障害者政策委員会(第78回)議事録
令和6年3月7日(木)
15:30~18:15
中央合同庁舎8号館 1階講堂
(ハイブリット開催)
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○熊谷委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第78回「障害者政策委員会」を開会いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙中のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員会は18時15分までを予定しております。
では、まず事務局より、委員の出欠状況について報告をお願いします。
○小林参事官 事務局です。御報告申し上げます。
本日ですけれども、浅川委員、安藤真理子委員、北川委員、黒岩委員、小枝委員、佐保委員、内布専門委員が所用により御欠席、曽根委員が所用のため16時頃から御出席という御連絡を受けております。
以上になります。
○熊谷委員長 熊谷です。ありがとうございました。
それでは、早速ですが審議に入りたいと思います。
まず、議事に入る前にオンラインで御参加の委員へお願いがございます。
御発言いただく際には、まずチャットメッセージに文字で「挙手」と書いて送信ください。それを受けまして、委員長の指名を受けてから御発言をお願いしたいと思っておりますので、御協力のほど、よろしくお願いします。
また、御発言の際にはマイクに近づいてゆっくり分かりやすく御発言いただくこと、そして最初にできましたら結論を述べていただき、その後、できる限り簡潔にその理由や説明をしていただけますと、情報保障の質を上げる上でも非常に助かりますので、ぜひ御協力をお願いいたします。
また、限られた時間内でなるべく多くの方の御意見を伺う際の効率を考える上でも、こういった形で整理して御発言いただけますと大変助かりますので、可能な限り御協力をお願いいたします。
それでは、本日予定している議事を進めたいと思います。
本日の議題及び資料について、事務局から説明をお願いいたします。
○小林参事官 事務局です。
本日は、改正障害者差別解消法の施行について、内閣府、金融庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省の順に御報告をさせていただいた後、地方公共団体として兵庫県さん、それから民間事業者団体として一般社団法人日本ショッピングセンター協会さん、一般社団法人全国銀行協会さんが来られておりますので、各々から改正障害者差別解消法の施行に向けた取組について御説明をいただきたいと考えております。
関連資料としましては、資料1から資料9を御用意しております。
また、本委員会の今後のスケジュール案として資料10を配付しておりますけれども、こちらにつきましては会議の最後に御説明したいと考えております。
なお、休憩につきましては、関係省庁からの報告に対する質疑応答が終了した後に設ける予定となっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上になります。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
事務局からもただいま説明がありましたとおり、まず各省庁から御報告をいただき、その後、質疑応答を行ってから、16時45分を目安に休憩を取りたいと思っております。
それでは、早速ですが、まず内閣府から取組状況等について御説明をいただきます。お願いします。
○小林参事官(内閣府政策調整担当 障害者施策担当)そうしましたら、まず内閣府から令和6年4月1日の改正障害者差別解消法の施行に向けた取組状況といたしまして、1つ目が内閣府における改正障害者差別解消法の周知・啓発に係る最近の取組、2つ目が各省庁における対応指針・対応要領の改定状況、3つ目が地方公共団体における対応要領の策定状況及び地域協議会の設置状況、4つ目が令和5年10月に開設しました障害者差別に関する相談窓口である「つなぐ窓口」の実績、これにつきまして資料1に基づいて順次御説明させていただきたいと思います。
まず、内閣府における改正障害者差別解消法の周知・啓発に関する最近の取組について御説明したいと思います。
資料1の1ページ目を御覧いただきたいのですけれども、まず一番上の1.については、令和5年11月に事業者を対象とした改正障害者差別解消法に係る説明会を開催しておるところでございます。この説明会なのですけれども、オンライン形式で実施しておりまして、中身的には改正法についての行政説明、あと有識者による障害特性だとか不当な差別的取扱い、あるいは合理的配慮の提供に関する事例等の講演が終わった後に質疑応答というような内容にしておりまして、合計で8回開催しておるところでございます。
次に2.事業者団体、障害者団体等主催の講演会等における説明・周知ということなのですけれども、これは事業者団体や障害者団体等々から御依頼を受けまして、内閣府の障害者施策担当の職員が改正法の説明や周知をさせていただいているというものになりまして、令和5年度につきましては現時点で予定のものも含めて10件こういったものを実施する予定となっております。
次の3.障害者差別解消支援地域協議会にかかる体制整備・強化ブロック研修ということなのですが、これは地方公共団体の職員等を対象とした研修の中で、地域協議会の設置・運営に係る研修と併せまして、改正法についての説明も行っているというところでございまして、令和5年度につきましては計6回開催しているところでございます。
次に4.政府広報になりますけれども、①から④にございますが、令和5年10月以降、例えば全国73の新聞に、右の方にあるような新聞の突き出し広告を掲載したりだとか、ニュース配信サイトへのバナー広告、これも右の方に実物がございますけれども、そんなものを掲載する。あるいは政府広報オンラインの中に改正差別解消法に関する広報動画だとか解説記事を載せていくといったような形で、多様な媒体手段によって、4月1日の改正法の施行に向けて広報を集中的に実施しておるところでございます。
2ページ目に参りまして、5.障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイトについて、周知広報の一環としまして、令和3年に障害者差別解消法の内容等をイラストや動画を用いて分かりやすく解説するほか、関連する情報をポータルサイトということで1つにまとめたようなサイトを内閣府のホームページにリンクする形でネットに公開させてもらっております。このポータルサイトについては、下の方にございますけれども、事例データベースを追加したりとか、あと先ほど申し上げた事業者向けの説明会の説明動画を掲載するという形で順次更新・充実を図っているところでありまして、それと併せてポータルサイトについて御利用いただけるようにということで、定期的にネット上にバナー広告を掲載して、利用の活用促進を図っているというところでございます。
次に参りまして、6.リーフレット・チラシの作成・配布ですけれども、こちらにつきましては改正法だとか、後ほど御報告させていただきますが「つなぐ窓口」に関するリーフレットやチラシを内閣府で作成しまして、ホームページ上で掲載するとともに、自治体や関係団体にもこういうチラシについてお知らせして周知を図っているところでございます。
次に、各省庁における対応要領・対応指針の改定状況に入りまして、同じ資料の3ページ目を御覧いただきたいのですけれども、まず対応指針の改定状況ということでございまして、表の記載のとおりなのですが、令和6年1月末時点、公表済みになっている省庁が9、それに対して未公表が7という状況なのですが、右の方を見ていただければ分かるとおり、2月中に公表するところが多く、遅いところでも3月中には公表するという予定になっております。
次のページに参りまして、対応要領の改定状況になりますけれども、こちらも表のとおりでございますが、1月末現在で公表済みが29、それに対して未公表は12ということですが、こちらもおおむね2月中には公表予定、3月までには全て公表するということになっております。
なお、その後、内閣府の改定後の対応指針と対応要領の概要を参考として添付させていただいております。この後、各省庁から改正後の対応指針の概要等の説明がございますので、詳細な説明は控えたいと思うのですけれども、各々改定基本方針の記載を踏まえまして、例えば建設的対話についての記載を充実させるだとか、あと不当な差別的取扱いだとか、合理的配慮の提供に係る事例を追加する、このような見直しを行っておるところでございます。
なお、今後、改定後の基本方針の概要等を説明してもらう省庁と内閣府の改定後の対応指針と対応要領の全文につきましては参考資料として配付させていただいておりますので、必要に応じて御参照いただければと思います。
次に参りまして、次は地方公共団体における対応要領の策定状況と地域協議会の設置状況になりまして、8ページを御覧いただきたいのですけれども、まず行政機関等における障害を理由とする差別の禁止に関する規定に関し、職員が適切に対応するための要領であります対応要領の策定については、障害者差別解消法第10条におきまして、地方公共団体につきましては努力義務とされております。そういった中で、令和5年4月1日現在の対応要領の自治体における策定状況を見ていきますと、グラフのとおりではあるのですが、都道府県・指定都市はもう既に全て策定しています。中核市は99%、一般市では90%、町村では66%という形で、比較的規模の小さな自治体ほど策定割合が低くなっているところなのですけれども、左下のグラフ、経年別で見たものですけれども御覧いただきますと、比較的規模の小さな自治体におきましても徐々に策定割合は増加傾向にあるという状況になっております。
それから、右のところに策定未定の理由というのがございまして、自治体になぜ策定していないのかということで理由を聞いた結果なのですけれども、やはり人員不足だとか、専門知識とかノウハウがないということを挙げているところがありますので、その下の黒の矢印以降ですけれども、内閣府におきましては、小規模な自治体における策定を推進するため、全国の自治体に改定後の内閣府の対応要領を参考として配付するほか、都道府県に対しましても、未策定の市町村への協力依頼を行うなどの対応を行っているところでございます。
次に9ページに参りまして、地域協議会の設置状況になります。こちらは障害者差別解消法の第17条におきまして、障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会を組織することができるとされているところでございます。
9ページのグラフですけれども、こちらも令和5年4月1日現在の設置状況なのですが、都道府県・指定都市におきましては100%、中核市等におきましては88%、それから一般市におきましては74%、町村では51%となっておりまして、こちらのほうも対応要領と同じように、比較的小さな自治体ほど設置割合が低くなっているという状況にはございますけれども、左下のグラフを御覧いただければ分かるとおりなのですが、経年別に見ていくと徐々に設置割合が増えてきています。
こちらもその右になりますが、設置未定の理由を聞いておりまして、そちらを御覧いただきましてもやはり人員不足だとかスキル不足、こんなことが言われておりますので、内閣府におきましては、自治体職員に対する研修の中で、例えば複数自治体による共同設置、こういう方法もあるよとか、他の会議体と兼ねて地域協議会をつくるという方法もあるのだよと、そのことを紹介しているところでございます。
次に10ページに参りまして、「つなぐ窓口」の関係になりますけれども、まず1.の「つなぐ窓口」の概要のところでございますけれども、「つなぐ窓口」を設置するに至った経緯が書かれておりまして、令和5年3月の閣議決定、改定基本方針におきまして、内閣府においてこうした窓口をつくることの検討を進めて、どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることのないよう取り組むということが明記された。この改定基本方針を受けまして、12と13ページにこの窓口のチラシがございますけれども、そのチラシの内容のとおり、内閣府におきまして障害者差別解消法に関する質問に回答すること、あるいは障害を理由とする差別に関する相談を自治体、各府省庁等の適切な相談窓口に円滑につなげるための調整・取次ぎを行うことを目的としまして、令和5年10月16日から令和7年3月下旬までの間、試行的に障害者差別に関する相談窓口である「つなぐ窓口」を開設しておるところでございます。
次に、このページの2.相談対応件数ということでございまして、こちらについては「つなぐ窓口」を開設した令和5年10月16日から6年の1月末までおおむね3か月半の相談件数を記載しておりまして、616件となっております。月平均でいきますと大体200件弱という形かと思っております。
その下に括弧で616件の相談者別の件数が記載されておりまして、このうち障害者につきましては、下の注にございますけれども、障害当事者のほか障害者の家族、支援者等からの相談も含むという形になりますけど、こちらが444件、割合で申し上げますと72.1%、事業者が92件、割合で申し上げますと14.9%、自治体等については5%、31件、それからその他ということで、属性不明とか近隣住民の方とかいろいろ入っておるのですが、これが49件、8%という形になっております。
下に月別の推移が記載されておりまして、これを御覧いただきますと、12月までは増加していたものが、1月はやや減少しているというような形にはなっておるのですが、ちょっと2月がどんな状況かということで委託業者のほうに確認しますと、1月よりは増えている状況ということでございますので、1月はやや特殊要因もあった部分もあるのかなと思っております。引き続き動向については注視してまいりたいと考えております。
次の11ページに参りまして、3.2.の相談件数のうち、自治体等取次ぎ案件の件数でございますけれども、「つなぐ窓口」では相談者の希望等を踏まえまして、寄せられた相談案件を適切な自治体等の相談窓口に取次ぎを行っておりますけれども、令和6年1月末現在での自治体等取次ぎ案件につきましては66件という形になっておるところでございます。
次に、4.障害者差別に関する主な相談内容の例ということで書かせていただいておりまして、具体的な相談内容をお示しすると、相談者のプライバシー等々との観点から支障が生じるおそれもあるため、ここでは相談対応の中で比較的よく見られる相談事例のパターンということでお示しさせていただいております。
まず、障害者からの相談ということにつきましては、1点目は事業者から差別的な対応を受けたため、対応を求めたいとか、謝罪を求めたい、こういった御相談。2つ目については合理的配慮を事業者に求めたいのだけれども、対応してもらえなかったため、事業者と調整してほしい。3つ目は事業者からこういうことされたのだけれども、これは障害者差別なのではないか。4つ目は合理的配慮として、事業者にこういうことをしてほしいのですけれども、どうしたらいいのでしょうかと。こんな形のものが比較的多く見られると思っております。
それから、事業者からの相談につきましては、改正法が施行されるというのは聞いているのだけれども、施行されると何が変わるのかと。ある意味、専門性に近いところの御相談もございますし、合理的配慮の義務化の提供は知っているのだけれども、何をすればいいのか教えてくれというような御相談だとか、あと一番最後のものが比較的よくあるのですが、施設のバリアフリーとかウェブアクセシビリティの確保につきましては、事前的改善措置を行う場合につきましては、環境の整備という形で努力義務になってくるのですけれども、これについても義務化されるのかということで、こういった御相談も比較的多く見られているところでございます。
一番下の囲みにございますけれども、「つなぐ窓口」におきましては、こうした相談につきまして事案に応じて障害者差別解消法の不当な差別的取扱いとか合理的配慮の提供の内容等について御説明させていただいた上で、自治体等の相談窓口に取次ぎ可能であることも御案内して、相談者が希望に応じまして自治体との相談窓口に取次ぎを実施しておるところでございます。
内閣府からの説明は以上になります。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
時間が押しておりますので、引き続き関係省庁から御報告をいただきたいと思います。
まず金融庁からお願いしたいと思います。5分以内を目安にお願いをいたします。
○金融庁(監督局総務課 中西課長補佐) 金融庁では、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の改正及び基本方針の変更の趣旨を踏まえ、令和5年12月22日に金融庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の改正を行いました。本対応指針の改正について、次の3点を資料2に基づいて御説明いたします。
まず1点目ですが、対応指針の概要についてとなります。2点目は対応指針の主な改正内容について、3点目は資料2の2ページ目にございますが、事業者団体への周知状況について説明させていただきたいと思います。
まず資料1の1ページ目に戻りますが、1つ目の対応指針の概要について、本対応指針は、金融庁所管事業者が障害者差別解消法第8条に規定される差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供義務に対し、金融庁所管事業者が適切に対応するため、平成27年10月に策定されたものです。対応指針の構成として、障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方等を記載している本文部分と、合理的配慮の具体例等を記載した別紙の部分の2つに分かれております。
続いて資料1ページ目の2に記載しております金融庁の対応指針の主な改正内容について御説明いたします。このたびの障害者差別解消法の改正に伴い、事業者による合理的配慮の提供が義務化されたことを金融庁の対応指針の本文に記載させていただいております。また、このたびの障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の変更を金融庁の対応指針の本文に反映させております。具体的には、社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当することを明記いたしました。また、事業者と障害者の双方が建設的対話を通じて相互理解を深めることが重要であるということ。また、環境の整備と合理的配慮の提供を両輪として進めることが重要であることなども明記させていただきました。
さらに基本方針では、合理的配慮等の具体例を記載する際に、障害特性や年齢、性別、具体的な場面等を考慮したものとなるよう留意することとされておりますので、この趣旨を踏まえ金融庁の対応指針においても具体例の拡充を図っております。
具体例の拡充に当たっては、金融分野独自の例を追記させていただきました。今回改正しました金融庁の対応指針の末尾には、合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例を記載しておりますが、例えば資料2の例1として記載しているとおり、公共インフラとしての電話リレーサービスや独自の手話通訳サービスの利用により、残高照会、取引照会、キャッシュカード等の紛失時の手続等を行えるよう、マニュアル等を整備し、職員に周知するという環境の整備を行うとともに、障害者から対応を求められた場合には、マニュアル等を踏まえ適切に職員が対応するという合理的配慮の提供を行うといった金融分野独自の例も追記しております。
最後に、資料2の2ページ目の3に記載しております改正後の金融庁の対応指針の周知状況について説明させていただきます。
対応指針の事業者団体への周知については、金融庁が定期的に開催しております各業界団体との意見交換会におきまして、対応指針を改正した旨を周知するとともに、改正内容を踏まえた適切な対応ができるよう、引き続き障害者の利便向上に向けた取組を促しております。
資料末尾の※印に記載していますとおり、2月2日時点では意見交換会の会場において、全国信用金庫協会、主要行等、全国信用組合中央協会へ周知を行っており、その後も全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国労働金庫協会、全国信用金庫協会、日本損害保険協会、生命保険協会、日本投資顧問業協会との意見交換会において周知を行っているところでございます。
金融庁からは以上となります。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、文部科学省より5分以内を目安に要点を絞って御報告をお願いいたします。
○文部科学省(初等中等教育局特別支援教育課 河﨑補佐) 文部科学省でございます。
文科省におきましても、令和5年3月の障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の閣議決定以降、文科省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の改正に向けて作業を実施いたしました。具体的には、障害当事者団体へのヒアリングですとか、また関係団体への個別ヒアリングも行いまして、さらにパブリックコメントも経まして、昨年の12月28日に対応指針を公表させていただいております。
今回、具体的な主な改正事項としまして幾つか御紹介させていただきたいのですけれども、対応指針の別紙1というところで、特に様々な具体例を今回新たに追記・修正しておりますので、その辺りを中心に今日は御紹介させていただこうと思います。
まず初めに、例えば正当な理由がなく不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例としまして、例えば障害の種類や程度、それから本人とか第三者の安全性などについて考慮することなく、一律にもしくは漠然とした安全上の問題を理由に、社会教育施設であったりスポーツ施設であったり文化施設であったりの施設利用を拒否すること、こうしたことは正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例であるとして記載をしております。
次に、今度は逆に正当な理由があるため不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例についても記載しておりまして、例えば手続を行うために障害者本人に同行した者が代筆をしようとした際に、必要な範囲で障害者本人に対してその状況や本人の手続の意思などを確認することという例を追加いたしました。
その次に、合理的配慮に当たり得る配慮の例も今回幾つか追加をしております。例えば学校などにおいて障害のある子供が必要以上の発声ですとかこだわりのある行動をするなど落ち着かない状況にあるという場合に、当該子供が落ち着くことができるように個室などを提供すること、これは合理的配慮に当たり得る配慮であるとして、例を追加しております。
そのほかにも、例えば視覚障害のある者から、学校など施設の中においてトイレの個室へ案内するよう求めがあった場合には、その求めに応じてトイレの個室まで案内すること、さらにその場合に同性の職員がいる場合には、障害者本人の希望に応じて同性の職員が案内すること、これも合理的配慮に当たり得るとして記載しております。
そのほかにも情報保障の観点で、カラーユニバーサルデザインに配慮した資料ですとか、活動や場所の手がかりとなるものを示す、あとは読み書きなどに困難のある児童・生徒のための配慮の例としまして、読みやすい字体による資料を作成、こちらも合理的配慮の例として追加をさせていただきました。
今度は逆に合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例なのですけれども、例えば筆記が困難なために試験の場でデジタル機器の使用を求めるといった申出があった場合に、例えば前例がないという理由で一律に対応を断るというのは提供義務違反に該当する例として追加をしております。
それから、合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例についても記載をしておりまして、例えば医療的ケアを受けている子供が体調不良のために登校ができないとしたときに、医療的ケア看護職員の方に家庭での個別の体調管理を依頼するなど、その事業の一環として医療的ケア看護職員が行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ることは合理的配慮の提供義務に反しないとして例を追記しております。
最後に、合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例として、学校において校長が、教職員が特別支援教育に対する理解を促進するための校内研修を実施して環境を整備するとともに、教職員のほうでも児童・生徒一人一人の障害の状態に応じた配慮を行うということで、合理的配慮の提供といった例も追加しております。
最後に、資料の末尾に幾つか書かせていただいておりますけれども、改正が終わった後にもきちんと周知・啓発活動をしていくことが重要であると認識しておりますので、様々な機会を捉まえてこちらの対応指針について周知・啓発させていただいているところでございます。
文部科学省からは以上になります。ありがとうございました。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、厚生労働省より5分以内で報告をお願いいたします。
○厚生労働省(障害保健福祉部企画課 江口課長) 厚生労働省の障害保健福祉部企画課長の江口です。
資料4を御覧ください。厚生労働省所管事業における対応指針、いわゆるガイドラインの改正に向けた対応状況について御説明いたします。
障害当事者団体への合同ヒアリングのほか、所管業界の事業者団体のヒアリング、意見照会を行いました。その上で、このガイドラインについては厚生労働省関係としては4つございますけれども、この4つのガイドラインについて現在パブリックコメントを実施しているところであります。
厚生労働省所管の4つのガイドラインについては、1つは福祉事業者向けのガイドライン、医療関係事業者向けのガイドライン、衛生事業者向けのガイドライン、4つ目が社会保険労務士業務を行う事業者向けのガイドラインという、この4つになります。
これらのガイドラインの主な改正事項についてですけれども、障害を理由とする不当な差別的取扱いや合理的配慮の事例を追加したのが主な改正事項になります。先ほど申し上げた当事者団体、それから事業者団体のヒアリングでの意見も踏まえて、今回事例を追加しております。その中で、厚生労働省関係で特徴的な事例、具体例を中心に幾つか御紹介したいと思います。
まず、正当な理由がなく不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例として追加したものです。1つは障害者本人の尊厳を軽視して、見下したような言葉遣いや幼児を相手にするような言葉で接すること。それから、緊急事態が起きたとき、非常ベルや館内放送があっても気づかないので、危険があるとの理由で聴覚障害者の宿泊を断ること。それから、乳がんの患者の大浴場などでの入浴に際して、胸を覆う肌着、入浴着を着用して入浴することを拒否すること。これらについて、不当な差別的取扱いに該当する事例として追加をしております。
次に、正当な理由があるため不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例についてです。これらの事例について新しく新設したものであります。具体的な事例としては、車椅子の利用者が畳敷きの個室の利用を希望した際に敷物を敷くなど畳を保護するための対応を行うこと、これは事業者の損害発生防止の観点から行うものでありますけれども、これについては不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例として追加しております。
次に、合理的配慮に該当すると考えられる例です。
白衣に強く反応し、診察を拒否するという場合には、必要に応じて通常の服に着替えて対応すること。
それから、特別なコミュニケーション支援が必要な障害児者の入院に当たっては、医療機関は院内感染対策に配慮しつつ、可能な限り支援者が付き添えるように配慮すること。
それから、宿泊者にオストメイトや入浴着を着用した方の大浴場での入浴に理解をいただけるよう、オストメイトや入浴着に関する説明やポスターを脱衣所等に掲載すること。
それから、筆談、要約筆記、手話、読み上げ、点字、コミュニケーションボードの活用、触覚による意思伝達などによる多様なコミュニケーション、振り仮名や写真、イラストなど分かりやすい表現を使って説明するなどの配慮を行うこと、これらについて合理的配慮に該当すると考えられる事例として追加をしております。
次に、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例です。これらについてはこの事例そのものを今回新設しております。
宿泊施設において、肢体不自由の障害者から客室内のトイレの入り口の段差解消のために、椅子貸出しの申出があった場合に、具体的な検討をしないまま断り、別の階の障害者用トイレの使用を求めることを追加しております。
次に、合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例です。これについても、これらの事例を今回新設しております。
医療機関において診療を終えた障害者から自宅までの送迎を求められた場合に、当該医療機関では当該業務の一環として行っていないことから、送迎はできないが、タクシー等の連絡先をお伝えすること、こういった例を追加しております。
次に、障害特性に応じた対応についてですが、現在のガイドラインでそれぞれの障害特性とそれに応じた対応を記載しております。
これについて今回、上肢に障害がある場合を追加しております。このほか、自閉症アスペルガー症候群を含む広汎性発達障害や、注意欠陥・多動性障害などについて、特性に関する情報を追加しております。
厚生労働省の関係4つのガイドラインについては、冒頭申し上げましたとおり現在パブリックコメントの最中ですけれども、パブリックコメント終了後、正式にガイドラインを策定した後には、厚生労働省ホームページでの公表のほか、障害当事者団体、事業者団体、それから地方自治体を通じた周知を図っていきたいと考えております。
厚生労働省からは以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、経済産業省から5分以内で御報告をお願いいたします。
○経済産業省(経済産業政策局経済社会政策室 村山室長補佐) 経済産業省経済社会政策室の村山です。
経済産業省の対応指針の改正について、資料5を用いて御説明をさせていただきます。
1つ目ですけども、今般の法改正を踏まえまして、経済産業省では事業者や業界団体、経済団体からの意見聴取、障害者団体へのヒアリング、パブリックコメントを実施して、そこでいただいた御意見を踏まえまして、令和5年12月22日に経済産業省の対応指針を改正、公表いたしました。
次に2つ目ですけれども、対応指針の改正のポイントについて御説明をさせていただきます。
経済産業省の対応指針の本文につきましては、主に基本方針の改正内容を踏まえ、建設的対話の考え方や環境の整備等の追記を行っています。また、経済産業省所管事業分野における相談窓口をより詳細に記載をいたしました。不当な差別的取扱いや合理的配慮に関する事例を記載している別紙の改正内容に関しましては、資料の2ページ目以降に記載をしておりますので、後ほど御説明をさせていただきます。
次に3つ目、周知・啓発に関する取組でございます。
経済産業省としては、昨年12月に改正対応指針を公表してから、様々な場面で周知に取り組んでおります。例えば経済産業省のニュースリリース、SNS等での発信や経産省所管の多数の業界団体、事業者等に対して、事務連絡による周知を実施してまいりました。また、昨年10月及び今年2月で合計2回、合理的配慮の考え方等について経済産業省職員や事業者の理解を促す障害者差別解消法研修を実施いたしました。こちらは大変よい反響をいただきまして、多くの方に御参加をいただいたところでございます。
その他も業界団体や経済団体等に対する説明会、講演会を実施しているところです。
これらの取組に加えまして、経済産業省の合理的配慮に関する取組として、音声を認識し、ディスプレイに文字で表示するYYSystemという端末を本省の受付窓口に今年1~3月の期間で試行的に設置をしているところでございます。
経済産業省といたしましても、合理的配慮の提供についてどのようなことができるか検討しているところですが、こうした取組を広く発信していくことで、企業や自治体等多くの方々に知ってもらい、合理的配慮を考えるきっかけにしていただくことを期待して取組を進めているところでございます。
次に、戻りまして4つ目の経済産業省の対応指針の改正の内容について御説明をさせていただきます。
まず、①「障害特性に応じた配慮」に関する項目の新設です。
事業者において様々な障害特性や一般的な対応を理解した上で具体的な対応を検討することが重要と考えまして、事業者の声も踏まえて本項目を追加しました。資料5では視覚障害の例を抜粋して記載をしておりますが、対応指針にはほかの対応種別も記載しておりまして、その他障害種別があることや複合的な障害のある方もいらっしゃることを留意点として記載しております。
それから、不当な差別的取扱いについては、基本方針の改正を踏まえ、②「不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例」の拡充と、③「不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例」の新設を行いました。また、④「合理的配慮の提供」に関する例については、既存の例の見直しや新規例の追加を行いました。
資料の2ページ目から3ページ目に記載をしておりますが、例えば3ページ目、「イ.情報の取得、利用及び意思疎通への配慮」に関して、「コミュニケーションボードやタブレット等の多様な手段を用いて意思疎通の配慮を行うこと」や、昨今増えております「オンラインセミナーにおいて、文字起こしや録画機能等を用いて障害者もアクセスできるようにする」例を追記いたしました。
その他の改正点といたしましては、基本方針の記載の例に合わせまして、⑤「合理的配慮の提供義務違反に該当する例/しないと考えられる例」を追記しております。
最後に⑥「事前的改善措置としての環境の整備の例」を新設いたしまして、「緊急時における障害者への対応方法を事前に取り決め、日頃から定期的に訓練を実施すること」などを記載しております。
以上が私どもの改正のポイントとなります。所管事業者において、対応指針に基づいた適切な対応が行われるよう、引き続き周知・啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
説明は以上となります。ありがとうございました。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
それでは、最後に国土交通省より説明を5分以内でお願いいたします。
○国土交通省(総合政策局バリアフリー政策課 田中課長) 国土交通省バリアフリー政策課長、田中でございます。
改正障害者差別解消法の施行に向けた国土交通省対応指針の改正について御説明いたします。資料6を御覧ください。
まず、改正に向けた動きについて御説明します。
令和5年3月の基本方針の策定以降、国土交通省所管事業に係る対応指針の改正に向けまして、障害当事者団体への複数回にわたる個別のヒアリング、事業者団体及び当事者団体を構成員とする意見交換会を計2回開催しております。そしてパブリックコメントを実施して、それぞれの機会でいただいた御意見を踏まえ、関係の皆様と調整を行った上、国土交通省対応指針を改正し、11月2日に公表したところです。
続きまして、国土交通省対応指針に係る主な改正事項について御説明いたします。
国土交通省対応指針におきましては、国土交通省所管事業全体に共通する内容を記述している部分と、主な事業について事業ごとに不当な差別的取扱いや合理的配慮の提供に関する具体例を示している部分がございます。そして、今回この具体の事例をお示しする主な事業として、不動産管理業及び気象予報に係る予報業務を追加しております。
また、各事業における具体の事例につきまして、下記のとおり修正・追加を実施しております。ここでは主なものを抜粋しておりますが、対象となる事業を後ろに括弧書きで書かせていただいており、ポイントとなる部分に下線を引いております。その中から幾つかピックアップして御説明いたします。
まず、不当な差別的取扱いの事例につきまして、1つ目でございます。
「障害があることのみを理由として、一律に障害者に対して必要な説明を省略する、または行わない。」を追加したところでございます。
続きまして、不当な差別的取扱いに当たらないと考えられる事例です。
「車椅子利用者等に対し、事前に関係個所との調整を行い、スムーズな乗降補助により、待ち時間を短縮するため、列車に乗車する場合に乗降に必要な利用者の情報の提供を求める。(権利・利益の保護)」を追加しております。
次のページでございます。合理的配慮の提供の事例です。
1つ目でございます。「書類の内容や取引の性質などに照らして、特段の問題がないと認められる場合に、自筆が困難な障害者からの要望を受けて、本人の意思確認を適切に実施した上で代筆対応する。」を追加しております。
続きまして、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる事例です。
「特性に応じた社会的障壁の除去に関する申出に対して、何かあったら困るという抽象的な理由や、特別扱いはできないという理由で、当該申出を断る。」を追加しております。
続きまして、合理的配慮の提供義務違反に該当しないと考えられる事例です。
1つ目でございます。「打合せを行うに当たって、移動が困難な障害者から対面での対応を求められた場合(障害者のところへ事業者が伺う)において、他の事務都合などを勘案した結果、伺うことは難しいと判断したため、その理由を丁寧に説明するとともに、オンラインでの実施を提案する(費用・負担が過重なもの)」を追加しております。
次に、改正後の主な周知・啓発活動について御説明いたします。
令和5年11月2日に国土交通省対応指針を公表し、ホームページに掲載をしております。その後、業界団体、企業に対して事務連絡や説明会などによる周知を実施しているほか、改正障害者差別解消法に係る説明会(内閣府主催)の案内を行っております。また、令和6年2月13日、地方局・外局を含む国土交通省職員向けの障害者差別解消法セミナーを実施しております。
このほか個別の業界団体からの要請に応じまして講演などを行っているところでございます。
国土交通省としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
国土交通省からの説明は以上でございます。ありがとうございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
それでは、ここから16時50分までを目安に質疑応答の時間に移りたいと思います。
オンラインで御参加の委員は、チャットメールに「挙手」と入力して送信アイコンをクリックしてください。それから、本日は進行上の都合ですが、挙手していただいた委員につきまして、会場に御参加の委員とオンラインで御参加の委員を交互に当てさせていただきたいと思います。御質問や御意見をいただき、お一人が御質問なさった後に各省庁から回答いただくということを繰り返させていただきます。
御質問、御意見はなるべく多くの方にいただきたいので、できるだけ簡潔にお願いしたいのと、具体的にどの府省庁への御質問なのかも併せておっしゃっていただければと思います。
それでは、御質問、御意見がある方は挙手をお願いいたします。
それでは、安部井委員、お願いいたします。
○安部井委員 ありがとうございます。
全国重症心身障害児(者)を守る会の安部井でございます。
国交省に関して質問させていただきたいと思います。
全国重症心身障害児(者)を守る会では、かねてから国交省へ重症児者の障害の特性や困り事などを伝えてまいりました。そうしたところ、ガイドラインやマニュアルに掲載していただくことができました。大変感謝しております。
重症児者の特性を御理解いただいた商業施設や高速道路の駐車場、そしてバリアフリートイレの改修が思いもよらないところで実現されていることに大変深く感謝しております。
しかし、優先エレベーターや車椅子使用者用駐車場などは、健康で必ずしもそれを必要としない人が利用することで、重症心身障害児者や肢体不自由児者、車椅子利用者のように真に必要とする人が使えないという課題がいまだにあります。特に駐車場に関しては、車椅子使用者の中でも、自ら運転する人には横幅3.5メートルを必要としますが、介助者が障害者本人を乗降させる場合には、車の後方から乗せ降ろしすることもあるため、車の後方に広いスペースを必要とする人もいます。特に特殊型車椅子の場合には、スロープと回転スペースを入れると後方4~5メートルは必要です。垂直移動の手段は、エレベーター、エスカレーター、階段と、利用する人によって手段を選択することができます。車椅子使用者用の駐車場も、横幅が広いタイプ、後方のスペースが広いタイプを複数設けることにより、ニーズに合った選択ができるような、より進んだバリアフリーとなることを願っています。
今まで検討していただき、実現していただいた政策を含め、国土交通省の方にお伺いしたいことが2点あります。
1点目、施設設備構造の見直しのみならず、障害者への理解と利用者間の譲り合いや声かけといった心のバリアフリー対策をこれまで以上に推進していくことが必要と思いますが、現状に対しての認識と今後の予定についてお聞かせください。
2点目です。一部の自治体で取り組んでいるパーキング・パーミット制度は、地方公共団体ごとの取組となっていることを承知しておりますが、実施していない自治体があることや、実施されていても利用者証のデザインが統一されておらず、一般の方たちの認識、認知度が低いのが現状です。全国統一の利用者証を展開し、これを広報、周知いただくことができないものかお伺いしたいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
国土交通省、回答をお願いいたします。
○国土交通省(総合政策局バリアフリー政策課 田中課長) まず1点目、心のバリアフリーについて、でございます。委員御指摘のとおり、お互いに理解し合い、譲り合っていくということは非常に大事なことであり、国土交通省におきましては、毎年12月に、今御指摘ありましたエレベーター、駐車場、優先席などについて、適正利用キャンペーンとして、譲り合いの心や、思いやりを持って行動していただくことを呼びかけるポスターを作成し、そのデータもお送りして、電車内で映像を映していただくことなどに取組んでおります。
また、心のバリアフリーという言葉の認知度や、障害者等の立場を理解して行動できる方の割合を高めていくということを、バリアフリー整備の目標としても入れており、それにも取り組んでいるところでございます。
我々としても、皆様から様々な御指摘をいただいているところであり、引き続きしっかり取り組ませていただきたいと思っております。
そして2点目、パーキング・パーミット制度についてです。こちらもいろいろと御指摘をいただきながら進めているところでございます。地方公共団体の皆様、それぞれの実情に応じてその運用について決めているということで、地方公共団体ごとに一定の差異があるということも認識しております。同時に、ある程度の相互認証も進んでいるというところでありますが、国土交通省では基本的な考え方を統一していきたいということで、皆様にも御参画いただき、御意見もいただきながら、「車椅子使用者用駐車施設の適正利用に関するガイドライン」を昨年3月にまとめさせていただいたところでございます。
我々としては、このガイドラインを周知し、地方公共団体などでの取組を働きかけながら、車椅子の方の円滑な利用環境が確保されるように、しっかりと取り組んでいきたいと考えているところです。
以上でございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、オンライン参加の委員から、長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 経団連の長谷川でございます。
発言の機会をありがとうございます。
各省庁の御説明のうち、内閣府の御説明について2点コメントと御質問がございます。
まず、地域協議会の設置率でございますが、地域協議会は地域における多様な関係機関が適切な相談窓口の紹介や事例の共有などを通じて障害者差別を解消するための取組を効果的に行う上で大変重要な役割を果たすと理解しております。
本日の御説明によりますと、中核市における地域協議会の設置状況が88%、一般市では現状74%ということでございましたが、中核市においては残りの12%も100%を目指していただきたいと思います。これについて未設置の中核市に対して何か具体的な働きかけなどを行っていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
また、市区町村においては単独設置が難しいという場合もあろうかと思いますので、複数の市区町村での共同設置・運営などもより一層推奨してはどうかと考えますが、そのようなお考えがあるかどうかお聞かせいただければと思います。
さらに、「つなぐ窓口」に関して、市区町村や都道府県、国が一体となって支援に取り組むために、これまでこの障害者政策委員会で多くの委員の方々から出された御意見がこのような「つなぐ窓口」という形で実現いただいたことは高く評価したいと思います。今後も「つなぐ窓口」への質問は増えていくと予想されます。また、事業者にとっては、不当な差別的取扱いかどうか、合理的配慮を提供したかどうかというのは、個別の事案ごとに、また具体的な場面や状況に応じて判断されるものですので、なるべく多くの具体例から学びたいという要望が多いと思います。そのため、こうした「つなぐ窓口」に寄せられた質問及び回答をウェブサイト上などで共有していくというお考えがあるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
また、適切な自治体につなぐ役割もあることから、自治体につないだ後に相談事案がどうなったのかということに関するフォローアップ、また、その結果について、可能な範囲で公表される予定があるかどうか、それは自治体の相談対応業務の質の改善にもつながっていくと思います。その点を踏まえて、相談事案を公表するかどうかもお伺いしたいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
内閣府から回答をお願いいたします。
○小林参事官(政策調整担当 障害者施策担当) 内閣府です。長谷川委員御指摘のとおり、一般市とか市町村だけではなくて、当然中核市も含めて、地域協議会の設置を促進していくという考え方に基づいてやっておりまして、先ほども申し上げたのですけれども、自治体の職員向けに毎年内閣府におきまして研修事業を行っておりまして、その中で、設置するためにはこうすればいいとか、あるいは運営はこういうふうにしたほうがいいという部分をお話ししていて、参加していただく自治体の中には都道府県の方もおられますので、そういうところについては管内の市町村を含めてそういった知識を伝達してもらえるようにというような働きかけはしておるところでございます。
それから、次の「つなぐ窓口」の関係なのですけれども、なるべく多くの具体例が「つなぐ窓口」で出てきたというところでございまして、まず1点として、「つなぐ窓口」とは別になるのですが、内閣府におきまして、全国の自治体だとか中央省庁から不当な差別的取扱いだとか合理的配慮の提供、そういったものに係る事案というのは毎年度調査研究で集めておりまして、その結果を取りまとめて、説明の中でも申し上げた事例データベースの中に順次追加していくというような取組を考えております。
あと、「つなぐ窓口」の事例につきましては、今のところまだ数がというところと、どのような形で提供していくかというのはよくよく考えて、今後どうするかというのは考えていきたいと思っております。
それから、自治体につないだ後のフォローアップということで御質問がございまして、「つなぐ窓口」におきましては自治体等につないだ後に、1か月ごとに進捗状況を確認していくということをしておりまして、そんな中で進捗が芳しくない場合に助言等をやって進めていくという形なのですけれども、今後、つないだ後、実績を公表するかというところで、この辺もまだ始めてそんなにたっていないところですが、今後どういう形で公表していけるかどうかという部分も含めて検討していきたいと思っております。
以上になります。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
それでは、再び会場からですが、先ほど挙手いただいた委員の中で加野委員も手を挙げていたかと思いますが、お願いしてもよろしいですか。手を挙げていない。すみません、メモが間違っていました。加野委員は違いました。もう一度手を挙げていただいてもよろしいですかね。記録します。
ありがとうございました。それでは、順序は正確ではないかもしれませんが、岩上委員、お願いしてもよろしいでしょうか。
○岩上委員 全国地域で暮らそうネットワークの岩上です。
国土交通省の田中さんにお聞きしたいと思うのですが、今回、不動産業関係を入れていただいたのは本当によかったと思います。ただ、不動産業が表玄関で障害者だから家をあっせんできませんということはもうかなりなくなってきているように私は認識しています。むしろ、家賃の債務保証会社の審査を通らなかったということで、障害者が借りることができないことが多く、なぜ通らなかったかということについて不動産会社に聞いても、それは公表できませんということが現実だと思います。
したがいまして、せっかく不動産業界を書いていただいていますが、家賃債務保証会社と交渉もすることなくではいけないという書き方ですが、私は家賃保証会社のほうに課題を抱えていると思っています。家賃保証会社のほうで、障害者ということで債務保証の審査にかける、その項目を入れていること自体に差別があると。そういうことに配慮しなければいけないということはあるとは思うのです。ただ、そこが見えなくなっているところに問題があるので、家賃債務保証会社を管轄するという所管ではないのかもしれないし、登録制は国土交通省のほうでお持ちだと思うのですが、もし所管として管轄できないとすると、不動産業に適切に障害者ということを審査基準に入れている家賃債務保証会社を利用しては問題だという形にしていかないと課題の解決には行き着かないし、かえってブラックボックスに入ってしまうと。そこを国交省としてもどういう対応をするとブラックボックスではなくて、適切にここの不動産業に書いてあるような賃貸契約がきちんと進むような配慮が進むのかということについて御検討いただきたいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
国土交通省から回答をお願いいたします。
○国土交通省(総合政策局バリアフリー政策課 田中課長) ありがとうございます。
いただいた御意見につきましては、差別的取扱いのところの具体例ということで、今回の改正でも盛り込ませていただいているところでございます。
従前では、宅建業者が賃貸物件への入居を希望する障害者に対して、障害、身体、知的、精神障害を含みますが、その他心身の機能の障害があることを理由に、賃貸人や家賃保証会社への交渉など必要な調整を行うことなく仲介を断ることについて、これは差別的取扱いの具体例としていたところでございます。今般の改正において、「障害があることを理由に交渉など調整を行うことなく仲介を断る」という形に変更したということと、「賃貸物件の入居を希望する障害者に対して、虚偽の理由にすり替えて説明を行って、必要な仲介を行うことなく仲介を断る」といった事例を、新しく追加させていただきました。今回の改正におきまして、障害を理由として、単にそれだけで断ることはないようにということは入れさせていただいたと認識しておりますが、債務保証会社の審査については、担当に確認させていただきたいと思います。
○岩上委員 分かりました。そういったところが迷子問題になっていく話だと思うので、私が知っている限り、そこに問題があると。家賃の債務保証会社が、表向きには言わないけれども、障害を理由に審査を落としているということが見受けられるのでということを、どこが所管するのかという話になってくると思うので、そこは不動産業と結びついているので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
関連して、本日のこの委員会の最後の議題で、当日十分に回答が得られなかったと感じた質問を、その後どのように追加で質問するかについて御説明を差し上げますので、本日担当者が来ていないとかいろいろな事情で答え切れない。時間の制約もありますし、そういうものもあると思うので、後ほどそういった質問をどういうふうに応答していくかということは説明させていただきます。
続きまして、オンラインの委員からは挙手がないようですが、よろしいでしょうか。今のところは大丈夫ですか。
それでは、水流委員、お願いいたします。
○水流委員 全国地域生活支援ネットワーク、水流でございます。
内閣府、「つなぐ窓口」について2点質問をさせていただきます。
先ほど実績を御説明いただいた中で、11ページの3.2.自治体等の取次ぎ案件とございましたけれども、この66件の中に、自治体等ということの「等」に、先ほども地方省庁というお言葉がありましたが、いわゆる省庁につないだ件数があるかどうか、もしそこであるのであれば、実数がどれぐらいであるかということを教えていただきたいというのが1点目でございます。
2点目が、アドバイザーの方々の動きも様々な案件で動いていらっしゃると思われますけれども、もし具体的な動き、そのアドバイザーの方々の動きによって相談が好転したこと、もしくは好事例、先ほど長谷川委員からもございましたけれども、好事例等々もしございましたら、先ほどのお答えの中にもありましたが、ぜひ表に出すことによって、今後の各事業者の方々の対応がよりしやすくなるのではないかということも含めて、2点、よろしくお願いいたします。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
では、内閣府からお願いいたします。
○小林参事官(政策調整担当 障害者施策担当) 内閣府です。まず1点目なのですけれども、66件の内訳のうちの自治体等の部分について、「等」の中に中央省庁が入っているかという御質問だと思いますけれども、こちらについては中央省庁は4件ございます。基本方針におきましても、まずは一番身近な市町村ということですので、全体的に見て市町村が一番多くなっていて、あとは都道府県もありますが、中央省庁も4件という形で実際つなぐ案件として出てきているものはございます。
それから、2点目のアドバイザーの動きというのは、つないだ先での相談員さんとかそういうことでしょうか。
○水流委員 具体的に障害当事者のアドバイザーがいらっしゃると。
○小林参事官 内閣府のですか。
○水流委員 内閣府のほうの。
○小林参事官 そこは実は大変にお世話になっておりまして、内閣府の委託事業でやっておるのですが、そこで月次ミーティングというのをやっておりまして、その中でお二方のアドバイザーの方に入っていただいて、結構対応に難しい案件とか、そういったものについてどのように対応したらいいかとか、専門のお立場から大変御意見をいただいていて、我々のためになっているということで、大変感謝しているところでございます。
以上であります。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
オンラインの委員の皆さんからは大丈夫でしょうか。
それでは、佐々木委員、お願いいたします。
○佐々木委員 全国手をつなぐ育成会連合会の佐々木でございます。
障害者差別解消法の改正に向けては、各省庁において障害者団体のヒアリングなども踏まえ、対応指針の改正を進めていただいたことに感謝申し上げます。
その上で、細かいところで大変申し訳ないのですが、内閣府、文科省、厚労省、経産省の資料にあります合理的配慮の提供にあたる例の物理的環境への配慮の事例の中に、障害のある子供が発声やこだわりのある行動をしてしまう場合にという文章があるのですけれども、ヒアリングがあったにもかかわらず大変申し訳ないのですが、実は子供だけではなくて、知的発達障害のある方たちは成人になっても環境によっては同様のことが起こり得る可能性がありますので、今から直すのは難しいとは思うのですけれども、もし問合せがあった場合、確実に成人でもそういうことがあるということをお伝えいただきたいと思っております。これはお願いでございます。
あと、国交省の方に御質問させていただきたいのですが、参考資料6-1の28ページにユニバーサルドライバー研修ということが書いてありましたけれども、どのような内容なのか簡単に御説明いただければと思うのですが、いかがでしょうか。
以上です。
○熊谷委員長 前半の部分の大変重要な御指摘、各省庁で十分に対応をお願いできればと思います。
御質問に関しては国交省から回答をお願いいたします。
○国土交通省(総合政策局バリアフリー政策課 田中課長) ユニバーサルデザインタクシーについて、でございまして、ジャパンタクシーなどもございますが、車椅子の乗降保護について、従業員やドライバーに対してしっかり教育していくことが重要と考えており、実車を用いて実際にどういう形、どういうやり方で車椅子に乗り降りしていただくのかということを、ドライバーの方に御説明し、また実際に乗降補助をやっていただくという形の研修を行っております。このほかの研修でも実車を用いた研修を実施し、スロープの設置等の熟練度の向上を図っているところです。
○佐々木委員 ありがとうございました。
○熊谷委員長 それでは、佐藤委員、最後になるかもしれませんが、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。DPIの佐藤です。
4点あります。
まず1つ目は内閣府です。先ほどの長谷川委員と水流委員の御質問と重なるのですけれども、「つなぐ窓口」の相談内容の詳しい報告をお願いいたします。省庁につないだ件数とか、解決したものとか、どういった相談があって、どのような対応をして、結果どうなったかというのをぜひ公表していただきたいと思います。
県の差別禁止条例があるところはかなり具体的な報告をされていて、私はいつも長崎県の報告を見るのですけれども、具体的にどういう内容で、それをどういうふうに対応して結果どうなったかというのを個人がちゃんと特定されないように書いてくださって、それは大変参考になります。ぜひそういう形で御検討いただきたいと思います。
2点目は金融庁さんにお願いします。銀行の代筆とATMの代理操作に関してです。今、複数の行員が立会いで代筆が可能となっており、これは金融機関の内規で100%実施されているということなのですけれども、1月に私たちが事例を集めたところ、実際には断られるケースがずっとあるのです。親族でないと代筆はできないとか、あるいは視覚障害の人に直接サイン、直筆のサインがないと駄目だと言ったりというような誤った対応が現場で繰り返されておりますので、この対策を検討されているかということをお聞きしたいと思います。
3つ目は経産省さんです。3ページ目のウのセルフサービスのガソリンスタンドのところで書いていただいて、これはとてもありがたいと思っています。私も歩けないので、車は運転するのですけれども、降りるというのは非常に大変なのです。ですから、降りてガソリンを入れるということができませんので、そういうときに店員さんにやっていただきたいと思います。日本の場合は多くのガソリンスタンドがこの対応はできていないのではないかなと思っています。海外の場合、アメリカの場合は、もう十数年前に行ったときなのですけれども、ちゃんとガソリンスタンドに入ると貼り紙が張っていまして、電話番号が書いてあるのです。そこにかけたら奥から店員さんが出てきてやってくれるのです。ですから、貼り紙を貼るとかそういった工夫をするとかなり利用しやすくなりますので、ガソリンスタンドの業界に電話番号を掲示するといった対応をぜひ促していただきたいと思います。
最後、国交省さんです。国交省さんは独自に検討会を開くなど丁寧な対応をしていただいて本当にありがとうございます。障害者団体の意見も多数反映していただいたと思っています。
不動産なのですけれども、障害を理由にした入居拒否というのが実際は起きているのですけれども、それが表に出にくい状況があると思います。契約申請するときに、結果的に不合格になったときも、どういった事情であったかということは公表しませんと。それを約束しないと契約の申請ができない仕組みになっています。これがあるから実際は障害を理由に拒否をされていても、それが表に出てこない、そういう要因になっていると思っています。今回の改正で家主さんの団体も含まれるようになったということで、改善を期待しているのですけれども、障害を理由に拒否をしたかどうか、それが明確に分かるような仕組みを今後検討していただけないかと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
一部、岩上委員の指摘とも重なる部分があったかと思いますが、簡潔にお願いいたします。内閣府からお願いいたします。
○小林参事官(政策調整担当 障害者施策担当) 内閣府です。「つなぐ窓口」の詳細な内容というところで、まだ始めたばかりで細かいデータの整理が十分追いついていない部分もありまして、細かい数字が出せなかったところもあるのですけれども、御指摘を踏まえて、できるだけ多様なデータを出せるように今後調整していきたいと思っております。
以上になります。
○熊谷委員長 続きまして、金融庁からお願いいたします。
○金融庁(監督局総務課 中西課長補佐) 金融庁です。1点、後日御対応ということになるかもしれませんけれども、先ほどの話した内容とかぶりますが、対応指針の中に代筆・代読の対応は盛り込んでおりまして、社内研修等は徹底するようにということで、周知状況のところでも報告させていただいたとおり、各業界団体等を通じて周知を徹底させてまいりたいと考えております。
その上で、具体的な実施状況については当庁としても、こういった指針の内容にもかかわらず現実の対応として実施が間に合っていないというところは認識しているところですので、今後もそういった対応は進めてまいりたいと考えております。
○熊谷委員長 ありがとうございます。後日御回答のロジスティクスに関しては、後ほど内閣府の事務局より御連絡があるかと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
続きまして、経産省からお願いします。
○経済産業省(経済産業政策局経済社会政策室 村山室長補佐) 経済産業省でございます。
御要望いただいたガソリンスタンドの件につきましては、今、省人化という流れがある中で、個別の状況に応じて御判断ということかと思っております。ただ、今般の改正を踏まえまして、どういった合理的配慮の提供の在り方が適切かということを、御要望を踏まえ業界団体にも伝えて、しっかりと一緒に考えていきたいと思っております。
以上でございます。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
最後に国交省から、重複している部分もあるかもしれませんが、もし追加がありましたらお願いします。
○国土交通省(総合政策局バリアフリー政策課 田中課長) すみません。この件につきましては、障害を理由として断った、断った理由を公表することについてですが、担当部局にも確認させていただければと思います。
○熊谷委員長 こちらもどうぞ後日よろしくお願いいたします。
それでは、時間の関係で御質問、御意見全て御発言いただけませんでしたけれども、本日最後のところでまた回答いただけなかった御質問に関して流れを説明させていただきます。この後、地方公共団体や民間事業者団体からのヒアリングも予定されておりますので、一旦ここで質疑応答を終了したいと思っております。
少し押していますが、ここで10分の休憩に入りたいと思います。オンライン御参加の委員の皆様は、休憩中、カメラをオフにしていただいて結構です。
17時5分から再開といたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(休憩)
○熊谷委員長 それでは、時間になりましたので再開したいと思います。
後半は地方公共団体、民間事業者団体から、改正障害者差別解消法の施行に向けた取組について御説明をいただきます。
地方公共団体からは兵庫県、民間事業者団体からは、一般社団法人日本ショッピングセンター協会、一般社団法人全国銀行協会の2団体に御出席をいただいております。
各団体から御説明いただいた後に質疑応答を行いますが、ヒアリングに参加いただいた団体の今後の取組に生かせるよう、建設的対話の観点から御質問や御意見をいただきたく存じます。
また、先ほどと同様の要領で行いますので、説明は省きますが、御質問などはできるだけ簡潔にお願いいたします。
まずは兵庫県福祉部障害福祉課松原主幹より御説明をお願いいたします。
○兵庫県(福祉部障害福祉課 松原主幹) 皆さん、こんにちは。兵庫県障害福祉課で障害者権利擁護担当をしております松原と申します。
今日は貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。皆さんに何か伝わるような御説明ができればと思っております。
それでは、スライドを1枚めくっていただいて2ページ目が本日御紹介させていただく取組ですけれども、1つ特徴としては、障害福祉課、それから観光振興課という2つの施策を御紹介させていただくものです。
合理的配慮アドバイザー、これは平成28年から実施しておりまして、それから令和5年度、今年度に関してはユニバーサルツーリズム推進条例というものを制定しまして、それに対応したお宿制度、それから改正法施行に向けた周知・啓発としてキックオフセミナーを昨年11月に開催しました。また、そのセミナーの内容を盛り込みまして、法律概要のパンフレットを作ったというところで、民間企業さんへの働きかけというのが今回の改正法のポイントになってくるかと思うのですけれども、他部局とどうやって連携していくか、その辺が必然的な流れになろうかなと考えています。
最初に、合理的配慮アドバイザー派遣制度、スライド3枚目になります。
こちらは民間企業さんが取組の第一歩としてお手伝いするという形で、謝金・旅費を無償で提供させていただいております。障害者政策委員会の委員でもあります玉木幸則様をはじめとして16人のアドバイザーを委嘱しております。これは長年にわたって兵庫県に御協力いただいている皆様方、あと私よりもっと先輩の障害福祉の人間がネットワークをつくっていただいたと、そういうところのたまものかなと考えております。
スライド4ページ目になりますが、実際の企業のニーズということで、そこまで案件の数は多くなくて、コロナ禍の令和2年、3年は0件だったところが、令和4年度が3件で、令和5年度、今回が7件見込みということになっています。右側の写真は水族館で研修をやったという見栄えのする写真のスライドを入れさせていただいております。
実際の活用例としては、改正法に向けた対策、それから特定のイベントがあって、それに向けた対策、現状接客の中でちょっと課題があって、それに関する対策、それから合理的配慮というのは雇用促進法の障害者雇用のほうも対象になりますので、我々の合理的配慮アドバイザーに関しては雇用のほうの御相談も受けています。
企業さんのニーズというのは本当に様々でして、ニーズに応じてアドバイザーがその研修をやったり、助言の内容を検討していただいて、それぞれ合わせた形で対応させていただいているというところです。
5ページ目が、実際、生の声を現場で聴ける貴重な機会だなと思っておりました。兵庫県では2024年に世界パラ陸上、神戸のほうでこの5月に開催されるのですけれども、神戸市内の多くのホテルがかなりのパラアスリートの選手団を受け入れるというところがあって、これがまさに特定イベントに向けた対策ということで、これで幾つかのホテルで実施をさせていただいていました。
そのほかにもいろいろあるのですけれども、皆さん事業者側の視点だと恐る恐る声がけをするような状況になっていたなとか、法律と聞くとすごく身構えがちだったと、そういう御意見があるのです。こういうふうに丁寧に対面で研修をやることで、かなり理解は進んでいただけているなと、社会モデルの考え方にしてもはっとさせられたと、こうした御意見をいただいています。今後もアドバイザーの力を借りて、兵庫県としては持続可能な施策として推進していきたいなと考えております。
続きまして、スライド6ページ目からがユニバーサルツーリズムの推進ということで、1ページめくっていただいてスライド7、今のユニバーサルツーリズムの現状ですけれども、高齢者、障害者の方の多くが旅行を諦めているという実態があります。一方で、宿泊施設等は高齢者、障害者等の受入れに一定の積極姿勢というところもあると。なので、これをつないでいけばここにポテンシャルがあるのではないかと、そういうところがまず背景にあります。
1ページめくっていただいてスライド8ですけれども、この条例は、都道府県では全国最初に制定されたという形で、今回の差別解消法の改正、それから先ほどのとおり世界パラ陸上の神戸の大会、さらに来年、もう1年先には関西万博もございます。こうした機会を見据えて体制をつくっていこうというのが制定のきっかけになったというところです。
スライド9では、この条例は理念条例ですので、これに対応して宣言・登録制度、ひょうごユニバーサルな宿というものを併せてスタートしています。積極的に取り組む宿泊施設を見える化していこうという取組になっております。
スライド10のほうが宣言・登録制度の流れになるのですけれども、2段階になっていまして、まず宣言をしていただく、それによって支援の助成、補助がありまして、取組促進したところが登録という形になっていくと。今、宣言のところが100件ありまして、登録まで至っているところは44ということになっております。全部で73のチェックリストがありまして、この取組状況は公開されているということになっています。これで実際旅行されたい方が容易に情報収集が可能になっていくという取組になっています。
続きまして、スライド11からが周知・啓発の取組ということで、昨年11月24日にメタバースの会場を使って改正障害者差別解消法を考えるキックオフセミナーというものを開催させていただきました。130名が参加いただいたというところです。キックオフとつけさせていただいたのは、熊谷委員に助言をいただいてキックオフ、これがスタートだと。改正に向けて改めて考え直していこうと、そういう意味合いで、1回ではなくて、ここから波及させていくということを大切にしたいと思ってこういうふうに命名させていただきました。
テーマは「接客の未来とテクノロジー」ということで、企業さんに参加していただくのにどういう形がいいのかなというのを兵庫県として考えてみて、こういうタイトルにさせていただきました。テクノロジーを使っていけば、合理的配慮の形というのはどんどん進化していくと。今、定型的なものではなくて、可変的にどんどん変わっていくのだろうと。そういうところも踏まえて、さらにテクノロジーが進化していくということとともに、それを使うかどうかということもすごく大事な話で、これをしっかり積極的に使っていけば、結構解決する問題がたくさんあるだろうと。そういう背景でこういうタイトルでさせていただきました。
スライド12のほうで基調講演の御紹介ですけれども、これも熊谷さんに御紹介いただきまして、ALS支援の第一人者ですけれども、川口有美子さんに御講演いただきまして、テクノロジーを使えばALSの患者の方も社会参加できると。生き続けられると。これが社会モデルなのだと。こういうことを積極的に発信していただき、さらにテクノロジーの企業さんからも御登壇いただいて、例えばスマートフォンを今使うと視覚障害、聴覚障害、身体機能を補完するアクセシビリティ機能がかなり充実していて、僕も今回やるまでちゃんと知らない機能がたくさんあったのですけれども、こういうのを使っていくと本当によりリアルに解決していくことがあるのだなということを気づかされました。
スライド13のほうでは、パネルディスカッションさせていただきまして、デパート、ホテルといった接客の現場から、それから当事者側として、たつの市の手をつなぐ育成会の矢野様に御登壇いただきまして、相談支援、これらの様々な観点から議論させていただきました。
現場では、こちらにあるように本当にリアルな課題がたくさんあるのです。靴下をはかせてくださいと言われました。どうしましょうと。これはパーソナルの距離というかそういう問題で、どうしていいのか困るわけです。そういうことに対してコミュニケーションをしていきましょうと、こういう議論が展開されたりというところです。
知的障害の疑似体験というのも矢野様にやっていただいて、演習的なというか体験型の研修というのも、本当に短い時間でやっていただいたのですけれども、こういうものも効果があるなということをすごく実感したところでございます。
次のページ、スライド14になりますけれども、実際の参加者の声として、配慮の考え方をいろいろな視点で理解できたということであったり、テクノロジー、最先端のものを使っていくとすごくいろいろなことができるなということであったり、もっと疑似体験のプログラムをやってほしいなと、そういうお話もいただきましたし、一方で、何でこの法律が必要になったかという長年の歴史があると思うのですけれども、そこまでなかなか御紹介する時間がなかったなという課題もあったり、我々も高齢になって、いずれ障害のある方と同様になるというような文脈のお話もあったらよかったのではというような、実際川口有美子さんのほうからはそういうお話も少しいただいたりして、そういうところでいろいろな文脈が広がったなと思っています。
もう一つ、周知・啓発の取組としてスライド15になりますが、パンフレットの作成ということで、こちらは本日パンフレットそのものもお配りさせていただきました。こちらもちらっと御覧いただきながらというところです。
後半のページに、先ほどのメタバースセミナーのダイジェストを入れておりまして、こういうのを少しストーリーで読んでいただきたいなというところと、前半は法律の概要をケーススタディを中心に今回構成をさせていただきました。内閣府さんのほうで令和4年度にケーススタディの検討会がありまして、そこに私も入れさせていただいて、すごく勉強になったと。これをもっとすごくしっかり使っていきたいなというところで、内閣府さんのほうでリーフレットを作っていただいている部分からケーススタディの部分を強調した形で作成しました。
さらには、先ほど少し協議会の話もありましたけれども、兵庫県では障害者差別解消支援地域協議会でもこのパンフレットに関して議論をいただいて、この表紙が、聞くこと工夫することから始める合理的配慮の提供とは、ということで、この「工夫」というキーワードを反映したりといったところを大事に考えています。
真ん中のページを開いていただくと、パンフレットの7ページになるのですけれども、幹太くんのお母さんという障害のあるお子さんをお持ちのお母さんのお手紙といったものも掲載させていただいて、社会モデルを少し解像度の高い情報で提供できたらということで反映させていただきました。
最後のスライドになりますが、本当に令和4年度のケーススタディ集を作った検討会がすごく自分としてもいろいろな知識の勉強の吸収になった部分がありまして、もっとすごく研修に使える有益な教材だと思うのです。合理的配慮の事例のデータベースを作っていくということは一つ大事な観点ではあると思うのですけれども、基本的な考え方がすごく難しいと思っていて、こういうのはケーススタディでは結構すごく深い議論をしたところがありますので、これを使ってもっと教材を作っていきたいなと思っているところです。
兵庫県のほうからの発表は以上となります。ありがとうございました。
○熊谷委員長 松原主幹、ありがとうございました。
それでは、17時半までを目安に質疑応答に入りたいと思います。御質問、御意見のある方は挙手をお願いします。いかがでしょうか。
白江委員、お願いいたします。
○白江委員 ありがとうございます。
いろいろな取組をされていてすごいなと思いました。本当にお疲れさまです。
私のほうから2点、1つは先ほどセミナーを行われたり、パンフレットを作られたりということなのですけれども、こういった取組をされているということを広く県民、あるいは県外にどうやって具体的に発信をされているのか。ホームページとかいろいろあるのかなと思うのですけれども、それもいろいろな障害を持った方がいらっしゃるわけですので、それぞれに配慮されたような取組もひょっとしていろいろやられているのかなと思ったりするので、その辺りを1つ教えていただきたい。
逆に、利用する場合、特に県外の方とかが観光とかで利用されるようなとき、そういったときに窓口というのでしょうか、どこが取っかかりになってつながっていくのかなと。その辺りの情報提供というか、そういったところの取組、先ほどの周知のこととも絡んでくるのですけれども、その辺ちょっと教えていただくと、帰ってまた宣伝したいなと思いますので、よろしくお願いします。
○熊谷委員長 では、松原主幹、お願いいたします。
○兵庫県(福祉部障害福祉課 松原主幹) 御質問いただきありがとうございます。
後ろのほうの質問から御回答させていただくと、県のほうでユニバーサルツーリズムというホームページがございまして、そちらを見ると対応している宿泊施設の情報とともに予約サイトのリンクが張ってあったりするので、行きたいところはそれぞれだと思いますので、そういうところでお申し込みいただくと、そういう流れになっています。
1点目の御質問なのですが、これは正直まだ全然スタートに立てていないと思っていまして、130人よりもっと集めたかったのですけれども、やはり難しいなと思っていて、合理的配慮アドバイザーは個別対応と言っているとおり、向こうからそういうニーズがあって応えて、そこに対応するという形で、コンテンツは幾らでも面白いものが提供できる、まだまだいっぱい作れると思っているのですけれども、この入り口に立ってもらうマス向けのそれこそ周知・啓発なのですけれども、これは全然まだまだ課題だなと思っていて、正直、先進事例としてお答えできるような内容がなくて、まさに今回、このパンフレットという形でセミナーをやった後に2度かみ締められるような内容で展開していきたいと思っているので、これで何ができるかなということをこれから考えていきたいと考えています。
すみません、満足いかない回答になりましたが。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
オンラインで参加の委員からは挙手がないようですが、よろしいでしょうか。
では、会場に参加の委員、佐々木委員からも手が挙がっていたかと思います。お願いいたします。
○佐々木委員 ありがとうございます。大変すばらしい取組で、こういったことが全国で展開されていくといいなというふうに聞いておりました。
たまたま、たつの市の育成会の知的障害者疑似体験のお話が出ましたけれども、実は見た目では分かりにくい知的、発達障害者の方の理解を進めるために、全国の育成会に対して理解啓発のキャラバン対応を推進しております。ですので、兵庫県がどうのということではなくて、ぜひ省庁の皆様の傘下にある民間事業者の皆さんにお声をかけていただければ、どこからでも伺うことができますので、宣伝になってしまうのですが、全国育成会のほうに御連絡いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。すみません、宣伝です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
松原主幹から何かコメントなどありますか。
○兵庫県(福祉部障害福祉課 松原主幹) 本当にそういう形で面白いコンテンツはいっぱいあると思っていて、あとはどうやってそれを聞いてもらう人を集めるかと。一回席に座ってもらったら満足度がすごく高いのは分かっていて、本当にもっと頑張っていきたいなと思っています。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
そのほかの委員から御質問など。
安部井委員、お願いいたします。
○安部井委員 全国重症心身障害児(者)を守る会の安部井です。
このような県としての仕組みがあれば、どこにでも行ってみたいという気持ちになるだろうと思い、大変感心いたしました。
10ページの中でユニバーサルなお宿の登録制度のチェックリストの中に、ホスピタリティーとして食への配慮で12項目ありますが、重症心身障害児者の場合、普通の食事が食べられない方が多くいます。私たちは家族と共に、重症児者本人を連れて行くときには、事前に食事の形態に対応していただけるかどうか宿に個別に問い合わせて対応していただいています。対応できない宿は諦め、次のところに問い合わせることを個人でやってきているのですが、例えば普通食が食べられない人への様々な食形態への対応もチェック項目リストに入っているでしょうか。
○熊谷委員長 いかがでしょうか、松原主幹。
○兵庫県(福祉部障害福祉課 松原主幹) 御質問いただきましてありがとうございます。
観光振興課の事業のために、73項目をぱっと頭で言える状態ではなくて申し訳ないです。確認をさせていただきます。
このチェックリストも、さっきの合理的配慮の事例と同じで可変的だと思っていて、あまりしょっちゅう変えているとなかなか運用が大変だと思うのですけれども、皆様のお声と、結局ニーズがないとみんな旅行しないわけですから、そういうニーズを聞きながら、ちょっとずつ変えていく、改善していくということかなと思っています。
事業者側も、大きなところと小さなところでそれぞれ事情はおありでしょうけれども、今回、法律改正になりますので、当然合理的配慮の提供、結果どういう形になるとしても、何かしら建設的対応をしていくということにはなると思いますので、ちょっとでもそういうお話が進んだらいいなと思っているところです。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
それでは、松原主幹、ありがとうございました。
続きまして、日本ショッピングセンター協会村上様より御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○日本ショッピングセンター協会(公共政策 村上参与) 日本ショッピングセンター協会の村上でございます。
本日は貴重な時間をお取りいただきまして、ありがとうございます。
ショッピングセンター業界における最近の取組事例等を含めて御説明をさせていただきたいと思います。
資料はお配りしてあると思いますけれど、最初のほうは協会の概要が出ておりますが、説明時間等の関係もございますので、2ページ目から6ページ目の業界の概要につきましては御覧いただければと思いますけれども、1つ業界の規模感だけはお話をしたいと思います。現在、ショッピングセンターと言われる商業施設は全国に約3,100ございます。この3,100の商業施設の中の売上高でございますけれども、2023年度で約30兆円、全国の小売売上高に占める比率は約22%という規模感の業界でございます。
それでは、資料を飛ばしていただきまして、7ページ目から御覧をいただければと思います。
ここからは、本日のテーマとなっておりますショッピングセンターにおける障害者差別解消法に係る取組について御説明をさせていただきます。
まずはショッピングセンターにおける具体的な取組、具体的にどういうふうにやっているかということについて、3つの事例について御紹介をさせていただきたいと思います。
最初にハード面の取組事例として、イオンモール様の取組について御紹介をさせていただきます。
イオンモールは郊外のショッピングセンターを中心に全国に約165店を展開、高齢者、それから障害者など特定の人を対象にするだけではなく、全ての人を対象にしたユニバーサルなデザインという理念の下に施設の整備を進めている会社でございます。
具体的には、ここに記載してある7つの原則を掲げ、明確な取組目標を定め、モール環境に準じたデザイン的な配慮を行うという先進的な取組を行っているショッピングセンターでございます。
8ページ目から10ページ目に具体的な取組事例を御紹介させていただきたいと思います。
まず、8ページ目をお願いいたします。8ページ目では、優先トイレの整備や、ベビー・キッズ対応設備について御紹介をしております。障害者にかかわらず幅広いいろいろな方々に対する設備ということでの設置を行っております。
次に9ページ目でございますけれども、ここでは情報を分かりやすく伝えるために、店内のサインをテナントの内装などの状況で邪魔にならないように、視認性を追求した形状に工夫をし、お客様に見やすい対応を行っていくというような取組を行っております。
次に10ページ目でございます。ここでは障害者用の駐車システムの導入について御紹介をさせていただきます。車番の認識ゲートシステム、これによって駐車場の入場者を管理し、健常者による違法駐車をなくし、障害者の方が駐車できないという事態をなくす取組などを行っているということでございます。
このように、イオンモールでは多くのハード面での取組がモールの環境に準じて行われているというようなことで、非常に先進的な取組を行っておられます。
次に、11ページ目をお願いいたします。
こちらでは仙台の駅ビルのS-PALで、車椅子の方が利用しやすい飲食店、座席の配置を工夫したりとか、当地域の高校生等のボランティアの方と連携をして、車椅子利用者等の駐車スペースの青色塗装の取組を行う。それによってバリアフリーへの理解増進、それから啓発の取組等を行うという活動を行っております。
次に、12ページ目をお願いいたします。ここではサンシャインシティ様の取組について御紹介をさせていただきます。
サンシャインシティは、都内の池袋に1978年に開業した比較的古いショッピングセンターではございますが、改装のたびにハード面のバリアフリーの整備をそのときの時代のニーズに合わせて先進的に取り組まれるという施設になっております。特に特筆するのは、ソフト面において障害者の方の情報アクセシビリティの充実に特に力を入れておられ、ホームページによる施設ごとのバリアフリー情報の提供は当然のこととして、障害者の方がお店を利用されるシーンに応じたバリアフリー情報をきめ細かく提供するということで、障害者の方の御意見を反映し、障害者の方の利用の目線に立った情報の作成、それと提供を行っておられるということで、非常にソフト面の充実を図っておられます。
この作成、提供等に当たっては、障害者、それから障害団体等による監修を受けつつ、施設の所有者、お店等が一体となった情報の共有、情報の更新等を行うことにより、随時新しい情報を提供するということに努めておられます。かつ、テナントのスタッフの方に入店研修等で徹底を図るということで、継続的な取組を行っているというようなことでございます。
それでは、13ページ目をお願いいたします。これは羽田空港第3ターミナルの例でございます。
こちらでは触知案内版や点字版のパンフレット、それから補助犬専用のトイレなど、非常にきめ細かい障害者対応を行っておられるということで、先進的な事例だと考えております。
羽田空港第3ターミナルは海外の広く御利用されるという施設で、欧米のバリアフリー先進国に比べても引けを取らない充実したバリアフリー対応に取り組んでいる施設と言えると思います。
それでは、14ページ目をお願いいたします。
ここからは合理的配慮についての考え方を記載したものでございますけれど、既に法改正等で述べられている点については細かい御説明は省略をさせていただきますが、今まで御説明いたしましたように、ショッピングセンターでは様々な取組を現在行っております。
ショッピングセンターは日常生活のインフラとしてたくさんのお客様に御利用いただいているということで、大規模な商業施設、ショッピングセンターにおいては、1日の御利用客が平日で2万人、土日では4万人ぐらいの方が御利用されるということで、当然ながらその中にはいろいろな障害を抱えたお客様の御利用も多数ございます。そのため、ショッピングセンターでは、ハード面では比較的古い施設もございますが、リニューアル等の改修工事を行う際には、その機会にバリアフリー化に積極的に取り組むということで行っております。新しいショッピングセンターについては、建築設計標準等に準拠した整備を行うべく努めているというような現状になっております。
一方で、物理的にどうしても対応が難しいバリアというものがございます。これらについては個別に実施される措置として、運用面で柔軟な対応を行うということで、ソフト面での対応、人による対応というようなことで、具体的場面の状況によって異なる合理的配慮を行うということが行われております。
また、障害者に対する接客につきましても、人的な支援やそれに関わる施設のスタッフ等に対する研修等に日常的に取り組むということで、個別的な配慮が必要となった場面での柔軟で適切なスタッフによる対応が可能になってくるということで現場では取り組んでおります。
次に、15ページ目をお願いいたします。幾つかの適切な配慮が求められる事例を挙げさせていただきたいと思います。
最初に、車椅子使用者駐車場の健常者等による不正利用についてでございます。先ほど委員の方から御指摘もございましたけれども、ショッピングセンターにおいては、現場を管理運営する立場として非常にクレームの多い事案として挙げられております。事例でも御紹介しましたように、物理的に区画をゲートで区分する方法もございます。しかしながら、コスト、それから物理的な制約等で難しいケースも多いと考えられます。決定的な対処方法についてはまだございませんが、不適正利用がしにくい環境を整備することが当面の対応として考えられるのではないかと思います。
例えば区画の表示を大きく見やすくする。これは路面塗装であるとか、看板等による表示とか、そういうことが考えられると思います。それから、ショッピングセンターの中には警備員等が絶えず巡回をしておりますので、警備員等による巡回、注意、それから不適正駐車をされている車に対するチラシの差し込み等によっての注意喚起等を行う。それから、館内放送等でのお客様への注意喚起を行う。それから、先ほどもちょっとお話がありました自治体のパーキング・パーミット制度による許可制度等の活用等々が考えられるのではないかと思います。
また、駐車場では、最近の事例でございますけれども、車高制限が現在の駐車場法では高さが2.1メートルと規定をされておりますが、実際は2.3メートルの福祉車両があるということで、立体駐車場に入庫できないというようなケースなどもございます。そのような場合は、駐車スペースの確保と適切なスタッフによる御案内、それから事前にホームページ等での駐車情報の掲載によって、不便をかけないような周知等が求められるということで対応いたしております。
次に、商業施設内での補助犬同伴の問題でございます。身体障害者補助犬法によって、補助犬を同伴した障害者の受入れが義務化をされております。しかしながら、一方で飲食店や食品販売店などにおいて誤った知識による受入拒否の事例が今でもまだ後を絶たないような状況がございます。
こういうことを受けて、ショッピングセンターにおいては、スタッフの研修の強化等による正しい知識の普及はもちろんとして、飲食店などでは可能な範囲で足元の広い席、補助犬が利用ができるようなスペースを確保するとか、店内に御案内をするときに、近くのお客様に一声かけて御了承いただくとか、状況に応じた柔軟な対応が望まれるということで、スタッフのほうでは対応を行っております。
また、現在協会のほうでは、関係機関と一緒になって補助犬ユーザー受け入れガイドブック、これは商業施設編というものでございますけれども、これを作成し、会員に対して積極的な補助犬受入れに対する啓発活動等を行っております。
次に、店内における車椅子利用の対応の問題でございます。特に飲食店においては車椅子利用者の苦情というものが現在も数多くございます。これは店内の通路幅であるとか客席配置などハード面の対応については徐々に改善は進んできております。しかしながら、なかなか一挙には進まないということもございますので、できるところからやっていこうということで、例えば車椅子で御利用できる場所を入り口に近い場所にして、比較的軽微な改修で対応できるようにするであるとか、店内のテーブル、椅子を一部可動式で車椅子の利用に適した高さのテーブルにするとか、状況に応じてレイアウト変更が可能な店舗にするとか、軽微な変更で対応できるような方法を検討するように、それぞれの施設のほうで検討を行っております。
次に、館内の案内等を希望されたときの対応でございます。実は合理的配慮でこの問題がショッピングセンターの現場からの質問として最もたくさんございました。大規模なショッピングセンターにおいては、インフォメーションに案内スタッフが配置をされているというケースもございますが、人手不足の昨今、難しいということもございます。また、そもそもインフォメーションがないというようなケースもございます。その際重要となるのが館内の店舗スタッフ、施設運営スタッフが常日頃からどのような研修等を受け、対応ができるかということにかかっていると我々は思っております。
現在のショッピングセンターのスタッフは、サービス介助士等の資格を取得することや、日常的な館内研修等を行い、おもてなしの心、それから介助技術を身につけ、お客様の立場に立ったサービスの向上を目指すべく、努力をしているところでございます。
事例の最後になりますが、障害者に対する情報発信、それから提供の問題でございます。
ショッピングセンターでは、館内の施設、それから店舗の御利用に当たってのバリアに関する様々な情報をホームページや館内のサイン、デジタルサイネージなどの電子掲示板、それから館内放送などで提供しております。例えばアクセスについての御案内についても、あるショッピングセンターなどでは、駅から施設までのバリアフリー情報をマップに落とし、分かりやすく経路案内をしたりとか、館内の案内図、展示パンフレットを作成したりとか、スマホアプリで館内案内システムを活用できるとか、そういう様々な取組を行っております。
このように多数のお客様が利用されるショッピングセンターにおいては、様々な障害をお持ちの障害者の方が御利用されております。これらを踏まえまして、施設の取組といたしましては、まずはハード面のバリア、それから情報等のソフト面に関するバリアなどのショッピングセンターに係るバリアの点検整備、点検、確認を行うことが重要だと考えております。その際、施設の立地であるとか利用者の特性等によってそれぞれのニーズが異なってくることもあるということで、障害当事者の方の御意見を聴くというのが非常に重要な要素だと考えております。
例えば新規のショッピングセンター、それから改装を行うショッピングセンター等において、例えば地域住民とのタウンミーティングのようなものを実施し、バリアフリー計画への反映を検討するなどの事例も最近は出てきております。そして、現実的な対応として、実現可能の程度、それから費用負担の程度等を考慮し、過重な負担にならない範囲で取り組むということは当然のことだと考えております。
一方で、バリアですぐ対応できないものについては、個別バリアごとに運営面での対応を決めておくことはもちろん重要なことだと考えております。
以上を踏まえて、ショッピングセンターでの運営面での対応としては、以下のような取組が必要となってくると思われます。
まず1つは、施設のスタッフがバリアに関する情報と対応を広く共有をしているということ、これが重要だということでございます。
その上で、施設で発生したいろいろな個別の事例等がございます。それらに対する対応事例の蓄積と共有を施設の中で行うということ。
それから、3点目に店舗スタッフに対する研修等の環境整備を行うということで、ハード面で対応できないものについて、館内スタッフがソフト面で対応できるような環境を日々つくり上げていくということが重要だということでございます。
最後に、それらをうまくオペレーションするための組織体制を明確にし、施設の対応力を高めるということが重要なことだと考えております。
最後になりますが、日本ショッピングセンター協会といたしましては、心のバリアフリーへの取組推進や、ハード面でまだまだばらつきがございます。バリアフリー水準の向上と質の充実、均一化が進むよう、会員への情報提供や積極的な働きかけを引き続き行っていきたいと。それによって障害を理由とする差別の解消の推進に取り組んでいきたいと考えております。
簡単ではございますが、以上でございます。ありがとうございました。
○熊谷委員長 村上様、大変詳細な御説明ありがとうございました。
続きまして、全国銀行協会の諏訪様より御説明をいただいた後に質疑の時間に移りたいと思います。
では、諏訪様、お願いいたします。
○全国銀行協会(パブリック・リレーション部 諏訪部長) 全国銀行協会の諏訪でございます。本日は貴重な機会を頂戴し、ありがとうございます。
私からは、障害者差別解消を目指した全銀協における今までの取組や、会員銀行の事例につきまして、資料に沿って御説明させていただきたいと思います。
まず、1ページを御覧ください。初めに全銀協について簡単に御説明させていただきます。
全銀協は、国内で活動する銀行を会員とする組織でございまして、会員銀行の銀行業務の円滑な遂行のサポート、それからSDGs・ESGの推進などの様々な活動に取り組んでおります。
2ページにお移りください。
2ページにございますとおり、全銀協では2018年度からSDGs推進体制を整えまして、中長期的な観点から銀行界として取り組むべきSDGsの課題への対応を継続しております。
障害者の差別解消を目指した取組を含む、いわゆるバリアフリーの推進に関しましては、SDGsの17の目標のうちの目標8「高齢者等、様々な利用者に対する金融アクセス・サービスの拡充等」、こちらに沿って進めているところでございます。
3ページをお願いいたします。
こちらには、全銀協における障害者の差別解消への取組を含むバリアフリーに関する取組につきまして、3つの柱を示させていただいております。
1つ目の柱は、会員銀行の取組状況等に関するアンケート調査の実施・還元。
2つ目は、会員銀行向けの支援ツールの作成及び提供。
そして3つ目が、バリアフリー等をめぐる会員銀行向けの情報提供でございます。
4ページを御覧ください。
まず、3本柱の1つ目の柱でありますアンケート調査に関しましては、全銀協の会員銀行に対して、その年次の特記事項も含めたアンケート項目を提示しまして、会員銀行における取組の実態を2004年度から毎年調査しております。具体的には、障害をお持ちの方々に向けたサービスに関わる施設設備の対応状況、それから行内体制、視覚障害や聴覚障害などの障害の特性ごとの取組状況などとなります。
また、アンケート調査では、実態の把握だけに終始せず、得られた結果を取りまとめまして、会員銀行に還元しております。これによりまして各銀行はほかの銀行の取組や好事例、それから課題点、そうしたものを参考にしたり、そこから気づきを得まして、結果として会員銀行における一層の取組の促進につなげる、これを目的としております。
また、金融庁様においては、障害者団体の皆様と金融機関の意見交換会を毎年開催されておりますが、そういった外部会合の場でもアンケート結果から得られた内容を共有させていただいております。
5ページには、2つ目の柱でございます会員銀行向けの支援ツールについてお示ししております。
まず、左上にございます銀行におけるバリアフリーハンドブック、こちらは障害者や高齢者などの配慮を要する方向けの銀行の窓口等におけるサービスの向上の一助となるよう、特性に合わせた応対の心構え、望ましいコミュニケーションの方法、必要な配慮、また、施設づくりの面からのポイントなどについて記載しております。
あわせて、誰もが来店・利用しやすくなっているかを銀行が確認するチェックシートも盛り込んでおりまして、会員銀行向けに冊子として提供しております。この冊子につきましては、今般の改正障害者差別解消法などの施行の動きを踏まえまして、2024年度中に最新の内容に改訂すべく、まさに現在、障害者の方々の御意見もお伺いしながら作業を進めております。
また、左下の人権研修テキスト、これは人権問題をめぐる情勢や企業活動に関連する人権問題を幅広く記載したものです。
それから、右にございますコミュニケーションボード、こちらは話し言葉や文字によるコミュニケーションに不安のある銀行の御利用者、こういった方々が店頭で行員に対して希望する取引や手続を指さししながら円滑に伝えるために活用いただくものです。
6ページにお示ししております3つ目の柱であるバリアフリーに係る会員銀行への情報提供に関しましては、外部からの講師による会員銀行向けの講演会や説明会を実施しまして、障害者団体の方などから実情、また銀行界により一層望む事項などについて貴重なお話をいただいております。
7ページを御覧ください。
引き続き、3つ目の柱である会員銀行向けの情報提供の関連ですが、全銀協で2018年度から毎年製作し、全銀協のウェブサイト上でも公表しておりますSDGsレポート、この中で障害者対応に関する会員銀行の取組事例などを紹介しております。
また、会員銀行に対しては、先ほど申し上げた金融庁の意見交換会等で寄せられた障害者団体の皆様からの要望事項などを情報連携して、啓蒙活動を継続しているところでございます。
ここまで全銀協としての取組の御説明でしたが、8ページ以降では、会員銀行が障害者差別解消を目指して実施している取組について、先に申し上げた年次アンケート調査から得られた事例を中心に御紹介させていただきます。
まず、視覚に障害のある方への対応の一つに、視覚障害者対応のATMの設置がございます。全銀協の会員銀行が設置しておりますATMの総設置台数に占める視覚障害者対応ATM、こちらはハンドセットや文字拡大機能を備えたATMでございますが、この総設置台数の割合は、2022年度末、すなわち2023年3月末現在で9割を超えております。これは約20年前の2004年度の16%、それから2014年度の77%と比べて、着実に増加していると言えます。
9ページにお移りください。
こちらには4つの箱に障害の特性ごとの会員銀行の取組状況をお示ししております。
左上の箱にございます自筆が困難な方への対応として、ほぼ全行が行内規則で代筆依頼の対応を定めております。また、行内規則が適切に運用されるように、社内研修の実施などを含めまして、定期的に遵守状況のフォローも行われているとのアンケート結果となっております。
左下の箱、聴覚に障害のある方への対応に関しましては、ほぼ全行が店舗窓口等でのやり取りにおいて、口頭以外でのやり取りが可能となる対応をしていると回答しております。具体的な対応方法の例は記載されているとおりでございます。
右上の箱では、身体障害のある方への対応事例としまして、車椅子利用者に配慮したATM、ローカウンターや記帳台の設置や、店舗出入口のスロープ等のバリアフリーの実施、車椅子使用者のための駐車場施設の設置などが挙げられております。
また、右下の知的・精神・発達障害のある方に配慮した対応を行っている銀行の具体的な対応方法としましては、多様な障害の特徴を踏まえた応対マニュアルの策定や研修のほか、ヘルプマークを着用したお客様への対応の周知といった対応事例の回答がございました。
このほか、次の10ページにお示ししておりますが、施設設備等のハード面とお客様対応に係るソフト面からの対応として、様々な取組が行われております。
まず、ハード面におきましては、店舗設備等の拡充が挙げられます。例としては、店舗出入口スロープや点字ブロックの設置、卓上型の対話支援機器の設置、多目的トイレの設置、また視覚障害者対応ATMの全台設置などの事例がございます。
また、手続にサポートを必要とされるお客様に気軽にお申し出いただけるようなお手伝いカードを作成・設置した事例や、施設設備の改修の際にユニバーサルデザイン対応を推進しているというような事例も出されております。
一方、ソフト面につきましては、各会員銀行において、職員のお客様対応能力の向上を図るための様々な取組が継続的に行われております。例えばコミュニケーションボードの活用、介助技術や適切なコミュニケーションを養うための職員向け研修・勉強会の実施、また、外見からは分かりにくい障害のあるお客様への応対方法を学ぶ研修の実施などの事例がございます。
このほか、改正障害者差別解消法の施行に合わせて、知見のある外部機関に監修を依頼して応対ハンドブックを作っている事例や、サービス・ケア・アテンダントなどの外部資格の取得を支援・推進するなど、障害者や高齢者への理解浸透と応対面での強化を図る、こういった事例も複数の会員銀行から出されているところです。
11ページ以降では、同じく年次アンケートにおいて会員銀行から寄せられたお客様と接する中で合理的配慮を提供している具体的な対応事例について、時間の関係もあり全てではございませんけれども幾つか紹介したいと思います。
項番の1及び2は視覚障害のあるお客様への合理的配慮事例です。状況といたしましては、いずれも書類の記入が難しいとのお申出があったところ、代筆対応をさせていただいた事例でございます。
項番1においては、視覚障害のある方から書類の記入が難しいとのお申出に対して、銀行においてあらかじめ定めていた事務規程にのっとりまして、個人情報に配慮するため応接に誘導させていただいた上で、行員が代筆内容を読み上げながら代筆対応をスムーズに実施できたという事例でございます。
続く項番3~9は、聴覚、言語障害のあるお客様への合理的配慮事例となります。
このうち11ページにございます項番3につきましては、住宅ローンの相談に来店予約をされたお客様につきまして、お客様からの事前の御相談は特になかったのですが、銀行側で過去のお客様との取引経緯書を事前に確認いたしまして、聴覚障害をお持ちであることを把握し、お客様が手続に不安を感じないような配慮をさせていただいた事例です。
12ページの項番5も聴覚、言語障害のあるお客様への対応の事例となります。来店されたお客様の通帳の表紙に、「耳が聞こえづらいです。手招きして呼んでください」という内容のシールが貼られていることを確認した行員が、当時のマスク着用などの状況から、耳が不自由な方にとっては手話のほうが伝わるかもしれないという判断をいたしまして、手話をもって「いらっしゃいませ」「お待たせいたしました」などをお伝えしたという事例でございます。
それから、13ページにお示しした項番8はインターネットバンキング関連となります。お客様からの個人向けスマートフォン専用の銀行アプリの残高・取引明細部分の表示を拡大して見たいとのお申出に対して、該当の銀行においてPDFやCSV方式、こういったもので拡大表示を可能とする機能を実装した例でございます。
14ページを御覧ください。
項番10は発達障害のあるお客様への対応となります。発達障害のため、窓口の呼出し音声が苦手とのお申出があったケースで、該当行においては、呼出しの際にロビー担当者から個別にお声がけをして対応させていただきました。
こちらで御紹介したのはあくまでも一例でございますけれども、各銀行においては、障害者差別解消への認識の広まり、深まりとともに、障害によって銀行取引における事務手続等を単独で行うことが困難なお客様に対しても障害のない方と同等のサービスを提供できるよう、それぞれの場面に応じハード面・ソフト面の両面での取組を行いつつ、柔軟かつ丁寧な対応を心がけております。
一方で、本日の様々な御意見にもございましたが、障害をお持ちのお客様から見るとまだまだ十分とは言えない対応や御満足いただけない応対、こういったものも多々あるというところも認識しているところでございます。特にハード面の対応につきましては、店舗の改築やシステムの開発・更改、こういったタイミングでないと対応できないという場合もございまして、すぐの対応が難しいこともございます。
また、銀行取引の特性というところもございまして、本人確認、それから不正利用の防止、こういったことにも留意する必要もございます。だからこそ、ソフト面、合理的配慮の観点からの対応というのがより一層重要になると考えているところでございます。
そうした観点から、今般の障害者差別解消法及び本日御説明のございました金融庁所管事業分野の対応指針の改正・施行によって、より一層障害をお持ちの方に寄り添った対応が求められることを銀行界としても十分認識しております。
業界団体という立場からは、今後とも障害のある方の御意見も傾聴しながら、会員銀行におけるより一層の、そして、より当事者の皆様のお気持ちや御要望に添った対応に資するような適時の情報提供及び啓蒙活動を通じて関与してまいる所存でございます。
全銀協といたしましては、引き続き障害者差別解消への業界団体の意識と対応の向上に向けて取り組んでいくということを申し上げさせていただいて、私の御説明とさせていただきます。ありがとうございました。
○熊谷委員長 諏訪様、御説明ありがとうございました。
それでは、ここで村上様、諏訪様の御説明を受けて、10分程度になりますが質疑応答に移りたいと思います。委員の皆様方からコメント、質問はありますでしょうか。いかがでしょう。
では、白江委員、お願いいたします。
○白江委員 ありがとうございます。
まず、村上様に2つほど質問なのですが、1つは協会としてこういった取組、私もショッピングセンターを利用させていただいていますが、10年前、一昔に比べて随分変わったなという印象を持っているのですが、協会としてこういったガイドラインを作られていて、そのための周知徹底というか、そういった取組をされているのかというのが1点。
それに併せて、相談窓口というようなものを協会として持たれて、具体事例などいろいろなトラブルなどもあるのではないかなと思うのですが、そういったものを集積されているのかというところの2点でございます。
それから、銀行業界の方もよろしいでしょうか。後にしますか。
○熊谷委員長 そうですね。村上様、いかがでしょうか。
○日本ショッピングセンター協会(公共政策 村上参与) 御質問ありがとうございます。
2点ほど御質問いただいたと思います。
最初のガイドラインの件でございますけれども、実はショッピングセンター業界に限定した形のガイドラインというものは現在実はございません。先ほど個別の例えば介助犬の話であるとか、そういう形でのガイドライン等を作成したことはございますけれども、実は協会としても課題の一つになっていまして。これを将来的にまとめていきたいと考えております。
先ほど業界の説明のところで申し上げましたけれども、ショッピングセンターは立地であるとか規模であるとかできた時代であるとか、そういうものによって非常に多岐にわたった施設になっております。いろいろな種類の施設になっております。ですから、その辺りを統一的にガイドライン化して作っていくというのがなかなか今、難しい状況にあるので、その辺りは情報等を集めつつ作成すべく、検討しているということでございます。
もう一つの相談窓口については、協会のほうで公共政策を担当するセクションがございますので、そちらでいろいろな情報を収集いたしております。今回の合理的配慮について、実は4月1日以降の施行に向けて、各会員様からいろいろな質問、それから相談というか、不安な点というか、たくさん声が寄せられております。そういうものを協会としては集め、整理をし、会員さんのほうに情報として共有していくということで今、進めているところでございます。
以上でよろしいでしょうか。
○熊谷委員長 ほかの委員からも質問があるので、そちらを優先したいと思います。
オンラインの御参加の曽根委員、お願いいたします。
○曽根委員 曽根と申します。よろしくお願いいたします。
村上様と諏訪様お二人にお尋ねさせていただきたいのですけれども、差別解消法の合理的配慮の義務化については、ここの政策委員会の検討の中でも、法改正して、日を置かずして義務化に踏み切るべきだという御意見と、一定の準備期間が必要ではないかという御意見がありまして、結果として今回3年間の準備期間があって施行という流れになったと理解しています。この3年間で、それぞれ全銀協さんと日本ショッピングセンター協会様でこういう準備をしてきたということがありましたらぜひ教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
それでは、まず諏訪様からお返事いただいてもよろしいでしょうか。
○全国銀行協会(パブリック・リレーション部 諏訪部長) 諏訪でございます。御質問ありがとうございます。
全銀協といたしましては、私ども業界団体の特性といたしまして、自主規制団体ではないものですから、専ら先ほど御説明もさせていただいたいわゆる啓蒙活動、情報提供というところを、おっしゃっていただいたこの3年間、継続して行っているというところでございます。アンケートを取るときなどにも、法改正があるというようなところも折々で触れる形で銀行にも伝えておりますし、銀行からのアンケート結果でも、改正法を踏まえてこういう対応をしたというような回答も多々見えるようになっております。そういう意味で言うと、地道なところではございますけれども、そういった複数年にわたる啓蒙活動が一つ対応しているところかなと。それから、当然説明会とか会員向けの周知文書とか、そういうものは時々でさせていただいているところでございます。
以上で御回答になっていますでしょうか。
○曽根委員 ありがとうございました。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
村上様からいかがでしょうか。
○日本ショッピングセンター協会(公共政策 村上参与) 私どもの協会といたしましては、実は東京2020に向けて国のほうで心のバリアフリーということで、従来のハード面の整備にかかわらず、それを補完するというか、もう一つの別の考え方として、心のバリアフリーが重要だということで推進をしてこられた。それに最初から積極的に関与させていただいておりまして、会員のほうに、ハード面の整備だけではなくて、心のバリアフリーをベースにしたお客様に対するソフト面での対応を進めるようにということで、いろいろな情報を提供したりだとか、セミナーを開いたりだとか、そういう形で情報の提供を行っているということで、今まで進めてきております。
そういう意味で、今回、合理的配慮ということで、会員としては突然出てきたという感じの受け止め方はあまりしていないのではないかと。心のバリアフリーという流れの中での一つの合理的配慮という具体的な取組の仕方が求められるようになったという受け止め方をされているのではないかなと感じております。
すみません。一部私の私見も入っておりますけれども、申し訳ありません。よろしいでしょうか。
○曽根委員 どうもありがとうございました。
○熊谷委員長 それでは、最後になるかと思いますが、佐藤委員、手が挙がっていたかと思います。お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
日本ショッピングセンター協会様に1つお願いがあります。
御報告、すばらしい取組をされているなと思いました。特に駐車場で車番をカメラで認証して開くゲートの仕組みなのですけれども、とても障害者の中でも評判がよくて、コストも安いのでぜひ広めてほしいなと思いましたし、店舗の中での車椅子で利用できるテーブル、動かせるテーブルと動かせる椅子というのもとても重要だと思いました。
お願いしたいのは、地域住民の意見を聴いて施設の整備に取り組んだというお話がありました。当事者参画のそういった事例をぜひどこかで公表していただきたいなと思います。東京2020で国立競技場UDワークショップという多様な障害者、高齢者、子育ての方とかが一緒に入って図面を見ながらみんなで意見を言って反映をしていただいたのですけれども、そういった取組がこれから非常に重要になってくると思います。お店の中でそういう事例はまだあまり紹介されていないので、ぜひともどこかで公表していただけるとありがたいと思いました。
以上です。
○熊谷委員長 村上様、いかがでございましょうか。
○日本ショッピングセンター協会(公共政策 村上参与) 貴重な御意見ありがとうございます。
協会といたしましても、会員の意向等も確認をしつつ、好事例として公表ができるようなものについては積極的に公開をしていきたいと考えておりますので、引き続き何か御意見等ございましたらよろしくお願いいたします。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
村上様、諏訪様、本日は大変詳細な御説明をありがとうございました。
以上で御説明と質疑を終わりたいと思います。
少し遡りますけれども、国土交通省から、先ほど委員の皆さんからいただいた質疑のうち持ち帰りになったものについて、回答が用意できたということなので、本日御回答をお願いできればと思います。
○国土交通省(総合政策局バリアフリー政策課 田中課長) 国土交通省でございます。ありがとうございます。
先ほど岩上委員と佐藤委員からいただいた御質問につきまして、担当局から回答を得ましたので、この場で御回答させていただきたいと思います。
まず、岩上委員からいただきました債務保証関係でございます。御指摘いただいていた障害者の方が家を借りるに当たって、家賃債務保証会社の審査で、障害があることのみをもって一律に不合格とするということは、差別解消法に基づく不当な差別的取扱いに該当するおそれがあるものと認識しているということであります。
障害の有無にかかわらず、家賃債務保証会社での審査に当たっては、支払い能力などを総合的に勘案して実施されているものですが、国土交通省としては、この障害者差別解消法の趣旨について、障害があることのみをもって一律に不合格ということは、不当な差別的取扱いに該当するおそれがあると考えており、こういったことを含めてしっかりと周知・啓発を実施していきたいと考えております。
それから、佐藤委員からいただきました入居基準の審査基準の不開示の関係でございます。大変恐縮ですが、障害の方かどうかにかかわらず、基本的には誰に対しても不開示としておりますということがまずございます。加えて審査基準については、それぞれの事業者の方々の裁量で総合的に決められているということで、国土交通省からこうすべき、と言うことについてはなかなか難しいところでございます。この点、何とぞ御理解をいただければということでございますが、当然、国土交通省として、各事業者に対して障害者差別解消法の趣旨にのっとった対応をしていくということについて、周知・啓発を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
本日、障害者差別解消法の改正をめぐっての議題は以上で終了となりますが、この後、議事にはございませんが、本日もそうですけれども、十分本日の時点で回答いただけていない質問とか、あるいは時間の関係で質問ができなかった委員、具体的には石橋委員、玉木委員、臼井専門委員かと思いますけれども、そういう委員の皆さんが追加で質問をしたいという場合にどうしたらいいのかという御意見を事前にいただいております。
前回の委員会でいただいた御質問や御意見のうち、各府省庁から回答いただいていない箇所に関して、臼井専門委員から問題提起と、あと具体的な質問の再質問がありますので、臼井専門委員より御意見をよろしくお願いいたします。
○臼井専門委員 臼井です。
この会議の時間の終了予定時刻になってきていますが、時間的によろしいですか。
○熊谷委員長 はい。
○臼井専門委員 前回に質問や意見を出して、御回答がそのときはなかったというものについて、今後どうしていったらいいのか、今日この後の最後の議題でも話ができればと思うのです。
前回は何について言ったかというと、1つは欠格条項が法律にあって、さらにその政省令で精神の機能の障害と規定されたために、精神の機能の障害を理由とした欠格条項が大きく増えていると。そういう状態を把握しておられますか。また、どのように受け止められますかという質問を出しました。
もう一つは試験について、試験の合理的配慮についての2005年につくられた基準文書がもう古いので、改定を提案しますという意見を出しました。基準文書の名前は、「資格取得試験等における障害の態様に応じた共通的な配慮」ということで、まだパソコンなどの基準がなかったために、一昨年に視覚障害のある人が社会福祉士の国家試験に合格しましたが、パソコン受験ができるようになるまで大変苦労しました。ですので、合理的配慮として、どの試験でも共通的にパソコン受験を申し込めて実施がされるような、社会や技術の変化を反映した基準文書の改定が必要です。
3つ目が「国民生活基礎調査」という基幹統計の2022年調査結果について公表された統計には、障害と所得の有無をクロスした統計がありません。所得については、権利条約に言う他の者との平等ということから、統計を出せるようになったという極めて重要な指標ですが、公表されていません。ですので、公表していただきたいです。
そのほかに障害者基本法の改正についても意見を出しましたが、これはほかの委員からも御意見があって、前回までは御答弁のなかったところです。今後の会議進行とも関係するので、本日の最後の議題のところで、どうしていったらいいのか改めて議論ができればと思います。
私からは以上です。
○熊谷委員長 こちらは複数の省庁にまたがる御質問ということで、内閣府からお返事をお願いいたします。
○小林参事官(内閣府政策調整担当 障害者施策担当) 内閣府です。全般的に各省にまたがるお話になっておりますけれども、内閣府としての考えをお答えさせていただきます。
まず、いわゆる相対的欠格条項の話につきましては、第5次障害者基本計画におきましても、いわゆる相対的欠格条項については、各制度の趣旨や技術の進展、それから社会情勢の変化、障害者やその他関係者の意見等を踏まえて、真に必要な規定を検証し、必要に応じて見直しを行うと、こういう規定がなされておりまして、この基本計画等に基づきまして、各制度を所管する各省庁において必要な検証等が行われるものと認識しております。
また、基本計画に記載された事項につきましては、この障害者政策委員会の実施状況のフォローアップという中でも検討していただく事項と認識しております。
それから、2つ目の資格の関係のいわゆる共通的配慮の文書、平成17年に出ている文書のことかと思うのですけれども、これについては各試験制度で共通的に対応すべき配慮事項というものを整理したものと考えておりまして、そうした中で、これも第5次障害者基本計画におきまして、国家資格試験の実施等に当たり、障害特性に応じた合理的配慮を提供するという記載もございます中で、各省庁におきましては、障害者基本計画の記載だとか、それぞれで資格ごとの試験内容とか技術の進展等を踏まえて、これは個別に検討、判断を行った上で、御指摘の文書に記載された事項も含めて必要な合理的配慮を行っていただいていると認識しておりますし、また、今後についても個別の対応が可能なものについては、それぞれの試験制度においてさらに検討を進めていただく、こういったことが重要なのかと考えております。
それから、国民生活基礎調査は恐らく厚労省のほうからお答えすると思いますので、基本法の改正なのですけれども、何度か内閣府としてお答えしたつもりだったのですが、分かりやすく申し上げますと、今年度から第5次障害者基本計画というものが計画期間として開始されたという状況ですので、まずは政府といたしましては、この基本計画に沿いまして、政府一体となって推進していくということと併せまして、障害者政策委員会で必要なフォローアップを行っていただくと。ここはまずやっていきたい、ここに注力していきたいと考えております。
以上になります。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
質問に回答していない事柄についての説明について、厚生労働省からいかがでしょうか。回答をお願いいたします。
○厚生労働省(政策統括官付参事官付世帯統計室 西原国民生活基礎統計分析専門官) 厚生労働省でございます。
国民生活基礎調査の御質問についてお答えいたします。
国民生活基礎調査は、まず抽出調査でございます。国民生活基礎調査の中では所得に関しても調査を行っておりますが、所得の状況につきましては、一部の世帯を対象として調査を実施しております。そのため、所得状況と日常生活における機能制限の状況のクロス集計に当たりましては、サンプル数を踏まえて、集計結果が世の中の状態を適切に表しているか、専門家の意見を聞きながら検討する必要があると考えております。それらの検討結果を踏まえまして、集計表の充実を図ってまいりたいと考えております。
なお、2022年、令和4年のデータにつきましては、統計法第33条に基づく二次利用が可能となっておりますので、御利用いただければと思っております。
以上でございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、今後の政策委員会のスケジュールについて、事務局よりお願いいたします。
○小林参事官 資料10になりますけれども、第6期障害者政策委員会の今後のスケジュール(案)ということについて御説明させていただきます。
前回の障害者政策委員会におきまして、熊谷委員長から、今期、第6期の障害者政策委員会のロードマップをお示しできればという御発言がありました。このことを踏まえまして、熊谷委員長にも御相談させていただいた上、今申し上げた資料10を作成しまして、今回資料として配付させていただいているところでございます。
内容についてペーパーに沿って御説明しますと、最初の○ですけれども、障害者政策委員会における第5次障害者基本計画の実施状況の監視につきましては、同計画の計画期間の初年度である令和5年度における各府省庁の実施状況が取りまとまるのがどんなに早くても令和6年夏ということになってしまいますので、これ以降に3回に分けて審議していただく予定であるということを記載させてもらっております。
具体的なスケジュール案が下の表にございますけれども、8~9月のうちに1回、9~10月頃に1回、10~11月頃に1回という形で、昨年につきましては2年度分を2回に分けて実施していたところですけれども、今年につきましては1年度分ということですが、3回に分けて実施するという形で考えております。
もう一点が、昨年は省庁別にパートを分けて、2年分を2回の委員会でフォローアップいただいたという形だったのですが、ここの部分を熊谷委員長と御相談させていただいた上で、本年につきましてはより効果的なフォローアップに資するようにということで、第5次障害者基本計画に記載された施策の項目を記載の順番に沿った3つのパートに分けまして、それぞれのパートごとに3回の委員会に分けてフォローアップしていただくという形で考えております。
それから、2つ目の○の部分なのですけれども、総括所見に係る議論につきまして、前回までの委員会でも御意見いただいていたところなのですが、障害者権利委員会の総括所見につきましては、第5次障害者基本計画におきまして、障害者政策委員会においても、必要に応じ、各府省における検討や対応を踏まえながら、本基本計画の実施状況の把握等を通じ、勧告等への対応について監視を行っていくとされていることを踏まえまして、今申し上げた3回の各回の該当する施策の箇所において併せて御議論いただくということで考えております。
今後、このスケジュール案に沿いまして具体的な日程調整を進めさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
以上になります。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
もう一点、質問に関しての説明もお願いします。
○小林参事官 先ほど臼井専門委員から、前回、質問に対する回答がなかったという部分でお話がありまして、今後、省庁側から回答がなかった場合のどういうふうにするかというルール、これも熊谷委員長と御相談させていただきまして、そのお話をさせていただきたいと思います。
まず、各委員会において参加する省庁だとか分野ごとの担当者が限られていることだとか、会議時間に限りがあることなどから、委員からの御質問等にその場で必ずしも御回答できない場合があることにつきましては御理解いただきたいなと思っております。
回答漏れの事項については、やり方としては、事務局において確認するという方法もあり得ると思うのですけれども、申し訳ないのですが、事務局のほうも各省庁の詳細の施策までは十分に把握し切れていない面もございますので、事務局のほうで確認するということになると、なかなか網羅的に物を確認するというのが難しいところもございまして、再度の回答漏れを防ぐためには、委員の皆様にぜひ御協力いただきたいと考えております。
具体的に申し上げますと、担当者不在による回答漏れを含めまして、回答漏れがあった事項について、次回の委員会等で担当省庁から回答を求める場合につきましては、各委員におきまして、次回の委員会等の前にあらかじめ回答に漏れがあって、次回委員会等で省庁側から回答を求めたい旨、事務局に御連絡いただきたいと考えております。
御連絡いただいた場合につきましては、事務局において担当省庁のほうに連絡をしまして、次回の委員会等でその担当省庁から回答するように依頼をしたいと考えております。
なお、次回委員会等で再度質問する場合につきましては、委員の皆様からその質問事項につきましてペーパーで質問いただいても結構ですし、場合によっては次回委員会等で再度、本日も臼井さんに御発言いただきましたけれども、御発言いただいてもいいです。事前に漏れがあったら事務局に教えていただきたいということと、実際に再度質問していただきたい事項はペーパーで頂いてもいいし、次回またお話しいただいてもいい、こういう取扱いに熊谷委員長とも相談させていただいた上でさせていただきたいと考えております。
以上になります。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
本日も、石橋委員、玉木委員、臼井専門委員、挙手をいただいていたのですが、時間の関係で御指名をすることがかないませんでした。本当に申し訳なく思っております。
そういった場合ですとか、あるいは質問はできたのだけれども十分有効な回答がなかったと思われる場合には、大変お手数ですが、事前、また事後に質問を文書でお送りいただくか、もしくは次回御発言をいただきたいということで、大変お手数をおかけするのですが、何とぞ限られた時間と事務局の対応のマンパワーというところもあり、ぜひ委員の皆様の御協力をお願いしたいと思う次第です。
以上、政策委員会スケジュール及び質問に応答がなかった場合の対応方針について御提案をさせていただきました。
この点に関して、何か委員の皆さん。
玉木委員、お願いします。
○玉木委員 玉木です。ありがとうございます。
事務局も含めて、鋭意工夫されていることはよく分かるのですが、このスケジュールを見ると、今、3月ですから、まだ結構あるのに基本計画の話については夏以降の論議ということで、それまで政策委員会では論議ができないということが1つと、もう一つは、今日も改正障害者差別解消法の施行についてということで、限られた省庁と限られた団体のヒアリングしかしていない状況で、しかも、1回の対話で終わってしまっている。これから建設的対応が大事なのですねと政策委員会でも多分周知の事実の状況の中で、例えば仮に今日の質問なんかを出して、次回の委員会の問答にと言われると、8月まで回答が聞かれないということとか、その回答をまた論議しようとすると、また次、10月、11月、プラスそこには第5次計画の実施状況の論議もするということになると、整理、全然できない状況で、消化不良が続くのかなというのが1点。
もう一個は、○の2の中に、総括所見の中身については、第5次の計画の進捗管理をする中で、個別に対応について監視を行っていくと書いてあるけれども、総括所見の共通認識が政府と委員の中で持てていない状況の中で、それを個別に第5次計画の進捗状況の中でどう論議するのかとか、この限られた時間の中でやっていくということについては、申し訳ないけれども、あと3回の中では消化し切れないと思うので、その点、もう一度再検討していただければありがたいなと思っています。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
何名かの委員から手が挙がっていました。私の認識では3名かな。玉木委員と福田委員と水流委員ですね。ひとまず時間の関係もあるので、3名の委員にお願いします。
福田委員、お願いいたします。
○福田委員 福田です。
今回、この政策委員会が私にとって3回目、76回、77回、今回78回となって、次回が79回が8月ということになりますと、ちょっと時間が空いてしまうと先ほどありました。私はその点がまず1つ。それは玉木委員がおっしゃったように、建設的な議論ができる場であるべきだと思うので、その時間を、新しく入った委員としては、何かしら勉強会であったり、有効に時間を使っていくべきだと思います。それがまず1つ。
そしてもう一つ、盲ろうという立場から、情報の関係についてはどうしても申し上げないといけないと思うことがありまして、今回3回目になりますけれども、まず2つ、1つは、この政策委員会自体のアクセシブルな会議の在り方というのを少し考えていただきたいかなというのがあります。具体的には、まず資料です。資料もテキストデータと紙の点字でもいただいたのですけれども、今日、通訳介助と一緒に参加することでしか分からなかったような、情報が得られない状況があるということがちょっと問題だと思っています。
例えば資料の中の写真については、写真の前後のテキスト文は点字でもテキスト形式でも提供はされているのですけれども、写真自体のイメージ、ディスクリプション、写真の説明がないので、見えないことで情報をほかの委員と同様に得ることができていないという状況が続いているという懸念が1つあります。
ただ、点字提供に関してはありがたいことですし、初回から比べればすごく改善があってありがたいとは思っています。
あとは、このミーティング自体の在り方ですが、発言のスピードが速いとか、幾つか、もう少し委員が誰も取り残されずについていけるように、(誰も取り残さない)インクルーシブでアクセシビリティが確保された会議の在り方を、この政策委員会というものをロールモデル、日本の会議、アクセシブルなインクルーシブな会議、インクルーシブなミーティングの在り方というのを政策委員会がモデルになってもいいのではないかなとも思うので、例えばこの次が8月ということであれば、それまでの間に、私自身も国連のESCAPなどでアクセシビリティの会議の在り方などについてリソースパーソンとして参加してきましたので、情報提供したりすることはできますし、幾らでもお手伝いできますので、そちらのほうを今後もうちょっと、きちんと参加したいという気持ちがどうしてもありますので、きちんと参加できるような会議の運営の模索というのも次の委員会までにあってもいいのではないかなというのが盲ろうとしての情報、アクセシビリティの点からも、総括所見のほうにも触れられていましたので、一言お願いしたいかなという意見です。
以上になります。ありがとうございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
最後に水流委員から、手短にお願いできれば幸いです。
○水流委員 今後のスケジュールを御説明いただいた中で、2点御提案をさせていただきたいと思っております。
まず1点目は、先ほど玉木委員もおっしゃいましたけれども、総括所見に対しての私たち委員会メンバー、そして政府関係者との理解の仕方について、ぜひ先ほど出ていました勉強会、学習会を企画していただけないかなという御提案でございます。例えば前政策委員会の委員長をされていらっしゃいました石川先生あたりにお願いするということも含めての、そこまでの併せての御提案が1点目でございます。
2点目ですけれども、多分それらを今後79、80、81回の中でも出てくるであろう権利条約に対する様々な意見を上げていく中で、障害者基本法の見直しには触れざるを得ないということも想定されます。ということで、そこに対して例えばこの委員会全体の中でということではなく、プロジェクトチームをぜひ結成していただくようなことも含めて、その中で様々な今後の見直しに向けての勉強会というか、様々な意見を合意形成していくというところも含めて2点、御提案並びにお願いでございます。
以上です。
○熊谷委員長 いずれも大変重要な御指摘ありがとうございました。
基本的には持ち帰ってまた事務局と検討するテーマかなと思いましたが、現時点で事務局からコメントはありますでしょうか。
○小林参事官 事務局です。
御提示したスケジュールなのですけれども、委員長とも御相談の上というところで御提示した中で、福田委員からお話があった会議関係資料とかの部分は、うちのほうで何ができるのかというのは、どこまでできるのかというのはありますけれども、それは検討してみたいと思います。
以上になります。
○熊谷委員長 いわゆる代替テキストというものですね。図版に解説する文章を入れると。スタンダードだと思いますので、これは徹底したほうがいいなと個人的には思いました。
基本的には、貴重な御意見をいただきましたので、持ち帰るということになるかと思います。
では、最後に事務局から事務連絡をお願いいたします。
○小林参事官 最後になりますけれども、次回の政策委員会の具体的な日程等の詳細につきましては、熊谷委員長にも御相談の上、確定次第、御案内申し上げたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
以上になります。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
また時間が超過してしまいまして申し訳ございません。
これをもちまして第78回「障害者政策委員会」を閉会いたします。
オンラインで御参加の委員は、画面の電話マークをクリックして御退室ください。
ありがとうございました。