障害者政策委員会(第48回)議事録
令和元年12月12日(木)
13:30~17:00
中央合同庁舎8号館 1階 講堂
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第48回の障害者政策委員会を開会いたします。
委員各位におかれましては、御多用のところ、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日の委員会は、17時までを予定しております。
なお、委員会の冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入り、撮影が行われますので御承知おきください。
次に、事務局より、委員の出欠状況について御報告をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
本日は、安藤委員、岩上委員、加藤委員、門川委員、加野委員、黒岩委員、辻委員、野澤委員、松爲委員、森委員、山崎委員が所用により欠席との連絡を受けております。
また、長谷川委員が遅れて到着されると伺っております。
○石川委員長 早速、本日の議事に入ります。
まず、本委員会における発言規則につきましては、既に繰り返し御説明しておりますので、今日は盛りだくさんということもありまして、割愛させていただきます。
本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○衣笠参事官 本日は、議題1として、障害者差別解消法の見直しの検討について、前回に引き続き個別論点の御審議をいただきます。
最初に、前回の委員会で御意見をいただきました障害のある女性への差別に関するヒアリングとしまして、DPI女性障害者ネットワークの藤原代表から御説明をいただきまして、質疑応答の時間を設けたいと思います。関連資料といたしましては、資料1-1、1-2を御用意しております。
次に、事業者による合理的配慮に関するヒアリングとして、公益社団法人日本医師会、社会福祉法人全国社会福祉協議会、全私学連合より御説明をいただきまして、それぞれに質疑応答の時間を設けたいと思います。関連資料として、資料2、資料3、資料4を御用意しております。
また、長谷川委員が遅れて出席される関係で、次の審議の途中になると思いますが、日本経済団体連合会が実施した事業者へのアンケート結果について、長谷川委員から御説明をいただきまして、質疑応答の時間を設けたいと思います。関連資料として、資料5を用意しております。
相談・紛争解決体制につきまして、事務局から、現状、主な意見、今後の検討の方向性について御説明をした後、御審議をいただきたいと思います。関連資料としましては、資料6-1、6-3を用意しております。長谷川委員からの御説明の時間も、この審議の途中で設ける予定となっております。
次に、障害者差別解消支援地域協議会の設置促進・活性化につきまして、事務局から現状、これまでの主な御意見、今後の検討の方向性について御説明をした後に御審議をいただきたいと思います。こちらにつきましては、資料6-2を用意しております。
議題の3となっていますけれども、障害者統計の充実に係る検討状況についてということで、事務局より御報告をいたしまして、またこちらも質疑応答の時間を設けたいと思います。関連資料としましては、資料7を御用意しております。
本日は、佐藤委員、森委員、関川専門委員からそれぞれ資料の御提出をいただいておりますので、お手元に資料8、9、10として配付をさせていただいております。
あわせて、前回の委員会で御審議をいただきました論点に関する事務局説明資料を参考ということで、資料11-1、11-2を配付しております。
このほか、委員の皆様の机上には、関係法令などをまとめたファイルを配付しております。
なお、審議の途中、14時10分頃と15時40分頃を目途に、それぞれ15分程度の休憩を設けたいと思います。
それでは、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますようお願いします。報道関係のカメラも、ここで御退室をいただきます。
○石川委員長 それでは、障害者差別解消法の見直しの検討の議論に入ります。
まず、DPI女性障害者ネットワークの代表の藤原久美子さんから御説明・御発表をいただきたいと思います。藤原さん、よろしくお願いします。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 DPI女性障害者ネットワークの代表の藤原と申します。
この度は、障害者差別解消法改正の審議に当たり、ヒアリングの機会をいただき、ありがとうございます。
簡単に自己紹介しますと、私は中途の視覚障害者で、難病の当事者です。そして、DPI女性障害者ネットワークは、1986年に緩やかな女性たちのネットワークとして、優生保護法の撤廃、障害女性の自立促進、エンパワーメントを目指して設立されました。
1996年に優生保護法が母体保護法に改正され、その後、活動を休止していましたけれども、2007年に再始動して、障害女性の複合差別の解消に向け、政策提言など国内外に働きかけをしています。
それでは、資料1、2を入れさせていただいていますので、御覧ください。
結論から述べますと、障害女性の複合差別の解消に向けて、次の文言を条文に入れることを求めます。
「国及び地方公共団体は、障害のある女性が障害及び性別による複合的な差別を受けていることを認識し、その実態を把握し、差別解消にむけた適切な措置をとらなければならない。」
このような条項を障害者差別解消法に設け、障害のある女性の複合差別の対象課題を簡潔に示すことが必要です。そして、どこの条項に入れるかは、次に述べる2通りが考えられるかと思います。
一つ目、「第46回障害者政策委員会で、現行の障害者差別解消法の第7条、第8条それぞれに、項をひとつ追加する委員意見が出されました。上記の一項を追加することが考えられます。」第8条では、主語が事業者になります。
二つ目、「あるいは、第一章「総則」の中に、上記の一項を追加することが考えられます。」
そして、先に述べた条項は、障害者基本法の総則の改正においても提起してきたものとほぼ同じです。障害者基本法は、障害者差別解消法の理念にもなっていることから、障害者基本法の改正も遠からず必要となります。
それでは、なぜ障害者差別解消法の改正において、障害女性の条項が必要なのかの理由を簡単に説明させていただきます。資料1-2の関連資料を御覧ください。
まず、現行は、法律上の記述は「性別」という言葉のみです。資料1-2の1のとおり、障害者差別解消法に基づく基本方針や第4次障害者基本計画には障害女性に関する記述がありますが、法律の裏付けがなく、各省庁から報告されている障害者基本計画の進捗状況にも具体的記述が見られず、進んでいると言えません。
また、ここで注意しないといけないのは、1の表の下から6行目「障害者の性別、年齢、障害種別等の観点に留意しつつ」という文章があります。こういった表現ですが、性別に留意ということからは、複合差別の被害の実態を解決するための具体的方策が導かれないこと、そして、性別役割分業の強い日本では、女性役割を果たすための支援と読みかえられるおそれがあります。
この点は、現行法にも言えることです。資料1-2の2と3には被害の実態を掲載していますので、参考にしてください。
4ページに、数少ない性別データから分かる格差や被害の状況を掲載しています。そのうちグラフ3からは、DV相談件数が急増していることが分かると思います。
資料1-2の5には、2016年3月に女性差別撤廃委員会から日本に出された勧告、13(c)項に「複合的・交差的差別を禁止する包括的な差別禁止法の制定を強く要請する。」とあり、今回の障害者差別解消法改正により、障害女性の複合差別を解消するための条文を入れることが強く求められています。
そして、資料1-2の6ですけれども、先だって障害者権利委員会からは、日本に出された事前質問事項の障害女性に関する抜粋・要約を掲載しています。
障害者権利条約第6条については、外務省仮訳をそのまま紹介しますと、障害のある「女子」というのは、women and girlsで少女も含まれます。「障害のある女子(women and girls)の権利を主流化する一般的な男女平等施策、及び障害のある女子の権利を実現するための特別の立法措置、政策及び行政措置。」などについて、「本委員会に対しお知らせ願いたい。」とあります。
さらにパラグラフ3に「障害者差別解消法が、直接差別、間接差別、複合差別及び交差差別であれ、障害のある女子に対するものを含め、生活のあらゆる分野において、障害に基づくあらゆる差別を禁止しているかどうかを本委員会に対しお知らせ願いたい。」との設問も出ているので、国はこれらに答えなければなりません。
以上のことから、障害者差別解消法に最初に定義した条文を入れるべきと考えます。
以上です。
○石川委員長 藤原さん、ありがとうございました。
それでは、ここから質疑応答の時間を持ちたいと思います。御質問・御意見のある委員は挙手をお願いいたします。
玉木委員、どうぞ。
○玉木委員 玉木です。
藤原さん、ありがとうございました。
一つ質問をさせてください。こういうことが障害女性の複合差別だという具体的な事例を少しお聞かせいただけたらと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。一問一答のほうが答えやすいかと思いますので、藤原さん、具体的な複合差別として分かりやすい事例等をお知らせいただけますでしょうか。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 ありがとうございます。
まず、私自身の体験なのですけれども、障害のない女性との格差という部分でちょっとお話ししますと、私は難病の合併症から視覚障害になったのですが、それまでは早く結婚して子供を産むのが幸せだと言われていたのですが、障害者になってから妊娠すると、医者と親族から中絶を勧められたという経験があります。
そして、何とか頑張って産んだのですけれども、今度、職場復帰するときに、やはり職場のほうから、障害があって育児をするのは大変だから、パートになって夫の扶養に入ったほうがいいというのを強く勧められたのですね。でも、半年後に復帰された障害のない健常女性は、当たり前のように常勤として、ただ時短の職員として復帰したということがありました。
あと、育児をする上でも、例えば子供の保育園の送り迎えというのはガイドヘルパーが使えないのですね。そういったところで、子供を障害者が育児していくということの制度がないということで、より育児が困難になるということが分かりました。
次に、私は普段、神戸の自立生活センターというところで介助派遣のコーディネーターもしているのです。私は女性なので女性障害者のコーディネーターをしているのですが、女性の介助者が付くのですが、その介助者のライフスタイルが変わることで障害女性が影響を受けるということを感じます。もしこれが男性の介助者の場合、結婚とか子供ができても、働き方はそう変わらないのですね。逆に、もっと仕事をくださいということなのですけれども、女性の介助者の場合は、まず早朝とか夕方以降のお仕事というのは大概抜けられてしまう。それによって障害女性の自立であるとか、宿泊を伴う研修に行くとか、そういったところで介助者が付けられないことによって、学ぶ機会とか自立の機会が失われてしまうということをすごく感じます。
あと、DVシェルターのことなのですけれども、これは女性施策の中で位置付けられていますが、障害者のことは余り考えられていません。かといって、シェルターをバリアフリーにしたり、電話相談ができるように、電話だけでなくファクシミリとか、メールをするようにハード面を整えたとします。
では、それで障害女性はそこに行けるのかというと、実はそれも考えにくい部分があります。というのは、様々な社会的な抑圧を受けているからなのですね。障害があって結婚できたのだから贅沢を言ってはいけない、我慢しなさいということを常日頃周りから言われています。そんな中で、思い切ってそういったところに逃げるという決断はなかなかできないし、また、そういったことを自分の中にも内面化してしまって、そうなると外には一切言わなくなります。
ですので、そういったハード面だけでなくて両方、内面的なこと、そういった複合差別というものがあるのだという視点を持って支援をしていかないと、解消に結びつかないということがあるのです。
○石川委員長 ありがとうございました。
あと3人ほど挙手されている方がいらっしゃるので。
藤原さん、もう少し補足されますか。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 もし補足できるようでしたら、私たちが実態調査をした佐々木さんという方がいるのですけれども、ちょっと補足させてもらってもいいですか。
○石川委員長 はい。全体の時間内で御発言いただけると有り難いので、簡潔にお願いいたします。 佐々木さん、お願いします。
○佐々木DPI女性障害者ネットワーク副代表 私は、実態調査で直接被害を受けた方にお話を伺っているのですけれども、まず、女性は就労の機会が少なく、上司からレイプを受けたある女性は、就職するときに「男性だったらいいのだけれどもな」と言われて、就職もなかなか厳しかった。やっと得られた職場でそういう被害を受けてしまった。そして、また再就職をした段階では、今度は女性の上司に職場での女性役割、お掃除などを強要されて、掃除中にけがをしてしまって、また退職せざるを得なかったという事例があります。
また、異性介助なのですが、筋ジストロフィー病棟の方にお話を伺いました。そこの病棟は、男性患者が5に対して女性が1ということで、男性は異性介助への抵抗が少なく、女性がなかなか同性介助の徹底を得られず辛い思いをしているという証言があります。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
諸外国の法律に参考になるようなものはありますか。
○石川委員長 すぐにお答えいただけるようであればお願いします。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 ありがとうございます。韓国とインドのほうにあるということを聞いております。
韓国では、障害者差別禁止法が2007年にできて、そのときに第33条、第34条に障害女性の差別禁止及び国、地方自治体の義務について詳しく書かれているそうです。
インドのほうは、ごく最近、2017年に施行されています障害者権利法の中の第4条、第24条、第25条などに入っていて、政府、地方自治体は、障害のある女性と子供が他の人と同等に権利を享受できるようにするといった文言が、かなり詳しく入っているということです。
○石川委員長 ありがとうございました。
北岡委員、お願いします。
○北岡委員 ありがとうございます。北岡です。
障害のある方の性別の統計というのは見る機会が少ないのですが、何か参考になるような例があったり、また、今後、国や地方自治体などでどんな取組が必要なのかも御意見を伺えればと思います。
○石川委員長 お願いいたします。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 ありがとうございます。
今回の資料の関連資料1-2の4のほうにグラフ1があると思います。そこに年収調査という社人研(国立社会保障・人口問題研究所)のものが入っております。あと、グラフ2とか3のDV相談件数ですね。これらのDV件数も、最近やっと出すようになってきています。これらは他のものとの比較もできる内容になっているので、大変参考になると思います。
そもそも言われたように性別統計が乏しく、例えば障害者雇用促進法が適用される障害者についても、毎年数字が出ているのですけれども、これらの統計は性別それぞれの統計が出されていないので、やはり全てのこういった統計調査には必ず性別の設問を入れて、男女別の統計を出すことが求められるということです。
○石川委員長 北岡委員、よろしいでしょうか。
それでは、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
障害女性の複合差別に関する規定を障害者差別解消法に盛り込むということに賛成するという意見を述べたいと思います。
以前にこの場で私が、精神障害を持つことで、出産をしようとしたときに医療機関から拒否されてしまったり、あるいは治療のために入院した精神科病院で、異性介護によって傷ついた当事者が、退院後、部屋から出てこられなくなってしまって相談を受けたこととか、妊娠した女性が主治医と家族の猛烈な反対により中絶せざるを得なかったという事例をお話ししたことがあると思いますけれども、こういう事例はなかなか表に出されにくいという特徴がありまして、ぜひ障害女性の複合差別ということについて、きちんとみんなが認識できるような文言を法律の中に明記されるということをぜひ進めていただきたいと私は思っております。
以上です。
○石川委員長 御意見ありがとうございました。
時間的にあと一方ぐらい、発言が可能かと思います。
平川淳一委員、お願いします。
○平川(淳)委員 日本精神科病院協会の平川です。
この複合差別についての条文を載せるということについては、賛成いたします。
ただ、先ほど出ました、暴力とか犯罪とこの差別との考え方がお話を聞いてわからなかったのですが、犯罪は犯罪として男女の区別はないのではないかと思うのですけれども、その辺はどのように考えたらいいか、教えていただけませんでしょうか。
○石川委員長 藤原さん、お願いします。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 ありがとうございます。
もちろん犯罪という部分で告発したくても、例えば知的障害の方の場合でしたら、言い分をきちんと聞き取ってもらえないというところがあるので、まず、犯罪として訴追するためには障害者差別解消法による支援が必要であるという部分で、今は犯罪として告訴するところまでも至っていない。そもそも被害自体を本人が言い出しにくい。それでは、犯罪としてはなかなか外に出てこないという部分がありますので、外へ出すためにも、そういった人が言えるためにも、やはり必要であると考えます。
○石川委員長 ありがとうございます。
障害女性が障害男性に比べても、あるいは健常女性に比べても、より人権を深く侵害されることが多いということについては委員のどなたも異論はなくて、障害者権利条約の国内実施の中で重点的な課題として取り組むべきであるということについては、全員賛成だと思うのですけれども、これを障害者差別解消法という法律の枠組みの中に導入可能かどうかについては、より慎重な検討が必要になるところかと思います。もし事務局から御意見があれば、お願いしたいと思います。
○衣笠参事官 事務局です。
今、石川委員長からも仰ったようなことを事務局のほうも考えていまして、例えば障害のある子供についても条約では重点的に取り組むということでの言及もありますし、分野ごとでも、条約上触れているような部分もあります。このため、入念的にどこまで書いていくのかについては、そういったこととのバランスであるとか、法制上の必要性を慎重に考えていく必要があると考えております。
以上です。
○石川委員長 藤原さんあるいは佐々木さん、各委員から更に御意見がございましたら受けたいと思います。
何ができるか、精いっぱい検討させていただきたいと思います。例えば基本方針の中でもっとしっかりと書くというのも一案だし、それは結局、対応指針や対応要領の中に反映されていくものですし、そこが不十分だということが特に問題であるかもしれないし、そもそも障害者差別解消法の中で障害者差別を禁止している中に、女性障害者についての規定を新たにどのように入れることができるかについては、非常に難しい問題かなとも思います。ですが、最初からそのように消極的にならずに、精いっぱい考えさせていただきたいと思います。
本日は、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 すみません。先ほどお答えできなかったことについてよろしいですか。
○石川委員長 どうぞ。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 今、既に基本方針というところでは書かれていて、それで全く変わっていないというところが何なのかを見ていただきたいですし、やはりこういう機会でヒアリングがない限りは私たちは参画できていないので、声を出せない存在でもあるということですので、その辺のところもしっかり考慮していただければと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
本日、御発言いただきましてありがとうございます。
○藤原DPI女性障害者ネットワーク代表 ありがとうございました。
○石川委員長 それでは、次の議事に入りたいと思います。
事業者による合理的配慮について、3団体からヒアリングをさせていただきます。
最初に、公益社団法人日本医師会の江澤常任理事から御説明をいただきます。
○江澤日本医師会常任理事 ありがとうございます。日本医師会の江澤と申します。
本日は、このようなヒアリングの機会をいただきまして、誠にありがとうございます。感謝申し上げたいと思います。
私のほうからは、障害者差別解消法における合理的配慮について、医療・介護現場の視点からお話を申し上げたいと思います。お手元に資料2を用意しておりますので、御参考いただければと思います。
1ページめくりまして、まず、医師会の組織構成でございますが、各市町村に概ね郡市区等医師会を設置しておりまして、都道府県ごとに都道府県医師会がございます。そして、国レベルで日本医師会がございます。医師会員は、多くの医師が会員として加入しており、全国の病院、診療所等の医療機関のほとんど、あるいは介護施設の老人保健施設等も多くが医師会の加入の施設となっていて、個人会員ですけれども、施設としてはほとんどをカバーしているところでございます。
したがいまして、国レベルの情報提供等は、日本医師会から都道府県医師会、そして郡市区等医師会へと全国に伝達できるという仕組みになっております。
続きまして、日本医師会の合理的配慮の提供に係る最近の取組でございます。主に情報提供でございますが、障害者差別解消法に関する情報提供あるいは本日の議題の合理的配慮の事例集、こういったものを全国に配信しております。
続きまして、4ページですけれども、身体障害者補助犬法等の関連情報についても、これまで全国に配信しているところでございます。
続きまして、5ページでございます。今回の合理的配慮につきまして、当然これは日本人として、障害者の方のみならず、万人共通の人としての良心的振る舞いであると考えているところでございまして、本質は、私としましては、ずばり想いやり的配慮であろうと思っております。いかに相手の立場に立って想いやりを持てるかどうかということでございます。
そして、最近よく言われている包摂的社会。社会で誰一人も除外されない共生社会をいかに目指すかということで、今、医療・介護現場でもそのことを中核として取組が行われております。
一方で、合理的配慮の義務化については一切反対するべきものではないと考えている前提で申し上げますけれども、本来は法律の規定ではなくて、倫理的規範であろうと考えておりますし、本来、人の良心に訴えて立ち振る舞うべきことであろうと考えているところでございます。
それから、医療・介護現場においては、患者さんや利用者の方々、相手の立場に立って職員がいかに共感できるか、喜びも悲しみも共有できるかということが、本来、医療・介護サービス提供の前提にある非常に重要なことであろうと私は認識をしております。
今、医療・介護現場でアドバンス・ケア・プランニング、略してACPと申しますが、このACPの他、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を全国で、国を挙げて各事業者で行うように、今、進めているところでございます。
このガイドラインは、御本人の意思を最大限に尊重するために、医師あるいは医療・ケアチームが話し合いをして合意を形成していきます。その際に、御本人のしてほしいこと、してほしくないこと、あるいは気がかりなこと、そういったものを含めて御本人の価値をいかに尊重するかという視点でお話し合いをします。
そして、医学的に最善なことが、必ずしも御本人の人生の瞬間において最善でないことがあり得ること。あるいは医学的に全く無益でも、御本人にとっては無益でないということが存在し得ること。こういうことについて話し合いをしていくものでございまして、正にこの考え方は、合理的配慮に応用できる、あるいは通じるものと思っています。
続きまして、医療・介護現場の視点からですけれども、まず、慢性的な状況をお話ししますと、医療・介護現場の多くは今、人材不足、働く人が少ない中で、あるいは経営的にも決して潤沢に利益が出る状況にはなくて、どうにか経営をやっているところが多いかなと思っております。ですから、新たに大きな投資をするハードの回収というのはなかなか困難な状況にありますが、それをどう職員の振る舞い等でカバーできるのかということを常々考える必要があります。
したがいまして、ハードはソフトをカバーできませんが、ソフト、職員の知恵あるいは想いはハードを十分カバーできる現場だと認識しております。
そして、色々な事例集は拝見させていただいておりますけれども、本当に実態がどうであるのか。それを踏まえてどういう義務化がいいのか。当面は、義務化によるペナルティーを果たすというよりは、まずは実態を踏まえて、やはり現場の職員の心にどう訴えていくかが重要だと思っております。
そして、障害者の方々と事業者サイドの建設的な、前向きな議論をする場を設置する等を提案したいと思います。
現場の立場から申しますと、好事例の共有、スキルアップの研修、そういったものは必須であると考えておりますし、そもそも障害者の意思を把握する気づきをどう現場に蓄えていくのか。恐らく障害者の方の意思に気づかないまま時が過ぎているような状況があると思いますので、それに関して、今後、現場においては必要だと考えております。
7ページはガイドラインなので申し上げませんが、要は下の段に書いてありますように、法に定められたから義務としてやるという姿勢ではなく、正にそのとおりだと共感しております。
最後に、恐縮ですが、私の自法人における取組を少しだけ、合理的配慮に関するものをお示しさせていただきます。
例えば8ページですけれども、私は自法人の経営者として24年目、そして設計、建築、内装、要介護者の介護用具等、自分のオリジナルのものを作ってきたりしている中で、例えば外来の診察室ですけれども、医療用の診察ベッドは高さも高く、幅も狭いのですけれども、必ずしもそういうものを使う必要はなくて、高さは私はいつも40センチのものを使っておりまして、障害者の方でも非常に安心してベッドに移れる。そして、私たちはしゃがんで診察や触診をさせていただきます。
続きまして、9ページですけれども、上の写真2つにつきましては、私の考案によるオリジナルの手すりとテーブルが出るものでございまして、今日は時間がないのでメカニズムは詳しくお話しできませんが、要は要介護者の移動をどう考えるのかということで、車椅子の方が訓練すれば、職員を呼ばないで一人で身の回りのことができる、こういった自立支援型トイレを開発しております。
下はおむつの排泄物ですけれども、これもなかなか恥ずかしいものでございますので、こういったかわいい巾着袋を持って、職員がリネンに排泄物とわからないように持っていきます。
右下は、洗面台が2つありますけれども、左側は高めに設定しておりまして、足が入って手を洗うもの、車椅子の方です。右側は、足が入らないで、低く設定して顔を洗えるようにしたもので、高さを変えたりしています。
続きまして、10ページですけれども、こちらは機械浴とヒノキ風呂ということで、恐らく元気な方で、全身裸でこういった機械浴に入りたい方は多分いらっしゃらないと思いますので、ヒノキのお風呂の大きさも、個浴の大きさも条件があるのですけれども、こういったものを設計しまして、今は要介護5の方であっても、マンツーマンの介助によって肩まで気持ち良くお風呂に入れる技法がございますので、16年前からこういったものを設計に導入しておりまして、なるべく普通の生活の実現をと考えております。
11ページは病院の病室ですけれども、必ずしもベッドである必要はなくて、布団で寝られる方もいらっしゃると思いますし、こういった畳の床を作ったりしています。
続きまして、12ページですけれども、上の段2つは、刻み食というのは嚥下障害の人には出してはいけない危険な食形態であると同時に、見た目が、左の上の2つの写真ですと、こういった細かく刻んで形のないものはおいしく感じられないもので、最近は私共に限らずこういったものが広がってきていると思います。
左下はお誕生日食で、誕生日の夜にお誕生日食を無料で提供したりしております。
右下は、食事は座って食べますが、私たちは前かがみで食べますので、小柄な女性のおばあちゃん等は普通の既製品では体に合わないので、私は16年前に2センチ刻みで椅子とテーブルを作って、そういった配慮を考えたところでございます。
13ページは老健施設の個室でございますけれども、無機質な空間よりは御自身の愛着のある長年使用したもの、あるいは仏壇、お写真、色々と愛着のあるものを持ち込んでいただいて、自分の空間にするということを進めています。
14ページでございますけれども、これは生活期リハビリテーションで、実際に今、我々のリハビリテーションでは屋外に出て、例えば車椅子の方でもこうやって一人で買い物ができるようなトレーニングを行っており、少しずつ全国で広がっております。
15ページですけれども、こちらは今、私が交流しているALSの患者様で、47歳で残念ながら右の股関節がわずかに動くだけで、右膝でパソコンを打っておられる方ですけれども、毎年当時の野球仲間が年に1回集まって楽しく過ごしている光景ですが、16ページに、この方が私にパソコンで打ってくれた手紙の一節がありますけれども、オムツについて、2行目「私は初めて履いた時は悔しくて辛くて洗面所で家内と号泣しました。この悔しさ辛さ屈辱感は体験しないと気持ちはわからないと思います」。
私も経営者になって最初に、実は夜な夜なオムツをはめてもらす練習をしましたが、それを第三者が替えるという修羅場は経験しておりませんので、大したことでは全くございませんが、こういう気持ちをどう理解していくのかというのが大事だと思っておりますし、さらに、17ページですけれども、私は日本医師会の役員になる前に、岡山県医師会の理事のときに、医師会の主催で参加はドクターだけですけれども、実際におむつ体験をしたり、おむつにおしっこを漏らしたり、あるいは入浴介助の練習をしたりということで、こういう少しでも患者さんの気持ちが分かるような体験というのを今後広げていく必要があるのだろうと思っております。
18ページでございます。これは私が経営者になって間もなくから継続しておりますが、「当たり前3原則」。私の自法人の職員にお願いしていることで、もう20年以上使っておりますが、その一つに、今、目の前の患者様、利用者様、障害者の方々を自分自身あるいは自分の大切な家族などに置きかえて、もし自分だったら嫌だなと思うことがあれば直ちに見直そうということを常に掲げているところでございます。
最後の19ページのスライドでございますが、私のライフワークは実は尊厳の保障ということで、誰もが人生の最期まで尊厳が保障されることをライフワークとして取り組ませていただいており、自らの希望で障害者になっている方は決していらっしゃらないので、誰もがその人にとって少しでも自分らしく生活ができるように、医療も介護も究極のゴールは尊厳の保障であると掲げて取り組んでおりますので、医師会としましても、今、こういった取組を徐々に色々広げているところでございますし、かかりつけ医も、社会的機能というのがあって、地域に色々貢献する活動を、今、医師会としても推奨しておりますので、また皆様方の御指導・御意見をよろしくお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
江澤理事は、この後別の業務をお持ちでして、遅くとも1時55分にはということで、御質問・御意見のある委員は挙手をお願いいたします。
では、河井委員、お願いします。
○河井委員 ありがとうございます。河井です。
御説明ありがとうございました。積極的に取り組んでおられることを非常に評価したいと思いますが、患者さんが障害者であることに対しての配慮をとても感じるのですが、家族として行く障害者に対する配慮というのが、色々な病院でほぼほぼ受けられない。例えば私の場合だと、うちの主人が入院したときに、重度の障害のある子供を連れて行ったときに、その子供を手当する、例えばおむつ交換をする場所とか、患者でない人の障害者のいる場所というか、そういうことをできるスペースがないところが結構あったりするのです。
患者だけではなく、その家族も含めて色々な場合があるということを想定した取組を、ぜひともこれから取り組んでいただきたいと思います。お願いです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、お答えをいただきたいと思います。
○江澤日本医師会常任理事 ありがとうございます。正に仰るとおりで、今後ますますその展開を広げていきたいと思っております。
ちなみに、私の病院は自分で設計しておりますので、小さなお子様連れのお母さんが病気とかで来たときに、検査とか点滴をするときにうちの保育士が無料で預かる部屋を作っております。そこではもちろん授乳もできますし、お母様が点滴中は、うちの保育士が無料で預かるスペースを外来の一画に作っておりますので、その一環として障害者等も、これからそういったものを広げていきたいと考えています。
御意見どうもありがとうございます。
○石川委員長 それでは、三浦委員長代理、お願いします。
○三浦委員長代理 一点、先ほどの藤原さんの報告も含めてちょっとお尋ねなのですけれども、ケアの人権モデルとして同性介助という概念なのですけれども、障害者の支援施設ではケアガイドライン等にも載せて目標としております。ですが、高齢者介護の場面では、その概念が非常に薄い感じを受けております。医療の現場では、同性介助という概念があるのか。少なくとも女性利用者への異性介助を行わないという目標があるのかということをお尋ねしたいと思います。
○江澤日本医師会常任理事 介護の現場においては、同性介助というのはかなり普及しつつある状況だと思っています。一方で、医療現場は当然治療が必要で、手術だったり、化学療法だったり、そういったところがかなりございますので、例えば看護師さんとか看護補助さんは、医療現場ではまだ多くが女性で、少しずつ男性も増えてきている状況でありますが、男性、女性、それぞれの同性介助が100%できるかというと、特に夜勤等はたくさんの患者さんに対して2人とか3人で担当している状況もあります。もちろん今後、機会があるごとに進めていきたいと思いますけれども、逆に個々にお申し出いただけるようなことを考えていきたいと思っています。そうすることによって、個別の対応はある程度できると思います。
ありがとうございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、石野委員、お願いします。
○石野委員 ありがとうございます。全日本ろうあ連盟の石野です。
今まで医師会の皆さんの考え方を聞きたいと思っていたところ、今日はいい機会をいただきましたので、非常に嬉しく思っております。
さて、まず伺いたいことは、医療・介助現場で働く聞こえない人に関することです。欠格条項等撤廃運動の結果、今は聞こえなくても医師、看護師、薬剤師になれます。介護士も増えております。非常に喜ばしい現状ではあるのですが、「聴覚障害者の医療に関心を持つ医療関係者ネットワーク」という組織がありまして、その方々の話を伺いますと、現場で働く聞こえない人たちはかなり悩みが多いということなのです。といいますのは、医師あるいは看護師、周りの医療スタッフになかなか理解をしていただけないということで悩んでおります。
この資料を拝見しますと、患者と医療関係者の関係について書いてあります。しかし、現場で働く聞こえない人への合理的配慮がなかなか進まないと聞いております。もし医師会として何かお分かりになる点があれば教えていただきたいと思います。
また、いつも考えていることなのですが、医師、看護師になる人が、専門機関や医学部で勉強するカリキュラムの中に障害概論のような科目ないということなのです。障害者に特化したものがないから、医学を学ぶ人が卒業して、国家試験に合格しても、障害者に対する理解がないという例が多々出てきています。
例えば補聴器につきましても、聞こえないために補聴器をつけるということも、分からないという回答が70%に上っているということも出ております。補聴器に関することを医師でも知らない人がいるという実態がありますので、是非、医学部等においてカリキュラムに障害者に関することを含めていただきたいと願っています。
もう一つ質問になりますが、資料の7ページになります。合理的配慮について、法律ではなく倫理という文言がありますが、この事についてももう少し深く説明をしていただければ幸いです。
2点、よろしくお願いいたします。
○石川委員長 お答えいただきたいところは山々なのですが、あとお二人挙手されているので、最後にまとめてお願いします。
○江澤日本医師会常任理事 分かりました。
○石川委員長 それでは、玉木委員、お願いします。
○玉木委員 ありがとうございます。
手短に質問ですが、6ページの「新たなハードの改修よりもソフトサービスの充実」というところで、ソフトサービスの中身についてお伺いしたいと思います。理由としては、例えば私は脳性麻痺で不随意運動があって、医療機関で採血をするとき、レントゲンを撮るときに、動かないでくださいと言われます。力を抜いてくださいと言われます。無理なのですね。ずっと言われると、余計に緊張して動いてしまいます。
あとは、何年か前に骨折して手術をするときに、局部麻酔でしましょうというのですね。ところが、やはり私は不随意運動があるから全身でやってくださいというオーダーを出します。そういった意味で、ソフトというのを何と捉えるかということをお聞かせいただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
岡田委員、1分でお願いします。
○岡田委員 簡潔に。
とても思いやりのある医療をということで、大変努力されていることに対しては敬意を表したいと思いますが、私たちの精神障害の立場からすると、ここに入れない、受診を拒否されるという現状が全国で多々起きておりまして、そのことに関して医師会としてどのようにお考えなのか。その現状を把握されているのか。今後何らかの対策を採るような方向で検討していただけるのか。そのことをぜひお伺いしたいと思っております。現状を考えると、やはり法律で、きちんと義務ということで周知していただくほうが、より進むのではないかとも考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、短い時間なので、選択的でもやむを得ませんので、お答えいただきたく思います。
○江澤日本医師会常任理事 数々の御質問、誠にありがとうございます。
まず、最初の障害者が差別なくうまく現場で働けるかどうかという点とか教育に関することを伺いましたけれども、私ども医師会としましても、正に仰るとおりでございまして、そういう障害者に対する教育の部分、あるいは今、国を挙げて進めている地域包括ケア、その本質は、ずばり地域づくりでございまして、共生社会の構築、この点の医学教育はまだまだ非常に乏しいというのが認識でございまして、医師会といたしましても、今、全国の会員からその声が上がっております。
これから、そういったところを支える医者というのが当然必要なわけで、今、そういう対応について色々増やしていくということで、各大学の教育関係者と色々議論の場を設けておりますので、今後そのあたりをぜひ進めていきたいと考えております。
それから、今後の方向性として、昨年の骨太の方針にも「言語聴覚士」という言葉が書かれておりまして、いわゆるSTでございますが、STの方の活躍が増えていくことはそちらに対して好影響を与えるものと思っておりますので、詳しくはまた後ほどよろしくお願いしたいと思います。
続きまして、ソフトサービスでございますけれども、これは正に職員の気遣いとか、心ある配慮でございますが、当然身体の状況によって所定の検査が受けられないということは結構日常的に起こり得るものなので、そのときの状況に応じて最善の検査をどう選ぶのかということを考えましたり、あるいは先ほど少しアドバンス・ケア・プランニングの話をしましたけれども、御本人の意思を最大限尊重するために、現場でどういう治療を受けたいのか、その後、どうありたいのかという話し合いが、今、広がっている最中でございますので、そのあたりは医師会としましてもどんどん啓蒙していきたいと思いますし、できれば困った事例を収集して、色々現場の対応をしていきたいと思っております。
最後の受診拒否でございますけれども、そういう事例があるようでございましたら、日本医師会の江澤のほうまで言っていただければ。あるいは担当部署もございます。恥ずかしながら受診拒否の実態がつかめていない部分がございますので、当然医師の応召義務とか色々ありますし、ちょうど今、医師の働き方改革等もすごく時間をかけて議論しており、そういった中で、どういう医療の提供の在り方、受け方がいいのかというのも、今、検討しておりますので、逆に、何か課題があれば、お申し付けいただければ、随時対応させていただきたいと思います。
以上でございますけれども、また詳しいことがありましたら、日頃から御意見を賜りたいと思います。今日はどうもありがとうございました。
○石川委員長 時間のない中、ありがとうございました。
それでは、次に、社会福祉法人全国社会福祉協議会の寺尾常務理事から御説明をお願いいたします。
○寺尾全国社会福祉協議会常務理事 全国社会福祉協議会の寺尾でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日は、こういう機会を作っていただきまして、誠にありがとうございます。御礼を申し上げます。
それでは、資料3をお開きいただきたいと思います。障害者への合理的配慮について、社会福祉協議会がどういう取組を行っているかについてお話をさせていただきます前に、社協の活動は皆さん御承知だと思いますが、全ての都道府県、市町村に設置をされておりまして、地域福祉の推進の中核として活動を行っている非営利の民間組織でございます。
また、全社協は中央組織として、福祉サービスの利用者や社会福祉関係者の連絡・調整、活動の支援、各種制度の改善への取組などを行うほか、アジア各国の社会福祉への支援などを実施して国際交流を展開しております。
構成組織といたしましては、都道府県社会福祉協議会、全国民生委員児童委員連合会、社会福祉施設・在宅事業などの全国組織、ホームヘルパー、施設職員など専門職員の全国組織、全国社会福祉法人経営者協議会、全国的組織を持つ福祉団体からなる団体連絡協議会から構成されております。
次に、障害福祉施策の推進に向けて、全国社会福祉協議会では構成団体である全国社会就労センター協議会(セルプ協)、全国身体障害者施設協議会(身障協)、障害関係団体連絡協議会(障連協)と連携の下に、全障害のある方の生命と尊厳を守りながら、自立と社会参加に向けた支援を推進しておるところでございます。
障害福祉サービスに携わる職員のサービスの質の向上に向けた研修の実施や、障害者支援施設・事業所あるいは地域の障害福祉サービスの実態等の調査・研究なども行っておるところでございます。
2といたしまして、社協における障害者差別解消に関する取組の状況でございます。社協におきましては、その地域で生活される障害のある方の暮らしが安心・安全なものとなるように、様々な取組を展開しております。
例えば障害者差別解消支援地域協議会の構成機関として、各社協や都道府県社協福祉サービス運営適正化委員会が参画をいたしまして、地域における障害者差別を解消するための取組の検討や、差別解消事案に対する相談・解決に向けた事案の共有等を行っておるところでございます。
次のページでございます。
全社協では、日本障害フォーラムの構成団体といたしまして、障害者権利条約の国内履行の推進や、国内法制度の推進に向けた取組を協働しております。
また、身障協やセルプ協に加盟する障害者支援施設・事業所におきましては、利用者一人一人の希望やニーズをくみ取り、個々の能力に応じた支援と地域生活支援を展開しておるところでございます。
3の障害者差別解消法の見直しに向けての意見でございますが、障害のある方の日常生活やそれぞれの場面で、公私問わず合理的配慮が適切に提供されるのは当然のことでございます。障害のある方がそれぞれの地域で安心・安全に生活していくためにも、以下の3点を強調して申し上げたいと思っております。
まず、1点目でございますが、平成29年度に障害者に関する世論調査が実施されておりまして、その中で障害者差別解消法を知らないとお答えになった方々の割合が77.2%ということでございます。知っておられるという方が3割に満たないという状況でございますので、より強力な周知・啓発の取組が必要であると考えております。
正しい情報が国民一人一人に周知されることが必要でございますので、障害に関する知識・理解の推進と、差別解消に向けた意識の醸成を進めていくための施策を早急に実施すべきだと考えております。
2番目でございますが、事業者における合理的配慮につきましては、施設改修などの環境の整備や合理的配慮の提供が可能となるように、国において助成制度の創設や財政支援などについて御検討いただきたい。
また、そういう整備を行ったときに、税控除等の優遇措置が図られるようなインセンティブが働くような制度を検討していただきたいということでございます。
3点目が、合理的配慮に向けた意思表示が非常に難しい障害のある方々の権利が相当侵害されております。そういうことがないように、意思決定の権利が保障され、支援策が講じられる環境を早急に整備すべきであると考えております。
以上3点を見直しに向けての提案としてお願いしたいと思います。
4番目といたしまして、社協は、地域共生社会の実現に向けまして大切な指標となる障害者差別解消法の理念や合理的配慮の考え方について、地域住民を始め多くの関係者への周知・普及に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。どうぞ御支援のほどよろしくお願いします。
以上でございます。
○石川委員長 寺尾常務理事、ありがとうございました。具体的な御提案をいただきました。
それでは、質問等ございましたら挙手をお願いいたします。
それでは、平川則男委員、お願いします。
○平川(則)委員 ありがとうございます。質問が出ないようなので、私のほうから質問させていただきます。
御提言が3点ございました。その3点は大変重要だと思います。社協では地方公共団体から事業の委託を大変数多く受けていただいていると思いますけれども、社協から見て、例えば地方公共団体の障害者福祉に対する実施体制とか課題ということで気付いていることがございましたら、ざっくりとした質問で申し訳ありませんけれども、教えていただければと思います。
以上です。
○寺尾全国社会福祉協議会常務理事 私が知り得る範囲でお答えを申し上げます。私も元行政職員でございましたが、いわゆる行政の窓口において、徐々には障害者への配慮が進んできておるものの、まだまだ情報に関する配慮でありますとか、障害を知らないがゆえに間違った対応をしてしまうという事例で、貴重な命がなくなったり、いろいろな不具合が生じておるという状況もございます。行政もある意味ではもっともっと配慮をしていかなければいけないと思いますが、全日本ろうあ連盟が進めております手話言語法についても、各都道府県知事あるいは市町村長が推進するという組織ができてくるような背景も出てきておりますが、政府における広報はもちろんのことでございますが、行政にももう少し意識を持っていただく必要があるのだろうと考えております。
○石川委員長 ありがとうございました。
平川淳一委員、お願いします。
○平川(淳)委員 日本精神科病院協会の平川です。
いつも社協の皆さんには地域でお世話になっていて、大変感謝をしているところなのですが、協議の場として、地域で合理的配慮についての色々な話し合いをするということに仕組みが広がっているわけですけれども、実際の普及率とか、どのぐらい設置されたという報告はいただいているのですけれども、地域の立場で、社協の立場で足りない点とか、現状どのようになっているかということをどのように思っていらっしゃるか、教えていただきたいのです。
○寺尾全国社会福祉協議会常務理事 今、市町村社協の職員の常勤率が4割でございます。都道府県社協の職員で5割ちょっとでございます。各地方公共団体からの委託事業で運営が成り立っていたところが多くございまして、我々としてはもっと自主的に財源確保のための活動をいろいろしていくようにということを申し上げております。そういう中において、障害者への様々な配慮、地域福祉活動を実施するにしても、財源と人材の確保が課題となるのが辛いところでございます。滋賀県でありますとか、先進的にやっておられるところは非常にいい成果を出しておるところもございます。
○平川(淳)委員 ちょっと意味合いが違ってしまったようなので。この障害者差別解消法に基づく地域協議会の開催についてどのように関わっていらっしゃるか、機能しているかどうかの御質問だったのです。
○寺尾全国社会福祉協議会常務理事 大変失礼しました。各市町村社協において、その構成組織として活動の中に入ってございます。私、今、どれぐらいあるのかというデータは持っておりませんが、そこは障害者施策として積極的に参画しておると存じ上げております。
○石川委員長 ありがとうございました。障害者差別解消支援地域協議会につきましては、また改めて検討したいと思います。
それでは、寺尾常務理事、ありがとうございました。
次に、全私学連合の小出事務局長から御説明をお願いいたします。
○小出全私学連合事務局長 私学団体の大学団体から幼稚園団体までに至る全ての団体を構成メンバーとします全私学連合でございますが、こちらの立場で、今日のテーマについての私どもの様子を御紹介させていただこうと存じます。
実は日本医師会の江澤常任理事や全国社会福祉協議会の寺尾常務理事のところのように、データをきっちりとお示ししながら皆様にお話をしなくてはならないところでありますが、大学団体あるいは短期大学の団体、中学高等学校の団体、小学校、幼稚園と学校種別の5つの団体があるので、それぞれのお取組については、まとめて御報告をしなくてはならないわけでありますけれども、これが時間的な制約の関係で叶いませんでした。
したがって、私は全私学連合の事務局長をお預かりをしておりますが、私が所属しておりますのは、大学団体の日本私立大学協会の事務局長でもございます。その観点から、日本私立大学協会が取り組んできている様子などを中心にお話をさせていただこうと存じます。
口頭で誠に申し訳ありませんけれども、私立大学は現在603校ございまして、大学協会には404校に御所属をいただいてございます。先般お亡くなりになりましたが、その1校でございます聖路加看護大学の日野原先生からお話を伺ったことを今でも忘れられないのでございます。
人類史をひもといてみれば、ホモサピエンスは全て健常というものも非健常というものもない。ホモサピエンスはどこか必ずみんなと違うところがあるのだ。違うところをお互いに認識、理解をするところから、協調をして、協力し合ってこの社会をつくり上げていくことが大事なのだということを、先生がある講演で仰ったのであります。
私もその思いを共有しながら今日に至ってございますけれども、これからの日本社会が人類の歴史の中で成熟社会に入っていく。そういう成熟社会の段階で抱える問題といいますのは、障害教育の問題、障害者の教育の問題をはじめ弱者救済の教育の問題、あるいは今日社会問題化しているところの環境の問題にしても、食糧の問題にしても、人口の問題にしても、これら人類が等しく共通的に対応しなければならない問題がたくさんあるわけであります。その一つの問題が私は障害者理解のための教育であり、その目的とするところは介護マインドでありますが、このマインド、心を子供のうちからどのように形成してまいるか。この点がすこぶる重要な点だと心得てございます。
子供のうちから、そうした成熟社会の中における人間社会の在り方をしっかりと指導していく、教えていくということがなくてはならない。その事柄は、心の教育を行う、あるいは魂の教育を行うのだという私学教育においてこそ、中心的に進められていくべき課題であると考えてございます。
私は、今日この席に入りまするのに、加盟大学の学生部課長、あるいは大学の事務局長に、今後の障害者差別の解消に関わる合理的配慮の問題についての御意見を縷々伺ってまいりました。
その要点を御紹介したいと思います。その前に、私立学校の特性としましては経営の問題が絶えず付きまとってございます。経営組織体としての私立大学という立場から、先ほど御紹介申し上げたような崇高な介護マインドを教育のレベルにおいてどう整えてまいるかということに関わりましては、絶えず経営組織体としての財政・財務の問題にぶち当たってくるのであります。
したがいまして、財務・財政の問題について、各私立大学では自分の大学の建学の精神に沿ってダイバーシティ・インクルージョン推進宣言を表明したり特色ある授業を進めようとしてございますけれども、とりわけハード面についてはこれがなかなか難しい課題になってございます。私学の財政上の観点から、スロープの問題、トイレの問題、あるいは介護支援者の制度・システムの改善の問題など様々なネックがある点は御意見がいろいろ出てきていると承知しているところです。
各大学では、大学のカリキュラムの改正の中において、先ほど来御指摘のあるような科目、概論を入れておる大学もある。あるいは、分野によってこれができていない大学もある。そういう状況の中ではありますけれども、とりわけソフト面の改善については、全学教職員が一体として、カリキュラムに配慮したり改善・工夫を進めようと努力しています。ですから、この点は御理解を頂戴したい。
同時に、大学は様々な分野を持ってございまして、医学部、歯学部、薬学部、そうした生命に関わる分野でありますが、あるいは理工学部、工学部といった分野、人文・社会といった分野もございます。学生が社会に出てまいるときには、先ほど申し上げた成熟社会の中で、協調して共生していける社会を作っていかなければならぬのでありますから、その関係で教育機関としては第一義的に介護マインド・看護マインドの育成をカリキュラムに反映させる形で作り上げなくてはならないと思っています。
ハードの問題でありますが、私学の問題は、財政上の問題、入学者の納めていただく授業料収入が全体収入の85%という事情がございます。したがって、ハード面の整備に一層の環境整備のための予算を、国の支援をお願いして、今日の社会問題としてこのあたりを整えていただくようにお願いしたいと思ってございます。
時間の関係がございますから、このあたりにさせていただきたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
あとは、各委員から何点か質問をさせていただきたいと思います。
それでは、質問のある委員は挙手をお願いいたします。
では、私のほうから質問をさせていただきます。私立高等教育機関が603校あるというお話でしたけれども、そのうち障害学生支援室を設置している高等教育機関あるいは障害学生支援担当を配置している高等教育機関、更にはこの1年間に合理的配慮の提供実績のある高等教育機関についてのデータというのは協会ではお持ちでしょうか。
○小出全私学連合事務局長 申し訳ございませんが、協会ではそのデータを持ち得てございません。大至急お調べをいたしまして、委員長にお届けさせていただきたいと思います。
大学の評価事業の関係で、現在、第三者機関の評価が進んでおりますから、その辺りにも照会をしてみて、大いに旗を振る意味合いも含めて御返答申し上げたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
日本学生支援機構のほうでも調査をしておりますので、そちらのほうへのお問い合わせをいただくのも一案かと思いますので、よろしくお願いいたします。
○小出全私学連合事務局長 ありがとうございます。
○石川委員長 今、多くの私立大学におきましても、障害のある学生への支援を提供しておりますけれども、中には有数の私立大学であってもそれが全くできていない、あるいはごくわずかしかできていないという大学も散見されておりまして、努力義務ではなかなか進まない面もあるという一つのエビデンスになってしまっているというか、それは大学の意思決定の仕組みがトップダウンでうまくいく場合もあるし、トップダウンだからうまくいかない場合もあるし、ボトムアップでうまくいく場合と、ボトムアップでうまくいっていない場合と、色々なケースがあろうかと思います。また、そういったことにつきましても意見交換ができればと思っております。
本日はありがとうございました。
○小出全私学連合事務局長 重要な御指摘だと存じます。ありがとうございました。
○石川委員長 他の委員から御意見・御質問がなければ。
では、時間の関係がありますので柘植委員だけにさせてください。
○柘植委員 簡単に。
ありがとうございました。障害者権利条約第31条に統計という項目があって、障害者政策委員会はそれを大事にしながら議論していると思うのですね。客観的なデータだとか、統計だとか、あるいは実態とかを大事にしながら議論していると思いますので、5つの団体から構成されるとても大きな団体だということはよく承知しておるのですが、構成する団体ごとで、小学校とか、中学校とか、幼稚園も含めてどんな状況なのかというデータを出していただいて、議論できると良かったかなと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
ちょっと予定の時間を超過しておりますので、ここまでとさせていただいて、ここから15分休憩ということで、40分再開とさせていただきます。
(休憩)
○石川委員長 それでは、再開いたします。
次に、相談・紛争解決体制について、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
では、資料6-1を御覧いただければと思います。
まず、相談・紛争解決の体制整備についての御説明です。
この6-1におきましては、(1)として現状、(2)としてこれまでの本委員会での主な御意見、(3)として今後の検討の方向性を記載してございます。
(2)の主な意見につきましては、10月の委員会で参考資料として、これまでの障害者政策委員会における主な意見という資料をお出ししていますけれども、その中から相談・紛争解決の関係のものを抜粋した上で、さらに前回と前々回の委員会でありました関連の意見を追加しております。
資料6-3も後で御説明をいたしますけれども、こちらも参考資料ということで配付をさせていただいています。資料6-3は、相談・紛争解決体制のほか、次の障害者差別解消支援地域協議会の議論のものと合わせた2つの議題の参考資料ということで作成をしております。こちらも適宜参照いただければと思います。
では、資料6-1について御説明申し上げます。
まず「(1)現状」の「①行政機関における相談・紛争防止等の体制」です。
こちらでは、現行の関連の制度、運用や、地方公共団体の独自の取組などについて記載をしております。
最初の○ですけれども、こちらは障害者差別解消法の規定への言及でございますけれども、国、地方公共団体には相談・紛争防止等の体制整備が義務付けられております。
法制定時の考え方といたしましては、行政の肥大化を防止するなどの観点から、新たな機関は設置せず、既存の機関等の活用・充実を図るというものであり、基本方針にもそういった記述がございます。
次の○ですけれども、障害者差別解消支援地域協議会についてです。
3つ目の○ですけれども、一部の都道府県などでは独自の紛争解決体制を構築していたり、また、都道府県と管内市町村などの他機関との役割分担を定めているということ、都道府県では、市町村の支援や広域的・専門的な相談事案を取り扱う相談員などを配置しまして、管内市町村に対する助言等の支援を実施するといった取組がなされているということを記述しております。
その次の○では、法第12条ということで、障害者差別解消法の主務大臣の報告徴収、勧告等の権限について記載しております。
その次の○では、47の地方公共団体で、条例で独自に報告徴収や勧告等の権限を持たせているという実情を記載してございます。
この地方公共団体の取組の状況につきましては、後ほど資料6-3のほうで関係の資料を入れておりますので、御説明のほうを申し上げます。
続きまして、次のページですけれども、「②紛争防止に資する事前的改善措置等」です。
最初の○でありますけれども、こちらは法律で定められております環境整備の規定について記載をしております。
その次の○では、基本方針での環境整備の関連部分について記載をしております。
その次の○ですけれども、環境整備でありますけれども、ハード面の対応のみならず、ソフト面の対応も含まれるということで、環境整備の中身としましては、施設等のバリアフリー化のほか、意思表示等の支援のためのサービス、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上や、職員に対する研修といったものも含まれるということを記載しております。
最後の○ですけれども、こちらは障害者権利委員会の一般的意見第6号についての記述ということで、差別を受けた場合の救済措置としましては、金銭によらないような体系的・実質的救済である「将来志向非金銭的救済」というものが掲げられておりまして、その例としましては、事業者の内部規則の改定等があるということを記載しております。
続きまして「(2)主な意見」ということですが、かなり分量が多いので、ごく簡単に御紹介をいたします。
最初の<相談・紛争解決全般>という小見出しの部分や、<相談体制>という小見出しの部分、これらにつきましては、全体としては相談体制が十分機能していないのではないかといった趣旨での御意見となっております。
続きまして、次の3ページの<地方公共団体の役割>という小見出しの部分ですけれども、地域間で取組に大きな格差があることが課題であって、広域自治体と基礎自治体の関係性が論点ではないかといった御意見などがありました。
また、次の小見出しの<事業者の相談対応>という部分ですけれども、障害者のほか、企業を守るためにも、国・自治体は相談・紛争解決の仕組みを機能させる必要があるといった御意見や、事業者側としては、相談できる体制の機能強化があると心強いといった御意見があったということを記載しております。
次の小見出しの<広域的・専門的な支援>という部分ですけれども、大阪府のヒアリングでありましたような広域支援相談員といったものを普遍的な専門職として確立するために、これを養成する仕組みを整備すべきなどの御意見がありました。
また、次のページの小見出しの部分<紛争解決・権限行使の在り方>につきましては、紛争解決の在り方を標準化していくことが必要ではないかといった御意見などがありました。
その次の<将来の紛争防止>の小見出しの部分につきましては、下から2つ目の○ですけれども、事案の背景に内規やマニュアル等があることが判明すれば、それらの点検によりまして差別事案を事前に防止できるのではないかなどの御意見がございました。
以上の現状やこれまでの御意見ということも踏まえつつ、石川委員長とも御相談の上で、次のページの「(3)検討の方向性(案)」をお示ししております。
「①地域における相談・紛争解決体制の見直し」という部分です。
最初の○の部分でありますけれども、現状では相談・紛争解決の体制整備というのは、先ほど現行の考え方を申し上げましたけれども、既存の機関等の活用・充実を図ることを基本に行うこととされております。今後の検討の方向性としましても、この記載のとおり、障害者差別に関する相談・紛争解決体制については、既存の機関等の機能の充実や効果的な連携など、地域の実情に応じてそれぞれの機関などの活用を図ることを基本に検討してはどうかとしております。
次の○ですけれども、また、障害者差別の解消においては、双方の建設的対話による相互理解を通じた解決が重要であるとともに、事例収集にも資することから相談体制の充実を検討してはどうかとしております。
次の○ですけれども、相談体制の充実の一環としまして、これまで御意見がありました広域自治体と基礎自治体の関係を整理して、普遍化を図った方がいいのではないかといった趣旨の御意見もありましたので、各行政機関における取組を効果的に行うため、国、都道府県、市町村の役割分担について整理を図り、それぞれの基本的な役割を示すことを検討してはどうか。例えば既に実施されている地方公共団体での取組などを踏まえ、市町村は最も身近な相談窓口を担うこと、都道府県は、広域的な事案や専門性が求められる事案の解決、市町村への情報提供や技術的助言等の支援を行うこと、また、国は市町村や都道府県の関係機関と連携しつつ、重層的な相談体制の一翼を担うことなど、基本的な役割の明確化を検討してはどうかとしております。
その次の○ですけれども、相談体制について法律上明記されておりますのは、障害者やその家族等の関係者からの相談ですので、それに加えまして、事業者からの相談についても対象として何らか明確化していくということも検討してはどうかとしております。
ちなみに、この関係者の読み方としましては、障害者の介助者などが想定されております。
その次ですが、広域支援相談員を普遍的なものとして確立すべきといった御意見もありましたけれども、都道府県による広域的・専門的な支援として、一部の都道府県で既に配置されている広域支援相談員などについて、地域の実情に応じた配置を促すことも検討してはどうかとしております。
その次ですが、国の機関との関係ということで、国の機関と地方公共団体との連携の在り方についても検討してはどうか、例えば幅広く人権相談に関する専門的な知見を有する法務省の人権擁護機関が障害者差別解消支援地域協議会に積極的に参画することを促すことなどにより、地域における相談体制の充実化を図ることなどを検討してはどうかとしております。
最後の○ですけれども、相談対応による解決が困難となった障害者差別に関する事案をより円滑かつ効果的に解決できるよう、地方公共団体と、人権侵犯事件の調査救済を実施している法務省の人権擁護機関等の機関や、障害者差別解消法に基づき事業者による障害を理由とする差別的取扱い等についての報告徴収、助言、指導、勧告を行う権限を有する主務大臣との連携について整理することなどを検討してはどうかとしております。
いわゆる紛争などに至った事案など、解決困難な事案についての検討の方向性ということでの記述ということです。
続きまして「②相談対応等を契機とした事前的改善措置の促進」ということです。今までの御意見の中で、より踏み込んだ救済でありますとか、内規等の見直しによる事案の発生の防止等について色々御意見もあったことを踏まえまして、差別的取り扱いなどに関する相談対応や各事業者での対応等を契機に、事業者の内部規則やマニュアルの改正といった、不特定多数の障害者を対象とした「事前的改善措置」である環境整備を図ることは、相談・紛争の事案を事前に防止することに有効と考えられる。このため、特に幅広い事業者等における取組が期待される、相談対応等を契機とした事業者の内部規則見直し等のソフト面の環境整備について、その重要性の明確化を図り、そうした取組を促すための方策を検討してはどうかとしております。
参考資料の資料6-3の15ページを御覧いただければと思います。
前々回、条例で合理的配慮の義務付けをしております自治体の状況も調べるべきといった趣旨の御意見があったことも踏まえまして、都道府県に対して追加調査をしております。こちらは合理的配慮の義務付けをしている都道府県の調査ということでありまして、直接に今の議題の相談・紛争解決の体制の資料ということではありませんけれども、後ほど経団連の長谷川委員から、合理的配慮について御説明、質疑というのもありますので、併せてこちらで事務局も御説明をしておきたいと思います。
18ページのほうから、相談・紛争解決体制の追加調査の結果を付けさせていただいております。
まず、15ページのほうなのですけれども、こちらは事業者による合理的配慮の義務化をした都道府県13団体を対象に行った調査でありまして、以前、事務局のほうから、内閣府による地方公共団体への調査結果についても御報告した経過がございますが、その直近の調査のものよりまた後に義務化をされている自治体もあり、それが下線部の自治体、秋田県、茨木県、東京都、滋賀県です。
13団体全てが、事業者に対して一律に義務付けをしております。あと、義務化をした理由というのは、主な回答として下に記載しているような、行為規範となることを期待したといった回答などがございました。
続きまして、次の16ページですけれども、義務化に当たり講じた施策などの具体的な取組につきましては、記載のとおり、相談・紛争解決体制の整備、事業者向け研修の実施、事業者向け周知・広報の実施というものが多かったという結果となっております。具体的な内容は、下に記載のとおりとです。
続きまして、17ページですけれども、「(4)条例の施行(義務化)による影響」です。主な回答ということで挙げておりますが、相談件数の増加や、研修会の依頼の増加、事業者や一般県民の理解を得るのに一定の効果があったといった回答がございました。
その下には「(5)事業者による合理的配慮の提供(または義務化)に関する課題」ということでは、個々の事案での判断、対応に苦慮しているということ、周知が課題であるということ、障害特性で建設的対話が進まず、どこまで対応するかどうか不明であるといったこと、そういったものが挙げられております。
続きまして、18ページからですけれども、こちらは相談・紛争解決体制で追加調査をした結果です。これは47都道府県を対象に調査をしております。
結果のほうですが、2の「(1)市町村・国等との役割分担、支援・連携体制」ということで、都道府県と市町村などとの連携体制ということですが、34団体が何らかの役割分担や支援・連携体制を、条例上または運用上定めているという回答があったという結果になっております。
具体的には、18ページの主な回答で記載されているようなものや、次の19ページにも記載されているようなものということで、都道府県が市町村に助言を行う等の支援を行うこと、広域支援相談員が市町村に支援を行うことなどが記載をされております。
少し飛びまして22ページです。障害者差別解消支援地域協議会の関係ですので飛ばしまして、「(3)広域支援相談員等」です。
この「広域支援相談員等」は、※のところで書いておりますが、障害を理由とする差別に関して、市町村の相談機関における相談事案の解決を支援し、また相談機関では解決が困難な広域的・専門的な相談事案を取り扱う相談員ということですけれども、こういった趣旨の相談員が22団体で設置されているという回答結果でありました。
相談員としての業務内容や、業務経験、資格といった要件につきましては、【3】とか【4】で記載されているものが回答としてあったということです。
あとは、対応事例も23ページ、24ページに記載をさせていただいています。
最後、25ページですけれども、こちらは条例による独自の権限行使の実績ということでして、2つ目の※のところで書いております。都道府県のうち21団体が、過去内閣府で行っています自治体への調査結果で、独自の権限を設けていると回答しておりますけれども、今までの権限行使の実績が直近までであったかを確認しましたところ、権限行使した実績は1件でありました。
事務局からの説明は以上となります。
○石川委員長 ありがとうございます。
この後、長谷川委員から、事業者の合理的配慮に関しての御意見を、アンケート調査を中心にお話をお伺いしますが、まず、事務局から、今の御説明に対して、特に説明の内容についての御質問等がございましたらお願いしたいと思います。
本格的な議論は、長谷川委員からの御報告も含めて行いたいと思います。
では、本格的なものは後で、私のほうから本格的でない質問をさせていただきます。
これは前にも何度か問題提起したのですけれども、主務大臣のいない事業者に対してはどういう対応ができるつくりなのかというのがこの法律の一つの問題点としてあって、そういうものなのだと言っておしまいだと穴があいたままなので、やはり穴を埋めていかないといけないのですが、その工夫は可能かどうかというのが一点です。
条例を策定した自治体は、条例で横断的に穴があかないようになっていればいいかと思いますが、そうでない場合は穴が開いたままになっているのではないかという点について検討しておく必要があるのではないかというのが一点です。
それから、思ったのですけれども、障害女性等の複合的差別について何か入れられないかという話だったのですけれども、複合的差別に関しての相談員等への専門的な研修の実施というのを、法律の条文なのか、基本方針なのかはともかくとして、そもそも合理的配慮という概念自体が民間事業者にはなかなか正しく伝わっていないということも感じますところ、さらに複合的差別となると、理解が全く及んでいないことが多々あるように思いますので、その辺についての専門的な研修といったことを入れられないのかなと思いました。
それがなくしての相談というのは、ちぐはぐなものになったり、建設的対話にならないということになるので、その建設的対話のベースになる理解、研修プログラムの実施ということが重要かなと思ったのですけれども、以上2点について事務局の御意見がございましたら教えてください。
○衣笠参事官 主務大臣の対応分野について、穴が開いているのではないかということについては、新しい時代には色々な事業形態が出てくるので、絶えず穴を埋めるようなことは必要だと考えています。その点は個別のケースごとに、もし何らかの問題があれば、どこかに落とし込んでいくという運用を行うのだと考えております。
真正面からどこまでそういった取扱いを定めていけるのかについて、現在、事務局として具体的な考えを持っているわけではないですが、問題意識としては石川委員長が仰っているような面はあるかと思っております。
あと、複合的差別の研修につきましては、単独でというのはなかなか難しいと思っていますが、合理的配慮や差別的取扱いに関する研修というものを普及、もしくは理解を進めるという意味で考えていかなければならないのではないかというのは、仰るとおりであると考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、もし他にないようであれば、長谷川委員に発言していただきたいと思います。
○長谷川委員 経団連の長谷川です。本日は会合に遅れまして申し訳ございませんでした。
資料5に基づき、経団連が実施した障害者差別解消法の見直しに関するアンケート調査の暫定的な結果について、本日御報告をさせていただきます。
まず、Iの実施の経緯ですが、障害者政策委員会における障害者差別解消法の見直しの検討の中で、事業者による合理的配慮の提供の義務化も含めた議論が行われるということでしたので、会員企業の意見を聞くという意味で実施をいたしました。
IIでございますが、対象は11月5日に開催した「障害者差別解消法の見直しに関する懇談会」への参加者としております。懇談会には、経団連の関連する3つの委員会、「企業行動・SDGs委員会」「消費者政策委員会」「生活サービス委員会」の委員の皆様に御案内をいたしまして、88社・団体、104名の皆様に御参加をいただきました。
この参加者を対象に、11月の1ヶ月をかけてアンケートを実施し、48社・団体より56件の回答をいただきました。
IIIの調査結果でございます。
まず、合理的配慮の提供の状況につきましては、提供を行っているという回答が約73%でした。
次の合理的配慮を提供している理由につきましては、基本的には「会社の自主的な対応」という回答が最も多く、「お客様からの要望によって」という回答が続いております。
合理的配慮の提供の考え方を社内に浸透させる取組につきましては、一番多かったのが「対応要領・マニュアルの策定」で、「心のバリアフリーやユニバーサルマナーに関する研修」が続いております。
合理的配慮の提供に関して、顧客・利用者から苦情が寄せられたことがあるかどうかを聞いたところ、「ある」という回答が23件で56%でございました。
続きまして「2.合理的配慮の義務化について」は、「義務化に賛成」という回答と「義務化はやむを得ない」という回答を合わせますと、約55%で半数以上でした。
「義務化に反対」という回答が18%、他方「どちらとも言えない」「わからない」という回答は25%と、全体の4分の1でした。
「合理的配慮の義務化に反対」とした回答の理由につきましては、「定義や範囲が不明なものは義務化にそぐわない」という回答が最も多く、「柔軟な対応をかえって阻害する」という回答が続いております。
他方「義務化はやむを得ない」もしくは「義務化に賛成」とした回答の理由としては、「包摂的で持続可能な社会の実現のため」とする回答が最も多く、「障害者権利条約や障害者差別解消法の趣旨を実現するため」という回答が続いております。
合理的配慮の提供が義務化される場合に、行政や自治体に期待することといたしましては、「事例集の充実」「業種・業態別や障害特性別のガイドラインの整備」の2つが上位でした。
障害者差別解消支援地域協議会に期待する役割として最も多いのは、「ベストプラクティスや陥りやすい問題への対応事例の共有」、次いで「紛争の防止や解決を図る相談体制の整備」でした。
今、アンケート結果の数字だけを御紹介させていただきましたが、このアンケート結果から読み取れるインプリケーションとして以下の点を指摘したいと思います。
まず、合理的配慮の提供の義務化については回答企業の4分の1が「どちらとも言えない」「わからない」と回答しております。
最初に申し上げましたとおり、このアンケートは経団連が主催した合理的配慮に関する説明会に参加した企業を対象に行っております。ですから、これを一般的な経団連会員企業に対して実施したとすると、この割合は更に大きくなると思われます。説明会に参加した企業であっても、担当者は合理的配慮の提供の具体的な内容について十分理解しているとは言えないため判断を保留したと思われます。
ですので、内閣府や地方公共団体におかれましては、企業に対して合理的配慮の提供に関する普及啓発活動をこれまでもやっておられると思いますが、今後はこれまで以上に活発に行い、周知の徹底を図るようにしていただきたいということがございます。
それから、合理的配慮の義務化に反対とした企業に反対の理由を聞きますと、合理的配慮の範囲に関する基準が明確化されていない中で義務化された場合、訴訟リスクが増大するのではないかという声が多く聞かれております。ですから、こうした不安を解消するためには、やはり行政において、ケーススタディなどに基づき、障害特性別や業種・業態別のガイドラインなどの整備を行うことが不可欠と考えます。
更に、合理的配慮の提供をめぐって、企業と障害者の間で紛争のような事案が生じた場合は、障害者差別解消支援地域協議会に気軽に相談できるように、地域協議会の紛争解決機能、相談体制を整備・強化することが必要であり、また、地域協議会において解決した事例を積み重ねて、ベストプラクティスや陥りやすい課題への対応事例を幅広く共有できるようにしていくことが必要だと思います。
最後に、事業者との合理的配慮と相互的補完関係を持つとされる行政の合理的配慮の義務につきましても、どの程度の範囲でどこまでを取り組んでいただけるかということについても、今後より明らかにしていただきたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
関連で大内専門委員からも、可能でしたらコメントをいただきたいと思います。
○大内専門委員 石川委員長、ありがとうございます。大内でございます。
本日の経団連様の調査に関連して、調査というほどのものはできなかったのですけれども、障害者差別解消法に関して説明をした上で、合理的配慮の現状あるいは義務化された場合の影響について、10社程度ですけれども、各地の中小・零細事業者に聞き取りを行いましたので、簡単に御紹介させていただきます。
構成としては、飲食3社、ホテル2社、不動産管理1社、印刷業者1社、イベント会社1社、社会福祉法人1社、工事会社1社という状況でございます。
まず、本法律について、障害者差別解消法並びに合理的配慮に関して、知っていた事業者は2社でございました。当該2社は、社会福祉法人と、もともと社長さんがボランティアで障害者の支援活動をされている事業者で、先ほど全国社会福祉協議会様の御説明の中でも例として挙がりましたが、平成29年度の障害者に関する世論調査での一般国民の知っている割合にかなり近いと思います。
一方で、これまで障害者の方から何か対応を求められたことはあるかということに関しては、7社があると答えています。飲食業3社、宿泊業2社、これらの業種に関しては全てで、そういった事例がありますよということで回答がありました。
法律については分からないけれども、お客様からお問合せがあれば、当然に、極力お客様のリクエストに対応しているということで、合理的配慮を自然に行っているという中小企業の実態というものが、聞き取り事例の中で読み取れました。
また、これまで対応に苦慮した事例、問題となったような事例はありますかということで皆さんにお伺いしましたけれども、私がお伺いしたケースでは、これまで問題になったケースはありませんでした。
あと、合理的配慮の義務化につきまして、こちらから制度に関して御説明した上で、どのように考えますかということでお伺いしましたところ、経団連様のアンケート調査の回答分類に合わせますと、全社とも、「どちらとも言えない、分からない」(全体の25%)という回答結果になりました。
これは、皆さん、そもそも法律や、その背後にある大きな立て付けというものを余り詳しく分からない。ただ、現状、現場で対応している限りでは特段問題がないという状況があり、こういうお答えになったと思います。
ただ、いろいろ御説明する中で、過重な負担の判断につきましては、ケースバイケースの部分もあり、どこまで対応すればいいのか、現在よりもより過重な負担が求められることがあるのではないかという不安を訴える声もございました。
また、現在、お客様から事前の問い合わせがあった場合、設備、人員体制等説明をこちらからさせていただき、御理解・御納得いただいた上で、宿泊施設あるいはレストランを御利用いただいているのですが、義務化を契機に法律による強制という色合いが強まって、現在、意識せずにうまく回っている双方向のコミュニケーション対応という前提が崩れることがあるのではないか、うまく回らなくなるのではないかという漠然とした不安、こういった声を上げられる事業者もございました。
また、ホテルなどでは、建物自体が古く全面的なバリアフリー対応ができていない中小事業者もかなり多いのですが、義務化となることで、個々の改修可能性等を考慮ぜす、バリアフリー対応の強化を迫られるとしたら、大変困るという声もありました。
あるいは、もし義務化を進めるということであれば、やはり資金的な部分がなかなか苦しいという声もあるので、改修工事等に助成制度を設けたり、ホテルスタッフ等への研修、あるいは専門家によるアドバイス等々、そういった支援をお願いできれば、義務化に当たって問題も起きづらく、あるいは現場で対応が取れないということが起こりにくくなるのではないかという回答がございました。
もとより今回お話をお伺いした事業者の皆様で、共生社会の実現について異を唱える方はもちろんいらっしゃいません。様々なお客様をお迎えして、喜んでいただく努力をするということは経営者として自然に考えるものです。今後は、事業者の意識をより高めるために、助成制度、専門家によるアドバイス、職員研修支援等で後押ししていただいて取組を積み上げていくことが必要と考えます。事業者の意識醸成を自然に行い、なおかつ、国民一般の意識を国で醸成していただいて、自然な形での実現につながることを求める事業者の声がございました。
簡単ではございますけれども、事業者の生の声ということで御紹介させていただきます。
○石川委員長 御紹介ありがとうございました。
それでは、質疑に入りたいと思います。御意見あるいは御質問のある委員は挙手をお願いいたします。
竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 ありがとうございます。竹下です。
事務局の報告を中心に2点お聞きしたいのですけれども、まず一点は、この事務局の説明によって、従来の紛争解決の流れとどこが変わるのかということがよく分かりません。具体的に今回の実態調査を踏まえて、この提案が従来のものとどこがどう改善されて、どう進展したのかということについて説明いただきたいというのが一点です。
もう一点は、先ほどの大内専門委員の説明も受けて私が大事だと思うのは、今回、例えば第8条第2項の法的義務化をすること自身は必要だと思うわけですが、そうした場合において法的な強制を受けるのではないかという不安を持っている企業が多いというのは、私は非常に大事な不安だと思うのです。
合理的配慮の実現に対しては、あくまでも建設的対話というものを基本に置いた、言わば司法の場以前の紛争解決機能というものを充実させることが必要だと思っています。
その点で、現在の条例による紛争解決機能というのは、簡単に言えば、実態を見ていてもばらばらであることは明らかですし、条例のないところも存在することを考えた場合に、一定の紛争解決の機能をどの機関に持たせるにせよ、紛争解決の機能としてどういう機能を持たせることが必要なのか。あるいは紛争解決に至る相談から、あるいは申請と言っても構いませんが、それから建設的対話、最終的な解決の提示までの流れを示す手続的な基準のようなものを示すことが必要だと思っているわけですが、それについてはどうお考えになっているかについてお聞きしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
一件一件いこうかなと思いますので、事務局、お願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
紛争解決の関係ではどこが変わるのかということですが、紛争という最終の対決をするような場面に至るまでに、事前のところで予防するという発想もあって、相談体制をより充実することを軸に今回は考えております。
相談体制の見直しの中で、地方公共団体の基本的な役割を示すことや、地域の広域支援相談員といったものの配置を促すこと、事業者も相談の対象にすることを明確化することなどをお示ししているところです。
逆に、解決困難となった事案への対応につきましては、先ほどの「(3)検討の方向性(案)」の○の最後に書いてありますように、地方公共団体と人権の侵犯事件の調査・救済を実施している人権擁護機関といった機関や、主務大臣との連携を整理することを、今後検討してはどうかとお示ししております。
当然この連携の在り方などにつきましては、もしこういう方向性ということが得られれば、更に今後詰めていく部分と考えております。
あと、条例による紛争解決機能がばらばらであるとか、どこにどういう機能を持たせるのか、地域の体制ということにつきましては、先ほど申し上げた役割分担というのは一つの答えであります。独自の勧告などの権限を地方の中で持たせるということについては、地域の中での御判断があるものと考えております。
国全体で全部一律に持たせるのかにつきましては、先ほども御紹介しました参考資料にありますが、条例の権限行使の実績が1件ということですので、こういった実績についてどう考えるのかも、一つ考える材料として踏まえる必要があると考えております。
以上です。
○石川委員長 竹下委員、よろしいですか。
どうぞ。
○竹下委員 竹下です。
今の説明は、2点間違っていると思います。とりわけ最後の困難な事案で、内容的にどういうものだったか、私は承知しておりませんけれども、それが1件だったということをもって、言わば統一的な紛争解決の機能が必要ないという結論を導いているのは明らかに間違いです。
なぜならば、不幸にして司法の場にまで持ち込まれた事案もあるし、紛争解決がされないままで放置された事例は幾らでもあるわけです。それらの実態を見ずして、1件しか強制的な、あるいはそれに近い形での解決がなされたものがないことをもって、統一的な解決機能が必要ないというのは、明らかに誤った評価だと思っています。
もう一つ、地方の条例がばらばらだということについての答えが、何を仰ったのか、私は理解できませんでした。少なくとも現在において3段階あるわけですね。条例のないところ、条例があっても紛争解決の手順や機能や方法が違うところ、言うならば、現在の条例によって大きな成果を上げているところ、それらの実態の差が出てきているところを分析したのが、これまでの障害者政策委員会での報告だったと思うのです。それに対してどういう答えを出したのか、今の答えでは私は理解できませんでした。
以上です。
○石川委員長 自治体のやり方について、一律にこうすべきだと言いづらいという事情等もありつつ、事務局のほうで竹下委員の御指摘に対してさらに御答弁があればお願いします。
○衣笠参事官 事務局です。
1件なので必要性がないということまで申し上げているということではございません。それも一つの判断材料だということで申し上げたものです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、玉木委員が挙げていらっしゃったと思います。
○玉木委員 ありがとうございます。玉木です。
今日始まってから「ソフト面」という言葉が気になっていて、これは非常に分かりづらい話で、例えば資料6-1の2ページの「②紛争防止に資する事前的改善措置等」の○の3つ目、「この環境整備には、ハード面の対応のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれ、具体的には」云々と書いてありますけれども、結局ハードを作るためにもやはり意識が変わっていかないといけないし、ハードも、例えば公共交通機関であれば、エレベーターを付けて終わりではなくて、一人一人に応じた対応が意識的に改善されていくべきものだと私は考えています。
そういった意味では、ここにもう一つ視点として入れていただきたいのは、障害者権利条約の第8条の意識の向上という条項があって、その中には、障害者の権利の意識を向上させるという文言がありますが、その権利をきっちりと守っていくためには、どういった研修をしていくべきなのかという具体的な提案が、今回の改善の中では論議されるべきなのかなという気がします。
もう一点なのですけれども、例えば差別の相談が上がっていないというのは、多分当事者であったり家族が、今、行われている対応が差別かどうかという判断ができていなくて、生活のしづらさとか、例えば昨日も1件メールでいただいたのですけれども、学校でこういうことを言われたということで、結局泣き寝入りであったり、現状がこれだから難しいのですよと言われて諦めてしまっている事例がいっぱいあって、障害者差別解消法の相談窓口と掲げたところで、これは差別ですから相談を聞いてくださいというアプローチがなかなかできていないということが現実で、そのためにはやはり色々な相談機関が意識的に聞いていって、それは差別ですねとか、それは差別だと思いますよ、一緒に解決していきませんかというアプローチをきっちりとやっていかないと、本当に対話とか、そのための具体的な調整はできていかないと思っているのです。やはりもう一度、差別ということを本人だけでなくて社会全体でどう捉えていくかとか、社会が差別についてきっちりと向き合っていく。
それは、誰が悪いとか、事業者がとか、そういうことではなくて、きっちりと差別と言われるような状況を解消していくためには、それぞれの立場で何をやっていくべきかという論議をきっちりとやっていきたいなと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
今、玉木委員が重要なことを仰ったのですけれども、簡単にまとめていただけませんか。最後のことは理解したのですけれども、何点でしたか。
○玉木委員 一個はソフト面で、障害者権利条約の第8条の意識の向上というのがあるから、ただ単に障害者に対応する対応の仕方とか接し方だけを研修でやるのではなくて、そもそも持っている権利をきっちりとみんなに共有化していく。そういった研修を持っていかないとだめかなということです。
○石川委員長 障害の人権問題に基づく研修が必要だという理解でよろしいでしょうか。
○玉木委員 はい。ありがとうございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
この資料に「ソフト」という言葉が2カ所出てくるのですけれども、そういう意味で書かれてあるのだとすれば、このソフトという言葉の使い方は正しいと思います。つまり、プログラムのことを指してソフトと呼んでいて、思いやりのことをソフトと仰っている方もいらしたのですけれども、ここではそういう意味で使っていないのです。私が答弁する立場ではないのですけれども。
○玉木委員 だから、そういった細かいことですけれども、多分共通認識としてソフト面であったり、合理的配慮という言葉が使われていないとしたら、そこをもう一回整理していただきたいという意見でした。
○石川委員長 1点目がこれで、2点目というのがありましたでしょうか。ほぼこの一点でよろしいでしょうか。
○玉木委員 2点目は何を言ったかな。
○石川委員長 相談支援の質。
○玉木委員 ありがとうございます。障害者差別解消法の相談窓口と掲げたところで、差別と気付いていない人がいっぱいいるから、そこにはなかなかアプローチができていない。だから、色々な相談機関が意識的に、それは差別なのですよという伝え方であったり、差別の解決に向けた動きにつながっていくような仕組みも補完しないと、市町村が設置する障害者差別解消相談窓口だけで解決できるかというと、解決もできないし、そこには数も上がってこないのだろうなという意見です。
これで分かりましたか。
○石川委員長 ようやく分かりました。
○玉木委員 しゃべりが下手なものですみません。
○石川委員長 適切な言い方だと思います。
では、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。私、2点あります。
1つ目は、検討の方向性で、既存の機関等の機能の充実や効果的な連携というのが示されましたけれども、私はそれだけではなくて、独自権限を持った紛争解決の仕組みを作る必要があると考えています。
私、資料8で意見を出させていただきました。これは中央省庁の相談窓口に、DPIで集めた事例なのですけれども、障害者差別解消法が施行された後、中央省庁に相談をして、それがどうなったかという事例を幾つか載せさせてもらいました。
4点あるのですけれども、基本的解決はしていないです。たらい回しになっている。あるいは仲裁をしてくれなくて、単なる取り次ぎだったというのが、ここの中ではみんなそうなのです。
実態として、省庁の相談窓口は機能していないのではないかと思いました。まず解決してもらえると思わなければ、差別を受けても相談には行かないですね。話すだけしんどいだけで、嫌な思いをしたのをもう一回思い出して、それを言わなければいけない。それ自体もすごく抵抗があることです。ですから、ちゃんと解決してくれるところでなければ、相談の事例は増えていかないと思います。
一部の地方公共団体で条例を作って、その中で熱心に取り組んで解決しているところがありましたけれども、そういうところを見ると、ちゃんと独自の権限を持ってやっているというものでした。
具体的には、広域支援相談員というものを配置していること。そして、調整委員会というものが個別の事案にちゃんと対応して、必要に応じてあっせん、勧告というものを出している。そういう強い仕組みがあることによって、ちゃんと問題が解決しているなというのがよく分かりました。
ですので、そういった地方公共団体の取組を参考に、権限を持った紛争解決の仕組みを作っていただきたい。それがないと、今のままでは差別を受けてもなかなか解決しないのだなと思っています。
2点目は、国もワンストップ窓口を作る必要があるのではないかと思います。まず、差別を受けたというときに、これは中央省庁のどこが担当になるのかというのが分からないことが結構あるのです。
例えば飲食店で差別を受けましたといったときに、色々なところに電話するけれども、うちではない、うちではないというので回されて、もう訳が分からなくなっているのですけれども、そのように担当の窓口までなかなか行き着かなかったという事例もあるわけですね。ですので、ワンストップ窓口を作って、そこで窓口を適切につないでいくというものが必要なのではないかと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
今の佐藤委員のお話を聞いていて、私、2点発言したくなったのですけれども、しっかりとした企業のテックサポートとオンラインショップで物を購入したときの配達状況の確認なのですけれども、例えば前者で言えば、一つ一つの問題案件にIDが振られて、今、どういうステータスなのかということが分かるように管理されている。
配達状況も、今どこまで配達が進んでいるかということが分かる。近くのステーションまで来ているのか、これから高速道路に乗って、まだ延々かかりそうなのかということが分かるというようになっているというのが、相談の仕組みの中で余り議論されていないと思うのですけれども、今、相談がどういうステータスなのかということが分かるといいと思うのですね。
ついでに言うと、国によってはオンラインのディスピュートレゾリューション、紛争解決というのも結構行われていて、略して、ADRをもじっているのかもしれませんけれども、ODRと呼ばれていて、そういうオンラインでの紛争解決の仕組みというのも、アクセシビリティへの対応ということもしやすいですし、情報保障もやりやすいですし、リモートでの情報保障とかもできるし、新しい試みでもあるし、やってみる価値があるのではないかと個人的には思うということをコメントさせていただきたいと思います。
他に御意見等はございますでしょうか。
では、関川専門委員。
○関川専門委員 大阪府立大学の関川でございます。
今日事務局から提出いただいた資料6-1の5ページでございます。検討の方向性について2点お尋ねしたいことがございます。
まず一点ですけれども、①の1番目の○と5番目の○などを見ますと「地域の実情に応じて」という言葉が使われておりますが、この趣旨を考えますと、国として、相談・紛争解決体制について一律の仕組みを地方公共団体に求めないという理解でよろしいでしょうか。具体的には、第14条を改正し、相談・紛争解決体制を具体的に定めないという理解でよろしいでしょうか。
仮にそうだとして、標準的な体制ということで、基本方針等で、ガイドラインでその体制を示すというお考えはお持ちでしょうか。これが1点目でございます。
2点目は、○の2つ目「相談体制の充実」ということが使われております。あるいは5つ目の○では「広域支援相談員等地域の実情に応じた配置を促す」という言葉も使われておりますが、この相談体制の充実に関しては、例えば相談体制の充実を図る地方公共団体に対しては、人件費等の補助などを考えておられますでしょうか。
もう一点は、広域支援相談員に対する全国的な研修などは、相談体制の充実に含まれますでしょうか。特に地方公共団体ごとに差別についての考え方が大きくぶれるというのは、やはり権利保障の在り方からすると問題だと思いますので、少なくとも大きく違いがないように、好事例を集めた上で国としての考え方をお示しいただきたいと思います。
以上です。2点について質問がございます。
○石川委員長 2点の御質問でしたので、事務局のほうで対応をお願いしたいと思います。
○衣笠参事官 「地域の実情に応じて」というのは、御指摘のとおり、一律に義務付けるということではなくて、まさしく地域ごとの実情に応じたものとして御判断をいただいて、対応をいただくという趣旨であります。そういう意味では、法律上も義務付けで何かと求めることを想定している記述ではありません。
あと、ガイドラインで示すかどうかは、結局この議論の方向性がどうなるか、皆様の御議論を踏まえてということになりますので、そこに尽きていると考えております。
人件費補助といったものにつきましても、議論の結果が決まってくれば、それも踏まえながら関係省庁と協議しながら、どういった対応があり得るかを検討していくことになると思われます。
相談員に研修するのかという話につきましても、配置を促すという方向で議論がまとまっていくのであれば、そういったことも今後検討していく必要がある方策の一つと考えています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。関川委員、よろしいですか。
では、大日方委員、お願いします。
○大日方委員 ありがとうございます。大日方です。
半分感想めいたことを言わせていただいた上で、提案をしたいことがあります。
今日の議論、前回も含めて聞いていると、少し机上の話あるいは手続的なところ、どういった組織を作るのかという方向で議論が進むのか、硬直化するのか、対立構造になりやすいのか、そのような印象を持ちました。
私がこの障害者政策委員会でのこうした議論を考えたときに、皆さんと合意できるであろうというのは、私も含めて障害がある人たちが、何らかのある種の生活のしづらさ、生きづらさといったものがあるだろうということ。そして、それをより良く変えていこうというものであることは、あらゆる立場の方がいらっしゃるここで合意できるものだと思います。
そういった形で、今、相談窓口、紛争解決といったところで何が問題になっているのかというと、国が作るべきなのか、地域のどこに置くべきなのかということよりも、これが相談されることによって当事者にとって解決されるのかということが一つと、もう一つは、それが社会をより良くするための何らかの装置としてきっちり機能するのかという2点なのではないかと考えています。
先ほど竹下委員からも佐藤委員からもお話があったことだと思うのですけれども、相談窓口が、当事者から見たときにどこにあるのかが分かりにくいという問題。あるいは相談したことによって、何か得られる良さ。先ほどの2つの視点、御自身の生きづらさを解決する、あるいは社会に対して何か良いことにつながるだろう、そこに貢献できるだろうという、このどちらなのか。いずれも、今日の検討の方向性の中からだけでは、何が良くなるのだろうというのが読み取れないような気がいたします。
その上で、今、お作りいただいた検討の方向性(案)というところを、もう少しこの視点で議論をして、見直しのたたき台を作っていただけないだろうかという御提案です。
特に1つ目の○の既存の機関の充実とかとやってしまいますと、ある種キャップをはめてしまう、議論の中に枠を付けてしまうということが、果たして相談や解決体制に、先ほどの目的に沿うのかというと、もうちょっと手前にこれをはめない議論というのが必要ではないかということで、一旦これについてははめないことを提案したいと思います。
そして、先ほど長谷川委員のほうから御説明があった、企業の皆様が合理的配慮の義務化に反対する理由というところで、定義や範囲が不明なものは義務化にそぐわない、こういう意見が多かったともお聞きしましたけれども、ここのあたりの範囲といったこと、定義といったものの曖昧さというものの不安感は当然あるものだと思うのですね。
一方で、当事者側からしても、これは同じようにあるのです。相談をすることが本当にいいのだろうか。あるいは、して何か変わるのだろうか。あるいは相談をすることが、ある種のクレームに終わるのではないか。だとすると、別にクレームを言いたいわけではないので、言わないほうがいいのかみたいな話になってくると、幾ら相談体制をつくりましたといっても何も変わらない。
事業者にとっても不安は一掃されないし、障害当事者から見ても、あるいは社会全体から見ても、何か前向きに進むのかというと、ちょっと今のお話だと進まないような議論になっているような気がいたします。
そういったところから、少し論点の整理というか、そもそも何のために我々が相談・紛争解決体制を見直すのかというところに今一度立ち返ったほうが、シンプルに考えられるのではないか。ちょっと混ぜ返すような話になってしまうかもしれませんけれども、そのような感想を持ちました。
あとは委員長の判断に委ねたいと思います。ありがとうございます。
○石川委員長 そうは申しませんが、全体としては前に進む議論をしていると理解しているのです。御指摘の点で、特に隔靴掻痒感を抱かれているのは、端的にどのあたりでしょうか。
○大日方委員 相談体制、窓口を作って何かいいですか。
○石川委員長 つまり、行政の肥大化は禁じ手なのだという足かせをかけた議論になっているところが特に。
○大日方委員 そうです。これで変わるのですか。足かせをかけたまま議論をして、何かいいことがあるのですかということです。
○石川委員長 これにつきましては、最初のこの法のつくりの段階で既に既存の機関の活用ということが入っていて、それを引き継いでいる状態なのですけれども、事務局、いかがでしょう。
○衣笠参事官 事務局です。
特に地域の実情に応じて、また独自の機関を新しく創設するということまでやってはいけないということをお示ししているわけではなくて、制度を定める国としては、そこは既存のものを活用することを基本としています。独自に地方公共団体のほうで行うということまで否定するということではないので、そこは地域の実情に応じた対応というのがあり得ると考えています。
先ほど申し上げたとおり、もともとの法の趣旨としては、行政の肥大化防止でありますとか、更には今、人口的にも社会的に担い手が不足するという中で、既存のものを活用する視点があるのは大事であると考います。
以上です。
○石川委員長 三浦委員長代理、どうぞ。
○三浦委員長代理 竹下先生が仰った、条例によって効果が上がっている県なのですけれども、県民も広域支援相談員という言葉を全然知らないころに条例ができて、常時相談員が県庁の中に座るということに至りました。みんなで運動して、平成23年ぐらいからそのような形をやっているのですけれども、思ったより相当な効果が上がってきています。
障害のある人が電話さえすれば何でも聞いてくれる相談機関になったので、私は今、お話を聞いていて、5ページ目の1つ目の○のところは、例えば差別に関する相談に関して、熊本県の場合は新たな相談窓口ができたのですけれども、正直、既存の総合支援法の中で運営をしている相談支援事業所との連携が重要なものもあり、そういう生活上の課題などはそちらと広域支援相談員が相談をしながら解決に向かっているし、また、企業にも出かけていって対応をしている。今、年数が経ってきて、やはりちゃんと位置付けることで機能するのだなという実例はございます。
熊本県の条例の場合は、公表等まで権限を持っているのですけれども、それによって大きな紛争になったという事例は今のところ私は聞いていないです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
大日方委員が仰ったもう一つの重要な指摘で、合理的配慮の範囲については、実は障害当事者もひとりひとり迷っているというか、あるいはひとりひとりの感覚に相当な違いがある。あるいはそもそも合理的配慮を聞いたことがないという人が圧倒的にたくさんいて、それを求めることができるとさえ思っていないという人たちもたくさんいる。
竹下委員、どうですか。例えば日本視覚障害者団体連合の会員ではどういう分布というか、感触としてはどんな感じですか。
そもそも合理的配慮という考え方を私の知り合いでも知らない人がすごく多いし、また、知っていても、これぐらいという範囲は人に相当違うし、場合によっては所得保障も合理的配慮と思っている人までいたり、すごくばらつきがあると思うのです。
○竹下委員 竹下です。
2つだけ申し上げたいと思います。
私は、合理的というのは何だろうということが大事だろうと思うのです。この委員会で基本方針を議論したときに、そのことが少しヒントになった部分があったと思うのです。それは何かというと、合理的というのは客観性ということと非常に近い概念だとそのとき議論されていると記憶しています。
すなわち、ここに何十人いるか、今、数えませんけれども、その方が共通して納得できる、あるいはある程度の共通認識に立てる部分が合理性ということの大きな一つの要素だろうと思うのです。
もう一つの合理的な概念の理解としては、現に実現可能なものかどうかということについて、十分な対話がされるかどうかということだろうと思っています。そういう意味では、個々の障害者が持っているニーズを満たすかどうかということは、本来大事ではあるのですけれども、それが基準になるのではなくて、当の障害者が求めている配慮あるいは調整が現に可能であって、かつ、それが客観的に受け入れられるべきものであるというところの議論が大事ではないかと思っていた。
実は2点目で言いたかったのは、先ほどの紛争解決のところで、事務局の説明の中で、例えば既存の機能の強化とか、あるいは人権擁護機関というところでは、今の合理性を引き出すのは無理だと思うのです。
例えば私も8年か10年ほど人権擁護委員を務めましたけれども、例えば企業と当事者、場合によっては団体当事者でもいいのですけれども、そういう紛争解決をするときに、紛争解決の役割を果たそうとする委員の中に、双方の立場を理解できる人が含まれているかどうかなのです。
そういう意味で、先ほど委員長が言ったADRがその典型的なシステムなのですね。例えば最近でも、労働の分野でさえできるだけ司法という場に行く前に、労働局長のもとでの調整・あっせんであったり、労働審判というのは、あくまでも中立的なといいますか、広域的な裁判官以外に、使用者側の代表であったり、労働者側の代表であったり、そうした形で立場の違いを客観的に、そういう意味では理性的に意見が述べられて、その間での調整を図ろうとすることが、この間、発展してきたADRの大きな特徴だと私は思うのですね。
そういう意味からも合理的配慮に基づいた解決を図るためには、そうした機能を持った全国的な基準的な能力を備えた機関の設置が必要だと思うわけです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
ですので、ガイドラインであるとか、合理的配慮コーディネーターみたいな、分野ごとの専門性を持ったコーディネーターの養成とか、そういったことをやっていかないと、なかなか前へ進んでいかないという面があるのかなという印象を持ちました。
まだまだ御意見はあると思うのですけれども、1回ここで最後の休憩を入れさせていただきます。再開は4時10分ということでお願いします。
(休憩)
○石川委員長 それでは、再開いたします。
続きまして、障害者差別解消支援地域協議会の設置促進・活性化について、事務局から説明をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
障害者差別解消支援地域協議会についてということで、資料6-2を御覧いただければと思います。
まず「(1)現状」でありますけれども、こちらの制度・運用や、実情について御紹介をしております。
1つ目の○と2つ目の○でありますけれども、こちらは差別解消を効果的に推進するために、身近な地域で地域特性を踏まえた主体的な取組を推進することが必要ということで、関係機関によりまして地域協議会を組織することができるという法律の規定ぶりを記載しております。
また、3つ目の○ですけれども、障害者差別解消法では地域協議会について、より具体的に定めている規定もありまして、こちらの協議会というものは、構成機関等に対して情報提供等を求めることができるということが書かれております。
あとは「同条第4項において」というところで書いていますけれども、地域協議会の庶務は、地域における障害者施策の推進を担い、関係機関のネットワークの要となり得る地方公共団体が処理することになっております。
その次の③ですけれども、地域協議会の設置率。都道府県、政令市は100%でありますけれども、その他の一般市町村は約48%となっております。また、開催実績が0回または1回の一般市町村が約53%ということなど、その活性化も課題であるということを記載しております。
あと、※で書いていますけれども、地域協議会の設置割合につきましては、第4次障害者基本計画でも目標値というものが定められていまして、そちらでは市町村、政令市や中核市等を除くというものでありますが、こちらにつきましては2022年度で70%以上となっております。
次の○ですけれども、地域協議会を設置しない理由ということですが、これは内閣府が行いました地方公共団体の調査結果に基づいて記載しております。小規模自治体のため個別に設置できない、地域内で需要が高まっていない、具体的な課題がないといったことが挙げられております。
また、圏域などの広域的な設置があれば検討したい、県など広域的な地域協議会への参加を予定しているといったことも挙げられています。
最後の○ですけれども、内閣府では、地域協議会の設置促進や活性化に向けまして、ガイドラインを作ったり、予算事業としまして、有識者などのアドバイザー派遣や地域フォーラムの開催といったことを行う事業、こういったものも実施しております。
次のページ「(2)主な意見」です。
最初の○ですけれども、地域協議会が十分に機能していない、相談件数が少ないといったことが関係しているのではないかといった御意見。
2つ目の○は、全ての自治体で設置されるまでには、まだ長期間を要するのではないかという御意見。
3つ目の○は、地域協議会で議論することを通じて、地域の対応力の底上げにつながるのではないかという御意見。
その次の○が、潜在化している差別事案を掘り起こすことが重要といった御意見。
次の○は、女性の割合が低いということ。
その次の○は、仮に一律義務化する場合は、合理的配慮の定義であるとか、そういったものを明らかにするなどのほか、課題解決をした具体的な成功事例などを地域協議会で公表することが前提として必要であるといった御意見。
その次の○は、地域協議会をより多くの地域で設置できるように進めていくとともに、事例共有や好事例となる地域協議会に対する事例検証などを通じて、事例を発掘、横展開していくということで連携強化を図ることが重要であるという御意見。
その次の○は、地方公共団体で問題解決に効果を上げている事例、地域協議会に寄せられた色々な案件をどのように解決したかを共有されると、障害者、事業者が双方に望ましい体制ができるのではないかという御意見です。
その上で「(3)検討の方向性(案)」を記載しております。
まず、1つ目の○でありますけれども、先ほど内閣府の調査で、地域協議会を設置しない理由ということで挙げられた意見を御紹介しましたけれども、小規模自治体のために個別に設置しない、圏域単位であれば検討したいといった御意見があることなども踏まえまして、記載のように、市町村における地域協議会の設置を促すために、都道府県の地域協議会の設置を担う都道府県が、その設置運営について得られた知見や、管内市町村の地域協議会について得た情報を基に、市町村に対して他の市町村の取組に関する情報提供や、必要に応じて圏域単位など、複数の市町村での地域協議会の共同設置・運営の支援を促すことを検討してはどうか記載しております。
また、その次の○ですけれども、地域協議会を設置しない理由としましては、地域内で需要が高まっていないことや、具体的な課題がないといったことも挙げられておりました。
これまでの本委員会の御意見で、事例の横展開をして連携強化を図ることは重要といった御意見もありましたことも踏まえて、この2つ目の○を記載しております。
まず、市町村で地域協議会の設置や活用が進まない理由としましては、地域協議会の有用性、活用方法が十分認識されていないことも一因であると考えられる。
さらに、事業者による合理的配慮の提供を促すことも含めまして、障害者差別の解消を推進するためには、地域の関係機関での事案の共有や協力等が一層重要になるとともに、これまで以上に複数の地方公共団体の区域にわたる広域的な対応が必要となる事案が生じることも想定される。
加えて、地域協議会の間では、地方公共団体の規模や取組状況などにより、取り扱う事案の数や種類等が異なることから、蓄積された事例や見識にも差異があると考えられる。
これらを踏まえまして、市町村での地域協議会の設置・活性化を促すとともに、地域における課題のより効果的な解決を図る観点から、都道府県の地域協議会と市町村の地域協議会の間や、市町村の地域協議会と他の市町村の地域協議会の間において、必要に応じて情報共有や助言その他の支援・連携を行うことについて検討してはどうかとしております。
それから、資料6-3ですけれども、20ページのほうを御覧いただければと思います。
こちらは先ほども相談・紛争解決の体制の中で御紹介しました追加調査の結果ですけれども、その際に地域協議会の関係も調べておりますので、そこも御説明をします。
20ページの一番上ですけれども、14団体が、都道府県の地域協議会が市町村の地域協議会に支援・連携する体制があるという結果になっております。
ただ、回答の中には「都道府県の地域協議会による支援・連携だけではなく、都道府県による支援・連携も混在していると考えられる」と書いております。要は、都道府県の地域協議会の庶務というのは都道府県が行っているわけでありまして、地域協議会の庶務業務として行っている業務と、本当の単なる広域自治体の立場で行っている業務が混在していて、本来は都道府県の地域協議会が市町村の地域協議会に支援・連携する体制について聞いたのですけれども、そうではなくて、単なる普通の自治体として行っている支援みたいなものが混在している可能性があるということを※で書いております。
都道府県の地域協議会による具体的な支援・連携としましては、主な回答として記載のとおり、市町村対応のバックアップでありますとか、地域協議会への参加、情報の共有・発信、次のページの紛争解決といったものが挙げられております。
また、21ページの2のところで記載しておりますけれども、実績について聞いております。14団体が、都道府県の地域協議会が市町村の地域協議会に対して支援または連携した実績がある、もしくは市町村の地域協議会の設置を促進した実績があるという回答がありました。
これも地域協議会同士の支援・連携についての実績ということで確認したかったのですけれども、そうでなくて、先に申し上げましたような、単に都道府県として行っているものも混在をしているということが見受けられます。
主な回答としましては、市町村への働きかけでありますとか、情報提供というものが挙げられていたということであります。
事務局の説明は以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
ちょっと話が前に戻ってしまうのですが、時間がなくなってしまいそうなので、先ほど長谷川委員から事業者アンケートの報告をいただいたのですけれども、関川専門委員からも、大阪府における合理的配慮の提供に係る事業者アンケートの資料の御提出があるので、時間が差し迫っておりまして、恐縮ですけれども、エッセンス部分についての御報告ということでお願いできればと思います。
○関川専門委員 お時間を取っていただきましてありがとうございます。大阪府立大学の関川でございます。
私自身、大阪府の障害者差別解消支援地域協議会の会長をさせていただいて、大阪府はこれを大阪府障がい者差別解消協議会と言いますけれども、今、そこで条例制定3年後の見直しに取り組んでいるところでございます。
その一つの議論に、障害者政策委員会でも検討していただいている事業主の合理的配慮の義務化についてどう考えるかということがございます。これについては色々意見がございますけれども、合理的配慮の考え方が事業者に十分浸透しているか。義務化についての社会的合意があるかということが一つポイントだと思いまして、大阪に本社がある民間事業者100社を無作為で選ばせていただいて、アンケートを行いました。
回収率は29.1%になっております。その後、更に幾つか回答いただいているものがありますので、最終的には30%を超えるだろうと思います。
その内容は、資料10のアンケート結果概要に示してありますけれども、障害者差別解消法の名前、内容を知っているという点については、周知度は非常に低くて、3割程度が「知っている」と回答がありましたけれども、多くの方々が障害者の方と接する機会があると回答され、その結果、実際に合理的配慮の申出を受けた事業者も3分の1程度ございました。
過重な負担がないにもかかわらず配慮を行わないことが、障害を理由とする差別に当たるかということについては「そう思う」「どちらかといえばそう思う」という回答が全体の85%ほどあり、ほぼほぼ合理的配慮の社会的な合意というものは一般論としては理解を得られているのかなと思っております。
そして、合理的配慮の提供の義務化についても「賛成である」または「どちらかといえば賛成である」と回答いただいた方が76.5%、4分の3ございますので、大阪府下に限って言えば、アンケートに回答していただいている、やるところは当たり前になっていて、倫理の問題であるとか、社会的責任の問題として、もう実施済みであるということが分かってまいりました。
障害者差別解消法及び条例、特に合理的配慮の概念の浸透度は不十分でございますので、今後とも啓発活動が課題であるということが言えるかと思います。
そして、合理的配慮の義務化についてどう考えるかということについては、障害者権利条約の趣旨であったり、大阪府自身がSDGs推進本部を設けて、SDGsの取組を民間企業と連携して行っていること、あるいは大阪・関西万博に向けてユニバーサル基準に基づく社会づくりが必要となっていることなどを考えますと、合理的配慮の義務化は、社会に障害者差別解消法及び条例の理念を浸透させ、障害者差別解消を進めるという観点から、社会に対して啓発的な効果があると言えるのではないかと考えております。
法的な効果については、義務化いたしましても、広域支援相談員の調整あるいは合議体のあっせんについては、事業者に対する強制的な権限を持っておらず、行政主導による当事者間の紛争に介入して、共生社会に向けて紛争解決の方法を見出すという条例の基本的な考え方は変わらないと思います。
建設的な対話を促し、差別の解消を図るという点では、努力義務であっても、差別的取り扱いの禁止の場合と同様に、行政関与の在り方に大きな違いはないと思っています。
あえて義務化した場合の法的効果はどうかと考えてみますと、大阪府の条例に限って言えば、義務化することであっせんの申立てが可能になること。そして、悪質な事例については、知事の勧告及び企業名の公表があり得ることが義務化の法的効果として考えられるところでございます。
大阪府の条例に限定して述べるならば、広域支援相談員による調整以外で建設的対話を促すための紛争解決の手段として、義務化により合理的配慮をあっせんの対象に加えるというのも、行政関与の下で障害者差別の解消を進める一つの考え方、選択肢ではないかと考えております。
このように考えてまいりますと、合理的配慮の義務化のポイントは、法形式の問題というよりは、第14条の紛争解決の在り方に関わってくる問題であると思います。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
方向性としては、ほぼ経団連のアンケート調査と一致している。あるいは、更により積極的な受け止めがなされているという印象も持ちました。
それでは、時間がなくなってしまっておりまして、障害者差別解消支援地域協議会の強化についての議論を少しだけでもしたいのですけれども、先ほどの事務局からの報告について、御意見・御質問のある委員は挙手をお願いします。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。短く終わります。
事務局から示された障害者差別解消支援地域協議会の活性化・強化について、大きな異論があるわけではありませんが、一つ気を付けねばならないのは、第17条があくまでも紛争解決というものを障害者差別解消支援地域協議会に機能として持たせていない。それを第14条と分けているというところを十分意識しておくことが必要だと思っております。
すなわち、地域協議会を活性化させるためには、決してそこは紛争解決の場ではないのだよと。だからこそ、情報提供を求めるときも、あらゆるところに情報提供を求めやすいわけですし、あるいは逆にアドバイザーを派遣するにしても、そのアドバイザーの中立というものが保たれるわけであります。
すなわち、ここに中途半端に紛争解決的な役割を担わせてしまうと、情報は得られなくなるし、その地域における広がりを持てなくなってしまうわけです。だからこそ、それ以上言いませんけれども、第14条による紛争解決機能を持った機関は、別に新しく作らなくてもいいけれども、地域協議会とは区別された明確な役割を果たす機関の設置というものをしないと、地域協議会そのものが広がらないのではないかと思っています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。なるほどとお聞きいたしました。
では、玉木委員、お願いします。
○玉木委員 ありがとうございます。玉木です。
毎回言っているのですけれども、恥ずかしながら我が兵庫県は、障害福祉審議会と自立支援協議会と障害者差別解消支援地域協議会の3つを兼務でやっているのです。しかも、年に2回開催なので、それも一つの会議で2時間ですから、2時間を3等分していただけると、分かりますね。そういう会議設定でも、数値をとったら100%なわけですね。
ですから、この障害者差別解消支援地域協議会が危険なのは、設置すればオーケーみたいなイメージでいってしまっていて、先ほども竹下委員が言われたように、基本的には事例の積み重ねというか、どういう事案が起きているかということをみんなで検証していく。解決は当然別のところがしっかりやっていくにしても、起きている差別事案を共有化していくという作業をするためには、やはり会議の設定を年にどれぐらいやって、その中身はどういう形でと、これをガイドラインと言うべきかどうかは分かりませんけれども、一定の指標を示していく必要があるのかなと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。実情がよく分かるお話をいただきました。
他にございますか。
では、最後に阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
障害者差別解消支援地域協議会の在り方は、私は関係機関の調整ということで、私の地元自治体では紛争調整委員会は別に置いているし、玉木委員が仰いましたけれども、障害者施策推進協議会もありますし、自立支援協議会もそれぞれの役目があります。特に障害者差別解消支援地域協議会は関係機関の調整と思っていましたけれども、私の住んでいるところでは紛争調整委員会は別個にあります。いろいろな在り方があるのだという確認をしたいと思いました。どうなのでしょうか。
○石川委員長 今日は、この後、障害者統計の話をどうしてもやりたいので、この話は次回更にしたいと思います。
見直しの論点に関する審議はここまでとさせていただきたいと思います。次回から障害者政策委員会としての意見の取りまとめに向かいたいと思います。もうと思われるかもしれませんけれども、今年度中にまとめたい、まとめる必要があると考えております。
したがって、事務局におかれましては、これまでの議論の内容を踏まえつつ、多様な意見があるのでどう踏まえるかは難しいのですけれども、取りまとめの案の作成をお願いしたいと思います。
本日までの議論の中で、積み残し、まだ不十分な点がありますので、これにつきましては、取りまとめの作業をしながら、同時並行で次回の委員会でも追加的な議論を行いたいと考えております。議論しながらまとめる、まとめながら議論するという形になるということで、御理解をお願いしたいと思います。
次に、障害者統計の充実に関する検討状況につきまして、御報告をいただきたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
では、資料7を御覧ください。「障害者統計の充実に係る調査研究事業について」というタイトルのものです。
まず、1で記載しておりますけれども、「本事業の目的・経緯」です。そもそも障害者統計の充実につきましては、最初の○で書いておりますとおり、障害者権利条約の第1回日本政府報告や第4次障害者基本計画におきまして、その推進を図ることが記載されております。
こうしたことに加えまして、2つ目の○ですけれども、「障害者の安定雇用・安心就労の促進をめざす議員連盟」、略称インクルーシブ雇用議連というものですが、そちらのほうから平成30年5月に提言が出されております。こちらは提言書そのものを添付させていただいておりまして、4ページから付けさせていただいています。そちらのほうを御参照いただければと思います。
こちらの提言は、「はじめに」、「提言の背景」、I、IIとあった上で、IIIで「提言の内容」を記載していまして、1のところに記載されておりますけれども、この提言としましては、障害者権利条約で求められる「障害者と障害のない者との比較」を可能とするとともに、段落を変えたところですけれども、総務省、内閣府、厚生労働省等による協議の場を構築し、有識者の意見を聴きながら、障害者基本法並びに障害者権利条約の理念に沿った障害指標の在り方について検討を行うことを、この提言では求めております。
ここでの障害指標といいますのは、障害者の捉え方、もしくは障害者かそうでないかを区別するような基準といいますか、そういったものと解しておりますけれども、統計上の話としてそういったものの検討を求めているということです。
その下に(1)で書いてありますが、国内プレ調査の実施でありますとか、研究を実施するということ。
(2)では、そういった研究を踏まえて、どういった調査で障害者の実態を把握することが効果的であるかどうかを検討して、統計調査を実施するということ。
その次のページの(3)ですが、こうした検討の際には、国民生活基礎調査などの基幹統計調査への質問項目の追加等を軸に検討し、その際には国連統計委員会やワシントングループの考え方に沿って進めることを求めております。
このワシントングループと申しますのは、障害者のデータを国際比較できるような統計手法を研究するために、非公式に組織された研究グループでありまして、国連統計委員会にも色々と報告をされていると伺っております。
資料7の1ページの2つ目の○に戻りますけれども、こういった議連の提言があったということもあり、障害者と障害のない者との比較を可能とするための障害者統計の充実について関係府省で検討を進めるために、内閣府で本年度予算に必要な調査を行うための経費を計上しております。その執行としまして、調査研究事業を委託するということで、野村総合研究所を委託先として決定して、そちらが受託をして事業を行っているという状況です。
2の本事業の実施体制及び現状ということでありますけれども、この事業の実施体制としましては、受託者の野村総研を事務局としまして、学識経験者6名、関係府省の職員、内閣府、総務省、厚生労働省の6名から成る検討チームというものを立ち上げまして、そこで色々検討を行っております。
この名簿につきましては、参考ということで後ろに付けておりますが、これも後で御参照いただければと思います。
こちらで障害の有無に関する設問を盛り込んだ試行的な調査を行い、調査結果の分析・検証を行うとともに、障害の有無に関する設問の在り方や、当該設問を設けて統計を充実することの政策的意義・必要性について議論を行って、報告書を取りまとめることとしております。
現在まで検討チームは3回実施しており、今までの議論を踏まえまして、試行的調査を実施するというのが現在の状況ということであります。
3のところで「試行的調査の概要」ですけれども、「質問文のわかりやすさなどの回答面での適切さ」や、「回答結果により得られる障害者数の規模などの集計結果の妥当性を評価するべく、障害者を捉える複数のパターンの設問等に実際に回答してもらう調査を実施する」ということを記載しています。
参考資料3を見ていただければと思いますけれども、9ページです。この調査研究事業では、障害者を捉える設問というものも研究するということで、従来の統計調査のような身体障害者手帳の所持といったものなどで障害者を捉えるということにとどまらずに、更にどういうものがあり得るかという観点から、障害者を捉える設問を検討しています。
この検討チームの議論におきましては、こうした障害者を捉える設問としまして、インクルーシブ雇用議連の提言にありましたワシントングループと言われる研究グループの作成した設問、それから、欧州統計局ガイドラインで定められています設問、また、ICFの考え方に基づきますWHODASと言われる設問、参考3に3つ記載しておりますけれども、こういった設問が基本的な候補ということで整理をされています。
いずれも身体的な機能障害のようなものだけでなく、生活における支障であるとか、しづらさといったものに着目をするといった設問となっています。詳細は、この資料に記載のとおりです。
参考4、10ページですけれども、こういった複数のパターンの設問があり得るわけですけれども、本事業におきましては、こういった複数パターンの障害者を捉える設問に実際に回答してもらう調査を行い、その結果を基に、2つの観点からどういった設問が良いのかを評価していくことになっています。
まず、参考4の上の部分、「設問の評価の観点」というところに記載がありますけれども、調査対象者にとっての回答の負担、質問文の分かりやすさ、選択肢の分かりやすさといったもので、適切に回答できるかということでの評価をまず行いたいということです。これは回答者に負担感などを尋ねることによって実施するということにしております。
下の部分は、障害者の割合の妥当性など、集計結果の妥当性の評価ということです。である設問によって余りにも多過ぎる人たちが該当するとなると、それは設問として余り適切でないということもありますので、集計結果の妥当性の評価というものも行っていくことになっております。
これらは実際の設問に回答してもらう試行的調査で行いたいということで、1ページに戻りまして、先ほどの3の2つ目の○ですが、一定の回答数を確保するということと、その実施に要する期間、多様な検討、設問の比較でありますとかクロス集計が可能であることを考慮しまして、インターネットにより、野村総研で登録されているモニターを確保されているわけですが、そのモニター調査を基本に実施する。
その詳細につきましては、下に書いていますが、サンプル数は約1万サンプル、うち障害者は約1,000サンプルを想定しております。
調査項目は記載のとおり、基本属性、次のページで、障害者を捉える設問及びその評価、日常生活、障害者関連制度の活用状況や雇用、労働などの状況といったことなど、30問程度の調査を実施するということで考えております。
あと、※で書いていますけれども、回答だけで捉え切れない部分は、自由記載欄を設けていますので、そちらで記載をいただくことのほか、回答された方のごく一部ですが、少数のグループインタビューも実施する予定となっております。
次の○ですが、「一方で」ということで、インターネット調査では捉えにくい障害者の方もいらっしゃいますので、そういった方も含めて一定の障害者の回答数を確保するという観点から、障害者を対象にインターネットモニター調査と同項目による紙面での調査を実施する予定としています。
サンプル数は、紙面調査につきましては、1団体10から20サンプル程度、総計で100から200サンプル程度ということになります。
こういったインターネット調査や紙の調査は両方とも同じ調査票を使うことを前提としているわけですけれども、一応その調査票がどういったものか、イメージが分かるように11ページにその抜粋を付けさせていただいています。
あくまで現段階の案ですので、まだ少し変わる可能性がありますが、障害者を捉える3つのパターンの設問の部分を付けておりまして、11ページがパターンAということで、ワシントングループの設問、パターンBがEUのガイドラインに即したもの、パターンCが先ほどのWHODASと言われるもの、こういったものを設問として実際に聞いてみるということと、最後の14ページですけれども、それぞれのパターンをやっていただいた上で、最も負担を感じなかったものはどれですかといったことなどの評価も合わせて聞いていくことにしております。
その下ですけれども、自由に意見を記入する欄を設けて、その他の意見も把握したいということになっております。
2ページに戻りまして、先ほどインターネット調査と紙の調査を予定したいということでしたが、この紙面調査につきましては、野村総研のほうでもどういった方にということがなかなか把握できないという面があります。このため、障害者政策委員会の委員の皆様が所属されている当事者団体でありますとか、家族会に御協力をお願いできないかということで、御協力を依頼して実施したいと考えております。
具体的には別添の12団体ということで、次の3ページに記載させていただいていますが、当事者や家族会の団体を記載しております。
2ページに戻りまして、こちらのそれぞれの団体に、受託者である野村総研を通じまして、各団体に回答者の選定というものを依頼いたしまして、提出いただいたリスト先に直接野村総研から紙面調査票を郵送して、後日回答を返送いただくことを想定している。選定数は、10から20人程度をお願いしたいということであります。こういった調査につきまして御理解をいただきまして、ぜひ御協力をいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
スケジュールにつきましては、最後に4で書いています。インターネットの調査につきましては、調査の実施を1月中旬に予定しており、紙面調査につきましては、こちらに記載のように中旬から、団体の皆様方に協力いただけないかという依頼を進めていくということであります。
事務局からは以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、質問のある委員は挙手をお願いいたします。
では、佐藤委員。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
2点あるのですけれども、まず、この調査をされた委員の方は専門家の方が中心で、当事者が入っていなかったというのはすごく残念だなと思いました。また今後こういったことをやられるときは、ぜひ当事者の方も入れていただきたいと思います。
2点目は、聞き取りの障害者団体なのですけれども、知的障害と精神障害の当事者の団体がここには入っておりませんので、ぜひ知的、精神の当事者団体も聞き取りを入れていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 御指摘ありがとうございました。次回はそのようにしていただけるといいなと思います。
次、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
これはとても大事な調査だと思います。また、このような調査を行った結果もとても大事です。その上で、各地方公共団体は障害者基本法に基づく障害者計画、障害者保健福祉計画などを作るときにはアンケート調査をしていますので、そういうところにもこの中の大事な項目を各地方公共団体で入れることによって、地域の特性とかが分かってくる。そういう活用の仕方もあるのではないかと思って、ちょっとお話をさせていただきました。
ここで障害がある人のサンプル数をたくさん採っていただいても、地域の特性を統計処理するだけのサンプル数ではないような気がしますので、このようなものを今度、地方公共団体と共有するということも考えられるのかどうかということを御検討いただきたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
河井委員、お願いします。
○河井委員 河井です。
質問です。調査に協力することはやぶさかではございませんが、サンプル数が1団体10から20ということで、数的にはそれほど多くない。私どもも、他の団体もそうですが、全国組織で10人ないし20人をどうやってその団体から選べばいいのかということを、依頼を受けたときにある程度示していただく必要があろうかと思います。地域の偏りがないように、各都道府県からばらけて選んだほうがいいのかとか、そういったことも併せて記載していただきたいということ。
あと、重度の場合に、本人はなかなかこの質問に答えられませんので、保護者が代理で記入することが可能なのかどうなのかということも確認していただきたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
他に御質問は。
久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。
この質問のパターンを見せていただくと、知的障害はこのままでは答えられる人は少ないだろうなと思います。障害の軽いとか重いというのもあるのですけれども、ここに書かれていることをそのまますっと理解ができて答えるというのはなかなか難しいと思いますので、この質問をこのまま出されるのかということを質問したいのです。
○石川委員長 御発言は全て御意見だったでしょうか。質問はありましたか。
○河井委員 質問は、結局私どもの団体で、重複の場合に本人が回答できないときに、保護者がそれを想像して回答することが可能なのかどうなのかということと、地域性も考えた形で10人ないし20人を団体からセレクトするのか、その辺のこと。
○石川委員長 ちなみに、質問の分かりやすい版みたいなものはどうですか。
○久保委員 それは今、久保のほうがお願いしているところです。
○石川委員長 では、河井委員と久保委員の質問に一旦事務局のほうでお答えいただいて、更にもうちょっと時間があると思うので、お願いします。
○衣笠参事官 事務局です。
先ほどの保護者が代わりにということは、仰るとおり、今回想定させていただいています。知的障害の方のようにお答えがなかなか難しい場合には、保護者の方が状況を見て代わりに書く。ただ、できる限り本人が何らか答えられる範囲では、本人の意向を聞いた上でできるところまではやっていただければ有り難いと思っています。
あと、地域の偏り、その他につきましては、どこまでお示しできるか分からないのですが、何らか参考になるものをお示しできるかどうか、考えたいと思っております。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、大河内委員、お願いします。
○大河内委員 大河内です。
今の久保さんの御質問にも少し関連するのかもしれませんけれども、インターネットを使ったモニター調査が実施されることになっていて、今、インターネットで調査することへの意義はよく分かるのですけれども、同時に、インターネットにアクセスできない、しにくい人もたくさんいるのかなと思っていて、この辺の実態というか、今後どのように幅広く意見聴取を行うのかということがちょっと気になりましたので、御質問をさせていただきました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
少し違う視点から、インターネットモニター調査について私からも質問をさせていただきたいのですが、インターネットで調査をする場合に、ウエブアクセシビリティに対応したインターネットのウエブページの造りにして質問をされるのかどうかということをお聞きしたいです。
というのは、それ以外の選択肢として紙ベースの質問がありますが、例えば視覚障害とか、盲ろうの回答者にとって、アクセシビリティというのは極めて問題があります。一方、インターネットについては、確かに使えないという方もいらっしゃるけれども、非常に得意としている方もたくさんいて、ただし、それはアクセシビリティに対応した設計になっているということが大前提になるので、そこはどうかということ。
ついでに、各団体10名というと、ある障害属性について10名程度、紙ベースで質問するということになっているのですけれども、何か統計的に有意なことがそのサンプル数ではとても言えないと思うのですけれども、今回の目的はそういうところにはないということなのかどうかを教えていただきたいと思います。
質問は以上でしょうか。
では、時間的なこともあるので、以上でお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
今のインターネットのアクセシビリティの話につきましては、既存のインターネットモニター制度を使うということもあり、どこまでできているかを確認したのですけれども、大変恐縮なのですが、現状は対応ができていないという面があります。ただ、一方で、新しくアクセシビリティのあるものを作るということになりますと、時間もかかって、この調査研究のスケジュールに間に合わなくなるということもありますので、紙ベースも併用するという面が生じております。
あと、紙の調査は、先ほど大河内委員からもありましたが、インターネットは使いにくいというか、インターネット調査では対象になっていないような障害者の方もいるということもありまして、紙調査も併用するということで今回やっているということです。これは検討チームの中でそういった御意見があったので、こういった結果で進めているということであります。
あと、10から20名程度という数が、少ないのではないかということでありますけれども、あくまで先ほど申し上げましたような、インターネットモニターの中では捕捉しにくいような障害者もこちらのほうで捕捉できるようにしたいということもあったので、こういったことで設定しております。
ですので、10から20名というところ自体に統計的な意味があるということではないということで、インターネットモニターと合わせて、データとして活用していくということになると思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
1万サンプルのうち1,000人が障害者サンプルということで、いろいろな条件で場合分けをして比較していこうとすると、1,000サンプルでも結構きついと思います。でも、予算的な問題もあるということで、やらないよりはやったほうが絶対にいいと思いますので、反対ということではないのですが、その点も少し懸念点としてあるということと、せっかく公共調達なので、アクセシビリティ非対応のインターネットでのアンケート調査のウエブアプリケーションしかないというのは実に寂しい話で、だからアクセシビリティ政策を進めていくとか、公共調達においてアクセシビリティ要件を入札要件にしていくということをしていかないと、いつまでたってもそういう技術を学ぼうというウエブのエンジニアが増えてこない。そういう機運は日本国内を見渡すとあるのですけれども、そういう業者が選ばれないということになると思いますので、また御検討いただければと思います。次回からはアクセシビリティ対応ということで、ぜひお願いしたいと思います。
それでは、時間となりましたので、今日はここまでとさせていただきます。
最後に、事務局から次回の日程等についての御説明をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
次回の障害者政策委員会でありますけれども、1月27日月曜日午後の開催を予定しております。障害者差別解消法の見直しに関する障害者政策委員会の意見の取りまとめの案について御議論いただくということで予定をしております。詳細につきましては、確定次第改めて御案内をいたします。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
あと一点、先ほど補足し忘れたのですが、阿部委員から御指摘のあったことは、非常に重要なので全国調査の中に組み込んでほしいというのは全く仰るとおりで、それは障害者権利条約が求めていることで、障害者統計の充実というのはそういうことなので、それを見据えての今回の施行的なものだと受け止めさせていただいたということでよろしいですね。
では、そういうことで、今日の第48回の障害者政策委員会は、以上で終了いたします。ありがとうございました。