障害者政策委員会(第66回)議事録
令和4年6月14日(火)
13:30~16:30
TKP新橋カンファレンスセンター幸ビルディング14階 ホール14A
(Web会議にて開催)
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第66回の「障害者政策委員会」を開会いたします。
委員各位におかれましては、御多用のところ、御出席いただきましてありがとうございます。
本日の委員会は、16時30分まで時間を確保しております。
本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブ会議により開催しております。
なお、取材及び一般傍聴については、感染拡大防止の観点からお断りをし、動画中継を視聴していただくこととしております。
初めに、事務局より委員の出欠状況について報告をお願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、黒岩委員、平川委員、柘植委員及び内布専門委員が所用により御欠席との連絡を受けているほか、長谷川委員が14時半頃から御出席され、15時から15時半までの間は離席されると伺っております。また、野澤委員が15時頃、中野専門委員が16時頃に退出されると伺っております。
以上でございます。
○石川委員長 それでは、本日の議事に入ります。
御発言いただく際の意思表示につきましては、挙手機能を使用していただきたいと思います。委員長の指名を受けてから御発言ください。最初に名前を名乗っていただき、御発言はゆっくり分かりやすく簡潔にお願いいたします。
それでは、本日の議題及び資料について、事務局より説明をお願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、まず、令和3年度の調査研究につきまして、事務局から御報告をしました上で、基本方針の改定につきまして、途中15分程度の休憩を挟みつつ、2時間程度、御審議をいただければと思います。
資料といたしましては、令和3年度の調査研究に係る資料として資料1及び資料2、基本方針改定に係る資料として資料3から資料5を用意しております。
また、先般お取りまとめいただきました国連障害者権利委員会による対日審査に向けた障害者政策委員会の見解につきましては、英訳が完了いたしまして、先週、国連に提出をいたしました。提出した資料につきましては資料6、和文については資料7となりますので、資料として提出をさせていただきまして、御報告をさせていただきます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
まず、令和3年度調査研究について事務局から報告をお願いします。
○立石参事官 それでは、令和3年度調査研究につきまして、御報告でございます。関係資料は、資料1と資料2となります。
内閣府では、令和3年度の調査研究といたしまして、障害を理由とする差別に関する国内の実態及び今後の相談体制の整備、事例の収集、共有等に関する調査研究を行いました。その中で、有識者に御参画をいただいて検討会を開催し、今後の相談体制、事例の収集、共有等の在り方の今後の方向性につきまして報告を取りまとめていただきました。
検討会には、本政策委員会の委員である野澤委員に座長をお務めいただき、ほか、障害者団体、事業者団体、地方公共団体等にもお入りいただいております。また、岩上委員、曽根委員、また杉崎前委員にも御参画をいただいております。
今回、基本方針の改定に当たって、相談体制や事例の収集等の関係で御議論をいただくに当たり、検討会報告の内容の御説明をさせていただきます。
それでは、資料1に基づいて説明をいたします。詳細につきましては資料2の本文161ページからとなりますので、別途御覧いただければと存じます。
資料1の1枚目でございます。
まず、障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方について、基本的な考え方といたしまして、1つ目の●、今般の改正法により、事業者の合理的配慮の提供が義務化されたことを受け、障害者に対する支援を行うのはもちろんのこと、義務化の対象となった事業者が適切な取組を行えるよう、相談対応や情報提供などの必要な支援を行うことが不可欠。また、改正法の円滑な施行に向け、国と地方公共団体が連携して、相談対応、事例共有等に関する仕組みを整備し、総合的・一体的に取組を推進する必要があると整理をしております。
また、障害者差別の解消に向けた相談体制の在り方といたしまして、(1)相談の実施体制の構築の相談の体制構築の考え方のところでございます。まず1つ目のポツ、障害者や事業者との日常のやり取りの中から、相談担当者が差別相談を拾い上げられるようにするためには、明示的な差別相談の窓口に加えて、地方公共団体において日常的に生活支援に関わる部局や商工関係部局等も相談の一次受付として重要な役割を担うと整理をしております。
そして、相談の一次受付から案件終結まで想定される基本的な対応として、下のチェックがついているような流れを想定しております。まず、相談者からの情報収集(事実確認)を行い、次に関係者での情報共有、対応方針の検討、それを踏まえ、相手方からの情報収集(事実確認)、さらに関係者での情報共有、事案の評価分析、対応方針の検討、必要に応じて相談者と相手方との調整、話合いの場の設定を基本的な流れとして想定をしております。
このような対応で解決が難しい場合に、次のステップとして、地方公共団体による行政措置、これは条例により独自の権限を定めている場合等を想定しております。また、障害者差別解消法第12条に基づく主務大臣による行政措置、報告徴収、助言、指導、勧告といった流れになることが想定されると整理をしていただいております。
こういった整理を踏まえ、次の相談の実施体制構築モデルのところでございますが、相談の実施体制の構築に当たっては、右図のような関係性で国、都道府県、市区町村の役割分担を基本としつつ、相談者がどの相談機関に相談してもつながるべき機関につながり、適切な対応が図られるような環境整備が必要としております。
具体的には、相談者として障害者と事業者を位置付け、その上で、市区町村につきましては身近な窓口として相談に対応、そして、都道府県は広域的な相談等への対応、市区町村への支援を行う。そして、市区町村が都道府県に対して連携・協力依頼を行う場合には都道府県が支援を行うという図となっております。
さらに、国は、所管している分野に応じた各省庁・地方支分部局の相談窓口を持っておりますところ、広域的な相談等への対応、所管の法令の適切な解釈・運用、法第12条に基づく主務大臣の報告徴収、助言、指導、勧告などを担うとして、市区町村、都道府県からの連携・協力依頼に対して支援を行う、また、相談者からの相談も受け付けるという構図としております。
この中でも、内閣府におきましては、各省庁・地方自治体における相談体制の構築・強化に向けた司令塔として、各府省庁の相談窓口の明確化や人材育成の支援、事例共有等を通じた障害者、事業者の障害者差別解消に関する理解の向上や、行政の対応力の強化等に取り組むことによって、国・地方公共団体全体としてワンストップ相談窓口の機能を担えるようにすることが求められるとされたところでございます。
2ページをおめくりください。この国・地方公共団体全体としてのワンストップ窓口の機能の構築につきまして、詳細について書かせていただいております。
1つ目のポツでございます。障害者差別解消法第12条に基づく主務大臣の権限は、分野ごとに当該事業を所管する各主務大臣、各府省庁が所管している。現状でも各府省庁に分野ごとの相談窓口が設置されている。このため、事案ごとに各相談機関等が適切な省庁の相談窓口に円滑にアクセスすることが重要としております。
しかし、一方、現状では、所掌の分野が複雑に入り組んでいるために、相談窓口が必ずしも明確にはなっていないという現状があると言われております。このため、内閣府において以下の取組を行うことで、どの相談機関にも対応されない事例が発生しないようにすることが重要とされております。
1つ目は、相談対応を行う人材の育成支援や事例の収集・分析・共有の取組などの他の相談機関のバックアップ。
2つ目には、対応指針の記載の工夫による所掌分野と対応した相談窓口の明確化や、内閣府のホームページ等における各府省庁の相談窓口一覧等の作成、掲載。
3つ目、加えて、各相談機関における相談対応プロセスの中で、国の対応を求める必要がある場合において、国の窓口一覧を確認したものの所管が複数の省庁にまたがるなど、どの省庁が担当するか分からないといった場合に、内閣府が必要な助言等の対応を行うことが期待されると整理をしていただきました。
司令塔としての役割を担う内閣府におきましては、障害者差別の解消の推進のために、障害者と事業者双方の困りごとを受け止めつつ、相談体制構築・強化に係る国や地方公共団体の取組に対する十分な支援ができるよう、体制整備を検討することが望まれると整理をしていただいたところです。
さらに、b.国民からの一次相談を受け付ける総合窓口としての国のワンストップ相談窓口の新設についても御議論をいただきました。このワンストップ相談窓口の新設につきましては、様々な御意見が出たことから、本検討会での意見の一致には達しなかったものの、今後、この知見等も踏まえ、相談対応機能の充実のための取組について引き続き検討を進めることが望まれると整理をされております。様々な意見が出たところ、その御意見の例として、4つほど掲載をさせていただいております。
1つ目、いわゆるたらい回し状態を解消するため、国においても障害者差別に関する相談をワンストップで受け付ける窓口を設置することが望ましい。また、連絡調整機関として適切な省庁につなぐこと、省庁の窓口と連携して調整を行う役割を担うことも考えられるとしております。
2つ目、担当省庁が分からない事例については、内閣府が総合窓口として各省に割り振りをしていくのがよいのではないかという御意見。
3つ目、共生社会の実現という点では、地域の相談窓口を育てることが重要。市区町村が一次的な事案の対処に当たり、それでもなお対処が困難な事例があれば、都道府県や各省庁に上がっていくという重層的な相談体制が重要。内閣府では個別事案対応ではなく、窓口の明確化や人材育成支援等を担うべきではないかという御意見。
4つ目、事業者がまず相談に行くのは地域の実情を知る地域の窓口であり、相談事例への対応も地域と結びついた対応を行いたいということで、様々な御意見が得られたということでございますが、この件については引き続きの検討とされているところでございます。
続きまして、(2)地域協議会の充実・活用についてでございます。
まず、その役割として、多様な関係者が集い、事例共有等を通じて認識の共有化を図り、地域における差別解消の機運醸成を図る場として非常に重要という整理をいただいております。都道府県においては、管内の各市町村における地域協議会の設置のための積極的な支援が求められると整理をしております。
その地域協議会を活用した関係者の連携強化といたしまして、次のポツでございますが、これまで地域協議会の主なメンバーであった障害者施策関係部局や障害者団体、福祉関係者に加えて、今後さらなる連携が期待される機関として、合理的配慮の提供を担う側に関わっている地方公共団体の商工関係部局や教育関係部局、それから、国との連携という趣旨で国の地方の出先機関、また合理的配慮等の担い手として地域の事業者団体、こういった方々が構成員として連携が期待されると整理をされております。
3ページ目をお開きください。地域協議会の充実・活用の続きでございますが、設置促進利活用の工夫についても御提言をいただいております。設置促進策といたしましては、まずは単独設置が望ましいものの、それが難しい場合には、必要な構成メンバーを確保しつつ、他の協議会等と一体的に運営するなどの柔軟な開催形式や小規模な市区町村での複数での共同設置などについて提案がされております。また利活用策として、差別の事案がないから開催の議題がないという実態もあるようですが、そうではなくて、様々な議題を工夫することで定期的に協議会を開催し、地域の取組を推進するといったことが提言をされてございます。
続きまして、(3)相談機関へのアクセス向上策でございます。ここでは相談機関があることを周知広報するだけではなく、どのようなことが障害者差別に当たるのか、気づきを促していくこともアクセスの向上策として重要という視点から整理をいただいております。そのため、まずは継続的な広報周知ということで、一時的なものではなくて定期的、継続的な情報発信、また、対象を限定した啓発・意識喚起として、障害者に関するアンケート調査を通じた困りごとの確認であるとか、事業者に対しては合理的配慮の充実がサービス向上や新たなビジネスの芽につながるといった視点での情報提供といったような具体的な啓発・意識喚起策について整理をいただいております。
さらに、相談者の利便性に考慮した相談対応として、相談受付時に障害特性に応じた意思疎通支援を柔軟に行うことが重要という整理をいただいております。
(4)相談対応を担う人材の確保・育成方策についてでございます。相談対応を行う人材には、公正中立な立場から相談対応を行えるよう、法律や解決事例に関する専門的な知識に加え、当事者間を調整する能力、また、どの機関に相談があろうとも適切な対応が図られるような連携・協力依頼を行うべき機関に関する知識・ネットワークを有していることなどの様々な能力が重要になると整理をしていただいております。
このため、国においては、国や地方公共団体で使う研修用のコンテンツ、それから、それを各既存の相談機関に提供して、使ってもらえるよう働きかけることが効果的ということで提言をいただいてございます。
4ページ目をおめくりをいただきます。障害者差別の解消に向けた事例の収集・共有の在り方についても、検討をいただいております。まず、事例の収集・共有については、障害者、事業者双方の障害者差別の解消に関する認識を深めるとともに、国・地方公共団体の相談体制の強化という観点からも非常に重要と位置付けております。
今後、内閣府において構築するデータベースに収集事例を蓄積すること、また地方公共団体や障害者、事業者等に対して、参考となる事例を事案や解決のポイント等が分かりやすい形で定期的にフィードバック、周知啓発を行うことが重要とされております。特に、内閣府において事例の内容・パターン別にどのように解決を図っていくことが適当であったかといった事例のケーススタディーを行って、分かりやすく整理した上で各相談機関に共有することが望ましいという御提言をいただいたところでございます。
最後に、検討会から関係者へのメッセージといたしまして、1つ目、相談体制の構築・強化に取り組み、いかに差別事案の掘り起こし、課題解決を図っていくか、地域の関係者が一体となって検討を進めていくことが差別解消の推進、ひいては住みやすい地域づくりに資するものと考える。
2つ目、多様性を尊重するという価値観を地域の関係者みんなで共有することが、ひいては障害者のみならず、社会全体の多様性を認め、共に生きる共生社会の実現に向けた原動力となるものと考える。こういったことを踏まえ、国や地方公共団体をはじめとする関係者においても、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいとまとめていただいております。
以上が、令和3年度調査研究につきましての御説明でございます。
○石川委員長 説明ありがとうございました。
それでは、本調査研究における検討会の座長を務めていただいた野澤委員から、本調査研究にコメント等がございましたらお願いしたいと思います。
○野澤委員 ありがとうございます。
この検討会の取りまとめの座長をやらせていただきました野澤です。
本当に構成員の皆様の熱心かつ丁寧な議論で充実した報告書ができたと思っております。もともとこの法律といいますか制度は、新たな差別解消のための機関は設置していないということで、もどかしさを抱えながらのスタートだったことを今でも思い出します。
この検討会でも、各自治体の実態調査だとか、関係機関、自治体へのヒアリングを入念にしたのですけれども、自治体によって非常に差が大きいということがはっきりして、よくやられているところは本当によくやられているのですけれども、有名無実化しているところも結構多くて、たらい回しにされていたりという声もたくさんあるということは事実だと思います。
そこで、この改正法の附帯決議でワンストップの相談窓口が必要だということだったのですが、ワンストップの相談窓口という言葉は、それぞれの立場によってイメージされているものがかなり違って、ここをめぐって議論が錯綜し、いろいろと集中したところなのです。
ただ、今回、構成員の皆さんも議論を重ねる中で、やはり国が相談とか解決窓口をつくって、そこが全部解決していくというのはどうもイメージしにくい。それぞれ事情が違いますので、やはり身近なところで丁寧に解決機能を底上げしていくというのが原則ではないのかという意見が多かったと思います。
それだけではなくて、都道府県や国にもバックアップしていく機能というのは必要だということは、各委員からも再三強調されていたところだと思います。特に、司令塔としての内閣府の役割で、各省庁の連絡調整だとかコーディネートだとか、あるいは研修によって人材育成というのは極めて重要で、ほかにも類似の、例えば消費者庁の消費相談ですとか、法務省の人権相談などを見てみると、非常に存在感があって国民にも周知されていて、制度として安定し信頼されていると思います。できるだけ障害者差別解消についても、そうした類似の制度に近づけていけるような方向で取り組んでいきたいと思います。
それは、事例の集積だとか分析だとか、あるいはアウトプットで、こんなふうに国全体で取り組んでいるのだという具体的なデータと事例を出していくことによって、いろいろな関係者の関心が高まり、いろいろな知見が積み上げられていくのだろうと思います。
ぜひ、今後はその方向で進めていけたらと思っております。内閣府の一番重要な司令塔としての体制をどうするのかということについては、検討会の中では当事者性の強い機能を備えるべきだという意見も具体的に出ました。私もそのとおりだと思ったのです。
ただ、検討会で具体的に人事にまで言及するというのは、やはりちょっと分を超えたものだということもあり、具体的には示すことはできませんでしたけれども、ぜひこの政策委員会の場で、できるだけ具体的かつ実効性の高い相談体制について皆様の議論をいただきたいと思っております。
地元の市町村と都道府県と国と、あるいは障害者側と民間の事業者側の重層的で複合的な相談体制、あるいは障害者差別をなくしていくための取組を進めることが、これからの社会全体にとっても、問題解決機能を高めていく、人々の安心をもたらしていく、そういうものにつながっていくだろうと思います。
そんなことを検討会の議論を重ねる中で、かなり皆さんに本音で議論を進めていただきましたし、もうこれでまとまるかというところを振り返って、もう一度ゼロベースで議論し直した場面もありました。そんなふうに皆様の熱意と工夫の下に出来上がった報告書だと思います。さらにこれをたたき台にして、ブラッシュアップしていただければと思います。
この政策委員会の中にも検討会に参加していただいた構成員の皆様が何人かいらっしゃいますので、改めてこの場でお礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
○石川委員長 野澤委員、ありがとうございました。
検討会の様子がよく感じられるような御報告をいただきました。ありがとうございました。
それでは、今の報告につきまして、委員の中で質問のある方は挙手ボタンを押してください。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 日視連の竹下です。
この報告書を読ませていただきました。今後、8条2項の施行に当たって重要な流れをつくっていただいたことは非常に感謝します。
それを読みながら2つ思ったことだけ申し上げたい、あるいは質問したいのは、この中で自治体の商工部局を第一次窓口として考えたことは、私は非常に大事だと思っております。
ただ、その後の流れのところで、あれっと思ってしまったのは、第一次窓口として受けたものを関係部局に振り分けてしまう流れになっているのかなと受け止めました。それはそれとして間違っていないのでしょうけれども、私は、例えば、事業団体などへの監督官庁的な役割であったり、許認可権限を持っているところであったり、あるいは、一定の対応指針の関係で対応する、それは場合によっては差別解消法の12条の地方版といいますか、施行令3条との絡みもあると思うのですけれども、そういう部署が率先して窓口となって、その業界における合理的配慮に関する建設的対話の一翼を担ったりとか、あるいは事例を収集して、その業界の発展に寄与していくという役割というのは大きいのかなと思ったのですが、そういう位置付けまでは考えておられなかったのでしょうかというのが、私の読み方のまずさかもしれませんが、教えていただきたいのが1点です。
2番目には、行政の役割というのが非常に出てくるのは、そのとおりだと思っているのですけれども、各事業者自身の窓口で受ける相談と行政が受ける相談との関係といいますか、そういう解決における流れというものはどう整理したらいいのか。すなわち、事業者そのものが合理的配慮であったり、差別事例に対する改善対応の場面で、解決を図るときの流れというものと、行政に持ち込まれた場合の流れというのは少し違うのかなと思ったので、それはどう考えた形での議論があったかについて教えていただければありがたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、1つずつお答えいただいたほうがいいかもしれないと思いますので、事務局の方でよろしいでしょうか。
○立石参事官 事務局でございます。御質問、御意見ありがとうございます。
まず1つ目でございますけれども、例えば自治体の商工部局を第一次窓口にしたことは大事であるが、それをそのまま振り分けて関与しない形になってしまうのかという趣旨の御質問であったかと思います。
その件に関しましては、1ページの相談窓口の対応の流れのところで書かせていただいておりますが、まさに2つ目のポツのところで、関係者での情報共有、対応方針の検討というところですとか、4つ目のところでも同じくそういったことを書かせていただいているところですけれども、その際に、個人情報の保護などにきちんと留意をしながら、まさに商工関係の部局などにも関係者、関係機関として加わっていただいて、よい検討をしていただくことが非常にいいのではないかということで、検討会では御議論いただいていたものと理解をしております。
2つ目のところでございます。行政の相談窓口に来た場合の相談対応の流れと、事業者自身で設けている窓口に来た場合の相談対応の流れについてどう違うのかと、その点についてどういう議論があったのかという御質問の趣旨かと思っております。この違いについては、検討会では特段の議論がなかったと思っております。今回、行政の相談対応についての流れということですので、もし事業者にそういった相談が来て、事業者の相談窓口だけで解決することが難しいなとなった場合は、行政に持ち込まれるといったことも当然あるのかなとは考えてございます。
取りあえず以上でございます。
○石川委員長 竹下委員、よろしいでしょうか。
○竹下委員 竹下です。短く終わりにします。ありがとうございます。
私が気になったのは、例えば、スーパーに行って合理的配慮の提供をお願いしたけれども、うまく理解してもらえなかったという場合に、そのことについての話合いを持つ場面で、事業者がその相談、建設的対話をスムーズに進めながら解決に導くための流れといいますか、そういうマニュアルづくりも僕は各事業者にとっては極めて有用なものになっていくと思いますので、ぜひそのこともどこかで意識していただくことをお願いして私の発言を終わります。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
そのことに関わるような内容も対応指針に盛り込むなどが必要という御意見と理解してよろしいでしょうか。
○竹下委員 ありがとうございました。
○石川委員長 中野委員、お願いします。
○中野専門委員 中野でございます。2つございます。
まず第1番目は、幼児、児童等、自分で意思表明をすることが困難なケースについての議論はあったのかどうか。それから、もしあったとするならば、どのような議論やどのような対応を検討されたのかということを教えていただきたいというのが1つです。
2番目は、教育場面における問題についてなのですが、教育場面においては、合理的配慮の不提供等に関する事例は現在でも個別には上がってきているにもかかわらず、公式な相談記録にはあまり上がってきていないという報告がこれまでもございました。これはパワーバランスを考えると至極当然かなと思うわけです。というのは、子供たちにとっては、その相談をすることはなかなか勇気の要ることになりますし、調整が行われる際に公平な形で調整をするというのは、教育場面ではパワーバランス上なかなか難しいのかなと思っています。
そう考えると、差別事例、例えば、入試や試験におけるアクセシビリティーの不提供等がないかどうかというのは、本人たちだけではなかなか相談が難しいので、当事者団体等が抜き打ちでチェックする機能等が必要なのではないかと考えるわけですが、当事者を中心とするような第三者機関が差別事例をチェックする仕組みについて、今回は議論されなかったのかどうかということをお教えください。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
では、事務局、お願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
まず、幼児や児童などの自分で御意見を言うことが難しい方についての対応の在り方についての議論はあったのかということですが、こちらについては特段の議論はなかったところでございます。
2点目でございますけれども、第三者機関がチェックをする仕組みについての議論はあったのかということでございますが、今回、そちらについても御議論はなくて、あくまで国と地方公共団体で相談対応していくことについてがテーマだったものですから、そういったことになっているということでございます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
中野委員、それについて何かございますか。
○中野専門委員 これはこれまで議論されなかったということですが、とても重要な問題かと思いますので、今後何らかの形で議論をしていただき、対応策を考えていただけるとありがたいと思います。
以上です。
○石川委員長 基本方針の中で何か言えそうなことがあるかどうかについては何か御意見ございますか。
○中野専門委員 今の時点では特にありません。
○石川委員長 また御意見があったら教えていただけたらと思います。
次に、安部井委員、お願いします。
○安部井委員 全国重症心身障害児(者)を守る会の安部井でございます。御指名ありがとうございます。
今の中野先生のお話にもつながるかと思いますが、今まで合理的配慮の好事例集が2回公表されたはずです。それで、178ページの事例の収集・共有の在り方になるのかと思うのですが、176ページのa.障害者の1つ目のポツを読んで気づいたことです。重症心身障害児者の場合、困りごとや気づきはたくさん持っていますが、それが合理的配慮につながっていないとなかなか考えにくい障害種別で、その環境を介護者自ら何とか工夫して外出しよう、生活していこうと思う方たちが数多くいます。
その中でも、文化、芸術、スポーツ観戦など、座席を必要とする場合には、座席を確保しようとすると、従前の会議でも申し上げましたけれども、障害者本人につき1人介護者というような縛りがどうしても書かれてしまいます。そうすると、三人以上の家族で参加したい、グループで参加したいとなると、障害者と他の付添い者が別の場所に座席を確保せざるを得ないこともままありますので、障害のない人達が参加しているような環境、要するに家族や仲間とともに一緒に参加できるような環境を望みたいと思います。
それぞれ各人が気づいたこと、困りごと感を伝える場所、窓口と書いてありますが、ここの事例集にも書いてありましたように、各省庁にまたがるような場合には、1つの窓口に言ってもなかなか解決がなされない。内閣府でこれからまた事例集などを作成する場合には、ここにあるように困ったこと、嫌な思いをしたこと、気になったことなども収集していただけるとありがたいと思います。それがひいては、事業者の方の気づきに結びつくのではないかと考えました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
事務局、いかがでしょうか。
○立石参事官 御意見をいただき、ありがとうございます。
まさに気づきという点での重要性ということを御意見いただいたと思っております。今後の御議論にも、今回いただいた御意見を生かせていただければと思っております。ありがとうございます。
○石川委員長 それでは、三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 御指名ありがとうございます。
大変貴重な調査研究として膨大な資料をありがとうございました。これから先に重要なものとして、心から感謝するばかりです。
報告書の182ページに、日視連の田中構成員からの御意見が4項目挙がっています。その3番目の相談対応マニュアルの策定事業のところで御質問させてください。国のワンストップ窓口に関して、検討事項になったことはもう前提として分かっているのですけれども、ここに書かれている相談を受け付ける窓口の担当者向けのマニュアルの策定というのは大変重要なことだと思います。それは、概要版の1枚目のフロー図の内閣府のお仕事の中に、人材育成のための研修資料・マニュアルの策定のそのマニュアルに含まれているのかというところで、これは研修のマニュアルなのか、具体的に窓口担当者向けの実践のマニュアルなのか。実践のマニュアルをつくってほしいという希望を込めて、今、想定されているところを教えてください。
なお、もう一つの御意見の中にあるマニュアル、事業者がアクセスしやすい方法により、事業者が障害者からの申し出を受けた場合に参照できる対応マニュアルも大変重要なことと思いましたけれども、この辺りはどこで検討されていくかということを教えていただければと思います。
以上です。
○石川委員長 それでは、事務局で、質問がございましたのでお願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
田中構成員の御意見に対して私どもから申し上げるのも僣越で大変恐縮でございますが、相談対応マニュアルにつきましては、まさに私どもで対応させていただきたいと思っているような人材育成のための研修資料といったことも想定をしていただいているのではないかと考えてございます。
また、事業者がアクセスしやすいような対応マニュアルの作成についても、大変貴重な御意見だと思っております。今後、改正法を周知していく上で、事業者が適切に対応できるようにすることが重要だということは感じているところでございますので、こういったような御意見も踏まえて、事業者がいかに適切に対応していただけるかということをしっかり検討してまいりたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
では、北川委員、お願いします。
○北川委員 ありがとうございます。このような調査研究をすごく膨大なものでまとめていただいてありがとうございました。
私からは、先ほどの中野委員とか安部井委員に近いことなのですけれども、やはり幼児とか児童とかの子供たちが、実際に自分がどういう差別を受けているかということは、なかなか声を上げられない、分からない、理解できないということもあると思いますので、176ページに、障害者ワークショップとか差別事案の掘り起こしということが書いてありますけれども、声を上げにくい、分からないという子供だけではなく、若いお父さんやお母さんも分からないことがあって我慢していることもあると思うので、そういうことに対する啓発以前に、こういうことは我慢しなくていいのだよ、声を上げていいのだよ、相談していいのだよという教育的な働きかけなどは、どのように話合いがされたのかということを教えてください。
○石川委員長 ありがとうございます。
事務局、お願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
今回の検討会では、特に幼児、児童といった視点での検討がなされたわけではございません。
ただ、今回、気づきを得ることがそもそも非常に重要なことなのではないかということで、構成員の方から、自治体においてワークショップとかアンケートを通じてそういったことを把握したというのが実はすごく役に立ったという貴重な御提言をいただきまして、ここに盛り込んでいるというものでございます。
以上でございます。
○北川委員 子供たちの虐待なども子供は分からないので、事前にこういうのは助けを求めていいのだよということを教えたりしますので、できれば差別に関しても、教育的な働きかけを小さいときからしていくことも今後考えていただけたらと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
最後に、私の方から2点質問させていただきます。
先ほど野澤座長から、差別解消法への取組は非常に熱心に対応している自治体もあれば、認識がまだ熟していない自治体もあって、その格差が大きいという御指摘があったのですけれども、領域間のばらつきについての議論というか、問題意識の共有についてはいかがでしょうか。
例えば、国立とか公立の医療機関における合理的配慮の提供等については、この間、ほとんど進まなかったのではないかという問題意識を私は持っているのですけれども、あったかどうかについて、事務局あるいは座長から教えていただきたいと思います。
もう1点は、所管が錯綜している場合の割り振りについては、施行までに内閣府を中心にはっきりさせていくということが報告書の中ではまとめられていると理解してよろしいのでしょうかということと併せて、担当省庁がはっきりしていない場合について、内閣府が中心となって調整して、どこが担当かということを決めていくことについては、論点として挙がったけれども、全体のまとめに入らなかったということなのですけれども、事業というのはどんどん新しいものが出ていく中で、主務大臣が追いついていかないという、構造的なそういうものだと思うので、錯綜している場合とはっきりしない場合、どちらも同じような対応をしていく必要があるというのは、法律の趣旨からして多分そうだと思うのですが、後者も錯綜している場合と意味合いが違ってきますけれども、内閣府を中心に何らかの対応をやっていく必要があると思うので、それは報告書の中ではまとめ切れなかったのかどうか、事務局にお聞きしたいと思います。
○立石参事官 事務局でございます。
2点御質問いただいたうちの1点目の医療機関での取組の状況についての御質問でございます。今回、こちらの検討会につきましては、業界分野ごとの進捗といったことは検討のテーマとはしておりませんでしたので、大変恐縮ですが、そういったことについての把握は今回はしてございません。
それから、所管の割り振りでございます。こちらはまさに検討会におきましても、どこに最初につながっても取りこぼしがないことが非常に重要だということで、そこは熱心に御議論をいただいたところでございます。その中で、検討会の報告書として御提言をいただいた部分といたしましては、各相談機関における相談対応プロセスの中で、国の対応を求める必要がある場合において、国の窓口一覧を確認したものの、所管が複数の省庁にまたがるなど、どの省庁が担当するか分からないような場合は、内閣府が必要な助言等の対応を行うということで整理をしていただいております。
ただ、いろいろな業界がどんどん出てきて、主務大臣が追いつかない場合もあるのではないかという御指摘をいただきましたけれども、そこについては明確に御議論はされておりませんが、まずは国の所管を最初にぎちぎちやるのか、それとも、まずは市町村や都道府県のところで円満に解決しなかったような場合に、国に上がってきた場合にどうするかということが問題になるとは思ってございますが、この検討会については、取りこぼしがないようにということが大前提での取りまとめでございましたので、そういったことを基に基本方針での御議論をしていただくことになるのかなと思ってございます。
以上でございます。
○石川委員長 よく分かりました。ありがとうございます。
それでは、米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
先ほど中野委員からも御発言がありましたけれども、子供の差別解消法の不利益だとかそういったところの意見を聞けるというのは、とても大事だと思っています。北川委員からもありましたけれども、やはり子供自身が意見していいかというところはまだまだ弱いなと思っていますし、障害のある子供について言えば、それをさらにというところでもあります。
ちょうど先週、6月8日に児童福祉法の改正があって、一時保護されたりした子供の意見を聞くというのが盛り込まれました。それで、都道府県はその子供の意見を聞く場を設けることまでも明記されていますので、それと少し絡めるというわけではないですけれども、やはり差別解消の中で、子供の意見を聞けるということをどこかに入れていただいて、それをつくっていただけるとよろしいかと思います。
以上です。
○石川委員長 重要な御指摘だと思うので、基本方針の検討の中でもぜひ考えていきたいと思います。
最後に、野澤委員、お願いします。
○野澤委員 野澤です。ありがとうございます。
皆さんの意見を聞いていて、まだまだ議論していないというか、考えなくてはいけないことはたくさんあるのだなということを改めて教えていただいたと思います。
何人か委員の方から、幼児、児童がなかなか自分で物を言えない、言わない人のことをどうするのかという意見がありましたけれども、これは子供や幼児だけではなくて、重度の障害がある方で、言葉のない方とか判断能力に著しいハンデがある方もやはり同じだと思うのです。
もともとこの指針には、そういう場合には家族等が代弁できるというくだりがあったと思います。気づいた方が代弁していくことは大事だと思います。ただ、家族とも利害が相反する場合がありますので、できれば、御本人が自らの意思で発することができるようにするというのが基本だと思います。この点に関しては、重度の障害の方の場合には、意思決定支援というのがいろいろな各方面で取り組まれておりますので、そういうことと相まって進めていくべきだと思います。
そして、検討会でも議論したのは、相談に行ってもなかなか動いてくれない、聞いてくれない、だから相談しない、諦めてしまうというケースがかなりあるのではないか。逆にちゃんと聞いてくれたり、ちゃんと動いてくれたりするともっともっと相談できるようになる。やはり相乗効果だと思うのです。もちろん御本人に対するエンパワーメントも大事で、実際にそれをやっている自治体もあるわけです。県側ではエンパワーメントの方に努めていて声を上げられるようにする。市町村がそれを受けるみたいな役割分担をしているところもありますので、国で何かを考えて下ろしていくというよりも、まだまだいろいろな自治体のいい取組の中から、どうすればよくなっていくのかというのを学んでいく段階かもしれないなということを思っております。
もう一つは事業者の取組とか、第三者による抜き打ちのチェックだとか、医療機関も本当に大事だと思うのですけれども、そこまで議論を進める余裕がなかったというところが正直なところかなと思います。その前段階で、皆様に知っていただきたいのは、自治体によって本当にやる気のないところがやっぱりあるのです。ここをどうするかというのは、我々の一番の課題、命題でありまして、私、担当者の研修などをやってきたことがあるのですけれども、毎年どんどん異動で変わってしまって、どれだけ研修をやっても、ざるで水をすくっている気持ちになって、マニュアルや研修をやっても、自治体の人事にまで踏み込んで体制をつくっていくことは難しいと思うので、どうすればいいのか分からないのですが、そこまで踏み込まないと実効性のあるものはつくれないのではないかなあということも思ったりしております。
まだまだいろいろな角度からやってかなくてはいけないものがいっぱいあるのですけれども、もう柱も何もないところで基礎工事をしているというのが実情かなというところをまず御理解いただいて、でも、進んでいるところはありますので、そういうところをぜひ集積して、アウトプットして、皆さんに知っていただく。それを真似するなり応用するなりして、広めていくという循環がつくれるといいなと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
座長を中心にとてもよい報告書をまとめていただきましたこと、改めて感謝申し上げたいと思います。
それでは、基本方針の改定案についての検討に入りたいと思います。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
基本方針の改定についてでございます。関係の資料は、資料3、資料4、資料5になってございます。
最初に、資料5につきましては、基本方針の改定に係るこれまでの議論等の今回の第3から第6部分について、これまでの御議論をまとめておりますので、こちらを御説明させていただければと思います。大変恐縮ですが、事前に資料をお送りさせていただいておりますので、本日はかいつまんだ御説明とさせていただきます。
それでは、資料5の1ページ目でございます。最初に、対応要領の関係でのこれまでの御議論でございます。
まず3年後見直しに関する意見の中では、差別の定義・概念の明確化に係るものとして、障害のある女性や子供等への差別に関しては、「基本方針等」の「等」の中に対応要領や対応指針も含まれていると理解をしてございます。その基本方針等において、性や年齢別に具体的な相談事例を蓄積することなどにより、さらに実態把握に努めるとともに、相談事例を踏まえて適切な措置を講じるべき旨を記載することについて検討すべきとされております。
また、真ん中より下辺り、国会の附帯決議の第5項でございます。この中で、障害のある女性や性的少数者等への複合的な差別の解消について、基本方針、対応要領及び対応指針に明記することを検討することとされているところでございます。
2ページでございます。関係団体ヒアリングにおける主な御意見の部分でございます。1つ目のポツでございますが、障害女性が被っている差別の事例、性別や年齢に配慮する事例について、基本方針の改定と併せて、対応要領や対応指針等に加筆することが必要であるという御意見をいただいてございます。
続いて3ページ、2の対応指針のところでございます。この対応指針に関しまして、最初の3年後見直しに関する意見と附帯決議の部分につきましては、今申し上げた対応要領と同じでございます。
4ページのところで、団体ヒアリングにおける主な御意見を載せさせていただいております。1つ目のポツにつきましては、先ほどの対応要領と同じでございますが、障害女性が被っている差別の事例などについての対応要領や対応指針等への加筆。2つ目のポツでございますが、対応指針では合理的配慮の事例は充実しているが、差別的取扱いに該当するケースの事例が非常に少ない。事業者の判断基準とするために、差別的取扱いに該当するケースの事例の充実が必要という御意見がございました。
4ページの下の方からは、先ほど御説明しました検討会の報告書でございますので、飛ばさせていただきます。
続きまして、6ページをお開きください。相談及び紛争の防止等のための体制の整備に関するこれまでの御意見の整理でございます。
最初に、3年後見直しに関する意見のところでございます。①の地域における相談・紛争解決体制の見直しのところでございますが、2つ目の○、限られた資源を効果的に活用する必要があることも踏まえ、地域の実情に応じて既存の機関等の活用を図り、建設的対話による事案の解決につなげていくよう、以下の方策を実施すべきとしまして、(ア)のところで、国・地方公共団体の役割の分担の明確化についての御意見、また(イ)の相談体制の明確化等につきまして、1つ目の○、国や地方公共団体は、相談窓口や事案の取扱いの流れを分かりやすく示すなど、適切な相談機関へのアクセス向上のための情報提供等の取組を積極的に行うべきであるというもの。また、その3つ下の○、相談のたらい回しを防止する等の観点から、国における新たなワンストップ相談窓口の設置や、既存の相談窓口の効果的な活用、国・地方公共団体の役割分担の整理などを含め、どのような対応が可能かについて検討すべきであるとされております。また(エ)の相談対応を担う人材の育成及び業務の質の向上としまして、研修やマニュアルの作成等を行うことにより、人材の育成や業務の質の向上を図るべきとされております。
7ページでございます。(オ)国・地方公共団体の関係機関の効果的な連携でございます。2つ目の○で、相談対応による解決が困難となった場合に、地方公共団体と差別解消法に基づく権限を有する主務大臣との一層の連携を図るため、各機関の役割を踏まえた事案対応の流れや、日頃からの関係構築のための方策について整理することを検討すべきとされております。
次に附帯決議でございます。附帯決議の第9項でございます。障害を理由とする差別に関する相談及び紛争の防止または解決に必要な体制を整備するに当たっては、以下の諸点に留意することとして、1、障害を理由とする差別に関する相談について、ワンストップの相談窓口を設けるとともに、国と地方公共団体との連携を強化すること。2、障害者が安心して相談することができるよう、相談窓口における相談対応者に障害者を加えること。3、既存の機関によるこれまでの対応について調査、分析し、その結果を公表することといったことが記載されております。
また、7ページの下でございます。団体ヒアリングにおける御意見でございます。相談体制の整備・連携強化についてというところで、1つ目のポツでも、ワンストップ窓口を設置するとともに、国・地方公共団体の連携を強化すべきというものがございます。
8ページでございます。ポツの4つ目でございます。相談体制の構築に当たっては、国においては、各省庁に設置されている相談窓口において、所管法令等について技術的助言や情報提供を行い、それを受け、地方自治体が個別具体的な事案に対する相談支援を行うことにより、効率的、効果的な相談支援を実施することができると考えるという御意見。また、その2つ下のところですが、各地公体の相談窓口の充実化が図られることにより、相談者の利便性の向上等が期待される一方、地域間で相談対応のレベルに差が生じ、結果として求められる合理的配慮のレベル感に差が生じることが懸念される。相談体制の拡充等の検討に当たっては、そうした事態のないように配慮すべきという御意見がございました。
8ページの下の方の相談窓口の明確化につきましては、4つ目のポツ、相談窓口の連絡先等の一覧表の作成など、差別に関する相談場所がどこに設置されているか、広報していく必要があるという御意見がございました。
9ページの相談窓口での利便性向上・求めるサービスというところで、1つ目のポツ、相談窓口においても、相談者のコミュニケーションのニーズを満たす方法で相談が受けられることが望ましいという御意見。また、4つ下のポツ、事業者への相談対応に当たっては、類似事例や企業の実態を把握した上で、正当な理由や過重な負担に関する的確な助言や代替措置の選択等の解決策に関して、双方にとって現実性のある的確な提案ができることが望ましいという御意見がございました。
9ページの下の方、相談対応を行う人材の育成・確保でございます。10ページの3つ目のポツ、相談員の研修内容等が地域により異なるため、国の予算措置を含め、全国で統一的なテキストや研修等を実施し、一定のスキルを確保することが必要という御意見がございました。
10ページの中頃、紛争解決・仲裁の機能についての御意見もあり、1つ目のポツ、第三者機関としての救済機関設置の検討という御意見がございました。
10ページの下の方でございますが、こちらは先ほど御説明した検討会の報告書でございますので、こちらも割愛をさせていただきます。
しばらく飛びまして、17ページを御覧いただければと思います。
4の啓発活動についてでございます。まず、附帯決議でございます。2項、本法並びに本法に基づく基本方針、対応要領及び対応指針の改定については、国の各行政機関、地方公共団体及び民間事業者に周知徹底することとされてございます。
また18ページを御覧いただきますと、団体ヒアリングにおける御意見についてでございます。2つ目のポツ、障害者差別解消法の認知度が低く、障害者自身の解釈にも個人差がある。法の理念と内容を再確認する上でも啓発活動が必要。また、その2つ下のポツ、内閣府は啓発物の作成・配布等に力を入れてほしい。当事者団体の啓発活動との連携が課題という御意見。
19ページをおめくりください。1つ目のポツ、合理的配慮の提供について啓発する上では、共生社会の実現に向けて、対話と相互理解が必要である旨を前面に出すことが重要であるという御意見。下から6個目のポツで、セミナーや講演、無料の講師派遣、研修動画の配信、研修資料等の提供等の支援策を強化・拡充してほしいという御意見がございました。
20ページを御覧いただきます。情報の収集、整理及び提供でございます。まず附帯決議でございます。5項、障害のある女性や性的少数者への複合的な差別の解消について、地方公共団体と連携して、複合的な差別に関する情報の収集、分析を行うこととされております。また、12項、障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報収集、整理に当たっては、国及び地方公共団体が協力・連携し、データベースの構築等により、情報を共有することとされております。
20ページの中頃、団体ヒアリングにおける御意見の1つ目のポツ、相談窓口の経験や対応力には地域間格差があるため、これを是正すべく対応事例等の共有を強めるべきであるという御意見。
21ページの上から6個目のポツ、対応の詳細、対応のポイントの解説等が記載されたケーススタディーの形で提供してほしいという御意見がございました。この後は、先ほどの検討会報告書がありますので、割愛をさせていただきます。
次に、23ページでございます。6の障害者差別解消支援地域協議会についてでございます。協議会についてのこれまでの御議論として、3年後見直しでございます。①都道府県による市町村の各地域協議会設置等の支援というところで、都道府県が市町村に対して、他の市町村の取組に関する情報提供を行うことや、必要に応じて圏域単位での地域協議会の共同設置・運営を支援することを促すべきという御意見がございました。
また、②複数の地域協議会の間での情報共有等の促進ということで、2つ目の○、国においても、それぞれの地域協議会において、関係機関が対応した事例の共有等が図られるよう各地域の取組をさらに促すとともに、地域における好事例が他の地域において共有されるための支援をすべきといった御意見がございました。
また、附帯決議でございます。第15項、未設置市町村も少なくないことを踏まえ、地方公共団体に対して十分な支援を行うこととされております。
また、23ページの下の方の団体ヒアリングにおける御意見、まず構成員の多様性についてのところで、1つ目のポツ、その地域に関わる主要な障害者団体が構成員として関わることが望ましいという御意見。また、一番下のポツ、地域協議会のメンバーに事業を営んでいる者を入れることが肝要という御意見がございました。
24ページをおめくりください。真ん中の地域協議会の設置促進等の3つ目のポツでございます。小さな自治体が単独で協議会を設置するには、専門的知識・人材の不足、人事異動等による支援の継続性等に課題があるため、生活圏が同じ自治体と相談専門機関での合同設置が有益と考えるという御意見がございました。
24ページの下の方につきましては、先ほどの検討会の報告書でございますので割愛をさせていただきます。
以上、大変かいつまんで駆け足での御説明ですが、資料5の御説明でございます。
続きまして、資料3、4を御覧いただければと思います。資料3と資料4につきましては、基本方針の改定案の第3から第6部分でございます。資料の4につきましては、新旧の対照表になってございます。これまでの御議論、それから先ほどの検討会の報告も踏まえまして、今回の基本方針の改定案を作成させていただいております。
まず、第3の行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項でございます。こちらは、行政機関の差別の禁止や合理的配慮の提供義務を適切に行うため、対応要領の策定等について記載をしている項目でございます。
行政機関につきましては、法制定時から義務化がなされておりますので、今般、大きな改正はございませんが、資料3の1ページ、資料4の2ページでございますけれども、(2)対応要領の記載事項の部分につきまして赤字で追記をしてございます。これまでの議論として、対応要領や対応指針の具体例を充実すべきという御議論や、性別や年齢に配慮する事例を加筆すべきといった御議論があったことを踏まえ、追記をしているものでございます。「なお、具体例を記載する際には、障害特性や年齢、性別、具体的な場面等を考慮したものとなるよう留意することとする」ということで追記をしてございます。
続いて、資料3の2ページ、資料4の3ページ、第4の事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項についてでございます。1の基本的な考え方の部分でございます。この冒頭のところから、義務化を踏まえて記載を修正してございます。「事業者については、令和3年の法改正により、合理的配慮の提供が法的義務へと改められた。これを契機として、事業者においては、各主務大臣が作成する所掌分野における対応指針に基づき、合理的配慮の必要性につき一層認識を深めることが求められる」としております。
また、事業者の取組として重要な事項をその後に列記してございますけれども、その後の部分として「個別事案への対応を契機とした障害者差別の解消の推進に資する内部規則やマニュアルなど制度等の整備」ということを記載させていただいております。こちらは、個別事案が生じた場合に対応して終わりとするのではなくて、事業者内部のルールなどを見直していただくことが差別解消の推進に資するという趣旨で記載をしているものでございます。
一方、1の部分でございますけれども、基本的な考え方のところ、特に資料の4の3ページの方を御覧いただくと分かりやすいかと思いますが、この後ろの部分で削除となっている部分がございます。現行の基本方針におきましては、合理的配慮について行政機関が義務、事業者が努力義務と分かれていたことから、同種の事業が行政機関と事業者の双方で行われた場合とか、公設民営の施設の場合などの留意事項を現行の指針では記載をしてございました。今回、事業者につきましても合理的配慮が義務化されたことを踏まえまして、この辺りの記述を削除しているという趣旨でございます。
続きまして、資料3の2ページの2の対応指針、資料4につきましては4ページになります。(1)対応指針の位置付け及び作成・変更手続でございます。ここでは、主務大臣が、事業者の適切な対応判断に資するため、対応指針を作成するとされている部分でございます。その作成や変更手続を述べている部分の一番下のところに、「また」というところで追記をさせていただいております。「また、対応指針は事業者に加え、障害者が相談を行う際や、国や地方公共団体における相談機関等が相談対応を行う際等にも、相談事案に係る所管省庁の確認のため参照され得るものであることから、対応指針においては、各主務大臣が所管する事業分野及び当該分野に対応する相談窓口を分かりやすく示すことが求められる」と追記をしてございます。検討会の報告でもございました相談窓口の明確化に係る部分について、ここに記載をさせていただいているという趣旨でございます。
続いて、(2)対応指針の記載事項でございます。1行目の具体例の記載についての記述の追記につきましては、対応要領と同様の趣旨となってございます。
3ページにまいります。対応指針の記載事項について、○を6つ設けて記載事項を整理しております。その中の赤字の追記の部分でございますが、事業者における研修・啓発の後ろのところに「障害者差別の解消の推進に資する制度等の整備」と入れております。これは先ほどの1の基本的な考え方のところで、内部の規則やマニュアルなどの整備を記載しましたことに合わせて記載をしているものでございます。
また、その下の、国の行政機関における所管する事業分野ごとの相談窓口という部分につきまして、「所管する事業分野ごとの」ということを追記してございます。こちらについても、先ほどの検討会におきまして、相談窓口を分かりやすくすることを踏まえた記載になってございます。
続きまして、主務大臣による行政措置でございます。こちらは資料3の3ページ、資料4の5ページでございます。ここでは、主務大臣の法第12条に基づく助言、指導、勧告などの措置について記載をしている部分でございます。資料3の3の真ん中辺りのところに「また」ということで、赤く追記を入れさせていただいております。この部分につきましては、新たに今般の法改正によるものではございませんが、もともと法律の施行令において定められた事項について、基本方針にまとめて記載して分かりやすくしたいという趣旨で追記をさせていただいております。
読み上げますと、「施行令第3条により、各事業法等における監督権限に属する事務を地方公共団体の長等が行うこととされているときは、法第12条に規定する主務大臣の権限に属する事務についても、当該地方公共団体の長等が行うこととされている。この場合であっても、障害を理由とする差別の解消に対処するため特に必要があると認めるときは、主務大臣が自らその事務を行うことは妨げられていない」ということで記載をさせていただいております。
また、こうした行政措置に至る事案を未然に防止するためという趣旨で、主務大臣は、事業者への相談対応を積極的に丁寧に行うと基本方針に記載をしております。その後に「特に」ということで追記をしてございますが、「事業者による合理的配慮の提供の義務化に伴い、事業者から様々な相談が寄せられることが見込まれることから、円滑な相談対応等が可能となるよう、各主務大臣は、相談事案に関係する他の主務大臣や地方公共団体等の関係機関との連携を十分に図ることなどが求められる」としております。こちらも検討会報告書におきまして、国と地方公共団体との連携・協力ということが提言されたことを踏まえて追記をしているという部分でございます。
続きまして、第5の国及び地方公共団体による障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関する基本的な事項というところでございます。資料の3では3ページ、資料の4では6ページからになります。
今回、第5については、新しい大項目として立っております。これまで、その他の障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項とされていたものを、支援措置の実施に関する基本的な事項ということで記載をさせていただいて、相談体制、啓発活動、情報提供、地域協議会、こういった項目につきましては、新たな支援措置の実施に関する基本的な事項という形で整理をさせていただいているものでございます。
まず、1の相談及び紛争の防止等のための体制の整備のところでございます。ここでは、(1)の基本的な考え方で、冒頭に改正された法第14条の規定について書かせていただいております。その上で、資料3につきましては4ページ、資料4につきましては7ページから8ページを御覧いただければと思いますが、障害者差別の解消を効果的に推進するには、公正中立な相談窓口等が障害者や事業者等からの相談に的確に応じることが必要であるとして、事業者につきましても相談をする側として明記をしてございます。その後の部分でございますけれども、検討会報告の整理を踏まえて、国の相談対応の実態、また地方公共団体の相談対応の実態等を記載させていただいております。
また、相談対応の基本的なプロセスの例ということで、先ほどの検討会報告書で記載をいたしました、相談者からの情報収集から必要に応じた相談者と相手方との調整、話合いの場の設定に至るまでのプロセスにつきましても、ここで書かせていただいております。その上で、関係者から丁寧な事実確認を行い、建設的対話による相互理解を通じて解決を図ることが望ましい。その際には、障害者の性別、年齢、状態等に配慮することが重要であるとした上で、このような基本的な対応での解決が難しい場合には、次の段階の取組ということで、国の法第12条の行政措置、また地方公共団体における施行令の措置や条例で定められているような報告徴収、助言、指導、勧告等の措置や紛争解決のための措置による対応が考えられるということで、ここでも検討会の整理を書かせていただいているところでございます。
その次の(2)でございます。国及び地方公共団体の役割分担並びに連携・協力に向けた取組でございます。ここでは、国・地方公共団体には、様々な障害者差別解消のための相談窓口等が存在している。差別相談の特性上、個々の相談者のニーズに応じた相談窓口等の選択肢が複数あることは望ましく、国・地方公共団体において適切な役割分担の下、連携・協力を行うことで、効率的かつ効果的に対応を行うことが重要であるという趣旨を書き込んでございます。
その後、それぞれの役割分担として、まずは一番身近な市区町村の役割、次に都道府県が市区町村への助言や広域的・専門的な事案について支援・連携を行うとともに、必要に応じて、一次的な相談窓口等の役割を担うことを書いてございます。その上で、国においては、各府省庁が所掌事務に応じて相談対応を行うことや、市町村や都道府県のみで対応困難な事案に対する適切な支援を行う役割を担うことを書かせていただいております。
さらに、資料3の5ページ、資料4の9ページでございますけれども、相談対応等においてはということで、検討会におきまして、国・地方公共団体全体として、ワンストップ相談窓口の機能を担えるようにするとされたことを踏まえまして、このような国・都道府県・市区町村の役割分担を基本としつつ、どの相談窓口に相談があろうとも、適切な関係機関との間で必要な連携・協力がなされ、適切に対応が図られるような取組を進めることが重要であるとして、このため、内閣府においては、国と地方公共団体が円滑に連携・協力できるよう、各省庁における相談窓口の明確化や必要な助言等を行うとしております。国の対応を求める必要があるものの、どの省庁が担当するか分からないという場合にも、内閣府が助言するなどの対応が図られるようにすることで、どの相談機関にも対応されない事例が発生しないようにするという検討会報告書の趣旨を反映した記載としてございます。
また、(3)の各相談窓口等に従事する人材の確保・育成の支援及び3の事例の収集・分析・共有を通じた相談窓口等の対応力の強化に取り組むこととするということで、国・内閣府の役割について書き込んでございます。
次に、資料3の5ページ、資料4は10ページに入ってまいりますけれども、(3)人材の確保・育成というところでございます。人材の確保・育成につきましては、障害者や事業者からの相談を適切に受け止め、対応する人材の確保・育成が重要として、相談対応を行う人材は、公正中立な立場から相談対応を行うとともに、法や解決事例に関する知識、当事者間を調整する能力、連携・協力すべき関係機関に関する知識が備わっていることが望ましいとしております。その上で、国・地方公共団体においては、必要な研修の実施等を通じて、人材の専門性向上、相談対応業務の質向上を図ることが求められる。こういった取組に格差が生じることがないよう、内閣府においては、相談対応を担う人材育成に係る研修の実施を支援することなどを通じて、人材育成の取組を推進すると書いてございます。
続きまして、2の啓発活動のところでございます。今回の案では大きな変更を加えてはおりませんけれども、この中の(2)事業者における研修の部分におきまして、昨年、内閣府で開設しましたポータルサイトにおきまして、事例の提供等を通じ、事業者を含め社会全体における障害者差別解消に向けた理解や取組の進展を図るということで記載をさせていただいております。
資料3の6ページ、資料4の13ページまで行っていただければと思います。情報の収集、整理及び提供でございます。ここでも、検討会の取りまとめを受けまして、障害者差別の解消を推進するためには、事例の共有等を通じて共通認識の形成を図ることが重要とした上で、内閣府では引き続き、各省庁や地方公共団体と連携・協力して事例を収集するとともに、参考となる事案の概要等を分かりやすく整理してデータベース化し、ホームページ等を通じて公表・提供することとするとしております。また、これまでの御議論や附帯決議なども踏まえて、特に障害のある女性や子供等に対し、実態を踏まえた適切な措置の実施が可能となるよう、性別や年齢別の情報が収集できるよう努めることとするということも追記をさせていただいております。
次に4の障害者差別解消支援地域協議会でございます。資料3の7ページに行っていただきまして、資料4につきましては13ページから14ページを御覧いただければと思います。ここで地域協議会に参画する機関、関係者ということで国の地方支分部局ですとか、地域の事業者や事業者団体についても協議会に参画することが有効ということで、ここでも検討会の趣旨を踏まえまして、参画する団体についても書き込みをさせていただいております。
また(3)の設置促進に向けた取組というところでございまして、単独設置が困難な場合の圏域単位での複数の市町村による協議会の共同設置・運営の検討ですとか、必要な構成員を確保しつつ、他の協議会と一体に運営するなどの柔軟な開催形式についても書き込みをさせていただいております。
それから、都道府県の役割が重要ということで、管内、市区町村における協議会の設置・実施状況の把握や好事例の展開等を通じたバックアップについても記載をさせていただいております。
また、最後の2行でございますけれども、内閣府においても、地方公共団体の担当者向けの研修の実施を通じ、地域における好事例が他の地域においても共有されるための支援を行うなど、体制整備を促進するといったことを書かせていただいております。
最後に、第6のその他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項でございます。資料3の7ページから8ページ、資料4の16ページでございます。ここでは、現行指針におきまして、その他の重要事項に記載されておりました(2)基本方針、対応要領、対応指針の見直し等に該当する部分が記載をされております。その中で、内容的に現行方針におきまして、法の施行後の3年後見直しの際の検討について記載していた部分につきましては、今般の法改正関係の作業で対応したということで削除しておりますが、その他の部分については同様ということにしております。
以上、大変駆け足で恐縮でございますが、今回の基本方針案の御説明については以上でございます。
○石川委員長 御説明ありがとうございました。
ここで15分の休憩を入れたいと思います。再開は3時15分といたします。
では、休憩に入ります。マイク、カメラ等はオフにしていただいて結構です。
(休憩)
○石川委員長 それでは、再開したいと思います。
事務局から、基本方針の改定案の3部から6まで修正点を中心に説明をいただきました。これを踏まえまして委員の御意見をいただきたいと思います。御意見のある委員は挙手ボタンで意思表示をお願いいたします。
最初に、片岡委員、お願いします。
○片岡委員 ありがとうございます。全国地域生活支援ネットワークの片岡です。
資料1、2の調査研究事業に関する報告書並びに資料3の基本方針改定案について、発言させていただきたいことがあります。
資料1、2の報告書の障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集、共有の在り方において重要と思われる考え方が、資料3の基本方針改定案には盛り込まれていないのではないかという趣旨の発言です。この質問は、できましたらほかの委員の皆様の御意見をぜひお聞かせいただけないかと考えておりますので、御検討のほどよろしくお願いいたします。
まず、報告書の161ページの基本的な考え方の2つ目の●の文末に、「障害者差別の解消を推進する立場にある内閣府には、どの機関に相談があろうとも」、途中省略いたしまして、「国及び地方公共団体の相談体制構築・強化に向けた司令塔としての役割を担うことが求められる」という記載があります。そして、資料1の1ページ目や2ページ目、そして資料2の報告書で言えば167ページや168ページの図や文章の中に、内閣府は、「各省庁、地方自治体における相談体制構築・強化に向けた司令塔」という記載や、報告書168ページの「国・地方公共団体全体としてのワンストップ相談窓口機能構築について」というところで、「国及び地方公共団体が全体としてワンストップ相談窓口としての機能を担うことについては、検討会の場において以下のとおり合意がなされた」とした上で、169ページに「国の窓口一覧を確認したものの、所管が複数の省庁にまたがる等どの省庁が担当するか分からないような場合には、内閣府が必要な助言等の対応を行うことが期待される」云々という文章、続けて、「司令塔としての役割を担う内閣においては」、これも途中を省略しまして、「十分な支援ができるような体制整備を検討することが望まれる」という記載があります。
さらに報告書165ページの3つ目の●に、「なお、相談者が障害者である場合や小規模事業者である場合等には」、これも途中を省略しまして、「相談者に寄り添うアドボケーターやアドバイザー等を置くことも円滑な相談対応に資すると考えられる」という記載があります。
まとめますと、この報告書で非常に重要と考えられるキーワードが3点あるように思います。「司令塔としての内閣」、それから、「国・地方公共団体全体としてのワンストップ相談窓口」、「迷子にならない相談支援体制」、そして、「相談者に寄り添うアドボケーター」の3点が非常に重要と考えるわけですが、一方の資料3の基本方針改定案を見てみますと、そういった記載が全く出てきません。資料3の5ページに、「このため、内閣府においては国と地方公共団体が円滑に連携・協力できるよう、各府省庁における相談窓口の明確化や必要な助言を行う」云々と記載されているだけで、先ほどの3点が読み取れるような内容になっていないと考えております。
個人的には、先ほど述べました3点は改定案の中にしっかりと盛り込むべきという意見を持っておりますが、ほかの委員の皆様いかがでしょうか。御意見をお聞かせいただきたく、発言をさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
今、挙手ボタン皆さん挙げていただいているのですけれども、その順番は一応こちらで確認しているのですが、その中で今の片岡委員の御意見と関連する御意見のある委員は挙手ボタンを維持していただくことできますか。あるいは、新たに挙げていただいてもいいですか。
○岩上委員 岩上から発言させていただけませんでしょうか。
○石川委員長 関連でしょうか。
○岩上委員 はい。
○石川委員長 では、岩上委員、どうぞ。
○岩上委員 挙手ボタンがうまくいかなかったもので、大変失礼しました。
私も今の点は非常に重要だと思っています。私は、検討会の方の委員をさせていただいて、先ほど野澤座長からのお話もありましたが、非常に重要な議論をさせていただいたと思っています。
地域共生社会を目指す上で、差別解消法の改正と基本指針の改定は非常に重要なことで、建設的対話によってお互いを理解する絶好の機会となるといったことをこの検討会でも確認をさせていただきました。
その上で、相談支援体制をつくる上で、この検討会で非常に重要だということは、今、片岡委員がおっしゃった内閣府が司令塔となるということ。これは十分な支援体制ができるような体制整備をするということで、検討会の方でもまとめさせていただいたところです。
それから、ワンストップ相談窓口については、様々なお考えがあると思うのですけれども、今回の検討会では、まず合意できたところとして、1つの窓口でワンストップということではなくて、国と地方公共団体全体としてワンストップ、つまり、ここの資料にも書いてありますが、それによって取りこぼし相談をなくすということですから、ここも非常に重要で、どの相談機関でも対応できない事例が発生しないことが重要であるということで報告書には書かせていただいておりますので、この点も重要だと思っています。
それから、3つ目のアドボケーターについては、アドバイザーという言葉も含まれておりまして、当事者の方に寄り添うだけではなくて、中小企業の事業者の方でもお困りになったときにきちんとお話を聞いて、そういった立場の人を相談支援体制の中に置いていきましょうということですから、これも非常に重要であり、これについて、多分この思いは内閣府にも伝わっていると私は認識しています。そういったやり取りもこの間はさせていただいておりまして、資料3の5ページの改定案の中の助言等を行うといった中に、多分この思いは含まれているとは思うのですが、ここは片岡委員がおっしゃったように、明確に今の点を書き加えていただくことを私自身もお願いしたいと思っています。
加えて申し上げると、先ほど野澤座長の中で、人事的なことまでは今回の検討会で求められていることではないというお話があったのですが、こういった体制をつくるためには、司令塔である内閣府にも障害当事者の立場から助言を行えるような人材を含めた体制整備が必要だということを私は検討会で申し上げたのですが、そこまで書き加えるのはなかなか難しいということでしたが、新たに今回の基本方針改定案に当たっては、そういったことも皆さんと共有させていただければいいと思っています。
長くなりましたが、最後にもう1点、私がちょっと懸念していることは、内閣府の皆さんに司令塔として先頭に立っていただきたい。これは多分、ここの合意形成が取れるのではないかと思っているのですが、内閣府の皆さんも障害者施策の御担当をされている方が少なくて、その中で、国連の対日審査であるとか、障害者基本法や障害者基本計画の策定、差別解消法ということで、大変御苦労もされているのではないかと思っているところです。
したがいまして、司令塔ということを自分たちが話すには遠慮をされているところもあると思いますので、ぜひ関係省庁の皆さんからも、内閣府が司令塔となることによって、地域共生社会を目指す上で、御相談を受けた際にもスムーズに対応しやすくなるのだということで、むしろ関係省庁の皆さんに内閣府を後押ししていただきたいと思っておりますし、私たちも、内閣府に司令塔としてということでお願いするばかりでなく、共に頑張っていく、市町村での相談窓口について、あるいは都道府県の支援体制について、内閣府が取り組むことについても、私たちも一緒にやっていくという姿勢をこの際示していくことが重要ではないかということを私は検討会に入らせていただいて考えたところでございます。
長くなりましたが、以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
岩上委員から、片岡委員の御意見を補強というか、さらに附言するような形でお話がありました。
関連で、挙手ボタンを挙げてくださっている委員が多数いらっしゃいまして、お2人の発言にさらに何か追加してという御意見がある方のみ挙手ボタンを維持していただくことはできますでしょうか。同意見ということであれば下ろしていただいて。他の議論もございますので、節約を図りたいという趣旨です。
それでは、石橋委員、お願いします。ほかの皆さん、協力ありがとうございます。
○石橋委員 発言の機会をいただき、ありがとうございます。一般財団法人全日本ろうあ連盟の石橋でございます。
2点ほど意見を申し上げたいと思います。まず、資料3の5ページになります。人材を確保・育成という視点の部分ですけれども、やはり聞こえない人たち、また聞こえにくい人たち。
○石川委員長 石橋委員、すみません。私の説明があまりよくなかったのですけれども、今、議論しておりますワンストップ窓口とか司令塔という内閣府の機能に関する片岡委員の御意見があって、その意見との関連ではあるが、片岡委員や岩上委員とは異なる論点がある方のみ挙手ボタンを維持していただきたいということです。
○石橋委員 承知しました。ありがとうございます。
○石川委員長 申し訳ございません。
そうしますと、玉木委員、いかがでしょうか。
○玉木委員 玉木です。ありがとうございます。
意見というか、僕の整理のために発言させてもらえるとありがたいと思います。
報告書の中身はすごくよく分かって、その中で、ワンストップの捉え方もいろいろな方がいらっしゃることがよく分かったのですけれども、今、言っているワンストップは個別の相談対応だけではなくて、事業者や当事者が、それは地方自治体、例えば、市町村であったり都道府県が困ったときに聞ける体制を内閣府の中で持っていただきたいという旨で僕は理解しております。
何でこういうことを言わせてもらっているかというと、実は昨日、うちの自治体の地域協議会担当と打合せをしたときに、障害者差別解消法が始まってもう5年も6年もたっているのに、庁内でも実はどう取り扱っていいか分からない。例えば、選挙管理委員会とか各種委員会があるけれども、それはそれぞれが検討しているということで。
○石川委員長 玉木委員、すみません。もう少し簡潔に御発言の内容をまとめていただけますでしょうか。
○玉木委員 分かりました。
だから、ワンストップという中に、個別相談だけではなくて、仕組みの相談をやるのだということが入っていることの確認をしたかったのです。よろしくお願いします。
○石川委員長 ありがとうございました。
門川委員、いかがでしょうか。
○門川委員 すみません。関連でなかったので下ろします。
○石川委員長 それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
私もぜひともワンストップ相談窓口の創設を明記していただきたいと思います。昨年の法改正のとき、国会の審議の中でもこの質問がありまして、内閣府は調査研究を踏まえて検討するという答弁をされておりました。調査研究の報告を今日いただきましたけれども、ワンストップ相談窓口の必要性について意見が出て、引き続き検討となっておりますので、相談の迷子の問題とか、複数の省庁をまたがる事案といったものがありますので、ぜひとも明記をお願いしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
検討会の中でも、様々な御議論があってということだと思うのですけれども、野澤委員、こちらから指名して申し訳ないのですが、いわゆるワンストップ窓口という言葉が使われていますけれども、そこに込めている意味は、例えば司令塔という意味なのか、今、玉木委員もおっしゃいましたけど個別の相談の一次受けといいますか、各省に仕分けしていくルーター的な役割ということなのか。あるいは、錯綜して主務大臣がはっきりしない、あるいは、主務大臣が存在しないようなケースで内閣府が対応するということを含んでいる話なのか、検討会の議論を通して野澤委員の中で整理された解釈をいただけるとありがたいなと思うのです。
○立石参事官 事務局でございます。
冒頭、お話ししましたように野澤委員は15時頃に御退出でございます。申し訳ございません。
今、委員長から御指摘いただいた御質問でございますけれども、検討会の中でも、各省庁の権限について整理をさせていただいておりまして、差別解消法12条に基づく主務大臣の権限として、分野ごとに当該事業を各主務大臣が所管しているということなので、適切な省庁の相談窓口に円滑にアクセスできることが重要ということは整理をしてございます。
したがいまして、どこか1つの省庁が最初から最後までというのは、主務大臣制の中では、今のところ、そういうふうになっていないということは、検討会の委員の先生の中では共有はされているかと思ってございます。
事務局からは、そこまで申し上げさせていただきます。
○石川委員長 ありがとうございます。
どうしましょうか。片岡委員との関連で発言を控えていただいた方の中で、もう一度整理して、こういう意味でワンストップ窓口ということを自分は考えている、あるいは多くの人たちは考えているのだということを説明していただけとありがたいのですが。
竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 竹下です。
今の事務局の説明はそれで分かるのです。その裏返しだと思うのです。すなわち、窓口から全ての解決までを1つの窓口、1つの機関が所管することを要求しているわけではないと思うのです。委員長も少し整理されたように、幾つかのパターンのワンストップ窓口があるわけです。その中で、迷子にさせない、たらい回しにされない、あるいは便宜を図って所管に振り分ける、そういう機能を持つことについては、検討会の中でも否定されていなかったということを、いわば今の事務局の説明の裏返しとして、そこには認識されていると思うのです。ワンストップという言葉が不適切ならば、別の言葉でいいから、そういう機能を持った窓口の設置、あるいはそういう機能を持った対応ということはどこかで書き込むべきではないかと思います。
以上です。
○石川委員長 そうすると、ほぼ調整機能という言い方でも大体カバーできますか。
○竹下委員 竹下ですけれども、僕は調整という言葉でも十分そこは皆さんの思いが一つで溶け込むと思います。
○石川委員長 司令というと内閣府としては重い感じだと思うので、調整機能はもともと内閣府の役割で、この差別解消法のつくりからいうと、主務大臣が責任を負うのだけれども、主務大臣がはっきりとしない場合とか、錯綜していて、いや、うちではなくてこっちだ、あちらでしょう、いや、そちらでしょうみたいな場合であるとか、迷子になってしまうことを避けることは調整機能の一つだと思いますし、最初は不明確でも、はっきりとどこが所管なのかを明確化していくような調整機能を果たしていくということであれば、つまり、全ての国に対する相談の一次受けを内閣府がやらないといけないのか、やることが一番合理的な方法なのかということについては、個人的にはちょっと負荷がかかり過ぎてかえって合理的ではないようには思うのですけれども、大河内委員、挙手されていると思います。
○大河内専門委員 大河内です。
ワンストップ相談窓口のイメージとして、私が把握していることをお話しさせていただきます。
映画のアクセシビリティーの仕事をしている関係で、先ほど安部井委員がおっしゃっていたような、例えば、劇場で車椅子の方がお友達とか家族と一緒に見られないとか、たとえ一緒に見られたとして1人しか一緒に見られないみたいな話があって、それをどこへ相談したらいいのかといったときに、一般的には、映画とかは芸術だから文科省なのかみたいな話になるのですけれども、実は映画の場合では、劇場に関しては厚労省の所管だったりするのです。
そういうのはなかなか分からなくて、結局、自分で分かる範囲のところで窓口として相談するけれども、先ほどの言葉を借りると迷子になったまま、なかなか解決せずに諦めてしまったり、なし崩し的になってしまったりということがあって、そういうのを防ぎたいという思いが強くてワンストップと言われているのだと思います。
視覚障害の人たちの信号の問題も、結局、国交省と警察庁の間に埋もれてしまって、なかなか解決が図れない問題とかはよく聞いておりますので、そういう省庁間の所管の整備みたいな、先ほど委員長がルーターとおっしゃったのもそうかなと思いつつも、そういう機能がやはり窓口には求められているのだろうと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
ほかに発言を希望されている方はいますか。
事務局、これまでの意見を受けていかがでしょうか。
○立石参事官 事務局でございます。
相談窓口の件につきましては、まさにどこの省庁が担当か分からないということが非常に重要な問題となっている。そういう中で、取りこぼしがないように、迷子にならないようにということで検討会の方でも御議論いただきまして、まずは内閣府の方で、今回、基本方針の中におきましても、各省庁が作成する対応指針の中で所管の分野に応じた相談窓口を明確化していくという案にさせていただいておりまして、まずはそういったものをしっかりと明記していく。
その中で、まず一次的に相談を受け付けた地方公共団体などにおいて、そういった一覧を確認して、しかし、それでも所管が複数の省庁にまたがるとか、どの省庁が担当するか分からない場合には、内閣府が必要な助言等の対応を行うことが期待されると整理をされているところでございますので、その趣旨では、今、まさに先生方がおっしゃっていた問題意識と、それに向けての対応方針ということで、検討会で御議論いただいたことと非常に合っているのかなと感じたところでございます。
いろいろ御意見いただいたことを踏まえまして、基本方針につきまして引き続き御議論いただければと思っております。
○石川委員長 ありがとうございました。
この点については、今後とも引き続き議論していきたいと思いますので、第3部から第6部までのほかの項目等についての御意見をいただきたいと思います。挙手ボタンをお願いします。
それでは、米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
住民等に対する啓発活動の項目なのですけれども、資料4だと13ページ、資料3ですと6ページになります。
私の意見としては、啓発活動の中で、子供に対する教育というのは障害者差別解消にとても重要ですので、資料3の6ページの(3)の地域住民等に対する啓発活動のイに「障害のある児童が」という教育分野のところには書いてあるのですが、これはむしろ、地域住民等の啓発活動とは別項目で、例えば(4)でもいいのですが、教育が重要ということで別項目立てしたほうが分かりやすいのではないかなと思っています。その方が、インクルーシブ教育ということも含めての教育、障害のない子供たちも含めた教育というのはとても大事ですし、将来にわたって教育していくことというのが大事だと思いますので、ぜひ個別項目立てにしてみたらいかがでしょうか。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。検討させていただきたいと思います。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
私からは3点ほど意見を申し述べたいと思っております。
まず資料3の4ページ(2)の国及び地方公共団体の役割分担並びに連携・協力に向けた取組についてです。障害者やその家族、関係者の生活地域が限定的である場合に、身近な相談先が生活している市区町村になることは理解できます。また、地域での困りごとは、地方自治体程度の問題は、国へなど重層的な支援体制を整備することも賛成であります。
しかし、住まいのある地域と勤務先で市区町村や都道府県が異なる場合や、引っ越し直後、出張、旅行など、日頃生活している地域とは異なる場所で相談したい事案が発生することも考えられます。これらの場合に、相談したい方にどの相談機関が適切であるかを判断いただき、自ら相談窓口を探していただくことはハードルが高いのではないかと考えられます。
障害者差別に関連することや、合理的配慮について迷ったり困ったりするときに、相談窓口が分からない、判断が難しい方に向けて、ここに相談すれば適切な相談先につながると思える案内役のような窓口を設定することで、障害者やその家族、事業者も安心して生活できる環境の整備につながるのではないかと考えます。
また、その窓口を周知していくことで、障害を理由とした差別をしてはいけないことや、合理的配慮に対する社会全体の意識も高まると考えられます。既存の相談窓口を活用する形でも、とにかく障害に関することで迷ったり困ったらここだという窓口を設定してはいかがかと思います。
また、児童相談所虐待対応ダイヤル189のように、全国共通の電話番号で電話をかけた人がいる地域の相談窓口につなぐ方法もあると思います。LINEやSNSなどを活用することも考えられます。相談体制を変えることなく、誰でも覚えやすい電話番号に設定を変更し、障害のある方をはじめ、生活者の目線に立った環境づくりが必要であると思います。
長くなりました。2点目です。
5ページ(2)の事業者における研修と、6ページ(3)の地域住民等に対する啓発活動のアの部分です。事業者における研修に、障害者の差別解消に向けた理解促進のためのポータルサイトにおける事例の提供等、地域住民等に対する啓発活動にインターネットを活用した情報提供と記載されています。よいものをつくっても、サイトへの動線やコンテンツへの接点を増やし、目に触れなければ意味がありません。サイトを制作して終わり、コンテンツをアップして終わりとならないように注意をいただきたいと思います。
最後に3点目です。6ページ(3)の地域住民等に対する啓発活動のイです。障害のある児童生徒について、内閣府や文部科学省、今後、創設されるこども家庭庁で連携して取り組んでいくものと予想されますが、家庭や地域、学校など子供の生活環境は様々であることを踏まえ、差別事例の収集や相談対応が府省庁間の縦割りの影響を受けることがないよう、十分に連携し、取り組んでいただくようお願いしたいと思います。
私からは以上です。
○石川委員長 御意見ありがとうございました。
続きまして、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
2点あります。1つ目は6ページの3の情報の収集、整理及び提供のところなのですけれども、省庁ごとに毎年受けた相談を公表していただきたいなと思います。自治体で条例があるところは毎年報告書を作成して、どういった相談があって、どのような対応をしたかということを報告されています。これを見ると、とても参考になって、有益な情報だなと思います。事例の蓄積、今後の対応のためにも参考になりますので、ぜひ省庁ごとに相談とその後の対応を報告する仕組みをお願いしたいと思います。
2点目は、最後の8ページの欠格条項の記載のところなのですけれども、「なお、各種の国家試験の取得において障害者に不利が生じないよう」の後に「試験の実施等に当たり、障害特性等に応じた合理的配慮を提供するとともに」という一文をぜひ入れていただきたいと思います。
いろいろな相談が来るのですけれども、試験のときに視覚障害の人がパソコン受験を申請したけれども、試験の案内にパソコン受験が書いていないので非常に難航したとか、あるいは発達障害のある人が試験を受けるときにパソコンの試験を申請したのですけれども、身体障害しか対象になっていないということで非常に大変だったという事例を受けていますので、明確に合理的配慮を提供するという意味でこの一文を加えていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。
3点の発言をさせていただきます。1点目は、最初の報告書のところでも指摘したことを受けて石川委員長が引き取っていただきましたけれども、民間事業者が直接相談を受けた場合、その事業者においてのその場における合理的配慮の提供などが一番考えられるわけですが、そういう場合の相談から解決までの流れをこの基本方針の中で示しておく必要があるのではないかと思うわけです。とりわけそうした場合に、その事業者だけで解決できない場合にこそ、その自治体がどういう形で事業者が受けた相談を、地方公共団体がそれにバックアップないしは支援をしていくかという仕組みづくりが必要かと思っているのが1点です。
2点目は、第5のところで気になっていることは事例の収集なのですけれども、これはどなたかも発言しているので重なってくるわけですが、事例収集をすることは極めて大事なのですけれども、その事例が不当な差別事例に属するものとしてどう解決したかというのと、合理的配慮の提供を求められた場面での建設的対話によってどう実現されたかという流れとは、その原因や対応の仕方も大きく変わるわけであります。とりわけ、合理的配慮の提供の場面などで、解消法の5条の環境整備に属する部分と合理的配慮の提供の部分というのは、時には分かりにくい場合が多いわけであります。
そういう意味では、1事例の段階では合理的配慮の提供であるかもしれないが、その問題は普遍的な要素を持っていて、環境整備につながる部分があったりするわけですから、事例の収集、分析に当たっては、より慎重な分析、かつ、その後の解決に大きく発展するような整理の仕方をぜひお願いしたいというのが2点目であります。
最後に、マニュアルの問題であります。これも第1番目の議論のときに事務局から回答があった部分でもありますけれども、第4の部分でも、第5の部分でもそうなのですが、マニュアルの作成によって、個別の対応がよりスムーズになる、かつ全国的な地域格差をなくしていくためにも重要なツールになると思いますので、この作成もどこかで明記していただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
門川委員、お願いします。
○門川委員 門川です。
2点発言したいと思います。1点目は、先ほどから議論されていましたワンストップ相談窓口について、私もこれには賛成です。ワンストップ窓口といいますか、例えば、総合案内所みたいなイメージで、相談を持ちかけたいところが1か所あって、そこにお問合せフォームなどからメールを送ったり、LINEで連絡をしたりすることによって、そこから特定の部署につないでもらう、返事を頂くという形がよいかなと思います。一元化する方向で検討していただきたいと思います。
例えば、幾つも電話番号が本当幾つもあると、どこに電話をかけていいか分からないですし、また盲ろう者の立場から言いますと、問合せ連絡フォームが1つあると、そこにメールを送ったり、LINEで連絡をすることができれば、スムーズにやり取りができるのではないか。そして、その取りまとめ役は内閣府に置かれた調整コーディネーターといいますか、調整役の人に調整していただければよいのではないかと思います。やはり総合受付は必要で、どこかに明記していただきたいと思います。
次に2点目ですが、第4の事業者が講ずるべき措置に関する基本的な事項の3番目、主務大臣による行政措置の最後の部分ですが、このように書かれています。報告の徴収、助言、指導及び勧告については、取りまとめて、毎年国会に報告するものとする。ここだけ国会に報告するものとすると出てきます。国会に報告することによってどんな効果が期待できるのか分からないのですが、ここには国会に報告すると同時に、条約の監視機関でもある政策委員会の場でも報告すると追加していただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 発言の機会をありがとうございます。
私からは事業者団体の立場から2点申し上げたいと思います。
まず、資料3の2ページにあります対応指針については、今回の基本方針の改定案でも、不当な差別的取扱いや合理的配慮の提供に関わる具体例が盛り込まれたところでございます。今後、各省庁で策定される対応指針においても、各業界の参考となるような具体的な事例を盛り込んでいただければ参考になると思います。
3ページからの相談及び紛争防止等のための体制の整備につきましては、今般の法改正では事業者による合理的配慮の提供が義務化をされております。これに伴い、今後、事業者側の相談窓口へのニーズもより高まることが考えられることから、事業者にとっても利用しやすい相談体制の構築が必要だと考えております。したがって、この相談体制については、基本方針の改定案にも記載されましたとおり、公正中立な立場で相談対応を行っていただくということ、それから、事業分野ごとの相談窓口が分かりやすく示されるということが重要だと思っております。
さらに、相談窓口においては、類似のケースや企業の実態を把握した上で、正当な理由や合理的配慮の範囲に関する助言、もしくは代替措置の選択等の解決策に関して、障害者と事業者双方にとって現実性のある的確な提案ができることが必要であることから、人材育成に当たって、法や解決事例に関する知識、当事者間を調整する能力などが盛り込まれた点を評価しております。また、事業者としても、まず相談に行くのは地域の事情を一番よく分かっている地方公共団体の窓口になると思われることから、各自治体における相談体制の強化をぜひ推進していただきたいと思っております。
最後の6ページ、障害者差別解消支援地域協議会につきましては、地域で一体となって課題解決に向けて取り組んでいくことが重要であるということから、基本方針改定案に記載のとおり、地域の事業者や事業団体が地域協議会に参画することが重要であると考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
続いて、中野委員、お願いします。
○中野専門委員 中野です。
3つございます。資料4に基づいて意見をさせていただきます。
資料4の7ページ、1、相談及び紛争の防止等のための体制の整備のところに、障害者差別の解消を効率的に推進するためには公正中立的な相談窓口等が云々という記載があります。そこに、「公正中立的な相談窓口等が、障害者の置かれている立場や状況等を十分に配慮した上で、障害者や事業者等からの相談等に的確に応じることが必要である」と加えていただきたいと思います。
理由は、公正中立といっても、力関係で考えると障害のある立場は個人ですので、力関係的に弱いことが考えられますので、公正中立である際には、必ずそういう立場や状況を配慮する必要があるということを加えていただきたいからです。
2番目です。資料4の10ページ、(3)人材の確保・育成で、「相談対応を行う人材は、公正中立な立場から相談対応を行うとともに」と記載があるのですが、ここも「相談対応を行う人材は、障害者の人権について適切な見識を持ち、障害者の置かれている立場や状況等に対して共感的な理解を行った上で、力関係や状況等に配慮しつつ、公正中立な立場から相談対応を行う」と記載していただきたいと思います。
最後に、10ページの2の啓発活動です。これは文言の修正ではなく、意見なのですが、啓発活動は、障害を最初に知らされる場面や教育機関において、迅速かつ適切に行われるべきだと思います。障害を最初に知らされる場面というのは多くの場合、医療機関だと思いますが、医療機関において、障害や差別解消等に関する適切な捉え方を伝えることが大切だと思います。そのために、病院内に相談員を配置する等の取組が必要不可欠だと考えられます。また、教育機関においては、障害のある幼児、児童生徒だけではなく、保護者、教員、他の幼児、児童生徒に理解啓発を行う必要があると思いますので、その点について書き加えていただけるとありがたいです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
では、曽根委員、お願いします。
○曽根専門委員 曽根です。
先ほどの竹下委員の相談の流れを書くべきということが非常に重要だという観点から意見を言わせていただきたいと思います。そこが書かれているのは、資料3でいいますと4ページの相談対応のプロセスの例というところになると思うのですけれども、非常に大づかみな書き方になっていまして、ここはもう少し具体的あるいは現実的に書いたほうがいいのではないかなと思います。
特に、事実の確認が私は非常に重要だと思っていまして、仕事柄、地域支援協議会の役職も担うことがあるのですけれども、どうしても事実の確認が曖昧なまま、今後、合理的配慮の提供に努めるという報告がなされたりという場合が結構あります。ですので、この相談対応のプロセスの例というところをもう少し分かりやすく、例えば、相談内容の丁寧な聞き取りと書くとか、あるいは、相手方からの情報収集。事実の確認となっていますけれども、これは非常に重要なところですので、そういったところをもう少し現実に即して書いていただくということ。
あと、先ほど竹下委員からも相談のマニュアルが必要というお話があったのですけれども、私も相談と対応の手引みたいなことがあって、もう少しそこが具体的に示されることが重要だと思いますので、そこをぜひ今後取り組んでいただきたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
最後になってしまいました。石橋委員、お願いします。
○石橋委員 御指名ありがとうございます。全日本ろうあ連盟の石橋です。
私から意見を2点申し上げたいと思います。まず、資料3の5ページ目、人材の確保・育成についてです。先ほど冒頭に野澤委員から、自治体によって受け止め方にばらつきがある、格差があるというお話がございましたが、例えば人材の確保について自治体がどこまで確保を行うのか、どこまで養成を行うのかということについてもガイドラインが必要ではないかと考えております。
ベストな方法といいますと、例えば、聞こえない、聞こえにくい人は直接手話言語でもって相談に対応いただくことが最適な方法であると思うのですが、実際にはなかなか至らないことが多いです。ですので、きこえない人自身が情報保障者を連れていくのではなく、相談窓口に情報保障を行える方を配置して、用意していただくことが合理的配慮ではないかと考えております。
手話言語でやり取りができる人がいないとこの日に改めてきてくださいといわれ、対応されないがゆえに、1度のやり取りで解決がなされない場合にはワンストップとは言えないのではないかと思いますので、その点、御配慮いただきたいと思います。障害特性も多様性がございますので、障害特性の把握ができる人材の養成が必要であることを明記していただければと思います。
2点目、啓発活動についてです。もちろん、国民一人一人が十分に理解するように、啓発普及することが重要であると書かれているのですが、当事者としても必要があると感じています。どういうことが差別であるのか、不当な扱いを受けているのかということを当事者自身が気づかないという状況が幾つか見受けられます。これは差別である、合理的配慮の不提供であるということを障害当事者自身がそれを判断できないという状況がありますので、当事者がそれらの自覚を持って訴えることができるように、これは教育といいますか、啓発といいますか、情報提供といいますか、手話言語による動画配信というものも取り入れていただく必要があるのではないかと思います。
好事例について、あるいはその逆の事例について、文章だけで紹介するのではなく、手話言語を付与した動画の配信を視聴することによって、聞こえない、聞こえにくい当事者たちにも理解、啓発できるのではないかと思います。
以上について、御検討をよろしくお願いいたします。
○石川委員長 ありがとうございました。
発言の意思表示をされていた方はこれで全て発言していただいたかと思いますが、もう少し今日の段階で議論を深めておきたいということがあれば御発言の機会を提供したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
分かりました。
そうしましたら、本日の様々いただいた御意見を踏まえて、事務局の方で3部から6部につきましてもさらに修正作業をしてもらって、次回以降の政策委員会でその改訂版を提示していただこうと思います。
事務局、それでよろしいでしょうか。
○立石参事官 そのようにさせていただければと存じます。
○石川委員長 そうしましたら、予定していました本日の議題はこれで全て終了ということにさせていただきます。
最後に、事務局より、次回以降の政策委員会の開催等につきまして、御説明、御報告をお願いします。
○立石参事官 次回の政策委員会の詳細につきましては、石川委員長に御相談の上で確定次第、また御案内をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○石川委員長 それでは、これをもちまして第66回の「障害者政策委員会」を終了いたします。
本日もありがとうございました。退出ボタンをクリックして退出してください。
以上です。