障害者政策委員会(第59回)議事録
令和3年11月15日(月)
13:30~16:30
中央合同庁舎8号館1階講堂
(Web会議にて開催)
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第59回障害者政策委員会を開会いたします。
委員各位におかれましては、御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日の委員会は、16時30分まで時間を確保しております。
また、本日は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ウェブ会議により開催しております。
なお、取材及び一般傍聴につきましては、感染防止の観点からお断りし、その代わりに動画中継を視聴していただくこととしております。
本日は、委員会の開催に当たりまして、若宮健嗣内閣府特命担当大臣に御出席いただいておりますので、若宮大臣から御挨拶をお願いしたいと思います。
○若宮大臣 皆様こんにちは。
障害者施策を担当する内閣府特命担当大臣を拝命いたしました若宮健嗣でございます。
障害者政策委員会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
石川委員長を始め、委員の皆様方におかれましては、常日頃より、我が国の障害者施策における重要な取組を進めるため、貴重な御知見をいただいておりますこと、心から御礼申し上げます。
特に障害者差別解消法の見直しに当たっては、本委員会が中心となって積極的な御審議をいただいた結果、事業者に対する合理的配慮の義務付けなど、我が国の障害者施策を大きく前に進める改正法の成立につながったと伺っております。
障害者施策への社会の関心も、今夏の東京2020パラリンピック開催を経て高まっており、政府といたしましても、第4次障害者基本計画の推進や、改正障害者差別解消法の施行の準備など、一層の取組を進めてまいります。
改正法の施行には、基本方針の改定が必要となりますが、本日は、この基本方針の改定に向け、地方団体及び事業者団体、事業者団体へのヒアリングを行っていただきたいと考えております。
皆様には、本日も忌憚のない活発な御議論をいただきますようお願いを申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。
○石川委員長 大臣、ありがとうございました。
若宮大臣は所用のため、ここで退席されます。
(若宮大臣退室)
○石川委員長 次に、事務局より委員の出欠状況について報告をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、熊谷委員、田口委員、野澤委員、内布専門委員、眞保専門委員が所用により御欠席との連絡を受けております。
また、大塚委員、北川委員、平川委員、曽根専門委員が少々遅れて御参加されるとの御連絡をいただいております。
また、黒岩委員の代理として、神奈川県福祉子どもみらい局福祉部長の水町友治様に御出席をいただいております。
以上でございます。
○石川委員長 それでは、本日の議事に入ります。
御発言の意思表示は、挙手ボタンを用いてお願いいたします。委員長の指名を受けた後、御発言ください。
また、御発言の際には最初にお名前を名乗っていただき、まず、質問や意見を簡潔に述べていただき、理由や補足説明をその上で加えていただくと理解しやすいかと思います。
また、本日も限られた時間の中で多くの方に御発言いただくこととなります。発言される方におかれましては、ゆっくり分かりやすくお話しくださいますようお願いいたします。
また、発言時間に御留意いただきたくお願いいたします。
途中で休憩時間を十分確保いたします。
それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、障害者差別解消法に基づく基本方針の改定について、地方団体と事業者団体等へのヒアリング及び意見交換を行います。地方団体につきましては、本日は全国知事会と全国市長会の2団体へのヒアリング及び質疑応答を行います。資料1のヒアリング項目に対する回答として、2団体より提出いただいた資料を資料2としてまとめておりますので、御参照をお願いします。
また、事業者団体等へのヒアリングについては、前半と後半の2回に分けて実施いたします。ヒアリング項目については、資料3を御参照ください。前半は、資料4に記載されている一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会から一般社団法人全国児童発達支援協議会までの計7団体へのヒアリング及び質疑応答を行います。その後、20分間の休憩、ヒアリング団体入替えの時間をいただきまして、後半については、資料5に記載されている一般社団法人全国銀行協会から一般社団法人日本映画製作者連盟までの計5団体までのヒアリング及び意見交換をお願いしたいと思います。
本日の流れ及び資料につきましては以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、早速ですが議事に入ります。
基本方針の改定にかかる地方団体へのヒアリングとしまして、2団体へのヒアリングを実施させていただきます。
事務局より改めて、御出席いただいた皆様の御紹介をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
地方団体へのヒアリングにつきましては、全国知事会の水町友治様、全国市長会の辻宏康様に御出席をいただいております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、まず各団体から、事前に御提出いただいた資料を基にしまして、3~5分間の範囲でポイントとなる部分を中心に御発言をいただき、2団体からの意見に対する質問等を、その後にまとめて委員の皆様からいただきたいと思います。
それでは、全国知事会の水町様、よろしくお願いいたします。
○全国知事会(神奈川県福祉子どもみらい局福祉部:水町部長) 神奈川県福祉子どもみらい局福祉部の水町と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、意見発表の貴重な機会をいただきまして、感謝を申し上げます。
今回の基本方針改正に関する意見を2点述べさせていただきます。
その前に、本県では、平成28年7月に県立障害者支援施設であります津久井やまゆり園で19人の利用者の命が奪われるという大変痛ましい事件が発生いたしました。犯人は、障害者は生きている価値がない、そういう考え方で犯行に及んだと報道がありまして、その後、SNSなどに賛同する意見が上がったということがございます。
本県では、こうしたとんでもない誤った意見を許さず、障害者へのいかなる偏見や差別も排除し、誰もがその人らしく暮らすことができる共生社会の実現を目指して、平成28年10月に神奈川県議会と共に、「ともに生きる社会かながわ憲章」を制定しました。そして、障害を理由とする差別の解消、合理的配慮の提供など、様々取り組んでいるところでございます。
本県では、障害者差別に関する相談窓口は県庁内の障害福祉課に設けております。昨年度は43件の相談を受けております。
本県が相談で苦慮していることは2点ございますが、1点目は、見解が対立する相談者と事業者に対しまして、県として、不当な差別的取扱いに当たるかどうか、また、過重な負担があると言えるかどうかについて、いかに考え、判断したかということを、十分な根拠を持って示すことでございます。そのためには、事例の蓄積が大切なことだと認識をしております。県庁内での事例の蓄積には限界がございますので、国におかれては、参考になる事例のデータベースの整備といったことをお願いできればと考えております。
苦慮していることの2点目ですが、相談内容が多岐にわたっており、関係法令や許認可権限を持つ部署などの情報を収集する負担が大きいということでございます。効果的・効率的に相談に対応していくために、国においては、各省庁に設置されている相談窓口において、地方公共団体に対し、関連する法令や法令を所管する立場としての見解などを積極的に教示していただくことをお願いしたいと考えております。
以上でございます。
○石川委員長 水町様、ありがとうございました。
続きまして、全国市長会の辻様、よろしくお願いいたします。
○全国市長会(大阪府和泉市:辻市長) 全国市長会を代表いたしまして、大阪府和泉市長の辻より御報告させていただきます。
私の方は、資料を追って御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
資料2の6ページをお願いいたします。まず初めにお断りしておかなければならないことがございます。こちらで記載しておりますのは和泉市における状況でございまして、事例等が特にないとなっておりましても、必ずしも全国市長会の事例がないということではございませんので、その点を御理解いただきますようお願いいたします。
それでは、早速資料に基づきまして説明させていただきます。
まず、1.(1)①アについてでございます。障害者に対する不当な差別的取扱いの考え方について、現行の基本方針の記載において分かりにくい点や追加すべき点は特にありませんでした。本市において不当な差別的取扱いに関連した事例といたしましては、聴覚障害者が技能講習の受講を希望され、その希望者が電話で技能講習の受講申込みを行ったところ、講習を開催する事業者から、聴覚障害であることをもって受講を拒否されました。その後、その聴覚障害者は別の事業者が開催する技能講習の受講が決まりましたので、受講を拒否した事業者の技能講習は受講いたしませんでした。本件では、受講を拒否した事業者に対し、電話で聴覚障害であることをもって受講の拒否を行うことは不適切であり、できれば本人と直接会うなどして本人の状況や希望する受講の確認、また講習の内容の説明を行うなど、丁寧な対応が必要であると説明を行いました。
次に、1.(1)①イについてでございます。障害者に対する不当な差別的取扱いとして、間接差別など列記されている事例については、本市においては特にありませんでした。間接差別等を不当な差別に含むという概念については、幅広いケースが想定されるため難しいところでございます。ただし、法の趣旨がこのような個別事例に対処しつつ、差別が解消される地域づくり、地域共生社会の実現を目指すものであるならば、実際に現場で不当な対応等を受けており、何らかの支援が必要とされるとすれば、建設的な対話が図られるようにする必要があると考えております。
なお、ハラスメントにつきましては、障害者虐待などの事例に対しては、障害者虐待防止法により対応すべきものであると考えております。
また、実際の現場において、「直接差別」か「間接差別」か等という種別分けを元に行っているか把握が困難なため、概念が難しいと考えるところでございます。
次に、1.(1)②アについてでございます。先ほど例示した事例では、当初、聴覚障害者が受講を希望した講習内容が、3人1組で常に互いに状況を確認し、声を掛け合いながら取り組む内容であると事業者から確認しました。講習内容から、確かに聴覚に障害があることで受講が困難な場面も想定されるものでございました。こういった場合に、何をもって不当な理由に該当するか判断することの難しさはあると思われます。また、不当な理由と事業者が判断したとしても、その説明に対し当事者が理解、納得することについては、当事者の裁量によるものと考えられます。
次に、1.(1)②イについてでございます。不当な理由の説明に当たり、対応に苦慮した事例等はございませんでした。
次に、1.(1)②ウについてでございます。行政機関の根拠、説明資料の提示につきましては、現行の基本方針においても、障害者にその理由を説明するものとあるため、行政機関等が説明するに当たり資料等の提示ができるものであれば提示すべきであると考えております。しかし、事案によっては資料等が提供できない場合も考えられ、また、資料を作成することが行政機関等に対する負担となることは望ましくないことから、必ずしも資料等を求めるものではないと、行政機関等の負担への配慮をお願いしたいと考えております。
次に、1.(1)②エについてでございます。障害者側と行政機関等との双方の建設的な対話については、可能な限り資料等に基づく説明により建設的な対話を行うよう努めるべきと考えております。
しかしながら、事案によっては客観性を持った中立的な立場として、当該行政機関等とは異なる行政機関等の同席が求められる場合も想定されます。
次に、1.(2)アについてでございます。「過重な負担」という表現が曖昧で様々な解釈をもたらすおそれがあるため、より具体的な事例があれば理解しやすいものと思われます。
次に、1.(2)イについてでございます。合理的配慮の提供については、行政機関が積極的に行う必要は高いと考えますが、広い範囲について明確な定義が必要ではないかと考えます。
次に、1.(2)ウについてでございます。現場での事例等はございませんでした。
次に、1.(2)エについてでございます。同じく現場での事例等はございませんでした。
次に、1.(2)オについてでございます。「合理的配慮」の概念や「過重な負担」の考え方が明確でない中にあっては、必ずしも資料等を求めるものではないと、行政機関等の負担への配慮をお願いしたいと考えております。
次に、1.(2)カについてでございます。
建設的な対話を行うために必要なこととして、障害者側においては、まず、「合理的配慮」の基本的な考え方を踏まえて、行政機関等の事業サービス内容を理解すること。次に、障害者自身の身体的状況について適切に説明すること。次に、障害者自身から実現可能な具体的な提案を行うことと考えます。
次に、行政機関等においては、まず、「合理的配慮」の基本的な考え方を理解した上で、障害者自身ができることに着目した対応を行うこと。そして、その対応に必要となる前提として、基本的な障害理解があること。
これらを踏まえて建設的な対話を促進することが有効と考えます。
次に、2.(1)アについてでございます。大阪府においては、府の障がい福祉企画課に広域相談支援員が配置されているため、市町村に対するバックアップ体制が整備されております。1.(1)アで説明いたしました本市の事例においても、広域相談支援員が同行し、電話による助言も行っております。このような事例等に対する市町村へのバックアップ体制が整えられていない自治体等においては、事例対応のスキルやノウハウ等が蓄積されておらず、対応が困難であるものと考えられます。
次に、2.(1)イについてでございます。先ほどの広域相談支援員制度を参考に、個別事案への対応や、スキルやノウハウ等が蓄積される仕組みづくりが必要と考えます。
次に、2.(1)ウについてでございます。本市においては、個別事案において、市だけで対応が困難である場合は、大阪府に相談して解決を図っております。
次に、2.(2)アについてでございます。本市では、市民を対象に、障害の特性や障害がある人が困っていることなどを理解するための研修を実施し、障害のある人に対してちょっとした手助けや配慮を実践することによって、障害のある人が暮らしやすい地域共生社会を目指すため、「あいサポート運動」を通じて障害理解の普及に取り組んでおります。
次に、2.(2)イについてでございます。本市として独自の事例の収集、共有は行ってはおりませんが、大阪府において大阪府障害者差別解消ガイドラインを作成しており、こちらの事例等が記載されておりますので、参考とさせていただいております。
最後、2.(3)についてでございます。本市では障害者差別解消支援地域協議会を設置しておりませんが、障害者基本法に基づく協議会として、障害者施策推進協議会を設置しており、障害理解の普及など、障害者に対する総合的な施策推進について協議しております。
なお、その他の意見等は特にございませんでした。
以上、御説明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○石川委員長 辻様、ありがとうございました。
それでは、御質問のある委員は挙手ボタンにて意思表示をお願いいたします。
玉木委員、お願いします。
○玉木委員 玉木です。よろしくお願いします。
ただいま、御丁寧な御報告をありがとうございました。
質問なのですけれども、全国知事会と全国市長会の方にそれぞれお聞きしたいです。
1点目は、今の報告を聞いていると、障害者と事業者の間の調整の難しさはよく分かったのですが、それぞれの行政機関の中での差別解消事案がどれぐらいあるのかということ。
2点目としては、特にその事案の中には対応が難しいとか、判断が難しいとかいうことをおっしゃっているのですけれども、この法律ができたときには当然、都道府県でも市町村でも行政における対応要領ができているはずですから、それに基づいて、自分のところの職員に対しての差別解消への理解とか合理的配慮の提供はどのようなことなのかというような研修をどの程度の頻度で行われているかということをお聞きしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 玉木委員、ありがとうございました。
それでは、一問一答という形でお答えいただくことにしたいと思います。
では、水町様の方から最初にお願いできますでしょうか。行政機関と障害者との間で不当な差別的な取扱いとか合理的配慮の不提供に関わるような事案がございますでしょうかという質問です。
○全国知事会(神奈川県福祉子どもみらい局福祉部:水町部長) 2点御質問いただきましたが、回答としては同じような内容になるので、まとめてお答えしたいと思います。
本県の場合は、対応要領などについて県庁内のあらゆる職員に理解してもらい、それぞれのセクションで相談があった場合、的確に対応する必要があるという認識の下に、例えば県庁に新規で採用された職員に対する研修や、新たに管理職に昇任した職員に対する研修の中で、この対応要領について学んでもらう時間を毎年設けております。
また、一般職員に対しても、県庁のイントラネットで、庁内の様々な電子データを見られるという中でこの対応要領を常に掲示するとともに、一般職員に対する研修の中で、対応要領について学ぶコマも設けております。
また、1点目にございましたが、その行政機関の中で困った事例があれば、それについても障害福祉課の方に設けている相談窓口に相談をいただければ対応させていただくという仕組みにしております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、辻様、お願いいたします。
○全国市長会(大阪府和泉市:辻市長) まず、障害者の方と行政との差別事案でございますが、現在、和泉市におきましてはそのような事案はございません。
次に、対応要領につきましては、和泉市では平成28年4月1日に障害を理由とする差別の解消の推進に関する和泉市対応要領を策定いたしまして取り組んでおります。しかしながら、研修につきましては実施いたしておりませんが、我々としましては、他市や事業者とのいろいろな差別事案の事例も含め蓄積いたしまして、そのような中での対応を具体的にどうしていくのかというようなことで検討を進めております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
この後、曽根専門委員、三浦委員、竹下委員、米山委員の4人の方まで御発言をしていただこうと思います。順次、質問に対する御回答をいただくという形を取っていきます。
では、三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 三浦でございます。全国身障協です。
全国市長会様の資料で、1.(1)①イについての御意見の中に、実際の現場において直接差別か間接差別かという種別分けを行っているのかという、問いがございましたので、熊本県なのですけれども、県の条例制定前の勉強会におきまして、障害のある方々から挙げられた差別に当たるのではないかという事例800余りを直接差別か間接差別か、また、直接間接に当たらない制度の不十分さや整備なのかということなので分類分けをして勉強していきました。
これによって生まれたものは、間接差別は、障害のある方とない者に同じ取扱いをすると結果としての不平等が生まれるという差別ではないかという県民としての認識と、それから、異なる取扱いである合理的配慮をすべき理由が分かるようになりました。そういう意味において、間接差別の概念を知ることはとても有効に感じられましたので御報告いたします。
以上です。
○石川委員長 考え方を共有するということで、特に質問ではないという扱いでよろしいですね。
○三浦委員長代理 はい。
○石川委員長 すみません、順番を間違えました。
次に曽根専門委員、お願いします。
○曽根専門委員 日本社会事業大学の曽根と申します。
全国市長会の辻市長に御質問させていただきます。
私は特に選挙に関する合理的配慮の中で、知的障害者に関する合理的配慮を対応要領の中に今回定めるべきではないかという観点から御質問させていただきます。
今日の朝日新聞のデジタル版にも出ていたのですけれども、知的障害の方が投票所に行ったときに、例えば代筆の方や誘導する方とかいろいろ配置をされていると思うのですけれども、自治体ごとに対応が違って選挙に行きにくいというような御意見が書かれていました。
あと、事前の選挙公報でも、候補者が選挙公報への原稿を作ったものを改変せずに、市長村選挙管理委員会が選挙公報として配付しなければならないとなっておりまして、知的障害の方が理解するのは非常にハードルが高いものになっています。
そこで、このようなことを知的障害の方に対して市町村の選挙管理委員会が合理的配慮として提供するということを対応要領に定めることによって、全国の対応のばらつきですとか、あるいはもっと選挙に行きやすくなるという状況が生まれると考えるのですが、辻市長のお考えをお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
辻様、お願いできますでしょうか。
○全国市長会(大阪府和泉市:辻市長) ありがとうございます。
本当に私個人というか、選挙管理委員会の考え方はまとめておりませんが、今日御質問いただきまして、必要であると考えております。
しかしながら、現在、和泉市におきましては、知的障害の方に対する公報のような対応が行われておりませんので、そのあたりをどういう形で理解をしていただけるような公報に変えていくのか、今後の課題として取り組んでいきたいと考えております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
本件は差別解消法に関わるだけの事柄ではないので、国の制度というか投票に関わる制度に関わっておりますので、今後、第5次基本計画の策定の際にはまた議論をさせていただきたいと思います。
では、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。
2、3、質問させていただきます。
まず、辻市長に質問した方がいいのか、知事会の方かちょっと分からないのですが、先ほど辻市長から、大阪の場合に広域相談支援員というものが設置されていて、市町村に派遣されているという説明がありました。非常にすばらしい制度だと思うわけですが、そういう場合に、広域相談支援員としての適格性といいますか、どういうスキルを持った方をそういう支援員にするのか、あるいは、どういう専門性を持つことが妥当だと考えておられるのかについて、大阪の制度または知事会で考えておられるようなものがあれば教えていただきたいというのが1点目です。
2点目は辻市長にお聞きしたいのですが、確かに間接差別は分かりにくいというのはそのとおりだと思っていまして、それだけにお聞きしたいのは、間接差別かどうかはともかくとして、それが差別に当たるかどうかということが、言わば相談窓口としては分からない場合には、どこに問合せをすることになるのでしょうか。相談窓口で、これを差別事例事案として取り上げて対応するために、スタートの時点で迷われた場合に、どこかにそれを問い合わせる先として考えているところがあれば教えていただきたいと思っております。
私からは以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、辻市長、お願いいたします。
○全国市長会(大阪府和泉市:辻市長) 和泉市長の辻でございます。
まず、広域支援相談員の方の資格ということでございますが、今、確認できません。大阪府の職員の基準になりますので、また改めて確認をいたしまして、御報告させていただきます。
次に間接差別が分かりにくいという私どもの意見に対しまして、竹下委員から確かに分かりにくいということを感じていらっしゃるという御意見もいただきましたけれども、例えば和泉市の窓口に問合せがありまして、その事案について判断がつかない場合は、和泉市障がい福祉課に担当がございますので、そちらに問い合わせするように、情報等もそちらに収集・集約するようにしております。
なお、そこにおきましても、さらに大阪府の方にも問い合わせいたしまして、最終的な間接差別についての判断をするような仕組みを取っております。
以上でございます。
○石川委員長 続きまして、水町様、お願いできますでしょうか。
○全国知事会(神奈川県福祉子どもみらい局福祉部:水町部長) 御質問ありがとうございます。
神奈川県の事例で申し上げますと、大阪府和泉市のような広域相談支援員といった制度は現在設けておりません。
また、間接差別に当たるか分からない場合ですが、県庁内の各部署で判断がつかなければ、障害福祉課の方に問い合わせていただくようにしておりますし、県としても判断がつかない場合には、国に伺うということも必要があれば行っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、米山委員、お願いいたします。
○米山委員 全国児童発達支援協議会から出ております米山です。よろしくお願いします。
お二方にお伺いしたいのですけれども、発達障害のある子供、障害児への合理的配慮あるいは差別取扱い禁止の事例だとか、それがあった場合にどう対応されているかということをお伺いしたいと思います。ちょうど水町様がこどもみらい局ということですので、子供ということをくくって教育福祉あるいは保健の連携というのが個別にあるのかなというのは思っています。
それから、市長会の方にも同じことなのですけれども、子供についての対応ということで、今の点は全国知事会の2.(1)アについての部署の連携ということです。それと同じようなことで、和泉市の方でということで、先ほどもありましたけれども広域相談支援員というのが子供のバージョンだと恐らく大阪府は障害福祉圏域を和泉の場合、泉州というのがあるかと思うのですけれども、そこで家庭教育支援チームを置いて対応されているようなことを聞いたことがあるのですが、そういったところで差別解消法にかかるようなケースも取り扱いながら対応されているのでしょうか。お伺いいたします。
よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、辻市長、お願いします。
○全国市長会(大阪府和泉市:辻市長) 発達障害児の方に対する合理的配慮の事例でございますが、特に今まで差別事案がございませんでしたので、事例はございません。
子供の対応について、先ほど何とおっしゃいましたか。
○米山委員 家庭教育支援チームです。
○全国市長会(大阪府和泉市:辻市長) 私、聞き慣れない名前でございまして、特に和泉市では障害のある方に対して小学校での取組はかなり強化しておりまして、支援員を加配いたしまして、それで対応はしておりますけれども、そういう中で特に発達障害の方を別枠としてやっているのではなくて、障害者全体として加配をして、支援学級と一般学級との交流を行って、特に支援学級だけということではなくて、発達障害の方々が普通教室に入って授業ができるような体制づくりはしておりますので、それが教育支援チームの機能を果たしていると考えております。
以上でございます。
○石川委員長 中野専門委員から発言を求める挙手ボタンが押されました。本件に関わることでしょうか。
○中野専門委員 直接ではないのですが、教育に関わることでもしお時間があればと思ったのですが、なければ結構でございます。
○石川委員長 幾らかあります。
それでは、中野専門委員、どうぞ。
○中野専門委員 ありがとうございます。
お二人にお聞きしたいのですが、公立の学校における合理的配慮の不提供事例に関しましては、先ほど御説明は特になかったのですが、そういった事例があるのかどうか。
それから、合理的配慮の不提供に関する相談というのは、教育機関では特に公立だとなかなか声を出しにくいという状況があるのではないかと思いますが、声を出しやすくする仕組みがあるのかどうか。
そして最後に、今後、私立の学校へも合理的配慮が義務付けられるわけですけれども、公立と私立で同じ配慮を考えておられるのかどうかということについてお教えください。
よろしくお願いします。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、今度は水町様からお願いできますでしょうか。
○全国知事会(神奈川県福祉子どもみらい局福祉部:水町部長) お答えします。
神奈川県の窓口に、公立学校における合理的配慮の相談事例があるかという最初の御質問ですけれども、教育関係、公立学校の関係は教育局の方でまずは受けておりますので、最近そういった事例があったかどうかというところは、今、手元にデータを持っておりません。申し訳ございません。
また、相談しにくい方への配慮ということで、これは公立学校に限らずですけれども、神奈川県では電話、メール、ファクスなど、あらゆる手段で相談いただけるようなことで、配慮と言えるかどうかですけれども、多様なルートは確保しているところでございます。
最後、私立学校に対する合理的配慮ということですけれども、これはまさに、この委員会で審議、議論になっている公立と民間との違いというところを踏まえて対応していく必要があると考えております。
以上です。
○石川委員長 続きまして、辻市長にお聞きしたいのですけれども、合理的配慮の不提供事例に加えまして、合理的配慮の提供実績について把握されているかどうかも加えてお聞きできればと思います。
○全国市長会(大阪府和泉市:辻市長) 和泉市の辻でございます。
まず、合理的配慮の不提供事案でございますが、現在のところそのような事案はまだ報告を受けておりません。
それと、合理的配慮の提供事案でございますが、特に最近ではエレベーターの設置につきまして、従来、学校の大規模改修等につきましては、年次を追って、古い順とかで行っていくのですけれども、その地域の特性に応じて対応するということで、肢体障害のある方の配慮を行って、エレベーターをつける順番を入れ替えるという事案がございました。
それと、いろいろな事案、相談しにくい事案を受ける相談窓口の仕組みでございますが、特にそういうものを設置してはおりませんけれども、障害に対する取組は小学校でかなり重点的に行っておりますので、その辺で相談を受けやすい雰囲気づくりというものには配慮をいたしております。
私立の学校における合理的配慮の不提供等に対する対応につきましては今後の課題で、今のところお答えできるような状況でございませんので、控えさせていただきます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
時間が押しているところ恐縮ですが、私も辻市長に1点、お考えをお聞きしたい点がございますので、お願いいたします。
先ほど技能講習において聴覚障害の方が受講を拒絶された件について、市として不当な差別的取扱いに当たる可能性があるとして、事業者に話をされたというお話をお聞きしました。
同時に、グループディスカッションを伴うような講習であったので、果たしてそれを不当な差別的取扱いだとするのが妥当かどうかについての悩ましさも感じたと市長は率直におっしゃっていたかと思います。
私としましては、不当な差別的取扱いであるかどうかの判断を行う際に、もう一つの観点として、そもそも事業者あるいは行政機関が、合理的配慮の提供について内部で検討したかどうか。また、障害者との間で建設的に多様な場を持って、合理的配慮の提供の荷重性・非荷重性等あるいは方法論等について建設的な対話を行ったという実績があるかどうかも、不当な差別的取扱いであったかどうかの判断の際の非常に重要な基準となり得るのではないかと考えていますけれども、市長のお考えはいかがでしょうか。
○全国市長会(大阪府和泉市:辻市長) 和泉市の辻でございます。
先ほどの事案につきまして、石川委員長のおっしゃることは本当に正論だと思いますし、実際これから合理的配慮を社会に浸透させていく上では、事業者の中で、今の取組が本当に合理的配慮という観点からふさわしいかどうかということを検討する体制づくりといいますか、それが社会的なスタンダードになるということが必要であると考えておりますし、それに向けて障害者の方々の理解、社会との関わりをもっと深くして、広くしていただきまして、日常の中でいろいろな事業、グループディスカッションを行うときも、それに対して合理的配慮を考えた場合に、どういう仕組みというか対策が必要なのかというようなことを常に検討されるようなことが常識になるような啓発活動をする必要があると考えております。
以上でございます。
○石川委員長 辻市長、ありがとうございました。
それでは、これをもちまして、地方団体へのヒアリング及び質疑応答を終了いたします。
地方団体の皆様におかれましては、御協力いただきまして、深く感謝申し上げます。
次に、基本方針の改定に係る事業者団体へのヒアリングを実施いたします。前半では7団体へのヒアリングを行います。事務局より、御出席いただいた皆様の御紹介をお願いいたします。
○立石参事官 事務局です。
ヒアリングの前半におきましては、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の熊谷敦夫様、公益社団法人日本バス協会の稲田浩二様、定期航空協会の古川裕和様、一般社団法人日本地下鉄協会の大熊昭様、一般社団法人日本民営鉄道協会の西尾佳章様、一般社団法人日本旅行協会の関裕之様、それから米山委員より御要望いただきました一般社団法人全国児童発達支援協議会の岸良至様の皆様に御出席いただいております。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、まず各団体から資料4に取りまとめております事前に御提出いただいた資料を基にしまして、3~5分間を目途としまして御発言をいただき、その後、前半の最後に質疑応答の時間を持ちたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の熊谷様、お願いいたします。
○(一社)全国ハイヤー・タクシー連合会 熊谷ケア輸送等統括 全国ハイヤー・タクシー連合会の熊谷です。よろしくお願いします。
資料の1.(1)①アについて、事例等についてでございます。
59年10月から、ジャパンタクシーという横乗りのタクシーが出まして、非常に乗りやすいのですけれども、それに引き換えスロープの設置にかかる時間がかかりまして、乗車拒否が何件か指摘されました。これについてはスロープの改良等を行いましたけれども、障害者団体の方から、いまだ乗車拒否等の御意見をいただいています。
また、ユニバーサルドライバータクシーを利用する際の乗降に関して、特に車椅子の利用者の方から、スロープを出すに当たって乗降の対価をいただいたということで、これは差別に当たるということで国土交通省から指摘を受けました。
次に、1.(1)②イに記載していますけれども、タクシー運転手は高齢者、女性、障害者の方が従事していまして、車椅子での乗降に際して過度な要求をされています。これは私どもからのお願いですけれども、「正当な理由」の事例集を作っていただいて、障害者、交通事業者が共有すれば、トラブルが少なくなると思います。
次に2番の支援についてでございます。私どもが行っているユニバーサルドライバー研修は約30万人の運転者に対して行っており、今、約10万人の方々が研修を受けています。この研修についても支援をいただければと思っています。
また、現在、障害者割引で1割引していますけれども、今、障害者と、あと精神障害者に一部割引をしています。これは皆さん御存じと思いますけれども、全額交通事業者が負担しています。これに対して公的な補助をいただきたいと思っています。
以上ですけれども、確認でございますが、以前、内閣府へのヒアリングの際に、今回、努力義務から義務化にされるに当たって、私どもタクシー事業者としては過度な負担及び罰則のないようにお願いして、内閣府の方も罰則はしないと言われていますので、これについては必ず罰則がないようにお願いしたいと思っています。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、公益社団法人日本バス協会の稲田様、お願いいたします。
○(公社)日本バス協会 稲田常務理事 日本バス協会の稲田と申します。
それでは、基本方針に関する意見と、資料3のヒアリング項目への回答の資料でございます。資料4の4ページからになります。順を追って説明させていただきます。
まず、1.(1)①アでございます。意見等としまして、正当な理由の判断の視点の例としまして、安全の確保等を記載いただいている点は、障害者の方、事業者にとって良いことと認識しているのですが、車椅子等の器具装置がバスの乗車に耐え得るものかどうかの客観的な基準が設定されていないため、事業者とお客様との間に認識の差が生じておりまして、御理解を得ることに苦慮しているところでございます。例えば公的機関の認証制度のような仕組みを構築していただくことで、双方の理解が進み、より安心して御利用できると考えております。
事例でございますが、二つございまして、まず一つ目ですが、固定困難な車椅子等での乗車を希望される場合や、お客様御自身が車椅子等に固定装置を付加されている場合などについては、運行の安全の確認ができないため、御利用をお断りしておるところでございますが、お客様の御理解を得ることに非常に苦慮しているところでございます。
もう一つでございますが、車椅子で乗車されるお客様に対しまして、乗車場所と時間をあらかじめお電話でお知らせいただくことについて協力を求めさせていただいているところでございますが、これに対しまして、差別的であるという御意見をいただいたことがあるというところでございます。全ての車両がバリアフリー対応でないこと、車椅子スペースの折り畳み席に座っている一般客への対応が必要など、スムーズに車椅子乗車に対応するために、あらかじめ協力をお願いしているのですと説明したことがあります。
次に、1.(1)①イでございます。事例でございますが、御利用を希望される区間におきまして、道路幅員、傾斜などの道路環境によって乗降スロープの安全確保ができない場合があるため、御利用区間の変更をお願いせざるを得ない場合があります。
意見でございますが、1つ目が、公道を使用する以上、事業者のみの対策では限界がありますので、地方公共団体に対して引き続き助言・指導を行っていただきたいという意見でございます。もう一つが、差別の概念に含まれるのであれば基本方針の中で明確にする必要があると考えておるところでございます。
次に、1.(1)②アでございます。経済的な視点についても検討いただければと考えておるところでございます。こちらは意見です。
事例につきましては、少子高齢化、コロナの影響で、非常にバス事業者の収益は悪化しております。車両の代替を抑制せざるを得ない状況にございまして、ノンステップバスの導入率の向上が困難となっているところでございます。
次に、1.(1)②イでございます。こちらは事例になります。
固定することができない車椅子等での利用をお断りする理由としまして、やむを得ず急ハンドル・急ブレーキが発生した場合、固定することができない車椅子等は転倒や飛び出すリスクがございます。当事者だけでなく、ほかのお客様も負傷されることが想定されるところでございますので、お客様は一般的にそのような場面を経験することがまれであることから、この理由についての事業者からの説明に対して御理解いただくことに苦慮しているところでございます。
次に、1.(1)②ウでございます。こちらは意見でございます。
1つ目が、安全性を理由に乗車をお断りする場合、急ハンドル・急ブレーキによる危険性の証明を行うことは一事業者が行うのは困難であるため、国が主導的に公的機関等を活用して、客観的な根拠や証拠となる資料を作成いただきたいという意見でございます。
もう一つでございますが、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るようという記載がございますので、根拠を交えた説明など、理解を得られるための対応についても含みがあると読めるので、特に追記が必要とは考えておりません。
次に、1.(1)②エでございます。こちらは意見になります。
1つ目が、障害者、事業者相互参加型のバリアフリー教室などを継続的に行い、理解を深めることが建設的な対話を行うためには最も必要と考えております。
もう一つですが、場合によっては仲介役が必要だと考えております。
事例でございますが、障害当事者及び各支援団体に御協力いただきまして、バス車両を使用した研修会を行っているという事例がございます。
次に、1.(2)アでございます。こちらは意見でございます。
過重な負担の基本的な考え方としまして、費用負担の程度が判断基準の一例として記載されておりますけれども、国が主導する施策に対して、その考え方が適用されるのか適用されないのか、非常に分かりにくく思われます。例えば真の共生社会実現に向けた新たなバリアフリーの取組4項目というものがございます。障害者用ICカードの導入、特急車両における車椅子用フリースペースの導入、ウェブによる乗車船券等の予約・決済の実現、精神障害者割引の導入促進の4つでございますが、事業者にとって非常に負担の大きい項目があると考えております。
仮に適用されない場合、基本的な考え方に全く基づかない判断基準となってしまうかと思われるところでございます。
また、このような場合の負担割合について、国・地方自治体等による公助がなされるのかというところでございますが、負担割合の考え方も必要になってこようかと思います。
事例等については、特にございません。
1.(2)イ、1.(2)ウについては、特にございません。
1.(2)エは意見になりますけれども、1.(1)②ウと同じでございます。なお、合理的配慮の内容というのは、その時々に応じて変わり得るので、客観的な根拠や証拠のハードルは一層ハードルが上がるのではないかと考えておるところでございます。
もう一つでございますが、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るようという記載がございますので、根拠を交えた説明など、理解を得られる対応についても含みがあると読めますので、特に追記が必要とは考えておりません。
次に、1.(2)オでございますが、こちらは1つが1.(1)②エと同様でございます。もう一つが、場合によっては仲介役が必要と考えるというところでございます。
事例についてでございますが、1.(1)②エと同様でございます。
次に、2.(1)でございます。意見としまして、障害をお持ちの方、障害をお持ちでない方にかかわらず、公共交通事業者として最優先しなければならないことは、運行の安全でございます。役務の提供に関して、設備・機器が整っている場合であっても、運行の安全確保の観点から役務の提供ができないと判断せざるを得なかった場合、行政機関等の相談窓口におきまして、事業者としての運行上の判断等がどの程度考慮されるのかというところを憂慮しているところです。
次に、紛争解決への支援や仲介、類似事案の解決策の情報提供に期待しているところでございます。
次に、2.(2)アでございます。行政機関、事業者におきましては、研修で一定の取組がなされていると思われますけれども、地域住民等に対する啓発活動でございますが、基本方針第5.3(3)アにおきまして、多様な媒体を用いた周知・啓発活動との記載はございますけれども、参加体験型の記載はないように思われるところでございます。全体の観点でございますが、参加体験型の啓発活動の記載があればよりよいかと考えているところでございます。
次に、2.(2)イでございます。意見でございますが、自治体が開催するバリアフリー協議会等に事業者も参加しているので、そのような場で情報、事例提供していただくのも1つの方法かと思っております。
もう一つでございますが、業種ごとに的を絞った形式での事例提供が望ましいというところでございます。
最後に3.でございます。基本方針では、地域住民に対する啓発活動の規定というのはございますが、地域住民の行動そのものに係る記載がないように思われます。公共交通事業者におきましては、運行中の対応が乗務員1人にならざるを得ない状況が多々ございます。1人で対応可能な範囲には限りがある上に、事業者においては、地域交通維持のために人員を含めて合理化せざるを得ない状況にございます。このため、人的にも経済的にも限界があるところでございます。
啓発活動等により、地域住民等にさらなる心のバリアフリーの浸透を図っていただき、障害のある方を社会全体で支え合っていく状況のさらなる醸成を図った上で、例えば乗務員だけで役務の提供が困難な場合、乗務員さんは、その場に合わせる地域住民等に役務の提供の手助けを求めることができる。求められた地域住民は、これに応じる努力義務がある等との記載があってもよいのではと考えるところでございます。障害をお持ちの方に対する福祉施策は、本来であれば国及び地方自治体において行われるべきもので考えております。
例えば真の共生社会実現に向けた新たなバリアフリーの取組の中には、割引運賃の導入促進という項目がございます。運賃割引に伴う差額分の負担の問題が解決されないままこの種の議論がなされることを憂慮しているところでございます。キーワードになっている「共生社会」の実現に向け、今後、割引運賃の議論がなされる場合は、単なる事業者の運賃割引として捉えるのではなく、負担割合、国・地方自治体等による公助、この観点も取り入れた議論がなされることを切望します。
また、公共交通事業者がバリアフリー対応設備の導入・改修等に関する費用につきまして、社会全体で支え合っていく共助の観点から、運賃への転嫁ができる仕組みの構築について、併せて議論に挙げていただければと思っているところでございます。
もう一つ、乗合バス事業におきまして、過去より障害者割引を当然のように適用しておりますけれども、差別解消の推進とともに、その在り方も見直す必要が出てくると思っております。
また、障害者への優遇が過度である場合、障害者でない人から不満が出ることがないよう配慮する必要も出てくるのではないかと思っておるところでございます。
ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
○石川委員長 稲田様、ありがとうございました。
続きまして、定期航空協会の古川様、お願いいたします。
○定期航空協会 古川事務局次長 定期航空協会の古川と申します。私から、ヒアリング項目への回答で申し述べさせていただきます。
まず、1.(1)①アについてから開始いたします。不当な差別的取扱いについての事例についてですが、まず意見としては、障害の程度や利用する器具・機器の確認に事業者が時間を要したり、あるいはお客様に対して繰り返し同じ内容を質問するということがございますが、正当な理由があれば、このような行為は差別的取扱いには当たらないというような旨を追記していただきたいという意見がございました。
関連する事例といたしましては、電動車椅子のバッテリーの種類、医療機器、これらは航空輸送の安全でいろいろな制約がありますので、これらに係る情報をお客様から確認するのですが、御自身が把握し切れていないケースもありますので、一緒になって確認をさせていただいているというようなことです。
あるいは、大型の電動車椅子などにつきましては、航空機の搭載スペースは物理的に制約がございます。飛行機の大小によって搭載できる範囲も変わりますので、場合によっては搭乗をお断りしたり、あるいは大きな飛行機の便に振り替えていただいたりといったお願いをすることもございます。
あとは介助者の同行、空港への早めの御到着をお願いするのですが、こちらは不満の声をいただくこともあるというような事例となっております。
続きまして、1.(1)①イについてです。間接、関連差別など差別に包含すべきとの意見があるということで、私どもとしては、当然、概念としてこういう観点を包含することには、入口から否定するものではないと認識しております。ただ、正直少し勉強不足なところもあり、こういった考えが導入されることによって、私どもの事業者にとってどういうことをしなくてはいけないのかとか、そういったところの影響度合いがまだ分かり切っておりませんので、慎重に、他交通事業者の方も含めていろいろ意見交換しながら勉強してまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、1.(1)②イ、正当な理由の判断に関わる部分です。説明に際して苦慮したところについては、航空機内では、お客様は非常に近接して座られておりますので、何か正当な理由などを説明する際に、他のお客様との関係でプライバシーに配慮しながら対応するのが非常に難しいというようなケースがございました。
関連して、②ウについて、証拠となる資料開示の部分については、お客様から安易に紙を出せ、証拠を出せと、そういう開示要求につながりかねない懸念もあろうかと思います。中には各社、社外秘の情報なども含まれているため、基本的には追記は控えていただいて、誠意を持って、できる範囲の中でしっかり対応していくという方が望ましいのではないかと考えております。
続きまして、1.(1)②エです。建設的対話に必要なことですが、具体的なイメージは持ち合わせていないものの、事業者側で「できること」、「できないこと」、お客様との関係でできる、できないを事前に明確にしておくと、認識の齟齬などが薄まって、よりお互いに円滑なコミュニケーションにつながるのではないかと考えているところでございます。
続きまして、1.(2)アについて、合理的配慮の部分でございます。ここにつきましては、他の方からも意見がございましたが、やはり交通モードによって対応にかかる負担の度合いは変わってくるものかと思っておりますので、しっかり個別の業態を見ながら、一律の負担がないような配慮をお願いしたいと考えております。あわせて、より分かりやすい具体例の表現などは追記いただきたいと思っているところです。
続きまして、1.(2)ウについてです。過度な負担でお断りするのに少し苦慮しているケースというのはないのですが、実際にお客様から御要望を受けましたら、配膳のお手伝いとか、やらなくてもいいようなこともしっかりコミュニケーションの中で対応するケースもあるということになっております。なので、この辺も先ほどのできること、できないことに近いかもしれないのですが、少し明確化していった方がいいのではないかと考えております。
次の1.(2)エとその次のオにつきましては、正当な理由のところで御説明した内容と同様になりますので、割愛させていただきます。
2.(2)イについて、事例提供の形式などについてですが、現在もあります国交省様で作成いただいている所管事業の対応指針が非常に有用だというような声を会員各社からもいただいています。今回のヒアリングを契機に、内容の追報などを行って、より肉厚にしていければ、いいものになるのではないかと考えております。
最後に、総合的になりますが、改めて合理的配慮と差別的取扱いのケース、実は既にもう具体例が書いてありますが、どちらかというと差別的取扱いに該当するケースの事例が充実していないという意見がありますので、その辺は今後詰めていけたらいいのではないかと考えています。
やはりユニバーサルデザインやこういった対応については、国・民間が一体となって対応すべきテーマだと思っておりますので、今でも一部いただいておりますが、補助金などの充実というのは併せて御検討いただければと思っております。
最後に、お客様と使用者側の双方でこの取組を進めていく必要がございますので、私どももしっかりとやっていることを周知する、表に出していくということと、それをしっかり障害者の方も理解ができる状態にしていく、こういったことを双方に啓発活動していくことが重要かと考えておりますので、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
以上で御報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○石川委員長 古川様、ありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本地下鉄協会の大熊様、お願いいたします。
○(一社)日本地下鉄協会 大熊業務部長 資料の13ページ以降に私どもの部分を載せさせていただいております。かなりボリュームがございますので、かいつまんで説明をさせていただきます。
まず、1.(1)①アにつきましては、特に意見、事例等はございません。
①のイにつきましては、エレベーターの更新工事のときにエレベーターが使えないということで、車椅子のお客様の乗降にチェアメイトという可搬式の階段を乗降する、車椅子を乗せて移動する機械を使用したところ、それについて不当であるというようなお話がございまして、確かにエレベーター等に比べると恐怖感があるとかというところはあるわけでございますけれども、そのような事例がございました。
結果としては、事業者としても、当事者が不当な扱いだということでおっしゃられるのであれば、あるいは感じ取られるのであれば、差別の概念に含まれるものと考えておるところでございます。
1.(1)②アにつきましては、意見等については特にございません。
事例といたしましては、朝のラッシュの時間帯に、白杖をお持ちのお客様をタクシー乗り場まで案内するようにということで依頼されたのでございますけれども、事務室に係員1名のみの配置でございましたので、お断りしたという事例がございます。
それから、列車の発車直前に御乗車の申出をいただいたのですけれども、案内に準備の時間が取れないということで、御希望の列車でなく、次の列車を御利用していただくという事例がございました。
車椅子利用者の介助をさせていただく際に、降車駅の連絡が必要である旨をお伝えしたのですけれども、相手方の降車駅に連絡している間に予定の列車に乗れないのであれば、差別解消法違反なのではないかというような御指摘を受ける事例がございます。
1.(1)②イにつきましては、前の事例と重なる再掲の部分もございますけれども、やはり係員1名のときに御案内ができなかった事例、発車直前にお申出を受けて対応ができなかった事例、降車駅の連絡に時間を要していて御要望に添えなかった事例ということで、これらを御説明しても御理解いただけなかったというような事例がございます。
その次に1.(1)②ウでございますが、これにつきましては、記載方法については現場判断によるところが多いという前提で配慮いただきたいと考えております。「過度な要望でない場合は、可能な限り」というような追記をしていただく等をしていただければということで考えております。
それから、根拠を交えて説明することは必要だとは考えておりますが、根拠となる資料の提示がなかなか現場においては難しいと考えておりまして、資料を求めた場合には応じることと記載されますと、全ての事案でこれが求められて、事業者にとって過度な負担になると考えますので、口頭での説明も認めていただくように、除外規定を設けるなどしていただければと考えております。
次に、1.(1)②エにつきましては、利用者側と事業者側で互いの主張、期待値などが平行線にならないように、共通理解と極力受け止めて尊重した上でお客様と接することが重要だと考えております。
意見交換会につきましては、オフィシャルな場で具体的な事例や一定の基準のようなもの、建設的会話ということについて基準があるとよろしいのではないかと考えております。事業者が提供しているサービスについては御理解いただくことが前提ということで考えておりまして、「許されない行動に対する拒否」と「差別的取扱いに該当する場合の拒否」を混同している方がいらっしゃるということで現場からの声が上がっておりますので、この辺のところは事例等々を具体的にお示しいただければと思います。
事業者側が萎縮することで、今までしていたサービスがなかなか御提供できなくなるというような事例もあって、もしそういうことになりますと、共生社会の実現が遅れてしまうというようなことも考えられますので、御配慮いただければという意見が出ておりました。
事例等につきましては先ほどから出ておりますけれども、次の電車を御案内する。これも直前にということですのでやむを得ないと感じますが、こういうことについても御指摘があるところでございます。
障害者団体様からの御要望に対しては、意見交換など適切に対応しているところでございまして、引き続き対応を行ってまいりたいと思います。
車椅子利用者が介助の申出をしないで、改札口から構内にお入りになって、乗車できなかったということで、駅に暴力を振るうというような事例がありました。
それから、事業者側の介助職員が女性であったときに、触れられたというようなところがあったという事例も言われております。
1.(2)アにつきましては、事業者の負担が過大とならないように、障害者、介助者、家族など、あるいはほかの利用者も協力する、または努めるというような旨を追記してほしいと考えております。
事例等といたしましては、電動車椅子のバッテリーがもったいないということで、電源を切って改札口まで押すように要望されたとか、女性専用車を利用する際に、障害をお持ちの男性のお客様等々を御案内することができるようにはなっているわけでございますけれども、他の事務局の方から御意見をいただくというような事例もございます。
それから、先ほどもお話ししました介助の申出がないままに乗車できなかったということで御指摘をいただくというようなことでございますけれども、事前にその旨のお話をいただかないと、なかなかその場において対応するのは難しいというところもあるところでございますので、御理解をいただければと思います。
一般のお客様から、電車内において歩き回ったり、奇声を発する等、障害者に介助者がついていながら制止できないのではないかというような御指摘も受けるところはございますけれども、このようなところについても、家族あるいは介助者の方あるいは周囲の理解についても御配慮いただけるとよろしいかと考えております。
1.(2)イにつきましては、車椅子を御利用の女性のお客様につきまして、降車駅をアナウンスするために、ストーカーのような行為をされるということで、これは事務局の方からの資料にも載っている事例だと思いますけれども、こういうところも改善する方向では努めているところでございます。
それから、子供さんの障害者の場合などは、分かりやすく説明するのは難しいというところで、例えば割引乗車券のルールなどを理解してもらうのはなかなか困難だというような状況もございます。
1.(2)ウにつきましては、出入口が複数ある駅について、全部の出入口にエレベーターを設置するようにと要望されることはしばしばあるわけでございますけれども、予算の関係からなかなかお応えするのが難しいところではございますが、予算がないのは事業者側の都合ではないかということをおっしゃられますと、なかなか説明が困難な状況があるということをお伝えさせていただきたいと思います。
終電時に、ホームに虫がいたということで、それを片付けるまで乗車しないというようなことをおっしゃられて、虫がいることは障害者の方に限った話ではないわけでございますけれども、これを駅員が対応できないということでお断りしたところ、終電車の発車が遅れて、さらに乗車駅の方で対応した駅員に降りる駅まで来るように要求したりとか、タクシー代を要求されたりというような話も出ておりまして、なかなか難しい事案が発生したりしております。
1.(2)エにつきましては、これも先ほどお話ししたように、現場判断によるところが多い状況でございますので、記載方法については配慮をいただきたいと考えております。
事務的な負担、それから人件費の問題等々もございまして、支障が生じない範囲において、可能な限りの対応ということでやっていただければよろしいかなと思います。
それから、「根拠となる資料を求める場合に応じること」という記述になりますと、全ての事案で求められれば資料で対応せざるを得ないことになってしまいますので、事業者にとっては過度な負担でございますので、口頭での説明も認めていただく等の除外規定を設けてほしいということは先ほども申し上げたとおりでございます。
1.(2)オにつきましては、過重な負担の考え方について共通理解ということでございますけれども、これも具体的な事例や一定の基準のようなものがあると、事業者側、障害者側双方に話合いがやりやすいのではないかと考えておりますので、その辺のところについて、御検討をお願いできればと思います。
障害をお持ちのお客様を御案内する際に、安全面において不十分な状況で、それに対応することがなかなか困難な場合もございますので、その辺の安全面のところの記述なりも考えていただければと思っております。
建設的対話を行うためには、事業者だけでなく障害者やその御家族あるいは介助の方、それから他の利用者にも前提条件である合理的配慮に対して正しい理解を持っていただくようにお願いできればと考えています。
この項目に関しても、事例に関しましては、車椅子の御利用の方への伝達、アナウンス、これも先ほど申しましたことと同じでございまして、改善するようには努めてございますが、事例としてはここに挙げさせていただきたいと思っております。
ただし、駅のアナウンスによる取扱いはですね、乗務員とその駅職員の意思疎通等々を図る意味で、全く禁止ということでは、なかなか社員間のコミュニケーションが取れずに、良好なサービスを提供する場合に必要な場合もあるということは御理解いただければと思います。
それから、先ほどから何度も出てきておりますけれども、発車間際のお申出、それから降車駅への連絡、こういうことにつきましては、安全確保のために必要なものとして御理解をいただければと考えております。
2.(1)つきまして、「基本方針」について分かりやすい説明が必要なのではないか。過重な負担に当たると判断し、その旨を説明しましたけれども、理解を得られない場合に、事業者としても相談できる窓口、あるいは、場合によって事業者に代わって説明してもらえる体制をお作りいただくことも必要なのではないかと考えております。
業務マニュアルの作成・改定、内部研修等々の際に、内容の妥当性等について助言をいただく体制があると有り難いということでございます。中立的な立場で解決策に関する助言をいただきたいと考えております。
相談窓口は中立的な立場から、障害者側からのみならず、事業者側からのお話も聞いていただければと考えております。
2.(2)アにつきましては、ポスターの掲出とか、最近はディスプレイ装置を利用したデジタルサイネージというようなものを利用いたしまして、粘りよく強く啓発を行っていくことが望ましいと考えておりますけれども、さらに直接接して交流するような機会も御理解をいただく一場面として設定していただければありがたいかなと思っております。
大きな声を上げる行動とか、同乗のお客様に苦情をいただくケースもございますので、同乗のお客様の方にも一定の理解を得られるような啓発活動が必要であると考えておりまして、根気強く継続していくことが必要だと思っております。
2.(2)イにつきましては、障害者差別解消法の第何条に該当するというようなところが明記された冊子があるとよろしいかなと思っております。あとは、場面ごとに事例の表示があるといいなと思っております。
それから、メールや資料送付等によるもののほかに、セミナーや講演等、直接お話をお聞きする機会がもう少しあればいいかなと考えております。費用負担等の程度から、差別的取扱いの事例だけではなくて、解決に至らないケースについても事例を提供していただければと考えておりまして、よろしくお願いできればと思います。
3につきましては、意見になりますが、曖昧な事例を避けていただきたい。法改正の趣旨について社会的障壁を取り除くこと。それから、障害者も含めた国民一人一人が、それぞれの立場において自発的に取り組むということが記述されておるのでございますけれども、事業者側の社会障壁排除のための努力が合理的差別に当たるのかと考えますが、これが障害者やその家族、あるいは他の一般の利用者の協力ということについての記述がないところが懸念されるところでございまして、共生社会の実現を目指すのであれば、これらの皆様にも、法の趣旨の理解、それから事業者が行う説明に対して理解いただけるように努めてもらうことが必要なのではないかと考えております。
当方からは以上でございます。
○石川委員長 大熊様、ありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本民営鉄道協会の西尾様、お願いいたします。
西尾様にお願いがございます。前の地下鉄協会様と課題であるとか御経験や御苦労等で共通する点が多々あるかと思いますので、時間がかなり押しておりまして、その点につきましては、時間短縮に御協力いただけると大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。
○(一社)日本民営鉄道協会 西尾運輸調整部長 日本民営鉄道協会の西尾でございます。本日は説明の機会をいただきまして、ありがとうございます。
では、なるべく端的に御説明させていただきます。
まず、1.(1①アでございますけれども、不当な差別的取扱いに当たるような具体的な例や合理的な判断基準が必要になってくるのではないかということでございます。
次に、イにつきましては、こういったことを概念に入れるということであれば、やはり客観的な定義が必要であるでしょうし、あと1つ懸念されるところといたしましては、こういったことで鉄道事業の運営に過度の制約を与えるという可能性もございますので、その点も御留意の上で御議論いただければと思います。
次に、②アでございますけれども、こちらにつきましても判断基準の具体例を示していただきたいという意見でございます。
関連した事例といたしましては、先ほどございましたお客様をお待たせしてしまうというようなことがございます。
次に、②イでございますけれども、事例といたしまして、エレベーターの点検中や事故発生時に、お客様をお待たせしてしまう。それから、車両の構造的な制約等がありまして、ハンドル型車椅子のお客様を御案内できないというような事例について御説明させていただく機会に、その対応、説明に苦慮したという事例がございました。
次に、②ウでございますけれども、資料を出すかどうかは、出せる、出せないがありますので、やはり事業者の判断に任せていただけないかと。それから、現場の方の対応としまして、こういった対応が長時間にわたりますと、現場係員の負担にもなってまいりますので、こういったところもバランスを含めて御検討いただければと思っております。
次に、②エでございますけれども、建設的な対話、調整を行う公的な窓口は現在でもあろうかと思います。こういったものは国・自治体等を含めて対話が重要ではないかと考えます。
それから、差別的な扱いもしくは過重な負担というところも、具体的なことを明記しておけば、建設的な対話の調整を行う上でもスムーズに進むということにつながってくるのではないかと考えております。
参考事例といたしまして、例えば鉄道事業者においては、盲導犬講習会の実施といったところで実際に対応したりとか、鉄道利用の際に、障害者の方から御意見を伺う機会などを設けまして、これが実は事業者の現場の者にとりましても気づきとなりまして、その後の案内に反映させることができて、貴重な機会になっているというような事例がございました。
次に、1.(2)アでございますけれども、今回、合理的配慮というものが義務化されたということでございますので、利用者にとって過重な負担となるような事案というものが、合理的配慮の範囲にされてしまうということも引き続き懸念があるという意見がございました。このためにも判断基準の具体例を示していただきたい。安全配慮上、事業継続の観点からも、事業者が実施可能な範囲内でと明確に解釈できるような内容でお願いしたい、検討していただきたいということでございます。
事例といたしましては、こちらがどこまで合理的配慮としてしなければならないかというところでございますけれども、ホーム上の売店での飲食物の購入を駅員が御依頼を受けたりとか、駅の改札の外にお荷物をお運びするような事例がございました。こういったものは判断が非常に悩ましいというところでございます。
次に、(2)イでございますけれども、好事例といたしましては、お子様への配慮ということで、ホームで非常に電車が好きなお子様が電車の行き来をホームで見ていただいているというときに、駅員が安全を配慮してお子様に付き添っていたというような事例がございました。
アナウンスのケースは重複するところがあろうかと思いますので省略をさせていただきます。
次に、ウでございますけれども、重複するところがあろうかと思いますので、割愛させていただきます。
エにつきましてですけれども、全ての事象において明確な証拠や書類を用意するということはなかなか難しい場合がありますので、こういったところに追記するときには配慮いただけないかという意見でございます。
繰り返しになりますけれども、事業者が実施可能な範囲でと解釈できるようにしていただく必要があろうかと思います。
次に、オでございますけれども、定期的な情報共有の場を設けるといったこととか、国や自治体も含めて対話をしていくことが重要ではないかというところでございます。
事例といたしましては障害者団体の方と意見交換の場を設けているような事例がございました。
次に、2.(1)でございますけれども、こういった判断をするに当たりまして、相談や情報提供いただけるような体制を整えていただくというところが、ぜひお願いとしてあるというところでございます。
次に、(2)アでございますけれども、障害を理由とする差別に当たるといったことで考えられるような事例を一般の方にも啓発として行っていくのはどうか。それから、ハード整備の際に自治体も一緒になって補助金等で負担していただくことによって、一体的な整備という意味で、自治体に対しての意識改革、啓発になるのではないかというような御意見もありました。
あとは、ボランティアや講習会、研修会といったところで啓発活動をしていただけないかという意見でございます。
次に、(2)イでございますけれども、なるべく多くの具体的事例を記載していただいて、現場教育で、接客に当たります現場の駅員などの教育に対して活用できるようなケーススタディー集のようなものがあったらいいではないかというような意見がございました。
最後でございますけれども、ここにはコロナに伴い鉄道事業に限らず交通事業は非常に厳しい状況、長期的にもそういった状況が将来続くのではないかということがございますので、コスト負担や効率化というところとどう折り合いをつけていくかという問題がございますので、御検討いただいて、御配慮をお願いできればと思います。
駆け足になりましたけれども、説明は以上でございます。
○石川委員長 西尾様、ありがとうございました。議事進行への御協力に深く感謝申し上げます。
続きまして、一般社団法人日本旅行業協会の関様、お願いいたします。
○日本旅行業協会 関ユニバーサルツーリズム推進部会長 よろしくお願いいたします。それでは、日本旅行業協会の方から御説明させていただきます。資料は27ページになります。
1.(1)②アについてですが、事例等について御紹介します。
お客様から障害の状況や必要とする配慮について、ツアーのお申込時に何も御申告がなかったケースがございました。旅行開始日の集合時に初めてお客様が車椅子を御利用されていることが分かり、介助者の御同行もなかったことから、やむを得ずツアーの御参加を拒否しなければいけないようなケースが発生しています。というのは、集合時におけますと、我々が利用する運送機関の対応とか、現地のバリアフリー状況等を確認することができないために、やむを得ず拒否あるいは制限を加えるケースがございます。
次に28ページ、②のウについてですけれども、正当な理由の証拠となる資料を求められた場合について追記されてしまいますと、例えばお客様によっては頻繁に証拠資料の提出をお求めになられたり、証拠書類に納得を得られない場合に苦情が想定されるなど、円滑な業務の遂行に支障が生ずる懸念がありますことから、追記することは控えていただければと思っております。
次に、②エについてですけれども、意見ですが、障害のある方との対話により相互理解を深めていくことが必要であると考えています。
次に、(2)アについてですけれども、事例等について御紹介します。
お客様に、運送機関等から安全確保のために確認を依頼されたお客様の車椅子に関する情報をお伺いしたところ、以前利用したときに大丈夫だったという御回答をいただくだけで、個別具体的なヒアリングに応じていただけないようなケースがございます。こういった場合、合理的配慮について検討することができなくなってしまうので、情報提供に御協力をいただきたいというところでございます。
次に29ページ、エについてです。こちらは先ほどの証拠となる資料を求められた場合ということで、(1)②ウと同様になりますので、割愛させていただきます。
29ページの(2)オについてですけれども、障害のある方と対話による相互理解を深めていくことが必要であると考えております。
次、2.(1)についてですが、合理的配慮に関する個別具体的なアドバイスなどのサービスを提供していただければと思います。
次に、(2)アについてですけれども、やはり啓発活動の中では、「心のバリアフリー」、すなわち「障害の社会モデル」への理解促進が差別の解消に役立つものと思いますので、こちらの啓発をぜひ進めていただければと思います。
次に、(2)イについてですが、コロナ禍におけるデジタル化推進や非接触などの「ニューノーマル」で、新たな社会的障壁も生まれてきていると感じています。そこで「ニューノーマル」に対応した合理的配慮の対応事例などをウェブ等でぜひ積極的に公開いただけると助かります。
次、3についての意見ですけれども、今回の「基本方針」の改正については、基本的な方向性を追記する程度にとどめていただけることが妥当だと思います。実務においては、各事業ごとの対応指針や各業界で作成しているガイドラインに沿って対応をしていきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、前半の最後ですけれども一般社団法人全国児童発達支援協議会の岸様、お願いいたします。
○全国児童発達支援協議会 岸副会長 一般社団法人全国児童発達支援協議会です。通称CDSジャパンと申します。私は副会長をしています岸と申します。この度はヒアリングの機会をいただき、ありがとうございます。
私どもは障害児通園施設の関係者が集まって、協議会と発展して、2015年に法人格を取得しております。現在546の事業所が集まっております。発達支援の質の向上であったりとか、人材育成や研究、施策への提言を続けています。
このヒアリングにおいては、私どもは、障害児はもとより特別な支援を必要とする子供とその家族のことを中心に文書を提出させていただいております。資料は32ページからとなります。
御指定いただいた項目に分類して、意見や事例を記載することに大変苦慮いたしました。そこに記載している事例は今回いただいたヒアリングの様々な項目に該当して絡んでおりますことを申し添えます。
口頭では、4点のみ述べさせていただきます。
まず初めに、全体に関わる程度となりますが、障害者の場合、障害者の権利条約に加えて、子供の権利条約も考慮するべきだと考えています。したがって、子供の権利保障、障害者の権利保障、どちらの視点も大切にしていただきたいと思います。
2点目です。今回の基本方針のみならず、様々な障害施策において障害者のみの記載になっています。多くの国民は障害者の定義に障害児が含まれるというのは理解しにくいはずです。差別解消の推進には、子供の頃からの取組が何よりも大切だと記憶認識しております。だからこそ、障害者に児童福祉法に規定する障害児が含まれることを明記していただきたいと思います。
なお、児童福祉法の障害児の定義には、障害者手帳や医学的診断を有しない子供も含め、発達支援を必要とする子供も含んでおります。
また、障害が確定していない子供への差別、その保護者への差別も含めて解消していくことが必要です。子供一人の人格として尊重する立場を明らかにして、作成いただきたいと思います。
続きまして、3点目です。まず、当事者である障害児本人の意向が尊重されるべきであって、活躍の場、役割を担える機会等が保障された上での合理的配慮というのが必要です。
その際、子供の権利条約に規定する意見証明権等が保障されることがとても大切で、障害だけでなく年齢、個々の特性に応じたコミュニケーションの手段や機器の活用などが確保されるべきです。
意思表明のためには、子供として当たり前の経験が必要となります。意思に基づいた自発的な移動の機会、それから行動の機会、お友達と遊ぶ機会等を早期から意識的に準備することも保障されるべきかと思います。そして、その上で障害児でない子供との交流のチャンスを保障していただきたいと思っております。
障害者の育成には、療育責任がある保護者の意向が優先される傾向があります。さらに子供の意思表明の内容が酌み取りづらい場合に、その判断と決定は保護者に委ねられます。その際、保護者が適切に子供の意思を酌み取れるように、これは行政や福祉・医療、関係者の客観的な意見を保護者が求めやすい仕組みが必要です。保護者だけの責任にはできないと思います。それが子供の最善の利益となりますし、保護者の負担を軽減することにつながると考えています。
最後、4点目です。事故等により生活障害が重度化して、移動や24時間の監視モニターが必要となっても、もともと身体障害者手帳1級である場合というのは、障害等級が変わらないために、補償の対象外になります。それにもかかわらず、学校では校内のけがの補償に関する保険の手続案内が普通になされている現状があります。障害の子供たちが安心・安全に過ごせるよう、補償制度においても差別をなくすべきと考えます。
社会における様々な障壁と相対することによって生じる障害、すなわち基本方針に定める生活障害に対しての不当な差別の禁止、合理的配慮の提供を推進するのが障害者差別禁止法であると認識していますので、学校での事故等の補償制度の内容に関する法整備についても見直していただきたいと思います。
私どもからの口頭での御報告は以上です。
○石川委員長 岸様、ありがとうございました。
本日は事業者ヒアリングという、当委員会としましてまたとない機会でございまして、直接事業者の立場で抱えていらっしゃる課題や御懸念などをお聞きすることができまして、そのために優先的に時間を配分させていただきましたことを、まず委員各位には御了解いただきたいと思います。
前半の時間は大幅に超過しておりまして、どうしても今ここで御発言されたいという委員がいらっしゃいましたら、挙手ボタンを押してください。あまりお答えできる状況ではございませんが、一応お願いします。
申し訳ございませんが、車椅子ユーザーに関わる課題が多く出ましたので、大変恐縮ですが、佐藤委員と玉木委員、代表して御発言いただきたいと思います。
まず、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
私はふだん車椅子なのですけれども、ちょっと体調が悪くて今日は寝たままで失礼いたします。
航空協会さんに1つお尋ねしたいと思います。1.(1)①アのところで、障害の程度や利用する補助具・機器の確認に時間を要したり、旅客に対し繰り返し質問したりすることがあるが、正当な理由があれば、このような行為は差別的取扱いではない旨を追記することを御検討いただきたいとあります。
私は、ここは違う認識を持っています。例えば電動車椅子のバッテリーの確認はすごくたくさんあるのですけれども、これは障害者にとってすごく大きな負担になります。車椅子によってはすぐ外から見えなくて、本人が座席から降りて車椅子を分解しないと確認できないというものがあるのです。実際に飛行機に乗るときは、予約の段階でバッテリーの形はもう伝えています。さらに当日、チェックインカウンターでも伝えます。その後、ゲートを入っていって、搭乗ゲートのところでもまた聞かれまして、飛行機に乗る前にもう一度聞かれるというようなのが実態です。
先ほど伝えたのに何でまたもう1回ここで聞かれるのかなと。次にもう1回また聞かれると。先ほど言ったのは何だったのかなというのをすごく思うのです。
私は情報を共有するシステムがないということが問題なのではないかと思っています。ですので、各航空会社で情報の共有システムがあるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
続きまして、玉木委員、その後、難病のお立場から森委員、そこまでとさせていただきたいと思います。
○玉木委員 玉木です。ありがとうございます。
今回聞かせていただいて、どこにという質問よりは、全体に感じたことを少しだけ言わせてもらいます。
このたび、全体を通して聞かせていただいていたら、かなりしんどいことばかりおっしゃっていたなということで、この1時間ちょっと、結構息苦しいような思いでおりました。どうしても合理的配慮の理解が政策委員会には建設的な対話を重ねていくことが合理的配慮の義務だということをたぶん共有化できていると思うのですけれども、それが一般化まだまだされていないのだろうなということがすごく思ったという点です。
もう一つは、事業所が大変なことは分かっているのですけれども、その前提としては、障害者差別解消法があるからという以前の問題で、公共交通機関として、どの範囲をちゃんと乗客と捉えているかということが多分正しく思われていないのではないかと感じました。
遡ること90年代初めは、当時、運輸省は、車椅子に乗った人たちは基本的には一般利用客とは見ていないという時代があったのです。そのときに、事業者さんもエレベーターとか、バリアフリー化するとか、福祉的政策は国がやっていくこととか、お金もうけができたからやっていくことということを昔はおっしゃっていたのです。
でも、今日お聞きしていたら、昔を思い出すというか、もっとお聞きしたかったのは、事業所内でどういうようなことを理解して、どういうようなことをしていくかということが聞けたらよかったなと思っていますので、政策委員会として、合理的配慮とはどのようなことなのかとか、今後、事業者さんにどう伝えていけばいいのかということを改めてお願いしていきたいと思いました。
ありがとうございます。
○石川委員長 最後に森委員、お願いします。
○森委員 ありがとうございます。日本難病疾病団体協議会の森です。
今、玉木委員がおっしゃったところと思いは同じですので、その部分は省略させていただきます。
私ども難病の患者は、やはり障害が外見から分かりませんけれども、筋肉の低下ですとか骨がもろくなっているような状態などによって、例えばバス協会さんの方でノンステップバスなどの導入が非常に困難な状況であるという話もございましたけれども、これは私たちだけではなく、高齢者とか妊婦さんについても、バスへの乗車が非常に困難な状況が多くあります。車道よりも一段高いところの歩道の方にバス停がありますけれども、乗車しようとしても、バスがバス停まで近づかず、走ってきた車道のまま停車して、乗客は、一段低い車道に降りていってそこから高い段差を乗車しなくてはならないケースが多くあります。一段低いところからのバスへの乗り込みというのは非常に困難で、バスをきちんと歩道のバス停まで寄せていただきたいと運転手に伝えたところ、そのままドアを閉めて発車してしまい、乗車できなかったという事例もありました。
地方の方では、1時間に1本とか2本のバスというような状況もありまして、次のバスに乗ればいいというわけにはいきません。このようなことで、非常に社会参加も限られていて、バスの乗車ができないといったような苦情も多く来ております。
ぜひ、改善に努めていただきたいと思いますし、また、高齢化で運転免許を返納されている方も多くありますので、これはもう社会参加ができないといったようなところに来てしまいます。
車寄せとか足踏み台があれば、ノンステップバスに近いような状況で利用できる方もおられます。そういったところもぜひ考慮していただきたいと思います。
外見上見えないということで、私どもも例えばヘルプマークを活用したりというようなところで、表示したりお願いしたりしておりますので、ぜひこういった改善にも努めていただくことも併せてお願いしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
前半につきましては以上で終了とさせていただきます。まだ御発言されたい委員がたくさんいらっしゃいますけれども、4時半までしか時間を確保できておりませんので、御理解のほどお願いいたします。
それでは、3時45分まで休憩とさせていただきます。
各事業者の皆様、ありがとうございました。
(休憩)
○石川委員長 それでは、ヒアリングを再開いたしますので、カメラをオンにしてください。
基本方針の改定に関わるヒアリング後半では、5団体へのヒアリングを実施いたします。事務局より、御出席の皆様方の御紹介をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
ヒアリングの後半におきましては、一般社団法人全国銀行協会の溝呂木俊一様、公益社団法人日本医師会の江澤和彦様、公益社団法人日本精神科病院協会の櫻木章司様、公益社団法人日本薬剤師会の長津雅則様、大河内専門委員より御要望がございました一般社団法人日本映画製作者連盟の華頂尚隆様の皆様に御出席をいただいております。
○石川委員長 ありがとうございます。
この後半のヒアリングにつきましても、各事業者から御意見を頂戴したいと思います。既に事前に文書で御回答いただいておりまして、各委員、拝読しておりますので、5分以内にポイントとなる点を御発言いただきたいと思います。
それでは、5分過ぎましたら事務局よりお知らせさせていただくかと思いますので、その点、よろしくお願いいたします。
それでは、一般社団法人全国銀行協会の溝呂木様、よろしくお願いいたします。
○(一社)全国銀行協会(三井住友銀行) 溝呂木グループ長 全国銀行協会を代表いたしまして、三井住友銀行の溝呂木と申します。よろしくお願いいたします。
このたびはヒアリングの機会をいただきまして、誠にありがとうございます。時間も限られているということでございますので、早速ですがポイントを絞って回答させていただければと思います。
まず、合理的配慮義務というところについてなのですけれども、こちらは優良事例の一層の充実化を図るために、例えば地公体等行政の相談窓口に寄せられた事例を収集、蓄積いただきまして、業態ごとに整理された上で情報還元いただくといったようなことを検討いただければなと思っております。
また、不当な差別的取扱いの「正当な理由」や合理的配慮義務の「過重な負担」といったところにつきましては、事業者及び障害をお持ちの方がある程度統一的な目線、理解を持てるようにするために、行政におきまして該当する事例の収集であったり蓄積を行った上で、還元いただけるとありがたいと考えております。
一方で、「正当な理由」、「過重な負担」の根拠を交えた説明や、証拠資料の提示が必要という御意見に関しましては、慎重に御検討いただければと思っております。
幾つか理由がございまして、証拠や資料といったようなものの提示が求められますと、事業者側はどうしてもリスク回避といったようなところから、ある程度画一的・統一的な対応を取るところは出てくるのではないかと考えております。そういたしますと、かえってその場の状況に合わせて柔軟に対応していくといったようなところであったり、相互理解を目的とした話合いでこういったことができるのではないのかといったような解決をするというところが困難になってくるのではないかと考えております。
また、お客様に対して、これは障害をお持ちの方だけではなく、一般的に多くのお客様に対して非開示にしている資料もございまして、こちらの提示を求められた場合に、どのように対応していくのかといったようなところで、実務が混乱するといったようなことも懸念されます。
このため、現行の枠組みを維持しながら、一方で濫用的な事案を抑制するために、先ほど申し上げました「正当な理由」、「過重な負担」といったところの事例の収集・還元、相談窓口を通じた事後的な解決手段の拡充といったようなところの施策を進めることが適当ではないかと考えております。
事業者、障害をお持ちの方、双方の建設的な対話の御質問につきましては、障害をお持ちの方の御意見、御要望等を聞くことが大切だと考えており、定期的に意見交換等の機会を設けることが有用と考えております。
最後になりますが、行政機関等の相談窓口におけるサービス支援に関しましては、相談窓口の充実化により、相談者のアクセス、利便性の向上が期待される一方で、地域間で相談対応のレベルに差が生じ、結果として、求められる合理的配慮のレベル間に地域において差が生じるというようなことも懸念されるため、そうした事態が生じないように御検討いただけるとありがたいと考えております。
銀行界といたしましては、引き続き関係者の皆様と連携しながらバリアフリーの取組を推進して参る所存でございますので、何とぞ御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上になります。
○石川委員長 溝呂木様、ありがとうございました。
続きまして、公益社団法人日本医師会の江澤様、お願いいたします。
○日本医師会 江澤常任理事 ありがとうございます。日本医師会の江澤と申します。
資料に沿いまして、まず1.(1)①アですけれども、どうしても不慣れなことを背景として、医療現場や介護施設で例えば精神疾患とかその他の障害者の受け入れが難渋するケースが散見されます。
1.(1)①イですけれども、これは当然、差別の根拠に含まれるものという意見については賛成でございます。いかに分かりやすく、どう共有できるかが重要だと思っています。
それから、「正当な理由」の基準にばらつきが出ないように、同じ分野だけではなくて、いろいろなフィールドの中で、ここのあたりにばらつきが出ないように取り組むことが大事かと思っております。
正当な理由について根拠を交えることについては賛成でございます。当然、必要に応じて、資料提出もあり得ると思っております。
続きまして、根拠や証拠を提示せずに拒否することはあってはならないことでありますし、明確な説明が必要です。特に代替案というのが非常に重要であって、ここのスキルを高めることが重要ではないかと思っております。
続きまして、1.(2)アですけれども、例えば多額の改修費用と、建物に投資をしてやり替えるというのはなかなか現実的ではなく、ハードは十分ソフトで補うことは可能でございますので、我々の想いあるいは知恵で、いろいろ補える部分は多々あると思っております。そこの事例に書いてありますけれども、これは一例でございますが、この場合は手話通訳の派遣等ですけれども、こういったいろいろな取組は徐々に広がってきていると思っています。
一方で、1.(2)にありますように、我々は医療や介護でふだんいろいろな患者さんとか要介護の方に接しているわけですけれども、その中で、どうしてもこの方の特性であったり、持っている目や耳の不自由とか、発達障害とか、当初気づかないケースがあり得るので、そのあたりをどう対応するかというのは今後の課題だと思っています。
1.(2)エの追記はもちろん賛成でございます。
1.(2)オですけれども、障害者の状態をいかに事業者側あるいは従業員、職員が理解していくかということが重要であって、その理解を踏まえた上で障害者の方と対峙する、お話合いをする、建設的な話をするということが重要だと思っています。
2.(1)ですけれども、行政機関等に何か総合窓口とか御案内できるところがあることも必要ではないかと思っております。
合理的な配慮についてはまた後ほど申しますけれども、気づきに加えて具体的にどういうことに取り組んだらいいのか、やはり好事例の横串、共有が重要だと思っています。
2.(2)アにつきまして、要は我々の現場の方で差別と気が付いていないケースが多々あるのではないかと思っておりまして、この知識不足、経験不足に対して、これをどのように事業所内の研修、取組で補っていけるかどうか、あるいは行政からの発信も含めて総合的に総力を挙げて対応する必要があると思っています。
実際に、例えば2.(2)イですけれども、インターネット等で実際にあった事例集とか、いつでも閲覧できるとか、好事例にアクセスして吸収できるようなことがいいのではないかと思っております。
3につきまして、意見というか考え方についてお話しできればと思います。
まず、例えば事業所内の、先ほど研修と申しましたが、人権尊重、尊厳の保持、あるいは地域共生に対する研修を定期的に行っていく。あるいは障害者の雇用もあるわけですから、そういったことも含めて従業員が障害者の理解を促進するような教育研修あるいはミーティングといったものを業務の中にどう取り入れていくのかというのも課題だと思います。そういったことが有効策になると思います。
その中でポイントはやはり気づくということが大事で、気づけば動けるので、気づきがないまま不適切な対応になっているケースにどう対応していくべきか、あるいはその中で具体的な実際の場面に応じた具体的な好事例を共有していく必要があると思いますので、その中で先ほど申しました代替法というのが、身体拘束のときにもかなり技量に差が出やすいと思っていますが、ほかにどのような方法があるのかというスキルを高めていく必要があるかと思います。
ここで今回求められていることは、全ての国民が全ての人に対して具備するものであって、ある意味では倫理的な規範とも言えるものと思っております。そして、その原点はやはり人を想いやる心とか、人に共感する、本来人としてあるべき姿であると思っています。大事なのは意思決定支援です。我々医療の現場で本人の意思決定支援に日々取り組むことが多いわけですけれども、その中で、事例で申し訳ありませんが、我々の現場では4つの倫理原則を重要視しています。
一つ目が自立尊重の原則で、自立的な本人の決定を促進する。
それから、有益最大化、善行原則とも言いますけれども、他人の利益のために行為すべきという道徳的義務です。
三つ目が無加害原則と申しますが、危害及び危害のリスクを負わせない責務。
最後に正義・公正。人々は平等に扱われるべき。
こういった規範を重要視しながらやっておりますと、ある人の人生の局面では医学的最善が、本人の最善とは限らないことがありますし、医学的に有益なことが、本人にとって有益とは限らない。ある人生の局面においては、検査所見やデータ、病状が改善するよりも御本人の価値観が高いことがあり得ることで、これはまさに今回の障害者の差別解消に関しても、我々がよかれと思うことが必ずしもよかれとならないこともあり得るので、御本人をちゃんと尊重した情報共有が必要ではないかと思っています。
最後に、その上で、こういったことを踏まえて障害者の尊厳保持あるいは自立を阻害しないような対応、すなわち自立支援の視点も重要でありますし、そして障害がハンディキャップとならずに、誰もが社会参加できる地域共生社会の実現ということで、我々も全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
○石川委員長 江澤様、ありがとうございました。
続きまして、公益社団法人日本精神科病院協会の櫻木様、お願いいたします。
○(公社)日本精神科病院協会 櫻木常務理事 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
意見表明の機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、限られた時間ですので、早速意見を述べさせていただきます。
まず1番のところの不当な差別の取扱いというところです。この基本方針を読ませていただくと、不当な差別の取扱いの後段の部分、障害者の事実上の平等を促進し、または達成するために必要な特別な措置は、不当な差別的取扱いではないと書かれていますけれども、なかなかここは含みの多い文章になっていて、少々説明が不足をしていたり、分かりにくいというような印象を持ちました。
不当な差別的取扱いの事例に関してですけれども、これは残念なことに、今回の新型コロナ感染症の場合もそうだったのですが、精神障害を持っているあるいは精神疾患を持っているということを理由に、身体合併症の治療がスムーズにいかないというようなケースがあります。これについては後の正当な理由の判断というところとも関連はするのですけれども、やはり我々も努力をして、日常から患者さんについての情報をやり取りしている医療機関に関しては、比較的その辺のことはしていただけるのですけれども、広域にわたったような場合、今回の新型コロナの感染症の場合には、広域に指定医療機関を受診するとなった場合になかなか難しいというようなことがあります。これは今後の検討課題かなと考えています。
これもよくあるのですけれども、退院して地域移行した場合、精神障害を理由にアパートを借りるということがスムーズにいかないというようなケースがあります。その点も今後の問題かなと考えます。
精神疾患ということを理由にして、雇用が持続をしない、そういったことを理由に解雇されたというようなケースも報告を受けておりますので、そのことについてもこれから考慮していく必要があるかと考えています。
1のイのところ、「間接差別」、「関連差別」、それから「複合差別」、「ハラスメント」についてです。「ハラスメント」というのは、どちらかというとその当事者の主観によるというような部分が大きいので、例えば第三者機関による客観的な検証も必要ではないかと考えました。
例えば事例として挙げられているのは、義務教育の過程で、いわゆるインクルーシブ教育、普通学級と特別支援学級の交流会が設定されていましたけれども、事前にどういう障害を持っているかという説明が普通学級の生徒さんには十分にできていなかったということで、障害についての知識あるいは理解が不足していると、なかなかそこはうまくいかないのではないかということが事例として挙がっています。
②のアの正当な理由の判断は、先ほども身体合併症の治療のところで、ちょっと話をしたのですけれども、ここに書かれているのは障害を理由としてサービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないといえる場合と書いてあります。これもなかなかその含みが多い部分があります。
例えば先ほどお話をしたように、精神疾患、精神障害を持っておられる方が、なかなか身体合併症治療が受けにくいというような場合に、身体合併症治療していただく医療機関の方では、そういった疾病ないしは障害のために十分な疎通が取れないというようなことを理由にされていて、そのことが、いわゆる医療事故につながる懸念があると言われているようなケースもあります。これが正当な事由になるかどうかというようなことについても、検討していただく必要があるのかなと考えています。
合理的な配慮のことです。合理的な配慮の場合に、均衡を失した又は過度の負担を課さないものということが条件としてついています。これについての検討は、十分な議論や慎重な検証がまだ不足している側面があるのではないかと考えています。
事例として挙げているのは、パニック障害の患者さんが待合室で外来受診を待っている間に、ほかの受診者が騒いだりするので気分が悪くなった。たまたまこの人のことをよく知っている外来スタッフがいて、空いている診察室に誘導して待機するように促したというようなケースがありました。このようなケースでは、うまく合理的な配慮がなされたというケースとして例示されるかもしれませんけれども、この人のことをよく知っているスタッフがたまたまその現場に居合わせたというようなこと。あるいは、空いている診察室、つまりその待機をする部屋というのがなかったら合理的な配慮がなされなかったと。権利や利害利益が侵害されたということになるのかどうかというようなことです。特に精神障害に関しては、身体障害、例えば運動器や感覚器の障害をお持ちのケースというように、必要とされる変更及び調整というのがそういったケースの場合には明確だということが言えますけれども、精神障害の場合にはなかなかそこが外観としてははっきりしない、明確にはなっていないというようなケースもありますので、その辺についてどう考えるかということが問題かなと思います。
○立石参事官 事務局でございます。ちょっと時間が過ぎております。恐れ入ります。
○(公社)日本精神科病院協会 櫻木常務理事 分かりました。
最終的には、合理的な配慮あるいはそのものの理解、あるいは必要かつ適当な変更及び調整といった条件がついていることについて、事業者が、それを促進するものを支援する仕組みが必要だと考えています。
それから、啓発あるいは事例の提供ということに関して言えば、先ほどもお話しましたけれども、義務教育段階から例えば精神障害に関する教育の充実ということが必要かなと思います。精神疾患、精神障害に関しては、高等学校での教育は始まっていますけれども、もう少し早い義務教育段階での教育も必要ではないかと考えました。
以上です。
○石川委員長 櫻木様、ありがとうございました。
続きまして、公益社団法人日本薬剤師会の長津様、お願いいたします。
○(公社)日本薬剤師会 長津常務理事 日本薬剤師会の長津でございます。
時間も限られておりますので薬局という業態の独特なところをかいつまんでお話しさせていただきたいと思いますまず、
まず、14ページ目の1.(1)②アについてでございますが、薬局におきましては処方箋応需義務というものがあるのですけれども、その中でも高度な薬局の設備を要する調剤に関しましては、対応可能な別の薬局を紹介するということの措置を講じておりますが、これはそもそも薬局の機能の問題ですので、これが障害を理由としたものではないと考えてございます。
少し飛びまして、1.(1②エにつきまして、意見ですが、対話を行う環境というのは慎重に配慮する必要があると思っておりますし、また、可能であれば第三者的な立場の方も同席して相互に理解を深めることが考慮されるべきかと考えております。
その下の1.(2)アにつきましての事例ですが、薬局におきまして薬を適切に使用していただくという観点から、薬の特徴や効能効果、服用方法などを御理解いただくために、どうしても文章や視覚的資料が用いられることが多いわけです。
また、薬の識別の点からも、視覚障害のある方への対応には、困難を感じる場面は少なくないと思います。言葉による説明はもとよりですが、点字シールや音声などの対応がなされておりますが、介助者が同伴されていない、お一人で薬局を利用される方につきましては、適切な薬の使用は担保できたとしても、十分な説明という点では御満足いただけていないケースもあるのかなと、そう感じております。
続きまして、16ページ目、2.(1)についての意見ですが、これは薬局という業態の特性から鑑みまして、障害を理由とする差別に関して、行政機関に相談が必要となる可能性は低いのではないかなと考えております。
一方、一般的な事業者の立場といたしましては、利用者と事業者との間にトラブルが生じる場合などに関しましては、第三者の立場で解決に向けて関わっていただける相談窓口があると望ましいと考えております。
薬局の立場からは以上なのですが、先ほど医師会の先生からもおっしゃっていただいておりましたけれども、我々がその差別自体に気づいていないというケースが実は多々あるのかもしれないと考えておりますので、そういった点がございましたら、ぜひ御教示いただきまして、私たちが薬局サービスというものの質の向上につなげられる、そういう施策を考えていきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
本日は以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
最後に一般社団法人日本映画製作者連盟の華頂様、お願いいたします。
○(一社)日本映画製作者連盟 華頂事務局長 一般社団法人日本映画製作者連盟、通称映連と呼ばれていますけれども、華頂でございます。
映連の松竹、東宝、東映、角川の邦画メジャー4社で構成する映画産業団体でございます。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。
ヒアリングの設問に対する回答というのは文書で提出しておりますので、それをここでなぞって読み返しても有効に使えないと思いますので、映画の今の状況をその回答も含めまして、かいつまんで御説明させていただきます。
映画のバリアフリー対応につきましては、フィルムで上映しておりましたアナログの時代から当然に実施をしておりました。ただ、フィルムに直接焼きつける字幕ガイド、それからFM電波による音声ガイド、こういうものは諸般の事情から映画館や時間帯を限定して行うなど非常に閉塞的な鑑賞環境での上映を余儀なくされておりました。
一方で、我が国は、2006年12月の第61回国連総会において、採択されました国際条約、障害者権利条約を締結して、その批准に向けて国内法を改正するなど整備を開始していた。このような状況を受けまして私ども映連では、障害者のための情報保障の一環として、映画、特に邦画のバリアフリー化の促進と業界内外への周知を図るために、2011年10月に経済産業省の後援を得まして、東京国際映画祭との共催で、バリアフリー上映会とシンポジウム、第1回になりますけれども映画の未来というイベントを開催しまして、次代、視聴覚障害者のための映画鑑賞環境の改善に向けて、本格的に取り組んできたということでございます。
その後、世の趨勢に従いまして、映画もアナログからデジタルに媒体転換いたしました。このデジタル化を端緒に、その後の技術革新によりまして、旧来の閉塞的な鑑賞環境を劇的に改善し、現在では障害をお持ちのお客様が自らその専用機器を映画館に持ち込むことによって、バリアフリーデータが付与された作品をいつでもどこでも御観賞いただける環境の構築に至っているということでございます。
映画の場合、先ほど申しましたとおり、アナログ時代の場所や時間を限定する閉塞的な鑑賞環境からいつでもどこでも御鑑賞いただける環境を構築することで、今般の法改正において義務付けされております不当な差別的取扱い禁止の解消に向けて取組を促進しているところでございます。
また、デジタル技術の革新によりまして開発された眼鏡で見る字幕ガイド、スマホで聞く音声ガイドといった新システムに対応した作品による鑑賞機会の提供により、合理的配慮を実施しているという状況です。
現在、通常であれば、邦画は大小様々年間600本近くが公開されておりますけれども、私ども映連加盟4社が公開している作品はそのうちの100本ほどでございます。しかしながら、手前みそになりますけれども、私どもの提供する100本が年間興行収入の80%強のマーケットシェアを採用しております。言い換えれば、健常者障害者を問わず、映画ファンが御覧になりたい作品の8割以上が、私ども映連加盟社、松竹、東宝、東映、角川が提供する作品であると自負しております。
では、その映連加盟社が提供する作品のバリアフリー対応についてはどうなのかでございますけれども、ここ数年来、映連加盟社が提供している作品のバリアフリーデータの付与率は70%強でございます。改正法の3年後の施行に向けましては、この付与率を100%にするべく、鋭意努力する所存でございます。
課題となります残りの500本につきましては、特に経済的な理由、つまり、これらの削減にとっては過重の負担によってバリアフリー対応が進まないという面もありますが、この問題の解消に向けても、私ども映連がトップランナーとして模範を示すことによって、啓蒙してまいりたいと思っております。
以上、簡単ではございますが、視聴覚障害者のための映画のバリアフリー対応の状況を御報告させていただきました。
本日は貴重な時間の提供をいただきまして、ありがとうございます。引き続き、御指導、御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○石川委員長 華頂様、ありがとうございました。
各団体、大変御協力いただきましてありがとうございます。
それでは、ここで各委員からの発言を求めます。挙手ボタンで発言の意思を表示してください。
それでは、最初に片岡委員、お願いします。
○片岡委員 全国地域生活支援ネットワークの片岡です。
貴重な御意見をたくさん聞かせていただきましてありがとうございました。たくさん質問したいことや教えていただきたいことがあるのですけれども、ここでは1点だけに絞らせて、御質問させていただきます。
一般社団法人日本映画製作者連盟さんに教えていただきたいことがあります。映画鑑賞の際の合理的配慮情報保障につきましての質問です。文化芸術を障害や言語の壁を越えて誰もが楽しめるものにするということを目的にしたツールといたしまして、ハロームービーやUDCastなどが使用されているかと思います。その点に関して、昔から使用しているUDCastのユーザーの方が、その方が慣れているのですけれども、UDCastが使用できなかったということがあったということを耳にしたことがあります。そういった、こっちはこのツールで使えるけれども、こっちは使用できないというような現状があるのかということをお聞きしたいのと、もしそのような現状があるのであれば、そういったツールはもう全て、あらゆるツールが利用できる方が望ましいと考えますが、そういった点につきまして今後の方針等がありましたら教えていただきたいです。
よろしくお願いいたします。
○石川委員長 どうぞ。
○(一社)日本映画製作者連盟 華頂事務局長 御質問ありがとうございます。
UDCastとハロームービーなのですけれども、先ほど申し上げましたように、デジタル化の技術革新によって出来上がった技術なのですけれども、おっしゃるとおり当初はUDCastという名称で統一しておりました。ただ、開発者サイド、我々は使用者なのですけれども、障害当事者の皆さんもこれのアプリケーション、この技術の使用者、それから我々映画製作者も、このアプリケーションを利用して皆さんにお届けしているという意味では利用者なわけです。
開発をされた開発者が枝分かれをどうやらしたようで、それでちょっとしたトラブルになっているということを聞いております。名称がUDCastからハロームービーに変わったというか、2つの技術が並行して動くようなことになったのですけれども、ここでこれを説明すると長くなるのですが、かつてのUDCastの開発者が継続している技術というのは、名称がハロームービーに変わった。
○石川委員長 ちょっと話が専門的かつ差別解消法の基本方針から少し逸れていくので。
○(一社)日本映画製作者連盟 華頂事務局長 では、端的に申し上げます。
映画製作者としては、両方の技術が並行していけば、競争原理の下に技術革新もさらに進んで、我々にとってはこれを付与するための経費も競争原理が働けば安くなるということで、2つの技術を並行して動かすことを我々は望んでおります。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
全国銀行協会様にお尋ねします。2点です。
1つ目は代筆規定なのですけれども、手に障害があったりして代筆ができないといった場合に、複数の職員で対応というのが内規で100%できているということなのですけれども、実際には断られるケースが非常に多くて、よく私たちも相談を受けます。何で100%内規があるのに、実際に断られているのか。その理由を教えていただきたいと思います。
2点目はATMです。テンキーがあると視覚障害の人も、自分で操作できるのですけれども、テンキーのある機材というのはどのぐらい普及しているのか。
もう一つ、車椅子でちゃんと使いやすいような、けり込みがあるような低いものがありますけれども、それがどのぐらい普及しているかということを教えてください。
以上です。
○石川委員長 溝呂木様、お願いいたします。
後者の質問は環境整備に関わることでもあるので、厳密に言うと本日のテーマを少し超えてしまう点がございますので、もし可能であればということで、よろしくお願いいたします。
○(一社)全国銀行協会(三井住友銀行) 溝呂木グループ長 全国銀行協会の溝呂木です。
まず代筆のところなのですけれども、断られているというのは、もしそういった事実があるということであれば大変申し訳ないというところで、まずはこの場を借りておわび申し上げます。
おっしゃるように、複数の職員で対応するというルールがございまして、一般的には受けているという認識でおりましたので、その点は協会員含めて、改めて共有をしたいなと思っております。
2つ目のATMのところは、申し訳ございませんが今、手元にデータございませんので、改めて後ほど回答させていただければと思います。こちらは事務局を通じての回答ということでよろしいでしょうか。
○石川委員長 結構です。
続きまして、宮本専門委員、お願いいたします。
○宮本専門委員 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の宮本です。よろしくお願いいたします。
障害者差別解消法の基本方針改定については、事業者のヒアリング実施が遅れているという情報は聞いていましたので、本日、聞けてよかったと思いました。
ただ、全体的に感じたことは、聴覚障害について真面目に考えてヒアリング対応をしているのか、疑問を持つ意見がほとんどです。意見というかお願いですが、日本映画製作者連盟様に対してです。
資料の中で、1.(1)①アについてですが、事例等に、障害者側より「邦画に字幕を付けて欲しい」という要望書を頂いたことはありますとありますが、邦画についての私たちが要求している字幕付与の要望がこの程度しか認知されていないのかなと残念に思いました。
しかし、今日のヒアリングと、1.(2)アのところであった、新システムの眼鏡で見る字幕ガイドが早く、広く普及できるようにお願いしたいです。
また、字幕式邦画は現在、3から4日間上映ということが多く、仕事や学校があったりで見ることができなかったという声をよく聞きます。聴覚障害者が楽しめるように、いつでもどこでも見に行けるようにしていただきたいと望みます。
障害者政策委員会での発言は議事録に残り、内閣府ホームページにアップされます。聴覚障害者と言えば、障害者政策委員会の委員の多くは手話しかイメージがないと思います。中途失聴難聴者は、共通のコミュニケーション手段を持ちません。人生の途中で声を失った方は、手話の獲得は難しいです。一対一コミュニケーションの場や複数人の集まり、会議では、参加者の誰もが理解できる共通のコミュニケーション手段が求められます。それは文字です。聴覚障害者の多くが文字を必要としていることを理解していただきたいです。
以上です。ありがとうございました。
○石川委員長 宮本専門委員、御意見ということでよろしいでしょうか。
○宮本専門委員 はい。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。
1点目は佐藤委員と若干重なるのですけれども、この間、預金の設定や払い戻しには、行員さんの2名立ち会いでほぼスムーズにいくようになっているかと思っています。
ただ、例えばローン契約を結ぶ、いわゆる借り入れ、あるいは信託契約とかいう場面では、行員2名の立ち会いでの契約というのは難しいとお聞きしています。その私の認識が間違っていなければ、そういう場面においてはどういうシステムでといいますか、どういう方に代筆をしてもらえばよいのか。家族がいれば問題ないですけれども、家族にも代筆してもらえない場合のローン契約だったり信託契約だったり、そういう場合の契約書への署名について、銀行として何か望ましい方向があれば教えていただきたいというのが1点です。
2点目は薬剤師会の方です。薬を購入するときにパッケージは形も含めてほぼ視覚障害者でもある程度区別はつくのですけれども、調剤薬局などでもらう薬の場合は、袋にどばっと入ってきますので、区別がつかない場合の区別の仕方について何か工夫がないものかというのは、視覚障害者からよく聞く声であります。その点、何か薬局で工夫が可能なことがあれば、どういう議論があるかについてお聞きしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 それでは、金融庁マターかもしれませんけれども、溝呂木様、お願いいたします。
○(一社)全国銀行協会(三井住友銀行) 溝呂木グループ長 溝呂木でございます。
まず、借入、信託が代筆でなかなか取扱いがというところなのですけれども、代筆を受け入れているというところでいきますと、預金は先ほど申し上げましたようにルール上は100%、実態のところは改めて会員機関には周知を徹底しようと思っておりますけれども、それに対しまして、貸出しの方でいきますと残念ながら100とまでは行かないのですけれどもほぼ100%のところで受入れを行っております。
信託につきましてはそれより若干下がってくるというところがあります。ここはやっている銀行もございますので、弊行もやっておるのですけれども、そういったところの事例を共有するような形で、会員行間での普及を図ってまいりたいと考えております。
○石川委員長 ありがとうございます。
生命保険や損害保険などでも同様の課題が浮上するかと思います。
それでは、長津様、お願いいたします。
○(公社)日本薬剤師会 長津常務理事 今、御意見頂戴しました薬の見分けというか判断がつかないということなのですけれども、基本的には服薬が思うようにいかない方に関しましては一包化調剤と言って、飲む薬、飲む時点ごとに薬を全部裸にしまして、袋に詰めてお渡しするという業務もございますが、そうではなくて、全部飲むのではなくて、こういうときにこういうものを飲みたいとか、この薬は何なのかを理解したいということになりますと、これは正直なところ、今は物理的に非常に難しい課題かなと思っております。
製薬会社が、例えば薬のプラスチックのシートに、何か触って分かる刻印をつけるとか、そういうことになるのかなと思いますが、現状としてそのような区別ができる形態でのいわゆる調剤用の薬というのは販売されておりませんので、薬局独自にできるサービスというか配慮としましては、その一包化調剤というものだけになります。これは、ユーザーの方々に飲みにくいのだけれどもということを申し出ていただきましたら、処方元の医者との相談の上で一包化調剤という業務を提供することになりますので、今、我々として回答できるのはそれぐらいかなと思います。
以上でございます。
○石川委員長 確保した時間があと3分となってしまいました。
もしかしたら質問あるいはコメントだけになってしまうかもしれませんが、米山委員、中野専門委員、岡田委員の順でお願いします。すみません、最初に大河内専門委員、お願いします。
○大河内専門委員 大河内です。
全国銀行協会さん、映画製作者連盟さんに1点ずつ御質問をさせていただきます。
銀行協会さんに対してですけれども、今、ATMとか代筆の問題が出ていましたけれども、一方で新しい技術、ネットバンキングだったりとか、通帳レスのサービスなどはどんどん普及して、インターネットとかスマートフォンのアプリを使って銀行の諸手続をするという技術が急速に拡大していて、これは銀行にアクセスしにくい障害を持った人たちにとっても大変有用な取組だと思いますが、一方で、そのアクセシビリティが整わないがゆえに、例えばログインができなかったりとか、最後の振込の実行操作ができない等々の報告も耳にしております。この辺は何か取組だったり、あまり事例には書いていなかったのですけれども、そういう事例がもしあったら教えていただきたいなと思います。
それから、映画製作者連盟さんに対してですけれども、今、御報告いただいたように、この10年、映画のバリアフリー化は非常に急速に、特に業界主導で進められて、これは大変先進的な事例だと私個人は思っています。特に視覚障害の人にとっての映画のハードルが本当に下がった、大変すばらしい取組だったと思います
一方で、先ほど字幕の話も出ていましたけれども、字幕をもっと付与したものを例えば眼鏡ではなくて実際の映画そのまま見たいというような要望だったりとか、あるいは映画館に車椅子でアクセスしたときに、例えばカップルだったりとか、御夫婦だったりとか、お友達が一緒に、車椅子の人同士あるいは車椅子とそうではない人が一緒に並んで楽しく見ることがなかなかできないというようなことの御報告も様々いただいていて、バリアフリー化が進んできたからこそこういう御意見が出てきたのだろうなと認識しています。
私も映画のバリアフリーに関わりながら、なかなか個人的に力不足もありまして、取りまとめもできていないところでありますけれども、この辺の今後のバリアフリー化の取組について映連の考え方をお聞きしたいのと、その取組に立った行政への支援の在り方は、この差別解消法も踏まえて、映画業界が行政からどのような支援が必要なのかというところも教えていただければと思います。
以上です。
○石川委員長 ただいま事務局に時間の確保について問合せ中ですので、中野専門委員、先にお願いします。
○中野専門委員 よろしくお願いします。
日本医師会、日本精神科病院協会、それから日本薬剤師会に質問があります。
障害のある医療従事者、医師や看護師等に対する合理的配慮の取組の状況や課題等があればお教えください。
また、国家資格取得のための実習等の際に、障害のある学生の受け入れがあるかと思うのですが、その際の合理的配慮の取組や課題等についてもお教えいただければ幸いです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の方です。
日本精神科病院協会の櫻木先生に質問させていただきます。様々な視点からの貴重な御意見、ありがとうございました。その中でも、精神疾患、精神障害がある人が、精神科以外の医療を断られるという事例は家族会の方でも把握しておりますが、命にも関わることにもなり、大変重要な課題と認識しております。
精神疾患、精神障害がある人が適切な医療を受けるためという視点で障害者差別解消法に関して考えたときに、特に重要な視点はどのような点にあるのか。あるいは、どのような合理的配慮が必要かなど、お考えがございましたらお聞かせいただけたらと思いました。
よろしくお願いいたします。
○石川委員長 そうしましたら、時間が参りましたので、この後、所用をお持ちの委員の方は退室してくださっても結構です。
この政策委員会は今しばらく続けさせていただきます。
それでは、大河内委員からの質問に戻りまして、溝呂木様、お願いできますでしょうか。デジタルアクセシビリティに関わる質問であったかと思います。
○(一社)全国銀行協会(三井住友銀行) 溝呂木グループ長 溝呂木の方から回答させていただきます。
なかなか貴重な御意見、ありがとうございます。会員行にインターネットバンキングであったり、スマホのアプリといったようなところを開発、改良する際に、障害をお持ちの方の御意見等を取り入れているかという質問を過去に行ったことがございまして、その時点におきましては21行が取り入れているという状況でございました。全体が110ちょっとございますので、規模感からいくと、まだまだというところで、今日の御意見も踏まえて、会員行にはいろいろと周知していこうと考えております。
その中で、こういった対応しているという銀行の例を幾つか挙げさせていただきます。1つは乱数表での振込というようなことを対応しているような銀行がございます。あとは、デザインにおいて背景色と文字色の間のコントラストをつけるというようなことを対応している銀行、あとはワンタイムパスワードを個別に、その方に限ってリスクがあるということを御認識いただいた上で外しているというような銀行もございまして、そういった事例を共有しながらやっていきたいと考えております。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、華頂様、お願いします。
○(一社)日本映画製作者連盟 華頂事務局長 大河内様の御質問、ありがとうございます。
字幕につきましては、新しいシステムを開発して、眼鏡のウエアラブル端末というのですか。字幕ガイドを見る眼鏡を普及させようと思ってずっとやってきたのですが、最終局面とは言わないまでも、2019年に準備をして、2020年から大規模な全国での映画館の眼鏡端末の貸出しを4月から行おうと準備をしていたのですが、御存じのように、まさにタイミングよくコロナ禍に見舞われまして、この取組が頓挫をしてしまいました。もちろん一部の劇場では徐々にこの施策を理解していただいて、貸出しを行っているのですが、我々が企図していた大きな貸出しの施策が、先ほど申し上げたように、もうコロナで頓挫してしまったということで、なるべく早く、今は感染者数が少なくなっておりますけれども、この大規模貸出し施策を、またコロナ禍が落ち着けば導入していきたい。まず眼鏡端末の普及ということを我々は考えているということでございます。
それから、もう一つ、映画館の問題につきましては、私どもは今日も映画製作者の立場でこのように参加しておりますので、映画館のフィジカル的なバリアフリー対応については私たちの口からうかつなことは言えないので、また別の機会に、興業者を束ねている団体もございますので、そこから意見聴取をした方がよろしいかと思います。
全興連という団体なのですけれども、もちろん我々もそこと両輪でこの取組をやっておりますので、これからももちろん協力してやっていく所存でございます。
以上です。
○石川委員長 華頂様、ありがとうございました。
先ほど宮本委員からの御意見もございましたけれども、それについては私がスキップしてしまったのですが、何かコメントはありますか。字幕については熱心に取り組んでいらっしゃると思いますけれども、改めて御発言は可能でしょうか。
○(一社)日本映画製作者連盟 華頂事務局長 先ほど、我々の設問の回答の一番最初に書いた邦画に字幕をつけてほしいという要望書をいただいたことがありますというようなことを、冒頭で、それぐらいのことなのかとおっしゃられましたが、これは相当以前、アナログの時代に、まだ字幕の付与がなかなか進んでいない状況の中で、かつてこういう要望書をいただいたことがあるということをここに記載させていただきました。
ですから、今は、先ほども御説明いたしましたとおり、新しいシステムによって映画界は粛々と取り組んでおりますので、このような要望を少なくとも私どもは受けたことはないのです。
○石川委員長 ありがとうございます。
あと1点、新しい法律の施行段階で、バリアフリー化100%を目指すとおっしゃってくださったのですが、これは字幕と音声解説それぞれですか。
○(一社)日本映画製作者連盟 華頂事務局長 いえ、両方です。
○石川委員長 両方、100、100。
○(一社)日本映画製作者連盟 華頂事務局長 私ども映連加盟4社は、3年後の施行に向けて100%を目指しているし、それを達成したいと思っています。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、中野委員からの質問で、医師会の江澤様、お願いできますでしょうか。
○(公社)日本医師会 江澤常任理事 ありがとうございます。
まず、医療介護専門職が、医療機関とか介護施設で特に患者さんとか利用者さんに接する場で雇用されているケースが少ないというのが実感で、イコールそれが課題だと思っています。どうしても対人業務のない障害者雇用においては、例えば清掃であったり、いろいろな調理部であったり、こういったところでの雇用がまだまだ多いのが実態で、今後、直接サービスに関わる障害者の活躍の場というのが課題と認識をしています。
その中で、方策として考えられるとすれば、これは実習生も含めて幅広く考えてもらっていいのですけれども、例えば障害者の従業員の方であれば、衛生管理者と産業医を交えて個別面談を継続的に行って、労働衛生のマネジメントを行う必要があるということ。そして、もう一つ重要なことは、雇用者あるいは管理者が、従業員に向けて障害者の方を理解するための教育研修であったり、そういったミーティングであったり、特に同じ職場の職員の方は、障害者を理解して、そういった想いやりの気持ちを持って日々接していくということが一番重要だと思います。まだそのあたりの取組は遅れているかなという感もございますので、今日、先生の御意見もありましたが、また引き続き取組に活かしていきたいと思います。ありがとうございます。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
最後に岡田委員からの質問がございましたが、櫻木様、お願いいたします。
○(公社)日本精神科病院協会 櫻木常務理事 ありがとうございます。
岡田委員にはいつも貴重な御意見をいただいて、感謝しております。
私の方からもお話ししたのですけれども、障害者が一般医療を受ける場合になかなかそこがスムーズにいかないというようなケースがあります。あらかじめ身体合併症に関して受診をするようなケースの場合には、きちんとどのように対応していただければ好ましいかというようなことも含めて、情報提供を相手方の医療機関に送る、これは努力をしています。そのことに応じて、相手方の医療機関の方から問合せがあるようなケースもありますし、そこで、なるべくスムーズな受診ができるようにと配慮しているつもりです。
問題になるのは、突然、例えば救急のような場面で受診をした場合ということになろうかと思いますけれども、これもいわゆるかかりつけ精神科医機能というのが今、取り上げられていますが、十分に情報提供ができるような体制、これは例えば休日あるいは夜間であっても情報提供がきちんとできるような体制をそれぞれの病院でつくっていこうということを考えていますし、実際に私のところの医療機関であれば、そういった問合せについては夜間、休日であっても対応ができるようにという仕組みをつくっています。
これは日精協全体としての取組とはまだいっていませんけれども、これからはそういった考えが必要ではないかと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
時間が大幅に超過いたしましたけれども、後半につきましては事業者、委員に御協力をいただきまして、無事にヒアリングを終了することができました。
以上をもちまして、本日の事業者ヒアリングを終了したいと思います。事業者の皆様におかれましては、御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。
それでは、事務局より、次回の委員会について情報提供をお願いします。
また、事業者の皆様方は御退室いただいて結構です。ありがとうございました。
○立石参事官 事務局でございます。
次回の政策委員会の詳細につきましては、改めまして石川委員長に御相談の上で、確定次第、御案内を申し上げられればと思います。
以上でございます。
○石川委員長 繰り返しになりますが、以上をもちまして第59回障害者政策委員会を閉会いたします。ありがとうございました。