障害者政策委員会(第68回)議事録
令和4年7月7日(木)
13:00~17:00
TKP新橋カンファレンスセンター幸ビルディング14階 ホール14A
(Web会議にて開催)
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○石川委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第68回「障害者政策委員会」を開会いたします。
委員各位におかれましては、御多用のところ、御出席いただきましてありがとうございます。
本日の委員会は、最長17時まで時間を確保しております。
また、本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ウェブ会議により開催しております。
なお、取材及び一般傍聴者は、感染拡大防止の観点から、本日はお断りをし、その代わりに動画中継を視聴していただくこととしております。
まず初めに、事務局より委員の出欠状況について、報告をお願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、岩上委員、黒岩委員、柘植委員、野澤委員、平川委員、森委員及び眞保専門委員が所用により御欠席との連絡を受けている他、曽根専門委員が13時30分頃に御出席されるとの連絡を受けております。
また、田口委員が14時頃、大下委員が15時半頃、熊谷委員及び長谷川委員が16時頃に所用により途中退室されると伺っております。
以上でございます。
○石川委員長 それでは、本日の議事に入ります。
御発言いただく際の意思表示につきましては、挙手機能を使用していただいて、委員長の指名を受けてから御発言ください。また、その際には最初に名前を名乗ってください。ゆっくり分かりやすく簡潔に御発言いただきますよう、お願い申し上げます。
それでは、本日の議題及び資料について、事務局より説明をお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
本日は、障害者基本計画(第5次)の各論について御審議をいただきたいと思います。
関係資料として、資料1から資料4までを御用意しております。
本日は「8.教育の振興」「4.防災、防犯等の推進」「9.雇用・就業、経済的自立の支援」「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」「11.国際社会への協力・連携の推進」の5分野を御審議いただきたいと思います。
各論につきましては、まず最初に「8.教育の振興」の分野について14時15分頃まで、その後「4.防災、防犯等の推進」の分野につきまして14時45分頃まで御審議をいただきたいと思います。その後、15分程度休憩を挟み「9.雇用・就業、経済的自立の支援」の分野につきまして15時50分頃まで、最後に「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」「11.国際社会への協力・連携の推進」の2分野につきまして16時20分頃まで御審議をいただきたいと思います。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
それでは、早速ですけれども、審議に入りたいと思います。
まず最初のパートは「8.教育の振興」の分野について、審議をいたします。
それでは、この分野の基本的な考え方について、事務局から説明の読み上げをお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
資料1及び資料2の1ページ目でございます。「8.教育の振興」。
基本的考え方「障害の有無によって分け隔てられることなく、国民が相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現に向け、可能な限り共に教育を受けることのできる仕組みの整備を進めるとともに、いわゆる社会モデルを踏まえつつ、障害に対する理解を深めるための取組を推進する。また、高等教育における障害学生に対する支援を推進するため、合理的配慮の提供等の一層の充実を図るとともに、障害学生に対する適切な支援を行うことができるよう環境の整備に努める。さらに障害者が学校卒業後も含めたその一生を通じて、自らの可能性を追求できる環境を整え、地域の一員として豊かな人生を送ることができるよう、生涯を通じて教育やスポーツ、文化等の様々な機会に親しむための関係施策を横断的かつ総合的に推進するとともに、共生社会の実現を目指す。」
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
続きまして、関係省庁から主な施策及び関連目標について、御説明をいただきたいと思います。
文部科学省、お願いします。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の宇野と申します。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。
先ほど事務局から説明のありました基本的考え方に沿いまして、施策について御説明をいたします。
説明については、10分程度と事務局から伺っておりますので、重要なポイント及び前回の計画と比較し、変更を考えておる場所について、重点的に申し上げたいと考えております。
「(1)インクルーシブ教育システムの推進」のところにございます一つ目の○、こちらは哲学として記載をさせていただいているもので、今回、改定ということは考えておりません。個別の指導計画や個別の教育支援計画の活用を通じて、全ての学校に在籍する障害のある幼児児童生徒が合理的配慮の提供を受けながら、適切な指導、必要な支援を受けられるようにする。そうした取組を通じまして、学びの場の選択肢を増やしていき、障害の有無にかかわらず、可能な限り共に教育を受けられるよう、条件整備を進め、併せて個々の幼児児童生徒の教育的ニーズに最も応えられる指導を受けることができるインクルーシブ教育システムの整備を推進すると記載をいたしてございます。
次の○でございますけれども、変更といたしまして、前回の計画におきましては、いじめの防止、早期発見というところと、それに引き続く交流及び共同学習の推進が一つのパラグラフに書かれてございましたものを、意味を明確化するためにも二つのパラグラフに分けるという修正を施しておるものでございます。
資料1の2ページ目でございますけれども、障害のある児童生徒の就学先決定についてでございます。「情報提供」の後ろに「相談」という文言を挿入することを考えております。「情報提供」とだけ申し上げますと、どうも一方向のように思われますところ、そこは相互に合意形成を図る際には、当然相談というものも行っていくべきであろうという考え方から追加をし、また、そういった「合意形成を行うことを原則とする」と書かれておりましたけれども、原則とするフェーズは終わっており、それをいかに周知をしていくかということと考えてございますので、「引き続き関係者への周知を行う」という文言を挿入しております。
その後ろですけれども、柔軟な学びの場の変更ということも一つ周知をする必要があるだろうと思ってございますので、その際に踏まえるべき教育的ニーズに応じてといったことであるとか、その前提となる適切な学びの場の選択に関する情報といったところを文言として挿入できればと考えてございます。
引き続く「校長のリーダーシップの下」から始まるパラグラフにつきましては、前回の計画から変更をしてございませんが、校内の支援体制の構築、また、作業療法士、理学療法士等の専門家、あるいは特別支援教育支援員の活用といったことを促していくという部分でございます。
その下の○も今回の修正はございませんけれども、合理的配慮の提供に関して、しっかりと本人・保護者間で合意形成を図った上で、決定・提供されることが望ましいといったことを引き続き周知してまいりたいと考えております。
その下は、医療的ケアを必要とする子供に関するパラグラフでございますが、もともとは「医療的ケアのための看護師」という言葉を使っておったのですけれども、昨年の8月に学校教育法施行規則を一部改正し、医療的ケアに従事する看護師の方の職務を法令上に位置付け、医療的ケア看護職員と呼称を規定しておりますので、それに合わせる修正でございます。
次の入学試験の実施に関してのパラグラフにつきましては、ワーディングを修正するとともに、これまではICTの活用などという具体例のみを記載しておったところでございますけれども、別室での実施、時間の延長といった具体例を充実させる修正を施したいと考えております。
2ページの一番下の○でございます。こちらが通級による指導の教員定数に関して記載をしておる部分でございまして、私どもは引き続き力を入れていきたいと考えておる箇所でございますが、時点更新です。令和8年度までに13人に1人、通級担当教員が配置されることを目指して、段階的に基礎定数化をしています。「段階的に」という言葉を挿入といった修正を施しております。
その下、キャリア教育や就労支援の充実は、引き続き充実を図ってまいりたいと思ってございます。
その下の部分ですけれども、ここは少し言葉遣いを修正し「障害の早期発見や早期支援につなげるため」という言葉とするとともに、その際には個別の教育支援計画等も活用するといったことを追記したいと考えてございます。
その下の部分でございますけれども、「個別の障害者が就学前から」云々から始まるパラグラフですが、個別の指導計画や個別の教育支援計画、これらは既に特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を受ける児童生徒については、学校教育法施行規則及び学習指導要領で義務化されているところでございますので、策定というよりかは、活用を促進するというフェーズかと考えておりますので、そのような修正を施してございます。
「(2)教育環境の整備」でございます。
ここは私ども、一つ力を入れたいと考えておるところでございまして、赤字の部分の4行を追加したいと考えてございます。「柔軟な運用に配慮しつつ、小・中学校、高等学校等の全ての新規採用教員がおおむね10年目までの期間内において、特別支援学級の教師や、特別支援学校の教師を複数年経験することや、都道府県教育委員会等が策定する教員育成指標において特別支援教育を明確に位置付けることを目指す」ということを追加し、関連する成果目標についても、今回、追加を新たにしたいと考えてございます。
大変恐縮です。少し時間が押してきてしまっておるかと思いますので、その下の二つの○は、特段変更等はございません。
4ページに移りまして、最初の三つの○についても、こちらの変更はございません。
4ページの上から四つ目の○のところに関しましては、現在、私どもの方で特別支援学校教諭免許状コアカリキュラムの策定を進めており、各大学における教員養成課程に必要な在り方を、今、策定しておるところでございますので、その旨を追記いたしております。
その下は新規で追加をしてございますけれども、病気療養中の子供の支援の充実に向けて、ICTの活用を促すなど、環境整備をしていきたいという部分、これは新たに追加をしたいと考えております。
「(3)高等教育における障害学生支援の推進」でございます。
こちらの上から二つ目の○につきまして「専任の障害学生支援担当者」としたいと考えてございます。2020年の時点で障害学生支援担当者専任以外の方も含めて置いている大学というのが96%であるということも踏まえまして、今後5年間は専任の方を置いていただくというところを推進してまいりたいと考えておるための修正でございます。
5ページに移りまして、引き続き高等教育で四つの○を書かせていただいておりますが、ここは配慮という言葉について「合理的配慮を含めた必要な」という言葉を補うことで、意味の明確化を図るとともに、大学入学共通テストという時点修正を行っておるところでございます。
「(4)生涯を通じた多様な学習活動の充実」についてでございます。
上から2番目のパラグラフについて修正をいたしてございます。この部分では、令和3年度に文部科学省で行いましたコミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議の最終報告を受けまして「コミュニティ・スクールと地域学校共同活動の一体的な推進」ということを記載したいと考えております。
5ページの一番下の○につきましては、先般、成立をいたしました法律であるとか、それにぶら下がる基本計画も踏まえながらという部分を明記したいと考えております。
6ページにつきましては、多様な学習活動を行う機会の提供・充実ということで、こちらは前回計画から引き続き充実をさせていきたいと考えてございます。
少々時間を押してしまい、誠に恐縮でございますが、文部科学省からの説明は以上となります。よろしくお願い申し上げます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、審議に入りたいと思います。御質問のある委員は、挙手ボタンにて意思表示をお願いいたします。最初に市川専門委員、お願いします。
○市川専門委員 全国特別支援学校長会の市川でございます。
2ページ目の「『社会モデル』の考え方を踏まえ」以降の「交流及び共同学習の在り方を周知するとともに」というところでございますが、インクルーシブ教育システムの推進のため、学校の教育活動の中で障害のある子供と障害のない子供が共に活動する交流及び共同学習は極めて重要だと考えております。
文部科学省でも新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議の報告において、交流及び共同学習の充実等により、通常の学級や通級による指導、特別支援教室、特別支援学校といったそれぞれの学びの場の柔軟な連続性を持ったものが出来上がりつつあると示しております。
特別支援学校の場合は、特段、自治体による居住地の小学校に副次的な籍を設けるなどして、特別支援学校と小中学校の交流及び共同学習を進めているところがあります。現在では、2割を超える都道府県が副次的籍を設ける交流及び共同学習の推進を図っています。
こうしたことを踏まえますと、交流及び共同学習の在り方を周知するという段階ではなく、例えば副次的な籍を置く等の取組の普及や推進など、具体的な方策を進めることについての文言を入れるような段階に至っているのではないかと考えております。
2点目は、3ページの新たなところで、小中学校、高等学校の全ての新規採用教員が特別支援学級の教師や特別支援学校の教師を複数年経験することは、非常に重要なことだと思っていますが、設置者も違う中で異動等をどのように具体的な方法を取って、それを推進していくのかというところが大きな課題だと思っています。文言についてどのように入れるか分かりませんが、目指すためにどんなことをしていったらいいのかというところが少し分かるような文章にしていただけると、これがより図られるのではないかと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
文部科学省、御検討いただければと思います。
それでは、安部井委員、お願いします。
○安部井委員 ありがとうございます。
全国重症心身障害児(者)を守る会の安部井でございます。
「(4)生涯を通じた多様な学習活動の充実」に関してです。6ページの○についてですが、より生涯学習を発展・充実させるために文言を付け加えていただきたいと思います。具体的には「文化など様々な機会に親しむことができるよう」の次に「訪問支援を含む」という文言と「多様な学習活動を行う学びの場やその」という文言を付け加えていただきたいと思います。
理由としては、生涯学習の場に出向くことのできない医療的ケアの重い人工呼吸器ユーザーなどが居宅において学ぶことができるようにしていただきたいと思います。例えば特別支援学校のOBなどを活用した支援があればよいと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
新しい提案かと思いますので、特別支援教育課からお考えをお聞きできればと思います。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 安部井委員、御指摘いただきありがとうございました。
生涯学習の部分の担当が別に来ておりますので、そちらの者から発言をお許しいただければと思います。
○石川委員長 ぜひお願いします。
○文部科学省(総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課障害者学習支援推進室 宮本室長補佐) 文部科学省の障害者学習支援推進室の宮本と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど安部井委員からいただきました御意見については、私どもも十分大事なことだと思っておりますので、文言については少し検討させていただきたいと思いますが、前向きに進めていきたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部と申します。
5ページの(4)の二つ目の○で「障害の有無にかかわらず、全ての子供たちの成長を地域全体で支える社会が実現できるよう、コミュニティ・スクール」という文言があります。これは新規に書かれていることだと思います。これはすごく大事なことだと思いますし、先ほど市川専門委員のお話でも、地域の中でということを考えれば、副次的籍は大事だと思います。お住まいから遠い特別支援学校に属している、でも、暮らしている地域の中で全ての子供たちの成長を見守るということで、コミュニティ・スクールの位置はとても大事だと思います。
さて、コミュニティ・スクールについては、都道府県によって導入率といいますか、普及率が随分違うのだというお話も伺っています。導入率などについて、資料3の関連成果目標などに書くことはできないものなのかどうか検討いただきたいと思います。
また、コミュニティ・スクールでは、障害理解ということをこの報告の中にもうたっているのだと思いますけれども、さらに学校運営協議会制度を活用しながら、地域の中での子供たちの教育を含めた育ちについて、力を入れてほしいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
先ほどの市川専門委員の提案も含めまして、御検討をいただければと思いますが、ここでコメントはございますか。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 御発言ありがとうございます。検討させていただきます。
○石川委員長 よろしくお願いします。
続きまして、門川委員、お願いします。
○門川委員 ありがとうございます。全国盲ろう者協会の門川です。
3点ほど発言したいと思います。
1点目、1番目のインクルーシブ教育の中の8-(1)-5のところですけれども、ここに専門職の名前がいろいろと出てきています。スクールカウンセラーとか、言語聴覚士とか、専門職の名前が出てきますけれども、ならばここに歩行指導員、歩行訓練士など、歩行生活指導員も必要ではないかと思っています。小中高校に通っている視覚障害者や盲聾者もそうですけれども、白杖の使い方をはじめとする歩行の指導を受けた経験のある人が非常に少ないです。学校に通っている時点で歩行訓練を身につけておく必要があるので、ぜひ御検討ください。
2点目「(2)教育の環境の整備」のところです。8-(2)-1「特別支援教育に係る専門性を深める取組を推進する」とありますが、専門性の中に「点字」や「手話」などの専門的技術を加えていただきたいと思います。教育の分野をざっと読んだ感じでは、すごくいいように読める場合もあると思うのですが、障害者基本計画を読む人がどのように解釈するか、人によると思うので、具体的に文言を入れるのが大事と思います。手話や点字、専門的な技術の習得とか、重度の意思疎通困難な児童生徒に対する教育の方法だとか、そういったことをぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
3点目ですが、特別教育支援員をはじめとする支援員です。人材の育成についてここには書かれていませんけれども、数値目標とか、検討をされているのでしょうか。支援員の数も増やしていかないといけないと思うので、ぜひよろしくお願いします。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
門川委員の提案につきましても、ぜひ積極的に御検討いただければと思います。
続きまして、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
3点あります。
一つ目は、4ページ目の二つ目の○、学校のバリアフリーです。2021年の11月に文科省から学校施設におけるバリアフリー化のための方策等についてという事務連絡が出されているのですけれども、この事務連絡の活用をぜひ記載していただきたいと思います。2020年にバリアフリー法が改正されて、公立小中学校のバリアフリーが義務化されました。これを受けて、文科省では、調査研究協力者会議を開いて、2025年度末までの5年間に緊急かつ集中的に整備を行うための整備目標を定めています。これはすばらしい取組ですので、ぜひ記載していただきたいと思います。
二つ目は、1ページ目の「(1)インクルーシブ教育システムの推進」のところです。子供の数が減っているのに、特別支援学校、特別支援学級に在籍する子供の数が増えており、条約に逆行した状況になっています。この状況をどういうふうに捉えるのか、基本方針で触れる必要があると考えます。夏の対日審査の結果を踏まえて、改革を盛り込むべきだと思います。
三つ目は、2ページ目の8-(1)-6という記号が最後にあるところなのですけれども、通常学級だと、支援学級、支援学校と比べて合理的配慮の提供が十分に受けられていません。合理的配慮の格差について、解消策を盛り込むべきだと思います。就学奨励費は通常籍の障害児童生徒と支援級、支援学校の児童生徒では大きな格差があります。通常級だと様々な支援や合理的配慮が受けにくいシステムになっています。実際に相談のあった人の話では、通常級にいる知的障害と行動の障害のある子供さんなのですけれども、今年から親が付き添いをしないと学校に言ったところ、授業中の声かけをやめる、宿泊学習は連れていかない、プールも駄目とあらゆる駄目出しを言われているそうです。通常学級では配慮されずに、特別支援学級に行けという圧力になっているのではないかと思います。ぜひ御検討をいただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
大きな提案をいただきましたので、文科省からお考えを伺いたいと思います。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 文部科学省特別支援教育課でございます。
佐藤先生、御意見をありがとうございます。
三ついただいたかと思いまして、一つ目のところは、担当の者にも伝えたいと思います。バリアフリーに関する事務連絡についてのお話だったと思います。
2点目が大きな話でありましたが、まず3点目のところから先に申し上げますと、通常学級における合理的配慮ということをどういうふうに考えるのかといったような御指摘だったかと思います。
まず一つには、先ほど門川委員の御発言の中にもありましたが、外部人材たる特別支援教育支援員について、引き続き充実を図っていく必要があります。令和4年度は6万7300人分の経費を地方財政措置としております。自治体の実績等を踏まえながら年々拡充を図ってきているところであります。
加えて、それは外部人材の話でありましたけれども、先生方の御理解というものも引き続き大事なのだろうと考えてございまして、これは別のところにも書かせていただきましたけれども、全ての教員が特別支援の観点を御自身のキャリアの中で積んでいただくという方策をきっちり進めていくことで、通常級の合理的配慮を進めていくことなのかと考えておるというのが3点目の御指摘への回答でございます。
2点目のところに関しましては、おっしゃるように特別支援学校、特別支援学級に在籍するお子さんの数が増えているのは、全く御指摘のとおりです。特別支援学校につきましては、10年前と比較して1.2倍、特別支援学級も2倍ぐらいになっています。
ただ、数字を見ると、通常の学級に在籍をしながら週に1時間、2時間、特別な指導を受ける通級による指導が非常に伸びてきています。恐らく引き続き重要になってくるのだろうという考え方から、段階的な教員定数の基礎定数化というところがありましたけれども、そちらに引き続き取り組むといったことであるとか、ないしは平成30年度に制度化された高等学校における通級の話であるとか、そういった記載を盛り込ませていただいているところでございます。
雑駁ではございましたけれども、一旦、以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
佐藤委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○佐藤委員 ありがとうございます。
御回答いただいたのですけれども、通級が増えているところなのですが、条約は一般的な教育制度から排除されない、生活する地域社会において教育を受けるようにということを求めておりますので、ぜひそれを踏まえて御検討いただきたいと思います。
○石川委員長 それでは、続きまして、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
教育の環境の整備で4ページになるかと思いますけれども、上から四つ目の○のところで、特別支援学校教諭免許状の保有者の向上を目指すということで、専門性の向上のための施策を進めると書いていただきまして、ありがとうございました。
実際に特別支援学校では、特別支援教育の免許を持っておられる先生方がほぼ100%に近い状態になってきておりますので、そのことは私どもとしては高く評価しているところでございます。ついては、特別支援学級における免許所持者の割合を指標に盛り込んでいただきまして、質の高い教員が全国どこでも配置される状況を目指す方向にしていただけたらありがたいと思っております。
2点目でございますけれども、高等教育における支援の部分でございます。医療的ケア児の支援法の学校の適用範囲が高校までとなっておりますので、今後の問題だと思いますけれども、大学とか、専門学校などで学ぶ可能性が出てくると思いますので、そういう可能性が広がっていくような形を目指していただきたいと思っております。
以上でございます。
○石川委員長 御検討いただきたいと思います。
続きまして、玉木委員、お願いします。
○玉木委員 ありがとうございます。
今日は4点ぐらい話をしたいと思っています。
1点目は、基本的な考え方のインクルーシブ教育システムの推進のところなのですけれども、障害者基本法に入ってくることだと思うのですが、いつまで「可能な限り」という文言をつけていかなければいけないのかという疑問を感じました。というのも、先ほどしゃべられた委員の中でも言われていたように、原則は自分の校区にある学校に行って学ぶということが前提になってきていますから、それを保障していく環境であるということと、特別支援学校ですら障害別に分類されているので、実は障害者同士のインクルーシブということにも問題がある気がしています。
それと、今、初等中等教育と高等教育で分かれていて、高等教育における生涯学習の支援を推進していくことは、いいことではあると思うのですけれども、一方で、中等教育後期課程の高等学校は、実は義務教育でもなく、取り残されている感があるので、今後は高等学校における支援をどう推進していくかということが課題であるので、先ほども文科省から説明があった高校の通級指導ですけれども、それはいわゆる発達障害の方のベースの通級指導が多くて、いろんな障害のある人の通級指導がまだ出ていないということを感じます。
2点目としては、2ページの1個目です。「『社会モデル』の考え方も踏まえ、学校の教育活動全体を通じた障害に対する理解の促進や交流及び共同学習の在り方を周知するとともに」云々と書いてあるのですけれども、私が物足りないと思うことは、特別支援教育というと、障害のある子供のアプローチのことばかり書かれているのですが、その中で交流ベースで書かれていることに違和感があって、共同学習という言葉も抽象的であり、あえて言うとしたら、共に学べる場を保障するような、一歩踏み込んだ書きぶりなどをしてもらえたらいいと思っています。
最後ですけれども、教育の環境整備ということで書かれているのですけれども、1個目の○から3段目の「管理職を含む全ての教職員が障害に対する理解や特別支援教育に係る専門性を深める取組を推進する」と書いてあるのですが、これは前提として通常学級の指導教育の体制整備も含むという形で言ってもらいたいと思います。というのは、特別支援教育は特別支援学校や特別支援学級でやって、通常級は通常級に対応し得る障害のある子供しか通えないという印象が根づいてしまうのではないかということと、そこにも書いてある特別支援学校の免許状についても、もっと細分化されているわけであって、特別支援学校の先生の障害に対する指導教育方針がオールマイティーになっているかどうかというのはまた別の問題なので、だからこそ通常級をベースとしたどんな子供が来ても対応し得るような教育体制をつくってもらいたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
とりわけ1点目の大きな御意見というか、重要な御意見でもありますので、いつまで「可能な限り」と入れるのかという問いかけでもありましたので、文科省からお考えをお聞きしたいと思います。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) ありがとうございます。文部科学省特別支援教育課の宇野でございます。
1点目の共に過ごすというところの「可能な限り」をつけ続けるのはいかがなものかという御指摘があったかと思います。これも議論をさせていただいてきたことではあり、繰り返しが入ってしまって大変恐縮だと考えるのですが、間違いなく障害のある子供と障害のない子供が共に学ぶことの重要性は、増すことはあっても、減ずることはないのだろうということをはっきりと考えてございます。
ただ、一方で、文部科学省といたしましては、それのみならず、個々の障害の程度、教育的なニーズに応じた多様な学びの場を用意して、それぞれ充実を図っていくことが大事であろうという立場でございます。
もちろんそれは特別支援学校が就学先となったら、全く交流ができないということを意味するものではなく、最初に市川先生からもお話があったように、様々な形での交流というものは行われているわけではございますけれども、共に学ぶということと多様な学びの場の二つが重要であるという考え方を前提とした記載となっているところをまず申し上げたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございます。
教育の根幹に関わるところなので、すぐに対応していただきたいということかもしれませんけれども、共に学ぶということと多様な学びの場を保障する、この二つが二本柱だとお考えということなのですけれども、共に学ぶことを推進していく上では、共に学びつつそこで多様な学び方ができるような教育としていかないと、共に学ぶことにどうしても限界が出てきてしまうのではないか。多様な場で多様な学び方をするのではなくて、同じ場で多様な学び方ができるような教育への転換というものを一緒にやっていかないと、インクルーシブ教育は進まないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。即答は難しいかと思いますので、また御検討いただければと思います。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) かしこまりました。
○石川委員長 続きまして、河井委員、お願いします。
○河井委員 ありがとうございます。全肢連の河井です。
私からは、1点質問がございます。資料1の4ページ、上から三つ目の○の8-(2)-6、移動に係る支援のことなのですけれども、通学時の移動支援については、ずっと課題とされてきたように思っています。この表現は、前回の第4次と同じ表現になっているのですが、この間、各地域における教育と福祉部局との連携を促した結果、何か具体的な進展があったのか、なかったのか、その辺のことがもしあったら、伺いたいと思います。
以上です。
○石川委員長 文科省、お願いします。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 文科省特別支援教育課でございます。
ここの移動に係る支援の充実は、政策としては幾つかのものを含みますけれども、例えば就学奨励費であるとか、そういったものも含めますが、特に足元、教育と福祉部局との連携の結果、何か充実したのかということであれば、一つには、まず医療的ケア看護職員につきまして、医療的ケアが必要な児童生徒のために、当然学校生活の中で医療的ケアを行う看護職員の補助を充実してきているわけでございますが、通学時、登下校時も含めて看護職員を配置することが当然望ましいわけで、そのためにも令和3年度は2,400人分の経費だったところを、令和4年度は3,000人分ということで、予算に計上させていただいておりますし、自治体の方々の取組を聞きますと、例えば看護師の確保のために訪問看護ステーションといったところと契約を結んで、看護職員の方を派遣していただくような契約、連携を行って、上手に補助金を使っていただいているといったような事例もございますので、例えばそういったことが挙げられようかと思います。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、石橋委員、お願いします。
○石橋委員 全日本ろうあ連盟の石橋でございます。発言の機会をいただきありがとうございます。
意見として4点ほど申し上げたいと思います。
まず基本的な考え方は、社会モデル、これが基幹となります。誰一人として取り残されることがない社会の考え方を表現していくことが重要であります。
2ページの8-(1)-5になりますが、特別支援教育の中でスクールカウンセラーやソーシャルワーカー、言語聴覚士等々についての配置という記述がございます。
実際に特別支援学校を全体的に見ますと、配置ができるかどうかということがありますけれども、特別支援学校の中の聾学校、聴覚支援でのスクールカウンセラーの配置は非常に少ないわけです。というのは手話言語を獲得した、スクールカウンセラー、ソーシャルワーカーもそうですけれども、手話のできる人材が非常に乏しいという現実があります。
また、言語聴覚士も同じです。聴覚に対する知識を有する言語聴覚士というのは、数多くありません。本当に僅かです。ただ、配置して終わるという形骸的なものではなく、実質的に向上できるような、例えば研修の充実というようなことを記述していただきたい。
2番目ですが、同じように2ページの8-(1)-6になります。もう一つ、4ページの8-(2)-7、これは重複する部分になりますが、特に聾学校、特別支援学校の教員のことですけれども、人事異動が非常に多いということがあります。せっかく手話言語を習得した後すぐに人事異動、また新任の先生が来るということで、実際子供たちにどういう影響を与えるか。手話を十分に習得していない先生がそこで教鞭を執るという環境があるわけです。
どの程度手話言語を習得したらいいのかという基準は、文科省に聞くと各教育委員会に任せていると言い、教育委員会に聞くと、今度は文科省の指示に従う、ということで、教育委員会と文科省とのたらいまわしのような感じになっています。だから、どの程度まで手話言語を習得すべきか非常に不明確です。ですから、この辺も明確に盛り込んでいただきたい。
3点目ですが、4ページです。8-(3)-1です。高等教育機関でのことです。障害を持つ学生の支援につきまして記述がありますが、最近、コロナ禍でオンライン授業が確かに拡大をしております。聞こえない学生などに聞いてみると、情報保障が十分ではないという声があります。
手話通訳は、小さい画面を見なければならない。また、要約筆記の文字通訳につきましても、画面の中で非常に見づらい。発言は誰がしているのかということについても分かりづらい。ですから、授業で取り残されていく。この問題をどう考えるのかということが、今、課題として出ていますので、御検討いただきたい。
最後の4点目ですが、8-(3)-3になります。障害を持つ学生支援コーディネーターの配置です。実際に高等教育機関において配置があると思います。聾学生の意見交換の場で聞きますと、障害の特性を皆さんがよくお分かりになっていない。聴覚障害とは何なのか、手話言語とは何なのかということが十分分かっていない。一般的な知識で終わりという状況なので、深い相談等ができないという問題が多々出てきております。障害学生支援コーディネーターを配置してただ終わるだけはなく、しっかりと質の向上、質の担保の研修もぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
具体的な御提案でしたので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
続きまして、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。
3点、お願いします。
1点目は、私のこだわりなのかもしれませんが、書きぶりは逆ではないかと思っている点があります。冒頭の基本的な考え方の2文目のところで「また」以下があるのですけれども、下手くそですが、読み上げますと「また、高等教育における障害学生に対する支援を推進するため」の後ですけれども、「合理的配慮の提供等の一層の充実を図るとともに」が先に来ていて、その後ろに「障害学生に対する適切な支援を行うことができるよう環境整備に努める」、これは逆だと思うのです。すなわち、環境整備が十分に充実されて、それに上乗せすると言ったらよくないのでしょうか。それに加えた形で個別の合理的配慮を図るということが体系的な捉え方ではないかと思っていますので、書きぶりは逆にしたほうがいいのではないのかというのは、1点目の提案です。
次は、番号で言うと、8-(2)-4のところです。「デジタル教科書等の円滑な制作」等とあるわけですけれども、ここで入れていただきたい点が二つあります。
一つは、教材という言葉は含まれているのですけれども、デジタル化を図るときに必ず副教材というのでしょうか、それも含めて周辺の学習に必要なものがどれだけデジタル化されたり、あるいはアクセシビリティーのあるデジタル化された教材になっているかということが問われると思っていますので、そういう意味では、範囲について十分な学校の内外で使う教材も含めた全てのもののデジタル化が進む中で、かつアクセシビリティーを意識した制作をお願いしたいというのが2点目です。
3点目は、先ほどの河井委員と同じ指摘になるのですけれども、番号で言うと8-(2)-6です。通学支援の問題ですが、今の文科省の説明は、毎回そうなのですけれども、例えば奨励金による駐車場の確保などはあるのだけれども、個々の児童生徒の通学における支援というものが重要だと指摘されてきていると思うのです。それは医療ケア児の問題だけではないわけです。それが福祉との連携で実現するのか、それとも教育の行政の中だけで実現されるのか、よく分かりません。
ちなみに、通勤については、まさに福祉と雇用の連携によって通勤の支援が実現したわけです。そのことを考えますと、通学における介助について、必ずここに書き込んでいただきたいということがお願いです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
とりわけ3点目は大きいことだと思いますので、ここについて文科省のお考えをお聞きしたいと思います。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 竹下先生、御指摘いただきありがとうございます。
御指摘は、通学における介助を含めて、つまり移動に係る支援の充実に努めるという言葉にとどまらない介助という言葉を入れるべきではないかとの御指摘だったでしょうか。念のための確認でございました。
○竹下委員 竹下です。
おっしゃるとおりです。
○石川委員長 特に通学時も含めてということですね。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 通学時の介助という文言を入れるか否かにつきましては、例えば特別支援学校に通うお子さんについては、スクールバスという手段があることであるとか、御指摘の奨励費であるとか、あるいは医療的ケア児につきましては、看護職員の配置があることといった政策の全体像を踏まえながらではございますけれども、御指摘をいただきましたので、検討いたしたいと思います。
○石川委員長 よろしくお願いいたします。
○竹下委員 文科省、特別支援学校だけに限定したらいけないのです。この中でまさに地域の学校に通学している児童生徒についても触れているわけですから、その部分を意識しないと、我々のお願いしている点が十分に受け入れられてこないのではないかと思っていますので、そこを含めた点を御検討ください。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
御検討のほど、よろしくお願いいたします。
米山委員、お願いします。
○米山委員 全国児童発達支援協議会の米山です。よろしくお願いします。
4点ほどございます。
まず2ページの先ほどから御指摘のあります下から三つ目の○、医療的ケアを必要とするというところがあるのですけれども、今回、看護師の配置について医療的ケア児を訪問できて、整備がどんどん進んでいるのは、本当にありがたいところだと思います。
ただ、実際に看護師不足は全国で深刻で、それが実現しないという現状が把握されていらっしゃると思います。平成24年から医師法でといいますか、医療的ケアの中の教員もできるという特定行為です。特定行為研修をすると、教員も幾つかの分野で支援ができるということはされていて、学校によってはかなり進めているところもあります。
その現状も踏まえて、一番最後の行になりますけれども、「幼児児童生徒への支援体制」の中に「教員のできる特定行為研修も含め支援体制の整備に向けた調査研究等の施策の充実を努める」と入れてみたらいかがかと思いました。
実際には薬の予約についても、定時以外のものは医行為ですというような、範囲がかなり曖昧な部分もありますので、これはこの部分ではないのですけれども、その辺を少し丁寧に分けると、看護師でなくても、教員もより直接現場で支援ができると思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
その次に3ページになります。上から3個目の○です。障害者が就学前から卒業後まで切れ目のない支援はとても大事だと思いますが、特別支援学校も含めて学校卒業後の就労に向けたところ、いわゆる未就学から就学への以降、そういったことが基本法の中でも言われています。ここに「障害者が就学前から卒業後まで移行を含めた切れ目のない指導・支援」と書き込まれたらいかがでしょうか。
その次の行になるのですが、これは7月4日の委員会でも発言しましたが、例えば新生児聴覚スクリーニングなどの結果等は、母子手帳に細かく記載ができるようになっています。そういうことで、ここに母子手帳や幼児だけではなくて、乳幼児期生徒の成長の記録ということで、厚労省で平成26年からサポートファイルを作成していく意図のものだと思いますけれども、そのような書き込みにされたらどうでしょうかということがあります。
4ページになります。二つ目の○で災害のことを書いてございますけれども、今、小中学校も各地域で災害の避難所として協定を結んでいるところがたくさんございますし、特別支援学校もそのように福祉避難所として位置付けられて、各地域で進んでいるところがございます。
ここに書かれているバリアフリー化のトイレ等ということで書いてありますけれども、今、実際に電源の確保は、医療的ケア児が地域で通っている場合に電源の確保はとても重要なことでもありますので、例えば電源の確保とか、ICTとか、ソフト面、ハード面のこともあるので、それを全部書き込むのは難しいので、今日の後の協議の8ページ、防災のところに書いてあるのですけれども、一番上の○に「『福祉避難所の確保・運営ガイドライン』等を踏まえ」と書いてありますが、この文言を入れて、今のところに活用されることもある公立小中学校、特別支援学校も入っているのであれば、等の施設というところで、先ほど言いました福祉避難所の確保・災害時の運営ガイドラインに準じたソフト、ハード面の整備を推進するということで、トイレに限らず、その他の整備ということを入れてみたらいかがでしょうか。
最後になります。先ほどの切れ目のない支援のところにあったのですが、3ページに戻ってください。申し訳ございません。ここはとても大事で「医療、保健、福祉、労働等との連携の下」とございますが、平成26年からトライアングルプロジェクトがどんどん進んでいて、福祉との連携が進んでいると思います。それをより進めていくために、福祉の連携だと放課後児童クラブ、障害は放課後デイサービス等も入れた福祉とそこへ具体的に入れたほうが分かりやすいのではないかと思いました。
以上になります。
○石川委員長 御提案ありがとうございました。御検討いただきたいと思います。
続きまして、中野専門委員、お願いします。
○中野専門委員 慶應大学の中野です。
全部で大きく4つあります。個々の細かい点を含めて指摘させていただきます。
まず全体についてですが、改正障害者差別解消法で全ての学校に合理的配慮が義務化されることになったわけですから、この点を踏まえて全体の表現を書き直す必要があるのではないかと思います。これは全体に関してです。
基本的な考え方についてです。1ページ目ですけれども、中ほどに「高等教育における障害学生に対する支援」云々とあるのですが、先ほどの全ての学校に合理的配慮が義務化されたことを踏まえると、高等教育だけではなく、私立の学校、高等学校、インターナショナルスクール等の各種学校における合理的配慮の不提供に関する問題に言及すべきであろうと思います。先ほど高等学校の問題の指摘はありましたが、近年、インターナショナルスクールにいる障害のある児童生徒、学生の相談事例も多くございますので、その辺りも記載されるようにできるとよいと思います。
基本的な考え方の後のところに「障害者が学校卒業後も含めた」云々という、一生涯のことについて書いてあるのですが、一生涯ということであれば、「障害者が、就学前や学校卒業後も含めたその一生を通じて、」と記載すべきだろうと思います。
以上が基本的考え方についての指摘です。
2番目は「(1)インクルーシブ教育システムの推進」に関しての話です。2ページ目の最初の○のところに「『社会モデル』の考え方も踏まえ」と書いてあるのですが、これは「も」ではなく「を踏まえ」と変えるべきであろうと思います。
同じく2ページの三つ目の○のところに「校長のリーダーシップの下に」云々という記載がございます。学校長が必ずしも障害のある児童生徒への配慮について熟知されていないケースもあろうかと思います。そのため「校長のリーダーシップの下」の後に「障害当事者団体や障害児教育等の専門家の助言を受けつつ」としていただく必要があるのではないかと思います。
先ほど他の方から御指摘がありましたが、看護師等の専門家というのが挙がっているところで、先ほど門川委員からは、歩行訓練士という話が出ましたが、視能訓練士や公認心理師も専門家としては非常に重要な役割を既に果たしておりますので、ぜひ加えて「看護師、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、視能訓練士、公認心理師、歩行訓練士等の専門家」と変更していただきたいと思います。
「(2)教育環境の整備」についてです。3ページですけれども、最初の○のところで「管理職を含む全ての教職員が障害に対する理解や特別支援教育に係る専門性」と書いてあるのですが、これは「管理職を含む全ての教職員が障害の社会モデルに対する理解や特別支援教育に係る専門性」と明確にしたほうがよいのではないかと思いますので、ぜひ御検討をお願いします。
後半の説明で、先ほど文部科学省からは非常に重要な説明として赤字で記載していただいた「その際、柔軟な運用に配慮しつつ、小・中学校、高等学校等の全ての新規採用教員がおおむね10年目までの期間内において、特別支援学級の教師や、特別支援学校の教師を複数年経験することや、都道府県教育委員会等が策定する教員育成指標において特別支援教育を明確に位置づけることを目指す。」という記載の部分です。これは一見とてもよいことのように思えるのですが、専門性を有していない教員が特別支援学級や特別支援学校の教員を担当することになりますので、その結果、特別支援学校や特別支援学級の専門性を低下させる懸念があるのではないかと思います。
たしかこの点に関する懸念は、様々な団体から文部科学省に寄せられているのではないかと思います。特別支援学校や特別支援学級の先生方の中には、すべての教員が特別支援学校や特別支援学級を複数年経験することは理念として正しいと思うが、新人の先生方に対して様々な教員間での教育に時間を取られてしまうと、児童生徒に対する教育活動に影響が出る可能性があるのではないかという懸念を示しておられます。したがって、この赤字の部分の記載に関しては、かなりしっかりとそう言った懸念が生じないことを明確にした上で書き込んでいただくようにお願いしたいと思います。懸念がある以上は、これをそのままよしとしてよいのかどうかというところは、個人的には非常に悩むところでございます。
3ページ目の下から二つ目の○のところですけれども、その中で「幼稚園、小・中学校」云々という記載がありまして、そこに「特別支援教育のセンターとしての機能を充実する」と書いてあるのですが、センター機能を充実させるためには、センター機能に従事する教員を定数化することが必要不可欠だと思います。現在、そうなっていないために、センター機能を発揮しようとすると、校内の様々な支援が難しくなるような現状があるかと思いますので、インクルーシブ教育システムを進めていくためには非常に重要なことだと思いますので、センター機能に従事する教員の定数化をぜひとも御検討いただきたいと思います。
次は4ページの最初の○のところで、先ほど竹下委員から御指摘があった「デジタル教科書」のところですが、「アクセシブルなデジタル教科書」と書いていただきたいと思います。デジタル教科書全てがアクセシブルになっているわけではありませんので、アクセシビリティーは極めて重要な問題だと思いますので、ぜひともお願いします。
4ページの二つ目の○の学校施設のバリアフリー化に関して、先ほど幾つか議論がありましたが、ここでは公立小中学校施設に拡大されたところは評価しておりますが、改正法を考えますと、私立や大学等を含めて全ての学校施設にこれを広めていく努力をしていくということが書かれる必要性があるのではないかと思います。
4ページ目、上から三つ目の○です。「障害のある幼児児童生徒の学校教育活動」云々のところで、先ほど移動支援の話がありましたが、これは極めて大きな問題で、少なくとも視覚障害に関しては、連携は進んでおりませんで、移動支援が利用できないために適切な学びの場を選ぶことができないケースが出てきたり、家族が離職して送り迎えをしたり、事業者に高額な支払いをしているケースがあります。特に視覚障害のある児童生徒に関しては、単独で移動すると、命に関わる問題が生じる可能性がありますので、移動支援、特に通学における移動支援に関しては、福祉部局との連携を進めていただきたいと思います。
スクールバスの問題について言及されましたが、この問題については、既に全国調査を私どものところでさせていただいておりまして、スクールバスを運行していないところもありますし、バス停までの移動の問題も抱えております。研究データもございますので、参照していただき、ご検討いただきたいと思います。
長くなって申し訳ありませんが、4ページ目、四つ目の○です。特別支援教育に関する専門性に関する話で、これも先ほど御指摘がありましたが、特別支援教育に関する専門性だけではなく、各障害特性に対応できる専門性が極めて重要で、門川委員から御指摘がありましたように、例えば、点字や触図の作成やこれらを用いた指導、手話による指導等を行うためには、高い専門性が必要で、特別支援教育に関する免許を持っているだけでは、こういった指導は難しいと思いますし、コアカリキュラムだけでは、様々な点訳、例えば、英語や化学記号の点訳するための力は確保できないのではないかと思います。そういうようなことをぜひとも考えていただきたいということです。
関連して門川委員からお話がありましたが、せっかく専門家がいるにもかかわらず、人事異動等によって、その専門家が有効活用されていないことがございます。特に視覚障害、聴覚障害については、強くそういった問題が指摘されておりますので、校内に一定数の専門家を置くような人事異動に関する配慮ができないかという記述ができるとありがたいと思います。
復籍、二重籍の問題の指摘がありましたけれども、例えば乳幼児の場合には、地域の保育園や幼稚園での学びと特別支援学校での障害特性に応じた学びの両方が必要です。そう考えると、復籍、二重籍に関しては、今、議論されているよりもより広く柔軟な対応を御検討いただければと思います。
最後です。高等教育における障害学生支援ですが、通信教育課程や大学院での支援も必要なことが分かるように明記していただきたいことと、大学においても通学支援の課題があることについて、どこかに記載していただきたいと思います。
以上です。長くなって申し訳ありません。
○石川委員長 ありがとうございました。ぜひ御検討いただきたいと思います。
私に入っている事前情報で、高等教育局の学生・留学生課は、2時15分目途に御退席の予定とお聞きしているのですが、まだいらっしゃいますでしょうか。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 文科省でございます。
大変失礼しました。学生・留学生課の担当者は、まだ席におります。
○石川委員長 ありがとうございます。
次、加野委員なのですけれども、私、その次なのですが、先に質問させていただいてよろしいでしょうか。高等教育に関わるところだけ、質問させてください。
成果目標なのですけれども、第4次の基本計画のときに設定していただいた目標を基本的に第5次でもそのまま継続ということで、それは依然として成果目標は意義があるというか、重要な指標だと考えていますけれども、ただ、本文にそれに対応した施策が書き切れていないというか、かなり落ちているように思うのですけれども、それは追記していただけないでしょうか。追記が可能かどうか、せっかくなので学生・留学生課から御回答いただけるとありがたいです。
もう1点、中野専門委員が全体について書き直しが必要とおっしゃったことと重複はするのですけれども、高等教育の1番目の○のところも同じことが言えて、「配慮」とか「支援」という言葉がここでは使われていて、合理的配慮とか、差別解消法の区分に基づいた書き方になっていないように思いますけれども、いかがでしょうか。
もう一つは、私立大学の改正差別解消法の施行後の対応について、周知徹底を図る施策が必要だと思いますが、その点についても書き加えていただけるとよいかと思うのですが、せっかくなので、御発言いただければと思います。よろしくお願いします。
○文部科学省(高等教育局学生・留学生課 小栗課長補佐) 学生・留学生課の課長補佐の小栗と申します。
最初の御指摘の書き切れていない点というのは、具体的にどこでしょうか。
○石川委員長 たくさん漏れていると思うのですけれども、例えば合理的配慮をめぐっての調整機能の設置であるとか、あるいはキャリア支援であるとか、そういった重要な成果目標が挙がっているのですけれども、それに対応した施策が本文の中に書き切れていないように思うのです。
○文部科学省(高等教育局学生・留学生課 小栗課長補佐) 一度確認して、必要な修正を図りたいと思います。
○石川委員長 整合性を確保して、施策にないことが成果目標になっているのはまずいと思うので、成果目標は重要なので、それに対応した施策も入れていただきたいという趣旨です。
○文部科学省(高等教育局学生・留学生課 小栗課長補佐) 承知しました。
あと、書きぶりが「配慮」になっていて、「合理的配慮」ときちんとなっていないところについては、修正させていただきます。
最後の私立大学のことにつきましては、初等段階も含めて全てに係る話であると思いますので、特別支援教育課と調整の上で必要な修正を図りたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。よろしくお願いします。
加野委員、お待たせしました。お願いします。
○加野委員 加野です。ありがとうございます。
3点あります。
1点目は、1ページの(1)の最初の○のところで、途中、石川委員長からお話のあったところなのですけれども、共に学ぶというところが一番重要ではないかというところで、インクルーシブな環境で個別のニーズに応じた支援が行われることがインクルーシブ教育の目標だったと思うのですけれども、現実には通常学級で十分な支援が得られないために、特別支援学級、特別支援学校を選択することになってしまっているのが現状だと思います。
そのため、このままだと幾ら特別支援学校を増設しても足りないというような状況になっているのが現在だと思います。障害の有無にかかわらず、共に教育を受けられるように条件整備を進めることが重要だというところが、最初の○の中でもう少し御検討いただけないのかというところで、インクルーシブ教育システムの推進とありますけれども、端的にインクルーシブ教育の推進とならないのか。これが一番の大きな議論で、御検討いただきたいところです。
2点目は、それに関連してなのですけれども、関連成果目標案の最初のところで、個別の指導計画や個別の教育支援計画の活用というところがございますが、これは支援学級とか、支援学校では当然個別の指導計画はつくられているので、パーセンテージもある程度高いものになっていると思うのですが、今、お話ししたようなところからすると、通常学級でどれだけ通常学級に在籍している障害のある子供たちに対して、個別の支援計画がつくられているかというところが重要だと思いますので、そういうところが分かるような数値目標ができないのかということが2点目です。
3点目は、2ページ目の上から三つ目の○、皆様、いろいろ御指摘があったところなのですが、「学校が組織として、障害のある幼児児童生徒の多様なニーズに応じた支援を提供できるよう促す」とある「学校が」というところなのですが、後ろに「幼児」もありますので、ここはそういう意味だとは思うのですが、念のため「全ての学校が」というところで意味を明確にすることができないかということが意見です。
ありがとうございます。
○石川委員長 ありがとうございました。ぜひ御検討をいただきたいと思います。
続きまして、北川委員、お願いいたします。
○北川委員 日本知的障害福祉協会の北川です。
今、加野委員もおっしゃったように、石川委員長もおっしゃっていましたけれども、私も同じ場で共に学びつつ多様な学びの場を保障していくことが大切だと思います。同じ学校で障害のある子もない子も全ての子供たちがこの学校の大切な子供であることを、まず教師である大人の価値観が子供にすごく影響すると思うし、そのことが地域全体の共生社会につながると思います。
質問なのですけれども、私も現場で子供を見ていると、子供というのはすぐ成長してしまうので、いつの日かこうなるというところを待っていないといけないということが大変心苦しく思うのですけれども、加野委員もおっしゃっていたのですが、2ページ目の8-(1)-5ですけれども、ここが校長のリーダーシップの中で様々な職種、ST、OT、BT、ソーシャルワーカーなどが学校組織として障害のある幼児児童生徒の多様なニーズに応じた支援を提供できるように促すというところで質問なのですけれども、普通の地域の通常学級もこれを可能とされるのか。それであれば、地域の学校に障害のある子供たちも行けるのではないかと思います。これが一つの質問です。
それと、もう一つは、インクルーシブを実現していくために福祉との連携も大事だと思います。先ほど米山委員もおっしゃっていましたけれども、放課後デイとの連携とか、福祉の中では保育所等訪問支援事業などがありますので、福祉部局とももっと連携した形で学校がサポートに入ることができるとか、障害のある子も今は特別支援学校の子供も不登校の子供がいる時代です。ですから、学校に行けるように家庭を支えることも非常に重要な福祉の役割になっていますので、福祉部局との連携をもっと進めることが大事なのではないかと思いますので、この辺も教えていただければと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
質問がございましたので、文科省、御回答をお願いできますでしょうか。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) もちろんでございます。御質問をいただきありがとうございます。文部科学省の宇野と申します。
8-(1)-5のところでございまして、加野委員との御指摘とも重なる部分でございますが、学校というのは、地域の小中学校も含めてでございます。全ての学校に障害のある子供が在籍する、あるいは在籍し得るということが基本だと考えてございますので、別段、ここの学校というのは、特別支援学校に限っているとか、そういうことではございませんし、そうであれば、書き方の工夫というのは、御指摘のとおりだと思いましたので、その点は記載を検討いたしたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。この点は、北川委員も加野委員もほかの委員も賛成していただけると思います。
どうぞ。
○北川委員 これは例えば全国に何校か地域の小学校がモデル校として実際に行っていくことは可能なのでしょうか。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐)文部科学省で予算事業を行っておりまして、その中の一つのメニューに例えばそういう作業療法士であるとか、理学療法士の方々といった外部専門家の活用をするための事業がございますので、そういった制度等も活用することは可能になっている状態でございます。
○北川委員 ありがとうございます。
○石川委員長 北川委員、よろしいでしょうか。
○北川委員 はい。
○石川委員長 1点、付言させていただきたかったことは、多様な学び方は、障害があることに対してのみ適用すべきことであるということではなくて、一方で、標準的な学び方を提供する、障害のない子供たちと呼び、多様な学び方を提供する。子供たちを障害のある子供たちとするのではなくて、あらゆる子供たちに対してそれぞれに対応した多様な学び方を提供する方向、それを追求していかないといけないのではないかということが私の先ほどの発言の趣旨でしたので、付言させていただきたいと思います。
宮本専門委員、お願いします。
○宮本専門委員 宮本です。ありがとうございます。
1点あります。性教育問題が見当たりませんので、これは3ページの「(2)教育環境の整備」に入るのでしょうか。学校においても、避妊講座においても、性教育にアクセスできるようにするということを加えていただきたいと思います。
理由としては、特に特別支援学校や学級の性教育は少ないと思います。これは自立生活や保健、医療とも関連し合う課題ではないかと思っております。
以上です。
○石川委員長 新しい御提案なので、文科省からお考えをお聞きしたいと思います。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 宇野課長補佐) 御指摘ありがとうございます。
現時点で基本計画の案文の中で御指摘の性教育へのアクセスを念頭に置いている記載はございません。御指摘については、担当とも協議をして対応を検討いたします。
○石川委員長 大塚委員、お願いします。
○大塚委員 ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの大塚です。
中野専門委員と同じところであります。一つは、資料1でありますと、2ページの三つ目の○、専門職がいろいろ出てきますけれども、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、看護師、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士、ほかの分野においても、専門職を出すときは公認心理師が国家資格になったことと、様々な専門的な見地からいろんなところと連携するということで、重要な職業だと思っておりますので、ほかのところとの並びも含めて、公認心理師を入れていただきたいと思います。
3ページの(2)の一つ目の○です。これについても中野専門委員と問題意識は同じです。一般のこれから新任で仕事を始める教員の方が特別支援教育の分野に置いて仕事をすることは一つの理想であって、特別支援教育を広めていく、あるいは障害のある方に対する理解も含めて非常に大切な観点ではありますけれども、この文面の前提としては、例えば特別支援学校教諭免許状を全ての方に取らせていただいてやっていくとか、今のシステムの中においても、一般の教員になるためにも障害のあることに関するカリキュラム上のことについては、一般的には非常に少ない。もっと障害のある方に増やしてほしい。
ただ、ほかとの並びがあるので、学生の負担になりますから、バランスが難しいわけです。少なくとも特別支援教育教諭免許状のない方がやるということであれば、何かしらの担保が必要です。カリキュラムを増やすとか、こういうことの意図をもって可能だからやっていくのだと、そういう道筋をつけていただきたいと思っています。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。御検討をいただきたいと思います。
米山委員、手を挙げていらっしゃいますので、どうぞ。
○米山委員 米山です。
先ほど指摘を一つ忘れました。3ページの三つ目の○です。先ほどから何回も指摘している部分ですけれども、ここの3行目のところに「共有・活用するため、保護者の参画を得つつ」とありますが、障害の子供の権利ということで意見表明権のことは前回もお話がありましたが、やはりここは「子供本人・保護者の参画を得つつ」と子供の意見を聞くことが大事だと思います。
就学に当たっては、本人と保護者に意見を聞くことが2ページの○の1個目のところにも書いてありますが、同じように連携に当たって子供の意見も尊重していただければと思いますので、「本人・保護者」と入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしくお願いします。
○石川委員長 御提案をありがとうございます。御検討をお願いしたいと思います。
「8.教育の振興」に関わる審議については、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
今日の様々な各委員の御意見等を踏まえまして、各担当省庁、内閣府で調整をお願いできればと思います。どうもありがとうございました。
それでは、若干時間が押しておりますけれども、もしよろしければ、このまま次の「4.防災、防犯等の推進」の審議に入りたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
基本的な考え方について、事務局から読み上げをお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
資料1は7ページ、資料2は9ページでございます。「4.防災、防犯等の推進」です。
基本的考え方「障害者が地域社会において安全に安心して生活することができるよう、第3回国連防災世界会議で採択された『仙台防災枠組2015-2030』を踏まえつつ、災害に強い地域づくりを推進するとともに、災害発生時における障害特性に配慮した適切な情報保障や避難支援、福祉避難所(福祉避難スペース)を含む避難所や応急仮設住宅の確保、福祉・医療サービスの継続等を行うことができるよう、防災や復興に向けた取組を推進する。また、障害者を犯罪被害や消費者被害から守るため、防犯対策や消費者トラブルの防止に向けた取組を推進する。」
以上でございます。
○石川委員長 続きまして、関係省庁としまして、まず内閣府防災から説明をお願いします。
○内閣府(政策統括官(防災担当)付参事官(総括担当)信太参事官補佐) 内閣府防災担当でございます。
順次、関連する部分について、説明をしてまいります。
「(1)防災対策の推進」でございます。
一番最初の4-(1)-1でございますが、「障害者や福祉関係者等の参加及び防災関係部局と福祉関係部局の連携の下での、地域防災計画等の作成、防災訓練の実施等の取組を促進し、災害に強い地域づくりを推進する」としております。
具体的には地域防災計画を策定します地方防災会議への委員の任命など、防災に関連します政策、方針決定過程や防災の現場におきまして、障害者などの参画を拡大しまして、多様な視点を取り入れることを示してございます。
訓練に関する考え方を示しました総合防災訓練大綱におきましても、地方公共団体が行う訓練としまして、障害をお持ちの方を含む要配慮者でございますとか、要配慮者の方が利用します施設の管理者などの参画を得ながら、防災訓練を実施し、訓練で得られた課題への改善策の検討などを通じまして、避難支援等の体制の整備に努めていくという考え方を示しているところでございます。
○内閣府(政策統括官(防災担当)付参事官(避難生活担当)藤田参事官補佐)次でございます。三つ目の4-(1)-3、4-(1)-4について御説明いたします。こちらは「災害発生時、又は災害が発生するおそれがある場合に障害者に対して適切に情報を伝達できるよう、民間事業者、消防機関、都道府県警察等の協力を得つつ、障害特性に配慮した情報伝達の体制の整備を促進する」というもの、それから「障害者に対する適切な避難支援やその後の安否確認を行うことができるよう、必要な体制整備を支援する」というものでございます。
こちらにつきましては、災害対策基本法は、令和3年の5月に改正されておりますけれども、災害対策基本法などの関係する法令、また、防災基本計画など、関係する計画に基づき、ガイドラインなどをお示ししつつ、対応しているところでございます。
○内閣府(政策統括官(防災担当)付参事官(避難生活担当)伊藤参事官補佐) 恐縮です。これから避難所及び応急仮設住宅での取組につきまして、説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
令和3年5月の災害対策基本法施行規則の改正による指定避難所の事項につきましては、市町村長は指定福祉避難所ごとに受入れ対象者を特定して、あらかじめ受入れ対象者とその家族のみが避難する施設であることを明確化することが可能になってございます。
受入れ対象者を特定することは、受入れ対象者への支援内容の検討や必要な物資の備蓄、設備の準備等を一層進めるとともに、一般の避難所で過ごすことが困難を伴う障害者の方々等の指定福祉避難所への直接の避難を促進していくことにもつながると考えられます。
内閣府では、令和3年5月に改定いたしております福祉避難所の確保・運営ガイドライン等を通じ、避難所における障害者の方々への市町村の取組を促しているところでございます。
また、応急仮設住宅につきましては、バリアフリー仕様となるよう、できる限り配慮すべきこととしてございまして、段差の少ないものの提供なども行っているところでございます。福祉仮設住宅につきましても、設置することが可能としております。
引き続き障害者や高齢者等の日常生活に配慮すべき点につきまして、ニーズを把握し、取組を促してまいります。
避難所、応急仮設住宅につきましては、以上でございます。
○石川委員長 内閣府防災は以上でしょうか。
○内閣府(政策統括官(防災担当)付参事官(総括担当)信太参事官補佐) 内閣府防災からは以上でございます。
○石川委員長 了解です。
続きまして、警察庁、お願いいたします。
○警察庁(長官官房企画課 松本課長補佐) 警察庁の松本と申します。よろしくお願いいたします。
私ども警察の政策につきましては、お手元の資料1の7ページ、4の「(1)防災対策の推進」の中の3点目からでございます。「災害発生時、又は災害が発生するおそれがある場合に障害者に対して適切に情報を伝達できるよう、民間事業者、消防機関、都道府県警察等の協力を得つつ」と記載してございますけれども、私ども警察では、実際に災害の場面で住民の皆さんに避難を呼びかける、避難を誘導するという場面がございます。そうした場合に、特にコミュニケーション上、重要となることは、視覚障害者、聴覚障害者、また、盲聾者といった方々だと考えております。
警察庁としては、都道府県警察に対して研修を行っておりまして、その中で拡声器では伝わらない聴覚障害者の方に対して、手書きメモなどを使って、しっかりと情報を伝達し、取り残されないようにすることを指導しておるところでございます。
視覚障害者の方に対しては、あちら、こちらといった指示語が伝わらないということで、しっかりその方が向いている方向からどちらの方へというようなことを御説明することも教材の中に盛り込ませていただきまして、指導しておるところでございます。
その次ですけれども、4-(1)-4でございます。ここは障害者に対する適切な避難支援を盛り込んでおります。例えば移動の困難な身体障害者の方への目配り、そういった方がしっかりと避難できるように誘導すること、そして、視覚障害者の方の誘導につきましては、特にやり方を映像コンテンツでしっかりと説明した資料をつくって、これを都道府県警察に配付しておるところでございます。
知識がない者は視覚障害者の方の腕を突然つかんで、引っ張って誘導してしまうということもございますので、肘や肩を貸して、そこを持っていただいて、ゆっくりと歩くということなどを指導する内容になっております。
防犯対策に参ります。資料1の9ページでございます。
4-(3)-1でございますけれども、スマートフォン等で利用できる110番アプリシステムについてでございます。これは聴覚に障害のある方や言語障害があって、音声による110番通報ができない方が文字で警察に通報できるというものでございまして、現在、既に全国で運用が始まっておるところでございます。110番アプリシステムの利用の広報を推進するということと、また、これで実際に通報がなされた場合の対処について、しっかり漏れがないようにすることを都道府県警察に対して指導してまいります。
4-(3)-2でございますけれども、これは警察職員に対する障害者とのコミュニケーションの研修の充実でございます。よく障害がある方と障害のない方とが交通事故にあったときに、一方当事者の話ばかり、聞きやすいほうから聞き取りを先にしてしまうとか、そういった問題が生じないように、しっかりと障害者の方とのコミュニケーション手法を勉強する、学習することを進めておるところでございます。
交番にはコミュニケーション支援ボードを配備いたしまして、知的障害者の方などとのコミュニケーションが円滑に進むようにという工夫をしてございまして、これを推進してまいります。
最後が4-(3)-3でございます。「警察と地域の障害者団体、福祉施設、行政等との連携の推進等により、犯罪被害の防止と犯罪被害の早期発見に努める」ということを盛り込ませていただきました。
これは警察署におきまして、平素から地域の様々な団体の方と関係を構築いたしまして、防犯の相談をしやすい環境をつくってございます。その中にしっかりと障害者団体とも関係が構築できるように、警察側からアプローチをしていくことを進めてまいります。
警察庁の施策につきましては、以上でございます。
○石川委員長 どうもありがとうございました。
それでは、審議に入りたいと思います。御意見、御質問のある委員は、挙手ボタンで意思表示をお願いいたします。最初に竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日視連の竹下です。
3点について指摘させていただきます。
最初は、4-(1)-3のところで、災害発生時及び災害発生後における情報保障の問題なのですけれども、ここでは書きぶりとしてこれでは進まないのではないかというような「情報伝達の体制の整備を促進する」しかないわけです。体制の整備は当然そうなのだけれども、情報の伝達は、その方法であったり、かつ全ての障害の種別に対応できる内容で体制がつくられるべきであって、伝達の体制を超えて、情報伝達の方法についても、きちっと書き込むべきではないかと思っての1点です。
2点目は、そのすぐ後の4-(1)-4になりますけれども、この部分で地方自治体による要配慮者に対する個別支援計画というのは、非常に遅れていると認識しています。したがって、この書きぶりでは、第4次と何も変わっていかないのではないかということを懸念しています。この書きぶりとしては、第5次の基本計画においては、個別支援計画がより進むための書きぶりをお願いしたいと思っております。
最後、3点目は、総論のところでかつても触れたのですけれども、防犯のところで、女性に対する暴力等の関係ですけれども、10ページの冒頭になると思うのですが、この書きぶりは、前回も申し上げましたが、障害のある女性を含むという当たり前のことしか書いてないわけで、被害を受けやすい女性であることを踏まえた障害のある女性に対する防犯体制をどう考えるとか、あるいは救済についての書きぶりをきちっとすべきではないかと思っております。
以上です。
○石川委員長 まず内閣府防災、いかがでしょうか。
○内閣府(政策統括官(防災担当)付参事官(避難生活担当)藤田参事官補佐) 内閣府防災でございます。竹下先生、ありがとうございます。
最初の4-(1)-3の方法についても書き込むべきではないかというところでございますが、ここのところは、先生の御指摘については、現在の案文では「障害特性に配慮した情報伝達」ということでございますので、この中に方法なども含まれておるものと受け止めておるところでございます。
次に4-(1)-4でございますけれども、避難計画の作成が遅れているのではないかというところでございますが、本年1月1日現在の状況を調査したところでございます。個別避難計画の作成は、防災と福祉の連携など、市役所、町役場、村役場の中での連携、さらには地域の防災の関係者、地域にいらっしゃるケアマネジャーさんとか、相談支援専門員さんなど、障害のある人たちのことをよく知る方との連携、御本人、家族、障害者団体の皆さん、そういう様々な関係者との連携が必要になってくるところでございます。そういう様々な関係者との連携を可能にするためには、防災部局だけが頑張ってもできません。
そういうときにまず必要なのは、役所や役場の中の関係課がしっかり連携をすることです。今、そういう連携に取り組んでいるところでございまして、そういう取組には、おおよそ8割程度の団体で、何かしらの連携の取組が行われるようになってきた状況でございます。これが法改正されまして、個別避難計画が法制化されて7か月程度の状況であり、市町村は、ここまでやってきておるところでございます。
地方公共団体におきましては、着実に取組が進められているところでございまして、まさに個別避難計画をつくっていくためには、体制整備が一番重要なところでございまして、そこを今回の計画の中では書いていただいているところでございますので、個別避難計画の作成に重要な部分をしっかりやるようにといただいておるものと考えておりますので、このような計画を踏まえまして、地方公共団体、関係省庁とも連携いたしまして、要支援者の方の避難支援が実効性あるものとなるよう取り組んでいきたい、このように考えておるところでございます。
内閣防災からは以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
被害に遭いやすいということも表現の中に入れていただきたいということなのですけれども、警察庁、いかがでしょうか。
○警察庁(長官官房企画課 松本課長補佐) 警察庁でございます。
4-(3)-5でございますが、女性に対する暴力をなくす運動です。実はここの担当が内閣府の男女共同参画局の担当となっておりまして、ここにございますワンストップ支援センターとか、配偶者暴力相談支援センター、こういったところはそちらの内閣府さんの所管となっておるところでございます。なので、そこのセンターで障害を持った女性ならではのケアの方法とか、そういった施策については、検討していただくことになると思います。
警察としましても、実際に被害が起きてしまった場合には、その被害の捜査につなげていくための聞き取りを警察が行うことになりますので、その際に障害がある方に特に特化してケアしなければならない点をしっかりと都道府県警察にも指導していく必要があると感じております。その点については、しっかりと検討してまいりたいと思っております。ありがとうございます。
○石川委員長 よろしくお願いいたします。
続きまして、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。連合の佐保です。
資料1の7ページ「(1)防災対策の推進」ですが、項目の記載順について精査してはどうかと思います。例えば8ページの二つ目の○は、災害発生後に関する項目ですが、三つ目の〇は災害時、四つ目や五つ目の○は災害に備えるための項目となっており、分かりにくい印象を受けます。災害への事前の備え、災害時、災害後と並び替えることを検討していただきたいと思います。
あわせて、8ページの五つ目の○のハザードマップは、水害に限定する必要があるのかも検討していただきたいと思います。水害以外に土砂災害、津波、高潮など、複数の情報を含めて個々の状況に合ったマップの作成を促進したほうがよいと考えております。
私からは以上です。
○石川委員長 御提案をありがとうございます。ぜひ御検討いただきたいと思います。
続きまして、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
8ページ目の4-(1)-5のところなのですけれども、避難所、応急仮設住宅のバリアフリー化を推進するとあるのですが、バリアフリー化、ユニバーサルデザインを標準化するとしていただきたいと思います。
仮設住宅のバリアフリー化をされたのは非常に少なくて、災害時は非常に混乱しておりますので、バリアフリー住宅に障害者が住めなくて、行ってみると、障害のない人が住んでいるという不適切なマッチングがよくあります。こういったことをなくすために、初めから段差を解消したユニバーサルデザインの仮設住宅とか、避難所にしておけば、こういったことは防がれます。
近年、条例でホテルの一般客室のユニバーサルデザインの義務づけが広がっておりますので、ぜひ仮設住宅でもそういった取組を進めていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
内閣府防災、いかがでしょうか。
○内閣府(政策統括官(防災担当)付参事官(被災者生活再建担当)付安東主査)内閣府防災の安東と申します。佐藤先生、ありがとうございました。
御指摘のとおり、ユニバーサルデザインに配慮した住宅は大変重要です。誰にとっても利用しやすいことから、今後とも自治体と連携し、災害時の住まいの確保を迅速に図れるように進めてまいりたいと思います。御意見をありがとうございました。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
できるだけ標準化に近い書きぶりが可能であれば、望ましいと思いますので、よろしく御検討ください。
三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 ありがとうございます。全国身障協の三浦です。
質問が1点と提案を2点させてください。
資料1の7ページ、4-(1)-1の部分ですけれども、この部分で先ほど説明の中では、地域防災会議などへの障害当事者の方々の参画という話もありましたが、その参画されているのが都道府県別でデータがあるかということを質問します。
数値目標を見ましても、目標分野のところに防災会議への障害当事者の方々の参画の目標設定はされていないので、こちらでも確認ができなかったので、もしお手持ちのデータがあるのなら、教えてください。
熊本県でも、4月から男女共同参画の後半に出てくる部分は、相当に反映される地域防災会議になったのですが、障害当事者の方の参画が得られてなく、参画を求める発言をしてきたところです。全国の様子が分からないので、教えてください。そして、目標分野に設定していただきたいということが提案です。
もう一つは、同じく7ページの一番下の4-(1)-4です。先ほど竹下委員が言われたこととも連動するのですけれども、居住している市の担当者、県の担当者と話し合い、地域防災会議でもこのことを質問しました。個別避難計画は、市の担当者は何割策定できていますとおっしゃるのですけれども、ケアマネジャーも相談支援専門員も残念ながらそれを見たことがある人はいないのです。避難ですから、誰かが支えなければいけないのですが、周りの人々が知りません。
国のガイドラインは、昨年5月の法改正後に大変丁寧な説明とすばらしい論旨で書いていただいているので、このまま実行されたらいい内容になると期待しているところなのですけれども、それが末端まで広がっていないので、ここに書き込んでいただくことが重要だと思います。
修文提案なのですけれども、8ページ目の一番上のところで、地方公共団体が防災福祉部局との連携の下、実効性のある個別支援計画等の策定を推進し、計画に基づいて必要な体制整備を支援するというような、幾らか強調して、推進するということを入れていただきたいのが意見です。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。時間の関係もあるので、御提案については、御検討をいただきたいと思います。
1点、質問がありましたので、参画についてのデータがあるのかどうかだけ、お願いします。
○内閣府(政策統括官(防災担当)付参事官(総括担当)信太参事官補佐) 内閣府防災担当でございます。
内閣府では、委員から御質問があった点については、具体的に把握しているデータは持ち合わせていないのですけれども、地方公共団体の話でございますので、消防庁さんで何かあれば、お答えいただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。
○石川委員長 今日、消防庁はいらっしゃいますか。
○消防庁(国民保護・防災部防災課 鈴木課長補佐) 消防庁でございます。
申し訳ございません。消防庁でもこうしたデータは現時点では把握してございません。
以上でございます。
○石川委員長 どこかにデータがあるかどうか、内閣府で確認を後ほどお願いできればと思います。
続きまして、阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
私がお話ししたかったことは、ただいま三浦委員が質問していただいた内容の4-(1)-1の内容です。仙台防災枠組で初めて障害者がステークホルダーになって、障害者の参画の意義が強くうたわれて、障害者及び障害者団体の関与は、ユニバーサルデザインに基づいた防災から重要だということが仙台防災枠組でもうたわれているところです。
そういうことでありまして、防災関係は、地方公共団体が取り組むことでありますので、このことに関して、障害者が参画しているということはとても大事なことだと思います。この内容は、三浦委員の御指摘のとおりです。ぜひ調査していただいて、成果目標に入れていただければと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
私も、今、お話があった7ページの「4.防災、防犯等の推進」の中の「(1)防災対策の推進」のところで、地域防災計画等の作成のところに障害者がどれくらい関わっているのかということを質問させていただこうと思っておりましたので、後で数値が分かればということと、防災計画に当事者の声を反映させることをより積極的に進めていくべきと考えております。災害弱者と言われ、また、避難所での様々な課題に直面する障害がある立場の人、さらに障害がある女性の参加も推し進める必要があると考えています。ぜひ数値目標に設定することを私からも提案をさせていただきます。
もう1点です。防災対策の推進の内容を見ますと、避難すること、避難させることが前提の内容になっているように読み取れます。精神障害がある人や発達障害の方、障害特性等によって自宅にとどまる選択をする人が一定数いるということが想定されます。そのような方々への支援体制については触れられていないようですので、障害特性から自宅待機を選択せざるを得ない状況の人への支援体制について書き込んでいただけたらと思います。
以上です。
○石川委員長 御検討いただきたいと思います。
続きまして、玉木委員、お願いします。
○玉木委員 ありがとうございます。
1点だけ、資料1の9ページの「(3)防災対策の推進」の○の二つ目、「警察職員に対し障害及び障害者に対する理解を深めるための研修の充実に取り組むとともに」云々とあるところなのですけれども、ここに書かれていることはすごくありがたいことなのですが、実は現場で私も経験しているんですけれども、障害のない人とコミュニケーションを図るという状況も多く生まれてきて、いずれにしても、まずは本人ときちんと向き合って、本人とコミュニケーションを主体的に警察職員の方には図っていただきたい。そこら辺のことも含めて、障害の理解を深めるための研修では、本人とのコミュニケーションを深めるということを念頭に置いていただければと思います。
以上です。
○石川委員長 御意見ありがとうございます。御検討いただきたいと思います。
安部井委員、お願いいたします。
○安部井委員 全国重症心身障害者児(者)を守る会の安部井でございます。ありがとうございます。
明確にどこに入るか分からないのですが、4-(1)に当てはまるのでしょうか。電源確保の視点も取り入れていただくようにお願いいたします。6月末の猛暑では、熱中症への対処として、適切なエアコンの使用が呼びかけられましたが、発電量の心配があり、節電も呼びかけられました。電源を必要として命をつないでいる重症児者や医療的ケア児者は自助努力によって電源確保の備えをしておりますが、長時間となると自力で電力量を確保することが困難になります。ぜひとも電源確保についても触れていただきたいと思います。最近の猛暑を災害と捉えるという新しい視点も必要なのではないでしょうか。重度障害者の命を守るために、ぜひお願いいたします。
2点目です。8ページ目、四つ目の○の4-(1)-6になるのでしょうか。在宅で生活する重度障害者の福祉避難所は、ネットワークではなく、あらかじめ医療機関、それも災害が発生した県以外のところと協定を義務づけることや、協定を結んだ医療機関を周知することが必要なのではないでしょうか。これも命を守るためには必要です。ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。電源確保は非常に重要だと思います。具体的にどういうことが書き込めるかについては、ぜひ御検討いただきたいと思います。
中野専門委員、お願いします。
○中野専門委員 慶應義塾大学の中野です。
三つございます。
1番目は、基本的な考え方のところで、「災害発生時における障害特性に配慮した適切な情報保障や避難支援」と書いてあるのですが、これは以前にも申し上げたのですが、災害発生時だけではなく、防災・防犯に関する情報保障も入れていただくようにお願いしたいと思います。
2番目は「(1)防災対策の推進」の三つ目の○のところに、災害発生時の情報伝達体制の整備の推進についての言及がございます。先ほど竹下委員からも御指摘があったのですが、この中に民間事業者と書かれているのですが、民間事業者の中に放送事業者を含んで考えていただけているかどうかということをお教えいただきたいと思います。避難情報の中で、様々なメディアが発信する、例えば「津波です。高台に逃げてください」等のアナウンスはとても重要で、このような情報がちゃんとアクセシブルになっていることが重要だと思うからです。
最後、追加でお願いしたいことが二つありまして、一つは、防災訓練についてです。居住地域はもちろん、職場、学校等、生活の中で立ち寄る可能性があるところでの防災訓練へ障害のある当事者が参加できるように、これを推進するような取組ということをどこかに書き込む必要があるのではないかと思います。
もう一つは、避難所の問題なのですが、避難所において、どこの場所を占拠するか、食料をどう配分するかというときに、早い者勝ちになってしまっていて、そのために障害のある人たちは自分に適した場所を取れないとか、食料の配分がなかなか受けられないという問題が生じています。ここは何らかのルールをつくっていく必要性があるのではないかと思っています。
さらに避難所の中での移動支援とか、情報保障に関しては、福祉避難所以外の避難所に入るケースもありますので、そこでの体制について、何らかの目標を立てるべきだと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。
御質問がございましたので、内閣府の防災からお願いします。
○内閣府 石川先生、今、内閣府に振っていただきました御質問は、民間事業者に放送が含まれているのかということでございましょうか。
○石川委員長 これは内閣府の防災ではないですか。どこになりますか。
○立石参事官 放送ということで申し上げれば、総務省かと思います。
○石川委員長 今日はいらっしゃらないですね。これは後日というか、事務局で確認を取って、回答を差し上げるということでよろしいでしょうか。
○立石参事官 事務局でございます。
承知いたしました。
○石川委員長 3点目の避難所についてのルールの御提案は重要だと思うのですが、これは内閣府防災からいかがでしょうか。
○内閣府(政策統括官(防災担当)付参事官(避難生活担当)伊藤参事官補佐) 内閣府では、避難所の運営につきまして、取組指針を示しているところでございまして、その中では、避難所には様々な方がお越しになられるということでございますので、それぞれお越しになられる皆様のニーズを踏まえた適切な対応をするようにということをお願いしているところでございます。
具体的には、避難所の中での情報伝達の方法だったり、あとは、それぞれ相談窓口を設けさせていただきまして、障害者の方だったり、高齢者の方だったり、避難者の意見を吸い上げるために必要な窓口を設置させていただくとともに、要配慮者となられる障害者の皆様からも情報の御提供をいただくようにということで、障害者の皆様の意思も御尊重しつつということが当然前提でございますけれども、それぞれ必要な情報についての発信をしていただけるような環境の確保ができるように取り組むということを盛り込ませていただいているところでございます。
説明は以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
時間がかなり押してまいりました。この審議の最後ということで、米山委員、恐縮ですが、簡潔にお願いできれば幸いです。
○米山委員 短く述べたいと思います。
8ページになります。先ほど安部井委員からもありましたけれども、いわゆる福祉避難所の協定の中に、教育機関を入れていただきたいと思います。地域内外の他の福祉施設、医療機関等というところに、教育機関、学校現場、障害の発達特性のある方が通い慣れた場が福祉避難所でとてもいいということもあって、協定を結んでいる地域もありますので、ぜひここに教育機関を入れていただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
以上をもちまして、この分野の審議は、本日についてはこれで終了とさせていただきます。
また、各担当省庁におかれましては、御検討いただきたいと思います。
それでは、ここで休憩を15分入れまして、3時30分再開とさせていただきます。
休憩中は、マイク・カメラをオフにしていただいて結構でございます。
(休憩)
○石川委員長 それでは、再開いたします。
続きまして「9.雇用・就業・経済的自立の支援」の審議に入りたいと思います。
最初に基本的な考え方について、事務局から読み上げをお願いいたします。
○立石参事官 事務局でございます。
それでは、資料1の11ページ、資料2の15ページでございます。「9.雇用・就業・経済的自立の支援」。
基本的考え方「障害者が地域で質の高い自立した生活を営むためには就労が重要であるとの考え方の下、働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、多様な就業の機会を確保するとともに、就労支援の担い手の育成等を図る。また、一般就労が困難な者に対しては福祉的就労の底上げにより工賃の水準の向上を図るなど、総合的な支援を推進する。
さらに、雇用・就業の促進に関する施策と福祉施策との適切な組合せの下、年金や諸手当の支給、経済的負担の軽減等により障害者の経済的自立を支援する」。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
続きまして、関係省庁として、厚生労働省から施策の説明と成果目標の説明をお願いします。
○厚生労働省(職業安定局障害者雇用対策課 小野寺課長) 厚生労働省の障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
変更点があった点の御説明ということでよろしかったでしょうか。
○石川委員長 大丈夫かと思います。
○厚生労働省(職業安定局障害者雇用対策課 小野寺課長) それでは、資料を2枚おめくりいただきますと「(3)障害者雇用の促進」の部分の変更点について、御説明を申し上げます。
9-(3)-2でございます。主には令和元年度に法律の改正を行っておりますので、それを踏まえました修正になりますが、障害者雇用ゼロ企業をはじめとして、雇用率の達成に向けて取り組むということと併せまして、国の部分につきまして、障害者雇用を数としてクリアしていくことだけではなくて、能力を発揮して生き生きと活躍できるようにということで、活躍推進計画の策定を義務づけました。そこを踏まえまして、法定雇用率の達成のみならず、障害者が個々に持てる能力を発揮して、生き生きと活躍できるよう雇用の質の向上に向けて取り組むということを明記いたしました。
あわせまして、次のページ、9-(3)-8になります。こちらも令和元年改正で中小企業の皆さんの取組を評価いたしまして、そこの社会的認知度を高めて、全体的な取組の推進につなげていくということで、中小事業主に対する認定制度を創設しております。これについて書き加えさせていただいております。障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度ということで、障害者雇用のロールモデルとして公表して、認定事業主の社会的認知度を高めることをもって、中小事業主全体での取組を進展していくということでございます。
9-(3)-9でございます。不適切計上後の公務部門における障害者雇用の推進を進めていくということで、国の機関の中に配置をされております支援者に対しまして、必要な知識・スキルを習得するセミナーを開催するということを通じて、公務部門におけます自律的な障害者雇用促進に対する取組を実施するということを書いてございます。
私からの御説明は以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、この分野につきまして、審議をしたいと思います。意見あるいは質問のある委員は、挙手ボタンで意思表示をお願いします。竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。
3点について、下記ぶりの修正をお願いしたいと思います。
最初は12ページだと思いますが、「障害者職業能力開発校における受講については」以下のくだりの部分ですけれども、「可能な限り」というのはもう要らないと思います。後ろだけでも「障害者本人の希望を尊重するよう」となっているわけですから、「可能な限り」は要らないと思います。
次は13ページの地方公共団体における障害者雇用の一層の促進のところなのですが、結論から言うと、最後の「必要な措置が講じられるよう、引き続き、地方公共団体に対する周知に取り組む」というのは、書きぶりとしてはおかしいと思うので、そうではなくて「必要な措置が講じられるよう働きかける」とか、そういう文言になるべきではないかと思います。
3番目は14ページの(4)の最初の○、障害特性に応じた就労支援のところですけれども、「多様な障害の特性に応じた支援の充実・強化を図る」とあるのですが、次の部分です。「また、採用後に障害者となった者についても」の後ですけれども、いきなり「円滑な職場復帰や」となっているのですが、そうではなくて「必要なリハビリテーションや職業訓練が受けられるようにした上で」あるいは「職業訓練を提供し」の後に「円滑な職場復帰や雇用の安定につながる」という文言になるべきではないかと思います。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
厚生労働省、いかがでしょうか。対応可能でしょうか。お願いします。
ありがとうございました。また御検討いただければと思います。
続きまして、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。連合の佐保です。
資料1の12ページの一つ目の○、障がい者の職業能力の開発・向上にあたっては、障がい者のキャリア形成の重要性についても併記していただきたいと思います。
また、同じく12ページの三つ目の○ですが、就労移行支援事業所等から一般就労への促進と記載がありますが、就労継続支援A型事業者においても、本来、一般就労が可能な障がい者がA型に留め置かれることがないよう、本人の意向を前提に一般就労が可能な障がい者の移行促進も重要ですので、実態把握と併せて記載していただきたいと思います。
もう1点、14ページの(4)の三つ目の○に関連すると思いますが、障害特性や障害程度等を踏まえつつ、通勤が困難な場合の障がい者や重度障害者などの雇用機会の拡大の観点から、テレワーク等を促進することは重要であると考えます。その促進にあたっては、雇用を前提としつつ、障害特性やアクセシビリティーに配慮した業務支援機器の活用や労働時間管理、労災認定のあり方の検討、在宅で孤立化を深めない職場内のコミュニケーションの促進等に留意すべき旨、記載をお願いしたいと思います。
以上です。
○石川委員長 佐保委員からの御提案につきましては、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
中野専門委員、お願いします。
○中野専門委員 中野でございます。
お願いしたい点が五つございます。
一つは、障害者が教員として働くための環境整備というのが、今、不十分かと思います。具体的に申し上げますと、例えば障害のある教員が教壇に立って教科書で教えるときに、教科書そのものがアクセシブルになったものを教員が手に入れるのが、今、なかなか難しい状況にありまして、教科書バリアフリー法という法律はありますけれども、これは教員には適用できない法律でございますので、こういった教員特有の環境整備をどこかで記載していただけると非常にありがたいと思います。
2番目は、業務用システムのアクセシビリティーが保障されていないために、業務を継続することが難しいということがありますので、ぜひこちらもお願いしたいと思います。
3番目は、就労する上で必要な情報保障や移動支援等を行うパーソナルアシスタンス制度をそろそろ検討していく必要性があるのではないかと思います。これは中長期の課題かもしれないのですが、今後に向けて、そういった検討が必要であるということが書き込めるとありがたいと思います。
あと二つなのですが、中途の障害のある人たちに対する相談支援体制の充実ということをどこかに記載していただきたいと思います。
最後は、教育機関との連携によるキャリア教育の充実というのが盛り込まれるとよいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。 5点御提案があったと思いますが、この中で厚生労働省の障対課の所管分野と直接関わる点について、厚労省から御回答をいただけますでしょうか。
○厚生労働省(職業安定局障害者雇用対策課 小野寺課長) 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
業務用のアクセシビリティーの確保という点につきましては、幾つか助成金が活用できると思いますが、教員というところについては、こちらでは対応が難しいと思っています。
それから、キャリア教育については、一般的な障害者の皆さん、特支校から入ってこられる方を想定してあるような御意見だったのでしょうか。趣旨が十分に理解できていないかもしれませんが、文科省との連携の中で、そういった配慮をしていくことについては、何ができるかということは検討できると思った次第です。
以上でございます。
○石川委員長 ほかの件も含めまして、内閣府で調整をお願いできますか。複数の省庁にまたがって、所管がはっきりしないところもありますので、よろしくお願いします。
米山委員、挙げていらっしゃるので、先に米山委員、お願いします。
○米山委員 米山です。
14ページ「(4)特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保」の二つ目の○なのですけれども、「職場内で精神・発達障害のある同僚を」と書いてあって、「温かく」は削除ということになっています。特に精神障害者に特化した形での下記ぶりだと思うのですけれども、高次脳機能障害の方も精神の方でくくるとすると、発達障害・高次脳機能障害も含めた精神障害のあるというように含めてはいかがかと思いました。多様な障害も含めての同僚の理解を啓発・普及していくということでしたら、全体として障害のある同僚でもよろしいかと思います。
以上です。
○石川委員長 御検討いただければと思います。
続きまして、私なのですけれども、難しい話かとは思いますが、問題意識ということで、ぜひ共有したいということなのですけれども、これは労働分野に限ったことではないのですが、人権救済の限界を痛感することがありまして、特に障害を理由とした退職勧告であるとか、解雇であるとか、配置転換があったときに、それは不当である、差別であるという訴訟が起こされて、原告勝訴の判決が確定したとしても、事後的な救済、金銭賠償による償いがどうしても司法の原則としてあって、作為命令、例えばその配置に戻すとか、裁判所としてそういう司法判断を示すことはできないという限界があって、真の人権救済ができないということがあると思います。それについて、行政の側からもっとできることはないだろうか。監督局による調停も両者の隔たりが大きいと断念することになってしまうと思うので、それについて何か方策はないものかということなのですけれども、これについて、障対課のお考えというか、問題意識についてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
○厚生労働省(職業安定局障害者雇用対策課 小野寺課長) ありがとうございました。障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
訴訟までいってしまった後になりますと、行政的に入っていきにくいというか、今、御指摘があったような調停とか、紛争解決の手続以前の話ですと、助言とか、指導という段取りの中において、一定の合意を持った上で、仕事上も以前と変わりなく、もしくは本人が御希望するのであれば、その仕事を続けていくということの調整もでき得ると思いますが、今のような事例の形、訴訟までいってしまうと、その後で行政がまたそこに入っていくというのは、なかなか難しいと、今、お聞きしていたところです。
ただ、いずれにしても、その方自体が改めてお仕事に就くとか、あるいは復職というか、ポストに戻りたいということも含めての御相談としてお受けして、どこまでできるかというところについては、拒否するものではないと思っておりますので、可能な範囲内で対応するしかないと思います。
○石川委員長 今、おっしゃることはよく分かるのですけれども、どうしても人権救済という観点から見ると不十分な点が否めないと考えておりまして、問題提起をさせていただきました。引き続き御検討いただければとは思います。
続きまして、辻委員、お願いします。
○辻委員 大阪府和泉市の市長でございます、辻でございます。
私ども和泉市では、令和5年度から障害者の就労支援センターを設置するということで計画しておりまして、障害者の就労ニーズの掘り起こしということで、特に我々行政は障害者手帳のデータがありますので、その中で就労可能な方々に声をかけて、就労の掘り起こしをしていこうということなのですけれども、11ページの「(1)総合的な就労支援」の○の1番目に「福祉、教育、医療等から雇用への一層の推進のため」という文言がございまして、その中にあまり行政が関わっていないような内容ですので、ぜひとも就労支援センターを既に設置して就労につなげている自治体もあるのですけれども、数も少ないようでございますので、横展開をしていけるような、そういう体制を国と連携してつくっていきたいと思いますので、御協力のほど、文言にもできましたら加えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○石川委員長 御提案ありがとうございます。検討していただきたいと思います。
最後かと思いますが、玉木委員、お願いします。
○玉木委員 ありがとうございます。
ここには挙がっていないことなのですけれども、一つ気になったのは、先ほどの労政審の障害者雇用分科会の報告書の中にも、法定雇用率の除外率を見直すということが提起されたと思うのですが、これは2002年の法改正で制度的に法定雇用率の除外率は差別ということで廃止になったと思うのですけれども、それはこの中でも触れたほうがいいのではないかと思うので、提案をしています。それが1点です。
もう1点は、問題の共有化というか、皆さんがどうお考えかということを聞いてみたいということです。資料1の13ページの9-(3)-2には「障害者雇用ゼロ企業始め、法定雇用率を達成していない民間企業については」ということで、法定雇用率を達成する取組が書かれていると思うのですけれども、一方で、法定雇用率を上げるためのビジネスみたいなものが最近ちょっと目立ってきているように思います。具体的にはどういうことかというと、例えば水耕栽培で1プラントに5から6人の障害者が働いていたときに、それを企業の雇用率に入れる。実際は企業の人たちとほとんど会うことなく、雇用率が達成されているという状況がある中で、やはりインクルーシブの考え方でいくと、共に働くという意味のときに、本当にこの雇用の在り方がよしとされているのかどうかということを一緒に考えていただきたいと思いました。
以上です。
○石川委員長 2点ありました。特に2点目は大きなテーマだと思いますけれども、厚労省、お願いします。
○厚生労働省(職業安定局障害者雇用対策課 小野寺課長) 障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
2点あったうちの1点目から御説明申し上げたいと思います。除外率については、今、おっしゃっていただいたとおり、平成14年の法改正で平成16年に廃止するということで、廃止が決まっておりますので、法律上の規定はないということになります。
ただ、一方で、その当時、80%、100%というような高い除外率がかかっているような業種もあって、これを一気にゼロにするというのは、現実的に障害者にとっても大変働きにくい職場になってしまうのではないかということで、廃止を前提として引き下げていくということをもって、今、運用されています。
今回の意見書の中にも明確に廃止した制度であるということは書いてございますし、今後については、5年ごとに見直します法定雇用率の見直しのタイミングで、必ず除外率引下げについて議論していくということで、審議会の中でも、もちろん使用者側からはちょっと厳しいというお話もありましたけれども、多くは早期廃止に向けてということで合意しておりますので、そのような方向性でやっていきたいということです。
2点目につきましては、私どもも去年ぐらいから実態把握に乗り出しまして、今、各地にあります農場、農園、サテライトのオフィスにつきまして、お邪魔をさせていただきまして、法定雇用率を達成するということではなくて、雇用の質というときに問題がいろいろと生じてくる部分もありますので、改めて法律の理念をきちんと御説明した上で、できる限り法の趣旨に沿った形での運営をお願いしつつ、そこを利用している企業の皆様方にも同じような形で今アプローチを取っております。
そういうことで、否定論だけではなくて、肯定論もあったり、いろんなお考えの中で、統一的に一つの規制をつくるとか、そういうことではないと思っておりますが、いずれにしても実態把握をしながら、生じてくる課題についてどう取り扱っていくかということを改めてお示しをしていきたいと思っております。
以上でございます。
○石川委員長 実態把握と検討について、基本計画に盛り込むということはいかがでしょうか。
○厚生労働省(職業安定局障害者雇用対策課 小野寺課長) 1事業所だったり、今、おっしゃっていただいたようなビジネス形態のモデルというのはたくさん出てきておりまして、そこについて一定の定義づけとか、線引きというのは、非常に難しい問題ですので、大変恐縮ですが、把握した事例について当たっていくという形にさせていただいているもので、こういった中に盛り込んでいくべきものではないと思っております。
○石川委員長 また引き続き議論していきたいと思います。
三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 ありがとうございます。
資料1の12ページ「(2)経済的自立の支援」のところで、皆様と課題共有をさせていただきたいのですけれども、就労が極めて困難な最重度・重複障害者の方々にも、経済的な理由による地域移行の可能性を消さないように、年金等の所得保障の充実を図るという項目を入れていただきたいという提案です。
長い間、施設から地域移行支援を行っているのですけれども、年金の金額が地域生活をするには大変厳しい金額で、かつ生活保護を受けてまで地域移行に踏み切る気力がないとおっしゃる方々も多いのです。長い間、年金の金額は上がっていなくて、それを上げるということがどれだけ大きい課題かということは分かっているのですけれども、地域移行の可能性というところにも係る大きな問題だと思いましたので、意見をさせていただきました。
以上です。
○石川委員長 担当部局、今日は御出席でしょうか。もしいないようでしたら、事務局で課題共有というか、そういうことにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
そうしましたら、発言を希望されている委員は以上かと思います。
本日の議論も踏まえまして、また修正等をお願いしたいと思います。
この分野についての議論は、ここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
引き続きまして「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」「11.国際社会での協力・連携の推進」について、審議を行いたいと思います。今日の最後の審議になります。
基本的な考え方につきまして、事務局から読み上げをお願いします。
○立石参事官 それでは、資料1の16ページ、資料2の22ページでございます。「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」。
基本的考え方「全ての障害者の芸術及び文化活動への参加を通じて、障害者の生活を豊かにするとともに、国民の障害への理解と認識を深め、障害者の自立と社会参加の促進に寄与する。また、レクリエーション活動を通じて、障害者等の体力の増強や交流、余暇の充実等を図る。さらに、地域における障害者スポーツの一層の普及に努めるとともに、競技性の高い障害者スポーツにおけるアスリートの育成強化を図る」。
引き続きまして「11.国際社会での協力・連携の推進」でございます。資料1の18ページ、資料2の25ページでございます。
基本的考え方「条約の締約国として、障害者権利委員会による審査等に適切に対応するとともに、障害者施策を国際的な協調の下に推進するため、障害分野における国際的な取組に積極的に参加する。また、開発協力の実施に当たっては、SDGsの達成に向けて、条約が規定するように、障害者を包容し、かつ、障害者にとって利用しやすいものであることを確保するとともに、能力の開発を容易にし、及び支援することなどに取り組む。さらに、文化芸術活動やスポーツ等の分野を含め、障害者の国際交流等を推進する」。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございます。
そうしましたら、関係省庁として、まず最初に文化庁、また、スポーツ庁、最後に外務省から説明をお願いしたいと思います。それでは、文化庁、お願いします。
○文化庁(地域文化創生本部 山村総括・政策研究グループリーダー) 文化庁でございます。よろしくお願いいたします。
文化庁では、資料1の16ページに記載されている、今、読み上げていただきました基本的な考え方に基づきまして、障害者の文化芸術活動の充実に向けた社会環境の整備に取り組んでまいりました。文化芸術基本法では、年齢や障害の有無、経済的な状況、または居住する地域にかかわらず、文化芸術の機会を享受することができるような環境の整備を図ることが基本理念として示されておりますし、また、障害者の文化芸術活動につきましては、平成30年の障害者による文化芸術活動の推進に関する法律の成立を受けまして、この法律に基づいて、文化庁は厚生労働省さんと連携して施策を総合的かつ計画的に推進を図ることを目的としまして、平成31年3月に障害者による文化芸術活動推進に関する基本的な計画を策定したところでございます。なお、本年度は、第1期の基本的計画の計画期間が終わることから、現在、厚生労働省さんと連携しまして、当該計画を見直すための検討を開始しているところでございます。関係省庁会議や有識者会議の議論を経て、年度末までに第2期の基本計画を策定する予定としてございます。障害者の第1期の基本計画やただいま申し上げた各法律や計画に基づき、具体的にどのような計画や施策を進めているのかについてですが、資料1の16ページに沿って御説明させていただきますと、特別支援学校の子供たちの鑑賞・体験等の機会の提供ですとか、小中学校への障害のある芸術家等の派遣、また、施設・設備の推進ですとか、人材の育成などによる障害の有無にかかわらず、文化芸術活動を行うことができる環境づくり、さらには障害者による文化芸術活動の推進のための鑑賞・創造・発表の機会の拡大に向けた関係団体や地方公共団体などへの支援など、様々な施策を総合的に推進してきたところでございます。
今回の第5次計画本文案での変更点について、御説明させていただきますと、10-(1)-3のところで「障害者向けの鑑賞イベントの実施等」を追記しているところでございますが、これからの新規の取組というわけではございませんけれども、国立の文化施設におきまして、障害のある方のための特別鑑賞会など、障害者の方向けの鑑賞イベントを実施しておりますので、新たに追記させていただいております。
また、10-(1)-4でございますけれども「文化芸術団体や地方公共団体等が行う障害者の文化芸術活動に関する取組を支援する」と改めている部分でございますが、こちらにつきましては、障害者による文化芸術活動の推進のための支援について、文化庁としてはこれまで民間団体だけではなくて、地方公共団体などにも支援を行ってまいりましたし、これからもその方針に変わりはないということでございますので、その旨を明確化しております。
最後ですが、17ページに移りまして、地域に文化施設におけるバリアフリー化について、新たに10-(1)-7として加える部分でございますが、劇場や音楽堂などの公演における字幕ですとか、音声ガイドの作成支援など、文化施設におけるバリアフリーの取組も推進してございますので、第5次の基本計画の中におきましても、引き続きバリアフリー化を推進していくという観点から追記させていただいているところでございます。
障害者による文化芸術活動につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大などの影響を受けてはおりますが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催なども追い風になっておりまして、多様な分野において鑑賞・創造・発表活動などの取組が着実に進みつつあると考えております。引き続き厚生労働省さんをはじめとした関係府省と連携して、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、スポーツ庁になりますでしょうか。
○スポーツ庁(スポーツ庁健康スポーツ課障害者スポーツ振興室 福島室長補佐) スポーツ庁でございます。
御説明させていただきます。
まず、第4次から第5次の計画の間であった大きな出来事としましては、東京オリンピック・パラリンピックがございました。パラリンピックを実施したことによって、障害者スポーツを国民の皆様が知ったということと、理解が深まったというところがあったと思います。そうした国民の皆様に障害者スポーツを理解いただいたり、認知いただいたということをレガシーとして、オリパラを通じて進んだ取り組みを今後もさらに進めていくこととしております。
オリンピック・パラリンピックも踏まえて、今年の3月に第3期スポーツ基本計画を策定したところですけれども、その中でもスポーツを通じて共生社会を実現していこうということが盛り込まれております。引き続き障害のある方がスポーツにアクセスしやすい環境を整備していくというところは、第2期から変わらず続けていくところではございますけれども、特に大きく変わったポイントとしては、障害のある方ない方関係なく、共にスポーツに取り組める環境を整備していこう、よりインクルーシブな取組を進めていこうというところが新たに追加されているところでございます。
東京パラリンピックのレガシーや、基本計画に新たに盛り込まれたスポーツを通じた共生社会の実現、こういった観点を踏まえまして、今回、第4次から第5次に関して、時点修正という形にはなりますけれども、新しいものに更新させていただいたというものでございます。
具体的には、資料1の17ページに五つございますけれども、こちらについてそれぞれ説明させていただきます。
一つ目は、東京オリンピックパラリンピック2020大会のレガシーを生かして、共生社会の実現に向けて、これまで東京オリパラに向けてやってきたことを踏まえて、さらにこの取組を進めていく。これまで取り組んできましたけれども、さらに取組を進めていくということで、こういった文言の追記等を行っているところでございます。
二つ目は、削除ということで、精神障害の方の普及が遅れているという記載がございましたけれども、我々の方で、毎年、障害者の方がどれだけスポーツに参加できているかという調査をしてございます。確かに5年ほど前であれば、精神障害の方のスポーツの実施率は結構低いということですけれども、5年たって、直近のデータではほかの障害の方と実施率はあまり変わらない状況になってきて、依然障害者の方でスポーツをやっている実施率というのは低いので、取組をしっかりやっていかなければいけないというところはあるのですが、特出しして精神障害の人に力を入れてという状況ではなくなってきたので、この記載を落とさせていただいております。
三つ目の強化については、パラリンピックがございまして、かなり力を入れてきたところでございます。これも引き続き続けるということで、修文はございません。
四つ目の○は削除とさせていただいたのですけれども、こちらの部分につきましては、もともと東京2020に向けて、例えば特別支援学校で全国的な祭典を開催するなど、機運の醸成に向けて取組をやってきたところでございます。全国の特別支援学校での取組は進んでいることと、もう一つ、東京2020に向けたイベント的な事業をやっていたところもございまして、必要なものは一つ目の○、レガシーを踏まえたというところに追記させていただいて、東京2020の準備として実施していたところは落とさせていただいたという趣旨でございます。
最後はスポーツ施設のバリアフリー等に関するところでございますけれども、東京2020ですと、Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインなどが出来上がって、施設等はソフト面・ハード面でバリアフリー化が進んできているところがございますので、そういったものも踏まえて、引き続き施策を進めていくということで、少し書きぶりを直しているところでございます。
簡単ではございますけれども、こういったことを引き続きやっていきたいということで、記載させていただいております。
説明は以上となります。
○石川委員長 ありがとうございました。
続きまして、外務省から説明をお願いいたします。
○外務省(総合外交政策局人権人道課 川越主査) 外務省の人権人道課の川越と申します。
「11.国際社会での協力・連携の推進」について御説明させていただきます。
11の「(1)国際社会に向けた情報発信の推進等」に関しましては、修正等はなく、引き続き推進していくこととしております。
「(2)国際的枠組みとの連携の推進」ですが、SDGsの推進につきましても、基本姿勢は変わりませんので、引き続き推進していくこととしております。
また、8月に障害者権利条約の対日審査を受けることになっておりまして、こちらは(1)(2)にも関連しまして、国際場裡での日本の障害者施策のアピール、情報発信をしていくことの中に含まれております。
11-(2)-3につきましては、「アジア太平洋障害者の十年」の10年間、引き続き積極的に取り組むと現行の計画と同じ文言のままにしておりますが、こちらは今後修正予定でおります。「アジア太平洋障害者の十年」というものは、2022年で終了となりますが、現在、ESCAP事務局からその後のポスト10年の計画についてはまだ示されておりませんので、そちらも踏まえまして、この項目につきましては、今後、修正していく予定でおります。
「(3)政府開発援助を通じた国際協力の推進等」につきましても、引き続き開発途上国の障害者分野の協力事業の継続、また、開発途上国における障害者団体等の人材育成、日本の障害当事者の専門家等の派遣事業を継続してまいります。
11の「(4)障害者の国際交流等の推進」につきまして、修正しました箇所がございます。11-(4)-2にございます、文化芸術活動・スポーツ等の分野における障害者の国際的な交流を支援するという項目ですが、こちらはスポーツ器材の輸送支援を引き続き実施することとしております。
スポーツ選手や指導者の派遣や招聘というものですが、こちらは障害者スポーツにかかわらず、スポーツ外交推進の中で、今年度から予算が取れませんで、実施できていない状況となります。そのため、次年度以降の計画につきましても、削除をさせていただいているところとなります。
簡単ではございますが、障害分野については以上となります。
○石川委員長 ありがとうございました。
そうしましたら、ここから審議に入りたいと思います。意見、質問のある委員は、意思表示をお願いいたします。市川専門委員、お願いします。
○市川専門委員 ありがとうございます。全国特別支援学校長会の市川でございます。
16ページの一番上の○ですが、教育の振興のときに、学びの場での連続性とか、インクルーシブ教育の推進というお話をしていたわけですが、ここに来て、特別支援学校においては云々、小中学校については云々という記載の仕方で、これでいいのか少し疑問に思ったということでございます。御検討していただければありがたいです。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。御検討いただきたいと思います。
続いて、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
16ページの(1)文化芸術活動のところなのですけれども、新たに大阪・関西万博のこともぜひ入れてほしいと思います。具体的には「2025年大阪・関西万博において、オリパラのレガシーを引き継ぎ、ハード・ソフトにおけるバリアフリーを進めるとともに、障害者文化芸術、バリアフリー映画、バリアフリー演劇など、我が国の取組を世界に発信する」と入れていただきたいと思います。
東京オリパラでは、新国立競技場や成田空港など、多様な障害者が参画してバリアフリーの整備がとても進みました。さらに障害者による文化芸術活動の推進に関する法律が策定されまして、障害者の文化芸術も推進され、様々な取組が広がっています。こういったすばらしい取組を2025年の大阪・関西万博でもレガシーとして引き継いでいただきたいと思います。
以上です。
○石川委員長 所管は内閣官房ですか。どこですか。事務局、いかがでしょうか。
○立石参事官 事務局でございます。
どこが所管かということも含めまして、今いただいた御意見を踏まえて、検討させていただければと思います。
○石川委員長 大河内専門委員、お願いします。
○大河内専門委員 大河内です。
10-(1)-1ですけれども、特別支援学校において一流の文化芸術云々という部分、これは質の高い芸術素材・作品を提供するという趣旨はよく分かるのですけれども、一流という言い方は基本計画の文言としてはそぐわないと、個人的な感想かもしれませんが、思ったので、ここは修正を御検討いただきたいと思いました。
もう1点、10-(1)-7です。「地域の文化施設におけるバリアフリー化を推進する」と1行簡単に書いていただいているのですけれども、地域文化施設という言い方ではなくて、先ほど御説明の中で、劇場、映画館、音楽堂のように御説明いただきましたので、ここは具体的にもう少し書いていただきたいと思います。
あと、これは周知のとおりかもしれませんけれども、劇場のバリアフリー化は一部しか進んでいないということの問題と、それから、鑑賞者のバリアフリー化に加えて、主催者とか、演者の方のバリアフリー化が全く進んでおりませんので、これは鑑賞者、主催者双方のバリアフリー化を推進するという文言を書き足していただけるとうれしいと思いました。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。御検討いただきたいと思います。
佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。佐保です。
私も資料1の17ページ、一番上の10-(1)-7と一番下の10-(2)-4の部分ですが、どちらもバリアフリー化について触れられていますが、先ほど佐藤委員が「4.防災、防犯等の推進」で述べられたように、年齢や障害の有無などにかかわらず、誰でも使いやすいように、ユニバーサルデザイン化を推進することとして、記述を変更していただきたいと考えております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございます。御検討いただきたく思います。
石橋委員、お願いします。
○石橋委員 改めまして、全日本ろうあ連盟、石橋でございます。発言の機会、ありがとうございます。
意見については、文化、スポーツ、国際ということについて申し上げたいと思います。
まず文化についての視点ですが、先ほど大河内専門委員から御発言がありました。文化芸術を鑑賞する立場、あるいは発表する立場、そういった下支えも含めたバリアフリーは当然必要なことだと思います。その書きぶりも加えてほしい。
例えば10-(1)-3、国立博物館のような様々なところの展示につきましても、字幕、音声ガイド、それだけではなくて、手話言語もそこに盛り込んでほしいと思います。QRコードなどを使って、手話言語にアクセスできるような環境を整えていただきたいと思っています。
次に障害者の文化芸術推進法、すばらしい法律が出来ています。その考え方に反して、実際に芸術文化等々に関する指導人材は前に比べて減っているのではないか。指導できる人材の確保、さらにこれを拡大していくという書きぶりができないか、ぜひ御検討をお願いしたい。
スポーツに関してでございますが、10-(2)-3、ようやくデフリンピックという言葉が初めて表れたということで、非常にうれしく思っております。今までデフリンピックについての記述は一切なかったので、国民の認知もほとんど図られなかった。デフリンピックについて認知度が低いという状況が続いてまいりました。実際に内容を見ますと、アスリートの人たちの交流支援が中心の書き方になっています。それのみならず、国民に対してのデフリンピック、あるいはスペシャルオリンピックス等についての啓発・普及という視点も書き加えていただきたいと思っています。
最後に国際についての視点ですけれども、これにつきましては、11-(2)-3になります。先ほど「アジア太平洋障害者の十年」、また、ESCAPに関する説明がありました。新たな時代、レガシーということ、確かに過去の10年間は、聞こえない当事者にとって、国際的な場に参画していくということは、やはり支障があって、それは手話通訳の問題もあったのです。手話通訳の経費について保障がない、準備することができないという、っそれは予算的なものもありました。だから、せっかく参加しても、なかなかそこに参画できないという経験も多々あります。ですから、本来のSDGsの考え方からいって、新たな時代に、10年の計画の中に、聞こえなくても、誰でもが参加できる環境整備というものをぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○石川委員長 それぞれの所管で御検討いただきたいと思います。
続きまして、片岡委員、お願いします。
○片岡委員 ありがとうございます。全国地域生活支援ネットワークの片岡です。
私からは1点だけ、発言させていただきたいことがあります。資料1の16ページ、10-(1)-2の「障害者が地域において文化芸術活動に親しむことができる施設・設備の整備等を進めるとともに」云々という文章がありますが、その文章の中に、改正障害者差別解消法の施行により、事業者による合理的配慮が義務づけられることを踏まえてというニュアンスの文章を入れてはどうかという意見を持っております。御検討のほど、よろしくお願いします。
以上です。
○石川委員長 御検討をお願いいたします。
三浦委員、お願いします。
○三浦委員長代理 ありがとうございます。身障協の三浦です。
16ページですけれども、10-(1)-2の辺りで、4次計画のときは文化芸術活動の推進に関する法律はなかったので、4次計画以降にできた大きな進展であると思っております。ただ、国では、基本計画も第2期ができようとしているのですけれども、法律で努力義務とされた地方公共団体の基本計画の策定は進んでいないように感じております。できれば成果目標のところにもそれを挙げていただきたいということと、10-(1)-2の「特に」の辺りに、地方公共団体も障害者文化芸術活動推進基本計画の策定に努めというような文言を入れていただくとありがたいと思いました。
10-(1)-4の部分ですけれども、この部分は条約の30条の文化的な生活への参加のところを反映した計画だと思うのですが、30条の2項では、障害者が自己の利益のためのみではなく、社会を豊かにするためにもという大切な文言が入っていて、できれば基本的考え方のところの1行目の「障害者の生活を豊かにするとともに」と書かれているところの修文の提案で、「障害者の生活と社会を豊かにするとともに」ということで、「と社会を」を入れていただければと提案します。10-(1)-4の1行目の「障害者の生活」の後に「と社会を豊かにするとともに」ということを提案いたします。
大河内専門委員が言われた10-(1)-7のところは、条約の実施に係る政策委員会の見解のところでまとめた文章が、文化芸術施設におけるアクセシビリティの確保に向けたという内容になっておりますので、それを推進するという表現ではいかがかと提案いたします。
続きまして、18ページから19ページに係る部分、11-(3)-1の部分で、2行目に「障害者を含む社会的弱者」という表現があるのですけれども、ここは「障害者を含む要配慮者」の方が適切ではないかと思います。
最後に19ページの(4)でございますけれども、11-(4)-2は、スポーツ外交推進の観点から云々ということと、広報文化外交の観点から文化芸術活動のこと、二つの要素が一つの小項目に書かれているので、もしよろしければ、これを二つに分けていただいて、それぞれに国際交流を推進するという言葉で結んでいただくと、それぞれの分野が振興していけるのではないかと思いました。
以上です。
○石川委員長 御意見ありがとうございました。御検討いただければと思います。
久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
何人かの方の意見と重複していることがありまして、先ほど三浦委員がおっしゃいましたように、各地での計画が進んでいないということが気になっておりまして、その計画が進むようにという書きぶりをしていただきたいと思っております。
各地での障害者の文化芸術の開催を含めて、その活動への支援も書いていただいて、本当に感謝しております。前のときにはなかったような文章がたくさん入っていますので、とてもありがたいと思っておりますけれども、その上で、全体的に配慮とか、環境整備とか、バリアフリーとか、ユニバーサルという文言を入れていただいているのですが、文化芸術に参加する、鑑賞するためのアクセシビリティーを含めた合理的配慮の視点をぜひ書き加えていただけたらありがたいと思います。
最後に大阪・関西万博ですけれども、合理的配慮が進んでいなかったように聞いておりました。合理的配慮を進めた大阪・関西万博ができるようにしていけたらと思いますので、大阪・関西万博のことも書き加えていただけたらありがたいと思っております。
以上でございます。
○石川委員長 ありがとうございました。御検討いただければと思います。
米山委員、お願いします。
○米山委員 全国児童発達支援協議会、米山です。
16ページの(1)の一つ目の○は、先ほど何人かの委員からも御指摘がありました。子供に関していうと、私が支援している子供でも、いわゆる余暇活動としてよろしいのか、部活動・クラブ活動において、特別支援学級に行っている子供たちが、ある学校では特別支援学級の中の特別な部活動とか、クラブ活動をしています。一方で、ほかの学校ではインクルーシブに通常の学級の児童生徒たちと部活動を一緒にやっているスポーツもあります。野球、サッカー、バレーです。あるいは美術の方も一緒に部活動をやっているところがあります。随分差があるように感じています。
そういうことで、書き入れていただいたらどうかと思うのは、これは文科省のインクルーシブ教育に入るのか分かりませんが、インクルーシブ教育の観点から、クラブ・部活動等の余暇、あるいはスポーツ活動に、障害の有無にかかわらず、参加・活動できるような合理的配慮、支援体制を整備するというものを入れていただくのはどうかと提案いたします。もしそういうデータがあるようでしたら、文科省か分かりませんが、教えていただきたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
最後、御質問がありましたけれども、今、所管はいらっしゃらないと思うので、事務局で確認していただくということにさせてください。
北川委員、お願いします。
○北川委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の北川です。
18ページの「11.国際社会での協力・連携の推進」ですけれども、私の知っているところでは、知的障害者福祉協会、育成会、発達障害学会、全国の特別支援関係の先生方、四団体が集まっている日本発達障害連盟というところがあるのですが、特にそこではアジア知的障害会議などを積極的に進めてきたのですけれども、実際、2021年はオンラインでフィリピンでありました。ほんの少しのメンバーでしたけれども、参加することができたりしていました。
今、悩んでいることは、日本で開催することができるのだろうかということとか、あと、発達連盟の中で、ずっと開発途上国の支援事業をやっていたのですけれども、経済的に成り立たないのと人材的にも難しいということで、なくなってしまったりしているのです。こういう事業とか、アジアの会議などを積極的に進めていきたいけれども、なかなかできない現状を、国の中では積極的に進めていきたいと書いているのですが、実際のところ、どんなふうに現状とのギャップを考えていらっしゃるのかということを教えていただきたいと思います。
○石川委員長 ありがとうございました。
それでは、質問ですので、外務省でお答えいただきたいと思います。
○外務省(総合外交政策局人権人道課 川越主査) こちらの音声の都合で、最後の方が聞き取れませんでした。もう一度、お願いしてもよろしいでしょうか。
○北川委員 アジア知的障害会議など、日本でも開催されたことがあるのですけれども、いろんなアジアの国で2年に1回開催しているのですが、直近では2021年にフィリピンでありました。日本からもオンラインで参加したりしていますが、日本で開催するに当たって、できるのだろうかという懸念が発達連盟の方にありまして、経済的に成り立たないのではないかとか、あと、発達連盟でも国際途上国の支援をずっとやっていたのですけれども、経済的に成り立たないのと人材不足ということでやめることになったりしているという実態がある中で、国では進めていきたいということですが、現実と進めてきたいというギャップをどのように国としてはお考えなのでしょうかという質問でした。よろしくお願いします。
○外務省(総合外交政策局人権人道課 川越主査) 外務省、川越です。繰り返していただき、ありがとうございます。
国際協力の推進につきまして、先ほど全日本ろうあ連盟からも会議に参加しているけれども、情報保障の観点で参画することができていないという状況なども御報告いただいておりますので、こちらにつきましては、併せて国際協力局に確認させていただきます。よろしくお願いいたします。
○北川委員 よろしくお願いします。
○石川委員長 続きまして、大塚委員、お願いします。
○大塚委員 ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの大塚です。
資料1を使って意見を述べたいと思います。
16ページの「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」の基本的考え方ですけれども、スポーツについては、地域共生社会の実現ということで理念を変更した。そうすると、基本的考え方の中にも地域共生社会の実現を目指すという文言が必要かと思います。
それに応じて、(1)の特に文化芸術活動については、地域共生社会の実現という文言がないので、基本的な計画の中には、意義と課題というところに、我が国で新しい価値の提案をもたらすと同時に、共生社会の実現に寄与するということがありますので、ここに共生社会の実現をきちんと確保するということを最初に入れたほうがいいと思います。
それから、特別支援学校が最初に来るのもバランスが悪いので、むしろ2番目の○の「障害者が地域において文化芸術活動」の方が先に来たほうがバランスがいいかと思います。
2番目の「障害者が地域において文化芸術活動に親しむ」という言葉はいいのですけれども、基本的な計画の中、あるいは法律の中においては、鑑賞の機会の拡大と創造の期待、これは鑑賞するということと本人がいろんなものをつくる、この二つの概念がキーワードですので、親しむというよりは、具体的なそういう文言を使いながら、いろいろなことを進めていくほうがいいのではないかと思っております。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。ぜひ御検討いただきたいと思います。
宮本専門委員、お願いします。
○宮本専門委員 ありがとうございます。全難聴の宮本です。
1点あります。17ページのスポーツのところの上から3番目の○です。
デフリンピック競技大会が記載されたことは、喜ばしいことだと思います。
ここで発言していいものか心配ですけれども、あえて言わせていただきます。最近、難聴者・中途失聴者の若い人で、スポーツをやられる方が増えてきているのですけれども、デフリンピックにも参加してみたいという声が聞かれるのですが、デフリンピックに参加できる資格として、全日本ろうあ連盟の会員でないといけないという条件があるそうです。そこは聾唖の方だけではなくて、難聴者・中途失聴者も含む全ての聴覚障害者が参加できるようなシステムにできないだろうかと思ったりします。
以上です。
○石川委員長 ありがとうございました。
デフリンピックの参加資格についてのお話しですが、これは国としての施策というよりは、ろうあ連盟さんの考え方だと思いますので、問題提起として、特にろうあ連盟さんに御検討をお願いできればと思います。石橋委員から御発言があれば、お聞きしたいと思いますけれども、基本計画の直接のマターとは言いづらいかと思いますので、今日のところは、問題提起とさせていただきたいと思います。
それでは、委員からの御意見は以上だと思いますので、これらの分野についての審議は、今日のところはここまでとしたいと思います。
いただいた御意見なども踏まえて、修正をそれぞれお願いしたいと思います。
また、大阪・関西万博については、所管が分かりませんので、こういった問題につきましては、内閣府で対応することにさせていただきたいと思います。
それでは、本日の議題はこれで終了となります。
事務連絡を内閣府事務局からお願いします。
○立石参事官 事務局でございます。
次回の政策委員会の詳細につきましては、石川委員長に御相談の上で、確定次第、御案内をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○石川委員長 それでは、以上をもちまして、第68回「障害者政策委員会」を終了いたします。ありがとうございました。退室をしていただければと思います。 以上です。ありがとうございました。