障害者政策委員会(第6回)議事録

平成25年7月22日(月)
13:00~17:00
中央合同庁舎4号館220会議室

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

石川委員長 第6回「障害者政策委員会」を開催いたします。
 委員におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の会議は、17時までを予定しております。
 本日は嘉田委員が欠席との連絡をいただいております。
 発言のルールと、発言の際の配慮について確認をさせていただきます。いつものことですけれども、発言の際は、まず挙手をしていただきます。議長指名後、名前を名乗っていただいて、ゆっくりわかりやすく発言してください。よろしくお願いします。
 次に、委員及び内閣府に異動がございましたので、御紹介をいただきます。

東室長 どうもこんにちは。担当室の東でございます。
 委員の異動について御説明申し上げます。
 本年の3月、御本人からの御希望により、棟居快行委員が退任されておられます。つきましては、新たに差別禁止部会にも専門委員として参加いただいておりました毎日新聞論説委員の野澤和弘委員が委員として選任されておられます。
 一言、御挨拶のほどよろしくお願いします。

野澤委員 野澤です。よろしくお願いいたします。
 選挙の次の日で何か目まぐるしく、頭の中がよく整理できていませんけれども、差別解消法が3年後に施行されるので、何とか少しでもいいものにできるように協力できたらと思っています。よろしくお願いします。(拍手)

東室長 ありがとうございます。
 続きまして、内閣府の異動について御説明申し上げます。
 共生社会政策担当の政策統括官につきましては、山崎史郎前統括官が消費者庁へ異動しております。後任として、賞勲局から武川光夫統括官が着任しております。
 一言御挨拶のほどよろしくお願いします。

武川統括官 武川でございます。
 本年は、障害者基本計画の策定、また障害者差別解消法の施行に向けて準備をしないといけない年でございます。しっかりと取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。(拍手)

東室長 ありがとうございます。
 また、大臣官房審議官につきまして、伊奈川秀和前審議官が厚生労働省に異動しております。後任として、厚生労働省から岩渕豊審議官が着任しております。
 一言御挨拶をお願いします。

岩渕審議官 岩渕でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

東室長 ありがとうございます。
 さらに、障害者施策担当参事官につきまして、難波吉雄前参事官が環境省へ異動しております。後任として、厚生労働省から加藤誠実参事官が着任しております。
 一言御挨拶をお願いします。

加藤参事官 加藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

東室長 どうもありがとうございます。
 以上でございます。

石川委員長 続きまして、本日の資料等につきまして、議題も含めまして御説明をいただきます。

東室長 お手元に「障害者政策委員会(第6回)議事次第」という1枚ものがあるかと思います。見ていただきますと、議題と資料が書いてございます。
 まず、今日の議題としては、大きく言うと2つあります。
 1つは「障害者差別解消法及び同法施行に向けたスケジュール等について」であります。
 次に、一番時間をとる予定にしておりますのが「障害者基本計画(政府原案)について」であります。
 これらにつきまして、途中2回の休息を入れ、3つのパートに分けて進行したいと思っております。
 まずパート1では、13時から13時45分まで、さきの通常国会で成立しました障害者差別解消法に関して御議論を行っていただきます。
 続きまして、14時から15時15分までのパート2、さらに15時半から17時までのパート3では、新しい障害者基本計画について議論を行うことを予定しております。
 以上に関しまして、資料1として「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の概要」、資料2として「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の条文、資料3としまして「障害者差別解消法施行に向けたスケジュールについて」、資料4としまして「障害者基本計画(原案)」をお配りしております。
 また、参考資料1として「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案に対する附帯決議」をお配りしております。
 本日の議題及び資料につきましては以上でございます。資料等の不足がありましたら、事務局までお申し出ください。
 事務局からは以上です。ありがとうございました。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。
 3つのパートで、途中に2回休憩を入れるということで、今の事務局からの時間はおおよその目安ということで、実際の議論によっては多少の休憩時間の変更等はあるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 最初に、さきの通常国会において成立した障害者差別解消法に関しまして、内閣府より御説明をお願いいたします。

加藤参事官 それでは、差別解消法の関係を御説明させていただきます。
 関係の資料は、資料1、2、3でございます。
 まず最初に、法律ができるまでの経緯でございますけれども、障害者差別解消法案につきましては、本年3月から自由民主党と公明党におきまして、また4月以降は民主党を加えた3党において議論が行われ、3党において一定の合意を得た基本的な考え方に基づき、政府として立法化作業を行い、4月26日に閣議決定、国会へ提出したところでございます。
 国会におきましては、衆議院、参議院ともに内閣委員会において審議が行われ、衆議院におきましては5月31日、参議院におきましては6月19日にそれぞれ全会一致で可決成立しているところでございます。6月26日公布、一部分を除きまして平成28年4月に施行ということでございます。
 法律の概要でございますが、資料1をご覧いただければと思います。法律の位置づけとしましては、障害者権利条約の趣旨を踏まえまして、一昨年に改正されました障害者基本法第4条の「差別の禁止」の部分、この基本原則を具体化するためのものでございまして、差別の禁止に関するより具体的な規定を示し、それが遵守されるための具体的な措置等を定めることによりまして、全ての国民が障害の有無によって分け隔てされることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的とするものでございます。
 この法律の構成でございますが、大きく2つの部分がございます。資料1で申しますと、真ん中あたりの「I.差別を解消するための措置」、下のほうの「II.差別を解消するための支援措置」、この大きな2つの部分から構成されてございます。
 最初に「差別を解消するための措置」でございます。この法律では、障害を理由とする不当な差別的取り扱いと、いわゆる合理的配慮の不提供が障害を理由とする差別に該当するという整理をいたしまして、これらを禁止しております。不当な差別的取り扱いは、例えば、障害者であるということのみを理由としてサービスの提供を拒否したりするような行為でございますし、合理的配慮とは、個別の場面におきまして、障害者が日常生活または社会生活において受ける制限をもたらす社会的な障壁を取り除くための配慮でありまして、例えば職員による手助けでありますとか、筆談や読み上げ等の障害特性に応じたコミュニケーション手段による対応でありますとか、段差の解消のための渡し板の提供等が考えられるわけでございます。
 この法律におきましては、国の行政機関や地方公共団体等及び民間事業者は不当な差別的取り扱いをしてはならないと規定されてございます。他方、合理的配慮につきましては、障害者と相手方の関係はさまざまなものがあるわけでございまして、求められる配慮も多種多様であることから、一律に法律的義務とするのではなく、国の行政機関や地方公共団体等につきましては法的義務も課す一方、民間事業者につきましては、努力義務を課した上で、対応指針により自発的な取り組みを促すこととしております。
 なお、事業者ではない一般の私人でありますとか、個人の思想・言動につきましては、この法律の対象とはしておりませんけれども、後ほど御説明いたします国や地方公共団体による啓発活動を通じて、法律の趣旨の徹底を図っていくということを考えてございます。
 また、この法律は広範な分野を対象とするものでありますけれども、雇用分野における具体的な措置につきましては、通常国会で改正されました障害者雇用促進法の定めるところによるとされております。
 真ん中のあたりにあります「具体的な対応」でございます。この法律におきましては、障害を理由とする差別に当たる行為を禁止していますが、具体的にどのような行為が障害を理由とする差別に当たるかは、それぞれの事案に応じて個別具体的に判断されるものでありまして、その具体的な内容につきまして法律であらかじめ一律に定めることをしておりません。具体的な内容を示すものとしては、機関や分野ごとに対応要領や対応指針を定めることとしてございます。
 他方、行政機関の間ですとか分野の間でさまざまなばらつきを防ぐために、政府として、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るために、施策の基本的な方向等を示す基本方針を策定することとしております。
 この基本方針は最終的に閣議決定が必要なものでございますが、案を作成するための手続としましては、内閣総理大臣は基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならないと規定されております。
 また、対応要領は、国の行政機関の長等が当該機関の職員の適切な対応に資するものとして策定するものでありまして、対応指針は各事業分野を所管する主務大臣が民間事業者の適切な対応に資するために策定するものであります。障害を理由とする不当な差別的取り扱いになり得る行為の具体例でありますとか、合理的配慮に関する好事例といったものを示すことを想定してございます。
 これらは、基本方針に即して定められるものでありまして、作成するための手続として、あらかじめ障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならないと規定されております。
 なお、地方公共団体につきましては、地方分権の観点から、対応要領の作成は努力義務として規定されているところでございます。
 この法律の実効性の確保に関しましては、主務大臣は特に必要があると認めるときには報告の徴収、助言・指導、勧告という措置を講ずることができるとされております。
 「II.差別を解消するための支援措置」ということでございます。これにつきましては、今申し上げました差別を解消するための措置に加えて、国や地方公共団体による差別を解消するための支援措置というものが定められております。
 1点目は、相談や紛争の防止・解決のための体制の整備ということでありまして、具体的には、本法において新たな機関の設置は行わず、既存の機関等の活用・充実を図ることとしております。
 2点目は「地域における連携」のところにあります障害者差別解消支援地域協議会というものでございまして、地域において障害を理由とする差別に関する相談や紛争の防止・解決を推進するためのネットワークを構築するという観点から、国や地方公共団体の機関が地域協議会を組織することができると定めてございます。
 3点目が啓発活動でございまして、差別の解消を効果的に推進していくために、国民各層の関心を高めるため、国及び地方公共団体において必要な啓発活動を行うこととしております。
 4点目が情報の収集、整理及び提供ということでございまして、国内外の制度や具体的事例等に関する情報の収集等を行い、法の運用に生かすとともに、国民に公表することとしてございます。
 施行日等でございます。資料1の右下の枠外でございますけれども、一部の規定を除きまして、本法は28年4月1日から施行されることとなってございます。そして、法律の施行後3年を経過した場合において、政府は本法の施行状況について検討を加え、必要な見直しを行うこととされております。
 以上が法律の概要でございます。
 資料3がございますが、これは施行に向けたスケジュールでございます。大まかなスケジュール案を本日お示ししているところでございまして、平成28年4月1日のこの法律の施行に向けまして、平成25年度中に基本方針の作成、具体的には閣議決定ということであります。
 平成26年度に各行政機関等におけます対応要領・対応指針を作成していただくということ。
 それから、平成27年度には関係事業者等への周知や、各行政機関等における準備等を想定しておる。そういう大まかな3段階のイメージをお示ししたものでございます。
 したがいまして、検討状況でありますとか、いろいろな状況によりまして、随分変更があり得るということは御理解いただければと思っております。
 また、ここに書いております各行政機関等というのは、あくまでも国の行政機関等を想定してございまして、必ずしも地方公共団体を想定したものではございません。
 平成25年年度のスケジュールでございますけれども、基本方針の案の作成に当たりましては、内閣総理大臣はあらかじめ障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならないと規定されてございます。
 この法律の成立を受けまして、現在、政府におきましては、関係省庁等との連携のもと、基本方針の案の検討を始めたところでございまして、今後、政府内での検討と進捗をあわせながら、本年の秋以降に障害者政策委員会において御議論をいただくことを予定してございます。
 また、障害者政策委員会の議論と並行して政府内におきまして、関係団体等のヒアリングも行う予定でございます。
 本年中に政府原案を取りまとめて、1月以降、原案について障害者政策委員会の御意見を聴取するとともに、パブリックコメントを行い、基本方針を確定させ、最終的には2月または3月ごろに閣議決定を行うことを予定してございます。
 平成26年度におきましては、各行政機関等において適宜ヒアリング等を行いながら、対応要領・対応指針の検討を行い、年度内に対応要領・対応指針の作成、公表することを予定してございます。
 この過程におきまして、障害者政策委員会においては、各行政機関等における検討の進展を見ながら、適宜報告の聴取を行うことも考えられるものと考えております。
 平成27年度におきましては、対応要領・対応指針を踏まえて、事業者等への周知活動等の施行に向けた準備を実施し、平成28年度の施行を迎えることを想定してございます。
 また、この表にはちょっと記載してございませんけれども、平成28年4月までの期間におきまして、関係省庁や地方公共団体等とも連携をし、また、一部の地方公共団体で行われている先進的な取り組みについても参考としつつ、障害者差別解消支援地域協議会の組織でありますとか、運営の具体的なあり方につきまして、また国の支援のあり方等につきまして検討していくことを想定してございます。
 あくまでも本スケジュールは本委員会における御審議のために内閣府として想定しているものをお示ししたものでございまして、進捗状況等によっては十分流動的であるということは御留意いただければと思っております。
 それから、参考資料1ということで、両院におきます附帯決議をお配りしておりますけれども、時間の関係で説明は省略いたします。
 以上でございます。

石川委員長 ありがとうございました。
 障害者差別解消法の法律の説明、それから施行までの準備作業のおおよその日程、それから、これによって障害者政策委員会に所掌事項が1つ加わる、つまり、基本方針についての取りまとめに障害者政策委員会もかかわるといったようなお話であったかと思います。
 ここでは、障害者政策委員会にとりまして、これから新たな作業が加わったということを中心としまして、今後の進め方等にかかわる御質問や御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 竹下委員、お願いします。

竹下委員 竹下です。
 今の御説明の中で2点だけ確認したいと思います。
 1点は、差別解消法の14条に関連する部分で、紛争解決機関について、法律にはどの機関が担当するかは書かれていないわけでありますが、今の御説明では、新たな機関を設置することなく既成の機関を活用するという御説明でした。それでわかりましたけれども、具体的にはどういう機関の利用、活用が想定されているのかについて御説明いただければありがたいと思います。これが1点です。
 2点目につきましては、今後のスケジュールの部分でありますが、基本方針の策定に当たって本年度秋に団体からのヒアリングを実施するというので、非常によくわかりました。これに対して、26年に対応要領や対応指針を作成するに当たってヒアリングを実施するとだけ書かれているのですが、これは、障害者各団体からのヒアリングが基本方針の場合と同様に指針の段階でも実施されるとお聞きしていいのでしょうか。
 以上です。

石川委員長 竹下委員、ありがとうございました。
 それでは、2点質問がございました。
 まず、既存の機関を活用するとなっているけれども、既存のどの機関なのかというのが1点。
 それから、ヒアリングについて、25年度基本方針を決める、内閣が閣議決定をする前にヒアリングを行うという話と、26年度に各省が指針を策定するときに再度ヒアリングを行うということについて、もう少し明確になればという御質問だったかと思いますが、内閣府、お願いいたします。

内閣府(牧野) 内閣府障害者施策担当の牧野です。
 今、竹下先生から御指摘いただいた2点について御回答させていただきたいと思います。
 まず、1点目ですけれども、こちらのほうにつきまして、現在でも、例えば法務省の人権相談だとか、行政相談だとか、いろいろな機関のほうでそういう紛争解決だとか相談等を行っているということです。今申し上げたのは国の機関ですけれども、こういうものだとか、地方自治体が独自にやっているようなものだとか、そういうものが既存の機関として相談だとか紛争解決を行っているということでございますので、これらの機関の機能等を充実させて、この障害者差別解消についても取り組んでいただくということを考えております。
 2点目ですけれども、関係行政機関等が行うヒアリングについてということです。条文のほうでは、障害者その他の関係者というような形で規定されておりますけれども、ヒアリング対象として、当然、障害者団体等にもヒアリングを行うということはありますし、その他、規制を受ける側の事業者団体のヒアリング等も行うということは当然あるのだろうと思っております。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員。

竹下委員 竹下です。
 基本方針のところのスケジュールでは、障害者団体というのは書かれているのですが、対応要領のヒアリングのところは、どこからヒアリングをするというのが書かれていないのでお聞きしているのです。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 資料3の26年度の箱のところというか、「適宜、ヒアリング等を実施」と書いてあるところに「障害者団体」が書かれていないということだと思います。スペースの都合で書いておりませんけれども、関係団体の中には障害者団体も入ってきますし、事業者団体のほうも入ってきます。つまり、障害者団体等は、基本方針の策定の過程でもヒアリングの対象になってきますし、各機関における対応要領・対応指針の策定においてもこれらの団体に対するヒアリングが行われるということだと思っております。

石川委員長 ほかにいかがでしょうか。
 土本委員、お願いします。

土本委員 土本秋夫と申します。
 今日の資料の中に「附帯決議」と書かれています。知的障害の私はこの意味がわからなかったということで、それを教えてもらわないと進まないです。中に難しい表現で書かれている部分がまだまだあります。それを一つずつ自分の中に入っていくということは、知的障害の仲間たちに対してはすごく時間がかかると思います。
 意見として以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 「附帯決議」というのは確かに難しい表現なので、加藤参事官、あるいは牧野さん、「附帯決議」について補足説明をお願いできますか。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 附帯決議について、参考資料1として今回お配りしております。これら附帯決議につきましては、この法律案を衆議院、参議院ともに内閣委員会でそれぞれ御審議いただいたわけですけれども、国会の委員会としてこの法律が今後施行されるに当たっては、政府はこういうことに留意してほしいというような点について国会の御意思を示したものと考えております。
 「留意」というところですが、この法律の趣旨として、審議した国会としてはこういう趣旨でこの法律を今後施行していってほしいという御意思を示しているものと一般的には言えるのだろうと思います。
 以上です。

石川委員長 土本委員、よろしいですか。まだ難しいような気も。

土本委員 はっきり言うと、難しいところもあるのですけれども、これから徐々に覚えていきます。

石川委員長 ありがとうございます。
 ほかの委員の方。
 清原委員。

清原委員 ありがとうございます。三鷹市長の清原です。
 本日示されました障害者差別解消法施行に向けたスケジュールについて意見を1点、それから、差別を解消するための支援措置について質問を1点させていただきます。
 このたび、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が制定されて、これは本当に望ましいことだと思っています。そこで、差別を解消するための措置については、「差別的取り扱いの禁止」が国、地方公共団体等、民間事業者に法的義務として課され、「合理的配慮の不提供の禁止」については、国、地方公共団体等に法的義務が課されました。
 幸い地方自治体の福祉の現場においても、「合理的配慮」という用語については一定普及が始まっていると言えます。しかしながら、「合理的配慮」は具体的にどのような内容を示すのか、あるいは「合理的配慮の不提供」と言った場合に、それが具体的に何を示すかということについては、まだまだ具体的な検討や共通認識が図られなければならないと考えています。
 そこで、今回示されましたスケジュールですが、幸い平成25年度中に基本方針の閣議決定に向けて、障害者政策委員会における議論も含めて進めていくことが示されました。このことは着実に平成25年度中に進めていただければありがたいと思います。
 と申しますのも、地域の現場では、28年4月1日からしっかり施行していくためには、この基本方針が定められた後、努力義務にはなっていますが、特に「合理的配慮の不提供の禁止にかかわる要領」というのをつくっていくことが望ましいと考えているからです。したがって、資料3で示されましたスケジュールについては、それを図るための日程だと思います。十分な議論をと考えれば、足りない点も出てくるかもしれませんけれども、できる限りこの日程に沿って進めていただくことが具体的な現場での施行に向けて必要と考えます。
 以上が意見です。
 2点目は質問でございます。差別を解消するための支援措置として、第17条に「障害者差別解消支援地域協議会」について明記されています。しかし、この条文はなかなか難しい表現になっておりまして、「国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事するものは、当該地方公共団体の区域において関係機関が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会を組織することができる」とありまして、主体が、誰を中心としてこのような組織をつくることができるのかというのがなかなか読み取りにくいということになっています。
 ただ、私としては、地方公共団体、都道府県の広さなのか、市町村が望ましいのか、いろいろあるとは思いますが、このような協議会を組織する必要性があるからこそ、この条文があると思うのです。ハローワークであるとか、国の福祉にかかわる組織であるとか、都道府県の保健所であるとか、医療機関であるとか、そういうところがそれぞれの枠を超えて連携することが目指されていると考えました。
 そこで、先ほどは、モデルの取り組みなどを踏まえながら具体化していきたいというふうに御説明がありましたので、私はその方向が望ましいなと感じております。
 したがいまして、障害者差別解消支援地域協議会を組織することができるという中身について、今後どのように具体的なものを深めていくというふうに現時点でお考えなのか。ざっくりとしたイメージで構いませんので、御紹介いただければありがたいと思います。
 以上です。よろしくお願いします。

石川委員長 ありがとうございます。
 1点目は、御意見、あるいは御要望ということで受け取らせていただきました。ということは、政策委員会としても早く基本方針への意見を取りまとめる必要があるということでもあると思います。
 2点目ですけれども、この地域協議会を組織主体、文章で言えば主語は何なのかという御質問が中心であったかと思いますので、内閣府のほう、よろしくお願いします。

武川統括官 政策統括官の武川です。
 まず、市長さんからの1点目のスケジュールでございます。この法案の施行というのは、大変画期的なことでございます。また、国だけではなくて、地方公共団体、あるいは企業、社会の各般にわたっていろいろ新しいガイドラインをつくらないといけないということでございますので、作業も大変なのですが、社会の各方面で準備をいただくという面では、確かに2年間程度の準備期間が要ると思っております。できる限り今年度中に基本方針をお示しして、準備を始めていただきたいと思っております。
 2点目の法律の17条の主語でございますが、「国及び地方公共団体の機関」ということでございます。「国」は明らかに私どもですけれども、「地方公共団体の機関」については都道府県も市町村も入りますが、そこはまだ明示的に決まっておりませんので、これから地方公共団体の関係機関と御相談してガイドライン等で考えていきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 済みませんが、若干補足させていただきたいと思います。
 「国及び地方公共団体の機関は」となっておりまして、「地方公共団体」のほうにつきまして、基本的にはそれぞれの公共団体等の判断で組織する、しないというのを決めていただく形になっております。そこのところについて、地方公共団体それぞれ、都道府県レベルというのもあれば市町村レベルというのもありますので、どちらもこの法律に基づいてこういう機関を組織することができるということです。具体的にどういう組織のあり方が好ましいのかというものについては、今後、モデル事業ということも説明させていただきましたけれども、そういうものを踏まえながら具体的に詰めていく。当然、そのときには地方公共団体さんの御意見等もお聞きしながらやっていくと考えております。

石川委員長 清原委員、補足、追加の質問ということでお願いします。

清原委員 ありがとうございます。清原です。
 質問ではなくて、今の御回答について申し上げます。
 今、言っていただいたように、これから法律の中身を私たちが具体的なものにしていく段階になるということを再確認させていただきました。したがって、今後、この政策委員会等で議論していただくとともに、全国知事会や市長会や町村会と折に触れて意見交換したり、現場の声をやりとりする中で、附帯決議もございますので、法律の意義を中身として御一緒につくっていければ幸いと思います。どうぞよろしくお願いします。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、新谷委員、お願いします。

新谷委員 新谷です。
 3点質問があります。
 まず1番は、第5条関係です。事前的改善措置というのですか、基礎的環境整備というのですか、これは今回、ガイドラインの中に織り込まれる性質のものなのか。それとも各省庁の年度事業、もしくは、今回、後で議論します障害者基本計画の中のそういう文言に沿って基礎的環境整備、事前的改善措置を進めていくという御理解かどうかということをお伺いしたいと思います。
 2点目は、先ほど竹下さんからもお話がありました11条関係です。対応要領の場合には、省庁別で分野がはっきりしているので、まとめ方というのは具体的にイメージできるのですけれども、対応指針ということになると、相手が事業者ということになりますので、どの省庁がどの事業者相手に対応指針をつくっていくのかというのがちょっとよく見えないのです。
 それから、指針も要領もそうなのですけれども、障害者団体へのヒアリングということは理解できたのですが、障害者政策委員会の絡み方というのは、このメモによりますと、報告を聞くというレベルになっています。基本計画については、障害者政策委員会がいろいろな意見を言うけれども、対応要領・対応指針になると、一応聞くというレベルでの関与にとどまるのかということが2点目の質問です。
 第3では、13条関係。雇用労働分野については障害者雇用促進法に譲るとなっていますので、この対応要領・対応指針、この辺の関係も全部厚生労働省の労政審議会のほうの議論に委ねてしまって、政策委員会の職掌から外れてしまうのかということが3点目の質問です。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 3点ありましたので、内閣府のほうから御回答いただきたいと思います。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 まず1点目、法5条の事前的改善措置について、これがどういう扱いになるのかということです。基本的にこちらのほうにつきましては、例えばバリアフリー法だとか、放送バリアフリー法、さまざまな法律にのっとって現在やっているものを想定というか、そういうのを主要な念頭に置いた形でこのような規定を置かせていただいているということです。こちらについては、基本的には、年度ごとというのがあるかどうかというのはありますけれども、計画的に取り組んでいくものという形で位置づけられているものと考えております。
 2点目ですけれども、対応指針・対応要領に関する政策委員会の関係の仕方ということです。基本的に、この対応要領・対応指針につきましては、主務大臣なり行政機関の長なり、そういうところがそれぞれ策定するという形になっておりまして、基本的には、そちらのほうで障害当事者だとか事業者等の御意見も聞きながら策定していただくという形で考えているということでございます。
 3点目は、第13条の関係で、事業主についてどうするかということですけれども、こちらのほうについては、今後、労政審のほうで指針のほうを検討されていくということだと思いますが、それにのっとってやっていただくということでございます。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、石野委員、お願いします。

石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 議長にお願いしたいことがございます。発言の場合、流れが非常に早いので、少しテンポをゆっくりしていただきたい。
 それから、スケジュールの件です。「政府内における基本方針」と書いてありますが、基本方針の内容は何なのか。障害者の基本計画のことなのか、また別のことを指すのかということの質問が1点。
 2つ目は、差別解消法のことです。三権分立という考え方があります。行政・司法・立法という枠組みがあります。この場合、差別解消法というのは、3つとも含めているのか、あるいは行政だけなのか。もし行政だけということであるならば、司法や立法については外されているのか。そうであれば、どういう理由なのか伺いたい。
 以上です。

石川委員長 石野委員、ありがとうございました。ゆっくりと議事を進めてまいりたいと思います。御指摘ありがとうございます。
 2点ございましたので、お願いします。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 まず1点目ですけれども、基本方針の内容についてということでございます。まず、大枠としては、障害者差別解消法の第6条のほうにその基本方針に関する条文がございまして、その第2項が、具体的にどういう事項について定めるかということでございます。
 まず1点目が、第2項の第1号というところですけれども、差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向ということでございます。第2号ですけれども、行政機関等が講ずべき具体的な事項に関する基本的な事項ということ。第3号のほうにつきましては、事業者が講ずべき措置に関する基本的な事項。第4号のほうで、その他重要な事項ということ。抽象的には、こういう事項についてこの基本方針の中に盛り込まれていくということだと理解しております。
 2点目のほうにつきまして、この法律が三権分立の中で立法府だとか司法府だとかについてどのようにかかわってくるかということだと思います。今回、抽象的にどの程度かかるかというのはあるのですけれども、具体的に行政機関等が対応要領なりを定めるということが法律の中で規定されておりまして、それに基づいて事務事業を行うということです。立法府だとか司法府については具体的にそのガイドラインというか、そういう対応要領を策定するという形だったり、そういうことは決められていないということでして、具体的にどういうことをやっていくのかについては、それぞれの三権分立というか、そういうことに配慮してそういう形になっているということで御理解いただければと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 石野委員、どうぞ。

石野委員 石野です。
 今のお答えですと、政策委員会の役割の一つにモニタリングがありますが、司法の中で問題が起こった場合には、モニタリングの対象になるということでよろしいのですか。

石川委員長 よろしいですか。

内閣府(牧野) モニタリングということですけれども、主に障害者基本計画に関するモニタリングという形になっております。障害者基本計画は、以前にもここの委員会でも御議論がありましたけれども、行政府として定める計画ということでして、障害者基本計画に立法府なり司法府が拘束される、それに基づいて勧告を受けるというものでは必ずしもないということだと思います。

石川委員長 内閣府としての解釈というか、理解としてはそうであるというお答えでした。
 この件はここまでにさせていただきたいと思うのですが。

石野委員 石野です。
 今のお答えだとちょっと納得いかないのです。理解しがたいものがあります。

石川委員長 議長として発言させていただきます。
 恐らくこれは、議論を始めるとかなりの時間を費やすことになると思います。これに関しては、基本計画の政府原案ともかかわってくるので、ここの時間の枠の中でこの議論をするということは、問題点を共有したということにとどめさせていただいて、先へ進めさせていただくということで御納得いただけないでしょうか。問題点を共有したということで先へ進めさせていただきたいのですが。
 石野委員、いかがでしょうか。

石野委員 石野です。
 例えば、裁判員制度が始まっていますけれども、裁判員に聾の人が選ばれた場合に、当然、手話通訳がつくだろうと私たちは思っております。もし裁判所が手話通訳をつけることを認めないというような事例が出た場合に、その辺は紛争の対象になるのかどうか、それを解決できるのかどうかというような例が実際にあるわけです。

石川委員長 内閣府から一応お答えいただけますか。

武川統括官 統括官の武川です。
 この法律は、国の行政機関等を対象にしておりますので、現在、この法律は直接司法を対象にしておりません。今の委員の御意見等は、国のほうで具体的な基本方針、ガイドライン等をつくったときに、それを受けて司法のほうにも検討していただくというふうに考えております。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 これについてですか。
 では、伊藤委員、短くどうぞ。

伊藤委員 済みません。これは前のときにも言ったと思うのですが、司法を対象にしないとなると、司法はこの問題の紛争その他に対して、どういう立場で、何を根拠に紛争の解決に努めるのか、あるいは改善に努めるのかということがありますので。意見だけです。司法を対象にしないというのは納得できないということです。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 これは昨年も議論になって、委員全体としてもまだ納得感が得られていない、あるいはちょっと複雑な問題になっているようにも思いますので、これは宿題として引き取らせていただくという対応でお願いできないでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、尾上委員、お願いします。

尾上委員 DPI日本会議の尾上です。
 2点質問があります。
 先ほど、清原委員をはじめ、何人かの方から体制整備について質問がありました。たしか、国会審議のときに、体制整備についてモデル事業を進めていきたいということで大臣答弁があったと記憶をしております。この体制整備にかかわってのモデル事業、例えば来年度予算でそういうことが措置されるのか。そういうモデル事業についての今の準備の進捗状況をお聞かせ願えればというのが1つです。
 そして2つ目が、先ほど、基本方針を検討するときや今後全般にわたって検討する際、先進的な取り組みについてヒアリングをするとかというお話がありました。今回、各自治体での上乗せ・横出し条例のことも附帯決議の中に入れていただいておりますけれども、例えば、先ほどの合理的配慮は各自治体の条例ではどのように規定をされているのか。あるいは、特に紛争解決の仕組みですね。
 ちょうど前に野澤さんがおられますけれども、千葉県の条例を皮切りに、各自治体の条例で、自治体によっては障害者権利委員会のようなものをつくって、そこで仲介のような仕組みを持っていたりとかいうようなこともあったりすると思います。そういった各自治体における条例づくりの進捗状況、特にこれから私たち政策委員会で基本方針をつくっていく際に参考になるような事例ということで、条例の比較表みたいなものをぜひ資料としていただけないでしょうか。
 以上、2点です。

石川委員長 ありがとうございます。
 まず1点目が準備状況についての質問、2点目は先進的な自治体の条例等を参考資料として御準備いただきたいというお話だったかと思います。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 2点お答えさせていただきます。
 まず、1点目の体制整備のモデル事業ということですけれども、国会審議においてさまざまな国会議員の方から、地域協議会についてどうやって検討するのか、例えばどうやって地方の取り組みを進めるのかというような御意見等がございました。その過程において尾上委員から指摘いただいたモデル事業については、さまざまな先進的な取り組みを行っている自治体もございますので、そういうところの取り組みを参考にしつつ、そういうものをモデルとして検討するということで大臣のほうから御答弁いただいたということだと思います。これについて、来年度以降どういう形でやっていくのかについては現在検討中ということで、何かしらの形で予算要求等にも反映できるように考えているということでございます。
 2点目のほうですけれども、先進的な自治体の条例等ということですので、それについては今後検討の過程でどういう形での検討資料をお示しして検討していただくのがいいのかということだと思いますので、御意見も踏まえて準備のほうをさせていただければと考えております。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 ほかに。
 大谷委員、どうぞ。

大谷委員 大谷です。
 手を挙げていたのですけれども、意見を述べる機を逸しました。
 私は、司法が独立であるわけではないと個人的に思っております。差別解消法は規範を定めた法律ですから、規範から裁判所が独立して独自の判断をするということはあり得ない。これは私の個人的な意見です。
 質問は、皆さんそれぞれ聞かれましたけれども、附帯決議がせっかく出されていますけれども、それぞれの第1項に述べられている権利条約の早期批准に関する日程感だけでも、今わかる範囲でお聞かせ願いたいなと思っております。
 以上です。

石川委員長 外務省の幹事の方がちょっとおくれているようなので、後でもよろしいでしょうか。

大谷委員 せっかく双方に早期批准をと。そして、国内法整備の一環としてできた法律であるということがそれぞれの附帯決議で明記されていますので、それはぜひお答えしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

石川委員長 承知いたしました。
 後藤委員、お願いします。

後藤委員 日本福祉大学の後藤でございます。
 参議院の附帯決議の終わりのほうに「『不当な差別的取扱い』や『合理的配慮の不提供』についての定義を検討すること」とあります。それを実施することになる現場の状況を考えますと、差別的扱いなどにあたるのはどこからか、という境界線が問題になると思います。
 そこで、トレードオフになると思うのですが、具体的に真面目に詰めれば詰めるほど、これはこの場でも申した言葉で。

石川委員長 後藤先生、済みません、「トレードオフ」というのは。

後藤委員 どちらかを立てればどちらかが立たなくなるという、兄弟げんかといいますか、あちらを立てればこちらが立たずみたいなことだと思うのです。済みませんでした。
 きちっと具体的なことを決めたほうが現場では実施しやすくなる一方、決めれば決めるほど、そこに出ていないことはしなくてよいと思ってしまう、そのどちらを立てるかになってしまうかと思います。
 差別禁止部会の意見には「あらゆる差別」という表現でたくさんの差別の類型が書かれています。今回の表限は差別的扱いと合理的配慮なので、差別的扱いが全部を含むということ。それから、事例などを集めて示すときに、その他という項目をつくって、例にあがっていなくても全部が入るという精神をぜひちゃんと入れつつ作業してくださればと思います。次にお目にかかるときには作業が進んでしまっているのではと思いますので、担当される方にお願いとして申させていただきました。

石川委員長 御意見として受けとめていくということでよろしいでしょうか。
 花井委員、お願いします。

花井委員 花井と申します。
 私のほうからは2点述べたいと思います。
 障害者権利条約の批准について明確にお答えいただきたいということが1点目。
 2点目ですが、今回、合理的配慮につきまして、民間事業者が努力義務というふうにされております。3年後の見直しに間に合うかどうなのかということがありますが、施行の年限、その後の3年後ということを考えたときに、民間事業者に対しても将来的には義務にするのだということを射程に置いて、合理的配慮の内容についての検討をお願いしておきたいと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 1点目は後ほどということで。
 2点目については、そのように御意見として受けとめていただくということでよろしいでしょうか。
 それでは、予定していました第1部の時間がほぼ来ましたので、特にないようであれば、ここで一旦15分の休憩を入れさせていただきまして、2時10分に再開いたします。

(休憩)

石川委員長 時間になりました。議事を再開します。
 第2部は、障害者基本計画の政府原案について、まず、内閣府より簡単に御説明をいただき、議論に入っていきたいと思います。
 それでは、よろしくお願いします。

加藤参事官 それでは、基本計画の関係を御説明いたします。資料は4でございます。
 まず最初に、経緯でございます。もう皆さんご存じのことと思いますけれども、障害者基本法に基づき策定される障害者基本計画につきましては、平成14年に作成された旧基本計画の計画期間が平成24年度末までとされていましたことから、本委員会におきまして昨年の夏から秋にかけて御審議いただき、その結果につきましては、昨年12月に「新『障害者基本計画』に関する障害者政策委員会の意見」ということで取りまとめをしていただいたところでございます。
 さきの通常国会におきましては、障害者差別解消法、障害者雇用促進法の改正法、公職選挙法の改正法等、障害者施策に関するさまざまな法律の審議が行われたところでございます。
 今回、これらの法律に関する審議結果も盛り込んだ上で、障害者政策委員会におまとめいただいた意見をもとにしまして関係省庁との協議を行い、政府として基本計画の原案を取りまとめ、今回、委員会にお示しするものでございます。
 原案の概要でございますけれども、全体の考え方としましては、今回の基本計画は一昨年の障害者基本法の改正等の後、初めて策定される基本計画でありまして、原案は、改正障害者基本法の考え方等を踏まえておるということと、先ほど申し上げたような委員会等の意見書、そういう手順を踏まえて策定したものでございます。
 原案は大きく5つの部分から成っております。最初は「はじめに」というところ、それから「I 障害者基本計画について」「II 基本的な考え方」「III 分野別施策の基本的方向」「IV 推進体制」という5つの部分から構成されております。
 めくっていただきますと、目次のところはページがついておりませんけれども、1ページに「はじめに」というのがございます。この「はじめに」におきましては、我が国におけるこれまでの取り組みですとか、近年の国際的な動向等を踏まえた取り組み等について記載をしてございます。
 1ページめくっていただきますと、2ページの欄外に注がございます。今回の計画は障害者基本法に基づき策定されるものとしては3回目の計画となることから、これまでの計画と区別するために「障害者基本計画(第3次)」と記載しているところでございます。
 3ページでございますけれども、「I 障害者基本計画について」のところでございます。
 ここにおきましては、本計画の位置づけ等を記述しまして、2の対象期間につきましては、本委員会においてもさまざまな議論があったところでございますが、これまでのような10年の計画とした場合は、どうしても施策の記述が抽象的なものとならざるを得ないということがございまして、平成25年度から29年度までのおおむね5年間を対象期間とすることとしております。
 1ページめくっていただきまして4ページでございますけれども、「II 基本的な考え方」でございます。ここからが計画の具体的な内容ということでございまして、この部分は総論的な部分でございまして、基本理念、基本原則、横断的視点から構成されております。これらは、各分野の施策に共通する事項という位置づけをしてございます。
 基本理念では、障害者基本法1条に規定されておりますように、全ての国民が障害の有無によって分け隔てされることなく、相互に個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、政府の障害者施策の基本的な方向を定めるといった旨を記述してございます。
 基本原則におきましては、障害者基本法の第3条から第5条の規定に即しまして、政府の障害者施策の基本原則として、地域社会における共生と差別の禁止、国際的協調の3点について記述をしてございます。
 それから、各分野に共通する横断的視点におきましては、当事者本位の総合的な支援、障害者特性等に配慮した支援、アクセシビリティの向上、当事者の意見の尊重、総合的かつ計画的な取り組みの推進という5点につきまして記述してございます。これらは、障害者基本法第10条の施策の基本方針を踏まえたものでございます。
 ページを少し飛んでいただきまして、8ページになりますけれども、「III 分野別施策の基本的方向」で、ここは各論になるわけでございます。具体的な障害者施策につきまして9つの分野に分けた上で、それぞれについて基本的考え方を冒頭に下線の四角で囲みまして、その後、具体的な施策の基本的方向を記述しておるところでございます。
 個別の施策につきましての説明は省略いたしますけれども、1は「生活支援」ということで、主に障害福祉サービス等について触れております。
 2は、12ページになりますけれども「保健・医療」の分野に触れてございます。
 3は「教育、文化芸術活動・スポーツ等」でございまして、15ページになります。
 4というのは18ページになります。「雇用・就業等」、あるいは年金とか手当についてもここで触れてございます。
 21ページは、5ということで「生活環境」、住宅や公共施設のバリアフリー化等について触れてございます。
 6は、24ページに飛びますけれども「情報バリアフリー」ということに触れております。
 7は、26ページでございます。ここでは「安全・安心」ということで、防災ですとか復興、あるいは防犯、消費者トラブル、差別の解消等について触れてございます。
 8は、29ページでございますけれども、「行政サービス等における配慮」、選挙等や司法手続等における配慮等について記載してございます。
 9は、30ページでございますけれども、「国際協力」ということを書いてございます。
 9つのそういう各論で構成されているところでございます。
 そして、33ページになりますけれども、「IV 推進体制」をここで記載してございます。これは、本計画を推進していくための体制に関する部分でございまして、1は政府内外における連携・協力について、2は広報・啓発活動について、3は計画の進捗状況の管理及び評価について、4につきましては法制的整備について、5では調査研究及び情報提供について、それぞれ記述してございます。
 本計画の最後のほう、36ページからでございますけれども、別添として関連する成果目標を記載してございます。目標設定における考え方等によりまして、必ずしも計画の目標年度と計画期間が対応しない事項も存在しております。なお、成果目標が設定されない事項でありましても、可能なものにつきましては定量的なデータにより計画の進捗状況を取りまとめることはあり得るものと考えてございます。
 最後に、今後のスケジュールでございますけれども、この障害者基本計画の原案につきましては、本日、障害者政策委員会において御議論いただきまして、できれば近日中に2週間程度のパブリックコメントを実施する予定でございます。本日いただいた御意見、あるいはパブリックコメントで寄せていただいた御意見等を踏まえまして、再度、政府内での調整を行って、所用の手続を経た後、閣議決定というような手順を考えているところでございます。
 以上でございます。

石川委員長 ありがとうございました。
 この後、この基本計画の原案について御意見をいただくのですが、その前に、先ほど権利条約の批准の日程等について御質問、御意見がございました。外務省のほうからお答えいただけますでしょうか。

外務省(中野) 外務省人権人道課の中野と申します。
 障害者権利条約の締結のスケジュールということで御質問をいただいたようでございますけれども、我々としましては、これまでの23年の基本法の改正に始まりまして、総合支援法の成立ですとか、本年の障害者雇用促進法の成立、差別解消法の成立といった国内施策の整備の観点から、大変重要な進展があったと考えておりますので、これらの進捗を踏まえ、可能な限り早期に締結したいとの考えでございます。

石川委員長 ありがとうございました。
 早期の批准を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 今日は、基本計画の原案について御意見をいただきます。これからの進め方について簡単に提案をいたします。
 最初に、分野別の1から4までを順番に1つずつ御意見をいただきたいと思います。そこで大体80分ぐらいではないかと思いますので、休憩を入れまして、分野別の5から9及び総論と推進体制の御意見を最後の第3部でいただくという形で進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 福島オブザーバー、どうぞ。

福島委員 東京大学の福島です。
 これからパートIIですよね。パートIの差別解消法は、いろいろ課題はあるとはいえ、大きな前進だと思っております。今後の障害者施策の展開に向けての新しいステージに進んだなと。直接的には議員の皆さんの議決ではありますが、ここにいらっしゃる障害者関係の皆さん、そして内閣府や厚労省ほか各省庁の皆さんの御尽力があったと存じますので、その点、本当にお礼申し上げたいと思います。
 これからパートIIの障害者計画ですが、向こう5年間の具体的な施策を議論するわけですね。今、加藤さんのお話を伺っていると、最後のほうでさらっとおっしゃったところで、今日、私たちがこの政府原案について意見を出して、パブリックコメントをやって、その後、所用の手続を踏んで閣議決定とおっしゃっていました。前回7カ月前、去年12月に私たちの委員会で意見書を出して、それをもとに政府の内部ではさまざまな調整もいただき、さらに差別解消法案の成立などもいろいろありましたので、7カ月かかったということはよくわかるのですが、今日はこの原案をもとに議論して、これで決めてしまうのかというのが非常に気になっております。
 この後、御説明があると思いますが、ざっと拝見した限り、失礼ながら、昨年の12月のものと比べてかなり後退してしまっている。後退と言ってはあれですが、必ずしも十分ではないと思います。この後、多分いろいろな議論が出ると思うのです。それを踏まえて、再度政府で調整いただいた後、果たしてこの政策委員会にフィードバックいただけるのかどうか。
 障害者基本法32条で、私たちのこの委員会は障害者計画のモニタリング、監視をしていくという役割があると同時に、障害者基本法第11条では、障害者計画を策定するプロセスにおいて、その過程において政策委員会の意見を十分に聞くことが明記されていますので、本日の原案をもとに、今日、我々が意見を出して、それで承りましたで終わってしまうのではちょっとどうかなと思うのです。少なくとももう一回、今日の議論を踏まえ、パブコメも踏まえて再度調整された案をどこかで議論いただく場、具体的にはもう一回政策委員会を開くなり、どうしても無理ならそれにかわる方法を何か考えるなりの検討をいただけないかなというのが私からのお願いで、希望です。これは、今日の議論の仕方、この後の議論の進め方にかかわると思いますので、失礼ながらあえて申し上げました。
 できれば統括官か審議官か、どなたかからコメントいただきたいのですが、以上です。

石川委員長 追加的な情報はございますか。
 では、佐藤委員、どうぞ。

佐藤委員 日本社会事業大学の佐藤久夫です。
 今の福島オブザーバーの意見と似ているのですけれども、12月に我々が意見を出したわけですが、今日出された原案というのは、その中のどれが生かされて、どれが生かされていないのか、その理由は何なのかというようなことがほとんど分かりません。よく読んで比較をすればわかるのかもしれないですけれども、できることなら、意見の一つ一つについて、これは生かされた、これはこういう理由で落とされたとか、お忙しいでしょうが、そのような資料をもとにしてきちんと議論をするということでなければ、政策委員会が尊重されたという感じにならないと思うのです。そういうことで、今、福島さんが言われたことに私も賛成です。

石川委員長 大濱委員、どうぞ。
 大濱委員までで一応内閣府のほうから答えていただきます。

大濱委員 脊損連合会の大濱です。
 例えば、今、分野別のところの「(2)在宅サービス等の充実」を見ているのですが、はっきりいって、政策委員会の意見が全く反映されていない。政策委員会の意見をほとんど無視したような内容でこうやってつくられるのであれば、政策委員会は何をやっているのだということになります。今、福島委員等から発言があったように、ここで意見を一回議論した後に、これをもう一度つくり直す機会をちゃんと与えてもらわないと、12月の段階に出した政策委員会の意見というのは何だったのだということになりますので、そのあたりはきちんと整理してもらいたいと思います。

石川委員長 それでは、意見が出ましたので、内閣府のほうからお答えいただけますでしょうか。

武川統括官 政策統括官の武川です。
 今日は、これから御説明をさせていただきまして、まず意見をいただきたいと思います。また、それを踏まえて政府内でも調整いたしまして、日程についてはその後もう一度考えたいと思います。

大濱委員 連合会の大濱です。
 今、言われたことは、この内容をもう一度作成し直して、もう一度政策委員会を開くという意味合いですか。

石川委員長 統括官の発言は、私が理解した限りでは、お三方からはいろいろな御意見が出ましたけれども、原案について全体の委員からの意見はまだいただいていない状態なので、今日とにかく議論をして、このままでは不十分であるというようなことになった場合には検討するといったお話であったかと思います。ここで何かを最初に決めずに、とにかく今日一日やりましょうということであろうと思います。
 浅倉委員、どうぞ。

浅倉委員 浅倉と申します。
 今の議長の取りまとめは3人の方の御意見を反映していないように思います。私も3人の方と同じような気持ちなのです。今日、私は12月の障害者政策委員会の意見を持ってきておりますが、これと対比すると言いたいことがたくさんあります。私たち、どれだけ議論したかというと、9月から11月まで1人が小委員会をふた回りやりました。つまり、3時間×6時間の18時間やりまして、さらに政策委員会を5回やりまして、それは全部で4時間ですね。38時間も議論したわけです。それで12月の意見をまとめました。
 昨日、自分で対照してみたところ、なぜこれが入らなかったのか、どうしてかということについて、ぜひ説明していただきたいという気持ちがありますし、言いたいこともたくさんあります。
 おそらく皆さん同じ気持ちだと思います。そうなると、これだけのメンバーが発言すれば、今日、到底、このまま取りまとめにはならないのではないかと危惧します。ですのでまず、時間内にできる限りの意見を聞き、後で文章でも提出する機会もいただき、その上で、もう一度まとめていただき、新しい基本計画案をもう一度出していただけるように期待します。そのことを最初に決めていただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 内閣府のほう、いかがでしょうか。

武川統括官 まず最初に、枠をはめるということではなくて、今日はとりあえず意見を言っていただいて、それで考えさせていただけないでしょうか。政府の中もいろいろ調整してみたいと思いますので、今日は意見をいただきたいと思っております。その上で、必要性等についてまた相談したいと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 中原委員。

中原委員 日本知的障害者福祉協会の中原です。
 ただいまの皆さんの意見を聞いて、私も同感です。自分なりに、去年の12月26日の意見を引き出して送ってくださった今日のこの資料と照らし合わせても、何がどう変わったのかというのがよくわかりません。2ページのほうで「この障害者政策委員会の意見に示された考え方を踏まえ」と言っているのですけれども、この意見がどの方向に集約されているのかというのが正直言ってよくわからないのです。皆さんのいろいろな意見を出してからということなのですけれども、少なくともこの辺の説明を少ししてくださらないと、意見が深まらないような気がいたすのですが、いかがでしょうか。ぜひお願いしたいと思います。
 以上です。

石川委員長 石野委員、お願いします。

石野委員 石野です。
 今、皆様方がおっしゃった御意見と同感です。
 実は、この計画を一読いたしまして、聴覚障害者関係でいいますと、例えば情報アクセスに関して意見を出しておりますが、「情報アクセス」という言葉がほとんど載っていません。非常に残念に思います。先ほど議題を考えたいというお話がありましたけれども、パブコメを出すのであれば、そのまま出すことは政策委員会としては納得できない。ですから、パブコメは修正を加えた上で出してほしいと思っております。

石川委員長 では、あと関口委員までで、もう一度、内閣府からお話をいただきます。

関口委員 障害者基本法によると、第11条4項に係ることをやるということで、ここには「内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、障害者政策委員会の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない」と書いてあるわけですけれども、この「聴いて」という趣旨は、今日しゃべった当事者、全国精神病者集団の関口明彦が意見を言った、聴きましたと。あとは決めますよということではないと思うのです。なので、11条4項の「聴いて」ということをどの範囲で捉えているのかということです。それをちょっとお伺いしたい。
 それから、先ほどから意見が出ていますけれども、我々が出した報告書と原案とがどこがどう違っているのだという対照表がないとよくわからないというのは、政策委員は資料提出することを求めることができるとなっておりますので、ぜひ出していただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 各委員からほぼ同様の意見が出ておりますが、内閣府のほう、重ねてもう一度お願いいたします。

武川統括官 政策統括官の武川でございます。
 私も今日、初めて出させていただきましたが、皆さんからそういう御意見が大変強いということでございますので、すぐ言えませんけれども、またそういう方向で調整いたしたいと思います。

石川委員長 これまで出ました意見を酌み取って尊重していただいて、極力その方向で対応していただけるというような御趣旨かと思いますので、皆様もそれでよろしいでしょうか。
 それでは、内容に入っていきたいと思います。
 今日1回だけとは限らないのですけれども、とりあえず順番にやっていくということにさせてください。
 最初に言いましたように、各論、分野別の1から4まで第2部で意見をいただきたいと思います。
 最初に「生活支援」について御意見をいただきたいと思います。
 三浦委員、お願いします。

三浦委員 全国身体障害者施設協議会の三浦と申します。
 「1.生活支援」の「(2)在宅サービス等の充実」に対して意見を述べたいと思います。
 まず、障害を社会モデルで捉えるということが改正された障害者基本法の精神であったかと思われるのですけれども、この基本法に基づく新障害者計画であるはずなのですが、在宅サービスという明らかな環境側の問題、環境因子に関しても、そのことが書かれている施策のそれぞれの項目が障害を医学モデルで捉えてあって、社会モデルの視点が感じられないために、読む側にとって、サービス事業者であっても当事者の方々であっても、この取り組み方針で在宅サービスが充実していくイメージが伝わってこないです。それぞれの項目に関して個々の生活ニーズに向き合っていくサービスの方針を示す必要があるのではないかと思われます。
 その中で、具体的なものといたしましては、2つ。
 1-(2)-2の修文案でございますけれども、「療養介護、生活介護等」以下を削除していただきまして、この2は「常時介護を必要とする障害者に対し、その地域生活の実現が可能となるよう、1、住まいの場の確保、2、日中と夜間のケアの質と量の確保、3、容態の変化等のセーフティネットなどの施策を検討し、推進する」に変更する修正案を出させてください。
 もう一つが、1-(2)-7に「生活上の訓練の在り方」と書いてあるのですけれども、この部分を「サービス基盤の整備の在り方」に変更案を提案いたします。理由は、障害の重度化・重複化、高齢化とは、状態の変化をあらわしていて、生活課題が多様化しているということを示すものです。訓練では課題解決は図れないと思うからです。
 以上です

石川委員長 ありがとうございました。
 意見を一通り伺った上で、所管する厚労省のほうからも御意見をいただきます。
 大濱委員、お願いします。

大濱委員 今、三浦委員からあったところと大体同じようなところを指摘しなくてはいけないと思っているのですが、三浦委員は優しいのでその程度でいいのかと思っているのですけれども、私は、政策委員会の意見はほとんど無視されていると思っています。この「在宅サービス等の充実」で。したがって、これはもう全部書き直しということで、1回ゼロに戻ってリセットとしてもらえないですか。こんな書きぶりではだめですよ。常時介護を必要とする障害者に対し、その地域生活の実現が可能となるよう、療養介護、生活介護だけで生活しなさいという文言があって、何でこんな文言が出てくるのか不思議でしようがないです。何を見てこういう文言を誰が書いたのか。
 あと、下から3つ目の〇、1-(2)-5、「豊かな地域生活のために障害者が身近な地域で生活介護等のサービスを利用できるよう」と。生活介護のサービスを利用すれば、豊かな地域生活ができるみたいな書きぶり、これは全然違うと思うのです。政策委員会の意見が全く反映されていないので、これは全面的に書きかえてもらいたい。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 では、大谷委員。その後、佐藤委員。

大谷委員 大谷です。
 生活支援の中に障害児支援が入っているのですね。障害児支援に関しては、これも我々の意見では、新しく療育ということで、第1条を別項にちゃんと設けたものですから、意見出しをしています。その意見と、今回、生活支援の中の障害児支援というふうにまとめられたものは全く違う。本当に違う。これは、どこがどう生かされたのかを注意深く読めば、この文言だけは拾ったというようなところが1カ所ぐらいあるかなと思いますけれども、基本的な発想において違う。我々の意見は、障害児が障害のない子供と同様に、一般児童施策の中で、とにかくともに育ち合うようにということをまず基本の軸として、そして必要な支援を受けるというふうにしてあります。
 ですけれども、ここで言っているのは、専門的な療育をこれだけするのだという中で、では、保育所のところはどうしたらいいのですかということで、最後の〇に、保育所ではこういうふうにしましょうみたいなことがちょっと書いてあるのですけれども、基本的な枠組みとか基本的な構成においてここまで変えられてしまうと、ここに1項入ったからいいではないかとはとても言えない内容なのですね。ですから、大濱委員が言ったように、これは書き直してもらいたいというのが私の率直な意見なのです。書き直しが間に合わないのだったら、私も修文をたくさん用意します。今日は修文を用意してこなかったのですけれども、今日中に修文を出さなければだめという性格のものなのか。やはり書き直しも含めて見直しをしてくださるのかどうか。これはぜひ回答いただきたいと思っています。
 特に障害児支援に関してその意見を述べたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 佐藤委員、続いてお願いします。

佐藤委員 12月の意見と比べてみると、私が気づいた特に大きな点としては2点あります。
 1つは、介護保険と障害福祉サービスの利用のことです。12月の意見では、介護保険と障害福祉サービスの利用については、障害者が新たな負担を負うことなく必要なサービスを継続、あるいは選択できるようにすることと書いてあるのですけれども、この点について全く記述がないのです。応益負担ではサービスが利用できないからということで自立支援法が改正されて、応能負担になったわけですけれども、65歳になったら、今度はより厳しい応益負担の制度になって、収入が上がったわけでもないのに、どうしてそのサービスの利用が継続できるのか、これは非常に大問題になっているので、難しいだろうと思うのですけれども、少なくともそれを検討するとかいうようなことは計画の中に入れていただけないかというのが1点。
 もう一つは、医療的ケアを伴う日中活動の場だとかショートステイだとかについて12月には強調していたのですが、それが全く見えないと思いました。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、伊藤委員、お願いします。

伊藤委員 日本難病・疾病団体協議会の伊藤です。
 文章を書くのが得意な人は修文を出せばいいのかもしれませんけれども、できないので言っておきたいと思うのです。特に2のところでは思い切り言いたいのですが、今は1つだけ。
 (2)の在宅サービスのところですが、今度、私ども難病も総合支援法の中に入ったように、これからは高齢とか障害とか疾病ということの区別はなかなか困難ですね。状態においても年齢においても困難な時代になっているというか、むしろ不可能な時代になっていると思うのです。その中で、在宅サービス等については、介護というのはいっぱい出てくるのですけれども、今、病院、医療においても、在宅医療のほうに誘導されて病院にもなかなか入れないような時代になっているときに、医療に向けてのことが何も出ていない。在宅医療とか訪問看護とか訪問リハビリ、それから、そういう高齢者や難病患者も含めた住宅の支援というのがない。この観点が全く欠けているので、せっかく総合支援法に入っても、従来の障害者間の対象になる人たちだけはいろいろここに書かれていても、それ以外のことは書かれていないというのでは、観点そのものが全く欠けているのではないかということで、これは言っておきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 それでは、関口委員、お願いします。

関口委員 ここの生活支援の中に相談支援体制の整備ということが書いてあるわけですけれども、基本的に、給付は厚生労働省の担当だと思うのですが、例えば総合支援法になるに伴って、来年度までに判定ソフトをつくり直そうとしていますね。どういう意図でどのようにつくり直すつもりなのかということの説明がこちらには一切ないので、その辺の説明は厚生労働省にしていただきたい。
 もう一つは、厚生労働省の社会保障審議会の中に障害者部会というのができました。これと内閣府の障害者基本法に基づく障害者政策委員会との関係というか、立ち位置というか。例えば、障害者差別解消法は雇用分野を障害者雇用促進法に丸投げしているわけですけれども、障害者雇用促進法は厚生労働省の管轄になっています。そうなってくると、障害者部会なるものが一体どういうことをやってどうなるのかというのが非常によくわからないので、どういうふうにすみ分けるつもりなのか、あるいは意見交換をする機会があるのかということも含めて教えていただきたい。

石川委員長 ありがとうございました。
 あと、お二方ですか。尾上委員と竹下委員、お願いします。

尾上委員 尾上です。
 もう既に何人かの委員から御指摘のあった点ですが、特に9ページの「在宅サービス等の充実」の1-(2)-1と1-(2)-2の部分。先ほどあったとおり、全面的に書きかえてほしいということが前提ですが、具体的にこの部分というよりは、発想として、先ほど医学モデルという指摘がありましたが、加えて、縦割り行政そのままのペーパーが、余り整理されずに、部署ごとでこういうことをやりますよという項目というか短冊が出てきて、それをパチッとホッチキスでとじた文章だなという感じが正直しています。
 例えば1-(2)-2のところで「常時介護を必要とする障害者に対し」云々とあるのですけれども、例えばその前の1-(2)-1のところで「重度の身体障害者等に対する重度訪問介護」というのは、常時介護を必要とする障害者に対する支援サービスなのですね。常時介護を必要とする障害者に対するサービスとして1-(2)-1にも入っている。ところが、そちらのほうには書いていなくて、なぜ1-(2)-2だけに「常時介護を必要とする障害者に対し」というのが入っているのか。嫌味でも何でもなくて、正直、意味不明なのです。なぜこのような全体として未整理な状態の文章が出ているのかというのが、正直、実感として思います。
 特にこの1-(2)-1と1-(2)の2に関連して言えば、去年の政策委員会では、1つは、重度の長時間の介護、市町村格差やその財政負担ということに対してちゃんと調整の仕組みをつくってほしい。あるいは、常時介護や医療的ケアが必要な状態であっても、どの地域でも格差なく暮らせるようにしてほしいということで、住まいや活動の場や介護というふうな形で、どういう支援が必要かということで議論をしてきたと思うのです。そういった点から、縦割りに出てきた短冊を単にホッチキスどめするのではなくて、もう少し政策委員会の意見を踏まえた形で再編成していただけないかというのが一つ思うことです。
 そしてもう一つなのですが、12ページの1-(7)-1「障害者福祉サービスの段階的な検討」ということで、これは政策委員会でも総合支援法の3年後見直しということで指摘をしましたが、政策委員会のほうでは総合福祉部会の骨格提言の計画的・段階的実現に向けということが入っていたと思いますし、それは昨年の6月の国会答弁でもその当時の厚生労働大臣が国会審議の場でも明確に、その3年後見直しというのは骨格提言の計画的・段階的実現に向けてやるのだということを確認答弁いただいているわけですから、国会審議に沿った形で修文をお願いしたい。
 これで最後です。先ほど伊藤委員が言われたこととも関係をしますが、難病に関する施策というのが次の「2.保健・医療」のところに全部固まっています。15ページのところなのですけれども、特にこの中の2-(6)-4は相談なので、医療も福祉も重なると思いますが、特に2-(6)-5は福祉サービスなので、先ほどの縦割り、つまり、こちらは障害保健福祉、こちらは難病対策みたいな形の文章になってしまっていて、障害者基本法の精神からすれば、難病の人に対する福祉サービスや生活支援に関しては「1.生活支援」に書かれるべきではないか。もしあちこちに散らばってわかりにくいということならば、よくある再掲という形でも結構かと思うのですけれども、少なくともある1つの分野だけで難病の方々に対する支援をやっておけばいいかのような形のまとめ方はいかがなものかと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員、お願いします。

竹下委員 竹下です。1点だけお願いします。
 結論から申しまして、内容の充実をお願いしたいのですが、(2)の4番目の○の「外出のための移動支援」の部分です。IIのところで理念、原則、横断的な考え方等では、非常に崇高なといってもいい内容が記載されているわけです。とりわけ、総合的、あるいは有機的という言葉がよく使われるわけです。この障害者基本法というのは、分野別で進んでいく現実の行政、今の尾上君の言うまさに縦割りですね。それらをいわば統合するからこそ、この基本計画の意味があるし、ここに議論することの大きな位置づけがあるのだろうと思うのです。そこからすると、「外出のための移動支援」というのは非常にわかりにくいわけです。1つ手前の○を見ると、例えば「自立した日常生活又は社会生活を営むことが」とありますね。それと同じように、「外出するための移動支援」のところが、日常生活だけでなくて、社会生活のための外出の際の移動支援、この部分が入ってこないとだめなのだと思うのです。このことは長年議論されているのです。
 例えば、4年前から5年前の社保審の障害者部会でも、事業主さんから、就労する人の通勤の保障を厚労省はどう考えているのだという指摘がずっとありました。それから、この政策委員会の中でも、何度もその部分は出てきております。そういうことを考えると、この間の外出支援というものが充実したことは非常に敬意を表したいと思うのですが、そうした社会生活の面での外出のための移動支援というものがこの目標に明確に入ってくることをお願いしたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 たくさん出ましたが、1回切らせてください。またその後お受けします。基本的な考え方にかかわる根本的な問題が多く指摘されたかと思います。これは内閣府と厚労省のほうで協議してこの修文になっているかと思いますが、厚労省のほうでお願いします。

厚労省(阿萬) 厚生労働省障害保健福祉部の阿萬と申します。
 御意見をいろいろいただきまして、ありがとうございます。
 まず、表現そのもの、基本的考え方の整理その他につきまして、全体を取りまとめておられるのは内閣府さんでございますので、内閣府さんの全体の仕切りもあろうかと思いますけれども、我々といたしましては、基本的なところにつきまして方向性に大きな違いはないと思っておりますので、御指摘も踏まえつつ、修正の検討をすることにつきましてはやぶさかではございません。そこがまず1点でございます。
 あと、御質問もいろいろいただいております。とりあえず、今、私のほうでお答えできる範囲のところをお答えさせていただきます。
 まず、関口委員のほうから御指摘がありました、先週の18日に社会保障審議会障害者部会が開催されております。それについての言及がございました。政策委員会に御出席いただいている委員の方々と共通の方々もおられると思いますけれども、障害者部会の場でも、この政策委員会との関係についてはどうかという御質問もいただいております。そこでも我々のほうから御説明申し上げましたが、障害保健福祉に関しての具体的な施策の立案、施行に関する検討などについて御審議をいただくのが社会保障審議会の障害者部会でありまして、少なくとも我々の認識では、この政策委員会は、その状況につきまして障害者基本計画との関連でのモニタリングの中でいろいろな御意見をいただく場だという認識ではおります。
 さらに申し上げますと、障害程度区分についての御質問がございました。来年4月から障害支援区分という形に法律上の名称そのものが変わります。定義についても変わります。それに合わせまして、これまで障害程度区分の認定の中で、1次判定のコンピュータ判定の中におきまして、特に知的障害の方、精神障害の方について判定の内容が実態よりも軽く出過ぎるという御批判がある中で、実際には2次判定の審査会の中で適正なものに変更されているという認識ではございますが、それがコンピュータ判定の中で適正なものになるような形での判定式の変更ですとか、その他、いろいろな調査項目の取捨選択、整理などにつきまして検討しておるところでございます。
 それにつきましては、今月、パブリックコメントを厚労省のホームページで出させていただいておりまして、それについていろいろな方からの御意見もいただきながら、障害者部会の中での検討も踏まえて検討していきたいと考えております。
 済みません。答えが漏れているところもあるかもしれませんが、とりあえず、私のほうからは以上でございます。ありがとうございます。

石川委員長 ありがとうございました。
 あと、障害児支援ですとか、ほかにも幾つかございましたが。

厚労省(阿萬) 修文についてのいろいろな御意見がございました。そこの一つ一つのところにつきましては、分量がちょっと多過ぎますのであれなのですが、基本的には、いただいた御意見も踏まえながら修正をやっていくということだと思います。
 ただ1点だけ、子育て支援の関係で申し上げますと、同じ内閣府の別のところになりますけれども、少なくとも我々が認識している状況で申し上げますと、子育て支援の関係の都道府県・市町村による事業計画の基本指針についての議論も進んでいると承知しております。
 その中でも、児童養護ですとか、特別な支援が必要な児童についての議論ということで、障害児支援も含めた議論がなされていると承知しておりまして、我々としてもその状況につきましてはフォローしております。そういうところとの連携をきちんと図っていくということではないかと思っております。
 いずれにせよ、この中での修文につきましては、また個別に御相談させていただくことは可能であろうと思っております。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 一つ一つ丁寧にやっていきたいのは山々なのですけれども、今、3時ということで、1については既にいろいろと御指摘をいただきました。阿萬室長以外の方でお答え、補足などはございませんか。
 牧野さん、どうぞ。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 住宅に関しての記述が欠けているのではないかというような御指摘をいただきましたけれども、住宅に関しては、生活支援の中で記述するというよりは、一応今の整理として、5の住宅に関するところでまとめて書いているという形で整理させていただいているということです。

石川委員長 ということでありました。
 それでは、まだ不十分とは思いますが、「2.保健・医療」について御意見をいただきたいと思います。
 御意見のある方は挙手をお願いいたします。
 では、土本委員、新谷委員の順にお願いします。

土本委員 土本です。
 話がすごくいっぱいあるのですけれども、会議についていけなくなってきています。というのは、1-(3)とかくっつくと、どうやって読んでいいのかというのがわかりづらくなってきているところです。どこで発言していいのか。早くなってきているのではないか。意見はいっぱい言えると思うのですけれども、また会議で置いていかれている部分があるのではないかと思います。
 意見として。以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 もう少しゆっくりと進めていきたいと思います。皆様も、話の速度をもう少し遅く、かつ、丁寧にゆっくりとお願いできればと思います。
 それでは、新谷委員、お願いします。

新谷委員 済みません。私も、ちょっと進行が速過ぎて追いつけなくて、2ではなくて、1のところの発言をしたかったのですけれども、戻っていいですか。11ページ、福祉用具の研究開発のところの1つ目と2つ目の〇ですけれども、これは政策委員会の中で後藤先生あたりからいろいろあった全体のユニバーサルデザイン、バリアフリーとの関係で福祉用具のあり方というのは議論があったと思うのです。ここは何か作文的に非常にきれいに書かれているのですけれども、例えば、今、福祉用具のあり方について、「購入又は修理に要する費用の一部に対する公費の支給、日常生活用具の寄附・貸与により、福祉用具の普及を促進する」という単純な問題ではないと思うのです。これからの福祉用具というのは、ユニバーサルデザインを含めて、コマーシャルベースの製品と関係して、どういうふうな方向に持っていけば福祉用具は普及していくのか。
 例えば、私たちの場合、補聴器というのが問題になるわけですけれども、今、補装具で支給されるのは上限7万円ぐらいであって、30万、40万という高い補聴器のニーズが非常に大きいわけですが、それは今、補装具の対象になっていない。差額は全部個人負担だというような形になっているわけです。こんな小さな補聴器が40万かかるというのは信じられない現在の時代で、そういう価格がまかり通っているというのは、やはり補装具の世界と一般のコマーシャルベースの製品との間の地ならしができていないことが大きな原因なのです。そういう問題意識からユニバーサルデザイン、バリアフリーの問題と福祉用具の問題との議論があったと思いますので、こういうふうに2行書かれていますと、これは前回どおりというような印象を受けて、議論の進展が含まれていないという印象を持っています。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 済みません。私自身も進行についていけなくなっていまして。新谷委員がおっしゃっているのは1-(6)ですね。これについて厚労省のほうから追加的に御回答いただけますでしょうか。

厚労省(阿萬) 厚生労働省の阿萬でございます。
 恐縮でございますが、まず先ほどの繰り返しになります。まずは内閣府さんのほうの全体の仕切りという話もあると思いますが、表現部分につきまして、我々の省としましても、これで全てフィックスとかいうつもりもございません。今後の修正につきましては、我々としてもまた検討させていただければとは思っております。
 あと、補聴器の問題につきましては、実際になかなか商業ベースに乗らないという中で、そういう費用的なところでかなりかかってしまうというところがあるのだろうとは思いますけれども、そのあたりにつきましても、いろいろ細かい事情とかをお伺いした上で、実際、公費支給ということになりますと、いつも財源の問題とかもついて回りますけれども、我々とすると、状況をお伺いした上で、具体的にできるところについての検討をやることそのものについては全くやぶさかではございませんので、よろしくお願いします。
 以上です。

石川委員長 清原委員。

清原委員 今の御答弁等に関連して発言させていただきます。
 私も市長として自治体の立場で、国とは違いますが、計画行政というのをしております。そこで、先ほど武川政策統括官が、私たち政策委員会の皆さんの意見をできる限り反映していきたい、そして政府内を調整したいと言っていただきましたのは、この時期、大変重い決断だと思います。
 そこで私、一言申し上げます。計画行政ということで言えば、この計画というのは、3ページの2に「より長期的な展望を視野に入れつつ、平成25(2013)年度から29(2017)年度までの概ね5年間を対象とする」とあります。もう25年度に入っているわけでございます。したがって、先ほど来、大変詳細な福祉用具の件とか重要な問題が指摘されて、思いを共有している立場なのですが、一方で、何もかも反映してこの計画をつくると、かなり詳細な内容の列挙になるかと思います。
 したがって、先ほど来、委員の皆様が幾つも御指摘されたのは、「こういう方向性を明記してほしい」、「こういうことにも配慮してほしい」という重要な御指摘でしたので、それについて記述していただくことを望みつつも、余り詳細な、政省令とか、要綱とか、そういうことに入るようなことまで反映していただくと、昨年12月に私たちがお出しした方向性と逆にずれていくかのような懸念も、今のやりとりの中で聞きまして、武川政策統括官の御判断と、阿萬さんが言っていただいた、なるべく、とにかく私たちは反映していただくというのを期待しつつ、一方で、できればわかりやすく方向性を整理していただくような反映というのもお願いしたいなと。自治体の立場から申し上げました。
 私たちのかねての提言を大いに反映していただきつつ、もう一方で、パブリックコメントの時期をうまくとっていただいて、できる限り年度の前半に反映していただくことで、来年度の予算などに各府省が反映できるようにということも念頭に置いて、私たち、忙しい思いはやぶさかではないと思っていますので、少し間があいたので、次なる会議などもやっていただければなと。
 ちょっとテーマと離れてごめんなさい。ただ、石川委員長が進行に自分も戸惑うなどとおっしゃったので、私のほうも、少し落ちつく必要もあるのですが、一方で、余り細かいところを気にすると、せっかくの方向性が、政府あるいは大臣各位にぼけてもいけないので、鮮明な方向性を私たちとしては望んでいきたいと願っています。
 ブレーキをかけたつもりは全然ありません。ごめんなさい。あと、細かく分けての議論も必要だと思いながら、方向性の鮮明度をよろしくお願いします。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 先ほど上野委員が先に手を挙げていらっしゃったと思います。上野委員、お願いします。

上野委員 海上寮療養所に勤務する精神科医師の上野と申します。
 私は、この障害者基本計画の原案を読ませていただきまして、精神科医療に関する部分で、私たちが去年の12月に出した新基本計画に盛り込むべき事項がほとんど反映されていないので、非常に残念に思いました。
 私自身は、21年間、精神科医療を提供する側にいたのですけれども、日本の精神科医療は、世界的に見てかなり変わっているというか、ちょっと異常な状態にあります。私は、障害者基本計画において、精神科医療を国際的なレベルに戻してほしい、日本の精神科医療の問題点を解消するような方向性を入れてほしいと思って、去年の12月、意見をまとめさせていただいたのです。
 今回、社会的入院の解消だとか、国際的水準に見合う精神科病床の計画的削減といった目標が全く入っていないということが非常に残念です。これを実現するために、精神科病院への入院の実態だとか、退院後の地域生活の実態についての調査を行うこと、そこら辺も必要だと思いますし、現在、私が勤務している病院も含めて、精神科病院は入院医療に依存した経営モデルになっています。精神科病床を削減すると、経営的にかなり苦しくなるところもあったりするのですね。それの支援をどうするかとか、精神科医療資源の適切な配分をどうするかといったこともぜひ入れた形の計画にしていただきたいと思いました。

石川委員長 ありがとうございます。
 大谷委員、竹下委員、伊藤委員の順にお願いします。
 まず、大谷委員、お願いします。

大谷委員 上野委員の意見に全く賛同しますし、そのことを一番言いたかった者です。加えて、そのことを前提にして、我々の意見が入れられなかっただけではなく、我々は全く触れなかったことに対して触れているのかなというので、私の読み違いかなということで、今、横並びで読ませていただいています。
 新しく法律ができて、医療保護入院に関する改正がありましたから、それを踏まえて検討を行うというのは、去年の12月にはなかった事態ですから、それは仕方がない。「検討を行う」という行う方向性に関しては、附則第8条を読めばその方向性が出ているのであれば、それはそれでよしと思うのですけれども、その次の「心身喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な医療」は、いわゆる医療観察法における医療の推進ということが入っているのです。医療観察法に関する医療に関しては、我々、先回、去年12月に意見出しをしたのかということでちょっと読ませていただいているのですけれども、触れていなかったように思います。私がまだ浅読みでしたらごめんなさい。
 ただし、その方向性に関しては、我々日弁連の中でも意見のあるところですし、医療観察法を今後どうするのかということに関して重大な問題も含めているところだと思いますので、これを簡単に「適切な医療の確保を推進する」という形でちゃらっとまとめられるような問題ではないと私は認識しているのです。なぜこれが入ったのかということに関してはお聞かせ願いたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員。

竹下委員 竹下です。
 「(2)障害者に対する保健・医療の充実等」の中の5番目の〇の修文をお願いしたいということです。「障害者の健康の保持・増進、精神疾患及び難病に対して」、ここが大事ですね。「福祉サービスとの連携を踏まえた保健サービスの提供体制の充実を図る」とあるのですね。これだけでは何をするのかが見えてこないのです。
 例えば、視覚障害者の立場から申しますと、介護保険と、今で言う総合支援法と、医療保険とがいつも医療を受ける場面で1つの壁になってしまっているのです。例えば、通院するときには介護保険か自立支援法で病院の玄関までは案内しましょうと。病院の玄関の中は介護保険の適用はありませんと。医療保険の世界ですから、ここで看護師さんか職員にバトンタッチするということが起こるわけです。このことはずっと矛盾として指摘されているわけですから、せっかくここでこういう福祉サービスとの連携をうたうのであれば、そうした制度間の谷間で医療が十分に受けられない障害者が生まれないような方向づけを明確にこの部分でお願いしたい。文章までは考えておりませんが、そのことが明確になるような内容に修文をお願いしたいと思います。
 以上です。

石川委員長 伊藤委員、お願いします。
 その後、関口委員。

伊藤委員 日本難病・疾病団体協議会の伊藤です。
 この「保健・医療」のところですが、おかげさまで、この4月から総合支援法の対象にもなりまして、障害者施策の中に入ることになりました。今、支援区分の判定のマニュアルなども作成していただいているところです。固定された障害ではなくて、さまざまに変動する病気というものも前提としたマニュアルづくりが行われている中なのですが、この「保健・医療」の括弧の中で、既に「予防・治療が可能である障害の原因となる疾病等について」と書かれています。これは何か逆戻りしているのではないか。
 実はこれはここだけではなくて、例えば14ページの「研究開発の推進」の中にも「障害の原因となる疾病等の原因・病態の解明、予防、治療等」と書かれている。これは全く不自然というよりも不適切なのではないか。こういう観点で難病というものを代表にしながら、疾病というものと障害の間の垣根をなくそうとしている法改正とは全くそぐわないのではないだろうかということが1つです。余り細かいことを言うなと言われたので、細かいことは省きますけれども、1つこういうことが問題になっているということ。
 それから、これはつけ足しみたいな話ですけれども、13ページにあります難病や疾病に対する偏見・差別です。現在、ウエブだとか出版の中で「難病」ではなくて「奇病」ということが盛んに書かれているのです。「奇病」という言葉はいけないということを意味しているのではないのですけれども、せっかく偏見・差別をなくするという中で、『奇病大全』という本を出した出版社まであるわけです。そういうようなものから見れば、「不安の除去を図る」ということだけでいいのかどうか、それは具体的に何を意味するのかということもいま一歩必要でありましょう。
 それから、これも14ページになるのですが、先ほど言った上から2つ目の〇の「障害の原因となる疾病等の」云々というところの後半のほうに、「再生医療や個別化医療等の新たな医療分野について、研究開発の推進及び実用化の加速に取り組む」と書かれています。事実、国は、いろいろお金を投じてさまざまな新しい医療、再生医療であるとか遺伝子治療というようなものに取り組んでいますが、今の国の姿勢ですと、混合診療を解禁して、保険とほかの自由診療、いわゆる先進医療、保険外併用療養費なのですが、これを自由診療にしようとする。非常にお金のかかる医療なのですが、そういう形になりますと、ここで言う、せっかく開発・促進された再生医療や個別化医療というのは、多くの人、特にお金のない人は使うことができない、利用することができないということにもなりかねないということも1つ。ここは修文がどうこうというのではなくて、そういうことも視野に入れた、せっかく開発される新しい医療を多くの障害者や患者さんが使えるようなものにしていかなければならないという精神を少し盛り込んでいただきたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 関口委員、先にお願いします。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口明彦です。
 全国「精神病」者集団は、英語で言うとJNGMDPとなります。JNGMDPは、先ごろ行われた拷問等禁止条約、日本は1999年に批准しておりますけれども、日本国審査に当たりパラレルレポートを出しました。その結果、拷問等禁止条約委員会から日本政府は勧告といいましょうか要請を受けています。全部読んでいる暇はないので重要なところだけ読みますけれども、委員会は、非常に多数の精神障害者と知的障害者が非常に長期間、精神保健ケア施設に非自発的にとどめられていることに懸念を持たざるを得ない、というのが本文で書かれております。
 次に、要請するというのがAからHまであるわけですけれども、その中の2番目に、外来と地域でのサービスを開発し、収容されている患者数を減らすこと、と。簡単に言えば入院者を減らせということだと思うのですけれども、社会的入院の解消と同義語だと思います。これについて、基本計画に盛り込むべき事項として、政策委員会はベッド数の削減ということを一応入れたわけですね。それと同じことが、規範性を持つ。なぜ規範性を持つかというと、これは拷問等禁止条約の本文から直接要請される法的事項だからです。こういう勧告について現内閣は、単なる意見であるから聞く必要はないのだということを言っておりますけれども、批准している条約に反している実態があるならば、それに違反していたらそれを直すのが、批准している国の義務で、憲法98条2項に書かれているとおりです。なので、この件について一切言及がない障害者基本計画原案というのは、全く認めがたいと言わざるを得ないと思います。
 それからもう一つは、先ほど厚生労働省のほうから、障害者部会が施策を決めて推進していくのだ、それを政策委員会はモニタリングをすればいいのだというお話がありました。では、何で政策委員会という名前がついているのでしょうか。つまり、基本計画をつくるというのは施策の基本方針を示すことです。方向性を示すことです。それと矛盾した施策が行われるのであれば、はっきり言って、障害者基本法に定められている基本方針からずれていることを他の省庁がやるということは、基本法のほうが上ですから、おかしいと私は思います。とりあえず、それだけはとにかく言っておきたい。
 精神保健福祉法が改正されて、基本的に家族の保護者というのがなくなって同意者と。これも来年度から施行ですけれども、ここにも書いてありますが、既にもう施行しているものがあるわけですね。それは精神医療審査会です。これについては国会審議の中で予算をちゃんとつけるとか、人員をちゃんとしろとかいうことがあったわけですけれども、その実態が見えないのですね。どれくらいの予算をつけるのかとか、そういう話が見えない。書いてはありますけれども、充実・適正化というのでは、今の実態がどれくらい変わるのかということについて全く読めないので、これでは書きぶりとして困るということがあります。あとは、ほかの方が大体言ってくださったので、これで終わりたいと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 先ほど福島委員が手を挙げておられたので、そこまでで1回切りたいと思います。

福島委員 福島です。
 これまで委員の皆さんが発言して、主に事務局の皆さんに質問なさっているという構図ですが、ちょっとイレギュラーですが、5、6人さかのぼって、清原さんの発言の意図を確認したいのです。
 というのは、その後の委員の皆さんはその清原さんの発言に触れておられませんが、指点字の通訳を通して聞いているので、正確に意図が理解できていないかもしれないので、認識共有のために。
 私の理解では、清原さんは、まず、今日の議論を踏まえての基本計画の一定の再検討もあり得るとおっしゃった武川統括官の発言を重いものだと受けとめた上で、しかしながら、25年度から29年度の中期的な計画をこの基本計画では決めているわけなのであって、そして25年度も7月になっているわけで、余り細かいことにこの時点でこだわっていることはいかがなものか、大きな方向性を決めていただければ、ディテールについてはその後やりながら改善・改良、運用面で柔軟対応していくといったことを含めて、あるいは今年度の前半ぐらいでとにかく決めていけばいいのではないかというニュアンスでおっしゃったように私は受けとめていたのです。
 もしそうだとすれば、ほかの委員とは随分ニュアンスが違っていて、私が一番疑問に思ったのは、25年度からの計画であって、実際、今、25年の7月であることは事実なのですが、この政策委員会の開催決定権が私たちにはない。さらに、基本計画の策定主体も私たちではないとすれば、25年度に入っているのだから、そんな悠長なことでディテールの話をしていても仕方がないでしょうみたいなニュアンスのことを私たち委員が決して言ってはいけないのではないかと私は思うのです。
 清原委員の御発言の意図を明確にした上で、何をおっしゃろうとしたのか、もう一度御説明いただきたいのです。
 以上です。

石川委員長 では、清原委員、先によろしいですか。

清原委員 福島さん、御質問ありがとうございます。
 私も流れの中で不適切な場所で発言をさせていただいて申しわけなかったのですが、私は皆様と同じ立場にいる1人の委員として、全体として、政策委員会の委員の多くがまとめた内容について反映した今回のものが出されたとき、多くの委員が十分反映していないとおっしゃったことに対して、方針としては、政策統括官としては最大限反映した原案をこの場で提起されたというふうに立場としては認識されていたにもかかわらず、私たちの御意見を反映して、できる限りもう少し時間をかけようと言われたのは、私は、お立場から見て大変重い判断をこの場でされたと思っています。
 留保としては、どこまで政策統括官が権限をお持ちかわかりませんが、政府内でそのように話し合いを持っていきたいとおっしゃったわけです。そうであるならば、今後、話し合いをされて、どのような方向になるかというとき、私たちは常に建設的でありたいと思いました。修文として文章を提案できる方もいらっしゃると思いますが、この場で意見を言うことによって反映を求めたいという立場の方もいらっしゃると思います。でも、大方の総意として、この政策委員会としてはしっかり責任をとりたいということに対して、武川政策統括官が受けていただいたということは、私は大切なことだと思っています。
 そうは言いながら、私も実はこういう経験がございます。ある年度を初年度としている基本計画でしたけれども、市民の皆様や議会の皆様の御意見を反映するために、その年度の最終の3月に計画を確定したという経験を持っています。ですから、反映度を上げようと思えば、期限を延ばすことはできると思うのですが、これは法律にのっとった計画でございますので、計画年度が平成25年度からあるということも私たちとしてはいま一度確認しなければならない。
 ただ、なぜこの場まで延びたかと拝察すると、一方で望ましいことですが、多くの障害者に関連する法律が国会によって提案され、審議され、策定されました。したがって、その動きを見なければ計画はつくれなかったという事務局の都合もあるというふうにも拝察したわけです。
 そうであるならば、望ましい障害者差別解消法であるとか、改正障害者雇用促進法であるとか、障害者優先調達推進法であるとか、それを反映した計画にする必要もありますので、遅れたことを責めることも難しいかなという私なりの思いもありました。
 したがって、私としては、皆様と思いは同じで、丁寧に議論をしたいと思いつつ、一方で、やはり時限つきのこともありますので、この場の発言について、できれば全体で方向性を共有できる御意見を皆様が意識していただく。あと、具体のことについて、関連の各府省、内閣府、厚生労働省、文部科学省等とも御検討をいただけるのではないか。計画に細かい私たちの意見を言うことによって大筋をまとめられたらこのような姿になったのではないかとも思っています。細かいと言ったら大変失礼ですが、当事者、あるいは関係者の方が率直に意見を言っていただくのも大事なのですけれども、一方で、自治体の立場で、今、調査をしながら、来年度、法定の計画をつくらなければいけない立場があったので、ちょっと気がせいたことをおわびします。この政策委員会の総意としてもう少し丁寧に時間をかけてやる方向が出されているわけですから、その一員としては、私としても歩みを御一緒にしていきたいと思っています。
 最後に申し上げます。自治体は具体的な計画の実施の担い手でもあります。その場合、自治体は、障害者団体の皆様と障害当事者の皆様との信頼関係がなければ担い手としての責務を果たすことができません。ささやかな経験ですが、三鷹市長として、障害当事者の方、障害者団体の皆様と地域自立支援協議会などを通じて、できる限り、可能な限り、法律、あるいは制度にのっとった取り組みをさせていただいている立場から、計画等についてもしかるべき時期にまとめていただいたらありがたい、そんな心情を吐露したわけでございます。
 繰り返しになりますが、自治体の立場、また全国市長会の立場としては、皆様と歩みをともにしていきたいということは御信頼いただければと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。

福島委員 福島です。
 一言だけ。
 清原さんは三鷹市でしたか。三鷹市のこういった基本計画のときに、その年度の7月になってから議論なさるのですか。

石川委員長 ちょっと済みません。議長として。
 今、清原委員の発言をめぐって、それは違うのではないかという福島委員の御指摘がありました。お二人の間で、あるいはほかの委員との間で一定の違いがあることは理解しました。が、それはそれでそういうことなのだというふうにしていただけませんか。違いがあるということでよいではありませんか。この件はこれ以上進めたくありません。それよりも、出てきている議論は、基本的な方向性についての違いにかかわる指摘が多かったように思います。細部にわたる修文の問題というよりは、基本的な考え方や方向性について指摘が多かったので、調整の困難に直面しているということだと思います。
 「2.保健・医療」に関して言いますと、とりわけ精神保健福祉に関して上野委員や大谷委員、あるいは関口委員等から御指摘があったので、厚生労働省からお答えいただきたいと思います。

厚労省(阿萬) 再び、厚生労働省の阿萬でございます。
 精神医療の関係につきましては、先ほども委員のどなたかが言及されたと思いますが、先日、精神保健福祉法の改正案が国会で議決・成立をしております。その中で、来年4月に向けまして、その精神保健福祉法の枠内で精神医療のあり方についての基本指針などについて作成をするということで、それについても社会保障審議会障害者部会の下で、正確に言うと、障害保健福祉部長の私的な検討会ということでございますが、検討会をつくってそこでの具体的な検討を今後予定しているところでございます。
 さらに、審査会についてのお話も出ました。構成員の見直しにつきましては、法律上の措置でございますが、マニュアルの改正ですとか、そのようなものにつきましても、今後、専門家を交えた検討をやっていくことになると思っております。また、予算上の措置につきましても、この前、法律が通ったばかりということもありますので、今の段階で申し上げる内容はございませんが、どのような形になるかというのはまた検討していくということだとは考えております。
 あと、医療観察法についての御指摘がございました。我々といたしましては、前回の計画にも同様に医療観察法についての記述があったということで、そのまま議案の中に入っていると認識しております。その点も含めまして、先ほどから何回も繰り返し恐縮でございますが、具体的な今後の修文につきましては、内閣府さんのほうの仕切りの中で、我々のほうとしても必要な検討、協力はしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。

石川委員長 関口委員、どうぞ。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口です。
 上野さんも言っていらした社会的入院、あるいは拷問等禁止条約委員会から日本政府に対して行った最終見解の中でも、収容されている人数を減らせと言っているのです。この勧告は、拷問等禁止条約の委員会から出されているもので、拷問等禁止条約は1999年に日本政府が批准しているわけで、なおかつ、日本は人権理事会の理事国です。この拷問等禁止条約からの直接の要請である患者数を減らしたほうがいいのではないかということに関して、何も書かれていない。社会的入院についても。つまり、政策委員会は盛り込むべき事項としてベッド数の削減というのを入れたはずなのに、基本計画の中で何も触れられていない。今おっしゃった厚生労働省の説明でも、その点については触れられていない。到底納得できない。
 というのは、条約委員会からの勧告というのは、政府丸ごとですから、つまり、司法・立法・行政全てを縛るものですから、そんな軽々しいものではないのですね。行政府だけをいじめているわけではなくて、立法不作為まで問うわけですから、丸ごと叱られているわけです。確かに、行くのは外務官僚で、省庁、行政が行くのですけれども、叱られるのは日本政府丸ごとですから、司法も叱られるということになります。その重たい勧告・要請を受けた上で、政策委員会の単なる見解というものを超えて、国際的に言われていることについて厚生労働省はどう対応するつもりなのか、それを示していただきたい。

石川委員長 ありがとうございました。
 病床数の削減ということと実質的に同等の意味を持つような書きぶりで基本計画に入れるといったようなことも可能かとは思うのですが、阿萬室長、いかがでしょうか。

厚労省(阿萬) 厚生労働省の阿萬でございます。
 今、御指摘いただいているところでありますが、何回も繰り返しになって恐縮ですけれども、私自身、一つ一つの個別の項目にコメントをしているわけではございません。基本的に、文章の修正につきましては、今後いただいている意見につきまして個別にまた検討することになるという前提でお話をさせていただいております。その中で、拷問等禁止条約の委員会から出された勧告の内容等につきましても、当然、我々としてもその内容については、実際、その場に我々厚生労働省の担当者は行っておりませんので、具体的に全て全部知っているかどうかというのはありますが、内容についてはちゃんと我々のほうにも連絡を受けております。その中で、今後、そういうものを含めながら、精神科医療のあり方をどのようにするかというのを検討していくということだとは考えております。我々厚生労働省としてもそれは検討していくことになると思いますし、それをまた障害者基本計画の中にどのように書き込むかというのは、また今後の調整だという認識でおります。
 以上です。

石川委員長 1回息を入れませんか。休憩の前に、今、おっしゃりたいですか。
 では、後藤委員、伊藤委員のお2人だけ。

後藤委員 日本福祉大学の後藤です。
 清原さんよりもっとお叱りを受けるかもしれませんが、私は、自治体のような年度内の作業を背負っている者ではないのですが、一方で、この計画はまとめてつくらねばならないということがあり、各省庁にも、「聴くとは何か」という法の解釈もあるかと思います。ここで文言まで全部詰めるのか、どういうまとめ方をするかという方針を共有しておいたほうがよいと思います。
 政府は政府としてされることですので、この委員会は政府が閣議決定することまで全部責任を負うのではなく、意見は委員会の責任ですが、一方、政府の側の事情もあるところで、どこかで折り合わなければならないと思います。
 この場ではなるべく意見を入れると政府の側はお答えくださっていますが、結局、内部の事情もあろうと思いますから、あと2回開こうが、3回開こうが、できないものはできない。最後は意見を聴く、聴いたけれども、政府として判断するということと思います。ですから、全部入れるというのではないのではないかと思います。委員は意見は言う、しかし、最後にまとめるのは政府ではないかと思います。
 この場で全部合意するまでやるか、そうでないなら、一定のところを押さえてまとめることも必要と思います。怒られるかもしれませんが、どういうまとめ方、時間の使い方をするか、個々の議論をする前に、先に大筋で共有しておいたほうがいいと思います。
 私の意見は、やはりまとめなければならないと思います。

伊藤委員 日本難病団体の伊藤です。
 先ほど清原委員は大変優しい方ですから、武川統括官の立場をおもんばかっていろいろ言われたのかなというところがあるのですが、だとしたら、ちょっと聞きたいことがあるなと思ったのです。
 これは厚生労働省のほうでお答えいただく話だと思いますが、先ほど言ったのと同じ、15ページに「難病に関する施策の推進」がある。これはこれで大変いいのです。だけれども、肝心の、その一番最初のところに基本的な考え方というところで、予防治療が可能である障害の原因となる疾病等についてということが原則だとしたら、原因もわからず、治りもしないし、予防もできないという難病というのは、この中でどういう位置づけになるのかということは、大きな問題だと思うのです。そのことを、なぜこういう書き方になったのか、このままでいくのかということぐらいは聞きたいと思うのです。
 私も委員の一人としてことしの1月にまとめました難病対策の提言の中では、難病というのは、その原因が遺伝子レベルの変異であるものも少なくない。したがって、日本人の誰もがその疾病を発症する可能性があるのだと定義したわけです。今までのように、遺伝子の問題を避けて通るのではなくて、明らかに、その多くの場合は遺伝子レベルの変異に原因があるとしているわけです。そういう考え方からいっても、国民の誰もが発病する、発症するかもしれないと言っているときに、予防・治療が可能である疾病という枠組みの中にこの難病を入れるということは大きな矛盾があると僕は思いますので、なぜこういう表現になったのかはお聞きしたい。その上で、これは改めるか、あるいは改めないのだったら、私たち難病の団体としては、この文言そのものを含んだこの基本計画には全く納得できないということだと思います。
 ということで、今ここでそのお返事をいただくということではないのでしょうけれども、そのぐらいこれは我々としては非常に大きな部分だと思っております。聞き置くだけでは済まされないだろうと思いますので、時間のない中であえて発言させていただきました。

石川委員長 ありがとうございました。
 本当は4までいこうと思ったのですが、ここで休憩を入れさせていただいて、4時再開ということにさせてください。

(休憩)

石川委員長 現在、分野別の2まで一応議論したのですが、まだまだあります。今日最後まで行きたいのです。5時までには無理だと思いますので、15分か20分程度の延長を御了解いただきたいと思います。恐縮ですけれども、最後まで参加していただけない場合も含めて御理解いただきたいと思います。
 3の教育、4の雇用と進めていきたいと思います。御意見は多々あろうと思いますけれども、重要度が高いであろうところから議論をして、ある程度のところで次へ進めていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 それでは、3の「教育、文化芸術活動・スポーツ等」につきまして御意見をいただきます。
 阿部委員、どうぞ。

阿部委員 日身連の阿部です。
 3-(1)-5は、さまざまな分野の連携のもと、個別の教育支援計画の策定・活用を促すということで大事なことだと思います。ただし、この数値目標といいますか、36ページの関連成果目標を見ますと、個別の教育支援計画作成率、24年度76.2%、それが29年度80%以上というのは、本当にわずかなパーセンテージの上積みしか示されていないので、これについては、例えばこれまでの個別の教育支援計画が不十分だったとか、そういうことなのか、なぜこんなに大事なことで、現在も76.2%まで策定されているものが29年度にようやく80%以上という成果目標になったのかについて、その辺の事情をお聞きしたいと思います。

石川委員長 委員からの意見を引き続きお受けして、まとめて答えていただきたいと思います。ほか、いかがでしょうか。
 大谷委員、尾上委員の順にお願いします。

大谷委員 大谷です。
 再三述べていますけれども、我々の意見が反映されていないだけではなく、ここは逆に言うと文科省の中教審の意見が張りつけられている。本当にコピーされていることに、まず驚きを持つ。例えば16ページの「インクルーシブ教育システムの構築」の○の2番目、これは本当に同文なのです。私、確認しましたけれども、一言一句文科省の意見がここに張りつけられ、なおかつ、我々の意見が全く無視されたことに関しては驚きを禁じ得ない。なぜここは、このように中教審の意見だけが生きてしまって我々の意見が無視されたのかということに関しては、ぜひ説明をいただきたいところです。
 加えて、いろいろな分野で複数の意見が出ることはあろうかと思います。文科省と内閣府が必ずしも同一意見ではなかったことがあろうかと思うのですけれども、そのときにはせめてすり合わせをするというか、一致できる意見はどうだったのかということを努力すべきであると私は思いますけれども、努力の形跡もありません。
 ということで、私は、このインクルーシブ教育システムの構築に関しては、ぜひ我々の意見を優先してもらいたいし、それができないのであるならば、なぜ文科省はそれができないかということについての説明責任を果たしていただきたいと思っております。
 意見を具体的に述べたいと思うのですけれども、同じ場で共に学ぶことを追求するということが4番目にやっと出てくるのですが、障害者基本法の教育条項は、共に学ぶことに配慮しつつということが今回初めて入った。改めてここに入ったということは、今回の基本計画からこの方向性にかじを取るのだということで、非常に重要な変更、改正だったにもかかわらず、そのことが4番目に初めて出てくることも納得できませんし、そのことをメーンにした我々の意見が全く無視されたことも納得できませんので、ぜひこの点に関しては再考していただきたいと思っています。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 尾上委員、お願いします。

尾上委員 尾上です。
 先ほど大谷委員が言われたものと基本的に同意見なのですが、特に就学先決定の部分は、再度、政策委員会の昨年12月の意見に沿った形で、もう少しすり合わせをお願いをしたいということの上で、もう一つさらに具体的な修文ということで、先ほどの4つ目の○のところなのですけれども「同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある子どもに対して」云々という形で、失礼な言い方をすれば、ちょっと取ってつけたような感じの同じ場で共に学ぶことを追求という感じに聞こえるのですね。
 そうではなくて、17ページの高等教育における支援の推進でしたら、1番目の○に「障害のある学生が障害のない学生と平等に参加できるよう」合理的配慮を行うとはっきり書いているわけです。せめてこれと同じような書きぶりを初等中等教育のほうでもやってもらえないのかと思うわけです。実際、この第3次の基本計画というのは5年の期間ですから、差別解消法の施行の時期も含むわけですね。
 これは参議院での国会の速記録を見たのですけれども、合理的配慮の義務づけの範囲ということで、学校はどうかという質問がありました。それに対して政府のほうから答えていただいているのが「今御指摘がございました公立の小中学校の設置、管理運営につきましては地方公共団体が行う事務事業に当たることから、特別支援学級や通常の学級といった場を問わず、障害のある児童生徒に対する合理的配慮の提供が義務付けられる」とはっきり答えていただいているのですね。
 だとすれば、せめて同じ場で合理的配慮を得ながら共に学ぶことが原則である、これが差別解消法から言えるわけですね。単に理想として共に学ぶことを追求するというより、差別解消法でもお答えいただいているわけですから、実際に合理的配慮を得ながら共に学ぶことを原則としということを書いていただけないか。少なくとも高等教育のほうではそう書かれているので、それに合わせた書きぶりに整理をしていただけないかということであります。

石川委員長 ありがとうございます。
 氏田委員、どうぞ。

氏田委員 日本発達障害ネットワークの氏田です。
 尾上委員と同じ意見なのですけれども、初等中等教育のところで、文科省の実態調査で6.5%という数字が出ています。つまり、通常学級の中での合理的配慮を行っていただくことで、発達障害かもしれないという子どもたちがそこで学べることになるので、ぜひ初等中等教育のほうにも合理的配慮の部分を書き込んでいただけたらと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 大谷委員、おっしゃりたいですか。

大谷委員 もう一言、言い忘れた。

石川委員長 どうぞ。

大谷委員 成果目標のところです。数値目標で4点挙げられていますけれども、共に学ぶことの数値目標が全く入っていないのです。いわゆるインクルーシブ教育がどの程度推進されたのかに関しては、ぜひ数値目標を挙げてもらいたい。例えば障害のある子がどのぐらい地域の普通学級に就学できているのかどうかということ、もしくは保護者の意向がどの程度尊重されたのかどうかということに関しては、数値を挙げることは可能だと思いますので、ぜひそれをこの数値目標の中に挙げてもらいたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 それでは、文科省の大山課長のほうからお願いします。

文部科学省(大山) 文部科学省の大山でございます。大変貴重な御意見、ありがとうございます。
 まず、文科省といたしましては、昨年秋のこの政策委員会の小委員会の場でも考え方につきまして御説明をさせていただいたところでございまして、大きな方向性といたしましては、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築に向けて、特別支援教育をしっかり推進していくということでございます。
 基本的な大きな考え方といたしましては、昨年7月の中央教育審議会初等中等教育分科会の報告にのっとってということで必要な対応をとっているところでございますが、当然ながら、前提として障害者基本法の第16条に教育についての条文がございまして、この中で、障害者が十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるように配慮しつつ、施策を講じなければならないともなっておりますし、この目的を達成するためということで、16条2項におきましても「障害者である児童及び生徒並びにその保護者に対し十分な情報の提供を行うとともに、可能な限りその意向を尊重しなければならない」といった記述もございますので、これらを踏まえまして取り組んでいくということで考えております。
 また、差別解消法が今般成立いたしましたので、その考え方を踏まえてということも法律でございますのでもちろんのことでございますし、実際、具体的にこういった事柄を実現していくために、25年度の予算の中でも、インクルーシブ教育システムの構築に向けてということで、予算を大幅拡充して取り組んでいるところでございます。
 いただいた細かな点を含めて、この場でお答えするのがなかなか難しいところもあると思っておりますので、先ほど厚生労働省さんのほうもおっしゃっておられましたけれども、一旦お聴きをさせていただきましたので、また個別具体のところは検討させていただきまして、内閣府さんの仕切りの中で調整をさせていただければと考えております。

石川委員長 ありがとうございました。
 中教審の報告の書きぶりを尊重していただいていますが、中教審と政策委員会で考え方の違いは基本的にないと思いますので、大谷委員や尾上委員がおっしゃったような表現についても、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 関口委員。

関口委員 今さら言うまでもないことですけれども、障害者基本法の目的条項が第1条にあって、結構長いので読みませんけれども、その後で12条のところに「政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない」と書いてありますね。目的条項は非常によくできていると思うのですけれども、実際的にこの目的を達成するための法制もしくは財政上の措置を講じなければいけないわけなのですが、法制的にどう変わったのかとか、あるいは財政的にどう変わるのかとか、その辺のところが読めてこないので、そこのところをお願いします。

石川委員長 では、これについてお答えいただけますか。

関口委員 障害者基本法第12条と第1条について述べただけですけれども、基本法の第1条に目的条項が書いてあって、長いので読みませんでしたけれども、その目的を達成するために必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならないというのが、障害者基本法第12条に書いてあるわけですね。これに沿って厚生労働省なり文科省なりの施策が行われているのかどうか、とりわけ財政上の措置がどうなっているのかということ。

石川委員長 内閣府から言っていただけますか。

武川統括官 それは基本法の話でして、ほかの基本法でもそういう措置の規定が多く書いてありますけれども、その基本法を受けて、各省庁の個別法でそれぞれ雇用分野なりに対応していると思いますので、今日の議論とは直接関係ないのではないかと思います。

石川委員長 まだ教育についてはあろうかと思いますけれども、一言一句変わらないということでもないかと思いますので、ぜひ大山課長、御検討をいただきたいと思います。ほとんど同じことを言っていても、受けとめる側として皆さん心配されているので、書き方を変えるだけで文科省に対する信頼感が随分高まると思いますので。中教審の報告はあるわけでそれはそれでいいわけですが、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。私も特特委のメンバーでしたので、かえって恐縮してしまうところがございますのでよろしくお願いします。
 次の4の「雇用・就業等」について御意見をいただきたいと思います。
 中西委員、川﨑委員、勝又委員の順にお願いします。

中西委員 中西由起子です。
 先ほどの保健・医療のリハビリのところで農業の話が急に出てきたので、そこで質問をしようかと思っていたのですが、ここにも出てきます。21ページの4-(3)-5です。ここでも急に、農山漁村を医療・介護・福祉の場として活用するという話が出てきて、先ほどはリハビリのために、ここでは就労訓練及び雇用のために農場の開設、農園の整備というのが出てくるのですね。これはその前のページ、4-(3)-3になりますが、短時間労働や在宅就労など障害者が多様な働き方を選択できる環境の整備、これは職種も入ると思うのですが、そういうものからかけ離れて、何か巨大なコロニーがつくられるようなことを考えてしまいます。これはあくまで一つの雇用の選択肢としてで、ここに急に農業と出てくること自体がおかしいのではないかと思いました。

石川委員長 ありがとうございました。
 では、川﨑委員、お願いします。

川﨑委員 ありがとうございます。精神障害者の家族会の川﨑です。
 19ページの障害者雇用の促進のところについて意見をさせていただきます。
 2つ目の○のところにありますが、今回、障害者雇用促進法の改正に基づきまして、精神障害者がこの法定雇用率に加算される。平成30年度からなのですけれども、そのことは文言としてぜひとも入れていただき、法定雇用率の達成についてのこのような法文を載せていただきたいと思うことが1つです。
 それともう一つ、質問ですけれども、成果目標の37ページのところで下から5行目の地域障害者職業センター、ここの支援対象者数が、現状が14.8万人で、今回目標が14.7万人と数が減っているのですけれども、この辺のところを御説明いただきたいと思っております。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 勝又委員、お願いします。

勝又委員 ありがとうございます。勝又です。
 私は雇用・就業等のところで、まず入っていないと気づくのは、私どもが意見として出した中で、先ほどの生活支援のほうでもご意見がありましたが、通勤支援と職場での生活支援についてです。これは当事者にとって差し迫った課題であることを踏まえて、福祉サービスとの連携を含めて早急に検討することという小委員会としての意見を出しております。これについて全く触れられていないことはどうしてなのか。ぜひ触れていただきたいと思います。
 あと2つ、質問と意見ですけれども、こちらの就労継続支援B型事業所のことについて21ページのほうにございまして、工賃の向上というのは現行の基本計画でも述べられているところだと思いますけれども、後ろのほうの37ページに、現状は1万3,586円で、目標は「【P】」となっておりますが、これはどういうことかということについて伺いたいと思います。
 これにつきましては、就労について検討をしているときに、就労継続支援B型には事業者によって工賃に非常に大きな開きがあると聞きました。そこで、小委員会では平均値でものが言えないという意見が出ておりました。それなのにここで平均値を持ってくること自体に私は疑問を呈するわけですけれども、いずれにしましても、このPということの意味について伺いたいと思います。
 最後でございますが、21ページの経済的自立の支援というところの下から2番目の○に、「国民年金の未納・未加入者の減少のための取組を進める」と書いてございまして、これに関連するかと思われるのですが、37ページの目標のところに、国民年金保険料の納付率について現状と目標ということでこういう形になっているわけなのですが、これは別に障害者にかかわらず、全ての国民年金の保険料の納付率の話かと思いますけれども、ここにこういう目標を持ってきたことと、障害者の基本計画の間の整合性について伺いたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員、お願いします。

竹下委員 竹下です。要望が1点と質問が1点です。
 要望の1点は、(3)の障害特性に応じた就労支援及びの後です。多様な就業の機会の確保という中の○の3つ目、その中に「短時間労働や在宅就業など障害者が多様な働き方を選択できる環境を整備するとともに」とあるわけです。この書きぶりと、その次に(5)の最初の○で「障害者が地域で質の高い自立した生活を営むことができるよう」の後です。「雇用・就業の促進に関する施策との適切な組み合わせの下」とあるのです。この2つの中身がよくわからない。
 私のほうは、昨年12月にまとめられた意見書の中で、障害者の場合には在宅就労あるいは自営業者が、社会参加、経済活動参加に積極的にその形式で参加している人が多いことを指摘して、その場合への支援というものの重要性を指摘しました。例えば雇用の場面では、職場介助者というものが、今度の差別解消法で言えば合理的配慮としてあるわけですが、在宅就業または自営業者に対してはそうした支援が全くなされていないというのは、きわめて片手落ちだと、あるいはよくないということを申し上げてきたわけで、そのための支援策というものを、この部分で明確にしていただきたいというのが要望の1点です。
 もう一点は、勝又委員と全く同じです。なぜ経済的自立のところに年金、保険、とりわけ年金の未納者の問題が入ってくるのですか。これをここに持ってくるというのは、障害者に未納者、滞納者が多いからだということにつながってくると思うのです。それが事実ならばそのデータを出していただきたい。そうでないならこの文は削除していただきたいというのが要望ないしは質問です。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 ここで、厚生労働省のほうからお答えいただきたいと思います。

厚生労働省(山田) 厚生労働省の障害者雇用対策課長の山田です。
 幾つかの分野に分かれていますので、農水省等から補足していただきたいのですけれども、最初に川﨑さんのほうから出た雇用促進法改正につきましては、この政策委員会にかかわられている委員の皆様にも非常に御苦労をおかけして、何とか障害者雇用促進法改正がなったということで、そこに感謝申し上げたいとともに、この計画期間中に施行が来る差別禁止の部分については明確に書いているのですけれども、精神の義務化については、ちょうどこの期間から外れるということで明確にはしていませんでしたが、そこは書き込む方向で修文をいたします。
 それから、37ページの成果目標の地域障害者職業センターで、現状の14.8万人から14.7万人、何で減ったのかということなのですが、実は前期の計画ですと、精神障害者、発達障害者の人たちの支援対象者の中での比率は40%台前半だったのですが、恐らく今後50%近くまで、精神、発達の人たちが利用者としての割合を増すだろうということで、そういった方たちに対する支援は非常に時間がかかるということで、支援力自体は拡張しているつもりなのですけれども、実際、支援対象者の状況が変わってきているということで、あえて若干減という形でセットしております。
 通勤支援の問題、勝又委員から言われた最初の質問についてですが、合理的配慮の提供について通勤支援を入れる入れないという問題については、うちの労働政策審議会のほうでも非常に議論がありましたし、たしか差別禁止部会でも両論併記の形になっていたと思います。ということで、それを排除しているわけではもちろんないのですけれども、あえてそれを具体的に挙げるのは、閣議決定をする基本計画という性格からして厳しいと。
 ということと、障害者雇用促進法における民間事業者に対する合理的配慮の提供というのは法的義務で、差別解消法よりもレベルが高いということも考えまして、今回は合理的配慮の提供についての言及はしていますが、そこについてはあえて入れていません。
 竹下委員の最初の御質問については、幾つかの分野にまたがる話ですので、私どものほうだけでどうこうという話ができません。そこは内閣府とも相談をして検討する必要があるかなと思っています。

石川委員長 ありがとうございました。

厚生労働省 障害保健福祉部のほうからも2点ほど。
 就労継続支援B型等の平均工賃月額ということでございますが、まず、そもそも平均値で見ることが正しいのかどうかという御指摘もございました。それについてはまた別途議論をさせていただければと思いますが、Pになっておりますのは単に数値が間に合っていないということですので、今、取りまとめ中でございます。それが1点でございます。
 あと、年金の関係の御指摘がございました。1点おわび申し上げますが、年金の担当者が今ここにいないというのがありまして、この経緯につきまして、今、我々のほうで御説明できる人間がおりませんが、我々の省に戻って年金の担当のほうには今の御指摘を伝えたいと思います。
 以上です。

石川委員長 農水省のほう、お願いします。

農水省(荻野) 農林水産省の荻野と申します。
 先ほどの中西委員からの御発言で、4-(3)-5また前の保健・医療の2-(2)-6のところで、農業分野の記述が唐突ではないかという御指摘をいただいたところでございます。おっしゃるとおり、雇用やリハビリの場の選択肢の1つとして、農業分野としてどのような貢献ができるかという観点からの内容でございますので、内閣府の仕切りのもとで、政府全体で誤解や違和感のないように調整してまいりたいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 時間の関係もあるので、雇用について花井委員からの御意見をいただいて、次へ行かせていただきたいと思います。

花井委員 花井です。
 この雇用・就業等という中に経済的自立の支援が入っていますが、非常に違和感があります。障害者政策委員会の意見の中では、年金等、経済的負担の軽減という中で1つの独立した項目になっていたのですが、先ほども意見がありましたように、自営業者に対する支援が少ない、あるいは一方で障害者の経済的自立が大変重要だなどが随分議論されてきたわけですが、そのことが雇用・就業の中に入っていることが、違和感が出てきている原因ではないかと思います。やはりそれは一つ独立させるということを考えて、もう少し丁寧な書きぶりをしてもいいのではないかと思います。
 それから、国民年金の未納というのは非常に唐突感があって、このことは全体的な話であってここであえて書くことかという違和感があります。そこも調整していただければと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 年金という項目が立っていないということ、あるいは所得保障ですね。これについては内閣府の仕切りですか。それとも厚労省にお聞きしたほうがよろしいか。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 全体の枠組みというか、この項目の立て方として、雇用だとか就業だとか年金だとか、そういうものを全く切り離して記述するというのも、それはそれで筋がある意味立たないのではないかということもあります。そのため、大きな枠組みとして、この中に経済的自立の支援というのも入れているということですが、そこはまた本日の議論も踏まえて検討をさせていただければと思います。

石川委員長 花井委員。

花井委員 花井です。
 経済的な負担の軽減という言葉が前回の委員会の意見に入っていましたが、それは雇用・就業の中だけではくくれない、もっと横断的な経済的な問題、自立的な問題があると思うので、むしろ単独でもっと範囲を広げて語ったほうが、より全体の現状とか今後の方向性を表すことになるのではないかと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。内閣府のほう、これも御検討をいただきたいと思います。
 雇用・就業等で、5人いらっしゃる。5人の間で多少減らすことは可能ですか。難しいですか。御意見を余り出していらっしゃらない方を優先したいと思います。
 では、佐藤委員、お願いします。

佐藤委員 ありがとうございます。
 12月の意見と比べて漏れている大事な点としては、多様な働き方についての検証、試行事業というのが全く入っていません。政策委員会では、その内容をどうするかという議論をしていたのですけれども、この検証、試行事業自体がなくなるというのは非常に驚きです。
 それから、法定雇用率制度は継続しつつ、その対象の拡大について基本法第2条の定義を踏まえて検討する。このことも、もう課題意識がなくなってしまうような原案かなと思います。
 先ほど通勤支援のことが、合理的配慮の枠の中で論じられているかのように聞こえたのですけれども、これは全然違いますね。合理的配慮の概念というのは、事業主がそれほどの負担なく工夫をする、配慮をすることによって平等に働けるようにするための非常に個別的なものであって、こういう支援制度にかかわるようなものを合理的配慮の概念の中で議論をして、落ち着きが悪いから入れなかったということはあり得ないことではないかと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 あと、阿部委員と浅倉委員はまだ一度だけしか御発言になっていないので、優先させていただこうと思います。

阿部委員 日身連の阿部です。
 障害者優先調達推進法についての4-(3)-4と、再掲の4-(4)-2はとても大事なことだと思います。この文言の中で「障害者就労施設等の提供する物品・サービスの」というのは大事なことだと思います。このように、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。この「等」の中に障害がある人を雇用している企業も入っていって、そちらのほうばかりの優先調達にならないようにという配慮が必要なのではないかと思います。
 その前に、この「等」は何なのですかと聞けばよかったですね。その「等」というのは何なのでしょうか。

石川委員長 浅倉委員、続けてお願いします。

浅倉委員 ありがとうございます。浅倉です。
 私たちが議論をしたとき、労働と福祉が一体化していないことが最も問題であるという認識で意見書をつくったと思います。行政が縦割りになっていて、それに応じて制度の谷間ができてしまい、利用がしにくい、あるいは利用から漏れてしまう。そこが一番問題だということで、その象徴的な問題が、自立支援法のもとでは経済活動に係る外出とか、通年の外出が対象外となっていて支援されない、一方、被用者の通勤とか自営業の通勤の支援がないという問題でした。これが一番問題であったと思います。例えば職業訓練を受けても自力で通勤できる人しか働くことができないことが問題だ、という意味だったと思います。
 ですので、このことは、先ほど山田課長から御説明があったような合理的配慮の問題としてだけで指摘したわけではありません。通勤支援と職場での生活支援の問題や、さらに、自営業に従事するときの障害者への職場介助とか、移動支援の制度化などについても申し上げたわけです。しかも、これらは非常に難しい問題だということも理解しております。ですので、一挙に解決しろという形ではなく、ぜひその検討に着手してほしいという言い方を意見書ではしておりました。したがって、ぜひともこれを問題として認識するという書き方で結構なので、指摘していただければと思いました。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 山田課長、お願いします。

厚労省(山田) 厚生労働省の山田です。
 多様な働き方のいわゆる賃金補?に絡む試行事業については、前回の小委員会でも申し上げましたけれども、一般就労への移行の阻害という副作用をどうしたらいいのかということについて何ら回答をいただいていない。理論的整理がなされないまま試行事業をするということはあり得ないと思います。ここは強く、私のほうから言わせていただきたいと思います。
 あと法定雇用率制度についても、この10年の障害者雇用の大きな拡大を支えているのは法定雇用率制度であって、そのこと自体が障害者雇用は拡大していないということを言われる方もおられますけれども、それは事実としてあります。その上で、なぜ法定雇用率制度自体についてそれほど否定されるのかということについては、私もこのポストに座って、今、4年目になりますけれども、政策委員会においても障害者制度改革推進会議においても、そういった話についてはつまびらかにしていただけていません。
 通勤支援については、私はあくまでも合理的配慮の概念と絡むということで言ったまでで、合理的配慮の概念の中だけで処理できる問題とは当然思っていません。
 最後の労働と福祉の一体化の問題については、私は一体化すること自体が正しいかどうかということに疑問を持っています。労働と福祉が連携しなければいけないというのは実際に事実であって、それぞれ労働が福祉の要素をはらみ、福祉が就労の要素をはらみ、お互いが連携していくことが結果的に労働と福祉の間をつないでいくというものなので、具体的に労働と福祉の連携というのは、個々の事業において、労働と福祉の連携というのを今回の計画でもあちこちにちりばめておりますけれども、実際はそういう形で進んでいくものだと思っていますので、一体化について何ら書いていないというのは私としては心外です。

石川委員長 ありがとうございました。

厚労省(阿萬) 労働と連携しているほうの福祉の側の話で少し申し上げますが、まず、阿部委員のほうから、対象となる障害者就労施設等の内容について御質問をいただいております。先ほど阿部委員御自身から御指摘がございましたように、特例子会社ですとか、そういう企業だけではなくて、障害者総合支援法に基づく事業所ですとか施設等、就労移行支援事業ですとか継続支援事業のA型、B型、生活介護事業所、障害者支援施設、あとは地域活動支援センター、その他のところも入っておりますので、そういうところも含めた形で法律の対象となっているところであります。
 あと移動支援の関係も、今、御指摘がございました。福祉の観点で申し上げますと、まず、障害者総合支援法の3年後の見直しの中で移動支援のあり方につきましても検討するということは、法律上明記されているところでございます。今、地域生活支援事業の中の移動支援ということで対象になっておりますが、その中でどのようにしていくかということは、検討課題としてなり得るものと思っております。ただ、そこにつきましては昨年も申し上げた記憶がございますけれども、例えば通勤の支援につきまして、結局誰がどこまでその責任を有するのか、また、どの分野の施策でどのような対応を行うべきであるかというのは議論する必要があると思っておりまして、仮に福祉サービスで行おうとした場合に、非常に多額の財源及び人材が必要になるということで、我々としましては国民の理解を得ながら慎重に検討する必要があると思っておりますので、付言をさせていただきます。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。建設的な対話という感じになってきたと思います。
 それで、まだまだおっしゃりたいことは、皆さんそれぞれの立場で山ほどあると思いますが、次へ行かせてください。5の生活環境。区切る時間がないのでこのまま押し切らせていただきたいのです。
 東室長から助言がございました。一個一個やっていると多分終わらないだろうということなので、全部まとめてやってはどうかということです。粒度が全然違ってきてしまって申しわけありませんが、そうさせていただいてもよろしいですか。
 佐藤委員。

佐藤委員 各論の部分とともに、データの収集だとか推進体制のところも非常に重要だろうと思うのです。それらの時間はどうなるのでしょうか。

石川委員長 全部やろうという考えは、依然として抱いております。
 全部まとめろという意見があったので、5、6、7、8、9の各論及び総論、推進体制、全てまとめてやりましょうか。
 では、挙手をお願いします。
 まず、佐藤委員から推進体制について御発言いただけますか。

佐藤委員 ありがとうございます。
 政策委員会の意見では、進捗状況の評価というか、そのデータの収集、分析というのはすごく強調されていて、各分野ごとのところでも、この分野についてはこんなデータが必要だということを言ってきたと思うのですね。それが今回出された原案の推進体制のところでは1、2行で非常に簡単にしか書かれていないということで、政策委員会としては、これで本当に計画の実施状況を監視するという役割が果たせるのだろうかと思います。例えば具体的に5年後に総括をするときに、障害者のスポーツ活動への参加がどのぐらい変化したのだろうかということをどういうふうに評価できるのでしょうか。障害のない市民と比べてどのぐらい差が縮まったのかということを、どうやってこの計画の中で評価できるのか。障害種別、男女別、地域別にその辺がどうなったのかということができなければ監視してモニターしたということにならなくて、また同じようなものを次の5年間で計画をすることになるのではないか。その辺をもっときちんと書き込むような書き方にしてほしいなというのが1つです。
 関連で、先ほど伊藤委員が難病のことに関して非常に重要な発言をされたのですけれども、その意図が余り皆さんに伝わっていないように思うので、ちょっと解説をさせてもらってもいいでしょうか。それは違う話ですか。やめたほうがいい。

石川委員長 伝わっていると思います。

佐藤委員 1月31日の難病対策委員会の提言書の「おわりに」というところを、ぜひ読み返していただければと思います。

石川委員長 ほかの委員の御意見を伺いたいと思います。
 門川委員、お願いします。

門川委員 ありがとうございます。盲ろう者協会の門川です。
 全体にまたがることについて発言をさせていただきたいと思います。この基本計画そのものについてなのですが、12月の時点でこの政策委員会がまとめた意見書を出してから約7カ月間、我々にとっては空白の時間となってしまっていまして、この空白の時間の間に内閣府さんを初め皆さんは、その原案づくりに一生懸命になってくださっていたかと思います。この間、総合支援法が施行されたり差別解消法が成立したり、いろいろあった関係もあって大分変わってきたのだと思いますが、今回この原案を見て12月のときとは全然印象が違うなと思ったので、ここで言いたいのは、障害者権利条約のスローガンがありますね。我々抜きで我々のことを決めないで、あれを思い返していただきたいと思います。
 私たち、苦労をしながらこの会議に臨んできているわけで、今まで今日を入れたら6回の全体会を開いてきているわけですから、コストパフォーマンスを重視するのであれば、今まで決めたことはぜひ守っていただきたいなと思うのです。もしくは、この空白の時間に変更があったりしたのであれば、そのことの進捗報告を出してほしかったなと思います。
 それで、一つぜひ皆さんとは違った立場で意見させていただきたいのは、盲ろう者の立場からということになるのですけれども、「盲ろう者」についてはいまだに社会的認知度がとても低いというか、ほとんどないに等しいということで、その大きな理由は、行政の出す文書の中に「盲ろう者」に関することや、「盲ろう者」といった文言が入っていないからだと思うのですね。「盲ろう者」というのはたった4文字ですから、この原案にぜひ入れてほしいと思います。
 具体的に申し上げますと、情報とコミュニケーションの中に聴覚障害者や視覚障害者という文言は出てきますが、「盲ろう者」というのは出てきません。「盲ろう者」は、聴覚障害者でもありませんし、視覚障害者でもありません。「盲ろう者」とは、独自の障害者であるのだということをぜひ認知してほしいなと思います。さらに言うなら、この基本計画全体で言うと、ほかに難病であったり高次脳機能障害であったり知的障害などと言った障害名が出てきますが、「盲ろう者」というのは出てこないのです。この「盲ろう」というのを、ぜひ入れていただきたいということをお願いいたします。
 ありがとうございました。

石川委員長 ありがとうございました。
 ほかの委員の御意見も伺いたいと思います。新谷委員。

新谷委員 新谷です。
 まず、別表のほうからいきますけれども、数値表の38ページの字幕放送で、NHK総合の70.何%を100%に上げていくという数値目標は結構なのですけれども、議論としては、字幕がつけられない番組は対象番組の横に置いて、字幕がつけられる番組だけの100%とか70%かという議論がずっと続いています。それはもう10年以上かかっている議論だと思うのですけれども、今回字幕がつけられない番組の扱いについてどういう判断をされたのかというのが1点目です。
 2点目、前回の12月の最終的な意見まとめで議論があったと思うのですけれども、電話リレーサービスについて最終的に事業化検討をするというのが、計画に盛るべき○印に挙がったと思うのですけれども、今回電話リレーサービスは全然入っていない。
 それから、私たちは携帯電話の音声認識について、ソフト関係のいろいろなお話をさせていただいたのですけれども、25ページ、日本銀行券について携帯で識別できるようにソフトを使うと。こういう非常に具体的な話が載っているのですけれども、音声認識を携帯に使うというのは、私はもっともっと汎用性の高いソフトだと思っておるのですが、そういうところが今回入っていないというのが2点目。
 3点目は、簡単に言葉だけの問題なのですけれども、門川さんがおっしゃった、盲ろう者の言葉が入っていないことと比べると非常にたじたじとしてしまうのですが、手話通訳等というところに、国家計画の中に一度ぐらい要約筆記も入れてほしいのです。今までずっと計画には載っていない。だから、等というくくり方もいいですけれども、1カ所ぐらいは要約筆記という言葉を国家計画の中に入れていただきたい。3つ目のお願いです。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 石野委員、お願いします。

石野委員 石野です。
 門川さんあるいは新谷さんの御発言とダブる形になりますので、そこは割愛しますが、政策委員会が今まで議論をしてきたものがここに入っておらず、また、逆に議論のないものが載っているということに非常に大きな矛盾を感じます。
 具体的に申し上げますと、情報提供施設の話ですが、政策委員会では情報提供施設をどう評価するかという議論が全く出ていなかった。私としては情報提供施設協議会にもかかわっておりますが、現在、情報提供施設は全国的に増えております。字幕制作、ビデオ貸し出し等々の事業をしておりますが、それをどう評価するかというのを、今、議論しております。ですから、政策委員会のときにはあえて触れませんでした。なのに、なぜここに成果目標として載っているのか。意図がつかめないというのが正直なところです。
 また、数値目標が載っておりますが、全国各県全部に立ち上げるということが載っています。県だけではなく、政令都市も含みますが、今までの政策委員会に議論がなかったことをなぜここへ載せるのか。非常に違和感がある。
 逆に、議論をしたにもかかわらず載っていないものがある。例えば先ほども門川さん、また、新谷さんもおっしゃいましたけれども、コミュニケーション支援事業は、今、意思疎通支援事業という文言に変わっております。意思疎通支援というのは、手話通訳だけではなく、要約筆記も含め、また、点字も含む幅広い考え方がありますが、例えば手話通訳養成は、全国的に実施しているのはわずか30%にすぎない。また、手話通訳の設置におきましても30%。非常に低い数値になっている。その数値目標を載せずに情報提供施設の目標を載せた意図がつかめないということです。

石川委員長 ありがとうございました。
 竹下委員、お願いします。

竹下委員 竹下です。
 これは、非常に大きな疑問です。この障害者基本計画がお題目になっているのではないかという非常に本質的な質問です。といいますのは、6の(4)に「行政情報のバリアフリー化」とありまして、その中にこう書いています。全ての国民でしょうけれども、障害者の使いやすさを考えて電子化すると。その次の3番目の○のところに「政見放送への」云々とあって、音声化も含めて書いてある。そして、8番目の行政サービスの(2)の選挙のところと同じことが書いてある。
 ところが、きのう終わった参議院選挙で総務省がやったのは何ですか。私たちは要望書も出しましたけれども、総務省が出している今回の参議院選挙の立候補者や政党名の電子情報が、視覚障害者がアクセスできないものになっている。それは要望書を出させていただきました。しかし、少しは配慮していただいたようですけれども、結果的には視覚障害者が音声で読み上げられないままで選挙が終わってしまいました。これで国は本当に障害者基本計画というものを議論することを真剣な位置づけとしているのかということを、強い怒りを持って質問させていただきます。
 以上です。

石川委員長 それでは、大分御意見が多くなったので、一旦ここで答えていただきたいと思います。総務省のほうからお願いできますでしょうか。

総務省(梶田) 総務省地上放送課の梶田と申します。
 新谷委員から質問がありました、38ページの字幕の目標の関係です。字幕を付けられない番組についてどういう判断をしたのか、今までに議論が10年以上されているはずだということについてですが、これについては少しずつ目標の見直しを行っております。最初に平成9年に字幕の目標を策定したときは、生番組については技術的に対応が難しいということで普及目標の対象から除外していたのですが、次に、今の計画を平成19年に策定したときには、生番組を無条件で対象から除くのではなく、複数の人が同時に会話をするとか、技術的にまだ字幕を付けることが難しいものを除いて生番組も対象に含めるようにして、対象が広がっています。
 それから、平成24年10月に今の指針の見直しを行い、解説放送についても、今までは権利処理上の理由等によって解説を付すことができない放送番組を普及目標の対象外として除いていたのですが、今回の見直しでは対象外とする番組についてもっと具体的に掲げるようにしています。このように、現状の取組を踏まえながら目標のほうも見直しを行っておりますので、御理解をいただければと思います。

石川委員長 ありがとうございました。
 関連で、電話リレーのほう。

総務省(佐藤) 総務省情報通信利用促進課の佐藤と申します。よろしくお願いします。
 先ほど御指摘のあった電話リレーサービスについてですが、こちらについては基本計画案25ページ(2)3つ目の○の6-(2)-3において、御指摘のとおり、電話リレーサービスと直接的な例示として明記はしていませんが、1行目の「(例えばテレビや電話等)」ということで電話リレーサービスといったものも念頭に置いた形で記載されています。
 あと音声認識ですが、24ページの(1)の一番最初の○で「障害者に配慮した情報通信機器及びサービス等の企画、開発及び提供を促進する」という中に含める形で記載されています。

石川委員長 ありがとうございます。
 あと竹下委員からありました、参議院選挙の情報ページの件についてはいかがでしょうか。

総務省(炭田) 総務省大臣官房企画課の炭田と申します。
 昨日の選挙において、視覚障害者の方への対応ができていなかったという厳しい御指摘をいただきました。まさに昨日のことでありまして、業務の都合上、選挙の担当部局の者が本日こちらに来られておりませんので、担当部局に私からしっかりと申し伝え、督励しておきたいと思います。

石川委員長 それでは、厚労省のほう、情報提供施設であるとか、いかがでしょうか。

厚労省(阿萬) 厚生労働省の阿萬でございます。
 今、コメントできる内容がございませんもので、確認をさせていただければと思います。

石川委員長 石野委員がおっしゃった情報提供施設についての質問を確認したいのですが、私もいま一つ理解できなかったのです。

石野委員 石野です。
 今まで政策委員会で議論を全くしてこなかったことについて載っているので、疑問だったわけです。議論のなかったものが載っているということで違和感がありました。こちらを厚生労働省がなぜ入れたのか、政策委員会の意見を尊重していないと思ったわけです。

厚労省(阿萬) 厚生労働省の阿萬でございます。
 まず、我々といたしましては、政策委員会の意見を尊重していないということではございません。前の計画の内容ですとか、いろいろなものを踏まえた上でそういう形になっていると考えております。先ほどから何回も何回も申し上げて恐縮でございますが、それについて入れるべきでない、落とすべきであるという御意見もあろうかと思いますし、それについては、また内閣府さんの仕切りのもとでしかるべく調整をさせていただく格好になってくると思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございました。
 それでは、後藤委員、お願いします。

後藤委員 日本福祉大学の後藤でございます。
 私は少し違う感覚で、委員会が気づかなくて至らなかったことまで政府で大分入れていただいていて、むしろやられたというか、すごく書いていただいているところもあります。例えば5-(1)-1の「福祉部局と住宅部局が連携」は、分野の違ったところも連携しようと自主的に書いていただいていて、これは結構と思います。
 2点あります。6ページの当事者の意見の尊重ですが、審議会に障害当事者が入れるようにという件です。障害や福祉施策に関しては、この委員会のように進んでいますが、一般の審議会にも入ることが大事と申し上げて、意見にそう記載していただきました。今回入っていないのがすごくもったいない。ここは前半の理念、通則のところで、当事者参加という権利条約の精神を受けたものです。基本法にないから書かないということかも知れませんが、差別解消法や雇用促進法など、基本法のあとで起きた変化で含めているものもあります。当事者に聞くのは障害分野だけでよいのか。社会モデルに象徴されるように、問題が広がっているときに障害者が参加することは、障害者のためだけでなく社会をよくする意味もある。これは男女共同参画の問題と同じと申したつもりです。
 例えば浦安に大きなアミューズメントのパークがありますが、車椅子ではトムソーヤ島の頂上の直前までしか行けないことが分かり、3カ月そこを閉鎖してやり直しました。あるいはこの辺を走る、昔、国営だった鉄道の券売機をタッチパネル式にしたときに視覚障害の方が使えなくて、全部やり直してテンキーをつけました。「障害分野だから障害者にも聴く」では抜けることが現に起きた。最初から入っていればいいわけです。「当事者だから福祉の分野だけ」ではないと思います。ただ、政府の側でも事情があったのでしょうから、どういう議論があったのかを教えていただければと思います。
 もう一個、各論ですが、情報のバリアフリーで、先ほど来も選挙のことで出ていましたが、24ページあたりの6-(1)-2や6-(2)-4で、ウエブがこれだけ発達して、視覚障害の方々はウエブで情報を得ることがすごくふえていますが、電子化するという対応だけで終わっている。例えば6-(2)-4の電子出版というところも、アクセシビリティに配慮した電子出版とする、6-(1)-2の政府が調達する「情報通信機器等」が、ウエブ、サービス、システムも含めるという理解でよろしいか。せっかくいいところまで来ていますので、この辺も入れていただければと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 予定の時間を過ぎておりまして、お帰りの予定のある方もいらっしゃると思いますので、御意見がおありの方は挙手をお願いします。
 では、北野委員、お願いします。

北野委員 今日はおとなしくしておりましたけれども、皆さんはいろいろ御意見を言われて、私のほうは、今、整理をしましたので、我慢をして2つだけ言わせていただきます。
 1つは28ページのところなのですけれども、ぶち上げて申しますと、28ページのいわゆる(5)の障害を理由とする差別の解消・権利擁護の推進というのを、安全・安心という項目の中に一項目として入れてしまっていいのかどうか。やはり明確に障害を理由とする差別の解消と権利擁護の推進は、大きな大項目として起こされるべき本当に大事な問題ですので、ここは安心・安全の一つではないということで明確に出していただけたらと思っています。
 その中身なのですけれども、29ページの7-(5)-5です。ここは非常に議論のあるところなのでしょうけれども「障害者本人の自己決定の尊重と本人の保護の調和に留意しつつ、成年後見制度の適切な利用の促進に向けた取組を進める」という表現で書いてもらっておりますが、障害者の権利条約であるとか、あるいは障害者基本法の基本的な理念というのは、そのサービスの客体であるとか、保護の対象から社会参加や生活の主体者としての障害者という位置づけでありますので、やはり表現としてはこうではなくて、障害者本人の意思決定や意思表明支援を踏まえた自己決定を基本として、成年後見制度の適切な利用と。やはり基本は自己決定であるということを明確にしていただかないと。保護ということが余り強調されてしまいますと非常に危険だなと。ですから、そこは意思決定とか意思表明の支援というものを踏まえた自己決定を基本として、成年後見制度の利用。
 それは8ページの1-(1)-4にもかかわってきまして、よく似た表現が出てきていますね。これは相談支援ですけれども、知的障害者や精神障害者の成年後見制度の利用を促進する。これは一見正しいように聞こえますけれども、できましたらこれも本人の意思決定や意思表明を踏まえた自己決定を基本として、ここを明確にしておいていただかないと。何でも成年後見制度を使っていたらいいのだと読めない方向で、明確にしていただきたいなと。相談支援も自己決定ということを基本にやりたいと思っています。それが1つです。
 2つ目は根幹にかかわる問題でして、どこまでお話をしていいのかわからないですけれども、私たちはみんなで、去年の12月17日に障害者政策委員会の意見書をまとめましたね。そのときに、1番で基本的な方針、2番目で共通に求められる視点、3番目に先送りできない重要な課題というところで、重要な課題では精神障害の問題とか、家族の介助を前提にしない支援というものは、障害者年、1981年のころからずっと言われていまして、もう四半世紀、この大きな課題がまだ残されている。ですから、もう少しここをきっちり強調していただけるあり方をどうするかということ。
 それから、基本的な指針の中で私たちが一番求めたのは、門川委員がおっしゃったように、政策決定過程への障害者等の参画という基本原則の(4)ですね。
 それとIIの「共通して求める視点」の4のところで、自己決定の保障と意思決定支援を意見書には書きました。今回の計画案を見ますと、どうも明確にそれに当たる表現がないのです。どこかで入っているのでしょうけれども、基本原則には政策決定過程への障害者等の参画はありませんし、実際に自己決定の保障と意思決定支援のところは「当事者の意見の尊重」という表現になっている。
 ですから、ここはどちらにしていただいてもいいのですけれども、私としては各分野に共通する横断的視点のトップに、政策決定過程への障害者等の参画と、意思決定、意思表明への支援を踏まえた自己決定の保障あるいは尊重。保障と言ってほしいけれども、保障が難しいなら尊重で結構ですからここを明確にしていただいて、後藤委員もおっしゃったようにここは大事で、特にこれからの障害者の権利条約のために一番大きなところですから、ここを基本原則のところで置かれるか、各分野に共通する横断的視点のトップのところに、「政策決定過程への障害者等の参画と、意思決定、意思表明への支援を踏まえた自己決定の尊重」ということを明確に、3の(1)にしていただけたらというのが私の切なる思いであります。
 以上であります。

関口委員 関連して一言。

石川委員長 関口委員。

関口委員 今の北野さんの意見で、前半のところでもう少し言いたいのです。というのは、この間、我々政策委員会が出したものでは、成年後見制については積み残した課題という形になっていて、新基本計画に盛り込むべき事項というのは、成年後見制度の利用の実態を把握するとともに、権利擁護の観点から制度のあり方について検討することとなっているのです。これは検討のけの字もなくて推進なのです。これはちょっとまずいだろう。というのは、権利条約から言っても、支援された意思決定の観点から言ってもまずかろうというのが私の意見。
 それから、社会的入院の問題に関しては、人権理事会の理事国である日本が人権条約の条約体の委員会からの勧告を無視して、その状態を改めるべき方向を何も示さないまま批准することは不可能だと私は思いますので、そのことだけは言っておきたいと思います。

石川委員長 時間がなくなってきました。
 では、発言されていないので、中原委員、勝又委員、中西委員の3人でよろしいですか。

中原委員 日本知的障害者福祉協会の中原です。一言だけ簡単に申し上げます。お願いいたします。
 これまで、本人の立場からいろいろな皆さんが話をし、本人が一番中心だという形で物事を進めているにもかかわらず、今回の障害者基本計画も大変横文字が多いです。誰のための障害者基本計画なのかということを非常に痛切に感じます。先ほど来、土本さんからも進行が早いだのといういろいろな注文がありますけれども、ぜひ修正文を作成するに当たって横文字を余り使わないように、難しいものは易しく書き加える等の基本的なところを、この障害者基本計画を作成する段階で考えていただきたい。この1点だけでございます。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 勝又委員、恐縮ですが、手短にお願いいたします。

勝又委員 勝又です。
 今回、7ページに「総合的かつ計画的な取組の推進」と書いてありますけれども、この中で「障害者施策に関係する他の施策・計画等との整合性を確保し、総合的な施策の展開を図る」と書かれていることは非常に重要だと思います。
 この他の施策の中また計画の中には、一番最後の35ページの調査研究及び情報提供に関係して、各府省はいろいろなデータの収集とか、そういうものに努めてほしいということを書いてございますけれども、こういうことに関係する統計委員会、統計基本計画というものが重要であると考えます。これにつきましては、12月に出した私どもの意見の中で「統計にかかる基本計画を所管する統計委員会や隣接領域の施策を所管する省庁との連携を図ることが重要である」と書かれております。これにつきましては、今回の35ページの書き方では十分でなく、つまり各府省は何々に努めるということだけではなくて、内閣府そのものが社会モデルに基づく障害者の数と、障害者の状況の把握をするための検討をするという具体的なことを入れないと、ここの調査研究というのは意味がないと思います。
 また、今回新たな数値目標等さまざまなものを出していますけれども、私どもの政策委員会は、モニタリングする役割があります。つまり、5年後にどういう進捗状況があったのかということを審査する役割があるわけですから、私どもが自分たちの納得のいくような形での統計、データを持たなければ意味がありません。ですから、そういう統計の検討をここに入れていくことを提案したいと思います。
 以上です。

石川委員長 ありがとうございます。
 中西委員、お願いします。

中西委員 中西です。
 まず、簡単な名称の問題なのですけれども「はじめに」のところで1ページです。「第3次アジア太平洋障害者の十年」が「(国際社会の動向)」に出てきます。これは31ページの9-(1)-3にも使われるのですが、この「第3次アジア太平洋障害者の十年」という言い方は「新十年」という言い方で統一されているはずなのですが、またここで急に書き方が変わってこの名称が用いられています。もし、5ページで言うような国際協調を基盤とするのでしたら、世界で使われている「新アジア太平洋障害者の十年」になると思います。
 さらに、同じ1ページに漢字で仁川が書かれていますが、これは普通「インチョン戦略」で、漢字で書かれた場合、インチョンとはなかなか読めないと思うので、片仮名にしていただきたいと思います。
 その次が2点目。3点で終わります。11ページに人材の養成、これは生活支援の部分ですが、その1-(5)-3に障害者のボランティアの話が出てきます。これは人材の確保の続きで述べられているのですが、ほかのボランティアに関しては啓発のところに登場するのですね。34ページ、ボランティア活動等の推進です。障害者のボランティアと言うのだったら、やはりインクルーシブな意味から、34ページのほうで一緒に論じられるべきだと考えました。
 最後に、7ページの最後から3行目「介護保険等の高齢者施策」ということで介護保険が特記されていますが、高齢者施策の中では、例えば数値目標で高齢者住宅等の話も出てきますし、ここで介護保険のみを特記するのはおかしいと考えますので、削除すべきでしょう。
 よろしくお願いします。

石川委員長 ありがとうございます。
 済みません、時間が来てしまいまして、内閣府のほうで差別解消の大見出し化の件等々、もし、答えられたらお願いします。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 項目として差別解消を一個独立させるべきではないかということでしたけれども、先ほど花井委員からも、例えば経済的負担の軽減についても大見出しとして挙げるべきだという御意見もありました。今回、構成について必ずしもこれでなければいけないというものではないと思っていますので、記述の分量だとかそういうもののバランス、全体を考慮しながら引き続き検討をしていきたいと考えております。
 あと、後藤委員と北野委員から、政策決定過程への障害者の参画について書かれていないのではないかという御意見をいただきましたけれども、6ページからの当事者の意見の尊重というところで3段落ぐらい書いている中で、障害当事者の政策決定過程への参画ということも踏まえて書いてあると考えておりますけれども、もうちょっと明確に読み込みやすいような形でということについては検討させていただければと思います。
 あと統計のほうで、障害者について内閣府でも検討することなどを御指摘いただきました。これについて、社会モデルに基づいた障害者とは何かということを統計として整備するところまで、議論が行き着いていないのではないかと事務局として考えておりまして、例えば社会モデルに基づけば、どういう人が障害者なのかというのが一義的に決まるのかといえば、それはなかなか難しいのではないかと考えております。これを計画の中で盛り込むところまでは議論が成熟していないのではないかと考えております。
 以上です。

石川委員長 まだまだ御意見はあると思いますし、また、各府省からの応答に対しても御意見があると思いますので、お手数ではありますけれども、あとは文章で出していただいて、事務局のほうでそれを受けて、各省にお渡ししてという対応をしていただきたいと思います。
 それから、先ほど武川統括官がおっしゃっていた件ですけれども、今日議論をいたしまして、恐らく事務局が想定していたよりもはるかに多くの議論が出たと思いますので、このままでパブリックコメントに出して、与党にもお出しして閣議決定というのは、政策委員会の立場としては厳しいものがあるというふうにまとめさせていただきたいと思います。いろいろな制約条件、既に旧基本計画は失効しているというか、もうない状態でありますし、時間的な制約もあると思いますので、その点は御検討いただきつつも、できる限り政策委員会の開催についても前向きに検討していただきたいと、委員会を代表してお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、最後に事務局からお願いします。

東室長 担当室の東です。どうも御苦労さまでございました。
 次回の日程等を最後に話す予定にしておりましたけれども、この件について引き続き意見を聞く機会を設けていただけることになるのであれば、そんなに間を置かずに開かれると思います。
 ただ、意見をいただくということであれば、若干そのことも考慮をして設定しなければなりませんので、御検討をいただいて、次回の期日が決まればメール等でできるだけ早くお知らせしたいと思っております。
 そのことと、最初のほうでお話がありましたけれども、差別解消法に基づく基本方針についての政策委員会での議論も必要となってまいります。今の段階で、まだ明確な日程は決まっておりませんけれども、一応、ここの部屋をいつとっているかということにつきまして、メールでお知らせしたいと思っております。必ずしもその日にやるということではありませんけれども、一応、空けていただいて、集まることについて支障がないようにしていただければと思っております。それについてもメールでお知らせしますので、よろしくお願いします。

石川委員長 補足はありますか。

内閣府(牧野) 内閣府の牧野です。
 本日いただいた御意見を踏まえまして、また各省のほうとも調整をさせていただければと思います。
 あと、最初のほうでも御説明させていただきましたけれども、手続としてパブリックコメント等の手続を行う必要があるということで、本日お示しした原案を一応このままパブコメにかけさせていただいて、さらにその御意見も踏まえて修正等を行わせていただきたいと考えております。

石川委員長 もう時間が来てしまっています。パブコメの件について、委員各位のおおよその反応はわかりましたので、委員長及び委員長代理と統括官、参事官、室長などとで、なるべく前向きに進めさせていただくということでよろしいでしょうか。
 事務局ではそのような心づもりではいたけれども、もう一度検討するということでよろしいですか。
 それでは、以上をもちまして、第6回の障害者政策委員会を終了させていただきます。本日は、お忙しいところをありがとうございました。