障害者政策委員会(第41回)議事録
13:30~16:30
中央合同庁舎8号館 1階 講堂
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○寺本参事官 定刻となりましたので、第41回障害者政策委員会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりをいただきまして誠にありがとうございます。
本日、委員改選後の初回ということで、委員長の選出まで司会を務めさせていただきます、私、内閣府障害者施策担当の参事官の寺本です。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、私から、今回第4期の委員として、皆様方、御就任いただきました委員の皆様を御紹介させていただきます。
皆様の名簿につきましては、資料1としてお手元に配っております。この名簿に沿って、最初に委員の30名の皆様、それから今期から専門委員という形で4名の方に御参画いただくことにしておりますけれども、委員、専門委員の順に、それぞれ五十音順で御紹介します。各先生方からの御挨拶につきましては、後ほど時間をとっておりますので、その時にお願いします。
それでは、紹介させていただきます。
日本身体障害者団体連合会会長、阿部一彦委員。本日は遅れて到着されるとお伺いしております。
東京都重症心身障害児(者)を守る会会長、全国重症心身障害児(者)を守る会評議員、安部井聖子委員。
全国脊髄損傷者連合会副代表理事、安藤信哉委員。
静岡県立大学国際関係学部教授、東京大学先端科学技術研究センター特任教授、石川准委員。
全日本ろうあ連盟理事長、石野富志三郎委員。
全国地域で暮らそうネットワーク代表理事、岩上洋一委員。本日は欠席でございます。
東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、大河内直之委員。
日本発達障害ネットワーク副理事長、大塚晃委員。本日は欠席でございます。
全国精神保健福祉会連合会副理事長、岡田久実子委員。
株式会社電通パブリックリレーションズシニア・コンサルタント、パラリンピック金メダリスト、大日方邦子委員。本日は欠席でございます。
全国児童発達支援協議会会長、加藤正仁委員。
全国盲ろう者協会理事、門川紳一郎委員。
弁護士の加野理代委員。
全国肢体不自由児者父母の会連合会理事、河井文委員。
全国地域生活支援ネットワーク顧問、北岡賢剛委員。
全国手をつなぐ育成会連合会会長、久保厚子委員。
DPI日本会議事務局長、佐藤聡委員。本日は欠席でございます。
北海道知事、高橋はるみ委員。
日本盲人会連合会長、竹下義樹委員。
日本相談支援専門員協会顧問、玉木幸則委員。本日は欠席でございます。
筑波大学教授、柘植雅義委員。
和泉市長、辻宏康委員。本日は欠席でございます。
毎日新聞社論説委員、野澤和弘委員。遅れて到着されるとお伺いしております。
日本経済団体連合会SDGs本部長、長谷川知子委員。
日本精神科病院協会常務理事、平川淳一委員。
日本労働組合総連合会総合政策局長、平川則男委員。
東京通信大学人間福祉学部教授、松爲信雄委員。
全国社会福祉協議会、全国身体障害者施設協議会 制度・予算対策委員長、三浦貴子委員。
日本難病・疾病団体協議会代表理事、森幸子委員。
日本知的障害者福祉協会副会長、山崎千恵美委員。本日は欠席でございます。
続きまして、専門委員の方を御紹介します。
日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構代表理事、内布智之委員。
大阪府立大学教授、関川芳孝専門委員。
日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科准教授、曽根直樹委員。本日は欠席でございます。
日本商工会議所産業政策第二部課長、髙野晶子専門委員。
以上でございます。
これ以降の写真撮影につきましては中断いただきますようお願いいたします。報道関係のカメラがございましたら、ここで一旦退室いただきます。よろしくお願いします。
それでは、本日御出席いただきました委員の皆様から一言ずつ御挨拶いただければと存じます。
先ほどと同様に委員、専門委員の順で、それぞれ五十音順に御案内いたします。恐縮ですが、1人おおむね1分半以内ということで御挨拶いただければと思います。
それでは、まず、安部井委員からよろしくお願いします。
○安部井委員 重症心身障害児(者)を守る会の安部井でございます。
前期の第30回からこの場に同席させていただいております。全国に4万3000人しかいないという重症心身障害の子供たちの親の会ですが、このような場に同席させていただけましたこと、大変深く感謝しております。
私どもの子供は知的にも身体的にも重い障害を併せ持ち、施設入所をしている者や、在宅で濃厚な医療を必要としながら地域生活を営んでいる者もおります。地域で生活するためには、医療の整った入所施設がなければ医療も受けられない、また、短期入所もできないという厳しい状況で生活をしております。大変少ない子供たちではございますけれども、どうぞ皆様の御支援をよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員 皆さん、こんにちは。全国脊髄損傷者連合会の副代表理事をしております安藤です。 障害者政策委員会には、平成28年10月から参加させていただいているので、今回で2期目となります。平成23年8月施行の改正障害者基本法と平成28年4月施行の障害者差別解消法には、それぞれ附則に施行後3年の検討規定があります。この点についても障害者政策委員会で今後議論していきたいと考えています。また、昨年10月の社会保障審議会障害者部会では、障害者手帳のカード化について、厚生労働省から御提案がありました。これに対して、当会の内部では、例えばETCカードやICカード乗車券の機能を付与してはどうかなどという意見も上がっています。このような省庁横断的なテーマについても、障害者政策で積極的に議論できればと考えています。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○寺本参事官 次に、石川委員、お願いいたします。
○石川委員 静岡県立大学の石川といいます。第3期では、障害者基本計画(第4次)について、障害者政策委員会として意見をまとめるという仕事がございました。今期もまた、来年、日本が国連障害者権利委員会による審査を受けるというタイミングに当たっておりまして、重要なタスクが複数あるかというふうに考えております。また今期もどうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、石野委員、お願いいたします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の理事長をしております石野です。よろしくお願いいたします。
先ほどから御発言がありましたが、今後、障害者基本法、そして障害者差別解消法、この見直しという話も出ておりますので、これについての改正に向け、できる範囲で努力してまいりたいと思います。
また、来年ちょうど東京オリンピック・パラリンピックの年になりますので、非常に今、好機と考えております。また、皆さん御存じのように、全日本ろうあ連盟といたしましては、手話言語法を目指し、運動を推進しているところです。全国的に手話は言語であるということの認識が広がっております。非常にありがたいことです。手話言語条例を制定した自治体は、最近の直近の報告では225自治体となっております。25道府県、3区、169市、28町合わせて225の自治体が制定されています。また、電話リレーサービスにおきましても、昨日、総務省で検討が始まったばかりですので、今後、電話リレーサービスの制度化に向け頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、大河内委員、お願いいたします。
○大河内委員 大河内直之と申します。東京大学に所属しております。視覚障害の全盲の当事者です。
私は、視覚と聴覚の両方に障害を持つ盲ろう者、盲ろうの人たちの支援に関する研究、それから、最近では、障害者の文化芸術の推進に関する研究というのも行っております。特に、文化芸術のバリアフリーにつきましては、昨年度、法制化もなされまして、今後様々な分野に障害を持った人たちが活躍の場を広げていくところだと思っておりますので、この委員会でもそういう側面も含めながら様々な議論を行っていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、岡田委員、お願いいたします。
○岡田委員 全国精神保健福祉会連合会、みんなねっとの岡田久実子と申します。
私たちの会は、精神障害者の人を持つ家族の会ということで活動しております。今現在、メンタルヘルスといいますか、精神の健康あるいは不調に関しましては、ある特定の特別な人たちの課題ではなくて、実は全国民にとっての重要な課題だという視点をもっともっと広げて深めていかなければいけないなと考えております。そして、精神障害を持つ人の家族と一口に言いましても、今までは親の立場の者が中心に動いてきた経緯があるんですけれども、実は親ばかりではなくて兄弟、姉妹の方はもちろん、配偶者の方、それから、その子供の立場の方というふうに様々な立場の家族がいるということをもっともっと認識しながら、地域生活を充実させるために地域精神保健医療福祉の充実ということを課題にこれからもいろいろ学びながら提言をさせていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、加藤委員、お願いいたします。
○加藤委員 私は一般社団法人全国児童発達支援協議会の代表をしています加藤正仁といいます。今期で2期目をさせていただいております。
前期の段階で非常に多岐にわたる、しかも、我が国における障害施策の基本的なところを本当に様々な領域からトータルに議論がされているということに関しまして、本当に敬意を表し、また、私自身も自分の未熟さを実感したところであります。しかし、一方で、そうした議論の中にライフステージの最初の部分である子供たち、そして、家族、そして、兄弟たちの話がやはりどうしても不足しがちといいますか、もちろん発言される皆様方の中には、子供たちのことが頭にあるのかもしれないんですけども、なかなか話題にならない、議論されないというもどかしさをやはり感じております。そういう意味で、今期も今までのお話を聞きましても、非常に重要な議論が控えているわけですけれども、その際に常に子供たちのことを、子供を取り巻く関係者のことを考えながらこの場に参加させていただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○寺本参事官 次に、門川委員、お願いいたします。
○門川委員 皆さん、こんにちは。全国盲ろう者協会理事の門川です。
私は目と耳の両方に障害をあわせ持っている盲ろう者です。この障害者政策委員会には、第1期からずっとかかわらせていただいております。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
御存じのように、盲ろうの人の人口は統計上でも約1万4000人と少ないです。そうした盲ろう者の声をこのような場で皆さんにお伝えできるように今期も頑張っていきたいと思っております。普段、私は盲ろう者に囲まれて生活をしております。でも、そこから一歩外に出ると、盲ろう者はなかなか出会うことのない非常に希少な存在だと思います。盲ろう者の声を集約して、この場でいろいろお伝えすることができればよいなと思っています。この会議に参加するために指点字の通訳と、それと、今期はパソコンによる文字通訳も併用して会議に臨みたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、加野委員、お願いいたします。
○加野委員 弁護士の加野と申します。3期目になります。弁護士、いわゆる学識経験者ということで委員を拝命しておりますけれども、私自身、中学3年生になる次女がダウン症で、障害当事者の家族という立場も持っております。障害者施策の充実のため、この委員会での議論が有意義なものとなるよう、微力ながら努めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、河井委員、お願いいたします。
○河井委員 全国肢体不自由児者父母の会連合会の河井文と申します。私も3期目になります。
委員就任に当たりまして、2点ほど申し上げたいと思います。
まず、障害者差別解消法が施行されて3年になろうとしております。合理的配慮の事例の収集も進んでまいりました。しかしながら、その認知度は、いまだに低いと言われております。誰もが取り残されない共生社会実現のためにさらにどんな取組が必要なのかを議論する必要があると考えております。
2点目は、地域における相談支援事業の充実です。
障害児者が地域で安心・安全に暮らしていくために一般相談や計画相談などは支援の入り口となる大事な事業です。相談員の専門性の確保や丁寧な相談を継続するための人員の確保が不可欠ですが、十分とは言えないと認識しております。これらを含めまして、様々な課題について議論ができればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、北岡委員、お願いします。
○北岡委員 全国地域生活支援ネットワークの北岡と申します。どうぞよろしくお願いします。今回で私としては2期目となります。
全国地域生活支援ネットワークは、障害がある人が地域の中で暮らすこと、そして、その人らしく生きることを実現するために様々なことで政策の提案を行ってまいりました。最近では、障害のある人たちの文化芸術活動の必要性や推進を我々の団体の一つの運動論として掲げまして、このたび法案も成立することができて、皆で喜んでいるところですが、今回この委員会に参加するに当たり、もう既にこれまでも委員の方から御指摘がありますが、私も障害者基本法の見直しに向けた検討をぜひ今回のこの委員会でスタートをしたいというように強く願っています。今年で8年目になるこの障害者基本法ですが、3年後には見直すというようになっておりましたので、もうそろそろこの時期をはるかにもう過ぎましたので、ぜひ議論をしていくことができたらというように考えております。
それから、もう一つは、障害者差別解消法の見直しも、これも3年後に行うということになっていますので、このこととあわせて議論をこの場で深めることができたらというように思っています。特に障害者基本法の見直しについては、前期の障害者政策委員会の最後に、私としての発言の中にも、ぜひこの障害者基本法の見直しについて準備を進めていただきたいというようなことでお話をさせていただきましたので、この障害者政策委員会でそういう議論が深まることを願っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、久保委員、お願いいたします。
○久保委員 全国手をつなぐ育成会連合会の久保と申します。よろしくお願いいたします。
今、何人かの委員の方、もう既におっしゃいましたけれども、障害者差別解消法、それから障害者基本法の見直しが必要と思っております。
それと、私がかかわっておりますのは、障害者の文化芸術の部分ですね。その部分も全国組織の27団体が集まって活動をしておりますので、来年のオリンピック・パラリンピックに向けて、今年度からみんなで力を合わせて盛り上げていきたいと思っておりますけれども、その中で育成会に韓国とか台湾、中国、インドネシアぐらいのアジアの障害のあるお母さんたちが日本に学びたいということで、育成会を通じていろいろ見学や話合いをしたいとか、そんなことを年間幾つもお話をいただいております。ですから、ちょっとアジア全体のことを、日本が一番進んでるのか分かりませんけれども、日本はその役割も必要かなとも思っていますので、アジア全体における障害者の施策という感じで情報交換をしながら、みんながよくなっていけたらいいなというふうに思っています。
そして、先ほど申し上げました、障害者基本法や障害者差別解消法を見直す中で、先般の不妊手術等々もありましたので、女性の障害者というところにしっかりと目線を置きながら、見直しの検討をこの場でしていけたらいいなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、高橋委員、お願いいたします。
○高橋委員 北海道知事の高橋でございます。全国知事会の推薦によりまして、前期に引き続き、委員を拝命いたしたところでございます。
北海道では、昨年、意思疎通支援条例、そして手話言語条例、この2つの条例を制定いたしました。そして、障害のある方々の意思疎通の妨げとなっている様々な社会的障壁の解消、あるいは言語としての手話の認識の普及などに取り組んでいるところでございます。
こうした中、全国ニュースでも流れたところでありますが、昨年の9月に、道内におきまして胆振東部地震、震度7、北海道始まって以来の大きな震度を記録した地震が発生をいたしまして、加えて、そのことに触発されて、全道域540万人の全ての世帯が停電になるという、これは日本国でも初めての事態が起こったところでございます。そういった中で、障害のない方々と同様に障害のある方々への情報提供をいかに保障するのか、確保していくのか、これが我々にとっての大きな課題であるということを改めて認識を深めたところでございます。今後、道として、情報保障のための指針を作成し、市町村あるいは道内の民間事業者の方々にこれを周知していかなければならない、その準備を今進めているところでございます。
また、今日の後半の議題となっております公務部門における障害者雇用につきましては、各機関が法定雇用率を満たしていないという御批判も多々あったところでございますが、道におきましては、ここまで、身体に障害のある方を対象として職員採用に取り組んでまいったところであり、法定雇用率は上回っている状況にはあります。今後は加えて、精神障害者の方などの採用に向けて、具体的に検討を進めていく考えであります。我々広域自治体の役割というものも、障害者の方々に対する政策を推進していく上で大変重要と認識いたします。
2020年の東京オリンピック・パラリンピック、そして、私ども北海道は、札幌を中心として2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を視野に入れながら推進をしているところでございまして、そういった立場からも、障害のある方もない方もともに暮らせる地域社会を目指して努力をしていかなければならないと思っております。そういう視点で、地方自治体の立場からこの委員会に参加させていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 日本盲人会連合の竹下といいます。
視覚障害というのは、一言に言えば、いかなる方法で情報保障をするかということだと思っております。この前、駒込で私の友人が、音の信号機が止まっているために命を落としました。毎年数十人の視覚障害者がホームの端っこが分からないために線路に落ちて、そのうち何人かは毎年命を落としております。これらは全て、どのような形で情報を保障するかということによって命が助かるかどうかの分かれ目になっております。教育の場面であれ、職業の場面であれ、日常生活の場面であれ、それらの全てが視覚障害者に情報をいかにして保障するか、提供するかということが、社会保障の本質だと我々は思っております。
この障害者政策委員会におきましては、ぜひ今後、そうした重要な課題を解決すること期待されていると思っております。皆様が御指摘されているように、ずっと放置されている障害者基本法の見直し、そして、3年後見直しが迫っている障害者差別解消法の見直し、さらには、国が2016年に国連の障害者権利委員会に提出した報告書は、来年に審査が予定されていると思いますが、その審査にどのように臨むのか、そして、我々の障害者政策委員会がそこでどういう役割を果たすのかということについても、今日、もし、その他というところで時間をいただけるならば、意見を言わせていただきたいと思っております。以上です。
○寺本参事官 次に、柘植委員、お願いいたします。
○柘植委員 筑波大学の柘植です。3期目になります。大学では、知的障害、発達障害、行動障害の研究分野に所属しておりまして、主に教育学と心理学の視点から研究をしております。
一つだけお話をしたいと思います。国連の障害者権利条約の第31条、統計及び資料というところですね。1年前も2年前も3年前も何回かこの障害者政策委員会で話題になりました、批准した国は障害者施策を整えていくのに統計と資料を十分集めて整理整頓をして、それに基づいて行っていくべきという非常に明解なことが書かれていて、その方向に沿ってここでも議論してきたと思います。ところが、残念ながら、先ほどどなたか委員からもありましたけど、障害者の雇用の算出の問題でありますとか、あるいは、昨今、テレビとか、新聞とか、ネットを見ておりますと、基本統計のとり方の問題だとか、とても残念なことが出ております。アメリカやイギリスが先を走っていると思いますが、エビデンスに基づいた教育政策だとか、政策評価という流れに置いてけぼりにならないように、少なくてもこの障害者政策を議論していくときには統計と資料を大事にしていきたいなと思っております。研究者という立場から、そのような視点から本委員会に尽力できればなと思っております。よろしくお願いします。
○寺本参事官 次に、野澤委員、お願いいたします。
○野澤委員 野澤です。よろしくお願いいたします。私も3期目になるかと思います。本業は毎日新聞の論説委員をやっております。長男が重い知的障害を持っている関係でいろいろな立場でこの分野に携わらせていただいております。古いところでいうと、千葉県が障害者の差別をなくす条例を制定や、あるいは内閣府で障害者差別解消法の地域協議会の在り方検討会にも携わらせていただいております。最近では、障害者の地域生活の在り方ですとか、文化芸術についても関心を持ったりしております。
今、何人かの委員からありましたけども、意思疎通支援ですとか情報保障、これに関していうと、知的障害を持った方たちの情報保障っていうのが意外に見落とされてきている分野だなと思っております。ルビを振るぐらいで、それがとても大事なんですが、ほかにももっといろいろな配慮が必要なわけで、そういうことを今研究したり、普及したりする一般社団法人をつくって、最近はそういう活動をしております。また機会がありましたら、この場でも少し御紹介させていただければというふうに思います。
そして、障害者基本法、それから、障害者差別解消法の見直しですね。もう一つ、私が古くから携わってきたものでいいますと、障害者虐待防止法がつくられたままずっと見直されることもなく今日まで来ております。学校の現場における虐待がものすごい数です。やはり多いと思いますし、医療機関における身体拘束、これも非常に深刻な状態にあると思います。ぜひ、こういう縦割りでいろいろな壁があってなかなか話が進まないですが、障害者政策委員会こそ、こういう壁を超えた議論ができたらなと思っております。そして、制度や法律ができることが大事なんですが、その制度がどれだけ周知徹底されているのか、そして、それがどれだけ機能しているのかということがやはり課題と思っております。この辺りまで踏み込んだ議論というものができるといいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 経団連SDGs本部長の長谷川と申します。今期から初めてこちらの委員会に参加させていただきます。
経団連のSDGs本部というのは、国連の持続可能な開発目標の達成に資する企業行動を推進するということで、一昨年に経団連の企業行動憲章を改定いたしまして、人権を尊重する経営、また、多様な方々が活躍できる職場環境の整備、また、その包摂的な社会の実現を目指したインクルーシブビジネスの推進など企業の活動を推進するよう取り組んでおります。これまで、こちらの委員会に法定雇用率の関係から、経団連の労働政策本部の者が参加していたんですけれども、障害者政策委員会が、より幅広い視野から、よりもう少し多様な政策を検討されるということで、今回から私、SDGsの本部のほうで参加をさせていただくことになりました。いろいろ勉強させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○寺本参事官 次に、平川淳一委員、お願いします。
○平川(淳)委員 日本精神科病院協会の常務理事をしております平川と申します。平川は2人いますが、私のほうは、精神科病院の院長もしております。
精神科の分野は、今、地域包括ケアシステムということで多くの精神疾患を持った患者さんが地域で暮らしている。そのことを支えようというようなことが今主眼になっておりますが、残念ながら、今、厚生行政は、この地域包括ケアシステムといいながら、退院促進や病棟の機能分化ということで、相変わらず古い政策を続けているのが実情です。320万人と言われている精神疾患を持っている患者さんたちが、今、年間40万人入院されて、そのうち35万人ぐらいは1年間で退院できているということで、多くの方は町で暮らしていらっしゃる。その方々の雇用の問題も先ほど出ましたが、なかなか他の障害の方に比べて雇用が低いという実際もあります。ぜひ、この障害者政策委員会で、地域で精神障害を持っている方が幸せに暮らせる、そして、精神科医療がこれをきちんとサポートしていける、そういう社会になるように考えて提言していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、平川則男委員、お願いいたします。
○平川(則)委員 労働組合総連合会の平川と申します。よろしくお願いいたします。
連合では、様々な立場からこの障害者政策委員会に参画をしていきたいと考えています。1つ目は、やはり労働組合でありますので、雇用の問題をどうしていくのかということが大きな課題であると思います。この間の公務における障害者雇用の問題については、これは後ほど発言をさせていただきますけども、極めて大きな課題だと考えております。また、そういう障害者雇用の問題に加えまして、障害者がどうやって職場で受け入れてくれるのか、もしくはどういう支援が必要なのかということも重要な課題かというふうに思っているところであります。構成組織の中において、この障害者の雇用を推進するために、例えば障害者同士の連絡会をつくって、何が問題なのか、そして、その職場の改善を会社側に求めていくということなどの取組も盛んに行われているところであります。
もう一つ、連合としては、被保険者の立場で様々な委員会に参加しているところでありますが、例えば年金の問題でいうと、いわゆる障害者年金が本当に障害者の生活を保障しているものになっているかどうなのかという観点からもこれを検討していくべきじゃないかというふうに考えているところであります。また、被保険者ということでいうと、医療保険についても被保険者の立場から様々な政策提言を行ってきているところでありますし、介護保険もそうでありますけども、そういう被保険者、要するに、サービスを利用する立場からも障害者政策委員会に参画していきたいというふうに考えております。
それに伴いまして、1つ考えなければならないのは、それらの医療や介護、障害福祉サービスを支える基盤が今大変危うくなっていることであります。やはり基盤ということでいうと、人材不足が極めて深刻になってきておりまして、例えば、ホームヘルプサービスに対しての人材確保ができないがために必要なサービスが提供できないという状況もだんだんと起きてきているのではないかと考えているところでありますので、それもしっかりどうしていくかということを考えていく必要があるかと思います。
また、最近は、連合としましては、障害者を支援する、もしくは障害者を介護する家族をどうやって支えていくのか、介護と仕事の両立ということも大きな課題と考えています。
私個人も、妻が高次脳機能障害でございまして、そういう障害の支援を受ける、もしくは支えるという立場でもありますので、そういうことも含めながら、様々な立場で発言をさせていただきたいというふうに思います。以上でございます。
○寺本参事官 次に、松爲委員、お願いいたします。
○松爲委員 東京通信大学の松爲でございます。私の専門は職業リハビリテーション学、就労支援をやってきてました。
実はその関係もありまして、大学院を出た後、労働省の行政研究所の研究者にずっとなってきました。自来、私の仕事の中心は、すべからく障害者雇用促進法の流れと一致しております。昭和51年でしたか、身体障害者の雇用が義務化される、その前段階から始まりまして、知的障害者が義務化されてきました。そして、精神障害者が義務化されてきました。そういった全ての流れが障害者の雇用、福祉じゃなくて、雇用という流れの中でずっと私は仕事をしてきました。
長い間見ていますと、例えば先ほどの精神の話にしましても、もはや退院云々という話ではないんですね。退院した後、地域生活をどう維持していくかっていう問題に大きく流れてきています。かつて福祉という世界から、実は地域へ出て、地域で生活をしていく。でも、生活していく中で働くことを抜きにしては、生活って考えられない世界なんですよね。そういった意味では、今後ますます全ての障害の人たちにとって、働くということをどう支えていくかっていうことが大きな問題になってきております。
ただし、その場合に大きな問題なのは、例えば、直近では、難病の方々もそうなんですけども、福祉、また、医療、精神ですと医療ですね、これとのリンクをしていかない限りは継続して働き続けるということがだんだん難しくなってきている状況になってきています。
企業は今、今度2.2%、法律によっては、場合によっては2.3%、2.42%までいかなきゃならない、そういった厳しい状況の中で、審議会、いろいろな委員をやっていますと、確実に思うのは、もはや企業の雇用率があるからという話ではおさまってこないんですよね。送り出す側、福祉、医療、また教育の人たち、そういった人たちが一体になって、そもそも私たちがこの社会で生きるということはどういうことなのかということをもう一度考えていただきたいと思います。地域に出るということは、働くことを通して社会的な役割を担っていくんだという、その共通認識の下に、特に企業側を支えて、送り出す側の人たちに対していろいろな協力をしていくことが必要だと思っています。
そうした中では、一つ直近の問題でいきますと、今度は、実は労働における委員会というものと、それから、福祉側における委員会、審議会ですね、これが分断しているところがあります。先ほど言いましたように、雇用を進めていくためには、実は福祉的なサポートがない限りは、雇用を継続することは難しい状況になってきている。難病の人たちを含めて、精神の人たちを含めて、そういった状況が来ていますので、直近の問題としても、我が国において雇用をどう進めていくかということを考えたときに、こういったことをこの障害者政策委員会の中で吟味をして議論していただきたいと思っております。以上でございます。
○寺本参事官 次に、三浦委員、お願いいたします。
○三浦委員 全国社会福祉協議会、全国身体障害者施設協議会の三浦と申します。4期目となります。どうぞよろしくお願いいたします。
私たちは、常時介護や医療的ケアを必要とされる方々の生活支援と地域支援を行う施設の協議会でございます。先般、9月の北海道の胆振東部地震で被災をされた厚真町の施設も会員です。今日、北海道の高橋知事がいらっしゃいますので、お礼を申し上げます。この1月に福祉仮設住宅を日本で初めてつくっていただいて、全員避難している方々が自分たちのふるさとに戻れるという状況ができました。このことにまずは感謝を申し上げたいと思います。
そして、事業所といたしましては、人材確保の困難性が、年々厳しさを増しています。そして、利用者の方々の重度化、そして、この冬の時期は特にインフルエンザ等のリスクも高まり、相当緊張感を持って事業運営を行っております。制度社会的には、障害者権利条約が批准されて、そして、障害者差別解消法が施行されていて本当によかったと思う事例がこの半年間で2件ありました。県との交渉、そして、市町村とのやりとりの中で。少しずつですけれども、やはり障害のある人々の権利の根拠があるということは大きいと実感しております。まだまだ社会に条約浸透が足りないとも言われていますし、そう実感もいたします。障害者政策委員会の役割というのは大変重いと思いますので、今期も頑張りたいと思っております。
また、2020年、オリンピック・パラリンピックが行われますので、今期中のことでございますので、これは一つの好機と捉えて向かっていきたいと思うところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 次に、森委員、お願いいたします。
○森委員 日本難病・疾病団体協議会代表理事の森と申します。
私どもは、全国の難病や慢性疾患の疾病団体とそして全国各地域の難病連絡協議会の中央団体として活動いたしております。こちらの障害者政策委員会では前任の伊藤たておより引き継ぎましてかかわらせていただきます。
障害の中に難病も対象とはなっていますけれども、まだ生活支援や就労支援面においては十分とは言えません。私ども、また、難病法も2015年に施行されましたけれども、こちらもまだ実際に施策が充実しているというところには至っておりません。まだまだこれからというところです。難病というものは外見からはなかなか障害が見えづらく、そしてまた、状態が変化するというところで理解されにくい分野でもありますけれども、私たち医療を受けながら、また地域社会で生活していくという面におきまして、共生社会の実現というところを目指しながら施策を充実していくために、私も難病の当事者の一人として、その立場でかかわらせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○寺本参事官 ありがとうございます。
以上で30名の委員のうち、御出席いただいている委員の皆様に御挨拶いただきました。
続きまして、今回御出席いただいている3名の専門委員に順次お話しいただきます。
内布専門委員、お願いいたします。
○内布専門委員 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の代表理事を務めさせていただいております内布智之といいます。今期から参加させていただくことになりました。よろしくお願いします。
精神障害者当事者であります。精神障害者当事者として、地域で暮らす仲間と精神科病院で長く入院している仲間たちがいます。その方たちが一度、病、障害を受けてもまた自分の人生を再度構築していく、獲得していくためにピアサポートの重要性を皆様と共有させていただきまして、その後には、障害者全体としてピアサポートが広まっていって、行く行くは障害者が差別を受けない、障害者が活躍できる社会づくりとして目指していきたいと思っております。よろしくお願いします。
○寺本参事官 次に、関川専門委員、お願いいたします。
○関川専門委員 大阪府立大学の関川でございます。
私が研究を始めましたのは、1980年、国際障害者年のときでございます。大学院ではアメリカの障害者雇用平等の法理についての研究を行っていました。その後、御案内のとおり、1990年にADA(障害を持つアメリカ人法)が施行され、ADA施行後のアメリカの世界が見たいということで、機会をいただき、カリフォルニアのバークレー校で1年ほど研究員をさせていただいた経験がございます。エド・ロバーツが初代所長であったCIL(自立生活センター)やADAにもかかわった障害者の弁護士らによる権利擁護団体、DREDF (Disability Rights Education and Defense Fund )などについて、フィールドワークしながら、改めて日本でもJDA(障害者差別禁止法)が成立すればというふうに考えて研究した時期がございます。
最近では、大阪府が設置した障がい者差別解消部会において、「大阪府障がい者差別解消ガイドライン」の制定にかかわらせていただきました。同部会は、「大阪府障がい者差別解消条例」の制定にむけた報告書を取りまとめております。また、障害者差別解消法の施行後は、引き続き大阪府障がい者差別解消協議会(地域支援協議会の大阪版)の会長を拝命しております。
大阪府には、一年に100件を超える相談事例が寄せられています。同差別解消協議会は合議体を設置し、ここで相談事例の幾つかを取り上げ、事務局および相談員と定期的に事例検証を行い、検証結果を協議会の委員はもちろん、大阪府下の市町村担当課にもフィードバックしております。私自身も、合議体にも参加してきましたが、改めて思うことは、障害者差別だと明確に言い切ることが難しい事例が少なくないということでございます。
しばらく障害者差別禁止の法理の研究からも離れておりましたが、今回このような形で委員を拝命させていただきました。改めて障害者の差別解消の問題について勉強をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○寺本参事官 最後に、髙野専門委員、お願いいたします。
○髙野専門委員 日本商工会議所の髙野晶子です。経済団体としてお声がけを今回からいただきました。本会議の参加の機会をいただきましてありがとうございます。
全体として、企業の障害者の実雇用率は右肩上がりではありますけれども、中小企業の取組はまだまだ遅れております。本年4月の法定雇用率の引き上げもあり、弊所のホームページで関連資料を紹介するなど、周知啓発に努めているところです。現在、人手不足が中小企業の最大の経営課題の一つである中、多様な人材の活躍の推進や、障害者雇用が職場環境の見直しにつながったなど、プラスの効果を打ち出しているところです。
中小企業による障害者雇用の最初の壁は、企業経営者の多くが障害者と接した経験がないということだと考えています。まずは、障害者が地域社会に普通に存在している環境をつくり、知らないことによる不安を解消させていくことが必要だと考えております。
本会議での皆様からの御意見を参考に、弊所の取組の柱である中小企業支援に生かしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○寺本参事官 これで本日御出席の委員全員から御挨拶をいただきました。ありがとうございました。辞令書につきまして、封筒とともに机の上に配付をしておりますので御確認下さい。それでは、引き続きまして、本委員会の委員長の選出に移りたいと思います。
障害者政策委員会令第2条第1項の規定におきまして、障害者政策委員会に委員長を置き、委員の互選により選任すると規定されております。
委員の皆様方におかれましては、委員長の選出を改めてお願いしたいと存じますが、いかがでございましょうか。
柘植委員、お願いします。
○柘植委員 私は、石川准先生に引き続きお願いしたいと思っております。この何年かこの障害者政策委員会を思い起こしますと、たくさんのことが議論されたわけですが、例えば批准した国に求められる政府報告書の作成、これは本当に多様な領域にわたって多様な意見が出て、非常に難しい局面も多々ありましたが、適切な取りまとめに御尽力されたと私は認識しております。また、一昨年、国連の障害者権利委員会の委員に日本から石川先生が就任されたということもございます。
以上のことから、大変御足労かとは思いますが、引き続き委員長に就任していただけたらと思います。以上です。
○寺本参事官 ありがとうございます。加野委員、お願いします。
○加野委員 私も石川委員に引き続きお願いできればと思っております。柘植委員もおっしゃったとおり、石川委員は国連障害者権利委員会の委員として、広く深い知見をお持ちということだけではなく、この障害者政策委員会の難しい舵取りをこれまでも的確に進めてくださっていますので、大変御負担が重いこととは存じますけれども、ぜひ、引き続きお願いできればと思います。
○寺本参事官 ありがとうございます。いずれも石川委員を推薦する御意見いただきましたけれども、石川委員、お引き受けいただけますでしょうか。
○石川委員 承知いたしました。
○寺本参事官 ありがとうございます。
それでは、石川委員、委員長席へお願いをいたします。
以降の進行につきましては、石川委員長にお願いをいたします。
○石川委員長 それでは、委員長をお引き受けするに当たりまして、一言お礼と、それから、今後の障害者政策委員会に向けての委員長としての心構えを若干申し上げたいと思います。
まず、過分なる御評価いただきましてありがとうございます。
年々1歳ずつ年をとってきておりまして、今のところはまだ何とかなっておりますけれども、そろそろ体力に陰りがございますので、
これまで三浦委員長代理にずっとサポートしていただきましたが、また今期、お願いすることになるかもしれない委員長代理の方に、また、今まで以上にサポートをお願いしたいと思います。
委員会の進め方はこれまでの考え方のとおりであり、政府と障害者団体、あるいは事業者団体、障害者支援団体等々との建設的な対話の場としての機能を果たすという考え方で進めていきたいと思っております。また、障害者権利条約批准後は、条約の国内実施の監視の仕組み、独立した監視枠組みと障害者権利条約で呼んでいる機能、役割、責任を果たしていくことが障害者政策委員会の任務としてございますので、それにつきましても、これまでにも増して責任があると考えており、優先度の高い仕事として取り組んでいきたいと思いますので、委員各位の一層の御協力をお願いしたいと思います。簡単ではございますが、挨拶とさせていただきます。
それでは、宮腰内閣府特命担当大臣が御出席になりましたので、一言御挨拶をいただきたいと思います。
○宮腰大臣 ありがとうございます。
皆さん、こんにちは。障害者施策を担当しております宮腰でございます。
本日は石川委員長を始め、委員の皆様におかれましては、御多用のところ、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
まず始めに、私は国家公務員制度も担当しておりますが、公務部門における障害者雇用の問題に関しましておわびを申し上げたいと思います。
今般、多くの国の行政機関で障害者数の大規模な不適切計上が行われ、その結果、法定雇用率が達成されないまま長年にわたり放置されてきたことが明らかになりました。障害のある方の雇用や活躍の場の拡大を民間に率先して進めていくべき国の行政機関において、あってはならないことであり、大変遺憾であります。
本日の委員会でも、後ほど御議論いただく時間を設けております。委員の皆様の御意見を今後の取組にしっかりと活かしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、我が国の障害者施策にとって大変重要な障害者差別解消法が施行されてから本年4月でちょうど3年が経過します。障害者差別解消法に関しましては、法案の検討段階から基本方針の策定に至るまで、この障害者政策委員会で真摯に御審議いただきましたことに御礼を申し上げます。
施行3年後の見直し検討が法に規定されておりまして、この委員会において、今後、法の見直しの検討を行っていただきたいと考えております。
皆様の貴重な御知見、御経験による忌憚のない御議論をいただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
今後、2020年、東京パラリンピックや国連の障害者権利委員会による初めての審査など、我が国の障害者施策にとって重要な日程が控えています。社会の関心が一層高まる中、政府としても、施策のさらなる推進、充実に向けて取り組んでいきたいと思いますので、石川委員長を始め、委員の皆様方には、今後とも御指導のほどよろしく申し上げて御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 宮腰大臣、ありがとうございました。
大臣は、公務のためここで退席されます。また、報道関係の方もここまでとさせてください。
それでは、早速ですけれども、議事を進めていきたいと思います。
まず、委員長代理の指名を行う必要がございます。障害者政策委員会令第2条第3項に、委員長代理を置くことが定められておりまして、また、その委員長代理については、委員長が指名することとされておりますので、この場で私から指名をさせていただきたいと思います。
前期に引き続きまして、三浦委員に委員長代理をお願いしたいと思いますけれども、受けていただけますでしょうか。
○三浦委員 よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございます。
御賛成いただけますでしょうか。
(拍手起こる)
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、今後、私と三浦委員長代理との2人で議事進行をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、三浦委員、委員長代理席へお願いいたします。
○三浦委員長代理 ただいま御指名をいただきました三浦と申します。
私の任務は、委員の皆様が手を挙げていただくことを絶対に見逃さないという役割でございますので、集中して力いっぱい務めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○石川委員長 三浦委員長代理、よろしくお願いいたします。隣にいていただくと本当に心強いので、安心感を持ちながら議事を進行できるのも、また三浦委員長代理の陰に陽にのサポートのおかげと感謝しております。
それでは、議事に入る前にお願いがございます。
今期から委員をお引き受けくださった方もいらっしゃいますので、伝統的な障害者政策委員会の合理的配慮等に関するルールです。
御発言いただくときには、まず挙手いただき、委員長の指名を受けてから発言をお願いします。また、発言の際は、まずお名前を名乗って、可能な限りゆっくり分かりやすく発言していただくようお願いいたします。できるだけマイクに近寄ってお話しください。そして、発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしていただくようにお願いいたします。また、手話通訳や指点字通訳による情報保障の観点から、まず最初に、端的に御意見を述べていただき、その後、その理由等の補足説明という形が分かりやすいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○寺本参事官 本日は新しく委員に就任された方もおられますので、まず、事務局より、障害者政策委員会の位置付けなどの基本的な事項を説明いたします。その後、休憩をはさみまして、公務部門における障害者雇用について、冒頭、関係省庁より、資料2から資料4に沿って説明をした上で委員の皆様から御意見を頂戴できればと思います。
それから、会議の最後に事務局より、先ほど、宮腰大臣からの発言にもありました今後の障害者差別解消法の施行3年後の見直しの検討の進め方等について説明いたします。
なお、資料の中で本日御欠席の佐藤委員から意見を事前に提出いただいておりまして、お手元の資料の一番下に配付しております。併せて御覧いただければと思います。
それでは、引き続きまして、障害者政策委員会について簡単に、お手元の皆様方に会議限りと記載しております赤いファイルに「障害者政策委員会について(概要)」という資料がございます。こちらを御覧いただきながら説明させていただきます。
障害者政策委員会は、平成23年の障害者基本法の改正によりまして、過去に内閣府の設置しておりました中央障害者施策推進協議会、これを改組して、平成24年に内閣府に設置をされた審議会であり、今回の第4期におきましては、総理任命の委員30名、専門委員4名により構成をしております。委員の任期は、発令日が今年の1月18日ですが、そこから2年間となります。
障害者政策委員会の任務は、障害者基本計画の策定に関する調査、審議、意見具申であり、今年度からスタートしました障害者基本計画(第4次)をこれまで大変精力的に御審議をいただいたところです。それから、この障害者基本計画の実施状況の監視など定められておりますが、今期におきましては、先ほど大臣の挨拶にもありましたが、障害者差別解消法の施行3年後の見直しの検討も実施いただきたいと考えております。事務局から、障害者政策委員会の説明については、簡単ですが、以上です。
○石川委員長 それでは、関連して障害者政策委員会の出席の在り方につきまして、僣越ですが、委員長提案をさせていただきたいと思います。
皆様、御案内のとおり、障害者政策委員会は、団体や機関を委員とするものではなく、あくまでそれぞれの個人が当事者としての活動、障害者の人権、福祉、教育、就労等にかかわる事業、政策等の各分野で担っておられる役割、固有の御見識や御経験を踏まえて、内閣総理大臣により任命されたものでございます。その職責は極めて重いものと考えております。そのため、前期、第3期と同様に代理出席は御遠慮をいただき、委員御本人に出席をいただきたいと考えております。やむを得ず欠席される場合は、意見の事前提出という次善策にて御理解ください。事前提出する意見については、出席される委員の発言時間とのバランスや情報保障に必要な時間も考慮し、後日、事務局経由で分量の上限ですとか提出期限につきまして周知したいと考えます。他方、知事及び市長というお立場でこの委員会の委員をお務めいただいている委員におかれましては、自治体のトップとして分刻みでの公務で多忙を極めておられて、委員御本人の出席がかなわないことも少なくないところであります。そのため、知事及び市長に限り、委員の御意見を携えて出席し、委員の発言を代読する方の出席はお認めすべきと考えます。厳密には、使者とお呼びすべきかもしれませんが、語感がかたいので、当委員会では、知事の代理、市長の代理というようにお呼びしたく思います。各位におかれましては、本趣旨、御高配の上、この提案に御賛同いただきたく思いますけれども、いかがでしょうか。御異論、御意見があれば何なりとお願いいたします。
ありがとうございました。
それでは、当委員会第4期もこのルールで進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、3時まで休憩とします。
(休 憩)
○石川委員長 それでは再開いたします。
阿部委員が御到着されましたので、ちょうどタイミングがよいので、ここで御挨拶をいただきたいと思います。
阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 ただいまお名前紹介していただきました阿部一彦といいます。日本身体障害者団体連合会の会長でございます。
そして、この団体は都道府県、政令市にネットワークがある団体で、それを構成する団体と全体で取り組んでいるところです。障害者政策委員会等での会議の内容、様々な議論を市町村まで伝えて、そしてまた、皆さんの声をまたここで発言させていただく役割を担わせていただこうと思っています。私自身は仙台からなので、委員会の開始時刻に遅れてしまいました。申しわけありません。そういうことでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○石川委員長 それでは、議事を継続いたします。
まず、公務部門における障害者雇用について、関係省庁より報告をいただきます。
最初に、厚生労働省雇用開発部の北條部長より御報告をお願いいたします。
○厚生労働省(職業安全局雇用開発部:北條部長) 厚生労働省の雇用開発部長の北條でございます。
昨年8月に、本来障害者雇用を率先垂範すべき国の行政機関におきまして、障害者雇用の算定につきまして不適正な取り扱いがございました。このことにつきましては、あってはならないことでございます。大変重く受けとめておりまして、おわびを申し上げたいと思います。
このことにつきましては、8月に関係閣僚会議を立ち上げることによりまして、府省連絡会議を置きまして、再発防止策と法定雇用率の速やかな達成、障害のある方の活躍の場の拡大に向けた検討を行いました。10月23日にこれを基本方針として取りまとめて発表したところであります。本日はそれについて御説明申し上げます。座って説明させてください。
お手元の資料の2-1にその概要がまとめてありますので、これに沿いまして御説明を申し上げたいというふうに思います。
この基本方針でありますが、まず1番のところ、今般の事態の検証とチェック機能の強化というところであります。
今般の事態の検証につきましては、国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会、こういった第三者検証委員会を設けまして、この中で検証をいただきました。私どもとしては、この検証の結果について真摯に受けとめて、今般の事態について深く反省し、再発防止に向けて必要な対策を講じていくということとしております。
それから、(2)番のところであります。再発防止のための対策ということで、基本方針の中に盛り込まれた事項を御説明申し上げます。
一つは、左側に掲げてございます厚生労働省における取組です。右側に掲げてあるのが、各府省における取組ということであります。厚生労働省における取組につきましては、再発防止のために障害者雇用の状況について、各府省から厚生労働省に通報をいただくという仕組みになっておりますけども、その通報の具体的な取り扱いについての留意事項を示した手引をつくるということを基本に据えております。その手引をつくりましたところで説明会を各省の人事担当者向けに行い、情報交換会を行い、徹底をしていくと。チェックシートも配布をしていくと。それから、各省で手帳の写しなど関係書類を保存していただき、それについて私どもが必要な調査を行うということを盛り込んでおります。
右側でございますけども、各省における取組ということでありますが、各省の本府省のみならず地方支分部局におきましても、これが進められる、再発防止策が継続的に実効あるものとして進められるよう、府省全体で対策を推進するための体制を構築することが重要であると。そのためのフォローアップを進めていくということを盛り込んでおります。
先ほど申し上げました、厚生労働省の手引に従って障害者の名簿を作成し、関係書類を保存すると、こういう基本動作を確実にやっていきます。それから、内部点検を行い、複数の職員によるチェックを行うという体制強化を進めていくということであります。さらに下の丸のところでありますけども、引き続き法的整備を視野に入れた検討を行うとともに、各省みずから障害者の任免の状況をホームページ等で公表するという仕組みを検討してまいりたいというふうに思っております。この法的整備を視野に入れた検討っていうのは、ちょうど今、審議会の中でその内容を鋭意検討しているところであります。
次のページをお願いいたします。左側が法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組、いわば雇用の量について計画的に達成すべく取り組んでいこうということです。右側の3は、障害者の活躍の場の拡大ということで、端的に言えば、雇用の質を高め、向上させ、維持していくということのための取組であります。左側の2でありますけども、まずは、今年の末までの障害者の採用計画を各府省でつくっていただくということが盛り込まれております。その上で、各省内で体制を整備し、採用活動、職場定着のための取組を進めます。そのための具体的な計画も策定をするという中身になっております。それから、何よりも各府省において障害者雇用についての理解を進めていただくという基本的なことが必要でありますので、そのために合理的な配慮の指針ですとかマニュアルですとか、そういったものを整備し、それから障害者雇用に精通したアドバイザーを厚生労働省で選任いたしまして、各府省に対して名簿をお示しして活用していただくと、具体的な業務を選定するための支援を行っていただくという取組をしております。それから、セミナー、講習会や職場見学会なども開催をしております。あわせて、ハローワークにおいて積極的な職業紹介も現在進めているところであります。
右側の3番のところでありますけども、障害者が活躍しやすい職場づくりの推進のために各府省で実務責任者という、障害者雇用に関する責任者をちゃんと配置していただくということを進めております。その上で、障害者の御本人の方からの相談窓口を設置する、それから、障害者の方をサポートする支援者を配置するなり、委嘱をするなりを進める。作業環境を整えるための機器の導入、設備の改善を進めるといったことを検討し、進めております。それから、あわせて、人事管理のあり方についても検討をしておりまして、早出、遅出勤務の特例、フレックスタイム制の柔軟化等の措置をとるなど、テレワーク勤務を活用できるような職場環境を進めるといったことを進めております。
最後の丸のところでありますが、障害者の自立の促進や民間における障害者雇用を進めるということも国だけではなくて、ここで着実に進めていかなければいけない部分でありますので、それについてもしっかりとやっていくという中身が書かれてございます。
次のページをお願いいたします。4のところであります。公務員の任用面での対応等と書いてございます。この中身は、常勤採用の枠組みを今回新たに設けていこうということで、既に人事院で計画的にやっていらっしゃいますけども、統一的に行う障害者を対象とした選考試験を導入すると。それから、各省でも個別の選考採用を並行して実施していき、人事院からその留意点等を示すということを進めております。それから、ステップアップ制度の枠組みの導入と掲げてございます。これは、まず非常勤職員として勤務していただいた後、選考を経て常勤職員となるという、そういった仕組みをやっていこうではないかという中身になります。あわせて、プレ雇用制度と書いておりますけども、これは常勤職員として採用が内定している方について、本人の御希望に応じて採用前に非常勤として、いわばならし運転ということで勤務できるような制度でございます。それから、非常勤職員についても、雇用の安定の確保を図るための運用指針を策定するとか、それから、定員予算については適切に査定、官庁で対応するという中身も盛り込まれております。
今後に向けてでございますけども、冒頭申し上げました関係閣僚会議等で、政府一体となって推進する体制のもとでフォローアップをしっかりと行っていき、取組を着実に推進していくということとしております。法定雇用率の達成にとどまらず、障害のある方が意欲と能力を発揮し、活躍できる場の拡大に取組、今後も政府一体となって障害者の雇用を不断に推進してまいりたいというふうに考えております。私からは以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
次に、内閣官房内閣人事局の西澤参事官、安岡参事官より、それぞれ御報告をお願いいたします。
○内閣人事局(安岡内閣参事官) 内閣人事局の参事官をしております安岡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
私ども内閣人事局におきましては、先ほど厚生労働省から御説明がありました、公務部門における障害者雇用に関する基本方針、その中でも公務員の任用面での対応等という項目がございまして、先ほど御説明がありましたけれども、そこの部分について、年内に4つの取組をしております。それらについて御説明をさせていただきます。資料につきましては、資料3とある裏表の1枚紙がございますが、その紙を御覧いただければと思います。
公務におきまして、障害者の方々がみずからの希望や障害の特性などに応じて無理なくかつ安定的に働いていくということが重要だと思っておりまして、そのためには、多様な任用形態の確保が重要であると思いまして、私ども幾つかメニューを用意をいたしました。その中の一つといたしまして、ステップアップの枠組みの具体的な方法というのがございます。基本方針でどのように書いてあるかといいますと、非常勤職員として勤務した後、選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップの枠組みを導入することといたしまして、具体的な方法につきましては、内閣人事局及び人事院において年内に各府省に提示するというものでございます。
①でございますが、現行制度の御説明でありますけれども、まず、各府省等で常勤職員の選考採用を実施する場合におきましては、大きく2つございます。1つは、広く募集を行うと、インターネットなどを通じて広く募集を行う。公募と言っていますが、広く募集を行うとともに、選考の方法につきましては、点線で囲んだところですね、以下の方法で行うことが必要とされています。人事院規則などで定まっている方法でございます。
ア、イ、ウとありますけれども、アが筆記試験、論文試験、作文試験、あと、赤い文字で、これらにかわる適当な方法とあります。イにつきましては、人物試験、実地試験、経歴評定、ウについては、身体検査、身体測定、体力検査、これらにかわる適当な方法。選考の方法といたしましては、アからウの中から3つ以上選択して実施します。。ただし、アとイそれぞれから1つ以上選択をするということが必要になっているというものでございます。ですから、アの筆記、論文、作文、これらに代わる適当な方法、この中から1つ以上。イの人物試験、実地試験、経歴評定、この3つの中から1つ以上。それをそうした上で3つ以上選択して実施するということになってございます。
そういった現行制度でございますが、今般、ステップアップの枠組みとして以下の事項を通知というふうに書いてございますが、3つ大きなものがございまして、公募につきましては、各府省等の中で範囲を限定して実施することができることという事項を通知いたしました。それから、選考の方法ですけれども、アについて、筆記試験、論文試験、作文試験ですね、いわゆるペーパーテストに変えて、官職に必要とされる技能の確認を行うことも場合によっては可能であるということを通知いたしました。それから、イの経歴評定を実施する際には、既に非常勤職員として働いておられる方は勤務実績があるわけですので、非常勤職員としての勤務実績を適切に考慮しますは。こういった通知の中身でございまして、昨年の12月に人事院と連名で通知を発出いたしました。
それから、プレ雇用に当たっての留意事項でございます。
こちらにつきましては、選考を経て常勤職員として採用予定の者について、採用が内定してから採用される間のその間の期間のことでございますけれども、本人の御希望に応じまして、採用前に非常勤職員として勤務もできるというプレ雇用制度を導入したということでございます。既に採用が決まっている方に対して、採用後に常勤職員として円滑に勤務を開始できるようにするため、御本人の希望に応じて実施をするというものでございます。留意事項として、主なものを4つ書いてございますが、プレ雇用に任期中の業務内容は、採用を予定している常勤官職の職務と類似のものとし、それから、勤務する場所については、採用後の勤務場所と同一となるよう努めることと。それから2つ目ですが、可能な限り本人との面談などの機会を持つように努め、円滑に業務を遂行するに当たっての希望を把握し、それに対し配慮するよう努めることと。それから、③プレ雇用の実施が困難な場合におきましても、職場見学や職場実習を実施するなどの取組を行うよう努めることと。それから4つ目ですが、当然のことでございますが、プレ雇用に任期中の勤務実績によって常勤職員への採用の内定を取り消すなど、不利益な取り扱いを行わないという、当然のことについても通知をいたしているというものでございます。
それから、人事評価についての考え方についてもお示しをいたしました。人事評価を行うに際しての留意事項ということでございまして、基本方針の記述の中では、障害を有する職員の人事評価を行うに際して、当該職員の負担軽減を始め、適切な人事評価を確保するため、障害の態様等により留意すべき事項をまとめ、各府省に通知するというものでございます。
大きく3点ございまして、1点目につきましては、目標の設定とその評価についてでございます。
国家公務員の人事評価の制度というのは、常勤の職員に対しては、障害者である場合も人事評価の対象となるということになっております。簡単に申し上げますと、目標を半年に1度、本人が半年間で達成をしたいという目標を設定することになっております。これを半年後にどこまでそれを達成できたかということを中心に評価をするというのがシステムの概要でございますけれども、そういった評価制度の中でどのように扱うかということでございますが、評価期間の期首に本人の障害の種類及び程度を考慮し、本人がその能力を発揮した場合に達成できる目標を設定し、期末にその達成状況を評価することということでございます。すなわち障害により、事項によっては不得手なこともある。不得手な、できること、できないこと、それぞれの方々にあるかと思いますけれども、それぞれの方々の本人と上司が一緒になってその目標をつくって、御本人にできる目標をオーダーメードで設定するということで、その設定した目標について、半年後どうだったかなというのをレビューしていくというものでございます。
それから、②番ですけれども、目標設定などのときに面談をするということになっております。現行の制度では、基本的にその評価期間の期首、初めと期末、終わりに実施するということになっている面談でございますけれども、この面談につきましては、それだけの機会に限ることなく、必要に応じて期首と期末の間にも面談を行いまして、それまでの業務の状況を踏まえて、場合によっては面談を行うと。期首に設定した目標が少しちょっと辛いようなことであれば見直すなど、御本人の状況に応じた柔軟な対応をとることというのが2番目でございます。
それから、3番目ですが、現行の制度であれば、人事評価の面談というのは、評価者、基本的には職場の上司ということになりますが、評価者と本人の2者限りで行うというものでございますけれども、これについても、御本人の希望が前提ではありますが、本人の希望等に応じまして、就労支援機関の担当者などが同席をするということも可能といたしまして、意見交換の円滑化を図るということとしたいということで、こういった内容の通知を昨年内に発出をいたしたところでございます。
○内閣人事局(西澤内閣参事官) 内閣人事局の西澤と申します。引き続きまして、私からは、非常勤職員として雇用される障害者の方の雇用の安定確保に関する指針について御説明をさせていただきます。
常勤と異なりまして、非常勤の場合は①でございますけれども、職務内容や勤務日、勤務時間など柔軟に設定することができます。ですので、これについては、障害者御本人と十分コミュニケーションをとって、希望を踏まえて設定してくださいということを各省にお願いをいたしました。一方、非常勤職員の場合は、雇用の安定確保が課題でございます。国の場合、非常勤職員というのは、週の勤務時間に応じまして、週の勤務時間が30時間以上である期間業務職員というものと、29時間以下である短時間の非常勤職員、この2種類があるんですが、これを②、③それぞれ書いてございます。
まず、②で、期間業務職員、30時間以上、比較的長い時間働いていただく類型でございますけれども、最初、採用に当たっては、公募が必要でございます。公募を経て採用された障害者の方の任期は1年ということで設定されておりますけれども、2年目以降も継続して勤務をすることを希望された場合、2回まで、すなわち2年目、3年目までは公募によらないで再採用するように各省の採用当局は努めてくださいということを通知しております。また、4年目以降も継続を希望される場合は、このときには、一旦改めて公募に応募をしていただく必要がありますが、その能力実証に当たっては、従前の勤務実績をしっかり考慮してくださいということとしております。
③が短時間の非常勤職員についてでございますが、こちらも今申し上げた期間業務職員と同様に、御本人の希望を踏まえて任期を連続2回更新するように努めてくださいということを各省人事当局に通知をしたという内容でございます。これらの内閣人事局の通知の設定に当たりまして、障害者団体様からの御意見なども参考にさせていただきました。この場をお借りして御礼を申し上げます。
○石川委員長 ありがとうございました。
最後に、人事院の荻野職員福祉課長、岩崎人材局企画課長よりそれぞれ御報告をお願いいたします。
○人事院(人材局企画課:岩崎課長) 人事院人材局企画課長を務めております岩崎と申します。人事院の取組につきまして御説明申し上げます。座って御説明させていただきます。
資料は、資料4の公務部門における障害者雇用に関する基本方針の取組状況(人事院)という1枚紙に沿って御説明申し上げます。
まず、多様な任用形態の確保ということで、人事院の実施する選考試験を通じた常勤職員の採用、2番目として、各府省の個別選考による常勤職員の採用、3番目といたしまして、非常勤職員としての採用の3つの入り口を設けているところでございます。そのうち1番目の人事院が行う選考試験についてでございますが、全国の行政機関で合計676人の採用を予定しております。昨年12月に申し込み受付を行い、先週、申込者の皆様に受験票の送付を行いました。資料2は、申込者数の暫定値といたしまして8,711人と載せているところでございますが、最終的には8,712人の方の申し込みをいただき、受験票の送付を行っているところでございます。
本試験は、一次選考といたしまして、2月の3日に人事院による基礎能力試験と作文試験を行い、一次選考を通過した方を対象に、実際に採用する各府省におきまして二次選考として採用面接を実施しまして、最終的に合格者を決定することとなります。また、この試験による採用のほか、各府省が個別に行います常勤職員の選考採用や非常勤職員の採用がございます。非常勤職員の採用につきましては、既に全国の各行政機関で公募や採用が行われております。また、常勤職員の個別選考につきましても、幾つかの府省で公募や選考手続が現在行われているところでございます。
続きまして、それ以外の取組でございますが、各府省の人事担当者の理解を促進する趣旨で、昨年12月に「障害者の採用に係る募集及び採用の方法等に関する基本的な考え方等について」と題する通知を厚生労働省の助言をいただきながら各府省に発出し、例えば、募集の際に能力や適性を有しているかどうかに関係のない事項を応募資格とすることは不適切である旨や、それぞれの障害者の方々が能力を発揮できる業務を用意することが重要であるなどの点につきまして、周知しているところでございます。また、同じく昨年の12月に「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針について」と題する通知、いわゆる合理的配慮指針でございますが、民間企業に対する指針を参考に指針を作成し、各府省に対して発出しているところでございます。
最後に、障害者の方が働きやすい人事管理を進めていくという趣旨で、各府省において、フレックスタイム制と休憩時間の柔軟化、弾力化などの措置が行えるよう、昨年12月に関係の規則の公布と通知の発出を行い、本年1月から施行しているところでございます。人事院からの説明は以上になります。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、以上の御報告を踏まえまして、委員からの御質問や御意見を受けたいと思います。質問、意見のある委員は挙手をお願いいたします。
では、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。二、三の質問をさせていただきたいと思います。
まず、障害者に対する理解という言葉が出てきましたが、今更という気がしないでもないわけで、ここで言う、障害者の理解というのは何を指しているのか。例えば障害の種別、特性に応じた合理的配慮の必要性やその合理的配慮の提供の内容、あるいは提供の仕方について理解を求めるということなのかどうか、その障害者の理解という意味の中身を少し説明いただきたい。
それから、2番目に、担当は人事院なのか人事局かよく分かりませんが、まず、今回実施される、2月3日に実施される障害者対象の採用試験でありますが、この採用試験において、定数676に対して8,000人余りが応募したと聞いているんですが、それらの応募者の障害の種別、その種別は部位別で、身体、精神、知的の区別は出ているかと思うんですけど、我々としては、例えば視覚障害者なら何人そこで受験ができているのか。それに対する合理的配慮はどういうふうに実施されようとしているのかということが気になるので、その内訳をお願いしたいというのが1点。
それから、もう一つは、今回のこういう障害者別枠選考というか、別枠採用試験、あるいはステップアップ制度も含めた、今回のようなこういう障害者雇用における制度改善というのは一時的なものなのか、今後恒久的なものなのか。すなわち今回の水増し問題で約4,000人の障害者のごまかし、または水増しをしていた分がいわば回収をされたら終わってしまうということでは、これほど、いわば数合わせのばかげた政策はないと思われる。その点で、これは恒久的な制度と考えていいのかどうかについて教えていただきたい。以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。3点御質問がありましたので、お願いします。
○厚生労働省(職業安全局雇用開発部:北條部長) 厚生労働省の北條です。1点目の障害者に対する理解の取組についてでございます。
これにつきましては、念頭に置いているところが障害者の方、これから職員として積極的に採用をしていくわけですが、その際に御指摘のような、どういう合理的な配慮を障害種別ごとにやっていったらいいのかということを十分各省の職員の方に理解していただくと、これが大変重要なことだと思っております。採用の段階から定着の段階まで障害者の方にどういう働きかけをしたらいいのか、それから、受け入れ側でどういう職場の環境の整備を図るのか。その前に、職務の切り出しをどうやったらいいのかと、そういうものについて各省に対して助言をするということが重要だと、そういうような中身にしております。当然その中には障害者そのもの、障害者の方そのものに今まで触れたことがないという方もお恥ずかしながら職員の中におります。障害者の方々の基本的な考え方、基本的なこの障害者雇用の理念ですとか、そういう基本的なことも併せてお伝えするということも考えておりまして、その意味で、例えば障害者の施設の見学会ですとか、就労支援を扱っている施設からお話を聞くとか、そういったことも含めて幅広く理解を求める取組をしております。
○人事院(人材局企画課:岩崎課長) 続きまして、人事院でございます。2点目と3点目の御質問につきましてお答え申し上げます。
まず、人事院が行います試験の障害種別でございますが、手帳別の種別の割合になりますが、身体障害者手帳等の方が39.5%、療育手帳等の方が3.2%、精神障害者保健福祉手帳が57.4%となってございます。また、受験上における配慮を申し出られた方の数でございますが、約1,500名の方が受験上における配慮を申し込みをされておりまして、配慮を実施することとなっております。その中の幾つかの例でございますが、点字試験は80数名の方が点字試験の受験されることになってございます。また、車椅子で受験されると申し出られている方が200数十名ございます。試験については以上でございます。
また、3番目の恒久的な措置なのか、一時的な措置なのかという御質問でございますが、まず、人事局からも御説明がありました制度的枠組み、また、もちろん合理的配慮の指針もそうでございますが、これらの枠組みにつきましては、恒久的な制度と私ども等は理解して定めているところでございます。また、人事院が行います統一試験につきましては、少なくとも来年までは実施するということが基本方針で決まっておりますが、この雇用率の達成の具合がどうなるかということは、私どもとしてもなかなかにわかには想像がつかないんですけど、雇用率を維持するという意味でもこういう別枠の試験は引き続きやっていくことが必要なんではないかというふうに事務的には考えているところでございますので、今年、来年ですぐに終わるというふうになるかというと、そこは私どもとしてはそうはならないんではないかというふうに考えてございます。以上でございます。
○石川委員長 竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。竹下です。長くなり、済みません。
だから、今回の2月3日に実施される試験の応募者は今報告いただいたけど、結局身体障害者の中で視覚障害者、聴覚障害者といった種別というか部位別といいますか、そういう内訳はどうなっているのかということをお聞きしているんだけど、答えていただけなかったのが残念です。これは出ないんでしょうか。
それから、もう一つは、2月3日に行われる試験については、今の話は、語尾が曖昧な部分がありましたけど、要するに、この4,000人という数合わせが終わったらやめるということをおっしゃっているんですか。そうだとすれば、極めて僕は差別的な今回の対応だと思うんですけども、そこをどうなるのかについてもう少し正確に説明していただけませんでしょうか。
○石川委員長 再度の御質問ですので、よろしくお願いします。点字受験は80数名とのお話しでしたけれども、障害全体ですと、弱視の方もいらっしゃるでしょうし、もし情報があればお願いいたします。
○人事院(人材局企画課:岩崎課長) 人事院でございますが、まず、配慮の種類としては集計をしておりますが、点字は先ほど申し上げましたとおり80数名、それから、試験時間の延長が約120名、それから、拡大文字を使われる方が約210名という、配慮の種類は把握しているんでございますが、他方、障害の種類は、記載する欄がございまして、実際に記載していただいていますが、記入漏れがある方とか、他方、複数の障害をお持ちの方とかいろいろありまして、そこについては、合理的配慮をするに当たって必要な限りでは集計しているんですけど、それ以外の部分については、現時点では集計ができないところでございます。
それから、試験の恒久的な措置かどうかということにつきましては、申しわけございません。組織的にはまだ何ら決定をしてないところでございまして、繰り返しになりますが、基本方針には、来年につきましても行うということは決定しておりますが、雇用目標が達成することの結果いかんによっては、すぐになくなってしまうのかという、そういう御趣旨の質問かと思いますけど、実際に仮にその目標が達成したとしても、その目標を維持していくためにこういう入り口というのは当然必要になってくるかと思いますので、目標を達成したので、すぐに来年からやめましょうということになるとは想像しづらいと考えてございます。
○石川委員長 それでは、ほかの委員、御意見、御質問あれば挙手をお願いします。
平川則男委員、お願いします。
○平川(則)委員 ありがとうございます。
今回の事態は、連合としても大変重く受けとめているところでありますが、やはり再発防止に向けて抜本的な対策というのは強く求められているんじゃないかなというふうに思います。公務員におけるこのような事態が起きたということは、基本的には、障害者の雇用状況を十分にチェックする仕組みが整っていなかったのではないかと。要するに牽制機能がほとんどなかったというのが大きな問題ではないのかなというふうに思います。
話が少し脱線しますけども、公務部門における例えば労働分野におけるチェック機能もですね、例えばほとんどないという状況もありますので、その延長線上で、この障害者雇用の問題も出てきたということでないのかなと思っています。やはり権限を持って、省庁や地方公共団体のチェックや指導を行える機関の設置、仕組みということも検討すべき課題ではないかなと思っているところであります。
そういった意味で、再発防止に向けた取組っていうのは大変重要でありますけども、採用人数の達成だけを目的化するのではなくて、やはり採用した後の様々な支援ということが極めて重要ではないかなと思います。
合理的配慮と言われておりますけども、合理的配慮の中身が重要ではないかと思います。例えば、人事異動ですね、国家公務員の中では全国異動もあります。その異動先において、例えば十分な障害福祉サービスが整っていない。例えば手話通訳者がほとんどいないという地域に職場がある可能性もありますし、そういう場合、その人事異動をどう考えていくのかと。もしくは災害などで、例えばエレベーターが止まったとき、車椅子の方々はどうやって避難するのか。その場合どういう避難訓練を行うかということなども含めて、様々な多くの課題があるのではないかなと思っているところであります。さらに、精神障害者が法定雇用率の算定基準に加わるという形になりますけども、特定の障害種別の方を優遇すべきではないと思いますし、これらの制度改正の効果、これから社会に広まっていくときに一部の障害種別しか採用しないという対応や欠格条項を設けるということについては、やはりこれはあってはならないのかなと思っているところであります。
それで、質問がございまして、資料2-2で、基本方針ありますけども、そのうちの5ページ目に障害者就労支援機関との連携ということで、年内に見学会を開催と記載されておりますけども、見学会の進捗状況について少しちょっと分からない面がありましたので教えていただきたいと思います。以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
見学会について質問がございましたのでお願いします。
○厚生労働省(職業安全局雇用開発部:北條部長) 就労支援施設の見学会ですけれども、計画はしておりました。後ほど実績があるかどうかについてお答え申し上げます。
○石川委員長 ありがとうございます。
○厚生労働省(職業安全局雇用開発部:北條部長) 就労支援施設等の「等」ということで、能力開発校も含めて考えておりますけれども、11月の29日に東京障害者職業能力開発校に見学会を行ったという実績がございます。この後、2月、それから6月、10月に障害者の就労支援機関に見学会をするべく、今計画を立てているという状況でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、野澤委員、お願いします。
○野澤委員 何といいますか、この採用のフレームっていうのはよく分かりました。ただやはり、この運用が重要だと思っているんですね。これざっと見させていただくと、人事院の選考とそれから各府省庁の個別選考による常勤と非常勤と3種類に分けていますね。人事院の選考のところは、やはり身体障害モデルなのかなという感じがします。この試験の応募を見ると、ただ、身体障害の方は39%、知的障害の方は少ないんですが、精神障害が57%、この精神障害の中にかなり発達障害の方が含まれているんじゃないかなと思います。。発達障害の方は確かに試験はできると思いますよ。得意な方がいますからね。
ただ、実際採用してからかなりきめ細かいフォローがないと、あっという間に離職する方が結構いらっしゃるんですね。これ見たときに非常勤は、割とそのあとのフォローが考えられているなと思うんですが、この人事院選考試験のところの方の場合に、その後のフォローというのはどんなふうに考えられているのか。実際、民間でこの発達障害の方、支援しているところを見ると、物すごくやはり手間暇かけて、一人一人ニーズなんてもう100人いれば100人違うわけで、しかも本人が1回、2回の面接で理路整然とそんなこと言えないといいますか、本人は、分からないです。。実際働きながら周囲の環境を調整しながら、自分自身が何に自分は働きにくいのか、能力が発揮できないのかだんだん分かってきて、それを伴走していく、その支援者対話しながら少しずつわかっていくような、物すごく手間暇かかるんですね。そのあたりを見ていかないと、せっかくこれだけたくさん応募して採用されたとしても、定着するのかなという感じが若干いたします。
それと、もう一つ、民間の雇用状況を見ると身体障害の方がもちろん多いのですが、新規の採用を見ると知的障害、精神障害のほうが伸びているぐらいなんですね。つまり身体障害の方は働ける人はもう働いていて、民間の企業なんかはもうハローワーク行っても知的障害、精神障害の方しかいない状況で、最近、積極的に引き受けてくれるんですけども、ただ、やはり今言ったみたいになかなか定着ということを考えたときにとても難しいですね。フレックスとか、休憩時間の弾力化とか、コミュニケーションをとるとかいいますけど、やはり継続的な支援というものがないと、ただこういうものを持ち込むだけでは、なかなかやはりうまくいかないケースをいっぱい見てきました。
あと、中にやはりよくその障害特性を分かって、障害者の心情みたいなものを理解する方がいて、少しずつ定着に向けた支援を継続的にしていかないとやはり難しいのかなと思うんですけど、このあたりが若干やはり薄いなという感じがしております。
もう一つ言いたいのは、障害のある方の能力を判定して採用すると、その人を支援すると、これはこれでいいんですけども、もう一方で、働く職場の側を変えていくっていうことをやらないと、やはり本人を幾ら支援して能力が高い人採ろうと思ったって、やはり限りがあると思うんですね。つまり職場の側を変えていくことによって、無理だと思われている方も働けるようになる、定着できるようになる。その職場の側を変えなければ幾ら能力の高い方を引き受けたって、やはりうまくいかなくなるということで、障害のある方に対する支援と同じぐらいに職場を変えていく、その工夫や努力は必要と思います。
これはずっと公務員として省庁で働いている方にはなかなか難しいのかもしれないなと思っていて、むしろこういうところにもっと障害者就業・生活支援センターだとか、全部がいいとは思いませんけども、そういうところにスペシャリストはおります。民間企業に入っていって、民間企業のその特性を見ながら、どういう仕事の切り出しができるのかとか、あるいはその障害のある方に対する配慮だとかいうものを、むしろ民間企業の側を指導して変えていくみたいな役割の人がいると結構うまくいくケースが多いんですよね。そこは何か決定的にないような気がしているんですね。それをちゃんとやる、もっとやれば、結構な人も逆に雇えるんだと。シーソーみたいなものなのでね、ここをもう少し何か欲しいところだなと思って聞いておりました。以上です。
○石川委員長 重要な御指摘だと思います。それでは、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 阿部です。
まずは、様々な選択肢、就労するときの様々な選択肢があるということでの理解をさせていただきました。
ところで、今回は障害がある人の選考試験ということで、これは大事なことだと思いますけども、従来のいわゆる試験の中で障害がある人も受験して、公務員になっている人もいると思いますけれども、そのような方々はある意味では総合職を目指す人とか、様々な方々にとっても合理的な配慮があれば働けるわけですから、選択肢の中にはそれももちろんあることだという確認が一つと、それから、地方自治体においても様々な問題が生じています。その地方自治体の公務部門の就労に関しても、参考となる情報などについて地方自治体とやり取りがあるのか、分からないので確認をさせていただくということと、それから、もう別の委員からも話は出ていますけれども、合理的配慮の必要性っていうのはもちろん大事です。でも、事前の環境整備によって合理的配慮が必要なくなる場合もあると思いますので、そのような環境整備に関する予算は十分に確保していただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。以上です。
○石川委員長 地方自治体との情報交換について質問がございました。
○厚生労働省(職業安定局雇用開発部:北條部長) 厚生労働省の北條でございます。
まず、合理的配慮について大変重要だという話、御指摘いただいたと思います。障害者の方を採用する際に能力を評価するというときに、単純なその能力スキルで当てはめて採用するっていうことではなくて、その方にとって私どもがどのような合理的配慮をすれば、どこまで働けるんだろうということを個別、個別に御相談して、応募者の方の能力を引き出すという観点で面接をし、そういった方が生き生き働けるというように配慮をしていくという姿勢が重要と思っております。
合理的配慮の重要性については、民間の部分は私どもが対応して、公務員部分は人事院で対応しているんですが、基本的な考え方は同じでございますので、そこのところについては各府省に対して合理的配慮の考え方、今までもセミナー等でお話ししていますけど、一層今後、理解を深めるように助言をしていきたいと思っております。
それから、2点目であります。地方自治体とのやり取りの話であります。地方自治体、地方公共団体についても国の機関と同様に、今回、障害者雇用率の算定の誤りがありました。そこで多くの不足数が出ていて、今後、採用を進めなければいけない、職場の環境も整えなければいけないという状況がございます。ここのところについては、私どもは労働局、あるいはそのまた出先のハローワークで支援をするということで、現場に指示をしております。当然、中央官庁の出先機関、地方支分部局がございますので、そちらに対する支援もやっておりますので、両者併せて支援をするということで、今進めております。
それから、3点目の環境整備のお話がございました。これは財務省ですとか、定員の査定であれば人事局の査定になりますけれども、基本方針の中では必要な予算を確保するというようなことが掲げられておりまして、既に来年度の査定は出ておりますけども、一定の配慮がされていると承知をしております。
○石川委員長 ありがとうございました。それでは、安藤委員、お願いします。
○安藤委員 脊損連合会の安藤です。
今後の障害者採用計画の実施に際して、資料を見る限り、重度障害者への対応政策が少ないので、もう少し重度障害者も雇用するということも採用計画の中に取り入れていただきたいと思います。
やはり公務部門であるからこそ、やはりどんな重度な障害があっても就労参加ができる社会を実現するという方向性を打ち出していただきたいと思います。そのためにはアファーマティブ・アクションとしての法定雇用率も大切だと思いますが、例えば一番重度な障害がある人から採用するとか、そうした姿勢を見せていただくっていうのはいかがでしょうか。そうすれば環境整備も整いますし、各省庁の障害への理解もより深まると思います。
また、通勤中や就業中でも私のような重度な障害者が使っているような重度訪問介護サービスを利用できるような制度改正も実現していただきたいと考えています。こうしたことはいかがでしょうか。これまでの障害者政策のおかげで、どんな重度な障害者であっても、障害があっても、地域で暮らせるようにはなりました。だけど、まだまだ重度障害者が就労するというところには至っていないのが現実です。私たち脊損、脊髄損傷者も社会復帰に向けて日夜努力しています。シームレスな介助制度とか、そういったことも検討していただければ幸いです。よろしくお願いします。
○石川委員長 ありがとうございます。関連で、三浦委員長代理から質問をお願いします。
○三浦委員長代理 安藤委員の質問に補足をして、受験者数の中での等級別人数、身体、それから療育、そして精神保健福祉手帳の等級別人数がもし分かっていて、差し支えなければ教えてください。
○石川委員長 それでは、安藤委員からの御意見及び御質問と、三浦委員からの御質問についてお答えをお願いいたします。
○厚生労働省(職業安定局雇用開発部:北條部長) 厚生労働省の北條です。
重度障害者の雇用の関係で御質問をいただきました。障害者の方の採用をする上で、当然公務員でございますので、能力実証、能力によって評価するということが原則になるわけでありますけれども、単純な能力スケールで当てはめて、能力あるなしということで考えるということではなくて、個別、個別の応募者に対して先ほど申し上げましたとおり、私どもがどういう合理的配慮ができるだろうかと、そこのところを徹底的に考えて、その上で採用できるかどうかっていうことを個別、個別に配慮しながら見ていくという姿勢が重要だと思っております。
そういった意味で、初めから重度障害者の方は能力があるなしということで除外するということはあってはならないと思っておりまして、私どもとしては、その合理的配慮という考え方を特に各府省にもさらに、さらに理解をしていただいて、望ましい結果を得るように助言をしていきたいと思っております。
それから、通勤中の支援策でございます。これは私ども、大変悩んでいる部分があるわけでございます。通勤支援というのは、例えば事業主、雇用主の責任なのかどうかということについては、これは議論が分かれるところである。障害者の生活、総合生活支援法の範疇で通勤支援というものがなかなか難しい部分もあるということで、福祉のサイドからも、雇用のサイドからも、なかなかその通勤の支援の部分に今のところ十分な支援策を講じることができていないと、この現状を、認めざるを得ない部分がございます。ここのところは私ども、厚生労働省の内部の雇用部門と福祉部門、これは前から重大だと思っておりますので、何ができるんだろうかということを今後検討していこうということになっておりますので、その検討の中でできるだけよい結論が得られるように、一生懸命議論をしていきたいと思っております。
○石川委員長 ありがとうございました。人事院、お願いします。
○人事院(人材局企画課:岩崎課長) 人事院の企画課でございます。
最後の等級別の人数についての御質問でございますが、受験申し込みの際に、障害種別とともに等級も記入欄が実はありますが、そういう意味では物としては来てはいるんですけど、今は、試験を実施することに集中しておりまして、その整理ができておりませんので、もう少しお時間いただいて、検討させていただきたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、柘植委員、お願いします。
○柘植委員 資料4の最初の黒丸の676人、予定数で8,700人あったと。確認なんですけど、先ほど少し議論があったんですけど、身体障害が40%で、精神障害が57%で、知的障害が3%。何かとてもショックでして、3%しか知的障害がなかったのかなということで、選考の基準みたいなものが先ほど野澤委員からありましたけど、参考までによくご存じだと思いますけど、大田区のある民間会社では、半分が知的障害の方なんですね。それで、その分野の日本のトップシェアを誇っているんです。残り半分の知的障害じゃない雇用されている方が、彼らと一緒に働いて幸せだ、やる気が出る、もっとここで働きたいっておっしゃっているんですね。魔法のようなことかもしれないんですけど、あるいは、もう一つ例を言いますと、超高級ホテルで積極的に知的障害の方を雇っているんですね、いろいろな分野で。
このくらいにしますけど、知的障害の方の実態を踏まえて、どういう合理的配慮をすることによって、ここまではいけるっていうことを大分分かってきましたので、だからその選考の仕方なのかどうなのか、3.2%の方は20人ぐらいですかね、24人ぐらいですかね、8,000人ぐらいですと。どのくらい合格されるか分かりませんけど、今回の申込者数なんですけど、終わってから一体どのくらい採用されたかとか、あるいはその下の黒丸、常勤採用、府省別ですね、あるいは非常勤採用、これも一段落したらデータが出ると思いますので、先ほどのその程度の問題だとか、種別の問題だとかなんとか、分かりやすいデータを出していただけると、じゃあ次、何をしようかというアクションを考えるときのとても参考になると思いますので、先ほど統計とありましたけど、よろしくお願いします。
○石川委員長 御意見ありがとうございました。
次に、内布専門委員、お願いいたします。
○内布専門委員 ピアサポート専門員研修機構の内布と申します。よろしくお願いします。
精神障害の方がもしも職場で活躍されるときというか、そういった場合のことを想定して、当事者としてお話しさせていただきたいんですけども、最近は大分、精神科のお薬、進みまして、もう実力もあって働ける方も結構いらっしゃってて、もう採用されるんじゃないかなと私は思っているんですけども、やはりお薬が幾らよくなっても、頓服薬、臨時に飲む薬はどうしても必要になってきます。精神の場合は、病の場合はお薬が入ることでかなり改善すると思うんですよね。
でも、職場でちょっと飲むタイミングを外しただけで、業務に差しさわると、もったいないと思うので、どうしても精神障害の方のお薬の関係性ですね、そちらを考慮していただきたいのが一つと、あと、やはりどうしても医療と切り離せない部分がありますので、通院、病院、クリニックへの通院についてのところは少し視点、ポイントになると思っております。あと、ピアサポート専門員なので、ピアサポートに関連してなんですけども、今までいろいろなところで就労されている精神障害者の方をお見受けするんですけども、一人職場の場合の離職率が高いということが一つですね。やはりピアサポートが職場であるということで定着していく方がかなりおられる。実際には私はデータをとっていませんので、はっきりしたことは申し上げられないんですけども、精神障害に限らず、精神障害の種別だけでも限らずに、障害者同士のピアサポートというところを考慮していただいて、継続した雇用が実現するようにお願いしたいと思っておりまして、手を挙げさせていただきました。
○石川委員長 御意見ありがとうございました。それでは、関川専門委員、お願いします。
○関川専門委員 大阪府立大学の関川でございます。
今回の問題に対して、第三者による検討委員会を設置して、再発防止について丁寧に議論していただいた内容を報告いただいたものと思っております。
ただ、そもそも論で考えた場合には、国、政府は率先して障害者雇用に取り組み、民間企業のお手本になるべき立場にあるというふうに考えており、雇用率未達成の問題にとどまらず、今後とも積極的に障害者雇用に取り組む姿勢を具体的に見せていただきたかったと思っています。既に委員の方々からも合理的配慮の問題が出ておりますけれども、本人の御希望と能力に応じた合理的配慮の一つには、障害の方の障害特性に応じた、勤務時間の問題があるのではないでしょうか。障害者の方の多様な勤務形態の確保ということが課題であり、合理的配慮の内容としても重要であると思っております。
これに関連して、週所定労働時間20時間未満の勤務形態の拡大もぜひ検討いただきたい課題の一つと考えます。この点については、既に民間企業、例えばソフトバンクが「ショートタイムワーク」制度を設け、業務内容を限定し、障害者の方に週20時間未満の勤務を認めるなど、積極的にチャレンジされています。政府各部門でも、こういった実験を繰り返しながら、障害者雇用を週20時間未満の分野で積極的に進めていくということを実践し、そのノウハウなどを民間企業や地方自治体にフィードバックしていただきたいと思っております。
週30時間未満の非常勤の雇用に取り組んでおられるという御説明がございましたけれども、週20時間未満、たとえば、週の労働時間が10時間であるとか、6時間であるというような勤務形態で採用している実績がどのぐらいあるのでしょうか。さらには今後そうした勤務形態での雇用の確保を進めていく考えがあるのかなどを御説明いただけるとありがたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。多様な勤務形態というのは非常に重要だと思うんですけど、これについてお答えいただけますでしょうか。
○人事院(職員福祉局職員福祉課:荻野課長) 人事院の職員福祉課長の荻野と申します。
今、勤務時間について御質問をいただきました。勤務時間につきましても、先ほどの資料4の中でもお示ししましたけれども、非常に重要だと私どもも認識をしておりまして、早出、遅出勤務の特例の設定ですとか、フレックスタイム制の柔軟化、あるいは休憩時間の弾力化、こういったできることについて迅速に、昨年の12月の7日に人事院規則の改正等の措置を講じたところでございます。
もちろんこれにとどまるものではないというふうに思っておりまして、今後も民間の状況ですとか、公務の状況等も踏まえまして、引き続きまして必要な措置について検討をしていきたいと思っております。
○石川委員長 ありがとうございました。それでは、石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
3つあります。1つ目は質問です。2つ目は疑問です。3つ目は意見です。
1つ目の質問ですが、先ほど受験者の障害種別についての御説明がありましたが、当然、合理的配慮もしなければなりません。例えば点字などいろいろ配慮されるとありましたが、聴覚障害者の場合のことが入っていませんでした。そのいろいろなデータはあると思います。応募したときのシートには補聴器という欄があります。補聴器の欄を見れば、聴覚障害者の数が分かると思います。そのあたりのことをお聞きしたいと思います。
2つ目、先ほど勤務形態の話がありましたが、私は疑問を持っています。といいますのは、国は来年4月1日から会計年度の任用職員制度が始まると聞いています。その条件と今の説明の考えとの条件が違うのではないかと思われます。つまり、別々に考えているのか、それは会計年度の任用の場合は退職金や期末手当もつきますが、1年で切りかえになってしまいます。また、試験を受けなければならないというのは精神的な負担もあるので、問題だと思います。また、試験のためにコストもかかると思います。今回は、先ほど3年までは続けてできるという話がありましたが、その辺はどうなるのか、疑問を感じています。
3つ目は意見ですが、省庁または地方で障害者が働く、定着するためには、やはり職場の環境、バリアフリーまたはコミュニケーションの面も含めてチェックをしているのかどうかということです。その辺をデータ化してほしいというのが3つめです。
○石川委員長 ありがとうございます。人事院、お願いします。
○人事院(人材局企画課:岩崎課長) 先ほどの補聴器等の御説明が落ちておりました。今回の試験で補聴器を使用される方は約300名となっております。
○内閣人事局(西澤内閣参事官) 続いて、内閣人事局、西澤でございます。
非常勤職員の御質問についてでございますが、今、御指摘のありました会計年度任用職員、こちらの制度につきましては、地方公務員の制度が来年4月から施行されるということでございまして、それに相当するものが国家公務員で申し上げれば、先ほど御説明した30時間の期間業務職員ということになります。
御指摘のありましたとおり、この期間業務職員というのは、任期は1年、1会計年度未満で設定するという制度となっておりまして、一般的には会計年度、1年の任期ということでございまして、その安定を図るために2回まで、すなわち合計3年までは改めて公募を経ることなく採用するように努めてくださいということで、各省庁に通知を出したところでございます。
その試験の負担という御指摘がございましたけれども、非常勤職員の場合ですけれども、面接とか経歴評定などに基づく能力実証によって非常勤職員については任用いたしますので、その任用する中で、経歴評定においてそれまで勤務していた3年間の勤務実績を適切に考慮するようにということで、4年目以降も本人の希望がある場合には勤務が継続できるような仕組みというのを今回、通知という形ですけれども、措置したということで考えておるところでございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
補聴器ということで、難聴の方ということになるかと思います。手話通訳を必要とする人の数は分かりますか。
○石野委員 3つ目の質問が、各省庁の職場のバリアフリーだとか、コミュニケーションの面でのチェックをしてほしいということについてはいかがでしょうか。
○石川委員長 お願いします。
○厚生労働省(職業安定局雇用開発部:北條部長) 厚生労働省の北條でございます。
職場の環境、就労環境、バリアフリーを含め、受け入れ体制をチェックするということについてでございます。これについては、厚生労働省として既に各府省を職場にお伺いをして、どういう例えばスロープができているであろうかとか、そういうハード的なものから、それからそういう個別の支援者についてどのように配置をしているのかということを含め、受け入れ体制についてのお話を聞かせていただいております。今後ともそういう厚生労働省としても制度官庁として障害者の雇用を進めるということの責務がございますので、各省の理解を得ながら、そういった取組は継続的にやっていくつもりでございます。
○人事院(人材局企画課:岩崎課長) 人事院の企画課長の岩崎でございます。
試験の際の手話通訳の方のお話ございましたが、手話通訳の方は必要な方がいらっしゃる試験会場には配置はしますが、実際のそのコミュニケーションのやり方としては、試験官が発言する事項を書面でお見せするというスタイルをとっており、そのやり方で受験される方が約320名でございます。以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。ほかに御意見、御質問のある委員は挙手をお願いします。
それでは、私から1点だけ。資料3についてなんですけれども、人事評価に関する記述なんですけれども、これは厚生労働省の北條部長の御説明と微妙に違うような印象を受けるんですね。つまり、北條部長のお話では、単純な能力スケールではかるのではなくて、環境整備や合理的配慮の提供等も考慮した上で評価するという、社会モデルの考え方に沿ったお話であったように聞こえたんですけれども、ここで書かれているのは、障害の程度がより重度化すると、それに比例して労働能力というものは低下するであろうと。その低下した、しかし、低下しつつもその能力をどのぐらい潜在的な能力を発揮したかによって評価するのだというふうに書いてあるように読めるんですね。
つまり、障害の程度や種類を考慮して、評価については一定の下駄を履かせますというふうにしか書いてないように思えるんですけれども、ちょっと環境整備や合理的配慮と障害とのマッチングによって、本来持っている能力を発揮できるっていう基本的な考え方からすると、少し違和感を感じたんですが、いかがでしょうか。
○内閣人事局(安岡内閣参事官) 内閣人事局の安岡でございます。
私の説明が、誤解を与えてしまったようで申しわけございませんでした。厚生労働省が説明したように、当然ながらその環境整備ですとか合理的配慮って、こういうものがあって、その能力を発揮していただけるという前提でございますので、そういう前提でもってこの人事評価の通知はつくっておるというところでございます。
説明が不十分だったようで、失礼いたしました。
○石川委員長 その説明がというよりも、ここに提出していただいた資料に書かれている書きぶりが社会問題の考え方と整合性がとれていないように読めるということを指摘しました。
○内閣人事局(安岡内閣参事官) 資料のつくりが悪かったということであると思います。この人事評価の通知をつくる際には、当然ながら厚生労働省にもアドバイスいただきながら、考え方を統一した上でつくっております。
○石川委員長 マニュアルでしょうか。
○内閣人事局(安岡内閣参事官) はい、ということでございます。
○石川委員長 今後、年度内にマニュアルを策定されるというふうになっておりますので、マニュアルにおきましてはまた、より記述の精度等を上げていただければと思いますので、よろしくお願いします。
ほかに御意見ございますでしょうか、あるいは御質問ございますでしょうか。
では、最後に、久保委員、お願いします。
○久保委員 済みません、全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
先ほどからお答えをいろいろ聞かせていただいて、いろいろな面で考慮を考えていただいているということを聞かせていただいて、ありがとうございます。
1つ、幾つかちょっと御質問したいんですけれども、短時間雇用の場合ですね、30時間以下の方、想定されているのは大体何時間ぐらいが最短と考えておられるでしょうか。雇用した人を見て考えるというような現状なのか、それとも最低この時間ぐらいでもやっていこうと思っておられるのかというところをお聞きしたい。それに少しまつわることですね、現在、各省庁でお仕事の切り出しはもう進んでおられるだろうと思いますけれども、その切り出しはどういう視点で切り出していただいているのかというのがちょっと気になっているんです。ただただ、障害者を雇用するので何かお仕事をつくらないとというような視点では、うまくいかないんじゃないかなっていうふうに思っていますので、その辺のところを少し教えていただけたらと思います。
○石川委員長 では、よろしくお願いします。
○内閣人事局(西澤内閣参事官) 御指摘のありましたように、特に短時間の非常勤職員につきましては、何時間以上というような決めはございませんので、実際には募集をかけて、面接をして、採用が決まって、また御本人の希望なども踏まえながら柔軟に設定するようにということで、今回の通知では措置をさせていただいていますが、実際どういう条件で募集するかと、あるいはどういう仕事で募集するかというのは、各省庁に今、現時点ではお任せをしているところでございまして、そのフォローはしていないんですけれども、実際のところ、法定雇用率との兼ね合いもございまして、やはり20時間が一つの目安になっている部分はあるのではないかと、これは推測でございます。
一方で、先ほども御指摘ありました、20時間未満の働き方とか、そういったことについては、引き続き厚生労働省とも御相談しながら検討していかなければならないことだと思っております。
○厚生労働省(職業安定局雇用開発部:北條部長) 厚生労働省の北條でございます。
仕事の切り出しの関係の御質問にお答えをしたいと思います。各省は今、障害者の方のための仕事の切り出し作業を進めているところであります。大体終わりに近づいている省庁もありますが、そういった状況です。それに際しては、私ども厚生労働省で雇用管理に詳しい専門家の方を専門アドバイザーとして選任をして、各府省に派遣をするような形でアドバイス、専門的なアドバイスをしていただいております。実際上、その職場に出向いていただいて、ここの仕事をこういうふうに変えればこういう仕事をつくり出せるというようなことまで助言をしている状況です。
それで、今実際上、仕事の中身というのはどうしても軽度の仕事を、事務的な簡単な仕事を切り出すというところから始まっておりますけども、それも私どもの部署のそれぞれの課とか部屋とかで少しずつあるものを集めて、一つの大きな処理室のようなものをつくっていくというように、そこで集中作業をするというような取組も一部で始まっているというふうに聞いております。
それから、単純にそういう軽度な仕事を切り出すというだけではなくて、今までどうしても各部署で忙しくてできなかったけれども、誰かが作業してくれるとありがたい重要な仕事が幾つかあるわけです。そういった仕事をお願いするという、そういう前向きな形の仕事の切り出しの仕方っていうのも考えている省がございます。
それから、今後の話になりますけども、例えばITの技術を持った方を採用できるということになれば、それではその各府省で扱っているコンピューターのプログラムも修理してもらおうかとか、そういったこの障害者の方の能力から逆に仕事をつくり出していくという取組も今後、始まるんじゃないかなと思っておりまして、そういったことが進むように、この専門アドバイザーの方にも助言をお願いしている状況がございます。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
予定しておりました時間となりましたので、ここまでとさせていただきたいと思います。各省庁におかれましては、今後の障害者雇用を推進する上で、本日の当委員会、各委員からの意見も御考慮いただき、進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
次に、事務局から障害者差別解消法の施行3年後の見直しの検討の進め方等について御説明をお願いいたします。
○寺本参事官 それでは、今回新たに着任された委員もおられますので、今後の見直しの検討の進め方と障害者差別解消法の大きな枠組みについて確認をさせていただければと思います。
障害者差別解消法は、障害者権利条約を批准するための国内法の整備の一環として制定されております。この条約では、障害に基づく差別の禁止について適切な措置を求めており、それを具体化するために制定されております。平成25年6月に成立し、3年の準備期間を経て、平成28年4月から施行されて、本年4月で施行後3年を迎えるという状況です。
法律の主な内容は、差別を解消するための措置として、行政機関、地方公共団体、事業者に不当な差別的取扱いの禁止、それから合理的な配慮の提供をそれぞれ求める内容となっています。
国や地方公共団体は職員向けの対応要領を、事業を所管する主務大臣は所管事業者向けの対応指針を、それぞれ策定をしています。さらに支援措置ということで、地域の実情に応じた差別解消の取組を主体的に行うネットワークとして、地域協議会を組織できることを規定しております。
このような骨格に基づくこの法律でございますが、今後、この障害者差別解消法の見直しの検討について、御議論いただきたいと思っておりますが、今後の進め方につきましては、まず次回ですが、障害者差別解消法の見直しの検討の関連ということもございますので、障害者基本計画の実施状況について御報告をさせていただいて、御審議いただくとともに、残りの時間で、この障害者差別解消法に関しての自由討議の時間を設けたいと思っております。
次々回以降につきましては、その討議を進めていただきつつ、関係団体や関係者からのヒアリングの機会も確保していくということも念頭に置いております。さらに具体的な論点の検討へと進めていくことを想定しておりますが、詳細のスケジュールについては、追って改めて整理をさせていただければと思います。説明は以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
ただいま事務局から説明がありましたように、今期の障害者政策委員会は、まず差別解消法の見直しの検討から作業を始めたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いします。
それに加えまして、以下の点について私見を述べさせていただきたいと思っております。先ほど来、何度か出ておりますが、障害者権利委員会による日本の審査を来年に控えております。恐らく来春になると思われます。その場合は、今年の夏の会期、9月段階ぐらいに事前質問事項、審査の前の事前質問事項というものを権利委員会で作成しまして、それへの回答を求めてきます。それが9月中になると思いますけれども、そこから回答を用意して、翻訳してといっていると、非常に時間がタイトで、したがって、それよりも前段階から事前質問事項はある程度の角度で予測可能でもあるので、準備に政府として着手されるのであろうというふうに推察いたします。
ですので、そのような準備も兼ねて、当委員会には独立した枠組みとしての役割を担っておりまして、これもまた権利委員会による審査の対象となりますので、前回の第1回の政府報告の際に、障害者政策委員会としての意見を述べさせていただいたわけですけれども、その後、何年か経っていますので、その後の進捗、進展について当委員会としても把握しておくことで障害者政策委員会として何らかの役割を果たすことがあり得るだろうというふうに考えておりますので、そういったことも念頭に置いて、今後、今期の障害者政策委員会を進めていきたいと考えております。より詳しいことにつきましては、今後の障害者政策委員会の中でまた御相談していきたいと思います。今日のところはこのぐらいの方向性についての考えを私としては持っているということをお伝えしたいと思います。
以上、障害者差別解消法と今後の障害者政策委員会の作業について御報告をいたしましたけれども、委員から何か御質問、御意見等あれば、時間は余りありませんというか、ほとんどないんですけれども、じゃあ、北岡委員、お願いします。
○北岡委員 全国地域生活支援ネットワークの北岡と申します。
今の事務局や委員長のお話ですと、障害者基本法の見直しに向けた検討は行わないという理解でしょうか。もう私がここで言うまでもなく、8年が経過している障害者基本法です。それから、障害者権利条約をその後、批准をしたということがあります。今の障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の目的にも、障害者基本法の基本的な理念に則りということで、大変深くこれは関係のあるものですので、ぜひ障害者基本法の見直しに向けた検討もどこかスケジュールの中に立ち上げていただいて、双方にこれが障害者権利条約を受けた内容となるように、ぜひ御検討をお願いしたいというように思います。
○石川委員長 ありがとうございます。障害者基本法の見直しも非常に重要だと考えておりまして、障害者差別解消法の見直しの検討をしていけば、必然的に障害者基本法の見直しの検討に波及するのではないかと思われます。
竹下委員、いかがでしょうか。
○竹下委員 時間がないので、端的に申し上げます。
障害者差別解消法に関しては、その次回以降の論点に入るんですけど、どれくらいの期間で最終的な見直し案をまとめようとしているのかについて、次回少し教えていただきたいというのが1点です。
もう一つは、委員長からもありました、来年予測される障害者権利委員会での審査に向けてのことなんですが、まさに委員長も指摘するように、2016年に国が発表してからもう既に何年経っているのかな。4年か、3年経っているんだけど、来年という時期に5年近く経って、その変化というものをチェックするだけじゃなくて、そのレポートが出される時点で、我々が追加レポートに関与するだけじゃなくて、審査そのものにおいて障害者政策委員会っていうのはどういう役割を果たすことになるのかについても、次回で結構ですので、教えていただきたいと思います。以上です。
○石川委員長 御意見ありがとうございました。今日はもう時間になりましたので、事務局ともよく意見交換をしまして、今後の障害者政策委員会として取り組んでいく作業について、今日よりは踏み込んだお話をできたらと考えております。
それでは、最後に事務局から事務的な連絡事項をお願いします。
○寺本参事官 それでは、次回の障害者政策委員会ですが、2月22日金曜日の午後に開催を予定しております。先ほど申し上げました障害者基本計画の実施状況の監視や、障害者差別解消法に関しての討議についての時間を設けさせていただく予定です。会場は、本日と同様に、この講堂、中央合同庁舎8号館1階の講堂を予定しております。詳細につきましては、また改めて御連絡をさせていただきます。以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
以上をもちまして、第41回障害者政策委員会を閉会いたします。ありがとうございました。