障害者政策委員会(第54回)議事録
令和3年3月22日(月)
13:30~16:00
中央合同庁舎8号館1階講堂
(Web会議にて開催)
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○衣笠参事官 それでは、定刻になりましたので、第54回障害者政策委員会を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙中のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の委員会は16時までを予定しております。
また、本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ウェブ会議により開催しております。
なお、取材及び一般傍聴者は、感染防止の観点から本日はお断りし、その代わりに動画中継を視聴いただく形としておりますので、御承知おきください。
本日、委員長の選出まで司会を務めます障害者施策担当参事官の衣笠でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、委員会の開催に当たりまして、坂本哲志内閣府特命担当大臣に参加いただいておりますので、坂本大臣から御挨拶をお願いいたします。
○坂本大臣 障害者施策の担当大臣をしております坂本でございます。
本日は、第5期委員となって初めての障害者政策委員会の開催に当たり、私から一言御挨拶をいたします。
委員の皆様方には、大変御多忙の中、本日、この障害者政策委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
今月9日、事業者に対し、合理的配慮の提供を義務付けること等を内容とする障害者差別解消法の改正法案を国会に提出いたしました。この法案は、障害者政策委員会において取りまとめていただいた意見書を踏まえて作成したものであり、担当大臣として法案の早期成立に向けて力を尽くしてまいります。
法案の内容につきましては、本日の委員会でも後ほど事務局より御報告します。この法案が成立した後は、円滑な施行に向けて、委員の皆様に障害者差別解消法の基本方針の改定に向けて御議論いただきたいと考えております。
また、令和5年度からの第5次障害者基本計画の策定に向けた御審議や、国連障害者権利委員会による我が国初めての審査に向けた対応など、我が国の障害者施策の基本となる重要な御議論も進めていただくことになります。皆様におかれましては、今後の御審議に当たり、それぞれの御知見や御経験を存分に発揮していただければ大変幸いでございます。今後とも御指導のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございます。
○衣笠参事官 ありがとうございました。
坂本大臣は、所用のため、ここで退席されます。
初めに、ウェブ会議の留意点について、簡単に確認いたします。
まず、会議中はカメラをオンの状態にしていただくよう、お願いいたします。
次に、現在はマイクをミュートにしていただいていると思いますが、御発言のとき以外はミュートの状態のままとしていただくよう、お願いいたします。また、御発言の意思表示はチャットメッセージで挙手と入力し、送信アイコンをクリックすることにより行ってください。その上で委員長の指名を受けた後にミュートを解除し、マイクに向かって御発言ください。発言が終わりましたらマイクを再びミュートの状態に戻していただくようお願いいたします。
会議中に通信回線や音声通話が途切れるなどの問題が生じた場合や、緊急の御連絡がある場合には、あらかじめ皆様に御連絡いたしました事務局の連絡先までお電話をいただければと思います。
それでは、私の方から、第5期の委員として御就任いただいた先生方を紹介させていただきます。先生方の名簿は資料1として皆様のお手元にお配りしております。この名簿に沿って、最初に委員、次に専門委員の順にそれぞれ御紹介いたします。恐縮ですが、御紹介した後に、1人当たり1分以内で御挨拶を頂ければと思います。発言の際はミュートを解除し、できるだけマイクに近寄ってお話しください。まず、お名前を名乗り、可能な限りゆっくり、分かりやすく発言いただくようお願いいたします。そして、発言後はマイクのミュート機能をオンにしていただくようお願いいたします。それでは、順次、50音順で御紹介させていただきます。
社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長、阿部一彦委員、お願いいたします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部と申します。よろしくお願いいたします。
この障害者政策委員会では、国、自治体、全体に関わる考え方が示されていると思うのですけれども、私の団体は都道府県、政令市にも加盟団体組織を持ちますので、この検討を地域に浸透するというか、地域で取り組むことに力を注ぎながら、日本身体障害者団体連合会としては取り組みたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○衣笠参事官 ありがとうございます。
続きまして、東京都重症心身障害児(者)を守る会会長、社会福祉法人全国重症心身障害児(者)を守る会評議員、安部井聖子委員、お願いいたします。
○安部井委員 全国重症心身障害児(者)を守る会の安部井と申します。
重度の肢体不自由と重度の知的障害を併せ持つ親の団体でございます。娘は医療的ケアを必要としながら在宅で生活しております。第3期からここに加えさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 続きまして、公益社団法人全国脊髄損傷者連合会常務理事・事務局長、安藤信哉委員、お願いいたします。
○安藤委員 全国脊髄損傷者連合会で事務局長をしております安藤です。
今回で私は3期目になります。これからは、内閣府の障害者政策委員会に関しては、障害者福祉の方向性を照らしていくようなものなのかなと思っています。私は障害当事者なので、当事者としての発言を積極的にして、何とか僕らが輝くような障害者福祉になっていければいいかなと思っています。これからもどうぞよろしくお願いします。
○衣笠参事官 続きまして、静岡県立大学国際関係学部教授、東京大学先端科学技術研究センター特任教授、石川准委員、お願いいたします。
○石川委員 石川准です。
2年間お世話になりますけれども、よろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 一般財団法人全日本ろうあ連盟副理事長、石橋大吾委員、お願いいたします。
○石橋委員 一般財団法人全日本ろうあ連盟副理事長を務めております石橋でございます。よろしくお願いいたします。
障害者政策委員会に今回は初参加となりますので、よろしくお願いいたします。私ども全日本ろうあ連盟におきましては、47各都道府県のろうあ者の意見を集約し、そして全国に届ける、そしてフィードバックし、さらにより良い制度を作ることに邁進、努力したいと思いますので、御協力よろしくお願いいたします。
以上です。
○衣笠参事官 続きまして、一般社団法人全国地域で暮らそうネットワーク代表理事、岩上洋一委員、お願いいたします。
○岩上委員 皆さん、こんにちは。岩上洋一でございます。
私ども一般社団法人全国地域で暮らそうネットワークは、社会的支援が必要な精神障害者の地域移行に向けた課題を解決することと、未来の創造の下、希望する地域で自分らしく生活することができる持続可能な社会作りに寄与することを目的として活動しております。私はそこの代表でございます。内閣府の障害者政策委員会でもそういったことに寄与するつもりでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 一般社団法人日本発達障害ネットワーク副理事長、大塚晃委員、お願いいたします。
○大塚委員 日本発達障害ネットワークの大塚です。
今期もよろしくお願いいたします。
以上です。
○衣笠参事官 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会副理事長、岡田久実子委員、お願いいたします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。今年度から理事長に就任させていただきました。
精神障害者の方たち、そしてその家族は、地域で孤立した方たちが大変多くおりますので、地域で孤立して、声にならない声をどれだけ拾い上げながら、この場で皆さんと一緒に協議できるかということを私自身、課題としております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 岡田委員、大変失礼しました。肩書を誤ってしまい、申し訳ありませんでした。
続きまして、特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク監事、片岡保憲委員、お願いいたします。
○片岡委員 片岡と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は全国地域生活支援ネットワーク役員の立場で本委員会に参加させていただくことになりました。私自身は高知県で高次脳機能障害の支援に取り組んでおりまして、日本高次脳機能障害友の会という当事者家族団体の理事長も務めております。全国地域生活支援ネットワークでは、主に知的障害や重症心身障害のある方のサービスに対する取組や、障害がある人たちの文化芸術活動に関する取組、そして高次脳機能障害がある方、特に社会的行動障害が重度の方に対して、様々な取組を継続してまいりました。本委員会では、障害がある人が適切な支援によって心の中に苦しさを抱えずに生活が送れる社会作りを皆様と一緒に模索しながら、当事者家族、支援者という立場の意見も含めて発言させていただければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 社会福祉法人全国盲ろう者協会理事、門川紳一郎委員、お願いいたします。
○門川委員 皆さん、こんにちは。門川です。
第1期からこの委員会に関わらせていただいています。今期も2年間、どうぞよろしくお願いいたします。私は視覚と聴覚の重複の盲ろう者です。盲ろう者の立場で様々な知見を述べていくことができたらいいかなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 弁護士、加野理代委員、お願いいたします。
○加野委員 弁護士の加野です。
私は法律専門家という立場で委員を拝命しておりますけれども、個人的にはダウン症のある次女がおりまして、障害当事者の家族という立場にもあります。その次女は私が委員に最初に就任しましたときは小学生でしたけれども、この4月には特別支援学校高等部の3年生になります。この委員会ではいつもいろいろと勉強させていただいておりますけれども、日々の生活の中でも、次女や周囲の人々から教えられることが多い毎日です。引き続きこの委員会での議論が実り多いものになりますように、微力ながら精いっぱい務めたいと考えておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会理事、河井文委員、お願いいたします。
○河井委員 全国肢体不自由児者父母の会連合会、河井文と申します。
前期の委員会では、障害者差別解消法の改正案につきまして様々な意見がある中、委員会としての意見をまとめていただき、また、今国会に提出とのことで、委員長、委員長代理並びに事務局の皆様の御尽力に改めて敬意を表したいと思います。今後、基本方針の内容が検討されると思いますけれども、性別、年齢、障害の程度にかかわらず、地域で安心して暮らすことができるよう、より具体化した内容になることを期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○衣笠参事官 公益財団法人日本知的障害者福祉協会副会長、北川聡子委員、お願いいたします。
○北川委員 初めて参加させていただきます日本知的障害者福祉協会副会長をしております北川でございます。よろしくお願いします。
知的障害者福祉協会は、子供から学齢期、成人、また高齢期に至るまで、知的障害のある方々を支援している全国団体です。協会としては、知的障害のある方の権利が守られて幸せに暮らせる環境を作ること、本人の望む暮らしの実現を目指しています。私はどちらかと言えば子供と家族を支援している立場を担っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会会長、久保厚子委員、お願いいたします。
○久保委員 全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。よろしくお願いいたします。
私どもの団体も全ての都道府県、政令市に支部がございますので、全国からの声を集めまして国に届けるということをしたいと思いますし、私どもの団体が、障害のある人たちが当たり前に地域で暮らしていけるという権利擁護を大きな柱の一つとしておりますので、その辺のところを大事にしながら、これからも皆さんとともにいろいろな施策を考えていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 東京大学先端科学技術研究センター准教授、熊谷晋一郎委員、お願いいたします。
○熊谷委員 皆さん、こんにちは。今期からの参加となります東京大学先端科学技術研究センターで教員をしております熊谷晋一郎と申します。
私は脳性麻痺という障害を持っておりまして、小児科医として臨床をやりつつ、現在、研究活動をしております。小児科医としては、障害がある子供たちのインクルーシブ教育などに間接的に関わってまいりましたが、大学の方でも障害がある学生や教職員の支援などにも関わっております。そのような中で経験してきたこと、考えてきたことを少しでも政策に反映できればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 特定非営利活動法人DPI日本会議事務局長、佐藤聡委員、お願いいたします。
○佐藤委員 こんにちは。DPI日本会議事務局長の佐藤聡と申します。
障害者政策委員会は、障害者権利条約の国内監視機関と位置づけられている大変重要な委員会だと考えております。障害者基本計画の策定、監視、勧告といったことを通して、権利条約を国内法に反映させていくところに、微力ですけれども、力を尽くしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 日本労働組合総連合会総合政策推進局長、佐保昌一委員、お願いいたします。
○佐保委員 連合で社会保障政策を担当しています佐保といいます。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
労働組合のナショナルセンターである連合を代表して、障害者政策の推進について議論に参画していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 日本商工会議所産業政策第二部担当部長、杉崎友則委員、お願いいたします。
○杉崎委員 日本商工会議所の杉崎と申します。
中小企業の立場から参加をさせていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合会長、竹下義樹委員、お願いいたします。
○竹下委員 日本視覚障害者団体の竹下です。よろしくお願いします。 ユニバーサルデザインということが言われて久しいわけですが、コミュニケーション、意思疎通、意思決定、自己実現というのは障害のあるなし、男女、貧困、外国人、全てを貫く重要なテーマだと思っております。そういう議論をする場所としては、この障害者政策委員会が大きな役割を果たすと思いますので、これからも一つの議論の場として大事にしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会顧問、玉木幸則委員、お願いいたします。
○玉木委員 皆さん、こんにちは。日本相談支援専門員協会の玉木と申します。
今期で4期目になります。私は自分の言葉で言いたいことをダイレクトに言ってしまいますので、多方面に御迷惑をおかけするかもしれませんが、引き続きよろしくお願いします。ただ、ここの論議がきちっと政策に反映できているという実感がありますので、今期も精いっぱい頑張ってまいりますので、どうぞ引き続きよろしくお願いします。
○衣笠参事官 筑波大学人間系障害科学域知的・発達・行動障害学分野教授、柘植雅義委員、お願いいたします。
○柘植委員 こんにちは。柘植です。
筑波大学におります。先ほど紹介ありましたが、知的障害、発達障害、行動障害を研究する分野におります。第2期からお世話になっております。
以上です。
○衣笠参事官 一般社団法人スローコミュニケーション理事長、植草学園大学副学長、野澤和弘委員、お願いいたします。
○野澤委員 皆さん、こんにちは。野澤です。
長らく毎日新聞の論説委員という立場であれこれやってきましたけれども、去年から植草学園という障害児教育の先生とか、保育士とか、理学療法士を目指す学生たちがやってくるところで先生をしております。慣れない学校文化の中で四苦八苦していますけれども、できる限り参加したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 一般社団法人日本経済団体連合会常務理事・SDGs本部長、長谷川知子委員、お願いいたします。
○長谷川委員 経団連で常務理事をしております長谷川と申します。
SDGsの推進や、高齢者、障害のある方、外国にルーツをお持ちの方々など、多様なステークホルダーとの対話やエンゲージメントを推進する活動を担当しております。昨年に引き続きの参加となりますが、よろしくお願い申し上げます。
○衣笠参事官 公益社団法人日本精神科病院協会副会長、平川淳一委員、お願いいたします。
○平川委員 日本精神科病院協会の副会長をしております平川と申します。よろしくお願いいたします。
今期で3期目になります。私たち日本精神科病院協会は、精神科医療を通して社会の発展に尽くしていこうという団体であります。全ての医療行為において基本的人権を尊重し、共感と尊敬の念を持って適切な医療をするというのが私たちの理念であります。きちんとした形で参加したいと思います。皆さん、どうかよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 社会福祉法人全国社会福祉協議会、全国身体障害者施設協議会制度・予算対策委員長、三浦貴子委員、お願いいたします。
○三浦委員 皆様、こんにちは。全社協、全国身体障害者施設協議会の三浦と申します。
第1期目から政策委員会には参加させていただいております。私たちは、重複障害、そして医療的ケアを必要とする方々の生活施設や多様な在宅サービスを行っている事業所です。517事業所ございまして、この1年は本当に命がけで新型コロナ感染予防に専心した1年でありました。この制約の中でまたいろいろなことを感じました。皆様方と一緒に議論ができればと思います。また、新しい委員の方々も含めまして深い議論ができることを心から楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 一般社団法人日本難病・疾病団体協議会代表理事、森幸子委員、お願いいたします。
○森委員 日本難病・疾病団体協議会(JPA)の森幸子です。
当会は、難病と長期慢性疾患の全国の様々な団体で構成しておりまして、患者や家族、当事者の中央団体となります。私も難病の当事者です。どのような病気を抱えても生きやすい社会となることを目指しています。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 一般社団法人全国児童発達支援協議会副会長、米山明委員、お願いいたします。
○米山委員 皆さん、こんにちは。全国児童発達支援協議会の副会長をしています米山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私は日常は小児科医でして、もう35年以上、重症心身障害から医療的ケアを必要とする子供、また、発達障害のある子供とその家族を支援してきております。私どもの協議会、団体は、障害のある子供、その疑いのある子供と、その育ちの基盤の家族を支援しております。地域で共に皆で生きることを目指しておりますが、この政策委員会に入れていただきまして考えるところは、障害のある子供も含めた子供の権利を日本でより認められるようにと考えております。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 続きまして、専門委員の先生方より御挨拶をお願いいたします。
まず、一般社団法人日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構代表理事、内布智之専門委員、お願いいたします。
○内布専門委員 皆様、こんにちは。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の内布智之と申します。精神障害者当事者です。
我が国では、現在も100年以上前から続くメンタルヘルスについての課題が積み残されているのが実情です。今でも、治療が済んだ状態でも入院前に住んでいた地域に戻ることができない患者さんがいらっしゃいます。そして、先日も新聞、テレビでのニュースにもあるように、不当な隔離や拘束の現状もあります。これ以上障害者が社会的に孤立や精神的苦痛にさらされない社会の実現に向けて、一緒に考えさせていただいたらうれしいです。よろしくお願いします。
○衣笠参事官 東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、特定非営利活動法人バリアフリー映画研究会理事長、大河内直之専門委員、お願いいたします。
○大河内専門委員 大河内と申します。
今期より専門委員として参画させていただきます。東京大学先端科学技術研究センターと、それから、バリアフリー映画研究会というところの代表をしております。文化芸術のバリアフリーの推進を主には最近取り組んでおりまして、同時に盲ろう者の支援、ICT環境の整備等にも携わっております。そのような知見をこの会議で生かしていけたらと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 全国特別支援学校長会副会長、川口真澄専門委員、お願いいたします。
○川口専門委員 皆様、こんにちは。全国特別支援学校長会副会長、川口真澄と申します。
今期より参画させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 続きまして、法政大学現代福祉学部教授、眞保智子専門委員、お願いいたします。
○眞保専門委員 法政大学現代福祉学部の眞保智子と申します。
ふだんは障害のある方の雇用と就労支援を研究しています。実際にフィールドに出て研究することが多いです。今回から初めて参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科准教授、曽根直樹専門委員、お願いいたします。
○曽根専門委員 日本社会事業大学専門職大学院で教員をしている曽根と申します。よろしくお願いいたします。
知的障害のある方の支援現場でも長く仕事をしてまいりまして、そのような観点からの発言もさせていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 慶應義塾大学経済学部教授、中野泰志専門委員、お願いいたします。
○中野専門委員 今回初めて参加させていただくことになりました慶應義塾大学の中野泰志と申します。
これまで国立特別支援教育総合研究所で障害のある子供たちの教育に関する研究や活動を、また、東京大学先端科学技術研究センターで福島智先生が率いるバリアフリープロジェクトのメンバーとして、バリアフリーに関する研究や活動に関わってきました。現在、慶應義塾大学で心理学やバリアフリーについて教えつつ、障害のある学生を支援する組織の委員長を担当しております。国土交通省の接遇ガイドライン等のバリアフリー施策、文部科学省の拡大教科書やデジタル教科書等の特別支援教育施策、厚生労働省の補助犬使用者受け入れガイドライン等の福祉施策等に関わっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会副理事長、宮本せつ子専門委員、お願いいたします。
○宮本専門委員 皆さん、こんにちは。宮本です。
私は難聴です。補聴器ははめていますが、手話通訳、要約筆記を介しないと分かりません。よろしくお願いいたします。私どもの団体は、全国に53の加盟協会があります。私は熊本に住んでいるのですが、5年前の熊本地震のとき、避難所を全部回ってみましたら、聞こえない、聞こえにくいことで見えてきた課題が幾つかありました。その1つに、聞こえないですから、やはり文字情報が欲しい。ですので、文字情報をもっと増やすように啓発していきたいと思っております。今回初めて参加しますので、よろしくお願いいたします。
○衣笠参事官 以上でございます。
なお、ただいま御紹介させていただきました先生方に加えまして、黒岩委員、田口委員、辻委員は本日、所用のため御欠席となっております。
次に、本委員会の委員長の選出に移りたいと思います。障害者政策委員会令第2条第1項におきまして、障害者政策委員会に委員長を置き、委員の互選により選任するという規定がございます。委員の先生方におかれましては、委員長の選出をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
まず、野澤委員、お願いいたします。
○野澤委員 野澤です。
私からは、石川准委員を推薦したいと思います。高い見識やお人柄はもちろん、これまでも委員長として様々な難しい局面を見事に調整してさばいてきた手腕を見てきましたので、これ以上ないお方かと思いますので、よろしくお願いします。
○衣笠参事官 ありがとうございます。
続きまして、お2人挙げておられますが、まず柘植委員、お願いいたします。
○柘植委員 私も石川准先生に引き続きお願いしたいと思います。この間、障害者権利条約に係る政府報告書の作成に関する議論ですとか、第4次の障害者基本計画作成の議論ですとか、最近では差別解消法の見直しの議論という、とても重要で悩ましい話題かとは思ったのですが、委員長としてすばらしい役割をされたと思っております。ということで、御足労をおかけしますが、引き続き石川准先生によろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○衣笠参事官 続きまして、竹下委員も挙手されていますので、竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 竹下です。
同じく、石川さんを推薦しますけれども、石川さんは昨年12月で国連障害者権利委員会の副委員長の役職も終わられたということもありますけれども、今後、日本の審査に向けて、そういう経験も生かしたまとめ役をお願いしたいとも思いますので、ぜひ石川さんに引き続き委員長をお願いしたいと思います。
以上です。
○衣笠参事官 他に御意見のある方がいらっしゃいましたら、チャットの入力にて挙手をお願いいたします。
それでは、お三方から石川委員を推薦する御意見を頂きましたが、石川委員、お引き受けいただけますでしょうか。
○石川委員 野澤委員、柘植委員、竹下委員より過分な御評価を頂きまして、ありがとうございます。2年間引き受けさせていただきたいと思います。
○衣笠参事官 それでは、石川委員に今期の委員長をお引き受けいただきましたので、以後の進行は石川委員長にお願いいたします。
○石川委員長 承知いたしました。障害者政策委員会は今期も障害者基本計画の策定のための議論の取りまとめですとか、差別解消法の改正法案が成立した場合には、その基本方針の改正についての政策委員会としての意見の取りまとめですとか、権利条約の国内監視機関としての役割ですとか、とても重要な責務がございます。権利条約との整合性の確保を最優先に、当委員会としての活動について、皆様と一緒に仕事していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが、議事を進めることといたします。まず、委員長代理の指名を行う必要がございます。障害者政策委員会令第2条第3項に、委員長代理を置くことが定められております。また、委員長代理については委員長が指名することとされております。この場で指名をさせていただきたいと思います。第1期からずっと委員長代理をお引き受けいただいている三浦委員に今期もう一期、委員長代理をお願いしたいと思います。皆様、いかがでしょうか。また、三浦委員、お引き受けいただけますでしょうか。三浦委員、いかがでしょう。
○三浦委員 三浦でございます。
大変力不足ではございますけれども、政策委員会の自由で建設的な議論が深まるように、石川委員長の進行を支えて、全ての委員の皆様が発言しやすい雰囲気を作ることに努めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○石川委員長 三浦委員、ありがとうございます。これから2年間、よろしくお願いします。
それでは、ここで10分間、2時22分。
○衣笠参事官 事務局ですけれども、切りのいいところで25分まででいかがでしょうか。
○石川委員長 厳密な性格なものですから、失礼いたしました。2時25分再開とさせていただきます。
(休憩)
○石川委員長 それでは、審議を再開したいと思います。
議事に入る前に、発言の要領について、一点お願いがございます。発言の際には、御発言の趣旨が明確になるように、可能であれば最初に結論を述べていただき、その後、その理由、または説明を加えていただきたく、お願いいたします。
それでは、本日の議題及び資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
本日は、新しく委員に就任された方もいらっしゃいますので、議題に入る前に、障害者政策委員会の法的な位置づけなどの基本的な事項について御説明いたします。その御説明の後に、議題1として、事務局より障害者差別解消法の改正法案について御報告したいと思います。関係資料としましては、資料2-1、資料2-2を用意させていただいております。次の議題としまして、文化庁より、文化審議会国語分科会の取りまとめについての御報告があります。関係資料としましては、資料3-1、資料3-2を用意しております。
○石川委員長 それでは、事務局より、障害者政策委員会の基本的な事項について説明をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
障害者政策委員会の基本的な事項について御説明いたします。
障害者政策委員会は、平成23年に改正されました障害者基本法に基づいて、過去に内閣府に設置されていた中央障害者施策推進協議会を改組して、平成24年に内閣府に設置された審議会です。
今期第5期の構成員は、内閣総理大臣が任命した委員30名と専門委員7名となっております。
委員の任期は、発令の日である本年1月18日から2年間となります。
障害者政策委員会の任務としては、障害者基本法等に基づき、障害者基本計画の策定に関する調査審議、障害者基本計画の実施状況の監視、障害者差別解消法の基本方針に関する意見具申、障害者権利条約の国内実施状況の監視が定められております。
特に今期におきましては、障害者差別解消法の基本方針の見直しに向けた議論や、令和5年度からの次期障害者基本計画の策定に向けた議論のほか、国連障害者権利委員会による我が国初めての審査に向けた議論などを行っていただくことになると考えております。
○石川委員長 ありがとうございます。
関連しまして、障害者政策委員会の出席の在り方につきまして、私の考え方を述べさせていただきたいと思います。
障害者政策委員会は、団体や機関を構成員とするものではなく、あくまでも個人の、それぞれ固有の見識ですとか、経験を踏まえ、内閣総理大臣により任命されたものでございます。
政策委員会の所掌事務は、国の障害者政策の基本計画の策定、施策の実施状況の監視等、その職責は極めて重いものと考えております。そのため、前期同様、委員の代理出席は原則お認めしない方針とさせていただきたいと思います。障害者政策委員会令におきましては、委員長は代理出席を認めることができるという規定となっておりますが、原則お認めしない考えであることを最初に申し上げたいと思います。やむを得ず欠席される場合は、意見の事前提出をお願いいたします。事前提出する意見につきましては、事務局を通して、分量ですとか、提出締切等について案内を差し上げたいと思います。
他方、知事及び市長を務める委員につきましては、自治体のトップとして公務で多忙を極めるお立場にあることに鑑みまして、知事及び市長の委員に限っては、委員の御意見を携えての代理出席を原則お認めしたいと考えております。
委員各位におかれましては、本趣旨を御高配の上、その方針で進めていくことにつきまして、御理解並びに御賛成を頂きたく思っております。御議論、御質問等ございましたら、何なりと御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
異議なしと理解いたしました。御賛成ありがとうございます。それでは、このような方針で進めさせていただきたいと思います。
それでは、障害者差別解消法の改正法案につきまして、事務局より報告をお願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
それでは、資料2-1と2-2を使いまして、障害者差別解消法の改正法案について御報告したいと思います。
昨年12月の本委員会におきましては、障害者差別解消法の見直しの検討状況について御報告させていただき、その際には、改正法案の大まかな内容として、障害者差別解消法の改正に盛り込む事項案を御説明させていただいております。その時点におきましては、本委員会の意見書、それから、内閣府で行いましたヒアリングの結果などを踏まえまして、内閣府として改正法案を次期通常国会に提出することを検討中の状況であると御説明しておりました。その後、今通常国会への政府提出予定法案と位置づけられ、今月の3月9日に閣議決定の上、改正法案を国会に提出いたしました。まずはそのような状況について御報告させていただきます。
法案の内容につきましては、昨年12月の委員会で御説明した内容と大きく変わるものとはなっていないところです。本日、改正法案の分量はそれほど多くないこと、また、より理解いただきやすいと思われますので、まず、資料2-2の新旧対照表を用いて御説明したいと思います。
資料2-2の1ページ目の一番左の第8条というところ、次のページにまたがっておりますけれども、第8条第2項が事業者による合理的配慮の提供についての規定となります。次の2ページの右の方になります。下の段が現行の法律の規定でありますけれども、線を引いているところですが、配慮をするように努めなければならないとあるのを、改正後の条文である上の段のとおり、配慮しなければならないとしております。
次に、その左にあります第14条です。下の現行法の規定のとおり、現在も相談、紛争の防止等のための体制整備を図るものとされておりますが、本委員会の意見書、またヒアリングの結果なども踏まえまして、相談体制の充実を図ることとしたいと考えています。事業者による合理的配慮の提供の義務化に伴いまして、相談件数の増加、また多様な相談が寄せられるといったことが想定されますため、相談に的確に応じることのできる人材を育成、確保することが重要となります。このため、上の段のところでありますが、国、地方公共団体において相談対応を担う人材の育成及び確保のための措置を行う責務があることを法律上明らかにすることとしております。
それから、その左の第16条です。合理的配慮につきましては、障害当事者と事業者の間で提供されるべき合理的配慮の内容や過重な負担についての認識の相違が生じることもあり得ますが、この合理的配慮の義務化に伴いまして、参照できる事例の重要性が一層高まることが想定されます。このため、今後、事例の収集、共有を推進していく必要があると考えております。現行法では、情報の中に事例が含まれると解されておりまして、下の段のところでは略されておりますけれども、国の情報収集、整理、提供の規定が設けられており、これに上の段の第2項を加えまして、直接相談事例が入ってくることの多い地方公共団体に情報の収集、整理、提供を行う努力義務を設けることとしたいと考えております。
それから、新旧対照表の1ページにお戻りいただければと思います。第3条、一番右のところですけれども、相談事例への対応や事例の収集、それから、障害者差別解消支援地域協議会の設置促進などを効果的に行う上で、国、地方公共団体の連携、協力が求められると考えております。このため、この改正法案におきましては、従前は国、地方公共団体それぞれに必要な施策の策定、実施の責務が規定されておりましたが、それに加えまして、国、地方公共団体が連携協力する責務として、適切な役割分担を行うとともに、相互に連携を図りながら協力しなければならないとさせていただいております。
それから、その左の第6条です。こちらは政府が閣議決定で定めます基本方針の記載事項の規定となります。今後、合理的配慮の義務化に伴いまして、相談体制や事例収集などを強化していきたいと考えておりますが、それらの事項につきましては、従来は下の段の現行法で言いますと、第4号のその他というところで読み込みまして、基本方針に記述しておりました。改正法案におきましては、相談体制の整備や事例の収集、提供などの支援措置の記載を充実させることを念頭に置きまして、法律で定める基本方針の必要的な記載事項として、上の段の第4号でありますが、新たに障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関する基本的な事項を追加することとしております。
それから、資料2-1を見ていただければと思います。法律案の概要、真ん中の四角囲みの中の一番下の※のところですけれども、施行期日についてです。先ほどの基本方針や対応指針の見直し、それらに基づきます相談体制の整備、また周知啓発の実施などに要する期間が必要であることから、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日、これを施行期日としております。
説明は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○石川委員長 事務局、御報告ありがとうございました。
それでは、本件に関しまして御発言を求めます。質問、御意見等がある委員はチャットメッセージにて発言の意思表示をお願いしたいと思います。
最初に竹下委員、次に佐藤委員、お願いします。まず、竹下委員。
○竹下委員 日視連の竹下です。
ありがとうございます。2点について発言させていただきます。まず、前提として、この改正法案を作っていただいて国会に上程していただいたことに感謝申し上げます。速やかな成立をお願いしたいと思っております。
その上で、まず、14条の改正で人材の養成が明記されたことは極めて大きな前進だと思っております。ただ、人材の養成というところでぜひ読み込んでいきたいと思うのは、専門性の高い人材をどう育成するのか。さらには、3条の2項にも絡んできますが、国と都道府県、市町村の人材の連携はどういう形でされるのかということが気になりますし、それは6条の2項の4号に係るのかもしれませんが、十分に基本方針で分かりやすくしていただきたい。とりわけ、それらがスムーズに進むためにも、マニュアルのようなものを作成していただくことも併せてここで含んでおいていただきたいというのが1点でございます。
2点目は、3条の2項に関わると思っておりますが、国と地方公共団体の連携、役割分担というのは、言葉としてはこれで仕方ないのだと思いますが、連携とは何なのか、あるいは役割分担というのはどういうことをもってそれを意味するのか、これも基本方針に委ねられるのかもしれませんが、この点についての解釈指針のようなものがあるのであれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
時間も少し余裕がございますので、1件ずつ事務局より、質問に対してお答えいただく方が良いかなと思うのです。基本方針マターかもしれないけれども、解釈指針のようなものがあればという竹下委員からの質問ですけれども、事務局、いかがでしょうか。
○衣笠参事官 事務局です。
まず、1点目の人材の育成といったところで、どのように人材を育成するのかということや、その際の国、地方の連携、またマニュアルの作成について、どう考えているのかということですが、人材につきましては、どういった人材が求められるのかは、まさにこれから検討させていただくことになり、その後、基本方針の内容としても議論いただくことになると考えております。そのため、今の段階では、どういった形で育成するのかということまで具体的に言及することは難しいと考えています。例えば、国で何らか研修をして、研修を受けた人たちが地域、地域で人材の育成を行っていただくことなどもあり得るとは考えていますが、いずれにしても、これから検討ということであります。
それから、マニュアル作成につきましては、本委員会の意見書でも言及されておりますので、それも踏まえて、今後検討していくことになると考えています。
国と地方の役割分担でありますけれども、こちらも本委員会の意見書で相談体制のところで言及されておりますが、例えば、市町村は最も身近な相談窓口を担う、都道府県は広域、専門性が求められる事案を担う、また市町村への助言などの支援を行う、国はこうした関係機関と連携しつつ、重層的な相談体制の一翼を担うということが、例えばということで挙げられております。相談体制や事例収集の在り方を整理する中で、重要な部分として検討していきたいと考えております。
まず、事務局からは以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。
まず、改正法案を国会に提出していただいて、本当にありがとうございます。心から感謝申し上げます。質問とお願いを合計2点、話させていただきます。
まず1つ目、質問なのですけれども、第6条2項の4号で、障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関する基本的事項というものが書かれておりますけれども、これは具体的にどういったことを想定されているのかを教えていただきたいと思います。
2つ目はお願いなのですけれども、施行日なのですが、ぜひとも今回の任期の間に施行を見届けたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
2点ございましたので、事務局、お願いします。
○衣笠参事官 まず、1点目の基本方針の記載事項について、支援措置の実施に関する基本的な事項としてどういうものが想定されるのかですが、恐縮なのですけれども、こちらも同じような物言いになってまいりますが、まさに今後の検討事項であり、例えば、相談体制における国、地方公共団体の役割分担の基本的な考え方や連携の在り方といったものを考えています。それらにつきましては、本委員会における議論などを通じて検討を進めていくことになると考えております。
施行日につきましては、先ほど申し上げたような話で、3年以内の政令で定める日とさせていただいております。3年以内ということですので、丸々3年ということではなくて、いろいろ体制整備、また地方自治体の御都合等も考慮しつつ、3年よりも短い期間で施行していきたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
基本方針の作成に関しましては、政策委員会として最優先で取り組むべきことになるかと思います。ここが遅くなると全て遅くなってしまって、施行が3年ぎりぎりになってしまうと思いますので、政策委員会としてのタイムスケジュールを検討する上で考慮すべきかと思います。
それでは、次に、石橋委員、佐保委員の順に御発言を頂きます。まず、石橋委員、お願いします。
○石橋委員 全日本ろうあ連盟の石橋でございます。
まず、今回、差別解消法の改正案につきまして上程していただき、一定の進歩が見られたことは非常に喜ばしく、感謝申し上げます。
さて、2つほど意見を述べさせていただきます。まず1点目ですが、国、地方公共団体の連携ということですが、竹下委員の御発言にもありましたので、重なる部分もあると思いますが、まず、国と地方の連携がどこまで可能なのかということがわかりません。正直申し上げまして、具体的に示していただかないとわからない部分もあります。例えば、国だ、地方だというようにお互いに責任のなすり合いがないように、第三者評価システムも必要ではないかと感じております。
2点目ですが、今回、事業者に対して、努力義務から義務に変わりました。これは一定の進歩だと思います。本来法的義務がいいのですが、事業者の実情としては努力義務ということで終わっているというのが現状だと思うのです。事業者という言葉のみならず、事業者「等」という表記ができないかということも意見として申し上げたい。というのは、事業者だけではなく、民間の団体もあります。例えば、実行委員会のような民間団体が立ち上がっている場合も義務的な部分に含まれるべきではないかと考えております。事業者「等」という言い方でお願いいたします。
以上2点です。
○石川委員長 事務局、お願いいたします。
○衣笠参事官 事務局です。
まず、国、地方の連携がどこまでできるのかについて懸念があるので、第三者評価が必要ではないかという御意見でありますが、これも相談体制や事例収集などは具体的にはこれから検討することになり、政策委員会でも御議論いただくことを考えておりますので、そうした中で議論していくものではないかと考えております。
次に、事業者等ということでありますけれども、現在の事業者の範囲もかなり広いものでありまして、要は法人格を持たないもの、個人の事業主も入っているということでございます。一定、規制をかけるという観点から、反復継続して行為を行う、事業を行う者が対象になるという整理となっております。
説明は以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。その後、杉崎委員、久保委員、お願いします。
○佐保委員 佐保です。御指名ありがとうございます。
まず、差別解消法の改正法案については、これまで努力義務とされてきた民間事業者による合理的配慮の提供を義務化することや、行政機関相互の連携を強化することなどを内容とするもので、これまでより一歩前進する内容であったと評価しています。その上で、障害者差別の解消に向けた動きを更に前に進めるために、3点について簡潔に意見を申し上げたいと思います。
まず、事業者による合理的配慮の提供の義務化については、法案成立後にいかに実効性を確保していくかが重要になると考えています。全ての事業者に広く理解していただくための広報の実施などをお願いしたいと考えております。
次に、これまでも申し上げてきましたが、障害当事者の皆さんから、相談窓口が分からない、どこに相談すればいいのか分からないという声を聞いてきました。法改正を機に、相談窓口へのアクセスを改善した上で、窓口のワンストップ化を実現していただきたいと考えています。
最後に、先ほど佐藤委員からも御発言がありましたが、施行期日について、既に行政機関などでは合理的配慮の提供が義務化されていることや、雇用の分野での事業所における合理的配慮の提供が義務化されていることから、1年程度に日程を短縮した上で施行すべきであると考えております。
私からは以上です。
○石川委員長 事務局、お願いします。その後、先ほど杉崎委員、久保委員と言いましたが、Google Meet上でリストの順番が久保委員、杉崎委員となっているようなので、変更させていただきます。事務局、お願いします。
○衣笠参事官 事務局です。
まず、広報につきましては、内閣府としてもこれから十分やっていかなければいけないと考えております。そのために、来年度予算案におきましても、広報を強化するための予算を計上しておりまして、今後、広報の基盤となるようなポータルサイトの作成なども含めて進めていきたいと考えています。
それから、ワンストップ化につきましては、どこに相談すれば良いか分からないような方もいらっしゃるので、相談のたらい回しを防ぐといったことなどのために必要ではないかということでありますけれども、本委員会の意見書におきましても、相談のたらい回し防止の観点でどのような対応が可能かを検討すべきという提言もいただいておりますので、今後、相談体制の在り方を整理する中で、そうしたことも含めて検討していきたいと考えています。
施行期日につきましては、先ほど御説明いたしましたが、基本方針、対応方針の見直しを当事者の方々の御意見も踏まえつつ検討していくために一定期間が必要ですし、また、その後、相談体制の整備を人材の育成なども含めて進めていくことにも時間が必要となります。それから、周知啓発、それにも一定の期間を要すると考えておりますので、3年程度の期間は必要になると考えています。このため、施行期日を1年程度とするのは難しいと考えておりますが、丸々3年ということではなくて、自治体の御都合や体制整備をしっかりやることを踏まえた上で、3年よりも短い期間でということで進めていきたいと考えております。
説明は以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。私からは3点ございます。
まず、今回の差別解消法の改正案を国会へ上程していただきましたことに本当に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
3点の1つは合理的配慮義務化に向けた経過措置期間のこと、もう一つはワンストップの相談窓口、もう一つは障害のある女性に関わること、この3点をお願いしたいと思っております。
1つ目の合理的配慮の経過措置ですけれども、今、冒頭からいろいろお話が上がっておりますので、同じような内容になるかとは思いますけれども、今まで4年間経過してきて、努力義務が行き渡っているかなと思っておりますので、私どもが望んでいる建設的対話を促進するという意味で、ぜひ義務化を早めにしていただきたいと思いますし、私どものこの政策委員会で精力的に議論を積み重ねながら、できるだけ早く施行していただけるように、我々の努力も必要だと思いますけれども、国の方でもその方向でぜひお願いしたいと思っております。
もう一つはワンストップ相談窓口ですけれども、先ほどもお話がありましたけれども、合理的配慮の義務化に、業者からもトラブル発生のときに窓口を求める声が多いと聞いておりますし、また、差別を受けた本人からも、どこに行っていいのか分からないという声もあります。地方公共団体も、本当に細かく、映画館でも3つぐらいの省庁に分かれているというのがありますので、どこに行っていいのか分からないと言っておられましたので、ぜひワンストップの窓口を国の方で設けていただきたいと思っております。
それから、もう一つは、先ほど申し上げた障害のある女性に関わることですけれども、今までここで議論をずっと積み重ねてきましたので、第5期の審議においてぜひ具体化されることを願っております。障害のある女性や子供への差別に関して、基本方針等において、年齢や差別に具体的な相談事例を蓄積すること等により、さらに実態把握に努めるとともに、相談事例を踏まえて適切な措置を講じるべきと書かれておりますけれども、もともと公的統計があまりにも不十分で、複合的差別を受けておられる方の実態が統計として読み取れないような現状であると言えると思いますので、その辺のところを、今の相談窓口の蓄積において、いろいろなところで調査統計を取られると思いますけれども、障害のある人の差別ごとの状況が明らかになるように、各項目にわたる性別集計をしていただきたいとも思っております。
以上です。よろしくお願いします。
○石川委員長 久保委員、ありがとうございました。
それでは、事務局、お願いします。
○衣笠参事官 事務局です。
改正法案の施行時期につきましては、既にお答えしておりますけれども、付言させていただくとすれば、事業者団体にも内閣府でヒアリングをさせていただいた上で今回の検討作業を進めたところですが、事業者側は義務化についてトラブルの増加を懸念されており、かなり強く、事業者側が困ったときに相談できる体制を整備してほしい、もしくは合理的配慮の内容をより明確化してほしいといったこと、それから、事業者だけではなく当事者の方も含めて周知啓発をしっかりやってほしいといった要望を受けており、義務化だけ先行するのではなく、それらを併せてセットでやってほしいと言われております。そのようなことも含めて、我々としてはトラブルがないようにということも配慮しまして、こういった期間で十分な体制を整えた上で施行したいと考えている次第です。
それから、国のワンストップの窓口の設置につきましては、これも先ほど申し上げているとおり、今後の相談体制の中で、相談のたらい回し防止の観点からは、国における新たなワンストップ相談窓口の設置、それから、既存の相談窓口の効果的な活用、国、地方公共団体の役割分担の整理などを含めて、どういった対応が可能か検討を進めていきたいと考えております。
次に、障害のある女性についてでありますけれども、久保委員が仰った基本方針での記載について、意見書の中でも御提言を頂いておりますので、今後、それを踏まえた上で、基本方針を見直していく中で議論いただく話ではないかと考えております。
事務局からは以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
次に、杉崎委員、お願いします。その後、曽根専門委員、米山委員とお願いします。
○杉崎委員 ありがとうございます。日本商工会議所、杉崎でございます。
改正法案に関連し、2点。1点目は法律の周知について、2点目は中小企業に対する支援の強化について意見を申し上げます。
この法律案ですが、事業者による合理的配慮の提供の義務化が重要な要素になっております。一方、義務化のいかんにかかわらず、合理的配慮の提供や心のバリアフリーに係る機運醸成に向けた取組を官民挙げて推進していくことによって、共生社会を早期に実現していくことが重要であると認識してございます。そのためには、内閣府の世論調査の結果を見ましても、障害者差別解消法そのものや、合理的配慮の提供の認知が十分に進んでいないことから、これらの認知度を高めていくことが急務であると考えています。したがいまして、内閣府及び関係省庁は、これらの周知や好事例の横展開など、情報提供に係る取組や、特にBtoC業種の中小企業に対するソフト、ハード、両面の支援策を強化していただきたいと思います。
また、施行時期につきましては、現状の認知度、相談体制の整備に要する時間を踏まえ、実効性を確保していくには十分な周知期間を確保することが現実的であると考えております。
なお、改正法案や、国及び地方公共団体における相談に対応する人材の育成や確保に係る責務が明確化されておりますが、ノウハウが必ずしも十分ではない中小企業にとりましては、法的な相談機能は非常に重要であります。したがいまして、内閣府は国及び地方公共団体における公的な相談機能の強化に鋭意取り組んでいただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、事務局、お願いします。
○衣笠参事官 事務局です。周知啓発の必要性につきましては、先ほど申し上げたとおり、我々としてもその必要性を認識しておりますので、尽力していきたいと考えております。
支援策につきましては、この法案の考え方としましては、基本的には相談体制や事例収集の強化、周知啓発を通じて、事業者の方が困らないような体制を整備していく、そういったことになります。
それから、施行期日につきましては、何度も申し上げたとおりであり、3年以内の政令で定める日としているところです。
また、相談機能につきましても、これは具体的には今後検討していくことになりますが、いろいろな観点から、御指摘のようなことも踏まえながら検討していきたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、曽根専門委員、お願いします。
○曽根専門委員 曽根です。
施行期日のことについて発言させていただきます。施行期日短縮という意見が多い中で、一定の準備期間が必要という立場で発言させていただきます。今回、事業者による合理的配慮が努力義務から義務化されるということで、これは非常に大きな転換だと思うのですけれども、例えば、障害者虐待防止法でも、通報義務がかかっている分野と、任意通報にとどまっている分野は受け止め方が相当大きく変化しているということを感じております。今回、事業者において合理的配慮が義務化されることになりますので、やはり事業者の方にとっても、非常に重く受け止めてらっしゃるのではないかと感じます。そうしますと、従来の各事業者における、顧客に対する対応のマニュアルですとか、あるいは従業員研修、こういったことも見直して、差別解消法の改正に対応していくという期間はやはり必要なのではないかと感じております。ということで、どのぐらいの準備期間があればいいかというのは、私は分からないのですけれども、今回の中で、どうしても行政の準備が準備期間の理由として語られていると思うのですけれども、やはり事業者の方にとっての準備ということも、そこの中に意味合いとしてはきちんと酌んでいただいて、周知の中には、その間にマニュアルを見直しましょうとか、従業員の研修を計画的にしていきましょうとか、そういったことも含めて周知をしていくことをお願いできたらと感じております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
事務局、もしコメントがございましたら、お願いします。
○衣笠参事官 事業者側でも、施行に向けていろいろなことをしていただく必要が出てくる可能性はあると考えていますので、御指摘のとおりと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、米山委員、次に野澤委員、長谷川委員とお願いします。まず、米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
先ほど御挨拶でも少しだけ申し上げましたけれども、もともと差別解消法の中の法案を見てみますと、子供の権利というのは実はあまり述べられていないのですね。その辺のところは今後新たに改定していくことが必要だと思うのですが、今回の事業者向けの義務化ということはとても大きいことだと思っております。子供の方の、差別解消法に基づいての差別的取扱いの禁止、あるいは合理的配慮ということで考えてみますと、教育の分野というのは、私どもの経験上、割合と進んできたかなと思っています。例えば、大学入試センターのセンター試験、今は共通テストになりましたけれども、それについて言うと、差別解消法が成立して以来は、障害種別に対しての配慮をしていたのが、障害種別を越えた形で、種別に限らず合理的配慮をするようになったのですね。例えば、問題集冊子の文字が10.5ポイントから、希望があれば14ポイントでも22ポイントでも、視覚障害以外の方でも考慮されるようになってきたりとか、あるいは試験時間の延長とか、今回、マスクのことがいろいろありましたけれども、いろいろ配慮がされています。それが文部科学省を中心にされていることで、私立大学、あるいは私立の小中学校も含めて、配慮というのは随分されるようになってきていると思っていて、まだまだ細かく言えば配慮が足りないところは多々ありますけれども、そういったところはすごく参考になって、好事例ということにはなると思いますし、ぜひそれは進めていただきたいのですけれども、ただ、未就学の子供について言うと、まだまだその辺の相談支援事業とか、私どもの児童発達支援協議会等の、保育所等訪問だとか、そういう事業で、あるいは法律で言うと、子育て包括支援センターでの障害のある子供たちの虐待防止なども含めて配慮するというような、いろいろな仕組みはあるのですけれども、差別解消法での配慮というのは、まだまだ子供の記載が少なくて、これはもしかしたら、次の議題の第4次の障害者基本計画の方にも入ることかもしれませんが、子供についての記載、あるいはそういった項目について今後検討をぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
事務局、ありましたら、お願いします。
○衣笠参事官 事務局です。
児童につきましても、女性などと同じように、性別、もしくは年齢に応じて合理的配慮を提供するといったことが法律上記載されており、今でもそういった発想はありますが、基本方針の見直しの中で、もし必要となれば、御指摘のような御議論を頂くのではと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、野澤委員、お願いします。
○野澤委員 野澤です。
先週、障害者差別解消支援地域協議会のブロック研修会があって、私はファシリテーターで、各県や市町村の担当の方のいろいろな意見を聞いたり、やり取りをしてきたのですけれども、それを踏まえて、今回の改正がどうすれば生きるかということを考えたので、お話ししたいのですけれども、そこで分かったのは、地域協議会の設置がそれなりに進んできているということですね。地域によってかなりばらつきはあるのですけれども。それとともに、県とか市町村もなのですが、独自に条例を作って、自前の相談体制を整えるというところも、進んでいるところも出てきたりして、この間、それなりに体制作りは進んできているのかなと思います。
ただ、おしなべて意見が上がってきたのが、上がってくる相談が意外に少ない、ほとんどないところもあり、そうすると、何をしていいか分からない。他に仕事がいっぱいあるわけですね。すると、どんどん、どんどん後回しになって形骸化していく。担当の方も異動で定期的に変わっていく。せっかく法律改正しても、生かされないまま形骸化していくような気がして、私はちょっと危機感を持ちました。
そこで皆さんと話したのですけれども、何もないわけないと思うのです。私にも重い知的な障害の子がいるので分かりますけれども、それはありますよ。普通に生活していれば。これまでにもいっぱいありましたしね。では、何で相談してこないのかといったら、一々そんなことを気にしていたらふだんの生活ができないから、忘れてしまうのですね。それと、諦めている。どうせ相談しても大して解決してくれないのだろうと思い込んでしまっている。それと、恥ずかしくて声を上げられない。地域で波風立てたくない。それと、やはり我慢することに慣れているというのは大きいと思いますね。
なので、今回の改正で相談体制を強化して周知徹底したとしても、こういう現状をどれだけ変えられるのかなと思うと、またもう一つ踏み込んだ仕組みが必要かな、取組が必要かなと思うのですね。例えば、施行前に私も地域協議会の在り方検討会でいろいろやったのですけれども、アドバイザー制度を作って、各自治体に内閣府が選任した方をアドバイザーとして派遣して、自治体の方と生きた取組を一緒に考えていくみたいなことをやっていて、それは結構評判が良かったのですね。また、こういうのを継続的にやっていく必要があるのではないかと思います。皆さん忙しいので、人材を確保して派遣するというのはそんな簡単なことではないのですけれども、それとともに、私が思うのは、それぞれの地元の障害当事者、あるいは障害者団体が、もっと地元の協議会の中にちゃんとコミットして、一緒になって、地元の障害のある方たちを、ただ周知徹底ではなくて、エンターメントしていくと。我慢している、諦めているものを掘り起こしていくということがないと、岩盤を柔らかくして、相談の芽が出てくるというのは、ちょっとイメージしにくいなと、そんなことを思いました。
それと、もう一つは、何も相談がないから、地域協議会や自治体、何もやらなくていいのかというと、決してそんなことではないと思うのですね。例えば、合理的配慮の良い事例などは、企業にしたって、団体にしたって、商店にしたって、学校にしたって、そんなに合理的配慮ということを意識しなくても、意外にやったりしているのですね。そういうのもきちんとこちらで発見して、これが合理的配慮なのだということを地域社会に知らせていく。それによって連鎖的に差別解消法や合理的配慮の存在を皆さんに知ってもらい、障害のある方に何が必要なのかを周知徹底していくみたいな、そういう連鎖につなげることができるのではないかなと思うのですね。なので、やることはいっぱいあるはずなのに、どうしていいか分からない、この状況を変えるための手だてが必要だと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
事務局、いかがでしょうか。
○衣笠参事官 地域での掘り起こしも含めて、良い事例を知らせる、地域で展開していくということなどの御提言でありますけれども、そういった取組は大事ではないかと考えております。我々としても、広報の強化や、地域協議会の設置促進、それから、運営の活性化を今後進めていきたいと思います。いずれにしましても、様々なやり方があるかと思いますので、いろいろと検討していきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 それでは、最後に長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 経団連の長谷川です。
最後ということで、皆様から既に出ている意見の繰り返しになってしまいますが、事業者の立場から申し上げますと、商工会議所の杉崎様や、曽根先生が仰った意見に全く同感です。経団連が実施したアンケートでも、合理的配慮については、残念ながら、必ずしもまだ企業に周知されているという状況ではなかったので、まず周知、啓蒙活動を十分やる必要があるということはございます。また、相談体制が必要ということも、企業では確かにそういう意見が強いので、相談機能の拡充に応じた人材育成、また、今も御発言がございましたけれども、いわゆる合理的配慮の提供、もしくは解決に至った好事例を収集してマニュアル化すると、そういったものに基づいて企業が研修するための準備期間を取る必要は十分あると思いますので、やはり期間はある程度必要ではないかと考えております。
最後に一つ質問ですが、先ほど事業者の定義で必ずしも企業だけではなく、継続的に事業を行う者という御説明でしたが、そうしますと、いわゆるイベントのようなものを一回開催する、そういった実行委員会のようなものは事業者になるのでしょうかというのが質問です。
○石川委員長 ありがとうございます。
事務局、お答えいただけますでしょうか。
○衣笠参事官 事業者の定義についての御質問ですが、事業を行うというのは反復、継続してということで、実態論としてそれに該当するかどうかで考えることになります。イベントといったときに、一回限りのイベントだと、法律上の事業者に該当するかどうかは微妙なところが出てきますけれども、例えば、定期的にやっている実態があるのかなど、その他様々なことを含めて最終的には判断していくということになりますので、今、全てについて一律な言い方はできない、難しいということは御容赦いただければと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
最後と思っていたのですが、あと2人、発言を求めていらっしゃるので、簡潔にということで、まず曽根専門委員、お願いします。次に、片岡委員。
○曽根専門委員 曽根です。
これは経済団体の方にお願いなのですけれども、今回、合理的配慮についての研修を行うときに、この政策委員会に参画している方も含めて、障害当事者の方をぜひ従業員研修に呼んでいただいて、直接そこで話し合いながら、合理的配慮について従業員の方の理解を深めるということを、ぜひ取組を進めていただけたらいいのではないかと思いますので、発言させていただきます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、片岡委員、お願いします。
○片岡委員 全国地域生活支援ネットワークの片岡です。
周知期間の話を先ほどからお伺いしておりまして、私は、もう障害者差別解消法が施行されて4年が経過しているわけで、合理的配慮そのものに対する周知とか、あるいは事例の共有みたいなことは比較的周知がされているのではないかと考えていますので、そこは早めに施行をお願いしたいなという意見を持っております。あと、ワンストップ相談窓口に関してなのですけれども、相談窓口についてハードルが高く感じている方への配慮みたいなことはこれから検討が必要かと私も思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
事務局におかれましては、法改正を見据えての施行までの様々な準備、多岐にわたりますけれども、よろしくお願いいたします。
それでは、次の議題に移りたいと思います。文化庁文化審議会国語分科会の取りまとめが今般ございましたので、その点につきまして、文化庁から報告を頂きます。大分お待たせいたしました。よろしくお願いします。
○文化庁(国語課:柳澤課長) 文化庁の国語課長の柳澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
文化審議会の国語分科会で審議いただいておりました「「障害」の表記に関する国語分科会の考え方」について御報告申し上げます。資料3-2が本体、資料3-1がその概要でございます。主に資料3-2に基づいて御説明させていただきます。
資料3-2の冒頭にございますように、平成30年5月30日に衆議院文部科学委員会において、さらに同年6月12日に参議院の文教科学委員会におきまして、政府に対して、いしへんの「碍」の字の常用漢字表への追加の可否を含め所要の検討を行うよう求める決議がなされたことをきっかけに、国語分科会では、常用漢字表について議論を続けてまいりました。
国会の委員会決議から5か月ほどたった平成30年11月22日には、国語分科会として、「「障害」の表記に関するこれまでの考え方(国語分科会確認事項)」を示していただきました。この中では、常用漢字表は漢字使用の目安であり、個々の事情に応じて適切な考慮を加える余地のあるものであること、さらに地方公共団体や民間の組織において、表にないいしへんの「碍」の字を用いて表記することなどを妨げるものではなく、それぞれの考え方に基づいた表記を用いることが可能であることを確認いたしました。そして、その後も審議を続けていただきました。
この審議においては、まず当事者の方々のお気持ちを大事にしたいとの思いの下で検討いただきました。うかんむりの「害」を使った表記につらい思いをしている方がいらっしゃることを重く受け止めるとともに、いずれの表記を用いる場合にも、一切の差別や偏見を容認するものではないということは、委員の皆さんがずっと感じ、共有されてきたところです。そして、国会の委員会決議にありますように、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う心のバリアフリーを推進していくことを、国語分科会においても心から希望されているという中で審議がなされたことをお伝えしておきたいと思います。
資料3-2の1ページからでございますけれども、「1 常用漢字表等における漢字選定の問題として(国語施策の観点から)」では、国語施策の観点からこの課題についての考え方が整理されています。「(1)漢字表の選定基準について」ですけれども、当用漢字表、あるいは今の常用漢字表の漢字選定の基準が、社会における漢字使用の実態を映すものであったことを説明しております。常用漢字表は、漢字を追加することで社会に新たな動きを起こそうとするものではなく、社会の動きを反映し、結果として多く使われるようになっている漢字を追加していくという性格のものでございます。したがいまして、追加に当たっては、社会における使用頻度の高まりが期待されるといったことが述べられております。
2ページの上の方でございますが、「(2)障がい者制度改革推進本部における「「障害」の表記」に関する検討について」では、平成22年に改定された常用漢字表における考え方を確認しております。常用漢字表の選定基準の一つに、出現頻度などが低いとしても、社会生活上必要な漢字であれば追加するという考え方があります。平成22年の常用漢字表の改定の際には、ちょうど並行して政府に置かれた障がい者制度改革推進本部で、当事者の方々を中心に「障害」の表記についての議論が行われていました。この推進本部で、社会全体でいしへんの「碍」を用いた「障碍」を用いることが決定されれば、国語分科会も国語施策の観点から、常用漢字表においても社会生活上必要な漢字として追加を検討することとしておりました。そして、この考え方は今でも変わっていません。しかし、当時の障がい者制度改革推進本部では合意に至らず、当面、現状の「障害」を用いることとされたままになっているという経緯がございます。
2ページ目の中ほどの「(3)常用漢字表にはない新たな考え方について」は、国会の委員会決議にある当事者の選択に資するという考え方と、漢字圏の他の国における表記との関係について整理をしています。これら決議が求める内容は現在の常用漢字表にはない考え方です。国語施策の根本に関わるところですから、十分な議論のないままに対応することは難しいことを述べております。
そして、これらを踏まえまして、国語施策の観点からの考え方をまとめましたのが、3ページ目の囲みの部分でございます。すなわち、いしへんの「碍」の字を直ちに常用漢字表に追加することはしないが、国会の委員会決議の趣旨に沿い、いしへんの「碍」の扱いを常用漢字表における課題の一つとして捉え、出現頻度などの使用状況や、この漢字に関する国民の意識を調査するなど、国語施策の観点から引き続き動向を注視していく。常用漢字表の次の改定が行われる際には、国会の委員会決議が取り上げている観点も参考にしつつ、選定基準の見直しが必要であるかどうか改めて検討するとされております。
それから、3ページの下の「2 用語の問題として(より広い観点から)」についての部分でございます。今回の課題につきましては、いわゆる国語施策の範囲を超えることを問われている面もございます。今後、各方面で議論を深めていただくためにも、もう少し広い観点から検討したことを整理したのが、この2の部分になります。
「しょうがい」の表記につきましては、障害者政策の場での議論など、国語施策とは異なる、より広い観点から検討が行われてきておりますが、これまでのところ、一つの表記をもって合意に至ることは難しい状況にあると考えられます。これは、どのような漢字を使うかという漢字の選び方、漢字の選択の問題であるとともに、そもそもどのような表現を使うかという用語の問題ではないかということが国語分科会の中では話題になってきました。いしへんの「碍」を使うべきであるという方がいらっしゃる一方で、当事者の方々の中には、うかんむりの「害」のままにすべきであるといった考え方もあります。また、「がい」と平仮名で書く、いわゆる交ぜ書きにつきましても、賛成と反対、様々な意見があります。漢字の入れ換えや交ぜ書きによっても、表記の問題としての合意が難しいということであれば、これを用語の問題として捉え直し、「しょうがい」を使わない新たな用語を検討してはどうかということが取り上げられてきました。
それでも、当事者の方々がいない場でそのことを考えるのは行き過ぎではないかということも確認されてきました。やはりこの問題については、新しい用語を検討することがいいのかどうかということも含め、当事者の方々を中心に検討されるのが望ましく、そのような検討が行われる際には、国語施策の立場から協力していきたいというところに議論が落ち着いたところでございます。
国語分科会の現段階の考え方につきましては、最後の囲みのところにまとめてございます。4ページの下のところですが、「障害」の表記に関しては当事者を中心とした議論が進むよう期待しながら見守りつつ、国語施策の観点からも用語全般に関する課題を広く解決していくための考え方を整理することができないか検討する。
ここで言う用語全般に関する課題を広く解決していくための考え方といいますのは、国語施策として用語の価値観に踏み込むような審議をするという意味ではございません。問題があるとされる用語の言い換えの方法や、誤解を招かない表現の在り方などについて、国語施策の守備範囲で検討できることがあるかどうか慎重に考えてみてはどうかといった意味でございます。
最後に、いずれの表記を用いる場合にも、一切の差別や偏見を容認するものではないということが国語分科会の委員の皆さんのお気持ちでございます。国語分科会としては、今回の審議をきっかけとして、より多くの方々がこの課題について考える機会を持ってくださることを期待したいとしております。
以上、去る3月12日に取りまとめられた文化審議会国語分科会における審議の御報告でございます。以上です。
○石川委員長 大変丁寧な御報告ありがとうございました。
それでは、せっかくの機会ですので、各委員、御意見等ございましたら、挙手をチャットメッセージでお伝えいただきたいと思います。
久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。「しょうがい」の表記の方法についてですけれども、国会で取り上げていただいた点につきまして感謝を申し上げたいと思います。また、今回はいしへんの「碍」の字を常用漢字とはせずに、今後の利用頻度調査や国民への意識調査を実施する方向で整理したとのことで、この点については、特に国民意識調査を実施する点を評価したいと思っております。我々としましては、障害の社会モデルの考え方が重要でありますので、呼称もさることながら、実質的な施策の推進が肝心であると考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、岡田委員、その次に森委員、お願いします。まず、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
ただいま御報告の中で様々な意見があるというお話を頂きました。私自身はこの問題について、このような公の場での検討に参加するのが初めてですので、少し発言をさせていただきたいと思いました。私どもの連合会の中でも様々な考え方や意見がありますし、私の身近な精神障害者家族会の中でもいろいろ意見があります。やはりうかんむりの「害」に対しての抵抗感が強い方が大変多くおります。その一方で、「がい」の字にこだわらずに、それを乗り越えて、障害当事者と家族が排除されない社会を目指すことの方が大事だという意見もあります。
ただ、私個人のこれまでの経験から考えますと、「がい」の字にこだわらずと考えられるようになるまでには、いろいろな体験や学びを通して困難を受け止めながら獲得していく力といいますか、エンパワーメントですね、その先にある考え方ではないかと思っています。ここに御出席の障害当事者やその家族は、私も含めて、恐らくそのような境地にたどり着いた方々ではないかと感じています。まだ障害を負ったばかりの方や、地域で孤立した方や、その家族にとっては、障害者として生きることへの大きな不安や挫折、時には絶望を抱え込んだ状態の方もいらっしゃるでしょう。そのような声にならない声に耳を傾けたときに、このうかんむりの「害」の字は社会的障壁ともなるのではないか。そのような視点も私たちは持つ必要があるのではないかと考えます。
精神障害がある人とその家族にとって大きな社会的障壁は、精神障害への偏見、スティグマであると考えています。だからといって、うかんむりの「害」の字を変えれば、社会的障壁である偏見や差別がなくなるということではないことは重々承知しておりますけれども、文字が伝えるイメージや、その力、効果というのは、私たちが想像するよりも大きいと感じている精神障害者家族は多くおります。それは、精神分裂病が統合失調症に変わったことで、病名を口にしやすくなったとか、医師からきちんと病名告知を受ける当事者や家族が増えたことを実体験しているからです。文字を変えたことの影響というのはすぐにどうこうということではないですけれども、時間の経過の中でじわじわと浸透してくるものだと実感しております。
以上のことから、私自身は、命ある、尊厳ある人を表す言葉にうかんむりの「害」はふさわしくないと考えておりますし、不快を覚える障害当事者や家族がいるという事実があるわけですから、人を指し示す言葉にうかんむりの「害」を使わない社会にすべきではないかと考えております。そのためには、法律用語からの見直しが必要ではないでしょうかというのが私の意見です。
以上です。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、森委員、お願いします。
○森委員 どうもありがとうございます。うかんむりの「害」を使われて呼ばれることに対しまして深く傷ついている人がいることは確かです。様々な意見もあります。そんな中で、それぞれが持つ背景によって、やはり感じ方が違うということもありますし、障害者の当事者の方々の意見を十分に吸い上げて協議していただきたいと思います。私たちも難病というだけで非常に誤解や偏見を受けることが多くあり、それがいじめにつながっているということがあります。言葉の持つイメージというのは、時代とか、それぞれの背景によって違うかと思いますけれども、やはり変えていけるときは変えていくことを大事にしていただき、より多くの意見が吸い上げられるように、この委員会でも議論いただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、最後になるかと思いますが、三浦委員長代理、お願いします。
○三浦委員長代理 三浦でございます。
久保委員の意見に賛成をいたします。障害を社会モデルで見るようになって、障害者基本法も、その他の法律も全て社会モデルで、機能障害と社会的障壁によってもたらされる障害の状態というふうに私たちは認知しております。このことが社会にまだ広がっていないことも一つ、大きな問題としてあると思います。
ただ、こちらの審議会で御検討いただいた内容は大変深いと思っております。御説明を頂きました資料3-2の4ページの真ん中から下段の辺りに書かれておりますこと、いわゆる障害者として用いられる際には受け入れがたいと感じる人がいる、交ぜ書きを用いることによっても合意が困難という、その頃の議論と、それから、障害を社会モデルで見ることに一定の合意を頂いた後に、どう環境が変化したかということも踏まえて私たちは検討すべきではないかと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
岡田委員の御発言の趣旨を確認したいのですけれども、うかんむりの「害」を使うことで傷つく人々がいるのは確かだと思うのですけれども、その代案として、いしへんの「碍」、あるいは交ぜ書き、どちらでもうかんむりの「害」よりは相対的に良いというお考えなのか、いずれか一方をというお考えなのか、もし御意見がございましたら、補足的にお願いできればと思います。
○岡田委員 ありがとうございます。うかんむりの「害」でないときに、どの文字を使うかというところはまだ私の中では定まってはおりません。よろしいでしょうか。
○石川委員長 了解いたしました。いしへんの「碍」についても、いろいろな見方、考え方があろうかと思います。
本日予定しておりました議論はここまでとさせていただきたいと思います。議題はこれで全て終了いたします。文化庁からの御報告ありがとうございました。
最後に、事務局より事務的な連絡事項をお願いしたいと思います。
○衣笠参事官 事務局です。
次回の政策委員会の開催につきましては、確定次第、改めて事務局から連絡いたします。
以上です。
○石川委員長 以上をもちまして第54回障害者政策委員会を閉会いたします。本日はありがとうございました。