障害者政策委員会(第53回)議事録

令和2年12月14日(月)
13:00~16:15
中央合同庁舎8号館1階講堂
(Web会議にて開催)

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第53回障害者政策委員会を開会いたします。
 委員各位におかれましては、御多用のところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の委員会は、16時15分までを予定しております。
 また、本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためウェブ会議により開催しております。
 なお、取材及び一般傍聴者は感染防止の観点からお断りをしまして、その代わりに動画中継を視聴していただくこととしておりますので、御承知おきください。
 本日は、委員会の開催に当たりまして、坂本哲志内閣府特命担当大臣に御出席をいただいておりますので、坂本大臣から御挨拶をお願いしたいと思います。

〇坂本大臣 本年9月に、障害者施策を担当いたします内閣府特命担当大臣を拝命いたしました、坂本哲志でございます。どうかよろしくお願いをいたします。
 障害者政策委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
 石川委員長を始め、委員の皆様方におかれましては、本日は御多用のところ、本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 障害の有無にかかわらず、誰もが生きがいを持ってその能力を存分に発揮できる社会を実現するため、政府においては、第4次障害者基本計画に基づきまして、多岐にわたる分野で障害者施策を総合的に推進してきましたほか、障害者差別解消法の円滑な施行に努めてまいったところであります。
 こうした我が国の障害者施策におきます重要な取組を進めるに当たりまして、皆様から貴重な御知見を頂いており、心から御礼を申し上げます。
 特に、障害者差別解消法の施行3年後の見直しの検討に当たりましては、皆様に約1年半にわたり御議論をいただき、本年6月に意見書を取りまとめていただいたことに深く感謝をいたします。
 本日は、令和元年度における第4次障害者基本計画の実施状況につきまして御審議いただくとともに、障害者差別解消法の施行3年後の見直しについて、本年6月に本委員会で取りまとめられました意見書を踏まえた、政府における検討状況について御報告することを予定しております。
 皆様には、本日も忌憚のない活発な御議論をいただきますようお願い申し上げまして、私からの御挨拶に代えさせていただきます。
 本日はありがとうございます。

○石川委員長 坂本大臣、ありがとうございました。
 坂本大臣は、公務のためここで退席されます。
 次に、事務局に異動がございましたので、一言御挨拶いただきたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

〇三上統括官 本年の8月に、内閣府の障害者施策を担当する政策統括官に着任いたしました三上と申します。事務局としてこの政策委員会の審議が充実したものになるように、しっかりお支えしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。

〇難波審議官 同じく本年8月ですけれども、田中審議官の後任として警察庁より出向して着任をいたしました難波と申します。
 非常に重責で、身の引き締まる思いで日々勉強しております。何とぞ委員の皆様方にはよろしくお願い申し上げます。

○石川委員長 三上統括官、難波審議官、ありがとうございました。
 次に、事務局より委員の出欠状況について御報告をお願いしたいと思います。

〇衣笠参事官 事務局です。
 本日は石野委員、大日方委員、加藤委員、門川委員、黒岩委員、長谷川委員、杉崎専門委員が所用により欠席との連絡を受けており、野澤委員が遅れて参加されると伺っております。
 また、北岡委員におかれましては、御本人のお申出により11月24日付で辞任されましたことを御報告申し上げます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 議事に入る前に、ウェブ会議の留意点につきまして、事務局より御説明いただきたいと思います。

〇衣笠参事官 事務局です。
 ウェブ会議の留意点について簡単に確認をさせていただきます。
 まず、会議中は、カメラをオンの状態にしていただくよう、お願いいたします。
 次に、現在は、マイクをミュートにしていただいていると思いますが、御発言のとき以外はミュートの状態のままとしていただくよう、お願いいたします。
 また、御発言の意思表示は、チャットメッセージで挙手と入力し、送信アイコンをクリックすることにより行ってください。
 その上で、委員長の指名を受けた後にミュートを解除し、マイクに向かって御発言ください。発言が終わりましたら、マイクを再びミュートの状態に戻していただくよう、お願いいたします。
 会議中に通信回線や音声通話が途切れるなどの問題が生じた場合や、緊急の御連絡がある場合には、あらかじめ委員の皆様に御連絡した事務局の連絡先までお電話いただければと思います。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、本日の議事に入ります。
 まず、発言ルールの確認ですが、発言の際はお名前を名乗っていただき、できるだけ最初に結論を述べた上で、理由または説明を加えるようにしていただけると有り難く存じます。
 あわせて、ウェブ会議ということで、いつもにも増して、ゆっくり分かりやすく御発言をいただくよう、お願いいたします。
 また、できるだけマイクを近づけてということですが、ヘッドセットを適切にお使いいただきましてお話をいただければと思います。
 なお、本日の委員会は、今期の委員による会議といたしましては最終回となる見込みですので、その旨お含みおきください。
 それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

〇衣笠参事官 事務局です。
 本日は議題1として、第4次障害者基本計画の実施状況について御審議いただきます。
 事務局、文部科学省、厚生労働省、国土交通省から令和元年度の障害者施策の実施状況について御説明した後、委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと考えております。
 関係資料といたしまして、資料1-1、資料1-2、資料2、資料3-1、3-2、資料4を用意しております。
 次に、議題2として、障害者差別解消法の見直しの検討状況について、検討の方向性、10月に内閣府において実施した団体ヒアリングの結果概要、障害者差別解消法の改正に盛り込む事項の案について、事務局より御報告を申し上げます。
 関係資料としましては、資料5から資料8までを用意しております。
 なお、審議の途中、14時10分頃と15時25分頃をめどに、15分程度の休憩を設けたいと考えております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、第4次障害者基本計画の実施状況について、まず最初に内閣府事務局から説明をお願いいたします。

〇衣笠参事官 事務局です。
 まず、全体的な事項について御説明をいたします。
 第4次障害者基本計画につきましては、平成30年度から令和4年度までの5年間を対象期間とするものになっております。
 今回は、第4次障害者基本計画の実施状況を議題としまして、令和元年度の実施状況のフォローアップを予定しております。
 昨年度に続き、第4次基本計画につきましては、2回目のフォローアップということで審議をいただくということになります。
 資料1-1につきましては、令和元年度の実施状況ということで、左から計画の個別の項目の内容や、関係府省等の令和元年度の実施状況を記載する欄を設けまして、用意させていただいております。
 資料1-2につきましては、第4次基本計画の成果目標を記載しておりますけれども、計画策定時の現状値ですとか、前回の平成30年度の実績値、令和元年度の実績値を記載する欄を設けまして、成果目標との関係で進捗がわかるものにしております。
 御覧いただけますとおり、資料の分量が大変多く、個別に説明することは時間の関係上難しいということがありますので、特に多くの関連する記述があります文部科学省、厚生労働省、国土交通省から代表して、それぞれ実施状況の概要について御説明をいただくことにしております。
 そのための説明資料として、各省が作成された資料2から4までの資料を用意しております。
 また、この3省以外の省庁にも質疑対応ということで御出席をいただいておりますので、御不明な点等ありましたら、質疑応答の際に担当の省庁から回答をさせていただくということで進めたいと考えております。
 事務局から以上です。

○石川委員長 事務局、ありがとうございました。
 それでは、文部科学省から主な施策の取組状況について、御説明をいただきたいと思います。

〇文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課:八田課長) 文部科学省特別支援教育課長の八田と申します。よろしくお願いいたします。
 私からは、資料2に基づきまして、文部科学省の障害者施策実施状況の概要につきまして御説明させていただきます。
 まず、教育の振興につきまして、初等中等教育分野でございますけれども、文部科学省に設置されました「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」におきまして、インクルーシブ教育システムの理念を構築し、特別支援教育の更なる充実を図るための議論を現在行っているところでございます。
 また、新しい特別支援学校の学習指導要領等におきまして、重複障害者である子供や知的障害者である子供の学びの連続性や障害の特性等に応じた指導上の配慮の充実、キャリア教育の充実など、自立と社会参加に向けた教育の充実を図っているところでございます。
 また、交流及び共同学習に関しましては、交流及び共同学習のガイドを改訂いたしまして、この学習に係る取組の手順や取組事例等の周知を図っているところでございます。
 また、「学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解の推進事業」を行った上で、本年11月でございますけれども、交流及び共同学習オンラインフォーラムを開催いたしまして、各自治体における取組の参考となる実践事例を動画で紹介しているところでございます。
 続きまして、通級による指導に関してでございますけれども、高等学校における通級による指導は、平成30年度から制度化されておるところでございますけれども、令和元年度におきましては、全ての都道府県において実施されている状況でございます。
 また、通級による指導の推進を図るために、教員定数の加配、指導の専門性を高めるためのモデル事業、また、国立特別支援教育総合研究所における教員研修等を実施しているところでございますし、また、初めて通級による指導を担当する教員の方のためのガイドブックを作成し、公表したところでございます。
 また、令和元年度より国立特別支援教育総合研究所におきまして、発達障害に関して教師が身に付けるべき知識、内容等の整理や研修の在り方について研修を進めているところでございます。
 次に、医療的ケアが必要な子供たちへの対応でございますけれども、こうした子供たちが増加傾向にあることを踏まえまして、学校における受入体制の在り方に関する調査研究を行うとともに、医療的ケアを行う看護師に対する研修をより充実させるための研修会を企画・実施しているところでございます。
 次に、障害のある子供たちについて、就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制を充実するために、その整備に必要な経費、また、医療的ケアを行う看護師、自立活動において教師に対して指導・助言を行う外部専門家の配置に係る経費の一部を引き続き補助しているところでございますし、また、特別支援教育支援員につきまして、配置実績を踏まえた地方財政措置を継続的に実施しているところでございます。
 次に、高等学校段階の、特に病気療養児の生徒に対してメディアを利用して行う授業につきまして、上限を超える単位取得等を認めることとするなどの制度改正を行ったところでございます。
 また、学校と放課後等デイサービス事業所との連携に関するマニュアルの作成などを内容とするモデル事業を実施しているところでございます。
 次に、高等教育段階でございます。
 障害のある学生支援に係るノウハウの蓄積、また大学等からの体制整備、支援方法に関する相談等へ対応するために、専門的な知見等がある複数の大学等がプラットフォームを形成する事業を実施しているところでございます。
 また、日本学生支援機構におきまして、障害のある学生の状況及びその支援状況につきまして、把握・分析するための実態調査、また、適切な対応を行うために参考できる事例集の作成、理解・啓発促進を目的としたセミナー、実務者育成のための研修会の開催など行っているところでございます。
 また、学生支援を担当する教職員が集まる会議などにおきまして、障害者差別解消法の趣旨、障害者基本計画等についての説明を行っているところでございます。
 また、文部科学副大臣の下に、生涯学習、学校教育、文化芸術、スポーツ等の各分野において重点的に推進すべき6つの政策プランを平成31年1月から4月の間に打ち出していたところでございますけれども、大学間連携等に係る障害学生支援体制の強化や学生に対する「心のバリアフリー」の取組の促進を盛り込みました、「高等教育の学びの推進プラン」を取りまとめたところでございます。
 次に生涯を通じた多様な学習活動についてでございます。
 障害者の生涯学習推進を図るために、学校から社会への移行期や人生の各ステージにおきます効果的な学習プログラム、実施体制、関係機関等との連携等に関します「障害者の多様な学習活動を総合的に支援するための実践研究」、また、都道府県を中心に大学や民間企業との関係機関等と地域連携コンソーシアムを形成するモデルを構築いたします「地域における持続可能な学びの支援に関する実践研究」を実施しているところでございます。
 また、障害のある人が一般の生涯学習活動に参加する際の阻害要因、促進要因を把握・分析する調査研究を実施しているところでございます。
 次に、3ページでございますけれども、実践研究事業の成果普及、障害理解の促進、実践者同士の学び合いによる担い手の育成、障害者の学びの拡大を目指すために、全国6つの各ブロックで、「共に学び、生きる共生社会コンファレンス」を開催したところでございます。
 また、障害者参加型フォーラム、「超福祉の学校」も開催しているところでございます。
 また、障害者の生涯を通じた多様な学習を支える活動を行う個人・団体につきまして、「障害者の生涯学習支援活動に係る文部科学大臣表彰」を実施しているところでございます。
 また、読書バリアフリー法第7条に基づきまして、読書バリアフリー基本計画を策定したところでございます。
 次に、文化芸術活動、スポーツ等の振興についてでございます。
 まず、文化芸術活動につきましては、「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」を受けまして、平成31年3月に国の基本的な計画を策定したところでございます。
 また、障害者の優れた文化芸術活動の国内外での公演・展示、映画作品のバリアフリー字幕の音声ガイド制作への支援等の取組を実施しているところでございます。
 次に、スポーツ分野でございます。
 「障害者スポーツ推進プロジェクト」といたしまして、各地域における課題に対しまして、障害者スポーツの振興体制の強化、また、身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備を図る取組、また、障害者スポーツ団体の体制の強化を図りまして、他団体や民間企業等と連携した活動の充実につなげる取組、また、障害者スポーツ用具につきまして、過大な金銭的負担を負うことなくスポーツを始めることができる仕組みを構築する取組、また、障害者が観戦しやすい会場づくりや大会イベント運営に関する事例調査等の取組を実施しているところでございます。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けまして、「オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業」といたしまして、パラリンピックの競技の観戦・体験事業を重点的に実施するなど、取組をしているところでございます。
 また、「Special プロジェクト2020」といたしまして、全国の特別支援学校でのスポーツ・文化・教育の祭典の実施に向けた、先進事例を蓄積するためのモデル事業、また、特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくりの支援を実施しているところでございます。
 また、第19回全国障害者スポーツ大会、これは残念ながら中止になってしまったところでございますけれども、精神障害者の卓球を正式種目として追加したところでございます。
 また、最後でございますけれども、パラリンピック競技の競技力向上のための取組を引き続き実施しているところでございます。
 文部科学省からの御説明は、以上でございます。

○石川委員長 八田課長、ありがとうございました。
 それでは次に、厚生労働省から主な施策の取組状況等につきまして御説明をお願いいたします。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部企画課:源河課長) 厚生労働省の障害保健福祉部企画課です。どうぞよろしくお願いします。
 資料3-1と資料3-2を御参照ください。
 資料3-1は、障害者基本計画そのものに沿うわけではありませんが、令和元年度末から今日にかけて、非常に皆様方の御関心の高いと思われる障害保健福祉分野での新型コロナウイルス感染症への対応をまとめております。
 まず、1番目、基本方針といたしまして、障害者関係のサービスにつきましては、緊急事態宣言が発せられる状況下でも、できる限りサービスを継続するということを基本としております。
 また、障害者の方々に対して情報を分かりやすく伝えるということにも配慮しております。
 2番目、障害福祉サービスの継続でございますが、(1)として、施設等における感染防止を徹底していただいております。
 このため、1つ目の○でございますが、感染防止のための留意点を周知し、また、対策を講じるに当たって必要となる、かかり増し経費を予算で補助しております。
 2つ目の○ですが、マスクや消毒液、感染防護具等の優先供給を行っております。
 特に消毒用エタノールについては、優先供給の仕組みを構築し、御利用いただいております。
 3つ目の○ですが、入所施設の中で療養するという場合もあるものですから、その場合の具体的な対応について周知しております。また、慰労金の支給も始まっております。
 裏面でございますが、(2)といたしまして、通所できない場合もございますので、通所サービスに替えて、電話や訪問等による代替サービスの提供も行っていただいておりますし、(3)のサービスの再開支援に関するアセスメント等の費用も補助しております。
 3番目といたしまして、情報の発信です。
 (1)は、総務省で実施いただいたものでございますが、視覚障害者や発達障害者の方にも特別定額給付金等の内容が分かるように、分かりやすいリーフレットの作成などを実施していただいております。
 情報の発信に関しましては、私ども国だけではなく、各自治体や団体でも独自にいろいろ取り組まれておりまして、その好事例をホームページで周知しているところでございます。
 (2)といたしまして、感染リスクで手話通訳が同行できない場合の意思疎通支援体制の整備のために、遠隔手話サービスの導入支援を行っております。
 また(3)心身の不調を抱える方への心のケア支援も行っておりますし、障害者による布マスクの制作がいろいろ行われておりますので、「#つなぐマスク」プロジェクトとして情報発信しているところでございます。
 続きまして、資料3-2を御覧頂ければと思います。
 厚生労働省の施策はいろいろございますが、令和元年度の障害者施策で主たるものをまとめております。
 最初が障害福祉サービス等報酬改定の関係ですが、令和元年10月から介護の分野と同じように、「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」ということで、リーダー級の職員の方を中心に、他産業と遜色ない賃金水準を目指すということで、加算を行っております。
 2番目の分野、保健・医療分野でございますが、1点目、精神保健・医療の適切な提供でございます。
 精神障害者の方が地域の一員として、安心して、自分らしい暮らしができるようにということで、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業というものを行っております。
 また、この分野では普及啓発が非常に重要だということで、10月10日、世界メンタルヘルスデーに併せまして、シンポジウムを開催しております。
 2つ目の○ですが、精神保健福祉士の養成の在り方に関して検討し、「精神保健福祉士養成課程における教育内容等の見直しについて」と、「精神保健福祉士資格取得後の継続教育や人材育成の在り方について」という2つの報告書を取りまとめております。
 続きまして、2ページ、公認心理師の関係では、令和元年8月に第2回の公認心理師試験を実施したところです。
 次の○、難病に関する施策としましては、障害者総合支援法の対象に難病を追加しておりますが、令和元年7月には、361疾病に見直しを行っております。
 また、この見直しに合わせまして、障害支援区分における「難病患者等に対する認定マニュアル」を改訂しております。
 3つ目の分野、障害者雇用でございますが、障害者雇用促進法等に基づいて、就職準備段階から職場定着支援まで一貫した支援を実施しております。
 法定雇用率につきましては、令和3年3月1日より0.1%の引上げを実施する予定です。
 最後3ページでございます。
 まず1つ目、農福連携でございます。
 農福連携につきましては、令和元年6月に「農福連携等推進ビジョン」というのを取りまとめております。
 最後でございますが、障害者優先調達推進法の関係では、毎年この法律に基づきまして、国、独立行政法人、地方公共団体等において調達方針を作成し、実際に調達を行っていただいているところです。
 特に令和元年の10月には、各府省と障害者就労施設等との橋渡しを目的に、皆様方を集めて障害者優先調達情報交換会を開催いたしました。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、国土交通省から主な施策の取組状況等につきまして、御説明をお願いします。

○国土交通省(総合政策局安心生活政策課:真鍋課長) 国土交通省安心生活政策課長の真鍋でございます。
 資料4を御覧ください。
 国土交通省におけるバリアフリー施策の取組状況について、簡単に御説明いたします。
 まず、資料の1枚目でございますけれども、国土交通省では、バリアフリー法に基づいた取組を進めているところでございますけれども、本年5月に、「心のバリアフリー」など、ソフト対策を強化するバリアフリー法の改正が行われました。
 改正概要は、主に3点ございます。
 まず1点目、資料の(1)のところに書いてございますけれども、事業者におけるソフト対策の取組強化でございます。
 例えば、車椅子使用者がバスやタクシーに乗車される際に使うスロープ板、その適切な操作など、ソフト基準の適合義務の創設、それから、観光施設の情報提供の促進、こういった取組について位置付けを行っております。
 2点目が(2)に書いてございますけれども、国民の理解と協力を得るための広報啓発の促進でございます。
 具体的には、優先席、車椅子使用者用駐車施設、障害者用トイレ等の適正利用の推進。
 それから、市町村が学校教育と連携した「心のバリアフリー」の推進を図っていくための所要の取組、規定の整備等が行われました。
 3点目(3)で書いてございますけれども、バリアフリー基準の適合義務の対象につきまして、従来の鉄道駅やバス車両等に加えまして、公立小中学校等を追加したところでございます。
 2ページ目を御覧ください。
 国土交通省では、所管分野のバリアフリー化を計画的かつ着実に推進するために、学識経験者、障害当事者や事業者等関係者が参画する検討会における議論を積み重ねまして、来年度以降、5年間にわたる新しいバリアフリー整備目標の最終取りまとめを行いました。
 今回の取りまとめにおきましては、見直しの視点といたしまして、都心部に加えて、地方部を含めたバリアフリー化の推進、聴覚障害、知的・精神・発達障害に係るバリアフリーの進捗状況の見える化、施設単位のみならず、面的なバリアフリーのまちづくりの推進、そして、「心のバリアフリー」の推進、この4つを掲げまして、計画期間についても、従来の10年間ではなくて、柔軟に見直しが可能な5年間としたところでございます。
 具体的な概要につきましては、次のページを御覧ください。
 まず、鉄道駅、それからバスターミナル、こういった旅客施設につきましては、これまでバリアフリー化対策、具体的には段差の解消ですとか、視覚障害者誘導用ブロック、障害者用トイレの設置、こういったものでございますが、その対象につきまして1日当たりの利用者数が3,000人以上としていたわけでございますが、新たに2,000人以上3,000人未満の旅客施設で、市町村が作成するバリアフリー計画である基本構想に位置付けられている施設につきましても、新たにバリアフリー化の対象として拡大をするということといたしました。
 これによりまして、今後より一層、地方部において鉄道駅を中心としたバリアフリーのまちづくりが進むことを期待しておるところでございます。
 また、これらの旅客施設におきましては、聴覚障害者の方々などへの対応といたしまして、音声や文字による案内設備を設けることも目標として新たに位置付けたところでございます。
 また、鉄道駅におきましては、ホームドア等の整備について、これも駅の利用実態等を踏まえてホームの番線単位での目標化をするということとした上で、これまでの整備スピードを加速化いたしまして、全体で3,000番線整備するということとしているところでございます。
 一方、鉄道の車両、ノンステップバス、ユニバーサルデザインタクシーなどの車両、それから次のページに記載してございますけれども、旅客船などにつきましても、それぞれの現状でのバリアフリー化率あるいは導入車両数を踏まえて、それぞれ目標値の引上げを行っているところでございます。
 さらに、道路、都市公園、駐車場、建築物などにつきましても、それぞれの整備状況、実際の利用状況等を踏まえて、目標値の引上げ等の見直しを実施したところでございます。
 それから、こうしたハード対策に加えまして、ソフト対策につきましても、4ページの下から2段目のところに記載しておりますとおり、市町村が作成する地域のバリアフリー計画である基本構想の策定数ですとか、「心のバリアフリー」という用語の認知度などにつきましても今回新たに目標値として設定することなど、ハード・ソフト両面からのバリアフリーの取組を推進することとしているところでございます。
 資料の5枚目、最後のページになりますけれども、高齢者、障害者等の当事者の方々の目線からバリアフリーの取組についての評価等をしていただくために、平成30年の改正バリアフリー法に基づきまして、移動等円滑化評価会議を設けて、定期的に当事者の皆様からの御意見等を伺っているところでございます。
 さらに、全国10ブロックに評価会議の地域分科会を設置いたしまして、より地域の実情に応じた取組の把握、評価を行っていただく。あるいは、障害等の特性に応じて様々なニーズ、あるいは御意見等を伺うための枠組みといたしまして、特性に応じたテーマ別意見交換会を開催しているところでございます。
 国土交通省からの御説明は、以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、審議に入りたいと思います。
 今から40分弱の時間を予定しております。御意見、御質問等のある委員は、チャットにて発言の意思表示をお願いしたいと思います。
 それでは、河井委員、お願いします。

○河井委員 ありがとうございます。河井です。
 私からは、厚生労働省の方に1点質問がございます。
 資料1-1の方なのですが、70ページの5-(4)-2、保育所等の訪問支援、次のページの5-(4)-5、短期入所の利用状況、その次のページ、5-(4)-6、医療型短期入所の利用状況なのですが、いずれも令和元年度の数字がかなり低下しております。
 これは、恐らく新型コロナウイルスの影響による利用自粛等が影響されているのかなと思ったので、その点を確認させていただきたいと思いました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 多くの委員から発言の意思表示が出ております。
 お一人お一人に答えていただいていると、恐らく時間が足りなくなることが高い確度で予想されるので、まず、今発言の意思表示をされている方に御質問をしていただき、各省から最後にまとめて御答弁いただくという形を取りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
 私、質問がたくさんありまして、きっと聞き切れないと思うので、聞けなかったものに関しては、メールで後で意見提出させてください。
 厚労省、文科省、国交省に質問させていただきます。
 まず、厚労省なのですけれども、病院や施設からの地域移行のための施策なのですけれども、いずれもちょっと低調になっていると思います。それはなぜか、障害者権利条約との関係でも重要なこういった項目が、目標を達成するまでどういう進めていくかというのを聞かせていただきたいと思います。
 具体的には、資料1-2の中で、障害者が地域で安全に安心して暮らせる住環境の整備状況についてというところで、これが目標の16.5%にとどまっています。
 その下の障害者が地域で安全に安心して暮らすための支援体制の整備状況、こちらも10%台にとどまっています。
 2点目なのですけれども、神出病院で虐待事件がありました。病院は現在、通報義務はないのですけれども、こういった問題が繰り返されていますので、障害者虐待防止法の見直しが必要ではないかと考えます。
 神出病院の虐待が明らかになったのは、別件逮捕で捕まった方のスマホから出てきたということで、もし別件で捕まらなければ、今でも虐待は続いているのではないかという状況です。
 障害者権利条約16条は、虐待からの自由ということで、締約国は、虐待から障害者を保護するための全ての適当な立法上、行政上、社会上、教育上の措置を取るとされており、こことの整合性が取れていないのではないかと思っています。
 次に、文科省にお尋ねいたします。
 条約が求めるインクルーシブ教育への移行の施策として、どういったことをされているのかということをお聞きしたいと思います。
 昨年の秋に障害者権利委員会から出されました事前質問事項でも、24条のところで、分離された学校における教育から障害者を包容する教育に向けて移行するために、立法上、政策上の措置並びに人的、技術的、財政的リソースの配分、これの回答を求められておりますので、是非、どういった取組がされているかということを教えてください。
 最後に、国交省さんにお尋ねします。
 資料1-1の1-(1)-2のところの民間の共同住宅なのですけれども、こちらはガイドラインの見直しが必要ではないかと考えます。
 民間の住宅への円滑な入居促進とありますが、バリアフリー化が進んでないというところが問題だと思います。ここはガイドラインの見直しが必要だと思います。
 もう一つ、1-(3)-1です。委任条例もなかなか増えずに、20の自治体だけと低調なままですけれども、増やす取組はお考えでしょうか。
 以上です。ありがとうございます。

○石川委員長 佐藤委員、ありがとうございました。
 続きまして、佐保委員、お願いします。
 まだまだ発言者が続きますので、大変恐れ入りますが、お一人お一人、特に御確認されたい点に、可能であれば絞って御発言いただけると幸いです。よろしくお願いします。

○佐保委員 ありがとうございます。
 私の方からは、資料2、文部科学省の障害者施策実施状況の概要について発言をさせていただきます。
 学習指導要領などでは、障害者による学習上または生活上の困難の克服という医学モデルによる障害の捉え方となっています。
 12月22日に、新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議で、最終案の取りまとめに向けた議論が行われると伺っています。
 医学モデルから社会モデルに変え、インクルーシブな学校づくりにつなげることで、社会全体に前向きなメッセージを発信していただきたいと考えております。
 私からは、以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 玉木です。ありがとうございます。
 パソコン操作がしにくいので、若干タイムラグが生じることをお許しください。
 いっぱいあり過ぎるので、端的にいきます。
 1つは、先ほど佐藤委員が言われた虐待防止の観点です。
 僕が住んでいる兵庫県は、神出病院があって、結局、毎年保健所、病院に監査が入っているのに、なかなか動かなかったり、実は県内でも他の県でも、最近目立って施設内での虐待、暴行、下手をしたら殺人事件がだんだん増えてきている。
 体制としては、やはり警察が動いてから後手後手で行政が動いているような感じがしているので、今一度、虐待防止のマニュアルというか、プロセスについて明確にして、予知をちゃんとつかんだ上で、行政と利用者と事業者が連携して虐待をなくしていくような仕組みにしないと、今のままでは警察が動かないと虐待はなくならないし、警察が動かない程度の虐待であれば、埋もれてしまっている可能性があるという怖さがあるので、そこはちゃんとしていただきたいと思います。
 次に、文科省さんなのですけれども、すごく読んでいると、国連の障害者権利条約がどこにいったのかという話になっていて、資料2で、例えば○の3つ目で、「交流及び共同学習のガイドを改訂し」ということは、基本的には分離していて、分離した上で、ちょこちょこ交流させていくことを交流学習と呼んでいるはずなのですね。
 でも、先ほども言われたように、原則は統合された環境の下で個別的に学習支援を行っていくということで、それが交流学習を前面に出してこられると、結局、日本はインクルーシブ教育を進める気はないのかと。
 例えば、ここの下にも高等学校のことがさらっと書いているけれども、SDGsにおいて初等中等教育は義務化で無償化と書いているにもかかわらず、日本は高等学校は中等教育後期にもかかわらず、そこの義務的な論議は全くしていなくて、我々がインクルーシブ教育と言っているのは、もちろん障害のある人も含めるのですけれども、やはり外国籍の方で、公立高校に通っている人も実際はいらして、その方がきっちりと学習を学べるような仕組みも含めて、僕らは考えていくことがインクルーシブ教育だと思っています。
 最後に1点、その上で、障害者の生涯学習の点で、実は、3ページの一番上に書いてある、「共に学び、生きる共生社会コンファレンス」の近畿・中国ブロックに、私は登壇させていただいて、生涯教育というのも、結局は障害者だけ何か活動するようなイメージが強いのです。生涯教育をきちんと提供するためには、学校教育でインクルーシブの環境で育っていかないと、学校を卒業した後、では、生涯教育の中で、何をしようとか、何を学んでいこうとか、何を楽しもうとかということにも、結局は、障害者だけの内容に留まりがちなので、障害のない人とともにという観点から考えると学校教育と生涯教育とやはりセットで一貫して、どうやったらインクルーシブになるかということを考えていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 この後、大変恐縮ですが、各委員およそ3分をめどに、御質問、御発言をお願いできると大変助かります。
 それでは、森委員、お願いします。

○森委員 日本難病・疾病団体協議会の森です。
 厚労省の方に2点、お願いいたします。
 難病相談支援センターについてですけれども、質問と意見です。
 各都道府県や指定都市において、難病相談支援センターが設置されてきていますが、この事業の中で、ピアサポーターが配置されているかどうか、また、就労支援としてハローワークの難病患者就職サポーターとの連携ができているかどうか、把握されているかどうかについて教えてください。
 私ども患者団体の方にもピアサポーターや難病患者就職サポーターが十分に機能されているところは、患者さんや御家族の満足度が非常に高いのですが、配置、また、実施されていない支援センターもありまして、そのところの相談が増えています。
 ピアサポーターや難病患者就職サポーターの処遇改善と拡充ができるようにしていただきたいです。
 もう一点です。障害者雇用の促進についてお願いします。
 難病は、現在の条件では、障害者手帳の対象となる患者が少なく、障害者雇用率の対象となっていません。難病等を障害者雇用率の対象としていただきたいと長年要望してきておりますが、検討されているかどうか教えてください。
 難病患者の方は、医療の進歩によりまして、今、就職を希望している人が大変多くなっています。企業からは、働けるのかどうかとか、そして、難病患者を雇い入れてもメリットがないと言われておりまして、仕方なく病気を明かすことなく働かざるを得ないという患者さんも多いです。これでは合理的配慮にもなりませんので、こういったところの就労の促進を対象として対策をお願いしたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、三浦委員長代理、お願いします。

○三浦委員長代理 よろしくお願いいたします。
 文科省に1点、厚労省に1点、質問させてください。
 まず、文化省の方は、本日の資料2で、1(1)の白丸の6つ目なのですけれども、人工呼吸器の管理などの医療的ケアが必要な幼児児童生徒が増加傾向にあることで、調査研究を行うと書かれていますけれども、結果はいつ頃分かり、報告書はどのような形でまとめられるか教えてください。
 それから、厚労省の方に関しましては、丁寧な説明ありがとうございました。
 私の方では資料の1-1の61ページの5-(1)-1と5-(1)-2、関連で、項目は成年後見制度の適切な利用と記載されているのですけれども、実施状況、お答えの方には、5-(1)-1も、5-(1)-2も、両方とも成年後見制度の利用促進のためのとし、広報普及活動という続きで書かれています。これも、先ほど佐藤委員がおっしゃったのですけれども、昨年の国連の日本政府報告に関する質問事項の条約の第12条の関連で、12条の質問は具体的に(1)の部分なのですけれども、民法の改正によるものも含め、本条約に従うために事実上の後見制度を廃止することというような厳しい御質問が来ていることと、ちょっと逆行するような書き方が実施状況に書かれていますので、利用促進というところを適切な利用と統一していただければいかがなものかと思いまして、質問と提案をさせていただきます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、岡田委員、お願いします。

○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
 厚労省に幾つか御質問させていただきます。3分をもしオーバーしたら言ってください。
 まず、精神障害者にも対応した包括ケアシステムの構築推進事業についてということで、検討会として、有識者や当事者等からなると書かれていますけれども、まだ現状、当事者等からなるという部分が徹底されていないと私たちは認識しております。各地域の検討会において、当事者、家族の参加状況を把握されているかどうか、これは質問です。
 それから、先ほどの厚労省からの御説明にもありましたとおり、この包括ケアシステムの構築に向けて欠かせないことが、正しい知識の普及啓発だと、私たちも認識しております。
 より効果的な啓発は、一般的なキャンペーンよりも対象者を絞り、当事者との交流を含み、継続的に実施することが必要だという考え方があります。
 おかげさまで2022年度より、高校教育で精神疾患が取り上げられることになりましたけれども、ただ教科書から知識を得るだけでは不十分で、これではむしろ偏見を強化するという意見さえあります。
 そのために、当事者が授業で体験を伝えることを組み合わせたものにする必要があると考えておりますし、また、生徒だけに伝えるのでは不十分で、保護者会などを活用して精神障害者家族の体験を伝えるなど組み合わせて行う必要があると考えておりますが、是非、このような当事者や家族からの声を聞いて授業を組み立てる工夫を取り入れていただきたい。これはお願いになります。
 また、高校生以下の義務教育にも取り入れる方向で進めてください。
 そのためには、教育者の養成課程に取り入れる必要がありますし、また、政治家や医療関係者、マスメディアなどを対象として、正しい情報提供ができる機会を設けていく必要があると考えております。
 このような啓発活動には、家族会も当事者会も全面的に協力していきますので、よろしくお願いいたします。
 次が、差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止ということについてですが、先ほど佐藤委員からも御発言がありましたけれども、本年3月に兵庫県内の精神科病院内での虐待事案が報道されました。
 この事件を契機に、厚労省は都道府県政令市を対象として、精神科医療機関における事案の把握に関する調査を実施していただきました。このような調査は初めてと聞いておりますが、今後このような調査を継続的に実施する予定があるのかどうか。また、この調査結果を基に、精神科病院内での患者虐待防止のための対策を進めていただけているかどうかを御質問としてお聞きしたいと思います。
 以前より、障害者虐待防止法に、病院、学校も位置付けるべきという意見が多く出されているかと思いますが、是非早期に実現していただきたいと思っております。
 次に、精神保健医療の適切な提供等というところで、精神障害者への医療提供支援を可能な限り地域において行う。この考え方は、それまでの生活となるべく切り離すことなく治療、回復に向かうという考え方に沿っていて、大変好ましい方向だと考えておりますが、退院後の生活を見ると、その多くが、家族が抱えて右往左往するという現状がございます。地域生活を考える上でも、当事者の充実した人生を考える上でも、家族支援の充実が伴わなければならないと考えています。是非、家族が適切な情報を得て当事者を抱え込むことなく支えることができるよう、家族支援の充実を求めます。
 埼玉県では、全国で初めてケアラー支援条例が今年から施行されて、家族を含む様々な立場のケアラーの実態調査の取組が始まっております。
 是非、国においても、ケアラー支援の法制度制定の前向きな御検討をお願いしたいと思います。
 最後になります。
 障害者及び家族のニーズに対応した多様な相談体制の構築を図るとありますけれども、窓口があっても、精神障害者や家族が相談につながるということの困難さがあります。
 つながることを期待するのではなくて、つなげるための仕組みがとても重要だと考えております。
 例えば、まず医療機関につながるということがありますので、医療機関につながったら、地域の相談窓口につなげるなど、確実につなげる仕組みを作ることを提案したいと思います。
 以上です。よろしくお願いいたします。

○石川委員長 岡田委員ありがとうございました。
 続きまして、柘植委員、お願いします。

○柘植委員 お願いします。
 3点ありましたけれども、1点目は先ほどの佐藤委員、佐保委員、それから玉木委員の発言に重なりますので省略します。
 残り2つです。
 まず、1点目ですけれども、資料の1-2の26ページ、9の教育の振興のところですが、インクルーシブ教育システムの推進の項目と、ほか教育環境の整備もですか、幾つかの項目で、隔年実施のため未実施という文言が何か所か出てきまして、びっくりしまして、実は隔年実施ですると書いてあるものこそが、インクルーシブ教育システム推進に大きく関わる項目なのですね。どうして隔年実施してしまったのかなと。
 このままいくと、また1年後も隔年実施で未実施なのかなと思いまして、障害者権利条約の統計という条文もありまして、統計を大事にして進めてくださいということなので、どうしてこうなってしまったのかなというのは素朴な疑問です。
 2点目、今度は資料の1-1です。163ページのところ、教育環境整備の9-(2)-7なのですけれども、ちょっと読み上げますと「特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を担当する教師については、特別支援教育に関する専門性が特に求められることに鑑み、特別支援学校教諭等免許状保有率の向上の推進を含め、専門性向上のための施策を進める」と書いてあって、これは文章が誤りではないかなと思いまして、特別支援学校の免許は、通級だとか、特別支援学級の先生方も取ってくださいと読み込めてしまうのですけれども、専門性が違うので、それは違うわけなのです。
 そうではなくて、特別支援学校の免許を特別支援教育の免許に大きく構造改革して、インクルーシブ教育推進に見合うような免許にしていくのだということであれば分かるのですが、そういう方向性があるのかどうか教えていただきたい。
 以上、2点です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 日視連の竹下です。
 まず、1点目が、内閣府に質問です。
 菅首相は、デジタル庁をつくり、デジタル化を促進するとおっしゃっています。
 そうであれば、障害者施策の中で、このデジタル化がどういう形で位置付けられるのか。
 例えば基本計画の中で、アクセシビリティを含めたデジタル化を伴う障害者の位置付けというもの、あるいはデジタル庁ができたときに、例えばで言いますと、ユニバーサルデザイン化あるいは障害者対策というものは想定されているかどうかについて教えてください。これが1点目です。
 2点目は文科省への質問です。
 資料にはどの項目にも出てこないのですが、結論としては通学における支援はどうなっていますかということであります。
 国においては、省庁横断で総合的な施策を進めていて、厚生労働省においては、ついに雇用と福祉の政策の連携がスタートしております。
 それらを考えたときに、通学における支援というものはどうされるのかについて教えてください。
 次に、国交省に対する質問です。
 確かにこの間、非常にホームドアの促進とか、大きく前進していることは有り難いと思っております。ところが残念ながら、ホームドアの設置の直前に人が亡くなるなど非常に不幸な事態が続いております。
 その点でホームドアの更なる設置の促進をお願いしたいわけでありますが、全国9,500あると言われる鉄道ホームについて、ホームドアが設置されるまでの安全対策を総合的に進めるという観点から、無人駅も含めて、どういう形で今後安全対策を進められるかについての方向性が確定していれば教えてください。
 それから、音響式信号機の問題、これは警察庁になると思いますが、基本的な生活道路では100%という目標を掲げられてはいるのですが、ところが、8時ないし夜の10時から朝の6時ないし8時まで音響は止められております。そのために死亡事故が発生しています。これらを含めて、100%という数字とは実態がずれてきているというのをどうお考えかについて教えてください。
 それから厚生労働省に1つ注意していただきたいことがあります。
 それはこの間、障害者雇用は非常に進んでいて、大手企業の雇用率も上がり、雇用者数も伸びてきているのですが、障害種別、部位別で見ると、大きな差が出てきております。
 その点で、障害種別あるいは部位別の雇用の促進ということについて、どういう進め方をするのか教えてください。
 それから選挙の問題で、総務省になるでしょうか。
 国政選挙は100%点字あるいは音声化と言っているのですけれども、その内容を見ると非常に差があります。候補者の名前だけを羅列した点字のお知らせから、内容の政策までが全部点訳されたものまで配布されるという都道府県の差が出ています。これら格差をなくすにはどうすればよいかについて教えてください。
 最後になりますが、情報のアクセシビリティの問題です。
 これは放送で言いますと、音声解説が目標値そのものが低いにもかかわらず、いつも十分な達成がされていない。これについて着実に第4次計画の中で、目標を確実に達成するにはどういう具体策が用意されているのか教えてください。公的機関のウェブサイトなどの目標値そのものは75%となっていますが、これは本来おかしいと思うのです。公共機関であれば100%の目標でなければならないところでありますが、この75%を確実に実施することで、それに甘んじるのではなくて、より100%に近づける努力というのはされているかどうかについて教えてください。
 以上であります。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、久保委員、お願いします。

○久保委員 ありがとうございます。
 全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
 まず、1ページ、基本計画の横の表になっている部分で、たくさんお聞きしたいことがございますので、よろしくお願いいたします。
 1ページの共同生活援助のサービス見込み量についてですけれども、伸びはすごく鈍化していると感じられますけれども、要因として考えることは何か、また、その解決法をお持ちでしたらお聞きしたいと思っています。
 それから、地域生活支援拠点を、少なくても1つ整備している市町村又は障害福祉圏域の数について、全くこの目標に追いついていない状況だと思っておりますので、今後の働きかけの見通しをお聞きしたいと思います。
 それから、8ページです。
 地域移行、地域生活支援事業を実施する地方公共団体の数が増えるどころか減っているように見えています。要因として考えられることは何でしょうか。
 加えて、知的障害者分野のピアサポートも重要と考えておりますけれども、実態はどうなっているかお聞きしたいと思っております。
 それから、障害者差別解消支援地域協議会を組織している地方公共団体の割合について、その後の議題でも、あとの議題でもお話したいと思っていますけれども、市町村が基礎となる中で、この設置率は不十分ではないかなと思っております。今後の設置促進に向けた方策をお聞きしたいと思っております。
 それから、10ページになります。
 福祉施設入所者の地域生活への移行者数についてですけれども、この伸びでは目標に達していかないのではないかなと少し心配をしておりますけれども、要因として考えることは何か、また、その解決方策をお持ちでしたらお聞きしたいと思います。
 また、短期入所のサービス見込み量についてですけれども、利用者数が減少しています。コロナの関係もあるとは思いますけれども、極めて重大な課題と考えております。
 まず、この数値の減少は、障害福祉計画に基づく目標どおりだったのか、確認をしたいと思います。
 次に、もし障害福祉計画に基づく目標は増加傾向だったにもかかわらず、実績が減少していたのであれば、要因として考えることは何か、また、その解決方法をお考えでしたらお聞きしたいと思っております。
 育成会としては、強度行動障害のある人が短期入所利用を断られる事例を大変多く把握しておりますので、こうした実態があるのかないのか、早急に調査をしていただきたいと思っております。
 21ページになります。
 国政選挙において、「選挙のお知らせ」の点字版及び音声版を配付する都道府県の数及び国政選挙における投票所及び期日前投票所の段差解消等の対応状況について、それぞれ現時点の目標を達していることは高く評価したいと思います。
 ただ、残念ながら「選挙のお知らせ」の分かりやすい版は作成されておりません。知的障害者に候補者の主張が伝わりにくく、また、投票所における知的障害者への個別配慮がなされていない事例も育成会では把握しております。
 その意味で、障害者基本計画でもPDCAサイクルで内容を見直すことになっていることを踏まえまして、現時点で目標を達成している分野について、更に踏み込んだ目標を設定すべきと感じておりますけれども、見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、文科省関係で、発達障害の方ですけれども、御自分の学校に発達障害の方がおられるということを余り認識されていない学校も大変多くございますので、学校への発達障害の相談支援だとか、大学と地域をつなぐ発達障害者のキャリア支援のようなものを国の方でも、どのように考えておられるかということをお聞きしたいと思います。
 よろしくお願いします。以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 安部井委員、お願いします。

○安部井委員 全国重症心身障害児(者)を守る会の安部井でございます。ありがとうございます。
 厚生労働省に1点、文部科学省に1点、お願いを申し上げます。
 資料1-1に関してです。
 最初に、厚生労働省にお願いを申し上げます。
 72ページの中頃にあります記述ですが、先ほど河井委員からも発言がありまして、重なる部分はあるのですが、児童発達支援は増えていますが、放課後等デイサービスは減少しています。その下の医療型短期入所も減少しています。
 これらの減少数は、今年の2月、3月を新型コロナウイルス感染症拡大に伴って利用を控えざるを得なかった影響と考えております。
 これらの数字は、本来のニーズを表すものではないと思われますので、今後の政策の土台にされないようにお願い申し上げます。
 更に申し上げますと、障害児福祉計画の策定が義務化され、その基本方針として、令和3年3月までに、主に重症心身障害児を支援する児童発達支援事業及び放課後等デイサービス事業所を各市町村に少なくとも1か所以上確保することとなっています。
 コロナ禍ではありますが、引き続き、児童発達支援事業などの受入人数を増やすための仕組み、例えば障害者サービス報酬の増額など、有効な施策の検討をお願いいたします。
 次に、文部科学省にお願いです。
 167ページ(4)、生涯学習に関しての記載がありますが、医療的ケアを必要とする重症心身障害者の場合、外出して学ぶことが非常に困難です。
 訪問型の学びの場も得られるよう、御検討いただきますよう、お願いいたします。
 また、人材育成に関しても御尽力くださいますよう、重ねてお願い申し上げます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、岩上委員、お願いします。

○岩上委員 前からお願いしている点が1点ございまして、それは、この実施状況を毎回示していただいているのですが、やはり、進捗状況を管理するとなると、今年度何を実行して、それについてできたかできないのかということを、私としては管理をさせていただきたいなというのが、以前から申し上げている希望です。
 それから、各論で1点ございまして、資料1-1になりますが、83ページの6-(1)-6です。
 平成29年2月に取りまとめられた「これからの精神保健医療福祉の在り方に関する検討会」の報告書の内容を踏まえ、精神科病院に入院中の患者の意思決定支援等の権利擁護について、医療機関以外の第三者による意思決定支援等の権利擁護を行うことを検討するとなっておりまして、これにつきましては法改正も含めてきちんと議論する必要があるということを要望しておきたいと思います。
 それで、実施状況に書かれている内容について、実際には地域生活支援事業の中の相談支援事業等で実施するということになっておりますが、これについて、実施している市町村、相談支援、そして医療機関、まして一番大切な入院されている御本人にその情報が提供されているのかどうかということは、きちんと普及されて利用していただくようにしていただきたいと思っています。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、大河内委員、お願いします。

○大河内委員 ありがとうございます。大河内です。
 厚労省にお尋ねをいたします。
 令和元年度の施策、それから、コロナ禍の対応の中に、盲ろう者についての記述がなかったのですけれども、我々盲ろうに関わっている人間も、なかなか現状、特にコロナ禍の対応については把握が難しいところではあるのですけれども、もし厚労省の方で、盲ろう者の特に意思疎通支援等に関して何か把握できていることがありましたら教えていただきたいなと思いまして、発言をさせていただきました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、阿部委員、お願いします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 私は厚労省への質問なのですけれども、70ページの5-(4)-2に関する質問です。
 ここで本当に障害児保育は重要であり、また、今の状況から見ますと、若いお父さん、お母さんに関する支援もとても大事だと思っています。
 それで少しお話があります。先ほどの厚労省の説明で、資料3-2で、下の方に精神保健福祉士の養成の在り方に関する検討で、ソーシャルワーカーを養成する観点ということで、とても大事な検討がなされたということを承知しました。
 そして今、カリキュラムの改正で、精神保健福祉士養成課程と社会福祉士養成課程のカリキュラムが変更する中で、両方の資格を取る人は、社会福祉士養成課程では、実は来年度入学生から60時間プラスの現場実習が求められるのですけれども、両方の課程を取る人には、60時間が免除されることになりました。
 そこで、次の70ページの5-(4)-2なのですけれども、保育士の養成課程の学生が社会福祉士の資格を取る学生、両方の資格を取る学生がいるのですけれども、その場合は免除の規定がないので、保育士の資格と社会福祉士の資格を取ることがかなり困難になっていく状況が考えられます。
 繰り返しますけれども、障害児の保育、そして若いお父さん、お母さんへの支援を考える場合には、ソーシャルワークの視点はとても大事だと思うことを考えますに、そのような重要なことがある中で、保育士の養成課程は来年度入学生から社会福祉士の資格も両方とも取る学生さんにとって厳しい状況になるということが分かりましたので、その辺のことについてもしっかり検討していただいて、保育士のキャリアアップ、保育士の専門性、これはとても大事なことです。障害児だけにとどまらないと思いますので、その辺の検討についても、これから考えていただきたいと思って、発言いたしました。よろしくお願いいたします。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 大塚委員は、今、ネットワークが切断されましたので、休憩の後に質問していただこうと思います。
 その後、各省から関連する質問をまとめるなどして御回答をいただきたいと思います。
 それで本日回答が難しいものについては後日メール等で御回答いただくということとして、本日回答可能なもの、そして根本的な方向性に関わるような質問については、是非御回答を優先的にお願いしたいと思います。
 それでは、今から10分間休憩とし、2時30分から再開したいと思います。

(休憩)

○石川委員長 それでは再開いたします。
 大塚委員、お願いいたします。

○大塚委員 日本発達障害者ネットワークの大塚と申します。どうぞよろしくお願いします。
 省庁の方々、ありがとうございました。
 文部科学省と厚生労働省に1点ずつ、御質問というか御意見を述べたいと思います。
 まず文部科学省ですけれども、資料の2です。
 通級による指導を担当する教師の方のガイドラインであるとか、あるいは特総研における発達障害に関して教師が身につけるべき知識、内容の整理、研修の在り方を検討しているということで、どうもありがとうございます。発達障害の方への関心が深いということで、ありがたく思っています。
 その上において、発達障害に関して、教育分野において2つ課題ということを、御意見を述べさせていただきます。
 1つは、全教員に対して発達障害に関する知識の普及をお願いしたいと思います。特に、大学教育から養成段階における発達障害の理解というものを強化していっていただきたいと思います。
 それから、教育分野においても、外部専門家との連携によって、個別の教育支援計画をやるとか、あるいは指導計画の質の向上ということに努めていただきたいと思います。
 最後に、教育内部分野での専門性の確保ということで人材の確保、これについては大学教育とも関係があるかもしれませんけれども、発達障害に関する免許制度も含めて考えていただきたいと思います。
 以上でございます。
 厚生労働省について、1点ですけれども、先ほどから権利擁護のことが非常に大きな中において、障害者への虐待というのがまた非常に増加しているということを非常に危惧しております。心配しております。
 特に施設における虐待という観点からいくと、多くの障害のある方が、強度行動障害の方も含めて、身体拘束を受けているのではないかということを危惧しています。様々な身体拘束があると思うのですけれども、長時間の施錠であるとか、様々なことにおいて本人の人権がかなり守られていないということがあると思っております。
 障害者虐待防止法のもう一度の見直しとともに、速やかに強度行動障害の方などの身体拘束の実態調査を行うことによって、新しい施策というものを人権を守る観点から行っていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、各省より御回答いただきたいと思います。
 最初に文部科学省からお願いいたします。

○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課:八田課長) 文部科学省でございます。
 多くの委員から御質問、御意見を頂戴しましたので、恐縮でございますが、少しまとめる形で御回答させていただきたいと存じます。
 まず、インクルーシブ教育システムの推進につきまして御質問いただきました。
 障害のある子供の学びの場について、障害者の権利に関する条約に基づくインクルーシブ教育システムの理念、実現に向けて取り組むことが大切であると考えているところでございます。
 このため、資料2でも御紹介させていただきましたけれども、現在、有識者会議において、このインクルーシブ教育システムをさらに推進するためにそれぞれの学びの場における各教科等の学習の充実を進めること、また、障害のある子供と障害のない子供が、年間を通じて計画的、継続的に共に学ぶ活動のさらなる拡充、また、障害のある子供の教育的ニーズの変化に応じまして学びの場を変えられるよう、多様な学びの場の間で教育課程が円滑に接続することによる学びの連続性の充実の実現を図るということにしているところでございます。
 また、この方向性を実現するために、就学支援、指導方法や指導体制、施設環境など、障害のある子供の学びの場の整備や、教員の専門性の向上、1人1台端末等の最新のICT技術の活用、関係機関の連携強化による切れ目ない支援体制の整備などを進めるということにしているところでございます。
 この関係で幾つか、まず高等学校段階における教育の充実について幾つか御質問、御意見を頂戴したと思います。
 高等学校におきましても、通級による指導が導入された結果、特別支援教育について基礎的な理解が進みつつあるところでございますけれども、引き続きその指導体制、指導方法の確立など、校長のリーダーシップの下に学校全体で高等学校における特別支援教育の充実に取り組むことが極めて重要であると考えているところでございます。
 特に高等学校におきましては、発達障害を含む障害のある生徒が一定数入学してくるということを前提に、個別の教育支援計画や個別の指導計画を作成、活用して、適切な指導、必要な支援を行うということが重要であると考えてございます。
 また出口の問題もございますので、キャリア教育、それから就職した後のフォローアップなどにつきましても、極めて重要であると考えているところでございます。
 次に、教員の専門性の向上について幾つか御質問、御指摘いただきました。
 まず、この有識者会議の報告書の中でも述べられているところでございますけれども、全ての教師について、障害の特性に関する理解、それから個別の教育支援計画、個別の指導計画など、特別支援教育に関する基礎的な知識が必要であります。
 その中でいわゆる社会モデルの考え方を踏まえまして、障害による学習上または生活上の困難につきまして、本人の立場に立って捉え、それに対する必要な支援の内容を一緒に考え、本人自ら合理的配慮を意思表明できるように促していくような経験や態度が求められる、これは全ての教員についてこういうことが求められるのではないかというような指摘もされているところでございます。
 また、教員の専門性の関係で、特別支援学校の免許状と特別支援学級の発達障害の先生方の専門性に関してという御指摘がございました。
 これに関しても、今回の有識者会議のこれまでの検討の中で、特別支援学校の免許状につきましては、特別支援学校学習指導要領等を根拠に必要な専門性等を大学等で習得するということになっているところでございますけれども、その中に知的障害者である子供に対する教育を行う特別支援学校の各教科等や自立活動、重複障害等に関する教育課程の取扱いや、発達障害についても位置付けるということを考えてはどうかというような指摘がなされているところでございます。
 また、これを受ける形で、いわゆる免許法認定講習等の活用に積極的に取り組む中で、この発達障害に関する専門性などについても、教員の先生方にしっかり身につけるような取組を検討すべきではないかというような御指摘を頂いているところでございますので、引き続き、教員の専門性の向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 次に、医療的ケアに関する報告書がいつ頃できるのかというような御質問があったところでございます。
 御報告させていただきましたのは、学校における医療的ケア実施体制構築事業というものでございまして、予定ですと今年度いっぱいまでの事業でございます。
 現在、学校における医療的ケアが必要な子供たちの受入体制の在り方について調査研究を行っていただいているところでございまして、この最終的な報告書を、年度内に、実施していただいている自治体から頂くということになっておりますので、その内容につきましては、例えば、文部科学省のホームページ等におきまして、公表等をさせていただきたいと思います。
 それから、調査の進捗状況を把握する指標について、隔年実施となっているのがなぜなのかというような御指摘を頂きました。
 実は、教員につきましては、教員の多忙化というものが、クローズアップされているところでございまして、文部科学省が行う調査につきましては、できる限り必要最小限のものにとどめるべきだというような御指摘を頂いているところでございます。このため、隔年実施という調査に一部させていただいているところでございます。
 また、通学支援につきましても御質問を頂きましたけれども、障害のあるお子さんの通学支援につきましては、特別支援教育、就学奨励費の中で、必要な支援を行っているところでございますので、引き続き、この取組を実施させていただきたいと思っております。
 最後に、医療的ケアのお子さんをはじめとする訪問型の生涯学習の学びの場について充実を図っていただきたいと御意見を頂きました。引き続き、福祉関係機関と連携して多様な生涯学習の場の設置に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 文部科学省からは、以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 八田課長はこの後、所用により2時45分頃に退席される予定ですので、今の御回答に対して委員から、是非という御意見等がございましたら、1、2受けたいと思いますがいかがでしょうか。
 それでは、玉木委員お願いします。

○玉木委員 ありがとうございます。
 質問したことについて、若干、僕が聞き損ねたのか、僕の言い方が悪かったのかもしれないのですけれども、もう一回、直球で確認しますが、僕の周りでも、ここ10年くらいで特別支援学校が10校くらい新設でできているのです。少子化が進む一方で、なぜ特別支援学校とか、学級が増えているのかということが不思議で仕方がないので、そこをちょっと、どう思われているかということだけ教えていただきたいと思っています。
 以上です。

○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課:八田課長) 御質問ありがとうございます。
 実は、特別支援教育の場といたしましては、特別支援学校、それから特別支援学級、通級による指導等があるわけでございますけれども、この3つ、いずれにつきましても、この特別支援教育を受ける子供たちの数が増えている状況にあるところでございます。
 その意味で、特別支援教育に対するニーズが高まった結果、このような結果になっているのではないかと認識しているところでございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 では、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 竹下です。
 時間の関係で項目だけを挙げて文科省にお願いしたのですが、今の課長の説明は、僕はずれていると思っています。奨励金によって行われているのは通学介助ではないと思うのです。少なくとも、通学児童に対する通学介助というのは、奨励金では実施は不可能ですし、通学介助ができていないという前提で、それらが実現する方向で、福祉施策との連携をお願いしたいというのが私のお願いだったことを、念のために申し上げておきます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 私からも一言、これは時間の関係で御回答は結構ですけれども、障害者権利委員会からの質問に対して、文科省として回答を御準備されていると承知していますけれども、先ほど柘植委員、佐保委員、玉木委員もおっしゃっていたかと思いますけれども、4つの学びの場の連続性がインクルーシブ教育システムであるとして、しかし、その4つの学びの場への子供たちの帰属が、医学モデル的な障害の程度によって結局のところ分けられているのではないかという疑問、これは権利委員会も当然持つ疑問で、それに対して、いや、そうではないのだというのが文科省のお立場だと思いますけれども、それをいかに具体的なデータなり論拠なりに基づいて説得的に説明できるかと、ここが非常に重要なところかと思います。
 今日のお話を伺っていると、特別支援教育を充実していくと特別支援学校が増えるのだという御説明であったかと思うのですが、それはインクルーシブ教育を進めていくという方向性と、いわば善意の意図であるにせよ方向が逆を向いているので、地域の学校における環境整備や合理的配慮を充実させていくことによって、地域でのインクルーシブ教育で就学する障害のある児童生徒は増えるはずだという前提、考え方に対して、どのように我が国は向き合っていくのかということについての説得的な説明や方針が必要かと思います。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 それでは次に、厚生労働省から御回答いただきたいと思います。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部企画課:源河課長) 厚生労働省です。
 最初に、私から全体を御回答した上で、今日は精神障害の関係と、障害者雇用の関係の担当者が来ておりますので、担当者から御回答させていただきたいと思います。
 まず、河井委員、安部井委員から御指摘いただきました、法令等の令和元年度の数値でございますが、御指摘のとおりコロナの影響でございます。ただ、必要な施策は必要な施策として、引き続き、しっかり進めさせていただきたいと思っております。
 それから、森委員から御質問いただきました難病相談支援センターの関係でございますが、ピアサポーターの配置については、一部の自治体で配置していることは承知しておりますが、数については把握していないところでございます。また、難病相談支援センターとハローワークとの連携についても、センターにおいて、月1回相談会を実施している例などは聞いているところでございます。
 それから三浦委員長代理から、条約12条と、私どもの使っております成年後見に関する文言というか、スタンスの関係で御意見を頂戴いたしました。それから阿部委員からソーシャルワークや保育士の専門性等々との絡みで御意見を頂戴いたしました。どちらも貴重な御意見として承りまして、関係部局と共有させていただきたいと思います。
 それから大河内委員から、盲ろう関係でコロナ禍の対応として何かあるのかという御質問を頂きましたが、盲ろう者向け特化ではないのですが、様々な支援を講じる中で当然のことながら、盲ろうの方も念頭に置いて支援を進めているところでございます。
 虐待防止の関係で、大塚委員、佐藤委員、玉木委員等からの御質問と御意見を頂戴いたしました。虐待防止の関係では、本年10月に手引きを改訂し、通報の重要性、通報後の通報者保護の記載等を充実したところでございます。また、虐待防止権利擁護研修においては学校医療機関等の関係者も対象としたところでございます。
 先週11日に、令和3年度に向けた障害福祉等報酬改定の基本的な方向性について取りまとめたところでございますが、この中では令和3年度の改定に向けては、虐待防止に関する研修の充実や、責任者の配置、虐待防止委員会の開催などを努力義務化することを掲げております。これは、まず努力義務化した上で、令和4年からは義務化したいと考えているところでございまして、虐待防止に関してもしっかり取り組んでいきたいと考えてございます。
 久保委員から様々な御質問を頂戴いたしました。まず、グループホームの関係ですが、グループホームは伸びが鈍化しているとは考えておりませんが、昨今入所者の方も重度化しておりますので、グループホームでも重度の障害者を受け入れられるように、その対策を進めていく必要があると考えてございます。
 また、地域生活支援拠点に関しましては、第5期障害福祉計画の最終年度である今年度中の整備予定は全ての市町村ではないと承知しております。このため、整備を推進していくために、令和3年度の報酬改定に向けては、地域生活支援拠点の機能の充実を図る観点から取りまとめたところでございますし、先ほどのグループホームに関しましても、重度の方を受け入れられるような報酬にしたいと考えております。
 また、ピアサポートの関係についても御質問を頂戴しました。知的障害者の中でピアサポート活動をする者というのは、身体障害や精神障害に比べて少ないと考えております。障害者ピアサポートにつきましては、都道府県や指定都市で実施する研修事業についてカリキュラムを通知するとともに、この研修事業について地域生活支援事業費補助金の補助対象として位置付けております。当然のことながら、この研修カリキュラムの対象には知的障害分野も対象としているところでございます。
 それから、施設入所から地域生活への移行者数についても伸びが鈍化しているのではないかという御指摘を頂いております。これも施設入所者の重度化が進んでいることなどが1つの原因ではないかと考えております。ただ、この関係も令和3年度の報酬改定に向けては、グループホームなどを充実することにより、施設入所から地域移行への移行を進めていきたいと考えております。
 また、最後に短期入所の関係について御質問いただきましたが、短期入所の関係が減っているのはコロナの影響があると考えております。
 雑駁ではございますが、まず、以上でございます。

○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課:友利課長補佐) 精神・障害保健課でございます。
 多数の委員の方から御指摘がございました、精神科病院での虐待の件につきまして、回答をさせていただきます。
 精神科病院での虐待に関しましては、精神保健福祉法におきまして精神保健指定医に対して、処遇、その基準が不適当である場合については、管理者への報告等により改善を図る努力義務を課しているほか、入院患者あるいは患者家族等が都道府県知事に対して、退院の請求、処遇改善の請求を行うことができることと、それらの請求に対する精神医療審査会による審査も義務付けております。
 また、都道府県等は、毎年、全ての精神科病院に対して実地指導を行っているところでありまして、この実地指導においては病院職員でしたり入院患者さんについて聞き取りを行っておりまして、患者の人権を不当に侵害するような不適切な事案がないか確認をして、不適切な事案があれば指導等を行っているところでございます。
 そして、先ほど委員からも少しお話がありましたが、虐待案件の実態調査についても行っておりまして、精神科医療機関において虐待が疑われる事案でしたり、虐待防止等の人権擁護につながり得る精神科医療機関における取組事例等の把握、取りまとめを行いまして、自治体に周知をしたところでございます。また、先ほど申しました1年に1回の実地指導の中でも、虐待指導についても聞き取り調査を行うなど、その把握の徹底に努めてまいりたいと考えております。
 もう一点、岡田委員から御指摘がありました、地域での当事者等が参画するような検討会について数を把握しているかということでございますけれども、構築推進事業の中で協議の場というものを開催しておりますけれども、この協議の場の当事者の方の参加状況についてはまだまだ少ない現状がございますので、こちらについても、当事者の方が、そして家族の方も含めて御参画できるように取組を進めてまいりたいと考えております。
 精神・障害保健課からは、以上でございます。

○厚生労働省(職業安定局障害者雇用対策課:増田係長) 障害者雇用の関係で御質問がございました。厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課でございます。
 まず、森委員から難病を法定雇用率の対象の範囲にしてほしいということの検討状況ということで御質問がございました。そもそも難病の方々に対して、厚生労働省としまして難病患者の就職サポーターでありますとか、ジョブコーチなどによる就労支援を行っているところでございます。
 法定雇用率制度、これ自体は社会連帯の理念の下で全ての企業に雇用義務を課すものでございまして、企業が社会的な責任を果たすための前提としまして、まず企業がその対象者を雇用できるだけの一定の環境が整っていること、そして対象範囲が明確であって、公正、一律性が担保されているということ、その2点がまず必要だという認識に立ってございます。
 難病の方につきましては、まず、雇用のノウハウがまだまだ十分に蓄積されておらず、雇用義務を課すまでの環境が整っているとはなかなか言えないという状況と、また、難病というのはなかなか様々な疾病があると聞いております。就労困難性もまた多様であるということですから、対象範囲の検討に当たりましては、まずこれらの実態を把握しまして、難病の症状の程度に応じた就労困難性について検証が必要と考えてございます。
 このため、まずはハローワーク等々を通じた就労支援に努めますとともに、その実態の検証、その把握を努めまして、法定雇用率の対象に含めるかどうかにつきましては引き続き検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 もう一点、竹下委員から御質問がございました、障害者雇用の数、着実に進展しているというところでございますけれども、部位別というところで何か支援をしているのかという御質問だったと認識しております。
 部位別の支援につきましては、視覚とか、聴覚などの障害種別の支援団体等々を通じて、専門性を担保しつつ、きめ細かに対応しているところでございます。
 また、少し外れてしまうかもしれませんが、種別ということで申し上げますと、精神でしたり発達、難病等々の障害特性に応じた専門のスタッフをハローワークに配置しておりまして、関係機関と連携したきめ細かな支援に努めるというところでございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。  重ねて質問を受けたいところではございますが、時間の関係で、本日のところは質問と応答を1回で終えざるを得ないかと思います。
 しかし、来年以降引き続き、障害者政策委員会として第4次基本計画の実施状況に関しての監視のプロセス及び第5次基本計画の策定のプロセスの中でまた関わりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、国土交通省よりお願いいたします。

○国土交通省(総合政策局安心生活政策課:真鍋課長) 国土交通省でございます。
 佐藤委員から、民間共同住宅のバリアフリーのガイドラインの見直しの話、それから、自治体の条例付加、基準の上乗せの件について御指摘を頂きました。
 建築物のガイドラインにつきましては、これまで佐藤委員もよく御案内のとおり、適宜見直しをやっておりますけれども、自治体の条例付加の働きかけをやっていきたいと思っております。これも含めて、引き続き御意見を踏まえて検討していきたいと考えております。
 それから、竹下委員から御指摘いただきました、鉄道駅の安全対策、無人駅対策の件でございます。こちらにつきましては、現在、視覚障害者の方も入っていただいて、ホーム上の安全対策について、新しい技術の活用も含めて国交省で検討会を作って検討をさせていただいております。
 無人駅につきましても、国交省で別途検討会を作って検討をさせていただいているというところでございますので、引き続き適切に対応していきたいと思っております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 国土交通省へも、まだまだ御質問や御意見をお持ちの委員も多くいらっしゃるかと思いますが、時間の関係で、本日のところはここまでとさせていただきたいと思います。
 なお、選挙に関しては総務省に、それから成年後見や民法改正に関わるような点につきましては法務省からも御回答を頂きたいところではありますけれども、これも時間的に短時間の議論しかできないこともありまして、来期の障害者政策委員会の中で、また必然的に取り上げさせていただくことになろうかと思いますので、その際、またよろしくお願いいたします。
 以上、とりわけ3省を中心としまして、第4次基本計画に基づく障害者施策の実施状況に関しての中間的な報告をしていただきました。
 担当省庁におかれましては、今後、障害者施策を推進するに当たって、本日の当委員会の指摘事項も踏まえた上で御対応いただくようお願いいたします。

○衣笠参事官 事務局ですけれども、内閣府も幾つか御質問、御意見等を頂いておりますので、この場で簡潔に御回答したいと思いますがよろしいでしょうか。

○石川委員長 時間的に大丈夫でしたらお願いします。

○衣笠参事官 まず、竹下委員から、デジタル化の推進の中で障害者がどう位置付けられているかということなのですけれど、今、政府全体での進め方や内容につきましては、別途、内閣官房等を中心に検討中ということでありますので、そちらに情報共有させていただき、必要に応じて連携して対応していきたいと考えております。
 あとは岩上委員から、この実施状況の監視の進め方について御意見がございました。昨年度も同様の御意見を頂きましたが、事務局としては、前年度の実績を取りまとめるのに一定の時間がかかるということのほか、実績を基に施策を策定することについても、施策と言いましても法案の動向によるものや検討中のものも多々含まれるということもありますので、委員の御提案のようなやり方というのは難しいと考えております。
 ただ、こうした実施状況の監視の中で、御関心のあるところにつきましては、過去の評価や今後の方針といったことは質疑の中で確認等をいただけると考えていますので、そういった方法で対応いただくことで御理解いただければと考えています。
 次に、久保委員から頂いた、障害者差別解消支援地域協議会について設置が不十分ではないかという御意見ですけれども、本日の議題2とも関連しますけれども、我々としては同じ認識でありますので、今後、ブロック研修会等を通じて、更にどういったやり方がよいのかということの検討も含めて対応したいと考えております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、政府側の出席者がここで交代いたしますので、その間、小休止といたします。
 そのままお待ちいただけると幸いです。出席者の入退が終了次第、再開いたします。

(政府側出席者交代)

○石川委員長 それでは再開いたします。次の議題に移ります。
 障害者差別解消法の見直しの検討について、事務局から説明をお願いいたします。

○衣笠参事官 事務局です。
 それでは、資料5を御覧いただければと思います。
 まず「1 これまでの経緯」というところで記載しておりますけれども、2つ目の○ですが、この障害者政策委員会において本年6月に取りまとめられた意見書の中で、事業者による合理的配慮につきましては、更に関係各方面の意見を踏まえつつ、その義務化を検討すべきということで御提言をいただいております。
 内閣府としては、この「関係各方面の意見を踏まえ」といったことを受けまして、事業者団体及び障害者団体からヒアリングを実施いたしました。
 ヒアリングの主な意見につきましては、本日配布させていただいています資料6と資料7でまとめておりますが、時間の関係上、詳細な説明は割愛をさせていただきます。
 ヒアリングの対象としました事業者団体でありますが、資料6の裏面の6ページに一覧を載せております。こちらは関係省庁の推薦も頂きまして、中小企業の団体でありますとか小売業やサービス業の関係団体、公共交通関係の団体、医療関係団体など、幅広い分野から34団体を対象として実施しております。
 障害者団体につきましては資料7の8ページに一覧を載せております。こちらは障害者政策委員会に委員として参加をいただいていない団体を中心に、例えば、ALS、筋ジストロフィー、高次脳機能障害など19の当事者団体を選定しております。
 こういった団体の方々からヒアリングを行ったわけですが、その議事録を内閣府のホームページに掲載しておりまして、それぞれの団体の具体的な御意見はそちらで参照可能とさせていただいております。
 資料5に戻っていただきまして、真ん中ですけれども、※印の部分を見ていただければと思います。こちらは団体ヒアリングの概要ということで、結果を要約している記述です。
 1つ目の○で、本年の10月下旬に行い、先ほどの団体を対象に実施したということです。
 2つ目の○ですけれども、事業者団体につきましては、事業者団体の多くが義務化に一定の理解を示していただいたところです。積極的に賛成であるとおっしゃったところから、特段反対まではしないような団体まで幅はありますが、一定の理解を示していただいた一方で、この括弧内に記載しております、鉄道事業者や中小事業者団体等の一部の事業者団体におかれましては、現時点では、国民全般の理解が進んでいないといったことなどの理由で義務化は時期尚早である、引き続き努力義務とすべきといった意見がありました。
 3つ目の○ですけれども、そうした義務化に対する態度にかかわらず、多くの事業者団体が義務化によるトラブルの増加を強く懸念しており、義務化する場合には、合理的配慮の考え方をより明確化すること、周知啓発を進めること、事業者からの相談に応ずる体制を整備することが必要であるといった意見がありました。
 他方で、その下の○ですけれども、障害者団体の方々からは、総じて事業者の合理的配慮の提供を義務化すべきであるといった強い意見などが示されております。
 「2 対応方針(案)」ですが、障害者政策委員会の意見書や今申し上げたような団体ヒアリングの結果なども踏まえまして、内閣府としましては、事業者による合理的配慮の提供の義務化等を主な内容とする改正法案を次期通常国会に提出することを検討中の状況です。
 資料8を御覧いただければと思います。障害者差別解消法の改正に盛り込む事項案ということであります。現時点では改正案の詳細というものをお示しできるような段階にはありませんけれども、内閣府として提出することを検討中の改正法案の大まかな内容を記載したものが、この資料8になります。
 まず1ですが、事業者による合理的配慮の提供について、現行の努力義務を義務に改める措置を講ずるという内容です。
 それから2以降は、本委員会の意見書や、事業者団体の懸念、要望といったことも踏まえまして、義務化に向けて環境を整えるものとして、義務化と併せて措置を講じるといった性質のものになります。
 2につきましては、現在、相談体制の整備や事例の収集等の事項は、法律で定める基本方針の記載事項としましては「その他」の中で読み込んでおりますけれども、相談体制の充実等を図るといった観点から、新たに相談体制の整備や事例収集等の支援を内容として想定した基本方針の記載事項というものを法律上も追加するといった内容になります。
 3につきましては、国及び地方公共団体における合理的配慮も含めた障害者差別に関する相談体制の整備として、相談に対応する人材を育成し確保するといった責務、これを明確化するというものです。
 それから4につきましては、地域における障害者差別に関する事例等の収集などを行うよう努める旨を明確化するものです。
 5につきましては、相談体制や事例収集の充実、また地域協議会の設置促進や活性化といった観点から、国・地方公共団体の連携協力に係る責務を追加するというものです。
 その下の※印のところの施行日につきましては、現在検討中でありますが、法改正後に基本方針の見直しや、基本方針の見直しを受けた各省庁の対応指針の見直しといったことの準備のために一定の期間が必要でありますし、また、施行までの間に、事業者団体の懸念や要望も踏まえまして、周知啓発、それから相談体制の整備や事例収集等の取組を進めることも見込みまして、相応の準備期間を設けることを考えております。
 なお、参考として記載していますが、法律の制定時は公布日から約3年後に施行しております。
 本委員会の意見書では、幅広い内容について言及いただいておりますが、法律に盛り込むことを検討している内容は今御説明したとおりでありまして、その他の事項につきましては、基本方針の見直しなど運用上の事項として今後検討していきたいと考えております。
 事務局の説明としては以上です。

○石川委員長 衣笠参事官ありがとうございました。
 それでは、この後、途中で10分程度の休憩を挟みつつ、本件につきまして委員からの御意見あるいは御質問を受け、内閣府より御回答いただくという形で進めていきたいと思います。
 それでは、御発言を希望される委員は、チャットにて意思表示をお願いします。よろしくお願いします。
 竹下委員、お願いします。

〇竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。
 資料8で、改正のポイントないし方向性が示されたわけですけれども、その中で落ちているのか含まれているのか分からないので教えてください。
 2番目の項目で、基本方針に定める事項を追加とあって、その後に3番目にも、障害者差別に関する相談体制の整備とあって、その括弧の中を見るとダブっているのかダブっていないのかよく分からない。それとの関係で、相談体制はいいのだけれども、紛争解決の在り方というものが、この中に含まれているのかどうか、それについてお聞きしたいというのが1点目であります。
 2点目には、6月22日の報告書をまとめる際で大きな議論の柱となったのは、障害者差別の定義を明確化することだったかと思うのです。この点は、この項目のどこを見ても全く指摘されておりません。この点はどういう形で報告書がいかされることになるのかについて教えて頂きたいと思います。
 私からは以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、安藤委員、お願いします。

〇安藤委員 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の安藤です。
 私からは1つお願いがあります。
 この資料8の1から5までは、私はよかったなと思っています。義務化になるということは、私たち障害当事者にとっては大変うれしいことだと思っているのですが、やはり施行日の件、検討中とあって、制定時は3年後に施行と書いてあるのですが、できれば、もちろんいろいろ省庁間の調整とか、いろいろ周知とかで大変なのかもしれませんが、できるだけ早く実行できるようにしていただきたいと思っています。
 理由としては、やはりこの差別解消法が始まったのは2016年です。2016年から始まって、まだ民間業者の周知が徹底されていないからなどというのは、ちょっとどうかなと。それは内閣府の怠慢だったのではないのと、私は正直思ってしまいます。
 もっと内閣府の皆さん、もちろん私たちもですが、障害者差別に関して、もっと啓発していくことがあったではないかとは思っています。
 あと、トラブル回避のためということもおっしゃっていましたが、やはり、できれば早めに実施して、トラブルがあったとしても、その摩擦から生まれることだっていろいろあると思うし、僕ら障害者が声を出して民間事業者の人たちといろいろなことを話し合っていく場というのを、もっと早く機会を作っていただきたいと私は思っています。
 ですので、3年後とは言わず、もう少し早く実施していただきたいなと思う次第です。
 よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、佐藤委員お願いします。

〇佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
 まず、内閣府において、差別解消法の見直し、次の通常国会で法案の提出を検討していただいているということに、本当にこれは感謝申し上げます。
 その上で、事業者の合理的配慮の義務化とか相談体制の整備と人材育成の確保という非常に重要なことも盛り込んでいただいて本当にありがとうございます。
 2点あるのですけれども、私も安藤委員と同じで周知期間はできるだけ短くしていただきたいと思っております。
 2013年から法律が制定されて既に7年経っており、十分周知はできていると思いますので、3年と言わずに、できる限り短くしていただきたい。
 もう一つ差別の定義ですけれども、こちらは基本方針の改定の方に関わるのかと思いますけれども、是非ここで間接差別、関連差別も盛り込むように進めていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、佐保委員お願いします。

○佐保委員 ありがとうございます。
 差別解消法の改正に盛り込む事項案の1点目に、これまで申し上げてきた、事業者による合理的配慮の提供の義務化を明確に打ち出していただけたことについて感謝を申し上げます。
 その上で、障害者差別の解消に向けた動きを大きく前に進めるために、3点について意見を申し上げます。
 まず、2の基本方針に定める事項追加における相談体制について、以前より障害当事者の皆さんから相談窓口が分かりにくい、どこに相談すればいいのか分からないという声を聞いております。法改正を機に相談窓口のワンストップ化を実現してほしいと思っております。
 次に、4の差別の事例の収集については法改正後の基本方針での対応になると思われますが、障害のある女性や子供などに対する複合的な差別を含む、差別の定義を明確化することに加え、家族や関係者に対する差別についても対応することを明記して頂きたいと思っております。
 最後に、これは安藤委員、佐藤委員からも発言がありましたが、施行日についてであります。既に行政機関における合理的配慮の義務化や雇用の分野での事業者における合理的配慮の提供が義務化されており、大きな問題も生じていないことから、周知広報を行った上で、公布日から1年以内には施行すべきではないかと考えております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、関川専門委員お願いします。

〇関川専門委員 大阪府立大学の関川と申します。
 ヒアリング、御丁寧にありがとうございました。事業者、当事者それぞれの御意見を改めて確認ができてよかったと思います。
 それについて、少し気がついたことをお話したいと思います。
 まず第1点ですが、今回の差別解消法改正の意義ですけれども、合理的配慮提供の義務化は、改めて法の存在を社会に向けて周知し、差別的取扱い並びに合理的配慮について、それぞれの皆さん方が参画しながら社会規範として高めていくために、周知啓発する格好の機会、このチャンスを逃してはいけないと考えております。
 来年度、仮に法改正が成立しましたならば、国・地方自治体は、施行に向けて、現行法の枠組みの中で積極的に準備を進めるべきだと思っています。
 この委員会の審議を通じて、改正する、しないに関わらず、差別解消に向けて、国、自治体、事業者が取り組むべき課題というものは多数あると認識しています。
仮に法律改正3年後に施行するということであれば、それまでのプロセス、ロードマップを具体的に示すべきだと思います。そうしなければ多くの方から賛同いただけないのではないかと考えます。
 それに関しまして、2点お願いしたいことがございます。
 1点は、事業者側の御意見にもありましたとおり、合理的配慮の義務の存否、判断基準について、具体的にお示しをして周知啓発を図る必要があると思います。義務化に伴う不安とか困りごとを解消する努力を、この3年に向けたロードマップの中で具体的に位置付けて積極的に推進していくべきではないでしょうか。
 ちなみに、合理的配慮の好事例を平成29年でまとめておりますが、バージョンアップが必要だと思います。ここでは障害種別に応じた合理的配慮についてまとめておりますが、事業者側の立場から、見やすいもの、必要な情報が得やすい内容に変えていく必要があると思います。
 2つ目は、相談体制の充実です。事業者側ヒアリングにもありましたように、事業者に対する相談窓口や啓発活動の充実は、法改正以前から既に取り組むべき内容だと考えております。法改正の準備と並行して、この課題に取り組んでいただきたいと思います。
 もう一つは、障害当事者の方への権利啓発、権利教育の充実が必要のように思います。と申しますのは、都道府県ごとに相談案件の数に随分偏りがあります。改めて、障害者差別とは何か、当事者の方に丁寧に伝えていく必要があるのではないかと思っています。
 そして、これは地方自治体からのお願いなのですが、国にワンストップで判断困難事例を相談できる窓口を正式に設けていただきたいと思います。
 と同時に、合理的配慮の提案について必要な情報、ここでは、こんな事例がありますよ、こんな努力した事例がありますよという情報提供のためのデータのストックを是非お願いしたいと思います。
 以上でございます。

○石川委員長 関川専門委員ありがとうございました。
 それでは、久保委員お願いします。

〇久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保です。
 今回の法改正に向けた取組につきまして、内閣府が精力的に調整していただいたことを高く評価しております。
 とりわけ事業者における合理的配慮の提供の義務化まで踏み込む方向としたことは、大変重要なことであると思っております。関係機関の理解を得つつ実現を目指していただきたいと思っております。
 他方で、育成会としては、次の3点ぐらいを、少し検討をお願いしたいと思っております。
 1点目は、ここにおける一元的な相談窓口に関することでございます。障害者側だけではなくて、相手方となる事業所や相談は対応する市町村も、困ったときにどこに相談してよいのか分からないというような状況が発生するのではないかなと思っております。
 差別解消法は、生活のあらゆる場面が対象になる法律でございますので、所管省庁が位置付いていることは十分承知しておりますけれども、国における一元的な相談窓口は是非検討していただきたいと思っております。
 2点目ですけれども、知的、発達障害における合理的配慮の提供に関することでございます。今回の法改正で、合理的配慮の提供が全面的に義務化されることを期待しておりますけれども、実際には一見、見たところ分かりにくい知的、発達障害への合理的配慮が、どの程度進むものかということを懸念しているところでございます。
 当会としましてもできる限りの協力をしていきたいと思っておりますので、是非、知的、発達障害の基本的な特性を理解する啓発活動を後押ししていただきたいと思っております。
 最後は、3点目でございます。
 障害者差別解消支援地域協議会に関することでございます。今回の法改正イメージでも、地域における障害者差別に関する事例等も収集し、整理を明確化とか、それから国及び地方公共団体の連携強化に係る責務の追加が示されております。
 こうした内容を実現するためには、都道府県、市町村の地域協議会が機能していることが前提になるのではないかなと思っております。
 内閣府におきましては、引き続き強力に地域協議会の設置促進に向けた活動が進んでいきますように支援をしていただきたいと思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 では、休憩前の最後となりますが、玉木委員お願いします。

〇玉木委員 ありがとうございます。
 まず、この資料8の整理をいただいた事務局には、本当に感謝したいと思っています。
 その上で、まず、2番目にある相談体制の拡充ということでいくと、今まで言っていたように、拡充というのは広げ過ぎるということではなくて、やはりきちんとワンストップで受け止めるということを前提に拡充、強化するという意味で使っていただいた方がいいかということ。
 それから、実は今年、差別に遭いまして、差別の相談を西宮にしたのです。どういうことかというと、公立病院で、私は人間ドックを受けようとしたら、エレベーターがないからお断りと言われて、結局、その病院では「今後考えます」で終わってしまったのです。
 それでいくと、3番目の相談に乗る人の人材の確保のところで、どこまで相談を受け止めて、協議、調整ができるか、あっせんができるかというぐらいの、かなりの力量が必要となってくるので、そこら辺は、ちょっと強く推していただきたいということが1つ。
 最後に、皆さん方が言う、施行期間、例えば、2016、17、18で3年、それで、19、20で2年間で、来年通ったとしたときに、来年から3年考えて、21、22、23です、施行は、これは時間をかけ過ぎ、やはりおかしいと思うのです。ここは内閣府さんにも頑張って、お金をかき集めていただいて、例えば、新聞とかテレビで政府広告という形できっちりと、国民に知りわたるような手立てを打ってもらって、仮に周知期間が要るとしても、掛けて1年です。1年経ったときには、完全施行という形でやっていただけると、僕はうれしいということで、政府広告をやるのだったら、僕を出してちょうだいねということです。
 以上です。

○石川委員長 玉木委員ありがとうございました。
 それでは、ここで、休憩を取りたいと思います。再開は3時40分です。

(休憩)

○石川委員長 それでは皆さんよろしいでしょうか。再開したいと思います。
 三浦委員長代理が発言を求めていらっしゃるので、発言していただこうと思います。

〇三浦委員長代理 三浦です。遅れて発言を求めて申し訳ありません。
 内容的には、本当に丁寧に進めて頂いたと思います。ですが、最初に差別解消法が制定されるときには、政策委員会の中でヒアリングを事業者の方々にもさせていただいた記憶があって、その時の時間が、お互いを理解するという意味で貴重なものでありました。
 先ほど安藤委員が言われたことにも関係するのですけれども、今後、積極的に盛り込む事項を挙げていただいたことに感謝しながら、さらに、事業者団体のヒアリングの結果を拝見すると、政策委員会の当事者委員がお答えできるところも随分あるのではないかと、非常にそれを感じましたので、できればそういう意見交換ができる機会を今後作っていっていただきたいと。それは施行までの、例えば1年という範囲の中でも結構ですし、その辺りを是非ディスカッションできる場面を作って頂きたいことを、意見として申し述べます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それではここまでで、事務局から御回答、御答弁をいただきたいと思います。

〇衣笠参事官 事務局です。様々な御質問を頂きましてありがとうございます。
 いくつかまとめて回答させていただくところもあると思います。申し訳ございません。
 まず、差別の定義・概念の部分ですけれども、法律にも記載するのか、どうしていくのかという話ですが、意見書の取りまとめの際も、差別の定義の明確化というものが、差別の解消に資するという一方で、法律で書くことについての課題というものも記載いただいております。
 例えば、法律で差別の定義を設ける場合には、かえって条約よりも狭く定義してしまうということや、定義に該当しないものは差別に当たらないと取られてしまうことも懸念されるといったこと、差別の概念、類型化には様々な考え方があるため、解釈の違いによる混乱も予想されるなど、いろいろ記載を頂いております。そうしたことも踏まえて検討しました結果、この段階で法律に記載するのは難しいと事務局としては考えております。
 したがいまして、今後は、そもそも法律改正があるのかないのかはありますが、基本方針等の中で、差別の定義・概念の明確化という観点でどういった対応ができるのかを検討していきたいと考えております。
 それから、施行日でありますが、現在、盛り込む事項案の資料で検討中と記載させていただいております。そういう意味で、今、ここは何年と決まっているわけではありませんが、事業者団体のヒアリングの中では、仮に義務化するとすれば、拙速にやるのではなくて、しっかりと周知啓発を行い、事業者からの相談に応じるような体制を整備してほしいといった御意見がかなりありましたので、そうしたことを踏まえて、やはり一定の準備期間が必要だと考えております。また、もし法改正をするとすれば、基本方針の見直しやその基本方針を踏まえた対応指針の見直しも必要となります。基本方針の見直しにつきましては本委員会で御議論いただくことになりますが、その時間はかなり見ておく必要があるとも思われますので、余り早急にということは難しいと考えております。
 それから相談体制について、いくつか御質問もしくは御意見がありましたが、具体的には今後どうするのかを検討していくことになります。法律上は人材の育成・確保を明確化するということですが、具体的には、基本方針等で検討して定めていくプロセスになると考えており、そういう意味での2と3の関係になります。3は法律上明確化する部分、2は法律上は基本方針の記載事項として支援措置というものを追加することを検討中ですけれども、その具体の中身は基本方針以下のレベルで記載していく、そういった考えです。
 協議会につきましては、久保委員から御意見がありましたけれども、そこは我々としてもきちんとやっていかなければいけない部分であるということで、先ほども申し上げましたように、意見書も踏まえしっかり取り組んでいくものと考えております。
 次に、進め方について関川専門委員や三浦委員長代理からも御意見がありました。まず大前提として申し上げておかなければいけないのが、資料5の対応方針のところで、改正法案を次期通常国会に提出することを検討中と記載しているということです。
 要は、今後、内閣府としましては、資料8で書いているようなものを軸に、政府内の関係省庁等と調整して内容も固めていきたいと考えていますが、その内容や提出するかどうかも含めて調整中です。このため、法案を提出することが確定して御説明しているのではないということは、御承知おきいただければと思います。
 そうした前提で、仮に法改正をすることになったときですが、関川専門委員からの御意見で、現行法の中でもやれることをやっておくべきなどの話もあったかと思います。我々としても、来年度の予算事業の調査研究事業の中で、相談体制や事例収集の在り方も検討したいと考えており、その結果も踏まえながら基本方針の議論に入っていければという考えです。それから、周知啓発につきましてもまだまだ不十分との御意見も頂いている中で、来年度、それを強化する事業の予算を計上し、周知啓発も強化していくことに取り組んでいきたいと考えております。
 内閣府からの説明は以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 1点確認させていただきたいのですが、進め方のところで、現時点では次期通常国会に提出を検討中であるという参事官の御説明でしたが、検討しているのはどの部分でしょうか。次期通常国会での提出を検討しているというのか、法改正を検討しているという意味なのか、どのレベルなのかということは非常に大きな問題でして、誤解を招く可能性もあるので、この点は明確にしていただいた方がいいかと思いますが、いかがでしょうか。

〇衣笠参事官 内閣府としては、法案として提出したいということで検討中でありますが、法案として出すのかどうか、それからスケジュールも、両方含めて検討中ということです。

○石川委員長 ありがとうございました。
 慎重な中にも、是非とも提出し、法改正を実現したいという気持ちも、これまでの検討を通して私自身は強く感じておりますが、そういうことで委員の御理解を頂ければと思います。
 さて、それでは今の御回答を踏まえて、更に委員からの御質問や御意見を頂きたいと思います。平川委員、どうぞ。

〇平川委員 ありがとうございます。
 以前に、合理的配慮という言葉について、委員長からも誤解を招くのではないかという話がございまして、そのとき玉木委員からも話し合いの場を義務化するという話もあったと思うのですが、先ほどの玉木委員のお話を聞くと、病院に行ったときに、車椅子の方はエレベーターがないから健康診断が受けられないという話がありましたが、病院側からすると、やはりそれも病院の理屈ではあるのかなと思いまして、その辺、このウェブの会議で時間がない中で申し訳ないですけれども、どんな形で解決するのか、いい例だと思いましたので、そういうものを含めて議論ができないかと。例えば、病院側として、どちらか相談するような場所がすぐ見つかればいいのですけれども、私は玉木委員が大好きなので、玉木委員に味方をしたくなるのですけれども、でも病院ではエレベーターを付けるのかという議論になってしまいますので、その辺、当たり前の常識というのはお互い多少違っている中で、どのような形でやっていくかということの具体化が見えない限りは、事業者側の不安というのは消えないのかなと思うので、その辺を事業者側の相談窓口も是非作っていただきたいと思います。

○石川委員長 竹下委員、平川委員からの問題提起への関連でしょうか。

〇竹下委員 はい。

○石川委員長 では、竹下委員、お願いします。

〇竹下委員 関連という意味を僕は誤解しているのかな。先ほどの事務局の説明では、差別の定義については基本方針で考えるのだというお答えだったと思います。なぜそれが書かれていないのですか。というのは、資料8-2を見ていると、基本方針に何を書き込むかがわざわざ書いているのに、報告書の柱になっている差別の定義については基本方針で考えると、あるいは書き込むという意向を明確にしておくことが必要なのではないでしょうか。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 まず、平川委員からの問題提起に対しましてですけれども、先ほど関川専門委員からも御指摘があったように、この辺りのところを前もって完全に合理的配慮の範囲を明確化するというのは、恐らく原理的に不可能だけれども、考え方ですとか、おおよその相場感という言葉が適当かどうか分かりませんけれども、合理的配慮はこういったようなもののことを言うのであって、一方、こういうものは合理的配慮だとは言わないだろう。
 つまり、網羅的なホワイトリストも、網羅的なブラックリストも出せないけれども、この辺はホワイトリスト、この辺はそうでないというリストという形で示すことは必要であるし、ある程度は可能なのではないかと思っています。
 先ほどの玉木委員の事例について、今日議論するというのは時間的に無理なのですが、確かに良い例で、これを合理的配慮の不提供と見るか、あるいは、これはやむを得ないこととして、つまり環境整備がまだ整っていないということによって、やむを得なくそれは断っているのだとするのか、この辺りのところが、要するに合理的配慮をめぐっての1つの考え方を、建設的な対話を通してすり合わせて調整していくということが必要になってくると思いますので、そういったことも含めて、基本方針の中に、今ある程度の考え方のガイドラインになるようなことも入れていけると良いかなと思っています。
 事務局の方で何か補足、あるいは違った御意見があればお願いします。

○植草企画官 事務局でございます。
 竹下委員からの基本方針の改正の部分について御説明申し上げます。
 差別の定義についても、基本方針の中に新たに項立てをするべきではないかという御意見でしたけれども、今も基本方針について定めている法第6条第2項第2号及び第3号に「障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項」というのがございまして、この項立てに沿って基本方針の内容も書かれておりますが、恐らく差別の定義についても、ここが項立ての中で解決していくことになると思います。
 その一方で、相談体制の拡充については、現在、基本方針の方に相談体制の記述というのがまとまってきちんとないものですから、ある程度のボリュームを割くためにも、きちんと項立てすることになりました。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、他の委員で発言を求める方は、チャットにてお願いいたします。
 他に御意見、御質問等はないように思われます。内閣府から特に補足説明はありますか。

〇衣笠参事官 事務局です。特にありません。

○石川委員長 玉木委員、発言を求めていらっしゃいますか。

〇玉木委員 すみません。せっかく平川委員が言っていただいたので、ちょっと丁寧に説明させてください。今回の場合は、公立病院であることと、それから国民健康保険上のサービスで、人間ドックというサービスが利用できるということで、病院にお願いをして、ところが、検査棟と病院棟は別だと、検査棟であればできないから無理なのですということなのだけれども、公立病院は当然総合病院ですから、各科でいろんな検査はできるわけであって、そこら辺の実態の調整ができないまま、人間ドックだからこの場所でこういう形でしかできませんと切ってしまったのが、合理的配慮の不提供ではないかと。しかも公立病院で、やはり公的な機関ということで合理的配慮が義務になっているわけで、だからその調整が、実は今の状況ではできないし、そこに間に入った障害福祉課も、結局、言って終わったというお話でした。
 以上です。

○石川委員長 玉木委員、具体的な説明ありがとうございます。
 そういうことであれば、合理的配慮の不提供と考えることも可能ではないかと私も個人的には思いますし、玉木委員の建設的対話の能力をもってしても動かせなかったということは、やはり対話というのは、両者が向き合わないと実現しないことでもあるので、その点についても、示唆的な事例であったかと思います。
 平川委員、どうぞ。

〇平川委員 平川です。
 病院側の立場で申し上げますと、人間ドックと一般の診療は別にやっているところが多いですね。
 人間ドックは、人間ドックの施設のところで、患者さんたちから思えば同じだろうという考えかもしれませんが、全く施設を分けてやっていてスタッフも違うというような場合があります。もちろん公立病院ですから、きちんとやるべきだと思いますが、そういう事情も分かっていただきたいなとちょっと思いました。すみません。

○石川委員長 ありがとうございました。
 曽根専門委員、お願いします。

〇曽根専門委員 日本社会事業大学の曽根です。
 先ほどの合理的配慮の定義とか具体例のことで、ちょっと思ったことがありまして、私は、障害者虐待防止法が専門なのですけれども、障害者虐待防止法の中でも、虐待の定義というのは、一応5類型にはなっているのですけれども、かなり概念的な定義になっていまして、個々の具体的な行為というのは、そこに照らして判断するという形になっています。ただ、ガイドラインというか手引きがありまして、そこに虐待の行為に該当するものというのが例示されているのです。
 法律が施行されたばかりのときは、本当に、これはどうみても虐待だろうということが例示されていたのですけれども、やはり法が施行されて現場の取組が進化していくと、これは虐待とまでは言い切れないのではないかなと思うものも、やはり虐待として取り上げていこうというような機運が高まってきまして、かなり虐待の行為の例示というのが幅広くなってきております。
 今日、源河課長から虐待防止の手引きがこの10月に改正されたというお話があったのですけれども、そこの中の例示というのも、当初に比べると相当豊富になってきています。
 ですので、今回、合理的配慮が義務化されるということで、当面考えられる例示というのは当然していくと思うのですけれども、これが義務として施行されて取組が進化していきますと、かなり幅広く分厚いものになっていくのではないかなと思いますので、そういうふうに徐々に進化するものだと捉えていくということがよいのではないかなと感じました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 この議論、すごく適切にまとめていただいたと思います。同感です。そういう方向で進めていくべきかと思います。
他に御意見はございますでしょうか、御発言よろしいでしょうか。そういたしましたら、本日の議論も踏まえまして、政府においては今後の対応をきちんと進めていただくようお願いいたします。
 また、障害者政策委員会での取りまとめに基づいて、障害者差別解消法の改正法案の骨子案の策定と、可能な限り、次の通常国会での提出を、是非お願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題は全て終了いたしました。
 本日は、今期つまり第四期の委員による最後の政策委員会となる見込みですので、私より一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 今期は、主として障害者差別解消法の見直しの作業に当委員会としては取り組んでまいりました。事務局とともに全力で取り組んでまいりました。
 様々な立場の御意見を、この委員会の中で、対話を行いながら取りまとめをしてまいりまして、最終的には全会一致で取りまとめることができました。
 また、それに基づきまして、現在、政府において法改正のための準備作業を、また必死にやっていただいていると承知しております。
 第四期の政策委員会に御参集いただいた皆様に深く敬意を表するとともに、感謝を申し上げたいと思います。本当にどうもありがとうございました。
 この委員会自体は来期も重要な職責を担い続けますので、委員会の中あるいは外から、また御協力、御支援を頂きたいと思います。ありがとうございました。
 これをもちまして、第53回の障害者政策委員会を閉会いたします。退室の際は、画面の電話マークをクリックして、御退室いただきたいと思います。
本日は、ありがとうございました。