障害者政策委員会(第38回)議事録

平成29年9月25日(月)
13:00~17:00
中央合同庁舎8号館 1階 講堂

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○石川委員長 定刻になりましたので、これより、第38回「障害者政策委員会」を開会いたします。
 委員各位におかれましては、御多用のところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の委員会は、17時までを予定しております。
 なお、委員会の冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入り、撮影が行われますので、御承知おきください。
 事務局より、委員の出欠状況について御報告をお願いします。

○寺本参事官 本日は、大河内委員、門川委員、高橋委員、野澤委員が所用により欠席との連絡を受けております。
 また、安藤委員、辻井委員、平川委員が遅れて到着されるとの連絡を受けております。
 その他にも、阿部委員、大日方委員、北岡委員、辻委員がまだいらっしゃっていない御様子でございますが、御出席との連絡を受けております。

○石川委員長 それでは、本日の議事に入ります。
 毎回のことになりますけれども、発言のルールを最初に確認いたします。
 委員長が挙手を求めます。御発言を希望される方は挙手をお願いします。委員長の指名を受けて御発言ください。
 できれば最初に結論を述べてください。その後に説明、理由をつけ加えてください。
 また、発言の際は、まず、名前を名乗っていただき、ゆっくりわかりやすくお話ください。マイクにできるだけ近づいて御発言ください。発言後はマイクを切ってください。
 それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○寺本参事官 本日は、冒頭、事務局より、総務省統計委員会のもとに置かれました国民生活・社会統計ワーキンググループ会合における障害者統計の充実に係る審議の状況について報告をいたします。関係資料として資料1を用意しております。
 その後、前回までに引き続き、第4次障害者基本計画案の各論について御審議いただきます。
 まず、「5.自立した生活の支援・意思決定支援の推進」、次に「6.保健・医療の推進」それぞれの分野について御審議をいただきます。
 資料としては、2-1、2-2を用意いたしております。
 最後に、前回の政策委員会からの続きとなりますが、障害者差別解消法に基づく環境整備につながる指針、ガイドラインの策定状況や今後の策定の見通し、その他関連する取組等について、前回御都合のつかなかった省庁よりそれぞれ御説明をいただきます。
 具体的には、経済産業省より、電子商取引のアクセシビリティの分野を中心に、また、環境省より、国立公園ビジターセンターのアクセシビリティの分野を中心に、それぞれ説明をいただく予定です。
 途中の休憩時間につきましては、最初の議題「5.自立した生活の支援・意思決定支援の推進」の後に、また、次の「6.保健・医療の推進」の後、それぞれに設けます。
 また、委員の皆様には、関係法令をまとめたファイルを机上に用意いたしております。
 これ以降の写真撮影は、御遠慮いただきますようお願いをいたします。報道関係のカメラも、こちらで御退室をお願いいたします。

○石川委員長 それでは、議題に入ります。
 各論の審議に入る前に、まず、事務局より、総務省統計委員会における障害統計の充実に係る審議の現状について報告をお願いいたします。

○寺本参事官 それでは、障害者基本計画の各論の審議に先立ちまして、事務局より、総務省統計委員会のもとに置かれましたワーキンググループにおける障害者統計の充実に関する審議の結果・状況につきまして、御報告をいたします。
 関係資料は、資料1でございます。
 資料の説明に入ります前に、補足を若干いたしますと、公的統計の整備に関する政府の計画であります公的統計基本計画に関しまして、現在、総務省を中心に、新計画の今年度中の策定に向けて検討が進められております。
 現行の公的統計基本計画には、障害者統計に関する記述は特になされていないところですが、この政策委員会でも、障害者統計の充実についての御意見をいただいていたことも踏まえまして、新たに公的統計基本計画に障害者統計の充実について盛り込んでもらえるよう、内閣府と総務省で調整を行っていたところです。
 そうした調整の中で、新たな公的統計基本計画について審議をする総務省統計委員会の国民生活・社会統計ワーキンググループにおきまして、障害者統計の充実について審議が行われる運びとなりました。
 では、資料に沿ってでございますが、ワーキンググループにおきましては、まず、内閣府より、資料1の「障害者統計を取り巻く状況の変化等」の欄に記載している内容の説明を行っております。
 ポイントとしましては、障害者権利条約において、いわゆる国内監視の枠組みの整備と統計及び資料の収集に係る取組の実施が求められていること。
 (2)ですが、第3次障害者基本計画において、障害者の性別、年齢、障害種別等の観点に留意し、情報・データの充実を図るとともに、適切な情報・データの収集・評価のあり方等を検討する旨が規定されていること。
 (3)ですが、条約の政府報告において、データ・統計の充実が我が国の課題として挙げられており、次回の政府報告の提出までの間に改善に努めたい旨を回答していることなどについて説明を行っております。
 引き続いて、政府の取組の概要について、真ん中ほどの欄でございますが、説明を行っております。
 「関係府省の取組状況の概要等」の欄。
 ポイントとしましては、内閣府に障害者政策委員会が置かれ、障害者基本計画の実施状況を監視していること。
 第4次障害者基本計画の案といたしまして、「各分野に共通する横断的視点」の一つとして、「PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進」を掲げ、証拠に基づく政策立案の実現に向けて、必要なデータ収集及び統計の充実を図る旨を盛り込む方向で検討をしていること。
 障害者統計の充実は、閣議決定に基づく基本計画や国連に提出した政府報告においても明示的に位置づけられるなど、政府全体として取り組んでいくことが求められていること。
 こういったことについて説明を行いました。
 その後、総務省のワーキンググループで御審議をいただきました結果が、下の「次期基本計画における取扱い及び基本的な考え方(案)」の欄に記載をされております。
 3行目の真ん中以降のところですが、障害者統計の重要性や充実を、次期基本計画の「施策展開にあたっての基本的な視点及び方針」の一つとして盛り込むものと整理をいただいたところであります。
 今後、ワーキンググループの親会議に当たります基本計画部会、さらにその親会議に当たります統計委員会における審議を経て、この整理につきまして、新たな公的統計基本計画の案文として具体化される見込みでございます。
 以上、統計委員会関係の御報告を申し上げました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 これにつきまして、委員の中で御質問・御意見がある方は挙手をお願いいたします。
 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
 資料1の下から2行目のところで、「具体的な取組課題は想定されないことから」と書かれているのですけれども、これまでの政策委員会の中でも統計の話がたくさん出てきましたので、この書きぶりだと少し後ろ向きな印象を持つのですけれども、もう少し前向きな書きぶりを検討していただけないかということです。

○石川委員長 竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 次期基本計画における取扱いというところを見ていても、どういう視点に立って今後の統計が実施されるかということが全く見えてこない気がします。総論のところで、例えば性別等も意識した統計の必要性をおっしゃっているわけですけれども、この次期のところを見ていて、それがどういう形で反映されるのかがよくわからないというのが1点目。
 2点目は、統計局の問題と各省庁の役割事が理解できていないまま言いますと、ここでも問題になったりしているわけですけれども、例えば障害種別とか、とりわけ身体障害者の中における種別の実態の把握が不十分であったり、男女の関係で言うと、雇用の場面等について、例えば分野ごとで言うと、厚生労働省の労働分野でされるから今回の統計とは切り離されるのか、そういう機能というか役割のところが見えないので、どうなるのかについても教えていただきたい。
 以上です。

○石川委員長 今日は報告ということで予定しておりまして、事務局としても、今、いただいた御意見に対して即答できる準備がまだ整っていないかと思いますので、私たちも障害統計は非常に重要な問題であると認識しておりまして、ただ報告を聞くという関わり方ではなくて、より積極的な関わり方を持っていきたいと考えておりますので、その点につきまして、ぜひ事務局より総務省の統計委員会とのパイプラインをつないでいただきまして、今後、公式統計等に望ましい形で障害統計を組み込んでいただけるよう、私たちも協力を惜しまないことをお伝えいただければと思いますが、寺本参事官、いかがでしょうか。

○寺本参事官 御指摘ありがとうございます。
 先ほど佐藤委員、竹下委員から御指摘をいただいたところでございますが、この記述の中に「具体的な取組課題は想定されない」といった記述があるわけでございます。これにつきましては、現時点におきまして、これから既存の統計をどのように見直していくのか、あるいは新たな統計分野についての掘り起こしを図っていくのか、そういったどの統計においてどういう形でという具体的な姿というのが、まだこの計画の中に具体的に盛り込める段階まで煮詰まっていないのではないかという問題意識から、このような書きぶりが想定されていると思っております。
 ただし、障害者統計の充実につきましては、様々な形で分析を改善・向上させるなど、御指摘を踏まえた取組が必要だと思っておりますので、先ほど竹下委員からいただいた御指摘も踏まえて、雇用分野においての統計と、あるいは他の分野との統計でどのような役割分担を図っていくかなど、既存の統計と新たな取組の役割分担なども含めて、引き続き関係省庁とも協力しながら、総務省に対してこれから説明を尽くしていきたいと考えております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員、どうぞ。

○竹下委員 この中で府省庁ということにされているから逆に聞きたくなるのは、地方の福祉サービスの格差が出てきていることが、この委員会で何遍も問題になっているわけですけれども、自治体間によって障害福祉サービスの実施状況が大きく異なってきている点があることを考えますと、権利条約との関係から見ても、実施状況を把握する上で、そういう地域間格差というものの把握がどうしても必要かと思うので、どういう形になるかわかりませんが、その点も検討いただくことをお願いしておきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 短い時間でお願いできますか。
 伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 突然なのですけれども、この「状況の変化等」と書いてある欄のことですが、「障害者に関する政策の監視・評価に使える水準の統計」ということが書かれています。ともすれば、統計というのは数だけを調べるということになりがちですけれども、何がどうだったかということに結びつけることは非常に大事だと思うのです。例えばなぜという前に既にあるのですが、どの程度却下されたのか、どういう理由で取り上げてもらえなかったのかということを調べていくことが、その後の政策に反映されていくのだと思うのですが、最近、難病を入れていただきましたけれども、長い間却下の対象だったわけで、そういう観点からも、ぜひそういう方面も加味したというか、考えた統計というのをお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 統計データの整備だけでなくて、それ以外の調査も必要だという御趣旨として受けとめさせていただきます。
 それでは、次の議題に移りたいと思います。
 各論の審議。まずは「5.自立した生活の支援・意思決定の推進」について審議を行います。
 最初に、事務局と厚生労働省からそれぞれ御説明をいただきます。まず、事務局から説明をお願いいたします。

○寺本参事官 それでは、本日の審議におきましても、これまでと同様、冒頭に事務局から各施策分野の基本的な考え方を御説明申し上げ、その後、関係省庁から主な施策や成果目標等について御説明いただくことといたします。
 では、「5.自立した生活の支援・意思決定支援の推進」の分野の「基本的考え方」、1ページ目の四角囲みのところですが、ポイントを申し上げますと、自ら意思決定することが困難な障害者に対し、本人の自己決定を尊重する観点から必要な意思決定支援を行うとともに、障害者が自らの決定に基づき、身近な地域で相談支援を受けられる体制を構築すること。  次の段落の2行目あたりですけれども、障害者の地域移行を一層推進し、障害者が必要なときに必要な場所で、地域の実情に即した適切な支援を受けられるよう取組を進めること。
 加えて、次の段落の2行目あたりですが、在宅サービスの量的・質的な充実、障害のある子供への支援の充実、障害福祉サービスの質の向上、アクセシビリティ向上に資する機器の研究開発、障害福祉人材の育成・確保等に着実に取り組むことなどを基本的な考え方として掲げております。
 事務局からの説明は以上です。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課:内山課長) 厚生労働省の障害福祉課長でございます。
 障害福祉課で担当している事項につきまして、第4次計画の本文案に沿いまして御説明を差し上げたいと思います。  まず、最初に「(1)意思決定支援の推進」でございますけれども、この部分は大きく2つの取組を進めているところでございますし、さらに進めたいと思ってございます。
 一つは、「意思決定支援ガイドライン」というものを作ってございますので、この意思決定支援ガイドラインの普及を図るということでございます。
 もう一つは、成年後見制度は利用促進法が成立していることもございますので、そうしたことも踏まえ、この成年後見制度の適切な利用の促進ということに力を入れていきたいと考えてございます。
 次に「(2)相談支援体制の構築」ですけれども、ここからは「(2)相談支援体制の構築」「(3)地域移行支援、在宅サービス等の充実」「(4)障害のある子供に対する支援の充実」「(5)障害福祉サービスの質の向上等」と障害福祉サービスに関することが続くわけですけれども、御案内のように障害福祉サービスにつきましては、今現在、総合支援法に基づき展開されているわけですけれども、この総合支援法は、昨年に3年後見直しということで法改正が行われておりまして、その大部分が平成30年、来年4月の施行になってございます。
 また、あわせて来年4月には、障害福祉サービス等報酬の改定も予定されておりますので、そうした中でも施策を進めていきたいと考えてございます。
 「(2)相談支援体制の構築」に戻らせていただきますと、最初の○は、総合的な相談支援を提供する体制を整備していくということでございます。
 2つ目の○は、そうした中でサービス等利用計画案の作成、それを障害者個々の状況を踏まえて作っていくということでございます。
 あわせて、1ページ目の最後の○は、相談支援体制の中で基幹相談支援センターの設置の促進を図りたいと考えてございます。
 2ページに進みまして最初の○ですけれども、発達障害者の方に対しまして、発達障害者支援センターでの様々な取組、それから、発達障害者地域協議会での取組、そうしたものを進めていきたいと思ってございます。
 2ページの4つ目の○になりますけれども、ここからは虐待防止の話でございまして、虐待防止法に関する広報・啓発ということを行いますとともに、ガイドラインの策定あるいは職員に対する研修、そうしたことを通じて相談業務の質の向上も図っていきたいと考えてございます。
 「(3)地域移行支援、在宅サービス等の充実」でございますけれども、1つ目の○は、居宅介護、重度訪問介護を初めとした在宅サービスの量的・質的充実を図っていくということでございますし、2つ目は、医療的ケアが必要な方が増えておりますので、そうしたものを含む支援の充実を図るということでございます。
 3ページの1つ目の○ですけれども、地域生活支援拠点等の整備を進めておりまして、これはそれぞれの地域で一人暮らし、自宅暮らしを支える地域生活支援拠点というものの整備をそれぞれの地域で進めていっていただく。その支援をしていくということでございます。
 2つ目の○は、グループホームの整備の促進ということで、その中で重度障害者の方にも対応したグループホームの検討を進めたいと考えてございます。
 「(4)障害のある子供に対する支援の充実」でございますけれども、○の4つ目、発達障害の早期発見、早期支援というのを引き続き進めていきたいと考えておりますし、次の○は、児童発達支援あるいは放課後等デイサービスといったものの適切な支援の提供、さらに先ほど大人の部分でもお話をしましたが、医療的ケアが必要な障害児のお子さんが増えておりますので、こうした方に対する適切な支援が受けられるような体制もつくっていきたいと考えてございます。
 4ページに進ませていただきまして、「(5)障害福祉サービスの質の向上等」でございますけれども、2つ目の○で書いてありますように、第三者評価の実施あるいは評価結果の促進に努めていきたいと思っていますし、また、報酬での評価も含めて適切な評価、そして良質なサービスを選択できるような体制もつくっていきたいと思ってございます。
 3つ目の○の意思決定支援のところは再掲でございますので、飛ばさせていただきまして5つ目の○でございますけれども、重度訪問介護の支給決定などにつきまして、個々の障害者の皆さんの状況を踏まえて、自治体で適切な支給決定をしていただけるように、これまでも指導を進めてきているところでございますが、改めてその周知に取り組ませていただきたいと考えてございます。
 私の担当部分は以上でございます。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部企画課:朝川課長) 引き続きまして、厚生労働省障害保健福祉部企画課長でございます。
 同じ4ページ目の(5)、4つ目の○と6つ目の○でございますけれども、それぞれ総合支援法に基づいて障害福祉計画の枠組みがございますので、国が基本指針を示しながら体制整備をしっかり行っていく。その際、地域格差のないように行っていくということでございます。
 同じく(5)の下から2つ目の○でございますけれども、難病の患者さんに障害福祉サービスの提供が行われるように枠組みの改正がされておりますが、その対象疾病の拡大をしながら、さらに円滑な事務が実施されるように、理解と協力の促進を図っていきます。
 一番下の○は、昨年、総合支援法の改正がございましたので、その改正後の施行の状況を踏まえながら、さらなる施策の充実を継続的に検討していくということでございます。
 次に(6)でございます。
 福祉用具につきましては、最初の○で研究開発の推進を進めていくということを記述してございます。
 5ページ目に参りまして1つ目の○でございますが、補装具の仕組み、あるいは日常生活用具の給付、そういったことを引き続きやっていくとともに、福祉用具の情報提供に努めてまいります。
 2つ目の○は、同様に福祉用具に関する情報提供や相談窓口の整備、福祉用具の相談に従事する職員の質の向上でございます。
 (6)の最後の○は、補助犬法に基づきます補助犬の育成あるいは補助犬を使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化を図ってまいります。
 (7)でございますが、社会福祉士等の福祉専門職についての養成・確保に努めるということと、実際にサービスに従事する者について、専門的な知識、技術を有する人材の確保、資質の向上を図っていくということでございます。
 最後の○は、国立障害者リハビリテーションセンター等において専門的な研究を行っていくということでございます。

○厚生労働省(子ども家庭局総務課少子化総合対策室:小林室長補佐) 失礼します。厚生労働省子ども家庭局でございます。
 子供の部分、(4)の最初から2つの○でございます。
 まず、1つ目は、障害児の子供が保育や学童保育をしっかり受けられるようにということで、厚労省として様々な施策を進めておりますが、例えば職員の加配措置、また、本年度から始まりましたけれども、保育士のキャリアアップ研修の中に障害児の項目も研修として盛り込んでおります。
 また、優先利用に関しましても、従来から保育所に関しましては優先利用の対象に入れておりましたけれども、昨年の夏に学童保育に関しても優先利用の対象として障害児を位置づけるということで、通知を出しております。
 2つ目の○でございますけれども、厚労省といたしましても、障害児を受け入れるために必要な改修費の補助なども行っておるところでございまして、障害児の子供たちが保育をしっかり受けられるように、保育所の環境整備をしっかり進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、ここまでの事務局並びに厚生労働省各所管からの御説明に対しまして、御意見・御質問等がある委員は挙手をお願いいたします。
 まず、安部井委員、お願いします。

○安部井委員 どうもありがとうございます。
 先週、22日の報道で、医療的ケア児の受け入れに関しまして、報酬の加算が検討されるという報道がありましたことを大変嬉しく聞きました。ありがとうございます。
 それに連動するのですが、資料2─1の3ページ、重症心身障害児者の場合、児者一貫の支援体制という視点から在宅支援の充実のために重症心身障害児の生活の基盤をしっかりしていただきたいと思って、発言させていただきます。  私たちの子供は、そんなに広い行動範囲を持っておりません。ですので、日中活動の場は、生活の基盤になって大変大切なところになっております。しかし、本人の体調、また、いろいろな病気を持っておりますので、それによる入院。それから、全国には送迎がない施設もありますから、そういう場合には主たる介護者が自らの送迎もしております。しかし、その家族が病気になりますと、本人の体調が良くても通えない。また、幼い兄弟がおります場合には、その兄弟が病気になるといった理由で通所に行くことができないということが発生します。
 そうすると、事業所では欠席が大変多くなりますことで経営基盤が不安定になります。50%を超える欠席率がある施設もありますので、そういう不安定な中で私たちの子供が通うというのは、親としても不安感を抱えております。
 ですので、私たちの子供が日中活動を十分に支援していただけるように、職員さんを配置していただいておりますけれども、欠席になってもその職員さんを休ませるわけにはいきません。欠席率を勘案した報酬が検討されるべきです。そこで、成果目標の部分にはぜひ、「報酬の仕組みを検討の上、目標の達成を図る。」旨の記述をお願いしたいと思って発言させていただきました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 たくさんの委員から御発言があると理解しております。時間が限られているので、もし、可能であればこの部分のここにこういったことを入れてほしい、あるいはこの書きぶり、表現はこのように修正してほしい、なぜかというとこうであるという御提案をいただけるとありがたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、次に飯塚委員、お願いいたします。

○飯塚委員 ありがとうございます。
 精神家族会みんなねっとの飯塚です。
 意思決定支援の推進から一つ、相談支援体制の構築から一つ、そして地域移行支援、在宅サービスから、一つずつ意見を述べたいと思います。
 「(1)意思決定支援の推進」として、1つ目の○で、本人の自己決定を尊重するために、意思決定支援ガイドラインの普及や成年後見制度の適切な利用の促進などが挙げられています。
 御存じのとおり、これまで精神障害者の家族は、医療を受けさせる義務、医師の指示に従う義務などを課せられまして、時に本人の意思を無視せざるを得ない苦しい立場に置かれてきました。保護義務が解除された今、医療保護入院制度の非自発的な入院において、公的保護者制度の確立と、本人の意思決定を尊重する対策が求められています。
 医療中断者や緊急時に必要とされる入院治療への導入は、専門家が家庭に出向いて、本人が納得し、同意が得られるまで働きかける必要があります。精神疾患には、病状悪化時に昼夜逆転という特性があり、そのため夜間の危機介入体制は地域生活を維持する上で必要不可欠です。
 しかし、現状では、精神科救急情報センターはあるものの、電話相談、確保した病床の案内、警察官通報の対応などが主であり、専門家が自宅を訪問する体制はとられていません。病状の悪化したときは、本人は医療の必要性を理解することが大変困難になり、本人の自己決定が可能となる仕組みづくりが必要です。
 成年後見制度も、単に財産管理だけではなく、障害者が地域で生きていくための全支援を行う存在であってほしいと思います。成年後見人が一人で対応するのではなく、普段の生活を熟知した家族、関係者や福祉の専門職等の意思決定を支援する者が継続的に集まって、本人を中心に協議するなどの相談・連携ができる体制づくりを求めております。
 「(2)相談支援体制の構築」ですが、2ページの6つ目の○では、家族と暮らす障害者について、情報提供や相談支援等により、その家庭や家族を支援するとともに、ピアカウンセリング等が有効であり、重要な手段であり、当事者による相談活動のさらなる拡充を図るとあります。元気を取り戻し、社会の役に立つ活動ができるようになれば、本人も生きがいを感じられて、より一層の回復が望めると思います。
 一方で、これまで家族は、専門家とともに支援者側と見られてきました。現在は、家族も支援される立場だと認識されつつあります。
 家族の実態調査によれば、本人が初めて精神科を受診したとき、9割に上る家族が精神疾患に関する知識に乏しく、情報から孤立していたこと、また、根強い偏見がある社会からの孤立、支援が必要にもかかわらず、支援からも孤立していたことが明らかになりました。この家族が抱える3つの孤立から脱却するには、家族が速やかに相談支援につながる仕組みが必要だと思います。
 保健所での支援機能が拡充するとともに、家族によるピア活動も有効であり、欠かせないこととして活動への支援拡大を図っていただきたいと思います。
 「(3)地域移行支援、在宅サービス等の充実」ということで、3ページの4つ目の○ですが、精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築を進めるとあります。大変期待しているところですが、どのようなものか、前回も質問いたしましたが、ぜひ内容を伺いたいと思います。  ほとんどの医療機関では、薬物治療により状態を落ち着かせることが主であり、生活支援に関しては家族に任せたままです。地域の福祉の機関では、通えるなら利用してくださいというスタンスで、谷間に落ちたように家に引きこもった状態で何年も過ぎている方が多いのが実情です。
 医療と福祉の多職種チームによる訪問型治療と支援が望まれています。精神障害者の特性をよく理解した上での支援策を、ぜひ構築していただきたいと思います。その後で、グループホームやケアホームなどの生活支援が受けられるようにしてほしいと思っております。
 そのためにも、5ページ「(7)障害福祉を支える人材の育成・確保」の中で、障害特性を理解したホームヘルパーの養成及び研修は大変重要だと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○石川委員長 非常に重要な御指摘だと思いますので、後で厚労省のほうから御回答いただきたいと思います。
 次に、加藤委員、お願いします。

○加藤委員 ありがとうございます。加藤です。
 私は、4点について意見を述べさせていただきたいと思います。
 1点目は、1ページ「(2)相談支援体制の構築」というところですが、相談支援体制はこの場でも大きなテーマになっています。共生社会に向けたインクルーシブ社会の構築というところですが、ハンデを持って、様々な困難さを持って生きる場合に、身近に寄り添う形で相談支援事業所あるいは相談支援専門員が存在することが重要であるということがうたわれているわけですけれども、現実的にはこれがまだ機能していない、充実していないという状況にあろうかと思います。とりわけ子供の問題においては、特にそれが顕著だと私自身認識しております。
 (2)の1つ目の○の2行目、「様々な障害種別に対応し」とありますが、障害種別だけではなくて、世代ですね。大人の相談支援と子供の相談支援はまた違いますので、そういう意味ではそれぞれの世代に応じた相談支援体制というものが求められるかと思います。
 とりわけ、今、走っている相談支援事業としては、例えば子供の時代には基本相談というのが非常に重要な意味を持ってくるのですけれども、大人の制度に引っ張られて基本相談にお金がついてこないのですね。ところが、子供の場合にはそこに一番エネルギーを使う、デリカシーを使うということで大事なところなのですね。それに膨大なエネルギー、時間を使うにもかかわらず、評価されていないということが現実にあって、結果として子供の相談支援事業の充実がなかなか拡大しないという状況にあります。そういう意味でも、子供が大人に倣えみたいな話は、ぜひやめるべきだと思うところです。
 結果として、2つ目の○ですが、今日、サービス利用計画、支援計画というところにおいて、セルフプランというのが非常に大きな割合を占めてしまっているのですね。それは相談支援事業所が機能していないからなのですね。特に子供の場合には、親あるいは行政がそのプランを作ってしまっているという実態があります。
 それを阻止するという意味でも、しっかりと中立・公平・公正な地域の機関あるいは担当者がしっかりと本人中心の視点に立ってプランが立てられるように、相談支援体制の充実ということをぜひ図っていただきたいし、結果として、今日、支援計画なしでも事業ができてしまうというか、ペナルティとしてマイナス5%という形で終わってしまうのですね。
 支援計画のない支援事業、支援サービスがあり得るのかと私たちは思うのですけれども、現実的にそれがかなり横行しているという実態があります。そういう意味で、そういうところについても厳しいペナルティを課すような対応が必要かと思います。
 2点目、これはよくわからないのですが、2ページ目の1つ目の○あるいは2つ目の○のところに「発達障害児・者」、2つ目の○には「高次機能障害児者」とあるのですが、なぜこの表記はポツが入ったり、入っていなかったりするのか。あるいはもっと前の1ページ目には、児者でなくて、者と言って、その中に子供を含んだりという表記があるのですけれども、これはどういう意味なのか。私的には、全て「児」を入れてほしいのですね。
 先ほどから申し上げていますように、子供は小さな大人ではありません。そういう意味では、固有の存在であり、人格を持ち、課題を持って生きている、育っている。次世代を担うべき重要な存在であるという意味で、「児」もしっかりと足すべきだと思います。
 3点目です。3ページ目の「(4)障害のある子供に対する支援の充実」、1つ目の○ですが、御案内のように、子ども・子育て支援法ということが少子化対策としていろいろなされているわけですけれども、この法律に基づいて、子ども・子育て支援会議というのが、国、都道府県、区市町村というように、3層にわたって支援会議がそれぞれのレベルで検討する。話題にして、子供が生まれ、育ちやすいようにということを議論する場があるわけです。
 この場でも申し上げたのですが、今、発達に課題を持つ子供たちが1割近くいるのですね。文科省のデータですけれども、3.88プラス6.5、これは約1割です。この1割の子供たちのことが、子ども・子育て支援会議で、国、都道府県あるいは区市町村のどのステージにおいても、1,800の中で例外はありますけれども、ほとんど障害関係の人たちがメンバーに入っていないのですね。ということは、1割の子供たちがネグレクトされた状態で地域の子ども・子育てを議論しているという実態があるのですね。ですから、これはある意味で国家的な虐待ですよ。差別です。ですから、これを一刻も早く改善すべきだと思います。
 例えば国の子育て支援会議では、25名の委員がいるかと思います。オブザーバーが2~3人いるかと思いますが、関係者は基本的に一人もいません。それで右に倣えというか、上に倣えで、都道府県も区市町村もほとんどいないという実態があって、1割の子供を議論しないまま地域の子ども・子育てが議論されているという実態になっている。これは由々しき問題です。
 なぜここでそういうことが問題にならないのか、不思議ですけれども、そういうことが話題になっていないと見受けられます。ぜひ改善すべきだと思います。
 5ページ目の(7)、人材養成はどの分野、どの領域でも我が国においては喫緊の課題で、皆さん関係者の頭を悩ませるわけですけれども、特にこの福祉の世界では、それぞれのニーズに応じた国家的な資格を養成しているわけですけれども、基本的にはこれも大人のリハビリテーションが中心なのですね。確かに数は多いのかもしれませんけれども、先ほどから申し上げているように、確実に1割近い子供たちがハビリテーションなのですね。リハビリテーションではないのですね。
 ですから、そういう意味で養成も、例えば関係セラピストたちと言いますか、コメディカル、パラメディカルのスタッフの養成も、ほとんどが大人のリハビリテーションを中心とした養成をメインにしていて、ほとんど小児と言いますか、ハビリテーションの世界で対応できる人たちというのは例外的なのですね。セラピスト養成課程で変人扱いされるぐらいになかなかいないのですね。これはやはり由々しき問題だと思うのですね。
 そういう意味で、このリハビリテーション関係者の養成という意味でも、小児と言いますか、乳幼児期からのハビリテーションの視点からのスタッフの養成ということを、ぜひ視野に入れて検討すべきだと思います。
 どうもありがとうございました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、三浦委員、お願いします。

○三浦委員長代理 ありがとうございます。
 1ページ目の「(2)相談支援体制の構築」の○の1つ目のところでございますけれども、今の加藤委員の意見とも重なり合います。2行目です。「様々な障害種別に対応し」という部分でございますが、この「様々な」の前に「性別、年齢」を入れていただきたいということ、そして、「障害種別」の後に「や状態等」という文言を入れていただき、いわゆる総合的な相談支援というものがどういうものであるかの具体的なイメージが示せるようにしていただければと思います。  もう一点、5ページ目になりますが、「(7)障害福祉を支える人材の育成・確保」のところで、まず、1つ目の○、第3次のときにももう少し検討すべきだったのかなと思いますけれども、3行目、いわゆる専門職の「医学的リハビリテーションに従事する者について」の「医学的」というものが少し気になります。
 先ほど加藤委員がハビリテーションということを言われましたけれども、むしろ理学療法士も作業療法士も言語聴覚士も、福祉サービスの分野で仕事をしていただいて、非常に有益な、有効な方々です。社会的なリハビリテーションの範囲で仕事をしていただいていると思っております。「医学的」ということがリハの前につくことで、非常に限定されやすいと思います。  実は(7)の部分だけでなくて、特に保健・医療では、医学的リハという表記が相当たくさん出てまいりますので、そちらもあわせて御検討いただければと思います。
 それから、ここにぜひ追加していただきたい項目がございます。第3次が検討された5年前に比べまして、障害福祉サービスの持続可能性は、財政的な面だけでなくて、人材確保という部分で加速度的に非常に切羽詰まった課題になってきております。
 そこで、障害福祉サービスの継続と質の向上に向け、幅広く人材を確保し、定着させていくための検討をお考えいただきたいと思います。例えば従事者の心身の負担軽減のためのリフト機器の導入を初めとし、専門性を高めるための研修に参加できるような職員体制の確保など、具体的に人材確保と育成に向けた取組を推進していただくことを、一つ項目として入れていただきたいという希望です。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、石野委員、お願いします。

○石野委員 石野です。
 一つは質問、二つの意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 では、まず1点目、4ページの(5)「障害福祉サービスの質の向上等」の2つ目の○のところ、「事業者に対する第三者評価の適切な実施及び評価結果の公表の促進等に務める」という文言ですが、一体誰がどのように評価をするのかということです。例えばサービス事業所に対して行政が監督をするというところもありますが、将来的には民間企業に委託をするという考え方も出ているように聞いています。公正・公平というものを獲得できるかを質問します。
 次に意見ですが、5ページ、障害福祉を支える人材の関係のことですが、「福祉専門職」という言葉があります。「等」というのは様々な職種、専門職が入っていると思いますが、意思疎通支援事業における支援者も専門職です。手話通訳士、手話通訳者、また要約筆記者等、様々な専門職、支援があります。意思疎通支援者を、当然、福祉専門家と同じ扱いをすべきと思いますので、ここに含めていただきたい。特に手話通訳士においては、まだ国家資格ではありません。公的な資格ではあります。しかし、国家試験に格上げという方向で考えていただきたいと思っております。
 2つ目の意見ですが、一番下から5行目の部分に当たります。「障害福祉サービス等を提供する事業者に対し、労働法規の遵守を徹底する」という書き方がありますがどういう意味なのか、よく理解ができません。例えば施設において、入所者の方々の食事指導がありますが、一人一人その内容によって個別の料理や提供の内容も変わってきます。施設内で調理せず、実際に給食業者に任せているところもあります。今年10月から最低賃金法の関係で、委託している業者ではもうつくれないということで、断られたケースも出ているように聞いております。いろいろ他の業者を探す努力しているようですが、そのあたりもぜひ考えに入れていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 ありがとうございます。玉木です。
 冒頭に委員長がまとめてしゃべれということだったので、今、一生懸命書いていたのですけれども、時間が間に合いませんでした。

○石川委員長 後に回しましょうか。

○玉木委員 いいです。どうせしゃべることは変わりませんので、いかせていただきます。
 まず、1ページ目の「(1)意思決定支援の推進」については、この委員会でも何回も言われているように、別に成年後見制度が最良の仕組みとは言っていないわけであって、書きぶりとしては、当面は成年後見制度の適切な利用を進めながら、意思決定支援法などを立法化していく必要があると、そこまで少し明確に書いていただければありがたいかなと思います。
 「(2)相談支援体制の構築」でいくと、ずっと「総合的な相談支援を」と書くのですけれども、何をもって総合的な相談支援というのかはすごく曖昧で、福祉といっても生活全般ですから、医療も、教育も、いわゆる社会生活全般についてきちんと受けとめるというのが総合的な相談支援と考えています。
 そうなると、2ページ目の1つ目の○、2つ目の○、3つ目の○については、いつまで広域的な相談支援事業に頼るのか。高次脳機能であっても、発達障害であっても、難病であっても、地域の相談支援で受けとめた上で全てがつながっていく仕組みにしていく必要があるので、もういい加減そこら辺を一本化していく体制を考えていくべきではないかと思っています。
 上から5つ目の○に「児童相談所、更生相談所、保健所等の関係機関間のネットワークの形成」と書いているのですけれども、残念ながら、特に更生相談所に至っては、相談機関というよりも判定機関で止まっているような気がしています。ですから、特に更生相談所においても、本当にきちんと、例えば正規の相談支援事業所とか行政からの相談をちゃんと受けとめるのであれば、受けとめるだけの体制整備を図っていく。そうでなければ、更生相談所は判定機関ですと言い切ってもらったほうが、役割ははっきりしていいのではないかと思っています。
 その下の○で、私はずっとここでも、いろいろな会議でも言ってきていたのですが、ピアカウンセリングや当事者による相談活動のさらなる拡充を図ると書くのだけれども、誰がどのように育成をしていくのかというのが全然明確でなくて、今やピアサポーターとかピアカウンセリングと言ってしまうと、精神の障害に特化したもののように捉えられがちなのだけれども、実はそうでなくて、全ての障害にかかわる活動、仕事だという認識で、ここら辺は書きぶりを変えていただきたいと思います。
 「(3)地域移行支援、在宅サービス等の充実」の一番下の○に少し気になる書きぶりを発見したのですけれども、「地域活動支援センターの機能の充実等」のという書きぶりがあって、これはすごくありがたいなと思いながら、地域活動支援センターは今、地域生活支援事業の中に入っているわけであって、そうなってくると、これは一般財源に組み込まれているわけですから、そこの財源の充実とか、例えば財源が難しかったとしても、充実と言う以上は、一定の地域活動支援センターの充実のモデルをきっちり提示しないと、何をもって地活センターの充実と呼ぶのかというのがすごく曖昧な書きぶりになってしまっているので、そこは少し整理をしていただきたいと思います。
 いっぱいあるのだけれども、あと2点だけ言わせてください。
 3ページ目の2つ目の○ですね。いつも「グループホームの整備」と書くのですけれども、グループホームは否定しませんが、あわせて地域生活移行支援と考えたときには、いわゆるグループホームだけでなくて、民間とか公営住宅とかの賃貸住宅の確保をどう進めていくかとか、賃貸住宅とかがどうすれば借りやすくなるかということをきっちりと考えていく必要があるのではないかと思います。
 最後にしておきますけれども、5ページ目の1つ目の○の「補装具の購入、借受け又は修理に要する費用の一部に対する公費の支給」云々というところですが、私、実は4月から福祉機器の貸付けの担当をやっていまして、特に生活保護世帯で日常生活用具を購入する際に、差額は生保世帯であれば総合福祉資金で買えるという仕組みにはなっていますが、裏を返せば、生保世帯でなければ貸付けも借りられないということとか、そもそも今の日常生活用具の基準額設定が本当に妥当なのかどうなのか、そこの評価をちゃんとしていかないと、ここに充実すると書いているけれども、何をもって利用促進を図っていくのかというのがすごく不明確なので、やはり基準額の変更も時代に合わせて見直しをかけていく仕組みを、福祉サービスと同様に定期的にかけていきますぐらいの書きぶりで書いてほしいと思っていますが、もうしゃべり過ぎたのでやめておきます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 今の感じでいきますと、予定していた時間の中で各委員からの発言を全部受けるのが精いっぱいで、それに対する御答弁をいただく時間を確保できない可能性が出てきておりまして、どうしたものかと悩んでおります。皆さん思いのたけがすごくたくさんあって、提案と思いのたけの部分と両方をおっしゃると時間が足りないということになっております。
 それで、大体半分ぐらいの方からの御提案等をいただいたので、ここまでで一度、厚生労働省のほうから御答弁をいただけますでしょうか。
 2、3分、時間をとったほうがよろしいですか。
 大丈夫ですか。では、よろしくお願いします。

○厚生労働省(内山課長) 御質問・御意見、ありがとうございました。障害福祉課長でございます。
 まず、加藤委員、三浦委員、玉木委員から案文や書きぶりについての御意見をいただいたわけですけれども、その御意見を踏まえまして少し整理・検討をさせていただければと思ってございます。
 次に、安部井委員から、重心のお子さんの日中活動の場についての御意見をいただきました。
 先ほど私が報酬改定のお話をしましたけれども、平成30年の報酬改定につきましては、今、厚生労働省内に政務官をヘッドといたしました報酬改定検討チームというのを設けさせていただいて、そこで議論をしています。先ほど安部井委員から御指摘のあった新聞記事も、22日に障害児、お子さんの議論をさせていただいたので、それを踏まえての記事だと受けとめてございます。
 重心のお子様方の日中活動の場についての充実については、これまでも多くの方からも御意見をいただいていますので、そうした御指摘を踏まえて、この報酬改定の議論の中でさらに議論をさせていただければと思ってございます。
 次に、加藤委員から御指摘のありました子供の相談の充実ということにつきましても、報酬改定の検討チームの中で議論を進めるとともに、子供の相談あるいはお子さんの保護者の支援も含めて、少し議論を進めさせていただきたいと思ってございます。
 また、三浦委員からございました、職員、携わる方々の確保という面でございますけれども、これはこれまでも職員の方の処遇改善などにも取り組んでまいりましたが、職員を多く配置した場合の評価のあり方なども含めて、これも引き続き検討させていただければと思ってございます。
 次に、石野委員から御質問のございました第三者評価ですけれども、これは第三者評価機関というところがすることになってございます。
 次に、玉木委員から御質問のあった、特に相談のところで専門的な機関と地域での総合相談との関係、これは難しい課題ではございますけれども、まだそれぞれが専門的な相談にせよ十分な状態にないと思いますので、まずはそれぞれの部分で進めていくというところを優先させていただければと思ってございます。
 あわせて、玉木委員からございました、グループホームだけでなくて、賃貸住宅を含めて一人暮らし、自宅暮らしを支えるという御意見かと思いますけれども、これは国交省とも連携をさせていただいて、住まいの協議会をそれぞれの地域でつくっていただくという取組をしておりますし、先ほど少し私の説明の中で触れさせていただきましたが、地域生活支援拠点あるいは平成30年度から始まる自立生活支援という新しいサービスは、まさに一人暮らし、自宅暮らしを支えるサービスですので、そうしたものも活用しながら、こうしたところをお支えしていければと考えてございます。

○厚生労働省(朝川課長) 障害保健福祉部の企画課長です。
 加藤委員、三浦委員、石野委員、それぞれから5ページ目の(7)の人材育成について御意見をいただいておりますが、書きぶりについては御趣旨を踏まえて検討したいと思います。
 また、玉木委員から、私どもの制度で、地域生活支援事業で行っている事業に関する充実のお話をいただいております。基本は、地域生活支援事業は自治体の創意工夫で行っていただくものを我々が支援するということですが、国としてもしっかり財源を確保しながら行っていくことが重要ですので、そういったことも含めて検討していきたいと思います。

○石川委員長 あと、飯塚委員からの御指摘あるいは玉木委員から御指摘のあった成年後見制度の適切な利用等々につきまして。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課:瀬戸係長) 厚生労働省精神・障害保健課から、飯塚委員から御質問いただきました、「精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、『精神障害にも対応した地域包括ケアシステム』の構築を進める」とは具体的にどういったことかということについて、回答をさせていただきます。
 「『地域包括ケアシステム』の構築を進める」ということにつきましては、今年度から当省で、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業というものを始めておりまして、こちらの一番大きな目的が地域包括ケアシステムの構築ということになっておりまして、この構築を進めるためにも、具体的に申し上げますと、精神科病院を初めとした医療機関ですとか、地域援助事業者ですとか、各自治体の障害保健福祉担当部局の方々の顔の見える関係を構築しまして、そこで地域の課題を共有化した上で、包括ケアシステムの構築に資する取組を推進するということで、この事業におきましては、精神障害者の方の住まいの確保の支援の事業ですとか、地域包括ケアシステムに関係する様々な事業を行うことができまして、こういった取組を通じまして地域移行支援に取り組んでいきたいと考えているところです。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 あと、「成年後見制度の適切な利用」という表現だけでは不十分ではないかという御指摘について、障害福祉課長。

○厚生労働省(内山課長) 玉木委員から意思決定支援法というお話もあったかと思いますけれども、意思決定支援法という法律自体をどうするかというのはまさに今後の議論だと思いますので、まず、この計画では、成年後見制度の利用促進というところを書かせていただきたいと思っております。

○石川委員長 蛇足になりますけれども、権利条約においては、成年後見制度から支援つき自己決定制度へパラダイムシフトを強く求めています。特に権利委員会の一般的意見は、さらにそれを強調しております。
 その中で、「適切な利用」と言うときの「適切」というのは、日本政府はどのような意味で言っているのかがわかるような書きぶりにしていただく必要があるかと思いますので、その点について、今後、事務局とも調整をお願いしたいのですけれども、よろしいでしょうか。
 よろしくお願いいたします。
 それでは、引き続きまして大日方委員、お願いします。

○大日方委員 ありがとうございます。
 私からは、4点意見を述べさせていただきたいと思います。順番の関係で後ろ側のページからいくことをお許しください。  まず、5ページ目、項目で言いますと(6)の2つ目の○になります。
 先ほど玉木委員からもこの件について少し御発言があったと思いますが、補装具の購入、日常生活用具の給付・貸与というところ、ここの項目について少し足さなければいけない項目があるように感じております。
 時代が変わってきているのに、福祉用具の給付対象となるものが非常に限られてきているということを感じております。新しいテクノロジーの進化によって、自立した生活がよりできるような状況になっているものに対して、単に情報提供をするだけでなくて、定期的に見直しをする、あるいは新しいものを積極的に取り入れることができるようなものを、一文付け加えていただければありがたいかなというのが1点目でございます。
 続きまして、2点目です。「(3)地域移行支援、在宅サービス等の充実」、2ページ目の最後の○ですが、外出のための移動支援、これらのお話がありますけれども、ここで少し気になりますのが、3ページ目にまたがっておりますが、「利用状況に応じて」と書いております。これが、現状利用できる中で、できる範囲での利用状況というところにとどまるというのは本来の趣旨でなくて、むしろ本人の生活、障害がある当事者本人がどのような希望をするのか、そういった意思が重要なのではないかと思っておりまして、ここの書きぶりについて少し御検討をいただければと思っております。
 例えば文科省のほうで今、取り上げている、障害のある人たちにも積極的に生涯学習をやっていただこうという取組、こういったものを本人が希望していく場合に、この中のどこで受け入れていくのかというところは、ここで書けるのではないかと感じております。
 1ページの「(2)相談支援体制の構築」の3つ目の○です。これも先ほど玉木委員からお話がありましたけれども、「基幹相談支援センターの設置を促進するとともに」と書いております。この書きぶりは、前回の基本計画のところで書かれたものとほぼ同じものだと思うのですが、私自身が地域の自立支援協議会でお話を聞いていると、まだこの基幹相談支援センターの中身が一体何なのか、ここについてかなり戸惑いといったものがあると思います。設置をするのはいいのだけれども、その中で何をするのか。何をして、それがどう活かされるのかというところについて、少し踏み込んだ形で第4次障害者基本計画については書き込む必要があるだろうと考えております。
 最後、4点目でございます。3ページ目の「(4)障害のある子供に対する支援の充実」というところです。これは○を一つ追加していただけるとありがたいなという御提案です。
 障害のある子供が運動活動といったもの、広い意味でのスポーツということでよろしいかと思いますが、そういったものをするときに、やはりそれ用、スポーツ用の機器でありますとか人的なサービスといったものが必要になります。こういったものを、ぜひ支援の充実の中に一つ加えていただけるとありがたいなと思っております。
 以上です。ありがとうございました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤委員。

○佐藤委員 ありがとうございます。4点あります。
 まず1つ目ですが、脱施設計画を策定して記述していただきたいと思います。条約第19条では、障害者が他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するか、選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活する義務を負わないと書かれています。これに対して効果的な措置をとるということも締約国に要請しております。
 さらに、今年の8月29日に、第19条の解釈のガイドラインであります一般的意見5が権利委員会から出されました。この中で締約国の義務の一つとして、効果的な脱施設の戦略を国としてとることとされています。それは入所施設の閉鎖だけでなくて、地域社会へインクルーシブなサービスと、様々な類型の個人の支援サービスの確立が求められる体系的な移行が必要とされています。こういったことから、政府として現行の障害福祉計画よりも質的な進化を伴った効果的な脱施設の計画を策定し、年限とあるべき目標の設定によって実効性を確保すべきだと考えます。
 2点目です。障害のある人が子供を持ち、育てることへの支援という項目も、ぜひ設けていただきたいと思います。
 第1回政府報告の議論の整理にも、障害の有無にかかわらず安心して生み育てることができる支援や環境整備が必要であると書かれました。条約23条にも対応する、性別を限定しない項目の記述が必要だと思います。
 3点目です。1ページ目の「(2)相談支援体制の構築」のところなのですが、ここに「性別、年齢、状態等に配慮」という記述をしていただきたいと思います。差別解消法の対応要領、対応指針にも相談窓口について、性別、年齢、状態等を配慮と記述されております。これを踏まえて、同様のことをぜひ書き込んでいただきたいと思います。
 最後は2ページ目の(3)の2つ目の○になります。ここは文章を入れていただきたいのですけれども、「日中及び夜間における医療的ケア」の後に「及びいわゆる見守りを含む支援の質と量の充実を図る」としていただきたいと思います。重度の身体障害や知的障害等の場合は、横に待機をして必要に応じて介助をするという、いわゆる見守り介助と呼んでいますけれども、ここが非常に重要になりますので、ぜひ明記をお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。2点です。  1点目は三浦委員に重なりますけれども、横断的考え方で女性を十分に議論したはずなのに全く反映されていないということが問題だと思っています。したがって、「基本的考え方」のところの「さらに」以下の段落で、「障害者、とりわけ障害のある子供及び女性が」とした上で、さらにその後の「障害の子供や女性への支援の充実」と挿入すべきだと思います。
 その結果として(4)の題が「障害のある子供に対する支援の充実」というところは「障害のある子供及び女性に対する」とすべきで、その上で○を一つ起こして、障害のある女性の安心・安全に結びつく政策を立てるべきだろうと思います。これが一点です。
 2点目は、(3)の移動の支援のところですけれども、移動の支援を含めて障害福祉サービスが日常生活及び社会生活の支援と書いておきながら、社会生活のところの支援がなかなか具体化されないと思うのです。それが通学・通勤だったり、自営だったりするにしろ、そうした社会参加の部分での支援が制約を受けていることは御承知のとおりです。そこを考えますと、5-(3)-1の書きぶりを変える必要があると思っています。
 最後のところがこうなって終わっているのですけれども、「在宅サービスの量的・質的充実を図る」だけでは何も具体的に見えてこないわけで、例えばこの点を「自立・自助への促進」とか「自立・自助を支える」とか、そうした言葉を追加していただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 阿部委員、お願いします。

○阿部委員 阿部です。
 3つの点について確認とお願いです。
 最初は2ページの5つ目の○に「各種ガイドラインの策定及び普及、障害者相談員や」ということで、障害者相談員の研修について言及していることはとても大事なことです。障害者相談員、つまり当事者相談員の研修は都道府県事業であって、その研修が充実することは大事なのですけれども、障害者相談員の委嘱、任命は市町村事業になってしまっていますので、そこがうまくかみ合っていないという状況があります。
 今の施策の流れから言いますと、権利条約を踏まえて社会的障壁の除去、社会環境を整備する、それは全ての市町村であってこそ実現することでありますので、全ての市町村に障害者相談員が任命されるということがすごく大事なことだと思います。  その障害者相談員の委嘱については、全ての市町村が行うという趣旨の内容が入ることが望ましいと思います。財源の一般化によって、障害者相談員を任命しない市町村もあるやに聞いておりますので、その辺、今の時代だからこそのそれぞれの暮らしている地域における社会環境の整備、合理的配慮について、障害者自らがどのような配慮が必要ということを発信していくこと、これも障害者相談員を中心として取り組むべきだと思いますので、その辺のところをここへもう少し加えてほしいと思います。
 2ページの下から2つ目の○です。機能訓練についてはとても大事なことで、書いてあるとおりです。ただし、例えば介護保険の16特定疾病、脳血管疾患などで、例えば高次脳機能障害、失語症の方にとってもとても大事な機能訓練事業なのですけれども、40歳以上の人は介護保険を使えるからということで、あまりこのサービスを選択肢として意識するような環境にないように思います。当然これはとても大事なことでありますので、介護保険事業についても、いわゆるケアマネさんについてもこの事業の重要性というのを知っていただいて、人生の途中で障害になった脳血管疾患の方、脳血管疾患により高次脳機能障害、失語症になった方々にとっても、このサービスはしっかり使えるのだよという表記になるとありがたいと思います。これは本当に大事なことだと思います。
 3点目は、既に石野委員が質問されて、厚労省がお答えされたことですけれども、評価機関が第三者評価を行う場合には、その経済的負担というのが事業所にかかってくるのではないかと思うのですけれども、報酬費の問題もありますけれども、今、事業所はかなり厳しい状況にあるように伺っておりますので、この第三者評価を進めるのであれば、第三者評価に関する経済的負担の軽減というのも、ぜひ進めていただきたいと思います。
 以上、3点です。よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 平川淳一委員と北岡委員を把握しております。お二人、順に。
 平川淳一委員、お願いします。

○平川(淳)委員 ありがとうございます。平川です。
 いくつかあったのですけれども、時間がないので2点に絞ります。
 まず1点目は、先ほどの5-(2)のあたりで「協議会」という言葉がいくつも出てくるのですけれども、今でも顔の見える関係ということで、いろいろな形で協議会や委員会等が開催されているのですが、実効性がないのですね。何か問題があっても、その事業所、私どもの近くではグループホームが問題になっていますが、当事者の方がやっていらっしゃるグループホームなのですけれども、そこを指導する方法が全くないのです。やはり実効性のあるような質の担保体制というものを、ぜひ盛り込んでいただきたいというのが一つです。
 もう一つは、先ほども阿部委員から出ていましたが、制度の谷間に入ってしまう方がいる。例えば児童福祉法で、二十歳になると急に環境が変わってしまう。介護保険の65歳にならないと何もケアを受けられないという方がいらっしゃいます。この制度の谷間は、縦割り行政なのかもしれませんが、現場では、そういう谷間に入った人たちを何とかすることができる仕組みも必要だと思います。
 あと、生活保護の場合、年金がおりる。突然に預金が増える。そうすると生活保護が一遍に廃止になってしまう。そういういろいろな制度のはざまに入らないような施策を、ぜひこの第4次基本計画では考えていただきたい。
 この2点がお願いであります。以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、北岡委員、お願いします。

○北岡委員 ありがとうございます。
 私も先ほど佐藤委員がおっしゃった、障害がある人の子供を生み、育てることへの支援という項目を新たに立ち上げるべきではないのかと思っています。
 私は主に知的障害を持つ人の支援に30年ほど関わってきましたが、その中で1組、結婚される方を支えてきたわけですけれども、先だってとある地域で30組ほど、知的障害を持つ人たち同士で結婚をされている人たちと出会いまして、やはりそれを支えていらっしゃる方々がたくさんいて、その実践に触れたときに、このことをしっかり書き込む必要があるのではないかと思いました。
 なぜならば、これは私自身の強い反省なのですが、知的障害がある人との関わりの中、そういう障害を持つ人たちは子供を生まないというか、生むべきではないというか、そういう考え方が強く根底にあるのかなと。恐らく家族の人たちもそういう意識をお持ちで、支えようとしている職員の子供たちもどこかそういうことがあって、そのことについては避けてきた感じがしました。
 そんなこともありますので、これは本当に自分の恥ずかしい話なのですが、そういう実践に触れ、最近、視覚障害の方々ともお話をすると、やはり根っこは、こういう障害を持つ人は子供を生まない、生むべきではないという考え方が非常に強く、その方をも苦しめてきたという話を聞くにつけ、やはりいろいろなサービスや制度はできてきましたけれども、この障害のある人たちのセクシャリティの問題というか、子供を生み、育てていくということについて、新たな項目を立てて取り組んでいくべきではないのかと思いました。
 佐藤委員は権利条約の23条のことをお話しになりましたけれども、男女共同参画の第3次の基本計画にも、複合的に困難な状況にある女性の支援として子育て支援が記述されておりますので、ぜひこういう項目を新たに立てていくべきではないかという意見であります。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、安藤委員、お願いします。

○安藤委員 ありがとうございます。安藤です。
 1点目は、「(2)相談支援体制の構築」についてです。
 先ほど三浦委員や佐藤委員、竹下委員から御指摘がありましたが、やはり性別、年齢、状態等に配慮することを盛り込んでいただきたいということです。その際に一つ入れていただきたいのが、うちの連合会でも、最近、ピアサポートをしている際によく声が出てくるのが、男性でも女性でもなく、LGBTや性的マイノリティの方たちからの相談があります。ですので、女性だけでなく、複合差別に関しては、「等」という言葉でなくて、ぜひそういったLGBTや性的マイノリティという言葉も入れて、可視化する形にして盛り込んでいただきたいと思っています。
 もう一つです。4ページの「(5)障害福祉サービスの質の向上等」というところで、この中でどこに入れていいか、まだ悩んでいるところなのですが、この中にALS患者などの喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアについても盛り込んでいただきたい。
 私、重度訪問介護を利用している当事者ですが、一番困っているのは、一番重度な喀痰吸引をしている、人工呼吸器をつけている方たちが事業所を探すのも、サービスの担い手となるヘルパーさんを見つけるのも、敬遠されがちでなかなか難しいところです。これはやはり報酬単価や、そういった喀痰吸引に対して十分なサポートがなされていないからではないかと考えております。ぜひ中長期的な視野に立って、そういったことをここに盛り込んでいただきたいと思っています。よろしくお願いします。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、久保委員、お願いします。

○久保委員 ありがとうございます。育成会の久保でございます。
 3点お願いしたいと思います。
 1点目は、1ページ目の「(1)意思決定支援の推進」の2つ目の○のところです。成年後見に関することでございます。  成年後見は利用促進法の議論がされて、一定の運用と言いますか、進んでいく方向は示されましたので、そのことについては評価をしたいと思っておりますけれども、本日の議論は基本計画でございますので、最後のところでもいいので、サービスの利用と同様に、成年後見制度が障害者の意思決定に資するように見直しを含めて、議論を進めていくという項目を書き加えていただきたいと思っております。
 2点目は、2ページ目の「(3)地域移行支援、在宅サービス等の充実」のところでございますけれども、生活のあり方とか場所を選べるということを明記する意味でも、2行目の中ほどに、「どこで誰とどのように暮らすかを本人が決めるという原則に基づき」と加えていただいたらいいかなと思っています。
 3点目です。3ページ目の「(4)障害のある子供に対する支援の充実」の部分でございますけれども、新たに追加していただきたいと思っていますのは、共生社会の実現をしていくについては、子供のころからの共に暮らすという観点が必要かなと思っておりますので、その意味で、障害者も一般生活の中で共に暮らす、共生社会を実現するために、障害児も障害の程度や地域に関わりなく、身近な地域の中で暮らしていけることを原則として、サービスの充実や関連機関とも連携を図るということを追加で一つ起こしていただいて、書いていただけたらありがたいと思っています。
 以上です。

○石川委員長 とても具体的な御提案をいただきまして助かります。
 それでは、次に松爲委員、お願いします。

○松爲委員 松爲でございます。
 私は、自立ということは、特に成人の場合には、働くことを抜きにして自立生活はあり得ないというのが基本的なスタンスです。
 その視点から4つ指摘させていただきたいと思います。
 まず、第1点目が3ページの上から2つ目です。グループホームの整備ということが、特に重度ということを書いてあります。でも、実際に今、例えば軽度の人とか発達障害の人たちが十分働いているわけですね。でも、そういう人たちは生活支援とかそういうのが全くないかというと、多分に質は変わるけれども、必要なのですね。
 そういった意味では単なる重度でなくて、特に今、グループホームの場合ですと、サテライト型のグループホームがありますね。ああいった形でグループホームの多様化を図ってもらいたい。
 みんなと一緒に、それこそ集団になって生活することを好んでいる人たちばかりではないのですね。でも、生活支援的なものが必要です。
 そういう点では、多様化を図りまして、特に軽度の人たちが、アパート暮らしを含んで、それでも生活支援部分を必要に応じて受けられるようなグループホームの多様化を図っていただきたいというのが第1点目です。
 第2点目が、その次の(4)の上から3つ目の○です。「乳幼児期から学校卒業後まで一貫した効果的な支援」と書いてあるのですね。先ほど厚労省のほうから説明がありましたけれども、これはいわゆるデイサービス、放課後デイの話でした。実はこの放課後デイに関しては、もっときちんとしたものを充実してもらいたいと思います。
 御承知かと思いますが、放課後デイは、場合によっては現場からするとお金のばらまきだと言われるようなことをいろいろ言ったりいたします。でも、放課後デイは、これから先もっと質の担保をして、質によって差異を図ってもらいたいのです。特に学校教育の中においては、来年4月1日から、高等学校においては通級が始まりますね。でも、通級自身は、実は学校、県によって非常に悩ましいところです。つまり、高等学校の生徒が青年期のど真ん中で、通級という格好である時間だけ離れていく。それは本人にとっていいことなのかどうかという議論があります。
 そういった意味では、例えばこの放課後デイというのは、授業が終わった後に放課後デイでもって通級でいって、そこでキャリア教育などを行うとか、そういったいろいろと多面的なことを行っていくべきだと思っております。単なる小学校、中学校の行き場所のためのデイでなくて、もう少し明確な目的性を持ったプログラムを図るようなものが必要だと思っております。
 そういう点では、このデイサービスに関しては明確にし、かつ、差別化を図るような展開をしていただきたいと思っております。
 第3点目は最後のほうになります。今まで何人かの方々が人材育成という話をされておりましたけれども、私はまた、今、言った就労支援ということからしますと、どうしても人材育成のことを言わざるを得ません。
 先ほど少し言いましたリハビリテーションということに関して、あまりにも医学的なリハビリテーションという概念が偏り過ぎています。この後の医療保険の場合もそうですけれども、そもそも医学の人たちがリハビリテーションというのを医学リハという格好で捉えていると、間違いになってきますね。精神の場合もそうです。
 私、よく福祉ですと、いわゆるトータルリハビリテーションという概念をとりますね。そういった意味では、特に医学教育においてはトータルリハビリテーション的な概念。その中でも、例えば働くということに関して、しかも、働くというのは福祉の世界の働くではないのですね。企業で働くということの持つ意味、そのための準備性は一体何か。そういった視点を明確に、このリハビリテーションという教育訓練の中でやっていただきたいというのが狙いです。
 最後に、そういった意味では、福祉の世界において人材の育成・確保ということになりますけれども、例えば現在の移行支援事業A型、B型事業でどんな人材育成をしているかということに関して全く触れられておりません。
 御承知のように、移行支援A型、B型をやっている官庁というのは、サビ管の研修ですね。あと、例えば就労支援があります。でも、そのプログラムの中身そのものは、前も言ったと思いますけれども、十分に働くということを踏まえた格好のものをやっているかどうかなのですね。
 例えば就労支援と言いますと、うちには就労支援サービスがあります。移行支援A型、B型です。でも、現在のところ、例えば福祉から公への流れということで散々言っています。そして、働き方改革を含めて散々言っている中で、何で相変わらず福祉の世界が出す移行支援A型、B型だけが働く場という格好で言わなければならないのかということになります。
 そういう点では、就労支援サービスの担当事業者の人たちは、実はその設置・運営に関しては、本当の企業の就労支援をわかっている人たちをきちんと設置・運営で置いておいてもらいたいというのが狙いです。
 就労支援の専門家と言われますと、制度的には現在もあります。障害者職業カウンセラー、専門職ですね。それから、ジョブコーチの研修は、全員御存じかと思いますけれども、既に7,000名近くを育成しているのですね。でも、実際問題として、そのうちの何割が現在働いているのか、わかりません。そういった意味では、実は人材として十分担保できるようなことがあると思います。
 そういう点では、少なくともA型、B型という形で就労支援サービスをやる事業所に関しては、今後、設置・運営に関しては、ともかく常勤の就労支援員を置くことが必要ですという形の提案をしたいと思っております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 私、聞き間違えたかもしれませんけれども、労働なくして自立なしと松爲委員が最初におっしゃったように聞こえたのですが、そうはおっしゃっていないですね。

○松爲委員 私の場合の基本的な立場は、働くことは自立における一番重要な概念の一つですよと言っているわけであって、必ずしも働かないと自立はありませんよということを言っているわけではありません。ただ、いろいろな自立のあり方があるけれども、そういったいろいろなあり方の中でも、働くということが社会との関わりの中で一番重要な概念ではないかと私は思っているわけですね。私の個人的な立場ですから。

○石川委員長 個人の御意見をおっしゃるのは全く構わないのですが、政策委員会は権利条約に基づいて、また、基本法に基づいて所管している、役割を果たす場でございますので、誤解を招かないように御発言をいただきたいと思います。

○松爲委員 わかりました。

○石川委員長 では、辻井委員、お願いします。

○辻井委員 辻井です。
 今、数値目標のところまで御指摘させていただいていいのですか。

○石川委員長 はい。

○辻井委員 では、4点あります。
 3ページになりますけれども、「(4)障害のある子供に対する支援の充実」というところになります。
 2つ目の○の保育所のところは非常に重要だと思っているのですが、要するに、教育のほうで、通常学級の中で支援、合意的配慮を受けている、障害を持っている子供たちがどれだけいるのかという形の把握をしていくと同様になりますので、これはやはり数値目標の中に、現状、保育園に障害を受けている人たちがどれぐらいいて、それがさらにどの程度増えていくのかということをきちんと明確にしていただくということが、どうしても必要だろうと思います。
 それから、保育所以外にはこども園とか幼稚園というものもあるので、省庁はまたぐのですが、幼児のところはここら辺のところでまとめておいていただいたほうが、全体としてはわかりやすいのではないかと思っています。
 2つ目になるのですが、4つ目の○のところで発達障害の早期発見、早期支援のところで医師だけのことが書いてあるのですが、実際問題、先ほど他の委員も指摘していたと思うのですが、障害児福祉サービスの中でも、例えば児童発達であれ、放課後デイであれ、そうした支援がきちんとできる方であるのかという問題は結構あるものですから、やはり医師だけでなくて、医師や関連した支援者という形のところを、次の(5)の障害福祉サービスの質とか(7)とも重なるのですが、医師だけをここで出してくると、また診断だけすればいいのかということになってしまうので、何か御検討いただけるとありがたいかなと思っています。
 数値目標のところで、「(4)障害のある子供に対する支援の充実」は事業所数という形のところが数値になっているのですが、今、他の委員も指摘していたように、質の問題というのが非常に重要になってきていまして、そういう意味では個別の支援計画をちゃんと作って遵守しているかどうかというところとか、放課後デイも児童発達も、両方ともガイドラインができていますので、ガイドラインに沿った運営がなされているのかという形のところで、やはり質に一歩踏み込んだ形のことをお考えいただけるといいのではないかと思っています。
 最後に4点目です。5ページの(7)の2つ目の○のところですね。「国立障害者リハビリテーションセンター等の」という形で、研究は非常に重要なのですが、研究はここ単体でやることではないのだと思いますので、いろいろな国内の機関で行った研究を集約していただいて、それを発信していただく形のところをきっちり位置づけていただければと思っています。
 それから、こうしたところで研修をしているところも研修の講師に呼ばれたりしますから非常にわかるのですが、やはり数十人単位のところをこの政策委員会というか、基本計画のところに挙げて位置づけていくというのは少しおかしな話かなと思うので、研修の数のところをいくのであれば、都道府県とか、そうしたものまで含めた形にするということになるのかなと思うので、国立障害者リハビリテーションセンター等の国立の機関だけをこうした形で取り出すことは少しいかがなものかなと思いました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 あと3人いらっしゃいます。御相談ですが、そのうち岩上委員と伊藤委員については、6のところで御質問いただく内容と重なるのであれば、そちらでお願いすることは可能でしょうか。
 重ならないですか。では、平川則男委員、それから岩上委員ということでお願いします。

○平川(則)委員 平川でございます。
 2点ございます。
 3ページの4つ目の○の精神障害者の地域包括ケアのところであります。先ほど少し解説がありましたけれども、わかりづらいので、住まいや就労、活動の場の確保に向けて、地域移行に向けた社会資源の発掘、育成を目指して、地域移行に係る保健・医療、福祉の一体的取組を進めるという形に、よりわかりやすくしたほうがいいのではないかと思います。
 2点目です。5ページの人材のところです。1つ目には、やはり人材確保に向けて、まず、基本的なことを書くべきだと思います。障害福祉に携わる仕事への理解を深め、その従事者のすそ野を広げ、従事者の処遇改善を進めるということを最初に書くべきだと思います。
 その上で、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士の専門職、理学療法士、作業療法士などの職名が並んでありますけれども、これは福祉職、医学的リハビリテーションとは区別せずに一体に記載をし、「専門的な技術及び知識を有する人材の確保と資質の向上を図る」ということで一本化すべきだと思います。
 職種については、精神障害者を支援するキーパーソンであります保健師が入っていますので、保健師さんを追加すべきだと思います。
 さらに、「障害福祉サービス等を提供する事業者に対し、労働法規の遵守を徹底する」と書いてありますけれども、これについては労働法規だけでなく、「労働法規の遵守徹底を初め、働きやすい職場環境の確保を行う」ということともに、「地方公共団体はこれを支援する」という文言を入れるべきだと思います。
 以上、意見だけ言わせていただきました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、岩上委員、お願いします。

○岩上委員 岩上でございます。すぐに終わります。
 先ほど佐藤委員がおっしゃった脱施設化というのは、非常に重要なキーワードだなと思います。大日方委員がおっしゃっていた基幹相談支援センターの位置づけがよくわからないというのは、よく出るお話なのですが、やはり地域移行支援をきちんと進めて暮らしている方の支援をするということをきちんと明記というか、そういう理念を持てば、基幹センターであっても地域生活支援拠点であっても、本当に必要なものだということは御理解いただけると私は思っています。
 それを考えたときに、この「基本的考え方」の中に「地域移行を一層推進し」と書いてあるのですが、この順番が「地域社会の実現に寄与するため、障害者の地域移行を一層推進し」となっておるのは、やはりおかしな文言だと思うのですね。
 今までの議論を聞いていますと、この「基本的考え方」が全ての項目に連動するということをもう少しわかりやすくしなければいけないということと、この段落で言えば、まずもって「障害者の地域移行を一層推進し、地域社会の実現を目指して」という並べ方にしていただいたほうがよろしいかな。その辺を御検討いただきたいなと思います。
 以上でございます。

○石川委員長 全くおっしゃるとおりです。本末が転倒しているように読めます。

○岩上委員 そういう意味では、強調したいことをもう少し前に持ってくる基本的考え方にすると、その前に持ってきたものが全ての項目に連動しているのだというのは、もしかしたらわかりやすくなるかもしれないので、その辺はまた事務局で検討していただければと思います。

○石川委員長 ぜひそのようにお願いしたいと思います。
 伊藤委員、6のところでもよろしいですか。

○伊藤委員 今のほうがいいです。

○石川委員長 では、伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 まず、2ページのところにある難病相談支援センターのことです。書いていただいて大変ありがたいのですが、他のところでは結構「充実を図る」とかと書いているのですけれども、ここではただ「支援を行う」だけなのですね。ここまで書いていただけるのでしたら、今、相談支援センターは一つの県に1カ所しかありませんし、相談員も1名とか2名という状態ですので、ぜひここも「充実を図る」と書いていただきたいのです。
 ただ、問題は、たくさんの福祉制度と重なっていくわけですね。介護の問題も障害者の問題も重なっていくわけで、各相談システムがばらばらにあるのではなくて、できるだけ連携、集合できるようなこともどこかに書いていただけないか。そのほうが効果が上がるという報告もありますし、ぜひそういうことも考えていただきたい。これは実務的な話だけなのです。
 2ページの(2)の最後、(3)の上です。ここに「ピアカウンセリング」とありますけれども、私たちの場合は、ピアカウンセリングとピアサポートは違うということもありますので、ぜひ上から目線のカウンセリングだけでなくて、ピアサポートあるいは当事者相談というものもこの中に書いていただければと思います。
 また、ここの欄は5ページの(7)の人材の育成と整合性を持たせなければならないのですね。有効かつ重要な手段だと言いながら、人材の育成のところには何も書いていないわけで、どのように育成するのかということも大事な課題ではないかと思いますので、そこの整合性を図っていただきたいと思います。
 あと、4ページですが、(5)の中で、第三者評価ということでいろいろ御発言がありました。私も常々そう思っているのですが、第三者の評価というのがどの程度の客観性を持っているのか、少しわかりませんけれども、それはいいとして、ユーザーの立場としては、第三者評価の前に当事者評価あるいは利用者評価というのをきちんと入れていただいた上で、事業者も含め、そういうところも対象とした第三者評価となるべきではないだろうかと思います。
 最後は5ページの(7)でありますが、「医学的リハビリテーション」とわざわざ書いてくれたのは、従来、リハビリテーションというと医学的なことだけと思われていたことが、実はそうでないリハビリテーションもあるということで「医学的」と入れられたのだろうと思うのですが、だとすればここで必要なのは、医学的なリハビリテーションだけでなくて、より生活の質を向上させるための生活支援リハビリテーションということについても触れられたいいのではないかと思います。
 あとは細かなこともいろいろありますけれども、福祉サービスは手続が非常に複雑になっておりまして、難病のほうも手続が大変複雑なのです。みんな病気や介護で大変な時期に、様々なところに行って、様々な手続をして、書類は山ほど書いて、そういう余裕がないから、つい福祉のほうの手続が後回しになったために福祉の支援を受けられなかったという事例も多くあります。
 ぜひ手続の簡素化と言いますか、あるいは一元的に使えるような制度、これからはそういうものを開発しなければならないのではないかということをお願いしまして終わります。

○石川委員長 それでは、厚生労働省のほうから、まとめて御答弁いただきたいと思います。

○厚生労働省(内山課長) たくさんの御質問・御意見を賜り、ありがとうございました。全て網羅したお答えになるかですけれども、まず、案文、数値目標についての御指摘を、佐藤委員、竹下委員、北岡委員、安藤委員、久保委員、辻井委員、平川委員などからいただきました。障害のある方の子育て、あるいは障害のあるお子さんの子育て、LGBT、成年後見、あとは生活を選べるということ、子供のころから共に暮らすということ、障害児サービスの質、処遇改善あるいは働きやすい職場環境づくりなどの御意見をいただきましたけれども、これにつきましては御指摘の趣旨を踏まえて、また少し整理・検討をさせていただければと思ってございます。
 その他で何点かコメントをさせていただくとしますと、大日方委員から御指摘のありました基幹センターですけれども、これにつきましては、昨年、厚生労働省内でも「相談支援の質の向上に関する検討会」というものを開いて御議論をしていただいた上で、今、基幹相談支援センターの充実ということを打ち出しているわけですけれども、報酬改定も平成30年4月に予定されていますし、その位置づけや充実方策も含めて、少し検討させていただければと思ってございます。
 次に、阿部委員から御指摘のございました介護保険との関係でございますけれども、この部分も、今、報酬改定の議論の中でも、例えば障害の相談支援専門員とケアマネジャーの連携というものを大きな一つの課題として認識をしていますので、そういうところの連携も含めて、また検討を進めさせていただければと思います。
 第三者評価につきましても経済的負担というお話がございまして、一般的には数十万円と言われておりますけれども、ここにつきましては今、事業所の経営実態、すなわち収支差率について経営実態調査というものをしてございますので、そうしたものの状況も踏まえて、どういうことが必要か、検討させていただければと思ってございます。
 安藤委員から御指摘のございました医療的ケアにつきましては、2ページのところでも書かせていただいていますけれども、その案文自体につきましては先ほどと同様に、御趣旨を踏まえてどういうことができるか、できないか、少し検討をさせていただきたいと思います。
 松爲委員から御指摘のございましたグループホームの多様化あるいは一人暮らしを支えるということですけれども、これは少し繰り返しになりますが、グループホームはいわゆるサテライト型の普及も図ってございますし、先ほど少しお答えをさせていただきましたが、自立生活援助という新サービスや地域生活支援拠点といったものの整備を通じて、一人暮らし、自宅暮らしを支えるということにも力を入れたいと思いますので、そのあたりを進めていきたいと思ってございます。
 あわせまして、松爲委員から放課後デイサービスの質の担保という御指摘もいただいたわけですけれども、放課後デイサービスにつきましては、この4月から質の担保ができますように、児童発達支援管理責任者などの要件を見直したところでございますけれども、この質の担保についても、報酬の検討の中でさらに議論を進めさせていただきたいと思ってございます。
 伊藤委員からお話のありました、第三者評価に加えて、利用者の評価ですとか、あるいは事業所自体の評価という御指摘もございました。これはまだ全ての取組にはなっておりませんけれども、放課後等デイサービスと児童発達支援については、先般、ガイドラインを新しく作りまして、その中には事業所自体の評価、それから主に保護者の方だと思いますけれども、事業所を利用していただくお子さんの保護者の方からの評価というものをまとめて公表するようにといった取組も初めておりますので、こうしたものを踏まえて、第三者評価に限らない評価というものも進めていきたいと思ってございます。

○厚生労働省(朝川課長) 企画課長です。
 (7)の人材の育成については、たくさんの委員から御意見をいただいていますので、表現ぶりについては検討させてください。
 リハビリテーションについての表現のところも多数いただいていますので、それも含めて検討いたします。
 それと、大日方委員から(3)と(6)の表現について御意見をいただいております。
 (6)については、例えば補装具は国が決めているわけですけれども、生活用具は地方自治体が決めていますので、少し性格の違いがありますが、趣旨が表現できるように工夫してみることを検討したいと思います。
 佐藤委員から脱施設というお話がありましたが、この3月に厚生労働省から示しました障害福祉計画の基本指針においても、しっかりと障害福祉施設からの地域移行、施設入所者数の減少、さらには精神科病院の長期入院者の減少という数値目標を定めておりますので、しっかりと地域移行を進めていきたいと思います。
 辻委員と平川則男委員から表現ぶりを言われておりますので、検討します。特に地域包括ケアシステムのところをわかりやすくという点を含めて検討したいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 権利委員会の勧告で、必ず用いる言葉にDeinstitutionalization、脱施設化というのがあります。地域移行を英語にするときにDeinstitutionalizationと訳せるのであれば話が通じるのですけれども、できるだけ権利条約語を用いて基本計画の中に取り入れられるものは取り入れていただくほうが望ましいと考えておりまして、この点についてはまた調整をさせていただきたいと思います。併記でもいいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、ここで15分の休憩をとりまして、再開後、次の6に行きたいと思います。ありがとうございました。

(休  憩)

○石川委員長 それでは、再開いたします。
 次に「6.保健・医療の推進」について審議を行います。  まず、事務局と厚生労働省から、主な施策や成果目標について御説明をいただきます。
 まずは事務局からお願いいたします。

○寺本参事官 それでは、資料の6ページになりますが、保健・医療の推進の分野の「基本的考え方」、四角囲みの部分につきまして御説明いたします。
 精神障害者への医療の提供・支援を可能な限り地域で行うとともに、入院中の精神障害者の早期退院、地域移行を推進し、いわゆる社会的入院の解消を進める。精神障害者の地域への円滑な移行・定着が進むよう、退院後の支援に関する取組を行う。  障害者が身近な地域で必要な医療やリハビリテーションを受けられるよう、地域医療体制の充実を図ること。
 それから、優れた基礎研究の成果による革新的な医薬品等の開発を促進するとともに、最新の知見や技術を活用し、疾病等の病因・病態の解明、予防、治療等に関する研究開発を推進すること。AIやICT、ロボット技術の活用等による革新的な医療機器の開発を推進すること。
 保健・医療人材の育成・確保や、難病に関する保健・医療施策、障害の原因となるし北投の予防・治療に関する施策を着実に進めることなどを基本的な考え方として掲げております。
 事務局からの説明は以上です。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課心の健康支援室:森室長) 厚生労働省精神・障害保健課の森でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 初めに当課から御説明した上で、後半、健康局からも御説明したいと思います。
 今、内閣府から御説明がありました「基本的考え方」のもと、「(1)精神保健・医療の適切な提供等」でございます。
 6ページ初めの○ですが、精神障害を持つ方に、地域の一員として安心して自分らしい生活をしていただけるよう、精神医療の提供・支援を可能な限り地域において行うとともに、早期退院及び地域移行を推進するため、多職種による訪問支援の充実など、精神障害者が地域で生活できる社会資源を整備してまいります。
 2つ目の○でございますが、心の健康づくり対策として、厚生労働省のホームページに「みんなのメンタルヘルス」総合サイトを設けており、平成27年度においては29万件程度のアクセスがございました。引き続き国民の皆様に広く御覧いただけるよう、しっかりと行ってまいります。
 3つ目の○でございますが、精神障害を持つ方や家族のニーズに対応した多様な相談体制の構築を図るとともに、精神障害者に対する当事者による相談活動に取り組む地方公共団体に対し、アウトリーチの推進などを行う地域移行、地域生活支援事業やピアサポートの活用推進等を行う、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業により支援を行ってまいります。
 4つ目の○でございますが、精神医療審査会の運営について、精神障害者の人権に配慮しつつ、適正な医療及び保護を確保するため、専門的かつ総合的な観点から入院継続の適否等を審査する必要があることから、運営マニュアルの見直しなどにより、今後とも機能の充実及び適正化を図ってまいります。
 5つ目の○でございますが、平成30年度から第7次医療計画においては、多様な精神疾患などに対応できる医療連携体制の構築に向け、患者本位の医療を実現していけるよう、各医療機関の精神医療に関する情報提供等、医療機関の役割分担、連携体制を推進することとしております。
 7ページに移りまして1つ目の○でございますが、平成29年2月のあり方検討会報告書を踏まえ、相談支援事業所に所属する相談支援員が医療保護入院患者のいる病院を訪問し、退院に向けた意思決定支援や退院請求などの権利行使の援助等を行うなど、医療機関以外の第三者による意思決定支援等の権利擁護を行うことを検討してまいります。
 7ページ2つ目の○でございますが、医療観察法の対象者に対する精神保健医療の提供を充実させることとしております。  指定通院医療機関については、各都道府県に最低2カ所、人口100万当たり2、3カ所という考えのもと整備を進めてまいりましたが、いまだ6都県において未達成ですので、当該6都県において、平成30年度までに人口100万人当たり2、3カ所を達成できるように努力してまいります。
 ○の3つ目、4つ目につきましては、今回新規で精神障害を持つ方に地域の一員として安心して自分らしい暮らしをしていただけるように、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を進める旨と、精神障害者の地域への円滑な移行・定着を進められるよう、精神障害者の退院後の支援に関する取組を行う旨を盛り込ませていただいております。
 また、成果目標として、精神病床における1年以上の長期入院患者を、現在、平成26年度で18.5万人を32年度までに14.6万人から16.7万人にすることなどを掲げており、実現に向けて取り組んでまいります。
 (2)に移りまして5つ目の○でございますが、障害者の方が身近な地域において必要な医療はリハビリテーションを受けられるようにするためには、特に高齢化などによる障害の重度化・重複化の予防や、その対応に留意することが必要です。そのためにも精神障害者の方が自らの疾患や症状について正しく理解することを促すピアサポートの活用や、多職種によるアウトリーチなどにより、地域医療体制等の充実を図ってまいります。
 8つ目の○でございますが、骨、関節等の機能や感覚機能の障害等について、引き続き都道府県に置かれている病院などの支援拠点機関において、関係機関との地域支援ネットワークの充実を図るとともに、高次脳機能障害情報支援センターにおいて情報の集約と発信に努めながら、適切な評価、病院からの地域等への一貫した医療的リハビリテーションの確保を図ってまいります。
 9つ目の○でございますが、障害者の方の健康の保持・増進を図るため、精神保健福祉センターや保健所における相談体制の確保等により、福祉サービスと連携した保健サービスの提供体制の充実を図るとともに、障害に起因して合併しやすい疾病等の予防と、これを合併した際の障害や合併症に対し、適切な医療を提供できるよう、身体合併症に対応した施設の確保を図ってまいります。
 8ページに移りまして1つ目の○でございますが、「(3)保健・医療の向上に資する研究開発等の推進」に関し、引き続き支援拠点機関の取組などを踏まえ、高次脳機能障害情報支援センターで好事例の収集にも努めながら、脳機能研究の推進により、高次脳機能障害、感覚認知機能障害等に関する新たな診断法の開発、医学的リハビリテーションの効率化及び訓練プログラムの改善を進めてまいります。
 精神・障害保健課からは以上でございます。

○厚生労働省(健康局難病対策課:竹内課長補佐) 健康局難病対策課でございます。
 (5)の難病に関する部分でございます。
 難病につきましては、平成27年1月に難病法が施行され、それに基づいて施策が推進されているところでございます。
 1つ目の○につきましては、研究の推進。2つ目の○につきましては、難病患者に対し、安定した療養生活の確保と、難病の患者及びその家族の生活の質の向上を図る。3つ目の○が、難病患者の医療費負担の軽減を図る医療費助成。5つ目の○が、難病相談支援センター等により、地域で生活する難病患者の日常生活における相談支援などを行う。これを柱に進めているところでございます。
 今回新たに4つ目の○と6つ目の○を追加しておりまして、こちらは小児慢性特定疾病、いわゆる小慢患者の取組でございます。小慢患者の取組については、平成27年1月に施行された改正児童福祉法に基づき進めており、4つ目の○が、医療費助成の実施。6つ目の○が、幼少期から慢性疾病に罹患していることから、自立を阻害されている児童等について、地域の実情に応じた相談支援等の充実による自立促進を図るための事業を行う。
 この6本の柱と7個目の福祉サービス、これで難病に関する施策を推進しているところでございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、以上の御説明を踏まえまして、委員から御意見をいただきたいと思います。御意見のある委員は挙手をお願いいたします。
 では、河合委員、お願いします。

○河井委員 ありがとうございます。河井です。
 最初に事務局のほうから、「基本的考え方」の中段のあたりで、地域医療体制の充実を図るということで、こちらではきちんと「身近な地域で必要な医療やリハビリテーションが受けられるよう」と書いてあるのですが、8ページの「(4)保健・医療を支える人材の育成・確保」の最初の○の部分では、「医師・歯科医師について、養成課程及び生涯学習において、リハビリテーションに関する教育の充実を図り」ということでリハビリテーション部分についてのみの記載になっております。医師の養成課程の中で、障害理解の部分もカリキュラムの中に入っているということは伺っておりますが、まだまだ理解は不十分であると認識しておりますし、ここの部分ではリハビリテーションだけでなく、医療全般に関して、障害者に対する医療の内容の充実について触れていただきたいと思いました。意見です。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、平川淳一委員、お願いします。

○平川(淳)委員 ありがとうございます。平川です。
 私たち精神科病院のほうの立場で申し上げますが、現在の精神保健福祉法はほとんど入院医療に関することばかりで、精神障害の場合は医療が切っては切れないものですけれども、本人の医療を受ける権利を保障するような地域での仕組みが、今はありません。
 例えば先ほど飯塚委員がおっしゃったように、夜中でも医者が行って診てあげるということについては強制的な介入になってしまって、場合によって人権侵害になるのではないかという考え方もあります。そういう意味で、きちんと地域で患者さんたち、精神障害のある方を診ていく仕組みというのは、地域包括ケアシステムをつくる上でも根本的な法律として重要だと思います。
 昨年、やまゆり園の事件があって、今後のあり方検討会の趣旨が変わってしまって、大事な地域での提供体制について、権利を守る体制についての議論がなされないまま、今回の法改正になってしまいました。第4次の改正においては、ぜひ地域で暮らす障害者のための法整備というのをしていただきたいと思っています。
 ですから、具体的に、例えば精神医療審査会運営マニュアル等がございますが、これも入院医療のことばかりなのですね。ですから、マニュアルの改正を幾らしても地域の改正にはならないので、その辺に主眼を置いていただきたいと思います。
 第2点目、7ページ目の上から2つ目の○ですが、「心神喪失等の状態で」云々とございます。今の医療観察法なのですが、これについては治療可能性のある、治る可能性のある人たちだけが対象になっていて、その見込みのない方はまた医療から離れてしまうというのが現在の仕組みです。きちんと医療的なバックアップをしながら、いつか治療法が確立されて治る可能性も出てきていますので、これについては、今の医療の段階で治らないからといって司法に戻してしまうという今の仕組みについては見直すべきだと思いますので、これについても次回は検討するような仕組みを入れていただきたいと思います。
 もう一つ、「(2)保健・医療の充実等」の4つ目の○のところですけれども、先ほど骨、関節等の機能ということでございましたが、長期入院の患者さんたちは高齢化していて、今、転倒や骨折が大変問題になっています。地域移行をしようとしても体力がなくて、歩けなくて、なかなか町で暮らせないということで退院が阻害されることがございます。
 先ほどの御説明ですと、地域で暮らす人たちのための骨や関節等のリハビリテーション、治療等がお話としてあったように思いますが、今、入院されている長期入院患者さんこそこういう取組が必要だということで、対象に長期入院者等を入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、飯塚委員、お願いします。

○飯塚委員 ここの「基本的考え方」の中に「早期退院及び地域移行を推進し、いわゆる社会的入院の解消を進める」とありまして、資料2-2の5ページに「精神病棟における長期入院の状況」ということで、データが示されておりますが1年以上の長期入院患者の現状値、平成26年度のデータですが、約18.5万人を、平成32年度に14万6,000人から15万7,000人に減らすというか、そういう状態の方が入院しているというデータが示されておりますが、これは6年をかけてこれだけの方を退院促進させるのかという印象を受けましたので、そこのところを質問したいと思います。
 重度かつ慢性という状況に位置づけられて、長期入院の方が退院促進から外れているようなことも聞いております。現在地域では、かなり重度と思われる方でも地域支援を受けながら生活をしている方もいらっしゃいますので、そういう方の実態をきちんと把握することにより、地域生活のあり方をきちんと検証していくことを、ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 委員長、たくさんあるのですけれども、いくつかは文章で出してもいいですか。

○石川委員長 ちなみに。

○佐藤委員 6個あるのです。4つ話して2つは文章で出したいと思ったのですけれども、どうでしょうか。

○石川委員長 よろしいです。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 まず、1つ目は、6ページの「基本的考え方」のところに、ぜひ「他の者との平等な医療を受ける権利」というのを書いていただきたいと思います。権利条約25条では、「障害者が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有する」と書かれています。実態としては、私の知り合いでも障害を理由に受診拒否をされるといったことがよくあるわけなのです。こういう観点から、ぜひとも医療を受ける権利というものを明記していただきたいと思います。
 2点目は6ページの「(1)精神保健・医療の適切な提供等」のところなのですが、ぜひここに地域移行計画を盛り込んでいただきたいと思います。条約の12条と一般的意見1では、全ての者の法的能力を承認し、代替意思決定から支援つき意思決定への制度の変革を求めています。また、14条では、不法に、または恣意的に自由を奪われないことと、いかなる自由の略奪も法律に従って行われること、及びいかなる場合においても自由な剥奪が障害の存在によって正当化されないこと。第2項では、障害者がいずれの手続を通じて自由を奪われた場合であっても、当該障害者が他の者との平等を基礎として国際人権法による保障を受ける権利を有すること、並びにこの条約の目的及び原則に従って取り扱われることを確保すると規定されています。
 こういったことから、現行の精神保健福祉法による精神保健医療提供の体制を抜本的に見直していく必要があると考えております。強制入院や強制治療のあり方の見直しや、入院患者の人権の効果的な保護のための制度の検討を行い、入院年数の短縮化、病床数の削減、身体拘束数の削減、病棟転換という形でなくて、地域での自立生活やグループホームといった19条に基づく正当な病院からの地域移行を、ぜひ計画に盛り込んでいただきたいと思います。
 特に入院患者の人権の保護のために、虐待防止法の改正も進めていただきたいと思います。
 3点目は、7ページの「(2)保健・医療の充実等」のところに、全ての障害者に対する医療費公費負担制度のあり方について検討する旨を記載していただきたいと思います。条約25条では、「障害者に対して、他の者に提供されるものと同一の範囲、質及び水準の無償の又は負担しやすい費用の保険及び保険計画を提供すること」と書かれています。しかし、現行では、障害者自立支援法に基づく自立支援医療のほかに、難病法に基づく難病医療費助成制度、地方自治体によるいわゆるマル障の医療費公費負担制度など、制度ごとに対象となる障害者の範囲や対象となる医療の範囲が異なっております。ぜひこれを同一したものにするように、検討をお願いしたいと思います。
 最後は8ページの「(4)保健・医療を支える人材の育成・確保」ですけれども、ここに「医療従事者の養成課程や従事者研修に当たって、障害者の人権に関する教育を行う」ということを、ぜひ明記していただきたいと思います。その際に、障害者差別解消法の施行に伴って、様々な分野で障害当事者本人を講師として研修が行われている実態があることから、障害当事者本人による研修の重要性についても、ぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 では、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 2点お願いします。
 一つは「(2)保健・医療の充実等」のところの2つ目の○ですけれども、ここに「医療費の助成を行う」とあるのですが、これは何を意味するのか、もっと具体的に記載すべきではないかと思います。
 さらには、現在でも矛盾を起こしているのは、正式な名称は間違えているかもしれませんが、自治体が心身障害者医療扶助として、自己負担分の償還払いあるいは援助、助成しているものがあるわけですけれども、これを償還払いの形でなくて、自己負担分を支払わずに自治体から直接診療機関に払う形式をとると、国民健康保険で国費の交付金が減らされるというようなペナルティを受けると聞いています。こういう形をとられると、障害者が窓口で一旦負担して、福祉事務所で償還してもらうのに時間がかかったり、あるいは金額が大きな場合の負担が大変であったり、出かけること自身の手続の困難さを考えれば、極めて不合理な矛盾を起こしていると思いますので、そうしたことのないトータル的な支援をお願いしたいと思います。
 「保健・医療を支える人材の育成・確保」というところの3つ目の○になるかと思うのですけれども、最後のところに「従事者間の連携を図る」とあるのですが、これをもっと具体的にすべきだろうと思います。現在も連携はある程度あると思うのです。しかし、視覚障害で言いますと、今日、日本においては、眼科を経由しない中途視覚障害者はまずいないと言い切っていいわけです。ところが、そうした中途視覚障害者が福祉やリハビリ、機能訓練や、あるいは先ほどから出ている補装具など、そうした自立に向けた、社会復帰に向けた支援に結びつかずに離脱と言うのかどうかわかりませんが、そういう方が非常に多いわけです。これらの連携をより確実にするためのネットワーク化を、地方でいくつか努力としてされているわけですが、そういうものを手本にしながら、この連携というものをもっと具体的に、内容を確実なものにして記述していただきたい。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 玉木委員、お願いします。

○玉木委員 ありがとうございます。
 まずは6ページの(1)の上から2つ目の○の「学校、職員及び地域における」云々というところなのですけれども、一つは、やはり学校の中で自分とか友達とかの心の変化に気づくような教育であったり、情報伝達を進めていかないと、相談とかカウンセリングがあるというのでも、そこに主体的にアプローチしていくということがなかなか難しいのかなと思います。
 先ほどの説明の中でも、ポータルサイト等があると言うのですけれども、そこにアクセスするというのは、やはり身近な人とか親とか先生とかがその子に気づくとか、それはいわゆる精神障害だけでなくて、発達障害だったり知的障害の人も、しんどいなという部分での訴えが積極的にできる環境を整えていくということが1点目。
 もう一つは、7ページの上から2つ目の書きぶりなのですけれども、まず、国民に対しての精神保健医療の提供が充実されるというのが大前提であって、その上でいわゆる触法的な行為を行った方に対してはさらに丁寧な医療の提供をしていくという書きぶりにしないと、なかなか精神医療のほうに整合性というか、ここ全体で書いていることと、ここだけ取り上げて見たときには、バランスが非常に悪いなということがあります。
 「(2)保健・医療の充実等」の1つ目の○については、私は違和感がかなりあって、これは医療保険サービスの範疇で考えていくのか、一部障害福祉サービスの範疇で考えていくのかというのが非常に曖昧だと思います。それはなぜかというと、特に急性期のリハビリテーションについては、本当は丁寧な提供が求められるべきものであるはずだけれども、現行の医療保険制度でいくと、6カ月になったら平気で病院から追い出していく。結果的に、本当は丁寧にやればある程度の機能回復が図れるのに、医療現場の都合で6カ月で提供を打ち切ることによって障害が重度化されているということが、現実頻繁に起こっていることを鑑みると、やはりこれは医療と福祉をどう丁寧な状況で提供していくかという具体的な指針を出していただく必要があるかなということです。
 8ページには、人材育成について、河井委員とか佐藤委員からも提案があったように、やはりせっかく権利条約で障害の社会モデルと言っているのですから、社会モデルをベースにした医療従事者の人材育成を行っていくとわかりやすく書いていただいたほうがいいかなと思っています。
 「(6)障害の原因となる疾病等の予防・治療」の1つ目の○について気になっているのは、特に出生前診断の運用とか、親になっていく段階での具体的な命に対する情報提供とか教育というのが、今、欠けているかなと思っています。その上では、具体的な命とか、親になっていく段階で命をどう受けとめていくかという具体的な情報提供だったり、教育のプログラム開発をやっていくことが大事かなと思っています。
 最後に、上から3つ目の○で、地域保健におけるアウトリーチについては、具体的に書き込んでいただきたいと思います。特に困っているのは、これは精神に限らずですけれども、いろいろな病気に関して良識のない人とか未治療の人に対しての積極的なアウトリーチを考えていく必要があって、それは別に行政だけがやるわけでなくて、支援者を含めてやっていくのだけれども、その上で行政のちゃんとしたバックアップ体制というか、ちゃんとアウトリーチをかけて入っていっていいよということが担保された上でのアウトリーチ体制をつくっていくということが喫緊の課題かなと思っています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、大日方委員、お願いします。

○大日方委員 ありがとうございます。
 まず、6ページの「(1)精神保健・医療の適切な提供等」の2つ目の○のところについて、一つコメントをさせてください。
 こちらで学校及び職場といったところでの精神疾患の早期発見はいいと思うのですけれども、この後が問題だと思っていまして、早期発見しました。その後、疾患が見つかった場合に、学校や職場でどのように対応するのかというところで、これがはじくという形にならないような記述ぶりというものが必要かなと考えましたので、少し加筆が必要な表現だと考えています。
 それから、7ページの「(2)保健・医療の充実等」の2つ目の○、医療費の助成について、やはり地域格差が問題になってきているのではないかと思っておりますので、ここの差がどのようにあるのかというところも調査・検討が必要ではないかと考えています。
 その次の3つ目の○で、「国立障害者リハビリテーションセンター病院において」ということで、これは国の政策なので、この病院の特定名を出すというのもわからないではないのですが、先ほど1つ前の議論でもあったと思いますが、ここの役割の機能変化というのもそろそろ考えるべきなのかなと思っています。実態において、やはり中核的な役割あるいは拠点的な役割を国立障害者リハビリテーションセンターとして果たしていくということであれば、情報収集をし、それを皆さんに提供していくといったことになっていくのではないかと思います。1カ所の病院において書くのが果たして適切なのだろうかと考えておりますので、ここは検討が必要というように思います。
 それから、8ページ、(3)の続きのところですが、上から3つ目、「(4)最後の保健・医療を支える人材の育成・確保」の一つ前の「AIやICT、ロボット技術の活用等による革新的な医療機器の開発を推進する」というところで、医療機器も結構なのですが、福祉機器といったいわゆる自立を支援するようなものに対しても要ると思いますので、「医療機器、福祉機器」と入れていただいたほうがより適切かなと考えます。
 9ページですけれども、最後の○、「外傷等に対する適切な治療を行うため、医療提供体制の充実及び関係機関の連携を促進する」、さらっと書いていただいておりますが、ここは実は非常に重要なところだろうと思っています。先ほど玉木委員からも御指摘がありましたけれども、どうしても障害が残るようなことが予測される大きな外傷に対する適切な治療、そしてその後のリハビリテーションあるいは長期にわたる治療といったことをどのように行っていくのかということ。単に外傷の適切な治療だけでなく、その後のサービスなど、ここはもう一言、二言、書き加えられるといいなと考えております。また何かいいアイデアがあったら出させていただきます。
 ありがとうございました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 一点だけ。賛成なのですけれども、大日方委員は福祉機器とおっしゃったのですが、支援機器が望ましいと思います。

○大日方委員 そうですね。ごめんなさい。福祉機器でない、支援機器のほうがより望ましい。

○石川委員長 障害者の道具イコール福祉機器という伝統的な見方を払拭したいと私は思っております。
 それでは、伊藤委員、お願いします。

○伊藤委員 何点かありますけれども、一つは、7ページの「(2)保健医療の充実等」のところなのですですが、大日方委員も言っておられましたけれども、国立障害者リハビリテーションセンター病院というのは大変大きな役割を果たすべきものではないだろうか。一般病院化しているようにも見えなくもないのですが、それはさておいても、とにかくどのような役割を持つべきなのか、地域の連携もどうするべきかということで、国立リハセンターのあり方についての検討を行ったほうがいいのではないかという気がいたします。
 続きまして、8ページなのですが、一つは上の「(4)保健・医療を支える人材の育成・確保」のところで、やはり2つ目の○のところにも「医学的リハビリテーションに従事する者について」ということが書かれていますが、実際に世の中は入院でなくて、入院で受けるリハビリというのは本当に短い期間でしかなくて、その後、在宅で、あるいは通院でリハビリを受けなくてはならない時代だと思うのです。これは医療全体もそうなっているときですので、在宅との関係というのをもう少し書かれたらいかがかと思います。
 また、3つ目の○は、細かなことで大変恐縮なのですけれども、「保健所、保健センター等の職員の資質の向上を図るとともに」と書かれていてびっくりしたのですね。今の資質はどうなのかということを言っておられるのか。もう少しさらに何か向上させるとか、ここは別の表現で書かれたほうがいいのではないかという気がいたします。
 それから、「(5)難病に関する保健・医療施策の推進」なのですが、いろいろと議論に参加してきましたけれども、このところ全体としては、他の障害、その他と比べたら少し遠慮がちに書かれているかなという気がいたしました。もう少し書かれてもいいかなと思ったのですが、具体的には、例えば下から2つ目の○は小慢のことについて書かれているわけですけれども、幼少期から慢性疾患に罹患しているとか、そのことによって学校教育云々はわかるのですが、そこから「自立を阻害している児童等について、地域の実情に応じた相談支援等による自立促進を図るための事業」というのは、3つぐらいをまとめて一つにしているみたいで、ここはそれぞれのところをもう少しきちんと書かれたほうがいいのではないか。基本的には本人も家族も安心して暮らせる支援が必要なのですが、これですと、何か学校生活の教育や社会性の涵養が遅れたことによって自立が阻害されているみたいな感じなので、もしもそうだとしたら学校教育の問題なのだと思いますが、そこのところを明確に書いてはいかがか。
 もう一つ問題になるのは、これは他のところでも本当に問題ですし、特に難病の場合は、病気によっては大きな問題なのですが、進行性の患者、自立困難な患者や病気を持って生まれた子たちの自立とは一体何なのだろう。この場合の自立というのは何を指しているのですか。何をすることが自立で、それは学校で教育すれば何とかなるものなのか、そうでないのかということも分けて、自立の多様性についても書かれたらいかがかという気がいたします。
 その他にも、医療ケア児の支援の問題とか、通院している家族負担の軽減の問題だとか、ALSだけに限らないのですが、ALSを含めた吸引の問題であるとか、二十歳以上を迎えた小児慢性特定疾病の患者さんのことだとか、身障手帳をとれない方々の介護支援の問題、一定の高齢になるまで全面的に家族が負わなければならない介護支援というのがたくさんありまして、私たちもそれで大変苦労しているのですが、お金もかかるし、早くその年齢に達してくれないと家族も共倒れになるということがあります。ぜひそこらあたりも分けて書かれたほうが、私たちにとってはありがたいと思います。
 最後ですが、1点、(6)の2つ目の○に「糖尿病等の生活習慣病」と書かれていますが、生活習慣病というのが国際的な表現であるのかどうかを聞きたいと思っています。ただ、全てが生活習慣病だと言われると困るのですが、かえっていき過ぎて低栄養になっている障害者、高齢者、入院患者等が増えてきているという調査もありますので、十分に注意をしなければならないと思います。
 そしてこの中で、生活習慣が悪いから糖尿病になるのだという短絡的な発想で、Ⅰ型糖尿病の人たちが大変辛い思いをしている。だから、単に糖尿病というだけでは、先天的な疾患を持って生まれたⅠ型糖尿病の人たちをかえって苦しめることにもなりかねないので、ここの表現については、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。
 平川則男委員、お願いします。

○平川(則)委員 1点だけ意見を言わせていただきます。
 精神病の患者さんの早期退院、地域移行を推進というのは重要だと思いますけれども、一方で、今、例外的に精神病院等へ入院される方もいるわけでありまして、その方々に対しての人権、入院中の処遇の問題というのも大変重要な問題かと思います。身体拘束の問題であるとか、それぞれ病院の中で様々な取組がされているわけでありますけれども、その辺の改善というのも必要かと思います。
 630調査によりますと、終日閉鎖の病床が22万床弱ありまして、多いか少ないか、いろいろ評価があるかと思いますけれども、こういうところを少しでも改善していくような取組というのが重要かと思いますので、その辺の記載をお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、松爲委員、お願いします。

○松爲委員 松爲でございます。
 3点ほど。
 第1点が、6ページの「(1)精神保健・医療の適切な提供等」の1つ目の○のイですね。「精神科デイケアの充実や、外来」云々です。この中で「精神科デイケアの充実を図るとともに」と並行してもらいたいところです。もっと大事なことは、アウトリーチの中で、就労支援を含むアウトリーチをぜひとも入れておいてもらいたい。ですから、外来医療や就労支援を含む多職種によるアウトリーチの充実。
 御承知のように、来年4月1日から精神が入ってきたときに、精神障害の人たちに関しての就労支援をサポートするときに一番大事なのは、医療的なバックアップなのですね。ですから、特にデイケアでそういったいろいろなプログラムについても、同時に病院から、例えば短時間就労している人たちを医療の関係者にバックアップしてもらいたいのですね。ところが、現在のところそういったものに関して診療報酬体系がないものですから、アウトリーチの中に就労支援の教育となっておりません。  そういう点では、医療、保健、福祉、一緒になって地域で生活するのを全体的に支えるという意味では、特に医療側においてはこういった就労支援も含めたアウトリーチも診療報酬体系にぜひとも含めてもらいたいということです。そういった文章表現をしてもらいたいというのが第1点ですね。
 第2点目が、次の7ページの4つ目の○のところですね。「精神障害者の地域への円滑な移行・定着を進められるよう、精神障害者の退院後の支援にかかわる取組」、この「退院後の支援」という意味がよくわかりません。
 私の視点からしますと、退院するということ、地域移行、定着するということは、移行して、地域で生活して毎日毎日パチンコをするわけではないですね。やはり働くことを含めた生活、それは社会的な役割を果たすという意味になってきますね。ですから、退院、移行の支援の中では明確に、例えば働くことを含めた支援、そういった取組ということを明記してもらいたいと思います。
 最後の3点目ですけれども、8ページの「(4)保健・医療を支える人材の育成・確保」の1つ目の○です。「医師・歯科医師について、養成課程及び生涯学習において、リハビリテーションに関する」云々、このリハビリテーションという概念は、先ほど言いましたように、こういった場面では単なる医療的なリハビリテーションでは成り立ちません。もっとこれを明確に言うのだったらば、本来的には大きなちゃんとした言葉がありますね。いわゆるトータルリハビリテーションという言葉ですね。
 それから、我々にとって一番共通認識とするのはICFの概念ですね。ですから、「総合リハビリテーション及びICFの視点に立った教育の充実を図り」という格好で文章を変えていただけるとありがたいと思います。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、石野委員、お願いします。

○石野委員 石野です。一つだけ意見です。
 9ページの(6)につきましては、全日本ろうあ連盟としてはかなりナーバスな問題だと考えております。早期発見、早期リハビリ、早期教育、これらを踏まえた上で、社会モデルということをどう捉えるかという視点で意見を述べたいと思います。  出生前には障害を持っているかどうかはわかりませんが、実際に出生した後、新生児聴覚スクリーニング検査があります。出生後1カ月以内だったと記憶しておりますが、検査の結果、聴覚に疑いがある場合に再検査をします。また、それ以降は1歳半で乳幼児健診があります。
 もし、耳に何か障害の疑いがあった場合、親としてかなり悩むというのが実情です。そして真っ先に相談するのは、耳鼻咽喉科あるいは別の専門医療機関に相談に行くだろうと思います。教育機関よりは、やはり医療専門機関という部分に相談を持ちかけることが多いです。
 そこで必ず言われることは、聴覚の発達のために補聴器あるいは人工内耳、どちらかで聞こえるレベルに近い残聴活用で活かせると言われます。ただ、それだけで十分かどうか。これは非常に問題視すべき課題だと思っております。
 実際に難聴児を持つ親御さんにいろいろ話を伺いますと、小さな時から人工内耳をする。成長すれば、手話は使わず言葉で通じる、耳から通じるということになると思っていたが、実際にはなかなか普通に聞こえず、コミュニケーションができません。その時になって早く手話を覚えればよかったという悩みを持つ方がたくさんおります。
 また一方で、耳鼻咽喉科の医師においても、社会モデルの考え方がまだ成熟していないのではないかと思わざるを得ません。補聴器、人工内耳の範囲だけの情報提供している。そうではなくて、やはり聴覚障害者自身が社会活動、運動を頑張っている。その中で手話も非常に良いコミュニケーションの一つだという情報を提供し、親に対してきちんと適切なアドバイスをすれば、親の悩みも解消することになるのではないでしょうか。しかし、現状はなかなかそうはいかない。厳しい現実があります。ですから、連盟としても、人工内耳に関する一定の見解を示しました。人工内耳は必ずしも拒否するものではなく、当然、必要なお子さんもいる。特に耳鼻咽喉科の医師または親御さんに対しても、正しい知識、正しい情報をきちんと身につけてもらうべきではないかという見解を示しました。
 また、権利条約草案作成に関わりを持った、世界ろう連盟も、ろう児の言語権に関する方針を昨年9月に公表しました。そのような世界の潮流もありますので、それらを踏まえた上で、何らかの加筆をぜひ御検討いただきたい。

○石川委員長 ありがとうございます。
 御指摘の点は重要と思います。聴覚に関しては、この後に手話という言語の話者集団であるということを踏まえた記述を加えるのが望ましいと私も思います。
 石野委員も表現ぶりについての御提案をいただけると、事務局としては検討しやすいのではないかと思いますが、御協力いただけますでしょうか。

○石野委員 承知いたしました。よろしくお願いいたします。

○石川委員長 では、三浦委員、お願いします。

○三浦委員長代理 ありがとうございます。
 8ページの「(4)保健・医療を支える人材の育成・確保」のところでございますけれども、3つ目の○で「資質の向上」と表現されているのが、若干曖昧ではないかと思います。先ほど来の社会モデルをベースとした教育訓練等、それらの意見を踏まえて、このあたりをもう少し具体的な記載をお願いします。
 もう一つ、佐藤委員と若干重なりますけれども、この計画が条約の批准後、差別解消法の施行後初めての計画でありますので、障害者の権利と合理的配慮に関する医療従事者等の教育と研修を行うという部分を明記していただきたいと思います。  以上です。

○石川委員長 久保委員、お願いします。

○久保委員 ありがとうございます。育成会の久保でございます。
 医療的ケアを必要とする児童のことなので、前の福祉サービスのところの障害のある子供に対する支援のところでお話をすべきなのか、医療なのでこちらがいいのかよくわからない。どこに書き加えていただいたらいいかなと思っていますけれども、医療的ケアを必要とする児童が地域における包括的な支援を受けられるように、保健、医療、福祉等の関連機関の連携促進に努めるという文言を一つ書いていただきたいと思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 加藤委員、お願いします。

○加藤委員 ありがとうございます。
 今の久保委員に少し絡むのですけれども、保健・医療の推進という項目のところで保健というキーワードが出てきているかと思うのですが、この場合に、私も流れがまだつかみ切れていないのですけれども、母子保健とか小児保健という分野のことについては全く触れなくていいことなのかどうかということですね。
 例えば新生児検診も、日本は平均的に受診率が9割ぐらいあるわけですけれども、大事なのは、受診されていない1割の方をどうしたらいいのかということで、そこに丁寧な検診活動が必要かと思うのですが、そのようなことについての推進ということがどういうことになるのか。全体のどこにどういう形で入るのかよくわかりませんが、少し気になるところです。
 それから、(6)のところです。これもこういう文脈の中でどういう位置づけになるのかがよくわかりませんが、私の立場で気になるから申し上げさせていただきます。今、世界的にいろいろな評価はあろうかと思いますが、胎児診断というのが非常に進行しているわけですね。その問題というのは、こういう文脈の中でどこに位置づけられるのかというのがよくわからないのですけれども、いろいろな背景から世界的・地球的規模で胎児診断というのが広がってきているという話を聞くのですが、そういう問題はこういうところで全然触れなくていいことなのか。私自身、流れがよくつかめていないのですけれども、その辺について気になりましたので発言させていただきました。
 ありがとうございました。

○石川委員長 辻井委員、お願いします。

○辻井委員 辻井です。
 一点なのですが、3ページの(4)の4つ目のところで、よくよく見てみると、発達障害の医師が足りないという話の中で、ここだけ医療の問題が入っているのですね。なおかつ、数値目標のところで医療のところが入っているのですが、例えば医療のところにここの観点を移したほうがいいのではないかと思っていて、ですから、6ページあるいは7ページのところで1個加えるのかもしれませんが、複合的な困難を持っている方たちで、子供とか、女性も発達障害でかなり明らかなのですが、症状が違って医療のモデルも少し違うのではないかという話も出てきているので、あるいは妊娠中の障害を持っている方たちの精神科医療という形のところでいくと少し異なるので、そうした方たちがちゃんと治療を受けられるように、特に各地で小児の精神医療の受診が困難になっているという問題が、結局、3ページの発達障害のところで医師が足りないということを書いていると思うのですが、医療のところは医療のところでそろえるような形で提示をしていくことのほうが、全体としてはわかりやすくなるのかなと思いました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 阿部委員。

○阿部委員 阿部です。
 7ページの「(2)保健・医療の充実等」はとても大事なことで、1つ目の○でも「高齢化等による障害の重度化・重複化及びその対応に留意する」とか、5つ目にも「障害に起因して合併しやすい疾患、外傷」などなどについて言及していますけれども、障害当事者本人がこれらに関する知識を持っていないのではないかと思いますので、障害者に対して高齢化などによる障害の重度化・重複化の予防に関する知識及び障害に起因して合併しやすい疾患の知識及び予防について周知するということも大事なことではないのかなと思います。
 予防であれば本人が知らなければいけない。医療者の方だけに任せられているということで少し矛盾に思いましたので、私たち障害者自身も知識を持つ必要がある。そのことについて言及していただきたいと思いました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 私も2点ありまして、1点目はささやかなのですが、「幼少期から慢性疾患に罹患している」という表現があるのですが。

○寺本参事官 ここは訂正させていただきます。

○石川委員長 わかりました。
 では、もう一点なのですけれども、先ほど飯塚委員も御指摘になった点なのですが、成果目標で1年以上入院者の数を20%程度、平成32年度末までに削減するという成果目標になっているのですけれども、精神疾患のある患者と認知症の患者と分けて成果目標を設定するほうが合理的というか、意味があるのではないか。つまり、長期入院の原因が両者ではかなり異なるのではないかと推察するからです。
 それから、新規入院者の平均在院日数についても成果目標として設定できないものだろうかということも提案させていただきたいと思います。
 以上です。
 それでは、委員からたくさんの提案がありましたけれども、厚生労働省のほうから御答弁いただきたいと思います。

○厚生労働省(竹内課長補佐) 健康局でございます。
 伊藤委員から御提案のありました8ページの(5)の難病のところの記載でございますが、他の障害に比べて控え目ではないかとか、先ほども難病相談支援センターのところで御発言いただきましたので、書きぶりについては検討させていただきたいと思います。

○石川委員長 今、整理中ですので少々お待ちください。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部企画課施設管理室:品川室長補佐) よろしいですか。
 「(2)保健・医療の充実等」の3つ目の○で、国リハセンター病院の関係で、大日方委員、伊藤委員からも御意見をいただいたところなのですけれども、御意見を踏まえまして、書きぶりについて検討させていただきます。
 以上です。

○石川委員長 ここで数分間の休憩をとって、この間に御答弁をまとめていただくほうがよろしいかと思いますので、トイレ休憩を5分ぐらいとりましょう。合理的配慮として5分というのは適切かどうか、ややわかりませんが。

(休憩)

○石川委員長 それでは、再開したいと思います。
 それでは、厚生労働省のほうから御答弁をいただきます。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課医療観察法医療体制整備推進室:江口医療観察調整官) それでは、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察に関しまして、御意見をいただいたものについて御回答させていただきます。
 まず、国民に対する精神医療の充実を、さらに丁寧な形の医療をということで、精神障害者の支援というのをここに記載したらどうかという御意見をいただきました。全体の書きぶり等も検討させていただきまして、これにつきましては再度検討をさせていただこうと思います。
 以上です。

○厚生労働省(瀬戸係長) 続きまして、精神・障害保健課からです。
 先ほど飯塚委員のほうから御質問がありました資料2-2の目標値に関しまして、6の最初のところで、精神病床における1年以上の長期入院者数、現状値18.5万人から、目標値14.6万人から15.7万人ということで設定しておりますが、これだけの地域移行というのが本当に進むのかという御質問なのですが、この点に関しまして、厚生労働科学研究の重度かつ慢性の研究班の結果によりますと、長期入院者の精神障害者のうち一定数は、地域の基盤を整備することによって地域移行が可能であることが示されております。
 また、治療抵抗性統合失調症治療薬の普及ですとか、認知症施策の推進によりまして、一定程度、長期入院されている方の地域移行が進むと考えております。
 平成29年2月に取りまとめられましたあり方検討会の報告書でも、重度かつ慢性の方、長期入院されている方についても、地域移行の対象から外れることがあってはならないということが確認されておりまして、厚生労働省といたしましても、こういった長期入院者の方も含めまして地域移行に取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。

○石川委員長 確認なのですが、飯塚委員はこんなに進むのかという意味でおっしゃったのでしょうか。それともこれだけしか進まないのかとおっしゃったのか。

○飯塚委員 目標値があまりにも少ないのではないかと思ったのです。

○石川委員長 そうですね。ですので、もう一度御答弁いただきたい。全く反対の受けとめ方をされているので。これだけしか進まないのでしょうかという質問だったと思います。

○厚生労働省(瀬戸係長) 回答につきましては、持ち帰りまして、また検討させていただきます。すみません。

○石川委員長 よろしくお願いします。
 重度かつ慢性という概念が出てまいりましたけれども、これについても学会等で様々な議論がありまして、これに依拠した政策あるいは目標設定というのは非常にリスクがあろうかと思いますので、この点につきましての議論は重々御承知と思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、森室長。

○厚生労働省(森室長) 様々な御意見をいただいております。例えばリハビリテーションの関係ですとか、医療費の関係ですとか、新たな地域目標、病床数はどうして設定するのかですとか、アウトリーチは就労支援のほうにも派遣できないかですとか、様々な御意見をいただいていますので、全て持ち帰りまして、再度整理をさせていただきたいと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 一点、先ほど言い忘れたのですけれども、病院の中での権利擁護について、「第三者による意思決定支援等の権利擁護を行うことを検討する」と計画には書いてあるのですけれども、「行う。」とすることはできないでしょうか。「行うことを検討する」というのでは弱いと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○厚生労働省(森室長) こちらのほうも、現在、精神保健福祉法の改正案を出しておりますので、この法案もどうなるのか、少しわからない状況になっていますけれども、それらの動きも含めて今後の検討になると思います。

○石川委員長 ぜひとも全体として前向きの調整をお願いしたいと思います。
 それでは、6につきましては以上とさせていただきます。ありがとうございました。
 もう休憩を入れましたので、そのまま続けさせていただきます。
 それでは、本日の最後の議題です。差別の解消における環境整備に資する指針の取組につきまして、前回に引き続きまして2省庁から御報告をいただきます。
 まずは、経済産業省のほうから、電子商取引のアクセシビリティに関するガイドラインにつきまして、御検討いただけないか、あるいは御検討されていないかということについてお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

○経済産業省(商務情報政策局消費・流通政策課:佐藤課長補佐) 今、御紹介いただきました経済産業省の消費・流通政策課と申します。
 本日は、このような場でお時間をいただきまして、ありがとうございます。座らせていただいて御説明申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 私どもは、今、申し上げましたように、消費・流通政策課という課でございまして、名前に「流通」とついてございますとおり、日々の買物の場である小売を担当させていただいているところでございます。
 小売業、スーパーですとかいろいろなお店でございますので、多くの方が訪れる場だろうと思っておりまして、小売業におきましては全てのお客様に快適にサービスを受けていただけるようという観点から、ハード面においてお店のバリアフリーですとか、また、昨今では心のバリアフリーといった観点から、業界における接客マニュアルの策定や、また、それを踏まえた社員の方の教育の徹底、今、こういったことに取組を進めさせていただいているところでございます。
 先ほど御指摘いただきましたように、電子商取引、インターネットなどを通じてお買物をされるケースも昨今は非常に増えてきていると認識をしております。リアルなお店に実際に行かれて買物をするケースもあれば、インターネットを通じてお買物をするケースも増えていると承知をしております。
 私どもの統計の調査でございますと、直近では5%ぐらいがインターネットを通じたお買物だという調査もございますけれども、こういった観点からもアクセシビリティの向上をきちんと図っていく、この点は非常に重要だろうと考えております。  どのように図っていくかに関しましては、民間の企業様主体の取組ではございますけれども、我々もいろいろ民間の企業様と意見交換をさせていただきますと、一部の企業様におかれましては、社内においてアクセシビリティのルールを策定している企業様ですとか、または音声による商品検索機能を設けられている企業様ですとか、今、5%と申し上げましたけれども、インターネットを通じたお買物の利活用が進む中で、じわじわと取組が進められてきているのかなと感じているところでございます。
 いずれにいたしましても、今回御指摘をいただきましたように、電子商取引の分野においてもアクセシビリティがきちんと確保されるという観点から、我々としても小売の企業様、電子商取引に携わる企業様に対しまして取組を促すなど、しっかりと周知を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 例えばEUはウェブアクセシビリティ指令という指令をEU法の枠組みの中で出して、EU加盟国に、民間企業も含めてウェブアクセシビリティを進めていくための施策をやっておりますし、権利条約の国内実施に対して権利委員会は、各締約国に対してアクセシビリティ施策の充実、特にインターネットのアクセシビリティ、デジタルアクセシビリティについては非常に関心を持って勧告をしておりますので、ぜひとも国としての前向きの施策、経済産業省としての取組を期待したいと思います。
 それでは、続きまして環境省のほうから御報告をいただきたいと思います。国立公園ビジターセンター等のアクセシビリティについて、今、環境省として進めていることがあるかどうかということにつきまして、御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○環境省(自然環境局自然環境整備課:大林課長補佐) 皆さん、こんにちは。環境省自然環境局自然環境整備課の大林と申します。
 本日は、御説明の時間をいただきましてありがとうございます。座って失礼させていただきます。
 皆さん御存じのように、国立公園というところは日本の自然の傑出したところということで設定をしております。国立公園におきまして、我々は自然環境の保護と利用の両輪で行っておりまして、人々が自然にふれ合う機会をつくることも重要だと考えております。
 ただ、日本の自然は様々ございまして、原生的なところとか脆弱なところに関しましては、自然の保護が強く求められるところもございます。また、急峻な地形とか厳しい気象条件があるところとか、予算等の条件もございまして、都市部におけるユニバーサルデザインと同一な考え方、また整備基準をそのまま使うことはなかなか難しいと感じております。
 そのため、我々もゾーニングを行いまして、総合的な取組をすることが大事かなと思っていまして、様々な利用者が多数訪れるビジターセンター等に関しましては、優れた自然から誰もが感動や喜び、安らぎを得られる環境づくりというのを理念として、その他のところはソフト対策もあわせて考えていくことが重要かと思っています。
 例えばビジターセンター等におけるハードの整備として、今進めていることは、車で来まして、その駐車場からビジターセンターに行くときに段差とかがあったりするとなかなか入りにくいところがありますので、そういうものの解消とか、ビジターセンターの中に入りまして、見たり、触れたり、さわったり、そういう五感を大事にした展示を行ったり、細かいところですと、例えばカウンターとか天井の高さとかに配慮をしております。
 また、ハードだけでなくてソフト対策というのも重要だと思いますので、最近のトピックスとあわせ谷垣から説明をします。

○環境省(自然環境局国立公園課国立公園利用推進室:谷垣室長補佐) 同じく環境省国立公園利用推進室の谷垣と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座って失礼いたします。  今、大林のほうからハードの関係の説明がございましたけれども、ソフトの対応といたしましては、最近、環境省では、ハードの面も含めてなのですけれども、平成27年度にユニバーサルデザインの取組のアイデアをまとめるということをいたしました。こういったことを踏まえまして、ソフトの対応としては、例えば国立公園のビジターセンターにおいて多目的トイレが整備されているか、あるいは貸出しの車椅子があるかどうかといった対応状況をまとめて、ホームページで情報提供をさせていただくということをしています。
 それから、実際にビジターセンターにおいても筆談の用意をしたり、話し言葉で意思疎通が難しい方のために、コミュニケーションを支援する指差しの確認ボードみたいなものを新たに作って、基本的に環境省の直轄のビジターセンターに配備をするということを進めております。こういった取組を引き続き進めていきたいと考えているところです。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 ちょうどこの8月に、国連の障害者権利委員会による審査でイギリスが審査対象国になりまして、イギリスには多数の世界遺産、文化遺産、自然遺産がありまして、英語ではユネスコサイトと呼ぶのですけれども、そのアクセシビリティについても質問をいたしました。
 世界遺産というのは、従来は触れてはならないという捉えられ方をしてきたけれども、今、環境省の方もおっしゃったように、守っていくことと、それを鑑賞したり、体験したり、誰もが感動できるということのバランスをとっていくことが、国立公園とともに世界遺産も非常に重要だと思います。環境省が所管されているのは自然遺産のほうだと思いますが、その点につきましてもあわせて御検討いただければ幸いです。
 委員から何か、経済産業省及び環境省の取組等につきまして、御意見・御質問があればお受けしたいと思います。
 では、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 環境省のほうに御質問なのですけれども、私、アメリカの国立公園を大分回ったことがあって、それと比べると日本は非常に遅れているなと感じました。
 例えばグランドキャニオンでは、崖のぎりぎりのところまでバリアフリールートがありまして、健常者の人が楽しめるのとほぼ同じぐらい最後のところまで行けます。ザイオン国立公園というところは、敷地内は車が入れなくて、車を外の駐車場にとめて中は巡回バスで回るのですけれども、巡回バスは全てバリアフリーのバスで、そこから川沿いに谷をどんどん上っていくのですが、健常者の人が一番最後の行けるところまでバリアフリールートが整っておりまして、これは非常に驚きました。  日本の場合は、例えば先ほど御説明があったけれども、トイレがあったり、集まる場所までは行けるのですけれども、本当に楽しめる一番奥のところまでは行けないというものが非常に多いと思います。
 ですので、ぜひ改善していただきたいと思うのですけれども、今、国立公園でどのぐらいバリアフリーがされているのか。それは一部でなくて、全体に対して何%ぐらいまで行けるようにちゃんと整っているのかということを把握されているかということと、もう一つは、計画的に国立公園を順次バリアフリー化していく計画があるか。この2点をお尋ねしたいと思います。

○石川委員長 あと、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 経済産業省の方にお願いないしはお聞きしたいのですけれども、どんどんインターネットを含めた利用が促進される中で、ユニバーサルデザインという形で、あるいは情報アクセシビリティがよくなるということ自身は一定意識をしてもらっているようなのですが、視覚障害者の場合には、入り口のところで個人認証ができない場合が出てきているのだそうです。私は全く理解できていないのですけれども、そういうことやタッチパネルを含めまして、ICTの分野で、言わば進歩していく過程で視覚障害の特性から利用ができなくなるケースが増えていると聞いていますので、その点はどういう視点から考えておられるかについて、もし、現時点でわかることがあれば教えていただきたいと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員がおっしゃっているのは、画像captcha、画像認証という方法で、コンピューターには認識できないが、人間が目視するとそこに文字や数字を読み取ることができるということで、ロボットでなくて人間であるということを確認するための入り口のゲートキーパーみたいなものがあって、そういうお話だと思います。
 では、環境省、経済産業省の順に、手短にお願いできればと思います。

○環境省(大林課長補佐) 環境省でございます。
 目標に関して、全体というのがどこまでというのはなかなか難しいかなと思いますが、平成27年度にユニバーサルデザインのプロジェクトがございまして、そのときにはビジターセンター等に関しては、100%というのは難しかったので、90パーセント程度までやるようにしましょうとか、そういうことに関しましては定めております。
 以上です。

○経済産業省(佐藤課長補佐) 御指摘ありがとうございます。経済産業省でございます。
 御指摘いただいた個人認証の分野ですと、いろいろな業界別でしたり、分野別にいろいろな取組があるのだろうと認識をしておりますので、今、全体像については我々のほうできちんと把握できていないので申しわけございませんが、一般論になってしまうかもしれませんけれども、ウェブコンテンツ全体についてはウェブアクセシビリティを改善していこうではないかということで、JISの規格も定められていると承知しておりますので、こういった取組を促していって、全ての方に活用可能、利用できるような品質・水準にまで持っていければと考えているところでございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 ウェブアクセシビリティのJIS規格は国際規格と完全に整合性がとれておりますので、これを準拠するように政策的に誘導していただけると非常にありがたいと思います。
 それでは、時間も限られておりますので、ここまでとさせていただきます。環境省、経済産業省、ありがとうございました。  それでは、本日予定しておりました議題は以上となります。事務局また各省におかれましては、今日の議論を踏まえまして、さらなる磨きをかけていただきたいと思います。
 では、事務局から事務的な連絡等がございましたらお願いします。

○寺本参事官 長時間ありがとうございました。
 次回の委員会につきましてでございますが、10月20日金曜日の13時から17時までの開催を予定しております。これまでに計11の施策分野につきまして一通り御審議をいただいたところですが、その際にいただいた御意見等を踏まえました修正案等につきまして、改めて御審議をいただきたいと考えております。
 以上でございます。

○石川委員長 それでは、これをもちまして第38回「障害者政策委員会」を閉会いたします。ありがとうございました。