障害者政策委員会(第62回)議事録
令和4年3月4日(金)
9:00~11:30
中央合同庁舎8号館6階623会議室
(Web会議にて開催)
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 これより第62回障害者政策委員会を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日の委員会は11時30分まで時間を確保しております。
また、本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ウェブ会議により開催しております。
なお、取材及び一般傍聴者は、感染防止の観点から本日もお断りして、その代わりに動画中継を視聴していただく形としておりますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、事務局より委員の出欠状況について御報告をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、安藤委員、黒岩委員、辻委員、長谷川委員、平川委員、市川専門委員、眞保専門委員が所用により欠席との連絡を受けております。また、河井委員、北川委員が遅れての御出席、熊谷委員が10時頃、中野専門委員が11時半頃に退出すると伺っております。
○石川委員長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。
御発言いただく際の意思表示ですけれども、挙手機能を使用していただいて、委員長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。
また、御発言の際には最初にお名前を名乗っていただいて、結論を述べ、その後に理由または説明をしていただくと、情報保障の観点で分かりやすいと思いますので、よろしくお願いいたします。
御発言の際は、ゆっくり、分かりやすく話してください。また、本日も限られた時間の中で多くの方に発言していただくことになると思いますので、発言時間についても御協力いただきたいと思います。
それでは、本日の議題及び資料について、事務局より説明をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、まず、第5次障害者基本計画の骨格案・総論について御審議をいただきたいと思います。関係資料として資料1から4を用意しております。
途中、10時頃から15分間の休憩を挟みつつ、11時頃まで基本計画について御審議をいただく予定です。その後、基本方針改定に係る今後の審議の進め方について御議論いただきたいと思います。関係資料として資料5を用意しております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、議事に入ります。
第5次障害者基本計画の骨格案及び総論について、事務局から説明をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
基本計画関係につきましては、本日は第5次計画の骨格案と総論部分の本文案について御議論いただければと思っております。
資料につきましては、資料1から4までございます。
資料1につきましては、第5次計画の骨格案。資料2につきましては、総論部分の本文案。資料3につきましては、総論部分の本文案の第4次計画との新旧対照表になってございます。資料4につきましては、これまで総論・各論について、委員の先生方からいただいていた御意見について記載をしたものでございます。
資料について、委員の皆様には事前にお送りしておりますので、簡潔に御説明をさせていただければと思います。
まず、資料1についてでございます。
前回、1月31日の政策委員会におきましても、骨格案についての資料をお出ししておりましたが、前回は御議論の時間がとれなかったということもあり、今回も前回と同じ内容の資料をお出ししております。
簡単にポイントのみ御説明をいたしますと、まず、第5次計画の骨格については、現行の4次計画の骨格を基本的に維持しつつ、新たな動きとして項目立てすべきものについては項目立てするという案としております。
大きく総論に当たる部分と各論に当たる部分に分かれておりますが、1ページ目の「はじめに」から「I 障害者基本計画(第5次)について」、2ページの「II 基本的な考え方」までが総論となってございます。
そして、4ページに参りまして「III 各分野における障害者施策の基本的な方向」からが各論部分という形になってございます。
総論部分につきまして、現行計画から新規に項目立てをしておりますのが、3ページの「II 基本的な考え方」の中の「3.社会情勢の変化」でございます。新しい計画を立てる間にあった変化として、「(1)2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシー継承」、「(2)新型コロナウイルス感染症拡大と「新たな日常」への対応」、「(3)持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現(SDGsの視点)」を盛り込んでおります。
4ページ以降の「III 各分野における障害者施策の基本的な方向」以降は各論でございますが、現行計画と同様に、施策を「1.安全・安心な生活環境の整備」、「2.情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実」、「3.防災、防犯等の推進」、「4.差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止」、「5.自立した生活の支援・意思決定支援の推進」、「6.保健・医療の推進」、「7.行政等における配慮の充実」、「8.雇用・就業、経済的自立の支援」、「9.教育の振興」、「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」、「11.国際社会での協力・連携の推進」の11の大きな分類に項目立てをし、それぞれ施策の方向を盛り込んでいく案としております。
各論につきましては、本日の骨格案及び総論案部分の御議論の終了後、これまでに委員からいただいた御指摘も含めまして参照をさせていただきながら、各省庁と御相談しながら案を作成し、今後、委員に御議論をいただくこととしております。
以上が資料1の御説明でございます。
続けて、資料2、資料3の総論部分の本文案について御説明をいたします。
先ほど御説明をした項目立てに沿って本文案を作成しております。こちらも現行計画について維持すべき記載は維持しつつ、新たな内容について盛り込ませていただいた案となっております。
内容につきましては、前回、1月31日にお出しした資料に、委員から修文等の御意見がございました2か所について変更を加えさせていただいたものでございますので、その他の部分については前回お出ししたものと同様の内容となっております。
変更部分について御説明をさせていただきます。資料2の8ページ、資料3の17ページを御参照いただければと思います。
「3.社会情勢の変化」、「(2)新型コロナウイルス感染症拡大とその対応」の部分でございます。ここでは、コロナによって、障害者を含めた脆弱な立場に置かれている人々が大きな影響を受けている旨を指摘しているところですが、委員からの御意見で、障害者が福祉サービスの利用をできなくなっただけでなく、障害者福祉サービスを担う事業所の存続そのものが困難となったことを踏まえた対策が必要との御指摘があったことを踏まえ、6行目の「障害者へのサービス提供を担う事業者側でも、経営に影響が出るなどの課題が生じている。」という記載を追加させていただいてございます。
次に、2点目の変更点につきまして、資料2の13ページ、資料3の24ページを御参照いただければと思います。
ここでは「4.各分野に共通する横断的視点」の中の「(5)障害のある女性、子供及び高齢者に配慮した取組の推進」の中の最後の段落につきまして、追記をしてございます。
委員からの御意見として、障害のある高齢者に係る施策については、条約の理念を踏まえ、高齢者施策は条約との整合性に留意して実施していく必要があるとの御意見や、さらに、障害者権利条約の理念を踏まえることは当然のこととして、障害者福祉サービスと高齢者福祉サービスとの整合性に留意しつつ、障害者福祉サービスから高齢者福祉サービスへのスムーズな移行ができるようにすることが重要といった御意見があったことを踏まえ、「障害者支援から高齢者支援への切れ目のない移行等が重要であることに留意する」と書き込んでいるものでございます。
資料2と3につきましては、以上でございます。
最後に、資料4でございます。こちらは第5次計画の検討に向けた意見の整理ということで、これまでに委員からいただいた意見につきまして、総論、各論部分に分けて整理をいたしまして、毎回、順次追記をしていっているというものでございます。
前回新たにいただいた意見につきましては、下線をつけて記載をしてございますので、御議論に当たって適宜参照していただければと存じます。
以上が基本計画に関係についての事務局からの資料の説明でございます。
○石川委員長 事務局、ありがとうございました。
それでは、審議に入ります。時間は50分程度を予定しております。御意見等のある方は挙手機能を用いて発言の意思を示していただきたいと思います。
では、まず米山委員、次に熊谷委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
2点ございます。先ほどいただいた子供の分野のところですけれども、日本も批准している子どもの権利条約との整合性もあるので、子どもの権利条約に障害児の部分もありますので、そこの条約も踏まえてといいましょうか、併せて検討していくということで、子供の特性があるということを記載していただいたので、子どもの権利条約もというところを入れたらいかがかなということが一点。
それから、最後の24ページ、障害者支援から高齢者支援ということであるのですが、その上の項目で、今、障害児から障害者へ移行というのも課題が幾つかありますので、そこについてはちょうど成育基本法にも書いてあるわけですが、子供から成人への移行ということも、その上のところに盛り込んでみたらいかがかと思いました。
以上です。
○石川委員長 米山委員、ありがとうございます。
この点は重要なポイントなので、私の方からも少し意見というか、情報提供をさせていただきたいのですが、障害者権利条約と子どもの権利条約、それぞれの条約体、障害者権利委員会と子どもの権利委員会ですけれども、幾つかの点で考え方に違いがあります。例えば施設についての考え方に、両者ではかなり大きな隔たりがあります。さらには、最善の利益、最善の解釈といったところでも違いがあって、単純に子どもの権利条約にも言及するというやり方だと、障害者権利条約の考え方、理念に基づいて条約を国内実施するという観点からすると内部矛盾が起きる可能性があるので、この点については慎重に考える必要があるというのが私の意見です。
この点についてほかの委員からも御意見があればいただきたいと思いますが、まず、次の熊谷委員、お願いします。
○熊谷委員 熊谷です。
各論の「7.行政等における配慮の充実」の(4)国家資格に関する配慮等及び各論の「8.雇用・就業、経済的自立の支援」の両者にまたがるお話かと思いますが。
○石川委員長 熊谷委員、今日は総論部分について議論をしたいと思います。
○熊谷委員 大変失礼しました。総論の該当箇所は、私はまだ精査できていません。
○石川委員長 後ほどまた御発言の御希望があったら、もう一度挙手ボタンをお願いします。
○熊谷委員 分かりました。
○石川委員長 では、三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 ありがとうございます。
私は、資料2の13ページの赤で書き込まれた部分の表現に関して御意見を申し上げたいと思います。
障害者支援から高齢者支援への切れ目のない移行が重要であると記載されておりますけれども、そもそも制度上、切れ目というのは現場では課題視をしていないのですが、ここで移行ということを使われますと、スムーズに障害福祉サービスから介護保険制度に移行してねと見えてしまう、ちょっと短い表現なので、あまり説明がされていないので、そのように読まれてしまうおそれもあると思うのです。
現在議論されている総合支援法の改正施行後3年の見直しに関する中間整理で、市町村に対して一律に介護保険サービスが優先されるものではないこと等の運用に当たっての考え方について、改めて周知徹底ということも示されています。
ここは大変デリケートなものを含みますので、第4次からこの部分の表現を変えた方がいいということの発言の趣旨は、切れ目のない移行という意味ではないので、あくまでも障害者施策同様に高齢者施策も障害者権利条約の理念を踏まえてくれというのが議論の趣旨ではなかったかと思いますので、適切な表現に関しては、今日つけていただいた資料4で幾つかの発言がされていますので、私も発言させていただいたのですけれども、13ページの赤の表現では説明し切れていないというか、一番大事なところが抜けているという印象を持ちましたので、発言をさせていただきました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。私も同じような印象を持ちました。具体的な文言についての提案も、もし可能であれば、後ほどいただければありがたいです。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。
点字では29ページです。墨字では何ページなのか分からないのだけれども、差別の禁止のすぐ手前のところで、情報の取得または利用のための手段について選択する機会の拡大という言葉になっているのですけれども、これは拡大ではなくて、その前の言語の場合と同じように確保とすべきではないかと思います。
なぜかということは言わずもがなですけれども、あくまでも単に拡大するだけでは足りないのであって、その機会が最大限必要であることが前提とされるわけで、余計なことなのかもしれませんが、今、議員立法として通常国会に上程されようとしている新法で、障害者情報コミュニケーション意思疎通支援法の中でも、そういう選択を可能な限りできるようにするということになっているわけで、単に拡大ではだめなのではないかと思うので、その前と同様に、ここは確保とすべきではないかと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
片岡委員、お願いします。
○片岡委員 おはようございます。全国地域生活支援ネットワークの片岡です。
私の方から、資料2につきまして、内容といいますか、言い回しのことで発言させていただきたいのですが、例えば6ページの基本原則の中の「(地域社会における共生等)」というところで、条約の何々を「目的としていることに鑑みれば」という表現があります。その後、何々として「障害者施策を実施する必要がある」という言い回しになっています。
同じような言い回しが7ページにも2か所、何々を鑑みれば何々をする必要があるという言い回しが出てくるのですけれども、ここは主語を明確に、政策委員会という形にして、何々を鑑みて何々を実施するという言い回しにしてみてはいかがかという意見を持っております。
あと、13ページの方にも、それとはちょっと違うのですけれども、6行目ぐらいから「この場合、成人の障害者とは異なる支援を行う必要があることに留意することが求められる。」という記載になっております。せっかくの内容が何か薄れるような印象を持つ最後の締めくくりになっているかと思いますので、その辺りの修正してみてはいかがかという意見を持っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
では、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 佐保です。ありがとうございます。
私からは3点意見を述べさせていただきます。総論本文案の12ページの5行目に「障害者の家族を始めとする関係者への支援も重要」とあります。これまでヤングケアラーに関する記載をすべきと申し上げてきましたが、障害当事者のみならず、家族など介護者への支援を充実させるため、ヤングケアラーを含む障害者の家族への支援や地域包括支援センターを拠点とした情報提供や相談支援など、介護者支援について具体的に記載していただきたいと思います。
2点目、同じく12ページの「(5)障害のある女性、子供及び高齢者に配慮した取組の推進」に複合差別に関する記載はあるものの、間接差別に関する記載が見当たりません。障害を理由とはしていないものの、結果として異なる扱いをされてしまう間接差別について、就労や教育などの場における具体例とともに記載していただきたいと思います。
3点目、13ページの「(6)PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進」について、骨格案、総論本文案の全体を通して、現行の第4次計画のPDCAサイクルで何が最も課題となったのか、SDGsなど新たな記載はあるものの、次の第5次計画を策定する目標のようなものが伝わってこないと感じています。
例えば改正障害者差別解消法の成立により、合理的配慮の提供を社会に根づかせていくといったことをより明確に打ち出していく必要があるのではないかと考えます。
私からは以上です。
○石川委員長 佐保委員、ありがとうございました。
続きまして、玉木委員お願いします。
○玉木委員 玉木です。よろしくお願いします。
今、佐保委員がおっしゃっていた13ページ、14ページの「PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進」ということで、前々から気になっているところがあったので、再度お話をしたいと思います。
特に評価、結果のところをいろいろ見ていくと、その最後に、障害者政策委員会は基本法に基づき、政府全体の権利が本基本計画の実施状況の評価、監視を行うとちゃんと書いているわけですね。
今、もやもやしているのは、去年の秋頃から5次計画に向けての論議をしていく中で、本当にこのチェック機能がしっかりと果たせているのかということは、政策委員会の一人の委員としてもかなり反省すべきことなのかなと今も思っていて、この委員会でも何回か出ていたように、2015年には3次計画のチェックというか、評価を4つの分科会に分けて、しかも、1分科会1回か2回のヒアリングとかをきっちりとやった上で、前期の進捗状況をチェックした上で4次計画ができたと私は記憶しているのですけれども、それと同じことが今回もできているのかどうか、逆にこれを書くことで次の6次計画をつくるときに、5次計画も、申し訳ないけれども、この程度の論議であったから、次の6次計画をつくるときも、きっちりと論議せずにこの程度の論議で進めていくのかというところでの危惧を私はかなりしているので、やはりチェック機能というのは、本当に政策委員会だけでできるわけではないので、それに附属しているいろいろな機能というのをこの評価の中ではもう少し具体的に挙げていってもらいたいと思うのが1点目です。
2点目としては、8ページの「新型コロナウイルス感染症拡大とその対応」ということで、これも前回新しい文章が入っているのですけれども、なかなか委員会の会議で言いたいことが言い切れなかったのでここで補足させてもらうと、今回、赤文でいわゆるサービス事業者側の問題というのが入ってきたのですけれども、よくよく読んでみると、障害者を含めた脆弱な立場に置かれている人は大きな影響を受けているということで、その大きな影響の中身、当事者側が具体的にどんな影響を受けているかということがきっちりと書かれていった方がいいと思います。
私は専門家でも何でもないのだけれども、命ですね。今の感覚でいくと、障害のある人とか、特にお年寄りは新型コロナウイルスの対象にはまっているようではまっていない。特に基礎疾患という言葉を当初は強く言っていたのだけれども、今は基礎疾患という言葉がうっすらとなってきている。
しかも、今の型でいくと重症化しにくいからということで。
○石川委員長 玉木委員、重要なことをおっしゃっているのですけれども、もう少し簡潔にまとめていただくことはできますか。
○玉木委員 はい。
要は、もう少し障害当事者が新型コロナウイルスでどういうところに困っているのかという具体的な事例なども、ここに挙げてもらうと分かりよいのかなと思っております。
以上です。
○石川委員長 おっしゃるとおりかと思います。
では、次に石橋委員、お願いいたします。
○石橋委員 全日本ろうあ連盟の石橋でございます。
意見が3点ほどございます。
1点目と2点目は、コロナ関係の内容になります。
8ページ、総論の部分です。まず1点目ですが、現在コロナウイルスが蔓延している関係で「新しい生活様式」という言葉が出てきております。実際にテレワークなどが出てきておりまして、十分な情報を得られないような状況の中で、コミュニケーションも不全の状況が現在あるわけです。「アクセシビリティ」ではなく、「情報アクセシビリティ」という意味で、「情報」を重要視して考えていただきたいという視点。
2点目は、例えば専門学校や短期大学、大学等に在学するきこえない・きこえにくい学生は、対面できこえない人同士、仲間が触れ合いながら、手話言語について自覚を持ち、高等教育から手話言語を身に付けるという環境が実際にあるわけです。ところが、コロナの関係で、生活様式がオンライン授業になり、つまり仲間と会う機会がなくなってしまいました。情報保障も通常の形とは違うため、孤立している学生がいます。ですから、きちんと仲間、ピアといいますか、ピアとの関係性が十分に確保できるような環境を強く求めたいと思っています。
3番目ですが、13ページになります。児童に関する内容ですが、障害児という定義は、正直言ってなかなか難しい面があります。障害児の定義というのがどこからどこまでなのか、少し曖昧模糊としているのではないか。現在、国の方で、厚生労働省、文科省が合同で難聴児に関する切れ目のない支援モデル事業を始めております。ですので、子供、児童というか、乳幼児のときから切れ目のない継続支援が必要だと考えております。
社会参加、インクルージョンという書き方になっておりますが、やはり療育、教育、地域参加、それぞれが切れ目のない支援という考え方の意見をぜひ盛り込んでいただきたいです。
以上です。よろしくお願いします。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 佐藤です。ありがたいです。
私からは1点ございます。資料2の14ページの「③評価(Check)」のところです。障害当事者の評価ということを明確に入れていただきたいと思います。現在も書いてもらっているのですけれども、少し不明瞭かなと思います。4次計画からの5年間で、当事者の評価という考え方が広まってきて、例えばバリアフリー法は2018年の改正で障害当事者の評価会議というものを設けまして、定期的に行っております。オリパラでもUD2020行動計画に基づいて評価会議をつくってやってきました。こういった取組も踏まえて、当事者の評価ということが大切なのだということを明確に入れていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 それでは、岩上委員、お願いします。
○岩上委員 チイクラネットの岩上でございます。
2点ございまして、1点は6ページの基本原則で「(地域社会における共生等)」の中にポツで構わないのですけれども、やはり地域生活への移行を推進するということを入れていただきたい。そのための基盤整備が必要であるといったことだと思います。
それから、13ページのPDCAサイクルですが、かなりいろいろな方が御発言をいただいて、私としては大変うれしいというか、PDCAサイクルについては適切に行っていただきたいとずっと思っておりました。その中で、内容としてはかなりいいことを書いていただいているのですが、どうしても引っかかりますのが、年度ごとに目標を立てて、それを評価するということができていないことなのですね。5年間で何をするかがあって、見直しはするということになっておりますけれども、各省庁が5年の中で、今年度は何をしてということができるような文言をプランの企画の中か見直しの中に追記していただきたいと思います。
以上でございます。
○石川委員長 それでは、門川委員、お願いします。
○門川委員 おはようございます。総論のアクセシビリティのところを見て気になりましたので、発言させていただきます。
11ページの「①アクセシビリティ向上に資する新技術の利活用の推進」の下の方なのですけれども、「なお、新たな技術を用いた機器やサービスの利活用に当たっては、当該機器・サービスが新たな社会的障壁となる可能性があることにも留意することとする。」の「新たな社会的障壁となる可能性があること」について、これがどういうことを指しているのかが分かりにくいということがありました。
そして、技術の革新についてですけれども、最近の技術革新はすばらしい。技術革新から恩恵を得ている障害者は数多くいらっしゃいます。ここでもアクセシビリティということで、技術革新、デジタル社会の構想とかがうたわれていますけれども、一方で、技術の恩恵を受けにくい障害者もいます。そういう人たちのことがおろそかにされているのではないかと危惧します。盲聾者をはじめとする多くの障害のある人々が、人的支援を何よりも必要としていると考えることもできると思います。視覚障害の人もガイドヘルパーが必要だったり、聴覚障害の人は手話通訳が必要だったりします。なので、アクセシビリティのことはいろいろ書かれていますけれども、マンパワー、人的支援についても、ぜひ今後加えていただきたい。
あと、総論をざっと読んで、コミュニケーションだとか意思疎通については触れられていない気がして、少し気になりました。4次計画について、新旧対照表が点字では非常に読みにくくて、4次計画がどのような内容になっているのか、確認ができていないのですが、もし可能であれば、コミュニケーションや情報アクセシビリティや意思疎通関係の項目も項目立てとして入れていただければいいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
熊谷委員が10時で退席ということだったので、順番を入れ替えさせていただきました。この後に、熊谷委員に発言をしていただこうと思います。
○熊谷委員 熊谷です。ありがとうございます。
すみません。先ほどは間違えてしまいました。引き続き総論に入れるべき粒度かどうか、迷いながらの発言になります。
10ページ目の「4.各分野に共通する横断的視点」の「(2)社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上」の「①社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティ向上の視点の採用」の項目の3段落目の3行目になります。「このため」の後に「国家資格を始めとした専門職のテクニカルスタンダードを規定する法令を最新の支援技術を踏まえたものに更新するなど」という文言を入れてはどうかという提案になります。
少し理由を述べますと、私、自分自身も医師国家試験を経験したこともあり、なおかつ、今は大学で障害学生支援を行っておりますが、高等教育を受けた学生さんの多くが様々な専門職に就くという形でキャリア形成をする場面に多く立ち会ってまいりました。そのときに非常に大きな障壁になるのがテクニカルスタンダード、すなわちこういった能力を満たしていなければ資格を与えないという法令の記述です。
例えば聴覚に障害のある方も、最新の技術を使えば聴診ができるようになるということは、国際的にはよく知られていることですが、日本ではまだまだそういったテクニカルスタンダードのアップデートが追いついていなくて、特に高等教育を経験した障害を持つ若者のその後のキャリア形成の大きな障壁になっていると考えております。
もしかすると、これは各論で述べるべき粒度の話をしているかもしれませんが、何らかの形でこういったイシューを特出しするような記述が含まれるとよいなというのが私の意見です。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
これに関連しては、相対的欠格条項についての問題の指摘ということも必要かなと思うのですが、竹下委員、いかがでしょうか。
○竹下委員 竹下です。
欠格条項の意見書を出させていただいたのだけれども、現在日本の中で絶対的欠格条項と言われる、例えば視覚障害があれば受験できないとか、資格を与えないとか、そういう規定はほぼなくなったのですけれども、障害がある場合に資格を与えないことができる、あるいは与えないことがあるという規定が数多く残っております。
そのことによって、実際には十分な合理的配慮を検討することなく入学が認められなかったり、時には資格試験の受験が拒否されるという現実が発生していることが大きな問題となっております。
そこで、この問題をどういう形でこの中で議論すればいいのかということになるわけですけれども、先ほど私が指摘した辺りに出てくる差別の禁止のところで、どういう形で相対的な欠格条項による弊害をなくすことができるかということになるので、総論的には2つだけ文言として考える必要があろうかと思っております。
一つは、十分な合理的配慮を検討することなく資格を与えない、あるいは入学を認めないということは避けなければならないということになるのかなというのが1点です。
もう1点は、障害の種類や程度によって、当該問題となっている資格、免許が本当に適正を欠くのかどうかということについては、時には個々の企業であったり、時には行政が判断するのではなくて、そうした問題を十分に検討する機関が必要ではないかと思いますので、そうした課題が出てきた場合には、それを適正に判断するための調査・研究が行われるべきであるということになるのではないかと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
障害者の専門職への就労の継続を脅かす問題に対しては、テクニカルスタンダードと相対的欠格条項とか、この辺りのことを基本計画の中で、総論と、各論でも取り上げていく必要があるのかなと思っております。
次、森委員、お願いします。
○森委員 ありがとうございます。森です。
2点お願いしたいと思います。先ほど玉木委員からも意見がありましたように、新型コロナウイルスのところですけれども、ぜひ具体的な困難例も入れていただきたいと思っております。難病の方も、ワクチン接種ができない人ですとか、接種しても十分な効果が続かない方も結構多く、今は医療機関への受診抑制がずっと続いています。また、社会参加もなかなかできず、身体への影響も出ているところですので、この辺りも書き込んでいただければと思います。
もう一点は、12ページの「(4)障害特性等に配慮したきめ細かい支援」ですけれども、一番下の方に「特に発達障害については、社会全体の理解促進、家族支援」等々で「総合的に進めていくことが重要である」という文言がありますけれども、これは全くそのとおりだと思います。
ただ、発達障害だけではなく、難病や高次脳機能障害につきましても、まだ社会の理解が進んでいないことですとか、医療分野も含めまして総合的な取組というのは非常に重要で、しかし、まだ現実これが進まない、難しさがあるということがありますので、ここは発達障害と難病や高次脳機能障害なども加えて記載していただきたいと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。どちらの意見もそうだと思います。
では、三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 ありがとうございます。
先ほど委員長の方から、私がちょっと意見を述べました資料2の13ページの部分に関して文言の提案もということでございましたので、提案をさせていただきます。13ページの(6)の上の赤字部分を削除して「障害のある高齢者に係る施策については、権利条約との整合性に留意して実施していく必要がある」という文言を提案させてください。短いのですが、施策を組み立てる側にも、サービスを提供する側にも大きな提案となると思います。よろしくお願いします。
○石川委員長 三浦委員、ありがとうございます。
最初のところをちょっと聞き漏らしたのですけれども、御提案の書きぶりをもう一回教えてください。
○三浦委員 「権利条約との整合性に留意して実施していく必要がある」という文章を「障害のある高齢者に係る施策については」の後に入れたいと提案いたします。
○石川委員長 分かりました。ありがとうございました。
では、曽根委員、お願いします。
○曽根委員 曽根です。
私は7ページの「(差別の禁止)」の中に、現在は「権利利益の侵害行為」の中に含まれていると思われる虐待について、もう少し明示的に示す必要があるのではないかという立場から意見を述べさせていただきます。
具体的な修文案を申し上げたいと思うのですけれども、3行目の後半から「合理的配慮の提供が確保されるための適当な措置を採ることが求められていること」の次に「条約第16条において、虐待からの保護及び防止等の措置が求められていること」という文言を加え、さらにその次の行で「こうした趣旨が具体化されていることに鑑みれば、障害者差別及び虐待、その他の権利利益を侵害する行為」というように、虐待というものを明らかに示してはどうかということを御提案させていただきます。
その次の段落においては、障害者虐待防止法の施行ということも加える必要があると思います。
趣旨としては、この間、障害福祉サービスについては、障害者総合支援法の中でも明文で虐待の禁止ということが書かれていると思うのですけれども、例えば学校教育ですとか精神科医療機関においては、それぞれの法律の中で虐待を防止する明文の規定がありません。そういったことは障害者権利条約の趣旨からも政策的に求められているのではないかと思いまして、まずはこちらの基本計画の中で、基本的な考えで入れた上で、今後の施策を進めるということを考えてはいかがかと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
私、ここで発言させていただきたいと思います。何点か気になったところがあったので、発言いたします。
まず5ページなのですけれども、「本基本計画では、旧基本計画に引き続き、条約との整合性確保の観点から条約の理念を随所に反映するとともに」となっているのですけれども、理念を随所に反映するという言い方は、第4次の段階ではこれぐらいの感じが相場観であったのですけれども、やはり条約の国内実施とはっきりと示す必要があると思います。
理念を随所に反映するだけではだめで、条約が各条文において具体的に求めている実施を、この基本計画を立てて進めていくのだということが分かるような記述にするということと、ここは議論がいろいろあるかと思うのですが、次、各論の順番なのですけれども、条文の順番で各論を並べていくのか、権利条約の条文の順番に沿って並べていくのか、これについても委員会として議論したい。
私としては、第5次基本計画は第4次基本計画よりも質的に飛躍するということを目指す立場から、条約の条文の順番に各論の各施策を示していくというのが条約との整合性、対応関係が最もはっきり見える形になって、国の障害施策に対する姿勢もはっきりと示すことができると考えますが、各委員の御意見を伺いたいのが1点です。
次は8ページです。「オンライン活用の拡大等がアクセシビリティ向上等に寄与する一方で、障害特性によっては新たな困りごとを抱える障害者もいる」となっているのですけれども、これはまずくて、様々な困難というのは、社会的障壁とそれぞれの心身の機能的障害の相互作用によってもたらされるという考え方に基づいて、基本計画は一貫して書かれなければいけないと思うので、「障害特性によっては」という言い方は適切でないと思いますというのが2点目です。
10ページなのですけれども「障害種別及び性別にも配慮して選任を行うものとする。」とあって、その後に「さらに、審議会等の開催時を含め、障害者施策に関する情報を公開する際や、障害者施策に関連する命令、計画等に関するパブリックコメントを行う際には、障害特性に配慮した適切な情報保障を実施するなど、アクセシビリティの向上を進める。」と書いてあるのですけれども、前者はいいと思うのですが、後段の部分、障害者施策に限定してアクセシビリティとか情報保障を進めると書いてしまっているので、そういう意図ではないと思うのですけれども、「障害者施策に関わる者はもとより」ですね。
つまり、この社会の中で市民として生活している立場からすると、あらゆる施策に関して情報のアクセシビリティあるいは情報保障というものを進めていくということを、この基本計画では述べるべきだと思います。
あと、11ページにSDGsについて書いてあったと思うのですけれども、それとの関連で、最近ではESG、環境社会ガバナンスということを、企業、機関投資家も意識するようになっていて、経団連さんの方でもESGについてのコーポレートガバナンス・コードでしたか、正確な名前は忘れましたけれども、そういったものを改訂されたりしていらっしゃるので、ESGのSの中には多様性と包摂に関わる様々な項目、インデックスが入っていて、例えば社外取締役の中に必ず女性を入れるとか、あるいは外国籍の人の登用とか、そういったことが言われていたり、あるいはビジネスと人権についての企業としての取組を評価するということがESGとして最近注目されていると思うのですけれども、その中に障害者雇用であるとか、あるいはアクセシビリティに対する企業の取組みたいなことも入れていくようなことで、これはソフトロー的なものですけれども、政府としてもやっていくということが書けないかということを提案させていただきました。
以上です。
ちょうど10時になりまして、ここで1回15分休憩を入れさせていただいて、この後また総論と骨格についての御意見をいただきたいと思います。
順番としては、中野委員、野澤委員、安部井委員、米山委員の順番です。
(休憩)
○石川委員長 それでは、再開したいと思います。先ほどの議論の継続です。
最初に中野委員、お願いします。
○中野専門委員 中野でございます。よろしくお願いします。
資料2の9ページ以降の部分で4つ小さな意見があります。
まず1番目は、11ページの「(3)当事者本位の総合的かつ分野横断的な支援」に早期の支援を明記することを提案します。当事者本位で考えていくと、例えば障害を受けた後、すぐに適切なサポートが受けられる相談支援体制整備というのがとても重要だと思うからです。
なお、中途の障害だけでなく、先天性もしくは乳幼児期に受障した場合は、当事者にとって極めて重要な環境である家族、特に母親に対する早期の支援が必要不可欠だと思っての提案です。
2番目は12ページの「(5)障害のある女性、子供及び高齢者に配慮した取組の推進」の中にセクシャルハラスメントや虐待をなくす必要性に関する記載が必要なのではないかと思いますので、御検討いただければと思います。
それから、13ページ目の「(6)PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進」の中に、佐藤委員から先ほど御指摘がありましたが、当事者参加を明記してほしいと思います。
また、オリパラのときには、UD評価会議というのが開かれていたのですが、UD評価会議のような省庁横断型の評価の仕組みの必要性についても明記しておいていただけるとよいと思います。
最後、4番目です。15ページから16ページに心のバリアフリーについての記載がありますが、現時点では心のバリアフリーの明確な定義がありません。そのため、心のバリアフリーを明確に定義する必要性を記載しておいていただいた方がよいのではないかと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。心のバリアフリーについては、今回、対日審査においても、人権論的な視点からの概念であるのかどうかについて、政策委員会としては少し懸念を表明しようとしているところでもあるので、そことの整合性についても考えていただければと思います。
それでは、野澤委員、お願いいたします。
○野澤委員 野澤です。
本質的でないかもしれないのでちょっと躊躇していたのですけれども、一つだけ気になることがあります。
この計画というのは2023年度からの5年間ですね。23年度から28年度ということを考えたときに、新型コロナウイルスはどうなっているのかと思うと、終わっているかもしれない。あるいは終わらないにしても、新たなもの、もっと大変なことが出てきているのかなと考えると、この書きぶりだと今の問題であって、今、とても大事なもので取り組まなければいけないのですけれども、やはり2023年度からの5年と考えたときに、ちょっと違う書きぶりの方がいいのかもしれないなと思いました。書くなということでなくて、例えば終わりの方に、未知なるウイルスのパンデミックとか、あるいは気候変動に伴うスーパー台風とか、集中豪雨とか、そういう自然災害はすごく予想されているし、こういうときに障害者をはじめ社会的弱者が一番直撃されるというのはとても大事な問題なので、そういうことが予想される。こうした状況も踏まえ、留意した取組をというくだりが後ろの方にあると、中長期的な視点というか、将来の視点でしっくりくるなと思いました。それだけです。
○石川委員長 とても重要な指摘をいただきまして、おっしゃるとおりかと思います。
ちなみに、23年度から27年度の5年間ということで、6年案というのも出てきていたものですから、一応、政策委員会としては現時点では5年の基本計画として考えています。
安部井委員、お願いします。
○安部井委員 安部井です。
意見は、先ほどの中野委員の発言とダブる部分もありますが、8ページに東京オリパラのレガシーの検証ということで挙げていただいたのはありがたいことだと思います。そして、まさに中野委員の御指摘と同じなのですけれども、ユニバーサルデザイン2020評価会議はこの3月をもって終了し、関係部署もその機能を継続しないということでありますので、ユニバーサルデザイン2020行動計画は、当事者もですが、国民、行政、企業も巻き込んだとても分かりやすい計画だと思います。ですから、これの評価について、どう行っていくかということが大きなことだと思います。このレガシーに関する評価会議を行っていく部署として、この政策委員会なども関わっていきながら行っていく必要があるかなと思い、そのことを書き込めないかと思っての発言です。
確かに、読んでみるとその辺のところも書いてあるように思いますけれども、分かりやすく、レガシーとして国民、企業、当事者に発信するためにも、その辺のところが明記できればありがたいです。第5次の基本計画で明記できないものかどうか、検討いただきたくて発言しました。
以上です。
○石川委員長 では、米山委員、お願いします。
○米山委員 2点になります。
資料2の13ページの方で、先ほど子供ということで、聴覚障害の方も乳幼児からの早期ということであったのですが、言葉で言うと、乳幼児というと実は新生児スクリーニングをする新生児はまた別になるので、これは母子保健法の定義でもあるので、その辺が子供、早期からという表記の方がいいかなと思いました。
もう一つが、13ページの6行目に「障害のある子供」と書いてありますが、障害と診断がついていない子供もいるので、私たちは表現として「(疑いを含む)」と書いてしまうのですが、いい表現か分からないのですけれども、全ての子供ではあるのですが、そういったことを入れたらいいということ。
もう一点、子供施策の方では、支援ということは妊娠期から言っているのですが、妊娠の22週以降の胎児については、今、出生前診断の課題がありますけれども、胎児の権利というか、生まれる前の子供の権利はどうだというのは、差別解消法の制定の前のときにもちょっと議論が出たのですが、その位置付けについても考えねばならないと思いまして、ここに組み込むかですが、胎児の権利というのは議論できたらいいなと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
大塚委員、お願いします。
○大塚委員 大塚です。ありがとうございます。
私の方からは、資料2の15ページに「5.施策の円滑な推進」、「(1)連携・協力の確保」とあります。最後のセンテンスのところが「障害者政策委員会において、必要があると認められる場合は、他の審議会等との情報共有を行うことについて検討を行う」と書かれております。
この委員会の性格はいろいろとあるのでしょうし、今までの成り立ちもあると思うのですけれども、むしろ他の審議会等々の情報共有を行いながら、施策を一体的に推進していくとかの方がよいのではないかと思っています。
各省庁から、今の施策の状況について説明を受けることもあります。説明を受けることが中心で、ここと同じような議論をされているところでどのような意見が反映されたか、一体的に推進されているというところにどうも欠けるのではないかという意識を持っております。
そういう意味では、今後は相互に作用を及ぼし合いながら、あるいは影響し合いながら、意見を混ぜ合わせながら施策を進めていくことが重要だという観点で申しました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
PDCAサイクルを国内で回していくときに、基本計画に基づく実施の全体を見ているのは政策委員会で、各論に関しても、分野によってかなり確立しているところとそうでないところもありますけれども、各分野におけるPDCAサイクルとの間の協調とか、対話とか、情報交換とか、そういったことが今後必要になってくると思うので、おっしゃるとおりかと思います。
では、北川委員、お願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。
先ほどの米山委員ともかぶりますけれども、13ページの子供のところで、出生前診断のことで、女性、妊婦さんの側はリプロダクティブヘルスライツというのがあって、選択の尊重というのもあるのですけれども、やはり妊娠期への支援が十分に行き届いていないということで、今、母子保健の方に対して福祉サービスの情報提供をしていこうということで取り組んでいる最中ですけれども、子ども家庭局の方で、妊娠期からずっと家族と子供への支援という施策を組み立てていますので、上から7行目「推進する観点等を踏まえた支援を行うこと」というところに「妊娠期からの子供と家族への支援」ということを付け加えたらいいのではないかと思いました。
以上です。
○石川委員長 では、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
前回の会議でも発言したのですけれども、障害当事者の自立ということを考えたときに、そこに関わる家族の現状がなかなか厳しい状況にありますので、家族支援、ケアラー支援ということをこの基本計画の中に分かりやすく、きちんと提示していただきたいということは重ねてお願いしたいと考えております。
もう1点、資料2の12ページの「(4)障害特性等に配慮したきめ細かい支援」というところで、精神障害も当てはまるので、ここに精神障害も書き込んでいただきたいということをお願いしたのですけれども、最後の方の16ページの「①重点的に理解促進等を図る事項」というところで、ここの4行目「その際、知的障害、精神障害、発達障害、難病、高次脳機能障害、盲聾、重症心身障害その他」と書かれております。これに合わせた形で、12ページも「知的障害、精神障害、発達障害」と並べて書き込んでいただいて、先ほど難病団体の方から御意見がありましたように、その次の「特に発達障害、難病、高次脳機能障害については」という書きぶりにしていただけたらと思いますので、御検討いただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、この後、もう少し時間がありますので、意見交換をしていきたいと思いますが、最初に事務局の方から、幾つか出た点について事務局のお考えをお聞きしたいと思います。
まず、玉木委員から、4次計画のときはワーキンググループをつくって、今よりも丁寧にやった気がするというお話だったのですけれども、人の記憶は結構不安定なものだったりするので、そうだったかもしれないし、ワーキンググループに分けて、全ての項目について全員が参加して議論できなかったように思うのですね。たしか委員が2つのテーマを選んで、そのワーキンググループに参加して意見を述べて、そこからの報告をまとめるみたいな形だったように思うのですけれども、4次計画のときに何回の委員から開いたのかとか、委員会とは別に部会を開いたのか、私は全ての部会に参加しましたけれども、午前、午後という形で1日に3つの部会が開かれたような気もしますし、その辺りの4次計画のときの議論のまとめ方について、今日すぐに事務局として説明できないということであれば、また改めてということでも結構ですけれども、それが1点ありました。
岩上委員から、毎年フォローアップすべきところをどうしてできないのだろうか。これは何度か岩上委員から御指摘をいただいているので、事務局として、実行可能性という観点からどうかという点についてお願いしたいと思います。
ついでに、私の提案もいささかドラスティックだったので、事務局として対応可能かどうかという御意見があろうかと思いますので、事務局としてほかにもここは言いたいということがありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
以上です。
○立石参事官 事務局でございます。
第4次計画のときの議論の進め方としては、小委員会や部会は行わない形で実施をされていたようでございます。合計の開催回数については、今、数えさせていただきますが、11回ぐらいやっているようでございます。
○石川委員長 3次計画のときは、部会に分けてやっていましたか。
○立石参事官 3次計画のときに部会が分けられておりまして、第1から第6までの小委員会ということでやっておられたということで、手元を見てみるとそういう形でございます。
○石川委員長 分かりました。
1年後のフォローアップの実現可能性についてはいかがでしょうか。
○立石参事官 今すぐに御回答を申し上げるのは難しい部分もあるかと思いますけれども、現状のやり方としては、5年間で目標を立てて、1年に1回のフォローアップで、その目標に向けて現状どこまで進んでいるかということをやっているところでございまして、直近では昨年の秋に進捗状況について資料もお出しして、毎年どこまで進んだかということはお見せしている状況でございます。
最後の各論部分の委員長の御提案でございますけれども、資料1の関係でございます。「III 各分野における障害者施策の基本的な方向」というところでございまして、眺めていただきますと11の分野で、例えば「1.安全・安心な生活環境の整備」というところですと、基本法では何条に該当しているか、条約では第何条に該当しているかということをお示しした形で、それぞれの関係性と施策を結びつけるということを4次計画のときから行っているという認識でございます。
御覧いただけますと分かるとおり、条約でも多くの条文が関係しているところがございます。条文ごとに分けるとした場合、この辺の整理がどうなるのかなというのは少し思うところでございます。その施策の固まりとしての分かりやすさというものを重視していくか、または条約の条文の順番。そうすると、今あるものがどのように分かれていくのか、重複がどうなるのかということを考えた場合に、政府の政策としての分かりやすさということ、先生が御指摘になった条約の条文順にしていくことの分かりやすさとの兼ね合いでどうしていくべきなのかということは、私どもで思ったところでございます。
政府側としましては、政府としての施策の固まりという観点も一つ重要な視点かなと、今、お尋ねがあって思ったところでございます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
そういうことでしたら、折衷的というか、バランス案なのですけれども、今の項目立ては変えずに順番だけ変えて、政策の固まりはいじらず、しかし、全体として見ると権利条約の条文の流れに大体沿っているなという項目づけが可能かなと思ったのですけれども、ちょっと提案してみていいでしょうか。
最初に4の差別の解消、その後、1、2、3と行きまして、7に飛びまして、6、5、9、8、10、11という順番に並べ替えると、もちろんいろいろな条文に関わってきますけれども、おおむね条約の流れに沿うようなイメージになると思います。
数字をもう一回言った方がいいでしょうか。現状の見出しの4、1、2、3、7、6、5、9、8、10、11というのはいかがでしょうか。
私はそのように考えました。今日思いついたので、すみません。
○立石参事官 事務局でございます。
今、委員長から順番の御提案をいただきましたので、そちらを踏まえて検討させていただければと思います。
○石川委員長 急で申し訳ございません。
ほかの各委員からの提案は、できるだけ中に組み込みたいものがほとんどであったかと思うのですけれども、委員間の意見交換で何かありますでしょうか。他の委員からの意見に対する御意見とか、賛同の意思表明とか、あるいは修正提案ですとか、そういったものはございますか。
米山委員、どうぞ。
○米山委員 米山です。
最初に意見をさせていただいた子供の分野というのは、もちろん教育にも入って、17条の療育というところも教育の方に入っているのですが、やはり未就学のことも考えて、あと、子供施策の話題もあるので、先ほど石川委員長の方からもありましたが、いろいろ整合性といいますか、考える部分があるので、子供の分野については分けて議論をしてもいいのではなかろうかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○石川委員長 この点については、ほかの委員の意見もぜひ伺いたいと思いますが、考えていただいている間に大河内委員に発言いただこうと思います。
○大河内委員 大河内です。
先ほど中野委員からも御指摘があったように、心のバリアフリーについて、定義をしっかりという御指摘で、なるほどそういう言い方なのだなと思っていたのですけれども、私もここはすごく気になっていて、16ページに心のバリアフリーという言葉が何回も出てきて、都合よく使われているような感じがするので、心のバリアフリーという言葉の使い方は、耳なじみもいいことですし、結構広く使われているものではありますけれども、こういう総論の中では気をつけて使っていかなくてはいけない言葉だと思うので、先ほど中野委員がおっしゃった定義ということも含めて、もう一度この使い方も見直していただいた方がいいかなと思った次第です。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
中野委員、お願いします。
○中野専門委員 中野でございます。
先ほどの教育のことについてなのですけれども、具体的な提案は今すぐにはできないのですが、教育の中には保育に関わるものと、いわゆる厚生労働省が担当している保育に関わるものと、文部科学省が担当しているいわゆる教育に関わるものがあります。全部が含まれるとちゃんと読み取れるようにしておく必要性があると思います。
それと「9.教育の振興」の最初に「(1)インクルーシブ教育システムの推進」と書いてありますが、これはシステムの推進でいいのか、それともインクルーシブ教育の推進とすべきなのかということについては、ここでの議論が必要なのかなと思っています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
そこは私も気になっていたところで、本当にインクルーシブ教育システムでよいのかということは、第5次基本計画の総論の中で非常に重要なポイントの一つかなと思うのですが、ほかの委員の御意見を伺いたいと思います。
柘植委員、お願いします。
○柘植委員 柘植です。ありがとうございます。
この資料の中で、報告の中で使う用語の件について、2年ぐらい前、さらにその前、4年ぐらい前にお話をしたと思います。議事録にも載っていると思います。今、何人かの委員の方がおっしゃっていましたけれども、今回、資料1から資料6まで、幾つかの資料を用語の視点から見たときに、インクルーシブ教育システム、インクルーシブ教育、特別支援教育、共生社会、包摂性のある社会、抱擁、社会への完全かつ効果的な参画及び抱擁(インクルージョン)などなど、交ざっているのですね。
先ほど石川委員長が、条約との整合性をということで、多分その方が分かりやすいだろうし、こちらもいいだろうし、権利条約の側からも評価したり、眺めたりするときにも分かりやすいだろうということで、私は賛成なのですが、実は用語についても、権利条約の中での用語を意識しながら日本語を使っていくようにしないと分からないなと思いました。
共生社会は、その概念からインクルーシブソサイエティなのかなと思ったりもするのですが、英訳はCohesive Societyなのですね。そうすると、それは違うのか、同じなのかということがどこにも書いていないし、あるいは先ほど中野委員からもありましたけれども、特別支援教育はインクルーシブ教育なのかとか、包含関係にあるものなのか、目指す方向性がどう違うのかとか、その辺が議論されていないし、インクルーシブ教育とインクルーシブ教育システムとの関係はどうなのか。
これぐらいにしますけれども、日本語でいろいろな言葉が使われて、片仮名でインクルーシブとか、インクルーシブ教育システムとかが使われているのですけれども、その辺をどうするのか。もう少し整理して使うのか、明らかに違うのだということであれば、定義をしてきちんと使っていく。その辺をすることによって、先ほどの章立てといいますか、項目の順序での分かりやすさということにも関連して、用語の方も整理整頓をしていただくといいのかなと思います。
先ほど言いましたけれども、2年前と4年ぐらい前にも同じような話をしているのです。また、用語がはっきりすることによって、評価をするときに、何がどこまで行ったのかということも評価しやすいのかなと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
先ほど中野委員が御指摘になったインクルーシブ教育システムというのは、骨格の見出しというか、各論の見出しの9のところですね。
○中野専門委員 そのとおりです。
○石川委員長 事務局の方にお聞きしたいのですけれども、この各論というのは、それぞれの施策を担当しているそれぞれの府省庁、所管側との調整が必要で、9の(1)というのは明らかに文科省の特別支援教育課の所管分野なのですけれども、この見出しをつけるときに、つまり所管としてはインクルーシブ教育システムでいきたいと言われると、これまでの経験上、それ以上の調整は難しいようにも思っているのですけれども、いかがでしょうか。
取りあえず最初から諦めずに投げていただくということで、トライしていただけそうですか。
○立石参事官 事務局でございます。
御指摘のとおり、こちらは政府で閣議決定をするものですので、各省庁との調整は必須のこととなっております。一方で、政策委員会からいただいた御意見については、今回のものに限らず、各省庁に対して委員の御指摘の御趣旨というものをお伝えして、調整をさせていただいているところでございます。
委員長の御指摘のとおり、難しい調整ということはございますけれども、当然事務局としては毎回トライさせていただいているものでございます。
○石川委員長 玉木委員、どうぞ。
○玉木委員 玉木です。ありがとうございます。
今のインクルーシブ教育の話でいくと、実は前回61回の国連障害者権利委員会の審査に向けた審議の中で、教育の項目について私も意見させていただいたと思うのですけれども、インクルーシブ教育システムということを書きつつ、書いていた内容は全て特別支援教育、すなわち障害児教育のみに特化した内容しか書いていなかった。本来は障害がない子供たちへのアプローチも含めて、本来ならきちんと整理していかないといけないお話で、委員長を含めて、国連に出すときは、インクルーシブ教育のシステムについては、まだ国内論議が十分でないということを書き添えて出せばいいという話になったと思うのです。
それを踏まえて考えていくと、その内容と、今回5次計画に挙げるときの書きぶりは整合性があった方がいいと私も思うので、その書きぶりについては中身も含めて要検討かなと思います。
あと1点だけ言わせてください。先ほど内閣府の事務局の話の中で、確かに3次計画はワークショップを開いたということを言われていたのですけれども、先ほど資料をめくっていくと、3次計画でやっていたときは、障害者政策委員会は国内の障害者施策の監視機関であるから、3次計画の進捗状況がどうなっているのか、利用者とか事業者を含めてヒアリングをやっていった。それがあったから4次計画ができてきたというのが私の理解なのです。
先ほど4次計画の中で11回ぐらい論議があったと言われているのだけれども、今回もそうなのですが、テーマがいっぱいあって、内容がいっぱいあって、私みたいにたらたらしゃべる委員もいるからなかなかみんながちゃんと言い切れない中での11回と、個別にグループに分かれてしっかりと意見を出して監視していくワークショップと、どちらが有効なのかとか、それは今回だけでなくて今後ずっと続いていくことですから、障害者政策委員会として国内政策をどう監視していくのかということを具体的に論議していきたいと聞いていて思いました。
以上です。
○石川委員長 前段の部分について少し修正させていただきたいのですが、まだ国内での議論が足りないという話は、政策委員会から権利委員会に対しての報告には書かないということで、皆さんに賛成していただいたと私は理解しています。
また「インクルーシブ教育システムに基づいて」というのは削除するということで、これも皆さんに合意していただいて、今、最終的な文言の調整をやっています。
一番の違いは、対日審査に向けての政策委員会の意見というのは政策委員会の意見なので、モニタリングをしている側からはこのように見えるということですから、各省からも実施している側の話は聞いてほしい、このようにやっているのだと言われたら、それは傾聴するし、場合によっては書き方を変えるということで、柔軟であるべきだと思っていますけれども、最終的に責任を負うのは政策委員会なので、政策委員会としての考え方とさせていただく。だけれども、基本計画というのは実施側がコミットしていただくことなので、政策委員会は意見を精いっぱい述べて、しかしと言って食い下がるわけですけれども、最終的に実施側がそれに説得されてということもあるだろうし、ない場合もあるだろう。そのように、対日審査と基本計画ではお互いの関係に少し違いがあるという点についても御理解いただきたいと思います。
特に4次計画のつくり方と5次計画のつくり方の違いについて、事務局の方でもう少し調べていただいて、それぞれの利点と、逆に弱点といいますか、それぞれに一長一短があると思いますので、また報告していただきたいと思います。
これから基本計画のまとめ方を大きく変えていくことは難しいと思います。これまでの第4次基本計画の実施については、各省からの報告をいただいて、フォローアップもやってきましたので、それから各委員、現状のそれぞれの分野での施策の実施状況についてもよく理解されていらっしゃると思いますので、第5次基本計画の策定において情報が足りない部分があれば追加で問い合わせることもできますし、私としては、今のやり方でまとめていくことに特に大きな問題は感じていないところです。
それでは、ほかの委員の御意見を伺いたいと思いますが、先ほどのインクルーシブ教育システムという点については、委員会としてはインクルーシブ教育ということで事務局を通して投げていただいて、また文科省からの反応を待つということでよろしいでしょうか。
柘植委員から、ほかの言葉についても、もう少し整理した方がいいという御意見がありました。あと、中野委員からも、大河内委員からも、心のバリアフリーという言葉の使い方について、総論で使っていくことの妥当性について疑問が呈されたと思います。私はかねがね同じように述べているのですけれども、一つの施策の中で心のバリアフリーという言葉が使われて、言わば行政用語と言っていいのかどうか分かりませんけれども、一定の定着した言葉になっているというのもあるので、分野によっては、施策の方としては、心のバリアフリーということでやってきているので、使っていきたいということはあるかもしれないけれども、基本計画の総論というのは、基本計画の基本的な方向性とか、考え方とか、理念とか、哲学とかを示す部分なので、そこは権利条約との整合性を最優先で考えるべきだと思いますので、場合によってはというか、可能であれば、多義的でもあるし、意識向上ということだけを意味しているわけではないイメージもありますので、ちょっと考える必要があるかなと思います。
ほかにいかがでしょうか。
米山委員、お願いします。
○米山委員 何度もすみません。
子供のことにこだわるのですが、もともと障害者基本法の第17条に、23年のときに「療育」という項目で17条が新設されたのですね。ただ、そこに書かれているのは、療育を地域でできるようにということだけで、療育の定義は何かというと、実はそこが語られていないのです。外国で言えばエデュケーションの中に入るのか、リハビリでなくてハビリテーションという、国連が批准している方の条約の26条に「Habilitation and Rehabilitation」と書いてあるのですが、やはりその言葉の使い方で、療育とは何か。日本で療育というのは、発達支援と家族支援も同時に、育ちを支援するということに意味づけされていますが、実は定義がないので、その辺が、先ほど私が言った子供という分野を新設したらという意見と、そこは教育と絡むので、先ほどの幼稚園、保育園との違いとか、そういうところが絡むので、療育ということについてもう一度考えながら子供分野というのを設けたらどうかと思いました。
○石川委員長 ありがとうございます。
米山委員の提案に対してほかの委員の御意見を求めたいのですが、いかがでしょう。
後で事務局としてどうかということもお聞きしたいと思いますが、まず片岡委員、お願いします。
○片岡委員 全国地域生活支援ネットワークの片岡です。
先ほど岡田委員、森委員の方からありました、障害特性等に配慮したきめ細かい支援を16ページの障害名がずらっと書いているのを参考に最初に持ってきて、特に発達障害、難病、高次脳機能障害とするということに関して賛同意見です。
もう一点だけ、岩上委員の方から地域移行の話があったかと思うのですけれども、非常に重要なことだと思いますので、何ページのどの部分にどのように盛り込んでいくかみたいなことを、もう少し岩上委員の方からお話しいただけるとありがたいなと思って発言させていただきました。
よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、曽根委員、お願いします。
○曽根委員 曽根です。
妊娠期からの支援ということを北川委員さんとか何人かの方がおっしゃっていたと思うのですけれども、それは非常に重要なところだなと思ってお聞きしていました。出生前診断がかなり広がってきた中で、カウンセリングするということは求められていますけれども、不安になった親が、例えば障害のある子の親と交流することによってそういった不安が解消されていくとか、そういった十分な支援を受けた上で、最後は御自分で決めるということが基本になると思うのですけれども、そういったところは少し注目していくべき部分でないかと思ったので発言させていただきました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、北川委員、お願いします。
○北川委員 米山委員が子供のことをみんなで考えた方がいいのではないかということで、出生前診断と家族支援の必要性というところも前回も皆さんからすごく出ていましたので、教育の絡みももちろんありますので、もしそのようなことができたらお願いしたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
岩上委員、お願いします。
○岩上委員 片岡委員、御質問ありがとうございます。
私も先ほど申し上げたのですが、6ページの基本的な考えの中で「2.基本原則」に加えられたらいいなと思っています。国連の障害者権利委員会の対日審査等でもそういった質問が寄せられているところですので、基本的には地域共生社会を目指す、その中でどこにするのかということでの記入でよろしいかと思いますけれども、差別の禁止とか国際的協調と同様の位置付けで、一つ枠組みをつくっていただいてもいいかなと思います。
もう一つ、先ほど内閣府の方から御回答いただいたPDCAサイクルについてですけれども、確かに数値目標については、今年どこまで進んでいますといったことで分かるところはあるのですが、非常に多岐な項目があって、項目ごとにどういうことを推進するとか、どういう社会を目指すという項目があって、実施状況として、今年取り組みましたしかないわけです。それは、もともとこの5年間やる目標の中で取り組んでいますということで評価をすべきなのか。私はそこがとても評価しにくいので、省庁ごとに5年間で行う目標をもう少し分かりやすくして、予算的なものもあるのでということで前も御回答いただいているのですけれども、少なくとも今年度取り組む目標があって、それについての実施状況という意味で、この中にちゃんと年度目標を立てるということをPDCAに書いていただいたらどうかということで、先ほどは御提案をさせていただきました。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
研究者の世界で言うと、科学研究費を単年度でなくて複数年度で申請するときは、必ず毎年の研究計画を積み上げていって、最終年度までにこれだけのことをやりますと計画を立てるのですけれども、企業もそうだと思うのですが、同じようなことで、基本計画について、5年でここまでというざっくりとしたものでなくて、それを実施するためにいつまでに何をやって、次は何をやってみたいなことの計画を立てて、それを示してほしいという御意見と理解してよろしいでしょうか。
○岩上委員 石川委員長が前回お話になりましたように、こういったことが進捗状況を把握するようになって随分進んできたのだということには、私も賛同しているのです。
そのとおりだと思いまして、省庁も一生懸命考えてやっていただいていると思いますし、政策委員会でも相応の監視をしてきたと自負しています。
ただ、分かりにくさというか、都道府県や市町村はきめ細やかにやっているという認識を持っていますので、国としてももう少し、今、石川委員長がおっしゃったような形ができるといいなということで御提案をさせていただきました。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、大塚委員、お願いします。
○大塚委員 大塚です。ありがとうございます。
米山委員さんの御意見で、子供のことをどう取り扱うかということがあるのですけれども、今の章立てだと「4.各分野に共通する横断的視点」の「(5)障害のある女性、子供及び高齢者に配慮した取組の推進」ということで、障害のある女性と子供はずっとペアでいろいろなことを議論してきたからペアになっているのかもしれませんけれども、この辺も各分野に共通する横断的視点だったら、子供、成人、高齢者というところで一まとめにして、今の全体的な福祉の流れの中だと、地域における包括的支援という話で横断的ということでは分かるのですけれども、これも女性があって、またライフステージに応じたそれぞれがあってということで、この辺も整理しなければならないことかなと思っています。
それから、権利条約の中においても、障害のある児童は取り扱っているのが第7条なので、そういう意味ではそういうところに置いて、きちんとした項目を一つつくるということと、私、療育という言葉は適切でないと思っています。いろいろなことをやってきて、特に今、知的障害の定義とか療育手帳の制度のことを考えているのですけれども、どうも障害のある人の手帳制度というよりは、療育のための手帳ということで、それはそのときの意味があったのでしょうけれども、治療と教育という古い障害概念も含めたものについては是正すべきだと個人的には思っています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
骨格の4の(2)の③が「実施に関する仕組み」となっているのですが、ここは実施の監視に関する仕組みのことを書いているものと思うのですけれども、実施に関する仕組みと実施の監視に関する仕組みだと全然違うので、この辺を事務局の方で御確認いただきたいと思います。
時間的な問題ももちろんありますし、意見も大体出たかと思うのですが、骨格の手直しに関わる提案、追加をもう一回整理したいのですけれども、米山委員からの提案は、骨格の見出しの中に子供を入れる必要があるのではないかという御提案だったと理解してよろしいでしょうか。
○米山委員 先ほど大塚委員からもありましたが、やはり子供ということでその分野を分けた方がいい。
今後こども庁のこともございますので、取り出して分野としてつくっていただいた方がいいと思います。以上です。
○石川委員長 事務局からお考えをお聞きしたいと思います。
○立石参事官 事務局でございます。
ただいま子供について独立して項目を立てられないかという御意見がございましたので、御意見を踏まえて調整を行ってまいりたいと思います。
○石川委員長 女性についてはいかがでしょうか。
○立石参事官 恐れ入ります。子供が独立すると女性と高齢者が残されるということではなく、女性も分けるということでしょうか。
○石川委員長 どうしたらいいのか分からないのですけれども、それぞれ項目を分けた方がいいのかなと思うのですけれども、皆さんの御意見はいかがですか。
曽根委員、お願いします。
○曽根委員 私は、子供を分けてということであれば、女性と高齢者も分けてというのがよろしいかと思います。
以上です。
○石川委員長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 佐藤です。
条約でも、障害を持つ女性が6条で独立していますので、ぜひ分けた方がいいのではないかと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
見出しとしても分けて、それぞれについて特徴的・構造的な課題があると思いますので、それの取組のことを書いていくということで、事務局、よろしいでしょうか。
○立石参事官 今、御意見が出ましたので、御意見を踏まえて調整を行っていきたいと思っております。
○石川委員長 そうしますと、骨格に関してはここのところを直すのと、「実施に関する仕組み」を「実施の監視の関する仕組み」に修正するのは、事務局、よろしいですか。
○立石参事官 各省庁との調整が必要でございますが、事務局としては御意見を踏まえて調整を行っていきたいと考えてございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
そして、各論のところの項目というか、節の順番だけ権利条約に粗々沿った形にする。細かい表現上の問題については若干調整が必要ですけれども、この骨格で、この後、総論、各論を進めていくということで、委員会としては賛成していただけるということでよろしいでしょうか。
曽根委員、どうぞ。
○曽根委員 各論は今日でないと最初に委員長がおっしゃったので、こちらの骨格の方も触れてはいけないのかなと思っていたので、ちょっと誤解していたのですけれども、骨格の「7.行政等における配慮の充実」という項目があると思うのですけれども、前に私、行政機関に対する障害者の参画において、知的障害の参画が遅れているのではないかという意見を言わせていただいて、資料2の13ページにはそういったことがニュアンスとして入るような文章を入れていただきました。それをこちらの骨格に入れるとすると7のところなのかなと思いまして、「行政等における参画の推進、配慮の充実」と見出しを少し修正していただけないかという意見です。
そうしますと、次の(1)から(4)の中で、(3)が「行政機関等における参画の推進、配慮及び障害者理解の促進等」。ちょっと長いですね。あるいは(5)として「行政機関への参画」という項目を追加していただくか、そういったことについて御検討いただけないかと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
「行政等における配慮」の「配慮」はどういう配慮を意味しているのかというと、リーズナブルアコモデーションという意味ですか。司法手続のことからすると、明らかにアコモデーションですね。選挙についてもそうだし。だけれども、「合理的」を外して「配慮」としてしまうと、どうもミスリーディングな表現のように感じられるのですけれども、ほかの委員の御意見はいかがでしょうか。
事務局はいかがでしょうか。
○立石参事官 事務局でございます。
各論部分の項目立てについては、御指摘いただきましたけれども、あくまでこちらは粗々この項目立てで各省庁にお願いするということでございまして、まさに今、曽根委員から御指摘をいただいたようなものにつきましては、この表題について盛り込むべき本文と併せて、この後、各論での御議論のときに直していくというのは当然のことだと思っておりますので、全ての文言をこれで今日お願いしたいということではもちろんございませんで、粗々こういう項目立てでということでございます。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
そうしましたら、今日のところは、骨格は大体こんな感じでいくということで、方向性というか、合意ができたかと思います。
総論については、やはり書き込んでいただかないといけないところがいろいろあったり、修正していただく必要があるところがいろいろあったりするので、時間が足りなくなってきましたけれども、今後の進め方で説明していただいて、この後、進めていくということになると思います。
では、骨格と総論についての検討はここまでとさせていただきます。
続きまして、今後の審議の進め方について、事務局からお願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
資料5を御覧いただければと思います。「障害者差別解消法に基づく基本方針の改定に向けた障害者政策委員会における今後の審議の進め方(イメージ)」という資料でございます。
こちらは事務局として今後の御審議のイメージを示したもので、あくまで委員会での実際の議論の状況次第というものではございますが、御説明をさせていただきますと、令和4年の春以降ということで、基本方針について項目別の検討を進めていただければと思っております。
この際、相談体制等の在り方につきましては、別途今年度、調査研究事業も行っておりまして、野澤委員に座長をお務めいただいているところでございます。そういった基本方針、項目別の検討に当たりましては、そちらについても御報告をさせていただきながらということで考えてございます。
項目別の検討が一巡いたしましたら、令和4年夏以降ということで、基本方針改定案について御審議をいただければと思ってございます。
そして、年内には委員会の意見として、基本方針の改定案についての御意見を取りまとめていただければと考えてございます。
それを踏まえまして、その後、政府案を作成いたしまして、パブコメ等の所要の手続を経まして、令和4年度中、年度内には閣議決定を目指していただければということを書いてございます。
なお「※」のところでございますけれども、基本方針が決定されますと、改正基本方針を受けまして、各省庁におきまして、所管分野ごとの対応指針、いわゆるガイドラインの作成でございますとか、地方公共団体等におきまして相談体制の整備等において準備を行うこと。それから、もちろん法律や基本方針などについての周知啓発活動をしっかりと行っていくということを書かせていただいております。
そういったことを経まして、現状、公布の日、令和3年6月4日から3年以内の政令で定める日とされておりますが、改正法の施行という流れになると考えてございます。
こちらの資料については以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
年度内閣議決定ということなのですけれども、各委員からの発言を求めます。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 佐保です。ありがとうございます。
本日の障害者政策委員会については、多くの委員からの要望を受けて開催されたものであり、事務局の尽力に感謝申し上げたいと思います。秋以降の改定案の取りまとめに向けて、今後も継続的に十分な審議ができるよう開催頻度を増やしていただきたいと考えております。
私からは以上です。
○石川委員長 竹下委員、お願いします。
○竹下委員 スケジュールのトップのところのイメージを確認しておきたいと思います。「基本方針項目別の検討」とあるわけですが、その後の括弧書きとの関係がよく分からないのです。すなわち基本方針、項目別というのは、基本方針の全体の項目ごとの議論をやると受け止めていいのでしょうか。すなわち、既にどの項目について議論をするかということが絞り込まれているわけではないと理解していいかどうかの確認です。
そうであれば、今、別の委員もおっしゃったように、この春以降の議論としては、相当な回数を確保していただかないと、十分な議論ができないまま「基本方針改定案(全体)の審議」と書いてある令和4年の夏を迎えてしまうと思いますので、項目別の議論は全ての項目について検討するということの確認と、そのための十分な時間をとっていただくことの確認をさせていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
どうぞ。
○立石参事官 事務局でございます。
項目別と書かせていただいておりますのは、現行の基本方針をイメージしていただければと思いますが、まさにその順番といいますか、全体の流れに沿って御検討いただくということかと思ってございます。
以上でございます。
○石川委員長 時間がなくなってまいりましたが、あとお一人ぐらいであれば可能かと思いますが、ございますか。
分かりました。最長3年での施行ということなので、十分な議論を尽くして基本方針を練り上げるということは非常に重要だと思います。ここから先のことがずっとかかってくることなので、焦って不十分なものよりは、必要な時間をかけて納得のいく基本方針をつくりたいと思います。
ただし、できれば年度内に閣議決定と言わず、せめて年内閣議決定ぐらいはチャレンジしたいと思うのですね。事務局、どうでしょうか。
基本計画の方は年度内閣議決定でちょうどぴったりなのですけれども、基本方針は何とかもう少し前倒しをしたいというので、多分ほかの委員もそう思っておられる方が多いと思います。
○立石参事官 事務局でございます。
まさに審議の状況次第でございますが、委員長の御協力、委員の御協力をいただきながら、事務局としてもしっかり頑張らせていただきます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
今日は追加的に政策委員会をこの日に設定できまして、一つ作業が前に進んだかと思います。
それでは、本日の審議は以上としたいと思います。
最後に事務局から事務連絡をお願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
次回の政策委員会の詳細につきましては、石川委員長に御相談の上で、確定次第御案内をさせていただきます。
以上でございます。
○石川委員長 それでは、以上をもちまして、第62回障害者政策委員会を終了いたします。
本日は、御出席ありがとうございました。退出をしていただければと思います。