障害者政策委員会第5小委員会(第1回)議事録

平成24年10月22日(月)
16:00~18:00
中央合同庁舎4号館220会議室

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

氏田座長 時間となりましたので「障害者政策委員会第5小委員会」の第1回会合を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日のこの第5小委員会は18時まで、午後6時までを予定いたしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 小委員会の開催に先立ちまして、いつものお願いで恐縮でございますが、本小委員会におきましても、情報保障の観点から、「障害者政策委員会」と同様に、各委員が御意見を述べられますときにはまず挙手していただきまして、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただきますよう、お願いいたします。
 議論が白熱していきますとどうしても早口になってしまいますが、この点、どうぞよろしくお願いいたします。
 座長について、御案内したいと思います。
 委員の皆様方には、先日、事務局を通じて御連絡させていただきましたが、前半の小委員会同様に、各小委員会の座長は委員長代理が務めることとさせていただきました。この第5小委員会につきましては、私が担当させていただくこととなります。円滑な会議運営に務めてまいりたいと思いますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。
 続きまして、専門委員についてです。
 第1回の総会で議決されましたとおり、各小委員会の審議において、それぞれの分野に専門的な知見を有する有識者の方に専門委員として議論に参加していただくこととしております。専門委員を加えました本小委員会のメンバー表、構成員の一覧は、お手元にお配りしているとおりです。本日、まだ御到着になってらっしゃらない委員の方がいらっしゃいますが、おいでになられる予定でございます。
 欠席委員につきましては、本日は、清原委員、土本委員、秋山専門委員、福島オブザーバーにつきましては、所用により御欠席との御連絡を受けております。
 なお、日本障害フォーラム政策委員会委員長の森祐司さんにオブザーバーという形で本委員会の議論に参加していただきたいと思っておりますが、オブザーバーについて御異論、御異議はありますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

氏田座長 ありがとうございます。
 では、ぜひ森祐司さんにオブザーバーとして加わっていただきます。森様、どうぞ御着席いただければと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 続きまして、副座長についてでございます。本小委員会の円滑な運営を諮るために、石川委員長とも御相談の上、個人資格にて参加されている委員のうち、後藤委員に本小委員会の副座長として私のサポート、そして小委員会の運営のサポートをお願いしたいと考えておりますが、いかがでございましょうか。

(「異議なし」と声あり)

氏田座長 ありがとうございます。
 では、後藤副座長、よろしくお願いをいたします。
 これから議事に入りますが、議事に入る前に、本日の議題及び資料について、事務局より御説明をよろしくお願いいたします。

東室長 どうも御苦労様でございます。担当室の東です。
 議事に入る前に、まず小委員会の位置づけについて御説明申し上げます。
 「障害者政策委員会」では、平成25年度以降の新たな障害者基本計画のあり方につきまして、内閣総理大臣に対して意見を述べるということになっております。そのうち基本計画の各論につきましては、幅広い分野について検討が必要であるため、当該分野における専門家も交えつつ、障害者基本法の条文に基づいて、幾つかのグループに分けて並行して検討するといったことが第1回政策委員会で決められております。
 資料の85ページを開けていただきますと、障害者基本法の抜粋があります。住宅の確保として20条、公共的施設のバリアフリー化として21条、情報の利用におけるバリアフリー化等ということで22条があります。結構分量がある部分なのですが、これが小委員会の議論の対象になります。
 次に、この小委員会の運営についてでありますけれども、事前にお知らせしてあると思いますが、小委員会における審議を効率的に行うために、3回の小委員会では、あらかじめ時間と論点を決めた上で、毎回、各論点について議論していただくといった形で進行させていただきたいと思っております。
 本日につきましては、まず前半におきまして、本小委員会が担当する分野の施策に関して、国土交通省、厚生労働省、総務省から現在の取り組み状況、これまでの進捗状況について御説明いたします。
 資料1 障害者基本計画
 資料2 障害者基本計画の進捗状況(平成22年度)(抜粋)
 資料3 障害者基本計画に基づく「重点実施5か年計画」の進ちょく状況(平成22年度)(抜粋)
 資料4 関係省庁資料
 この部分が関連資料です。
 次に、以上の御説明を受けた後に、本小委員会においてどのような点について議論するか、その論点につきまして、皆様方の議論をお願いしたいと思っております。
 これに関する資料としては、資料5「小委員会で議論すべき論点(案)」、資料6「論点案に関する委員意見」というものがあります。
 以上を大体1時間ほどで議論していただければと思っています。
 その後に、まず後半として1つ目の論点ということで、論点①「障害者のための住宅の確保」といった点について調査審議を行っていただくということになります。
 冒頭に、厚生労働省及び国土交通省からの説明を受け、その後、これらの省からの補足説明を受けつつ、委員間で議論していただくということを予定しております。
 この後半の部分の関連資料としては、資料7「論点①に関する国土交通省及び厚生労働省資料」、資料8「論点①に関する委員意見」というものがあります。
 このほかに参考として、小委員会構成員名簿等をお手元に配付しております。
 議題、資料についての説明は以上ですが、資料で足りない部分があればお申し出ください。また、専門委員の皆様の席上には、専門委員としての辞令を封筒に入れて置いてありますので、あわせて御確認いただければと思っているところです。
 事務局からは以上です。

氏田座長 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思います。
 本小委員会で扱う分野の施策について、関係省庁から概括的な御説明をいただきたいと思います。国土交通省、厚生労働省、総務省という順番でお願いしたいと思いますが、大体4時半をめどに、大変短い時間で恐縮ですが、御説明をお願いできればと思います。
 まずは国土交通省よりよろしくお願いいたします。

国土交通省 国土交通省でございます。
 現行の障害基本計画におけます住宅の確保及び公共的施設のバリアフリー化の内容、進捗状況につきまして、資料2と3を適宜使いながら取り組みを説明いたします。
 まず、資料2の2ページ、住居の確保というところで、番号で25番でございます。公営住宅につきましては、障害者の地域における自立生活の支援等の観点から、公営住宅法の45条第1項におきまして、グループホームとして使用することが可能となってございまして、平成22年度の実績は、右側にありますように826戸という状況でございます。
 同じく4ページ、61番、公営住宅、公社住宅、都市再生機構、賃貸住宅などの公営賃貸住宅につきましては、バリアフリー対応を標準仕様として順次供給してございまして、平成22年度におきましては、全部足し上げると、合計で建て替えを含めまして約2万戸の新規供給がなされているという状況でございます。
 詳しくは資料3に基づいて御説明します。資料3の22ページ、番号ですと、通し番号22番でございます。障害者に対する住宅セーフティネットいたしまして、公営住宅においては、事業主体の判断等により、障害者世帯の方々に対し優先的な取扱いが実施されているところでございまして、平成22年度は約2万5,000戸の住宅に障害者世帯が入居されております。
 また、民間賃貸住宅につきましても、障害者世帯の方々に対する良質な住宅の供給に関し、補助制度、地域優良賃貸住宅制度で支援を行っておりまして、平成22年度の実績は、約1,200戸となっております。
 計画に記載されております安心賃貸支援事業、居住サポート事業は平成22年度で終了しておりますが、後継の事業で引き続き障害者の方々を含めた住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に対する支援を実施しているところであります。
 23ページ、番号ですと36と37でございます。民間賃貸住宅のストックについても、高齢者が居住する住宅などを中心に、年々バリアフリー化が推進されているという状況でございます。
 2つ目のバリアフリー化の関係でございます。恐縮ですが、また資料2に戻っていただきまして、4~9ページです。概括的に申し上げますと、建築物、公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化の推進につきましては、平成6年制定の、いわゆるハートビル法、平成12年制定の交通バリアフリー法を統合拡充いたしましたバリアフリー法を平成18年6月に制定し、同年12月から施行しておりまして、同法に基づく基本方針において、施設ごとの整備目標を定め、バリアフリー化の整備を推進しているところでございます。
 詳しくは、進捗状況の資料3で御説明いたします。資料3の23ページ、38~41番にいたるところでございますけれども、不特定多数の方々や高齢者、障害者の方々が利用する建築物について、バリアフリー化を推進しておりまして、平成22年末時点で、右側の方にありますが、床面積2,000平米以上の特別特定建築物でバリアフリー化されたものは48%、国の合同庁舎のうち、障害者等に対応した便所や駐車スペース等の整備がされたものが30%でございます。
 窓口業務を行う国の既存官庁施設のうち、手すり、スロープ、視覚障害者誘導用ブロック等の改修を実施したものが90%となっております。24ページの上の方でございます。
 同じく24ページの43番、旅客施設のバリアフリー化につきましては、平成22年度末時点で、一日当たり平均利用者数が5,000人以上の旅客施設のうち、段差の解消がされた割合が85.5%、視覚障害者誘導用ブロックの整備がされた割合が97.1%、障害者用トイレの設置がされた割合が83.2%とそれぞれなっております。
 その下の44番からでございますけれども、車両等のバリアフリー化につきましては、平成22年度時点でバリアフリー化された鉄軌道車両の導入割合が、右側にありますように49.5%、提唱化されたバス車両の導入割合が49.4%となってございます。
 25ページ、一番上、ノンステップバスの導入割合が27.9%となっております。その他、旅客船、航空機のうちのバリアフリー化や、福祉タクシーの導入もこの表にありますように年々進んできている状況でございます。
 50番、都市公園のバリアフリー化につきましては、園路、広場、駐車場、便所等を初めとする公園施設につきまして、バリアフリー化を推進しておりまして、平成22年度末時点で園路及び広場がバリアフリー化された割合が47%となっております。
 一番下、51番でございます。路外駐車場のバリアフリー化についてでございますが、面積が500平米以上で駐車料金を徴収する路外駐車場を特定路外駐車場と呼んでおります。そのバリアフリー化を推進しておりまして、平成22年度末時点で45%という状況でございます。
 26ページ、52番でございます。
 歩行空間のバリアフリー化につきましては、バリアフリー化に基づく重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する全ての道路、特定道路でございますが、これについてバリアフリー化を実施することとなっておりまして、平成22年度末時点で74%という状況でございます。
 同じページ、53~55番にかけてございますが、これらのほか、新設される高速道路などのサービスエリアや直轄河川において新設される水辺プラザ、新設港湾緑地におきましても、それぞれバリアフリー化を推進しているということでございます。
 続いて、ソフト施策の推進でございます。同じページの58番でございます。身体的状況、年齢、言語等を問わず、移動等に関する情報を入手することを可能とする自立支援施策を推進しておりまして、定常的な自立移動支援サービスを行うための基本的ルールを自立移動支援システムに関する技術使用案としてまとめております。
 また、ICT、情報通信技術を活用した歩行者移動支援サービスの普及・展開を図るモビリティサポートモデル事業につきまして、平成22年度は全国7カ所で実施しております。
 最後になります同じ26ページの59番、交通エコロジー・モビリティ財団のホームページにおきまして、鉄道駅などの車いすでの利用のしやすさ、トイレの情報などを提供する「らくらくおでかけネット」を公開しております。
 バリアフリー化についての国民の理解を深めることなどにより、「心のバリアフリー」社会の実現を図るため、身体障害者の介助体験や疑似体験ができるバリアフリー教育につきまして、地方運輸局、地方整備局などにおいて開催しているところでございます。
 簡単でございますが、国土交通省の取り組みは以上でございます。

氏田座長 ありがとうございました。
 続きまして、厚生労働省より御説明をお願いいたします。

厚生労働省 障害福祉課の地域移行・障害児支援室長をしております阿萬と申します。
 私の方からは、資料2の基本計画に基づきまして1点、住居の確保についての御説明をさせていただきます。
 資料2の2ページ、住居の確保のところで、グループホーム及び福祉ホームなどの計画的な整備ということを入れております。平成15年度以降から数値を挙げさせていただいておりますが、18年度から新サービスの体系に移行しまして、その後はいわゆるグループホームとケアホームの整備を進めてきております。平成22年度の6万3,323名分まで書いておりますが、その後、平成23年度の実績は7万1,866名分まで伸びております。
 さらにまた後ほども御説明する予定でございますが、今の障害者福祉計画、自治体の計画をまとめたものですと、平成26年度には約9万8,000人分まで拡大を進めていくということを見込んでおります。
 私からは以上でございます。

君島室長 引き続きまして、厚生労働省の自立支援振興室長の君島でございます。よろしくお願いいたします。
 資料の重点施策実施5か年計画、21ページの部分における該当箇所の進捗状況について御報告申し上げます。
 22ページ、賃貸契約による一般住宅へ入居を希望しているけれども、入居が困難な障害者、このような方たちへの家主への相談、助言などを行います居住サポート事業を平成21~23年度まで、臨時特例交付金において補助対象としてきたところです。現在も24年度までの延長ということで実施しております。居住サポート事業でございます。
 次に、飛びますが27ページの131でございます。情報バリアフリー化の推進の中の障害者に対しますIT総合推進事業でございます。大きく3点ございます。
 まずは、聴覚障害者に対します情報支援機器の貸し出し及び相談業務。これを行います聴覚障害者情報提供施設が、残念ながら全国で38カ所の設置にとどまっております。私どもとしては、全国会議があるたびにお願いをしておりますが、未設置の県に対しまして設置するように、全県の設置を目指しております。
 障害者への情報通信技術、このようなものの拠点といたしまして、ITサポートセンターについては、平成22年度は24都道府県で実施しております。現在も24都道府県で実施していると把握しております。
 パソコンの使用方法などを教えますパソコンボランティアの要請につきましては、平成22年度の数字では26都道府県、23年度では残念ながら1カ所減っておりまして、25都道府県での実施となっております。
 29ページにあります138、139、141、142であります。まずは138、日常生活用具の給付の事業でございます。実施に当たりましては、もちろん、市町村のニーズを把握しながら、市町村事業として展開しております。これは後ほど住宅のところでも触れますが、住宅のいわゆる手すり等の設置、情報機器というものについて補助対象としているところでございます。
 139、テレワークでございます。いわゆる在宅勤務の普及、企業が在宅勤務を希望する障害者を雇用したりする場合、その支援につきまして、特例調整金あるいは特例報奨金の支給を実施しておりまして、現在も継続中でございます。
 141の事項になりますが、情報コミュニケーション機器の研究開発でございます。ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)というようなワープロを駆使することで、意思伝達を可能にする研究、例えばこれはALSの患者さんなどには有効でございますが、この機器を単なる実験室ではなくて、病院や自宅でも使用可能であるとしようということでやっております。現在も継続開発中でございます。
 142は先ほど申し上げました聴覚障害者情報提供施設の全県設置を目指しているというところでございます。
 30ページ、146番でございます。視覚に障害のある方が、ITを利用しまして自宅から点字図書あるいは録音図書を検索、貸出ができますサピエといいます視覚障害者情報総合インターワークにつきまして促進しておりまして、現在も運用中でございます。
 31ページ、事項番号151、手話通訳者等の養成でございまして、コミュニケーション支援につきましては、来年4月施行を目指しております、障害者総合支援法の中でも市町村必須事業として位置づけを図ったところでございます。
 しかし、現在のところ、コミュニケーション支援事業の実施市町村が7割強だというところでございまして、引き続き全市町村で実施するよう働きかけを図っていきたいと思っております。
 手話だけではなくて盲聾者の通訳介助員の養成は急務だと考えております。これらも地域生活支援事業の必須事業として位置づけたところでございますので、今後、養成数をふやすための努力をしてまいりたいと思っております。
 以上でございます。

氏田座長 ありがとうございました。
 では、引き続きまして、総務省より御説明をお願いいたします。

総務省(佐藤) 総務省で情報通信を担当しております佐藤でございます。
 資料は4番で概要を抜き書きしておりますので、そちらを用いて説明させていただきます。33ページと34ページがございますが、34ページから先に説明させていただきます。
 情報バリアフリー化の推進に関する取り組みです。「1 障害者のICT利活用支援」については、これまで19年度までに行った取り組みですので、紹介は割愛させていただきます。
 「2 障害者等向けICTサービスの普及促進」のところでございます。これは資料3、進捗状況の27ページ、132の項目に当たるところでございますが、年齢や身体的な条件によるICT利用格差、いわゆるデジタル・ディバイドを是正し、誰もがICTの恩恵を享受できる社会の実現を目指し、障害者等向けのICTサービスにかかる民間での取り組みを支援するというものでございます。
 2つありまして、1つ目は、高齢者・障害者向け通信・放送技術等の研究開発の支援でございます。平成15~24年度の10年間で延べ81件の助成を実施してまいりました。助成の事例で御紹介しますと、1つ目は、デジタルテレビ放送音声受信装置。これはいわゆる視覚障害者向けの地デジラジオのことでございます。
 2つ目の音声情報スキミングのための高速再生技術の高度化及び受聴支援装置とありますが、かつてゆっくり聞くラジオ、高齢者向けのものがありましたが、御存じでございましょうか。この技術を転用いたしまして、音読すると数倍もの時間がかかる文字情報を高速で短時間に聞きたいという視覚障害者の斜め聞き、この要望に応えられる技術として、現在も研究開発を進めているところでございます。
 (2)が身体障害者向け通信・放送役務、サービスの提供に関する支援ということで、こちらは平成15年度から24年度の10年間で、延べ85件の助成を実施しています。
 助成の事例としては、1つ目は、遠隔コミュニケーション支援サービス、いわゆる電話リレーサービスのことでございます。
 2つ目は、インターネットを活用したDVD等の字幕、手話、音声ガイドの提供サービス。これは劇場用映画のDVDをパソコンに入れますと、字幕や手話、音声ガイドが配信されるサービスでございます。こういったものにこれまで助成してきております。
 3番目の地方公共団体等におけるウェブアクセシビリティの確保のところでございます。これは資料3の進捗状況では、12ページの180の項目のところに当たります。高齢者、障害者を含む誰もが公共分野のホームページやウェブシステムを利用することができるよう、ウェブアクセシビリティの維持・向上のための運用モデルであります「みんなの公共サイト運用モデル」を策定し、国、地方公共団体など、公的機関の取り組みを推進しています。これは現在、2012年末までに方針をそれぞれの公共団体で策定し、公開する。2013年度末までにはJIS規格の等級Aに準拠させる。2014年度末までには、JIS規格の等級AAに準拠させるということで現在取り組みを進めています。
 前半は以上でございます。

長塩課長 引き続き放送関係について御説明させていただきます。地上放送課の長塩と申します。よろしくお願いいたします。
 1ページ前にお戻りいただきまして、33ページでございます。放送関係では大きく字幕番組、解説番組等の政策促進を行っているということでございます。
 1ポツ、制度的な背景でございます。これは平成9年当時でございますが、放送法を改正しておりまして、いわゆる字幕番組、解説番組、こういった視聴覚障害者向けの放送について、できる限り放送事業者が多く動けるようにということを定めております。
 2つ目でございます。こういった制度のもとに、実際におつくりになられる字幕番組や解説番組の制作費の一部を助成してございます。具体的には、平成5年から字幕番組や解説番組の助成制度を創設後、その後、手話番組を加えるなど、順次対象を拡大し、所定の予算を確保しているということでございまして、本年度におきましては、約4億円を確保しているということでございます。
 3番目、放送事業者が自主的にこういった取り組みを行う1つの目安としまして、総務省におきまして字幕番組や解説番組の普及目標を定めてございます。これは10年計画でございまして、現在のものは平成19年に定めてございまして、平成29年度までのものとなってございます。
 例えば字幕番組につきましては、技術的に字幕を付すことができない番組を除きまして、それ以外のものについては、基本的に100%、平成29年度において付与することができるようにというものになってございます。この普及方針、行政の指針をもとに、個々の放送事業者におかれまして、さらに自局の拡充計画を定めているというものでございました。
 4つ目、字幕番組や解説番組の実績の公表でございます。以上のような取り組みの結果として、具体的にどのぐらいの字幕番組、解説番組あるいは手話番組を実際に行っているか、こういったものを取りまとめて公表しているというものでございます。
 具体的な実績につきましては、資料2の185の項目ですとか、資料3の143の項目について数値を記載させていただいてございます。
 1点、補則でございますが、3番のところの普及計画につきましては、ちょうど今月でございます。平成19年に定めた後、ちょうど5年の節目を迎えてございますので、見直しを行っているところでございます。具体的には、字幕放送につきましては、大規模な災害時等の緊急放送はできる限り全てに字幕を付与すること。また、手話放送は、従来目標として設定されてございませんが、今後は目標として設定することを明記している、こういった修正を行ったところでございます。
 以上でございます。

氏田座長 関係省庁の皆様、御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの関係省庁からの御説明に対して、御質問がありましたらお願いいたします。
 なお、本委員会の議論すべき論点につきましては、後ほど御議論いただくことを予定しておりますので、論点に係る御意見はそちらでお願いいたします。
 では、竹下委員、石川委員、続いてお願いします。

竹下委員 時間の都合があるので、絞って2点だけ。
 まず、厚生労働省に1つだけ質問なのですが、コミュニケーション支援事業の中で、視覚障害者に対するコミュニケーション支援事業として項目及び実施している自治体の割合がわかれば御教示ください。
 厚生労働省で字幕解説放送の制作補助4億円という説明があったわけですが、この中で視覚障害者向け副音声制作等に当てられた補助件数または金額がわかれば教えてください。
 以上です。

氏田座長 すみません、御質問をまとめてお受けして、後でお答えいただくというのでよろしいでしょうか。
 では、石川委員、続きまして新谷委員、石野委員、河村専門委員でお願いいたします。

石川委員 石川です。
 2点、私も質問させていただきます。前回の障害者基本計画の中で、ISO/IEC71をJIS化して、それに基づいて公共調達を行うことでアクセシビリティを進めていくという戦略、方針が書かれていたのですが、これについての実績、公共調達がこの枠組みでうまくいったのか、うまく行っていないのかの所見をお聞かせいただきたいというのが1点です。
 もう一点は、字幕を付すことが技術的に可能なものについて100%というお話だったのですけれども、技術的に可能でないものというと、具体的にイメージが浮かばないのですが、教えていただければと思います。

氏田座長 続きまして、新谷委員、お願いいたします。

新谷委員 まず、厚生労働省にお伺いします。
 先ほどの説明で日常生活用具について、範囲を広げるというような計画がおありなのかどうかお伺いしたいと思います。
 2点目の地域生活支援事業に関してですが、地域では自治体では今来年予算の組み立てが始まっているのですけれども、厚生労働省からの実施要綱が出ないと、細部について詰められないという声が随分上がっておりますので、今日出ているのかもわかりませんけれども、11月ぐらい、12月ぐらいに実施要綱が出ないと予算化が間に合わないと思うのですけれども、その辺の見通しをお伺いしたいというのが厚生労働省関係です。
 総務省の方にお伺いしたいのですが、先ほどの字幕の指針について御説明がありましたが、CM番組への字幕、BS放送、CS放送への字幕についての指針がどうなっているのかお伺いしたいと思います。
 もう一点、総務省で、緊急災害時の字幕についてはつけるという御説明がありましたが、これはそういうふうに放送事業者として同意して、緊急放送自体には全部字幕をつけるということにお互いに合意して実行段階に入っているのでしょうか。

氏田座長 たくさん出ましたけれども、石野委員、お願いします。

石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 1点目ですが、国土交通省に対する質問になると思います。現在、新バリアフリー法という法律がありますが、公共施設を中心にというような説明がありました。今まで民間の様々な施設がありますけれども、それに対する検討があったかどうかということをお伺いしたい。今まで検討がなければ、今後どのように方針としてお考えなのかということを伺いたいのが1点。
 2つ目は、先ほど新谷委員からの説明とダブりますけれども、字幕について、番組の字幕について触れられましたが、その中でコマーシャルに対しては助成があるかどうかも伺いたいと思います。2点です。
 以上です。

氏田座長 続きまして、河村専門委員、お願いします。

河村専門委員 総務省に主として伺いたいのですが、総務省が所管になりまして、電子出版のあり方に関する懇談会とそれに伴う施策がこの3年ほど行われていると思います。いわゆる総務、経産、文部科学、この3省の懇談会での施策ですが、その中にたしか電子出版のアクセシビリティに関する予算というものも含まれていたと思います。その部分が報告に抜けておりますので、それをぜひ補っていただきたい。
 随所にウェブのアクセシビリティの改善ということで、個別の省庁の動きがあるのですが、もう一つそれとともに、各省庁が今公表している情報の多くは、出版物の印刷物の形をとったり、あるいはPDFファイルの形をとっているわけですが、それと先ほど申し上げました電子出版のアクセシビリティの向上というのは、極めて関連が深いものがあります。そういう観点で、言わば底上げに相当する企画のレベルでのこれまでの取り組みとアクセシビリティ改善の取り組みと、その到達点を経産省の取り組みも含めてぜひ報告いただきたい。
 その中で、公共調達の中でとても大きな部分を占めております、年間約400億円を調達しております文部科学省の教科書のアクセシビリティの改善について、デジタル化という動きがありますが、その中での進捗状況についても御報告いただきたいと思います。

氏田座長 ありがとうございます。
 関連ですか。では、最後としたいと思います。門川委員、どうぞ。

門川委員 門川です。
 各省庁の方に質問をさせていただきたいと思います。まず国交省さんについてですが、福祉タクシーというお話がありましたが、私はよく理解できていないのですが、福祉タクシーというのは車いすで乗車できるようなタクシーのことを指しているのでしょうか。
 それとは別に、例えば私のような盲聾者がタクシーを呼びたいと思ったときに呼ぶ手段が見当たらないのです。インターネットから呼ぶこともできないし、ファックスもおくれないし、メールもアドレスがない。どうしたらよいのか、その点についてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 次に、厚労省さんに対してですけれども、障害者が地域で暮らすために必要なケアホーム、グループホーム、公営、民間の借上げというお話がありましたが、今後について、新障害者計画に数値目標としてふやしていくという考えがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
 総務省さんに放送についてテレビ放送についてですけれども、これも単一の視覚障害でもないし、単一の聴覚障害でもない盲聾者にですが、盲聾者にもアクセスが可能なテレビ機器の開発に取り組んでらっしゃるとか、例えばNHK技研さんとかがいらっしゃるのですが、そのようなところに対する支援についてお考えがあれば。また、盲聾者にテレビを楽しんでもらうことについどのようにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。
 以上です。

氏田座長 すみません、かなり時間が迫っておりまして、たくさんの御質問を頂戴しているのですけれども、今日どうしてもここの席でお答えいただかないといけないという御質問があれば挙手いただけますか。
 竹下委員、どうぞ。

竹下委員 答えの問題ではなくて、今日お答えがいただけない場合は、それはそれで構わないのですが、この後の論点の中でそのことに絡んできた場合には、その整理の仕方だけを決めておいていただければそれで結構です。

氏田座長 本日お答えいただけなかったというか、本日の時間の関係できちんとお答えはいただくのですけれども、ここの部分ではこの時間内では難しいと思うのですが、次に論点にかかわってくるようなことがありましたら、そのときにまた省庁の方に御同席いただくことはどうですか。
 室長、どうぞ。

東室長 いかなる点を議論すべきかという点についての議論のときに必要であれば答えいただくという形でいかがでしょうか。いいですか。

氏田座長 よろしいでしょうか。ほかの方は大丈夫ですか。
 申しわけありません。2時間という中でたくさんの御質問をいただいたので、これは次回に必ず皆さんのお手元に届くような形で回答いただくということにさせていただくということで、省庁の皆さん、よろしいでしょうか。ありがとうございます。よろしくお願いをいたします。
 引き続きまして、本小委員会で議論すべき論点になります。本委員会における審議を効率的に進めるため、事務局において、本小委員会の各回で議論すべき論点案について、皆様のお手元の資料5の案を作成していただいておりますので、東室長より御説明いただきます。よろしくお願いいたします。

東室長 担当室の東です。
 資料5、35ページ「小委員会で議論すべき論点(案)」ということで書いております。
 論点(案)としましては、20条、障害者のための住宅の確保を①としています。
 ②としては、21条の公共施設及び交通機関等のバリアフリー化の推進。
 ③として、22条の情報バリアフリー化の促進。この中には、さまざまなものを含みますけれども、先進的な取り組みについてのヒアリングも含めております。
 ④としては、22条ですが、国等による情報提供の充実。災害等の情報提供も含むという形で4つの論点に分けております。
 今日、後半部分では、障害者のための住宅の確保について議論していただく予定ではありますが、それも含めてこういった切り分け方でいいのかどうかを議論していただくことになります。
 一応時間の割り振りといたしましては、本日の後半を含めて合計で5時間あります。この5時間の時間の中で、委員長及び座長とも相談の上、本日の後半の1時間を住宅の確保、次回の1時間強を公共的施設及び交通機関等のバリアフリー等の推進。30分ほどを、先ほど言いました情報に関する国立国会図書館の先進的な取り組みがありますので、それについてのヒアリング。第3回の2時間を情報バリアフリー化の促進に当てたらと考えておるわけです。
 以上の事務局案についてどうお考えなのか、御意見をいただければと思っているところです。
 以上です。

氏田座長 事務局からの説明、資料5のところになります。先ほど竹下委員からも御質問いただきました論点(案)を議論するに当たってというところは、ここからの時間でお願いしたいと思いますが、関係省庁からの概括的な説明も踏まえて、この論点の案につきまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。
 また、各論に関して各省庁から説明を求めるべき事項がありましたら、合わせて御発言をお願いします。
 なお、本議題に関する審議は、時間が押しておりますので、10分ぐらい過ぎてもいいですか。当初、17時を予定しておりましたが、17時10分か15分までお願いができればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 竹下委員、河村専門委員、石川委員、新谷委員の順番でお願いいたします。

竹下委員 竹下です。
 論点③と④の分け方は少し無理があるのではないかということで質問です。情報処理の関係で国の支援を分離して議論ができるのか。どうしてもその辺は重なるのではないかということが気になります。その点の論議の仕方について、もし事務局で整理の仕方があるのであれば教えていただきたいと思っています。

氏田座長 続きまして、河村専門委員、どうぞ。

河村専門委員 基本的な進め方は先ほどの御説明でよろしいと思うのですが、やはりユニバーサルデザインということが権利条約においても、この障害者基本計画の中でも非常に重要な、例えば教育とか公共施設とか、あらゆるもので選択というもののときに、どうしても情報を持つということが選択の条件でありますので、個別のところではなかなか議論できないというユニバーサルデザインの問題に関しては、規格、ガイドラインの問題ということで、どうしても経済産業省としての取り組みがここの場に御報告をいただく必要があるかと思います。その点も補強をぜひお願いしたいと思います。

氏田座長 ありがとうございます。
 石川委員、お願いいたします。

石川委員 石川です。
 事務局原案に賛成した立場であるのですけれども、各省からの御報告と各委員からの先ほどのコメントなどをお聞きして、次の点について論点③の中に加えて議論した方がいいのではないかと個人的には考えを少し修正しましたので、その点、皆さんのお考えをお聞きしたいと思います。
 障害者基本法の22条の3項に、「3  電気通信及び放送その他の情報の提供に係る役務の提供並びに電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の製造等を行う事業者は、当該役務の提供又は当該機器の製造等に当たつては、障害者の利用の便宜を図るよう努めなければならない。」というように各事業者の努力義務が書いてあるわけなのです。22条の1項には、「国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を取得し及び利用し、その意思を表示し、並びに他人との意思疎通を図ることができるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及、電気通信及び放送の役務の利用に関する障害者の利便の増進、障害者に対して情報を提供する施設の整備、障害者の意思疎通を仲介する者の養成及び派遣等が図られるよう必要な施策を講じなければならない。」というような国の責務として書いてあるわけですが、この2つはばらばらに独立にあるものというよりは、国としていかに事業者に対してインセンティブを提供するなり、場合によっては規制のようなことによってそれを進めていくかという話だと思います。
 先ほどの私の質問もこの点についてのものでした。この論点抜きにして情報アクセシビリティというのは進んでいかない、有効な方法論、戦略なしには進んでいかないと思うので、基本計画の中に入れるべき事柄ではないかと思いますし、提案の論点③の3項目はどれも重要ですけれども、この3点だけやってもそれは実現しないということだと思うので、論点③の中にぜひ追加すべきだと思います。

氏田座長 ありがとうございます。
 新谷委員、お願いします。

新谷委員 新谷です。
 そういう難しい話ではないのですけれども、例えば郵便制度の議論は情報アクセスのところで議論する予定ですか。実は、今日、もし情報アクセスは多分いろんなテーマでありますので、時間を食ってしまいますので、今、郵便制度のことで意見を言う時間があれば言いたいと思っていたのです。
 例の障害者割引制度の問題なのです。低料郵便制度は今非常に運営が危機的な状況になっていますので、障害者団体と総務省、厚生労働省の方、郵政事業者と懇談を重ねていますけれども、実際の運用は非常に厳しい、障害者が利用できない形に追い込まれていますので、私たちの要望は、経過措置としては現在の運用形態を緩和してほしい。長期的には障害者郵便制度というのをきちっとつくってほしいという要望があるのですけれども、その辺について総務省の方から、次回か次々回に回答いただけるのでしたらそれをもとに議論すればいいかなと思うのです。それが1点目です。
 2点目は、前回か前に出しましたけれども、出席いただく官庁に先ほどもお話がありましたが、経済産業省は加えていただきたい。放送関係になると、放送事業者の方を抜きにして総務省の方と話すだけでいいのかどうか。その辺は全部総務省が代弁していただけるということだったらいいのですけれども、放送事業者は放送事業者でこういういろいろお考えがあるでしょうし、NHKさんですと、もっとこういうふうなお考えもあると思うので、NHKさんも出席いただけるということが可能なのかどうか。
 以上です。

氏田座長 挙手いただいたのは新谷さんが最後だったと思うので座長席から恐縮ですが、女性委員がこの第5小委員会は私1名なので、発言をお許しいただけたらと思います。
 私の意見は、皆様のお手元の資料の37ページに書かせていただいておりますが、この第5小委員会に限りませんが、あらゆる施策に男女平等の視点をということで出させていただいています。第2回委員会において、これから検討する基本計画が障害者権利条約を基礎とすべきであることは委員の中で共通の理解でした。
 障害者権利条約第3条一般原則、男女平等第6条障害のある女子を尊重して基本計画において障害のある女性の複合差別の解消が盛り込まれるようにということで、この論点がきちんと全体の中で考えられていくようにお願いしたいと思っています。
 時間がないので説明は省きますが、37ページ、38ページ、39ページ、40ページと意見を出させていただいておりますので、よろしくお願いいたします。
 では、皆様からの御質問、御意見について、論点の整理の部分で事務局、東室長の方からお答えいただけるところはお答えいただきたいと思います。

東室長 条文上はバリアフリーという形で表現されておりますけれども、基本的な部分でバリアフリーデザインとの関係をどう位置づけるかとか、そういった河村先生の御意見は一番基礎的な部分にあるのかなと思います。ただ、それを独自に議論する時間というのは余りないと思うのです。ですので、必要なところで問題提起いただければありがたいかなと思っています。
 竹下委員からの問題提起ですが、論点③と論点④を単純に切り分けていいのかという御議論がありました。その点は確かに相互関係がありますので、単純に切り分ければいいという話ではなかろうと思うのですが、一応どちらに重点を置くかということで分けているだけなのです。時間の配分で問題であれば検討したいと思います。竹下先生、そういう実務的な話ではないということなのでしょうか。

竹下委員 多分重なり合うことを前提で議論するのであれば、特に分け方に真っ向から反対するという趣旨ではありません。

東室長 分かりました。
 議論は重なる部分はございますので、それでいいのかなと思っていますが、いかがでしょうか。
 郵便制度の問題は、確かに情報の流通の問題ですので、範囲としてはこの第5小委員会の議論のテーマになり得るのだろうと思いますけれども、情報のバリアフリー化というような問題とはかなり違った側面があります。その点は事務局的には引き取らせて検討させていただければと思いますが、いかがでしょうか。

氏田座長 新谷委員、よろしいですか。

新谷委員 新谷です。
 第5小委員会というのはどういうことを議論するのですか。頭に入っていなくてすみません。

東室長 先ほど参考資料2、85ページでお示ししましたけれども、開けていただけませんでしょうか。第5小委員会の担当は、障害者基本法の住宅の確保、公共的施設のバリアフリー化ということで21条、情報の利用におけるバリアフリー化等ということで22条。
 郵便の問題は、情報の流通に関する問題だろうと思います。ある意味、郵便制度が障害者にとってちゃんと流通を問題なく担保してくれているかという観点から、その制度が問題で議論すべきであるということであれば、22条にも該当するのかなとは思うのです。
 ただ、従来のバリアフリーの議論とはまた少し違いますので、これを独自にやるかどうかについては事務局的に検討させていただければと思っているところです。

氏田座長 新谷委員、よろしいですか。

新谷委員 はい。

氏田座長 では、先ほどの石川委員からのご提案について、ご意見をよろしくお願いします。

石川委員 石川です。意見をもう一回申し上げます。
 前回の基本計画の7 情報・コミュニケーション(2)施策の基本的方向①情報バリアフリー化の推進には、各省庁、地方公共団体は公共調達において、障害者に配慮した情報通信機器、システムの調達に努力すると書かれています。
 つまり公共調達というアプローチで普及を進めていこう、そういうインセンティブを役務提供あるいは機器開発の企業に対して行っていくというアプローチを採用したわけなのですが、それについて効果が十分あったのかどうかというのを最初に質問しました。
 仮説としては、余りなかったのではないかということが前提としてあるわけなのです。そうすると、今回、論点③の22条情報バリアフリー化の推進は、情報通信機器・システムの研究開発及び成果の普及、字幕番組等の制作の促進、コミュニケーション支援体制の充実だけでは進まないと考えます。
 情報コンテンツを制作したり、それを役務として提供する側、つまり上流側について事業者の努力義務というだけでは進まないということを痛感するわけです。その場合に、国の施策として何かしら有効な手立てを講じるべきではないか、そのことを基本計画に入れられないかを論点③の中で検討する必要があると考えます。

氏田座長 後藤副座長、お願いします。

後藤副座長 ありがとうございます。日本福祉大学の後藤でございます。
 アクセシビリティは、権利条約にも頻繁に出ます。定義でも、9条、10条までの通則でも、後の各論にも常に入っている。これが従来の基本計画、基本法と今回の最も違う点です。
 その点、基本法の第何条かという整理では、間に漏れるところが出るのを懸念します。
 一方、法の条文でせざるを得ないのもわかります。御提案ですが、いろいろまたがるアクセシビリティをどう反映させるか、例えば通則、基本計画の全部に係る前文にきっちり書く。これも精神的規定だけでなく、全部に係る作用規定を入れることが大事と思います。
 41~45ページがその案です。よく出る議論ですが、国はちゃんと制度を用意していますが現場は固有の事情があったり財源の問題で結局できていない、ということがよくあります。現場的にフィードバックをかける、当事者がちゃんと意見を言えるようにして、それを聞いて公表すればコストをかけずにできます。42ページの半ばあたりです。
 43ページの「総合調整機能」。例えば交通のことは国土交通省で、権利条約の要請も含めて全部満たしているとコミットしていただけるのか。
 もしそうでなければ、内閣府が確認するか。それを押さえておかないと、折角個々の施策に取り組んでも漏れがあって権利条約が批准できない、ということになるのを心配します。その意味で総合調整機能と書きました。
 44ページの「全てをバリアフリーに」。住宅の国交省のストックの考え方は大変結構です。ただ、北欧では何分の何とかなるべく多くではなくて、全部をバリアフリーにしておくと結局安くつくという考え方です。
 「事業者の役割」も権利条約に書かれています。事業者に進んで取り組んでいただくよう促すのも今回の施策であっていいと思います。これも、全体にかかることです。
 同頁下の方に、「漸進的に進める」。できているいないで白黒をつけるだけでなく、最初から改善を計画に織り込んでおく考え方も大事という意味です。
 45ページ、「よい実践状況を整理して発信」。日本がこの分野は非常に進んでいます。各省庁の取り組みも事業者も進んでいます。ベストプラクティスと言いますが、国際的に発信して、よいことは褒める。この分野は特に日本が国際的に寄与できる分野です。
 これらはアクセシビリティならではの特徴です。それが第何条に当たる、当たらないというやり方では窮屈になりますので、当たらないなら通則のようなところで手当てしていただくことを事務局にお願いしたく思います。

氏田座長 よろしいでしょうか。
 河村専門委員、どうぞ。

河村専門委員 今の進め方のまとめ、大変私はいいと思うのですが、その際に、例えばアメリカではアクセスボードとかコミュニケーションボードとかという第三者機関に障害にかかわる部分にはきちんとPDCAサイクルが働くための保障としては、モニタリングにきちんとさまざまな障害者が参加して、その障害の立場からの意見も反映してそのサイクルが進んでいくというのが不可欠でありますので、そういったような、それを全く政策委員会の外に設けるのがいいのかどうかまた別なのですが、例えば政策委員会の機能としてそういうふうなものを確立することも含めて、いわゆる各条文に捉われない、全体に係るアクセスのPDCAサイクルを現実化する担保する方法も議論の中に含めていただけるのであれば、大変積極的な議論ができると思います。

後藤副座長 先ほど触れませんでした、45ページの下に書きましたが、権利条約の議定書を日本は従来批准しないそうですが、そこに大変大事な、河村専門委員から御指摘のありました、現場で個人や団体レベルで摺り合わせるプロセスが書かれてあります。それ抜きに、この委員会だけやっても日本は部分的な制度になりそうです。形式をどうするかは別として、機能は大変必要だと思います。

氏田座長 では、室長から。

東室長 今、お話になっている問題点は、論点としての具体的な中身についてお話しいただいているわけです。ですから、ある意味そういう話を各論点のところでしていただければいいのではなかろうかと思う次第です。
 この問題をずっとやっていれば、第2回目と第3回目の話を今やるということになりますので、そのときにしていただくということでいかがでしょうか。

氏田座長 ありがとうございます。
 石川委員からの公共調達というアプローチあるいはアクセシビリティということの部分での通則前文に書くという後藤副座長の御意見もございましたけれども、そのあたりも今後の第2回、第3回のところで、もともとモニタリングもする政策委員会なので、考えいきながらということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。
 関係省庁の皆様におかれましては、以上の議論も踏まえまして準備を進めていただきますように改めてお願いいたします。
 それでは、国土交通省及び厚生労働省以外の省庁におかれましては、次の御都合等がございますと思いますので、御退席いただいて大丈夫です。本当に今日はありがとうございました。
 引き続きまして、最初の論点に関する審議に入りたいと思います。論点①「障害者のための住宅の確保」について、まず、国土交通省及び厚生労働省より御説明をいただきます。
 国土交通省の方からお願いいたします。

坂本課長 国土交通省の住宅局、安心居住推進課長をしております坂本といいます。よろしくお願いします。
 資料は27ページから横になった使い方の紙ですが、第5小委員会国土交通省提出資料という資料7に基づいて御説明させていただきます。まず、国土交通省の各種施策、この住宅の確保も含めまして、先ほど進捗状況についてお話しいたしましたので、現在進めております施策などにつきまして御説明させていただきます。
 施策の前に、安心居住推進課長と名乗りましたが、この課ができましたのは昨年7月です。これまでは公営住宅を行っておりました住宅総合整備課という課で全体をやっておりましたが、昨年7月に障害者の住宅の確保や高齢者の住宅の確保あるいは子育てをしている住宅の確保、さらには災害などにおける被災者など、住宅のセーフティネットを必要とされている方のための住宅施策を専門に行う課としてできております。
 資料でございますが、47ページが表紙ですが、48ページ。時間も押しているようなので、施策のポイントをかいつまんでお話しさせていただきます。
 48ページは先ほど来議論になっております障害者基本法の20条、障害者基本計画について関連部分を書いてございますが、これは皆様御存じでしょうから飛ばしていただきます。
 49ページにつきましては、先ほど述べました数字などが書いておりますので、これも飛ばさせていただきまして、施策の方に入らせていただきます。
 50ページ、障害者のための住宅確保に係る施策といたしましては、50ページに書いてありますように、大きく2つ。1つは、セーフティネットの構築のうち、住宅の入居の促進、円滑化という入居関係。もう一つは、住宅のバリアフリーという構造の問題などであります。
 大枠ここで御説明させていただいて、また52ページから各制度について御説明させていただきます。
 目次的なものですが、まず入居に関しましては、大きく住宅の種類は公的賃貸住宅というものと、民間の方が供給される住宅がございますので、それぞれについて入居の促進の施策を講じている。
 もう一つ、住宅のバリアフリー化につきましては、先ほども住宅がストックという観点になってきているという御発言をいただきましたけれども、住宅のバリアフリー化というものにつきまして、予算制度、税制などによって推進しているというのが全体の枠組みです。
 入居の状況等のデータが次の51ページにございますけれども、これもまた後ほど見ていただければと思います。ポイントだけ申しますと、左側ですけれども、やはり障害者の方々の住宅としては、公営住宅が大きな役割を担っているということ。
 右側でありますけれども、公営住宅の入居状況ということでは、22年のデータは古いのですけれども、2万7,745人の方にお入りいただいているということであります。
 中身でありますが、52ページ、先ほど大枠を御説明したものについての中身であります。
 1番目に、公的住宅のうち中核を示す公営住宅につきまして、52ページに書いてあるとおりでありますが、公営住宅につきましては、先ほど地方のという話が後藤副座長からもありましたけれども、地域主権、こうした身近な行政は基礎自治体を中心とした地方の方で決定していくという流れの中で、いろんな基準とかが公共団体、県とか市の裁量になってきております。そうした中で、まず整備の基準でありますけれども、これについても参酌基準ということになりまして、国の基準を参酌して公共団体が自分で使用を定めるべきという形になっております。
 これにつきましては、そうは言っても後退されてはいけませんので、参酌基準としては私どもが示しておりますバリアフリーの基準を基本にしてくださいというお願いを技術的助言という形で、国の権限でできる限りの情報伝達をお願いしている。
 合わせまして、心身障害者の特に必要な設備工事などにつきましては、そのための補助、助成を増額するということをしております。
 当然でございますが、ストックとして新築だけではなくて、既にあるものにつきましても、例えばエレベータその他の障害者向けの介助等につきまして助成を行っているというところであります。
 真ん中の段、入居の資格でありますが、これも先ほど言いましたように、公共団体の裁量が大幅に大きくなっておりますが、公共団体の裁量によりまして居住の安定を図る必要がある。障害者の方などにつきまして、入居収入基準などは弾力的にできるということになっております。優先的にお入りいただくことにつきましても、公共団体の御判断でできるという形としております。
 もう一つは、直接公営住宅を住宅としてお使いいただくほかに、居住の確保の観点から、グループホームですとかケアホームなどとしてお使いいただくということですが、これも先ほど説明させていただきましたけれども、公営住宅法45条1項に基づきまして、公共団体がそうするべきであるとお考えであればできるという中で、下の表にございますような対象につきまして、現在は22年段階ですけれども、826戸をそうした形で使っていただいているということです。
 53ページがそれ以外の公的住宅でございます。それ以外の公的住宅と申しますのは、例えば昔の公団、今のUR住宅あるいは住宅供給公社が関連している住宅、あるいは公共団体が助成を行っている住宅などでございますが、特に後半の民間の事業者がつくるものについては、都道府県で認定を行って、公共団体が支援するものに国も助成する。社会資本整備総合交付金と言っておりますが、こうした形で地域優良賃貸住宅を整備し、供給を図っているところであります。
 この地域優良賃貸住宅につきましては、53ページの2に書いてございますが、入居者としては、高齢者の方、障害者の世帯、子育ての世帯などであります。
 このものにつきましては、家賃低廉化のための公共団体の助成に対しましても、私ども国として助成をしているということであります。
 53ページの一番下の箱に書いてございますが、これが今年度からスタートしております新しい事業でございまして、民間賃貸住宅の活用についてということで、括弧書きで民間住宅活用型住宅セーフネット整備推進事業という事業を今年からスタートしております。これは市場にあります民間の住宅の中でも、空き家もあるだろうと、現に出てきているという現状の中で、これについてバリアフリー改修とか、そうした改修をしていただいて貸すということについて支援していくところでございまして、これは国が直接補助を入れております。
 改修補助の3分の1以内、かつ100万円以下ということで、100万円程度の国が直接賃貸住宅を管理している方にお支払いしてこれを使っていただく。一番下のところに書いてございますが、管理の要件としては、10年以上とか、家賃が周辺水準ぐらいであることという条件に加えて、一番下の箱の真ん中ですが、入居の条件として、まず最初は障害者の方、高齢者の方、子育て世帯、低額所得者の方、公営住宅を必要とされているような方、こういう人にまず募集してください、その人たちが優先ですという使い方をすることを条件に付しております。
 次、54ページ、関連いたしまして、1といたしまして居住支援協議会と書いてございますが、御存じのように、平成19年に、いわゆる住宅セーフティネット法、正式には住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律という法律ですが、これは議員立法でつくっていただきました。この法律の中で居住支援協議会というものが位置づけられておりまして、この居住支援協議会は、大きな四角の中に書いてある右のところですけれども、不動産など住宅の賃貸とか供給に関係するような団体、右側にありますような居住を支援していただいているNPOでございますとか社会福祉法人などの団体、当事者であります公共団体、この人たちが協議会をつくって、住宅の状況などについての情報提供などを取り組んでいくというものであります。
 現在、この住宅に関する情報の提供につきましては、こうしたところで収集し、また提供することに力を注いでおりますが、先ほどお話しました、この54ページでいきますと一番下のところにもう一回先ほどの事業が出てまいりましたけれども、今の事業をやっていただくに当たりましては、この協議会をつくって、そして空き家の持ち主に補助を行って、条件としては住宅を必要とされるセーフティネットが必要な人たちに供給してくださいという枠組みで進めております。
 これに伴いまして、先ほど実は安心賃貸住宅支援事業が22年度廃止されましたと言いましたが、これは安心賃貸住宅支援事業というのは22年に廃止いたしまして、この法律に基づく居住支援協議会を支援しながら、同時に今言いました、改修による賃貸住宅活用のための民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業を始めたということであります。
 以上が公的あるいは民間の住宅の供給そのものの部分であります。
 次に、バリアフリー化が55ページであります。
 住宅のバリアフリー化につきましては、先ほど言いましたように、公営住宅の基準や入居などにつきまして、地方の主体的な判断が非常に重くなりまして、基本的には国が口出しすべきではないというような状況になっておりますが、基本的にはこういう考え方がいいでしょうということで、後退しないように参酌の基準を示して、同時にこれを基本としてくださいということで技術的基準を示しているということであります。
 改修工事等についても、助成あるいは公営住宅のグループホーム等の使用に当たってのバリアフリー改修に対する助成などを行っています。
 下の段ですが、先ほど申しましたように、民間の住宅についていろんな条件をかけて、お使いいただくものに対する助成制度が本年から始まっておりますが、あわせましてバリアフリー改修につきましては、下の箱に書いてございますような、バリアフリーに関する税制などを通じて支援を行っているということであります。
 先ほど飛ばしてしまいましたが、54ページの真ん中の段の家賃債務保証につきましても、本日は来られていませんが、髙橋先生に理事長をやっていただいております高齢者住宅財団におきまして、未払い家賃や原状回復等に係る保証制度をやらせていただいているところでございます。
 最後、56ページ、居住支援協議会でもお話ししましたように、何分先ほどの御意見の中にもありましたが、住宅だから住宅部局だけでやれという話ではございませんので、私共は厚生労働省さんとも情報交換などもやりながら、地方でも、また国でも、一緒になって仕事をさせていただいておりますということを56ページで述べさせていただいております。
 簡単でございますが、国土交通省から以上でございます。

氏田座長 ありがとうございました。
 厚生労働省から引き続きよろしくお願いします。

阿萬室長 障害福祉課の阿萬でございます。
 それでは、私から引き続き御説明をさせていただきます。私もできるだけポイントに絞って、一部の資料は飛ばさせていただきます。
 60ページから説明させていただきます。基本的な考え方を申し上げますと、障害のある方々が普通に暮らせる地域づくりをするために、まずは3つのポイントがあると考えております。住まいの場の確保、さらに日常生活を支える相談支援体制の整備、関係者の連携によるネットワークの構築が必要であると考えております。
 本日は、相談支援体制とネットワークの確保につきましては、少し割愛させていただきまして、住いの場の確保ということで、ケアホームとグループホームについての説明に絞って今から御説明させていただきます。
 61ページ、これは施設に入所されている障害者の方々の地域生活の移行に関する情報の調査を行った結果でございます。一昨年、22年10月から昨年23年10月の間の入所者の方の数。これは一部被災地域などのデータがとれていないところがございますが、大体イメージとしてこれぐらいだと思っていただければと思います。
 それで見ますと、減少は約2,300人ということで、見ると少ないのですが、実際にはこの1年間で1万人強が退所されております。ただ、新規入所される方が約8,000人弱おられますので、差し引きで減少幅が約2,300人になっているということでございます。
 その中で対象者の方々の居住の場の内訳を見ると、地域生活に移行されている方々の数が約5,000人弱、4,836名おられまして、その中で約半数がグループホームまたはケアホームに入居されております。共同生活介護というのがケアホームで、共同生活援助というのがグループホームでございます。そのような形で厚生労働省といたしましても、グループホームとケアホームの整備が今後とも重要になるものと考えております。
 62ページにはグループホーム、ケアホームの概要を入れておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
 63ページは、グループホーム、ケアホームの利用者数の推移ということで、先ほども少しお話をいたしましたが、平成23年度の実績で7万1,866人分の整備、実際実績がございます。これにつきましては、各自治体が作成した障害福祉計画を取りまとめた結果、平成26年度には9万8,080人分を整備するという見込みになっておりますので、その意味で今後とも必要がある施設であり、ふやしていくべきものという判断をしております。
 64ページ、これは平成22年12月に成立いたしました、いわゆるつなぎ法の概要でございますが、その中でグループホーム、ケアホームの関係で一つありますのが、全部で6項目に分かれておりますが、最後の6番目、地域における自立した生活のための支援の充実ということで、グループホーム、ケアホーム、利用の際の助成制度を創設しております。この内容につきましては、66ページに入れております。市町村民税の課税世帯は除きますが、それ以外のグループホーム、ケアホームの利用者の方々に対しまして、家賃を助成対象として利用者一人当たり月額1万円を上限とする助成を行っている。これは昨年23年10月1日から助成を進めております。このようなことも組み合わせて、障害者の方々がグループホーム、ケアホームに入居がしやすくなるような環境を整えていきたいと考えております。
 引き続きまして、67ページ、今年の6月に成立しました総合支援法の内容でございますが、その中で概要の1~6の「5.障害者に対する支援」の①~④の②ケアホームのグループホームへの一元化ということで、今回の法律、総合支援法によって一元化を今後行っていくということにしております。
 一元化の内容につきましては、69ページに資料を付けております。まず、基本的な考え方といたしましては、今後、ケアホーム、グループホームに入居されている障害者の方々の高齢化ですとか重度化が進むということを背景としまして、例えばグループホームについては、基本的には介護が必要のない方の入居を想定しておりますが、そこに介護が必要な方が入居される場合、またはグループホームに入居されるときには、介護が必要でなかったけれども、その後、介護が必要となるケース。そういう場合が増加することが見込まれておりまして、それもございまして、実際にそれぞれの事業所で見てみますと、グループホームとケアホームの一体型の事業所が半分以上を占めているという状況でもございます。
 そのような中で、今回の総合支援法に基づきまして、施行は再来年26年4月1日からになりますが、ケアホームをグループホームに一元化して、グループホームという形にする。その上で運用上の見直しを2つ大きくございます。1つ目が、外部サービスの利用規制の見直し。これはこれまではケアホーム、介護の機能がついているケアホームについては、ケアホームとして責任を持って介護を提供するということを必要としておりましたが、今回の運用上の見直しの中で、外部のヘルパーさんですとか、居宅介護事業者と連携することなどによりまして、利用者の状態に応じた柔軟なサービスの提供を行うということを検討しております。
 なお、当然これにつきましては、既に入居されていますケアホームの中で、職員の方と例えばなじみの関係になったりして、ケアホームの形でのサービス提供をしてほしいという要望、希望も当然あると思いますので、そういうことも実際には選択できるようにして、柔軟な形での対応ができる方向で検討しております。
 さらに、サテライト型住居の創設というのがございます。これはこれまでも例えばアパートなどを利用する形でのグループホーム、ケアホームの設置は可能でございましたけれども、1人で暮らしたいというニーズにもうまく応えるということを考えまして、実際、本体の住居、ケアホームですとかグループホームがある場合に、それとの連携を前提としまして、サテライト型住居と呼んでおりますけれども、そのグループホーム、ケアホームの近辺の例えばアパートなども含めた形でのグループホームということで一体的な運用をできるようにするということも考えております。これも含めて、できる限り柔軟な形での設置が行えるようにすることで、より選択肢をふやしていくということでございます。
 70ページ、これはグループホーム、ケアホームの施設整備に対する助成制度ということで、中身はごらんいただければと思いますが、基本的な考え方として、今後、設置を進めていく必要があるという観点で、厚生労働省としましても、予算を確保しているということでございます。
 さらに71ページ、72ページのところをごらんいただきますと、71ページにつきましては割愛いたしますが、先ほど国土交通省さんの方からも御説明がありましたものと同じような内容でございますが、72ページに当省と国土交通省さんの方の協力について同じ内容を入れておりますので、後でごらんいただければと思います。
 とりあえず私の方からは以上です。
 引き続きあります。

君島室長 1点だけ追加で申し上げます。自立支援振興室長の君島でございます。
 日常生活用具給付等事業というのが地域生活支援事業の中にございまして、介護保険でもあります、いわゆる住宅改修、軽微なものでございますが、既存のものの購入あるいは改修工事費を対象としております。
 例えば手すりの取り付け。既存のものを取り付けることでも結構ですし、工事を伴うものでも結構でございます。段差の解消、すべり止めあるいは車いす等の円滑な床面の改修等々でございます。観音開きだったものを引き戸に改修するとか、和式のトイレを様式のトイレに改修するとか、そういうものについては日常生活用具給付事業で対象としております。この具体的な範囲につきましては、市町村の方で判断をするということになっております。
 以上でございます。

氏田座長 御説明ありがとうございました。
 では、ただいまの御説明を踏まえて、御意見、御質問を受けたいと思いますが、その前に皆さんから文章で既に御意見を頂戴しておりますので、後藤副座長の方で皆さんから頂戴した御意見の特徴について、簡単にまとめていただいています。

後藤副座長 ご意見を整理しますと、75~82ページですが、6つほど論点があるかと思います。
 最初の3つは住宅に関してです。
 公営と民間に共通することが1点目で、川内専門委員、新谷委員、氏田座長などですが、こういう整理もあっていいのではないかという御意見、あるいは障害種別によって個別性があるので、メニューを柔軟に対応してはどうか。ちゃんとやっているのを認証するような、星を付けたりして認証してはどうか。共同住宅の共有部分は規定があっても個別部分は規定がないという御指摘。
 2点目は公営住宅に関して、石野委員、川内専門委員が中心ですが、一定割合を障害者対応、バリアフリーを確保する、公営であるがゆえに誰が入るかわからないので、個別対応が難しい問題があるとの御指摘。
 3点目は民間の住宅で、経済的な負担や、聴覚障害者が対象外である問題。改造費などがむしろ高くかかる場合もある。新谷委員、石野委員、川内専門委員の御指摘です。
 4点目はグループホームとケアホームに関して、光増専門委員から、その必要性、安全性、立地の問題。反対運動が起こるのに対して政府の啓発が必要、これは川内専門委員からも御指摘がありました。
 5点目はソフト的なことで、氏田座長から、介助、サポートする人の確保あるいは制度の充実をという御指摘でした。
 最後はそもそも情報がないのでマッチングできない。どこにそういう住宅があるかわからない、川内専門委員から御指摘です。例えば20歳を過ぎれば1人で暮らせるようにと、出口を押さえる表現で、氏田座長から御指摘です。こういう6つの論点があるかと思います。
 以上です。

氏田座長 委員の皆様からの御意見、御質問も含めてどうぞ。
 光増専門委員、竹下委員、順番にお願いします。

光増専門委員 障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会の副代表の光増と申します。
 私の今の住宅問題に関する意見は、81ページ、82ページに書かれていますけれども、今日は厚生労働省、国土交通省等の関係者も来ているので、全国的にグループホームでどういう問題が起きているかということをまとめてお話しして、もしお答えできればお答えしていただきたいと思っています。
 グループホーム等の必要性に関しては、障害者計画等でもこれからどんどんふえてくることは間違いありませんし、今年の3月末現在で7万1,866人の方がグループホームで暮らしています。昨年10月からグループホームの家賃助成1万円がついたことによって、そういうところも加速した要因の一つではないかと思います。ただ、地域差があって、北海道のように家賃が安いところもあれば、東京みたく家賃の負担がすごく高いところもあるので、そういう格差を是正するような方策も今後必要かと思います。
 グループホームの安全性に関しては、高齢者のグループホームもそうですけれども、消防法の改正があり、電動式の自動火災報知機や消防への通報装置などの義務づけがなされ、これは当然のことですけれども、ただ、今全国で混乱していますのは、建築基準法上での用途変更を特定行政庁の判断で寄宿舎にしなければグループホームとしては認められないということのハードルがすごく高くて、先ほどの厚生労働省の資料にもありましたように、グループホームは借家で借りているところが圧倒的に多くて、4~5人で暮らしている一般の住宅で生活しています。しかし、そこに寄宿舎基準の用途変更を求める工事をすると、200~300万かかる場合があって、ある意味ではこの規制がすごく厳しくなると、グループホームが地域の中で暮らすという目標を損なうことにもなるのではないかと思います。
 先ほど厚生労働省の資料の中でいろいろな補助金の制度もありましたけれども、それだけでは7万人が住んでいる現状を改善するのはすごく難しいと思います。でも、地方では、なかなかどういう解釈で寄宿舎にしなければならないかという説明がなかなかなされないところがあって、聞くところによると、日本建築行政会議の取扱いの原則的な取扱いという表現で都道府県市町村に下されて、それをまともにやろうとする自治体はこういうふうにやらなければならない。
 しかし、現実的にはそれは不可能だと解釈する自治体は、新築とか改築のとき、そういう基準にすればいいという解釈で、この解釈基準を巡っても、都道府県との温度差があって、それはぜひ国土交通省と厚生労働省が力を合わせて、安全な住宅はどういうべきかという論議をして、必ずしも寄宿舎だけの基準が安全ではない人的な基準だとか、防火の基準がクリアいれば用途変更は要らないのではないかとか、そういう論議をぜひ展開していただきたいと思っています。
 今の自立支援法では、一住居2~10人というユニットになっていて、それが拡大解釈して同一敷地内に2ユニット20人の建物が2つあって40人とか、そういう集約化、大規模化しているのは、我々がこれから論議する障害者の権利条約に即して、障害のある人が地域で住むというのとは逆行する影響も出てきているのではないかということで、住いの立地はどうなのかということもぜひ検討していただきたいと思っています。
 あわせて、ほかの委員からも出ていますように、この間、非常に全国でグループホーム、ケアホームを設置する市民の反対運動が起きています。基本的には障害のある人が町で暮らすのは賛成するけれども、どうして私どもの町内会に設置しなければならないかという地域住民のエゴで反対しているところがすごく多いと思います。
 意外と市町村あたりは平等性のもとに関わらないということもありますし、あるいは国庫補助の基準では、今は文章化、明確化はしていませんけれども、以前、地域住民の理解を得るような資料の提出等もあった関係で、例えば国庫補助のグループホームをつくるとき、地域住民にどういう説明をしたかという項目があって、それは地域住民だから町内会に説明したら、そのことで反対が起きているという事例もあります。
 もう一つ、今、地域主権の問題でいろんな基準が各県に条例化されてパブリック・コメントを求めていることもあったり、終わっているところもありますけれども、残念ながら幾つかの県で、施設敷地内あるいは精神科病院内の敷地内でも、条件をつけてグループホームの設置を認める条例案が幾つかの県で出ています。これはすごく大きなことで、県のパブリック・コメントの説明では、地域住民の理解が得られないからとか、重度の障害者が地域で暮らすと聞いたとか、地域移行を促進するためとか、そういう理由づけで敷地内を認めるという考えでパブリック・コメントを求めています。これは全然筋が違うことで、ある県によっては、そういうことをすることによって、今まで指定基準が例えば敷地内にグループホームをつくった場合、フェンスとか壁をつくって敷地内でなくするとか、そういう経費がかからないから同一敷地内を認めるというような意見を出すことすらすごく矛盾を感じているところがあります。
 そういう問題もぜひ基本計画をつくるときに、きちっとした方向性をぜひ出していただきたいなと思っています。
 以上です。

氏田座長 竹下委員も関連の御質問でしょうか。

竹下委員 今の話とは直接関係ありません。

氏田座長 では、厚労省に先に御質問の部分もあったのでお答えいただいても構いませんか。よろしくお願いします。

阿萬室長 国土交通省さんの方とも関係する部分があると思いますが、まず私の方からお話をさせていただきます。
 建築基準の話につきまして、寄宿舎の基準が適用されるという話があったと思います。また後で国土交通省さんの方で後で答えられると思いますが、我々の方としても、今後国土交通省さんとも連携しながら検討していくことであるとは考えております。
 あと立地の関係での御指摘もございました。確かに現行の基準では、同じ敷地内に複数の建物を建てることについては基準に違反しているということでもございませんので、なかなかそれについて今の段階で厚生労働省としてそれはだめだという話にはなっていないというのは事実でございます。そのようなことも含めて、
 なかなか実際整備をしていく上での整備を進めるという観点もございますので、そういうところも踏まえながら、今後どのような形で整備のあり方を考えていくかということだと思っております。
 あとは地域住民の方々の反対があるというところにつきましては、確かにそのようなケースがあるということは我々も聞いているところでございます。それにつきましては、今回の総合支援法の設立において、地域生活支援事業の一環として、そういう地域住民の方々の意識啓発ということを自治体が行われた場合に、それについて補助を行うということを進めたりとか、我々もしております。基本的にはそういう地域住民の方々の御理解をいただけるような形で進むことが望ましいと考えておりますので、そういうことも含めて、我々としても自治体の方に今後取り組みをお願いしていきたいと考えております。
 以上です。

氏田座長 お願いいたします。

坂本課長 建築基準関係の話がございまして、これは私どもの責任分野なので、こちらからお答えさせていただきます。
 まず、統一がばらばらではないかというお話ですと、それは確かに問題がありますので、私も担当そのものではないので直ちにお答えすることはできないのですが、そういう課題があったことは引き取らせていただいて相談してみたいなと思います。
 日本建築行政会議というのは特に全国的にばらばらな基準が適用されないようにみんなで議論して運用を決めていく部分でありますので、そこにも多分お諮りする必要があるのかというのが1点。
 安全に関する基準の部分につきましては、先ほど委員が安全な居住の場とはどういうものか。住宅と言えるかどうかわからないのですが、どういうものかというのがありますので、その観点からきっちり見る必要があるのかなと。
 ここから先は推測なのですけれども、事件として、障害者の方ではないのですが、高齢者で介護が必要な方が集まっている施設が火災を起こして、そこにいた人間が助け出せなくてみんな亡くなってしまったという事件も現にございましたので、誰がお住まいかということではなくて、寄宿舎として扱うというのは、共同住宅とか寄宿舎とか、病院などのように人が寝泊りをするところにつきましては、特に火災時における安全性は非常に従来から厳しく見られているということはございますので、だからだめだということではないのですけれども、そういう観点も含めてどういうものならば安全でいいのではないかというあたりを詰めていく必要があるのではないかとお話を聞いた限り感じました。
 いずれにしても持ち帰らせていただいて、その問題提起。特に場所によってばらばらではないかということは問題でございますので、そこら辺、1回持ち帰らせていただいて検討させていただきたいと思います。

氏田座長 では、よろしくお願いをいたします。
 光増専門委員、どうぞ。

光増専門委員 聞き間違ったら困るので、厚生労働省の先ほどのは、敷地内は基準に違反しているのではないという説明でしたか。

阿萬室長 はい。

光増専門委員 省令には、こういうふうに書いてあるのです。グループホーム等は住宅地または住宅地と同程度の利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあり、かつ入所により日中及び通所を通してサービスを提供する施設または病院の敷地外にあるようにしなければならないと省令では書いてあるのです。これで今までは認められないという解釈をしていたのです。

阿萬室長 すみません、私の説明の仕方が足りませんでした。私が敷地内と申しましたのは、同一の敷地内に複数の施設があるなどして、大規模なグループホームになっている場合があるのではないかというお話があったところについてのお話です。
 病院の敷地内に建てることがだめだということにつきましては、先ほども同じような話が出ておりましたけれども、引き続き我々としては基本的には余り望ましくないということで、同じく参酌すべき基準ということで国としては示しております。
 そういう意味で、そういうことはできるだけない方がいいというお考えではおりまして、そういう考え方を都道府県の方々も示しておりますけれども、まさにそれは地方分権という考え方の中で、そこのところについては自治体の判断がある意味優先するという形になっているということで、そのような形になっているものと考えておりますので、説明の仕方が申しわけございませんでした。

氏田座長 光増専門委員、よろしいですか。
 竹下委員、お願いいたします。

竹下委員 竹下です。
 3点、簡単に全部終わります。
 1点目は、バリアフリー化という今の国交省の話と、もう一つは、地域生活支援事業の日常生活用具のところでのバリアフリー化のための個人の入居者向けの助成等との関係です。これは結論から言えば、ばらばらの行政になっていると思うのです。せっかく基本計画の議論をするのですから、この部分が統一的に実行されるようにしていただきたい。すなわち、例えばバリアフリー化の基準を全体のものにしておけば、それに沿って民間賃貸住宅のバリアフリー化がされるだろうし、逆にされていない場合については、日常生活用具のところでのバリアフリー化のための十分な補助ができるようにするべきなのです。市町村にそこはお任せというのでは、そうした統一ができないわけでありますから、ぜひ基本計画の中で解決できるようにしたい、これが1点目です。
 2点目は、住宅の確保のところで、高齢者については一定法律的な解釈を図ってきたわけですが、不承認の問題は非常に重要なのです。単身障害者が民間賃貸住宅に入居する場合の保証人確保というのは極めて困難であるというのが実態であるので、そうした支援を組織的あるいは法的に解決する必要があるのではないかと思います。
 3点目は、ケアホームとグループホームが一本化されるという説明があったのですが、重要なのは、今度の改正で適用範囲が身体障害者に広げられたことなのです。これは極めて重要でして、社保審の障害者部会で強く身体障害者の団体から要請があったことからここまで法律の改正が進んだわけですが、ところが、実際には身体障害者の入居、とりわけ聴覚障害者や視覚障害者がグループホームに入所する場合には、今の厚労省の入居要件、条件は極めて厳しいもので限定されているということになります。
 その点で、この住宅政策の上では、身体障害者全般が視覚障害者、聴覚障害者を含めてグループホームが大きく需要が促進されるような改正が必要だろうと思っています。
 以上です。

氏田座長 厚労省からコメントをいただけますか。よろしいですか。

君島室長 日常生活用具のバリアフリー改修ですが、御指摘のとおりだと思います。問えば介護保険の場合ですと、ケアマネージャーさんが入りまして住宅の中をちゃんと見て、それをまた業者に頼むというような方向、いわゆるケアプランの中での1つの住宅改修という制度だと思います。
 そういう意味では、国交省さんの制度とうちの制度をバランスよくうまく使えるように、だれがやるのかというところは正直言ってあいまいです。市町村と言っても、市町村の役場の人間が行くとは想定できませんので、御指摘のとおりで、その辺を一緒にやるというところを進めていきたいと思います。ありがとうございます。

氏田座長 ありがとうございました。ほかに御意見ありますか。
 川内専門委員、お願いします。

川内専門委員 東洋大学の川内です。
 先ほどの御説明で、国交省でさまざまな施策を打っていらっしゃるということは了解したのですが、東室長は熊本から東京に出てこられたわけですが、どうやって住宅を見つけられたかというのは私は存じませんが、私が東京に出てきたときには、相当苦労しました。何回も上京して、私は建築の専門家でありますから、どういうふうに改造すればいいかというのも不動産屋に自分で指導しながら見つけてきたわけです。
 それは十数年前、20年近く前ですが、では、現状、それがよくなっているかというと、少しもよくなっていないわけです。これについてどうして日本の住宅はこうなってしまったのかということについて、国交省の見解をお聞かせいただきたいと思います。

氏田座長 お願いできますか。

坂本課長 非常に重たい課題なのですが、今、直ちにどうなのだろうということについて答えろと言われるのは難しいので、持ち帰らせてください。私もなぜこうなっているかというあたりなどをこうでしょうと無責任に言えるだけの情報を持っておりませんので、申しわけないです。

川内専門委員 川内ですが、その認識がなくてどうしていろいろな施策が打てるのでしょうか。その認識のもとで、その問題点を何とか是正するためのさまざまな施策ではないのでしょうか。現実に今施策を打ってらっしゃるということは、何らかの問題意識を持っていらっしゃるからだと思います。そのあたりを説明していただければ。難しい質問ではなくて、根本的な質問です。

坂本課長 どうしてこうなったのかということについて、歴史的に説明はできないのですが、確かにそういうお困りになっている状況があるだろうということはわかっております。それについては、それぞれの状況に応じた住宅を供給するという機能を誰がちゃんと果たせるのかということについては、とりわけ公営住宅というものにかなり期待しながら進めているというのが現状であります。
 公営住宅以外の民間の住宅でどういうことをやればいいのかというあたりは、実は現在模索中でありますので、先ほど説明の中には入っておりませんでしたけれども、どういった形で供給すれば的確に供給できるのかということについて、現在、民間の方々のお知恵もいただきながら、先導的な事業というものについて、モデル的に助成をしながら現在進めているところでございます。
 申しわけございませんが、今のところ公営住宅を活用していただくのが具体的な手段になっており、それをさらに進めるということについては、どういうふうにやればやっていけるのかということについて、現段階ではまだ模索中の段階でございます。

氏田座長 川内専門委員、どうぞ。

川内専門委員 川内です。
 時間がない中でまとめて申しますと、実は公営住宅に重点を置くという考え方が間違いではないかと考えています。公営住宅については、確かに一定のアクセシビリティが整備されたものがありますけれども、一旦そこに誰かが入居し始めると、その人を追い出してより重度の人が入るとかということはまずあり得ないわけです。そうすると、世の中ストックの時代だとは言われていますけれども、民間賃貸住宅をいかにしてレベルの高いものにしていくかという施策がない限り、障害のある方々の住宅不足というのはいつまでたっても解決できないであろうと考えています。
 そのやり方としては、1つは現在は公営住宅でもかなり実現していますが、ベーシックなアクセシビリティ、例えばフルフラットにするとか、入り口の框部分は別にして、ほかの室内をフラットにするというところまでは公営住宅は出てきていますが、そういうものを民間住宅までどういうふうに適用していくか。そして、障害のある方が入居すると、どうしても個別の改造というのが出てきますから、個別の改造をいかに柔軟にするか。これは民間住宅に対してもです。
 もう一つは、原状復帰ということがありますが、必ず原状復帰というものが出てきますので、それをどういうふうに本人に多大な負担がないようにするか。先ほど介護保険などでケアマネが中心になって住宅改造をリードする、指示を出していくというお話がありましたが、ではケアマネの中で住宅改造がちゃんと理解できているケアマネがどれほどいるのかというのはまた別の問題だと理解しています。
 人材養成も全くおくれているとか、ほとんどなされていない。この中でお金だけをふやしていくというのは、ただただ無駄に使っていくことになりかねない。本人に対して余り役に立たないような手すりをたくさんつけるということが、果たして本人に適した住宅改造なのかというのは別問題であると思います。
 ですから、人材養成も含めて、総合的に民間住宅をいかにしてレベルを上げていくかということが実は重要なのだろうと考えています。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございました。次の意見をどうぞ。
 石野委員、どうぞ。

石野委員 全日本ろうあ連盟、石野です。
 1点目は確認、2点目は質問になります。
 住宅改修に関してですが、先ほど御説明のように、障害者全てを対象とすることですが、聴覚障害者の場合、住宅改修の助成金制度に含まれていません。それを確認したいと思います。
 2点目は、グループホーム、ケアホームですが、入居者の年齢制限があるかどうかを質問したいと思います。といいますのは、滋賀県に例がありまして、65歳を超えた聴覚障害者がグループホームに入居したいと申し出たところ、65を超えているので介護保険絡みで入居できないという行政の判断がありました。本人はグループホームに入りたいという意向でした。大変残念な例を聞きましたので、御質問いたします。
 以上です。

氏田座長 厚労省からよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

阿萬室長 それでは、今の滋賀県の事例につきまして、御説明をします。
 御指摘のとおり、身体障害のある方の場合には、65歳以前に障害福祉サービスを受けているということが入居の条件になっているということでございます。この点につきましては、今、御指摘も伺いましたので、ケアホームとグループホームの一体化、一元化を図っていく中で、具体的な要件のあり方などについても今後検討していきたいとは思っております。
 以上です。

君島室長 補助制度の話ですが、国の制度なのか、地方公共団体の独自の制度なのか、私どもの方で確かめるあれがないので、1回引き取りまして説明したいと思います。

氏田座長 石野委員、よろしいですか。

石野委員 石野です。
 もう一点、介護保険絡みの点で今後確認していただくということになると思いますが、見通しとしてはどうでしょうか。どのようにお考えでしょうか。本人が非常に困っているという現状がありますので、御見解をいただきたいと思います。

阿萬室長 ケアホーム、グループホームへの入居の条件の話でしょうか。
 年齢制限の話につきましては、現状ではそのようなルールになっているということは事実でございます。そこについては、御指摘を踏まえて検討させていただきたいと思いますが、それにつきまして今の段階でどうするというところについては、今の段階ではお答えすることは困難であります。

氏田座長 どうぞ。

石野委員 緩和する方向で検討していただきたいと望んでいます。

阿萬室長 当然そういう御趣旨だと思いますので、その御趣旨はきちんと受け止めさせていただきたいと思います。

氏田座長 すみません、1点質問なのですが、今、65歳前にお入りになっている方はそのままということでよろしいのでしょうか。

阿萬室長 65歳前に障害福祉サービスを受けている人については、引き続き利用ができるということです。

氏田座長 石野委員、よろしいですか。
 では、髙橋専門委員、よろしくお願いします。

髙橋儀平専門委員 東洋大学の髙橋です。
 障害者基本計画の中で、地方公共団体の基本計画にときどきかかわるのですが、その中で住宅の確保は非常に欠落していると思います。欠落している理由は何かといいますと、住宅の確保と住宅のバリアフリー化が分離されているのです。今日の説明でもそうですけれども、住宅の確保というと、グループホームですとか施設居住ですとか、今で言うとケアホームですとかそういったようなことになりますけれども、むしろ基本計画であれば一体的に扱わないといけないのではないかと思います。
 私は、同じ職場なのですが川内専門委員と別な考えで、公営住宅こそ基本にすべきだと。これが非常に地方公共団体の公営住宅は形骸化しています。ほとんど障害を持っている方が居住の改善ができない。これは先ほどの基準の問題一つにとってもそうですけれども、自治体が参酌するというお話がありましたが、これができていないのです。本当に地域生活の骨幹を脅かすような側面もあるので、何人かの委員が出ておりますけれども、公営住宅の基本的な数値目標、まず住宅の確保であれば、公営住宅で確保すべき。それに対してむしろ民間住宅に対してどういうふうにサポートするか。そこの一体的な連携をとるような施策を展開すべきではないかと思います。これはもう少しちゃんと議論しておいた方がよろしいのではないか。
 計画の中にもありますけれども、防災との問題です。公営住宅の中での障害を持っている人たちの居住の問題と、地域防災計画のあり方の一体的な運用をもう少しきちんと議論しておかないといけないのではないか、その2点だと思いました。

氏田座長 時間が過ぎましたが、どうしても意見をという方がいらっしゃいましたら、お受けしたいと思います。
 川内専門委員は今の点はよろしいですか。
 中野専門委員、どうぞ。

中野専門委員 慶応大学の中野です。
 2点だけ。
 1点は、民間における入居の拒否に関する話なのですが、入居を拒否する際に、さまざまな人権の侵害に当たるような話が事例としてはいろいろ出ておりまして、そういった入居の拒否や、その際にかかわる例えば視覚障害があるので火を扱うというのは危険なので、入居を拒否するというような根拠のないようなことを言われて、非常に嫌な思いをしているケースがありますので、そういうことに関する指導等が今後どう考えられるかということについて1点です。
 もう一点は、住居だけの話ではないのですが、例えば障害のある学校の教員が転勤を言い渡されるときに非常に困った事例があります。今の学校では住居が確保できているけれども、転勤先にはその住居が確保できないということで困っているケースがありまして、そういったケースは多分狭間の問題になると思いますので、そういうケースを住宅で考えていくのか、それとも別なもう少し柔軟な方策で考えていくのかという視点も狭間の問題として考えていただけるとありがたいのかなと思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 厚労省の方から何かコメントはございますか。よろしいですか。

君島室長 厚労省ではないと思います。というのは、ここにお集まりの皆さんは御存じのとおりの差別禁止に向けて内閣府も努力しておられると聞いております。いずれも合理的配慮の問題でありまして、家主が行う合理的配慮ですとか、そういうのは当然民間の方々にもかかわってくるわけで、この内閣府の政策委員会も議論がそういうところに役立ってほしいと願っております。

氏田座長 ありがとうございます。
 時間が過ぎてしまって申しわけありません。御質問の方もかなり多かったので議論が十分な時間をとれていないのではないかと案じておりますが、副座長が今、皆様の御意見をまとめていますので、確認の意味も含めて少し説明させていただいて、終わりにしたいと思います。

後藤副座長 第5小委員会は3回開催ですので、残り2回です。終わると小委員会ごとにまとめて、それを「障害者政策委員会」に報告して、それが基本計画をつくるときの各省の参考になる手順です。2回目、3回目は次の議題をやりますので、基本は今日やったことは、次はしない、よほどの宿題が残れば別ですが。事前にいただきました意見の6点が骨格で、さらに膨らみのある御議論もいただきました。
 特にアクセシビリティ、バリアフリーの問題は、自治体ごとに運用が違ったりばらばらであると竹下委員から出まして、国は持ち帰る、自治体を横通しする機関に問題を提起すると御答弁いただきました。住居改造とそれに係る機器給付制度は、両省でできる縦割りの改善も、やっていくとお答えいただきました。ほかにも持ち帰って御検討いただけることがありました。
 次回か次々回のこの場と最後に、何かの形でまとめます。委員からでも各省からでも、まとめるときにはこういう点を酌んでほしいという御意見などありましたら、事務局や座長、副座長にいただければと存じます。ありがとうございます。

氏田座長 どうもありがとうございました。省庁の皆様、ありがとうございました。これで本日の議題は全て終了いたしました。次回の日程等につきまして、東室長より御説明をお願いいたします。

東室長 担当室の東です。
 今日はどうも御苦労様でございました。
 次回、第2回会合は11月12日月曜日の午前10時から12時の予定でございます。時間帯が違いますので、お間違えのないようにお願いします。
 以上です。

氏田座長 それでは、これをもちまして、第5小委員会の第1回の会合を終了いたします。皆さん、長時間ありがとうございました。