障害者政策委員会(第70回)議事録

令和4年9月26日(月)
13:30~15:30
中央合同庁舎8号館 1階講堂
(Web会議にて開催)

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○石川委員長 それでは定刻になりましたので、これより第70回障害者政策委員会を開会いたします。
 各委員におかれましては、御多忙中のところ会議に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本日の委員会は15時30分まで時間を確保いただいております。
 また、本日は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、Web会議により開催しております。
 なお、取材及び一般傍聴者は感染防止の観点から本日はお断りし、その代わりに動画中継を視聴いただく形としております。
 本日は、委員会の開催に当たりまして、小倉將信内閣府特命担当大臣に参加いただいておりますので、小倉大臣からご挨拶をお願いいたします。

〇小倉大臣 みなさま、こんにちは。
 障害者施策担当を拝命しました、小倉將信です。障害者政策委員会の開催について一言ご挨拶を申し上げます。
 まず、石川委員長をはじめ、委員の方には御多用のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
 政府においては、現在、次期障害者基本計画の策定作業を進めている他、改正障害者差別解消法の施行に向けた準備に取り組んでいるところです。
 こうした我が国の障害者施策における重要な取組を進めるにあたり、この障害者政策委員会で活発に御審議をいただいていることを、この場を借りて心より御礼申し上げます。
 また先月には、国連の障害権利委員会による我が国初の政府報告審査が実施され、石川委員長及び三浦委員長代理におかれましては、障害者政策委員会の代表として御出席いただきました。政府といたしましても、次期障害者基本計画の策定に当たって、今般示された権利委員会の勧告等も踏まえ、しっかりと議論を進めてまいりたいと思っております。
 本日は、改正障害者差別解消法の施行に向けた基本方針の改定案について、御審議いただきたいと考えております。
 皆様には、忌憚のない御議論をいただきますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございました。
 小倉大臣は所要のため審議の途中で退席されます。次に、事務局に異動がありましたので、一言挨拶をいただければと思います。

〇滝澤審議官 8月26日付けで、政策調整担当の審議官に着任しました滝澤でございます。どうぞよろしくお願いします。

○石川委員長 次に、事務局より、委員の出欠状況について報告をお願いします。

〇立石参事官 本日は、河井委員、久保委員、田口委員、辻委員、野澤委員、市川専門委員、および宮本専門委員が所用により欠席との連絡を受けているほか、長谷川委員が14時00分頃からご出席されると伺っております。
 また、大下委員が、14時30分ごろ退出されると伺っております。
 また、黒岩委員の代理として、神奈川県福祉子どもみらい局福祉部障害福祉課長の鳥井健二様に御出席いただいております。

○石川委員長 それでは、本日の議事に入ります。
 御発言いただく際の意思表示方法ですが、挙手機能を使用していただき、委員長の指名を受けてからご発言いただくようお願いいたします。
 また、御発言の際には、最初にお名前を名乗っていただき、結論を述べた後、その理由又は説明をしていただくというのが、合理的配慮として良いのではないかと思います。
 また、本日も限られた時間の中で多くの方に発表・質疑いただくこととなりますが、発言される方におかれては、できるだけマイクを近づけた上で、はっきり、ゆっくり、御発言いただくよう心がけをお願いいたします。
 それでは、本日の議題及び資料について、事務局より説明をお願いします。

〇立石参事官 事務局でございます。
 本日は、基本方針改定について、途中10分程度の休憩を挟みつつ、御審議いただきたいと思います。
 資料としましては、基本方針改定に係る資料として資料1及び資料2のほか、参考資料として、これまでの障害者政策委員会で配布した、これまでの議論等を整理した資料を用意しております。
 加えて、本日は竹下委員から資料を御提出いただいておりますので、資料3として配布しております。
 また、審議終了後、国連にて先般実施された障害者権利条約政府報告審査について、審査に参加した石川委員長から報告を頂きたいと考えております。資料として、審査当日における委員長の冒頭ステートメントを資料4として用意しております。
 以上です。

○石川委員長 それでは、議事に入ります。
 基本方針改定案について、事務局から説明をお願いします。

〇立石参事官 それでは資料1、2に基づき、基本方針改定案の御説明をします。これまでの御議論を踏まえて、追記を主にご説明いたします。
 資料1の2ページ、資料2の3ページをご覧ください。「2 基本的な考え方」「(1)法の考え方」について、2段落目の「特に~」の中の文章について、前回の御議論で「障害者との建設的対話」となっていた部分について、権利条約の社会モデルの考え方を述べつつ、障害者、行政機関、事業者、住民といった関係者の対話とすべき、との御趣旨を踏まえ、「こうした取り組みを広く社会に示しつつ、また、権利条約が採用する、いわゆる「社会モデル」の考え方の国民全体への浸透を図ることによって、国民一人一人の障害に関する正しい知識の取得や理解が深まるとともに、障害者や行政機関等・事業者、地域住民といった様々な関係者の建設的対話による協力と合意により、共生社会の実現という共通の目標の実現に向けた取組が推進されることを期待するものである」と修正しております。
 次に、資料1の3ページ、資料2の5ページ、「1 法の対象範囲」「(1)障害者」の、一番下、障害のある女性、障害のある子供への留意に係る記載について、何に留意すべきか不明瞭になることからここに記載することは適当ではないこと、第5の啓発活動に記載してはどうか、とのご意見を踏まえ、ここではいったん削除をしております。
 次に、資料1の4ページ、資料2の7ページ、「2 不当な差別的取扱」「(1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方」のアのなお書きの部分です。委員から、「その他の支援機器等」の後ろに「障害に関連するもの」という文言を追加すべき、との指摘があったところ、元案の「社会的障壁を解消するための手段の利用等」の文言の部分にまさに委員ご指摘の障害に関連するものとの趣旨が含まれると考えましたので、この部分が車椅子や補助犬に係ることを明確にするために、「車椅子、補助犬その他の支援機器等の利用や」として「や」を追記しております。
 続いて、資料1の4ぺージ、資料2の8ページ、「(2)正当な理由の判断の視点」について、前回のご議論において、事例について事例はあくまで例示ということを示すべきという御意見、事例が独り歩きしたり、拡大解釈されてはならないという御意見を踏まえ、赤い字の所「なお、記載されている事例はあくまでも例示であり、正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であること」という文言を記載しているところでございます。
 また、さらにその後ろに「合理的配慮の提供については別途の検討が必要であることに留意する」と追記をさせていただいておりますが、こちらは5ページの「(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例)」の2つ目のタイヤカバーのない車椅子の事例につきまして、前回、委員より畳の部屋でもダンボールを敷くといった合理的配慮があり得る、合理的配慮を検討せずに入室を断ることにつながるおそれがある事例ではないかといった御指摘があったことを踏まえて、こちらの最初の文に「合理的配慮の提供については別途の検討が必要であることに留意する」との文言を追記させていただいたものでございます。
 また、資料1の5ページ、資料2の9ページ「(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えらえる例)」の4つ目の事例でございます。
 前回の議論で提示をさせていただきました例に御意見がございました。どのような障害者が想定されているか不明であるとか、早めにといっても空港で過剰に早く来させられることが許容されるのは不適切といった様々な御意見があったことを踏まえ、事例をさらに精査して修正をさせていただいております。
 「定時性確保のため、電動車椅子の利用者に対し、搭乗手続や保安検査に要する必要最低限の所要時間を考慮し、必要がある場合には、その分だけ早めに空港に来てもらうこと」といった事例に修正をさせていただいたところでございます。
 続きまして、合理的配慮の関係に移ってまいります。資料1の6ページ、資料2の11ページを御覧いただければと思います。
 「3 合理的配慮」「(1)合理的配慮の基本的な考え方」のイの1段落目の部分でございます。赤字で「また、その内容は、後述する『環境の整備』に係る状況や、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである」との記載がございます。
 こちらの記載につきましては、もともとイの項目に記載してあったものでございますが、今般、後ほど御説明をさせていただきます建設的対話に関する文章をこちらのイに追記したことに伴いまして、文章の整理として、記載場所をこの冒頭の方に移動させていただいたものでございます。
 同じく、イの3段落目でございます。建設的対話に係る記載を追記してございます。
 前回の御議論で、今回の法改正により建設的対話がより必要となることから、建設的対話の実施に当たり具体的に気をつけることなどについて記載すべき、建設的対話に当たり何に気をつけるか、今まで以上に書き込むべきといった御意見を踏まえ、追記をしたものでございます。
 建設的対話に当たっては、障害者にとっての社会的障壁を除去するための実現可能な対応案を障害者と行政機関等・事業者が共に考えていくために、双方がお互いの状況の理解に努めることが重要である。例えば、障害者本人が社会的障壁の除去のために普段講じている対策や、行政機関等や事業者が対応可能な取組等を対話の中で共有する等、建設的対話を通じて相互理解を深め、様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応に資すると考えられる、としております。
 合理的配慮の提供義務に違反すると考えられる例、該当しないと考えられる例につきましては、先ほどの不当な差別的取扱いに係る事例と同様、事例についてはあくまで事例であることをここでも入念的に記載することといたしております。
 「なお、記載されている事例はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であることに留意する」と記載させていただいております。
 続きまして、同じページの「(合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる事例)」の3つ目でございます。
 こちらは、事務局の方で資料を精査する過程で、より合理的配慮の事例ということが分かりやすいようにするために、元の案では「電話利用が困難な障害者から各種手続を行いたい旨を求められた場合に」と書かせていただいていたものを、より合理的配慮の事例ということを分かりやすくするために「電話以外の手段により各種手続が行えるよう配慮を求められた場合に」といたしまして、末尾につきましても「配慮を断ること」とさせていただいたものでございます。
 その下の「(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる事例)」の2つ目の事例について、委員からの御意見を踏まえ、必要とされる範囲か否かの観点から分かりやすいように「筆談で十分対応できる簡単なやり取りに対し手話通訳者の派遣を求められた場合に、当該要望への対応を断ること」と書きぶりを修正させていただいております。
 資料1の8ページ、資料2の17ページを御覧いただければと存じます。「(3)環境の整備との関係」の「ア 環境の整備の基本的な考え方」の1段落目の下の方にございます。
 「また、ハード面のみならず」という記載の部分でございますが、前回お示しした案では、その後「職員に対する研修や、規定の整備等のソフト面の対応も含まれることが重要である」という記載につきまして、ソフト面という言い方が少し分かりづらいのではないかという御指摘がございましたので、その部分を削除して、単に「職員に対する研修や、規定の整備等の対応も含まれることが重要である」と整理をさせていただいております。
 その次の「障害者差別の解消のための取組は」という段落につきましては、文章が前述の内容を繰り返す内容となっておりましたので、ここを整理しまして「このような環境の整備の施策や取組を着実に進め、環境の整備と合理的配慮の提供を両輪として進められることが重要である」という記載にさせていただいております。
 資料1の9ページ、資料2の18ページを御覧いただければと存じます。
 「イ 合理的配慮との関係」の事例について、前回お示ししました案では事例を3つとしておりましたが、事例の内容として、携帯スロープの事例につきましては資料の6ページの合理的配慮の例と重複していることから、委員長と御相談させていただき、今回は削除させていただきました。
 また、下から6行目のところ「相談・紛争事案を事前に防止する観点からは合理的配慮の提供に関する相談対応等を契機に、行政機関等及び事業者の内部規則やマニュアル等の制度改正等の環境の整備を図ることは有効である」としているところ、前回お示しをさせていただいていた案では、この合理的配慮の提供にプラスしまして差別的取扱いに関する事案についても記載をしていたところ、差別的取扱いのきっかけとなるようなマニュアルについては環境の整備ではなく、むしろ差別禁止の観点で是正しなければならない対象ではないかということで、委員長と御相談をして、今回はその部分について削除をさせていただいております。
 また、下から3行目のところ「また環境の整備は、障害者との関係が長期にわたる場合においても、そのつどの合理的配慮の提供が不要となるという点で、中・長期的なコストの削減・効率化にも資することとなる」という記載につきまして「障害者との関係が長期にわたる場合においても」という部分につきましては、文章の整理をさせていただく段階で、現行の方針にあったものが一旦落ちてしまっていたものでございますので、その記載を再度復活させていただいたものとなっております。
 続きまして、少し飛びまして「第5 国及び地方公共団体による障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関する基本的な事項」についての御説明です。資料1につきましては13ページ、資料2につきましては27ページを御覧いただければと思います。
 「1 相談及び紛争の防止等のための体制の整備」の「(2)国及び地方公共団体の役割分担並びに連携・協力に向けた取組」のところでございます。ここでは、相談窓口の関係につきまして、これまで委員の皆様に御議論をいただいていたところでございます。
 前回の御議論におきましては、やはり地域の事例は地域できちんと解決してもらわないといけない事案が多く、国に丸投げして地域で解決する力が育たないということがないように、市区町村の役割について重ねて重要ということを書き込むべきという御意見を踏まえまして、2段落目のところ「相談対応等に際しては、地域における障害者差別解消を促進し、共生社会の実現に資する観点から、まず相談者にとって一番身近な市区町村が基本的な窓口の役割を果たすことが求められる」と追記をさせていただいております。
 また、次の段落でございます。3段落目、相談対応等においては、このような国・都道府県・市区町村の役割分担を基本として、連携・協力の重要性について記載をしている部分でございます。
 ここで、前回の議論におきまして、国、内閣府の役割につきまして、ワンストップ窓口の設置を検討すべきという御意見や、内閣府において最後まで相談対応をするということではなくて、コーディネーター的・コンシェルジュ的な役割を担う窓口の設定が必要であるという御意見、また、窓口一覧の作成・公表に加えて、そういった取組によってどのような相談機関でも対応されない事例が発生しないようにすることが大事だという御意見などがあったところでございます。
 これらの御意見を踏まえまして、3段落目の部分でございます。赤字で追記をさせていただいているところでございますが「このため内閣府においては、事業分野ごとの相談窓口の明確化を各府省庁に働きかけ、当該窓口一覧の作成・公表を行うほか」の後ろに続けまして「障害者や事業者、都道府県・市区町村等からの相談に対して法令の説明や適切な相談窓口等につなぐ役割を担う国の相談窓口について検討を進め、どの相談窓口においても対応されないという事案が生じることがないよう取り組む」ということを記載させていただいております。
 なお、この記載に関連いたしまして、昨年度の検討会での御議論、また、この政策委員会での御議論を踏まえまして、内閣府におきましては、来年度の概算要求の事業として、このつなぐ役割の窓口に関する事業を提出させていただいているものでございます。
 その内容としましては、この後に記載している相談窓口等に従事する人材の育成に関連する相談対応マニュアルの策定と、このつなぐ役割を果たす窓口の試行の事業を2か年にわたって行い、そこで把握された実態や課題を分析・検証してマニュアルのバージョンアップを図っていただくようなことを考えてございます。
 まだ概算要求という段階ではございますが、今回、基本方針の案でお示しをしております不当な差別や合理的配慮の具体例、建設的対話の推進についての記載と、この相談体制の整備といった事業が相まって、障害者、事業者、行政機関におきまして、より理解が深まり、差別の解消が促進されるというようにしてまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、資料1の14ページ、資料2の29ページでございます。「2 啓発活動」を御覧いただければと存じます。
 冒頭、法の対象範囲のところで、障害のある女性、子供についての記載を移動するという御意見について御説明をしておりましたが、ここで新たな追記をさせていただいているところでございます。
 後段部分のところで「また、各種啓発活動や研修等の実施に当たっては、障害のある女性は、合理的配慮の提供や建設的対話を申し出る場面等において、障害に加えて女性であることにより不公平な対応がなされる場合があるといった意見があること、障害のある子供には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることについても理解を促す必要があることに留意する」と記載をさせていただいているところでございます。
 このほか、障害のある女性についての記載は、7ページの合理的配慮の提供のところについても留意事項を書き込んでおりますので、それぞれ必要とされる場面において留意を書き込んでいるという形にさせていただいたものでございます。
 次に、同じページの「(2)事業者における研修」でございます。一番下の「事業者が障害者に対応する際に参考となる対応例等の提供を通じ」の部分でございます。
 この部分につきまして、前回の御議論で、事例だけではなくてマニュアルの作成についても記載すべきではないかという御意見があったところでございます。それを踏まえまして、こちらの記載にありますように「事業者が障害者に対応する際に参考となる対応例等の提供を通じ」という記載にさせていただいたところでございます。
 続きまして、資料1の15ページ、資料2の30ページでございます。「(3)地域住民等に対する啓発活動」の部分でございます。
 こちらのイのところ「子供」というのが赤字になっておりますが、前回お示しした案では「障害のある児童生徒」としておりましたところ、先生からの御意見を踏まえまして「子供」と修正をさせていただいたところでございます。
 最後でございます。次の資料1の17ページでございます。「第6 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項」の部分でございます。
 17ページの2段落目の「なお」のところでございます。ここでは、もともと国家資格試験の実施に当たって障害者に対する合理的配慮を提供するということを書いていたものでございますが、前回の御議論におきまして、大学等における国家資格を受けるための受験資格の取得に係る試験の単位の修得に係るものについても合理的配慮の提供をきちんと書き足すべきという御意見を踏まえまして「高等教育機関に対し、受験資格の取得に必要な単位の修得に係る試験等において合理的配慮の提供等を促すとともに、国家資格試験の実施等に当たり、障害特性に応じた合理的配慮を提供する」という文章にさせていただいております。
 駆け足で恐縮でございますが、前回の御議論などを踏まえた修正・追記点につきましては以上でございます。

○石川委員長 説明ありがとうございました。
 それでは、審議に入ります。前半30分、休憩10分を入れて後半30分、時間を確保しております。
 できれば今日の審議を経て政策委員会としての基本方針案の採択に向けて、ゴールが見える地点までは行きたいと思っております。よろしくお願いします。
 そういうこともありまして、本日は各委員からできるだけ具体的な修正提案をいただき、事務局には一つ一つの意見に対して、その都度、応答していただくという形をとりたいと思います。
 それでは、修正提案のある委員は挙手ボタンを押してください。
 最初に、阿部委員、お願いします。

○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
 今回修正していただきました、ちょうど2ページの真ん中「また、権利条約が採用する、いわゆる『社会モデル』の考え方の国民全体への浸透を図ることによって」というところに関してなのですけれども、今般、障害者権利委員会との政府の建設的対話並びに総括所見などを見させていただくと、障害の人権モデルということの大きな意義について指摘されています。
 また、実際に総括所見には障害の人権モデルという箇所が7か所出ていまして、障害の社会モデルという言葉は出ていません。障害の社会モデルは大事だと思いますけれども、このような勧告を受けて、私自身も障害の人権モデルの重要性ということを強く認識して多くの方々とともに考えていきたいと思っているところですので、社会モデルだけが示されていることに違和感を覚えるところです。
 この辺のところについて、石川委員長のお考えも含めてお答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。私も不勉強なところだったので、大事だと思いましたので、その辺のところについてどう示すべきかについて指摘させていただきました。よろしくお願いします。

○石川委員長 ありがとうございます。
 では、まず、事務局、いかがでしょうか。

○立石参事官 事務局でございます。御指摘をいただきましてありがとうございます。
 こちらで社会モデルについて記載をさせていただいておりますのは、前回の委員の御発言を踏まえたということもございますけれども、障害者基本法とか障害者差別解消法につきましては、まさに社会的障壁という理念・概念をきちんと法律に記載して、その障害が、障害がある方々の側にあるのではなくて社会の側にあるのだという考え方を、これらの法律においてきちんと規定したということが大きなものとしてあると思っております。
 つきましては、この法律にきちんと規定されている考え方を踏まえまして、今回、委員の御意見を踏まえまして、この基本方針においても社会モデルの考え方ということで記載をさせていただいたものでございます。

○石川委員長 私にも意見を求めていらっしゃいますので、これはちょっと難しい問題で、私もどうしようかと思っていたのですけれども、社会モデルについての障害学等における議論がありまして、社会モデルを強調する立場と、それよりもさらに人権モデルと言葉を変えて中身をもっと膨らませていきたいという立場があったり、あるいは社会モデルという言葉を引き続き使うのだけれども、その中身をほぼ同じようにもっと膨らませていく。膨らませていくというのは、長くなってしまうので、今日は時間の関係もあるのでちょっとちゅうちょいたしますけれども、一人一人の多様性とか尊厳とかを尊重するという視点をもっと強調したいということが一つあると思います。
 これについては、事務局とまた相談したいと思います。社会モデルあるいは社会モデル・人権モデルという書きぶりが可能かどうかということも、もちろんありますけれども、ちょっと保留させていただきたいと思います。

○阿部委員 よろしくお願いします。

○石川委員長 では、石橋委員、お願いします。

○石橋委員 全日本ろうあ連盟の石橋です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 資料1の7ページ、合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる事例です。
 先ほど事務局からの説明で、あくまでも事例であるということを繰り返しおっしゃられましたが、私もかねてより申し上げてきましたとおり、簡単な筆談であれば手話通訳の派遣は要らないという書き方にものすごく大きな懸念を感じているところです。やはりここは変えていただかないと承服し難いところです。
 日本語での筆談は日本語文法です。言語として日本語です。日本語の文字が書かれています。ところが、手話言語は日本語とは全く違う別の言語なのです。日本語を十分獲得し切れていないきこえない人というのは非常にたくさんいます。筆談は簡単だからと思われていますがなかなか対応できない、分からないという方が本当に大勢いらっしゃるのです。ですから、ここはやはり不当な差別に当たるのではないかと私はずっと考えております。
 先ほど人権モデルという話が出されておりましたけれども、手話言語を使う権利の保障という考え方からも、ここの部分は事例として採用するのはかなり反対です。この事例は全て削除していただきたいと考えています。改めて御提案申し上げます。

○石川委員長 事務局、何かございますか。

○立石参事官 事務局でございます。
 合理的配慮の考え方につきましては、6ページのイの2段落目でございます。「合理的配慮は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばない」ということを書かせていただいているものでございます。今回の事例につきましては、こういった合理的配慮の考え方に照らしまして、どういう事例があるかということを書かせていただいているという内容でございます。
 「筆談で十分対応できる簡単なやり取り」と書かせていただいているところでございますけれども、その中身に必要とされる範囲か否かということで検討されているものでございますので、まさに障害のある方が手話でないとだめな場合と筆談で対応できる場合ということで場合分けがされるところでございまして、今回は障害のある方にとって、筆談で理解できる方で十分対応できるような簡単なやり取りについての事例ということで書かせていただいているものでございます。
 事務局からは以上でございます。

○石川委員長 この件について、ほかの委員の御意見があればお伺いしたいです。

○石橋委員 全日本ろうあ連盟の石橋です。よろしいでしょうか。

○石川委員長 どうぞ。

○石橋委員 いろいろ御説明ありがとうございます。
 私はかえって心配が増しました。そもそも、過去、教育の場面において、国が手話言語での教育を外して口話教育を押しつけてきた歴史があるのです。実際、手話での教育もなく、日本語の読み書きが苦手な人はたくさんいらっしゃいます。この事例で筆談ができるのが当たり前だというのは一般の人のエゴではないか。筆談できるのが当たり前だという考え方を押しつけるのではないかと思います。
 そうではなくて、実際に筆談ができない人が本当にいるということを分かっていただきたい。この事例を出すとかえって心配が増すということです。載せると誤解を招くから外していただきたい。外してしまえばこの問題がなくなるという提案です。

 

○石川委員長 本件のような場合は差別解消法の枠組みで合理的配慮の提供として手話通訳の配置を求めるという手法しかとり得ないかと思います。
石橋委員が求めておられるような言語権の保障ということとは立論の組立てが違っているので、差別解消法の事例に組み込むには議論をもっと整理する必要があるように思います。
 そういうことを考えますと、この事例はむしろ削除するほうがいいのかなと思った次第ですが、事務局、どうでしょう。持ち帰って検討ということにいたしますか。

○立石参事官 事務局でございます。
 もし委員の御心配に対応するということであれば、筆談が可能な聴覚障害の方に対しということを入念的に書き込むという方法もあるのではないかと考えております。

○石川委員長 理屈としては、そういう言い方は可能かと思うのですけれども、石橋委員、いかがですか。

○石橋委員 全日本ろうあ連盟の石橋です。
民間事業者の方々は聞こえない人の特性を十分知らないわけですね。実際に書けば全部問題ないと誤解している例が多いのです。事務局が言ったように、筆談が可能な方はと書いてしまうと事業者は筆談でいいと思ってしまいます。手話通訳が必要な方は手話通訳が必要なのです。筆談が可能な方は筆談でいい。それぞれ別です。きちんと線引きが必要なので、今回のこの事例は、あくまでも誤解を招くおそれがあるので、省いたほうがいいということです。
 私はこの件に関しては引きません。

○石川委員長 では、本件については事務局でもう一度検討していただく。私も参加いたします。そういうことでよろしいでしょうか。

○立石参事官 承知いたしました。

○石川委員長 それでは、竹下委員、お願いします。

○竹下委員 日視連の竹下です。3点の発言をさせていただきます。
 1点目、私の方の意見を資料3として配付していただいたことにお礼申し上げます。この内容は、ここでの繰返しは避けて、この内容をぜひ考慮いただきたいということに尽きます。
 その上で4ページですけれども、第2の「2 不当な差別的取扱い」の「(1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方」の部分ですけれども、結論から言えば、この文章の中で「障害者の権利利益を侵害することを禁止している」が不当な差別的取扱いの中身だと思うのです。それでいいと思うのです。それを前提にすれば、その直前にある「障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなど」の「など」に、例えば私が指摘したようなハラスメントとか、そういうものが含まれるのかどうかについて確認をさせていただきたい。それはまさに、その後に続く「障害者の権利利益を侵害すること」の一つの類型として確認したいというのが1点目であります。
 2点目は阿部委員とほぼ一緒なのですけれども、ぜひお願いしたいのは、検討する際に「社会的モデル」という言葉は絶対に残していただきたい。ただ、社会的モデルの考え方に立ってというのでは、失礼な言い方かもしれませんが、そう簡単に理解されないと思うのです。副詞的なというか、もう少しそれを形容した、内容を理解できるフレームを追加することが絶対に必要ではないかと思っております。その文言はお任せします。その際に、ぜひ社会的モデルと併せて人権モデルという言葉も使っていただくほうが今後の流れもよくなるのではないかというのが2点目。
 最後に、今の事務局の説明で、来年度予算の概算要求の中で、相談体制の強化の中でマニュアルをつくっていただけることになったことは非常に感謝しております。したがって、私が出した意見書も、そのマニュアルの中に文言としてどういう形で生かされていくかを期待しておきたいと思うのですが、そのマニュアルの作成過程がどうなるかについて少し確認しておきたい。前回、相談体制の関係では、検討といいますか、調査チームをつくったわけですが、このマニュアル作成に当たってもそういう検討チームの設置が考えられているのかどうかについて確認させていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 事務局、お願いします。

○立石参事官 御意見ありがとうございます。
 1点目でございます。例えば「障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなど」の中にハラスメントのようなものも含まれるのかという御指摘でございます。まさに今回、4ページの「(正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例)」として、3つ目に掲げさせていただいている事項が委員御指摘の内容に当たるのではないかと思っておりまして「障害があることを理由として、障害者に対して、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げること」という事例を挙げさせていただいているところでございます。ですので、障害を理由として、障害者でない方にはそういうことをしないのに、障害者の方に一律異なる取扱いをしていくということについては、この事例という形で示させていただいているところでございます。
 2点目は、社会的モデルの考え方について理解できるようにすべきではないかということで、この内容の文言については委員長と御相談をさせていただきたいと思っております。ただ、御相談をさせていただいてのこととはなりますが、先ほど御指摘があった人権モデルにつきましては、私ども政府の方でもまだこういうものと確定したものがない。社会モデルにつきましては、まさに法律についても書き込んでいるものでございますので、今回入れられるかどうかということにつきましては慎重な検討が必要かなと思っております。
 3つ目は、相談体制に関連して、来年度の概算要求で出させていただいていることについて御質問をいただきました。相談対応のマニュアルと相談の窓口の試行ということがその内容になっておりますが、御質問にあった相談マニュアルをつくる場合の作成過程ということでございます。まだ要求段階ではございますので、仮定の話ですが、私どもが考えている内容としては、有識者で構成する検討会、委員御指摘の検討チームのようなものをつくりまして、そこでマニュアルとか窓口で吸い上がってきた課題も調査・分析していただきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。

○石川委員長 それでは、大下委員が間もなく退席されるということなので、順番は三浦委員が先なのですが、先に大下委員に発言の機会を差し上げたいと思います。

○大下委員 お時間の都合で先に順番を回していただきまして大変恐縮です。日本商工会議所の大下でございます。御説明ありがとうございます。
 私の方から修正を御検討いただきたい点は1点でありまして、正当な理由の説明、過重な負担の説明、双方に丁寧にとの記載がございますけれども、ここは以前も申し上げたかもしれません。理解を得るように努めることとあれば、あえて丁寧にとの記載は不要ではないかと考えております。
 加えて、今、御発言がございました竹下委員から御提示いただいた資料3に書かれている幾つかの御提案について、少し事業者の立場から御意見を申し上げたいと思っております。
 最初に、資料3の2の(2)で正当化事由について幾つか書かれています。
 まず1つ目として、立証責任は行為者が負うことを明確にすべきというお話でございますけれども、これは恐らく法の規定がないのではないかと思っておりまして、そうであれば基本方針で示すことは適当でないのではないかと思っております。
 ここについてもそうですし、この後、述べる正当化事由の具体例のところでもそうなのですけれども、やはり一番大事なのは、今回修正案にも入れていただいています建設的対話というものをしっかり進めていくということかなと思っております。
 そういう意味では、2の(2)で具体例をどうすべきかというところですけれども、残念ながら中小企業も含めてまだまだ事業者の理解が十分ではないです。こうした現状を踏まえると、やはり分かりやすい、考えるヒントになる事例を書いていただくというのは非常に有用かなと思っております。
 ただし、これも今回改定案に入れていただきましたが、事例はあくまで例示であって、一番大事なのは、これも改定案に書いていただいていますけれども、先ほど申し上げた様々な関係者の建設的対話を一つ一つ、現場現場で積み重ねて共生社会を実現していくということにある。ここをしっかりと伝えた上で、例えば不当な差別的取扱いに該当する、あるいは該当しない双方の例を、なおかつ、最大限誤解を生じないように、内容を十分、検討・精査していただいた上で事例は示していただくことが事業者の立場からすると差別解消を進める上では非常に重要かなと思っております。
 3の合理的配慮の提供における過剰な負担についても、先ほど申し上げた立証責任、具体例の提示、同じ意見でございます。
 最後に1点だけ、13ページに事業者や障害者、自治体等からの相談に対応する国の窓口の設置について検討を進める旨を書いていただきました。これは大変すばらしいことと思っております。法あるいは今回取りまとめている基本方針を知らしめていく、周知していくとともに、実際にそうした事例に遭遇することはそんなにすぐにあるとは思えないので、中小企業の方々がその場になったときに安心して相談に行ける公的な窓口がしっかり整備されて、そこでいろいろ御相談に応じていただきながら建設的な対話をそこでしっかりしていただくということが最終的には共生社会の実現に大いに役立つものと考えております。予算措置を含めまして、大いに期待したいと思っております。
 私からは以上です。ありがとうございます。

○石川委員長 それでは、事務局からお願いします。

○立石参事官 事務局でございます。御指摘をいただいてありがとうございます。
 「丁寧な」の部分の案につきましては、まさに立証責任についての御意見と、また、今、頂戴した御意見、理解を得るように努めることという記載が既にあるのでよいのではないかという御意見、双方あるところでございます。引き続き委員長にも御相談しながら、この記載ぶりについては精査をさせていただければと思います。
 具体例についての該当する事例、該当しない事例、両方あることが特に中小企業にとっては重要であるという御指摘ですとか、相談対応をしっかりという御意見についてもしっかりと踏まえて対応していければと思っております。ありがとうございます。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 先ほどの竹下委員からの書面による意見書の中の御意見については事務局の方からまだ返答していない状態なのですけれども、せっかく大下委員からも言及があったので、立証責任についての私見というか、専門家ではないので間違っていたら竹下委員や加野委員に御指摘いただきたいのですけれども、この法律は裁判のための規範として使うことを想定して設計されているのではないと考えておりまして、つまりは主務大臣による介入とか自治体による調停とか、そういったことによって紛争を解決していく、あるいは建設的対話によって当事者間で解決していくということを想定している。だからこそ、丁寧な説明という言い方をしていた。これは立証責任的なアプローチとは対極的な、対話によって一緒に問題を解決していく、よい方法を探していくということで、これは大下委員も評価していただいているところかと思います。
 そういったこともあるので「丁寧」という記述は残したいと思いますし、一方、この法律に立証責任という話を持っていくのはやや難しいのではないかと考えているのですけれども、竹下委員、いかがでしょうか。

○竹下委員 竹下です。長くならないように、一言だけ発言させてもらってよろしいでしょうか。

○石川委員長 はい。

○竹下委員 大下委員がおっしゃっていることにあえて反論するということは考えておりません。すなわち、委員長もおっしゃったように、私はこういう事案が裁判に持ち込まれること自身が不幸だと思っております。一言で言えば、こういう差別事案が裁判になるときには損害賠償とかに形を変えてしまって、本質的な差別の解消というところに結びつかない可能性がある。事後的なペナルティーだけの問題になりかねない。そういう意味からは、私も裁判で物を考えるべきではないと思った上での意見であります。
 その上で申し上げれば、7条、8条の条文の構成から言えば、原則がどこにあって、例外はどこにあるかという関係が、行為者による説明義務あるいは行為者による説明の必要性というところで立証責任ということを考えていただければと私は思っております。
 詳しいことは言いませんが、原則はまさに正当事由に当たるという主張をする人がそのことを説明しない限りは反論もできないわけであります。そういうことから、建設的対話のためにも正当な理由に当たるのだという丁寧な、あるいは十分な説明をいただきたいということで私の主張を御理解いただければありがたいと思っております。
 以上です。

○石川委員長 御趣旨は理解いたしました。その上で書きぶりを考えていく、あるいは裁判規範的な意味合いが非常に強い立証責任という言葉を避けつつ、竹下委員の問題意識を踏まえて何らかの改良は可能かどうか、もう少し考えさせてください。あえて言うと、それは入っているかなと思うのですが、もう一度精査してみたいと思います。
 それでは、三浦委員、お願いいたします。

○三浦委員長代理 ありがとうございます。身障協の三浦です。
 資料1の5ページと竹下委員の資料3の2の(2)には基本、賛成なのですけれども、もしこの正当化事由の具体例を残される場合には、2つ目の黒ポツなのですが、タイヤカバーのところです。「そのまま入室すると畳が傷つくおそれがあることから」というのを削除していただき「簡易シートを敷くことやカーペット敷きの別室を案内すること」。車椅子は畳を傷つけるということが固定観念になってしまうという危険な事例だと思いました。
 実際、地方都市に住んで、中小企業だらけの町に住んでいるのですけれども、車椅子を利用する職員も畳敷きの旅館の大きな宴会場で忘年会に参加します。きれいにすることによって、車椅子は畳敷きでも普通に使えているのです。それができなくなるようなおそれのある事例だと思いましたので、そのように修文提案いたします。
 もう1点は、資料1の14ページですが「2 啓発活動」のところの今回修文されたものの中で「障害に加えて女性であることにより不公平な対応がなされる場合がある」という表現があるのですけれども、この不公平な対応というのは非常に曖昧な表現に感じられまして「機会が均等に得られていない場合がある」という修文の提案をさせていただきたいと思いました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。

○立石参事官 事務局でございます。
 まず、5ページの事例の2つ目のところでございます。委員から御指摘がございました「そのまま入室すると畳が傷つくおそれがあることから」という部分につきましては、正当な理由の観点としての事業者の損害発生の防止の観点として、今回はこういう趣旨でカーペット敷きの別室に御案内をすることにしたのだなということが少し分かるようにということでさせていただいたところでございます。
 畳が傷つくというのだと車椅子が畳を傷つけることにつながるということでしたら、外でそのままお使いいただいていた車椅子で入室するという場面が想定されておりますので、例えば「畳が汚れる」とかではいかがでしょうか。
 事務局からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございます。
 汚れるぐらいでしたら下に何かを敷けば大丈夫ではないかとは思うのですけれども、畳の一点に重量の力が加わってへこむとか傷むみたいなことがかなりの確度であるのであればどうかと思いますけれども、これももう少し検討していただきたいと思います。

○立石参事官 ストッパーとかをかけたときに、畳は植物で作られているものなので、カーペット敷きなどよりもそういった負荷がかかることに弱いであろうという観点でもともと提案をさせていただいたところでございます。もし傷つくという趣旨のことをもう少し書き込むということでございましたら、また委員長と御相談をさせていただければと存じます。

○石川委員長 もう少し検討をさせていただきたいと思います。
 それでは、一旦、ここで休憩を挟みたいと思います。

(休憩)

○石川委員長 それでは、再開したいと思います。
 まず、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 ありがとうございます。玉木です。大きくは2点と1点お願いがあります。
 1点目は、しつこいようで恐縮なのですけれども、5ページの「(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例)」の中で、先ほどから言われているように、畳の事例については当初から問題があると言われていたにもかかわらず、多分、事例はいっぱいあるのですけれども、ここに挙げておられる事例にこだわる理由はどこにあるのかということをお聞きしたいということ。
 それから、その下にある飛行機の事例については、障害者でお手伝いが必要な人という書きぶりから電動車椅子の利用ということでかなり限定されてきたと思うのですけれども、逆に言うと、表現を見ていくと、ここだけ全部抽象的なのです。「搭乗手続や保安検査に要する必要最低限の所要時間を考慮し、必要がある場合には、その分だけ早めに空港に来てもらうこと」と書いているのですけれども、例えば「必要がある場合には」ということを書かれているけれども、このことを誰が判断するのか。航空会社になるのか、受付カウンターの人なのか、いつの段階で判断するのかということが曖昧になっているということと「その分だけ」と書いているけれども、では、その分というのは何分ぐらいの話なのかというのも曖昧になっている。
 例えば私も電動車椅子を使っているのですけれども、航空会社には申し訳ないけれども、羽田空港とか大阪空港はお手伝いが必要な人の別のチェックインカウンターがあるのですが、そこに行くと早いのかなと思ったら、マニュアルを一から見ていって、下手をすればチェックインだけに20分とか30分かかってしまう。そう思えば、地方空港のようなスタッフが少ないところは10分ぐらいでチェックインができるという状況も起きている中で、やはりここに書いている書きぶりはすごく納得できないのです。書きぶりだけなので、まずは飛行機の事例にこだわっている理由を教えていただきたいということが一点です。
 2点目としては、ワンストップ窓口について、今回はきっちりと書き込んでおられて、13ページの下で、今回は本当に事務局には感謝したいと思っているのですけれども「どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることがないよう取り組む」ということを書いていただいたことはすごく心強いなと思っているのです。
 もう一つは、モデル事業を実際に行いながら検討を進めることも大事だと思うのですけれども、先ほど事務局のお話の中で、その検討会については有識者でやっていくという言葉を聞いたのですけれども、その有識者の中には当然、障害当事者も含まれているということを確認したいのです。その中できっちりと、どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることがないように、研究事業でも提言されたワンストップ相談窓口機能が構築されるということにつながっていくのではないかと思っています。
 最後はお願いです。15ページの「3 情報の収集、整理及び提供」ということで、ここにも書いているように、きっちりとデータをとっていく、公表していくということを多分やっていっているのだと思うのですけれども、各省庁から毎年、どのような相談があり、どのような対応をしているのかという事例を公表してほしいのです。現在は年次報告がない中で、幾つかの自治体では毎年、相談事例と対応を報告書にまとめて公表しているので、ぜひとも国の立場でも、国にはどういう事案が上がってきて、どのように解決に結びついたかということも取り組むということを書き加えていただきたいと思っております。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 事務局、お願いします。

○立石参事官 事務局でございます。
 まず、事例についての御質問がございました。こちらに書いている事例にこだわる理由についてということでございます。事務局といたしましてはこだわっているところではございませんけれども、例えば4ページの「(2)正当な理由の判断の視点」の5行目ですが「(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)」といった現行の基本方針において既に明示されている内容で、例えばどういう考え方ができるのかということが参考になるように、それぞれの観点から一つずつ事例を載せさせていただいているものでございます。それに対して御意見をいただいて御議論が深まっているということで、バージョンアップして出させていただいていたものでございまして、そういう趣旨であるということで御理解いただければと思っております。
 それから、ワンストップ窓口についての御指摘で、先ほどの検討会の中に障害当事者も参加する形でやってほしいという御指摘がございました。重ねて申し上げますが、まだ概算要求の段階ではございますけれども、過去、同様に内閣府で検討会をつくってやらせていただいている事例、昨年度にやらせていただいた相談体制の整備についての検討会でも障害者団体の皆様に有識者として御参画をいただいておりますし、また、本年度、事例の分析の検討会をやらせていただいておりますけれども、そこでも障害者団体、事業者団体、地方公共団体の方々に御参画をいただいているということでございます。仮に今回新しく予算を獲得できたらという前提ですが、相談窓口、マニュアルの検討会をやれるようになりましたら、同じようにそういったことをやっていくのかなと思っているところでございます。
 また、15ページの「3 情報の収集、整理及び提供」のところでございます。こちらに書かせていただいておりますように、今後いろいろな事案を集めて、集めるだけではなくて、その概要を分かりやすく整理して、データベース化して、ホームページを通じて公表・提供したいと思っております。その過程で各省庁さんからも御協力をいただいて、概要を整理してデータベースに載せていきたいと思っておりますので、その中でどこの省庁が相談対応に当たっていただいたかということも含めて載せていくかということも検討していきたいと思っております。
 以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 発言を求めている委員が11名いらっしゃいます。時間の関係で、このまま一問一答を続けていくのは無理があるので、ここからは方法論を変えまして、最初に各委員から意見を出していただいて、もし時間があれば事務局から幾つか返答していただき、あとは持ち帰って熟慮、検討していただくとしたいと思います。各委員、できるだけ簡潔にお願いします。
 佐保委員、お願いします。

○佐保委員 ありがとうございます。私からは2点あります。
 1点目は修正の意見ではございませんが、資料1の13ページの「1 相談及び紛争の防止等のための体制の整備」の「(2)国及び地方公共団体の役割分担並びに連携・協力に向けた取組」の部分でございます。
 適切な相談窓口等につなぐ役割を担う国の相談窓口について記載をいただき、感謝を申し上げたいと思います。調査研究事業と伺っておりますが、障害者やその家族、事業者など、多くの方が安心して生活できるよう継続していただきたいと考えます。
 2点目は、具体的修正のお願いになります。15ページ「3 情報の収集、整理及び提供」でございます。
 結論としては、4行目「参考となる事案の概要等を分かりやすく整理してデータベース化し」という部分を「相談件数、相談内容、対応等を分かりやすく整理した年次報告をデータベース化し」という記載にしていただきたいと思います。
 理由につきましては、個人情報などに配慮することは前回の委員会で伺っています。しかし、何が参考になるかは立場や状況により様々考えられることや、現在の記載では曖昧であることを踏まえ、個人情報に配慮しつつ、きちんと年次報告として整理いただき、データベース化していただきたいと考えています。この点は先ほど玉木委員も触れた部分でございます。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございました。
 続きまして、片岡委員、お願いします。

○片岡委員 ありがとうございます。全国地域生活支援ネットワークの片岡です。2点ほど発言させていただきたいです。
 1点目は、少し細かいところですけれども、修正をお願いしたいです。資料1の3ページの第2の「1 法の対象範囲」の(1)のところですが、2行目の「精神障害(発達障害を含む)」とあります。ここは4行下の記載と同様に「(発達障害及び高次脳機能障害を含む)」としたほうがよろしいかと思い、修正のお願いをしたいと思います。
 もう1点は、先ほども少し話題に上がっておりましたが、過去の委員会で何度か発言させていただいたこともあります資料1の13ページ「(2)国及び地方公共団体の役割分担並びに連携・協力に向けた取組」というところでの追記につきまして、このような前向きな文言を追記していただきまして本当にありがとうございました。「どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることがないよう取り組む」ということは、調査研究事業で提言されておりましたワンストップ相談窓口機能を構築するということと同じ意味であるということで理解させていただきました。ありがとうございました。
 以上です。

○石川委員長 それでは、岩上委員、お願いします。

○岩上委員 全国地域で暮らそうネットワークの岩上です。
 今、片岡委員もおっしゃっていた13ページの「どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることがないよう取り組む」ということは私もずっとお願いしてきましたので、こういったことを予算化していただくことに感謝申し上げたいと思います。
 なお、玉木委員もおっしゃっておりましたけれども、ここにきちんと当事者が参画して役割を担っていくことで、より国民のニーズに応える相談支援体制ができるのではないかと思っています。
 1点、先ほど来、議論になっております合理的配慮の提供に反しない事例の取扱いについてですが、やはり石橋委員がおっしゃっていたこともよく分かりますし、三浦委員や玉木委員がおっしゃっていたこともそのとおりだなと思います。このままこういった事例を載せるのであれば、そういった懸念すべきこともあるという記載があると、より後の建設的対話が進むのかなとは認識しております。
 加えまして、最初に申し上げましたように、そういった事例があくまで個別の事例であるということが書かれていることに加えて、そういった懸念すべきことが発生した場合には今後の国の相談窓口で対応していくということと連動しているということがもう少し分かる形にしておくと、懸念すべきことは今後も起きるということを前提としながら、責任を持って対応するということがつながるといいかなという意見でございます。
 以上です。

○石川委員長 では、北川委員、お願いします。

○北川委員 ありがとうございます。私からは2点です。
 一つは、全体の子供の表記についての質問です。今後、子供政策においては、法令に根拠のある場合など特別な場合を除いて、平仮名での「こども」を推奨するというように、こども有識者会議等でも聞いております。こちらの基本方針では子供の表記がどちらになるかということを教えてください。
 もう1点です。資料1の15ページ目のイなのですけれども「インクルーシブ教育システムを推進しつつ、家庭や学校を始めとする」となっているのですけれども、あらゆる機会なのでいいとは思うのですが、私としては就学前教育も入れていただいたほうがいいと思います。できるだけ早期からインクルーシブ教育を推奨していくということで、実際に保育園でも児童発達との併設を可能とするための規制緩和なども、今、議論しているところだと思いますので、就学前の方が割合にインクルーシブが進むのではないかと思います。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 中野委員、お願いします。

○中野専門委員 慶應義塾大学の中野です。同じく15ページの「(3)地域住民等に対する啓発活動」のイの教育に関する部分です。2つあります。
 まず「障害のある子供」という表現に変えていただいたのですが、これは前回の69回会議で米山委員から、児童生徒よりも子供の方がいいのではないかという指摘があって、それを受けたものだと思われます。そのときには、児童生徒よりも子供の方が、範囲が広がると思っていたのですが、子供の定義を確認したところ、18歳未満となっていました。そのため、このままの表現だと大学生等が含まれないということになりますので、その点は御配慮をいただきたいと思います。例えば脚注を入れる等の修正をお願いしたいというのが一点目です。
 もう1点は「インクルーシブ教育システムを推進しつつ」と記載されているのですが、これは以前にも発言させていただきましたけれども、この部分は「インクルーシブ教育を推進しつつ」ではないかと思います。インクルーシブ教育システムというのは仕組み、制度、体制、構造といったことを指すわけで、仕組みを推進するというのはちょっと表現として適切ではないと思います。また、既に日本版のインクルーシブ教育システムは出来上がっているわけですから、推進すべきなのはインクルーシブ教育ではないかと思います。この点、御確認をお願いします。
 以上です。

○石川委員長 中野委員の意見に私も同感です。御検討をお願いします。
 佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。私から4点あります。
 まず1つ目は、5ページ目の2つ目のポツで、何人かの委員が言われた飲食店におけるタイヤカバーです。私は、この事例は、畳敷きの部屋は拒否をしてもいいと解釈できるのではないかと思います。別室がなければ拒否をしてもいいと解釈できると思います。畳敷きであっても合理的配慮をすれば車椅子は利用できるわけですので、この事例では合理的配慮をしないで拒否をしてもいいという誤った解釈につながるので、ぜひ削除をお願いしたいと思います。
 2つ目は、5ページ目の4つ目のポツで、飛行機の定時性確保のところなのですけれども、これは正当な理由があるとは言えないのではないかと思っております。必要な時間というのは航空会社、事業者が決めているのですけれども、会社によってまちまちです。前回も言いましたけれども、日本の場合はいろいろなところ、予約の段階、チェックインカウンター、出国、最後に機内に搭乗するところで何回もバッテリーの確認をされて、同じことを何回も言って、同じ確認を何回もされる。情報が共有されていない。そのために非常に時間がかかっている。7月にアメリカに行った人に聞きましたけれども、アメリカは「ドライバッテリーか」と聞かれて「そうだ」と言ったらそれでチェックをして終わりということで、1分で終わったそうです。ですので、航空会社によってそれだけ差がありますので、正当な理由には当たらない。ですので、これは削除していただきたい。
 3点目は、13ページの相談窓口のところで、ここは本当に入れていただいてありがたいと思います。御説明でも来年度の概算要求で2年間の試行事業を行いながらという話があり、とてもうれしく思いました。ぜひ予算を確保してモデル事業を進めながら、当事者の積極的な登用を図って国の相談窓口の検討を進めていただきたいと思います。
 最後、17ページの最後のところで国の試験のところを入れていただきまして、こちらもありがとうございました。さらにお願いしたいのですけれども、現在だと国の試験だけに限定されて解釈されてしまいそうですので、国だけではなくて、国や地方公共団体や民間の各種の試験の実施等も含めるということを明確にするような記述を入れていただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 曽根委員、お願いします。

○曽根専門委員 曽根です。私は1点です。
 7ページの「(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる事例)」で、先ほど石橋委員から、筆談の関係については削除したほうがいいといったお話があったと思うのですけれども、1つ下の事例では小売店の事例が出ていまして、こちらの方は「買物リストに従って商品を準備することができる旨を提案すること」という終わり方になっています。これがいわゆる建設的対話となるのかなと私は思っていまして、筆談の事例も少しひっくり返して、最後に筆談で対応することを提案したとか、そういうようになると、最後に断って終わりというと確かにちょっと強い感じがしますので、そういった修正はいかがかと思いました。
 また、この委員会においても建設的対話というのは重要かなと思いますので、こういう修正がいいのではないかとか、そのようにみんなでいい方向の提案をしていけたらいいなと感じました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。ぜひそういう方向でお願いしたいと思います。
 米山委員、お願いします。

○米山委員 米山です。
 先ほど中野委員、北川委員からありましたが、15ページの「2 啓発活動」の(3)のイの部分ですけれども、これを読みますと、改正基本法の16条の教育の部分にインクルーシブ教育という文言が多分に組み込まれていると思います。先ほど北川委員からもありましたけれども、今、未就学の子供も乳幼児期早期からの支援ということが言われていて、平成26年の今後の障害支援の在り方でもいわゆるソーシャルインクルージョンの推進ということが明記されていますので、例えば2行目の「その特性を踏まえた十分な教育を受ける」という前に「その特性を踏まえた乳幼児期早期からの子供の育ちを保障し、地域のソーシャルインクルージョン、参加、抱擁を推進し、学齢期においては教育を受けることのできるインクルーシブ教育を推進」というように少し書き加えてみたらいかがかと思います。年齢といいますか、そこは学生も踏まえてということを注意書きで書いていただくのがよいと思いました。
 以上です。

○石川委員長 ありがとうございます。
 ほかにも発言を求められている委員がいらっしゃいますが、一旦、私、発言させていただきます。
 4ページの第2の2の(2)「なお、記載されている事例はあくまでも例示であり」という部分で、その後に「合理的配慮の提供については別途の検討が必要であることに留意する」となっているのですが、ここの意味がこれだけだと伝わらないと思うので、次のように加筆を提案します。「正当な理由があり、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる場合であっても、後述の合理的配慮の提供が求められる場合があることに留意する」。こういう趣旨かと思いますので、修正を提案します。
 2点目、7ページで「(合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる事例)」というところなのですが「自宅への送迎等を求める」というのはほとんど考えられない事例なので、削除したほうがいいのではないかと思います。オンラインの講座を対面で実施してほしいという要求も考えにくい事例かと思います。そんなことを求める障害者がいるのかということになるのではないかと懸念します。
 同じく7ページ、ウの最後の段落ですけれども「特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた配慮」となっているのですが、この「配慮」という言葉を差別解消法の基本方針の中で使うのは非常に注意を要するというか、使わないほうがよいと考えておりまして「特に障害のある女性への合理的配慮においては、女性であることに配慮する」。つまり、今、使わないほうがいいと言ったのですけれども、女性であることについては合理的配慮と言えないので、ここは書き分けることで理屈を立てたほうがよいと思います。エの最初の段落の「社会的障壁の除去に関する配慮」も「合理的配慮」としたほうがよいと思います。
 4点目、8ページですけれども「(3)環境の整備との関係」のアの基本的な考え方ですが「法は」「努力義務としている」というくだりがありまして、この中にバリアフリー法とかアクセシビリティに関わることも書いてあるのです。ここは心配しなくてもよいという考え方もあるかと思いますけれども、もっと分かりやすくするために「ただし、環境整備を促す個別法が義務規定を持つことを妨げない」と書くと誤解を防げるのではないかと思います。
 5点目、12ページですが、削除の提案です。「相談対応の基本的なプロセスとしては」というところで「なお、公正中立な立場である相談窓口の担当者とは別に、必要に応じて、相談者となる障害者や事業者に寄り添い、相談に際して必要な支援を行う役割を担う者を置くことも」というところなのですが、公正中立と寄り添うことを対立的なことと考えているかのように読めてしまうので、またこの中に公正中立ということを強調しようとして複数回出てきておりますので、ここの部分の「公正中立な立場である」を削除したほうがよいと考えます。
 最後、6点目です。14ページですが、修正提案です。「障害に加えて女性であることにより不公平な対応がなされることがあるといった意見」とあるのですが、先ほども御意見がありましたけれども「障害に加えて女性であることにより合理的配慮の提供において不公平な対応がなされることがあるといった意見や不当な差別的取扱いを受けやすいといった意見」とすることで、複合的差別という言葉はまだこの基本方針の中には入っていないのですけれども、それを意味する表現として、不当な差別的取扱いを受けやすいと言い換えるのはどうか。それを付け加えることを提案いたします。
 私からは以上です。
 それでは、続きまして、長谷川委員、お願いします。

○長谷川委員 商工会議所の大下委員から御指摘のあった点に重複する部分もありますが、不当な差別的取扱いに対して正当な理由等に該当するのか、該当しないのかということについては、会員企業のヒアリングなどにおいても、現場では判断に困るという意見を多数いただいております。そのために、やはり今回、基本方針において該当する事例、該当しない事例という両方を示されることは非常に有益であると思っております。今、整理されているように、損害発生防止、財産の安全、事業の目的・内容・機能維持など違った観点から事例を整理いただくということは、事業者にとっては大変参考になると思います。ぜひ該当する例、該当しない事例の両方をバランスよく記載いただければと思います。
 正当な理由についての説明責任については、既に石川委員長から御指摘のあったとおり、基本的にこの法律の精神としては建設的な対話で解決を目指すということですので、立証責任といった法律用語を使うのではなく、建設的な対話を通じて理解を得るように努めるという表現の方がよろしいのではないかと思っております。
 合理的配慮の提供義務違反に該当する事例、該当しない事例も不当な差別的取扱いと同様に、事業者が現場で判断に非常に戸惑うことが多いと考えられますので、合理的配慮の提供義務違反に該当する事例または該当しない事例というものをセットで記載いただければと思います。
 以上です。

○石川委員長 大塚委員、お願いします。

○大塚委員 ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの大塚です。
 私は修正を1か所、8ページです。上から4行目の「困難な場合には、障害者の家族、介助者等」とありますけれども、介助者等の前に「支援者」を入れていただきたいと思います。これは4ページの一番下の「一律に保護者や支援者・介助者」と同じ形にしていただきたいと思います。介助者というのは身体介助が中心ということでみなされますけれども、むしろ意思表明の支援ということの観点からいくと、支援者全般、支援者の方がいい言葉だと思います。もちろん、介助者も含めてですけれども「支援者・介助者」とお願いいたします。

○石川委員長 ありがとうございます。
 では、安藤委員、お願いします。

○安藤委員 ありがとうございます。連合会の安藤です。
 ジュネーブでの国連の権利条約で結構指摘をもらったなと思っていたのですけれども、それでもこれだけの進捗があって、皆さんの意見を入れながらこうやって文書をつくっていただいて、私、障害当事者としては本当にありがたいことだなと思っています。感謝しています。ありがとうございます。
 それで、私からは1点ほど、資料1の14ページ、赤い文字で書いてあるところの「障害のある女性は、合理的配慮の提供や」云々と書いてあるところなのですが、やはり何回か指摘させていただいたのですけれども、どうしても女性のみを指摘しているのが気になるのです。やはり今、性別というのは男性と女性だけではない。ジェンダーの話というのはもうちょっと深いと思っていて、ここは障害のある女性だけではなくて、LGBTQみたいなことを入れていただきたいと思っています。
 総括所見の中でもLGBTIQ+と言葉があるので、その言葉を使って「女性及びLGBTIQ+の方は」と入れていただきたいのと「障害に加えて女性であることにより不公平な対応がなされる場合があるといった意見があること」というので、これは石川先生もおっしゃっていましたけれども、私としてはちょっとくどいなと思うので「不公平な対応がなされる場合があること」でいいのではないかというのが一つと、そのちょっと前は「障害に加えて女性であることにより」ではなくて「障害に加えてジェンダーバイアスにより」とか、女性だけではないジェンダーバイアスがあるということをもう少し入れてほしい。女性だけと言っているのは古い感じがするのです。ですので、ここら辺を修正していただきたいと思います。
 以上です。

○石川委員長 阿部委員、挙がっていますか。

○阿部委員 阿部ですけれども、私は試験の実施に関する合理的配慮で、佐藤委員がもうお話しされたので、よろしくお願いします。

○石川委員長 それでは、事務局、幾つかの論点について、もしここで事務局として発言したいということがあればお願いします。

○立石参事官 ありがとうございます。事務局でございます。
 委員の皆様から多数御意見をいただきまして本当に感謝を申し上げます。幾つか、この時点でお答えできることについて回答させていただければ幸いでございます。
 まず、佐保委員から、15ページの「3 情報の収集、整理及び提供」の部分につきまして、データベース化のところで、相談件数などについても整理して年次報告化してほしいという御指摘がございました。私どもの限界ということで大変恐縮でございますけれども、私どもは地方公共団体や各省庁に対して全数報告を求めるような権限はございません。お願いベースとして連携・協力して、よい事例を収集させていただけるようにお願いをしているところでございます。ですので、年次報告ということは大変困難であるということを御理解いただければと思っております。ただ、相談内容をきちんと概要を分かりやすく整理してデータベース化するということにはしっかりと取り組んでまいりたいと思っているところでございます。
 北川委員からいただきました15ページの(3)の啓発活動のイの就学前教育のところですとか、同じ部分で中野委員などからもいただきましたインクルーシブ教育関連の部分につきましては、関係省庁と御相談させていただいて、可能な修正があれば入れさせていただきたいと思っているところでございます。
 17ページの国家資格のところにつきまして、佐藤委員から、国だけでなくて地方や民間についても含めるようにしてほしいという御意見がございました。こちらも関係省庁との調整が必要でございますので、それを踏まえてどのような対応ができるかということを検討させていただければと思っております。
 石川委員長から、合理的配慮の事例について、ちょっと内容が極端で現実的ではないのではないかという御指摘もいただいたところでございます。こちらにつきましては、まさに合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる事例の部分でございますが、例えば本来の業務に付随するか否かとか、事業の目的・内容・機能の本質的な変更に当たるか否かとか、そういう考え方の参考に示しているものでございまして、分かりやすくするために極端な事例も載せてしまっているということで、大変恐縮でございますが、お許しいただけると幸いでございます。
 たくさん御意見をいただいたところでございますけれども、今、御回答させていただける部分については回答させていただきました。本当に御意見どうもありがとうございます。
 事務局からは以上でございます。

○石川委員長 ありがとうございました。
 今日の段階では、この後も調整になかなか苦労するであろうというのは、あったほうがいいという意見が多いと思いますけれども、事例のところがなかなか難しいと思っていますけれども、このあたりについて、事務局としてどうでしょうか。差別的取扱いに当たらない正当な事由については、4つの観点に対してどういうことを言わんとしているのか、趣旨が分かるように事例を出すというのが趣旨である。つまり、セーフか、アウトか、ぎりぎりを攻めようという趣旨ではないということなので、普通、それは言わなくても大丈夫だろうという線でも、どういうことを言わんとしているかが分かる事例であればいいということだと思うので、そのような方向からもう一努力していただくということは可能ですか。

○立石参事官 委員長と御相談させていただきながら検討させていただければと存じます。

○石川委員長 先ほどの食事介助と送迎とあるので、食事介助の方はまだしも幾らかリアリティがあるかなとは思うのです。なので、2つ並べなくてもよくないかなと思うのですけれども、そのことも含めて検討したいと思います。
 よろしいでしょうか。各委員、追加的に、もうお一方ぐらいかなとは思いますけれども、よろしいですか。
 それでは、この議題については以上とさせていただきます。
 もう時間が来ておりますので、簡単に私の方から権利委員会に出席した報告をいたします。
 今日は資料を用意しまして、建設的対話において私が発言した内容をそのまま、原文の英語と翻訳したものを用意いたしました。時間が5分と短かったので、3つの条文に絞って報告をしました。すなわち、12条と14条と24条に関わる障害者政策委員会の見解に絞って述べました。
 権利委員会からの総括所見では、政策委員会に言及したところもいろいろあります。まず出席に敬意を表するというか、感謝するということが述べられ、それから、政策委員会が設置されて基本計画が策定されていること等について評価するということがありました。
 一方で、政策委員会の公式の権限の強化を独立した監視枠組みの中で勧めていってほしいということが勧告されておりました。
 そういうことで、これについては、どのようにしてやっていくかということについては、今日は議論している時間がありませんので、また改めて今期のうちに少し意見を述べたいと思います。
 私からは以上です。  では、平川委員、どうぞ。

○平川委員 日精協の平川です。
 私ども、第二の懸念の第14条に関する発言について質問なのですが、今までこのような形で我が国は精神科の病床数が突出して多くて、特異な入院制度をとっているという議論は、この委員会ではあまり記憶がないのですけれども、第何回の委員会でこういうことが議論されたのかを教えていただきたいのです。

○石川委員長 第何回というのは、議事録を見てみないと分からないので、即答できないので、次回でよろしいでしょうか。

○平川委員 もちろん、結構です。よろしくお願いいたします。

○石川委員長 基本計画の検討の中では、こういった議論はしております。確かに見解の取りまとめのときには、文言としては入れていないのですけれども、ファクトとして述べるほうがよいだろうという私の判断でさせていただきました。事後的な報告になって申し訳ありません。

○平川委員 大変、精神科病院に対する偏見をあおるような内容のような気もいたしますので、きちんとした議事録があれば私たちも検討したいと思います。よろしくお願いいたします。

○石川委員長 承知しました。
 それでは、以上で本日の審議は全て終了となります。
 では、事務局から事務的な連絡をお願いします。

○立石参事官 事務局でございます。
 次回は10月5日9時から障害者基本計画について御議論をいただく予定としております。
 以上でございます。

○石川委員長 それでは、これをもちまして、第70回の障害者政策委員会を終了いたします。