障害者政策委員会(第37回)議事録

平成29年8月7日(月)
13:00~17:00
中央合同庁舎8号館 1階 講堂

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、これより、第37回の「障害者政策委員会」を開会いたします。
 委員各位におかれましては、御多用のところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の会議は、17時までを予定しております。
 なお、委員会の冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入り、撮影が行われますことを御了承いただきたいと思います。
 冒頭、委員会の開催に当たりまして、松山政司内閣府特命担当大臣より御挨拶をいただきます。大臣、よろしくお願いいたします。

○松山大臣 このたび、障害者施策を担当する内閣府特命担当大臣を拝命いたしました松山政司でございます。
 委員の皆様におかれましては、大変御多用なところに御出席をいただいておりますこと、心から感謝を申し上げます。
 政府におきましては、平成25年に策定いたしました第3次障害者基本計画に基づきまして、福祉や医療、教育、雇用を初めとして、多岐にわたる分野で障害者施策を総合的・計画的に推進してきました。また、不当な差別的取扱いの禁止、合理的配慮を眼目とする障害者差別解消法を昨年4月から施行するなど、障害者に関する法的な枠組みを整備してまいりました。
 我が国の障害者施策の柱とも言えるこうした取組につきまして、常にこの障害者政策委員会で真摯に御審議をいただいてきたところでございまして、この場を借りて、改めて御礼を申し上げる次第でございます。
 本日は、来年度から始まる第4次障害者基本計画の策定に向けまして、雇用、就業や差別の解消など、この施策分野について御議論をいただくことになります。
 第4次障害者基本計画の計画期間には、2020年の東京パラリンピック、障害者権利条約により設置された国連での障害者権利委員会による初めての審査など、我が国にとりましては大変重要な日程が控えているところでございます。
 委員方におかれましては、こうした点も視野に入れながら、我が国の障害者施策の青写真を描くという大変重要な任務に取り組んでいただくこととなります。障害者施策のさらなる推進、充実を図ることができるように、皆様の貴重な御知見・御経験による忌憚のない御議論をいただければと思っておるところでございます。
 どうぞ今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げまして、御挨拶にかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○石川委員長 大臣、御挨拶ありがとうございました。
 なお、松山大臣は公務のため、ここで退席されます。
 (松山大臣退席)

○石川委員長 次に、事務局より委員の出欠状況について報告をお願いいたします。

○寺本参事官 それでは、本日でございますが、門川委員、高橋委員、辻委員、野澤委員が所用により欠席との連絡を受けております。
 また、平川淳一委員、辻井委員が遅れて到着されるとの連絡を受けております。

○石川委員長 それでは、本日の議事に入ります。
 最初に、当委員会におきます発言ルールの確認です。
 発言を委員長が求めます。発言を希望される方は、挙手をお願いいたします。指名を受けて発言をお願いいたします。できれば最初に結論を述べていただき、その後、その理由または説明をしていただくのがわかりやすいかと思います。
 また、御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、わかりやすくゆっくり御発言ください。できるだけマイクに近づいて御発言ください。発言後はマイクのスイッチを切ってください。
 それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○寺本参事官 本日も前回までに引き続きまして、「障害者基本計画(第4次)案」の各論について御審議をいただきます。
 最初に、「雇用・就業、経済的自立の支援」「差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止」、最後に「行政等における配慮の充実」、以上の3つの分野について、それぞれ御審議をいただきたいと考えております。
 関係資料として、資料1-1、1-2、2-1、2-2の4種類を御用意いたしてございます。
 途中、各テーマの間に計2回、それぞれ15分程度の休憩時間を設けます。また、委員の皆様には、関係法令等をまとめたファイルを机上に用意しております。
 なお、これ以降の写真撮影は、恐縮ですが、御遠慮いただきますようお願いをいたします。報道関係のカメラの皆様方につきましても、こちらで御退出をお願い申し上げます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 ただいま事務局から御説明いただきましたように、本日は3つの各論、テーマにつきまして、途中で休憩を入れながら審議をしてまいります。
 まずは、「雇用・就業、経済的自立の支援」について審議を行います。
 まず、事務局と厚生労働省からそれぞれ御説明をいただきます。事務局から説明をお願いいたします。

○寺本参事官 それでは、資料1-1「障害者基本計画(第4次)本文案」の「8.雇用・就業、経済的自立の支援」の「基本的考え方」のところでございます。
 これまでと同様に、冒頭にこのような形で、事務局から各施策の基本的考え方を御説明し、その後、関係省庁から主な施策や成果目標について御説明をいただくこととしたいと考えております。
 まず、基本的考え方のところですが、障害者が地域で質の高い自立した生活を営むためには就労が重要である。働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮できるよう、一般就労を希望する方への多様な就業の機会の確保、一般就労が困難な方には、福祉的就労の底上げによる工賃の水準向上、また、雇用・就業の促進施策との適切な組み合わせのもと、障害者の経済的自立を支援するなどを基本的な考え方としております。
 基本的考え方は、以上でございます。
 引き続きまして、厚生労働省より、主な施策、成果目標等について御説明をお願いいたします。

○厚生労働省(職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課:高沢課長補佐) 厚生労働省障害者雇用対策課でございます。本日はよろしくお願いします。
 時間を10分いただいておりますので、前半、私から御説明をした上で、後半、障害保健福祉部からも説明したいと思います。
 今、内閣府から御説明のあった「基本的考え方」の下の「(1)総合的な就労支援」以降でございますが、まず、全般として、障害者雇用を取り巻く環境としましては、近年、雇用者数は大幅に増加している状況ではありますけれども、まだまだ依然として、精神障害の方を初めとして、なかなか定着に結びつかないという問題ですとか、その他の方に関しても、なかなか希望の働き方に結びつかないという状況もございますので、引き続きこれまでの支援をこれまでどおり、あるいはこれまで以上にしっかりと支援を続けていきたいと思ってございます。
 また、今年の5月には、障害者雇用率について労働政策審議会で御議論いただきまして、来年の春から2.2%、また、3年を経過する日より前ということで、平成33年4月までに2.3%に引き上げられることとなりました。そうした状況でもございますので、雇用率の引上げとあわせまして、精神障害の方を初めとして、障害者の方の雇用の安定をしっかりと図っていきたいと思ってございます。
 具体の中身について御説明いたしますが、総合的な就労支援ということで、1ページ目に幾つか○が掲げてございます。時間もございませんので一つ一つは御説明いたしませんが、考え方としましては、これまでどおり、福祉あるいは教育、医療といったところと、しっかりとハローワークでありますとか、地域の障害者職業センターあるいは障害者就業・生活支援センター等々が連携しまして、御本人の希望であるとか能力あるいは特性に応じた仕事にしっかりとつけるような支援をしていきたいと思ってございます。
 また、基本的考え方にもありますように、一般就労を希望される方には、できる限り機会を確保すると同時に、一般就労が困難な方に対しても、福祉的な就労の底上げによって、それぞれの方が希望されるような働き方を実現していきたいということであります。
 また、1ページ目の下のほうでありますが、地域障害者職業センターでありますとか、一番下の障害者就業・生活支援センターにつきましても、近年、機能の充実を図っているところでございます。
 地域障害者職業センターにおきましては、これ自体は、以前より機能としては設けられているところでございますが、近年はより支援の困難な、あるいは精神障害や発達障害の方、高次脳機能障害の方などに対する支援を深めているところでございまして、そうした支援のノウハウみたいなものも、地域の就労支援機関にしっかりと移行していきます。
 また、一番下の障害者就業・生活支援センターにつきましても、近年、各都道府県で設置箇所の拡充を進めてきているところでございまして、今後ともしっかりと定着支援の機能を充実させると同時に、ハローワークあるいは地域の就労支援機関との連携も進めてまいりたいと思ってございます。
 また、2ページでございますが、一番上のところで、障害者職業能力開発校における支援というものが書かれてございますが、まさに一般の公共職業能力開発施設も含めまして、様々な障害特性に応じた支援をしっかりと充実していきたいと思ってございます。
 また、「(3)障害者雇用の促進」というところでございますが、ここの1つ目にも書かれておりますとおり、平成25年の障害者雇用促進法の改正によりまして、来年の春から精神障害の方の雇用が義務化されるという状況でもございますので、そうした方の支援を含めて、しっかりと支援を進めていきたいと思ってございます。
 そうした関係で、(3)の2つ目の○でございますが、「障害者雇用ゼロ企業をはじめ」ということで今回入れさせていただきましたが、これからはまさに障害者の方を全く雇ったことがないという企業も含めて、日本全体で障害者雇用というものをある種当たり前といいますか、一緒に働くのが当然であるという環境をしっかりとつくっていきたいと思ってございます。
 現状を申し上げますと、法定雇用率の達成企業がまだ全体の半分程度、また、障害者を雇ったことのない会社が全体の3割近くに上ってございますので、そうした残りの3割の会社に、まずはお一人雇う、あるいは一緒に働く環境をどうつくっていくかというところを、しっかりとハローワークがチーム支援の体制をつくりまして、地域の就労支援機関とも手を結びながら、しっかり進めていきたいと思ってございます。
 駆け足で申しわけありませんが、3ページを御覧いただければと思います。「(4)障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保」というところであります。
 こちらの1つ目に書かれておりますように、精神、発達障害の方々それぞれの特性に応じた支援を図るということでございますが、2つ目の新たな取組としまして、今年度より精神・発達障害者しごとサポーターの養成というものを始めてございます。
 これまでは地域の障害者職業センターですとか、障害者就業・生活支援センターを初めとしまして、様々な就労環境を整備してきたわけですが、どちらかといいますと、働く上での上司と部下あるいは指示をする人とされる人というような形で、障害のある方と直接仕事上のラインに入っている方が中心となって、どういう環境をつくっていくかというところを念頭に置いてきたわけであります。
 今後ますます障害のある方が一緒に働くという環境が、ある種当たり前であるということをつくっていくことを前提に置きますと、いわゆるライン上の関係だけでなくて、一緒に働いている同僚、さらにその周辺にいる同じ部署の人というのを含めて、精神・発達障害を初めとして、様々な障害の人がどういう特性があるのか、あるいはどういう特性に配慮をすれば、その方たちが能力を十分に発揮できる環境をつくっていけるのかということを社会全体で認識をしまして、一緒に活躍する社会をつくっていくというところを目指しまして、今年度より精神・発達障害者しごとサポーターというものの養成をしていきたいと思ってございます。
 今後ますますこうした方々の支援でありますとか、その下のテレワークの推進というものも含めまして、いわゆる多様な働き方であるとか、多様な障害特性といったものに目配せをしながら、一人一人が能力、希望に応じて活躍できる社会をつくっていきたいと思ってございます。
 障害者雇用対策課からは以上でございます。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課:内山課長) 引き続き、障害保健福祉部でございます。
 いわゆる福祉的就労と言われるもの、このページでいきますと、3ページの(4)の3つ目の○以降ということになりますが、簡単に御説明をさせていただきます。
 就労関係では、現在、障害者総合支援法に3つのサービスが位置づけられてございます。就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型ということで位置づけられてございます。
 この中では、一般就労が可能な方は一般就労を支援していくということでもございますし、それぞれ就労継続A、就労継続Bなどでは、それぞれの障害者の方の特性に合わせた生産活動、就労ができるように支援をしていくということかと思ってございます。
 また、昨年、障害者総合支援法ができましてから3年後見直しということで法改正が行われまして、その中では、就労定着支援といった新しいサービスが法律に位置づけられて、平成30年4月から施行されることになってございます。これは、就労移行支援等を利用して一般就労された方に対しまして、一般就労の職場での就労定着支援を図っていくものでございます。
 また、今、申し上げた障害者総合支援法に基づきます就労移行支援、就労継続支援などにつきましては、障害福祉サービス等報酬というものが事業所に支払われて、この費用が賄われているわけですけれども、この障害福祉サービス等報酬につきましては、おおむね3年に一回改定をしていまして、平成30年4月の改定に向けまして、今、厚生労働省内で検討チームといったものを置かせていただいて、その検討を図っているところでございます。
 この中で、6月、7月には、障害者関係団体の皆様47団体から御意見等を伺ったところでございます。
 そうした中で、今回の計画でございますけれども、(4)の3つ目の○でございますが、今後、ICTを活用したテレワークの推進なども図っていき、在宅でも就労ができるようにということで進めていきたいと思ってございます。
 次の○ですけれども、障害者優先調達推進法に基づきまして、この優先調達、優先購入を推進していくということで、各省庁、自治体等でもそれぞれ取り組んでいただいてございますけれども、昨年より厚生労働省では、各自治体の推進法に基づきます計画の策定具合などを公表いたしまして、その推進をさらに図っていきたいと考えてございます。
 次の○ですけれども、いわゆる農福連携ということで、農業分野ではなかなか農業の後継者がいらっしゃらないということと、私どもの障害者の就労の場面では、より高い工賃を目指すということで、その両方が相まって、農福連携というものを農林水産省とともに進めてございます。
 昨年度より予算事業なども展開してございますけれども、よりこの取組を進めていきたいと思ってございます。
 (5)のところですけれども、福祉的就労、就労継続B型などにおけます経営力強化に向けた支援、あるいは共同受注窓口をそれぞれの県などで設けていただいていますけれども、その推進、そうした取組などをさらに進めていきたいと考えてございます。
 繰り返しになりますけれども、総合支援法に基づく就労サービスが幾つかございますが、こうしたものをより活用していただきながら、障害者それぞれの方の特性に合った就労、生産活動、そうしたものにつなげていければと考えてございます。
 簡単ですが、以上で説明を終わらせていただきます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、これから60分ほどの時間をとってありますので、委員より御意見・御質問等をいただきたいと思います。
 それでは、御発言を希望される委員は挙手をお願いいたします。
 それでは、竹下委員、いかがでしょう。

○竹下委員 ありがとうございます。竹下です。
 2点に絞って発言させていただきます。
 1点は、自営業者に対する支援をもっと具体化すべきではないかということに尽きるのですけれども、場所としましては、(2)-1と(4)-3になるかと思うのですけれども、多様な就労によって経済的自立を図ることが極めて重要だという指摘があることに、私はもう少し中身のある記載が欲しいと思うわけであります。
 すなわち、多様な就労の中で、障害者は通勤が困難であったり、職種によって自営業を選ぶ方が非常に多いと認識しています。私が具体的に知っているのは、視覚障害と肢体障害者の方なのですけれども、そういう方に対する支援というのは基本的にありません。今日、この分野で行政から報告があるのは、まさに障害者雇用対策課でした。これは、自営業者の支援はあり得ないわけです。
 そうすると、この分野において自営業ということをこの2つの箇所で指摘してもらっているけれども、その具体的な支援策を検討するのは官庁としてどこになるのかということの記載がないわけです。
 例えば視覚障害者の場合で言いますと、雇用されている場合には、職場介助者の支援が雇用納付金制度によって実施されている。これによって障害者の一般就労者は大きく前進したと認識しています。ところが、自営業者、針灸マッサージとか、あるいは肢体障害者で何らかの自営業をやっている方、特に京都の繊維の方を知っているわけですけれども、繊維関係の方、そういう方についてのそうした支援は、どこからも受けられないという現実がある。持ち込んでも、それはうちの所管ではないという形でけられるわけです。
 したがって、この部分については、どういう組立てで、どの官庁が支援策を検討するのかを明確にすべきだろうと思っています。これが1点目。
 もう1点は、公的機関ないしは公務員に対する支援の部分であります。資料1-2の2ページのところに、目標値として、「把握すべき状況」の中で、「公的機関における障害者雇用の状況」とあります。ここで記載されているのは、単刀直入に言えば法定雇用率の問題です。非常に厳しい言い方をすれば、こんなところに平成34年として目標値を設定することに問題があると私は思います。
 なぜならば、先ほど報告があったように、まさに障害者雇用促進法によって法定雇用率が定められているにも関わらず、それを目標達成するのはごく当たり前のことであって、それをなくして民間に、障害者雇用だ、ゼロの企業をなくす云々というのはおかしいわけですよ。少なくとも公的機関において法定雇用率を達成することが大前提、絶対条件として民間にその努力を促すということでなければ意味がない。社会的に成り立たないと思う。
 さらに言えば、ここで大事なのは、そうした当たり前のことを指標として掲げているだけで、ここでも現実には障害者の公務員の方に対する支援がないのです。すなわち、例えば雇用納付金制度は民間事業者に対する支援策の実施にすぎませんので、公務員には適用がありません。
 したがって、ここでもまた視覚障害者で言うならば、地方公務員の適用の関係で言うならば、職場介助者の援助が得られない。そのために、視覚障害公務員が十分な能力を発揮できないということが大きく問題になっていると認識しています。この部分についての何らかの施策ないしは目標も明確にすべきだろうと思っています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 既に多くの委員から挙手をいただいていまして、全部一気通貫に意見を出していただいてからというのもそれはそれで副作用もあるかなということで、途中で1回切ります。
 今、竹下委員が、一般就労及び自営業者の就労に関わる御意見でしたので、比較的それと近い、特に障害者雇用対策課に対する質問と申し上げてもいいのですけれども、問いをお持ちの方は。
 では、まず安藤委員、お願いします。

○安藤委員 全国脊髄損傷者連合会の安藤です。よろしくお願いします。
 資料1-1の2ページの「(3)障害者雇用の促進」のところなのですが、「特例子会社制度を活用し」云々とあって、「引き続き、重度障害者の雇用の拡大を図る」という文章があるのですが、それに加えて、やはり重度障害者についてもう少し書いていただきたいなと思って、例えば「日常生活全般において介助を必要とする重度障害者に関しては、職場介助者が常時必要であることを踏まえて柔軟な制度運用を図る」のような旨を盛り込んでいただきたいと思っています。
 ただ、通勤中や職場介助の介助については、平成24年9月8日の障害者政策委員会差別禁止部会による「障害を理由とする差別の禁止に関する法制等」についての差別禁止部会の意見の中で、通勤時の移動支援や職場内での身体介助が事業主のなすべき合理的配慮である中、行政による副次サービスであるのかについては、障害のある労働者にとっては働く上で不可欠な支援であることから、政府において引き続き検討することが求められるとされています。
 このため、制度改革の方向性としては、例えば私のような全身性重度障害者であれば、重度訪問介護といった障害福祉サービスを通じた職場介助の提供も考えられるのではないかと思っています。
 あとは、職場介助者の制度の柔軟な運用も含めて、もう少しこういった旨を盛り込んでいただければと思っています。よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、石野委員、お願いします。

○石野委員 石野です。
 就労に関わることで2つあります。
 1つ目は、重度障害者介助に対して助成制度というものがあり、皆さんは活用されていると思いますが、重度障害者の場合はさておき、軽度の障害者に対しての助成をやっていないところが幾つかあると聞いています。
 例えば重度障害者の場合は、手話通訳派遣はできます。対象者は、手帳を持っている人、1級、2級、3級の範囲です。しかし、例えば要約筆記の要求があった場合、4級、5級の軽い障害者は対象から外す例があると聞いています。それでは助成制度の平等性がないということになりますので、平等にするべきだと私は思っております。
 2つ目に、2ページ目の下のほうですが、最後のところから2つ目の○の一般企業の就労に関してのところで、各地域においては知的障害者等を非常勤職員として雇用するという文言があります。初めから非常勤と決めつけるのは抵抗があります。一般企業につなぐという考え方はわかりますが、必ずしも非常勤ということでなく、例えば期間限定の正職員採用というところもあります。実際そういうところも含めるべきだと思っています。
 2点です。以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 4点あります。
 1つ目は、障害者募集採用要件等の検証と除去を課題とすることが必要だと思います。障害者対象の職員募集で活字印刷物、口頭面接に対応できる者、自力通勤、自力勤務等を受験要件としている地方公共団体がいまだに多いと聞いております。このような実態がどうなっているかという調査が必要です。さらに、明らかとなった現状への対応については、対策を検討することが必要。それをぜひ計画に明記していただきたいと思います。
 2点目は、継続雇用の実態把握です。現在の雇用促進については、雇用の場合は数字が公表されていますが、就労の継続状況については把握されていません。ぜひこれも明記していただきたいと思います。
 3点目は、特例子会社の待遇の際の現状把握です。権利条約の趣旨から言いますと、障害の有無によって働く場を分けることには、私は疑問を抱いているのですけれども、障害者雇用の促進と継続雇用の確保の視点からは有意義だとする指摘もあります。他の者との平等を基礎とする視点から、少なくとも同一企業、グループ内においては、特例子会社と親会社との給与や待遇等の差異に関する現状把握が必要だと思います。
 最後は、職場や仕事内容の満足度を計ることができるような統計データがとれないかということです。障害者雇用はどんどん伸びておりまして、それは非常に喜ばしいことだと思っています。これからは、質の向上を図っていくために、職場や仕事内容の満足度を計る統計データが必要ではないかと考えます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 以上の御指摘や御質問に加えまして、今回の基本計画では複合的困難に焦点を当てる、また、実態把握にとって必要なデータの整備についても取り組んでいくとする方向で、今、原案の策定を行っております。
 雇用におきましても、特に障害のある女性と男性との間でどのような格差の実態があるのかについての把握ができるようなデータ整備も必要かと思います。
 この点も含めまして、以上の指摘や質問に対しまして、所管課から御回答をいただきたいと思います。

○厚生労働省(高沢課長補佐) それでは、厚生労働省の障害者雇用対策課からお答えいたします。
 まず、竹下委員から御指摘がありました公的機関についてですけれども、公的機関が障害者雇用率を達成すべきというのは当然であるというのは、我々も全くそのように考えてございますが、一方で、公的機関については民間よりもプラス0.3%ということで設定していることもありますし、来年から引き上げられるということもありますので、そこはしっかりと対応を求めていきたいと思いますが、一方で、プラス0.3%であるということも含めて、ぜひ御理解いただければと思ってございます。
 また、自営業者につきましては、障害者雇用に関して雇用の付近での対応がどうかというのはありますけれども、適宜、関係部局とも相談しながら進めていきたいと思ってございます。
 また、安藤委員から御指定いただいたことにつきましても、今後しっかりと勉強をしていきたいと思ってございます。
 石野委員から御指摘いただいたことにつきましても、限られた財源であるということなどもございますが、今後しっかりと勉強して、どういう対応があり得るのかをしっかり考えていきたいと思ってございます。
 また、一般企業においてということでおっしゃっている部分は、各府省において知的障害者等を非常勤職員として雇用しというのは、非常勤職員が前提ということではなくて、恐らくチャレンジ雇用とは何かというのを修飾語として書いているだけでございますので、必ずしも絶対ということではなくて、チャレンジ雇用というのが非常勤雇用であるということの御説明なのかなと思います。
 最後、佐藤委員から御質問いただいた件ですが、御指摘いただいた点について、データの件につきましても、我々のほうで行っております5年に一度の雇用実態調査等がございますので、そういったものも含めて対応できるのかどうかを含めて、しっかり勉強していきたいと思ってございます。
 一方で、データ収集につきましては、国民負担・事業主負担という観点も含めて、項目については絞るようにという指示も政府部内で出ておりますので、そういったことも踏まえた対応をとりたいと考えてございます。  以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 確認ですけれども、竹下委員からの質問にありました自営業者の支援の所管、これはどちらになりますでしょうか。

○厚生労働省(高沢課長補佐) 一般に自営業は、経済産業省が所管ということになると思いますけれども、障害者の方の自営業ということで絞りますと、どこかというのは、現状では必ずしも明らかでないと思っております。

○石川委員長 だから、政策の一つの空白地帯かと思いますので、ぜひとも御検討いただきたいと思います。
 それから、佐藤委員からありました第1点目、職員募集における、実質的には障害特性に注目した採用試験からの排除に当たるかと思うのですが、これは速やかに改めていただく必要があり、その点についての周知徹底、所管はどこになりますか。

○厚生労働省(高沢課長補佐) 総務省ではないかと。

○石川委員長 総務省になりますか。これについては、総務省で、ぜひ御対応いただきたいと思います。
 私も1点意見を述べさせていただいた件なのですが、性別による格差についての実態把握は障害者雇用対策課でやっていただけそうでしょうか。

○厚生労働省(高沢課長補佐) 来年度行います雇用実態調査がございますので、そういった中で対応が可能かということも含めて、しっかり勉強をしていきたいと思ってございます。

○石川委員長 よろしくお願いいたします。
 それでは、御指摘いただきました委員の皆さん、よろしいでしょうか。何か追加して御意見・御質問等はございますか。
 では、石野委員、お願いします。

○石野委員 雇用制度について、財源の関係で「勉強させていただきます」と回答がありました。障害者雇用対策課に対してろうあ連盟は、もう10年も前から同じ内容の要望を出していますが、なかなか進展が見られません。今年の7月にも同じ内容の要望を出しましたが、「勉強します」という回答だけで、なぜそうなっているのかという姿勢が見えないのですね。助成金制度は障害の重度軽度に関係なく、当然に皆さんにあるべきだと考えておりますので、よろしくお願いします。

○石川委員長 石野委員、ありがとうございました。
 この点につきましても、引き続き前向きな御検討をいただきたく思います。
 それでは、他の委員からは、恐らく福祉的就労移行等について御質問があるのかと思いますので、最初に阿部委員、お願いします。

○阿部委員 阿部です。
 先ほどの続きといいますか、30年度に障害者雇用実態調査が行われるときですけれども、女性の方々の現状を把握するとともに、地域の状況の把握というのも大事なことだと思います。これまでの障害者雇用実態調査におきましては、票数が少ないなどにより、地域について言及する十分な票数がないということもお聞きしたことがありますけれども、今は地域の課題といいますか、雇用についても地域の課題があると思いますので、それも十分答えが出るような30年度の障害者雇用実態調査をしていただきたいと思います。
 それから、前回平成25年のときには合理的配慮ということで、障害がある人の働きやすい環境をつくるような趣旨の文章があったような気がするのですけれども、今回はここに出てこないように思いました。それは思い違いかどうかわかりません。
 次に説明いただくのだと思いますけれども、差別解消のところで5ページの一番下のところには、この説明はまだなのですけれども、基本計画における合理的配慮などについては、例えば行政サービスの分野とか教育分野ということは言及してありますけれども、雇用分野について言及がないように思います。私は障害者雇用において、合理的配慮はしっかり取り組んでいるのだと思うのに、その文言がわかりづらくなっているような気がしますので、その辺のところを確認したいと思います。
 もう一点は、2ページの「(2)経済的自立の支援」の一番上の○なのですけれども、これはとても大事なことで、この一番下から2行目、本当は全部読みたいのですけれども時間の都合で部分的に読みます。「障害者の実態把握に係る調査を引き続き実施していく中で、所得補償の把握についてはその改善を検討する」、ここのところは平成25年度と同じ文章なので、平成25年度から実態把握に関する調査を引き続いて行ってきて、今、改善のところで見えてきたことがあるのであればお答えいただきたいと思います。同じ文章をこのまま出すということは、まだ改善が見られないということなのか。そのことも含めてお答えいただきたいと思います。  以上、3点について確認いたしました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、飯塚委員、お願いします。

○飯塚委員 飯塚です。
 2点お願いいたします。
 最初に3ページの4の1つ目、2つ目の○について、障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保ということで、今回、精神障害者、発達障害者の特性に応じた支援のあり方をかなりたくさん挙げていただいて、精神に関わる者としては本当によかったと思っております。しかし、ここでしごとサポーターの養成講座ということで、これが具体的にどのようなものかがまだはっきりしないのですが、事業主に対する障害への理解というのは少しずつ進んでいるようですが、現場に配置されて、そこで一緒に働く同僚からのちょっとしたことにつまずいて、精神障害者が就労を継続できないということが多くあると聞いておりますので、そのあたりをしっかり理解した方たちに囲まれて、就労が続くことを期待しております。
 それから、短期間労働ということですが、少しずつ職場になれるという意味でも、20時間という枠に捉われない短期間雇用ということも検討していただけたらと思っております。
 2ページの「(2)経済的自立の支援」というところの1つ目の○なのですが、そこで「雇用・就業(自営業を含む。)の促進に関する施策との適切な組み合わせの下、年金や諸手当を支給するとともに、各種の税制上の優遇措置を運用し、経済的自立を支援する」とうたわれておりますが、私の周りで、4、5万のアルバイトができたからといって年金が切られて、親のもとに戻り、父親との関係が悪化して再入院をした事例とか、かなり元気にピアサポーターとして全国を駆け回っておりました方が年金を切られて、フルタイムで働かなければいけないという状況に追い込まれた結果、自殺未遂をしまして、両足切断で身体の1級障害者になってしまったという方もいらっしゃいます。
 ですから、それぞれの生活実態をしっかり把握した上で、もっと踏み込んだ所得補償制度を充実するようにしていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 日本難病・疾病団体協議会の伊藤です。
 4点あります。
 1つは、1ページの(1)の継続的な職場定着支援から、(2)、(4)に関わることですが、難病患者の場合は、病気になって、職場定着という課題もありますし、再就職という課題もありますが、様々な能力が評価されても、病院に入院している期間が長かったり、入退院が繰り返されるために職歴の空白というのが多いのですね。この職歴の空白のところに「病気により」と書きますと、では、何の病気だとか、どういう病気だとかとなって、病気の開示とか告知が必要になってくるのですが、このときに、例えば他の障害と同じように法定雇用率の対象になっていれば、定着、あるいは再就職が可能なのかもしれません。
 そういう意味で、他の障害と同じような法定雇用率の対象とするということは、今、非常に大事な時期になってきております。これをぜひお願いしたいということです。
 もう一点は、難病就職サポーターという制度がありまして、これも(4)の2つ目の○に相当するところでもあると思うのですが、成果を上げている部分だと思うのです。ところが、この就職サポーターも1県1ハローワークに1名、パートで採用されているというのが現状でして、せっかく成果も上がってきているところでありますから、広い地域、人口の多いところでは、1県1カ所では到底需要に追いつかないわけで、たった1カ所のみ、「難病患者等」と出てきているところはここしかないのですが、ぜひこういうものの許可もお願いしたい。
 全体ですが、例えば4番目にある経済的自立の支援のところは特にそうかと思いますが、経済的自立の税制上の優遇とか年金というのも、難病患者にとっては極めて難しいといいますか、対象にならなかったり、あるいは制度上の優遇まではいかないにしても、一応は対象になっているけれども、適用が難しいということが多い部分なのです。そういう意味で、なぜ難病にだけ適用されないのか。これはむしろ障害者間の差別がここにあるのかどうかという問題もあるかと思います。
 こういう就職・就労だけで自立を要求していくというのはなかなか難しいことでして、ぜひその自立を支援するためにも、こういうものが難病にも、あるいは発達障害や高次脳機能障害にも適用されるということが大事かと思います。
 この問題は、私、ずっと言ってきているのですが、いつもどこにも文言が出てこない。その他の障害で出てくるか、あるいは今回もわずか1カ所だけ、(4)の2つ目の○のおしまいに出てきている程度なのですね。これはこの問題を避けて通る気なのか、それとも気がつかったのか、忘れたのか、そういう点も少しはっきりさせつつ、そういう落ちこぼれをわざわざつくることのないように、例えば今は、せめて頭出しだけであっても、報告なり何なりに、これらの疾患あるいは状態について記述されるということを本当に希望したいと思います。
 以上です。

○石川委員長 伊藤委員、ありがとうございました。
 4点とおっしゃったと思うのですけれども、今のは3点目。

○伊藤委員 そうですね。話をしてみたら3点だったと。

○石川委員長 3点でしたか。御協力ありがとうございます。
 では、河井委員、お願いします。

○河井委員 ありがとうございます。河井です。
 私からは2点あります。
 1点目、1ページでジョブコーチについて触れられておりますけれども、この成果目標の中で、例えばジョブコーチの養成とか、ジョブコーチによる支援の終了後の職場定着率と書いてありますが、いろいろな方に話を伺うと、ジョブコーチは職場定着に物すごく有効な手だてであると聞いています。
 ということを考えますと、例えばせっかく就職して定着したのだけれども、職場の組織改正があるとか、上司が変わった、同僚が変わったというところで働きづらくなったりする方が多い中で、このジョブコーチについては年数を限らず、弾力的な運用をするべきだと思いますので、これはお願いというか提案です。
 2点目なのですが、先ほどもありました2ページの経済的自立の支援というところなのですけれども、そもそも障害者の経済的に自立した状態像というのがよくわかりません。果たして障害基礎年金をもらったら地域で自立した生活ができるのかというと、決してそうではない。支援をするのであれば、まず、どういうモデルというのですか、そういう全体像があって、それに到達するための支援をしますという施策が出てくると思うのですが、その辺の目的とするところの像がはっきりしていないので、一度整理していただきたいと思います。そうすることによって、実態把握の調査とかも、何が足りないというところがよく見えてくるのではないかと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、北岡委員、お願いします。

○北岡委員 先ほど佐藤委員と石川委員長がお話しされたこととかなり重複しますが、せっかく来たので。
 佐藤委員がおっしゃっていた、国家資格試験にとどまらず、採用試験、入学試験、資格の試験、試験全般の見直しに着目して是正してはどうかと思っていまして、今なお、先ほども話題が出ていましたが、単身で通勤ができるということなどなど受験資格が残っていて、この辺についての合理的配慮もまだまだ大きく遅れているということが一つ。
 2つ目は、やはり女性の障害者の視点で、2005年から2006年にかけて、国立社会保障・人口問題研究所が障害者の生活実態調査をやっていまして、私が調べた範囲ではこれぐらいだったのですが、障害女性の就業率は28.4%。障害者の女性で単身の方の平均年収は92万円で、障害男性の2分の1であるということとか、働いている会社等で使用者による虐待などもあるかのように時々伺っていまして、女性であるということからパワハラ、セクハラの被害を受けている方もいらっしゃるだろうということから、こういうことの実態調査もあわせて進めていく必要があるのではないかということを申し上げたかったわけでして、同じことになりましたが、私も同じような意見を持っているということだけ。せっかく来ましたので発言しました。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、三浦委員、お願いします。

○三浦委員長代理 ありがとうございます。
 私は、3ページ目の今まで阿部委員、飯塚委員なども御発言の部分でございますが、(4)の最初の○に「精神障害、発達障害等の特性に応じた」とあるのですけれども、先ほど伊藤委員も言われましたように、障害を併記いたしますと、「等」ではあらわされているのですが、私たちもそうなのですけれども、どうしてもそこから漏れたと感じられる方々がございますので、できればここを「多様な障害の特性に応じた」と変更していただければという提案でございます。
 それから「関連成果目標」、資料1-2になりますけれども、1カ所でございますが、2ページ目の「障害者雇用の促進」のところで、他のところはほとんどパーセンテージでお示しいただいているのですけれども、「障害者雇用の促進」の「公的機関における障害者雇用の状況」のところは、まだ実数になっておりますので、できれば全体としてすぐわかるように、パーセンテージでお示しいただける部分は割合に直していただければと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 ありがとうございます。
 簡潔に言いたいのですけれども、まず、基本的な考え方としての前提は、障害がある人もない人も、ともに働ける環境をどうつくっていくかというのが、本来の権利条約のもとでうたわれていることだと私は理解しておりますが、先ほどの御報告を聞いていたら、一般就労に関しても障害者が希望したら云々かんぬんというお話がちょっと出てきたことがすごく気になって、では、逆に希望をしなかったら一般就労はしなくていいのかということも考えると、私はそうは思っていないという前提で聞いていただきたいと思います。
 1ページ目の(1)の1つ目の○に、総合的な連携の中で就労支援を進めていくという書き方で、一応書いてあるのですけれども、始まりは小学校、中学校、高等学校とかの教育の中で、働くことはどういうことなのかということの意識づけであったり、そこに出てくる選択肢の広さというか、こういうこともできるねというアプローチがしっかりとあった上で、働けるのだというエンパワーメントというか、理解が出てくると思うので、そこら辺の書きぶりをしっかりと書いていただきたいということが一つ。
 2点目には、2ページ目の(3)の特例子会社制度云々かんぬんの中に、いわゆるダブルカウント制度という言葉、これはもうそろそろ使うのをやめませんかという話で、例えば私は2級なので、いわゆる法的には重度障害者で、我が会社にとってはダブルカウントで、私は2人分の障害者雇用なのだなと考える人も少ないと思いますけれども、そういうことで、逆に、それだけ手間がかかるとか、面倒くさいとか、そういうイメージというか、言葉の力はあると思うのですね。そういった意味では、このダブルカウント制という言葉を出すのも、もうそろそろやめないか。それは障害の特性に応じて支援量の幅を変えることであって、要はこれは法定雇用率ありきの表現なので、この表現も若干気になることがあります。
 それと、農福連携のことでいくと、評価目標の3ページに、目標として28年度は28府県と書いていて、30年度は全都道府県と書いていますが、この評価目標は怪しくて、ちょこっとでもやったらやっている評価になる。何が言いたいかというと、農福連携において、例えば漁業であっても、農業であっても、林業であっても、障害者のある人が活躍することによって、どれだけそこの産業が保たれたとか、どれだけそこの水揚げだったり売上げが向上してきたかとか、そこまで踏み込んだ形での評価でないと、ただ単に農福連携プログラムを持っていますという評価だけでは、果たして本当に働くという力に変わっていっているのかということが気になること。
 それから、最後です。先ほどジョブコーチとかしごとサポーターの話も出てきたのですけれども、一定規模の企業さんには、ジョブコーチ派遣というよりは、もうぶっちゃけて言うと、自前でジョブコーチ的な職員配置をやれる会社においてはやっていっていただくということの提案もしていっていいのではないか。例えばうちの会社もそうだし、大きな会社で、私が聞いた感じは、ほぼ産業医さんが精神科医と聞いております。ということは、働いている中で、鬱病とか精神疾患とかを発症していて、職場復帰するという人も少なくはない中で、やはり会社独自で障害のある人が、事故であったり、病気であったり、復帰するときにもきっちりと受けとめて対応できる人員配置を、会社の責任でしっかりとやっていく。
 小規模、中小規模的な会社にとっては、ジョブコーチを派遣して定着することは有効であると思うけれども、それ以外について、やはり自前でしっかりと職員のメンタルヘルスとか、定着支援とかができるような人員を配置する方向で考えていかないと、いつまでジョブコーチを育てるのかとか、その育てたジョブコーチはいろいろなところに行って、結局そのジョブコーチさん自体が定着しないとか、そういう問題も出てくると思うので、そういう部分も整理して考えていただきたいなと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、松爲委員、お願いします。

○松爲委員 松爲でございます。
 項目が幾つかあるのですけれども、最初に、今後の論点としての事項について、28年11月に事務局から照会がありましたね。そのときに私は、基本的に言うと、福祉から雇用への流れをどのように加速化させていくか、全てそれに焦点を絞りまして、それに深入りされた回答をしたはずなのですね。
 今のいろいろな回答なり、今の労働施策を見ましても、実は上流でなく下流側の雇用分野に関しては、いろいろな意味で政策等々が充実してきています。しかも、今度は雇用率制度がありまして、非常に厳しい状況になっています。
 となってくると、福祉から雇用の流れといったときにむしろ問題なのは、上流側のほう、言い換えますと、医療・保健・福祉側がこれからどんな政策をやってくれるかどうかということのほうがむしろ問題があると思うのですね。基本計画と言いながらも、目先のことというよりも、本格的にこれまでの形と違いまして、医療・保健・福祉側がどのような格好で下流側の企業に有能な人材を流し、そこと連携をとっていけるかどうか。そこのところをきちんと明確に、文章として書くべきだと思っております。
 そういった大きな背景を踏まえまして、当面のところ4点について触れていきたいと思います。
 1番目は、障害福祉サービス事業所の情報公開です。少なくとも移行支援事業とかA型、B型、こういった就労系障害福祉サービスの事業所というのは、本来利用者が自主的にそのサービスの中身を選択できなければいけないはずですね。ところが、現実問題として、皆さんどういう格好で選択肢の情報が手に入りますか。ないのですね。ですから、明確な情報公開をし、なおかつ、支援者の人たちも情報公開ができるような事業所の利用実態、あるいは事業成果、そこに関する情報を完全に公開してもらいたい。それは政策として、ぜひとも至急やってもらうことが必要だと思っております。
 2番目が人材の育成です。少なくとも就労系障害福祉サービス事業所、移行支援事業、A型、B型ですね。考えてみたらどのような研修体制があるのですか。サビ管研修だけですね。また、支援に関する相談研修ですね。サビ管研修の中身というのは、どの程度の就労支援をやるのですか。また、就労支援に関する研修は何をやっているのですか。障害者職業センターが非常勤で、たまたま集まった人たち、応募者たちにやっているだけなのですね。
 本来支えていく、働くことを通して人生をつくっていく、そうした大きな大きな重要な政策にも関わらず、実はそれを育成する人材が余りにひど過ぎると思っております。ですから、こういった移行支援A型、B型事業における就労支援に関する知識や技術、この質を担保するためにも、ぜひともこのサービス事業所の設置、運営に関して、常勤の専門研修を終了した資格認定を持った専門の就労支援員、ぜひともこれをつくるような体制をつくっていくべきだと思っております。
 もちろんその場合には、専門研修というのは非常に時間がかかります。ですから、そういったものを含めて、例えば高等教育機関を含めて、系統的にそういった人材を育成するような体制をつくるべきだと思っています。これは障害者福祉の問題というよりも、大学教育を含めた教育全般の問題という格好で考えていくべきだと思っております。それこそが、まさにここの政策委員会として、省庁を超えた全体の対策を考えていくべきではないのですか。
 3番目です。定着支援に向けた支援の強化です。先ほど言いましたように、企業は今度の法体制も含めまして非常に苦慮しています。大きな問題は、定着をどう支えていくかという問題ですね。今、こういった定着を支えていくのは、障害者就業・生活支援センターです。でも、実はそれは、人員的にも機能的にも、もはや限界に近づいております。となってきますと、それでも企業をどう支えていくかということを考えたときには、実はむしろ送り出す側がそれを支えていくべきだと思っております。
 言い換えますと、移行支援A型、B型事業所で障害者就業・生活支援センターとか職業センター経由して雇用された人に対しては、送り出す側自身が定着に関する責任を持つような、そういった責任を担保できるようなお金も含めた、予算を含めた体制をぜひともつくっておいてもらいたいと思ってございます。
 4番目が、いよいよ今度の法律改正の流れの中で、精神障害者の問題です。精神障害者をやるときには、よく我々は言われますね。精神障害者の場合には、医食住と言います。医療的なバックアップと、仕事のバックアップと、生活のバックアップ、これを一体的不可分で包括的にしなくてはならないと言っております。となりますと、実は精神科においては、特に医療分野の人たちが就労支援に積極的に関わってもらいたいというのがお願いです。精神科の医療機関で就労支援に取り組むような、例えばPSWを配置した場合には、デイケアにおいては機能強化型デイケアという名称でもいいですから、そういった意味で診療報酬を加算するような、医療体制そのものを変えてもらわないとだめだと思います。
 現在のところ、例えば医療機関におけるジョブコーチも数が足りません。そして、医療側が求めているのは、精神障害者に対しては、特に医療的なバックアップだと思っております。それを送り出す側の医療関係者が、ぜひともそういった格好で形を変えてもらいたいと思います。
 これは前回も福祉から雇用への流れということで言ってきたことなのですけれども、一つ付け加えておきますと、今度の法改正の絡みの中で一つだけ追加しておきます。
 幾つか問題があるというよりも、基本的に言うと我が国においての障害者雇用施策の基盤は、まさに障害者雇用率制度だと思っています。これはゆるがせにするわけにはいかない。諸外国と比べても、雇用率制度は絶対に担保すべきだと思っております。
 問題なのは、例えば今回の法改正一つにしましても、2.0%を本来なら2.4にしなければいけないところを2.3という格好で暫定しました。なおかつ、2.3のところを難しいから2.2という格好で当面の3年間はやります。この背景は何かというと、企業は単純に障害者雇用率の数だけでは、もはやあっぷあっぷ状態になっています。飽和状態にきています。そうなってきますと、そういった企業をどう支えていくかということを含めまして、特に雇用納付金制度等を含めた新たな考え方を構築していくべきだと思っております。
 基本計画というのは、そういった意味で長期的なスパンを見越した上でのこういった計画を、ぜひとも文章に加えていただきたいと思います。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 最後に、平川則男委員、お願いします。

○平川(則)委員 ありがとうございます。
 2ページの障害者雇用の促進のところでございます。障害者雇用率を徐々に引き上げていくというところでありますけれども、今回の除外率の制度の関係について記載がございません。第3次においては、除外率の制度については段階的に縮小するとあったのですけれども、記載がありませんので、それがどうなったのかということと、それについては引き続き記載をする必要があるのではないかと思っています。
 それから、障害者雇用の促進の2つ目の○でございますが、法定雇用率の達成に向けて、国、地方公共団体に対してでありますけれども、「適切に指導を行う」と記載されておりますが、ハローワークでは指導できませんし、総務省等が指導というのも、これまた指導ということにはならないと思いますので、指導でなくて、単純に率先して障害者雇用を進めるということを、しっかりと義務として明言していくのが必要ではないかと思います。
 3ページに行きまして、(4)の1つ目の○でございます。先ほど三浦委員からもございましたけれども、私も賛成でありまして、発達障害等のところでありますけれども、「多様な」もしくは「あらゆる障害」、どちらかの文言に修正していく必要があるのではないかと思います。
 2つ目の○であります。精神障害者の雇用拡大と定着促進を図るということと、就労支援に当たっては、就労支援機関が医療機関と連携を図りつつ、医療から雇用ということで記載をされております。これ自身は大変重要なことでありますけれども、一方で支援につながらない方、もしくは支援そのものを知らない方、承知していない方も相当いらっしゃるわけであります。
 今日の審議会の他にも、生活困窮者自立支援法の検討会においても、支援につながらない方に関してどうやってアウトリーチをしていくかということも含めて議論になっておりますので、支援になかなかつながっていない方も含めて、しっかりと包括的な支援をしていくという取組が必要ではないかと思っております。
 3つ目の○のICTを活用したテレワークの一層の普及・拡大のところであります。テレワークという働き方につきましては、雇用型とか自営型ということでありますけれども、雇用型でありましたら労働法関係が適用になるのでありますが、自営型となると労働法は適用されないということになりますので、この場だけの議論ではありませんけれども、これらについては必要最低限の保護ルールということを含めた何らかの措置が必要ではないかと思います。
 最後に、「(5)福祉的就労の底上げ」の1つ目の○でありますけれども、「福祉的就労の底上げを図る」というところはいいのですけれども、「その在り方を検討する」という表現になっています。他の文章を見てみますと、推進するとか図るとかとなっていますけれども、この部分だけ検討するという形になっておりまして、なぜここだけ表現が違うのかということを質問とさせていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 久保委員も挙げていらしたようなので、久保委員、お願いします。

○久保委員 ありがとうございます。育成会の久保でございます。
 1ページの「(1)総合的な就労支援」の部分ですけれども、せっかく新たに就労定着支援の施策を創設していただきましたので、このジョブコーチや新設される就労定着支援を活用し、障害者の職場の定着を推進するとはっきり明記していただいたほうがいいのではないかと思っています。
 それから、2ページの「(2)経済的自立の支援」の部分ですけれども、私たちとしては少し弱いかなと思っておりまして、障害者が置かれた就労・年金等に関する現状が十分な生活消費だとか資産形成に困難を来す可能性が高いとの認識に基づきという書きぶりにしていただきたいと思っています。
 その上で、(2)の最初の○ですけれども、税制優遇などの記載をしていただいておりますので、現在も福祉サービスの利用者負担だとか、重度障害者の医療費の助成だとか、公共交通機関の割引など、現在、実質的に経済の自立の支援をしていただいていることもありますので、そこもきちんと書いていただいたらいいのかなと思っています。
 それから、障害者特性に応じたという部分で、先ほどから御意見がありますように、知的障害者も少し悩ましいことで、医学的には精神障害の中に入っているということが今もってありますので、本来でしたらここに精神障害、知的発達障害と書いていただきたいのですけれども、そうでなくても、他の団体、他の障害のある方々も同じような思いがあるかと思いますので、先ほど意見がありましたように、「多様な」と書いていただいたらありがたいかなと思っています。
 それから、3ページ目の「(5)福祉的就労の底上げ」のところですけれども、現在あります福祉的就労サービスの体系というのは、制度ができてから10年が経過しておりまして、成果と課題を検証して、必要に応じた見直しが必要な時期にあるのではないかと考えています。その上で、比較的長い時間をかけて一般就労可能となる人への支援だとか、比較的軽度の人が利用する高い工賃の生活介護と、比較的重度の人が利用する低い工賃の継続Bの相違、いわゆるひきこもり状態であったり、そういう人たちへのアウトリーチといった課題が、個々の事業主における努力という形になっていますので、それよりもサービス体系の構造的な課題として整理していただけたらありがたいなと考えています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 以上、各委員から多岐にわたる御指摘・御提案をいただきまして、残りの時間配分としましては、あと5、6分というところなのですけれども、障害福祉課、それから障害者雇用対策課に関わる御指摘もありました。まずは障害福祉課から、表現ぶりにつきましては検討していただくということで、それを除いて、特に御答弁いただく必要をお感じいただいた点についてお願いしたいと思います。

○厚生労働省(内山課長) 障害福祉課でございます。障害福祉課の担当する部分について答えさせていただきます。
 まず、玉木委員からございました農福連携の目標。現状では取り組んだ都道府県の数になっておるわけでございますけれども、確かに地域への産業寄与ですとか、農福による工賃向上とか売上げ向上の効果といったものは、現時点では指標が難しいところでございますので、どういうことができるか、検討させていただければと思ってございます。
 次に、松爲委員から何点かございましたけれども、まず、障害福祉サービス、就労福祉サービスを含めた障害福祉サービスの情報公開をということですけれども、先ほどの私の説明では触れませんでしたが、28年5月に成立いたしました総合支援法の3年後見直しの中で、障害福祉サービス事業所の情報公表制度というのが30年度からスタートすることになってございます。
 この中での情報公表の内容につきまして、詳細については今、検討しているところですけれども、この情報公表の目的の中には、当然利用者の方が選択できるという観点も入っていますので、30年度の情報公表制度を円滑にスタートできるように、少し工夫を凝らしていきたいと思ってございます。
 また、人材の育成についての御意見もいただきまして、サービス管理責任者の研修、相談支援者の研修などをやっているわけですけれども、例えば相談支援につきましては、昨年よりその相談支援の質の向上ということで省内でも検討を進めてございまして、主任相談支援専門員という資格をつくるということも、今、検討しておりますし、また、サービス管理責任者についても、当然不断の見直しが必要だと思ってございますので、そのあたりは引き続き取組をさせていただきたいと思ってございます。
 定着支援について松爲委員から御指摘をいただきましたが、これは先ほど久保委員からも御指摘をいただきましたように、30年4月から就労定着支援という新しいサービスが総合支援法に位置づけられて、施行されるわけでございます。
 この就労定着支援は、就労移行支援事業所など、福祉側の事業所が就労定着支援の指定も受けて、一般就労をされた利用者の方を引き続き支援していくことを想定いたしますので、まさに送り出す側が支える仕組みになるということでございます。
 次に、平川委員からございました、「その在り方を検討する」という表現ぶりでございますけれども、例えば先ほどの私の御説明の中で、30年度、報酬改訂が予定されているというお話を差し上げましたけれども、例えば工賃向上につきましては、報酬の中で工賃向上加算といった仕組みがございます。この工賃向上加算は、前年、前々年度よりも工賃が上がった場合に、報酬上評価されるというものなのですけれども、そうしたあり方でよいかという御意見もいただいています。
 すなわち、前年より1円上げればよくて、そもそも高い工賃水準のところが評価されていないのではないかという御指摘もいただいていますので、そのようなものも含めて全体のあり方を検討させていただきたいと思ってございます。
 それから、久保委員からございました就労サービスの体系の見直しについてということでございましたけれども、昨年度、総合支援法を見直させていただいたところでございますし、また、検討規定もございますので、次の法改正に向けた課題として受けとめさせていただければと思ってございます。
 私からは以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 障害者雇用対策課からも、短い時間で恐縮ですが、お願いできればと思います。

○厚生労働省(高沢課長補佐) 障害者雇用対策課でございます。
 様々な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。しっかり受けとめて、できる限り今後の施策に反映してまいりたいと思ってございますが、幾つか御指摘いただきました中で、精神・発達障害者しごとサポーターについて、飯塚委員のほか何名の方からか御指摘をいただきましたが、まさに事業主の理解というだけでなくて、周囲で働く人あるいは直接的に同じ仕事をしていなくても同じフロアで働いているという方を含めて、幅広く理解をしていただくという環境をどうつくっていくかというのは、大切だろうと考えておりますので、そういったところをしっかり進めていきたいと思ってございます。
 また、伊藤委員から御指摘いただきました点につきましては、大変重要な御指摘であると思ってございますが、事業主に義務を課すというところもございますので、そうした点については慎重に検討をしていきたいと思っています。
 一方で、難病サポーターにつきましては、御指摘いただきましたとおり、現状成果を上げているところでございまして、東京、大阪等には1県2人以上の配置というのを進めてございます。今後ともさらなる充実をできる限り図ってまいりたいと思っておりますので、まずは体制面であるとか、支援措置でできる限り対応したいと思ってございます。
 あと、順番が逆になりますが、阿部委員から御指摘いただきました地域の件につきましては、雇用実態調査は標本数も限界がございますが、ハローワークの調査等を含めまして、問題意識に沿う形で、何か分析できるかということをしっかり勉強していきたいと思ってございます。
 時間も余りないと思いますが、玉木委員から御指摘いただいた点は大変重要だと思ってございます。私どもも言葉の足りない点もあるかと思いますけれども、しっかりと御指摘も踏まえた対応をしていきたいと思っております。希望という点につきましても、近年、就業希望者の方が増えているというのは、まさに環境が変われば希望される方も増えるということだと思いますから、当然そこは現状のというよりは潜在的にいる方を含めての希望ということで我々は思っているという点は、ぜひ御理解いただければ幸いでございます。
 その他、時間もありませんので割愛いたしますが、何か御指摘があれば追加でおっしゃっていただければと思ってございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 一般就労を希望するという表記につきましては、玉木委員の違和感を確認したいのですが、デフォルトはそうでないけれども、一般就労を希望する人がいたら、その場合はというニュアンスが伝わるので違和感があるという理解で正しいですか。
 そういうわけで、私も玉木委員と違和感を共有しますので、ここは書きぶりを直していただきたいと思います。
 年金局からもお願いいたします。

○厚生労働省(年金局事業管理課給付事業室:大窪専門官) それでは、厚生労働省年金局からお一つ、委員から御指摘がございましたので御回答させていただきます。
 先ほど、「(2)経済的自立の支援」のところでございまして、「雇用就業の促進に関する施策との適切な組み合わせの下、年金や諸手当を支給するとともに」というくだりのところでございまして、昨今、働き始めると年金が止められてしまうということが多発しているとの御指摘は当方にも入っておりまして、非常に深く受けとめております。
 河井委員からも御指摘がありましたように、まさに年金と障害をお持ちの方々が実際に働き始めて所得を得ることとの関係性、経済的自立というものをどのように受けとめるかというところを私どももきちんと踏まえて、障害をお持ちの方が年金と雇用に伴う所得との組み合わせで、どのように生活を自立していかれるかというところで、年金がどこまでそこに加わっていくのかというところを、他の関係部署ともよく考えた上で、年金の施策についても変えるべきところは変えるなど、進めていかなければならないと考えてございます。
 少なからず現時点で福祉的就労ですとか配慮がある雇用をされていらっしゃる方々については、年金の認定においてもきちんと配慮をした上で認定に臨むよう、日本年金機構には常々申し上げているところですが、至らぬところがあれば、こちらのほうも今回の御指摘を踏まえて、日本年金機構にはより一層指導を進めていきたいと思います。
 よろしくお願いいたします。

○石川委員長 ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちましてパート1を終了させていただいて、これから休憩に入ります。2時35分に再開いたします。

(休  憩)

○石川委員長 それでは、再開いたします。
 パート2は、差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止について審議を行います。
 まず、事務局と厚生労働省から、主な施策や成果目標について御説明をいただきます。

○寺本参事官 それでは、資料1-1の4ページ、「基本的考え方」になりますが、ポイントを申し上げます。四角囲みのところでございますが、社会のあらゆる場面で障害者差別の解消を進めるために、環境整備に係る取組を進め、障害者差別の解消に向けた取組を幅広く行い、障害者差別解消法等の実効性ある施行を図る。
 それから、障害者虐待防止法の適正な運用を通じて障害者虐待を防止します。  障害者の権利侵害の防止や被害救済のため、相談・紛争解決体制の充実等に取り組み、障害者の権利擁護のための取組を着実に推進するということを基本的な考え方として掲げてございます。
 次に、内閣府の関係としまして、差別解消法に関しての施策、成果目標についての部分を説明します。同じ4ページの(2)のところを中心に説明をいたします。
 まず、1つ目の○ですけれども、障害者差別解消法、これに基づく基本方針、対応指針等に基づきまして、不当な差別的取扱いの禁止、合理的な配慮の提供を徹底するなど、行政としても差別の解消に向けた着実な取組を進めるとともに、事業者が適切に対応できるよう、助言・指導等の必要な対応を行うということを盛り込んでおります。
 2番目の○ですが、この差別解消法に基づきまして、社会的障壁の除去についての合理的配慮を的確に進めていくために、技術進歩の動向も踏まえつつ、バリアフリー化あるいはアクセシビリティ向上のための施策、職員に対する研修等の各分野においての環境整備に係る施策を着実に進めていきます。各施策分野の特性を踏まえつつ、各分野の環境整備に係る具体的な考え方等を指針において具体化するということを盛り込んでございます。
 補足ですが、こちらの関係でございますけれども、前回のこの政策委員会におきまして、石川委員長から環境整備ということでの指針整備ということの御指摘をいただきました。これを踏まえて盛り込んだものでございます。既に総論のところでも、あらゆる場面においてのアクセシビリティの向上ということで盛り込んでおりますけれども、各分野での指針等の策定を進めて、環境整備を推進していくという意味合いを込めての項目となります。
 次、5ページのところですけれども、一番上の○ですが、地方公共団体においての職員向けの対応要領の策定ということを進めるとともに、障害者差別解消支援地域協議会の組織の促進に向けた取組を盛り込んでおります。
 次の○ですけれども、障害者差別解消法の意義や趣旨について国民の理解を深めるために、各種の広報・啓発活動を行いまして、法の一層の浸透に向けて取り組む旨をここで盛り込んでおります。
 続きまして、これらの関連の成果目標につきまして、資料1-2、4ページ目にございます。その4ページの2段目のところからになりますけれども、よろしいでしょうか。
 1つ目は、地方公共団体においての対応要領の策定割合についての指標、成果目標であります。障害者差別解消法では、対応要領の策定ということについては努力義務とされていますけれども、本年4月時点での策定割合、中核市、特別区、県庁所在地においては92.7%、その他の市町村で61.6%となっておりますが、この計画が満了する34年度においては、いずれも100%達成ということで目標を掲げております。
 なお、都道府県と政令市においては、今年度中に100%に達する可能性が見込まれておりますので、目標としての設定は設けておりません。
 2つ目のところ、地域協議会の設置の状況ですが、差別解消法では任意設置とされております。本年4月時点での設置割合は、中核市等で68.3%、その他の市町村で37.8%となっておりますけれども、34年度には中核市で100%、その他の市町村においては70%以上ということで達成目標を掲げてございます。
 上のものと同様に、県、政令市においては今年度中に100%に達することが見込まれますので、目標としては掲げておりません。
 事務局からの説明は以上でございます。
 次に、厚生労働省から主な施策、成果目標等について御説明をよろしくお願いいたします。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課地域生活支援推進室:高鹿室長) 厚生労働省障害福祉課の高鹿でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは、同じく4ページの4ポツの「(1)権利擁護の推進、虐待の防止」の部分の施策について御説明させていただきます。
 まず、1つ目の○、障害者虐待に関する取組ですが、障害者虐待防止法につきましては平成24年10月の施行から約5年間が経過しております。その時間に伴いまして、この法律の趣旨ですとか、障害者虐待に関する国民の周知というのは大分深まってきたと考えておりますが、さらに積極的な広報・啓発活動を行うとともに、同法の適切な運用を通じまして、障害者虐待の防止、擁護者に対する相談等の支援に取り組んでまいりたいと考えております。この旨につきましては、来年からスタートします障害福祉計画の中の基本指針の中でも、こうした内容について記載しているところでございます。
 続きまして、2つ目の「障害者本人に対する意思決定支援」というところにつきましては、本年3月に意思決定支援ガイドラインを策定し、公表いたしました。
 この中では、意思決定支援の意義ですとか枠組み、プロセス、さらに意思決定支援を行う際の留意点というものをそのガイドラインの中でお示ししました。
 今後、このガイドラインの普及を図るとともに、成年後見制度の適切な利用促進に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
 続きまして、3つ目の○ですが、当事者等により実施される障害者の権利擁護のための取組というところにつきましては、障害者相談支援におけるピアカウンセリングの実施等を進めていきたいと考えております。
 一つ飛ばしまして5つ目の○になります。成年後見制度に関する施策ですが、昨年成立しました成年後見制度の利用促進法に基づきまして、本年3月には利用促進基本計画が策定されましたので、それを踏まえまして、障害者の分野におきまして、成年後見制度の適正な利用を促進するために、必要な経費について助成を行うとともに、法人後見等の支援について取り組んでまいりたいと考えております。こちらにつきましては、これまでも地域生活支援事業の中で必要な経費を補助するという形になっておりますので、引き続きその部分を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 引き続きまして、金融庁、総務省、文部科学省、経済産業省の順に、4省庁から前回の政策委員会で僭越ながら提案させていただきました環境の整備につながる指針の改訂及び新たな策定の予定、検討状況等につきまして、それぞれ御説明をいただきます。
 この4省庁には、環境整備指針が求められていて、かつ、それが有効に機能すると考えられる分野を中心に御説明いただくよう事務局を通してお願いしております。次回の委員会でも、さらに幾つかの省庁から同様の御説明をいただく予定にしております。
 それでは、まず、金融庁よりお願いいたします。

○金融庁(監督局総務課:白井総括課長補佐) 金融庁でございます。
 本日はお時間を頂戴してありがとうございます。3分程度ということで事務局からお時間を頂戴しましたので、指針ですとか取組の説明をさせていただければと存じます。
 第1点目に、環境整備につながる指針についてでございます。金融庁におきましては、銀行ですとか証券会社、保険会社、法令に基づいてそういった金融機関に対して監督を行っております。そうした際に参照する手引書である「監督指針」におきまして、「障害者等に配慮した金融サービスの提供」という項目を掲げております。その中で、例えば、代筆ですとか代読、店舗設備等、「等」には、店舗ですとか、ATMですとか、インターネットバンキングを含むそういったものでございますが、こういった項目に関して監督上の着眼点を掲げているものでございます。
 また、最近の話でございますと、障害者差別解消法の施行に伴いまして、この障害者差別解消法に基づく対応指針の各規定に基づく対応をしているか、そういった着眼点を追加して、金融機関に対しまして障害を理由とする差別の禁止、合理的配慮の提供について、適切な対応を求めているといった状況でございます。
 なお、金融庁で定めている金融分野での対応指針におきましては、合理的配慮の具体事例として、ATM等ですとか、そういった記述を掲げているものでございます。
 続きまして、障害者差別解消法に基づく環境の整備につながる取組でございます。取組につきまして代表的な例を挙げさせていただきますと、金融庁におきましては、銀行等における取組を促進するために、平成22年以降、毎年、銀行等に対しては、障害者等に配慮した取組に関するアンケート調査という名前のものを実施しております。その調査結果につきましては、金融庁ウェブサイトで公表させていただいております。
 その上で、アンケートをするに当たっては、アンケートでどのような質問をするかということが重要でございますが、その重要なポイントにつきましては、皆様から頂戴したような要望も踏まえて、質問項目については毎年見直しを行っているというものでございます。
 非常に簡単でありますが、これまでの調査結果から伺われる傾向を申し上げますと、視覚障害者対応ATMの設置率は年々上昇しております。
 それから、障害者差別解消法施行を受けた取組ということで、障害者及びその家族等からの相談に対応するための相談窓口の設置率、こういったものについても増加傾向にあるものと認識しておりまして、このような中、金融機関における取組というのは、一定の進展を見せているものと考えております。
 金融庁としては、今後とも金融機関における取組が一層推進されるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 金融庁の御努力もあって、また、各金融機関の御努力もありまして、着実に年々環境整備は好転してきているかと思いますが、特に地銀協、第二地銀協加盟の地方銀行につきましては、もう一段の御努力をお願いしたいと思っておりますので、また引き続きよろしくお願いいたします。
 また、成果目標の設定等につきまして御検討いただければ幸いです。
 次に、総務省から、放送のアクセシビリティの分野に関してのガイドラインの改訂の可能性につきまして、特に御説明いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

○総務省(情報流通行政局地上放送課:三田課長) 総務省でございます。
 資料2-1「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」でございます。
 総務省では、字幕放送、解説放送、手話放送につきまして、「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」を策定しております。
 現在の指針は平成19年に策定したものでございまして、平成24年に見直しを行いました。この指針では、例えば字幕放送につきまして、NHK総合や地上民放キー局などの目標として、7時から24時の間、字幕付与可能な全ての放送番組について、2017年度までにすべての番組に字幕を付与するということを目標に定めております。
 また、大規模災害時の緊急時放送については、できる限り全てに字幕を付与することとしております。
 この目標を踏まえまして、各放送事業者において字幕放送等の実施に取り組んでいるところでございます。
 この指針につきましては、先ほど申し上げましたように2017年度、つまり本年度までの目標となっておりますので、総務省では本年度中にこの指針を改定して、来年度以降の目標を定めるということを予定しております。
 指針の改定に当たりましては、放送事業者や障害者団体の方々にも御参加いただいて研究会を開催する予定でございまして、できれば来月からこの研究会を開催していきたいと考えているところでございます。  以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 地上波につきましては、着実に字幕放送等の普及が進んでいると思いますけれども、NHKのBS放送についてもぜひ御検討いただきたいという考えもありまして、改訂の可能性、予定について問い合わせをさせていただきました。
 また、字幕付与可能性というのは、音声認識技術のイノベーションによって広がっていくものでもあり、あるいは少し難易度が高くても字幕をつけていくことによって、音声と字幕の同期データを正しい教師データとして大規模集積していくと、深層学習型の音声認識技術が進歩するというウイン・ウインの関係にもなりますし、補助金がもらえて、そのような高付加価値のデータベースを放送局に集積できるということも鑑みて、ぜひ改訂作業をお願いできればと思います。
 続きまして、文部科学省よりお願いいたします。

○文部科学省(生涯学習政策局社会教育課:多田生涯学習官) 文部科学省でございます。
 文部科学省からは、事務局から指示のありましたスポーツ施設、美術館等の文化芸術施設や社会教育施設、デジタル教科書に関する状況の3点について御説明申し上げます。
 スポーツ施設については、スポーツ基本法やスポーツ基本計画に基づいて、障害者を含む誰もが使いやすい環境ということで、環境整備を進めているところではありますけれども、障害者差別解消法に基づき当省で策定している対応指針においては、不当な差別的取扱いの具体例として、障害のみを理由としてスポーツ施設等のサービスを利用させないことを挙げるとともに、留意点として、スポーツに関する施設等を提供する事業者においては、障害の有無に関わらず、誰もが楽しく安全にスポーツに親しむことができる環境を整備し、障害者がスポーツに参加する機会の拡充を図るとの基本的な考え方を踏まえて対応すること。具体的には、障害者が使用する用具等が施設の管理・維持に与える影響の程度については、具体的場面や状況により異なるものであるため、当該場面や状況に応じて柔軟に対応することが重要であることを示し、地方自治体等にも周知を行っているところです。
 また、2020年東京オリンピック・パラリンピックの関係では、組織委員会におきまして、会場の整備について、レガシーとして大会後も活用することを見据え、アクセシビリティガイドラインをまとめるなどの取組は行われております。
 次に、文化施設、社会教育施設につきましては、障害者差別解消法に基づき、当省で策定している対応指針におきまして、不当な差別的取扱いの具体例として、障害のみを理由として文化施設や社会教育施設を利用させないことを挙げるとともに、留意点として、事業者は文化芸術振興基本法の理念に基づき、障害の有無に関わらず、誰もが文化・芸術活動に親しむことができるよう適切に対応することを示し、周知を行っているところです。
 このような理念も踏まえまして、施設を運営している独法においては、通期目標に、障害者が参画・観覧しやすい環境を整えるという環境整備に関する目標を定めるとともに、具体的に障害者が観覧しやすいよう施設のバリアフリーを整える、また、実際に観覧するときの案内に対して注意を払うなどの具体的な取組を進めております。
 また、博物館につきましては、博物館法第8条に基づき、博物館の設置及び運営上望ましい基準を定めており、その中で障害者等の配慮を必要とする方々に対するサービスについても、その提供に努める旨、記載されているところです。
 障害者のスポーツ、文化芸術活動への参加を促進するためには、障害者がスポーツや文化芸術活動に親しむことができる施設・設備の整備等が重要だと考えており、今後とも利用者等の関係者の声を聞きながら、施設を管理する地方自治体や事業者等と連携し、より良い環境が整備されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 最後に、デジタル教科書につきましては、昨年12月に当省において開催しております有識者会議で取りまとめられました最終報告を踏まえ、教科書と同一内容のデジタル教材をデジタル教科書と位置づけたうえで、学びの充実が期待される教科の一部について、教科書に代えて使用することで、教科書の使用義務の履行を認める特別な教材とすることが適当とされたところであり、現在、平成32年度の新学習指導要領の実施に合わせてデジタル教科書を導入することができるよう、制度改正に向けて必要な準備を進めているところです。
 有識者会議の最終報告におきましては、教科書による学習が困難な障害のある児童・生徒のうち、デジタル教科書の使用による学習が効果的である児童・生徒に対しては、より積極的な使用を可能とすることが望ましいとされました。
 また、教科・単元等の学習内容の特性に配慮しつつ、教科書発行者の創意工夫を生かし、教育委員会や学校における使用の参考となるガイドラインを国において作成しており、そのため、障害のある児童・生徒のデジタル教科書等の活用のあり方等も含めた調査研究を、今後実施する予定としております。
 以上になります。

○石川委員長 ありがとうございました。
 最後に、経済産業省よりお願いいたします。

○経済産業省(製造産業局生活製品課:石川課長補佐) 経済産業省でございます。
 私ども経済産業省には、テレビ、録画機、エアコン等の家電機器、風呂給湯器、温水洗浄便座等の水回り機器のアクセシビリティ、環境整備指針の取組状況と今後の見通しということで、私どもは産業界の振興等々を担当しているところでございまして、このアクセシビリティに関する取組としましては業界の取組になるのですが、テレビ、録画機、エアコン等の家電機器、この家電製品に関する取組といたしまして、家電を取り巻く共通的な課題を総合的に捉えて、調査研究や各種政策の立案等を行っている一般財団法人家電製品協会という団体がございまして、この団体では、家電におけるアクセシビリティの向上ということで、操作性向上で音声案内であったり報知音あるいは点字の表示などのガイドラインを定めております。このガイドラインを定め、公表することで、家電メーカーがこれを見て活用しつつ、アクセシビリティ向上に配慮した製品開発を行っていると認識しているところでございます。

○経済産業省(製造産業局生活製品課:大木課長補佐) 続きまして、風呂給湯器、温水洗浄便座等水回り機器のアクセシビリティに関しましては、それぞれ業界団体ごとに取組を行っております。
 風呂給湯器機の業界団体である一般社団法人日本ガス石油機器工業会では、ガス石油燃料機器の操作性向上の観点で、音声案内、報知音、点字表示等のガイドラインを定めて、会員各社に対して取組を促し、今、配慮設計機器の普及を図っておるところでございます。
 また、温水洗浄便座等トイレ機器の業界団体である一般社団法人日本レストルーム工業会では、工業会としてのガイドラインは作成しておりませんけれども、標準化委員会という業界団体内の組織のもとに、ユニバーサルデザイン部会を設置して、各種検討を行っているところでございます。
 また、JIS規格で定められている高齢者・障害者配慮設計指針の策定や改訂に当たりましては、その原案作成委員会に当工業会から委員を派遣し、原案作成に協力しているところでございます。
 また、トイレ機器の業界としての取組ではございませんが、会員個社では、それぞれにユニバーサル方針等を策定いたしまして、製品開発を行い、公共トイレの設計、住宅向けトイレにおいても障害者配慮、高齢者配慮を含めて、そういった製品開発を進めているというのが現状でございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 以上、内閣府を含めて6省庁からの御報告をいただきました。これに基づきまして、差別の解消及び虐待防止に関して委員からの御意見・御質問等を受けたいと思います。挙手をお願いいたします。
 それでは、柘植委員、お願いします。

○柘植委員 ありがとうございます。柘植です。
 結論から言いますと、4ページの「(2)障害を理由とする差別の解消の推進」というところです。この推進のところなので、まさにダイレクトな状況を把握する必要があるのかなと感じました。
 何を言いたいかというと、指標のほうのペーパーなのですけれども、4ページ、「障害を理由とする差別の解消の推進」のところ。指標が対応要領を策定している自治体の割合と、障害者差別解消支援地域協議会を組織している団体の割合なのですね。これはとても大事なものなのですけれども、道具だての話であって、まさに障害を理由とする差別の解消がどこまで進んだかということを把握するものではないのですね。
 ですから、1つ目のブロックの労働のところで、玉木委員だったかな。農福連携のところの御意見と似ているのかもしれないですけれども、本丸のところに踏み込んだ指標はできないものかなと思います。やれと言われたら私もとても難しいのですけれども、何か努力をしたほうがいいのかなと思いました。
 以上です。

○石川委員長 柘植委員、何かしら手がかりになるアイデアがあれば、後でまた発言してください。

○柘植委員 そうですね。

○石川委員長 お願いいたします。
 では、大河内委員、お願いします。

○大河内委員 大河内です。
 放送について1点。先ほど委員長からもございましたけれども、一般の地上デジタル放送についてのアクセシビリティの取組が進んできていることは事実でございますけれども、放送、配信、今様々なコンテンツが増えておりまして、例えばBS放送もそうですし、CS放送なども利用されておりますし、また、インターネットに配信されるような放送等もございまして、そういうものも多様な障害特性等に基づいて利用している人々も多いと認識しておりますので、次回の改訂については、そういう新しいコンテンツも踏まえたアクセシビリティの指針の改訂をお願いできればと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 まず、内閣府のほうですけれども、横断的考え方のところで、複合差別、女性差別のことが論議になったかと思うのですけれども、ところが、権利擁護の「基本的考え方」以下を見ていても、女性の問題あるいは複合差別について全く意識されていないと思うのです。したがって、「基本的考え方」の中に書き込むのか、それ以外の場所で適切な場所があるのか、私が探してもうまく当てはまる場所を見つけられなかったのですが、「基本的考え方」の中で複合差別のことについて意識した規定が必要だと思っています。これが1点目です。
 2点目も内閣府の関係ですけれども、「基本的考え方」のところで、まさに「相談・紛争解決体制の充実等に取り組む」とあって、それを受けた形で(2)の6つ目の○で「相談・紛争解決等を実施する体制の充実等に取り組むとともに、その利用の促進を図る」とあるのですね。利用の促進を図るというのは確かにそのとおりでいいのだけれども、この中身がよくわかりません。どうして利用の促進を図るのか。
 例えば(2)の5つ目の○を見ますと、障害者雇用促進法の関係では、まさにここに具体的に書いてあるのですね。「第三者による調停等の紛争解決援助を行う」として、厚生労働省の障害者雇用対策課では、政省令で解決のための手順まで決めているというか、示しているわけですね。そうであれば、障害者差別解消全体の問題として、そういう紛争解決あるいは相談によって問題を解決するための道筋を示すというのか、そういう手順を示すような方法を具体化すべきではないか。これが2点目の指摘です。
 最後に、今日発表された金融庁と経産省に1点ずつお聞きしたいのですけれども、金融庁においては、本当にこの間の努力で視覚障害者の代読関係が非常に充実してきたことは、日盲連の大会の中でも非常に感謝の声として上がっております。ただ、地方の銀行もさることながら、今、もう一つ大きな問題になってきているのは、法律文書における代筆の問題なのです。すなわち行員による代読はあり得ますけれども、基本的に代筆というのはなかなかできません。とりわけ例えば住宅ローンを組む場合の金銭消費貸借契約であるとか、あるいは保険契約を締結する場合の契約書への署名・捺印であるとか、これらについて視覚障害者が自ら署名・捺印できないことから、トラブルになったり苦情が持ち込まれたりしているけれども、なかなか解決に至りません。これをどのように解決すればよいのかについて、金融庁としての何らかのお考えがあれば教えていただきたい。
 最後に経産省ですけれども、トイレを含めた配慮がどんどん進んでいることは、視覚障害者に限らず非常にありがたいと思っています。ところが、その標準化といいますか、基準化といいますか、余りにもメーカーによって形が違ったり、配置が違ったり、様々であるがために、視覚障害者の場合にはそのトイレに入っても、せっかくの多目的トイレであるにも関わらず、流すレバーがわからなかったりして出てこられないという話はたくさん聞くわけです。そういう意味で、標準化ということについてどう考えているか、お考えをお聞かせ願えればと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 三浦委員、お願いします。

○三浦委員長代理 ありがとうございます。
 柘植委員と関連するところでございます。5ページ目の4の(2)の3つ目の○のところなのですけれども、「対応要領の策定及び差別解消支援地域協議会の組織の促進に向けた取組を行う」ということは記載されていて、それが目標値にもあらわれているのですが、具体的には、まず、相談窓口を明確化していただくことと、相談対応件数を集積していくこと、この2つが重要ではないかと思います。相談対応窓口は、自治体であったり法務関係であったり、それぞれにしていると思うのですが、大きな窓口をきちんと周知していただくことと、その対応件数を見ていくということで、具体的に障害のある方側から見た権利性の担保というのができていくのではないかと思いますので、そのような意見です。

○石川委員長 ありがとうございます。同感です。
 久保委員、お願いします。

○久保委員 ありがとうございます。育成会の久保でございます。
 最初は4ページの「(1)権利擁護の推進、虐待の防止」の部分です。大変残念なことではあるのですけれども、擁護者による虐待が一貫して高い数字にあるというのはデータでも出ておりますので、その虐待を未然に防止することを主眼に置いた擁護者支援を推進するということを、ぜひ書き込んでいただきたいと思いますし、それに関連して、深刻な虐待事例が発生した際の速やかな保護といいますか、シェルターのようなものを確保することも、ぜひ考えていただきたいと思っております。
 同じく4ページの「(2)障害を理由とする差別の解消の推進」の部分ですけれども、合理的配慮については、新しい概念であることは承知しております。その趣旨とか重要性を広く国民に周知することが大変重要かと思っておりますので、内閣府を中心に合理的配慮の好事例を収集していただいて、それを公表したり、もう少し言えば表彰するとか、何かそういうことをしながら、一般の方々に広めていくということを考えていただけたらありがたいなと思っています。
 知的障害とか発達障害、精神障害や内部障害などの障害の状況から外から見てわかりにくい状況の特性に関する合理的配慮を推進するために、例えば障害の疑似体験だとか、私たち団体も疑似体験のノウハウを持っておりますので、そういう当事者団体と協力をして、特性の理解を深める取組を推進していただけたらありがたいと思っています。
 最後ですけれども、6ページの「7.行政等における配慮の充実」です。選挙の部分ですけれども、先ほどの総務省からの資料もありますし、御説明もいただいたのですけれども、これを見る限り私たち育成会としましては、知的障害のわかりにくい、物事が理解しにくい人向けのものがほとんど書かれていないなということがとても残念でして、わかりやすい版をぜひつくっていただきたいと思っています。
 先駆的に地域的にやっているところもありますので、そういう先駆的な地域を参考として、行政、障害者団体と一緒に協力をして、投票への支援を拡大するといった表現を加えていただきたいと思っております。
 また、行政機関はそういうことを率先して行っていただけることが求められる組織であると思っておりますので、職員の皆さんの研修に際しましても、障害者団体からの講師の派遣等、積極的に登用していただきまして、そういうことも記載していただけたらありがたいと思っています。
 以上です。

○石川委員長 久保委員からありました後半部分、行政サービスへのアクセスについては第3部で取り上げます。まだ担当者が来ていらっしゃらない可能性があるので、もう一度発言していただくことで。

○久保委員 台風で、滋賀に帰りたいので、ちょっと急いでしまいました。すみません。

○石川委員長 では、どなたか事務局で記録をしておいていただいて、久保委員がお帰りになってもいいようにしたいと思います。
 では、河井委員、お願いします。

○河井委員 ありがとうございます。河井です。
 竹下委員と重なりますけれども、虐待防止に関しての記載が非常に淡白であると私も感じました。最初の骨格案のところで、横断的な視点で複合的差別について指摘しておりますので、やはりここは女性であるとか子供といった複合的なものに対する虐待の実態把握と、その防止に対する対策について、もうちょっと踏み込んだ記載が必要と思いました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 平川則男委員、お願いします。

○平川(則)委員 ありがとうございます。
 4ページの「(2)障害を理由とする差別の解消の推進」のところであります。2つ目の○の合理的配慮のところでありますが、以前も申し上げましたけれども、例えば障害のある教職員が自立通勤という要件によって働き続けることが難しいという実態も聞いておりますので、やはりここにおいてもあらゆる形態の差別ということが定義として必要であることからも、このような間接差別を根絶する視点で文言を追加する必要があるのではないかと思います。
 同趣旨については、次の「7.行政等における配慮の充実」のところにも少し関係があるかなと思っています。
 あと、関連成果目標のところであります。女性障害者の複合差別の課題と関連しますけれども、4ページの女性障害者の参画についても、成果指標として実態を把握していくということについても検討すべきではないかと思います。
 それから、先ほど資料1-2も議論の対象だということについて、一部認識していなかったこともありますので、2ページの雇用の関係、定着状況のところであります。単に1年後の定着だけを成果指標とするということについては、不十分ではないかと思います。3年、5年などのやや長期的な就労継続が望ましいと思いますので、その実態も把握し、評価していくべきではないかと思っています。
 これは、もう厚労省の担当の方がいなくなっていますのであれですけれども、いらっしゃいますか。意見として言わせていただきたいと思います。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、飯塚委員、お願いします。

○飯塚委員 精神家族会の飯塚です。
 2点お願いいたします。
 4ページの「(1)権利擁護の推進、虐待の防止」と「(2)障害を理由とする差別の解消の推進」ということですが、(1)の4つ目の○で、「障害者に対する差別及びその他の権利侵害を防止し、その被害からの救済を図るため、相談・紛争解決等を実施する体制の充実」というところです。ここに述べていいかどうかわからないのですが、ここにいる皆さんは、精神科病院の特例ということを御存じでしょうか。
 精神科病院というのは、他の内科や外科に比べて医師の数は3分の1でいい。看護師は3分の2でいいという体制がずっととられております。そういう病院の中の人手不足の結果かと思われるのですが、このところ入院をした患者さんが拘束される実態が増えているのです。それに対して第三者の権利擁護を守るための仕組みが、今のところないのかなと。不必要な身体拘束などにも対処できるような体制を、ぜひ設置していただきたいと思います。退院後にそのことが深い心の傷になって、回復が損なわれるということも聞いております。
 「(2)障害を理由とする差別の解消の推進」というところで、障害によって福祉策にまだまだ格差があるということをぜひ訴えたいと思います。このところ、みんなねっととしましては、例えば具体的に交通運賃の割引について国会請願を行っておりますが、なかなか思うように進みません。社会参加を推進する上で、交通費とか医療における福祉策が充実することで、社会参加が推進されると思っておりますので、国交省の方にはぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 阿部委員、お願いします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 まず、確認なのですけれども、今回は「(1)権利擁護の推進、虐待の防止」、「(2)障害を理由とする差別の解消の推進」とありますけれども、平成25年度の場合にはこの順番が反対でした。そこで、このように順番を変えた理由を確認したいと思いました。
 それから、この題についても最初に差別の解消、それから権利擁護とありますし、「基本的考え方」も、最初のほうが差別の解消として、後のほうが権利擁護となっている。この本文中の順番が前と違った理由と、この「基本的考え方」、題との関連性ということについて確認したくて発言させていただきました。よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございます。
 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
 差別の解消で2点、虐待の防止で2点、合計4点あります。
 1つ目、差別解消法の運用実態の把握の仕組みづくりを盛り込んでいただきたいと思います。解消法が施行されて差別はなくなったのか、あるいはどういったものがまだあるのかということを明確に把握することが必要だと思います。相談の内容や件数、分野、男女比、障害種別などのデータ集積が必要であり、全国のデータを体系的に構築する仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。
 2つ目が、2019年に予定されている障害者差別解消法の改正に向けて、必要な内容を整理して、それをぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
 私は、必要なものは4点あると思っております。
 1点目が定義です。権利条約の第2条では、障害に基づく差別を定義して、合理的配慮を行うことを含めてあらゆる形態の差別を禁止しています。障害者差別解消法では、制定時に規定されなかった障害を理由とする差別の定義について、関連差別や間接差別も含めて全ての類型の差別を包括する形で、ぜひ規定を行っていただきたいと思います。
 2点目は、事業者による合理的配慮もぜひ義務化していただきたい。
 3点目は、個別分野の差別禁止規定も含めた各則をつくっていただきたい。
 4点目は、監視や紛争解決の仕組みも、ぜひつくっていただきたいと思います。
 次に、虐待防止ですけれども、雇用分野における差別の事例や紛争解決の仕組みです。これは雇用の分野における差別事例、紛争解決について、業種別、障害の種別、性別などのデータ収集やデータの分析をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
 最後は、虐待防止法の改正と防止施策の推進です。権利条約の16条の規定から見ると、虐待防止法の課題は多いと思っています。特に通報義務の対象を教育機関や医療機関、保育所などに拡大すること。虐待の防止のための第三者機関による介入の体制の整備が必要だと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 ありがとうございます。玉木です。
 大きく4点言いたいと思います。
 1つは、虐待防止に関することで、虐待という言葉を乱用し過ぎているというか、余りにも幅広く何でもかんでも虐待と言っている旨を最近すごく感じています。最近、私がわかりやすく説明させていただいているのは、例えばお年寄りを殴ったら高齢者虐待として逮捕される。障害者を殴ったら障害者虐待として逮捕される。子供を殴ったら子供の虐待として逮捕される。ここで例えば私が健常者を殴ったら、健常者の虐待として対応していただけるのかというと、それは違いますね。もう確実にここだったら警視庁に連れていかれて、72時間拘束をされて、ぎとぎとやられて、今回は被害届もないから帰してやるわみたいな形になる。同じ殴るをとっても何でここに差があるのか。実はここに差別というのが潜んでいて、やはり虐待と言わざるを得ない環境であったり状況を考えると、虐待と使うときはごくごく限定された場面で虐待という言葉で対応されるべきであって、それ以外については、本来は刑法とかの法律で処罰されなければいけないというのが私は思いとしてあるので、そこら辺の虐待という認識というか、幅については論議をしていただきたいということが1点目。
 2点目としては、(1)の2つ目の○の「障害者本人に対する意思決定支援を踏まえた自己決定を尊重する観点から」という書きぶりで、報告の中にはピアサポーターの活用とかが言われている一方で、数字目標の4ページでいくと、基本的には精神障害に関する部分でのピアサポートが記述されていて、でも、実はピアサポートというのは、難病、精神、身体、知的発達、いろいろな分野にピアサポートという力があるわけであって、そこの位置づけをきっちりと取っていく必要があるかと思います。
 そういった感じでいくと、虐待にしても、差別にしても、本人に対する権利意識の向上というか、そういうアプローチをきっちりとしていかないと、虐待とか差別についても相談すら上がってこないというのが現実的なことかなと。
 その上で、先ほど何人か言われていた複合的な差別、女性差別でいくと、いまだに障害があって妊娠をしたら本当に育てられるのかとか、結婚すらできないという状況も上がっていく中で、きっちりと当事者が権利性を主張するとか、自分はどういうことができるのかということの教育ができる仕組みをどう考えていらっしゃるかということ。
 あわせて3点目が、「相談・紛争解決」というのがぽんと出てくるのですね。これは虐待についても差別についてもそうなのですけれども、相談はわからないことはないのですが、紛争解決というのは、現行でいくと裁判でしかないのかなという理解でいます。でも、一番大事なのは、差別を解消していくためのやり取りを重ねていくということで、そのやり取りがあるから各大臣の大臣勧告みたいなことができるはずなのだけれども、先ほど竹下委員もおっしゃっていたように、大臣勧告に至るまでの具体的な手順が見えてこないから、どこにどうやって相談していいかがわからないし、その相談した中身がどうやって解決に結びついていくかということがわからないということが、大きな問題であるかなということを思います。
 最後、4点目。これは竹下委員が代筆のことで言われていましたが、私も上肢に障害があって、代筆のことで結構トラブっているのですね。何をトラブったかというと、警察署関係だと、最近、障害者が運転免許を更新するときには、誓約書というか、医者には止められていないとか、運転してはいけないような薬を飲んでいないとか、それに署名して出さないと免許更新ができない。でも、私は書けないので代筆をお願いしてみますと言うと、結局これは本人が書かないとだめなのですということで、結構頑なで、字が書けなかったら運転してはいけないのですかと聞いたら、そんなことはないのですけれども、この紙は本人の直筆なのですと言ってすったもんだをしたことがあって、それでいくと視力障害だけでなくて、書くことが困難な人に、代筆のあり方についても少し考えていただきたいと思っています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、北岡委員、お願いします。

○北岡委員 ありがとうございます。
 成年後見制度とその欠格条項を、成年後見利用者に係る欠格条項を設けている法制度の調査と、その欠格条項に関する見直しが必要なのではないかと思っていまして、実は私ども5月に、全日本手をつなぐ育成会連合会とDPIの皆さんと3団体で、この欠格条項についての勉強会をさせていただきましたところ、やはり成年後見制度を利用したがために失職してしまったという知的障害をお持ちの方がいらっしゃいました。この成年後見制度は大変有益な支える制度だと思うのですが、そのことと欠格条項という問題が非常にいろいろと絡んでいるなということを、その5月の勉強会で知りまして、ぜひ成年後見制度利用者に係る欠格条項を設けている法制度の調査と、その欠格条項のあり方についての見直しを政府としてしっかりと進めていただければと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 辻委員、お願いします。

○辻委員 辻です。
 4ページの「(1)権利擁護の推進、虐待の防止」のところで、逆の防止は今もいろいろ議論があったのですが、やはり障害を持っている子供たちで虐待を受けた子供たちについて、このところ社会的擁護の必要な子供たちに対して、虐待を受けた子供たちが家庭で育てられるべきだという観点から言うと、当然ながら障害を受けた子供たちも同じような方向性が望まれるのではないかと思っています。ですので、複合的な要因というところに関連して、社会的擁護の必要な子供たちが虐待の防止及びその人たちがより適切な擁護を得られるようにという形のところは、何らかの形で盛り込んでいただけるとありがたいかなと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 他に御意見のある委員はいらっしゃいますか。
 それでは、私からも2点ほど質問ないしは意見を述べさせていただきます。
 文部科学省からデジタル教材に関しまして御説明いただいたのですけれども、デジタル教材の有効性に関して、御説明の中にもあった有識者懇談会では、プリント・ディスアビリティのある子供たちにとって、とりわけデジタル教材は有効であるという有識者の意見が盛り込まれているということも説明の中にございました。ということであれば、当然そのデジタル教材を作成する際のガイドラインにおいては、アクセシビリティ要件というのが重要な項目、必須項目として入ると期待してよろしいのかどうか。後ほど御答弁いただければ幸いです。
 それから、竹下委員と玉木委員からあった代筆に関してなのですけれども、私も同意見でございまして、そもそも契約に当たって膨大な自署、自分で書くということがどのような法的根拠によって求められているのか、非常に不明確であると思っています。できたら法律の専門家から、コメントをいただけるとありがたいのですけれども、竹下委員、法的な観点からの御意見もあるとさらに説得力を増すかと思うのですが、私の理解では、法的根拠のない単なる習慣ではないかと思うのですけれども、間違っていたら教えてください。
 いずれにせよ、自署というものがどうして必要なのかがよくわからない。だったら印鑑はなぜあるのだと。自署よりも印鑑を信じている社会なのではないかと思うのですけれども、竹下委員、どうですか。

○竹下委員 竹下です。
 委員長のおっしゃるとおりで2つありまして、ものによっては自署が要件になっているものは法律によってあると思います。例えばかつては民事訴訟と刑事訴訟で取扱いが違いまして、かつての刑事訴訟法規則では、例えば委任状であるとか弁護士選任届、弁選と言いますけれども、自署というのは刑事訴訟規則に決めていました。それは今、改正されて、民事訴訟に合わせて記名・捺印でよくなりました。そのように今、私、全部の法律を把握しておりませんけれども、法律ないしは制度によっては自署を要求しているものが一部あると思いますが、基本的にはないと考えます。
 それに対して記名・捺印でなぜだめなのかということに対する答えは、ないと思っています。なぜならば、本来は捺印と記名を合わせて特定するというのが、いわば本人の意思確認として求められ、特定をするための要素とされているわけですから、記名プラス捺印でなぜだめなのかという答えは、逆に金融庁に聞きたいと思っているのですけれども、私の認識では、ないと思っています。

○石川委員長 ありがとうございます。
 これは金融庁マターなのかどうかわからないのですけれども、違うような気もしますが。私は遺言だけ法律で規定されているような気がするのですけれども、加野委員、違いますか。

○加野委員 そうですね。遺言は、自筆の場合は自署でなくてはいけないと思います。
 契約書の場合に自署を要求するのは、私の理解では、やはり証拠能力の点から本人の意思であるということが自署によって非常にはっきりするというところで、金融機関では自署ということを固く要求されて、代筆された場合に、本当に本人の意思があったのかというところが不安になるというお考えかなと思います。ただ、代筆があっても本人の意思によるということを何らかの形で示されるとかいうことがあれば、自署でなければいけない理由は、私はないのではないかと思っております。

○石川委員長 ありがとうございます。
 法人が契約する場合は、代表者が書くのは限りなく少なくて、ほとんど社判を押していくという作業に終始していると思うのです。だから、実印を適切に押せば契約は成り立つというのが法人の場合で、個人のほうが、住所を書いたりいろいろ延々と書かないといけないという状況にあると思います。
 どこに振っていいかがよくわからないので、また事務局で調整をいただくということでよろしいでしょうか。  それでは、いろいろな御指摘がございましたけれども、まず、事務局と、厚生労働省には特に虐待について御指摘があったので、このあたり。
 ちょっと言い忘れたのですけれども、経済産業省が所管されている各事業者においては、概して業界としての自主的な取組としてガイドラインを策定されているということで、それはそれで結構だと思うのですけれども、それを徹底していくということからすると、何らかのしかるべき規格、これは委員のどなたかからも御指摘があったと思うのですが、国際規格なり国内規格なりとして策定していくという作業も必要で、とりわけ国際規格とするということは非常に重要かと思うのですけれども、これについて経済産業省としての御見解がありましたら、お聞きできれば幸いです。
 また、業界の取組など、経済産業省のホームページから一望できるような形で紹介していただけるとわかりやすいかなという感じもしております。
 大体そのようなことで、事務局から順にお願いいたします。

○寺本参事官 内閣府の差別解消の関係についての御質問を中心に、お答え申し上げます。
 冒頭、柘植委員から、成果目標の関係で、もう少し差別解消がどこまで進んだかということで、しっかり踏み込んだ目標という御指摘がございました。
 三浦委員からも、これから相談窓口についてのさらなる周知、対応件数などもしっかり把握すべきだという同様の観点からの御指摘があったかと思います。
 この数値目標につきまして、解消がどこまで進んだかということに関しての客観的な指標が何かないかなということもありますけれども、協議会の設置状況などが客観的なものとして挙げられるということで、まずは成果目標として盛り込んだものでございますが、何か意識の面での実態把握というものが有効な手だてがないのかどうかということに関しては、これからも十分問題意識を持つべきではないかと思っております。
 竹下委員から、複合差別の関係につきまして、この中では記載が足りていないのではないか、十分でないのではないかという御指摘でございます。総論のところで複合差別の関係、言及を御議論いただいた上で、今、原案としているところでございますけれども、この関係が差別解消のパーツでも何か触れられないかどうかということに関しては、御指摘を踏まえて考えさせていただきたいと思います。
 久保委員からの御指摘、合理的配慮に関しての好事例の収集をもっと進めるとともに、さらに周知を図るべきではないかという御指摘ですが、この合理的配慮の事例については御案内のとおりかと思いますけれども、内閣府のホームページにかなり事例を積み重ねて公表し、周知を図っているところでありますけれども、さらにこの取組をしっかり充実させるように進めてまいりたいと思います。
 さらに、差別の解消という観点で、いろいろな障害の疑似体験などの取組、もっと有効性の高い取組をいろいろ工夫していく必要性ということについて、大変ごもっともな御意見だと思いますので、これからの周知、啓発、広報、差別解消法の理念の国民への理解の促進ということで、さらに効果的な手法はどのような形で図れるかどうかというのは、十分意識しながら進めてまいりたいと思います。
 この件につきましては、平川委員からも、雇用に関しても、自立通勤の観点で採用関係の制約があることが間接的な差別であるという御指摘もございました。このようなことも合理的な配慮あるいは差別の事例であるということで、例えば事例として入れていくということも含めて対応するということで、このような対応にも有効な手だてがないのかどうかということを考えていきたいと思います。
 阿部委員から、本文の4ページのところで、権利擁護の推進、差別解消、順番が前計画と逆になっているという御指摘がございました。この関係ですが、これは条約の順番が、まずは差別解消があって、権利擁護があってということがございましたので、この計画も改めて条約に準拠して整理すべきだろうと思いまして、この順番は条約に準じた形にさせていただいて、御提案をさせていただいております。
 あわせまして佐藤委員からの御指摘でございますが、現実的に差別解消に関してのさらなる実態把握のための取組、差別解消法についての3年後の見直しに関して、具体的な見直しの視点などの御提案もいただきました。3年後の見直しにつきましては、総論におきまして、差別解消法の所要の見直しということを基本的な考え方として、御議論を踏まえて盛り込んでおりますが、今後この解消法の見直しのプロセスの中で、御意見も十分踏まえながら検討を進めていくことになるのではないかと考えております。
 差別解消の関係で幾つか御質問をいただいていましたけれども、御回答は以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、虐待防止に関わる委員からの意見に対しまして、厚生労働省よりお願いいたします。

○厚生労働省(高鹿室長) 厚生労働省でございます。
 まず、擁護者虐待に対する対応ということについて御意見があったかと思うのですが、ここにつきましては、先ほどもちょっと御説明をさせていただきました次期障害福祉計画に関します国の基本指針の中で、障害者部会でも御議論いただきまして、相談支援の過程を通じた擁護者虐待の早期発見ですとか、擁護者虐待が発生した場合の保護をするための居室の確保、体制整備を自治体にしっかりしてもらうですとかを、その計画の中、基本指針の中で書き込んだところでございます。
 さらに、擁護者虐待についての早期発見ですとか対応については、どうすれば防止できるかということの調査研究を進めてまいりたいと考えております。
 また、障害者虐待防止法の施行後3年を目途とした見直しにつきましては、今、申し上げました擁護者虐待の部分については、一定程度、障害福祉計画の中の記載を見直すという形で対応いたしましたが、委員から御指摘いただきました学校、保育所、病院、官公署における虐待防止の体制づくりに関する見直しにつきましては、例えば学校ですと文科省ですとか、保育所、病院もそれぞれ省内の担当部局がございますので、関係者と相談しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、デジタル教材のガイドラインの策定におけるアクセシビリティに係る件につきまして、文科省の教科書課から御答弁いただきます。

○文部科学省(生涯学習政策局社会教育課:齊藤専門職) 文部科学省でございます。後ろから失礼いたします。
 委員長御指摘のとおり、昨年12月に取りまとめた有識者会議においては、特別な支援が必要な児童・生徒に対して、現在、音声教材等の調査研究が進められているところなのですけれども、今後、紙の教科書の使用による学習が困難あるいは支障がある児童・生徒に対しては、デジタル教科書の活用が有効であると言われたところでございます。
 ただ、委員長に御指摘いただいたガイドラインにつきまして、先ほど御説明申し上げたものについては、教科書発行者の製作においででなく、教育現場における効果的な活用について示すことを予定しております。ただ、今後導入が予定されているデジタル教科書の情報端末やビューア等のアクセシビリティの確保については、各教科書発行者等において、今、取り組んでいただいているところでございまして、文部科学省といたしましても、障害のある児童・生徒へのアクセシビリティが確保されたデジタル教科書が製作されるよう、今後とも障害者差別解消法の趣旨等に基づいて、教科書発行者に促してまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 各教科書会社に依頼している仕様においては、大きな政府調達でやるということを踏まえて、文部科学省として、アクセシビリティを要件とするという明確なメッセージを教科書会社に対して送っていただきたいと思います。
 なおかつ、出版物、電子書籍や電子教科書のアクセシビリティは、遅かれ早かれISO、IECのISになるということを前提として準備されることをお勧めいたします。
 補足でした。
 それから、先ほど飯塚委員から御指摘のあった件ですね。不必要な身体拘束をどうやってなくしていくかということに関しまして、御説明が可能であれば所管よりお願いしたいのですけれども、厚生労働省、いらっしゃいますか。
 では、次回の宿題とさせていただくということでよろしいですか。
 よろしくお願いします。
 あと、金融庁は、先ほどの代筆の件は難しいでしょうか。
 難しそうなので振りません。
 そんなところだったでしょうか。
 経済産業省からもお答えいただけそうなので。重要なのでお願いします。

○経済産業省(大木課長補佐) 御指摘いただきましたトイレ内の洗浄ボタン等の配置に関してでございますけれども、先ほど御説明いたしました一般社団法人レストルーム工業会がトイレの困りごと調査というのを行いまして、その結果を踏まえてボタンの配置等を定めたJIS規格がございます。また、そのJIS規格を国際標準化機構ISOにも提案いたしまして、2015年にはJIS規格がISO化されているという形で対応させていただいております。
 また、一般的には、障害者・高齢者配慮設計指針というのがJIS規格の中にありまして、随時それぞれの分野において、ISO、国際標準化というのが進められております。

○経済産業省(石川課長補佐) 家電関係でございますが、こちらについてもアクセシビリティの関係で、網羅的ではないのですけれども、家電製品の操作性に関する設計指針であったり、消費生活製品の操作性といった観点で、JIS規格がなされているものがございます。
 さらに、高齢者・障害者配慮設計指針として、消費生活製品の報知音などについては、JIS規格に加え、さらにISO規格にもなっておりまして、家電製品につきましては常に製品が高度化・多様化していくものでございまして、こういったものに合わせて改訂に取り組んでいるところでございます。

○経済産業省(経済産業政策局産業人材政策担当参事官室:酒井係長) もう一点ございまして、委員長から御意見いただきました、経産省のホームページに業界の取組を一覧できるようにしてほしいという御要望なのですけれども、業界が多岐にわたりますので、どういった範囲でできるのか、あとは内閣府にあります合理的配慮サーチとか、そういった他省庁の取組と考えてみて、どういったところができるかということを検討してみたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ぜひ所管たる経済産業省のほうで、業界の環境整備指針をある程度網羅的に参照できるようにしておいていただけるとありがたいと思います。
 それから、ISO、IECの国際規格には、ISとTSというのがありますが、そのうちISは純粋なデジュール規格なので、ゆえにGPAのような政府調達協定においても最も公平性を担保できる規格なので、ぜひISとして提案するということでお願いしたいと思います。
 以上をもちまして、第2部、パート2は終わりということで、4時10分に再開ということにさせていただきます。

(休 憩)

○石川委員長 皆さんおそろいですので、予定より若干早いですけれども、台風も近づいておりますので、1分でも早く帰れたほうがみんな幸せかなと思いますので始めたいと思います。
 最後は、「7.行政等における配慮の充実」ということで、事務局、法務省、総務省から御説明いただきます。
 最初に、事務局、お願いいたします。

○寺本参事官 それでは、「7.行政等における配慮の充実」の「基本的考え方」の部分を御説明申し上げます。
 障害者が権利を円滑に行使できるよう、司法手続や選挙等において必要な環境の整備や障害特性に応じた合理的配慮の提供を行う。
 それから、行政機関の窓口における障害者への配慮を徹底するとともに、行政情報の提供等に当たっては、可能な範囲でICTを積極的に導入するなど、アクセシビリティへの配慮に努める。
 いわゆる欠格条項について、各制度の趣旨も踏まえ、技術の進展、社会情勢の変化等の必要に応じた不断の見直しを行うなどを基本的な考え方として掲げてございます。
 引き続いて、法務省と総務省よりよろしくお願いいたします。

○法務省(刑事局刑事課:是木参事官) それでは、法務省から御説明させていただきます。
 行政・司法手続等における障害者に対する配慮につきまして、あらかじめ登録させていただきました施策5点について御説明させていただきます。
 お手元に配付されております資料1-1「障害者基本計画(第4次)本文案」の6ページ目、7の(1)に沿って御説明させていただきます。
 まず、1点目についてです。これまでも検察当局におきまして取調べなどを行うに当たりましては、必要に応じて聴覚障害者の方に対して手話通訳や筆談を利用したり、あるいは知的障害者の方に対してわかりやすい発問や説明を行うなど、障害の内容や程度に応じた適切な配慮を行うよう努めてきたところでございます。これにつきましては、引き続きその配慮を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 あわせまして、刑事手続に関わる職員に対して、障害や障害者に対する理解を深めるため、必要な研修を実施するという点も挙げられております。こちらにつきましても、法務・検察当局におきまして、検察庁に勤務する職員に対し、経験年数などに応じて実施する各種の研修におきまして、障害及び障害者の方に対する理解・配慮に関する講義を実施してきたところでございます。各職員が一層理解を深めることができ、かつ、刑事手続の中で適切な配慮ができるよう、引き続いて内容の充実に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、2つ目の○についてでございます。
 これまでも、知的障害によってコミュニケーション能力に問題がある被疑者あるいは精神障害等により責任能力の減退、喪失が疑われる被疑者等に対しましては、取調べの全過程を含む広範囲の録音・録画を実施してきたところでございまして、また、心理・福祉関係者から知的障害者の供述特性や発問方法等に関する助言を受けるなどといった取組も実施してきたところでございます。こちらの取組につきましても、引き続き継続して検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、3番目の○についてでございます。
 刑事施設におきましては、在所する障害者等に対して、社会復帰支援のためのプログラムの提供に向けた準備を進めてきております。このプログラムは、障害者等に対して、出所後に福祉的支援を受けながら健全な社会生活をおくることができるよう、福祉制度に関する基礎的な知識やその具体的な活用方法、健康管理、生活管理、対人関係スキル等に重点的な指導を行うものであります。
 このプログラムは、平成26年度から社会復帰支援指導プログラムとして開発し、一部の刑事施設で試行を進めてきたところでありますが、本年度からは全国的に展開することを予定しております。
 また、このプログラムを実施する施設の職員に対しても、その指導力の強化のために必要な研修を実施することを予定しております。
 次に、4番目の○について御説明します。
 刑務所や少年院に収容されている方のうち、高齢または障害によって自立が困難な人であって、適当な帰住先がない場合には、出所後速やかに福祉施設への入所や生活保護の受給等の福祉サービスを受けることができるよう、収容中から出所後の生活環境を調整することが、円滑な社会復帰のために極めて重要であると考えております。
 平成21年度から刑務所等及び保護観察所は、厚生労働省が都道府県に設置する地域生活定着支援センターと連携をはじめ、本人同意を得た上で、障害者支援施設や介護老人福祉施設等の受け入れ先の確保を行ったりするなど、出所後速やかに福祉サービスにつながるような生活環境の調整をしているところでございます。
 最後に、5点目であります。
 法務省が所管する日本司法支援センター、通称「法テラス」では、法による紛争解決に必要な情報やサービスの提供を受けられる社会の実現を基本理念とする総合法律支援法に基づいて設立された法人でありますが、資力の乏しい方に対して無料法律相談や弁護士費用の立替え等の法的支援を行っているところであります。
 法テラスでは、日本弁護士連合会や弁護士会等と連携し、認知機能が十分でないために自ら法的支援を求めることが困難な高齢者や障害者等について、弁護士等が被援助者にアウトリーチして法的支援を提供する「司法ソーシャルワーク」を推進しており、その一環として矯正施設からの出所者を支援する地域生活定着支援センターと連携した法律相談や、保護観察所を相談場所とする法律相談等、罪を犯した知的障害者等の社会復帰の障害となり得る法的紛争の解決等に必要な支援にも取り組んでいるところであります。
 知的障害者等の社会復帰支援や再犯防止の観点からも、引き続き法テラスによるこのような取組を推進してまいりたいと考えております。
 以上で法務省からの説明を終わります。

○総務省(自治行政局選挙部管理課:照井課長) 続きまして、総務省選挙部管理課長の照井でございます。
 私からは、行政等における配慮の充実のうち「(2)選挙等における配慮等」に関しまして、別途配付させていただいております1枚紙の総務省説明資料に基づきまして御説明申し上げます。
 まず、「1.政見放送への手話通訳・字幕の付与」について御説明申し上げます。
 手話通訳の付与につきましては、衆議院小選挙区選出議員選挙、衆議院比例代表選出議員選挙、参議院比例代表選出議員選挙及び都道府県知事選挙において付与が可能となっております。
 また、字幕の付与につきましては、衆議院小選挙区選出議員選挙及び参議院比例代表選出議員選挙において付与が可能となっております。
 手話通訳の導入につきましては、手話通訳士の地域的偏在ということが課題の一つとなっております。
 政見放送における手話通訳につきましては、公選法に関する正確な知識などを理解する必要があること、また、収録現場における様々な制約を受けた状態での通訳が求められることなど、通常の手話通訳士にはない知識や技術が必要とされております。
 このことへの対応としまして、平成31年の参議院選挙に向けて、総務省としましては、今年度、全国4カ所で研修会を実施し、政見放送に係る研修を履修した手話通訳士の数を増やすための取組を進めているところでございます。
 次に、「2.点字又は音声による候補者情報(選挙のお知らせ版)の提供」についてでございます。
 総務省としましては、国政選挙及び統一地方選挙が行われる都度、地方公共団体の選挙管理委員会に対して、視覚障害者の方々が候補者などの政見などを知ることができるように、啓発活動の一環として、選挙公報全文を内容とする選挙のお知らせ版を作成することを要請してまいりました。
 その際、点字だけでなく、カセットテープ版、コンパクトディスク版及び音声コード付き拡大文字版も準備するよう要請しているところでございます。
 この点につきまして、前回の会議において竹下委員から、日本全体で一律の対応ができていないのではないかとの御意見もいただいたところでございますけれども、平成28年の参議院選挙におきましては、選挙公報全文を内容とする点字版、音声版ともに全ての都道府県において配布されております。
 このことにつきまして成果目標にも挙げさせていただき、今後行われる国政選挙においても、全ての都道府県で点字版、音声版ともに配布されるよう、総務省としても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  次に、「3.投票所のバリアフリーなど投票環境の改善」についてでございます。
 総務省としましては、プライバシーの確保などに留意した上で、障害者や高齢者の方々に親切で丁寧な応対ができるよう十分配慮することが重要と考えておりまして、この考え方に沿って、地方公共団体の選挙管理委員会に対し、車椅子や車椅子用の投票記載台を設置すること、また、点字や拡大文字による候補者名簿等を準備すること、さらに投票所における段差をスロープの設置などにより解消することなどを要請しているところでございます。
 このことに対する地方公共団体の対応状況について申し上げますと、平成28年の参議院選挙におきましては、4万7,902カ所の全投票所のうち、入り口に段差のあるものや投票する場所が入り口と同一フロアにないものが2万4,048カ所、約半分ございました。このうち段差解消などの措置がなされていないものは41カ所でした。したがいまして、段差などのある投票所のうち99.8%が、段差解消などの措置がなされたところでございます。
 また、期日前投票所につきましては、全部で5,308カ所ありまして、そのうち入口に段差があるものや、投票する場所が入口と同一フロアにないものが1,848カ所、約35%ございました。このうち段差解消などの措置がなされていないものは10カ所でした。したがいまして、段差などのある投票所のうち99.5%が、段差解消などの措置がなされたところでございます。
 このことにつきましても成果目標に挙げさせていただきまして、今後行われる国政選挙においても段差解消などの措置が100%なされるよう、総務省としても引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 総務省からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、内閣府、法務省、総務省から御説明がありましたが、委員からの御意見・御質問等を受けたいと思います。挙手をお願いします。
 それでは、石野委員、お願いします。

○石野委員 石野です。
 2つの視点を申し上げたいと思います。
 7ページ、「(4)国家資格に関する配慮等」のところです。欠格条項の見直しは、今から20年前に全国的に大きな取組をして、欠格条項の見直しが進んでいます。その中で、聞こえなくても見えなくても医師にもなれる、薬剤師にもなれる等の社会参加が進んできたことはとても良いことだと思っております。それが全ての欠格条項でなされているのかどうか。これから見直しの方向にあるのかどうかという視点が必要です。
 実際に聞こえない医師が誕生しており、とても良いことだと思っておりますが、例えばある大学病院で、聞こえなくても免許を取って眼科の医師になったが、患者とのコミュニケーションがとれないということで業務から外されてしまったために、聞こえない医師がとても悩んでいるというケースがあります。その問題も、今後どう解決していくか、非常に大切なことだと思っています。
 2つ目ですが、国家試験だけでなく、資格検定が幾つかあると思いますが、資格検定を受けるために、例として秘書検定試験というのがあります。聞こえない人が申し込んだ場合にどうなるか。残念ながら、情報保障は全くない状況だったという回答がありました。
 一方で、英語検定、フランス語検定の場合は、聴覚障害者が申し込んでも十分な情報保証をして試験が受けられたという事例もあります。検定によって様々ですが、それは平等ではないと思います。国家試験だけでなく、民間の資格検定試験も含めて見直しをしていただきたいと思います。
 以上2点です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 3点だけお願いします。
 まず1点は、コミュニケーションの困難な被疑者・被告人に対する支援の部分はこれでいいのですけれども、現実には、視覚障害者に対する情報提供、情報保証というものはどこにもうたわれておりません。しかも、どうしても法務省の立場として、刑事手続における法務省、検察官の立場からの配慮を記載しているわけですけれども、民事訴訟手続における部分は、いわば法務省の管轄としては書けないということが示されていて、一切触れられていないわけでありますが、視覚障害者を含めた情報保証、裁判を受ける権利としての十分な情報保証がされていないということについては、絶対にどこかで解決を図っていただきたい。
 仮に三権分立の関係から、障害者差別解消法あるいはこの政策委員会の権限の及ばないところがあるとしても、障害者権利条約に批准している我が国において、司法全体についてそうした配慮がされないということ自体があり得ないことだと思っておりますので、この点については、必ず法務省から最高裁に、その部分についての確認や現状についての把握ぐらいは最低やっていただきたいと思います。これが1点目です。
 選挙公報の関係では、今、御指摘があったように、参議院選挙で全国において全文訳ができたことは非常に感謝しております。衆議院で名前だけの部分があったりしたことは事実でありますけれども、今後そうしたことが起こらないようにしていただきたいというのが1点と、この資料からもわかるように、やっとこれで点字が47都道府県に広がったかなと思ったら、今度は他の媒体である拡大文字であったり録音版が一部に限定されてしまう。これは絶対にあってはならないわけでして、点字を読めない視覚障害者のほうが多いのです。その場合に、やはり媒体が技術的には十分可能であるものを、選挙人たる当事者、国民が媒体を選べる保証を必ずお願いしたい。
 最後に、行政情報の関係です。(3)の3つ目の○の部分ですけれども、国が出す行政情報については、ICTを含めた様々な媒体を使うこと自身は、大いにアクセスができるものにしていただきたいと思うわけですけれども、やはりここにおいてもそれだけでは不十分でして、先日もあったのですけれども、例えばわかりやすい年金という名前だったと思いますけれども、そういうものが紙媒体で配布されていて、必要であればどなたでも無償でとれるわけですけれども、それは点字や録音物ではありません。それらについてもお願いしたわけですけれども、残念ながら年金局へ行くと、それは年金機構の問題だという形で振り分けられてしまう。そうしたことがあってはならないと思うのですね。やはり国の行政情報が全ての障害者に十分渡る形での技術的な問題は解決されているわけですから、実施もぜひお願いしたいと思っています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、辻委員、お願いします。

○辻委員 辻です。よろしくお願いします。
 「(1)司法手続等における配慮等」のところなのですが、被疑者・被告人の話は書いてあるのですけれども、被害者としてとか、目撃者としてという形の事情聴取を障害がある人、特に知的障害のある人とか、発達障害のある子供たちが対象となっている場合への配慮ということは、やはりきちんと書いていただきたいということ。
 それから、7-(1)-2のところになりますけれども、司法面接法という形で幾つかのところでも取組が進みつつあると思うのですが、そうしたものの取入状況みたいなものを、数値目標として位置づけていただくような形で進めたほうがいいのではないかと思っております。
 2つ目は「(2)選挙等における配慮等」で、先ほど久保委員がかなりおっしゃってくださったことなのですが、知的障害のある方が選挙へ行くときに、選挙所によっては非常に配慮いただいて、無事選挙ができたということも最近多く聞くようになっているのですが、中で知的障害がある方が十分に配慮いただけず、結果その選挙ができなかったという例もまだちょっと聞くような状況になっておりますので、知的障害のある方の配慮がどのぐらいきちんと提供されているのかという実態について、数値目標も含めてきちんと提供いただけるとありがたいかなと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 玉木です。
 4点あります。
 1点目は、司法手続のところの罪を犯してから刑に服して出るまでのことは丁寧に書いてあるのですけれども、いわゆる入り口支援というか、明らかに障害者ということがわかっていれば問題はないと思うのですけれども、一部わかりづらい状況の方、手帳を持っておられない方でコミュニケーションが難しかったり、下手をすれば軽犯罪になってくると、多分、国選弁護人もつかない状況の方が結局繰り返していて、障害者として扱われていくということは、皆さん重々承知のことだと思いますが、そういう方に対する見立てというか、それこそ刑事さんのアセスメント力というのを高めていただかないと、軽犯罪をして、結果的に刑務所に行ってしまう方が増えてしまうので、そこら辺の支援のあり方について考えていただきたいというのが1点目。
 2点目に、(1)の3つ目の○に、社会復帰のためのプログラム提供と書いてありますけれども、これは3年ぐらい前のワーキングセッションのときにも私は言わせていただいたのですけれども、要は障害がゆえに起こしてしまった犯罪について、専門的にその犯罪を繰り返さないようなプログラムアプローチがしっかりとあるかどうか。それがこの社会復帰支援プログラムの中に位置づけられているかどうかということを、少しお聞かせいただきたいということ。
 3つ目に、障害者が被害者になった場合に、きっちりと被害者として取り扱ってもらって、被害者として事件を処理していただける状況なのかどうか。例えば女性障害者の性被害であったり、知的障害のある方が金銭搾取であったり、詐欺的行為に遭った場合に、よく裁判では立証ができないとか、本人の証言能力が低いということで、結局犯罪としては立件できないということもたまにあるので、先ほど辻委員が言われたような、被害者となった場合にはどういう対応が必要かということを考えていただきたい。
 最後に、私も代理人投票をしているのですけれども、日本の代理人投票はオープンな状態で、私が行っている選挙所だけですか。前に紙がはってあって、指を指してくださいと言うのですよ。こんなもの丸見えですね。やはりプライバシーの確保がほぼできていない。質の悪い人であれば、声に出して誰々さんでいいですか。だめですよ。これだけITとか言われている中で、今の代理人投票のあり方を今後も続けていくのかどうなのか。やはり私はだめだと思っているので、例えば外国の投票所を見ていると、個室でカーテンで仕切られた中で全ての人が投票していたり、やはり全ての人にプライバシーが守られる投票環境をつくっていただくことで、代理投票もしやすくなるかなと思います。
 以上4点です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
 3つあります。最初の2つは質問です。
 成年被後見人等を対象とした欠格条項のある法律の数を把握していらっしゃるかどうか。
 2つ目は、それ以外の障害者に関わる欠格条項がある法律の現状、資格試験における合理的配慮の提供状況、免許交付数を把握していらっしゃるかどうか。
 この2点を教えてください。
 最後、3点目は意見なのですが、7ページの(3)の2つ目の○のところなのですが、ぜひ複合差別を盛り込んでいただきたいと思います。「より一層の理解の促進が必要な障害者や」、この後に「複合的な困難について」といったものを入れていただけるといいなと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 他に発言を希望される委員はいらっしゃいますか。
 大河内委員、お願いします。

○大河内委員 大河内です。
 2つございます。
 1つは、行政等の配慮について。この中では、行政サービスにおけるアクセシビリティのことがうたわれてはいるのですけれども、実態として今、行政サービス等がどんどん合理化してきている中で、一般の市民に対するサービスの向上というのが図られている一方で、アクセシビリティが低下しているという実態が垣間見られるかなと思っているので、その辺の実態把握をした上での取組が必要かなと思っています。
 具体的には、例えば住民票だったり、そういう手続の書面を自動発行するような機械がどんどん導入されていて、窓口が閉まっていても行政手続の書類がとれるようなサービスがあるのですけれども、例えばそういう自動発券機が車椅子でアクセスできないようなブースにあったり、全部タッチパネル式になっていて、視覚に障害がある人にとっては利用できないという実態がどんどん増えている状況がありますので、その辺も踏まえたアクセシビリティの見直しというところは重要かなと思っておりますので、一言申し上げたいと思いました。
 2点目、選挙の話です。先ほど玉木委員がおっしゃられた代理投票の話で、基本的に投票環境というのは秘密が守られるということが前提なので、例えば介助者と一緒に投票ができないということが多分にあるのですけれども、例えばコミュニケーションに障害がある人、具体的には盲ろう者の場合、通訳介助者と切り離されて投票することによって、自分の意思がうまく反映できないということも多分にあると聞いておりますので、その辺は人的な支援の意味も含めた多様な投票環境の整備ということを考えていただければと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 他にございますか。
 では、加藤委員、お願いします。

○加藤委員 加藤です。
 7ページの(3)のところについて1点お尋ねというか、意見を述べさせていただきます。
 (3)のところには、行政機関等における配慮及び障害者理解の促進という項目で3つの指摘が挙がっていますが、時代はまさにインクルーシブな社会、共生社会ということで突き進んでいるわけで、この委員会の議論もその方向で行われていると思っています。
 そういう中で、地域の中にあっては、例えばそういう人たち、特に私の場合は子供のことが中心ですけれども、地域の中で、その地域には受け入れ難いような様々な行動・反応をしてしまうという状況があって、結果として周りの方たちの無理解のために、最終的にどこに連れていかれるかというと、近所の交番に連れていかれるのですね。結果として困った子供がいる、困った人がいるという感じで交番に連れていかれるのですね。
 そうしますと、交番の警察官がその人の状態について、ある程度の理解を持っていれば事はそんなに大きくならないのですけれども、その対応が不適切なために、より当該児は興奮して、騒いで、わめいて、より騒ぎが大きくなってということで周りからひんしゅくを買ったり、否定的な見方をされたりということになっているという状況をよく聞きます。
 一方では、例えば警察官の方たちの警察学校、そういうプロセスの中で、そういうことに対する理解を促進するということで地域的にカリキュラムが組まれている。地元の育成会の方たちが講師として呼ばれていってという状況を聞いたりするのですけれども、そういう特定の恵まれた地域においてたまたま行われているというのでなくて、北海道から沖縄まで、どこにあっても地域の交番に勤務するような警察官の方たちが、一定の障害に対する理解というものを必須科目として、その養成課程の中で受けるべきだと思うのですが、その辺について、ぜひ積極的な施策といいますか、提案をしていただけたらと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 いつも言っていることですけれども、難病などについては、中途で障害を負う方が多いだけでなくて、病気や状態に合わせて、そして今、新たな技術を使うものもたくさん生まれているわけですけれども、そういう技術を用いた支援というのも必要なのですが、現在、国家資格なり何なりがないために、診療報酬等の対象にならないため、多くはボランティアとして支援しているということで、支援の限界があるわけですけれども、こういう新たな技術に対応するような、現在ボランティアでやっている方々を何らかの資格制度に入れてもらうためにはどういうところにどのようにお願いしたらいいのか。それがわかっていたらお願いしたいと思います。

○石川委員長 支援者としてヘルパー的な資格ですか。

○伊藤委員 コミュニケーションや様々な支援のための、何らかの報酬に反映する資格ですね。資格がないとボランティアでずっとやっていかなければならないので。でも、かなり専門的な技術、例えばITとか読み取りだとか、様々な技術が必要なのです。

○石川委員長 ありがとうございました。
 3番目の今日の各論テーマというよりは、他の各論テーマの中に含まれるかなと思います。

○伊藤委員 どこかでやれればと思います。

○石川委員長 私からも1点だけ。
 総務省のお考えを確認させていただきたいのですけれども、先ほどは選挙のお知らせ版というお話があって、選挙公報とはこうでなければならないという厳格な規定があるのかと思いますけれども、ネット上に各選挙委員会が開示しているPDF版の選挙公報について、最近ちょっと議論があって、総務省としては画像でなければならんという判断を示していらっしゃるのかどうか。つまり、PDFの場合は画像プラステキストを入れることが可能で、その場合は音声読み上げ等で選挙公報の中身を読み取ることができるのですけれども、選挙委員会としてそのようなPDFをつくることに対して、総務省は適切でない、選挙公報としての要件を満たさなくなってしまうというお考えなのかどうか、お聞きしたいと思います。
 では、内閣府、法務省、総務省の順番で、各委員からありました御意見や御質問等に対しまして、この場で即答可能なものについて御答弁いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○寺本参事官 まず、内閣府から。
 幾つか御指摘ございました関係ですが、石野委員からの御指摘で、(4)の資格に関しての関係で、国家試験のみならず、様々な民間の資格も含めたということなのかもしれませんけれども、秘書認定の資格であったり、語学の検定試験においての情報保証という観点での御指摘だったかと思います。
 ここにおいて政府の計画として盛り込めるものについては、この計画は政府の取組という位置づけがございますので、国家資格に関しての配慮ということで記載をしているところでございますが、様々な認定資格などにおいての配慮というものに関してどのような取組ができるかということ、これは差別解消法の中での合理的配慮ということにも通じるかと思いますので、そういった取組の中でさらに一般に広く、このような情報保証の配慮ができるようにしていく手だてというものが重要ではないかということは、改めて問題意識として十分持っていきたいと思っております。
 (3)の行政機関等における配慮の関連で、竹下委員や大河内委員から、行政情報においてのICTの活用あるいは住民票の自動発券機等においてのアクセシビリティの対応ということでの御指摘だったかと思います。
 今回、行政機関等においての配慮、理解促進ということで項目を設けさせていただく中で、各府省、行政機関、広くアクセシビリティ、ICTの活用ということで、技術の進展の状況などを踏まえて、活用可能なものは積極的に導入を図るということを横断的に盛り込むことによりまして、それぞれの行政分野においての取組を一層強固なものにするという形で進めるべきではないかと思っております。
 加藤委員からの御指摘で、これも行政機関等の職員に対しての研修などでの配慮ということになろうかと思いますが、これも横断的に、各府省の取組としまして盛り込むことによりまして、足りていないところに関しては、一層それぞれの養成課程においての研修の充実ということで、各府省に取組を進めていくという意味合いで、この項目を盛り込ませていただいているところでございます。
 内閣府からは以上でございます。

○法務省(是木参事官) では、引き続きまして法務省から答えさせていただきます。
 まず、竹下委員から、視覚障害に関する対応についての御指摘がございました。
 視覚障害の方につきましても、当然、本日指摘させていただきましたような意思疎通に関します適切な配慮ですとか、あるいは取調べの状況に関する適切な把握というものは必要だと考えておりまして、障害の種別に関わりなく、同様に障害の特性に応じた配慮が必要だというのは当然のことだと思っております。
 具体的には、当然のことながら複数回丁寧に御説明をさせていただくとか、あるいは供述の状況の録音・録画等につきましては、障害の内容に関わりなく実施する場合が増加している状況がございまして、録音・録画の状況といいますのは、例えば平成27年度の5万件から平成28年度は7万3,000件というように急激に増加している状況もございますので、こういった中で事後検証可能な事情聴取ということも含めて、対応させていただく必要があるのかなと考えているところでございます。
 民事手続に関しましては、御指摘のとおり、法務省としてお答えすることはなかなか難しい部分ではございますけれども、今後の課題として検討させていただきたいと考えております。
 次に、辻委員、玉木委員、どちらも共通いたしまして、参考人や被害者に対する対応というところについての御指摘もありました。こちらも先ほど御紹介させていただきました、意思疎通を行う場合の配慮ですとか、あるいは取調べに際してのコミュニケーションの困難性を克服するための事後検証可能な録音・録画の実施などという部分につきましては、被疑者に限らず、被害者、参考人等についても実施させていただいているところでございまして、こちらも平成27年度に2,200件余りだったものが、平成28年度は3,000件余りというように急増しているところでございます。こういったものも含めて、今後必要な対応を行っていく必要があるものと考えているところであります。
 続きまして、司法面接の関係についての御指摘がありました。検察庁におきましても、司法面接的な手法を使いました事情聴取の必要性が指摘されております。
 数値目標的なものをつくることができるかというところにつきましては、検討の必要性があると考えておりますけれども、こういった取組についても、研修、その他におきまして、どのようなやり方が適切であるのかということを周知していきたいと考えているところでございます。
 最後に、玉木委員から、社会復帰のための支援につきまして、プログラムの内容についての御質問がありました。こちらは担当者から御説明させていただきます。

○法務省(矯正局成人矯正課:畠山補佐官) 法務省矯正局の畠山と申します。よろしくお願いいたします。
 玉木委員から御指摘のございました社会復帰支援指導プログラムにつきまして、障害の特性を踏まえた上での再犯防止のための指導について、このプログラムに組み込まれているのかという御質問であったかと思います。
 刑事施設におきましては、プログラムを実施する前に、施設に配置されている心理技官ですとか医師、こういった者の査定ですとか診断、そういったものを通じて知的障害ですとか発達障害、そういった障害の把握の努めているところです。この指導プログラムも、そういった情報を前提として行っていくという形にしております。
 加えて言いますと、このプログラムのみをもって再犯防止を図るということではなくて、例えば性犯罪を犯した人については性犯罪再犯防止指導、薬物、暴力団に関するプログラム等もございますので、このプログラムと他のプログラムをうまく組み合わせて、総合的な形で再犯防止に努めていくといったスタンスをとっているところでございます。
 以上でございます。

○総務省(照井課長) 総務省でございます。
 まず1点目、竹下委員から、選挙のお知らせ版の媒体の関係で御指摘がございました。先ほども申し上げましたように、点字版につきましては47都道府県全てで発行しておりますけれども、音声版につきましては、カセットテープ、CD、音声コード、これらの媒体について必ずどれか一つは47都道府県で配布している。1個だけのところもありますし、複数のところもありますけれども、47都道府県全てでいずれかの音声版は配布されているということで御理解をいただければと思います。いずれにしても、今後ともこういう形で充実を図っていくように、総務省としても要請してまいりたいと考えております。
 知的障害者の方への投票所の配慮あるいは代理投票の関係の御指摘もございましたので、これらは関連しますのであわせて回答したいと思いますけれども、総務省としましても、知的障害者の方々が投票しやすい環境を整備することは極めて重要であると考えているところでございます。総務省は、こうした方々の投票の便宜を図るために、必要な場合には人的介助が可能であることについて十分に周知を行うこと、あるいはすぐに職員が対応できる体制となっているかなど、障害者の方々の視点に立って再度点検を行うということを選挙の都度、地方公共団体の選挙管理委員会に対して要請しているところでございます。数値目標というお話もありましたけれども、その人的支援の関係で数値目標というのはなかなか難しいかもしれませんけれども、こういう形で地方公共団体の選挙管理委員会に対して選挙の都度要請をしてまいります。
 また、選挙人が自署することができない場合には、代理投票ということが可能となっているわけですけれども、いわば代理投票というのは秘密投票の例外という形で整理されておりまして、その際に意思表示がうまくできない選挙人の方につきましては、投票を補助すべき者は、家族や付添人等の間で本人の意思の確認方法を事前に打合せしてもらうとか、選挙人本人の意思確認に十分努力すべきということを地方公共団体の選挙管理委員会に対して要請しているところでございます。
 また、投票所におけるプライバシーあるいは公正の確保ということも当然重要になってまいりますので、こういったことも含めまして、それぞれの投票の現場で適切な対応がなされるように、総務省としても一層努めてまいりたいと考えております。
 最後、選挙お知らせ版のネットでの掲示の関係がございました。今、資料が手元にございませんので、申しわけございませんが、後日確認の上、改めて回答させていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。

○寺本参事官 欠格条項の関係。

○石川委員長 はい。

○寺本参事官 欠格条項の実情などの把握についての御質問ですけれども、成年後見制度以外のものについて、必ずしもデータというのは持ち合わせておりません。成年後見について、今、担当の者が不在でございます。一方で、この前のパーツにおきまして、権利擁護のところで、成年後見について権利制限に関しての見直しの検討ということも掲げさせていただいておりますので、何らかの実態把握があるのではないかと思いますので、確認をさせていただきます。

○石川委員長 よろしくお願いいたします。
 それでは、3つのパートに分けて審議してまいりましたが、全てに共通しました事務局と各担当省庁におかれましては、本日の議論も踏まえまして、必要な修正等の検討をお願いいたします。
 以上をもちまして、本日予定しておりました議題は全て終了いたしました。
 最後に、事務局より連絡事項につきまして御説明をお願いいたします。

○寺本参事官 次回の委員会でございますが、9月25日月曜日の13時から17時までの開催を予定しております。本日に引き続きまして、第4次障害者基本計画について御審議をいただく予定でございます。分野といたしましては、自立した生活の支援、意思決定支援の推進、保健医療の推進の2分野を予定しております。
 以上でございます。

○石川委員長 最後に大物が残っておりますが、それでは、これをもちまして、第37回「障害者政策委員会」を閉会いたします。どうもありがとうございました。