障害者政策委員会(第46回)議事録
13:30~16:30
中央合同庁舎8号館 1階 講堂
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 定刻になりましたので、これより第46回の障害者政策委員会を開会いたします。
委員各位におかれましては、御多用のところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日の委員会は、16時30分までを予定しております。
なお、委員会の冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲内で取材が入り、撮影が行われますので、御理解いただきたいと思います。
本日は、委員会の開催に当たりまして、衛藤晟一内閣府特命担当大臣に御出席をいただいております。それでは、まず衛藤大臣より御挨拶をお願いしたいと思います。
○衛藤晟一内閣府特命担当大臣 障害者施策を担当する内閣府特命担当大臣を拝命いたしました、衛藤でございます。
委員の皆様方におかれましては、御多用のところ、御出席を賜り、誠にありがとうございます。
政府においては、第4次障害者基本計画に基づき、福祉、医療、教育、雇用をはじめ、多岐にわたる分野で障害者施策を総合的に推進してきたほか、障害者差別解消法の円滑な施行に努めてまいりました。こうした我が国の障害者施策の柱とも言える取組を進めるに当たっては、常に障害者政策委員会で真摯に御審議いただいてきたところであります。この場をお借りして、心より御礼申し上げます。
本日は、障害者差別解消法の施行3年後経過の見直しの検討に当たり、主な論点について御議論いただくこととなります。皆様におかれましては、貴重な御知見、御経験による忌憚のない御議論をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
2020年の東京パラリンピックの開催まで、あと1年を切り、また、来年夏には国連の障害者権利委員会による初めての審査が予定されているなど、我が国の障害者施策にとって重要な日程が近づいています。社会の関心もますます高まる中、政府としても、施策の更なる推進、充実に向けて取り組んでまいりたいと思いますので、今後とも御指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○石川委員長 衛藤大臣、ありがとうございました。
なお、衛藤大臣は、公務のため、途中で退席される御予定だと伺っております。
次に事務局に異動がございましたので、御挨拶をいただければと思います。
○衣笠参事官 7月より障害者施策担当の参事官をしております、衣笠と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○植草企画官 10月より担当企画官で参りました、植草でございます。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 よろしくお願いいたします。
次に事務局より委員の出欠状況について、報告をお願いいたします。
○衣笠参事官 本日は、岩上委員、大河内委員、加藤委員、門川委員、北岡委員、久保委員、黒岩委員、柘植委員、辻委員、野澤委員、曽根専門委員から、所用により欠席との連絡を受けております。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、本日の議事に入ります。
まず当委員会における発言ルールの確認です。各委員から御発言をいただくときは、挙手をしていただいて、委員長の指名を受けてから御発言をお願いいたします。できれば、最初に結論を述べていただいて、その後に理由または説明をつけ加えていただくのが情報保障の観点で分かりやすいかと思います。
また、御発言の際には、まずお名前を名乗っていただき、できるだけゆっくり、分かりやすく御発言いただけますよう、お願いいたします。
また、マイクに近寄って、お話しください。発言が終わりましたら、マイクのスイッチを切ってください。よろしくお願いいたします。
障害者差別解消法の見直しの検討については、本年2月から4回にわたりまして、審議を重ねてまいりました。これまでは、地方公共団体の状況等を踏まえながら、議論を行ってまいりましたが、本日は更に合理的配慮の提供を行う事業者側の御意見をお伺いすることが、今後の議論に資するものと考えまして、日本経済団体連合会の長谷川委員、日本商工会議所の大内専門委員より、それぞれ事業者側のお立場として御発言をいただければと考えました。この機会に忌憚のない御発言をいただければと思います。
また、これまでの各委員からの意見を踏まえて、事務局からは、本委員会での今後の審議の進め方(案)、特に議論が必要な論点(案)を示していただき、本日、審議の上で、今後はこれを基にして、更に議論を深めていきたいと考えております。
それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をいただきたいと思います。
○衣笠参事官 本日は、まず日本経済団体連合会の長谷川委員、日本商工会議所の大内専門委員より提出いただいた資料1と資料2について、それぞれ御説明をいただき、その上で意見交換をいただければと考えております。
次に、本委員会での今後の審議の進め方や特に議論が必要な論点について、事務局で作成をいたしました、資料3と資料4の案を御議論いただければと考えております。
また、関係の資料といたしまして、これまでの御議論の内容をまとめた参考資料を用意しております。
途中、15時前後をめどに、15分間の休憩を設けたいと思います。
次に、外務省から、国連障害者権利委員会の事前質問事項の採択について御報告をいただきます。その関係資料といたしましては、資料5を用意しております。
また、委員の皆様の机上には、関係法令などをまとめたファイルを配付しております。
それでは、これ以降の写真撮影は、御遠慮いただきますよう、お願いします。報道関係のカメラも、ここで御退室をいただきます。
(報道関係者退室)
○石川委員長 それでは、障害者差別解消法の見直しの検討の議論に入りたいと思います。
まず長谷川委員から御発言をいただきたいと思います。
○長谷川委員 このような機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
日本経済団体連合会SDGs本部長の長谷川と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、障害者差別解消法の合理的配慮の提供に関する意見を申し述べるとともに、経団連で包摂的な社会の実現に向けてどのような取組をしているのかについても、御説明をさせていただきたいと思っております。
まず経団連の取組でございますが、企業行動憲章を改定しております。経団連では、2017年11月、経団連の会員企業が入会時に遵守を約束する行動原則をまとめました、企業行動憲章がございますが、こちらをSociety5.0の実現を通じたSDGsの達成を柱に、全面的に改定しております。そのときの理念は、「持続可能な社会の実現のために」、企業がイノベーションによる経済成長と社会的課題の解決の両立を果たすということを打ち出しております。
また、あわせて、2011年、国連の人権理事会で、「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されております。こちらも踏まえまして、新たな企業行動憲章では、初めて独立した条文として、第4条ということで、「すべての人々の人権を尊重する経営を行う」という条文を加えております。
そして、この憲章の各条文に関する基本的な考え方、また、企業が各条文を実際に実践していく上で、参考となるアクションプランの事例をまとめました、「実行の手引き」というものがございますが、その中では、資料1の真ん中に書いてございますが、障害者の方も含みます、多様な人材の就労・就職を可能とする人事・処遇制度を構築して、ダイバーシティー・インクルージョンを推進する。
また、働き方の見直しを図り、ワーク・ライフ・バランスを推進する。
ユニバーサルデザインの普及・促進に努める。
それから、インクルーシブ・ビジネス、つまり事業活動において、社会的に弱い立場の方々を組み込む事業に取り組むことをうたっております。
2点目といたしまして、ユニバーサル社会の実現に向けた取組も、若干御紹介をさせていただきます。経団連が目指すSociety5.0は、「デジタル革新と多様な人々の想像・想像力の融合によって、社会の課題を解決し、新たな価値を創造する社会」であります。それによって、誰もが多様な生活や幸せを追求できるという社会を目指しております。その中で、その推進力であるデジタル革新を最大限に活用することで、あらゆる人々が活躍できる「ユニバーサル社会」の構築に貢献するということをうたっております。
その具体的な活動といたしまして、経団連の中に生活サービス委員会ユニバーサル社会部会を設けておりますが、この中で、人々の考え方・行動・価値観のパラダイムを「ユニバーサル」対応に標準とするために、シフトしていく上で役立つような企業や団体の取組事例を事例集として集めて、公表・横展開をしております。
その際の視点でございますが、第一には、適切な対応のために必要な知識や意識を共有するということで、例えば三越、伊勢丹では、サービス事例のマニュアル化に取り組み、ユニバーサルマナーハンドブックとしてまとめ、これを従業員研修等で活用するとともに、日本百貨店協会と連携して、全国の百貨店に横展開されております。
2つ目の視点としては、移動や旅行などのアクセシビリティへの対応を確保するということで、例えばトヨタ自動車では、ジャパンタクシーと連携されて、車椅子のまま、介助者と一緒に乗車できるような、広さを確保しているタクシーを提供しているという事例です。
3つ目としては、あらゆる人々のニーズへのきめ細かい対応という視点ですが、これについては、東京オリンピック・パラリンピック競技場建設で、競技大会組織委員会等と協力しまして、Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインなどを策定している、そういった事例をこの事例集の中で広く紹介しております。
その他、更なる付加価値の創出という視点や、誰が利用しても間違い、事故が起きないような商品・サービスの開発といった視点から、経団連会員企業の商品・サービスの事例の紹介を行っているということがございます。
3つ目の活動といたしましては、心のバリアフリーに向けた取組ということです。高齢化・少子化が急速に進展する他、訪日・在日外国人も急増しております。また、東京オリンピック・パラリンピック2020の開催などを背景として、各企業では「心のバリアフリー」や「ユニバーサルマナー」の研修・実践に取り組んでおります。特に店舗を持ち、顧客との接点の多い企業では、ハードの改善だけでは届かない部分について、特に高齢者・障害者の方々に心地よいサポートを実践できるよう、従業員の意識改革やマナーの改善に取り組んでおります。
経団連の中に1%クラブという組織がございますが、こちらでは、2017年に日本ユニバーサルマナー協会、ミライロ、社会福祉協議会と連携いたしまして、企業に勤める方々のためのユニバーサルマナーの研究及び講習会を実施しておりますし、今後もこうした取組を企業に呼びかけていきたいと考えております。
続きまして、障害者差別解消法の見直しに関する意見でございますが、これまで述べてまいりましたとおり、経団連ではSDGsの理念を踏まえて、「誰一人とり残さない」包摂的な社会の実現に向けて、自主的な取組を企業に進めるように訴えております。そうした中で、障害者差別解消法によって、一律に事業者による合理的配慮の提供を義務化することについては、中小・地方も含む全ての事業者や業界団体など、幅広いステークホルダーの意見を聞いて、慎重にその妥当性を検討する必要性があると考えております。
その理由といたしまして、合理的配慮は、個々の場面における社会障壁のために必要とされる合理的な取組であり、個別具体的な対応が求められます。内閣府がまとめている合理的配慮の提供等事例集におきましても、当然必要と思われるような配慮から、ケース・バイ・ケースで判断せざるを得ないと思われる事例も含めて、膨大な事例が掲載されております。定義や範囲の特定が難しい合理的配慮の提供を義務化することは、かえって事業者の心理的なバリアや対応を硬直的にし、それぞれの場面における建設的な対話若しくは柔軟な対応を阻害するリスクもございます。
したがいまして、仮に一律に義務化をする場合は、合理的配慮の定義や範囲、過度な負担と認められる事項などを明らかにした上で、政府があらゆる業種、規模の企業や事業者に、全国各地で再度周知徹底をするための期間を設け、段階的に導入するなどの措置、加えて既に条例で事業者に対しても義務化している地方公共団体がございますことから、そうした地方公共団体が直面している課題を収集・整理して、それらへの対応を検討して公表する、若しくは書いてございませんが、課題を解決した具体的な成功事例などについて、地域協議会で公表することが、前提として必要になると考えます。
以上でございます。
○石川委員長 長谷川委員、ありがとうございました。
それでは、ただ今の長谷川委員の御発表に対しまして、質問のある委員は、挙手をお願いしたいと思います。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。
1・2つ、教えていただきたいと思います。
今、経団連の取組について御紹介いただきました。どうもありがとうございました。
企業行動憲章の中で、SDGsが一つの柱になっているという説明をお聞きしたわけですが、SDGsの内容として、「誰一人とり残さない」という中で、障害者はどういう形で位置付けられているのか、そのことについて、何か議論があったとすれば、ぜひ補足していただければありがたいと思います。
2点目は、企業行動憲章の「実行の手引き」というところに、①~④まであるわけで、その中で、多様な人材の就労・就職を可能とする人事・処遇制度を構築とあるわけですが、具体的に①ないしは②のところで、取組として、どういうものが例示されて、そういうふうに示されてきたのか、もしあれば、参考にしたいと思いますので、お教え願えればと思います。
以上でございます。
○石川委員長 竹下委員、ありがとうございました。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 御質問ありがとうございます。
経団連の企業行動憲章の中で、「誰一人とり残さない」というSDGsの理念が、どのように反映されているかということでございますが、各条文を見ていただければ分かるのですが、第4条の「すべての人々の人権を尊重する経営を行う」という中では、先ほど紹介をいたしました、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」なども踏まえまして、日本人の方だけでない、海外の投資先における従業員ですとか、投資先のコミュニティの方、若しくはサプライチェーンで働いている労働者の方を含む人権を尊重するということで、事例なども紹介しております。
また、「実行の手引き」は条文に関わるところなのですが、多様な人材の働き方を改革するという条文におきましては、まさに障害者の方々も含め、女性ですとか、高齢者、外国人の方、そういった方々の就労・就職を可能とする人事・処遇制度、若しくは働き方改革を推進するという内容がございます。更に言えば、女性の活躍推進ということで、ダイバーシティ、インクルージョンを推進するということも、その条文の中には含まれております。
具体的な企業の事例についてですが、ユニバーサルデザインの部会は、ユニバーサルデザインに関することなのですけれども、企業の就労とか、多様な方々の就労・就職を可能とする人事・処遇制度についての事例集も作っているのですが、今日お持ちしていないので、私も全ての事例の内容をすぐに思い出せませんが、今、そういった事例を集めて、事例集という形でまとめつつありますので、後日でもよろしければ、それを提供させていただければと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
玉木委員、お願いします。
○玉木委員 玉木です。こんにちは。ありがとうございます。
感想と質問ですけれども、一つは、全般で、企業行動憲章のこととか、あとはユニバーサル社会の実現に向けた具体的な取組を聞かせていただいて、これを聞いていくと、実はこういう規範での取組が合理的配慮だと理解しているのです。
一方で、最後で、条例が先行して、合理的配慮が民間事業者の義務になったから、それを検証した上でと言われていたのですけれども、逆に各地方公共団体が条例でしないと、ついていけていない地方公共団体があるから、むしろ国の法律で義務化をしていくというのが、私は有効だと思っています。
その上で、合理的配慮というのは、ここにも書かれているように、明確なこれというものがないと言われているのですけれども、合理的配慮が義務化されることで、若干抵抗があるのだと仰っていて、ニュアンス的には分からないことはないのですが、現行も公共機関とか、行政などは、合理的配慮が義務になっているのですけれども、現実は3年ちょっと経った今、本当に公の機関の合理的配慮が義務化されることによって、進んできているという評価をされているのか、そうではないのかということと、合理的配慮というのは、恐らくこういうことだというのがあった上で、まとめていらっしゃると思うので、思っていらっしゃるイメージなどを聞かせていただければ、ありがたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
私が想定していたのは、割とシンプルな質問だったのですが、かなり踏み込んだ議論になっていきそうなので、今日は時間がありますので、この後、議論していけばいいと思うのですが、長谷川委員、今、ここで即答可能であれば、お願いしたいと思います。
○玉木委員 後でゆっくりで結構です。
○石川委員長 後でゆっくりということにさせていただこうと思います。
どうぞ。
○大塚委員 一般社団法人日本発達障害ネットワークの大塚と申します。
発言、ありがとうございます。
関連しているような質問なのですけれども、合理的配慮を一律にということで、企業に課するということ、そのリスクということで、資料の2ページ目の下から5行目「事業者の心理的バリアや対応を硬直的なものにし、それぞれの場面における建設的な対話や柔軟な対応を阻害する」とありますが、心理的なものということを代表的な例になされているのですが、これも一つのリスクかもしれませんけれども、他のリスクをどのように考えておられるかということをお聞きしたいです。
それから、先ほどの御質問とも関係するのですけれども、もう一つ、リスクだけではなくて、事業者に義務化したときのメリットをどのようにお考えですかということです。この後の議論かもしれませんけれども、この辺について、少し議論していきたいと思います。
ありがとうございます。
○石川委員長 後でよろしいですね。論点を出していただいたという理解でよろしいでしょうか。
○大塚委員 そうです。
○石川委員長 それでは、引き続きまして、大内専門委員、御発言をお願いいたします。
○大内専門委員 ただ今御紹介いただきました、日本商工会議所の大内と申します。
本日は、こういった時間をいただきまして、ありがとうございます。
私からは、お配りしております、資料2に基づいて、御説明をさせていただきたいと思います。
前回の会議から参加させていただいておりますが、今後、この会議を通じて、皆様のお話を伺いながら、少しでも障害者差別解消法の目指す共生社会の実現に向けて取り組んでいきたいと思っておりますので、改めてよろしくお願いいたします。
障害者差別解消法は、施行から3年が経過いたしまして、差別的取扱い、合理的配慮の不提供の解消に向け、国・地方公共団体、事業者等において、様々な取組が行われております。この法律が目指しているように、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現は、全ての国民が取り組むべき重要な課題だと我々商工会議所も認識しております。
本日は、いただいたお時間の中で、全国各地、中小・小規模事業者を多く抱える事業主団体の観点からお話させていただければと思いますが、商工会議所に関して、最初、簡単にお話をさせていただければと思います。
商工会議所は、全国515か所に設置されております。商工会議所法という法律に基づく団体でございまして、主に市町村の市単位で設立されております。基本的には、会員の会費により運営されている事業主団体でございます。その目的とするところは、広く地域のため、社会福祉の向上のためということで活動しております。現在の総会員数は125万会員、商工会議所地区に立地する事業者は360万社ですので、国内事業者のおよそ3社に1社が会員でございます。また、会員のほとんどは、中小・小規模事業者になります。
各地の商工会議所は、地区内における商工業の総合的な発展を図り、社会一般の福祉に資することを目的の中に掲げております。商工会議所の設立は、明治11年ですが、設立当初から現在まで、その目的を掲げて、様々な活動に取り組んでおります。
また、515の商工会議所がございますが、それぞれの地域におきまして、商工会議所の意見を集約して、政策提言、意見要望活動、あるいは中小・小規模事業者の経営支援、街づくり、街おこし、地域おこし等々、様々な活動を行っております。今回、5点、お話をさせていただければと思います。
1点目は、合理的配慮の提供に関してでございます。法が定める差別を解消するための措置として、合理的配慮の提供がございまして、現在、事業者には努力義務が求められております。障害者差別解消法の施行に合わせまして、主務大臣が定めるガイドラインにより、基本的な考え方、合理的配慮の具体例などが示されており、こうしたガイドライン等を参考に、事業者は日々の事業に取り組み、要請があった際に対応し、あるいは今後考えられる要請があった場合に備えております。
しかしながら、合理的配慮の提供というものは、先ほど長谷川委員からもお話がありましたが、個別具体的な場面により求められる内容が異なるなど、多様で、かつ個別的なものでございまして、全ての場合におきまして、ガイドラインや具体例のみを頼りに、一律にその内容を定め、規定するということは、大変難しい問題だと思われます。
また、こういった合理的配慮の提供について、事業の業態、規模あるいは対応能力等々、事業者によって大きく異なっております。
例えばビル運営、管理事業者でいいますと、非常に大がかりなビル、商業施設のようなものを運営されている会社もあれば、都心にあるような、いわゆるペンシルビルのようなビルまで、様々なビルがございます。こういった小規模のビルですと、スタッフが常勤せずに、ビル運営に関しては、何かあったときに対応するということで管理をしております。そうした場合、例えば介助などが求められても、対応が難しいとか、あるいは建物の構造上、古く建てられたものですと、後づけができない施設、あるいは後づけをするにしても、非常に費用がかかる施設などの場合も想定されまして、人的あるいは設備的に対応することが、大変厳しいというケースも想定されます。
合理的配慮の提供につきましては、ある程度の柔軟性がないと、事業者にとっては過重な負担となり、また、判断に苦慮するケースも発生するなど、サービス対応の現場に混乱が生じるおそれがございます。
今後も法規制といたしましては、一般的・抽象的なもの、あるいは努力義務とし、実際の運営に当たりまして、ガイドライン等を参考にしながら、主に事業ごとの当事者間の対話による対応に委ねていくことが大切です。相互理解を優先することが、障害者差別解消法を進めていく上で最も重要な部分であり、国民各層の意識醸成に結びついていくのではないかと思っております。
当事者間の対話、相互理解に当たりましては、次に御説明します、紛争解決・相談体制を整備していくことも大切です。国のガイドラインに加え、合理的配慮ができている例、できていない例を積み上げ、判断の材料となる情報を分かりやすい形で、関係者あるいは広く一般国民に対して情報提供していくことも、円滑な対話、事業主の自主的な対応につながっていくものと考えております。
2番目でございます。紛争解決・相談体制の整備についてです。合理的配慮の提供に際しまして、当該事業者にとっては過重な負担となり、社会的障壁の除去に向けた対応が難しい場合に、障害者と事業者の対話がうまくいかずに、係争に発展する場合が考えられます。
一旦係争となりますと、当事者双方に大変大きな時間的・費用的負担を与えることとなるため、今後も硬直的な対応に陥るおそれのある義務化ではなく、努力義務の中、対話や自主的な解決をまず尊重し、双方にとって大きな負担となることのないよう、取り組んでいくことが重要だと思われます。
障害者差別解消法の施行から3年が経過し、国・地方公共団体で問題の解決に効果を上げている事例も多く生まれていると思います。障害者政策委員会においても、そういった事例を紹介したり、取り上げてきたと思いますが、今後もより一層事例収集を進め、広く事業者、障害者、一般市民にとって分かりやすい形で情報を発信し、他の地域においても活かしていくことで、双方に納得感のある、効果的な紛争解決・相談体制の整備につながっていくものと考えます。
3番目でございます。国民各層に向けた普及・啓発活動と意識の醸成についてです。障害者差別解消法が目指す、全ての国民が分け隔てられることのない共生社会を実現するためには、法の目指す取組や考え方を幅広く社会に浸透させることが、何より重要だと思われます。
各地の商工会議所におきましても、それぞれの地域において、障害者差別解消支援地域協議会に参画して、いろいろと意見、協力等々をさせていただいております。
また、東京商工会議所では、交通事業者、障害者団体、行政を含む6団体と協力の上、声かけ・サポート運動という運動を推進しております。こちらの活動は、先ほど日本経済団体連合会の長谷川委員からも御紹介がありましたけれども、障害者だけでなく、外国人、高齢者、子供など、町中で困っている人に対して、手助けの声掛けをという運動ですが、その目的とするところは、社会的障壁を取り除くことであり、国民意識の醸成でございます。言うまでもなく、施設・設備の整備が進んだとしても、国民意識が育っていなければ、社会的障壁を取り除くことはできません。サービス、接客の現場においても、従業員はもちろん、周囲のお客様の意識も変わっていただかないと、事業主の努力だけでは、真の問題解決には至らない問題もあると思います。
国・地方公共団体においては、本法のもと、障害者差別解消のための支援措置として、普及・啓発活動に引き続き積極的に取り組まれることを望みます。こうした活動をこれまで以上に積極的に、国民の各層に届くよう、お願いできればと思います。
2020年は、オリンピック・パラリンピックという大きな国際イベントを控えております。パラアスリートの活躍に国民の注目が集まることも期待されます。こうした機会を捉えまして、誰もが差別なく暮らすことのできる社会の実現に向け、より積極的に国民各層への情報発信と意識醸成をお願いいたします。
4番目でございます。事業者への支援策拡充についてです。現在でも、国・地方公共団体におかれましては、不特定多数に向けた施設・設備整備、意識醸成を求める一方で、事業者に対しては、過重な負担とならない範囲において、社会的障壁をなくすための努力が求められております。
こうした点から、社会的障壁を取り除くため、事業者が施設の改修等を行う際の助成制度について、現在も非常に多くのメニューが用意されていると思いますが、財政的な余力がない中小・小規模事業者も非常に多いので、補助率や上限額の引き上げ等々の支援策を、国あるいは地方公共団体において、より幅広く積極的に展開し、併せて事業者への周知・啓発をお願いできればと思います。
また、障害者差別解消法の趣旨を踏まえた対応について、従業員への周知、職員向け研修費用の助成、同テーマに関する個々の事業者の事情に応じた対応支援を実施することが重要です。また、講話ができる講師派遣、障害者受け入れに関するソフト面での対応支援について、アドバイスできる専門家を希望する事業者へ派遣するなど、より幅広い支援を国・地方公共団体にお願いするものでございます。
事業者の支援拡充に関して、もう一点、ぜひ行政にお願いしたいことは、IoT、ロボット技術を活用した支援介助システム、機器の開発支援助成です。人口減少、高齢化が進む中、人手不足による廃業が発生するなど、中小・小規模事業者の現場では、大変厳しい人手不足状態にあります。こうした中で、障害者あるいは高齢者の方を含めて、社会的障壁を取り除き、差別を解消するために、対応するマンパワーを補っていくためには、こういったIoT、ロボット技術を積極的に取り入れていくことは、不可欠だと思います。こういった先端技術の社会実装、事業者の現場での活用のために、行政主導による技術開発、より手厚い助成をお願いできればと思います。
最後でございます。地域協議会での連携についてでございます。障害者差別の解消に向けては、社会的な意識改革や地域づくりを主体的かつ総合的に取り組むことが重要です。障害者差別解消法に定める差別を解消するための支援措置においても、地域における連携を目指し、地域協議会の設置が定められており、各地域で商工会議所も参加するなど、その設置・取組を支援・推進しております。一方で、国民各層の意識改革と機運醸成に地域から取り組むためにも、これまでの各地における好事例を活用しつつ、引き続き協議会を通じた連携強化、あるいは自発的な活動を中心とした差別解消に向けた取組、こういったものが重要だと考えます。今後も地域協議会をより多くの地域で設置できるようにするとともに、事例の共有、優良事例の検証、そういった取組への助成などを通じまして、事例を発掘・横展開していくことで、連携強化を図っていければと思っております。
以上、雑駁ではございますが、事業主団体として、現時点で考える点について、述べさせていただきました。
○石川委員長 大内専門委員、ありがとうございました。
それでは、質問のある委員は、挙手をお願いいたします。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 どうもありがとうございました。
質問は1点でございます。資料2の2番目の中の2つ目の黒丸の部分で記載されているものですけれども「今後も、対話や自主的な解決を尊重し、双方にとって大きな負担となることのないよう取り組むことが重要といえます」とあります。私もそのとおりだと思うのですけれども、例えば自主的な解決ということは、最も尊重されるべき解決手段だと思うのですが、企業内部等で、あるいは企業団体の中で、自主的な紛争解決あるいは対話を促進するためのシステム、何らかの手順が定められていれば、ぜひお教えいただきたいと思います。
以上でございます。
○石川委員長 竹下委員、ありがとうございました。
大内専門委員、お願いします。
○大内専門委員 御質問ありがとうございます。
企業の具体的な取組事例というか、自主的な解決の仕組みづくりに関して、何か事例はあるかということだったのですけれども、現在、企業でどういった事例があるかというものは、残念ながら持ち合わせておりません。ただ、企業が独自に仲裁機関みたいなものを持つということは、もちろんないとは思うのですけれども、相談対応窓口とか、そういったものを設けて、お客様からの問合せに対して対応することはございます。先ほど経団連様からのお話にもありましたように、現在、企業では、こういった御相談事というか、お問合せに対しては、しっかり対応するように、窓口体制を整えている企業も多いかと思います。そういった形で、現時点では、少なくとも対応させていただいている部分はあると考えております。また、今後、私も、企業としての取組、何か自主的なものはないかということについて、勉強させていただきたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
ここで、事務局の嶋田統括官より御挨拶をいただきたいと思います。
○嶋田政策統括官 このたび、担当の統括官を拝命しております、嶋田でございます。どうぞよろしくお願いします。
7月から着任しておりますので、引き続き、この問題について取り組んでまいりたいと思います。御指導のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○石川委員長 よろしくお願いいたします。
それでは、次に事務局から今後の審議の進め方(案)と、障害者差別解消法の見直しに関する特に議論が必要な論点(案)について、説明をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
それでは、資料3の「障害者政策委員会の今後の審議の進め方について(案)」について、御説明をさせていただきます。
障害者差別解消法の見直しの検討につきましては、2月の第42回委員会で、1年程度での取りまとめを想定しまして、1か月から2か月に1回の頻度で議論を進めるということで、事務局から今後の進め方について御説明をいたしました。その後、本委員会での御議論の中で、見直しの議論のスケジュールなどにつきまして、ロードマップを示すべきではないかなどの御意見もいただいていたところです。
このため、本日は、見直しの検討に当たりまして、先ほどの1年程度で意見を取りまとめることを前提にいたしまして、より具体的な今後の進め方の案を石川委員長と御相談をした上で、お示しすることといたしました。
本日、御用意しております資料3ですけれども、事前に委員の皆様方に調整をさせていただきました日程で、それぞれ第何回ということで、組ませていただいております。その上で、それぞれ主な議題について記載させていただいているものでございます。
日程の関係なのですけれども、第47回につきましては、11月7日または14日ということで、この資料を作成した段階では、会場の都合でどちらかということだったのですが、14日ということで固まりましたので、この場でお伝えいたします。
その上で、資料3について、まず御説明をいたします。
第46回、10月17日、本日の委員会ですけれども、こちらにおきましては、障害者差別解消法の見直しの検討に関する論点整理ということで、議題とさせていただきます。
また、後ほど国連の障害者権利委員会の事前質問事項の採択について、報告をさせていただきます。
第47回、11月14日の委員会につきましては、平成30年3月に策定した障害者基本計画(第4次)につきまして、平成30年度の実施状況のフォローアップをしたいということで、実施状況の監視を議題とさせていただければと考えております。
また、本日、整理された論点に基づきまして、個別の論点の検討ということで、①と書いていますけれども、1回目の個別の論点の検討を第47回委員会でさせていただければと考えております。
12月12日の第48回委員会におきましては、2回目の個別の論点の検討をさせていただくということで考えております。
第49回、1月27日の委員会ですけれども、こちらにつきましては、それまでの御議論を踏まえ、見直しの検討の結果といたしまして、障害者政策委員会の御意見につきまして案をお示しして、御議論いただければと考えております。
第50回、2月21日の委員会につきましては、第49回での御議論を踏まえまして、更に修正等を踏まえた意見の案について、御議論いただくことを、今のところ想定して、お示しさせていただきました。
今回、御説明したスケジュールや議題等につきましては、今後の議論の状況等によっては見直しが必要となることもあり得るとは思いますけれども、現段階のものとして、本日お示しさせていただきました。
続きまして、資料4について御説明したいと思います。こちらは「障害者差別解消法の見直しに関する特に議論が必要な論点(案)」でございます。
これまで4回行われました御議論の中で、いただきました御意見を踏まえまして、こちらも石川委員長とも御相談の上で、特に議論が必要な論点(案)として、本日、お示しすることとしました。
先ほど御説明しましたとおり、本日は、特に議論が必要な論点について御議論いただき、整理をした上で、次回以降は個別の論点ごとに御議論いただくという考えでおります。
なお、本日、お示ししております論点ですけれども、法改正につながる事項のみをピックアップしたものではなくて、法改正なのか、運用上の対応なのかなどの具体的な対応は、今後の議論によるものと考えております。
これまでの御意見でありますけれども、本日、参考ということで配付させていただいております「これまでの障害者政策委員会における主な意見(障害者差別解消法の見直しの検討関係)」ということで、まとめております。
こちらは、「1.議論の進め方について」でありますとか、「2.事業者による合理的配慮の提供について」でありますとか、7つのテーマに区分しておりますけれども、量も多いので、時間の関係から詳細の御説明はできませんけれども、適宜この内容も要約しながら、論点(案)について、今から御説明させていただきます。
資料4になりますけれども、1つ目ですが、事業者による合理的配慮ということで、事業者による合理的配慮の提供は努力義務とされているが、事業者の取組を促すための方策について、どう考えるかです。
事業者の合理的配慮の努力義務につきましては、障害者差別解消法の附則の検討規定でも、事業者の合理的配慮の在り方が明示的に検討の対象ということで示されているほか、障害者政策委員会でも事業者の合理的配慮については、障害者権利条約との関係で努力義務では不十分ではないかといったことなどの御意見がございました。これらを踏まえまして、論点として掲げさせていただいております。
2つ目、相談・紛争解決体制です。個別事例の把握に資するとともに、障害を理由とする差別の解消を効果的に推進するための相談・紛争解決体制の在り方について、どう考えるかです。
そもそも相談件数が少ないことについて、法律が機能していないのではないかといった御意見や、問題事例が潜在化しているので、掘り起こすことが重要ではないかなどの御意見がこれまでにあり、また、地方公共団体の取組につきましても地域間での格差が課題ではないかということですとか、取組を標準化すべきであるといった御意見、都道府県と市町村の役割を整理すべきであるといった御意見、その他、広域支援相談員の普遍化が必要ではないかといった御意見などがありました。
また、相談対応につきましても、権限行使の在り方についての御意見があり、救済措置につきましては、個別事案への対応にとどまらず、企業のマニュアルなどの是正につなげることで差別事案の発生を事前に防止できるのではないかなど、御意見がありました。
このように、相談・紛争解決の関係では、かなりの御意見がありましたので、先ほども御紹介しましたように、2番の論点を挙げさせていただいているということでございます。
なお、参考でつけている「これまでの障害者政策委員会における主な意見」では、5番で、事例の収集・整理等についてという部分がありますけれども、こちらでは、事例を収集して、横展開していくべきといった御意見などを記載してございますが、こういった御意見につきましては、相談体制の充実といったものが、事例収集の前提になるのではないかと考えており、そういう意味では、2番の話の中で溶け込ませるということで、論点の記述上も「個別事例の把握に資するとともに」として、事例の収集が大事であるといったことも、趣旨として含めているということでございます。
3つ目ですけれども、障害者差別解消支援地域協議会について、その設置を促進するとともに、活性化を図るための方策について、どう考えるかです。
障害者差別解消支援地域協議会につきましては、設置が一定程度進捗しており、平成30年4月1日時点で、都道府県、政令市では全て設置済みでありますけれども、政令市以外の一般の市町村ですと、約5割が設置している状況にとどまっております。
また、開催実績ですが、開催が年に1回といった地方公共団体も多く存在するということで、低調な開催状況も見受けられる状況です。
これまでの御議論でも、適切な人材の地域協議会への参画を得るべきであるといった御意見、また、地域協議会での議論が地域の対応力の底上げにつながるという御意見もございまして、協議会というものも論点として挙げさせていただいております。
4つ目は、差別の定義・概念ということで、差別の定義・概念をより明確化することについて、どう考えるかです。
これまでの御議論の中で、差別の定義を明確化すべきではないかといった御意見や、間接差別の取り扱いも論点ではないかといった御意見がありましたことも踏まえまして、ここで論点とさせていただいております。
事務局からの説明は、以上になります。
○石川委員長 衣笠参事官、ありがとうございました。
それでは、これより審議に入りたいと思います。
途中で休憩を挟みまして、4時15分を目途に議論をしていきたいと思います。
それでは、御意見のある委員は、挙手をお願いしたいと思います。
佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
3点、ございます。
資料4で論点を示していただいて、ありがとうございます。この4点に加えて、ぜひとも各則も入れていただきたいと思います。条例では多くあるのですけれども、例えば医療とか、教育とか、交通とか、テーマごとにより詳しく書いたものですが、なぜその各則が必要かというときに、例えば教育などの場合ですと、3年とか、6年とか、非常に長期にわたって生活するわけですけれども、その中で、必要な合理的配慮はいろいろあるわけです。ですから、細かく示すことが必要であると考えております。ですので、ぜひ各則も議論の場に挙げていただきたいと思います。
2点目は、論点に加えて頂きたいのですが、参考資料の最後、7番のその他の<その他>というところに、3つほど○がありますけれども、例えば障害女性の論点とか、公共調達にアクセシビリティの要件を加えるとか、こういったところも非常に大きい課題になると思いますので、ぜひこれも論点に加えていただきたいと思います。アクセシビリティ要件もそうなのですけれども、障害者差別解消法の第5条で環境整備がありますが、これをどう進めていくかということも、合理的配慮の提供とともに重要になると思いますので、ぜひとも論点に加えていただきたいと思います。
最後ですけれども、今日合理的配慮のことについて、意見をいただきました。ありがとうございます。主に事業者の合理的配慮について、この後、個別の論点の議論があるということなのですけれども、いつ議論するかということを、ぜひ教えていただきたいと思います。それにあわせて、意見を提出させていただきたいと思っています。
合理的配慮の提供ですが、今、事業者は努力義務としておりますけれども、これは障害者権利条約との整合性がとれていないと考えております。この後、外務省から説明があるかと思いますけれども、先日、国連の障害者権利委員会から日本政府への事前質問事項が出ましたが、5条の中で、合理的配慮の否定を私的及び公共の場所における障害に基づく差別の形態として認めているのかにつき、明確に説明いただきたいというものが、指摘されています。ですので、これも踏まえた議論が必要だと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
安藤委員、お願いします。
○安藤委員 脊髄損傷者連合会の安藤です。ありがとうございます。
前回の委員会では、国連障害者権利委員会の一般的意見第6号について、石川委員長に教えていただきました。その中では、障害者権利条約第5条のあらゆる差別の4つの形態の1つに、ハラスメントが挙げられているということだったと思います。しかし、現行の障害者差別解消法は、ハラスメントを対象としていませんし、そもそも個人と個人のやりとり自体が対象ではありません。障害者雇用促進法も同様です。
障害者虐待防止法は、虐待の5類型の1つに心理的虐待を挙げていますが、この法律の対象も養護者によるもの、介護職員によるもの、使用者によるものの3つだけです。ただし、使用者については、障害者を雇う事業主だけではなくて、障害者を監督する管理職なども対象になり得ます。
そうした中で、今年5月にパワーハラスメント防止対策が法制化されました。来年の施行に向けて、現在、厚生労働省の労働政策審議会で指針づくりが進められています。この指針について、衆議院と参議院の厚生労働委員会は、例えば性的指向や性自認に関するハラスメントやアウティングも対象とするように、附帯決議で求めています。また、国会答弁では、障害や年齢に関するハラスメントであっても、指針におけるパワハラの定義に該当するものについては、この法律の対象になり得ると言及がありました。こうしたことから、この指針づくりの動向も注視しながら、障害に関するハラスメントを障害者差別解消法にも盛り込むことができないかどうか、ぜひ御検討いただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 安藤委員、ありがとうございました。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。
まず質問からですけれども、第47回の障害者政策委員会において、障害者基本計画(第4次)の監視が項目に入っていることについての質問ですが、具体的にはどういう方法で監視としての審議が行われるのかについて、現時点でイメージがわかっていれば、教えていただきたいと思います。
2番目は、それにも関係してくるわけですが、今日から始まる論点の整理ないしは議論の中で、それがどういう位置づけになるかという問題であります。すなわち、この後、障害者権利委員会の事前質問事項の採択があったことについての報告があると思うのですが、この質問に対する回答が、政府によってどのような内容でされるかは、障害者差別解消法の改正と極めて密接不可分、ないしは直結する問題だと認識しています。そうであれば、障害者基本計画(第4次)の推進状況といいますか、監視に対する評価が、個別論点にどう関連するのかについて、お聞きしたいということであります。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
まだ御質問、御意見はあるかと思いますけれども、2点ほど質問が出ておりますので、ここで一旦、事務局からお答えいただきたいと思います。まず佐藤委員から御質問がありましたけれども、4つの論点のうち、1番の合理的配慮ですが、事業者は努力義務となっているけれども、これについて、これでよいのかといった論点は、いつ議論できるのでしょうかというお話ですが、これと今の竹下委員の御質問、次回の政策委員会での議論に関する点について、事務局より御説明いただけますでしょうか。
○衣笠参事官 事務局です。
本日、お示ししました、今後の審議の進め方におきましては、個別の論点の検討①②で記載しており、本日もし整理できれば、論点ごとに御議論を深めていただく予定です。本日の御議論がどうなるかというのは、まだ固まっていないので、個別の論点が何かというのは、ここで記載しておりませんので、本日の結果を踏まえて、また整理をするものだと思っていますが、基本的には先ほどお示しした論点の順番ごとに議論いただくイメージでございました。そこは本日の議論の整理次第となります。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、竹下委員からありました、次回の第4次障害者基本計画の実施状況の監視についての位置づけ、あるいは日本の審査との関連で、どのように受けとめたらよいのかといった質問につきましても、お願いします。
○衣笠参事官 42回の障害者政策委員会で御提示したものの中にも入っておりますけれども、障害者基本計画を監視する中で、何か課題等があって、差別解消法に関係するものがあれば、そういったことについても御議論いただく、見直しの検討に波及していくということでございます。
監視のイメージですけれども、これまでも障害者基本計画について、障害者政策委員会で実施状況の進捗について御議論いただいていますが、どういうイメージかと申しますと、平成30年度の障害者基本計画に基づく実施状況、目標値、目標というのは、障害者基本計画で定まっています数値目標ですけれども、それと比較したときの現状での数値を、今、各省庁に照会中であります。取りまとめたものを次回の本委員会でお出しして、それを基に御議論いただくということだと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
次回の第4次障害者基本計画の実施状況、中間的な評価といいますか、監視につきましては、当委員会の2つある重要な役割のうちの一つだと考えておりまして、障害者権利委員会による審査を見据えて、当委員会としても、この間、やらなければいけないことの一つであると理解しております。また、各所管におかれましては、障害者権利条約及び障害者基本計画に照らして、それぞれが担っている施策の進捗状況をここで一度整理していただくことが、今後の事前質問事項の応答の準備にも資すると考えます。いずれにしましても、必要な作業ですし、また、当委員会としましては、IMM、独立した監視の枠組みとしての所見を、初回報告の中に入れておりますけれども、それをアップデートして、障害者権利委員会に対して報告するとか、あるいは建設的対話の場で、IMMの立場として発言するといったことができるかもしれない。その場合、こういった監視プロセスで1回議論しておくことが必要なのではないかと思っておりまして、事務局の御提案を私としても支持している次第です。
竹下委員、いかがでしょうか。
○竹下委員 ありがとうございました。
今、委員長の説明で、ある程度理解できた部分はあるのですが、とりわけ絞って事前質問事項との関係で言いますと、この後、その内容の報告があるかと思うので、それを踏まえて、いわば論点についての絞り込みをすべきではないかと思うわけです。例えば女性に関する二重差別の問題については、その他で片づけられていて、今日の論点の4つに入っていないことを考えますと、事前質問事項との関連で、果たしてそれを落としていいものかどうかという、我々の判断ないしは議論があってしかるべきだと思ったというのが、私の思いであります。これは、最後、意見としておきます。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
御意見は承りました。
4つの論点というのは、あくまで障害者差別解消法見直しの論点ということで、障害者権利条約の国内実施全体でやっていくべきことについて、どこまでできていて、どこができていないかということを、1回ここで振り返るということを次回やる。その評価次第で、論点が変わるということがあるだろうか。論点は変わらないのではないかというのが私の意見なのですけれども、どうでしょうか。多少良くても、深刻でも、論点は変わらない、不動であるというのが、私の判断ですけれども、いかがでしょうか。よろしいですか。考えてみます。
三浦委員長代理、どうぞ。
○三浦委員長代理 ありがとうございます。社会福祉法人全国社会福祉協議会全国身体障害者施設協議会の三浦です。
今の4つの論点をどの順番で議論に挙げていくかというところで、1点、質問です。差別の定義・概念が4番目に来ているのですけれども、これは1番目に来る論点ではないかと思います。いろいろなものを含みますので、特に大きな論点として、事業者による合理的配慮という部分があるのですが、合理的配慮の否定が差別であるということの共通認識をしっかりと持つためにも、差別の定義・概念は、早目の議論になったらいいのではないかと、提案をさせていただきます。
○石川委員長 ありがとうございました。
一番最初にこの論点を置くことは、説得的な御意見だと思いますけれども、事務局としても、順番にこだわりはないと考えていいですね。
○衣笠参事官 論点の1から3番は、かなり関連しているということでありまして、順番としては、近くに置いてあるということなのですけれども、4番を一番最初に持ってきても、特に事務局としては、意見はございません。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、他に御意見、御質問等がございましたら、お願いいたします。平川則男委員、お願いします。
○平川(則)委員 ありがとうございます。
論点の関係で、1つ目の事業者による合理的配慮ということで「事業者による合理的配慮の提供は努力義務とされているが、事業者の取組を促すための方策について、どう考えるか」と書いてあります。これを読むと、努力義務を前提として、その中において、事業者の取組を促すための方策があると読めてしまい、違和感があります。今回は合理的配慮の法的義務化も含めた形での検討だと思っておりますが、この記載だと広報を強化するとか、理解を促進するなどに留まってしまうのではないかと思いますので、合理的配慮の努力義務化の先もしっかりと議論するという表現にしていかないと、だめなのではないかと思いました。
同時に、一般の事業者だけでなく、地方公営企業などの公的機関も一部努力義務に含まれているところがあります。直ちに合理的配慮の提供の義務化を検討していくべきものであると思います。いずれにしても、この間、大阪府のヒアリングでも、合理的配慮の不提供事例というのは、かなり多く報告されておりますので、しっかりと正面から議論していくべき課題ではないかと思っています。
2つ目の相談・紛争解決体制、3つ目の障害者差別解消支援地域協議会は、いずれも地方公共団体の実施体制の問題ではないかと思います。論点はこれでいいのですが、地方公共団体の実施体制の面があるということが分かるように、記載すべきだと思います。2も3も「地方公共団体が」などの主語が入っていないものですから、そこを論点の中で分かるものにするべきだと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
こういう風に書いてありますけれども、平川委員が御指摘の合理的配慮につきましては、当然義務化も含めて、事業者の対応を促す、法制度のあり方について検討するということですので、「義務化を含め、」と挿入して読んでいただいて、特に問題ないというか、そういう意味でございますので、あえて修正しなくても、全体として共有されていれば問題ないと思うのですけれども、平川委員、どうでしょうか。意味としては、仰った内容を当然含んでおります。
○平川(則)委員 平川です。
この場では、確かに共有されていますが、外に出たときに、これでは努力義務を前提として、事業者の取組を促すと読めてしまうと思いますので、工夫をしていただければありがたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
御指摘のとおりだと思いますので、事務局、いかがでしょうか。
○衣笠参事官 趣旨としましては、義務化も当然議論の対象として含んでいるわけですけれども、もし明確化したほうがいいということであれば、「義務化を含めた」といった言葉を入れることはあり得ると思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
そういう趣旨ですので、分かりにくくするメリットはないと思いますので、「義務化も含め」と入れていただくということで、よろしいでしょうか。御異議ございますか。ないということで、いきたいと思います。
それから、主語が不明確であるという点については、どうですか。平川委員、2と3ですね。
○平川(則)委員 平川です。
相談・紛争解決体制、障害者差別解消支援地域協議会は、地方公共団体が行うべきだということは、当たり前のことなので、これはこの中で共有できればいいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
これはそれほど曖昧ではないということで、このままでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
他に御意見、御質問はございますか。関川専門委員、お願いします。
○関川専門委員 大阪府立大学の関川と申します。
先ほど御意見がありましたように、審議の順番ですけれども、1、2、3、4とやっていくのではなくて、まず差別の定義・概念について議論をしていただいた上で、事業者の合理的配慮を義務化するかどうか、議論を進めていくのが妥当ではないかと考えています。その際、事業者による合理的配慮の義務化に当たりましては、14条、相談・紛争解決の体制の中で、義務化した場合の事業者に与えるインパクト・影響、先ほどプラス面・マイナス面の双方を検証するべきだという御意見がございましたので、その資料を集めていただいた上で、この場で議論に入りたいと考えておりますので、まずは差別の定義・概念から入っていただければと思っています。
先ほど長谷川委員、大内専門委員から、事業者の立場から、義務化についての意見が述べられましたが、事務局に教えていただきたい、あるいは確認をさせていただきたいことがあります。私自身は、仮に合理的配慮を義務化したとしても、紛争解決のプロセスにおいては、地方公共団体の関与の下で進められる場合、当事者の建設的対話が原則で、建設的な対話を促す形で紛争解決が図られればよい。その中には、当事者間の話し合いの自主的解決も選択肢として当然含まれると考えております。
更に努力義務であれば、柔軟な対応は可能となるが、法的義務だと柔軟な対応が難しいという御心配もありましたけれども、合理的配慮の具体的な内容は、障害特性もそうですし、事業所の規模、事業の内容、個別事情が関わりますので、これもどうしたら最終的に機会平等が確保できるのか、話し合って柔軟にその場で決めていくことが前提になりますので、紛争解決のプロセスの中で、障害者の方が求めるものを強制するとか、あるいは地方公共団体が適切だと考えるものを強制するのではなくて、あくまでも双方のやり取りで、柔軟に具体の内容が話し合いで決まっていくものだと考えているわけですが、そのような理解でよろしいでしょうか。
もしそうだとすれば、今日長谷川委員、大内専門委員が心配なさった、建設的対話を通じた柔軟な対応が阻害されるということは、あまり心配していただく必要はないと思うのですが、事務局から御意見をいただきたいのと、併せて長谷川委員、大内専門委員からこれについての御説明をしていただけると、助かると思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
最後に質問をされましたね。
○関川専門委員 しました。
○石川委員長 この御質問について、事務局から回答は可能でしょうか。
○衣笠参事官 事務局です。
今、努力義務となっているものを義務化したときの具体的な影響といったときに、そもそも事業特性であるとか、規模とか、そういったものを踏まえた上で判断されるのでというお話ですけれども、そこは今後の議論の内容に関わる部分であり、義務化をするのであれば義務化の内容、若しくは義務化するか、しないかといったところに関わるものです。このため、今の段階で何かを前提に申し上げるというのは、難しいと思います。
事務局としては、以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
最初に差別の定義・概念について議論するということですが、これは全体で合意しました。同じ回に合理的配慮の義務化を理論することになるわけですが、それには幾つかその前に準備しておく必要がある。これが関川専門委員の御意見だと思いますし、私もそう思います。
1つは、義務化した地方公共団体における状況はどうなのか。このデータはなくても良いのですけれども、あったほうが、更に良いかもしれないと思う程度なのですが、あった方が良いかもしれない。合理的配慮の義務化は必要だが、それだけでは十分ではないというのが、私の立場なのです。なので、何が十分でないのかということを知る上でも、義務化した地方公共団体で、どういう取組を行っていて、その取組があるか、ないかで、どういう違いがあるか。義務化による違いということと、義務化だけではなくて、義務化に伴って、例えば調整の仕組みがあるか、ないかとか、そういったことによって、それが機能するかどうかによって、どういう違いが出てきているのかといったことについての情報があると、非常に望ましいと考えておりまして、事務局でそれまでに御準備が可能でしょうかということをお聞きしたいと思います。
○衣笠参事官 条例での義務化の状況につきましては、地方公共団体への調査ということで、数字上も取りまとめていますし、若しくは効果とか、課題といったものも地方公共団体から聞いて、まとめているという現状はございます。今日も、長谷川委員からも地方公共団体の状況を調べるべきといった御意見がありましたし、今の石川委員長の御意見もありますので、更に地方公共団体の状況は調べて、どこまで情報を追加できるかということで、作業をしていきたいと思います。どのぐらいまで深掘りするかによって、いつまでにできるかということはまた変わるので、日程までにできるものを用意させていただくということになるかと思います。
○石川委員長 前々回、大阪府からヒアリング、とても良いプレゼンテーションをしていただいたのですが、大阪府は努力義務という条例でやっています。義務化した条例を持っている地方公共団体からヒアリングをするというのも一案かと思うのですが、あるいは調査を行って、調査結果を報告していただくというのも、もちろん一つの方法としてあると思うのですが、実現可能な方法で御検討いただきたいのですけれども、考えてみれば、次回は第4次障害者基本計画の実施状況の監視をやる予定なので、次々回の冒頭ぐらいしかないのです。何らかのデータを事務局で収集していただいて、次々回の頭で報告していただくか、直接お呼びしてヒアリングさせていただくかしかないと思うのですけれども、このあたりは、事務局と相談させていただきたいと思いますので、御一任いただければと思います。
それでは、一旦、ここで休憩に入らせていただいて、3時15分再開ということで、お願いします。
(休憩)
○石川委員長 それでは、再開したいと思います。
先ほどまで議論していた、今後の進め方につきまして、今、事務局と相談をしまして、こういう形でいきましょうという案を事務局より出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
○衣笠参事官 先ほど審議の順番ということも、御質問等がありましたけれども、差別の定義・概念につきましては、修正ということだったので、それを1番ということで、議題とする。次は、こちらで論点として掲げておりますとおりの順番で、事業者による合理的配慮、相談・紛争解決体制と進んでいくということで考えてございます。
個別の論点の検討につきましては、資料3に書いておりますとおり、次回、11月14日に、第4次障害者基本計画のフォローアップをした上で、個別の論点の検討に入るということで、そういう意味でいうと、差別の定義・概念、事業者による合理的配慮にも入っていければということで考えております。
事業者による合理的配慮の議論をするに当たりまして、義務化をしている地方公共団体の状況について、こちらでヒアリングなり、若しくは調査の深掘りをしたものを出してもらったほうがいいのではないかという御意見ですが、ヒアリングに関しましては、相手方もありますし、また、日程等もありますので、どういう対応ができるかということにつきましては事務方に引き取らせていただければと考えております。
事務局からは、以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
そのような次第で、次回は非常に盛りだくさんというか、忙しくて、どこまでできるか若干不安ですけれども、第4次障害者基本計画の実施状況についての報告をいただいて、障害者政策委員会としての意見を述べる。次に4つの論点のうちの1つ目の差別の定義・概念をやって、更に事業者による合理的配慮にも極力入りたい。次回は間に合わないけれども、次々回には、事業者の合理的配慮を義務化した条例を持っている地方公共団体についてのデータ、あるいはヒアリングを実施することも含めて、新しい番号の論点2、論点3、論点4について、検討するということでいきたいと思いますので、よろしくお願いします。
更にこれにもう少し論点を付け加えるべきだという御意見もありました。各則とか、アクセシビリティ、あるいは公共調達におけるアクセシビリティ要件とか、ハラスメントということもありましたが、これについても事務局と御相談したいと思いますけれども、今日のところは、そのようにさせていただきたいと思います。
引き続き、御意見、御質問等をいただきたいと思いますが、御意見、御質問のある委員は、挙手をお願いいたします。岡田委員、お願いします。
○岡田委員 全国精神保健福祉会連合会、みんなねっとの岡田です。
資料3の今後の審議の進め方について、教えていただきたいのですけれども、この後、障害者権利委員会の事前質問事項の採択についての御報告があるということですが、これは日本政府報告に関する質問事項という中身になっておりますので、当然この質問に対しての回答も日本政府でつくって、提出するという手順があると思うのですけれども、いつ頃までに提出しなければならないという期限があるのかどうか。
それから、提出前に、その内容について、ここの委員会で内容を確認したり、検討したりする機会を設けていただけるかどうか、そのことを教えていただけたらと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
第1点目につきましては、4時15分ごろから、外務省の人権人道課から御報告がありますので、その中で、提出期限等についても触れていただけるかもしれないですし、もしなければ、私か、あるいは岡田委員から質問していただくという形で、対応させていただきたいと思います。
2点目なのですけれども、政府の答弁は、政府の答弁として準備するわけですが、当委員会は、先ほど申しましたように、独立した監視の枠組みという役割を担っておりますので、権利委員会による審査に向けて、当委員会としても行うべきことがある。それは障害者差別解消法の見直しの委員会案をまとめた上でということになりますので、来年度、4月、5月、6月ぎりぎり作業ができるのではないかと思っております。幾つかのやり方が可能だと思います。一応考えている案もありますけれども、タイミングを見て提案させていただきたいと思っております。
岡田委員、よろしいでしょうか。
○岡田委員 はい。
○石川委員長 玉木委員、どうぞ。
○玉木委員 玉木です。
先ほど言いかけていたことの補足というか、消化不良で終わっていますので、話そうと思います。本音の話をしておきたいと思います。
資料4の1番の事業者による合理的配慮の中身ですが、日本商工会議所の大内専門委員とか、日本経済団体連合会の長谷川委員から意見が出た中では、合理的配慮の義務化に慎重的だということをすごく感じていて、資料4の1で、先ほどから言われている、ぼやっとした聞き方で話を進めようとされている中での引っ掛かりがあったのです。なぜ合理的配慮の義務化にいろいろな抵抗があるのか。例えば先ほどもいろいろ委員の方から出ていたように、今、公的機関は義務化になっているから、適切な合理的配慮が進んでいるかという評価をかけていくと、余り進んでいないと感じています。合理的配慮というのは、どういう認識でいらっしゃるのかということですが、論点整理の中で、まずは差別の定義・概念などから話していこうということで、それはきちっと盛り込んでいただきたいと思いますし、改めて合理的配慮というのは、何をもって合理的配慮というのかということを論議しておく必要があると思います。
私がいろいろなところで説明させていただくときには、理にかなった工夫の積み重ねと言っています。それから、以前から出ているように、エレベーターをつくるとか、スロープを付けるとか、そういうハード面を整備して終わりではなくて、その時点とか、その場所とか、人間関係の中での最善、何かできるかということを話し合い続けること、そこをきっちりと義務化していく。1回で終わるのではなくて、継続的にどうやったらうまく生活していけるのか、どうやったらうまく働いていけるのか、どうやったらうまく勉強していけるのかということを考え続けることを、義務化するという認識でいきたいと思っています。今日言いたかったことは、そこだけです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
関川専門委員、お願いします。
○関川専門委員 先ほど委員長から義務化した地方公共団体でどのような課題があるのか、改めて調査するとありましたけれども、あわせて、企業側からもどのようなインパクト・影響、プラス面・マイナス面が出ると考えているのか、もう少し個別具体的に各社から意見を聴取して、検討の資料として御用意いただきたいと思っています。総論的に言うと、恐らく企業の方からの御意見は、今日長谷川委員、大内専門委員が仰ったような内容になると思うのですけれども、もう少し具体の検討材料を御用意いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○石川委員長 ありがとうございました。
行政サイドからのヒアリングなり、調査だけではなくて、事業者がどのように義務化を受けとめて、どのようにそれと向き合っているのかということも、具体的にお聞きできるといいと思います。
私が先ほど申し上げた趣旨をもう少し敷衍させていただくと、義務化は必要ではあるが、なぜそれだけでは十分ではないと申し上げたかというと、合理的配慮の提供の義務化というのは、障害者当事者が被る合理的配慮の不提供をなくしたい。つまり障害者の権利を一方で守りたい。同時に過度な負担を求められて、誰も調整しないし、助けてもくれないで困ってしまう企業を守りたい。両方の意味があって、だから、義務化は必要だけれども、調整や紛争解決や相談の仕組みをきちんと機能させるということが、国及び地方公共団体としてはやらなければいけないことで、それを信頼できれば、安心できれば、おのずと事業者の合理的配慮の提供の義務化に対する受け止め方は、違ってくるのではないかということで、各地方公共団体の取組の実践等を参考にし、かつ事業者の受けとめの御努力についてもお聞きしたいと思っております。そういう趣旨で発言しました。
他に御意見、御質問はございますか。大塚委員、どうぞ。
○大塚委員 日本発達障害ネットワークの大塚です。
先ほどからの議論で、合理的配慮の義務化をどう捉えるかということで、私もポイントを出しましたけれども、どちらかというと、企業の方にとっては、心理的なものの心配ということで、障害のある方と企業の方、あるいは働く方、障害のない方が余りいい雰囲気にならないということが多かったので、それはもちろんあるのかもしれませんが、それだけでは不十分で、もうちょっと具体的というか、例えば企業活動に影響があるとか、企業として生産性を上げるところに困難があるとか、そういうところまで含めて議論したほうが、私はいいと思っています。
なぜかというと、リスクの部分ですけれども、メリットの部分も含めて、たくさんの情報を出していただかないと、総合的な判断として、やはりという判断材料がないということが一番危惧されます。それとともに、もし企業の方が様々なリスクを心配しているということであれば、障害者のこの委員会は、反対にメリットも含めて、こんなことに企業の可能性があるわけですから、そういうことも含めて考えていただきたいという、企業に対する対話、障害者団体やこの委員会から、その対話が進むことによって、企業も納得していけるような材料をつくるべきだと考えています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
他に御意見、御質問はございますでしょうか。松爲委員、どうぞ。
○松爲委員 松爲でございます。
今度の障害者雇用促進法改正に当たって、労働政策審議会の委員として、企業側の人達とか、いろいろな話を伺いました。法改正の議論の中で、実質的に過重負担というのは、企業にとっては非常に大きな意味合いになるのです。過重負担ということとあわせて、義務化をどう捉えるかという問題が、今、ありましたけれども、私はこのことに関しましては、いろいろな企業、何百社、何千社とお話してきましたけれども、企業の人たちから感想を伺っていますと、合理的配慮という法改正を施行する前は、ものすごく心配していたのです。これが義務化されると、我々はどんな影響を受けるのだろうか。ところが、実際に法施行された後、企業の人たちに伺いますと、そんなに問題がなかった。つまり調整の委員会でも、そんなに件数が挙がってこなかったのです。なぜそういうことが起きてくるかと、いろいろと企業の人に聞きました。そうすると、彼らはいみじくも言うのです。障害者の雇用に関する合理的配慮の中身を見てください、これは私たちが今まで障害者雇用の中で実際にやってきた中身ではないですかと言うのです。つまり企業にとっては、今まで当たり前にやってきたことを、当たり前のとおりに法律が担保してくれたという認識があるのです。ですから、私は、義務化ということで、強制的に心配させるぐらいだったら、むしろ今のやり方、配慮の仕方をより進めていくほうがいいと思います。
前々回も言ったと思いますけれども、障害者雇用に関しては、データベースがものすごく大きな影響を及ぼします。半年ごとに、日本の障害者雇用企業から配慮に関するデータベースを持ってきているのです。法律上、定義が云々ということよりも、実務上、配慮事項として、こういうことをやっています、こういった実績の積み重ねが、特に障害者雇用に関しての合理的配慮を動かしていくのではないかという感じがいたします。ですから、義務化云々ということ以前の段階で、そういったことを考えていただきたいと思います。
もう一つ、ついでに言っておきますと、配慮を進めていくときに、私がいつもお話するのは、もはや企業の問題ではないのです。話し合いということは、企業側は一応雇用管理体制を含めて、制度的には担当者をちゃんと決めます。むしろ問題なのは、話し合いですから、もう一方の当事者なのです。当事者がちゃんと話し合いできるような教育・訓練をしておいてもらいたいのです。これはむしろ学校教育、送り出す側も含めて、それをちゃんとやっておかないと、本当の意味での話し合いは出てこない。義務化をやっても、実際に話し合いで進めていくにしても、まず企業側は法改正のもとできちんとやらざるを得ないです。そうすると、話し合いという現場からすると、送り出す側と本人を支援する側、これが企業との間でちゃんと話し合いができるような体制を作っていく、そういった体制をぜひとも合理的配慮、特に雇用に関しての合理的配慮といった場合には、考えていただきたいと思います。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
他に御意見、御質問はございますか。
現時点では御意見が出ていないようなので、もう一つ、私見を述べさせていただきたいと思います。
合理的配慮という概念は、それなりに浸透してきていて、基本方針、対応要領、対応指針、この分野では浸透しているのですけれども、この表現が本当にベストなのかと思っておりまして、これはもともとリーズナブル・アコモデーションの訳語として、アメリカのADAの紹介の際に用いられて、その後、ずっと定着してきたという経緯があります。大学等では、合理的配慮願いを学生が出すことになっていまして、略して配慮願いというのです。違和感があるのです。配慮願いではない。つまり合理的配慮をもう一回英語に訳すと、どうしてもリーズナブル・アコモデーションにも戻らない。バックトランスレーションをやると、戻らない訳語は、言葉の表現として適当ではない、もうちょっと考えた方が良かったのではないかと思います。
例えばヨーロッパ系だと、リーズナブル・アジャストメントという言葉を使っていまして、合理的調整と訳すのが自然です。アコモデーションも変更とか、調整と訳すのが自然です。建設的対話であったり、よい方法を一緒に考えるとか、玉木委員が仰ったような工夫の積み重ねというのは、むしろ調整とか、変更という言葉を使うほうが、はっきりするのではないか。配慮というと、気遣いみたいな意味になってしまって、それが柔らかくて、通りやすいのではないかということも考えた上で、これを選択されたとは思うのですけれども、その結果として、この言葉が持っている意味が、曖昧なもの、ぼやっとしたものになっていると思います。
今回の見直しの際に、思い切って「合理的配慮」を「合理的調整」に全置換するのがよいのではないか。できるのであれば、そのほうが良いのではないかというのが、私の意見なのですけれども、難しいでしょうか。皆さんから御意見があれば、いただきたいと思います。
教育分野でいうと、例えばどういうことが起きるのか。またその話かと、いら立たしい思いをさせてしまうので、嫌われてしまうので、言いたくないのですけれども、言います。合理的配慮を提供しないことが、教育的配慮である場合があるとか、合理的配慮を提供することは、教育的配慮にならない場合があるという議論が、意外と賛同されたりするのです。だから、いろんな条件を整えないことは、教育的配慮になる。バリアがあったほうが、伸びるそうです。学校でそんなに条件を良くしてしまうと、厳しい社会に出たときに通用しないみたいなことを、教育的配慮だと言ったりするわけです。これは明らかに誤っているのだけれども、意外と支持者は多くてびっくりするのです。それは配慮という概念で、アコモデーション、あるいはアジャストメントとコンシダレーション、両方の意味で使っているので、混乱が起きると思うのです。そういうこともあって、合理的配慮でないほうが良かったと思ったりします。現実的には難しいのかもしれないですけれども、思い切って変えるという英断もあるかもしれないということで、申し上げました。正しい指摘だけれども、非現実的だと言われそうな気がします。
大内専門委員、どうぞ。
○大内専門委員 ありがとうございます。
合理的配慮の関係で、一つだけ、お話をさせていただきますと、委員の皆様から企業の合理的配慮は、今、努力義務なのだけれども、義務化に向けて検討される中で、企業にとって困ったこととか、今、既に上乗せ条例で導入している地方公共団体などで、事例が起こっているのかというお話がございました。
ここに関していうと、例えば東京都などは、2年ぐらい前に、確か条例を導入し、義務化しているはずです。具体的に事例を調べているわけではないので、感覚的な話ですけれども、企業の方から、努力義務から義務化されることによって、問題が多発するようになったとか、あるいは企業の現場が大混乱しているとか、そういう話が具体的に我々まで届くほど、強く挙がっているということはありません。
本来の目的は、共生社会の実現に向けて、より一層、障害者差別解消法の趣旨の浸透を進めていくことにあるかと思うのですけれども、努力義務を義務化することによって、どれだけそういったものが後押しされたかという部分、こちらに関しても、恐らくは明確なデータというのは、それほど出てきていないのではないかと思います。実態というのは、数字とか、そういったところにまでは出てきていないと思います。
幾つかお話を聞いた企業などでは、努力義務が義務化されることによる心理的なプレッシャーを感じる声もありました。また、先ほど石川委員長からもお話がありましたが、当事者による対話について、もちろん企業の現場の教育も必要なのですが、関係する皆さんの意識を変えていって、対話ができるような状況に持っていくことが重要と考えております。企業の方からすると、そこに関して十分な安心感が得られないというか、漠とした不安があって、真面目に対応されようとする企業であればあるほど、そういった懸念を持たれるところがあると思っております。この趣旨に合っているかどうか分かりませんけれども、私の感想めいたお話をここでさせていただきました。
○石川委員長 ありがとうございました。
平川委員、お願いします。
○平川(淳)委員 平川淳一です。
私どもは、精神障害者の方々といつも一緒にいるのですが、個人情報保護ということで、法律の名前から間違った使い方をされる方が多いのです。それがすごく現場で問題になっているということがありまして、個人情報保護法は、個人情報を有効に活用するためにきちんと管理しようというものですから、合理的配慮についても、配慮というのは、一方的にする側、される側という関係を想像させてしまいます。先ほど玉木委員が仰ったように、理にかなった工夫の積み重ね、対話ということ、調整するということ、そういう部分をもう少しきちんと言葉として、石川委員長が仰るように決めることは、企業側の恐れを緩和して、いい方に進んでいくのではないかと思います。
○石川委員長 御賛同ありがとうございます。そう言っていただけると、嬉しいです。
阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 当事者団体、日本身体障害者団体連合会の阿部です。
今、お話をお聞きして、そして、松爲委員のお話もありまして、合理的配慮というのは、それぞれの障害によって、困ること、不便なことがあることを、当事者自身が伝えるコミュニケーション力をしっかり持つことが大事だと、今、考えました。その前提のもとに話しているとは思うのですけれども、具体的に自分にとって困ること、不便なことを伝える力があれば、それを受け止めることも可能だと思うのですけれども、その辺で、当事者団体としては、コミュニケーション力を持っていくことの重要性を、今のお話を聞いて、確認したところです。
ありがとうございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
対話力というのは、自分が社会の中に包摂されているとか、承認されているという感覚を持っていると、人は対話的になるのですけれども、逆に拒絶されているとか、排除されているとか、阻害されているとなると、防衛的になったり、場合によっては、ディマンディングというか、攻撃的になったりということもあり得て、だから、全てを好循環に持っていくための一つ、たくさんある枠組みや工夫の一つが、差別解消法だと思っていて、建設的対話というのも、キーワードとして重要だと考えています。
どちらか一方が積極的に対話的であると、もう一方も、大抵対話的になるわけです。一方が先手を打ってけんか腰だったり、拒絶的だったりすると、相手もそうなっている。そういう関係というのは、人と人との間にはあるので、企業サイドも障害者サイドも、対話経験を通じて、お互いにお互いのことをリスペクトし合えるようになっていくと考えております。
他に御意見、御質問はございますか。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 竹下です。
石川委員長からありました、合理的配慮の翻訳がそれでよいのか、あるいは誤解を招くことはないのかという趣旨でいうと、私は、かつて、この言葉が持ち込まれたときに、ある学者、それも複数から、この訳は間違っているし、誤解を招くと言われました。理由ですが、配慮というのは、もともと誰でもが当然のごとくしていることであって、今さら合理的という言葉をくっつけて、一つの熟語化して、何か新たにそこに生まれるのか。それ以上に権利性をも否定することに、結びつくような表現ではないかという批判を受けました。
そのとき、私はなるほどと思ったのですけれども、変更ないし調整というのは、確かに分かりやすい言葉であって、非常に適切な表現だと思ったときに、一つ気になったのは、調整ないし変更というときに、いわば何らかのものをつけ加えるという要素が、その日本語に入っているのだろうかということを議論しました。すなわち、変更ないし調整というのは、現在あるものの一定の置きかえであったり、妥協であったりすることは考えられるとしても、何らかの追加的な措置を講ずることによって、平等を実現するときに、変更ないしは調整という言葉が日本語としてよいのかどうかというのが、私のその当時の疑問でした。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
他に御意見、御質問はございますでしょうか。関川専門委員、どうぞ。
○関川専門委員 恐らくこの問題は、差別概念の問題とも関連してくるものだと思います。配慮と言った場合には、委員長がおっしゃったとおり、気遣いとか、心遣いということで、企業の対応としてよくある例は、障害のあるお客様が来られたら、何かお困りのことはありませんかと言って、困っている状況に手を差し伸べるという対応をしていますが、そのことが合理的配慮の内容に入ってしまう余地があって、英語で配慮と言った場合には、いろいろな訳が出てきますが、ケアが入ってくる可能性があるのです。そうすると、お世話をしてもらえるものだ、お手伝いしてもらえるものだ。機会平等の確保のために必要なものであれば、当然求められますけれども、アクセスが確保されている状況で、困ったことはありませんか、ここまでお手伝いしてもらえるものだという意味合いが入ってくることがございます。
合理的配慮をめぐるトラブルで、障害者の方が思う合理的配慮の内容と、事業者の側が対応できる合理的配慮の内容で、認識ギャップが出るときに、紛争になっていきますので、そう考えると、この訳語が正しいのかというところは、非常に疑問です。アメリカのADAでは、最高裁の判決が出てきていまして、ケアは含まれないということが明確に示されていますので、そういった意味でも、調整、アジャストメントという表現が適切なのではないかと思います。
最近、アメリカに行って、バスへのアクセスを見ていますと、当然バスは障害者の方、車椅子の方でも乗れるように、ステップが自動的におりていって、障害者の方が乗り込んでくる。バスの運転手は、非常にフレンドリーに声かけをしますが、彼らの仕事は、アクセスを確保することと車椅子を金具にとめる仕事だけで、お手伝いしないのです。恐らく合理的配慮の意味内容は、アメリカではお手伝いが入らない。それが一つ、企業側の負担、心理的な心配を軽減することにもつながるのではないか、あるいは余計なトラブルの回避にもつながるのではないかと考えていまして、委員長の御意見に賛成で、今から変えられるのであれば、変えてほしいと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
賛成してくださっている方が、指数関数的に増えていく勢いを、今、感じております。
先ほど論点として提案したにもかかわらず、それについて、余り議論ができていないと、佐藤委員は思っていらっしゃるかと思うので、どうでしょうか。ここについて、他の委員の御意見も伺いたいと思うのですが、各則とか、公共調達のアクセシビリティ要件とか、もう一つは、障害のある女性への複合的差別を、障害者差別解消法の中に実装できないか、論点として、少なくとも検討できないかというお話だったのですが、他の委員はどのようにお考えでしょうか。
阿部委員、どうぞ。
○阿部委員 その関連で、安藤委員が仰いました、パワーハラスメント防止対策の法制化というのも、私たちとしては、情報として知っておく必要があると思いました。これは女性の障害の差別とも関連するようなことだと思いながら、安藤委員の御意見は大事だと思いました。
○石川委員長 ハラスメントです。すみません、失念しました。ハラスメントも含めて、論点として入れられないかということです。少なくとも、情報は欲しいということです。情報提供は、事務局から可能だと思います。すみません、厚労省だそうです。いずれにしましても、情報提供していただきたいということで、事務局は調整をお願いしたいと思います。 安藤委員は、ハラスメントについても、論点として加えるべきだという御意見でしたので、これも含めて、もう一度、他の委員の御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。平川則男委員、お願いします。
○平川(則)委員 平川則男です。
佐藤委員からありました、その他の公共調達のアクセシビリティに賛同いたします。私たち労働組合でも、公共調達の際に、公契約条例を制定すべきだということで運動しております。公共調達をする場合、労働法令遵守を前提とした公共調達を行うべきだということも提言しておりまして、その一環として、アクセシビリティの要件を検討することについても、賛同いたしますので、検討いただければと思います。
以上です。
○石川委員長 公共調達にアクセシビリティ要件を入れるという仕組みを、ぜひ日本に導入すべきだ。アメリカのリハビリテーション法508条のような仕組みはぜひ必要だと、総務省のデジタル活用共生社会実現会議でも述べて、最終的な提言にも入っておりますし、それから、日本版VPATというのですけれども、企業が自発的にアクセシビリティのどの項目を、どの製品が満たしているかを公表する、そういうテンプレートがあるのですけれども、そういうものを公開して、公共調達の際にそれを評価の中に加えることについても、今年度、総務省で進めているはずで、そのアウトプットは、まだお見かけしていないので、お聞きしたいと思っているところです。第4次障害者基本計画にも、公共調達についての言及がありますので、総務省からも現状報告していただきたいと思っています。ただ、障害者差別解消法の枠組みの中に、公共調達のアクセシビリティ要件を入れるというのは、無理筋ではないかと第一感としては思うのですけれども、今、事務局の御所見をお聞きしても良いですか。お願いします。
○衣笠参事官 事務局としても、石川委員長が仰るとおり、障害者差別解消法になじむかというと、そうではなくて、むしろ障害者基本法とか、第4次障害者基本計画の世界のほうがなじむ話だと、我々としても考えております。
○石川委員長 いかがですか。佐藤委員、あるいは平川委員、どうでしょうか。障害者差別解消法の中に入れることが適当ですか。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
私の問題意識としては、現状、公共調達にアクセシビリティ要件が入っていないということで、日本はそれが遅れていると思っています。以前、この障害者政策委員会にもアメリカの方に来ていただいて、公共調達についてお話をいただいて、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ヨーロッパというのは、基準がちゃんとあって、それを守っているということです。ですので、障害者差別解消法で難しければ、今、お話がありましたけれども、障害者基本法とか、障害者基本計画というところで、ぜひ議論していただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
障害のある女性の複合的差別を論点とするかどうかという点についてなのですけれども、具体的にはどういう導入をイメージされているのか、お聞きできればと思います。どういう実装があり得るかというところが、私にはイメージしにくいのですけれども、いかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
障害者権利条約では第6条で、障害のある女性の差別について規定をしていて、この分野は日本では障害者基本計画で前回入れていただきましたけれども、取組が非常に遅れている分野だと思います。特に統計がありませんので、実態としてどうなっているかということが、把握もできていないということです。どういう形で盛り込むことが必要なのかというのは、もう少し考えなければいけないと思うのですけれども、今回出た事前質問事項でも、障害のある女性に関する項目は、いろいろな条項でたくさん入っているわけですので、これは重要な視点なのではないかと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
どういう形で検討できるかというのは、少しお時間をいただいて、考えさせていただくということでもよろしいでしょうか。ハラスメントと複合差別については、即断が難しいです。
竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 竹下です。
今、委員長が仰る複合差別、あるいは女性障害者に対する差別の問題というのは、独立した条文を設けることも否定はしませんが、第7条及び第8条のそれぞれの第1項に付加した表現、あるいは書きぶりを考えるべきではないかと思っています。差別の内容として、直接的な理由にするか、間接的な理由にするかはともかく、障害そのものを理由とする差別、更には年齢の問題、子供の問題を含めてあるのでしょうけれども、ここで問われている男女という形の表現ではなくて、あくまでも女性という表現において、障害と女性が複合する、重なることによって、特殊あるいは特別な差別や危険にさらされるというところが、表現できるようにすべきではないか。したがって、そのことを踏まえた、第7条及び第8条の第1項の書きぶり、表現を検討すべきではないかと思っています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
あとは、基本方針の中で、一つ、強調して言及するという方法もあろうかと思うので、これも、今日論点として取り上げ得るかどうかについては、事務局と私で調整させていただいてということで、お任せいただくことは可能でしょうか。ありがとうございます。
入れられるかどうか確約はできませんけれども、基本方針の中に書き込むということは、十分に可能なのではないかという印象を持ちます。
また、ハラスメントについても言及して、諸法令との関連もはっきりさせた上でということもできるかもしれないので、これは検討させてください。
残りは各則です。これについては、やり出すと大変なことになるというのが、第一感としてありまして、こういう機会はそうそうないので、もしやるべきことであれば、できるときにやったほうがいいのですけれども、例えばどういうことをイメージされているか、佐藤委員、教えてください。
○佐藤委員 分野別にどういった合理的配慮を提供するかということを明記する必要があると思います。先ほども言いましたけれども、例えば学校の中で受ける合理的配慮はいろいろあると思いますし、そこを明記しておかないと、学校によって対応が変わってくることもあると思います。そういう意味で、分野別にやっていく必要があるのではないかと考えます。
○石川委員長 ありがとうございます。
一方で、合理的配慮というのは、個別具体的なものであり、かつその時々の技術的・社会的な様々な条件で、かなり動いていくものなので、法律のように、なかなか動かないものに書き込んでしまうということは、すごく硬直的になってしまうので、もっと簡単に変えられるところで実装していくのが、現実的な手法ではないかと思うのですけれども、いかがですか。ここに書きこんでしまうと、スタティックなものになってしまう。何十年も変えられない可能性があります。そうすると、この辺のものは、全部、昔はこんなことを考えていたみたいなことになりかねないのではないかと思います。
すみません。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。
確かに個別具体的に変わってくるところはあると思うのですけれども、一定同じところもあると思います。共通してやる部分です。例えば車椅子の人に対しては、どういったものが考えられるかとか、障害ごとにある程度共通する部分は出てくると思いますので、そういうところだけでも、ぜひ書いていただきたいと思います。
○石川委員長 個人的には消極的なのですけれども、事務局と相談させていただく中に入れて、改めて虚心坦懐に考えさせていただきたいと思います。
佐藤委員、よろしいですか。
○佐藤委員 はい。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、大体議論が尽きたような印象なので、検討はここまでとさせていただきます。
今後の審議の進め方の案ですとか、特に議論が必要な論点案につきましては、本日の議論を踏まえまして、あるいは反映した上で、進めていきたいと考えております。
また、宿題につきましては、事務局と相談させていただきたいと思います。
続きまして、次の議題に移りたいと思います。
外務省から、日本の審査に向けて、障害者権利委員会からの事前質問事項が公表されておりますので、それにつきまして、御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○南人権人道課長(外務省) 外務省の人権人道課長の南と申します。
私自身としては、この会議に初めて参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
着席のままの発言で、失礼をさせていただきます。
お手元の資料の番号で申し上げると、資料5になりますけれども、障害者権利委員会からの日本に対する質問票が届きました。
具体的には、10月4日、ジュネーブ時間の夜に国連事務局を通じて、日本政府代表部に送付をされたものでございます。
原文に当たります英語の質問票は、初回政府報告書、パラレルレポートとあわせて、国連のホームページにも既に掲載されております。
また、質問票、英語版については、外務省のホームページにも掲載してございます。
質問票でございますけれども、2020年6月8日までに回答をするようにということで、いただいております。細かい話ですが、全体として1万700単語程度、これは英語で普通の紙に直しますと、約20ページ以内で回答するようにということで、書簡にて現地の国連事務局から、我が国政府のジュネーブにあります、代表部に対して連絡がございました。
障害者権利委員会による対面審査の日程につきましては、来年の夏の会期の中の連続した2日間になる見込みでございます。恐らく8月後半から9月の前半にかけてのいずれかの2日間でございます。国連事務局からは、具体的な日程については、追って連絡するという通知がございました。
皆様、御承知のとおり、対面審査の後、障害者権利委員会による勧告を含めた総括所見が採択されまして、国連文書として公表されるというのが、今後の運びとなっております。
政府としましては、質問票への回答をしっかりと準備していきたいと考えております。
対面審査そのものは、市民社会の皆様とも協力しつつ、我が国の障害者施策の一層の充実を図る良い機会だと考えておりますので、しっかりと対応したいと思っております。
本日の委員会では、皆様にまずは質問票の概要をお示ししたいということで、外務省限りで、短期間で作成した、いわば仮訳、しかも、暫定版という形でお配りをさせていただきました。技術的な文言ですとか、いろいろありまして、短期間でこの日程に間に合わせるように作ったものですから、まだ最終的なものではないということで、御理解をいただければと思います。細かいところで、間違いなどがあるかもしれませんので、その点は御容赦いただければと思います。
仮訳なのですけれども、正式なものについては、関係省庁とも細かいところをチェックした上で、後日、外務省のホームページに掲載し、また、内閣府を通じて、障害者政策委員会の皆様にも配付をしたいと考えております。
外務省からの報告は、以上でございます。ありがとうございます。
○石川委員長 南課長、ありがとうございました。
何か御質問等はございますでしょうか。三浦委員長代理、お願いします。
○三浦委員長代理 大変内容が深い質問事項が広範囲で寄せられていると思いましたけれども、これに日本政府としてお答えになる予定の文章は、6月頃ということでございましたが、政策委員会でも見させていただく機会は持てるのでしょうか。質問でございます。
○南人権人道課長(外務省) 必ずしも前例にないものですから、内閣府とよく相談いたしまして、対応について、検討させていただければと思います。現時点では、こういうお答えで恐縮でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
これに関連して、政策委員会として、事前質問事項に対して、反応する必要あるいは責任はないのかということについて、一言述べさせていただきます。
一般的にはというか、今日的には、ほとんどの国で、障害者権利条約が求めている国内監視の枠組み、日本では障害者政策委員会がそれに該当するのですけれども、監視の枠組みから独立したレポートを出すことが普通です。もちろん障害者団体等の市民社会もレポートを出しますが、それとは別に、独立した監視の枠組みとしても、事前質問事項に対して、独立した監視の枠組みが抱いている懸念やこういう勧告が望ましいという提案を出すというのが一般的です。政策委員会としてどうするかということは、今後、検討していく必要があると思います。
あとは、国によってなのですけれども、政府の代表団の中で、独立した監視の枠組みに数分程度の時間が割り振られて、コメントをすることがあります。そういうやり方をとっている国もあります。一方、市民社会からのブリーフィングに参加して、そこで発言するやり方をとる国、独立した監視の枠組みの判断かもしれませんが、その両方があり得る。ただ、日本の場合は、内閣府に設置された審議会という制度上の特性からすると、市民社会の側で一緒にというのは現実味がないので、やるとしたら、代表団の中で発言をするということは、十分にあり得る話だと思います。それが自然な対応になります。
この二つです。レポートを出す、出さない、出せるかどうかという件と、代表団の中に加えて頂けるかどうかという件です。そのように御理解頂ければと思います。
以上です。
他に何か質問や御意見等があれば受けますが、よろしいでしょうか。
それでは、本日予定しておりました議題は、全て終了いたしました。
最後に、事務局より事務的な連絡事項をお願いしたいと思います。
○衣笠参事官 事務局です。
次回の委員会は、11月14日木曜日の午後の開催を予定しております。
当日は、障害者差別解消法の見直しに関する今日の論点案について、いただいた御意見も踏まえまして、1番の差別の定義などに関する御議論をいただきたいと考えております。あわせて、第4次障害者基本計画の実施状況について、御説明もさせていただきたいと思います。
詳細につきましては、確定し次第、改めて御案内をいたします。
以上です。
○石川委員長 それでは、これをもちまして、第46回障害者政策委員会を閉会いたします。どうもありがとうございました。