障害者政策委員会(第52回)議事録

令和2年6月22日(月)
14:00~15:30
TKP新橋カンファレンスセンター ホール14A
(Web会議にて開催)

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○石川委員長 定刻になりましたので、これより第52回障害者政策委員会を開会いたします。
 委員各位におかれましては、御多用のところを御出席いただき、ありがとうございます。
 本日の委員会は15時30分までを予定しております。
 また、本日も前回に引き続きウェブ会議により開催いたします。
 なお、取材及び一般傍聴者は、新型コロナウイルス感染防止の観点から、本日もお断りをしており、代わりに動画中継を視聴いただく形としておりますので、御承知おきください。
 本日は、委員会の開催に当たりまして、衛藤晟一内閣府特命担当大臣にオンラインで御参加をいただいておりますので、衛藤大臣から御挨拶をお願いしたいと思います。

○衛藤大臣 内閣府特命担当大臣の衛藤でございます。
 委員の皆様には、大変お忙しい中、ウェブ会議にて御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、障害者差別解消法の施行3年後経過の見直しに関する意見書の案を最終的に確認し、取りまとめいただく予定でございます。昨年2月から精力的に御議論をいただいておりましたことに厚く御礼申し上げます。
 昨今、新型コロナウイルス感染症により、日常生活や社会経済活動が大きく変化しつつありますが、こうした中でも障害の有無にかかわらず分け隔てられることのない共生社会づくりを進めていくことは必要と考えております。そのためには、障害者差別解消法の見直しの検討を踏まえ、建設的対話の下での合理的配慮や相談体制の整備などを進めることは大変重要であると考えています。
 本日は残念ながら最後まで御議論を拝聴することはできませんが、障害者政策委員会の意見書の内容をしっかりと受け止め、政府として検討を進めてまいりたいと考えています。
 最後に、これまでの皆様の御議論に重ねて御礼を申し上げますとともに、今後とも御指導いただくことをお願い申し上げまして挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 衛藤大臣は所用のため、ここで退席されます。
 次に、事務局より委員の出欠状況について報告をお願いします。

○衣笠参事官 事務局です。  本日は、阿部委員、大日方委員、黒岩委員、平川委員、松爲委員が所用により欠席との連絡を受けております。

○石川委員長 ありがとうございました。
 議事に入る前に、ウェブ会議の留意点について事務局より説明をお願いいたします。

○衣笠参事官 事務局です。
 ウェブ会議の留意点について簡単に確認させていただきます。
 まず、会議中はカメラをオンの状態にしていただくようお願いいたします。
 次に、現在はマイクをミュートにしていただいていると思いますが、御発言の時以外はミュートの状態のままとしていただくようお願いいたします。また、御発言の意思表示は挙手ボタンでお知らせください。その上で、委員長の指名を受けた後にミュートを解除し、マイクに向かって御発言ください。発言が終わりましたらマイクを再びミュートの状態に戻し、挙手ボタンを降ろしていただくようお願いします。
 なお、本日は、システム上の問題があり、皆様方の顔を一覧で見ることのできるグリッド表示を使うと不具合が生じるおそれがあります。そのため、本日はグリッド表示を使わないようお願いいたします。
 画面表示の切替えで利用できるタイル表示は、最大16名まで映りますので、必要があれば代用していただくことは可能です。
 ただし、タイル表示でも映る人数が限られているため、画面上、挙手をしていただいても画面に映っていない可能性もございますので、挙手ボタン以外としましては、適宜の御発言で補っていただくことでお願いしたいと思います。
 次に、会議中に通信回線、音声通話が途切れるなどの問題が生じた場合や緊急の御連絡がある場合には、あらかじめ委員の皆様に御連絡した事務局の連絡先までお電話をいただければと思います。
 事務局からは以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 つまりは、挙手の意思表示は極力挙手ボタンでお願いしたいということです。挙手ボタンが使えない状態の方につきましては、手動で手を挙げていただいてもタイル表示の16人の中に入っていないと気が付かないので、チャット機能や声を発していただくなどの方法で挙手の意思を示していただくことで御理解いただきたいと思います。
 それでは、本日の議事に入ります。
 毎回のお願いとなりますが、御発言いただくときは挙手ボタンにより挙手をお願いいたします。委員長の指名を受けてから発言をお願いいたします。発言の際には、最初にお名前を名乗ってください。また、最初に結論を述べてください。あわせて、いつも以上にゆっくり分かりやすく、はっきりと御発言いただくようお願いいたします。また、できるだけマイクを近づけて御発言ください。
 それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○衣笠参事官 事務局です。
 本日は、前回の委員会における委員の皆様の御意見を踏まえまして、石川委員長に御相談の上で、障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見の再々修正案を作成いたしましたので、これについて御確認いただきたいと考えております。関係資料としましては、資料1-1、1-2を用意しております。
 次に、障害者統計の充実に係る検討結果について、事務局から御報告を申し上げたいと思います。関係資料としては、資料2を用意しております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、議題1に入ります。障害者差別解消法の見直しの検討について、委員会の意見の取りまとめを確定させる作業ということになります。本議題の趣旨は、前回の委員会で御提案がありました様々な修正意見等を反映した原案を、本日の委員会の場で最終確認し、障害者差別解消法の見直しに関する当委員会の意見書を採択するということにあります。
 それでは、事務局から前回の審議を踏まえた修正案の概要について説明をお願いいたします。

○衣笠参事官 事務局です。
 それでは、障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見の再々修正案について御説明いたします。資料1-2を御覧ください。こちらは、修正点を見え消しで示した資料となっております。こちらを用いて御説明をしたいと思います。
 まず1ページですけれども、「1.はじめに」につきまして、形式修正をして審議の回数を11回と修正しております。
 続きまして2ページですけれども、修正漏れがございまして、下のほうの(3)ですが、「国民一人ひとり」という言葉がありますが、この「一人ひとり」の後ろの「ひとり」ですが、漢字に修正する漏れがありましたので、修正をいただければと思います。大変失礼いたしました。
 続きまして3ページの「3.個別の論点と見直しの方向性」です。それぞれ論点ごとに「【見直しの方向性】」と書いておりますけれども、こちらにつきましては、後ろで出てきます「【見直しの考え方】」の記述を簡潔なものにした部分です。このため、「【見直しの方向性】」の四角囲みの中の部分につきましては、後の「【見直しの考え方】」の部分で説明をさせていただきます。
 4ページですけれども、「【委員から示された意見】」という部分を御覧ください。こちらにつきましては、前回の委員会での御意見を反映して修正、追加をしております。2つ目の○ですけれども、「そのまま用いるか修正した上で」という言葉を入れております。
 さらに、前回、障害者基本法の見直しの必要性を記載すべきであるといった御意見があったことを踏まえまして、その下の○ですけれども、「障害者差別解消法の見直しの議論の中で障害者基本法の見直しの必要性は明らかになってきており、その必要性を明確に打ち出すべきではないか」という意見を追加しております。
 続きまして、5ページを御覧ください。こちらは3つ目の○と、その下の○に、障害児ではなく障害のある子供たちという記載にすべきであるという御意見がありましたので、それを踏まえて「障害のある女性や子供等が」といった言い方に修正をしております。
 続きまして、次の6ページの4つ目の○ですけれども、前回の委員会で竹下委員からは、実質的には障害を理由として障害者でない者と不当な差別的な取扱いをすることも障害を理由とする差別となる旨という部分について、障害者でない者と比較して差別的取扱いとなる場合にも障害を理由とする差別になる旨というように修正すべきといった御意見がありましたが、基本方針の内容につきましては、今後議論をすることでもあり、また、ここでは、例えばという例示ですので、原案どおりとさせていただいております。
 続きまして、7ページの一番上の○ですけれども、同じく「障害のある女性や子供等への」という表現ぶりにしております。また、その下の「あわせて」というところですけれども、前回の委員会での障害者基本法の見直しの必要性についての議論を踏まえまして、石川委員長から修正案を前回提示していただきましたが、それを基に「障害のある女性や子供等の複合的困難に配慮したきめ細かい支援が行われるために、障害者基本法や障害者基本計画の見直しも含め更なる検討が必要である」という表現に修正をしております。
 続きまして、9ページの一番上の○ですけれども、前回の委員会で民間事業者による合理的配慮を義務化すべきという意見が改めて多く示されたということもあり、委員から示された意見として追加で記述しております。
 続きまして、同じページの4つ目の○ですけれども、こちらは前回、長谷川委員から義務化の検討に当たって意見を聴く対象について具体的な御意見もありましたので、それを踏まえた記載の追加をしております。
 続きまして、同じページの最後の○、10ページの一番上の○ですけれども、こちらも前回の野澤委員や玉木委員の御意見を踏まえた追加修正をしております。
 続きまして、14ページですけれども、相談体制のところの「【委員から示された意見】」の部分ですが、上から3つ目の○、それから、その下のほうの6つ目の○、7つ目の○ですけれども、これらは前回、野澤委員、長谷川委員、竹下委員からの御意見がありましたので、こちらに追加しております。
 続きまして、その次のページの「【見直しの考え方】」の部分です。相談体制の「【見直しの考え方】」、こちらの「① 地域における相談・紛争解決体制の見直し」の(ア)の役割分担の明確化の2つ目の○ですけれども、前回の委員会で竹下委員から、「この基本的な役割としては、例えば」の部分で、都道府県の役割ということで「市町村への情報提供や」の次に専門性を有する委員の派遣を入れるべきであるという御意見がありました。ただ、委員の派遣といった事業まで必要とするのかは、今後具体的に検討していく事項でもありますので、ここでは専門的・技術的助言といった支援を行うという修正をさせていただいています。  続きまして、16ページの2つ目の○です。「また」の部分ですけれども、石川委員長から前回の委員会で、国の役割をもう少し踏み込んで書けないかということで具体的に御提案をいただいた文案を反映しております。「内閣府が各省庁と協力・連携して全国の相談事例を収集・整理するほか」という文言を追加しております。
 それから、その次の○ですけれども、前回、国におけるワンストップ相談窓口の設置の議論がありまして、事務局からその際に提案した修正案ですが、「あわせて、相談のたらい回しを防止する等の観点から、国における新たなワンストップ相談窓口の設置や既存の相談窓口の効果的な活用、国・地方公共団体の役割分担の整理などを含め、どのような対応が可能かについて検討すべきである」という文言を追加しております。
 それから、その下の(エ)の部分です。前回、竹下委員から、(イ)の部分でマニュアルを作成することを明確にすべきではないかといった修正の御意見があり、また、こちらの(エ)の部分で人材の育成ということではなく専門性を有する者を含む人材の育成といった文言にすべきであるといった御意見をいただきました。
 マニュアルの作成につきましては、場所的には(イ)よりも(エ)のほうが沿うのではないかということで、こちらで記述をしまして、また、専門性につきましては、都道府県と市町村で求められる専門性のレベルや内容は異なる可能性がありますので、そういったことも勘案しまして、こちらではタイトルを「人材の育成及び業務の質の向上」というように修正をしました。その上で、「相談対応を担う者に対する研修やマニュアルの作成等を行うことにより、必要な専門性も有する人材の育成や業務の質の向上を図るべきである」という修正にしております。それ以外は表現上の修正、技術的な修正をしております。
 事務局からは以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 前回の委員会で各委員から提案された多くの意見が原案に反映されたと思います。事務局としても精いっぱい御尽力いただいたと思います。この内容を御確認の上、発言を希望される委員は挙手ボタンを押していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○玉木委員 玉木です。

○石川委員長 玉木委員、お願いします。

○玉木委員 今回、皆さんの意見を反映していただいたこと、委員長や事務局に本当に感謝したいなと思っています。特に関連の障害者基本法や障害者基本計画に関することまで触れていただいて、本当に感謝したいなと。今日もこうやって皆さん方に出ていただいたことも本当に有難く思うし、これまで意見を引っ張ってきたことについてはおわびしたいなと思っています。
 その上で、この意見書ができた後にきっちりと法案が改正されるまでに、幾度かやはり途中段階で、こういう形で法律を変えようとしているのだとか、そういう意見を述べる場も今後設定していただきたいなと思います。前回も言わせていただいたように、障害者差別解消法の改正というのは差別解消を進めていくための推進方策を進めていくのものだと私は理解しておりますので、引き続き幅広い論議が皆さん方、委員と事務局と委員長と一緒に進めていけたらいいかなと思っております。本当に今回で私はすっきりしました。ありがとうございました。

○石川委員長 玉木委員、ありがとうございました。
玉木委員の言われた今後の法改正のプロセスの進捗状況についてもそれぞれの段階でこの政策委員会にも御報告いただく、また、意見を述べる機会を提供してほしいという御意見については、事務局でも前向きに御検討いただきたいと思います。
 それでは、石野委員、お願いします。

○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 前回と比べると、先ほど玉木委員からのお話もありましたように、私としましても、きちんと整理をされ、つくられているというように思います。
 2つ意見があります。
 1つは、資料の11ページです。資料の1-1、見え消しではないほうです。「(3)相談・紛争解決の体制整備」の「(イ)相談体制の明確化等」の最後のところで「ICTを活用した」と書いてあります。今後、ICTが広まっていくと思いますので必要だと思うのですが、障害者としてもICTが得意な方もいらっしゃれば苦手な方もいらっしゃいます。例えば文部科学省の場合であれば、学校で子どもたちに対してICTの支援員を配置している取組があります。文部科学省だけではなく、他省庁でもICTの支援員のような体制を考えるべきではないか、というような文章を入れていただきたいと思っています。
 2つ目の意見です。資料の15ページからですが、相談についてはアクセスも大切だと思っています。皆さんも御存知のように、6月に電話リレーサービス法案が通りました。来年度中に実施されると思っています。電話リレーサービスをこれから国民に普及していかなければなりませんし、電話リレーサービスが聞こえない人も今後利用していくのですが、聞こえない人だけではなく、聞こえる人から聞こえない人に電話をするときに電話リレーサービスをもっと活用していくようになるよう、何かそういった文章を入れていただきたいと思います。
 この2つの意見です。以上です。

○石川委員長 表現についての具体的な提案はございますか。石野委員。

○石野委員 文章案は特にないのですが、ICTを活用するに当たって支援できるような体制、そのような文章を入れていただきたいと思います。

○石川委員長 ありがとうございました。後ほど事務局より御答弁をお願いしたいと思います。
 それでは、門川委員、お願いします。

○門川委員 門川です。
 お礼を申し上げたいと思います。前回、初めてのウェブ会議で時間もない中で、特に石川委員長は苦渋の判断をされてこのような意見書を取りまとめていただいたと思っています。これまで11回にも及ぶ会議の中でいろいろ議論を交わしながら最終的にこのような意見書を取りまとめていただいたことに対して、お礼を申し上げたいと思っています。
 私からは主に事業者に対する合理的配慮と相談体制の整備について意見を述べさせていただきました。この障害者差別解消法は、障害のある人たちとそうでない人たち、その間の垣根を取り除いてお互いが相互に交流していくために必要な法律と考えております。そのための一つの手段として合理的配慮があったり相談体制があったりするのだと思います。今後の見直しで今回の意見書を基に、よりよい法律の見直しに取り組んでいただきたいと思っています。どうか今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

○石川委員長 門川委員、ありがとうございました。
 続きまして、大河内委員、杉崎専門委員、竹下委員、辻委員の順に御指名いたします。
 まず大河内委員、お願いします。大河内委員、聞こえないのでアンミュートにしてください。
 御準備いただく間、順番を変えさせていただきます。それでは、杉崎専門委員、お願いします。

○杉崎専門委員 ありがとうございます。日本商工会議所の杉崎でございます。
 前回の会議で発言いたしましたとおり、事業者による合理的配慮の提供は義務化すべきではないという考えに変わりございません。その上で、本日の意見を申し上げます。
 まず、施行3年後見直しに関する意見案には義務化を検討すべきであると明記されておりますが、合理的配慮は多様かつ個別性が非常に高いため義務化を不安に思う事業者、特に中小企業が少なからず存在するものと認識しております。そもそも合理的配慮そのものに対する認知が十分とは言えない状況の中で、仮に義務化をするならば事業者にとって何がどのように変わるのか、具体的にどのような配慮をすることが義務化されるのかといったことを事業者のみならず、あらゆる主体が共通認識を持つことが非常に重要であると考えております。また、十分な周知期間や準備期間を確保することも不可欠であると考えております。
 さらに、共通認識の形成に向けて、内閣府は合理的配慮の周知、広報にこれまで以上に取り組んでいく必要がありますし、中小企業、特に小売業や飲食業等のBtoC分野の小規模事業者に対するソフト、ハード、両面の具体的な支援策を講じることが不可欠であると思います。義務化を議論するのであれば、これらのことをしっかりと担保することが前提であると思いますし、義務化の対象となる事業者、中小企業の実態を十分に踏まえることが必要だと思いますので、こういったことをぜひ報告書にも明記していただければ幸いです。御理解のほど、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○石川委員長 杉崎専門委員、ありがとうございました。
 杉崎専門委員の御意見につきましては、後ほどコメントさせていただきたいと思いますし、また事務局からも御答弁をいただきたいと思いますが、次に大河内委員、お願いします。

○大河内委員 すみません。改めまして大河内です。
 私も事業者の合理的配慮の義務付けについてずっと主張してきて、今回、踏み込んでいろいろ書いていただいて本当にありがとうございます。お礼申し上げます。
 前回、野澤委員からも御指摘をいただいて、ここにも記載いただいていますけれども、やはり建設的な対話というのをどんどん進めていくということを踏まえて、この場でもありましたが、利用する利用者の当事者と、それから、提供する事業者という対立項で話を進め過ぎてしまったなというところはちょっと反省だったなと思いまして、まずそのことをおわびしたかったということと、私もバリアフリーを研究してまいりましたので、そういう意味も含めて、今後具体的な事業者の不安等についても各委員から御意見をいただいてその実情も分かりましたので、そこを前向きな議論として今回の取りまとめを踏まえて次の展開に生かしていければなと思っております。
 あとは門川委員が仰ったこととほとんど同じですので、私からは以上です。ありがとうございました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、竹下委員、お願いいたします。御準備に少し時間がかかるようでしたら、順番を変えさせていただきます。
 では、辻委員、お願いします。

○辻委員 和泉市の辻でございます。声は聞こえていますでしょうか。
 これまでも非常に大きな課題になっています事業者の合理的配慮の義務化について、地方自治体の立場として少し意見を申し上げたいと思います。
 我々、地方自治体としましては合理的配慮の義務化ということで、その規模の大小にかかわらず取組をしているわけでございますが、やはりその内容につきましてはマンパワーも必要ですし、財源的も必要ということで大きな自治体と小さな自治体の格差というものはかなりありまして、そういう中で取組を進めておりますので、自治体といたしましては、企業の方々の理解というものが必要になってきます。
 当然、いつかの時点で義務化も決定していただきまして、共にインクルーシブ社会、共生社会の実現に取り組んでいかなければならないというようなことでございますが、今の時点でいろいろと他の自治体の方々のお話も聞く中で、現状といたしましては、地方自治体、非常に職員数を絞っていろいろな業務に当たり、また、その業務の多様化でありますとか複雑化で人員が足らない、マンパワーが足らないという中でありまして、もし、この時点で事業者の合理的配慮の義務化ということが図られれば、当然紛争の解決や事前的改善措置の促進に当たって事業者の内部規制、規約、規則やマニュアル改正の検査等を自治体として行っていく必要がありまして、そういう場合に障害者福祉担当だけではなくて、やはりその専門部署、建築でありますとか、また医療でありますとか、いろいろな担当部署にも非常に大きな負荷がかかっていくという中で、現状といたしましては、国のほうは重層的な支援という重層的な役割分担というようなことで国、大阪の場合でしたら府、市、町村ということで役割を分化して国のほうもその役割を果たすということなのですけれども、数年前とあまり財源的にも人的な部分でも支援が充実されていないということが現状でございまして、もう少し国のほうでしっかりとした地方自治体に対する支援をしていただく中で事業者の合理的配慮の義務化というものの実現を検討していって法制化していくという、そういうプロセスを取っていただきたいというように思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、竹下委員、準備ができましたらお願いしたいのですが、まだのようでしたら、佐保委員と佐藤委員が発言を求めていらっしゃいますので、まず佐保委員、次に佐藤委員、お願いします。

○佐保委員 ありがとうございます。
 まずは再々修正案について確認、議論する場を設定していただいたことについて、石川委員長を始め事務局に感謝申し上げます。その上で、障害者差別の解消に向けて大きく前進させるために、改めて4点について意見を申し述べたいと思います。
 まず1点目として、資料1-1の3ページの最後に「障害者基本法や障害者基本計画の見直しも含め」と追記されたことについて、今後は具体的な日程を明示し、障害者基本法の見直しを図るようにお願いします。
 次に2点目として、事業者による合理的配慮の義務化について資料1-2の9ページに「障害者が安心して生活を送るために社会における合理的配慮を進める必要があり、また障害者差別解消法の施行から既に4年が経過していることから、事業者による合理的配慮の義務化を明確に打ち出すべきである」と委員の意見として追記されたものの、7ページの「【見直しの方向性】」には何ら記載が加えられておりません。改めてこれまでの多くの委員の意見を生かすためにも、障害者政策委員会として事業者による合理的配慮の提供を義務化するということを明確に打ち出すべきではないかと考えております。
 3点目として、前回申し上げた障害者差別解消法の今後の見直しについて、現行の法附則7条の規定と同様に、今回の見直し後3年を経過した場合において検討見直しの規定を法律に明記することを検討していただきたい。
 4点目は、今後の法案提出までのスケジュールと法案の準備状況や内容について障害者政策委員会に報告し議論できるようにしていただきたい。
 最後に、障害者政策委員会の在り方について一言申し上げたいと思います。多くの委員から出された意見について、こういう意見があったで終わらせることなく、常に障害者差別の解消を前進させることにつながる内容となっているかという観点で運営の見直し、改善を図るようにお願いします。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
 国における取組としてワンストップ相談窓口と担当課長会議について明記いただき、ありがとうございます。石川委員長、衣笠参事官をはじめ内閣府の皆様に感謝申し上げます。
 たくさんの意見を取り入れていただいて非常にいい内容になったのではないかというように思っております。相談のたらい回しを防ぐ上で、このワンストップ相談窓口と担当課長会議は極めて重要でとても期待しております。ぜひ国においてワンストップ相談窓口が設置されるように法案の検討を進めていただきたいと思います。
 もう一つ、これは今の議題とはちょっとずれるのですけれども、以前、障害者権利委員会に対して政策委員会としてレポートを出すというお話があったかと思います。事前質問事項の政府の回答期限が9月28日に延期されましたが、政策委員会としての議論についてはどういうように進めていくかということを最後で構いませんのでぜひ教えてください。
 以上です。ありがとうございました。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、竹下委員、いかがでしょうか。
 それでは、先に事務局から、特に石野委員、杉崎専門委員、佐保委員あるいは佐藤委員などからの御提案というか御意見について御発言をお願いいたします。

○衣笠参事官 事務局です。
 それでは、順番にお答えしたいと思いますけれども、まず石野委員からICTの支援員を設けるといった体制の話を記載してほしいとの御意見ですが、体制まで求めることを明記していくのは、かなり相談体制として負荷も大きいような話になり、また、可能な範囲で配慮する中の一部分でもありまして、ご指摘の部分でそこまで書き込むのは難しいのではないかと考えております。
 それから、その前の○の相談へのアクセスの関係で電話リレーサービスのことを明記してほしいということですけれども、アクセスということの中でなじむのかという話もありますし、あとはアクセス向上の取組は様々なものが想定されるわけですので、その中で電話リレーだけ特に打ち出すということもバランス上も難しいのではないかということで、原案のままにさせていただければと考えております。
 それから、杉崎専門委員から合理的配慮の義務化の関係で御意見をいただきまして、そちらを今回明記してほしいということですが、本日御意見をいただいた内容につきましては既に書き込んでいるものでありまして、例えば9ページの「【委員から示された意見】」の中でなかなか理解が十分にされていないということから「引き続き努力義務とし」といった文言も入れさせていただいています。また、その下の○でも、仮に義務化する場合には十分な周知徹底の期間を設けることが必要といった文言も入れさせていただいております。
 そのほか、「【見直しの考え方】」の合理的配慮の部分ですけれども、「①事業者による合理的配慮の適切な提供の確保」のところの2つ目の○でも、事業者側からは合理的配慮は個別具体的に検討されるべきものであるために、その判断は難しいとの懸念、さらなる方策が必要との意見も示されていることも明記していますので、この原案のままにさせていただければと考えております。
 それから、辻委員から自治体への支援も考えてほしいということですけれども、今後、どういった形で進めていくのか、そのときの必要な支援策とは何かといったことにつきましては、これから関係省庁とも協議をしながら、我々としても検討していきたいと考えております。
 佐保委員から障害者基本法の見直しにつきまして期限などを明記してほしいということでしたけれども、これも前回や前々回に障害者基本法の見直しの必要性について言及すべきという御意見について申し上げたことですが、やはり障害者基本法につきましては障害者基本計画の策定作業等を通じ、一つ一つ事実関係や課題を把握した上で、そうした課題に対してどのように対応するのかということを考える、検討することが必要であると考えておりまして、いきなり障害者基本法の見直しというものが必要となると一足飛びになるものではないと考えています。そこは現行法の下で、施策として何が対応できるのかといったことや、個別法で対応できるのかどうか、個別法の改正が必要なのかなどといったことも議論されるべきであると考えていますので、この障害者差別解消という一面から見たことのみで障害者基本法について書き切るというのは難しいと考えています。
 合理的配慮の義務化を明確に打ち出すべきということにつきましては、これも今までいただいた御意見や事業者側の委員の御意見も踏まえて今のような形の見直しの考え方の記載ぶりにさせていただいていますので、御理解をいただきたいと思います。
 法律に検討規定を明記してほしいということにつきましては、法制面については、今日、もし意見書が取りまとまれば、今後、政府において具体的に法制面を含めて検討していくので、個別具体の話をここで書き切るというのはなかなか難しいと考えます。
 法案にする場合の政策委員会の関与については、今後また検討していきたいと思いますけれども、適切に議論の進捗、内容に応じて御報告するものと考えております。
 佐藤委員の事前質問事項への回答の関係ですけれども、事前質問事項の回答期限については9月28日と聞いておりますが、国連の審査のスケジュールとの関係で、提出期限自体もまだ流動的な面があると聞いているところです。提出期限との兼ね合いは見つつ、適時適切に障害者政策委員会に御報告をしたいと考えております。
 事務局からは以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員のマイクがまだ機能しないようなので、チャットで御意見をいただくことは可能でしょうか。竹下委員。

○衣笠参事官 事務局ですけれども、電話で今、連絡を取ろうとしているところです。竹下委員とは引き続き調整をさせていただければと思います。

○石川委員長 分かりました。
 杉崎専門委員が挙手ボタンを押していらっしゃるようなので、御発言をお願いします。

○杉崎専門委員 ありがとうございます。
 ただ今、事務局から私の発言に対する御返答を頂戴いたしました。しかしながら、先ほど発言させていただいた中で、例えば小売業や飲食業の方から義務化に対する不安の声が聞かれていることも事実でございます。したがいまして、内閣府が各省庁とも連携を基にソフト、ハード、両面の具体的な支援策を講ずることが非常に重要であり、不可欠であるということにつきましては、この報告書の中の「【委員から示された意見】」の中にぜひ明記をしていただきたいと思いますので御検討いただければと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 事務局、いかがでしょうか。

○衣笠参事官 事務局です。
 今の支援の必要性につきましては、資料1-1の溶け込みのほうですと9ページの下から3つ目の○ですけれども、こちらで事業者への理解や取組を促すためということで、専門家による相談や助成金等の支援を行うことについて検討すべきであるといったことで、これは「【委員から示された意見】」という部分ですが、こちらで記載をさせていただいております。
 以上です。

○石川委員長 竹下委員からの意見をまだこちらに伝えていただける環境が整っていませんが、これは委員の責任というより今回導入しておりますシステムの問題も絡んでおります。このため、議題1の最終的な採択は最後にさせていただき、議題1についての議論は竹下委員からの意見を待って、そこで竹下委員から強い反対意見とか修正提案がなければ採択というプロセスに入っていきたいと考えております。それを踏まえまして、ここで先に次の議題2に一旦移行し、また戻ってきたいと考えておりますが、皆様、よろしいでしょうか。

○石川委員長 それでは、議題2の障害者統計の充実に関する検討結果について、事務局から報告をお願いします。また、本日は厚生労働省並びに総務省からも御出席いただいておりますので、事務局に続いて御発言をいただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
 まず事務局、お願いいたします。

○衣笠参事官 事務局です。
 それでは、資料2の「令和元年度障害者統計の充実に係る調査研究事業報告書(概要)」について御説明をさせていただきます。
 本事業ですけれども、昨年12月の政策委員会で、途中経過も御報告申し上げたわけですが、今回、報告書が取りまとまったため、御説明をさせていただきます。
 資料2の「1.調査研究の背景と概要」のまず「(1)調査研究の背景・目的」ですが、障害者権利条約において障害者統計の充実が求められているほか、議員連盟でも「障害者と障害の無い者との比較」を可能とする統計データの整備が不十分であるといった課題が示されている状況です。
 こうした状況の下で、内閣府におきましては昨年度、調査研究の予算を計上しまして、野村総合研究所に委託し、我が国の統計調査に導入可能な障害者を捉える設問について検討することを目的として、調査研究を実施したということです。
 具体的には5ページの別添1ですけれども、この調査研究に当たりましては、学識経験者、関係行政機関の職員と事務局からなる検討チームをつくりまして、そこでの議論を経ながら調査研究を行ったということです。
 続きまして、1ページの「(2)調査研究の概要」です。本調査研究では、どのような障害者を捉える設問というのがあり得るのかという、障害者を捉える設問に関する調査と国際的な動向に関する調査らの2つを柱として実施しております。障害者を捉える設問に関する調査では、国際的に用いられております以下の3つの設問セット①~③について評価分析を行っております。
 1つは①のワシントングループがつくっております設問セット、それから、②の欧州統計局がEUの加盟国に提示していますガイドラインで用いられている最小欧州健康モジュールという設問セット、③の世界保健機関(WHO)が開発した設問セット、この3つについて調査をしました。
6ページに別添2として参考で付けさせていただいておりますが、「1番がワシントングループの設問であり、日常生活で苦労していることについてお答えくださいという設問になっています。6つほど質問文がありまして、例えば、「眼鏡を使用しても、見えにくいといった苦労はありますか」という質問文があり、回答の選択肢で「苦労はありません」、「多少苦労します」、「とても苦労します」、「全く出来ません」から1つ選ぶといったものです。
 それから、欧州統計局の設問につきましては、下の2番で書いてあるものですが、特に問3「健康問題により、日常の一般的な活動に支障があるかについて、お答えください」という設問です。こちらでは「1.非常に支障がある」、「2.ある程度支障がある」、「3.全く支障がない」のどれかから選ぶということと、さらにこの1番と2番に該当した人に対し、6か月以上継続しているかを聞く問3-1の設問です。こちらで障害者に該当するかどうかというのを判断していく包括的に聞く設問になっております。
 7ページの「3.WHODAS2.0」はWHOがつくったものですけれども、これは更に細かい質問で、12個ほど質問があります。ただし、WHODASにつきましては、7ページの「(参考)障害者として捉える定義」で書いていますけれども、この質問への回答に関して国際的に何をもって障害者に該当するかという定義が存在しないということですので、具体的な検討候補にはなりにくいということです。
 戻りまして2ページですけれども、「2.障害者を捉える設問に関する調査」です。「(1)調査の視点と方法」ですけれども、障害者を捉える設問について評価を実施するために、先ほどの3つの設問セット、それぞれに実際に回答してもらうインターネット調査などを実施しております。その結果につきましては、下の①~④に書かれています観点で評価分析を行っております。
 ①が代替性と言われる公的障害者制度を利用している者をどの程度捕捉できるかということ、②の補完性は、公的障害者制度を利用していない者であるが、支援等が必要な者をどの程度新たに捕捉することができるかということ、③の有意性は、それぞれの設問で「障害のある者」と「障害のない者」について、日常生活の支障や就労状況などの結果に差異が生じるかといったことなど、④で回答のしやすさということで、回答における負担や質問文の分かりやすさなどを評価することにしております。
 調査の方法は、下のア)~ウ)で書いていますが、1つはインターネット調査ということで、インターネットモニターにウェブ画面上で調査を実施する手法で、モニターとして登録した者のみを対象にしており、サンプルは23,210名です。
 それから、次にイ)で紙面調査ということですけれども、インターネット調査では捉えづらい可能性のある多様な障害当事者のサンプルの確保を目的に紙面での調査を実施することにしました。インターネットモニターですと重度障害ですとか知的障害の方が少ない可能性もありますので、こういった紙面調査で補うことにしまして、その際には、昨年12月の政策委員会でもお願いをしたわけですけれども、政策委員会の委員が所属されている団体の皆様方の協力も得て実施させていただきました。こちらのサンプルは209名です。
 あとはグループインタビューも実施しております。
 次に、「(2)調査結果に基づく評価分析」ですけれども、先ほど申し上げたとおり、WHODASは障害者の定義が定められていないということで、現状では設問として導入することが難しく、ワシントングループの設問と欧州統計局の設問が具体的な検討対象となったということです。
 こちらの調査結果につきまして、具体的な数字は3ページの図表でまとめておりますけれども、時間の関係もありますので、説明は割愛をさせていただきます。
 全体の結論から申し上げますと、この調査結果の数値につきましては、先ほど申し上げた調査の視点の代替性、補完性、回答のしやすさといった点では大きな差はなかったということです。
 それぞれの特性等ですけれども、それは2ページの一番下の「有意性については」というところで書いておりますが、ワシントングループにつきましては障害種別や程度について分解可能な形で把握・分析を実施する場合には適している一方で、精神障害等を捉えたい場合には情報の補完方法を検討する必要があります。
 一方で、欧州統計局の設問に関しましては、こちらも同様に「有意性については」と書いておりますけれども、障害種別にかかわらず具体的な健康問題により活動制限が継続して発生している者を捉える場合には適しており、例えば難病などの方などもこちらのほうが捕捉しやすく、就労に係る状況・希望について把握する場合にも有用であるということがあります。ただし、障害種別の分解ができないといった限界もあることを記述しております。
 次に、3ページの「3.国際的な動向に関する調査」でその結果を書いています。「(1)国際機関の動向」ですけれども、国連統計委員会や障害者権利委員会はワシントングループを推奨しているような動きがあり、それを具体的に記載しています。
 次に4ページの一番上ですが、欧州委員会につきましては、加盟国の欧州共通の統計調査への欧州統計局の設問の導入を促している一方で、欧州連合・所得と生活状況に関する調査、日本の国民生活基礎調査に相当するようなものと伺っていますが、それには2022年からワシントングループの設問を導入する動きもあるということを記述しております。
 また「(2)主要先進国の動向」ですけれども、G7を構成する主要先進国では、障害者を捉える設問が大規模な統計調査に導入されています。ワシントングループにつきましてはアメリカ・カナダで導入されていて、カナダではワシントングループと欧州統計局の設問を組み合わせたような独自のやり方をしています。
 欧州ですと欧州統計局の設問やそれに含まれる国際活動制限指標という部分ですけれども、これは欧州連合の主要先進国の大規模統計調査で用いられている事例が多いということですが、ただ、それを実施していても、国連障害者権利委員会からは、障害を含む分解されたデータの収集・集計を行うよう勧告も出されているという状況もあるということです。
 「4.今後の障害者統計の在り方(まとめ)」ですけれども、障害者を捉える設問に関する調査の結果、ワシントングループの設問と欧州統計局の設問、これを総合的に見ますと、代替性、補完性、回答のしやすさには大差がないため、どちらの設問を用いるかの判断の上では、有意性につながる両設問の役割や特性等を踏まえた上で導入を検討することが求められるとしております。
 「また」というところで、国際的な動きの部分ですけれども、国連統計委員会や障害者権利委員会におきましては、障害種別等による分解可能なデータなどが求められていることや、欧州委員会においてMEHMという欧州の設問を導入した設問票が用いられている一方で、EU-SILCでワシントングループの設問を活用しようとする動向等があるといったことも記載しています。
 以上を踏まえ、2022年度までの実施をめどに、例えば国民生活基礎調査や社会生活基本調査といった既存の基幹統計調査等について、障害者を捉える設問を導入すること及びその場合の具体的な設問の在り方を検討することが望まれるとしています。
 その際にはということですけれども、国際的な動向との整合性や障害種別・程度に応じた把握・分析が一定程度可能であること等に鑑みると、ワシントングループの設問の活用可能性をまずは検討することが望ましい。一方で、今回の実査の結果から、就労状況の側面等を重視する場合に欧州統計局の設問を用いることや、カナダのようにそれぞれの設問を組み合わせることなど、導入する基幹統計調査等の特性や制約に合わせた調査の設計を検討することが適切ということで、各統計調査では、それぞれ統計調査の目的や紙幅、既存の設問との関係ですとか、回収率への影響も鑑みながら考慮して検討していく必要がありますので、「一方で」といったことの記載もしています。
 最後に、この調査結果を踏まえて関係省庁で具体的な検討が行われることを期待したいという記述をしています。
 事務局からは以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、引き続き、国民生活基礎調査を所管されている厚生労働省から御発言をいただきたいと思います。

○厚生労働省 厚生労働省政策立案総括審議官をしております山田です。
 今、内閣府のほうでまとめていただいた報告書については、今後、国民生活基礎調査の調査票を設計していくに当たって、それを踏まえて検討させていただきたいと思います。調査研究事業報告自体はワシントングループの方式、EUの方式、双方について、どちらかを優位とする判断にはなっていないと思いますので、今後、国民生活基礎調査は基幹統計でありますので、社会保障審議会ですとか総務省の統計委員会等において具体的な質問内容、回答の選択肢、先ほど衣笠参事官から説明のあった統計学的な問題等もそこで審議していただく。統計の中立性、信頼性についてそこで議論していただくことになりますので、そういうプロセスでこれから統計を確定させていきたいと思っております。

○石川委員長 ありがとうございました。前向きに検討していきたいというお話であったかと思います。
 それでは、社会生活基本調査を所管されています総務省から御発言をお願いいたします。

○総務省 社会生活基本調査を担当しています総務省統計局の須藤と申します。
 この名前が挙がっております社会生活基本調査に関しましては、5年に一度実施しておりまして、次回の調査は来年の10月を予定しております。これは時間の使い方を調べる調査でございまして、諸外国のタイムユーズ・サーベイに相当するものでございます。こちらにつきまして、次回の調査でこちらの報告書にあるような障害に関する設問を取り入れる方向で検討を進めているところでございます。詳細に関しましては先ほど厚労省も話しておりましたけれども、統計委員会で審議をいただく予定となっております。
 私からは以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、各委員からあまり多く時間を取ることはできませんが、御質問、御意見等がございましたら挙手ボタンを押していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、せっかくの機会ですので私のほうから総務省に質問をさせていただきたいのですが、国連障害者権利委員会は統計調査の専門家がいないということもあるかもしれませんけれども、比較的シンプルに、センサスに障害に関する質問項目を入れるように勧告を出すことが多いように理解しているのですが、その技術的な問題点であるとか、それが難しい理由等々について、あるいは可能性についてはいかがかという質問をさせていただきたいと思います。

○総務省 総務省統計局でございます。
 国勢調査、すみません、私は直接の担当ではないので確たることは言えないのですけれども、国勢調査のほうもいろいろな研究会や審議会がございまして、そちらで種々検討をしています。先ほど委員長が仰ったとおり、センサスですので1つの調査事項を入れる、外すというのも非常に慎重なプロセスをしているのは事実でございますけれども、今のところでは、私のほうから確たることは言えないので申し訳ございません。

○石川委員長 例えばUSセンサスは障害についての質問が入っていますし、他のG7やG20の中でもセンサスに障害についての質問を入れているところはないわけではないと思います。とはいえ統計学的に十分なサンプルがあれば全数調査である必要はないかと思いますので、私としては柔軟に考えているのですけれども、議論として蓄積ができたらいいなと思っております。
 竹下委員、この障害者統計についての御意見、質問であれば御意見をいただきたいと思います。

○竹下委員 竹下です。今度は聞こえていますか。

○石川委員長 はい。聞こえます。

○竹下委員 すみません、先ほどの報告書で統計のことで1点だけぜひ教えていただきたいことがあります。それが、総務省で来年行われる調査について障害についての項目について今後検討するという話がありました。そうなってくると、障害者の関係での統計が省庁によって行われる目的や年度ごと、あるいは検討された時期によって項目がばらばらになっていくか食い違って比較できないものになってくるのではないかということを心配しております。
 これまでも厚生労働省の統計でも、例えば労働に関する統計と、国勢調査の統計とを照らし合わせても実態を分析するのに全く違う項目が調査項目になっているために役立たなかったりすることが起こっていたと思うのです。そういう意味で、今後、そうした統計調査が行われた際には、他の調査項目とのつながり、あるいは分析等ができることをもぜひ技術的に検討いただいた上で、そうした項目立てをお願いしたいということです。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 厚生労働省や総務省から、今の竹下委員の発言について御発言はございますでしょうか。そうしましたら、本日の御報告は以上とさせていただき、また、本日、各委員からありました質問や意見等につきましても検討の参考にしていただければ有り難く思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題1に戻りたいと思います。竹下委員の御意見をお聞きしたいと思います。

○竹下委員 竹下です。
 既に委員長がまとめられているので今さら意見を言うのは何となく間抜けとなってしまいましたが、結論としては修正する意見はありません。この報告書で了解です。それを前提に二、三、意見を述べようとしていたのですけれども、1つに絞っていきたいと思います。
 それは2ページのところで「2.3年後見直しに当たっての基本的な考え方」として、「(1)条約の理念の尊重及び整合性の確保」の終わりに、条約との一層の整合性の確保を図る観点から見直しを行うことが重要であるとされています。ところが、実際には今回議論されたのは4点に絞られたということであります。
 例えば報告書でいいますと3ページの3の(1)に入る直前の前文のところで、見直しに関する特に議論が必要な論点を整理したとあるわけですが、これ以外にも委員からは見直しについてのたくさんの意見が出ていました。それらについては今回議論されなかったということをきちっとやはり記録に残した上で、それらが障害者権利条約との整合性を考える上では必要でなかったということではなくて、それは必要性があったかもしれないが、それについては、今回は論点として議論されなかったということが極めて私は重要だと思っております。そういう意味では、今回議論されなかった委員から出された他の点についての障害者権利条約との整合性に密接に関連する論点についても、今後、その議論の機会をいただくことをお願いしたいと思っております。
 あとは特に付け加えることでもないので省略します。以上です。

○石川委員長 竹下委員、ありがとうございました。
 最後に竹下委員が仰ったことは大変重要で、条約との整合性を確保し、条約の国内実施を進めていくというのが非常に重要で、その観点からも、繰り返しになりますけれども、合理的配慮の義務化は避けて通れないことで、そのためのいろいろな条件整備を行いながら進めていくという以外の道は考えられない。また、政策委員会としての見直しの意見書としてもそれ以外のことは考えられないということを、委員会を代表しましてもう一度申し上げたいと思います。
 それでは、本日、冒頭で事務局より示されました原案を委員会全体として採択したいと思いますが、よろしいでしょうか。原案に全員御賛成いただけるということで理解してよろしいでしょうか。それでは、障害者差別解消法の見直しについての政策委員会の意見書は本日の原案をもって確定とさせていただきます。ありがとうございました。
 それでは、本日用意しておりました議題は以上となります。
 最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。

○衣笠参事官 事務局です。
 先ほど委員長からもお話がありましたように、こちらの障害者差別解消法の見直しに関する政策委員会の意見につきましては、今後、確定版を皆様にお送りしたいと思います。
 また、次回の政策委員会の開催時期につきましては、国連障害者権利委員会の審査スケジュール等、諸状況を考慮しつつ、また調整をさせていただきたいというように思います。
 以上です。

○石川委員長 以上をもちまして第52回障害者政策委員会を終了いたします。ありがとうございました。