障害者政策委員会(第82回)議事録
令和6年12月11日(水)
15:00~17:40
中央合同庁舎8号館 1階講堂
(ハイブリット開催)
【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】
○熊谷委員長 それでは、定刻になりましたので、これより第82回「障害者政策委員会」を開会いたします。
委員の先生方におかれましては、御多忙中のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の委員会は17時までを予定しておりますが、議論の流れによっては時間が超過する可能性もあります。御承知おきください。
それから、本日は、初瀬委員、長谷川委員が所用により御欠席、白江委員が途中で御退席されるとの御連絡を受けております。
それでは、本日予定している議事を進めたいと思います。
議題及び資料について事務局から説明をお願いいたします。
○古屋参事官 事務局の内閣府、古屋でございます。
本日は資料として資料1-1から資料3-4まで御準備させていただいているところでございます。
資料1-1と1-2については既存の資料でございます。資料1-1と1-2のうち「集計中」等としていた箇所について、この御審議の中で明らかになっている数値について、資料1-3に新たにまとめているところでございます。
資料2についても既存の資料、資料3については委員の皆様から御提出の御意見でございます。
本日は御審議に先立ちまして、障害者権利条約の次期対日審査の予定について御報告をさせていただく予定でございます。
その後、計画の実施状況について、分野ごとに事務局から御説明した後、委員の皆様方からの御質疑をお聞きし、休憩時間を挟んで各省庁からの御回答とさせていただければと存じます。
以上でございます。
○熊谷委員長 熊谷でございます。
御説明ありがとうございました。
ただいま事務局からも御説明がありましたけれども、まずは外務省から障害者権利条約の次期対日審査の予定についての御報告をいただきたいと思います。
外務省の方、よろしくお願いいたします。
○外務省 外務省総合外交政策局人権人道課でございます。
本日は障害者権利条約の次期対日審査の予定ということでお時間を頂戴しておりますので、手短に進捗について御報告させていただきたいと思います。
日本におきましては、2022年8月に第1回の政府報告審査を実施いたしました。その後、同報告に基づいて2022年10月に公表されました第1回報告に関する障害者権利委員会の総括所見において記載がございますとおり、第2・3・4定期報告を2028年2月20日までに提出し、本総括所見の勧告の実施に関する情報を求めることを要請すると記載がございます。また委員会は締約国に対し、委員会の簡易報告手続下での上記報告の提出の検討を要請する。同手続の下で、委員会は締約国の報告提出の締切りの少なくとも1年前に事前質問事項を準備し、同質問事項への回答が締約国による報告となるとされております。
皆様御存じのとおり、日本はこの度簡易報告手続への移行を承認いたしましたので、この総括所見に記載されております2028年2月20日という定期報告の日程は適用されないことになります。
なお、簡易報告手続を採用した場合のスケジュールにおきましてはまだ提示されておりませんで、障害者権利委員会からの通知を当省も待っている状態でございます。したがいまして、確定情報として本日お伝えできるスケジュールはございませんが、引き続き障害者権利委員会からの通知を待っている状況でございますので、その旨。
○熊谷委員長 熊谷でございます。
最後の1分程度が少し聞き取りづらかったのですけれども、もう一度最後の部分を繰り返していただいてもよろしいでしょうか。
○外務省 承知しました。
冒頭に総括所見における記載について読み上げさせていただきまして、そこに第2・3・4定期報告を2028年2月20日までに提出し、この後は中略させていただきますが、少なくともその1年前に事前質問事項を準備し、同質問事項への回答が締約国による報告となるというような記載が総括所見にはされておりますが、皆様御存じのとおり、このたび日本は簡易報告手続への移行を承認いたしましたので、この総括所見に記載されていた2028年2月20日という定期報告の日程は適用されないことになります。
なお、簡易報告手続を採用した場合のスケジュールもいまだ発表されておりませんで、当省といたしましても引き続き障害者権利委員会からの通知を待っている状況でございます。
以上、簡単ではございますが、外務省からの報告とさせていただきます。ありがとうございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして令和5年度障害者施策の実施状況についての御説明をいただきます。その後、質疑をお受けしてから16時5分頃に休憩を取りたいと考えております。なお、質疑が多い場合には、休憩後も引き続き質疑を受け付けます。
それでは、事務局から御報告をお願いいたします。
○古屋参事官 事務局の古屋でございます。
今回は障害者基本計画のⅢの8、10、11と、今回資料で参考とした総括所見に対応する障害者基本計画に関連する記載がないものについて御説明させていただきます。
資料1-1を御覧ください。
まず教育の振興について御説明させていただきます。157ページをお開きください。
「(1)インクルーシブ教育システムの推進」について162ページまで掲載しているところでございます。
このうち159ページの8-(1)-5で集計中となっている数値につきましては、スクールカウンセラーの対応公立小中学校は2万7199校、スクールソーシャルワーカーの対応公立小中学校は2万2232校ということで、いずれも2万7888校中のというような数字でございます。それから、その下にあります特別教育支援コーディネーターの令和5年度の指名率については90.1%となっております。
また161ページの通級指導の児童生徒数につきましては、令和5年度のものは来年3月末頃に判明する予定でございますけれども、直近で分かっている数字につきましては令和4年度のもので19万8343人というところでございます。
続きまして、「(2)教育環境の整備」についてでございます。162ページから167ページまで記載しているところでございます。
続きまして、「(3)高等教育における障害学生支援の推進」につきましては171ページまで記載しているところでございます。
このうち8-(3)-2と3、4、8については、それぞれの措置を実施している大学の校数のみが掲載されていますが、全大学の数でいきますと1,168校、この中の何校という形となっているところでございます。このため特に168ページの8-(3)-2の実施率等を見ますと、おおむね9割程度の大学でもろもろの措置が実施されているというところでございます。
続きまして、「(4)生涯を通じた多様な学習活動の充実」についてでございます。こちらは171ページから記載しているところでございます。
次に、「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」についてでございます。208ページをお開きください。
(1)については文化芸術活動に関するものということで211ページまで記載させていただいているところでございます。
続きまして、(2)についてはスポーツに関するものということで213ページまで掲載しているところでございます。
続きまして、「11.国際社会での協力・連携の推進」についてでございます。214ページをお開きください。
「(1)国際社会に向けた情報発信の推進等」については11-(1)-1に障害者権利条約締約国会議の出席、11-(1)-2に障害者権利条約の初回政府報告審査に伴うパンフレットの改訂について記載しているところでございます。
続きまして、「(2)国際的枠組みとの連携の推進」については214ページと215ページ、「(3)政府開発援助を通じた国際協力の推進等」については215ページと216ページ、「(4)障害者の国際交流等の推進」については216ページと217ページに記載しているところでございます。
最後に、参考につきましては、総括所見に関する基本計画の記載がない事項について記載しているところでございます。
218ページでは障害者の効果的な参加を確保するための民事・刑事手続での配慮等についての取組、裁判所等のバリアフリー化等について記載しているところでございます。
219ページでは精神障害を離婚事由とする規定の削除の動きについて記載しているところでございます。
続きまして、資料1-2を御覧いただければと存じます。
こちらについては、関連目標が記載されているところでございます。
「8.教育の振興」については23ページから28ページまで記載しているところでございますけれども、令和5年度についてはほとんど全ての指標について直近の数値よりも上昇または増加しているところでございます。
また32ページの「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」については、把握できる全ての数値が上昇しているところでございます。
それから、33ページの「11.国際社会での協力・連携の推進」については、JICAを通じた障害者を対象とする技術協力プロジェクト等の件数、受入れ人数以外はおおむね増加・上昇しているところでございます。
続きまして、資料1-3を御覧いただければと存じます。
こちらについては、これまで集計中となっていた数値で、第80回を行いましてからこれまでの間に集計が整ったりして明らかになっている数値を記載しているところでございます。ここにお示ししたものでも、要は令和5年度の数値がまだ得られていないものもございますが、こちらについては本年末時点で取りまとめてホームページで公表してまいる所存でございます。
最後に、各省からの説明ペーパーを資料2-1から17、委員提出資料として3-1から4で石橋委員、佐藤委員、日比委員、臼井専門委員の提出資料について配付しているところでございます。
なお、第80回の際にペーパーで頂いた御意見、御質問や当日お答えし切れなかった御意見、御質問については、先ほどホームページに公表したところでございます。追って皆様にメールでも送付いたしますので、御確認いただきますようよろしくお願いいたします。
本日は御審議のほどよろしくお願いいたします。
○熊谷委員長 熊谷でございます。
御説明ありがとうございました。
それでは、ここで質疑を受け付けたいと思います。オンラインで御参加の委員は、チャットメールに「挙手」と入力していただきまして、送信アイコンをクリックしてください。
それから、本日は進行上の都合により、挙手していただいた委員に御質問や御意見をいただき、休憩時間の後に各省庁から回答をいただきたいと思っております。
委員からの御発言の際はお名前をおっしゃってから、省庁からの御回答は省庁名・所属部署・氏名を述べてから、御発言をお願いいたします。またその際にはマイクに近づいてゆっくり分かりやすく御発言いただくこと、最初に結論を述べていただきまして、その後、できる限り簡潔にその理由や説明をしていただければと思っております。情報保障の質を高めるためでもこちらは重要になってきますので、御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。限られた時間内でなるべく多くの方の御意見を伺いたいとも思っておりますので、その点からも是非簡潔に御発言をいただければと思っておりますので、御協力をお願いいたします。
それでは、御質問・御意見のある方は挙手をお願いいたします。しばらく手を挙げ続けていただければと思います。事務局で確認をお願いいたします。もう少々手を挙げておいていただければと思います。
ありがとうございました。手を下ろしていただければと思います。
それでは、まず石橋委員から御発言をお願いいたします。
○石橋委員 全日本ろうあ連盟の石橋です。
意見は当日資料で配付されているとおりですが、3つ追加意見を申し上げたいと思います。
まず文科省について。159ページの8-(1)-5、スクールカウンセラーについての説明が記載されています。特別支援学校についても含めて書かれていますが、実績値は地域の学校の集計値になっていると思います。特にきこえない子どもに対してのスクールカウンセラーは手話言語でコミュニケーションが取れる専門的な人材を配置することがとても重要だと考えています。スクールカウンセラーの皆さんは、手話言語ができない方が多いのです。実際に手話言語で会話ができるスクールカウンセラーを配置できているところの数値があるのでしたら、是非教えてください。
また特別支援学校だけではなく、地域の学校、小中学校や高等学校も含めてですけれども、実際、聞こえない当事者の子どもたちが地域の学校に通っています。そういう子どもたちがいる環境できこえない子どもに対応できるスクールカウンセラーがきちんと整えられているかどうかをお聞きしたいと思います。
2つ目に国際協力の関係です。ページはちょっと失念しておりますけれども、最近、障害者の国際参加が以前に比べてかなり広がっております。参加する機会が拡大していることはとても喜ばしいことだと思います。しかし、情報保障の環境整備が全く進んでいない問題があります。参加はできる、しかし参加する場所で情報保障がないという現状です。本来、外務省の関係者が合理的配慮という観点を持つのであれば、外務省が当然情報保障の環境を整備する責任があると思います。現状では全く進んでいないので、私たちが自分たちで情報保障者を手配し、連れていくという現状になっています。これで合理的配慮と言えるのでしょうか。それに疑問を持っております。
最後、3つ目は参考資料の中の法務省に関して、回答が載っておりますけれども、裁判は刑事裁判、民事裁判があります。刑事裁判については、司法の情報保障がきちんと保障されていることは理解しております。しかし、民事裁判で必要な情報保障は、被告・原告のきこえない当事者だけでなく、裁判長も必要なわけです。ところが、民事裁判の場合には、裁判所関係の法律では、きこえない当事者が自ら手話通訳を連れていくというきまりになっています。当事者が自分のために手話通訳を連れていく、裁判長は当事者が連れていった手話通訳者の恩恵にあずかっているだけです。この現状において合理的配慮が進んでいるのかどうか、情報アクセシビリティが進んでいるのか非常に大きな疑問を持っております。その辺りについて法務省のお考えを伺いたいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 熊谷です。
ありがとうございました。
続いて、オンラインから臼井専門委員、お願いいたします。
○臼井専門委員 臼井です。
総括所見との関連で統計について、2つの質問に続けて1点の意見を述べます。
質問の1つは、障害に関する質問項目を国勢調査に是非加えていただきたいです。御見解はいかがでしょうか。
補足として、第23回政策委員会で統計の専門家から提言がありました。「他の者との平等」の状況を監視するには、大半の国で行われているように、国勢調査に障害に関する質問項目を加えることが不可欠で、そうできるように準備をという内容でした。その後、日本でも国民生活基礎調査などに障害に関する質問項目が入れられるという進捗がありましたが、これらは国勢調査の代わりにはなりません。やはり、権利条約の第31条と総括所見を受けて、国勢調査に加えることが必要と考えます。
2つ目の質問です。特別支援学校以外の教育機関に学ぶ障害者の人数や性別が把握されていないという現状に対しては、どうお考えでしょうか。
補足ですが、例えば特別支援学級は学校基本調査にありますが、性別が調査されていません。また、通常学級の障害のある児童生徒は学校基本調査の対象外です。大学などは日本学生支援機構の調査がありますが、これらは性別の調査がありません。そのように人数や性別がほぼ把握されていません。
3つ目は意見です。現状は、障害者雇用促進法の下で雇用されている障害者の性別による違いのあるなしも分析できません。それで先日、障害者雇用促進法に基づく毎年の政府統計に性別に関する項目を加える案について尋ねたところ、障害者の雇用を義務づける法律であり、性別は無関係だからできないという御返答でした。これでいいのかという疑問がありますが、一方、男女雇用機会均等法の視野に障害のある人が入っているかというと、現状は記述が見られないです。障害者雇用において性別は無関係とされ、性別と雇用に関わる法律の視野にもないという交差性の穴に、障害のある女性などは落ちたままです。複合的・交差的差別に関する継続した審議をお願いしたいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 熊谷でございます。
ありがとうございました。
続きまして、会場から安部井委員、お願いいたします。
○安部井委員 全国重症心身障害児(者)を守る会の安部井でございます。ありがとうございます。
現在、医療・福祉・教育などの各分野で各府省庁が連携して施策の充実を図っていただいておりますことに、大変心強く感謝しております。
「8.教育の振興」に関して3点発言させていただきます。
まず1点目、160ページ、8-(1)-7、医療的ケアが必要な児童生徒の学校生活や学習に支障がないよう、毎年看護師配置への補助金を増額していただいておりますことに大変感謝しております。ありがとうございます。諸外国では、様々理由によって就学が困難である国があると聞いております。日本では障害があることで教育が受けられないことはなく、どんなに障害が重い子供でも就学できていることで教育の保障がされており、ここ数年は、本人・保護者の意向が尊重され、学びの場が選択できるようになってきております。就学相談の結果、特別支援教育の場を求めた場合でも、障害がない子供とともに学べるインクルーシブな環境整備にも着手されており、これからの展開に期待を寄せています。そのような中、地域の小中学校においては看護師配置により医療的ケアを必要とする児童生徒の在籍数が増えています。また地方自治体の主体的な取組によって、医療的ケアを必要とする児童生徒が地域においても校外学習も含めて幅広い支援を受けられるようになってまいりました。特別支援学校では高度な医療を必要とする児童生徒が増えておりますが、安全・安心な医療的ケアの実施体制を充実させるよう努力してくださっていることにも感謝しております。現在の特別支援教育を維持しつつ、これからも本人・保護者の希望に沿って学校が選択できるように願っております。
2つ目、165ページ、8-(2)-5、学校は災害発生時の避難所としての役割を担うことが多く、バリアフリー化が進められておりますが、冷暖房への対応や電源確保についての取組も考慮されているのか教えてください。
3つ目、173ページ、8-(4)-5、生涯学習の推進に努めていただき感謝しております。項目の内容に「訪問支援を含む多様な学習活動」とありますが、生涯学習の機会の1つとして訪問型の生涯学習がどの程度進んでいるのかを教えてください。そして厚労省から来年度予算の概算要求に特別支援学校卒業後における生活介護利用モデルの作成事業が立てられておりますが、文部科学省と厚生労働省の連携がありましたら教えてください。
すみません、もう一点、「10.文化芸術活動・スポーツ等の振興」について、212ページ、10-(2)-1、障害者スポーツが推進され、eスポーツは各所で開催されるようになってきております。しかし、座位未満の重症心身障害児者が会場参加できるスポーツは限られた種目しかないのが現状です。座位未満の重症心身障害児者が体験・参加できるスポーツを開発していただければと思っておりますが、そのような動きはありますでしょうか。教えてください。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、オンライン参加の曽根委員、お願いいたします。
○曽根委員 曽根です。
私は文化芸術活動の211ページ、10-(1)-9について質問させていただきます。来年に迫った大阪万国博覧会において「文化芸術による共生社会の実現に向けた我が国の取組を発信する」という目標が立てられていると思いますけれども、具体的に万博の中でどのような発信をするのか、もし教えていただけることがあれば御回答いただけたらと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、会場参加の田中委員、お願いいたします。
○田中委員 日本視覚障害者団体連合の田中でございます。
私からは2点申し上げたいと思います。
まず1点目は文科省への御質問でございます。8の「(2)教育環境の整備」についてです。通常学校における障害当事者の教員の数をもし把握されているようでしたら御開示いただきたいと思います。質問の趣旨ですけれども、インクルーシブ教育を進める上では、やはり教職員や生徒の理解を進めていくことが前提になろうかと思います。これを進めるに当たりましては、研修や事業だけではなくて、実際に障害のある教職員が教鞭を執ることも1つの大きな環境の整備につながっていくのではないかと思っております。したがいまして、障害当事者の教員の採用・配置を進めていただきたいという希望もありますので、もしその数をお持ちでしたら御教示をお願いしたいと思います。
2点目は意見になります。11の「(1)国際社会に向けた情報発信の推進等」関係です。前回の障害者政策委員会でも三原大臣が出席されまして、イタリアで開催されましたインクルージョンと障害閣僚級会合の御報告をくださいました。ここでは会合に実際参加されました三原大臣のほうで、本年7月3日の最高裁大法廷判決を受けて、障害者に対する偏見や差別のない共生社会実現に向けた対策推進本部を設置して、政府一体として取り組んでいることを強調していただき、10月16日に採択されました憲章においてもその発言内容に関連する文言が挿入されたという大きな成果を上げております。このような流れを世界的にも継続させていくために、来年6月10日から開催されます締約国会議に向けて、サイドイベント等の開催を含めて対応を検討していただきたいと考えています。この点について是非外務省に検討いただきたいという意見を申し上げたいと思っております。
私からは以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、オンラインから玉木委員、お願いいたします。
○玉木委員 ありがとうございます。聞こえますでしょうか。
○熊谷委員長 聞こえております。
○玉木委員 リモートなので少しゆっくりとしゃべりたいと思います。質問が1つと意見が1つあります。
質問としては8-(1)-3、「『社会モデル』の考え方を踏まえ、学校の教育活動全体を通じた障害に対する理解の促進や、異なる学校間の取組に当たっての体制整備を含む交流及び共同学習の事例や在り方等に関する情報収集や周知を行うことで、一層の推進を図り、障害の有無等にかかわらず互いを尊重し合いながら協働する社会を目指す」と書いてあるのですけれども、その中で気になったことは、取組状況に「学校における交流及び共同学習を通じた障害者理解(心のバリアフリー)の推進に関する教育委員会等の好事例を取りまとめた広報資料を作成して教育委員会等に周知した」と書かれていますが、再度お伺いしたいのが、文部科学省がおっしゃっているインクルーシブ教育システムが何を指しているかということをもう一度教えていただきたい。その上で、例えば交流及び共同学習は多分これまでも1つの行事にすぎなくて、連続性や継続性という観点はちょっと弱いのかなと考えています。さらに障害者理解を心のバリアフリーとしているところも、総括所見で指摘されているまさに父権主義、パターナリズムに当たるのではないかと考えます。障害者理解は人権の話であって、決して優しさや思いやりだけで捉えるものではないと思っています。ある県の教職員の方の研修の中で文科省が言われている心のバリアフリーノートを使っている先生はどれくらいいますかと聞いたところ、ほぼ使っていないと言われたので、ちょっと気になって質問しています。
次は意見です。政策委員会においてインクルーシブ教育システムの議論の際には必ずと言っていいほど特別支援教育課が回答されているのですが、それは本当に充分な対応であったか、やはり疑問が残ります。特別支援教育課が回答されると、中心は障害がある子供たちの支援に集中してしまっていると思います。例えば今年関西の報道などで、これが真実かどうかはちょっと疑問も残るところですが、大阪市の公立小学校の児童のうち、現在10%は外国籍の子供たちがいて、約200人の通訳ボランティアが授業の支援を行っていると伝えていました。少なくとも日本の初等中等教育を受けるに当たっては、障害のある子供たちに限らず、様々な生きづらさを感じている子供たちがいて、当たり前の学校生活を送っていくためにも様々な支援を必要としている子供たちが、私たちが気づいていないだけでたくさんいることだと思っています。よってインクルーシブ教育システムの議論の際には、当然初等中等教育企画課をはじめとする学校教育を司る課が責任を持って出席していただいて、責任ある回答を求めていきたいと思っています。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、会場から大塚委員、お願いいたします。
○大塚委員 ありがとうございます。日本発達障害ネットワークの大塚です。
文部科学省に2つ意見を述べたいと思います。
157ページの8-(1)-1、個別の教育支援計画に関することであります。令和4年12月の文部科学省の「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」によれば、知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示す小中学生は8.8%とされております。しかし、この人たちに個別の教育支援計画を作成しているかという質問については、作成しているが18.1%、作成していないが79.7%です。通常の学級に在籍する障害ある児童生徒に個別の教育支援計画を作成あるいは活用というのは努めることとされていますが、8.8%、それも著しい困難を示すということを考えれば、合理的配慮としての個別の教育支援計画を作成することはもっともっと必要だと考えております。多くの発達障害の可能性のある児童生徒が障害のない児童生徒とともにまさに学んでおります。この形を推進していくために、もっと広めていくためにも是非個別の教育支援計画を始めとする合理的配慮をお願いしたいと思います。
もう一点です。161ページの8-(1)-9、通級指導教室についてであります。発達障害のある児童生徒にとっては、通級指導教室の充実が期待されています。通級指導教室の基礎定数化を評価するものです。2026年度には児童生徒13人につき1人の教員が算定されるとされております。また増加する対象児童生徒数の状況に応じて、計画的に教員数を増加する必要があるとも述べられております。これはよいのですけれども、これだけ通級指導教室を利用する方が増えている中において、13人につき1人はやはり非常に限界があると思っています。抜本的な対策が必要だと思っております。また通級教室の教員については特別支援学校の教諭免状を持たない人も多く、そもそも教員不足という非常に大きな難題もあります。こういうことも含めて通級による指導に関する専門性が高まるための施策を進めていただきたいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、オンラインから岡田委員、お願いいたします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。すみません、私は二度挙手を送ってしまったかもしれませんが、1回で大丈夫です。
私からは質問が1点と意見が1点ございます。
まず質問についてですが、資料1-1の168ページ、8-(3)-2の実施状況の欄に、障害のある学生の相談受付窓口を設置している大学等と障害のある学生支援担当部署を設置している大学等で、先ほど約9割に設置されていると伺いました。このことを是非100%に向けて推進していただきたいということに加えまして、窓口の利用率、利用状況について把握されているかどうか、もし把握されているようでしたらおおよその利用状況を教えていただけたらと思います。10代20代は精神疾患の発症率が高い時期に当たります。精神疾患、精神障害は理解と対応についての課題が多いという実情の中で、教育機関での適切な対応、特に初期対応体制の充実は大変重要な視点と考えています。窓口担当部署の設置とともにその活用状況について分かる範囲で教えていただけたらと思います。
意見としましては、資料1-1、219ページ、最後のページの最後の項目になります。「精神障害を離婚事由とする規定の民法第770条第1項第4号含め、障害者に対して差別的な条項を廃止すること」の取組状況として、この部分を「削除することを含む民法等の一部を改正する法律案」の成立という記述がございます。このような法律上の差別的な記述に対応していただけたことは、精神障害者の人権の回復また偏見・差別の解消にもつながる大変適切な対応として評価させていただきたいと思います。今後は障害あるいは障害者として一括りにして人権を制限するような記述について、法律はもちろんですが、各自治体の条例等にそのような記述が残っていないかどうか改めて点検していく必要があるのではないかと考えております。御検討よろしくお願いいたします。
以上になります。ありがとうございました。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
再度のリマインドになりますが、オンラインで参加の委員の皆様におかれましては、発言の際、挙手ボタンではなく、メッセージに「挙手」と記載して挙手の意向を表していただければと思います。
続きまして、会場から安藤委員、お願いいたします。
○安藤信哉委員 全国脊髄損傷者連合会の安藤です。
古屋さん、御説明いただきましてありがとうございます。
まず私からは1つ意見を述べさせていただきます。今回の御説明いただいた内容を聞いていると、教育分野では何となく学業での配慮は認める、するけれども、福祉的な配慮が足りないなという感じがするのです。なので次回の計画策定のときにはもう少し福祉的な分野の配慮を記載していただきたいと思っています。例えば私のような重度の障害者の場合、板書とかそういった教育的なサポートだけではなくて、洋服を着せてもらったり、寒かったら上着を着たり、御飯を食べたり、急にトイレに行きたくなったりといったこともあるので、そうしたことの対応をどうしていくかということも少しイメージしていただきたいなと思っています。またこれはもうずっと私たちの団体からもお願いしているところなのですが、地域生活支援促進事業の中で重度訪問介護利用者の大学就学支援事業ができています。こうしたことも盛り込んで計画を考えていただきたい。またこれだけではなくて、こうした就学支援特別事業とか就労支援特別事業を利用している障害当事者は重度訪問介護利用者なのです。そうした合理的配慮を少し超えているようなところにいる障害のある人たちがいかに就労参加できるか、就学できるか、そうしたことを文科省だからとか、厚生労働省の障対課だからとか、障害福祉課だからとか、縦割りではなくてもう少しそこに横断的に考えをまとめたような形で内閣府さんではやっていただきたい。そこにもう少しビジョンを持っていただいて、私たちのように重度な障害者も納税主体になるのだと。熊谷先生みたいに立派な大人になりなさいと障害者の頃から親御さんたちが言えるような、ああいうふうにしっかり勉強しなさい、大学に行けるのだからというふうなことが言えるような社会にビジョンを持って政策を作っていただきたいなと思います。よろしくお願いします。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。私自身も職場で介助者をつけることには苦労しているので、大変重要な御意見だなと思いました。ありがとうございます。
続きまして、オンラインから北川委員、お願いいたします。
○北川委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会、北川です。
私は157ページのインクルーシブの8-(1)-4のところで、これまでは特別支援学校が地域から離れていることが多くて、地域で一緒に学んだり遊んだりすることができない障害のある子どもたちがいたので、特別支援学校と小中高等学校を一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデルが令和6年度から開始に向けた準備を進めたことはとてもよいことだと思います。一緒に教育を受ける状況と柔軟な教育課程及び指導体制の在り方についての実証的な研究を行う事業の検討についても記載されていますが、これに加えて、これは場の統合という形だと思うのですけれども、やはり場の統合だけでは子どもたちの中で障害のある子どもとない子どもの理解がなかなか進まないと思います。実際私たちの子どもたちが通常学級に行ったときに、違いについてからかわれたり、いじめの対象になることもまだ少なくありません。三原大臣がイタリアに行かれましたけれども、イタリアでも進めているように、同じクラスの中でクラス全体の先生や、それから一人一人の障害のある子どもに個別支援計画がしっかり立てられて、指導が受けられて、そしてかつそれぞれの違いを理解し合うための職員、合理的配慮を推進するような職員があって、インクルーシブ教育が本当に成り立つのではないかと思います。同じクラスメイトとして、大人である教師や校長先生が大事なクラスの子ども、学校の同じ子どもだという在り方が今後非常に重要だと思います。
それと教育の保障では、特別支援の教育の経験はいいことだと思いますけれども、いろいろな子どもがいて、一緒の授業の在り方についても今後教師の育成の教育課程の中でカリキュラムなども必要となるのではないかと思います。その際、子どもの権利、アドボカシー、それぞれ違っていい、それぞれ意見を言ってもいいということがベースになるのではないかと思います。
また同じところなのですけれども、就学先決定の場合、私も幼児から学齢期に移行のところの親子の支援をしているのですけれども、教育委員会などの意見と違った選択をした場合に、これでいいのだろうかと親御さんがとても悩みます。しかし、違った場合でもできるだけ親子を応援していくというか、リスペクトしていただければ、お母さんたちも子どもと一緒に新しい就学先で頑張っていけるのではないかと思いました。
あとは167ページの8-(3)-1ですが、私の経験でも、小中よりも大学において障害学生支援の推進については検討会などが開かれたためか、情報・コミュニケーションの配慮、就学のための支援が整っていて、一番安心して学校生活を送れたということも経験上ありましたので、これは是非今後も100%にして推進していってほしいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、会場から佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会の佐々木でございます。
2つの意見と4つの質問をさせていただきます。
まず意見ですけれども、157ページ、8-(1)-1の3つ目の白丸にある特別支援学校と小中高等学校を一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデル事業を今年度より行っていただいていますけれども、今後その成果とか課題を各関係者へ報告するような機会を持っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
2つ目ですけれども、いろいろなところに教育・福祉・医療・労働分野等の関係部局との連携という記載があります。文部科学省でいろいろな仕組みをつくっていただいて大変感謝しているところなのですけれども、現場ではその取組がなかなかうまく実施されてないと感じております。特に162ページの8-(1)-12の1つ目の丸の個別の教育支援計画については4分野が連携を図りと記載されているのですけれども、やはりどうしても課題のある児童生徒に関しては支援会議を行って丁寧に学校・家族、それから放課後デイなどの福祉の関係者と計画相談の相談員が集まって、その子供の支援の方針などを確認していると聞いているのですけれども、子供たちの数が増えているので全部が全部個別支援会議をやるのは無理だと思うのですけれども、特に課題のない児童生徒については福祉の事業所などに個別の教育支援計画自体が渡されていない、つまり情報共有がされていないケースが結構多いと聞きました。加えて取組の報告の中にトライアングルプロジェクトに関する記述が見当たりません。家庭との連携は子供時代大変重要でもありますので、記載があってもいいでしょうし、今、どんな取組がされているのかちょっとお聞きしたいと思います。
日頃より連携が図れていないと、就学とか進学、就労する場合に本当に本人の状況が確実に引き継がれていくのかと、ちょっと親からすると心配があります。これは文部科学省の問題ではなくて各自治体の問題ですので、もう個別の教育支援計画を作成するようになってかなりの年月が経っておりますけれども、毎年毎年各自治体にちゃんと福祉と教育と家庭と就労先、企業など労働の関係と医療と連携を図るように是非推進していただきたいと思います。
それから、質問です。特別支援学校教諭免許状の記載がありますけれども、特別支援学級の先生方の取得率がもし分かりましたら教えてください。
それと特別支援教育に関わる教員の研修は極めて重要だと思うのですけれども、カリキュラムの中に障害の社会モデルとか障害の人権モデルなどが含まれているかどうかも教えてください。
最後に、210ページの10-(1)-6の読書バリアフリー法の対象には知的・発達障害者も入ると私どもは理解しておりますけれども、図書館における知的・発達障害者の読書をサポートする代読ボランティアの養成状況がもし分かりましたら教えてください。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
続きまして、オンラインから宮本専門委員、お願いいたします。
○宮本専門委員 ありがとうございます。全難聴の宮本です。
教育・文化芸術・国際社会、3つの分野それぞれに意見を述べさせていただきます。
8、教育の分野では、聾学校など特別支援学級による教育支援は充実してきていると感じています。しかし、通常学級に通う難聴児は、十分な情報保障を得られていない状況があります。要約筆記や字幕、補聴システムを全ての教育現場で利用可能にしていただきたいです。また生涯学習など成人聴覚障害者向けの学習機会も必然的に情報保障を付け、スキルアップ研修などより多くの人が学ぶ機会を得られるようにと思います。
10、文化芸術活動についてです。文化芸術においては、聴覚障害者が鑑賞できるイベントや作品発表の場は一部にとどまっています。全ての公共文化施設の映像には字幕、芸能にも情報保障を付けることで、より多くの聴覚障害者が楽しめる環境整備をしてほしいと思います。近年外国人観光客用に外国語の字幕は増えていると思いますが、日本語表記はなかなか増えていない現状があります。
「11.国際社会での協力・連携推進」ですが、これは4つあります。
1つ目は、現在の聴覚障害者に対する障害認定基準では、中等度や軽度の難聴者に対する福祉が十分ではなく、多くの人が支援を受けられない状況にあります。認定基準を国際的な水準であるWHOが提案する障害基準に基づき、国内の障害者手帳基準を見直す必要があると考えます。他国の成功事例を学び、積極的に取り入れることで、国内施策に反映させる議論を是非進めていただきたいと思います。
2つ目は、アジアの発展途上国における難聴者支援活動を拡大し、現地の難聴者が適切な支援を受けられるようにしてください。現在、アジア圏で国に認められた難聴者団体はネパールとフィリピンに限られており、ほかの多くの国では難聴者団体が存在しないか、脆弱なため、要望を国に提出することが難しい状況にあります。そのためアジアの多くの難聴者が十分な支援を受けられていません。
3つ目は国際会議への参加促進で、G7やグローバル障害者サミットなどの国際会議やフォーラムへの難聴者の参加を促進し、日本国内の当事者が国際的な議論や発言の場に積極的に参加できるようにお願いいたします。
最後です。10月29日の第81回政策委員会にG7報告の文書が出されました。同時期に女性差別撤廃委員会CEDAWからの総括所見もありまして、直接行った方からのお願いを申し上げます。女性差別撤廃委員会から日本に対して、10月30日に出された総括所見について簡単に情報提供します。交差性差別に対応する法改正、司法アクセス、暴力被害者への支援、包括的性教育、雇用におけるハラスメントなど、障害のある女性に関わる具体的で強い勧告が出されています。今後審議していく際に念頭に置いていただきたく思いますということです。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
まだ御質問や御意見がおありの委員が何名かいらっしゃいますが、一度5分間の休憩を挟んでから引き続き質疑をお受けしたいと思います。これから5分間、16時10分まで休憩を入れたいと思います。10分になりましたら再開いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(休憩)
○熊谷委員長 それでは、時間になりましたので再開したいと思います。よろしいでしょうか。
では、会場御参加の福田委員、御意見をお願いいたします。
○福田委員 全国盲ろう者協会の福田です。
まず教育に関してです。先ほど少し出たのですけれども、まず学校内でも学校の外でも盲ろう障害の場合は、情報への保障のほかにも移動に関しても保障が必要になります。家から小中高大学を通してまで特に通学の場面で、また、学内での移動に関しても、全てにおいて移動に関して困難さを感じ、途中で学校に通うことを諦める、教室へ移動することを諦めるという状況もあります。授業内でのコミュニケーションや情報保障など、読み書きや聞くことに関して焦点が置かれがちですけれども、基本的に移動することへの支援が必要です。こちらは重度障害で移動支援が必要な人と同様に、盲ろうの、小・中・高・大学に、就学している場合も同時に必要であります。重度訪問介護を利用している重度障害のある学生の問題が出ていましたが、盲ろう児者に関しても似たようなニーズがあり、そちらへの支援に関してアシスタントが必要であることはどちらにも明記がないので、意見として上げておきたいかと思います。
私自身も大学の教員として働いていますけれども、大学の教員として、また在宅で働く場面でも、一般的な手話通訳派遣とは違うニーズがあります。盲ろう障害があって仕事をするために必要な、「家から職場まで」、「職場から家に帰るまで」の支援を現時点では雇用者である大学側が負担することで、私を雇用することができています。別の意味で言うと、雇用の場が非常に限られている。盲ろう者に対して送迎などを含む支援が費用負担が可能な雇用主でなければ雇用することができない。盲ろう者、私どもにとってはそういう職場がどこにでもあるかというとそうではありませんので、学校という現場においての就労、働く側としても非常に就労の場が限られているということも1つ述べておきたいことであります。
また学校の場というところで、私自身が働いているということもあるので、女性としての視点をやはり少し述べたいかなと思っております。ものすごくクロスカッティングなイシューなだけに、教育というところで述べていいかどうか迷うところではありますけれども、学校という場でも、仕事を行う上においては、女性であると体の中に男性と違って子宮がありまして、どうしても月一の生理が来ます。通訳介助者は派遣されていますが、身体介助は通訳介助者は行うことができません。つまり、例えば朝、重度訪問のヘルパーが生理用のナプキンを交換したら、夜、帰宅するまで交換することができません。そのために膀胱炎を繰り返しております。膀胱炎を防ぐことすらできません。ほかの人の例ですが、車椅子を使って働いている、働きたい障害女性がいます。ナプキンの交換などが自分自身ではできないので、仕方ないから生理を止めるために、婦人科に通ってピルを処方してもらいたいと希望しているのですが、ピルは血栓ができやすくなるので車椅子使用だと処方されないということがあります。血栓ができるリスクを取ることもなかなか難しい。でも、もちろん、働きたい、働き続けたい、学校現場でも働き続けたい、スクールカウンセラーとしても働き続けたい、そうやってロールモデルとして学校現場にいたい、そのようななので、現在承認されている新薬で、生理自体を止めることができる薬があります。ただ、その薬を処方してもらうためには、本来ないはずの病名をつけてもらわなければいけません。そのような、本来は不必要な処方薬の服用など、体に負担を強いて学校現場で働き続けたい、もしくはこれは学校現場には限らないのですけれども、重度の障害を持つ女性として働いて、ちゃんとみんなと同じようにパフォーマンスすることができるためには、そのような障害のある女性だから体に負担が起きるようなことをしなければならない現実があることもどこかで述べておかなければならないと常々思っていました。
あと国際関係に関して1つあります。先ほどちょっとありましたが、盲ろうという固有の障害が認定されている国は非常に少ない。特にアジアでは少ない。また盲ろうという固有の障害に対して通訳介助、音と移動を助ける制度がある国は日本だけです。盲ろう者向けの制度としてある国はアジアでは、日本だけです。そのためにアジア地域では日本がリーダーシップを持って、ネットワークをつくって、さらに高め合いながら世界の盲ろう者の自立・社会参加を進めていくための連携を取る役割を持っています。そのためには、例えばですけれども、様々な国際活動のために海外に向かいます。通訳介助者ほか交代などももちろん必要ですので、どうしても4名、私を含めると5名、私は身体介護もありますので最低6名から7名、それが当然の大人数になります。それを保障していくためにどのようなことができるかという議論がどこかであってもいいのか、置いていかれないため、どんな障害、どんな状況にあっても皆さんと一緒に活動する、国際的な場面でもグローバルな場面でも活動ができるように整えていく、日本がリーダーシップを取っている状況がありますので、なおさら日本の障害のある盲ろう者や重度障害者の役割は非常に大きいと感じております。そのことを1つどこかで意見として申し上げたいと思っておりました。
以上になります。
○熊谷委員長 どうもありがとうございました。大変重要な御意見をいただきました。
それでは、リマインドですが、なるべく簡潔に御意見をまとめていただければと思います。
オンラインから米山委員、お願いいたします。
○米山委員 米山です。ありがとうございます。聞こえていますでしょうか。
○熊谷委員長 聞こえております。
○米山委員 全国児童発達支援協議会の米山です。よろしくお願いします。
私は手短に5点お聞きしたいことと意見がございます。
1つは先ほど大塚委員、佐々木委員からもありましたけれども、学校での個別支援計画、個別指導計画が通常学級などでまだまだできていないこともあるのと、教育の個別支援計画を立てるに当たって、文科省でも福祉あるいは医療との連携等書いてありますが、先ほど佐々木委員もありましたトライアングルプロジェクトがまだ動いていると思うのですが、それが実際どれくらい実施されているかという現状のデータがありましたら是非教えていただきたいと思います。実際には文科省の統計報告もありますように、特別支援学校も含めて不登校児が増えています。支援学校だけでなく、これはもう放課後デイサービス等含めて福祉との連携あるいは医療との連携が必要だと思いますので、是非連携を進めていただければと思います。
さらに私自身は小児科医ですけれども、トライアングルプロジェクトは家庭と福祉と教育ということになっていますが、やはり医療の情報もかなり必要になってきていると思いますので、トライアングルプラス医療も入れていただければと思っています。
その次に連携についてですけれども、7-(4)-2、3、4、6辺りにありますが、1つは地域で巡回支援専門員が訪問して、そういったアドバイスも行うという制度、あと児童福祉法の障害児相談支援がありますが、そこが自治体によってかなりばらばらに動いているところもあると思います。そこはむしろ連携が少ないように感じていますので、もしその辺りで両方の制度を使った連携があるようでしたら、それも一度報告いただけたらと思います。
それから、147ページの7-(4)-8にあります子供の意見表明・意見形成支援は障害児においてどんどん進めていただいていてありがとうございます。これを障害者、大人はもちろんですけれども、子供の分野においても是非進めていただきたいと思います。
もう一つは165ページの8-(2)-5にあります学校での環境整備ですけれども、今、多様性の時代ということでいわゆる性のこと、LGBTQ+の方々への例えばトイレの配慮だとか、そういったことの好事例等がありましたら是非御報告いただきたいと思います。
最後ですけれども、7-(4)-4にございますいろいろな障害児のショートステイ、短期入所、一時預かりもですけれども、このところ悲惨な事故・事件がございました。医療的ケア児は、主に小児科ですけれども、今、一般の病院の病床を利用できるようになっていると思いますが、もう一方で虐待死検死を見ますと、障害児虐待の子供たちの4歳以降は発達障害の診断名がついている方たちが多くいらっしゃいます。それを考えると、やはり福祉の領域でのショートステイも是非進めていただけるとありがたいと思います。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
引き続き、オンラインから小枝委員、お願いいたします。
○小枝委員 発言させていただきありがとうございます。鳥取県立総合療育センターの小枝と申します。
文部科学省に3つお尋ねさせてください。
1つは障害者スポーツです。最近障害者スポーツが盛んになりまして、子供たちが非常に楽しんで練習なんかに取り組んでいるところです。本当にありがとうございます。その練習に参加したり、あるいは大会に出たりするときの責任の所在がどこにあるのかということが少し分かりづらくて、連れていった保護者にあるのか、あるいはその子たちが在籍している学校にあるのか、あるいは競技を主催している団体にあるのか、こういったところを少しお尋ねしたいと思います。2つ目は、競技とかで遠征すると、どうしても競技でのけがに加えて、病気とかをしがちであります。そのときの保険がまだまだ十分対応していない感じがしておりまして、あの子たちが安心して競技に参加できるような体制をつくっていただきたいと思って質問させていただきました。
3点目は158ページの8-(1)-4に双方向性の転学ができるようにということが書いてございます。これはインクルーシブ教育を進めていく上で非常にありがたいことだなと思っているのですが、まだ診断書を求める地域が多うございます。そうしますと、どうしても診断書を求めるための受診を待ったり、検査を待ったりということで医療機関への受診待機に拍車がかかってしまいますので、こういったインクルーシブ教育を推進するためにも就学支援委員会等での協議に診断書は不要であるといった通知を出していただけないかなと思っております。
以上3点、よろしくお願いいたします。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
それでは、オンラインから安藤真理子委員、お願いいたします。
○安藤真理子委員 発言の機会をいただきましてありがとうございます。茨城県土浦市長の安藤でございます。
全国市長会を代表しまして意見を述べさせていただきます。
第5次障害者基本計画の実施状況についてでございますが、都市自治体としても各分野における施策の推進に向けて引き続き努力しているところでございます。今回は「8.教育の進行」の中の「(1)インクルーシブ教育システムの推進」「(2)教育環境の整備」について申し上げたいと思います。
本市におきましても医療的ケアを必要とする児童生徒さんがいます。現状把握している以外にも多くの潜在的にケアが必要な方がまだいらっしゃると思っています。土浦市立小学校や保育園に通いたいお子さんのために学校や保育園に看護師の派遣をしております。しかしながら、その際業務をお願いできる訪問看護事業所の確保に苦慮しております。その理由として看護師不足、また個々の状況によって必要な医療が異なっているため、その医療に対応できる看護師を配置できるかどうかという事業所の判断もあり、派遣に至るまでに多くの時間を必要としております。これらの問題は根本的には全国的な看護師不足の問題があると思います。これは医療的ケアだけでなく、医療全体の問題であることは認識しております。現在は本市の児童生徒さんには本市が対応しておりますが、これはもう一自治体の問題ではなく、より広域的な取組が必要であると考えております。看護師が派遣できる市と派遣できない市で教育を受ける差があっては絶対にならないと思っています。そして看護師のみならず特別支援教育支援員、子に応じた指導をするための専門性を有した職員の確保、通級指導教室の新設などの教育環境整備、また入学に至る前からの支援を含め、取り組むべき課題が山積しております。このような実態を踏まえ、障害者の皆さんが教育を受ける前や受けるに当たっての各段階において必要とする事業が安定的に実施されるよう、国におかれましても体制の整備や各支援を充実していただくとともに、引き続き十分な財源の確保を行っていただくなど、御支援をどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
それでは、これより10分間の休憩に入りたいと思います。再開は16時40分からにしたいと思います。それでは、16時40分から再開いたします。オンラインで御参加の委員におかれましては、休憩中カメラをオフにしていただいて結構です。それでは、16時40分に再開いたします。
(休憩)
○熊谷委員長 それでは、時間になりましたので、再開したいと思います。
ここからは休憩前に委員から御発言のあった御質問、御意見について関係省庁から回答をお願いしたいと思います。多くの委員から多岐にわたる御意見、御質問をいただいております。
まず文部科学省から回答をお願いいたします。
○文部科学省 文部科学省特別支援教育課長をしております生方と申します。どうぞよろしくお願いします。
文部科学省の関係につきましては、多岐にわたって御質問いただきありがとうございました。それぞれの担当がこちらにも来てございますので、先生方からいただいた質問について、まず私が担当しているものからお答えします。ですからちょっと順番が前後するかもしれませんが、御容赦いただければと思います。
まず最初、石橋委員からの御質問でございます。スクールカウンセラーにつきまして、手話言語を使える者が配置されているのか、その状況についてということでございましたが、手話を使えるスクールカウンセラーの配置状況については把握してございません。スクールカウンセラーは基本的に心理の専門家でございますけれども、学校で手話言語を必要とするお子さんがいる場合には、手話を使える教員と連携して支援に当たるといったような状況が取られると認識しているところでございます。
続きまして、臼井先生の御質問でございますが、調査の関係でございます。まず特別支援学校以外の状況、人数や性別についてということでございましたけれども、特別支援学校以外、特別支援学級あるいは通級による指導を受けている子供たちの数は把握してございます。その一方で、通常の学級に在籍している子供たちは直接的に把握はしてございません。ただ一方で、学習面・行動面で困難を抱えている子供たちの数は令和4年に調査を行って、先ほど委員の方々からも出ておりました8.8%いるといったような状況を把握しているところでございます。また性別についても調査するべきではないかという御質問でございましたけれども、そこにつきましては障害のある児童生徒のそれぞれのプライバシーに配慮する必要もございますことから、慎重に検討する必要があろうと考えているところでございます。
続きまして、安部井先生、田中先生とございましたが、それは別の担当から回答させますので、玉木委員にお答えします。交流及び共同学習の取組状況とか、あとは交流及び共同学習を実施しているのだけれども連続性・継続性が弱いといったような御指摘がございました。これにつきましてはほかの委員からも出ておりましたように、障害のある子供と障害のない子供が継続的に学ぶ環境を整備するということで、今年度からインクルーシブな学校運営モデル事業を進めてございます。特別支援学校には、どうしても障害のある子供しか就学しておりません。ですからそれをもって分離教育と言われたりしますので、そこの部分につきましてはしっかりと障害のない子供たちと一緒に学ぶ環境を確保するために、特別支援学校と小中高等学校のいずれかの学校を一体的に運営して、ともに学ぶ環境整備を進めていこうという取組でございます。これはもう既に幾つかの自治体で先進的に取り組まれています。具体的には同じ校舎の中に特別支援学校と小学校が入っていたり、あるいは同じ敷地内に特別支援学校と高等学校が入っていて連携しているとか、あとは建物は少し離れているのですけれども連携しながらやっているといった形態があります。特別支援学校と小中学校の交流及び共同学習といいますと、年に数回の行事に呼ばれたり、参加したりということにとどまってしまいますので、そういったことではなくて、御指摘のように連続性・継続性をもっと強くするということで、一体的に運営していく形を研究していくということでございます。実際には柔軟な教育課程あるいは指導体制をしっかり研究して、一緒に学ぶ環境を進めていくものでございます。こういった取組をどんどん広げていきたいと考えているところでございます。
あとはそもそもインクルーシブ教育システムとは何かといったような御質問がございました。ここにつきましても、私どもとしては障害のある児童生徒の自立と社会参加を見据えまして、一人一人の教育的ニーズに的確に応える指導や必要な支援が行われますように、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場の整備を進めますとともに、いずれの場合においても障害のある子と障害のない子が可能な限りともに学ぶ環境整備を進めていくということでございます。
あともう一点が、我々特別支援教育課でこういった施策を立案していると特別支援教育に閉じてしまうので初等中等教育企画課なども巻き込んで検討するべきといったような御指摘がございましたけれども、そこについては同じ初中局内で関係課連携しながら一体的に進めていきたいと考えているところでございます。御理解をいただければと思います。
玉木委員からの御質問については以上でございます。
続いて、大塚委員からでございます。個別の教育支援計画についてでございます。先ほど少し御紹介させていただいた令和4年に公表した通常の学級に在籍する子供、学習面・行動面で著しい困難を抱える子供が8.8%いる。この8.8%のうち、努力義務ではありますが、個別の教育支援計画の策定状況が18.1%。これは低いではないかと。御指摘のとおりでございますが、これはあくまでも担任の見立てということで、学習面・行動面で困難を抱えている子供たちということでございますので、全ての子供がいわゆる発達障害の特性があるとか障害があるとは限らないということでございます。通常の学級の子供たちには個別の教育支援計画作成の義務化はしておらず、努力義務なのですが、別の調査で、通常の学級で学校や先生が、個別の教育支援計画を作って支援したほうがいいと判断した子供の策定状況を把握しており、直近の状況では82.6%となっています。ただ、これはいずれにしましても我々としては100%を目指したいと思っておりますので、大塚委員から御指摘がありましたように、通常の学級に特別な教育的支援を必要とする子供たちに対しても個別の教育支援計画の策定を進めていきたいと考えているところでございます。
あと通級による指導が13人に1人ということで、平成29年度から令和8年度まで通級による指導を受ける子が13人いれば機械的に教員を1人配置するという基礎定数化を進めているところでございます。大塚委員からそもそも13人は多いのではないかというところでございますが、今はまさに令和8年度まで、10年かけて改善を進めているところでございますので、13人に1人の基礎定数化が終わった暁には、次のフェーズとしてはそういったことも含めて検討を進めていきたいと考えているところでございます。
あとはやはり通級の担当教員の専門性ということ、当然初めて通級担任を持つということになりますと、いわゆる自立活動を行っているところでございますが、やはり専門性に課題があることも指摘されていますので、ここはしっかり底上げをしていきたい。特に私どものナショナルセンターであります特別支援教育総合研究所が神奈川県久里浜にございますので、そこでの指導者養成研修を通じて、あるいは先生方に参考となるコンテンツをしっかりと提供しながら専門性の向上に努めていきたいと考えているところでございます。
続きまして、北川先生から、先ほど御紹介させていただきましたインクルーシブな学校運営モデルだとちょっと場の統合だけではないかといったような御指摘がございました。イタリアのようにフルインクルーシブを進めるべきではないかということでございますが、我々としても通常の学級で学べる子はどんどん通常の学級で学べるように支援体制を努めていきたいと考えてございます。そのためには学校内、校長のリーダーシップの下に組織的な対応として、通常の学級に学ぶ子に対しては専門家からの支援ですとか、特別支援教育支援員といった介助員の配置あるいはICTの活用、合理的配慮の提供、そして先ほど来から出ています個別の教育支援計画・指導計画の作成・活用と、いわゆる学校内のリソースを通常の学級に傾けて、そこで学べるような環境整備をどんどん進めていきたいと考えています。
ただその一方で、やはり特別支援学校で学びたいというお子さんがいるのも事実でございます。実際にそれの裏づけとしては、ここ10年間で特別支援学校に在籍する子供たちが1.3倍増えているという状況もございますので、こちらのほうもしっかりと整備を進めながら、先ほど申し上げましたように、ただ特別支援学校だけになりますと、障害のない子供たちと学ぶ環境がやはり乏しいということがございますので、インクルーシブな学校運営モデルを通じて一体的に運営していくような取組を促進していきたいと考えてございますので、御理解をいただければと考えてございます。
あと就学先を決定するに当たっては、本人・保護者の意向を尊重するような仕組みになってございます。そのときに教育委員会は特別支援学校がいいと言ったにもかかわらず、実際の就学先が小学校になった際、親御さんが悩むのではないか、そこはしっかりフォローしてくださいということでございましたけれども、連続性ある多様な学びの場というのは、特別支援学校に就学したからといってそこで固定するのではなくて、日々状況も変化します、体制も変わりますので、そこは移動ができるような仕組みになっているということでございますので、仮に親御さんが悩むということであれば、小学校に入ったのだけれども特別支援学校への転学、逆もしかりで、特別支援学校に就学したのだけれども小学校へ転学ということも制度上可能にしていますし、そういったことを私どもも促進しているということでございます。
続いて、佐々木委員からでございますが、インクルーシブな学校運営モデルを御紹介いただきました、これの成果・課題について関係者に普及ということでございますが、来年度の概算要求、今、財政当局と折衝中でございますが、まさにこういった取組を全国に広めるべくシンポジウムを開催すべく普及啓発の経費を要求しているところでございますので、そういった経費が認められた暁にはしっかりと普及啓発を図っていきたいと考えてございます。
あとは個別の教育支援計画に当たっての教育・医療・福祉の連携ということ、関係機関と連携しないと支援計画は作成できませんので、ここはしっかりと連携を図っていきたいと考えています。トライアングルプロジェクトもそうなのですが、昨今の状況としましてはこども家庭庁ができましたということもありまして、こども家庭庁を司令塔として、こども家庭庁・文科省・厚労省連名課長通知「地域における教育と福祉の一層の連携等の推進について」を令和6年4月25日に発出してございます。詳細については割愛させていただきますが、福祉分野における教育との連携推進の取組ですとか、あるいは教育分野における福祉との連携推進の取組、この中に個別の教育支援計画もしっかり作ってねとうたっているということでございます。通知にとどまらず、地域の中でしっかり連携できるように促進を進めていきたいと考えているところでございます。
あとは特別支援学級の免許状の取得状況についてです。特別支援学級の免許状というものはございませんでして、免許状があるのは特別支援学校教諭免許状でございます。ただ、特別支援学級はやはり専門性を求められますので、我々としても特別支援学校の免許状を持っている者も配置いただくように各自治体にはお願いしていますが、令和5年度において、特別支援学校教諭免許状を持っている者が特別支援学級の担任を行っている状況は31%でございます。
教員養成課程での社会モデルについては別の者からこの後、回答させていただきたいと思います。
米山委員からも個別の教育支援計画について通常学級でできていないと、大塚委員の御指摘と同様でございますけれども、ここはしっかりと取組を進めていきたいと考えてございます。トライアングルプロジェクトはどのくらい動いているのかという定量的なデータは持ち合わせてございませんが、先ほど佐々木委員に御回答したように、連名通知を発出して、しっかり地域での取組も促していきたいと思ってございますので、御理解をいただければと思います。
あとはこども家庭庁との連携の中で教育と福祉との連携もうたってございますので、しっかり取組をしていきたい。
LGBTQのトイレとかの学校の設備の状況については別の者から回答させていただきます。
続いて、小枝委員からの障害スポーツの関係については別の者からこの後、回答させていただきますが、双方向での転学と連続性のある多様な学びの場を御紹介させていただきました。その際に自治体では診断書を求めるといったことがございました。文科省から通知を発出してほしいということでございましたけれども、文部科学省としてはそういった診断書を必要とするということは言ってございません。ただ、やはり自治体の中でも、学びの場を選択する上で就学支援委員会の中ではそういった診断書を求めているケースもあることは承知してございます。ただ、どうしてもここの部分は自治事務といったようなこともございますので、文科省から一律に診断書は要らないといった通知を発出することは困難と考えてございますので、御理解いただければと考えてございます。
特別支援教育課からは以上でございまして、この後、順次担当から御説明させていただきます。
○文部科学省 文部科学省総合教育政策局にございます障害者学習支援推進室、障害者の生涯学習を進める部署でございます。
何点か御質問いただきまして、ありがとうございました。順にお答えさせていただきます。
まず安部井委員から重度障害者の訪問型の生涯学習の進捗状況がどの程度進んでいるのか教えてほしいという御質問をいただきました。こちらは統計的なデータはございませんが、民間団体、当室で委託で行っております重度障害者・生涯学習ネットワークという団体がございます。そちらの登録団体としましては、令和4年度12件だったところが、令和6年度では16件ということで、若干ではございますけれども進捗が見られているところでございます。
また文部科学省と厚生労働省の連携があれば教えてほしいという御質問もいただきました。まだまだこれからではございますけれども、厚生労働省の知見といいましょうか、ネットワークを、我々としても一緒に障害者の学びの場をつくっていく上で、教育と福祉が連携をすることで、参加されている方の安心・安全な学習環境が整備できると思っておりますので、今は広報活動を中心に連携を進めているところですけれども、今後よりその連携を進めてまいりたいと考えてございます。
それから、田中委員から障害当事者の教員の数を教えてもらいたいというようなお話をいただきました。文部科学省としても障害のある方が教職員として活躍することは重要であり、障害のある人に対する理解を深め、共生社会に関する考えを広げ、深めるよい経験となるなど、子供たちにとっても大きな意義があると認識しております。このため平成31年に障害者活躍推進プランというプランを策定しておりまして、それ以降、雇用を促進してまいりました。こうした中で各自治体においても、採用だけでなく、入職後にわたる総合的な取組を通じて、学校現場における障害者の雇用を推進していると承知しておりまして、こちらは厚生労働省の調査になりますけれども、厚生労働省の調査によりますと、令和5年6月1日時点での全国の都道府県教育委員会における実雇用率は2.34%となっております。文部科学省としましては引き続き教職における障害者雇用の実態把握に努めるとともに、教育現場で活躍する障害のある教職員の勤務体制等の優れた取組事例の収集・発信などを通じまして、障害のある教職員の活躍推進に向けて取組を進めてまいりたいと思っております。また教員だけの数字は、現在、最新の数字を調査しているところでございますので、まとまりましたらまた追って御連絡させていただきたいと思います。
続きまして、佐々木委員から読書バリアフリーにおける代読ボランティアの養成状況についての御質問をいただきました。ボランティアの研修を行っている館数という実施状況については、令和2年度において調査したところ、679館というところが分かっているのですけれども、代読ボランティアに限った数字はこちらでは把握していないところでございます。
当方からは以上でございます。
○文部科学省 続きまして、文部科学省高等教育局学生支援課の奥井と申します。
私からは高等教育段階について3点回答させていただきます。
まず臼井委員から日本学生支援機構の調査で性別が把握されていないという御指摘をいただきました。先ほどの他の学校段階と同様になりますけれども、慎重な検討が必要となりますが、先生の問題意識につきましては日本学生支援機構にお伝えさせていただきたいと思います。
次に、岡田委員から障害のある学生の相談窓口の利用状況、利用率についてお尋ねがありました。利用状況については把握しておりません。一方で、障害のある学生の支援学生数は3万2002人おりますので、それ以上の相談が来ていると推測しております。
最後に御意見でございましたが、北川委員から大学での修学支援によって安心して学べたというお言葉をいただきました。これは大学現場にとって非常に励みになるお言葉だと思っております。ありがとうございます。
高等局からは以上でございます。
○文部科学省 続きまして、学校施設を担当しております文教施設企画・防災部、五十嵐から回答させていただきます。
1つになりますが、米山先生からいただきましたトイレの事例についてということで回答させていただきます。こちらは文科省でも様々な工夫を凝らした学校施設を情報収集した上で横展開を図っているところでございますけれども、そのうちの1つで、例えば奈良県の学校で設置しているところではあるのですが、性別に関係なく誰もが利用しやすい「だれでもトイレ」というものを設置しているところがございます。こちらはだれでもトイレと男子トイレ・女子トイレを1つのユニットにして、入り口を1つにまとめていることで、誰がどのトイレを使ったかが分からないように工夫しているという事例がございまして、このようなものをいろいろ紹介しているところです。
以上です。
○スポーツ庁 スポーツ庁健康スポーツ課障害者スポーツ振興室の小野と申します。
私からは2点御回答いたします。
まず1点目なのですけれども、安部井委員から重度障害の方が参加可能なスポーツについて開発される動きはあるかということで御質問いただきました。大きく2点回答がございまして、まず1点目としましては安部井委員も御存知のように、全国重症心身障害児(者)を守る会の方にも委員として入っていただきました「実態把握が十分でない障害種の方のスポーツ実施に関する現状把握調査」を行っておりまして、そちらの対象を昨年度については重度障害者を1つとして行っておりまして、その中で実態を把握をしておりました。例えばハンドサッカー、アーティスティックスイミング、ボッチャといったものが事例として挙がってきたところでございます。2点目になるのですけれども、今年度の動きとして重度障害の方向けのスポーツについて新たに開発するということで、実証事業として現在、動いている状況でございます。こちらについては年度が終わりましたら報告書をホームページに掲載して、今後、広報や周知もしていきたいと思っております。
次に2点目なのですけれども、小枝委員から御質問をいただきました。障害者スポーツの中で練習に参加するとか大会に参加する場合の責任がどこにあるのかということについて、こちらはそもそも障害の有無にかかわらずになるのですけれども、基本的に結論としては一概には言えないというのが回答になります。アクシデントの態様により判断が分かれると思っておりまして、例えば大会の途中に起きたアクシデントについて、明らかに大会運営者側の責任で起こったものであれば、当然大会運営者の責任になるかと思いますし、時と場合に応じての判断になるかと思います。
スポーツ庁からの回答は以上になります。
○文部科学省 すみません、1点宮本委員から聴覚障害者の関係で聾学校とか支援級は支援がなされる、通常の学級の子の情報保障について御指摘いただいておりました。今、御案内のとおり、各小中学校等におきましてはGIGAスクール構想ということで1人1台端末を整備してございます。ですからそういった端末の中で聴覚障害のある方に対する情報保障ということでしっかりと支援していきたい、当然合理的配慮の提供も併せて支援しているという状況でございますので、こういった取組をしっかり進めていきたいと考えているところでございます。
最後でございますが、会場に来ておらずオンラインで回答させていただく部署が施設部と文化庁とございますので、そちらに切り替えさせていただきます。
○文部科学省 文部科学省施設部施設助成課の遠藤と申します。
今日はオンラインで回答をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
安部井委員からいただいておりました体育館の空調の設置状況、電源確保がどれくらい進んでいるのかというところについて回答させていただければと思っております。体育館の空調の設置状況につきましては、令和6年9月1日の時点での調査で、小中学校で18.9%となっており、普通教室、特別教室と比べると低い状況になっております。電源確保について、避難所となる公立学校施設の令和4年12月1日の時点での調査になりますけれども、73.2%に非常用発電機等が確保されているという状況でございます。避難所となる公立学校施設の防災機能の強化であったり、体育館の空調についてはいずれも国としては国庫補助などで支援を行っている状況でございます。
施設部からは以上です。
○文化庁 失礼いたします、私は文化庁生活文化創造担当の山口と申します。
私からは文化芸術分野に関しまして曽根委員と宮本委員から御質問、御意見をいただいた点について2点回答させていただきます。
まず曽根委員から共生社会の実現に向けた文化芸術活動の取組について万博でどんな話を行うのかという点についてなのですけれども、まず万博の催事につきましてはいわゆる万博協会を中心に検討中というような形で承知をしておりますけれども、文化庁といたしましても万博を見据えまして日本博2.0という事業などを全国で展開しておりまして、その中で障害者による文化芸術活動も含めました我が国の文化芸術による共生社会の実現に向けた取組を世界に向けて積極的に発信する機会としてまいりたいと考えております。
宮本委員からの文化芸術活動における字幕などの情報保障の環境整備につきまして御意見をいただきましたけれども、まず文化芸術につきましては基本的には障害の有無にかかわらず文化芸術に親しむことができる環境づくりを行うことは重要であると考えてございます。その上で文化庁としましては、障害者等による文化芸術活動推進事業におきまして情報保障であるとか鑑賞支援などを行う団体の取組に対する支援を行っております。それから、例えば映画に関しまして、日本映画製作支援事業の中で日本映画の製作においてバリアフリー字幕、音声ガイドといったバリアフリー対応に要する経費を支援するなど、障害を持つ方々を含めた多くの人たちが文化芸術の鑑賞機会を確保できるような取組を行っておりますので、こうした取組を我々としても引き続き進めてまいりまして、文化芸術活動を行う場を創出できるように進めてまいりたいと考えております。
私からは以上になります。
○文部科学省 以上が文部科学省、文化庁、スポーツ庁からの回答になります。答弁漏れ等がございましたら御指摘いただければと思います。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
幾つかちょっと追加があるかなと思いました。厚生労働省とも重なる部分かもしれませんが、1つは教員への教育に関してですが、佐々木委員から障害の社会モデルや人権モデルが内容として含まれているかどうかを教えてほしいという御質問があったかと思います。
それから、福田委員から盲ろう者の支援は情報保障だけではなくて、移動ですとか、あるいは生活全般のケアも必要であるということに関してどういうふうに対応しているかという御質問があったかと思います。
それから、資料3-1から3-4まで4名の委員からも事前に御質問や御意見の資料をいただいておりまして、その中で本日答えていただけそうな項目がもしあれば、追加でお伺いできればと思います。いかがでしょうか。
○文部科学省 ありがとうございます。まず移動に関して福田委員から御指摘いただきました。重度訪問介護だけではなくて盲ろう児についてもということで、小中高大学という御指摘、失礼しました。小中学校等につきましては障害のある子供の就学奨励費、学用品ですとか通学費といったものを支援する補助事業がございます。こういった中でスクールバスに乗れないとか、小中とか特別支援学校に通う際にいわゆる通学費は支援させていただいているところでございます。大学につきましては多分厚労省さんの支援を受けていると思いますので、もし何かあればお願いしたいと考えてございます。
教員の養成過程で社会モデルを教えているかというところでございますけれども、申し訳ございません、ちょっと手元にデータがなくてこの場では分かりません。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
事前の提出資料に関してもいかがでしょうか。何かお答えできそうなものはありますでしょうか。
○文部科学省 すみません、事前のというところが、こちらのミスもありまして確認が取れてなくて申し訳ありません。
○熊谷委員長 では、また後ほど御回答をお願いできればと思います。
○文部科学省 後ほど、これは佐藤委員からの提出資料でございますか。
○熊谷委員長 石橋委員、佐藤委員、日比委員、臼井委員から、それぞれ本日の資料の3-1から3-4までがそちらの提出資料になります。
○文部科学省 申し訳ありません、後ほどしっかりと対応させていただきたいと思います。
○熊谷委員長 どうぞよろしくお願いいたします。
それから、ちょっとこちらの不手際で佐保委員が挙手をいただいていたのですが、私が御指名させていただくのを漏れておりまして、大変失礼いたしました。ここでちょっと変則的ですが、佐保委員からコメントをお願いいたします。
○佐保委員 ありがとうございます。日本労働組合総連合会の佐保でございます。先ほど控えめに挙手をした関係で気づいていただけなかったかなと。今度は元気よく挙手をしたいと思っております。
時間が迫っている中で申し訳ございませんが、3点ほど質問、意見をさせていただきたいと思います。
まずは159ページ、8-(1)-5、特別支援教育支援員についてです。2023、令和5年度において特別支援教育支援員を対前年度比2,200人増の6万9500人分の配置に必要な地方財政措置が講じられたとのことですが、実際に増加した人数について分かれば教えていただきたいと思います。インクルーシブな学校運営に特別支援教育支援員の存在は重要です。特別支援教育コーディネーターと連携を図り、適切な支援が行われているかも含めた実態把握をお願いいたします。
続いて、160ページ、8-(1)-7でございます。医療的ケア児を受け入れ、支える体制の在り方に関する調査研究を実施したということでありますが、いつ頃公表予定なのか、もし公表しているのであればそれも教えていただきたいと思っております。医療的ケア児が増加傾向にある中、インクルーシブ教育に向けて医療的ケア看護職員の配置や支援体制の整備は重要であると考えます。各自治体の好事例も含め、取組の強化をお願いいたします。
最後は、家族の仕事とケアの両立についてです。本来は133ページのから始まる「7.自立した生活の支援・意思決定支援の推進」で言うべき内容だったかもしれませんが、障害児者の家族で、働く人々の声として仕事とケアの両立の難しさが多く聞かれます。例えば放課後デイサービスの預かり時間が短いといったことや特別支援学校卒業後に居場所がなくなる18歳の壁問題など、フルタイムの復帰や仕事との両立を困難にさせている課題が指摘されております。障害児者を支える家族の仕事とケアの両立の観点からも切れ目のない支援体制の強化をお願いいたします。
ありがとうございます、以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
文部科学省への御質問だったかと思いますが、いかがでしょうか。御回答できそうでしょうか。
○文部科学省 ありがとうございます。まず特別支援教育支援員は、地方交付税措置でございまして、令和6年度7万3200人措置されてございます。
○佐保委員 すみません、いいですか。交付税措置は分かりますが、実際何人配置されたか、もし把握していたら教えていただきたいということです。
○文部科学省 先生がおっしゃるように各現場で非常にニーズが高いところでございますので、実際に私どもは毎年配置実績を調査した上で、それを踏まえて総務省に要望を出させていただいています。今回7万3200、その前が6万9500でございますので、それを上回る実績を踏まえて要望してございますので、令和6年度の配置状況全体だと7万3797ということ、ですからこの状況を踏まえて、今、まさに来年度に向けて要望している状況でございます。
あと医療的ケアのほうが、すみません、ちょっと理解が乏しくて、医療的ケアの実施事業ということでございますね。
○佐保委員 ありがとうございます。8-(1)-7の中に「医療的ケア児を受け入れ、支える体制の在り方に関する調査研究を実施した」という記載がございましたので、調査研究をしたのであれば、その結果が報告書にまとめられているかどうか、もしまとめられていないのであればいつ頃公表か教えていただきたいということです。
○文部科学省 調査研究を各自治体で取り組んでいただいてございましたので、今、実際にホームページに載せさせていただいております。
○佐保委員 ありがとうございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
佐保委員から質問の3点目、家族の仕事とケアの両立に関しては厚生労働省の管轄であるということで、この後、是非伺えればと思っております。
では、文部科学省の皆さんからの回答は以上で終わります。
引き続きまして、厚生労働省からの回答をどうぞよろしくお願いいたします。
○厚生労働省 厚生労働省の障害保健福祉部企画課長でございます。
まず臼井専門委員からいただきました障害者の雇用に関する性別に関する情報の取り方でございます。これは以前にも御指摘をいただきまして担当からお答えをさせていただいていると思いますけれども、改めて意見を頂戴したということでございますので、これは担当部署にしっかりとお伝えしたいと思います。
それから、いただいた御意見の中で宮本専門委員から聴覚障害に関しましてWHOが提案する基準を採用すべきという御指摘をいただきました。これは大変大きな御指摘でありまして、現時点ではお答えできる内容はございませんけれども、御意見として承らせていただければと思っております。
今ほど佐保委員から御指摘のありました家族のケアと仕事の両立ということでございます。これにつきましては非常に大きな課題だと受け止めておりまして、今年度の障害の報酬の改定の中でも、生活介護に関しまして延長支援加算の拡充ということで所要時間9時間以上の評価を拡充しております。こういったことを現場で活用していただきながら、家族のケア、そして仕事の両立が可能になるようにしていきたいと考えてございます。
それから、いただいた御指摘の中で御質問が2つございます。これは担当からお答えさせていただきます。1つは重度の障害のある方の生涯学習に関するモデル事業について、これは安部井委員からいただいておりました。もう一つは福田委員からいただいておりました、先ほど特別支援教育課長からもありましたけれども、大学での修学支援についてです。それぞれ担当からお答えさせていただければと思います。
○厚生労働省 聞こえますでしょうか。厚生労働省障害保健福祉部障害福祉課の富澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
安部井委員から御発言のございました厚生労働省の予算の特別支援学校卒業後における生活介護利用モデルのことについてお答えさせていただきます。まずこちらの事業でございますけれども、18歳を境にして特別支援学級ですとか特別支援学校を卒業した方、学びの場が終了してしまった後に重度の障害のある方の主な日中活動の場として生活介護を利用される方が多くいらっしゃいました。しかしながら、生活介護事業所においては学習の機会の場を提供しているケースがほとんどなかったため、関係者からも生活介護事業所において生涯学習の機会の提供を求められていたところでございます。このため厚生労働省におきましては、令和6年度補正予算案において生活介護事業所において教育ノウハウを持つ特別支援学校の教員のOBといった方々の雇用ですとか、あるいはICT機器の導入等により生涯学習を実施するモデル事業を実施する特別支援学校卒業後における生活介護利用モデルの作成事業を盛り込んだところでございます。
また安部井委員からお話のありました文部科学省と厚生労働省との連携についてですけれども、障害者の地域や社会への参加を促進し、共生社会の実現を推進していくためには、教育の分野との連携が不可欠であると考えております。現在も関係団体の講演等におきまして文部科学省の事業を紹介などさせていただいているところではございますけれども、こういった広報活動を中心に、今後とも文部科学省とより一層の連携を進めてまいりたいと考えております。
以上となります。
○厚生労働省 障害保健福祉部障害福祉課の小島と申します。
先ほど福田委員から御質問がありました大学修学への支援でございます。こちらは重度障害者が修学するために必要な支援体制を大学が構築できるまでの間において、重度障害者に対して大学等への通学中及び大学等の敷地内における身体介護等を提供する事業としまして、重度訪問介護利用者の大学修学支援事業を平成30年度から実施しているところでございます。これによりまして大学修学への支援を行っているところでございます。
以上でございます。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
同じく事前にいただいた提出資料で追加でお答えできそうなものは厚労省からございますでしょうか。
○厚生労働省 現時点においてはございません。
○熊谷委員長 では、後ほどどうぞよろしくお願いいたします。
引き続きまして、外務省の皆様に回答をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○外務省 外務省の人権人道課のヨシオカシズカと申します。よろしくお願いいたします。
それでは、まず本日口頭で御意見を頂戴しましたものから本省からお答えさせていただけたらと思います。
まず田中委員から来年開催の障害者権利条約締約国会議に係るサイドイベントについて貴重な御意見をいただきました。大変ありがとうございます。こちらは同様の御要望を関係者からいただいているところでございますが、まずは旧優生保護法を所管する省庁に御相談いただいている状況と承知いたしております。
次に、宮本委員はじめほかの委員の方からもいただきました国際協力推進の御意見につきまして、アジアの途上国における難聴者支援の強化または国際会議への難聴者の参加推進につき御意見を承りましたので、当課以外にも省内の関係課室にもしっかりと共有させていただきたいと思います。御意見いただきましてありがとうございました。
次に、事前に書面で御登録いただいておりました質問に関しましてですが、石橋委員から頂戴しておりましたビッグアイ運営協議会委員に関する御質問でございますが、申し訳ございません、こちらは外務省として掌握しているところではありませんので、回答できる立場にございません。
次に、佐藤委員から頂戴しておりました御質問で、まず1点目、外務省として国際協力における障害の主流化の方針を明確にということで御意見をいただいております。2023年に改定いたしました開発協力大綱におきましては、実施原則の1つとしてジェンダー主流化を含むインクルーシブな社会の推進、公正性の確保を掲げております。これは障害者、高齢者、少数民族、先住民族等の社会的に脆弱な立場に置かれている人々を含め、全ての人々が開発に参画でき、恩恵を享受できる多様でインクルーシブな社会を推進すべく、公正性の確保に十分配慮した開発協力を行うことを目指しているものになります。この観点から、これらの原則を常に踏まえた上で、相手国の開発需要並びに経済社会状況ですとか二国間関係を総合的に判断の上、開発協力を実施していきたいと考えております。
2点目ですが、日本NGO連携無償資金協力事業における障害の主流化について御意見を頂戴いたしました。NGO連携無償資金協力においては、案件提出前の相談を広く受け付けており、障害ゆえに必要となる合理的配慮についても案件ごとに毎回NGO団体と協議を行うようにしております。令和7年度のNGO連携無償資金協力実施要領においてもその旨を明記する予定でおりますので、その旨御報告いたします。
3点目、4点目、合理的配慮基金の創設並びに障害主流化及び合理的配慮に関する相談体制の設立について御意見をいただいておりますが、国際協力事業における障害者の参加推進は重要であると重々認識しておりまして、その上で基金の創設につきましては財務省をはじめとした関係省庁と調整等を要しますので、この場で予断をする回答は差し控えさせていただく形となりますが、御指摘を踏まえて検討してまいります。また主流化の推進と知見の充実化の重要性についても承知しております。関係団体との意見交換をより緊密に行いながら、御指摘を踏まえた検討を各部署と連携して行ってまいりたいと思います。
最後に、JICAでの合理的配慮予算の拡充について御意見をいただいております。これにつきましては、JICAの定めます草の根技術協力事業に関する経理処理ガイドラインによりますと、障害を理由とする差別の解消の推進に係る法律に基づきまして、合理的配慮を要する業務従事者が業務を実施するために必要となる場合には、直接経費について事業提供金額とは別枠で経費計上を認めていると明記がございます。したがいまして、JICAにおきましても事業における障害主流化に向けた検討を進めているものと承知いたしております。
以上が当方からの回答とさせていただきます。本日は大変ありがとうございました。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
1点国際会議での情報保障が十分につかないという石橋委員からの御指摘があったかと思いますが、それに関していかがでしょうか。
○外務省 障害者権利条約委員会でのお話でしょうか。
○熊谷委員長 私が知る範囲では、そこが1つの大きな問題になっているかと思います。特にアメリカ手話がつかないとか、そういったところも問題になっているかと思います。
○外務省 当課から回答させていただきます。
来年から皆様も御存じのとおり田門弁護士が障害者権利委員として御活動いただくことになっておりますが、その際の手話通訳の手配についての御指摘をいただいているものと理解いたしております。日本政府といたしましても、田門先生の法律の専門知識に加えまして、幅広い国際経験と現場の実績を踏まえた上で、障害者権利委員会の御活動に貢献されることを大きく期待しているところでございます。したがいまして、2025年1月からの田門先生の障害者権利委員会委員任期開始に向けまして、引き続き御本人とも密に御相談させていただきながら、当委員会により適切な対応がされるよう外務省としましても対応を引き続きさせていただけたらと考えているところでございます。お答えになっていましたら幸いです。
○熊谷委員長 熊谷です。
ありがとうございました。
それでは、最後に法務省から回答をお願いしたいと思います。石橋委員から民事裁判における情報保障についての御質問があったかと思います。法務省からお願いいたします。
○法務省 法務省の司法法制部でございます。
当部に関係する御質問として、今、上げていただいた石橋委員からの裁判の場における情報保障の1点と承知しておりますが、大変恐縮ではございますが、質疑対応者が急遽別件業務で離席してしまいましたので、事前に提出いただいた資料の内容の回答と併せまして後日の対応とさせていただければ幸いでございます。大変申し訳ありません。
こちらからは以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。それでは、後ほどどうぞよろしくお願いいたします。
時間を超過してしまい大変申し訳ございません。
佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 申し訳ございません。2点ほどお願いいたします。
委員長もおっしゃってくださいましたけれども、事前に提出した意見があるので、後日で構いませんので、是非御回答をお願いします。文科省、文化庁、そして外務省、今、お答えいただいたのですけれども、最後の合理的配慮予算、JICAのところは草の根で出ているのは分かっているのですけれども、それ以外のところに増やしていただきたいというお願いなので、またそこも御回答をいただきたいと思います。
あと別件なのですけれども、障害者基本法の改正を是非お願いしたいと思います。2011年に改正されて、その後、条約を批准したわけなのですけれども、条約批准後、まだ改正されておりません。2022年の総括所見で様々な課題を指摘されて、それを踏まえて基本法の改正をして、全体のバージョンアップが必要と考えております。是非ともこちらを御検討いただきたいと思います。
以上、よろしくお願いします。
○熊谷委員長 佐藤委員、ありがとうございました。
水流委員、お願いいたします。
○水流委員 すみません、全国地域生活支援ネットワーク、水流でございます。
今の佐藤委員の意見に強く賛同するものでございまして、前置きといたしましては当然障害者基本法改正について言及することは、本委員会における任務ではないということは存じ上げておりますが、今、発言のありましたDPI日本会議、全国手をつなぐ育成会連合会、全国地域で暮らそうネットワーク、そして私たち全国地域生活支援ネットワークの4団体で呼びかけをさせていただき、障害者基本法の改正に向けた働きかけのお力添えを賜りたい旨のお願いを、熊谷委員長をはじめ委員の皆様へさせていただきたいと存じます。実は私自身も数年前まではなぜ改正が必要かと疑問に思っておりました。理由としては、現在の日本の福祉は諸先輩方の努力により制度としてはきめ細やかに整ったと言っても過言ではありません。そして予算も拡充されてきているのも事実であります。しかし、実態はどうでしょうか。国連の勧告内容そのものです。一方で、糸賀一雄さんの「この子らを世の光に」というのはICFのずっと前から社会モデルを言い当てていたと言えます。それを具現化すべく戦後間もない頃から芸術文化に取り組まれていたことも歴史的事実です。医学モデルから社会モデル、そして人権モデルを標榜する今、教育課程でこの人権モデルを全ての人々に浸透させるためにもインクルーシブ教育は必要であり、そのためにも本日質疑にも上げられた芸術文化を真ん中に据えた地域ぐるみの生涯学習の取組は大切で、そのことを堂々基本法改正の柱の一つとして掲げることも踏まえ、今後、基本法改正の機運を高めてまいりたいと考えております。熊谷委員長、皆様、いかがでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
○熊谷委員長 ありがとうございます。今期の議論が始まって以来、継続的に障害者基本法改正という問題について提言していただいていたかと思います。
どうぞ、お願いします。
○岩上委員 委員長のお話し中にすみません。全国地域で暮らそうネットワークの岩上でございます。
DPIの佐藤さんからまだ総括所見の件もそこに照らし合わせてというお話もありましたし、私もそこも非常に重要だと思っています。一方で、内閣府の皆さんも厚生労働省も今日の文部科学省の皆さんも非常に障害者施策について力を入れていただいていると思っています。そのためにはこの第1条にあるところをもう少し強調していく必要があると思っておりまして、今、水流委員が申し上げました糸賀思想にある「この子らを世の光に」というところ、つまり障害者のための基本法だけでなく、地域共生社会を目指しているということは書いてはありますけれども、これはやはり国家国民のための法律なのだということを力強く強調すべきだと思っています。それが官僚の皆さんが政策を進める上でも後押しになると思います。またアールブリュットやバリアフリー演劇は国際的にも評価されるものであって、第5条で国際協調、第30条で国際協力がありますが、今日の議論の中でも出ていましたが、もっと我が国が貢献すべきことがある、それには国際発信という条項を入れる必要がある、そういったことを今後議論する必要があると私は思いますので、福田委員がおっしゃったような女性の条項も考えていく必要があると思いますので、こういったことを議論することを是非今後進めていただきたいということを併せてお願いしたいと思います。
以上でございます。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
では、福田委員で最後でよろしいですか。福田委員、お願いします。
○福田委員 全国盲ろう者協会の福田です。
佐藤委員、皆さんから基本法のことが出たので、私も一言言えればなと思いますが、盲ろう者に関していうと、2014年の統計で全国に1万4500名ほどいます。ただ、そのうち何らかの支援につながっている盲ろう者は現時点でまだ1,000人強で、ほとんどの盲ろう者が支援につながっておりません。私たちの願いは、みんなが当たり前にやっていることを当たり前にやりたいというそれだけです。私の2024年の夢の1つが飲み会に参加したいということでした。忘年会とか新年会なんてそんなでっかい夢は置いておいて、仕事の後にちょっと飲み会でたわいのないおしゃべりを同僚や友人とするとか、そんなみんなが日常的にやっているようなことを盲ろう者だと当たり前にはできません。盲ろうとは、視覚・聴覚の両方に障害がある固有の障害の状態ですが、視覚障害者が見えない情報を音で得る、聴覚障害者が聞こえない情報を手話などの視覚的な方法で得る、そのようなことが私たち盲ろう者はできません。全く聞こえない、全く見えない世界は、自然に入ってくる情報は何一つありません。自分1人で外に出ても、世の中人っ子一人存在がない、人の気配を感じることはありません。同じ部屋の中でも、隣にいる通訳介助者という支援がなければ、今、自分がどこにいるとか、誰と一緒にいるということも分かりません。情報へのアクセスが非常に限られている。情報が得られなければ、自分の意見を考えて発信することもできません。情報を得るにもコミュニケーションの壁もあります。誰かに会いに行くための移動の壁もあります。どんなにICTが発達しても、点字がなければ、機器がなければ、自分1人では情報を得ることはできません。基本法が2011年に開始された後、13年という年月がたって、社会状況は大きく変わっています。障害者差別解消法なども制定されました。でも、盲ろう者として障害者の中でも社会からすごく遠い存在に置かれている声の届きにくい私たちが、果たして自立して社会参加できるようになったのか。2011年のときと比べても大してよくなったようには感じないのが正直なところです。ただ1つ、盲ろう者として、障害者権利条約、その中の総括所見は大きく励まされて希望を感じています。社会モデル、人権モデルベースの障害者権利条約の中では、医療モデルに基づいた障害の種別は含まれてはいなかったけれども、その中でもdeafblind(デフブラインド)という言葉が盛り込まれました。ただ、日本の上位の法令の中では盲ろうという明記はまだありません。障害者の自立と社会参加に関して支援の基本原則を定めた法律、この根幹がそもそも変わらないと、盲ろう者のような声の届きにくい障害者は個別の法律ではなかなか拾ってもらえないのだなという現状を実感として強く感じています。基本法は人として当たり前に暮らす権利をいかに保障されるべきかという、非常にまさに基本的だからこそ、全ての障害者支援の基本となる深いところにあって、社会の動向に合わせてバージョンアップしていくべきではないかなと本当に思っています。
以上です。
○熊谷委員長 ありがとうございました。この内容について事務局とも議論を重ねてきましたので、ここで事務局からコメントをお願いします。
○古屋参事官 事務局の古屋でございます。
様々に基本法改正の御意見をいただきました。また今回フォローアップについても様々に御意見をいただきました。誠にありがとうございます。障害者基本法の見直しを含めまして法律を見直す場合には、基礎となるような事実や事例の検討が必要でございます。こういったことがありますので、具体的な事例とか実情を交えながら一つ一つ整理して対応を検討していくことが必要と考えております。今回御意見を様々いただきましたけれども、政策委員会で基本計画の策定とかフォローアップを事務としているところでございますので、その中で必要があればまた御意見をいただければと思っております。
私からは以上でございます。
○熊谷委員長 ありがとうございます。
今から話すことは個人の意見になりますが、私も基本法の改正は何らかの枠組みで議論をしていく必要のある問題だと思っております。しかしながら、ここの委員会においては恐らくその前提となる立法事実を積み上げるという形での場になっているということになろうかと思っております。しかしながら、継続的にこの場でも議論はこんなふうに重ねていく必要があるだろうなと思っておりますので、どのような枠組みで基本法改正についての議論を継続していくのかということも、これはこの場で議論することではないのかもしれませんが、是非とも考えていきたいと個人的には思っております。
以上になります。
本日の議題は以上で全て終了となります。時間が超過しまして申し訳ございません。
最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。
○古屋参事官 本日は御議論をありがとうございました。本日回答できなかった部分につきましては、取扱いを事務局で検討した上で、委員長とも御相談の上、決定したいと考えております。
○熊谷委員長 ありがとうございました。
最後、手短にと思っておりますが、本日は第6期の委員による最後の政策委員会となる見込みですので、一言御挨拶させていただきます。
振り返りますと、第6期では改正障害者差別解消法の施行に向けた議論や障害者基本計画の実施状況についての議論を本当に闊達に行っていただきました。委員の皆様の御協力をもちまして、私も慣れないながら委員長としての職責を果たすことができて、不十分な点も多々あったと思いますが、御指導いただきながら何とか終えることができました。第6期の政策委員会に御参集いただいた皆様に改めまして心よりの感謝を申し上げたいと思います。
また今期で最後となる委員におかれましては、長きにわたる御貢献に深く敬意を表すとともに、厚く感謝申し上げます。ありがとうございました。
来年1月からは第7期となりますが、委員の皆様の御理解、御協力をいただければと思っておりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、これをもちまして第82回「障害者政策委員会」を閉会いたします。オンラインで御参加の委員は、画面の電話マークをクリックして御退室ください。本日はどうもありがとうございました。