障害者政策委員会(第61回)議事録
令和4年1月31日(月)
13:30~17:00
中央合同庁舎8号館1階講堂
(Web会議にて開催)
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第61回障害者政策委員会を開会いたします。
委員各位におかれましては、御多用のところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日の委員会は最大17時まで時間を確保しております。
また、本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ウェブ会議により開催しております。
なお、取材及び一般傍聴につきましては、感染防止の観点から本日はお断りし、その代わりに動画中継を視聴していただく形としております。
まず初めに、事務局より委員の出欠状況について報告をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、辻委員、市川専門委員が所用により欠席との連絡を受けております。また、安藤委員及び柘植委員は、所用のため、遅れて御参加との御連絡を受けております。また、黒岩委員は、公務のため途中退席され、課題3からは神奈川県福祉子どもみらい局福祉部長の水町友治様が代理出席される予定との御連絡を受けております。
以上でございます。
○石川委員長 それでは、本日の議事に入ります。
御発言いただく際の意思表示につきましては、挙手機能を使用していただき、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。
御発言の際には、最初にお名前を名乗っていただき、結論を最初に述べた後でその理由または説明をしていただくと、分かりやすいかと思います。
また、発言を希望される方全てに発言の機会を確保したいと思っておりますので、発言はできるだけ簡潔にお願いしたく存じます。
それでは、本日の議題及び資料につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、まず、国連障害者権利委員会の審査に関連する御審議をいただきたいと思います。関係資料として資料1から3を用意しております。
その後、15分間の休憩を挟み、次に、第5次障害者基本計画の骨格案・総論について御審議をいただきたいと思います。関係資料としては資料4から8を用意しております。
最後に、基本方針改定に係る今後の審議の進め方について、御議論いただきたいと思います。関係資料としては資料9を用意しております。
また、本日は竹下委員及び佐保委員から資料を御提出していただいておりますので、資料10、資料11として配付しております。
以上でございます。
○石川委員長 それでは、議事に入ります。
「国連障害者権利委員会の審査に向けた審議」について、事務局から説明をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
国連障害者権利委員会の審査に向けた審議につきましては、資料1「障害者の権利に関する条約の実施状況に係る障害者政策委員会の見解(案)(たたき台)」と資料2「「障害者の権利に関する条約の実施状況に係る障害者政策委員会の見解(案)」に係る委員・専門委員からの御意見等」、資料3「障害者総合支援法3年後見直し(令和4年改正)中間整理概要」の3点の資料を使用させていただければと思います。
まず、資料1ですが、前回提出したたたき台の案を、委員の御意見等を踏まえて委員長に御相談をして、バージョンアップをさせていただいたものとなってございます。その際、バージョンアップの記載に当たっては、今回の政策委員会の見解を国連に送付するという観点から、ある程度大きい観点から捉えて項目立てをするという方向でバージョンアップをしております。
資料2でございますが、前回の政策委員会における委員の御発言及び委員会後にいただいた御意見を整理させていただいております。それとともに関係省庁からは、御意見に関する施策の状況等について記載していただいている資料となっております。資料2につきましては、資料1を御覧いただく際に、適宜御参照いただければと思っております。
資料3につきましては、前回の政策委員会において、社会保障審議会障害者部会における御議論についても報告をしてほしいとの委員の御意見を踏まえて提出させていただいております。後ほど厚生労働省から御説明いただくこととしております。
それでは、資料1でございます。資料につきましては、いずれも委員に事前にお送りさせていただいておりますので、御議論の時間の確保の観点から、簡潔な御説明とさせていただいております。
資料1の1ページでございます。こちらにつきましては、この見解についての位置付けを説明した内容でございますが、前回提出資料と変更はございません。
2ページ目を御覧いただければと思います。<補足事項>ということで注意書きを書いてございますが、各項目の読み方につきまして、◎につきましては、委員の御意見を踏まえて新設した項目、または従来あった項目に追記させていただいた項目、または今回も第1回政府報告の記載の際と同様の御意見があったため、その際の記載をそのまま維持したものについて、◎としてございます。●につきましては、前回の委員会で提出した記載につきまして、委員から御意見が特段なかったことから、そのまま前回の記載を維持しているという位置付けでございます。
それでは、以下、◎とさせていただいている記載の趣旨について、御説明をさせていただきます。
2ページ目の「第6条 障害のある女子」につきまして、3ページ目真ん中辺りでございますが、懸念点について◎が1つございます。委員から障害のある女性の参画についての御意見を頂きました。
こちらにつきましては、第1回の政府報告の記載の際にも、同様に女性の委員のポジティブアクションについての記載がありましたが、障害者政策委員会において、となってございました。それを今回、障害者施策を審議する審議会や有識者会議にも対象を広げて追記するという形にしているものでございます。
次に「第9条 施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ)」についてでございます。1ページおめくりいただきまして、4ページに懸念点を2つ◎としてございます。アクセシビリティを要件とした公共調達の仕組みがないことの懸念や、建物や交通についてのアクセシビリティ、バリアフリー化が不十分との御意見があったことを踏まえ、情報アクセシビリティ環境の整備を推進するための根拠法が未整備というのを1つ目の◎に、また、2つ目の◎として、公共交通機関や建築物のバリアフリー整備についても、一層の充実が必要という記載を追記してございます。
「第11条 危険な状況及び人道上の緊急事態」についてでございます。進展の1つ目が◎となってございます。令和3年の災害対策基本法の改正による避難行動要支援者ごとの個別避難計画の作成の努力義務について、記載をしております。
また、4ページ目の一番下の方に懸念点ということで◎がございます。避難所、福祉避難所、仮設住宅のユニバーサルデザイン化並びに災害時の情報取得についての課題についての御意見があり、その旨を懸念点として追記してございます。
また、ここで変えていない進展の部分の●の点でございますが、この内容について「第6条 障害のある女子」の進展の1つ目の●と重複しております。この内容について、6条に掲載すべきか、11条に掲載すべきかについても併せて御議論いただければと思っております。
続きまして、5ページ目「第12条 法律の前にひとしく認められる権利」についてでございます。1つ目の懸念点◎でございますが、意思決定支援についての御意見があったことを踏まえて、前回の第1回政府報告の記載の際にも同様の記載をしておりましたことから、今回、その記載を維持しております。
次に「第19条 自立した生活及び地域社会への受容」について、6ページをおめくりいただきまして、懸念点の1つ目でございます。委員からの入所施設からの地域移行に課題がある旨の御意見を踏まえて、その旨の記載をしてございます。
また、3つ目の◎につきまして「精神科病院における長期入院は課題であり」という部分でございます。この部分につきまして、この旨の御意見があったことを踏まえ、第1回の政府報告の記載の冒頭部分に追記する形で書いてございます。
続きまして「第21条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会」について、懸念点の2つ目が◎でございます。公的機関が出す情報、行政立法省が発信する文章等についてのアクセシビリティについての御意見がございました。それを踏まえ、2つ目の◎の部分ですが、第1回の意見でも提出をしたものに、1行目の後ろの方の「公的機関等が提供する情報の」という旨も追記をしたものとなってございます。
「第24条 教育」についてでございます。こちらは前回の委員会において、委員からインクルーシブ教育と特別支援教育との整理などについて御意見が出たことを踏まえ、進展部分につきましても、担当省庁において修文を行っております。ポイントとしては、就学先決定のプロセスが本人や保護者の意見を最大限尊重する仕組みに改められたことを明記するとともに、インクルーシブ教育の理念に基づく通常の学級に在籍する児童・生徒に対する支援等を、箇条書きを用いる等し、簡潔かつ具体的に記述するという点をしていただいております。
7ページ目の一番下、教育関係の懸念点でございますけれども、インクルーシブ教育が進んでいない、通常級と特別支援学校等では合理的配慮の提供に格差があるといった御意見を踏まえ、通常学級において、環境の整備及び合理的配慮の提供により、障害のある児童・生徒を支援するための予算及び人的資源の配分の見直しをさらに推進する必要がある旨の記載をしてございます。
8ページに参りまして「第27条 労働及び雇用」でございます。進展部分は●としておりますが、数字についてのみ最新版にバージョンアップをしていただいております。9ページの懸念点の部分でございます。御意見を踏まえて、障害者雇用率制度における障害者の対象範囲の検討が必要という旨の追記をしております。
「第30条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加」でございます。懸念点につきまして、10ページに追記させていただいております。観光地や娯楽施設における物理的バリア、座席位置の不平等、音声情報しかないなどのアクセシビリティの確保がなされていないとの御意見を踏まえ、アクセシビリティの確保に向けた取組の一層の充実が必要との記載をしてございます。
「第31条 統計及び資料の収集」については、前回委員会での国民生活基本調査及び社会生活基本調査に設問が追加された旨の進捗を踏まえ、第1回政府報告の記載から「日本の人口全体を対象とした調査の実施や男女別統計の実施の徹底」とされていた部分を削除し「障害者に関する政策の監視・評価に使える水準の統計の充実を推進すべき」という形に書き換えをしております。
「第33条 国内における実施及び監視」についてでございます。懸念点について、11ページでございます。パリ原則に基づいた独立した人権救済機関が存在していないとの御意見を踏まえ「独立した機関の在り方について検討を深める必要がある」との追記をしてございます。
資料1につきまして、駆け足で恐縮ですが、以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、厚生労働省から資料3に基づいて、社会保障審議会障害者部会における障害者総合支援法3年見直しに向けた中間整理について御報告を頂きたいと思います。
○厚生労働省(社会・援護局障害保健福祉部企画課:矢田貝課長) 厚生労働省障害保健福祉部企画課長の矢田貝でございます。
資料3に基づきまして御説明をさせていただきます。資料3の一番上にございますとおり、平成30年4月に施行された障害者総合支援法改正法の3年後の見直し規定を踏まえまして、昨年3月以降、社会保障審議会障害者部会において議論を行いまして、昨年12月16日に中間整理を行っております。
その中では、一定の方向性を得るに至った障害児支援に関する論点につきましては、必要な措置を講じていくこととされ、具体的には、今開かれております国会に法改正事項を盛り込んで改正法を提出していくこととしているところでございます。
障害児支援以外の論点につきましては、引き続き議論を継続いたしまして、今年の半ばまでをめどに最終的な報告書を取りまとめるとされているところでございまして、障害児支援以外の論点につきましては、障害者部会の方で引き続き議論を行うこととしているものでございます。
基本的考え方といたしましては、3点掲げてございます。
1つ目が「障害者が希望する地域生活を実現する地域づくり」ということで、やはり障害者が希望する地域生活を実現・継続するための支援の充実というものを第一に置いているところでございます。
2つ目が「社会の変化等に伴う障害児・障害者のニーズへのきめ細かな対応」ということで、障害児に対する専門的な支援、多様なニーズに応じた就労の促進などを掲げてございます。
3つ目が「持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現」でございます。
具体的な内容につきまして御説明させていただきます。
まず「障害児支援について」の<障害児通所支援>についてでございますが、1つ目、児童発達支援センターにつきまして、多様な障害等への専門的機能を強化し、他の児童発達支援事業所等に対する助言などを行う機関としての役割・機能を明確化すべきとされているところでございます。
2つ目、児童発達支援につきまして、障害種別にかかわらず身近な地域で必要な発達支援を受けられるよう、福祉型と医療型を一元化する方向とされております。
3つ目、児童発達支援、放課後等デイサービスについて、「総合支援型」を基本にしつつ「特定プログラム特化型」ということで、こちらは令和6年の報酬改定に向けてでございますが、その体系をさらに検討していくこととしております。
4つ目、専修学校・各種学校に通学中の障害児でも、市町村長が認める場合は放課後等デイサービスの給付決定を可能とすべきとされております。
5つ目、児童発達支援、放課後等デイサービスにおけるインクルージョンを推進するとされております。例えば、保育所と児童発達支援事業所が、一日の活動の中で、子どもが一緒に過ごす時間を持ち、それぞれの人員基準以上の保育士等が混合して支援を行う等、一体的な支援を可能とする方向で検討する必要があるとされているところでございます。
2ページ目でございますが、障害児入所施設の<過齢児の移行調整>についてでございます。
1つ目、障害児入所施設から成人としての生活への円滑な移行を促進するため、都道府県、政令市が関係者の協議の場を設け、移行調整、地域資源の整備等に関する総合調整を行うことを責務とすべきとされております。
2つ目、障害児施設の入所中、15歳頃から、本人の意思決定を支援しつつ、相談支援事業所が成人としての生活への移行・定着まで一貫して支援できる仕組みを検討する必要があるとされております。
3つ目に、特別な事情により移行が困難な者については、都道府県等の協議の場での判断を経て、満22歳満了時までは入所を継続できるようにすべきとされてございます。
以上が「障害児支援について」でございます。
続きまして「引き続き検討する論点について」、こちらは今後さらに障害者部会で議論を進めていくとされている項目についてでございます。
まず<障害者の居住支援について>は、1つ目、障害者が希望する地域生活の実現を推進する観点から、本人が希望する一人暮らしなどに向けた支援を目的とするグループホームのサービス類型を新たに設けることを含め、さらに検討する必要がある。
2つ目、新たなサービス類型の検討については、賛成の意見がある一方、現行のグループホームでの一人暮らしなどに向けた支援を検討すべきとの意見や、宿泊型自立訓練との関係を整理すべきとの意見があったことを踏まえ、障害者が希望する地域生活の実現の推進に向けた施策を検討する必要があるとされております。
3つ目、障害者支援施設の在り方について、安心できる居住環境を提供する観点から検討する必要がある。開かれた障害者支援施設として、地域移行、地域課題により一層取り組むため、施設の対応の在り方や地域の事業者・地域住民との連携の強化について検討する必要があるとされております。
4つ目、地域生活支援拠点等の整備を推進するため、市町村の整備の努力義務化なども含め、法令上の位置付けの明確化を検討する必要があるとされております。
<障害者の相談支援等について>です。
1つ目、地域の相談支援の中核である基幹相談支援センターについて、市町村の設置の努力義務化等により、全ての市町村での設置を目指す必要があるとされております。
3つ目、協議会の一層の活性化を図るなどのために、守秘義務を設ける必要があるとされております。
4つ目、自立生活援助の整備促進のため、人員基準等の在り方について検討する必要があるとされております。
<障害者の就労支援について>ですが、就労系障害福祉サービスの利用を希望する障害者へのアセスメントの実施の制度化を検討する必要があるとされております。
2つ目、一般就労への円滑な移行のための企業等での短時間勤務中などに、就労系障害福祉サービスの利用が可能となるよう検討する必要があるとされているところでございます。
3ページ目でございます。
<精神障害者等に対する支援について>でございますが、市町村の相談支援を担う職員の教育・研修の仕組み、「かかりつけ精神科医」と他科の「かかりつけ医」との連携、機能の役割、精神科医療機関の精神保健福祉士等と地域生活支援拠点等との連携の強化など、医療、障害福祉・介護、住まい、就労等の社会参加、地域の助け合い、教育・普及啓発が包括的に確保された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築に向けた検討を進めるべきとされております。
<障害福祉サービス等の質の確保・向上について>は、第三者による外部評価の導入などを検討する必要があるとされております。
<制度の持続可能性の確保について>は、事業者等の指定につきまして、市町村が意見を申し出ることを可能とするとともに、都道府県が条件を付することができる仕組みの導入を検討する必要があるとされております。
また、障害特性に応じたICT活用、ロボット導入により、業務効率化、職員の業務負担軽減をさらに推進すること、処遇改善等の人材確保の取組を一層推進することなどが必要であるとされております。
<居住地特例などについて>は、介護保険施設等を居住地特例の対象に追加する必要があるとされております。また、一律に介護保険サービスが優先されるものではない等の介護保険優先原則の運用の考え方について、改めて周知徹底を図ることが必要であるとされております。
そのほか、障害者虐待の防止、地域生活支援事業、意思疎通支援、療育手帳の在り方などについて、引き続き検討することとされておりまして、今申し上げました障害児以外の項目につきましては、引き続き障害者部会の方でも検討していくこととしているところでございます。
以上、社会保障審議会障害者部会において、3年後の見直しとして検討している12月の中間整理の内容について、御説明させていただきました。
私からの御説明は以上でございます。
○石川委員長 御報告ありがとうございました。
それでは、審議に入ります。時間は60分程度を予定しております。
なお、資料1に記載の進展部分につきましては、懸念部分との分量のバランスを考えるということが必要で、現在、進展の方が懸念よりもかなり詳しく、かつまた、項目としても多くなっております。独立した監視枠組みからの報告という観点からしますと、いささかバランス的に問題もございますので、思い切った簡略化が必要と考えます。進展部分につきましては、顕著に取組が進んでいるものに特化して記述するといった対応が必要と考えます。
また、懸念につきましても、この間の状況を踏まえた更新が必要な箇所が散見されるように思います。懸念というのは、暗礁に乗り上げていたり、停滞したり、あるいは条約が求める実施と逆行するようなものについては顕著な懸念であり、段階的に正しい方向を向いているものについては、懸念というのは少し適切でないということを踏まえた上で御議論いただけると幸いです。
それでは、委員からの御意見、あるいは御質問等を受けたいと思います。発言を求める委員は挙手ボタンをお願いいたします。
それでは、黒岩委員、お願いします。
○黒岩委員 神奈川県知事の黒岩祐治です。発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。
本県では平成28年7月26日に、県立の障害者支援施設であります津久井やまゆり園で、「重度障がい者は生きている意味がない」といった自分勝手な考えを持つ元職員によって、19名もの貴重な命が奪われるという大変痛ましい事件が発生いたしました。
県では、このようなことが二度と繰り返されることがないよう、断固とした決意を持って、「ともに生きる社会」の実現を目指すために、その年の10月、県議会と共同しまして「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定いたしました。
また、事件後、津久井やまゆり園の再生を進めまして、利用者それぞれが望む暮らしを実現できるよう、利用者ごとに意思決定支援チームを設置して、今後の生活の場の選択などに取り組むとともに、津久井やまゆり園と芹が谷やまゆり園の整備に力を注いでまいりました。
ところが、そうした中で、かつての津久井やまゆり園の利用者支援に関し、長時間にわたる身体拘束など、不適切な支援が行われてきたとする情報が私の耳に届きました。
そこで、県立施設における支援について検証を行ったところ、身体拘束の3原則に反する、虐待と言わざるを得ないような支援が続いていたことが明らかになりました。
あれだけの事件が起きたにもかかわらず、なぜそうした支援が続いていたのか。どうすればこれを乗り越えていけるのか。そうしたことを議論する中で、私は「当事者目線」という言葉に思い至りました。
これまでは、「利用者の安全・安心のため」という考えで、長時間車椅子に縛りつけるなどの支援が行われてきましたが、縛りつけられる本人の気持ちは考えられていたでしょうか。それは本人不在の「支援者目線の支援」であって、「当事者目線の支援」ではありません。
そこで、私自身が障がい福祉の現場を視察し、また、障がい当事者の皆さんとの直接対話を重ねまして、「当事者目線の障がい福祉」について検討を深めてまいりました。
私は、「当事者目線の支援」を実践している別の施設を見て、とても驚きました。これまでずっと施錠された部屋に閉じ込められていた方が、みんなと笑いながら一緒に働いている。
そこまで大きく変わるということを見て、私は確信いたしました。
この人たちは、上手く表現できないだけで、心の声がある。その心の声に耳を傾けながらサポートすることで、支援する側、される側のお互いの心が輝き、双方向の喜びにつながる。これこそが「当事者目線の障がい福祉」だと思ったのです。
そして、昨年11月、私は、本県の障がい福祉を、「支援者目線」から「当事者目線」へ大転換を図るという「当事者目線の障がい福祉実現宣言」を発信いたしました。
さらに、「当事者目線の障がい福祉」を実現するための普遍的な仕組みとして条例の制定が最も効果的であると考え、今後、条例制定に向けた作業を進めているところです。
そこで、本日の議題である障害者権利条約についてです。
条約第12条では、障がい者が「法律の前にひとしく認められる権利を有すること」、また、第19条では、障がい者が「どこで誰と生活するかを選択する機会」を確保することなどが定められています。
私は、本県の「当事者目線の障がい福祉」や「意思決定支援の取組み」が、条約第12条や第19条を体現するものであると自負をしているところです。
意思決定支援については、津久井やまゆり園での取組みの結果、利用者の表情が豊かになり、意思の表出も増加するなどの変化が見られたほか、支援者側も、当事者の目線に立つという意識に変わることで、身体拘束や居室施錠が減少するなど、支援の質の向上につながりました。
また、この取組をきっかけとして、利用者本人が望む暮らしは、常に本人の心の声に耳を傾けることで分かってくることや、支援者もともに考え、本人と支援者の双方向の喜びにつなげることが大切といったことにも気づかされました。
本県ではこの取組を全県に広げていく予定ですが、障がい福祉の事業所における意思決定支援への理解が不十分であり、また、取組みには、人的にも財政的にも負担が生じることが課題であると考えています。
国においては、「障害福祉サービスの利用等に当たっての意思決定支援ガイドライン」を示されていますが、意思決定支援を全国でより一層進めていくためには、国のさらなる後押しが必要と考えています。
そこで、「障害者権利条約の実施状況に係る政策委員会の見解」に、各自治体や障がい福祉の事業所等に対する意識啓発や報酬面の改善など、当事者一人ひとりに寄り添った意思決定支援の取組みが継続的に実施されるよう、実効性ある枠組みを、国において速やかに構築すべきであるという意見を盛り込んでいただきたいと思います。
また、次の議題である「障害者基本計画」の見直しに関わることですが、先ほど御説明した「当事者目線の障がい福祉」は、障がい者施策を進める上での基本となる考えだと思います。
私は、厚生労働省の社会保障審議会障害者部会の委員も務めております。
昨年の部会の中で、「障害者総合支援法の見直しに当たり、『当事者目線』が重要なキーワードだ」というお話をしたところ、多くの委員に御賛同いただき、12月に取りまとめられました「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直し」に係る「中間整理(案)」の「基本的な考え方」に、「行政や支援者は、『ともに生きる社会』の意味を考えながら、当事者の目線を持って取り組むことが重要である」ことが明記されました。
次期「障害者基本計画」の策定に向けた意見の中にも、ぜひこの当事者目線の考え方を反映いただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 黒岩委員、御提案ありがとうございました。
続きまして、片岡委員、お願いいたします。
○片岡委員 よろしくお願いします。全国地域生活支援ネットワークの片岡です。
障害者の権利に関する条約の資料1、2につきまして、少し発言させていただきたいことがあります。
資料1の3ページ目の第6条や4ページ目の第9条の締めくくりにおきまして「こうした視点から一層の取組が必要である」や「一層の充実が必要である」という記載があります。12条におきましても「制度運用の改善を図る必要がある」とか、21条や24条におきましては「課題がある」という記述があります。少し誤解を恐れずに言いますと、全体的にこういった締めくくりが多いことに違和感を持っております。
私の立場でもう少し具体的に説明しますと、例えば、6ページの19条に「精神科病院における長期入院は課題であり」、途中省略しまして「精神障害者が地域で生活できるような資源を開発することが重要である」という記述があります。これは資料2における9ページ目や10ページ目の意見を基にされた記述であると推察しますが、この資料2は委員、専門委員からの意見に対する回答ではなく、委員の意見を基に各関係機関から情報収集されたことが右半分の「御意見に関連する施策の状況等」として記載されていると解釈しております。
つまり、資料2の情報を参考にしながら、先に述べました19条であれば、精神障害者が地域で生活できるような資源の開発の進捗状況、その他の関連する取組などを委員間でしっかりと共有して、場合によっては関係機関にヒアリング等も行いながら、どこまで盛り込むのかとか、もう少し具体的な記載にしようとか、あるいは高次脳機能障害などの制度のはざまにいると言われている障害者の地域移行の課題も盛り込むべきなのかなどを委員同士で議論しながら、資料1の委員会の見解を作成していくべきではないかと考えております。
逆に、30条などは、日本が世界にアピールできるようなことがもっと盛り込めるかもしれないと思っています。現在、例えば、文化庁の文化芸術による子供育成総合事業というすばらしい取組などもあります。そういった取組などを通じて、障害がある人にもない人にも、大人にも子供にも、文化芸術をプラットフォームとしたともに生きるという理念が共有され始めていると私自身は感じています。そういったことを盛り込むかどうかも、委員同士の議論を経て決定していく方が望ましいと考えています。
リモートということがあるかもしれませんが、私は委員会の委員に就任させていただいてから、委員の皆様と意見交換をしたり、あるいは議論をさせていただいたりしたことがないと思います。時折、私自身、誰に対して意見を述べているのか分からなくなるときもあります。意見を出し合うだけではなく、委員同士で一つ一つ丁寧に議論を重ねて、意見のキャッチボールをして、委員会としての見解をまとめていってみてはどうかと考えております。私のこのような考えに対してほかの委員の皆様はどうお考えか、御意見をお聞かせいただきたいです。よろしくお願いします。
以上です。
○石川委員長 片岡委員から御提案いただきました。私なりに解釈しますと、委員会の中で、個々の条文についての政策委員会の評価や懸念について、具体的な修文まで含めて提案を委員会の中で出していただき、ほかの委員からの意見、賛成や修正意見、あるいは場合によっては疑問であるというような意見も含めて議論をし合って、一つ一つ固めていくということを御提案されたと理解しますけれども、よろしいでしょうか。
○片岡委員 はい。そのとおりです。
○石川委員長 そういった方法を取って、最終的に着地していきたいと私も考えております。現時点ではまだいわば素材を収集している段階で、いよいよ本日より、片岡委員がおっしゃるような委員間での意見交換を経て、委員会の意見をまとめていくという段階にこれから入っていくところであると考えていただくということでいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○片岡委員 はい。ありがとうございます。よろしくお願いします。
○石川委員長 では、こういうことを踏まえて、ここはどうといったような具体的な御意見を頂ければ幸いです。私は既に挙手ボタンを押しておりまして、後ほど意見を述べさせていただこうと考えております。
では、安部井委員、お願いいたします。
○安部井委員 全国重症心身障害児(者)を守る会の安部井です。発言の機会を頂き、ありがとうございます。
第19条と24条に関して発言させていただきます。
まずは第19条についてです。前回の委員会において、第19条に関して2点確認させていただいたことに対し、資料2の9ページに施策の状況として御回答いただきましたことに感謝申し上げます。
地域移行の対象として、重症心身障害児者の入所施設である療養介護を行う病院や医療型障害児入所施設は、地域移行や入所者削減の目標に入っていないことが確認できました。また、重症児者施設の新設を国が認めないという指導がなされていないことも確認され、自治体の判断によるものと確認できました。ありがとうございました。
2016年6月に国連に提出された第1回政府報告作成時には、医療を必要とする重症心身障害児者の声を代弁する委員が参画していなかったため、意見を述べる機会がありませんでした。そのようなことから、国連障害者権利委員会の審査に向けては、障害者政策委員会の見解として医療的ケアを必要とする者の記述に追記をお願いしたいと思います。
追記として、なお、重症心身障害児者は、全てのライフステージにおいて医療が必要であり、我が国においては、医療の整った入所施設と医療スタッフがその命を紡いでおります。在宅生活の支えとしても短期入所が重要な役割を果たしており、短期入所は入所施設の在宅支援のためのベッドを利用している状況です。
次に、24条に関して、資料2にもありますように、特別支援教育が進展しています。平成25年に施行された学校教育施行令の一部を改正する政令によって、本人、保護者の意向が尊重されるようになりました。このことにより、障害のある子供の就学・転学に際して市区町村における相談がより一層丁寧に対応されるようになり、特別支援教育への関心が高まってきました。
また、施行規則の一部を改正する省令も施行され、医療的ケアの課題も進展し、希望する学校に就学できるようになりました。本人の状態や教育的ニーズ、本人・保護者の意向により就学相談の件数は年々増加し、本人の教育的な利益に一番合った学校が選択されています。就学前からの友達と一緒に学ばせたいと地域の小学校に就学する事例もありますが、本人の可能性の伸長や社会性を身につけるなど、特別支援教育のきめ細やかな専門性ある教育を望み、特別支援教育を選ばれる事例も多くあります。それは現在の在籍者人数に裏づけられていると思います。
私の娘は重度重複の重症心身障害がありますが、12年間の特別支援教育によって生きる上での基礎を培っていただき、卒業してからも少しずつ成長し続けています。重度の子供や重度重複の子供へも充実した教育が受けられる日本の特別支援教育は、これからもますます充実していくことが望まれています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
すみません。安部井委員、確認ですが、今の御意見というのは、政策委員会の所見の中で、政府がこれまで実施している政策について、こういう点を評価する、あるいはこういう点に懸念があるということ、顕著な進展や顕著な懸念について報告しようとしているわけなのですけれども、19条に関しましては、どのような意味合いで政策委員会の報告に今おっしゃったような御意見を盛り込むべしというお話でしょうか。重症心身障害児者施設についての施策は、政府として適切に行われているのだということを政策委員会が述べるべきだというお話ですか。
○安部井委員 前回の資料にもありましたが、医療的ケアを必要とする重度重複障害者の地域移行の記述の中に、人間らしく生きるための24時間の医療的ケア保障、介護保障が必要であるという記述がありますけれども、そのためには、重症心身障害児者の場合には、入所施設が病院であり、医療を必要として生活しているということと齟齬があると思ったので、発言させていただきました。
○石川委員長 承知しました。もう少し議論は必要かと思うのですけれども、政府が実施している政策への顕著な懸念点というわけではなく、また、必ずしも進展ということでもないと受け止めたのですが。
要するに、重症心身障害児の施設の必要性について、この委員会においても再確認してほしい。そして、これから障害者基本計画の策定について議論をしていくが、その際に、この点については、委員によく共有してほしいというのが主たる御発言の趣旨かなと受け止めたのですけれども、それでよろしいですか。
○安部井委員 病院で医療を必要としながら生活している人もいることを忘れないでほしいということです。
○石川委員長 そうですよね。24条に関しましても、同様の受け止めとさせていただきたいと思います。
それでは、続きまして、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。今日もちょっと調子が悪くて、横になって失礼いたします。
私は、5条と9条と19条について意見を言わせていただきます。
まず、5条なのですが、懸念事項に紛争解決の仕組みがないということを加えるべきだと提案したのですけれども、これを保護もしくは救済策という言葉に置き換えて再度提案したいと思います。
前回の提案では、5条には紛争解決の仕組みが明記されていないということなのですけれども、条約の33条の2には保護という言葉がありますし、一般的意見6号のパラグラフ22、あるいはパラグラフ31でも適切な救済策というものを求めております。これに照らして、差別解消法では救済策がないということを懸念事項で明記すべきと考えます。
次は9条です。9条は3つあるのですけれども、懸念事項にアクセシビリティを要件とした公共調達の仕組みがないということを加えていただきたいと思います。この政策委員会でもジェームス・サーストン氏に御講演いただいて、欧米では公共調達の仕組みが整って、その結果、アクセシビリティを確保した商品の開発が進んでいるという話がありました。日本は今、地方公共団体などが利用しているSNSでも、やはりアクセシビリティが保証されていないので、使えないといった問題もあります。ぜひこれを加えていただきたいと思います。
9条の2つ目なのですけれども、2つ目の◎で公共交通機関や建築物のバリアフリー整備について、一層の充実が必要と書いていただきました。私はさらにちょっと踏み込んでいただきたいと思っています。特に建物、小規模店舗と共同住宅、ホテルといったもののバリアフリー整備は非常に遅れているということを明確に示していただきたい。
例えば、2019年の国交省の調査で、300平米未満の店舗は、飲食店の場合は新築でもバリアフリー化されているのは14%、食堂・喫茶店は9.8%しか整備されておりません。これは新築に限ったデータですので、現在、日本にある店舗や共同住宅はどのぐらい整備されているかというデータはありませんし、実感としてはほとんど入れるところがないというもので、大きく遅れている分野だと思います。
さらに、公共交通機関については、地方と都市部の格差が非常に大きくなっていることも課題として明記が必要だと思います。条約では都市及び農村の双方においてアクセシビリティの確保ということが求められていますが、1月11日に国交省が発表した集計結果によりますと、3,000人以上の駅を見たら、バリアフリー整備の段差の解消は全国平均95%なのですけれども、3,000人未満の駅を見ると26.8%です。日本には9,500ぐらい駅があって、そのうち6割以上が3,000人未満の駅ですので、もうほとんどの地域が。
○石川委員長 すみません、佐藤委員、もう少し簡潔に説明していただけますか。
時間と発言を希望されている方の関係もございますので、お願いします。
○佐藤委員 すみません。
3,000人未満の駅の整備が遅れているということもぜひ明記していただきたいと思います。
19条なのですが、懸念事項に精神科病院の長期入院の課題も書いていただけましたけれども、諸外国に比べて、精神科病床の数とか長期入院が多いということをデータで示すべきだと考えます。
最後に、資料3について、厚生労働省から御報告いただき、ありがとうございました。この中間まとめの資料を読みますと、総合支援法の見直しは、障害者権利条約や一般的意見の5、脱施設ガイドラインを踏まえて、どのような改正にするかという議論がされていないのではないかなと感じました。ぜひ今後の障害者権利条約の対日審査や、脱施設ガイドラインの動きも念頭に置いた論点整理と検討を進めていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
続きまして、玉木委員、お願いします。
○玉木委員 玉木です。ありがとうございます。少しゆっくりとしゃべりたいと思います。
まず、今日は24条と33条についての意見を言いたいと思います。ただし、去年の秋口からずっと言っている意見なので、簡潔に言いたいと努力しておきます。
まず、資料1の7ページですが、インクルーシブ教育の理念に基づき、可能な限り障害のある児童・生徒が障害のない児童・生徒とともに学ぶことができるようにすることがインクルーシブ教育システムを作るということを言っているにもかかわらず、その下に書いてあることは全て障害児教育に関することばかりだということが、やはり僕は懸念事項として触れたいなと思います。
その前提としては、1994年にユネスコで出されたサマランカ宣言、いわゆる「特別なニーズ教育に関する世界会議」の中身が権利条約24条のベースになっていると思っています。そこでは、教育は障害児を含むすべての子供たちの基本的権利であると認めている。そして、教育制度はインクルーシブなものだし、全ての児童の多様性を考慮して策定することを求めているということが書いてあるのです。
それでいくと、もう言いませんけれども、似たようなことが権利条約の1にちゃんと書いてあって、ということは、前から言っているように、インクルーシブ教育システムの構築というのは、一方的な障害児教育の支援だけではなくて、障害のない子供たちも障害への理解をどう深めていくかとか、どうやってともに生きていくことができるのかというアプローチ的な取組がここに出てこないと、本来のインクルーシブ教育システムの構築にはなっていかないのではないかなということが、まず今日お伝えしたいことです。
2点目としては、33条の「国内における実施及び監視」ということで、懸案事項としてはパリ原則のこともしっかりと書かれているのですけれども、去年からこの会議で私が再三言っているのは、秋口から実は政策委員会の予定が結構入っていたにもかかわらず、全部キャンセルになっていたということと、今後の予定も次は3月、その次は4月、その次は6月とちょっと間が空いてしまって、本当に今日論議していることがしっかりと論議できるのかということが不安になっています。
それでいくと、1ページに書かれているように、3次の基本計画とかを作るときにはきっちりと論議をしていた経験が僕もあって、そもそも政策委員会で全て一括で論議をすることに無理があるのではないかなとやはり僕は違和感を覚えております。
だから、逆に言うと、この懸念事項の中には、独立した監視機関であるにもかかわらず、審査までに十分な論議ができませんでしたということを最終的に書かないで済むように、今後、細かい論議ができるようなしつらえをぜひ考えていただきたいなと思っている次第です。
以上です。
○石川委員長 玉木委員、ありがとうございました。
では、門川委員、お願いします。
○門川委員 門川です。発言の機会を頂きまして、ありがとうございます。簡潔に述べさせていただきたいと思います。質問と意見です。
まず、第21条の表現及び意見についてです。
懸念事項の1点目「情報提供や意思疎通支援をさらに充実することが求められる」とありますが、これには盲聾者向けの通訳介助員派遣等も例として含まれるのか。日常生活支援事業ということでよく言われていますように、地域間の格差があったりして非常に問題を感じております。また、同行援護事業もありますが、移動の支援だけではなくて、外出時の情報の支援等も含まれる事業です。この事業も居宅内でも使えるようにしてほしいという要望を出しているわけですが、これについてもいまだに解決していないので、これも懸念の中に入るのかお尋ねしたい。
それから、2つ目の懸念事項の中につけ加えていただきたいのですがアクセシブルな教材に続いてサービス等ということもつけ加えていただきたいと思います。21条の進展として電話リレーサービスが始まったということが書かれていますが、意思疎通困難者のうちで盲聾者も含めた電話リレーサービスの利用が困難な者もいますのでサービス等という言葉をつけ加えていただきたい。
さらに公的とありますが、ここに民間を加えていただきたいと思います。これについては、例えば、放送事業者との意見交換などを行っていますが、テレビの情報にアクセス可能にするための意見交換がされていますが、これについてもどこまで進展しているのか不明です。
次に、24条について、私の読み方が間違っているのかもしれないのですが、ともに学ぶことができるように、特に平成30年度から高等学校における通級による指導を制度化したとありますが、小・中学校においてはどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。
次に、27条についてです。令和2年から重度訪問介護、同行援護を利用する障害者においては、雇用納付金制度に基づく障害者介助等助成金及び重度障害者等通勤対策助成金が拡充されて、地域生活支援事業の雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業が始まったとありますが、これについて、どれぐらいの予算が組まれて、実態はどうなっているのか、また、特別事業ということなので、一過性のものなのか、これからも継続して行われるものなのか、そこも教えていただきたいと思います。
さらに、33条について、2つ目のパラグラフで「また、障害者政策委員会では、平成31年2月から、同法」とありますが、差別解消法のことでしょうか。ちょっとここが読めなかったので、確認したい。あと、10月からというのは9月からの間違いではないでしょうか。
以上です。ありがとうございました。
○石川委員長 門川委員、ありがとうございました。
幾つか質問もされていたので、各省、今日は出席されていますでしょうか。文科省、いかがでしょうか。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課:山田課長) 文部科学省特別支援教育課長の山田と申します。
24条につきまして、御質問いただきました通級による指導については、通常の学級に在籍しながら特別な支援を取り出しで受けられる制度として、インクルーシブなものであるとして我々も推進をしているところでございます。
ここには平成30年度から高等学校における通級を制度化と書いておりますが、小・中学校については、もっと早くから、平成5年頃だったと思いますけれども、開始されておりまして、それがそれの上のポツで書かれているようなものだったり、その下のポツで、平成26年度は8.4万人だったのが13.4万人に増えたという形で小・中学校の増加の状況についても述べております。小・中学校については、前からあったものが増えていますよという記述で、高校にはこれまでなかったので作りましたという記述をさせていただいているというところでございます。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
厚労省の障害者雇用対策課、お願いできますか。
○厚生労働省(職業安定局障害者雇用対策課:中村雇用促進係長) 職業安定局障害者雇用対策課の中村と申します。よろしくお願いいたします。
助成金の関係でございますが、特別事業の方は、もしかしたら後で障害部の方から御紹介があるかもしれませんが、こちらの事業なのですけれども、先ほど御紹介がありました障害者雇用納付金制度に基づく企業への助成金については、先ほど御紹介がありましたように、地域生活支援事業である雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業と一緒に活用するという制度になっております。
現在のところ、こちらの納付金制度による助成金の支給の実績はないという状況でございますが、申請したいといった御相談というのは、今、独立行政法人の方で受けているようでございますので、しっかりと周知等を進めていきたいと思っております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
33条関係については、内閣府、お願いできますか。
○立石参事官 内閣府でございます。
先生の御指摘のとおり、同法は差別解消法でございまして、非常に読み取りづらくなっております。大変失礼いたしました。
それから、ヒアリングについては、今、10月のヒアリングということで確認が取れました。ただ、内閣府においてということで、事務局ヒアリングをして、それを政策委員会に報告したというものでございますので、この部分について載せるべきかどうかという御意見がございましたら、修文を検討させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
まだまだ多くの委員が発言を希望されています。先ほど玉木委員と片岡委員からも御発言がありましたが、委員会の中で議論して修文を決めていきたいと考えておりますけれども、同時に、政策委員会としての障害者権利委員会への独立した監視枠組みとしての報告というのは、第1回の政府報告にアペンディクスという形で既に入れて報告しています。今回はそれを更新するというのが趣旨であるということと、権利委員会側で字数制限というのを設定していて、簡潔な報告、つまり、顕著な懸念、あるいは改善すべき点及び顕著な進展について報告するということを今回は御提案して、基本計画の策定の作業と差別解消法改正に伴う基本方針の改正作業という非常に重要な作業をともに並行して、今、作業をやっております。
なので、細部にわたる網羅的な課題を報告するということが今回の主たる目的ではなく、顕著な懸念、あるいは顕著な進展を独立した監視の枠組みとして権利委員会に示すことで、日本の権利条約の実施の全体的な見取り図というか、鳥観図を権利委員会に提示するということが主たる目的であるということをもう一度委員各位に御理解、共有いただきたい。その上で御発言、御提案を頂ければ幸いです。
それでは、米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
障害児の立場ということで、全国児童発達支援協議会の代表としてお話をさせていただきます。ありがとうございます。
まず、簡潔に私が申し上げたいのは、今日頂いた資料の3ページにあります6条と、前に議論で女性とともに子供という話があった7条にも関わります。それと、ここには挙がっていませんが、16条が障害者虐待防止の項目として挙がっていると思うのですが、そのことに関連してということでまず1点。あと、子供の教育、インクルーシブ教育ということで24条についてお話をさせていただきます。
まず、虐待についてですが、子供の方について申しますと、障害児権利条約の子供の権利の23条の3に、子供たちは広く虐待を受けないということが明記されていますけれども、障害児を含む障害者虐待防止は、これは進展があったということだと思いますが、平成24年に障害者虐待防止法ができ、改正が行われています。
日本版子供虐待防止学会の方と、私もワーキングに入っているのですが、障害児虐待予防ということで法律もかなり改定されていまして、先ほど黒岩委員からございましたが、本人の意思決定支援だとか、いわゆる身体拘束の防止ということで、それを記録するとか、予防することで同意書を取るとか、そういうことがこの2から3年で義務化されて、それも監査されているようなところはそれなりの進展だと思います。
子供について申しますと、障害者総合支援法の事業で令和元年に障害児虐待予防マニュアルというものができまして、子供の場合には、意思決定もですし、意思を作るという意思形成支援ということまで含めたマニュアルができていて、そういったことを16条の進展という中で組み入れてはどうかと思いました。
それはとても重要な点で、子供側の今の障害児の方の23条にも関わることですので、ぜひ書き込んでいただきたいと思います。それが1点。
それから、24条で、先ほど特別支援教育の中で、通級とかを含めて特別支援教育が始まってからもう10年ほどたって、とても進展していると思います。前回もお伝えしたかもしれませんが、平成26年からいわゆるトライアングルプロジェクトということで、教育と福祉と家族を中心とした教育と福祉の連携ということがあります。
この支援教育の中で、全人的に子供を育てるという中だと、教育だけでは駄目で、その後の放課後学童も含めた、あるいは先ほど厚労省の障害支援の説明にもありましたが、放課後等デイサービスとか、そういったところと福祉との連携というのはとても重要になってくると思いますので、ぜひ24条のところでトライアングルプロジェクト、平成26年から今も続いていると思いますけれども、そういった連携ということをつけて、ぜひ子供の権利、あるいは生きる力をつけるというところを入れてみてはどうかと思いました。
今日は資料2の方の6条、7条の議論のところに前回意見したことが載っておりましたけれども、今のようなところで。
○石川委員長 米山委員、すみません。時間の関係もあるので、簡潔にお願いできないでしょうか。
○米山委員 では、以上になります。障害者、障害児、女性も含めた虐待予防のこと、それから、インクルーシブ教育の福祉との連携についてということをお願いします。
○石川委員長 進展があったと記載すべきという御提案ですね。
○米山委員 そうです。
○石川委員長 次に、佐保委員に指名しようと考えていたのですが、ほかの仕事との関係で退席されました。
チャットに御意見を書いていらっしゃるので、事務局の方で読み上げていただくことは可能でしょうか。
○立石参事官 事務局でございます。
読み上げさせていただきます佐保委員からの御意見でございますが、本日、資料11として配付されている資料について、「資料11の2の3番目の○の冒頭に「資料4」とあるのは「資料5」の誤りです。おわびして訂正いたします」というコメントを頂いております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
早退されるということで、私としては確認しておりませんでしたので、配慮することができませんでした。
この後、まだたくさん発言を求めておられます。しかし、休憩も取りたいということもございますので、ここで10分休憩を取りたいと思います。
恐縮ですが、私は最後に移動させていただきますけれども、挙手リストのお名前の順に発言していただきますが、可能であれば、休み時間の間に具体的な提案にできるだけ落とし込んで簡潔に御提案いただけないでしょうか。御協力いただけるとありがたいです。
それでは、2時57分まで休憩とさせていただきます。
(休 憩)
○石川委員長 それでは、再開します。
岩上委員、お願いします。
それでは、先に岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
今回の見解案にはない項目なのですが、第10条「生命に対する権利」で精神科医療における身体拘束の適正化についての懸念を追加していただきたいと考えております。
昨年10月、最高裁において入院中の身体拘束によるエコノミー症候群で亡くなった方の遺族が起こした裁判で、病院側に賠償責任を求める判決が出されました。身体拘束による死亡の危険性が示されたことで、安易な身体拘束が行われることのない方向に向けて画期的な判決と受け止めましたが、この裁判についての日本精神科病院協会の会見の中で、加盟する精神科病院からは、身体拘束をためらってしまうことで、拘束が必要な患者を今後は受け入れられないとする声が上がっているという発言がありました。この状況が精神疾患がある人やその家族を大変不安にさせております。
身体拘束が治療上必要な措置であったとしても、そのために命を失うような状況はなくさなくてはなりませんし、また、精神科治療が必要な人が、身体拘束ができないならという理由で治療を断られるようなことがあってはなりません。
現状では、身体拘束によると思われる死亡は少なくない頻度で起こっています。その一方で、精神科医療における身体拘束の件数は年々増加傾向にあります。
政府報告に関する質問事項への回答の中で、強制入院または身体拘束の最中、またはその後に発生した死亡事案の件数については、把握していないと書かれておりますが、精神科医療における身体拘束の適正化に向けて、国として精神科医療における身体拘束の実態調査に取り組み、精神科における安心で適正な治療のために必要な措置を講じる必要があると考えておりますので、ぜひこれは懸念として加えていただきたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
10条とおっしゃいましたか。14条ではなく、10条でしょうか。
○岡田委員 政府報告の中では、10条の中で身体拘束について書かれているのです。14条の中に加えて違和感がなければ、それでもよいと思います。
○石川委員長 権利委員会としては、14条で扱うということが一般的かなと思いますが。
○岡田委員 分かりました。では、14条で。
○石川委員長 よろしいですか。
○岡田委員 はい。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 では、岩上委員、お願いします。
○岩上委員 大変失礼しました。間違って消してしまいました。
6ページの第19条の「精神科病院における長期入院は課題であり、精神科医療そのものの地域移行が必要である」との記載は、先ほども御説明がありましたように、前回の報告でもということでこの記載が残っているのだと思うのですが、非常に分かりにくいのではないかということを前回も指摘したつもりでおりました。この文章を「精神保健、精神科医療の充実及び社会的基盤が必要である」とした上で、その後の説明を加えていただいた方がいいかなと思っています。それが1点。
もう一点は、特に今回どういう取扱いになるか分かりませんが、黒岩委員がおっしゃった当事者目線という言葉について、私は違和感があります。従来から私たちは本人を中心とした支援とか当事者の立場に立ってという言葉を使ってきておりますので、そこは議論が必要だと思います。
私はそれも踏まえて専門職としての立場で仕事をしてきていますので、むしろ大切なことは、それぞれの立場を理解した上で建設的な対話をすることが大切だと思いますので、あえて新しい言葉がなぜ必要なのかというのは、ちょっと理解に苦しむところがあります。それ以上に、なぜそういう言葉が必要なのかということをもっと議論すべきで、あまり新しい言葉を出せばいいというものではないと思っています。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、曽根委員、お願いします。
○曽根専門委員 曽根です。
まず、片岡委員の御発言については、私も共感していまして、今後、自分の発言もそのようにしたいと考えています。
その上で、ここには出ていないのですけれども、第16条の「搾取、暴力及び虐待からの自由」の項目に、具体的には精神保健福祉法における精神科病院による虐待防止に課題があるという懸念点を追加したらどうかということを提案させていただきます。
令和2年に神戸の病院で大きな虐待事件がありました。そこで行われたのは心理的虐待、性的虐待です。現在、厚生労働省障害保健福祉部精神障害保健課の中で、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会が開かれていまして、その具体的な検討事項として虐待の防止に係る取組というのが挙げられていますので、こういったことを精神保健福祉法の中にきちんと位置付けて、虐待防止に向かうべきだということで、それを追記してはどうかという提案をさせていただきます。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。簡潔に御提案いただいて、ありがとうございます。
では、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。
まず最初に、5条の関係です。差別解消法におきましてもお願いをしてまいりましたけれども、国における差別解消法の救済措置の窓口を設置していただきたいという思いがありますので、そこを書き入れていただきたいと思っております。
それと、6条の女性差別の部分でありますが、27条の障害者雇用にもちょっと関係してくるかなと思っておりますけれども、障害者の雇用実態調査のデータを見ましても、男女差が随分と顕著に現れておりますので、障害者雇用の女性障害者雇用というところも少し考えて明記をしていただけたらありがたいと思っています。
そして、政府の業務統計に、障害者雇用率の達成状況とか人数などを年次報告で書いていただいているので、分かりやすいと思いますけれども、報告様式に性別を含めていないという形になっておりますので、雇用されている障害者の性別が全く不明な統計だと思いますので、性別統計の整理、公表、分析というのは、基本計画の進捗の評価をしていく上でも大変重要な部分ではないかなと思っておりますので、その辺のところも書き入れていただけたらありがたいと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、野澤委員、お願いします。
○野澤委員 野澤です。ありがとうございます。
私はここ1から2回欠席していて、ひょっとしたら議論から的外れかもしれませんし、先ほどの座長の御注意からしても、ピントが外れてしまうかもしれませんが、19条のところなのですけれども、入所施設から地域移行への課題があるというこの1行だけだと、どういう形なのか分からないというのが正直なところで、入所施設は今でも2人部屋、3人部屋がまだまだ多いというのは福祉協会の調査でも明らかになっておりますし、地域移行が足りないのかと言っているのか、グループホームが足りないと言っているのか、それともグループホームだけでは駄目だと、グループホームでも駄目だと言っているのか。グループホームの中にも一人暮らしをしたいという人が結構いるというのは最近の調査でも出ていますし、地域で一人暮らしをするためのサービスが足りないと言っているのか、自立生活援助だけでは全然足りないと言っているのか、どう課題があるのかというのが分からないので、もう少し丁寧に書いてもいいのではないかなと思っています。私はこれ全てがそうだと思っているのですけれども、これが1つです。
もう一つは、21条の情報提供とか意思疎通支援のところで、時々、私、御指摘させていただくのですが、こういう問題になると、発達障害を含めてだと思いますけれども、知的障害の方が全く取り残されてしまうのです。全く進展がないと言ってもいいと思います。
知的障害の方にとっての情報保障というのは、12条の意思決定支援の前提であり、中核をなすものだと思っています。ものすごく大事なものなのに、この辺が全く顧みられないというところを私は前々から感じていて、これはぜひ障害名を入れて、ほかのあれでバランスがどうなのか分かりませんけれども、この辺は特に言いたいところだなと思っております。
もう一つは、神奈川県の黒岩知事がおっしゃっていた津久井やまゆり園の件で、大塚委員もそうですけれども、私は検証委員会をやって、中の資料を見たり、現地に行って職員さんたちからいろいろ話を聞いて分かったのは、ちょっとした行動障害があると、どうしたらいいか分からないものですから、医師、看護師の指示、アドバイスにそのまま従って居室施錠をしたり、向精神薬とかの薬を使ってそういう拘束をするわけです。薬の過剰使用というのは、海外では化学的拘束と言われていますし、日本の医師でもそう言う方はいらっしゃいます。
これを何でここを問題にするかというと、先ほどの総合支援法の見直しの中でも、福祉と医療の連携というのは、何の批判もなくずっとこういう言葉が使われていくのですけれども、福祉と医療の連携というのを安易にやっていくと、身体拘束が福祉の現場で厳しく規制されていくと、もっと医療の側に行って、医療は虐待防止法の網がかかっていませんから、裁量内でこういうことが行われていく恐れがあるのではないかなということを懸念しております。
これは医療が悪いというのではなくて、福祉の側の力不足、認識不足に原因があると思うのですが、この辺の歯止めをどこにどう書き込めばいいのか分かりませんけれども、今、一番直近の話題で課題を感じておりますので、一言申し上げたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
私の発言の趣旨ももう一回明確化したいのですが、野澤委員のお考えと同じで、明確かつ端的にいわば本質的な部分を記載したい。現状、ぼんやりとした記載がまだ目立っておりますので、そこは明確化・明瞭化したいと考えております。
それでは、続きまして、北川委員、お願いします。
○北川委員 日本知的障害者福祉協会の北川です。
打合せをしたわけではないのですけれども、今の19条のところは野澤委員とほとんど同じことで、ここの地域移行に課題があるというのは、通信サービスがないということを言っているのか、よく分からないなと思ったところです。
知的障害福祉協会としては、本人の望む暮らしの実現ということで、特に今はQOLが全然よくないというか、4人部屋とか3人部屋がまだすごくたくさんあるので、そういうこととか、もっと入居施設を小さくするとか、そういうことに取り組んでいく、人間らしく生きるというところでは、そこに懸念があるのではないかと思いました。
それから、24条の教育の政策委員会の懸念のところで「インクルーシブ教育を推進していくために、我が国が目指すべき到達点」というのはどんなことなのだろうかという、ここは質問なのですけれども、例えば、同じ学校でともに学ぶというのは非常に大事なことであって、それプラス、それを前提にその子の特性に合った支援をしていくことが大事だと思うのですが、日本の学校教育の中ではインクルーシブでともに学校にいることが大事なのだという理念が共有されているのかという、そこがすごく疑問のところなので、目指すべき到達点について教えてほしいと思います。
以上です。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
目指すべき到達点についての議論というのは、これでは本当に何を言おうとしているのか分からないので、直したいです。ありがとうございます。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 阿部です。
私は記述箇所の確認ですけれども、ただいまの北川委員の発言とも重なるところがあると思います。24条、7ページの黒ポツの一番下なのですが、真ん中ぐらいに「小学校学習指導要領等の改訂において、通級による指導を受ける児童生徒について個別の指導計画及び個別の教育支援計画の作成を義務付けた」という箇所がありますけれども、まずは、通級を利用しないで通常学級で学ぶ子供というのはあるわけですが、この場合には、個別の教育支援計画とか個別の指導計画の作成の義務づけはないものかどうかということの確認です。
通級には通っていないのだけれども、通常学級で学ぶ場合に、障害特性によって配慮すべきこと、また、指導計画においても学ぶ場合の合理的配慮を含めた工夫があろうかと思うのですが、まさに私はインクルーシブ教育であり、通級を利用していない特別支援教育の対象となっている障害のある児童・生徒については、この計画がどうなっているのかということを確認させていただいて、ここの記載を変更することがあるのであれば、そうすべきだと思いました。
以上です。
○石川委員長 阿部委員、ありがとうございました。非常に重要な御指摘だと思います。
文部科学省の山田課長、いらっしゃいますか。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課:山田課長) 個別の指導計画について、我々の方で義務付けをさせていただいているのは、特別支援学校、特別支援学級に在籍する、また、通級による指導の対象のお子さんとなります。そういった支援を受けていない人について義務づけているかというと、義務づけていないというのが率直なところでございます。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
ということになりますと、やはりここは懸念点、課題として示すべき点ではないかなと、阿部委員と問題意識を私も共有いたします。山田課長、ただし、実際には合理的配慮の提供は行われていることはいますよね。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課:山田課長) もちろん、保護者の御判断も含めて、明確に障害がありながら通級を利用されていない方もいらっしゃいますし、そういう方に対して、合理的な配慮を含め、例えば、特別支援教育支援員であるとか、様々な手当てはしているという状況でございます。
○石川委員長 その点については、進展の中で書けるところは書きつつも、懸念点も示すという形を取りたいと思います。
では、大塚委員、お願いします。
○大塚委員 ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの大塚と申します。
片岡委員の、委員の間の見解をいろいろ議論しながらまとめるということ、そして、座長の本質あるいは明確化というところで、どんなまとめ方をしたらいいかということを考えています。
特に進展、あるいは課題であるとか、懸念という言葉ともになのですが、19条と24条は同じような状況がありまして、19条は地域生活ということで、早いか遅いかはあるかと思いますけれども、自立支援法から総合支援法で障害福祉計画、地域移行が少しずつ進んできた。そういう中において、地域生活が進むといろいろな選択肢が増える。選択肢が増えると、施設などについての再評価というか、そういうところのニーズが出てくる。そういう選択肢が増えていろいろな可能性があったときに、そういう状況が生まれるということ。
あるいは24条の一人一人の教育的ニーズというものについて、きめ細かくやろうということによって通級制度が進む。それによってまた選択肢が増えると、特別支援学校へのニーズも増える。そういうある意味での少し解釈学的な状況がある。
これはどちらのイデオロギーではなくて、進展をすることによっていろいろな多様性が出てくるということをきちんと書く。明確化、あるいは本質化するということが大切だと思っています。それを課題と言うのか、懸念と言うのか、何と言うのか分かりませんけれども、行政は行政の立場できちんと書く。それを私たち委員会が評価して、進展と懸念について、本質化あるいは明確化していくという作業が必要なのではないかと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 発言の機会をありがとうございます。
先ほど来、お話がございました6ページ目の懸念の部分、上から3行目の「入所施設からの地域移行に課題がある」というのは、具体的なことが述べられていないので、このまま出ては全く意味が分からないかなと思います。
ここに必要なものは、今までの議論の中でそれぞれの事業をなさっておられる委員さん方が把握されていて、私も最重度の身体重複障害者の方々、医療的ケアを必要とされる方々の入所施設を運営している立場から、アンケートとしても上がっていることとして、入所支援を利用されている方、それから、家族への地域移行への動機づけが必要ではないかと思います。
きめ細やかな相談支援という表現でもいいのですが、サービスの提供体制、地域移行が可能となるような制度設計、それが実現していく財源確保と幾つかの課題があると思うのですけれども、それらの具体的なところ、要は、御本人や家族が不安に思わないようなサービスの量と質が担保できるのかという大きな課題も含めて、羅列できるところは上げていく必要があるのではないかなと思いまして発言させていただきました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、私からも意見を述べさせていただきたいと思います。
6条及び11条で復興ガイドラインと防災基本計画を進展として挙げているのですが、計画段階で計画ができたということをもって顕著な進展とするのは、やや時期尚早感がありまして、どちらも顕著な進展とまでは言えないということから、削除した方がよいのではないかと考えますが、ほかの委員の御意見、お考えをお聞きしたいと思います。
それから、同じく6条なのですけれども、女性の参加ということではなく、障害のある女性の参画を促進するということに課題があるとすべきではないか。つまり、問題として指摘されているのは、複合的・交差的な差別が存在しているという特に女性障害者からの指摘があって、障害者と健常者、障害のある人とない人の参加についての調整と、ジェンダー間、性別間の調整と、両方やってはいるけれども、結果として障害男性と健常女性が多く参画する引き換えとして、障害女性の参画というのが進んでいないというのを指して、複合的、あるいは交差的な差別と考えるべきだと思うのです。そうしますと、ここではもっと明確に障害のある女性の参画を促進することに課題があると書くべきではないかと思います。
9条についてですけれども、事業者のウェブサイトやモバイルアプリケーションなどのアクセシビリティを推進する法制度や施策が未整備であることが課題だということもできれば書き込みたいと思います。
それから、19条と24条で医療的ケアを必要とする児童への支援が重複しているので、これは19条に一本化してよいのではないかと思います。
24条で「インクルーシブ教育システムの理念に基づき」という枕言葉があって、以下、進展を評価するとしているのですが「インクルーシブ教育の理念に基づき」とするか「基づき」まで全部削除するかの二択ではないかと思います。これはほかの委員の御意見も伺いたいと思います。
それから、31条なのですが、基幹統計のうち国民生活基礎調査等には障害についての設問が入ったのですけれども、総務省が所管されている労働力統計及び学校基本統計についても、障害に関する設問を含める必要があるとか、設問が含まれていないのが課題であるといったような記載を入れた方がよいと考えます。
私からは以上です。
以上、様々な御意見、御提案がございまして、これらの意見の中で本質的にバッティングするような考えはなかったかと思うのですけれども、当政策委員会として権利委員会に提出する意見の中で、特に重点的な項目、顕著な懸念と顕著な進展に焦点を当てていく必要があると考えています。
その作業をどのようにして行っていくかということなのですが、ここは落としていいのではないかということは、特に懸念点については、それぞれの立場でどれも重要なのだということで、なかなか調整が難しいかと思うのですけれども、いかがでしょうか。既に御発言された委員、まだされていない委員がいらっしゃると思いますが、何か妙案があれば御提案いただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
先ほど身体拘束について、いろいろな委員からお話がありました。私自身、障害者虐待あるいは障害児虐待に携わっていますけれども、障害者施設でも、あるいは障害児施設でも、虐待防止法に基づいて虐待報告されているのは氷山の一角とも言われています。
一方で、病院のことについても、先ほど裁判の話もございました。そういったことで進展はしてきているのですけれども、まだそこが十分でないというのはあるので、そのまとめについては、私も皆さんの意見をお伺いして、もう一度身体拘束の周辺、あるいは虐待防止の16条とか11条に関わるので、その辺はぜひ意見交換できたらいいなというのが1点です。
○石川委員長 ありがとうございます。
物理的拘束及び薬物等による化学的拘束も含めて、懸念事項として加える方向性で更新したいと私も思いますけれども、委員の皆さんのお考えはいかがでしょうか。
安部井委員、お願いします。
○安部井委員 ありがとうございます。
今の石川先生の投げかけに対しての答えにはなっていないのですが、先生から先ほど医療的ケア児の部分を一本化するというお話がありましたが、先ほど私が発言した内容につけ加えてなのですけれども、資料1の6ページにある「医療的ケアを必要とする」云々という前に「濃厚な医療を必要とする重症児(者)を除いた」という記述が必要ではないかと思います。その裏づけとして、資料2の9ページの19条の記載にも厚労省からの回答がありますので「濃厚な医療を必要とする重症児(者)除いた」という加筆があったらいいなと考えました。
以上です。
○石川委員長 安部井委員、ありがとうございます。
言い換えれば、濃厚な医療的ケアについて、課題があるという。
○安部井委員 医療的ケアではなくて医療を必要と。
○石川委員長 に課題があると述べるのはいかがですか。
○安部井委員 はい。そのように。「濃厚な医療を必要とする重症児(者)を除いた」という文言が一番最初に入るのが適切ではないかと考えました。
○石川委員長 「除き」ということですか。つまり、そこには進展がないということを安部井委員はおっしゃりたいわけですよね。
○安部井委員 進展というよりも、現実的に違うかなと思いました。
○石川委員長 なので、濃厚な医療を必要とする子供たちに対する施策が進んでいない、あるいは進んでいる、どういうお考えというか。
○安部井委員 子供だけではなく、大人も含めて、要するに、地域移行の対象とはならずに、病院機能のある入所施設で生活しているということなのですが。
○石川委員長 そうしましたら、19条で一本化ということに対して何らかの御心配があるのであれば、24条の方で進展とするということであれば、御心配はある程度消えますか。
○安部井委員 19条ですね。
○石川委員長 いや、24条に入れるということだと。御懸念の文脈として、施設と地域移行ということに関しての考え方がそこに関わってくると御心配になっていらっしゃるのかなと思ったのですが。
○立石参事官 すみません。事務局でございます。
今、安部井委員が追加を御指摘されている部分というのは、資料1の6ページの懸念点の●のところの「医療的ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援については」という項目の冒頭部分に「濃厚な医療を必要とする重症児(者)を除き」ということで、安部井委員、よろしいでしょうか。
○安部井委員 フォローをありがとうございます。そのとおりでございます。
○石川委員長 修文については、検討させていただきたいと思います。
話をもう一回戻させていただいて、拘束については、皆さん、よろしいですか。
米山委員、どうぞ。
○米山委員 拘束については、医療機関、いわゆる病院、それから、福祉の機関、これは学校も一部入るかもしれませんが、進展と懸念をもう少しまとめた上で決めて、この段階ではやはりまだ懸念だと思います。
すみません。もう一つだけ。「医療的ケア」は実は私どもがいた施設で作った言葉ですので、障害者の中でも、あるいはいろいろな福祉の現場でも誤解があると思いますので、定義だけもう一度。
「医療的ケア」というのは、外国語にするととても分かりづらいことです。福祉の現場でも薬物調整をするとか、薬を飲ませるとか、そういうことも「医療的ケア」という言葉で使っている職員もたくさんいるので、この前、医療的ケア児支援法ができましたけれども、これの表現については、もう一度その辺を整理した形で表現しないと、かなり誤解を生むことになると思います。
先ほど安部井委員がおっしゃったように、法律上は医行為ですので、医療という方が正しいのかもしれませんが、医療についても、今の薬を投薬するとか、薬を飲ませるだけとか、実はそういったところの医療的ケアの範囲というのが少し曖昧になっていますので、その辺は表現をするときにもう少し整理する必要があるかと思います。よろしくお願いします。
○石川委員長 ありがとうございました。
ほかの論点について、賛成、反対、修正等の御意見はいかがでしょうか。
玉木委員、どうぞ。
○玉木委員 玉木です。ありがとうございます。
石川委員長が今言われた7ページの「インクルーシブ教育の理念に基づき」というのは、委員長と同様、私はカットしていいかなと思っています。その代わりに懸念事項として、インクルーシブ教育システムの理念については、統一化されていないという書きぶりを加えていただくと、すっきりするのではないかなと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
中野委員、お願いします。
○中野専門委員 中野でございます。
今の同じ教育のところですが、私も「インクルーシブ教育の理念に基づき」というところは削除してもよいのではないかと思いました。理由は少し違っておりまして、現状としては、学びの場によって、それから、私立か公立かによって、ここに書いてあることが実現できているものと、そうでないものがあるのではないかと認識をしております。
特に通常の学校の場合には、過剰な負担の解釈が異なっています。特別支援学校等ではかなり充実した配慮が受けられるけれども、通常の学校ではなかなか必要な配慮を受けることが難しいと思います。例えば、点字を必要とする児童・生徒には、すべての教科書や補助教材が点字で提供されていない場合があるのではないかと認識しています。
また、国公立の義務教育ではある程度、配慮ができているけれども、私立や高等教育段階ではまだ課題があります。ここに書いてあるのは、ある限定的な状態だと思いますのでそのことが分かるように表現した方がよいのではないかなと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
熊谷委員、お願いします。
○熊谷委員 熊谷です。
私も前回、前々回と休んでしまったので、的外れかもしれないのですが、25条の健康に関しての懸念を入れてはどうかなと考えています。
先ほど安部井委員からもあったように、医療的ケアの文脈での医療へのアクセシビリティは、恐らく施設の中ではアクセシビリティがあるのだけれども、現状、地域での生活を選ぼうとすると、途端にアクセスができなくなる。選択肢が減っているわけですよね。それはやはりなるべく選択肢を広げようという趣旨からすると、非常に問題があるということと、あと、実際は医療的ケアでなくても、例えば、高齢化した障害を持つ人たちが医療へのアクセスに結構問題を抱えていて、二次障害などが悪化したりしてしまう現状もあると思います。これは精神障害における慢性疾患の管理もそうかもしれませんし、身体障害における整形外科的な疾患に関してもそうかもしれません。
そのように25条の医療へのアクセシビリティ、病院の中ではアクセス可能かもしれませんが、特に地域の中で生活をしている障害者にとっての医療へのアクセシビリティの問題に懸念があるというように吸収できる範囲があるかなとお話を聞いていて思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
せっかく24条について少し議論が出たので目指すべき到達点についての議論云々という記述は、それが何を意味しているのかというのが非常に不明瞭なので、むしろ削除した方がよいのではないかと私としては考えますが、皆さん、いかがでしょうか。
河井委員、お願いします。
○河井委員 全国肢体不自由児者父母の会連合会、河井でございます。
今のインクルーシブ教育が目指すべき到達点云々なのですが、かなり前の段階からずっとこの議論をしていたように記憶しています。なぜこれが議論になったかというと、権利条約では、ともに地域で暮らす者として等しく教育を受ける権利があるということが述べられている一方で、日本においては、特別支援学校という居住地からかなり離れたところに隔離された状態で教育を受けてきたという歴史がある中で、これを認めていいのかどうかという議論があの当時あったように記憶しています。
特別支援学校における教育課程について、その内容が不適切とは全然思っておりませんし、それを必要としている児童・生徒がいることも事実であると私は思っていますが、政策委員会が特別支援学校の存在についてどういう認識をしているのかというのを、たしか統一的な見解をみんなで持っていなかったなとずっと私は思っています。そこを確認した上で、この文章は外していいのかなと思います。
○石川委員長 そういう趣旨です。
権利委員会が求めているのは、インクルーシブ教育の実施がどこまで来ているのかということなので、こちらとしては、それに対しての懸念、あるいは進展を報告するということで、国内的に特別支援学校の存在価値、存在理由について、様々な立場があって、必ずしもそれが全廃論みたいなものになっているわけではないし、逆に特別支援学校こそが特別支援教育のエースなのだということでもないだろうということで、国内での議論としては、その部分は継続的にというのがここでの趣旨なのだと思いますが、そのことを権利委員会に報告して何か意味があるのかというと、ないだろうという趣旨でもありますが、河井委員の認識と一致しておりますでしょうか。
○河井委員 結構です。
○石川委員長 ありがとうございます。
もしほかの委員からも強い反対等がなければ、ここは削除とさせていただこうかと思いますが。
北川委員、どうぞ。
○北川委員 すみません。よく分からなかったので教えてほしいのですが、石川委員長がおっしゃっているのは、権利条約ではインクルーシブを進めているけれども、我が国はそこに至っていないので、これを懸念として書いても仕方ないのではないかという意味ですか。分からなかったのですが。
○石川委員長 石川です。
いえ、違います。インクルーシブ教育に懸念がある点については懸念として書き、進展している部分については、進展として書くということに特化すべきだというのが私の意見です。
○北川委員 今、河井委員がおっしゃった、特別支援学校などでなされている教育課程における特別支援教育そのものは必要なことだと思うのですけれども、地域の学校に行くというところにおいては、それがなかなか実現されないというところでは、日本ではまだ難しい状況があるし、現状の実態は、なるべくその子の能力とか特性に合った学校に行ってくださいと言われるという状況なので、そういう懸念も書きつつ、進展していることを書くということでよろしいですか。
○石川委員長 やはり懸念の方を厚く書きたいです。
進展をしている部分もあるので、その点は、進展していることは率直に進展していると述べてよいのではないか。ただし、懸念事項は多い。インクルーシブ教育という観点からの懸念事項は書かないといけないと考えています。
○北川委員 分かりました。ありがとうございました。
○石川委員長 米山委員、関連でしょうか。
○米山委員 そうです。
今の石川委員長の御意見で私もよろしいと思います。平成23年の障害者基本法の改正の第16条は、インクルーシブとは書いていませんが、みんな、可能な限り障害のある児童・生徒が障害のない児童・生徒とともに教育を受けられるように配慮しつつ、内容、方法の改善を図る施策を講じなければならないということがインクルーシブ教育だとしっかり理解をしていると思います。
それが進展もしていますし、いろいろな不適用などが特別支援教育で適用されて、うまくいっている例、10年予後もいいということもあったりするので、そういう進展ももちろんあるのですが、やはりまだまだ本当にインクルーシブかどうかというところの懸念が両方あると思いますので、そのようでいいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。今日、確認しておきたい点があれば。
片岡委員、どうぞ。
○片岡委員 活発な議論ができていることに、参加していてすごくいい感じがしています。
冒頭で私が申し上げさせていただいたのですが、19条と30条のところも少し議論をしていただきたいことがあって、例えば、19条においては、私は日頃、高次脳機能障害の支援に取り組んでいるのですけれども、やはり社会的行動障害がある人などは、社会的行動障害が重度の人が重症だと判定される基準がなくて、結局、地域移行の前に家族で抱えることになっていたり、適切な支援が受けられないまま、住まいの整備がされずに孤立していっているようなケースが確認されています。
あと、高次脳機能障害児に関しても、18歳未満で受傷した高次脳機能障害のある方の約8割が未診断であるという実態がある上で、そういう高次脳機能障害児に適切なタイミングで専門知識を持って関われる支援者や医師、教育関係者も少ない。ほとんど不十分な現状があるわけなのです。
高次脳機能障害だけではなくて、そういったことがほかの障害でもあるのではないかなと思っていまして、そういうところでそのように取りこぼされているようなイメージの障害がある人もきちんと懸念事項に記載するべきではないかという意見を持っておりますが、いかがでしょうか。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
そうですね。もう少し具体的に言語化できれば、懸念事項に追加可能かなとは思うのですが、例えば、発達障害でいえばボーダーラインとか、障害者施策が持っている構造的な課題として、障害としての診断なり、認定なりというものがあって障害者施策の対象になるわけですけれども、必ずそういうボーダーライン問題というのは起きてくるわけですよね。
そうしたことにも関わってくるし、そうすると、新たな障害の発見であったり、診断であったり、認定であったり、対象の拡大であったり、指定の拡大であったりということを行いながら、様々な法制度や支援が広がっていくという形を取っているので、常にそれが普通の状態としてあるので、懸念事項というよりも、一つ一つ発見して取り組んでいくしかない事柄なのかなとも思うので、権利委員会に対して、どこかの懸念事項に何か具体的に記載してということになじむかなというのは、私としてはよく分からない面があるのですけれども、いかがでしょうか。
○片岡委員 発言してもいいですか。
○石川委員長 どうぞ。
○片岡委員 まず、今は高次脳機能障害だけを言っているのですが、そのようにきちんとした支援が受けられていない障害がほかにもあると私は思っているのですけれども、高次脳機能障害の場合、精神障害の中で位置付けられていて、脳を損傷して社会的行動障害という障害名がきちんとついている方も、例えば、抑制障害があったりして、社会のルールになじめなかったり、社会の規則を守れなかったりするような障害のある人がいらっしゃいます。
そういう人たちを行動障害という見方で見たときに、その人が重度だとか、かなり手厚い支援が要るという判断基準がなくて、本人が望んだ地域で適切な支援を受けながら、あるいは住まいの整備がされながら暮らしていけるという環境が極めて困難な状況にあると思うのです。それは、もしかしたら、難病の方とかもそういう問題があるのかもしれないなと思いながら、その辺りは重要な課題ではないかなと私は個人的には思っているのですが。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
石橋委員、関連でしょうか。
○石橋委員 関連ではありません。別です。
○石川委員長 ちょっと待ってもらっていいですか。
○石橋委員 24条についてです。
○石川委員長 米山委員、関連でしょうか。
○米山委員 米山です。
高次脳機能障害も、発達障害の特性があれば、未就学の5歳までは発達障害の方に入れていいという厚労省からの通知がございます。
それと、今回、高次脳機能障害も精神障害に入っていますし、発達障害も入っているのですが、実はそれについていうと、国連の方で医学用語的に解するときに、日本の議員立法の発達障害者支援法での発達障害という定義は、実際にはそれは海外からしたら、よく分からないということになり得ると思うのです。ですので、前にあったかもしれませんが、先ほどの医療的ケアもそうなのですが、やはり用語についての解説は少し整理が必要ではないかなと思います。
発達障害の方々から、二次障害ということで、犯罪とか、素行症という精神障害もつけますし、ADHDからの反抗挑戦とか、みんな、子供の場合にそういった医学的な診断もつけたりするものですから、そこは発達障害も含めて、用語として少し整理して考えていけるといいのではなかろうかと思います。やはり海外からはそこら辺の用語の理解がなかなか難しくなると思いますので、その辺は事務局も含めてお願いしたいと思います。
○石川委員長 森委員、関連でしょうか。
○森委員 ありがとうございます。今、難病の話も出ましたので、関連です。
私たち難病の方でも、難病である診断が付いても障害施策の対象になっていない疾病も多くあります。いわゆるボーダーラインと呼ばれていたり、確定診断がついてからでも、制度の対象疾病ではない場合は、治らない難病であっても、障害施策の具体的な支援がなかなか届かないといったところがありますので、これはまだこれからの課題だと思いますし、障害というところにどういう範囲が入るのかといった対象の見直しを求めているところです。今の権利条約等々の文言に入れるかどうかというのはまた別として、今後の計画等でしっかりと議論していただきたいところだと思っています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
森委員、片岡委員がおっしゃっていることは非常によく分かるのですが、繰り返しになるかもしれないのですが、課題を網羅的に示すということが今回の報告の趣旨ではなく、暗礁に乗り上げていたり、停滞したり、あるいは逆行したりしているような、つまり、施策の方向性に問題があるというものについて指摘するということなので、おっしゃっていることはよく分かるのですけれども、具体的な懸念事項というよりは、ずっと向き合って一つ一つ解決していくべきという点では、恐らくそれぞれ所管されている各省としても十分認識はされている課題ではあると思うのです。
難病に関して言うと、27条の雇用促進のところで難病が入っていないということは懸念として上げていきたいと私も思います。まだ名前がついていないとか、はっきりとした診断ができないとか、ボーダーラインであるというのが課題なのだというのはおっしゃるとおりなのですが、それを条約の実施上の懸念だとするのが適当かどうかについては、私としては留保したいなと思うのですけれども、いかがでしょうか。
片岡委員、どうぞ。
○片岡委員 そこはこれから先も議論させていただきたいというところなのですけれども、先ほど米山委員がおっしゃられた用語の整理というのは非常に重要だということは私も賛成です。
例えば高次脳機能障害も、海外ではそれを指す言葉はなくて、Brain Injury、脳損傷として統一されていますので、それに対しての障害名がどうついているのかとか、そういったことはきちんと調べて整理していく必要があるなということで勉強になりました。ありがとうございました。
○石川委員長 では、石橋委員、お願いします。
○石橋委員 全日本ろうあ連盟の石橋です。発言の機会をありがとうございます。
24条の教育に関して、少し意見を言いたいと思います。7ページの最後のところです。「通常学級において環境の整備」と書かれています。それに追加してほしいことがあります。それは24条の大きな理念として、学びの場の環境が大きな課題になっていると思いますが、実際、全国各地で聾学校、聴覚支援学校は県に1つか2つと非常に少ない状況になっています。
最近は両親共働きが増えていますので、学校に連れて行く、通学ということがとても負担になっています。移動支援という福祉サービスがありますが、聞こえない人の場合は対象外になっているケースが多いのです。両親の負担があることから地域の学校に入れてしまうということで、実際、きこえない・きこえにくい子どもにとってそういう教育が受けられる環境になっていないということです。通常学級だけではなくて、聾学校、聴覚支援学校など、あらゆる特別支援学校を含む、範囲を広げるということを検討していただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○石川委員長 御意見、ありがとうございました。
大河内委員、お願いします。
○大河内専門委員 大河内です。第30条について、少し意見を述べさせていただきます。
文化・芸術分野の障害者の文化芸術推進法、それから、読書バリアフリー法の進展は、もちろんそのとおりで、これは進展として書いていただいて、関わっている人間として非常にありがたいなと思っているのですが、3つ目のオリンピック・パラリンピックで、確かにこれを起爆剤にしていろいろなことができるようになってきたことはもちろん事実で、これは本当に進展であるとは思うのですけれども、最後のところで「心のバリアフリー」と「ユニバーサルデザインの街づくり」が進展したということをオリンピック・パラリンピックを契機に書いていただくのはすごくいいことなのだろうなと思いつつも、ほかのところで、例えば、移動や情報アクセシビリティに様々な課題がある中で、文化芸術の分野でここまで書いてしまっていいのかなというのがちょっと懸念材料としてあったので、意見として述べさせていただきました。
以上です。
○石川委員長 とてもいい問題提起をしていただきました。
権利委員会の委員の立場から両方を読むと、整合性が取れていないなと感じるかなと思うのですが、つまり、都市部だけ、東京だけ進展したという意味なのかなとか、何とか整合性のある解釈をしようとしたりするかなとは思うのですが、この3点目の辺りはいかがですか。
○大河内専門委員 これは大河内がしゃべってよろしいということでしょうか。
○石川委員長 はい。
○大河内専門委員 そうですね。やはり部分的に実現してきたことでもある。
特にオリンピック・パラリンピックを契機にやってきたこと、もちろん雰囲気を盛り上げてきたこととか、様々な活動が活発になったということは本当に事実だと思うのですが、確かにホテルの客室の問題とかは様々な社会的要請があってできたことでもありますし、カリキュラムなどが改正されたことももちろん大事なのですけれども、そこだけが部分的に強調されて、結局、日本の情報アクセシビリティだったりとか、移動・交通のアクセシビリティが全体的によくなったのだという言い方は、委員長がおっしゃったように、前段の話とは整合性が取りにくいだろうなと考えて心配しているというところです。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、この部分の書きぶりについては、少し検討させていただくということでよろしいでしょうか。私も同じような印象は持っております。
石橋委員、お願いします。
ほかはよろしいでしょうか。多くの委員から出た懸念点など多数に上っておりますが、次回までに事務局と相談いたしまして、できるだけ入れたいと思いつつ、同時に、権利委員会側で設定している字数制限などもありますので、最優先の懸念とそうでない懸念を切り分けるのは極めて困難なので悩んでおりますけれども、検討させていただきたいと思います。
一方、評価項目があまり多過ぎるというのは、そもそも監視枠組みというよりも広報機関ではないかと思われてしまってもつまりませんので、顕著な進展に絞らせていただきたいと考えています。
これについても、各省、各所管としては、これは顕著だというのがあって、これはまたなかなか難しい問題かと思いますが、そうは言いつつも、どこまでできるか分かりませんけれども、これもできるだけの調整をした形で、次回、事務局から資料を提出したいと考えていますが。
竹下委員、どうでしょう。
○竹下委員 竹下です。
結論として、今、議論している30条のところで気になったのは、確かに30条の文化芸術のところに「心のバリアフリー」と「ユニバーサルデザインの街づくり」が入っているから、違和感があると言うかもしれませんが、逆にバリアフリー法の改正によって、要するに、高齢者、障害者の移動の円滑化の促進に関する法律のところですけれども、その中で「心のバリアフリー」という規定が明確に位置付けられたことや、あの法律によって地方に向けてもまちづくりに関する大きな進展がたくさんあったわけですよね。それらの評価を無視するというのは異論が出る可能性があるので、そこは注意していただきたいと思った上で、もちろん書きぶりを変更することに反対するわけではありませんが、そのことだけは指摘しておきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 先ほど米山委員がおっしゃったとおり、「心のバリアフリー」というのも日本の独特の言葉で、そのままでは翻訳できないので、権利条約の中で一番近いのは「意識向上」だと思うのですが、8条のところの進展としてそれを入れるというのはいかがですか。竹下委員、どうでしょうか。
○竹下委員 竹下です。全く異論はありません。
○石川委員長 ありがとうございます。
米山委員、どうぞ。
○米山委員 私も、今の8条の意識の向上というところに、幾つかの障害、難病も含めてとか、そういったところで、バリアフリーからユニバーサル、オリパラを含めて、ユニバーサルデザイン化というのはされてきているし、これは教育の現場でもあるので、意識の向上というところに書き込んだらいいかと思いました。
以上です。
○石川委員長 そうなりますと、8条のところで進展だけを書くのはバランスが悪いなとも思いまして、つまり、施設コンフリクトのようなものというのはやはり依然としてあるので、例えば、精神障害者施設の反対とか、山の中に施設を作らなければならないといったようなことがいろいろあるかと思うのですが、どなたか御発言はありますか。
中野委員、お願いします。
○中野専門委員 中野です。
今の国土交通省の施策に関してですが、私もずっと関わらせていただいていて、先ほど御発言がありましたように、心のバリアフリーや接遇に関してはかなり進んできたかと思います。
ただ、一方で、心のバリアフリーが、障害の社会モデルや人権モデルという観点から正確に理解されているかというと、この点は課題であると思います。そのため、課題の中には意識向上をさらに適切な方向にしていくことが重要だということを書いていただけるとよいかなと思いました。
以上です。
○石川委員長 そうですね。障害者に関わることというのは、人権論的な枠組みではなくて、人道的な枠組みというか、優しさという概念で捉えられていて、どう説明してもその枠組みから抜けてもらえないということがよくあるのですけれども、8条に関わるところでそうした課題についても書きたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
米山委員、どうぞ。
○米山委員 何回もすみません。
今の意識の向上という中だと、例えば、先ほど片岡委員の方からも発言があった高次脳機能障害についても、あと、発達障害の触法の子たちにしても、実は法務省関係で少年院でも、発達障害に特化した形での作業療法とかビジョントレーニングが始まったりとか、障害の特性を分かったいろいろな試みは結構しているのです。
ただ、もう一方では、そういう発達特性や障害が分からず、そのまま矯正とか、そういった進捗もあるので、その辺りは難病も含めて進捗を素直に書いて、懸念も書くというところがあっていいと思いました。
○石川委員長 ありがとうございました。
では、おおよそよろしいでしょうか。
あと、2から3確認したいのですけれども、6条と11条関係での復興ガイドラインと防災基本計画は削除で、皆さん、御異論はございませんでしょうか。よろしいですか。進展があるということはありますでしょうか。よろしいですか。
あと、女性の参画ではなくて、障害女性の参画というように明確化した方がいいと提案したのですが、これも御賛同いただけますでしょうか。ありがとうございます。
あと、佐藤委員からあった5条関係での懸念として、相談体制、あるいは紛争解決を書き込むということについてはいかがでしょうか。御賛同いただけますか。ありがとうございます。
おおよそ合意ができたような気がするのですが、大丈夫ですか。
米山委員、どうぞ。
○米山委員 先ほどの防災のことですけれども、海外からすると、日本の防災のシステムというのはものすごく進んでいると思います。例えば、医療的ケア児の災害のときの対応というのは、国土交通省も含めて、まだ全部出来上がっていなくても、電源確保などを含めて、ケアだとか、そういうシステムはすごく出来上がっていて、津波もそうですけれども、防災のレベルは日本はとても優れていて、進んでいるところもあると思いますので、ぜひ入れていただきたいと思います。
○石川委員長 それはいいとして、インクルーシブな防災に進展を認めるかどうかという点については、いかがでしょうか。
○米山委員 前回話したように、例えば、熊本県とかは、かなりの地域で教育・福祉と、国土交通省も含んで、システムが出来上がってきているところもあります。
東京などはまだですが、そういった進展もあるので、私は命を守るという意味ではとてもいいネットワークができていると思うので、これはすごい進展だと思っています。進捗はあると思います。
○石川委員長 熊本県の話が出たので、三浦委員に振ってもいいでしょうか。
三浦委員、いかがですか。
○三浦委員長代理 三浦です。
熊本市においては計画は進んでいるのですけれども、本当に全県全ての市町村が具体的に進んでいるかというと、若干の懸念がございます。ですが、本当に大きな災害を契機として、以下の点を懸念するというところも、まさにまだ今は渦中であると。懸念するという、課題が浮かび上がったという意味では効果があったということなので、このことはこのように書き込んでいただければなと思います。
防災で非常に難しいと思うのは、同じ県の中でも、まだ市町村のレベルで認識に差異があるというところです。昨年の災害基本法が改正されたことも含めて、進展というところで書いてある努力義務になったということを知り、取り組み始めた市町村がどれぐらいかということになると、非常に懸念するところです。熊本県でもまだ半分は行っていないように思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
予定していた時間を大分オーバーして議論を進めましたけれども、やはり委員会の中での委員間の意見交換を通して委員会としての意見をまとめていくという方向性を出していかないといけないので、ちょっと時間を取らせていただきました。ありがとうございました。
それでは、第5次の障害者基本計画の骨格案及び総論について、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○立石参事官 事務局でございます。
基本計画関係につきましては、本日は5次計画の骨格案と総論部分の本文案について、御議論いただければと思っております。資料については、資料4から8を用意しておりまして、資料4は第5次計画の骨格案、資料5は第5次計画の総論部分の本文案、資料6は総論部分の本文案の第4次計画と第5次計画の案の比較表でございます。資料7は、これまで総論、各論について、委員からいただいていた御意見を整理して記載したものでございます。こちらは適宜御参照いただければと思っております。資料8については、今回、基本計画の計画期間につきまして、地方分権の関係から提案が来ております。その関係の資料となってございます。これらの資料につきましても、事前にお送りしておりますので、簡潔に御説明をさせていただければと思っております。
では、まず、資料4、骨格案について御覧ください。
まず、考え方でございますが、第5次計画の骨格につきましては、現行の4次計画の骨格を基本的に維持しつつ、新たな動きとして項目立てすべきものについては、項目立てをしてはどうかという案となってございます。
大きく総論に当たる部分と各論に当たる部分に分かれておりますが、1ページ目の「はじめに」の部分から「Ⅰ 障害者基本計画(第5次)について」、2ページに行っていただきまして「Ⅱ 基本的な考え方」というところがいわゆる総論部分でございます。4ページを見ていただきますと「Ⅲ 各分野における障害者施策の基本的な方向」という部分がいわゆる各論部分ということになってございます。
1ページ目に戻っていただきまして、総論部分の「はじめに」の部分につきましては、骨子としては現行計画と同様に(我が国におけるこれまでの主な取組)、(障害者政策委員会における検討)、(本基本計画の策定)、(本基本計画を通じて実現を目指すべき社会)ということで骨子を考えてございます。
次の「Ⅰ 障害者基本計画(第5次)について」につきましても「1.位置付け」、「2.対象期間」、「3.構成」、「4.条約との関係」まで現行計画と同様の項目立てとしております。
1点、現行計画ではこの中に5といたしまして「2020年東京オリンピック・パラリンピックとの関係」という項目を立て、オリンピック・パラリンピックを通じて実現を目指す社会などについて記載しておりましたが、オリパラ関係につきましては、この次の「Ⅱ 基本的な考え方」の項目において取り上げてはどうかという御提案としております。
次に「Ⅱ 基本的な考え方」について、こちらも「1.基本理念」、「2.基本原則」ということで現行の計画と同様の項目立てをしてございます。
3ページ目を御覧いただきまして「3.社会情勢の変化」を、現行計画の間にあった変化を記載する項目として新たに立ててはどうかということで、案としているものでございます。「(1)2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシー継承」、「(2)新型コロナウイルス感染症拡大と「新たな日常」への対応」、「(3)持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現(SDGsの視点)」という項目で新しい記載を書いてはどうかと考えてございます。
「4.各分野に共通する横断的視点」、「5.施策の円滑な推進」については、現行計画と同様の項目立てとしてございます。
4ページに参りまして「Ⅲ 各分野における障害者施策の基本的な方向」につきましても、1番目から11番目まででございますけれども、現行の施策について11の分野に分けたという形で、施策の方向性をそれぞれ盛り込んでいってはどうかという案にしてございます。
続きまして、総論部分の本文案についての説明をさせていただきます。資料5、資料6が関係する資料ということでございます。
こちらは、先ほど御説明しました骨格案の項目立てに沿って本文案を作成したものでございます。こちらも現行計画について、維持すべき記載は維持しつつ、これまでの委員の御意見も踏まえて、新たな内容についても盛り込ませていただいた案となってございます。
新たに盛り込んだ内容の主なポイントのみ、御説明をさせていただければと思います。まず、資料5の2ページ、資料6の3ページの部分でございます。「はじめに」に当たる部分でございます。
(本基本計画を通じて目指すべき社会)という項目がございます。この中で、目指すべき社会については、現行計画におきましても3つの社会を掲げておりますが、そのうち、資料6の方は4ページに入ってまいりますけれども、現行として「2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいて、成熟社会における我が国の先進的な取組を世界に示し、世界の範となるべく、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる社会」というものを実現を目指すべき社会ということで掲げてございましたが、オリパラに向けて目指すということとなってございましたので、新しい計画におきましては「「誰一人取り残さない」というSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)の理念とも軌を一にした、障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性を尊重し合う社会」としてはどうかと書いてございます。
続きまして、資料5の3ページ、資料6の4ページでございます。「2.対象期間」というものがございます。こちらにつきましては、第3次計画以降、基本計画につきましては、対象期間5年間とされていたところでございますが、後ほど御説明いたします資料8関係ですが、「令和3年の地方からの提案等に関する対応方針」におきまして、計画期間の延長についての検討が政策委員会に対して求められております。こちらについては、後ほど御説明をいたします。
続きまして、資料5の7ページ、資料6の14ページに飛んでいただければと思います。「Ⅱ 基本的な考え方」の中の「2.基本原則」、その中の「差別の禁止」に関わる記載についてでございます。
こちらの1段落目につきましては、現行の記載と同様でございます。
その後段「我が国においては」という2段落目のところでございますが、こちらにつきまして、先般の障害者差別解消法の改正法の内容について書き込みますとともに、今後、基本方針の改定、対応指針の見直し、各自治体における相談体制の整備といった対応、こういったような取組や、国民全体への周知・啓発といった施行前に必要となる準備を十分に行うことが求められるということを書き込んでいるところでございます。
続きまして、資料5の8ページ、資料6の15ページを御覧いただければと思います。「3.社会情勢の変化」ということで、先ほどの骨格案で新しい項目立てを御提案している部分でございます。
(1)につきましては「2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシー継承」ということでユニバーサルデザイン2020行動計画が取りまとめられ、また、障害者の視点を施策に反映するさらなる枠組みとして、ユニバーサルデザイン2020評価会議も創設され、行動計画の実行の加速化が図られてきたことを踏まえて、新国立競技場の整備、二度にわたるバリアフリー法の改正、学習指導要領における心のバリアフリーに関する記載の充実といった「心のバリアフリー」と「ユニバーサルデザインの街づくり」が進展したということを書いてございます。
一方で、地方部における障害当事者の参画、格差の拡大への対応、情報アクセシビリティの確保といった引き続き取り組むべき課題や新たな課題もあるということを指摘してございます。
そして、東京大会を契機とした機運を一過性のものにすることなく、大会のレガシーとして、本基本計画においても引き続き「社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上」、それから「重点的に理解促進等を図る事項」として心のバリアフリーに継続して取り組むという旨を明記するということを書き込んでおります。
続きまして、資料6については17ページ、資料5については8ページでございますが、「(2)新型コロナウイルス感染症拡大とその対応」についてでございます。
こちらにつきましては、特に障害者を含め、脆弱な立場に置かれている人々がコロナで大きな影響を受けている。感染拡大防止措置の影響で様々な場や機会が喪失され、社会に内在していた孤独・孤立の問題も顕在化・深刻化していることを踏まえ、障害者やその家族に対しても「孤独・孤立対策の重点計画」を踏まえた支援が必要ということを書いております。
また「新しい生活様式の実践」の中で、オンライン活用の拡大等がアクセシビリティ向上に寄与する一方で、障害特性によっては、新たな困りごとを抱える障害者もいるということを書き込んでございます。
こうしたことを踏まえて、本基本計画に掲げる各種施策についても、コロナ拡大による影響やニーズの違いに留意しながら、取組が進められることが求められる旨を記載してございます。
次の「(3)持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現(SDGsの視点)」ということを書き込んでございます。ここでは、SDGsについて、あらゆる人々が活躍する社会が取り上げられているということを指摘した上で、誰一人取り残さないというSDGsの理念は障害者施策においても重要であること、障害者施策の推進に当たっては、SDGsの取組とも軌を一にして、障害者のみならず、行政機関、事業者といった様々なステークホルダーが共生社会の実現という共通の目標に向けて努力して、取組を推進することが求められるという旨を書き込んでございます。
続きまして、資料5の12ページに飛んでいただければと思います。資料6につきましては、23ページでございます。「4.各分野に共通する横断的視点」の項目でございまして、その中の「(5)障害のある女性、子供及び高齢者に配慮した取組の推進」の部分でございます。
障害のある女性について、女性であることにより、いわゆる複合的差別など、さらに複合的に困難な状況に置かれている場合があるということを指摘した上で、こうした点も念頭に置いた障害者施策の策定・実施には政策決定過程への当事者参画が重要であると書き込んでございます。
このため「第5次男女共同参画基本計画」の定めるところによる取組を行うとともに、障害のある女性の政策決定過程への参画拡大に向け、前述のとおり障害者施策を審議する国の審議会等における障害者の委員の選定に当たっては、性別のバランスに配慮しつつ、障害のある女性委員の人数・比率について、定期的に調査・公表を行う。併せて、団体推薦による障害のある審議会等委員について、各団体等に対して、団体からの委員の推薦に当たって性別に配慮するよう格段の協力を要請することとするということを書き込んでございます。
その後、子供につきましても書き込んでございまして「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」において、子供の視点で子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子供を誰一人取り残さず健やかな成長を後押しする。障害のある子供に対しても、インクルージョンを推進する観点等を踏まえた支援を行うということを書き込んでございます。
次に「(6)PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進」でございます。こちらについては、資料5は13ページ、資料6につきましては24ページでございます。
PDCAサイクルにつきましては、旧基本計画においても各府省に対し取組を進めるよう求めてきたところでございますが、今回、当事者参画につきまして、分野ごとに進捗の差が見られるということを指摘してございます。
障害者施策のさらなる推進のためには、障害者政策委員会が政府全体の見地から本基本計画の実施状況を監視するのみならず、各府省が取り組む個々の施策に対しても、国の審議会等への障害者委員の参画や、障害者やその家族をはじめとする関係者への意見聴取等を通じた当事者参画の推進に留意しつつ、適切な評価・監視がなされることが重要であるということを書き込んでございます。
駆け足でございますが、総論の本文案のポイントにつきましては、以上でございます。
続きまして、大変恐縮でございますが、資料8を御覧いただければと思います。
先ほど障害者基本計画の計画期間について、地方からの提案等に関する対応方針が出され、政策委員会における議論が求められている旨を御説明いたしました。それが資料8の枠囲みの部分でございますけれども、障害者基本計画の計画期間を5年間から6年間に延長することについては、次期計画の策定に係る障害者政策委員会における議論を踏まえつつ、令和4年度中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずるとされたものでございます。
この御提案の背景でございますが、令和3年の提案募集におきまして、神奈川県をはじめとする複数の地方公共団体から、都道府県障害者計画と都道府県障害福祉計画の策定作業の負担軽減を図るために、障害福祉計画を障害者基本計画と同じく5か年とするか、または障害者基本計画を、ただいま障害福祉計画は3年を1期として作成するということとなっておりますが、その倍数となる6か年とするかについて御提案があって、その対応方針について、上記のとおり閣議決定されたというものでございます。
なお、過去の経緯といたしまして、障害者基本計画の計画期間につきましては「国連障害者の十年」の国内行動計画として策定された障害者対策に関する長期計画を始まりとして、第2次計画まで国際的な取組と歩調を合わせる形で10年とされてきた。ただし、社会的な変化が早いという状況を踏まえて、障害者政策委員会での審議を経て、第3次計画からは計画期間を10年の半分の5年という形に短縮したという経緯があるということでございます。
それから、障害者計画の策定時期や期間につきましては、現状におきましても、地方公共団体が各地域の実情に応じて決定することができるとされてございまして、地方公共団体の判断により、障害者計画と障害福祉計画等を一体のものとして策定するということは現行でも可能なものとなってございます。
こういったことも踏まえまして、計画期間につきましても、本日、御議論いただければ幸いでございます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
地方分権改革に関する提案について、提案主体である神奈川県より、もし補足説明がございましたら、お願いいたします。
○全国知事会(神奈川県福祉子どもみらい局:水町福祉部長) 神奈川県知事の代理で出席させていただいております、神奈川県福祉こどもみらい局の水町と申します。よろしくお願いします。
先ほど御説明のありました資料8につきまして、都道府県の立場から少し補足をさせていただきます。
地方公共団体には、御案内のとおり、障害者基本法に基づく「障害者計画」と、障害者総合支援法に基づく「障害福祉計画」の2つの計画の策定義務があります。この2つの計画は、内容が一部重複し、名前も似ているため、住民からどのような違いがあるのか分かりにくいという声があるため、両計画を統合して1つの計画にしている地方公共団体もあります。
しかし、「障害者計画」は5か年計画である国の「障害者基本計画」を基本に策定することとされていることから、「障害者計画」を5か年計画としている地方公共団体が多いのに対し、「障害福祉計画」は厚生労働省の指針で3か年計画にするとの定めがあるため、両計画が統合しづらいという状況があります。
「障害者計画」の策定時期や期間等については、地方公共団体が地域の実情に応じて決定することができるとされていますが、「障害者計画」の期間を5年間でなくした場合、「障害者基本計画」とのずれが生じてしまい、国の「障害者基本計画」との整合を図ることが難しくなります。
神奈川県としては、こうした支障を解消し、地方公共団体が両計画を統合しやすくするため、「障害者基本計画」を6か年計画に変更する、又は「障害福祉計画」を5か年計画に変更することを提案させていただいたところです。
提案が実現されれば、地方公共団体は、国の「障害者基本計画」との整合を保ちながら、「障害者計画」と「障害福祉計画」との統合がしやすくなり、2つの計画の統合が図られれば、住民の分かりやすさが向上するとともに、地方公共団体の計画改定作業の負担も軽減されると考えています。
近年、地方公共団体が策定すべき計画は多く、負担が増加傾向にあります。限られた人員を他の業務に振り分け、よりよい障がい福祉施策を推進するためにも、ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
といった御提案の趣旨も説明いただきまして、骨格案、総論、それから、今の基本計画の年数についての御提案などがございましたけれども、時間があまりございません。ですので、骨格案について、あるいはせっかく神奈川県が御出席いただいているので、基本計画、5年という現行と6年案が提案されているわけですけれども、それについてもし御意見があれば、それを先にお聞きしましょうか。
岩上委員、どうぞ。
○岩上委員 岩上です。
神奈川県の御提案については、適切に御説明いただきまして、ありがとうございました。私は、都道府県の立場、あるいは市町村の立場であれば、そういったことはごもっともだと思いますので、整合性を取る形で6年という形もありかなとは思います。
その上で、総論について意見を言わせていただきたいと思うのですが、そのためには、ここに掲げられているPDCAサイクルについて、適切に運用していただけるような形にすべきだと思います。
PDCAサイクルが一番できていないのは国です。私は毎回それについて意見を言っているのですが、御理解賜りたいということでいつも却下されているのですけれども、5年間で目標がある。それについて、必ず毎年、今年は何をやりますという計画があって、それができたか、できないかについて政策委員会に意見を求められれば、監視するということはできるのですけれども、それがない中で5年間の目標だけ掲げて推移していて、今年度は何をするか分からないという監視の仕方というのは私はないと思うのです。
ですから、それをきちんと国がやるということを担保として、それは都道府県でもやるべきことで、実際、神奈川県とかはなさっていると思うのですけれども、そこを担保するような形であれば、私は6年間ということでも妥当だと思います。
以上です。
○石川委員長 岩上委員、ありがとうございました。
ほかの委員の御意見もお聞きできればと思いますが。
阿部委員、お願いします。
○阿部委員 阿部です。ありがとうございます。
そうしますと、もう一つ、総合支援法に関する計画の基本指針、福祉サービスに関しての基本指針の出し方というのも連動しなければいけないわけですよね。つまり、その場合はどういうことが想定されるのかということで私がお伺いしたいのは、それぞれ都道府県、政令市も含めて3年1期の障害福祉計画を作っていますし、私が知っている私の地元では障害者計画と同時に作ります。
今の神奈川県さんのお話はすごく納得がいくところですけれども、そうすると、今度は障害者総合支援法に基づく基本指針も、もちろん、それに合わせて作っていくということにならないとまずいですよね。3年1期ということで作っているわけだから、その時期というのがどうなのかなと思って確認なのです。障害者基本計画と指針の出し方の年度はどのようになっていくのか。その辺のところで、神奈川県の水町さんにお考えを確認したいと思いました。
○石川委員長 ありがとうございます。
水町様、いかがでしょうか。
○全国知事会(神奈川県福祉子どもみらい局:水町福祉部長) 神奈川県の状況を申し上げます。
国の基本計画にのっとって、現行の障害者計画は令和元年から令和5年度までの5か年の計画としております。一方で、障害福祉計画でございますが、これも厚労省さんの基本指針に沿いまして3年計画ということで策定しておりまして、本来ですと、現在の計画は令和2年度に終了して、3年度から3、4、5の3か年ということになるのですが、今回、コロナ禍で市町村との十分な協議ができないということで、策定を1年遅らせて、現在、改定作業を行っております。
今回策定する計画については、通常は3年計画ですけれども、2年計画で令和5年度までということを考えております。本件の場合は、結果的に障害者計画と障害福祉計画のいずれも令和5年度でそれぞれ計画期間の最終ということになります。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
河井委員、お願いします。
○河井委員 ありがとうございます。河井です。
神奈川県の方に1点質問したいのですけれども、基礎自治体によって計画の立て方はいろいろあると思いまして、例えば、私のいる地元ですと、障害者計画だけではなく、障害者計画策定と同時に高齢者福祉計画とか、地域福祉推進計画とか、いろいろなものが総合計画からひもづいて一体で計画を策定しています。そうした場合に、障害者計画だけ計画年度を変えてしまっても、整合性が取れるのかどうなのかというところは気にしなくてよろしいのでしょうか。
以上です。
○全国知事会(神奈川県福祉子どもみらい局:水町福祉部長) おっしゃっているところは我々も課題だと思っております。
今、委員がおっしゃったように、神奈川県も地域福祉推進計画とか高齢者保健福祉計画を策定しておりますが、それぞれスタートの年度、あるいは計画期間も様々でございますので、各年度、この計画は改定したけれども、こちらの計画は改定しないということで、一方の計画には最新の情報が一部取り入れられていますが、一方では取り入れられていないということは生じているのが現状です。
以上です。
○石川委員長 三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 資料8の下から2つ目の黒ポツのところで、10か年の計画が5か年に変わったときに政策委員会にいた者として、この5か年の期間というのは、あくまで国際的な取組との整合を図るものであり、私たちは国の障害者基本計画の素案を作るという役割を果たしてきていると思うのです。
その頃から障害者の福祉計画との期間のずれというものは話題には上がりました。ですが、自治体の裁量に任されている部分がありますので、そして、実際に対象とする範囲が違いますので、私もこの政策委員会に属しながら、県の方の計画の策定にも関わった経験があるのですけれども、少なくとも基本計画は、県でいえば全庁的な計画であり、福祉計画は障害福祉課が立てていく福祉サービスに係る計画であるという範囲の違いというのは、割と当県の場合は明解に、学生などもそのことをはっきり認識していますので、その中身での混乱はないと思います。期間に関しては、あくまで国の計画は国際的な取組と整合をなしていくべきものと思いますので、基本計画を変える必要はないのではないかと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
米山委員、関連で。
○米山委員 関連で、今、神奈川の方では障害者福祉計画と、あと、障害児計画もあると思いますが、これについては、やはり同じように6年という形で考えていらっしゃるのでしょうか。今後、子育てといいますか、こども家庭庁との関係もございますが、今、計画としてはどうでしょうか。
○全国知事会(神奈川県福祉子どもみらい局:水町福祉部長) お答えします。
先ほど御説明の中で省略してしまいましたが、本県は障害福祉計画と障害児計画は一体のものとして策定しております。障害者計画との統合については、我々、まだこういう課題意識で提案をさせていただいたところですので、具体的に統合するとかしないとか、本県の中での検討はまだスタートしておりません。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
では、曽根委員を最後にさせてください。私も一言だけコメントさせていただきます。
曽根委員、どうぞ。
○曽根専門委員 障害者総合支援法の第1条の目的には「障害者基本法の基本的理念にのっとり」という言葉が出てきます。
そうすると、基本法に基づいて基本計画が理念計画として出来上がる。理念を実体化するためにサービスがあると私は考えますので、やはり基本計画と障害福祉計画が一体で策定できるというのはいいのではないかなと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
私の意見なのですけれども、自治体から見たときの不整合、余計な負担となっているという点については理解いたしました。
一方、基本計画というのは、障害者施策全般についての基本計画という位置付けのもので、10年を5年に短縮したことはどうだったかと見ると、確かに忙しくはなったのですが、岩上委員から見ると、PDCAサイクルがきちんと回っていないという御指摘でもありますけれども、私は回っていないわけでもないと思います。やはり5年にしただけで随分と施策が前に進むようになってきているという面があると思っています。
つまり、5年計画であることで、次の計画というのは、一つ前の計画に比べてはっきりと進展しているというか、今日的なものになってきているということもあるし、実施についても同様のことが言えると思うので、5年を6年に延ばすことによるスローダウンについても、私としてはちょっと懸念するところがあります。
今日すぐに結論を出すという話ではなくて、御提案として受け止めさせていただいて、今後、政策委員会の中でも検討させていただきたいと思いますので、この件についての本日の議論はここまでにさせていただきたいと思います。
水町さん、ありがとうございました。
もうわずかしか時間がないのですけれども、骨格について、あるいは総論について、何か特にお気づきの点があれば、御指摘を頂きたいのですが。
では、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
総論の部分なのですが、今日、素案を出していただきましたけれども、なかなか量が多くて頭がついていけないので、今日で決めるのではなくて、全体の議論をしてから再度もう一回考えられるようにしていただきたいなというのがお願いです。
あと、もう一つ、会議全体なのですけれども、この第5次計画とともに基本方針の改定の議論もこれから始まると思いますので、資料もどんどん膨大になっておりますので、ぜひ会議の回数をもっと増やすようにしていただいて、今日のような丁寧な議論ができるようにしていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
時間が限られておりますので、申し訳ありませんが、お一人1分程度でお願いできればと思います。
竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 竹下です。
言いたいことはたくさんあったのですけれども、1分にします。
資料5の記載内容を見ていますと、現状から見て少し不十分な点があるのではないかと思っている項目があります。例えば、総論としてもアクセシビリティの点や、高齢者の部分の書きぶりを見ていると、現行条約の理念に基づきつつ高齢者施策の整合性を図るというのは、正直、意味がぴんときません。そういうところをもう少し議論するお時間を頂ければと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
竹下委員、お手数なのですが、文書で頂くことは可能ですか。たくさん御意見があるということであれば、できるだけ早くお聞きした方がいいかなと思うので。
○竹下委員 分かりました。
○石川委員長 お願いいたします。
玉木委員、お願いします。
○玉木委員 玉木です。ありがとうございます。
佐藤委員とかと一緒なのですけれども、冒頭にもしゃべらせていただいたように、まずは骨格案を丁寧にやっていく必要があるのではないかなと思っています。それは基本法の第11条のように「障害者政策委員会の意見を聴いて、障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない」という文言があるので、やはり骨格からきっちりと時間をかけてでも議論をさせていただきたいなと思っていますので、そこら辺の御配慮をよろしくお願いします。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
中野委員、お願いします。
○中野専門委員 まず、子供のサポートについてのところで、ファミリーサポートの必要性をぜひ書いていただきたいなと思います。
それから、事業者への合理的配慮の件に関しましては、これはコンプライアンスの枠組みとしてしっかりと位置付けるべきではないかと思いますので、今のような簡単な触れ方ではなく、しっかり書いていただきたい。
最後が相談支援です。今、大きな課題は、それぞれのサービスや制度に出会うための早期の介入や相談支援が必要不可欠で、イギリスのリエゾン・オフィサーのような専門家をつなげる総合的な相談支援の仕組みをどこかに書く必要性があるのではないかと思っています。
以上です。
○石川委員長 では、片岡委員、お願いします。
○片岡委員 短くいきます。片岡です。
先ほどほかの委員の皆さんからもあったように、あまり駆け足になって議論するようなことではないと思いますので、丁寧な議論をするためにも、委員会の回数を増やすなりしてしっかりとした議論を積み重ねる必要があると思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
米山委員、1分でお願いいたします。
○米山委員 資料4の骨格の4ページになります。
「5.自立した生活の支援・意思決定支援の推進」というところがありますが、子供の場合、まだ障害の子供たちの意見を言っていいのかという課題もあるものですから「(4)障害のある子供に対する支援の充実」に、意思決定支援といいますか、意思形成支援、意思を発していいのだというところ、これは教育になると思うのですが、そこをぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 竹下委員と同じ場所に疑問を感じまして、修正文の提案です。
対比表の24ページになるのですけれども「さらに、障害のある高齢者に係る施策については、条約の理念を踏まえ、高齢者施策は条約との整合性に留意して実施していく必要がある」という提案をいたします。
以上です。
○石川委員長 大河内委員、お願いします。
○大河内専門委員 大河内です。
再三再四のお願いで恐縮なのですが、やはり今回も最初の権利委員会の話がメインになりましたけれども、最後の議論はちょっと尻すぼみになってしまうので、また、たくさんのテーマを1個の会議に詰めてしまうと、今回もファイルが11個ありました。私もそうですし、資料を読むのが大変な委員もたくさんいますので、その辺も御配慮いただいて、先ほどからほかの委員もおっしゃっていますけれども、会議の回数を増やしていただきたいということを再三再四お願いしたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 門川委員、お願いします。
○門川委員 門川です。ありがとうございます。
私からも皆さんに強調させていただきたいなと思います。私は盲聾者の立場で、非常に恐縮ですが、資料の読み込みに大変時間がかかりますし、今日の議論も、私からすると、テンポがめちゃくちゃ速いのです。速くて議論の整理が私の頭の中ではできなくて、ついていけない。置いてけぼりにされている気がしてなりません。私たち抜きに私たちのことを決めないでください。よろしくお願いします。
○石川委員長 門川委員、ありがとうございます。
やはり私も確かに一回一回の会議のボリュームがどうしても多いと思います。これは致し方ない面ももちろんあって、事務局を責めようとは思わないのですけれども、3つ重要な案件、タスクを全部今年中に、あるいは物によっては夏前までに仕上げなければいけないということがあって、しかし、会議の回数というのは、予算の組み立てもあって、各委員がおっしゃるように、自由に回数を増やすということがどの程度できるのかということについては、限界もあろうかと思います。
事務局の方にちょっと御相談なのですが、次は3月、4月、6月となっているのですが、5月であるとか、あるいは2月末、あるいは3月中にもう一回であるとか、回数を増やして1回の会議のボリュームを少し減らすということは実務的に可能かどうかという点について御相談したいと思うのですが、今すぐに回答は難しいということであれば、御検討いただくという形でもいいので、ちょっと御発言いただけますでしょうか。
○立石参事官 事務局でございます。
開催回数の件につきましては、多くの委員の先生から御指摘を頂きました。一方で、委員長がおっしゃるように、事務局の側にも一定の制約があるものの、御意見については重く受け止めておりますので、今後、委員長とも御相談の上、検討させていただければと思います。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、もともと想定していたよりも、対日審査に関わる意見の取りまとめにより多く時間を使いました。これは私の判断でもあります。その分、基本計画の方の議論というのは極端に圧縮することになって、今日はほとんど議論らしい議論はできていないという状態にあります。
加えて、基本計画の年数を5年から6年にという新しい御提案などもあり
、それを伺うということもありまして、前回同様、なかなかに本日も各委員には大変御負担をおかけして恐縮に思います。
一回一回の会議をできるだけペースダウンしつつ、分量を減らしつつ、そこを回数で賄うということがどこまでできるかというのを追求しながら、あとは、各委員にお願いしたいのは、お話しされたいことがたくさんあるのはよく分かりますけれども、それをできるだけ簡潔に御説明、御意見を述べていただくという点での御協力もぜひともお願いしたいと思います。
ということで、本日の政策委員会は以上とさせていただきたいと思います。
次回の政策委員会の日程等につきまして、事務局からお願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
次回の政策委員会の詳細につきましては、石川委員長に御相談の上で、確定次第、御案内をさせていただきます。
○石川委員長 それでは、これをもちまして第61回障害者政策委員会を終了いたします。本日はありがとうございました。