。短い時間で恐縮ですが、よろしくお願いします。
○文化庁(木村課長) いろいろ御指摘ありがとうございます。
今回は、国立の文化施設も含めてでございましたが、芸術文化の鑑賞をもっとしていけるような期待、そういったことを拡大していくべきという御指摘もいただいたところでございます。
例えばでございますが、東京国立近代美術館では、閉館後の館内を貸し切って、企画展の特別鑑賞会を開催して、そこで説明も聞いていただきながら、ゆっくりと鑑賞していただくような、そういう特別鑑賞会を開催したり、あるいは国立新美術館でも、これはミュシャ展でございましたが、閉館後に学芸員の方による見どころの講演をしてもらって、ゆっくりと鑑賞の機会を設けるということ、そういう取組も進めているところでございます。
そういったことも、さらに充実をさせていきながら、国立以外の美術館、博物館、劇場といったところにつきましても、そういった取組がなされることを、我々としても進めていけるようなことを、やっていければと思っているところでございます。
以上でございます。
○石川委員長 差別解消法の指針の中で、例えば民間の美術館とか、そういったところに対してのガイドラインは出されていらっしゃらないでしょうかということと、県立の美術館等につきましては、地方公共団体も同じように合理的配慮義務を負っているので、そういった県立の美術館に関しましても、それぞれの自治体の責任において、実施していただけるものと思いますけれども、文化庁からも機会がございましたら、どういう方法が適切かわかりませんが、御尽力をいただければと思います。
スポーツ庁、お願いいたします。
○スポーツ庁(田中室長) 失礼いたします。ありがとうございました。
順不同になるかもしれませんが、障害者スポーツ指導者2万2,000人の課題につきましては、我々はアンケート等を実施しております。日体協の指導者も同じようなアンケートをしていて、なぜあなたは活動しないのかという問いに対して、日体協も、日障協の指導者も、忙しいというのが一番でした。
ただ、日体協の指導者にはなくて、日障協の指導者にある回答としては、御指摘もありましたけれども、活動する場がない、あるいは活動する仲間がいない、活動する情報がないといったことがございます。ですので、日障協の指導者は、日体協の指導者に比べますと、1桁少ないわけですが、潜在的には、活動する場所があれば、活躍できる方はもっといるのではないかと思っております。
そうした中で、活躍する場をつくっていくことが必要だと思っておりまして、特に障害者スポーツの所管が文科省に移る中で、今、学校の部活動の先生方の勤務の問題がありますので、特別支援学校のみならず、外部指導者を活用しようということをやっております。そうした中で、特別支援学校の部活動、あるいは障害のある子供たちのスポーツ活動に、やはり専門家の力も必要だろうということで、例えば昨年度からは、特別支援学校に日本障がい者スポーツ協会の指導員を派遣して、それを国費で見る。学校の先生ではなくて、専門の指導者が子供たちの指導に当たる、そういった取組もしているところでございまして、学校のみならず、活動の場を障害者スポーツ団体、あるいは学校関係者とも連携してつくっていきたいと思っております。
スポーツをする場所の問題につきましては、1つ、実態のデータといたしましては、障害者専用あるいは優先的に使える施設が、全国に114カ所というデータがございます。これは障害者の方が優先、あるいは専用で使える。先ほどインクルーシブ教育という指摘もございましたけれども、専用を全国にたくさんつくっていくということは、それはそれで必要な面もありますが、一気につくるというのは、なかなか難しい面もございます。
そうした中で、既存の場所を活用していくことも重要ではないかと思っておりまして、1つが、総合型地域スポーツクラブです。これは、toto、サッカーくじの財源をもとに、文科省で重点的に各地域にスポーツをする場としてつくりまして、今、全国の市町村の8割に、総合型地域スポーツクラブがございます。総合型地域スポーツクラブは、障害者の方専用ということではないですが、健常者の中に障害者の方も入って、障害のある方も、ない人も、地域で一緒にスポーツをやっていこう、そういったことを進めていくということで、例えばマニュアルなどをつくりまして、そういった取組をしております。
特別支援学校につきましては、障害のある子供たちだけでなくて、地域の方々、いわゆる卒業生ですとか、地域の住民についても、特別支援学校を開放して、子供たちだけではなくて、地域の障害者スポーツの拠点として、特別支援学校を活用する、そういったモデル事業も実施をしているところでございます。
通常の学校での体育の実態については、詳細に調べたものはございませんが、確かに見学が多いという話をお聞きいたします。
そうした中、今般のスポーツ基本計画の中では、特別支援学校だけではなく、全ての学校種の教員に対する障害者スポーツへの理解の促進というものも掲げております。これは例えば日本障がい者スポーツ協会の養成講習に、学校の先生方を対象にしたような講習会を設けるとか、まず学校の先生方に知ってもらうことが重要だと思いますので、そういった取組を、今後、スポーツ基本計画を踏まえて、日障協等々と連携しながら、取り組んでいきたいと考えております。
○石川委員長 申しわけございません。時間的に厳しいので、終わりにしていただけますか。
○スポーツ庁(田中室長) わかりました。
○石川委員長 申しわけないです。
それでは、時間が短くて恐縮ですが、国際協力について、内閣府と外務省から御報告をお願いいたします。
○坂本参事官 それでは、資料2-1の6ページを御覧いただきたいと思います。「11.国際協力の推進」でございます。
一番上の四角囲みでございますけれども、ポイントを申し上げますと、障害者権利委員会による審査等への誠実な対応、障害分野における国際的な取組への積極的な参加、障害者を含む社会的弱者に焦点を当てた開発協力の実施と社会的弱者の保護、能力強化を通じた我が国の人間の安全保障の実現の理念の国際社会における主流化、文化芸術活動やスポーツ分野を含めた障害者の国際交流の推進、こういったことを基本的考え方として、掲げておるわけでございます。
内閣府の説明は、以上でございますので、外務省、よろしくお願いいたします。
○外務省(総合外交政策局人権人道課:鈴木首席事務官) ありがとうございます。
外務省人権人道課の鈴木でございます。
私からは、外務省の取組ということで、国際協力の推進に関しまして、(1)(2)(4)について、御説明をさせていただきたいと思います。
基本的な考え方といたしまして、我が国は、一昨年1月に、障害者権利条約を締結いたしました。これに関しまして、外務省としても、条約の締約国として、国際社会における障害者の権利の促進に積極的に取り組んでいく考えでございます。
(1)国際社会に向けた情報発信の推進等でございますけれども、これに関しましては、先般、ニューヨークで開催されました、障害者権利条約締約国会合を含めまして、国連や国際機関、国際的な非政府機関における会合等に積極的に参加をいたしまして、我が国の取組などについて、積極的に発信をさせていただく考えでございます。
また、この点に関しまして、日本は、昨年6月に障害者権利条約に関しまして、第1回目の政府報告書を障害者権利委員会に提出させていただきました。これに関しまして、今後、同委員会による審査などが行われる予定となっておりますので、こちらにも誠実に対応させていただきたいと考えております。
なお、石川委員長からも、既に本委員会で御案内いただきましたとおり、日本の政府報告に関する委員会による審査は、数年後、本基本計画の実施期間中に行われる予定となっております。
(2)国際的枠組みとの連携の推進に関しましてでございますが、障害者施策は、国際的な協調のもとに行われることが必要でございます。先ほど申し上げました、政府報告の審査への対応はもちろんのこと、国連人権理事会や国連総会といった国連における議論を含め、障害者権利条約の締約国として、積極的に国際社会における議論に参画していきたいと考えております。
最後に、番号が飛びますけれども(4)の障害者の国際交流などの推進に関してでございますが、文化芸術活動、スポーツなどの分野における障害者の国際的な交流を支援していく考えでございます。
具体的には、スポーツ、外交推進事業を通じまして、選手や関係者の招聘を実施していきたいと考えています。
私からは以上でございます。
○石川委員長 それでは、御意見のある委員は、挙手をお願いします。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 阿部です。
先ほどもお話いただきましたけれども、障害者権利条約の政府報告は、私たちが大きくかかわったというのは、とても大事なことであったと思います。
さらにこれが政府の審査というときに、もう一つは、CSOというか、市民社会組織としても、私たち障害者団体に関わるパラレルレポートづくりなどというのも、とても大事なことでありますので、(2)の最初のところの主語は誰なのか、これは政府だけではなくて、障害がある団体も含めてということですね。
そういうことと、先ほどサーストン氏のお話にもありましたけれども、NGO団体などが(4)のところに関わることの意味が大きいわけであり、その場に活動する場、または財源の提供も含めて行われることが、市民社会組織と政府のある意味での連携のもとに、よりよい障害者福祉施策への展開に続くと思いますので、そのこともしっかり読み取れるようにしていただきたいと思いました。
今回の基本計画の策定のときに、SDGs、持続可能な開発目標という文言もあったのだけれども、この中に具体的に出ていないのは、既に基本的な考え方にあるという認識なのか、でも、前のMDGsは、開発途上国を対象としたのに対して、SDGsは、全ての国の中で、障害がある人だけではなくて、多くのそれぞれの国民を対象とした中での障害と考えるときに、大事なことであるので、SDGsについても、盛り込む可能性についても、検討していただきたいと思いました。
もう一つなのですけれども、そうすると、11の国際協力の推進とありますが、もちろん国際協力についても書いてありますけれども、それを越えた大きな国際間の連携ということの位置づけもあると思いまして、項目の名称についても、検討が必要なのかと、今、説明の広さから考えたところです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
戻らせていただいて、3のODA関係の説明もしていただく準備があるということですので、担当課よりお願いいたします。
○外務省(国際協力局地球規模課題総括課:岡垣上席専門官) 外務省国際協力局でございます。
私から、(2)の2つ目の○、(3)(4)について、御説明申し上げます。
まず(2)の2つ目の○でございますけれども、アジア太平洋地域では、ESCAP事務局及びESCAPの加盟国とともに、2013年から2022年までのアジア太平洋障害者の十年とその行動計画のインチョン戦略の実施について、取り組んでいるところであります。
我が国は、今後もESCAPへの拠出を通じた域内各国における障害分野の国際協力に、積極的に取り組んでいくということを記載しております。
(3)政府開発援助を通じた国際協力の推進等についてでございます。1つ目の○でございますが、我が国は、開発協力大綱に基づく開発協力を推進しているところであります。対象国の実情やニーズを十分に踏まえて、日本が蓄積してきた技術、経験をODAなどを通じて、開発途上国の障害者政策に役立てていくことが重要だということを記載しております。
2つ目の○でございますが、我が国は、開発途上国において、障害分野の活動に携わる組織・人材の能力向上を図るため、JICAを通じて、研修医の受け入れや専門家の派遣等の協力を実施しております。また、草の根・人間の安全保障無償資金協力等を通じて、現地のNGO等に対する支援を行っております。引き続き、この分野で協力を行ってまいるということを記載しております。
3番目の○でございますが、政策や計画の策定過程においては、障害者のニーズを最も理解している障害者自身が、意思決定や実施に関わることが重要でございます。開発協力大綱におきましても、障害者を含む社会的弱者への配慮から、あらゆる場面における多様な関係者の参画に努めるとしておりまして、この方針のもとで、障害者が中心になって、さまざまな意思決定や事業の実施を担う取組を推進しているところであります。
最後に(4)でございます。
1つ目の○でございますが、途上国における障害者関連事業に携わる我が国のNGOや、大学等を初めとする市民団体の発意による事業の実施及びNGOと連携して、事業を実施してまいります。
資料2-2の目標値でございますが、5ページでございます。
把握すべき状況としまして、国際協力の担い手の育成状況、活動状況、技術協力の実施状況、国際交流等を担う民間団体等への支援の状況でございます。
目標値としましては、現状値と同水準を目指していく、これはODAの伸びがなかなかない中で、必ずしも十分とは言えないかもしれませんが、目標値としまして、同水準を目指していくということでございます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
これまでの報告全体を通しまして、改めてさらに御意見を若干名、どうぞ。
佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
2点あります。
6ページの一番下のところの2行なのですけれども「障害者の参画を得るように努める」と書かれておりますが、これをより積極的に推進していただきたいと思います。障害当事者、もしくは障害者団体による途上国の支援というのは、非常にその国の障害者をエンパワーメントして、効果を上げています。日本で研修した障害者の人が、自分の国に戻って、活動を始めて、例えばコスタリカは、JICAの支援でやっていましたけれども、法律をつくるというところまで成果を上げたりしているわけです。この分野は、日本が世界に貢献できるところだと思いますので、ぜひ障害者団体、障害者当事者の参画をより推進していただきたい。
2つ目は、数値目標なのですけれども、見ていると、JICAが中心になってきているのですが、民間の障害者団体が支援しているところもかなり成果を上げていますので、そこをもう少し多くしていただきたい。特に数値目標が現状7で、目標値も7ということですので、これをもっと引き上げていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
最後に北岡委員、お願いします。
○北岡委員 ありがとうございます。
7ページ目の(4)の○の2つ目なのですが、文化芸術やスポーツ等の分野も含め、障害者の国際交流を支援するということについて、後段に「スポーツ外交推進の観点から」と追加事項が書き足されていますので、文化芸術に関しても、例えば「広報文化外交の観点から」などを、具体的にこちらも明記していただければと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
国際協力に限らない、一般的な全体に関しての成果目標についての意見を2点、述べさせていただきます。
1点目は、既に述べたことの繰り返しですが、高い目標を設定して、100%実現できないという場合と、低い目標を設定して、100%実現できた場合、どちらを評価できるかというと、前者であろうと思いますので、その点も踏まえて、御再考いただくことが可能であれば、お願いしたいと思います。
もう一点は、数値目標というのは、数値化可能ないわば成果目標にすぎないので、政策全体から見ると、その成果をある意味では、縮小版といいますか、成果全体を表現するに足るような数値目標は、なかなかできないということもあって、何かしら質的な視点を成果目標として入れることができないものかという点について、内閣府の坂本参事官、もしお考えがあれば、今でなくてもいいのですけれども、コメントをいただければと思います。
○坂本参事官 おっしゃったように、全部数字に出せるかというと、なかなか難しいものもあるかもしれません。ただ、定量的ではないのだけれども、定性的にしろ、何らかのフォローが必要ではないかというそういう項目はあるのかもしれませんので、例えば表を御覧いただいているわけですけれども、下のところに、こういうことを把握すべきではないか的な、把握することが望ましい事項だかわかりませんけれども、そういうものを列挙するとか、例えばですが、やり方はいろいろあると思うのですが、何らかそういうことで、そこで把握することの必要性を、きちんと明示されているような形をとることを工夫できないかとか、そのあたり、どういうやり方がいいのかというのは、今、この場では難しいのですけれども、そういったうまい知恵があれば、お寄せいただきたいと思いますが、こちらとしても、考えてみたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。難しい注文だと思いますが、よろしくお願いします。
以上、時間がなくて、言いたいことがあったのに、言えなかったという思いの残る委員もいらっしゃると思いますので、御意見をメール等でお寄せいただければ、ありがたいと思います。
今日、取り扱いました分野の所管をされている各省におかれましては、今日の当委員会での意見も御考慮くださって、基本計画の各論のそれぞれの分野について、さらなる調整、改善の可能性について、御検討いただきたいと思います。
今日の議論は、ここまでとさせていただきます。
最後に、事務局から、次回の日程等について、連絡をお願いします。
○坂本参事官 事務局でございます。
長時間ありがとうございました。長いようで短いという感じもあったかもしれませんが、これからも4時間というのが続いていきますので、委員の皆様には、御負担をおかけすることになりますけれども、よろしくお願いいたします。
次回の政策委員会でございますが、7月21日金曜日の13時から17時まで、この場での開催を予定しております。本日に引き続きまして、4次計画について、御審議をいただくということでございます。
次回は、分野としては、「安全・安心な生活環境の整備」、「情報アクセシビリティの向上及び意思疎通の支援の充実、「防災・防犯等の推進」、この3分野を予定いたしております。
次々回以降の日程でございますけれども、委員の先生方の御都合、ジュネーブにおける障害者権利委員会の日程、こういったものを踏まえまして、8月7日月曜日の13時から17時まで、9月25日月曜日の13時から17時まで、それぞれこの場所で開催することを予定いたしております。詳細につきましては、確定次第、改めて御案内いたします。
以上です。
○石川委員長 以上をもちまして、第35回の「障害者政策委員会」を終了いたします。