障害者政策委員会第1小委員会(第2回)議事録

平成24年10月1日(月)
13:30~15:30
中央合同庁舎4号館220会議室

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

三浦座長 時間となりましたので「障害者政策委員会第1小委員会」の第2回会合を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙中お集まりをいただきまして、まことにありがとうございました。本日の会議は15時30分までの2時間を予定しております。
 なお、出欠確認でございますけれども、本日は、棟居副座長、嘉田委員、宮﨑専門委員が御欠席でございます。
 小委員会の開催に先立ちまして1点お願いがございます。
 第1小委員会におきましても、情報保障の観点から、「障害者政策委員会」と同様に各委員の発言を求めるときには、まず挙手をしていただき、指名を受けた後に御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようにお願いいたします。
 まず、議事に入ります前に、本日の議題、そして資料について、事務局の東室長より御説明をお願いいたします。

東室長 どうも御苦労様でございます。担当室の東です。
 議事次第がありますので、お手元に、それを置いてください。前回の小委員会の議論を踏まえまして、本日は2つ目及び3つ目の論点として、論点②「高等教育における障害学生支援」及び論点③「障害者が文化的諸活動に参加しやすい環境の整備(ソフト・ハード両面)」について御議論願います。
 まずは論点②「高等教育における障害学生支援」につきましては、冒頭に文部科学省から説明を受け、その後、委員間で議論することを予定しております。
 資料一覧ということで分厚めの資料が配ってあるかと思いますけれども、資料1「論点②に関する文部科学省資料」、資料2「論点②に関する委員意見」が関連する資料となります。
 同様に、論点③につきましては、まず文部科学省及び厚生労働省から説明を受け、その後、委員間での議論ということを予定しております。それに関する資料として、資料3及び資料4というのがございます。
 お手元に資料がなければ事務局の方にお申し出ください。
 以上です。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

三浦座長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 まず、論点②「高等教育における障害学生支援」について、文部科学省より御説明をいただきます。高等教育局学生・留学生課長の松尾様にお願いいたします。

松尾課長 ただいま御紹介いただきました、文部科学省学生・留学生課長の松尾でございます。私が担当しておりますのは、文部科学省の中でも高等教育局ということで、大学等の教育につきましての支援をさせていただいております。
 それでは、資料に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
 簡単に申し上げますと、大学等に進まれる障害のある学生さんはなかなか少ない状況でございます。これは大学の受け入れ、我々の国の支援というのはこれから本当に進めていかなければいけないということでございまして、先生各位には御支援、そして日々いろいろとありがとうございます。
 分厚い資料になってございますが、資料1ということで、通しのページで1~12ページまでございます。これが文部科学省から提出させていただいた資料でございまして、簡単に大きく3点について御説明したいと思います。
 大学等におきます障害のある学生さんの在学の状況、大学等における支援の状況、3点目が今後のあり方について、この6月から私ども検討会を開催させていただいておりますので、その大きく3点について説明したいと思います。お時間は10分から十数分でいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 1ページ、これは表紙でございますので、それをめくっていただきまして2ページ、障害のある学生さんの在籍者の総数でございますが、平成18年は4,937人でございましたが、日本学生支援機構、奨学金でありますとか学生支援を担当しています独立行政法人の調査によりますと、平成23年度には1万236人ということで、ほぼその点から5年間で倍増という形になってございます。
 3ページ、平成23年の障害のある学生さんの総数1万236名の内訳を推移にしてございます。例えば障害のある1つの種別によりますと、視覚障害の方は681人、聴覚・言語障害の方は1,556人、肢体不自由の方は2,491名、病弱・虚弱が2,047人、発達障害は診断書ありというところでございますが1,435人ということになってございます。
 特に伸びておりますのは、発達障害のある方でございまして、平成18年、127名。これはデータを取り始めた年でありますけれども、127名と比較しますと相当の大幅な増ということになってございます。
 4ページ、平成23年の障害学生の在籍率でございます。全体に占めます在籍率が中段の表の合計の計というところでございますが、0.31%となってございます。一方で、その中で支援を受けられた障害学生、すなわち学生さんあるいは親御さんから大学に申し出があって、学校が何らかの支援を行っている学生さんの総数でございますが、これにつきましては5,432名ということで、支援の障害学生の在籍者数は0.18%ということになってございます。
 大学の障害学生の在籍支援というのはこういう形でまだまだ緒についたばかりといいますか、少のうございます。米国のデータによりますと10%を超えているというところもございますので、日本の支援状況というのは少ないというのは私どもの認識でございます。こういった認識に立って今後どう進めていったらいいのかということを現在検討しているというのが現状でございます。
 5ページ、障害のある学生さんの在籍の学校数でございます。学校は、すなわち大学、短大、高等専門学校、高専でございますが、これを加えますと1,206あるわけでございますが、そのうち807校、すなわち全学校数の66.9%が在籍をしております。
 一方で、支援を受けておられる障害学生の在籍学校数、これは全1,206校のうち、649校でございまして、53.8%ということになります。
 大学の一校当たりの在籍者数は平均16名、ただし、支援を受けておられる方が11名というのが全体の数でございます。ここまでがエビデンスでございます。
 6ページ、これは障害のある学生さんの在籍する大学の規模別の分布でございます。大学の規模別で見ますと、1人でも障害のある学生さんがいて支援されているところにつきましては、学生さんの規模が小さくになるにつれ、やはり支援の割合が少なくなってございます。すなわち、このグラフで見ますと、学生数が1万人以上の大学の場合は98.6%の大学が障害のある学生さんを受け入れ、何らかの支援をしているわけでございますが、一方で499人以下の大学では、その数4分の1未満ということになってございまして、ここは相当程度開きがあるというのが現状でございます。
 7ページ、受験時に特別の措置を行った入学の状況でございます。入学の支援におきまして特に受験というのが相当大きなハードルになるわけでございますが、平成23年度の入学者選抜において特別支援を行った受験者の数というのは全体で2,325人でございまして、そのうちの合格者が947のうち実際入学された方が710名という数になってございます。
 8ページ、大学におけます支援の状況の内訳でございます。これは表に記載してございますので詳しくは申し上げませんが、区分といたしまして点訳、墨訳、教材の拡大、テキストのデータ化、ソフトの使用、ノートテイク、手話、座席配置の配慮等々やってございますが、そのうち障害種別に分けたものでございますので、後で御確認いただければと思います。
 9ページ、資料2でも先生方からいろいろ御意見賜った担当部署のところでございますが、やはり担当部署といたしまして、事務局というのが最も多い設置場所でございます。学生相談室、保健管理センター等々がありますが、障害学生の支援と銘打ったところでございますけれども、これは障害学生支援委員会68校、障害学生支援室54校とまだまだ少ない状況でございまして、これについてはしっかり充実していくような手立てを講じていきたいと思ってございます。
 10ページ、そういったことを受けまして、これまでやってきたこと、これは各大学におきましていろんな支援室、支援をやってきてございますが、特に平成18年からは障害のある学生の修学支援の充実を目的に、平成18年10月から障害学生支援ネットワーク事業を独立行政法人日本学生支援機構で取りまとめとして行ってきてございます。本事業につきましては、障害のある学生に対する先進的な御支援をしている大学を拠点校といたしまして、ただ単にその拠点校だけが受け入れるというのではなくて、全国の大学に障害学生支援担当者からの相談に応じて支援をなるべく広く均てん化していくという目的でネットワーク化を図るということでサポート事業をするということでの事業でございます。
 拠点校を9、専門的な知見を持った協力機関3を指定いたしまして、そういったところが協力し合いながらネットワーク化を図っていくということで取り組みをしてございます。
 具体的に拠点校といたしましては、10ページの下にありますように、北は札幌学院大学から南は福岡教育大学まで9校。協力機関といたしましては、筑波技術大学、国立特別支援教育総合研究所、いわゆる特総研。国立障害者リハビリテーションセンターを協力機関としてお願いしてございます。ただし、ここにつきましては、なかなか大学のボランティア的に大学に参画していただいておりまして、その内容を再度見直しし、また強力に進めていきたいということで、今予算を含めて検討しているところでございます。
 このように現状から見まして、まだ大学等への障害のある学生さんの受け入れというのは不十分だと認識しておりまして、大学における在籍、支援はここ数年伸びてはきて1万人程度になってございますけれども、まだまだ0.3%ということで、これからしっかりと充実させていくことが私どもとして必要だと思っております。
 一方で、こういう現状でございますので、現状からかけ離れた取り組みということではなくて、しっかりと一歩一歩ちゃんと歩みを進めていくということで、現場がなるべく混乱をしないような形でやっていきたいと思ってございます。そして、大学側と障害のある学生さん、親御さんとが1つになってしっかりと相談をし合いながらいい関係を構築して、国、大学、自治体、地域社会、NPOの皆様方、民間、そういった全ての力を結集しながら障害のある学生さんを支えるという環境を構築していきたいと思ってございます。そういったことで今この6月から検討委員会を開催させていただいております。
 その検討委員会の状況でございますが、資料の11~12ページに記載してございます。先生方の方がお詳しいので詳しくは申し上げませんが、御案内のとおり、平成20年5月には障害者の権利に関する条約が発効されました。また、昨年8月には基本法が改正されております。そういったことを受けまして、私ども大学においての障害のある学生さんの受け入れのあり方について短期的な課題、長期的な課題を整理して、現状に合わせた形での行動をつくっていきたいと思ってございまして、今年の6月、高等教育局、文科省の下の高等教育局長のもとに検討会を開催させていただき、年内ないしは年度内に一定の報告を出したいと思ってございます。本政策委員会のメンバーでもあります石川先生、竹田先生にも議論に加わってもらっているところでございます。
 この検討会では幾つか私ども考えまして、例えば障害のある学生が誰でも受験、入学の機会があるということ。すなわち、受け入れを拒否しないということを原則に、ただし、高等教育機関でございますので、教育のレベルを落とすということはない。そのための合理的配慮をいかにすべきか。
 あと守るという視点と社会の自立という観点から何を成したらいいのか。また、現在、大学ではまだまだ受け入れが少ない現状にありますので、そういった不十分であるという現状に即して一歩一歩この現状を打破するにはどうしたらいいかということについて、特に緊急の課題、長期的な課題を整理していきたいと思っておりまして、まずそこで議論されているのはネットワークの構築であるとか情報の発信、窓口の設置等々については議論が今進んでいるところでございます。
 できるだけ早く年内ないしは年度内にまとめていきたいと思っておりますので、よろしく御示唆いただければと思います。また本検討会では竹田先生、石川先生にも御議論に加わっていただいておりますので、もしそこら辺、一言御付言いただければありがたいと思います。
 簡単ではございますが、以上でございます。ありがとうございました。

三浦座長 松尾課長、ありがとうございました。
 ただいま「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」の御説明がございましたけれども、本小委員会の専門委員でもございます竹田専門委員が御在籍でございますので、一言御発言いただければと思います。

竹田専門委員 専門委員の竹田でございます。
 ただいま文部科学省からの御説明のとおり、本年6月に文部科学省高等局において「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」が設けられ、障害のある学生の修学支援のあり方についての議論が行われており、私が座長を務めさせていただいている立場より、概略も含めて簡単に意見を述べさせていただきたいと思います。
 この検討会はこれまで6回開催されまして、本年12月中を目途に中間の取りまとめを行う予定で議論を進めております。検討会におきましては、現状、障害学生の在籍者数は増加をしている一方、受け入れに積極的な大学と消極的な大学があり、まず前提条件としては障害を理由とした受け入れ拒否はしないということを大原則として議論を進めております。
 一方で、高等教育でありますことから、教育のレベルを落とさないことが前提であり、そのためにも入試を含め、学生の能力を適切に判断することの重要性が議論されております。また、高等教育段階においては、障害者の修学支援についての議論をまだ始めたばかりでございまして、障害者に対しての高等教育への修学機会を確保するためにも、まずは全ての学生や教職員あるいは在校生に対する理解促進啓発が重要であり、そのためには各大学等での障害者の修学に関する情報発信の促進、一括した相談窓口の設置等の取り組みが重要であるという議論が行われております。
 その中には、各大学での理念の明確化なども非常に重要なのではないかというような御意見が出されております。次期障害者基本計画の策定に向けて御議論いただくに当たりましては、ぜひ高等教育段階の取り組みの促進についても計画に盛り込んでいただきたいと考えておりますが、大学等ではこれまでもさまざまな事業が拡大する一方で予算や人員が減少しているという現状もございます。対応が可能なものから順次取り組みを進めていくこととしなければ、かえって大学等の受け入れが進まないとなることは非常に本末転倒であるかというような考えもございます。
 計画の策定に当たりましては、現実的に対応可能な内容かどうかということも含めてぜひ御検討いただければと思います。
 以上でございます。

三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、文科省からの御説明を踏まえ、これから御意見や御質問をいただくところでございますけれども、その前に資料2という、ページで言いますと13ページから、全ての委員の方々の意見書をいただいておりますので、かいつまんでどのような御意見があったかということをあらかじめお伝えしたいと思います。
 口頭で申し上げます。まず、高等教育における障害学生支援につきまして相談体制が重要であるという御意見が5名の委員さんから挙げられております。ソーシャルワーカー等の専門職員の配置による相談体制の整備でありますと、当事者主体の相談体制を高等教育機関への進学が選択可能となるように、この高等教育の前段階で必要であるという御意見。そして、特別支援学校高等部においても大学進学を選択にした進路指導の必要性、障害学生相談窓口の設置と相談におけるコミュニケーション支援の必要性などが挙げられております。
 2番目の項目といたしまして、入試を含む入学時の支援というものが非常に重要であるという御意見がありました。まず、大学等の入試での合理的配慮を義務化してほしいという御意見、障害を理由とした出願拒否、受験拒否、入学拒否の禁止という御意見。また、差別のない入試。なお、入試環境の整備でありますとか、評価方法の配慮、大学入試センター試験受験案内に示している60デシベルの区分や医師の診断書の提出は受験生に対する過度な負担ではないのかという御質問などがございました。
 3番目の御意見としては、合理的配慮が非常に重要であるという御意見。それは非常にたくさんあるのですけれども、いわゆる学業の支援、健康の維持、居住生活支援、通学の支援と課外活動ですとかを対象にした支援計画が必要であろうという御意見。なお、通信教育で学ぶ学生にもスクーリングなどの通学支援、コミュニケーション支援が必要であるという御意見と、通学からサークル活動など、キャンパスライフ全般への合理的配慮などの御意見。特に多かったのは、通学支援を含めた支援の提供という部分でございます。
 4番目、卒業に向けた支援という項目の中では、卒業を見通して移行計画の策定が必要ではないかという御意見や、就労や地域生活に向けた支援が特に発達障害にかかわる相談支援体制づくりが必要だろうという御意見などがございました。
 5番目の論点といたしましては、大学間の連携が極めて重要であるという御意見。先駆的な取り組みを行っている大学との情報の共有化、そして大学は受け入れ方針と入試等での合理的配慮、入学後の支援内容をWebに記載することという御意見、拠点校との連携の構築などの御意見がございました。
 その他としまして、権利条約の24条、7条、3条に対応した項目を基本計画に盛り込んでほしいとする御意見。通訳や解除を提供する人材の養成、派遣。最後になりますけれども、整理という部分で御質問がありましたことでお答えしたいと思います。高校や文科省管轄、所轄外の大学校という存在も議論の対象になるのかという御意見に関しましては、大学と高等専門学校と短大を今回の議論の対象としたいということでお答えさせていただきます。
 これらが本当にかいつまんではございますが、それぞれの委員からの提出意見の核となる部分でございました。これらを踏まえまして、それぞれの委員さんから御意見をいただきたいと思います。挙手をもってどうぞお願いいたします。
 土本委員、どうぞ。

土本委員 ピープルファースト北海道の土本秋夫と申します。
 北海道では、オープンキャンバスという知的の障害の人たちが集まって学ぶ場があるということも含めてなのですけれども、ずっと今日の資料でも見ていたけれども、知的の障害を持っている人たちが受験されない。そこまでいかないということも含めてですけれども、もっと受験という難しいところもあるのですけれども、受けるという気持ち、最初から断るのではなくて、どういうふうに受験しますかという情報をもらって支援と一緒にやっていかなければならないし、もし遠くだったらどうやって通学できるのかをどうやって支援してもらうのか、その点、もっともっと合理的配慮をしていかなければならないのではないかと思います。
 同じ時代、同じ時期を歩むときに、障害が理由で差別されるのではなくて、同じことを共有していきたいと思っています。
 以上です。

三浦座長 御意見ありがとうございます。ほかには何か御意見ございますか。
 栗川専門委員、尾上委員、一木専門委員、阿部委員の順でお願いいたします。
 栗川専門委員、どうぞ。

栗川専門委員 新潟西高校の栗川といいます。
 高校の現場で働いている視覚障害を持っている教員という立場でこの委員会にも参加させていただいているのですけれども、意見書にも出させていただきましたが、まず1つとしては、今日文科省からの御説明もありましたが、やはり入試の段階で障害を理由として排除や差別をすることが決してないようにするということが今後のインクルーシブな社会をつくっていく上での高等教育のあり方としては不可欠というか前提条件だと思います。
 その方向でお話が進んでいるということでは大変よかったなとは思うのですが、ただ、気になる点は、今日のお話の中でもありましたし、今の土本さんのお話でもありましたけれども、レベルを落とさないということが言われていますけれども、問われているところはこれからの社会のあり方が、多様な人間がともに存在する中でどう社会をつくっていくかというところがインクルーシブなところだと思うのですけれども、そこが従来の狭い意味で知的なレベルとかいろんなレベルがあるのだろうと思うのですけれども、そこを落とさないということが強調されると、結果的にそのことから間接的な差別が生じてくるということがあり得ると思うので、そこの部分についてはもっと多様な人間のあり方ということの中で門戸を開いていくといいますか、差別をしないということに検討をしていく必要があると思います。
 2点目としては、合理的配慮の提供ですけれども、ここも費用負担の問題も1つあるのですけれども、人的にどのように合理的配慮を提供していくのか、その提供されるものに関して、現状では視覚障害の学生さんも点訳の資料を自分でつくる、あるいはボランティアにしてもらうものに関して自分が費用を負担する、こういう事柄が非常に多くまだまだありますので、そういう点では誰が責任を持って合理的配慮を提供し、その費用は誰が負担するのか。当然、これは大学側あるいは公的に保障して本人が負担するということにならないようにしなければいけないと思いますので、その辺もよろしくお願いしたいと思います。
 3点目ですけれども、大学を卒業した後の進路として、1つは教職というものが学生たちの将来の仕事としてはあると思います。そういう点では、障害を持っている教員ということが学生たちの進路として大いにあり得るのだし、教育現場に障害を持っている教員がいるということは当然のことですし、そのことから教育のさまざまな事柄でよいものが生まれてくると確信していますけれども、そこを見据えた大学での教育や教育実習ということを教職課程も含めてより積極的にやっていただきたいということです。
 一木専門委員から出された意見を読ませていただきますと、まだまだ大学あるいは逆にこれは学校現場の方もそうですけれども、障害を持っている教員ということを学生の将来の進路あるいは働く場として考えられていないという現状があるようですので、そういう点ではここは次回の議論にもなりますけれども、学生たちの進路として教員があり得るし、そのために合理的配慮などがちゃんと提供されるということをもとめていきたいと思います。
 以上です。

三浦座長 栗川専門委員、ありがとうございました。
 それでは、続いて尾上委員、お願いします。

尾上委員 ありがとうございます。尾上です。
 何点かありまして、1点目は、先ほど文科省さんの説明あるいは竹田先生の説明からも高等教育についてかなり検討が始まってきているのかなということで期待を持っているところです。この委員会、新しい障害者計画をつくるということですから、10年前の計画で高等教育をどう書いていたかなと思って調べてみたのです。わずか2カ所、1行ずつ、例えば社会的及び職業的自立の促進という中で、後期中等教育及び高等教育への進学を支援すると1行書いているだけで、障害のある者の高等教育という項目すら独立した項目になっていないのです。その点で意見書にも書かせていただきましたけれども、障害者権利条約の24条の5にありますとおり、一般の高等教育、職業訓練、成人教育及び障害学生にアクセスすることができること並びにその際、合理的配慮が行われるという24条の5項を受けた形で基本計画がつくられるべきであるということについて、10年前に本当にわずか2カ所、1行ずつしか書いていなかったという反省を踏まえてしっかりと入れ込んでいく必要があるのではないか確認したいと思います。したがって、まずは次の新たな計画の中では、ちゃんと高等教育ということで1つの独立した項目を設けるべきだというのが1つであります。
 そして、その上で、これは次回、初等中等教育の議論になっていくのかも分かりません。後期中等教育との関係ですけれども、先ほど土本委員や栗川専門委員もおっしゃられましたけれども、そもそも高等教育へ行けると思う、あるいは行ってみようと思うという前の段階で、言わば自分は障害があるからこの程度の進路だみたいな形に仮に環境的に意識的に制限されてしまっていたら、幾ら高等教育に来てくれたらこれだけ合理的配慮をしますよといっても、そこにチャレンジしようと思えなくなると思うのです。
 そういう意味で、いわゆる高大連携ということになるのでしょうけれども、大学へ行く前の段階の後期中等教育あるいはさらに言えばその前の義務教育の段階でのインクルーシブ教育とどういうふうに連結というか連携を持たせていくのかというところをしっかりとしていきたいと思います。あるいはその中で私自身は当事者団体の一員としてここに参加をしていますけれども、同じ当事者として、言わば障害があっていろんな教育を受けたりいろんな機会があってこういうふうなこともできるのだよみたいなことを言う、言わばピアという立場でいろんな情報提供ができるようなプログラム、そういったことをぜひして、そういう機会などもつくっていきたいなと思うところであります。
 先ほどおっしゃられたとおり、障害を理由にした出願拒否、受験拒否、入学拒否、一切これはこの次の計画ではなくすのだということ。そして、受け入れとともにちゃんと必要な合理的配慮が得られるように、各大学において基本計画の期間が5年になるのか10年になるのか分かりませんけれども、ちゃんとこの基本計画の中で目標を立てた形で、そういった合理的配慮が得られるような仕組みをつくっていくべきではないかというのが2つ目であります。
 実際に私も30年ぐらい前ですけれども、実際に大学に受験をしようとしたときに、そもそもなかなか障害があって受け入れてくれる大学が少ないわけですけれども、果たしてどの大学がどういうふうな支援をしてくれるのかというのがなかなか分からないのです。それこそいろんな口コミであそこの大学だったらみたいな、言わば今から30年ぐらい前ですと口コミが唯一の情報源でありました。今、インターネットなどが普及している時代ですから、そういったことに容易にアクセス、そういう情報にアクセスができ、自分で納得して選ぶことができる可能性が出てきた。あるいは体験的なプログラム、今ですとオープンキャンパスといったことで、実際にここだったら自分はしっかりとこの4年間なり学べるなと自信を持って進んでいけるような事前の情報提供や体験プログラムなども是非提供いただきたいなと思う。
 最後に、もう一点、午前中の第2小委員会でも浅倉副座長さんが非常に重要な指摘をされていたのを覚えています。何かといいますと、午前中は就労をテーマにした委員会だったのですが、まさに通勤の問題、通勤支援がないから、そのために働きたくても働く力があっても働けない、そういった問題があります。いろいろ調べられたら、結局自立支援法では通勤や通学はなかなか難しい。一方で、例えば働く場の支援というところで言うと、通勤まではなかなかサポートされない、まさに縦割りの中の谷間としてそういう通勤の問題が出る。同じように通学の問題も制度の谷間の問題として非常に大きな課題があると思います。
 確か今年3月の推進会議のときでしたけれども、ある委員から非常に重度の方が頑張られて大学に入学をしたのだけれども、果たして通学支援が得られるかどうか分からない。その通学の際の支援が得られなければ、せっかく入学試験を通ったのに、もう進学を断念せざるを得ないという非常に痛切な報告もございました。そのケースについては、その後、自治体も非常に積極的な取り組みで何とか解決をしたようですけれども、もちろん各省庁での役割分担というようなこともあってなかなかいろいろと調整や解決をしなければならない問題があるということは十分認識しておりますけれども、この点、この前の国会で成立をした総合支援法の中ではいろんな宿題が残っていますが、その中で特にパーソナルアシスタンス、常時介護を必要とする者の支援や移動支援について3年後見直しをするということをはっきりと明記いただいています。
 こういった3年後の見直しの中に明らかに通勤や通学の支援も含めて検討するという話になっておりますので、先ほど検討委員会はこの12月に中間報告を出されるということですので、それとあわせて、3年先よりもっと早く解決すれば、早ければ早いほどいいですけれども、少なくとも3年後にまた何一つデータがないということのないように、せっかく今、高等教育の方でいい取り組みを進めておられるわけですから、大学における通学支援やそういった実態がどうあるのか、この3年後の総合支援法の見直しに向けてぜひこれは文科省、厚労省、力を合わせてデータをしっかりとって、実態に基づいて3年後にはそういった通学支援が得られないから、せっかく試験を通ったのに学校に行けるかどうか分からない、そんな不安に陥れられることのないような時代になってほしい。そういった基本計画であってほしいなと思います。
 ぜひこの通学支援の問題、午前中も通勤支援の問題、非常に大きな重点課題ということで副座長はおっしゃっておられしまたけれども、この午後の教育の場でも通学支援の課題をしっかりと確認しておきたいなと思います。
 以上です。

三浦座長 貴重な御指摘、ありがとうございます。
 それでは、一木専門委員、阿部委員、新谷委員、小中専門委員の順番で発言をお願いいたします。
 一木専門委員、お願いいたします。

一木専門委員 一木です。どうぞよろしくお願いいたします。
 2点意見を言わせていただきます。まず1点目ですけれども、一番初めに土本委員と栗川専門委員もおっしゃっていましたが、やはり1点、先ほども紹介ありました「レベルを落とさない」というところにどうしても引っかかってしまうのです。
 というのは、入り口の入試をクリアーできない人にとっては、関係ないことなのかと思わざるを得ない言葉だと思うのです。「レベルを落とさない」の「レベル」とは何か、つまりは、「大学における学び」とは何かというところまで踏み込んで検討していただきたい。大学という場は非常に人間としての可能性が広がる場だと大学教員をしていて思いますし、自分自身もそうでした。さまざまな人とのつながり、世界との広がりというものを体験できる。場であると思っています。知的障害者とか、今の入試をクリアーすることが難しい、入試学力から排除されている人がいてこそさらに豊かな学びの場になると思うのです。高等教育の学びというものを考え直す段階に来ているのではないかと思いますし、また、大学に行き着く前に高校に入れない選抜主義の入試制度に阻まれている知的障害や発達障害の人たちがたくさんおります。「レベル」とか「学力」とか、具体的には高校・大学の選抜基準について再考する視点がほしいと思います。
 2点目です。意見書の17ページに朝日新聞の「私の視点」の記事を持って来たのですが、この記事に掲載されている全盲の大学生が普通高校で教育実習をします。全盲の学生が盲学校ではなく普通高校で実習を希望したとき、実習校を見つけるのに大変苦労します。たくさんの学校に断られ、ようやく人づてに実習校を見つけた、あるいは見つからなくてあきらめるという実態があります。大学教育を受けていてもこのような資格を取るための入り口の段階で門前払いされているという現状があります。また、その学生は、実習における支援者、アシスタントを大学側が用意するという形で実習しますこれに対しては、教育委員会であるとか、大学以外のところも合理的配慮を行う体制が必要ではないかと思います。合理的配慮の保障として、大学だけではなくて、関係機関との連携も必要ではないかと思っています。
 以上です。

三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、阿部委員に御発言いただきますが、なるべくたくさんの御意見をあと15分でいただきたいと思いますので、3分以内ぐらいでの御発言におとどめおきいただければと思います。御協力をよろしくお願いいたします。

阿部委員 では、3分以内を意識してお話しします。3つということでお話しさせていただきます。ほかの委員のお話とかぶる部分もあるかもしれません。
 1つは、先ほど文部科学省の方の説明の中で、社会における自立ということで学業遂行だけではなくてもっと幅広く支援が必要な場合も想定しているのかどうかということでした。障害があるとさまざまな社会的体験をしたことがない、このことがその後の高等教育での学びを十分に行うことを妨げるような気がいたします。講義室の中での教育は聞いていてできるのかもしれませんけれども、学生同士のかかわりなど社会体験は大事だと思います。自分の経験でもそのように思っています。この議論は初等教育、中等教育のところからあればいいのですけれども、今、高等教育に直面している人たちのことを考えれば、やはり生活全体の中での教育という視点で、先ほどもありましたけれども、障害学生相談支援センター等が、これも文部科学省の説明にもありましたけれども、自治体、NPO、民間と連携して、その人の学生生活を支えるという視点が大事だと思います。
 これももう既に通学ということでお話がありましたけれども、通信教育を受けている方は通学がなかなか大変だという理由で通信教育を受けざるを得ない方も中にはいると思います。そのような状況下におけるスクーリングです。期間は短いかもしれないけれども、しっかりとスクーリングで学ぶ体制をつくっていく必要があるのではないか思います。遠くから来るということもありますね。身近なところからの通学とはまた別な視点があるのではないか。ただし、通学の支援が十分に出てくれば通信教育ではなくて実際に学びたいという人もふえるのではないかということも含めて、通学についてはお話が出ておりますので、1つだけ言いました。
 これも関係するのですけれども、一木専門委員からお話された教育実習です。さまざま大学では職業体験とか資格実習があります。学内では支援があるのだけれども、学外には支援がないというのが現状です。その方々の講義室の学びだけではなくて、将来その学んだことを実践に移すために、今、細やかな支援が必要ではないかと考えます。これは移動支援もコミュニケーション支援もそうだと思います。学内で行われる支援が学校を出るとその支援がないという状況、また初めての地域に行けばこそ、そういう支援の充実が本当は必要ではないかということで3つお話しさせていただいて多分時間を守ったかなと思いますけれども、よろしくお願いします。

三浦座長 御協力ありがとうございます。
 それでは、新谷委員、お待たせいたしました。

新谷委員 新谷です。
 1点、文部科学省に質問、1点の意見がございます。
 まずは質問なのですけれども、いただいた資料を見せていただいているのですが、障害学生の数の把握の仕方ですが、障害者手帳を持っている人、健康診断結果というような注意書きになっておりますが、これは例えば身体障害でいうと、身体障害者福祉法の規定が変わらない限り、文部省はこういう数字のまとめ方をしますということですか。障害者基本法はそういうことではなくて、障害の定義を広げたわけですけれども、来年度あたりからはもっと広げた数字、例えば大学に支援を求めてきた障害者を母数にして数字を把握するという方向に変えるおつもりがあるのかどうかというのが質問です。
 意見ですけれども、支援障害学生、要するにボランティアの学生の数が非常にふえているということを評価するというのは確かに非常に大切なこと。インクルーシブ教育の理念から言って非常に大切なことなのですけれども、懸念するのは、例えば聴覚障害者はノートテイクを受けて授業に参加することが多いのですけれども、高等教育の本質にかかわる授業の部分にボランティア学生のノートテイクを受けるということに私たちは懸念を持っているわけです。ノートテイクされる内容というのは、授業が分かるような形のノートテイクをもらわないといけないので、そういうことがボランティア学生で果たしてできるのかということで非常に懸念を持っていて、私も東京の派遣事業に関係していますので、派遣件数を聞いたのですけれども、学校数しか出て来なかったのですが、東京みたいな多いところでも、専門的なノートテイクの依頼があるのは大学数で5カ所か6カ所くらいなのです。ほかからは依頼が来ていないということです。ほとんどはボランティア学生に頼っているというような実態だと思うのですけれども、こういう現状が続きますと、大学に入って仲間の支援を受けるというのはいろんな意味で確かに大切なのですけれども、勉学という意味ではかなりバリアーになる面がある、いろんなことを聞きづらいという面があって、逆にそういう状況が広がってくると専門的な機関に要約筆記を頼まなくても済むみたいな形でどんどん質の低下を招きかねないと思いますので、やはりあるべき姿というのとそこと現状との比較をどうやっていくのかというような政策的な議論をやる必要があるのではないかということです。
 以上です。

三浦座長 それでは、文科省の方からお答えいただけますでしょうか。

松尾課長 まず、新谷先生の意見、ありがとうございました。
 1点目でございますけれども、調査は今学生支援機構の方でやっておりますけれども、まず手帳を持っている方、ないしは健康診断とかで障害があるというようなことでございますので、特に手帳がある方だけを把握しているわけではなくて、健康診断等々を通じて障害のありなしでもって数字を把握してございます。
 ノートテイク等々のサポーターの質でございますけれども、これはそういう方向で検討したいと思います。実際、学生同士の支援、これは多分普通の社会の中で支援し合うというのは教育的な観点もあるので重要だと思いますけれども、高等教育の段階である程度授業が分かる方がしっかりと支援をしていかないとサポーターにならないということなので、ただ、全部をそうすることはなかなか経費の問題とかでできないとなると、どういったミックスが一番いいのかということで考えていくということになるのだと思います。

三浦座長 新谷委員、よろしいでしょうか。

新谷委員 1点だけ、時間がないところすみません。健康診断結果とおっしゃいましたけれども、どういう基準で健康診断の基準を設けられていますか。

三浦座長 どうぞ。

文部科学省 文部科学省でございます。
 大学によって健康診断の基準は随分違うと思うのですけれども、保健管理センターのカウンセラーの方ですとか、担当の教員の診断ですとか、出身校からの要望ですとか、本人または保護者の申告というものがある場合については、できる限り障害者というものの数の中に含めている、それで調査を行っているという状況になっております。

三浦座長 ありがとうございました。もう一方、御意見をお待ちになっている方がいらっしゃいますので、小中専門委員、どうぞ御発言ください。

小中専門委員 専門委員の小中と申します。
 1つ目は、先ほど新谷委員からもお話がありました内容と同じになるのですが、手話通訳、また要約筆記の支援につきまして、ボランティアといいますのは質的に疑問があるのではないかと思います。高等教育の内容を十分に、正確に伝えるための手話通訳や要約筆記のあり方を確立し、それをめざして養成・研修する整備が必要だろうと思われます。
 また、費用の問題についてもきちんと整備をし、ミックスという話が今回答の中でございましたけれども、基本的にはきちんとした手話通訳、ノートテイクを保障することを優先的にミックスしていくよう考えていただきたいと思っております。
 2つ目なのですが、大学で相談あるいは支援を受けるための窓口をきちんと確保していただくということについては、窓口の担当者についても考えて頂く必要があるのではないかと思われます。ただ会って支援をすればいいということではありません。相談したけれど、効果がなかったので、もう二度と相談に行かないということが起きても困ります。窓口の担当者が障害者のニーズをきちんと把握し、それに基づいた支援ができること、また大学の中だけではなく学外の様々な情報、特に障害当事者団体等にもつないでの連携などができる体制を整えていただくことが必要だろうと思っております。
 私個人の経験を申しますと、大学に入りましたときに授業だけではなくサークルにも入りました。サークル活動でいろいろな方々と触れ合い、ケンカもしたりしながら、お互いに成長し頑張っていくことができました。授業だけでなく学生生活においても支援を受けつつ主体的に頑張り成長していける経験が持てるよう、育ちの場としての支援も必要と思います。
 また、ここで取り上げて良いかどうかは分かりませんが、筑波技術大学のような聴覚障害者、視覚障害者の専門の大学があります。筑波技術大学が総合大学の機能を持ち、教職員資格を取ることができるようになれば、教育の場において障害者のリーダーをふやしていく役割が期待できます。こういった大学も充実していただきたいと思っております。
 以上、3点です。

三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、大谷委員、後ほど石川委員の方にお願いいたします。

大谷委員 では、せっかく竹田先生がお見えになっているので、竹田先生にお聞きしたいなと思います。
 能力の適切な判断ということと、気になったのが、ぜひ各大学の理念の明確化も必要だとおっしゃったこととの関係性があるのかないのかも含めてお聞かせ願いたい。例えば各大学の理念の明確化の中において、ある種能力の見直しも含めて検討していただけるのか、いただいているのか。もしいただいていないとしたら、いただく余地があるのかどうかも含めて伺わせていただければと思います。
 以上です。

三浦座長 竹田専門委員、お願いいたします。

竹田専門委員 ありがとうございました。
 先ほども申しましたように、障害の有無ということで入学拒否とか受験拒否ということはないということが大前提で議論しております。一方で、先ほど一木専門委員の方から御紹介あったような考え方は私個人的にもそうですし、検討会の中でも若干意見が分かれる部分はあるかと思うのですけれども、義務教育段階とは若干異なっていまして、大学教育というのはさまざまな専門性を担保するということが求められており、それは国民生活の発展の基盤を担う非常に重要な部分でもあり、人材を育成するという責務もあるわけですので、それをどういうふうにバランスをとって行うかというあたりは非常に議論があります。
 理念的なものに反対する人は誰もいないのですけれども、一方で、国際社会の中で日本の国民生活の発展の基盤を担保しなければいけない。限られた予算、人材の中でやらなければいけないということを現場に下ろしていった場合に、あまり理念を持っていって結局は何もできないという状況が我々委員の中では最もおそれていることであります。
 ですので、先ほど申しましたような情報発信、尾上委員の方からもありましたけれども、そういった各大学での支援、窓口で障害を理由に差別はしないあるいは修学の中での合理的配慮をどういうふうにしているかということの情報発信をきちんとしていく。合理的配慮を基準とした大学での姿勢というものを学長がリーダーシップをとって、その支援の理念をきちんと明確にあらわしてほしいというようなことを検討しております。かなり重要なこととして、この学長のリーダーシップというような意見も出てきております。これは現在検討中で、まとめのところではそういうものが盛り込まれていくのではないかと思っております。よろしいでしょうか。先生のお答えになっているかどうか分かりませんけれども、一木専門委員の意見とも異なっているのかなと思います。

大谷委員 もう一点聞いていいですか。

三浦座長 どうぞ。

大谷委員 ごめんなさい。その方向で検討されているだろうということは何となく想像しました。ただし、今後、大学の理念いかんによっては、例えばインクルーシブを掲げるということにおいてある種、専門性、何の専門かといったら、インクルーシブの専門ということもあっていいと思うのです。そういうことによっては、非常に門戸を広げた形での理念を明確化した大学を育てる、もしくはその方向性があってもいい。そこはある種の能力論も含めて検討していただきたいなと思ったものですから、ぜひその方向性で1つお願いしたいと思っております。
 以上です。

三浦座長 どうぞ。

竹田専門委員 ありがとうございます。まさにそういう専門性というのは実にたくさんありまして、理系から文系、あるいはなかなか議論の時間も限られていますのでしきれない部分もあるのですけれども、大学院レベルとはどうするかとか、先ほど新谷委員の方からもありましたけれども、例えば通訳一つをとっても、技術的な内容、質をどういうふうに担保するかというのは、理念は誰も反対する人はいないのですけれども、それを実施するノウハウはまだできていない部分というのがあって、これをどうやってエビデンスに基づいた支援のクオリティを今後発展させていくかというあたりまで見据えてある程度の制度設計をしていくことが必要ではないかと考えております。

三浦座長 ありがとうございます。
 それでは、石川委員の方から御発言をお願いします。

石川委員 石川です。私もその検討会の委員の立場で若干コメントを追加させていただきたいと思います。一木専門委員、栗川専門委員、土本委員のおっしゃった意味でのレベル論というか、レベルを落とさないということについての議論は、率直に言ってまだ検討会の中で正面切って議論しているとは言えないので、これは竹田座長もいらっしゃいますし、これからまだ数回検討していくことになっていますので、その中でぜひ考えていくべきだと思いました。
 と同時に、そこでレベルを落とさないということで主として念頭に置いていたのは、いろいろ合理的な配慮については個々の大学でやっているけれども、質、量、速度ともに個々の学生のニーズからすると全然足りない。どうやったらそれを十分な、つまり、実質的な平等を実現できるのかという観点からレベルを落とさないということを主として論じてきたはずなのです。合理的配慮が不十分だから、例えば試験のかわりにレポートにするとか、レポートのかわりに口頭試問にするとか、成績がちょっと悪いけれども、採点基準でそこは調整するとか、そういうことではなくて、あくまで質も量も速度も合理的配慮によって実質的な平等を図っていくのだということ、その思いが非常に強いということです。
 と同時に、個々の大学の努力だけでは到底できないことなので、ここでは後半にやる情報のアクセシビリティの小委員会の議論ともかかわってきますけれども、いかにして教材をきちんと確保するのか、あるいは情報保障をどうやってきちんと確保するのかといったようなことを個々の大学の単独の合理的配慮に委ねるだけではなくて、初等中等教育と同じように基礎的環境整備という言葉を今のところ使っていますけれども、全体としてそれを底上げしていくということと、文部科学省の所掌範囲だけでできることをさらに超えて社会全体として底上げしていくというようなことで議論していく必要があると思います。
 大学の理念についてなのですけれども、障害学生支援を推進する大学であるという理念、そのためにどういう配慮をするのかということを大学として明確に示してくださいということを検討会では述べていて、これはまだコンセンサスは得られていませんけれども、大学の評価基準の一つとして障害学生支援をきちんとやっているかどうかというのを入れるべきだという議論も多数出ております。
 グッドプラクティス、GPのようなものとして、よい障害学生支援をしている大学を模範事例として示していって、それには資金を提供していくとか、そういったいろいろな方法論についての検討をしているという点を一応補足させていただきたいと思います。

三浦座長 ありがとうございました。
 検討会の方も政策委員会の動向も見ながら進めていくということが御発言の中にございますので、今後ますます深めていただきますように検討会の方も期待しております。
 尾上委員、どうぞ。最後になります。

尾上委員 ぜひ先ほどのレベルを落とさないという議論について、これは差別禁止部会の議論でも、本質的に必要な力というのはあるわけですけれども、専門性において何が一番本質的なものなのかという多様性があると思うのです。単に平均的に学力テストで何点以上だからレベルが高い、低いということではないのだろうな、もう少し深い議論をこれからされるということなので期待したいということが1つ。
 これで最後ですので、先ほど阿部委員がおっしゃられたので思い出したというか重要なことですが、通信教育ということで放送大学というのがございます。これは情報コミュニケーションの方の分科会になるのかも分かりませんが、基本的にテレビ放送とかでは生番組のようなものは基本的にアクセシビリティを確保すべきなのだとこの間なってきたと思っているのですが、そういうものも今既にニュース番組でも地デジになってかなり字幕がついてきていると理解しています。放送大学は確かビデオで撮って、DVDなりビデオですから、技術的には全て字幕をつけることは可能だと理解をしますけれども、現在、放送大学のそういう教材に字幕は全てついておりますでしょうか。

三浦座長 どうぞ。

東室長 室長の東です。放送大学で教えた関係もありますので。
 障害に関する授業に関しては字幕等をつけてくれということで頼みまして、少なくとも私が関係している部分にはつきましたけれども、全科目についているという状況ではないと思っています。

尾上委員 講義されたということなので、収録をしてビデオですね。ということは、技術的には全てつけることは可能だということで理解していいのでしょうか。

新谷委員 すみません、新谷です。
 放送大学は手話通訳や字幕をつけてほしいというアンケートが来ます。希望を全部出すのですけれども、基本的には全部つけてほしいというのですけれども、向こうは財源的な問題があって、抜き出して、アンケートの高いものから予算の範囲でつけているという説明を受けています。

三浦座長 文科省の方からもお答えがあるようですので、どうぞ御発言ください。

文部科学省(森山) 文科省の森山と申します。
 先ほどの放送大学の現状でございますけれども、放送大学授業への字幕の挿入の部分ですが、学部、大学院につきましては68科目、1,020本が今のところ字幕がついているという状況になっております。
 あとは余談でございますが、印刷教材の点字化につきましては、学部では36科目、大学院では3科目ということになっております。全体の数字が今ここでは把握しておりません。これが何割に当たるかというのはお答えできないのですけれども、だんだん字幕については進んではきているというような状況になっております。

三浦座長 どうもありがとうございました。
 それでは、最後に、松尾課長の方からたくさんの御意見をいただきましたので、それに対しての今の時点での文科省の見解なり今後のことについて。

松尾課長 土本先生から最後の尾上先生までいろいろ御質問いただきましてありがとうございました。私としてもできる中で1つずつ消化したいと思いますけれども、恐らく基本的な一つ一つの話はあれですのでまたいろいろありますが、先ほど竹田先生が言われたように、とにかく排除しない、ちゃんとアクセスできるということで情報の提供、窓口等々についてはしっかりやるというようなことで検討させていただいております。
 ただ、一方で、大学についても大学単体では全てを賄いきることはできません。恐らくキャンパスライフといったときにも、キャンパスライフとか大学のあり方というのは随分変わってきていて、全て受けることは多分できないと思います。
 そういう意味で言うと、大学以外の外の機関、例えば自治体であるとかNPOであるとか、あるいは大学教育の前の段階であるとか、家庭教育、地域教育、本来そこでやっていくべきところがあるとすれば、そことうまく連携をとりながら、一方で障害のある方々がシームレスな形でできるという思想でやっていきたいと思ってございまして、恐らく大学に行った人たちはいろんなレポートをつくってぱっと出しても、大学の現場でも混乱をいたします。混乱をすると何が一番不具合かというと、実際障害のある方が大学に行ってフリーズしてしまうということになってしまいます。それは一番避けたいと思っておりまして、しっかりと大学の現場が動けるような形で地域の方々やいろんな機関、先ほどの実習についても教育委員会もあるかもしれませんし、そういったところとうまく連携をとりながら動ける体制をつくりたいと思ってございます。
 したがいまして、近々やるべきことと合理的配慮といろいろ課題がありますけれども、これについては一つ一つやれるところからしっかりと着実に歩みを進めていくという観点で進めていきたいと思っておりますので、ぜひまた御指導いただければと思います。
 先ほどありましたレベルの話であるとか、いろんな支援の質の問題とかもありますので、それもあわせて抽出させていきながらやっていかないと、なかなか理念だけで走っていく。理念は誰も反対いたしませんが、それをいかにアクションプランに移していくかということでやっていきたいと思っておりますので、また御支援、御指導賜れればありがたいと思います。

三浦座長 ありがとうございました。資料3の障害学生の在籍者数と非常に分かりやすいデータも今回出していただきました。これが初等中等にもあれば非常に議論が深まるのにというようなことを小委員会の打ち合わせでも議論していたところです。どうもありがとうございます。
 それでは、次の論点を残しておりますので、進ませていただきます。論点③「障害者が文化的諸活動に参加しやすい環境の整備(ソフト・ハード両面)」について、まず文科省より御説明をお願いいたします。
 10分程度でお願いいたします。

吉田課長補佐 文化庁芸術文化課の課長補佐をしております吉田と申します。よろしくお願いします。
 私からは、文化庁における取り組みについて御説明いたします。資料の31ページの枠囲みにあります3点に沿って御説明を差し上げます。
 まず、文化芸術に関する助成についての基本的な考え方としましては、障害の有無にかかわらず、才能ある芸術文化活動を支援するという考え方に基づいて取り組みを進めております。
 例えば文化芸術団体が行う芸術水準の向上に資すると認められる舞台芸術活動に対する支援を行う事業にトップレベル舞台芸術創造事業という事業がございますが、これにおきましては、申請に応じ障害者による活動を支援しておりまして、平成24年度におきましては、聴覚障害者が協力して手話やパントマイム等による講演を行うことを支援しております。
 また、都道府県や市町村が企画する優れた文化芸術の創造発進事業を支援する「地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ」という事業におきましては、平成24年度に、滋賀県の「美の滋賀づくり」推進事業を採択しまして、その中でアール・ブリュリット推進のためのフォーラムの開催や、県立施設における作品の展示等の支援を行っております。
 次に、障害者が広く参加できる環境を整備するという考え方に基づきまして、全国高等学校総合文化祭という高校生が文化芸術活動の発表を行うイベントを支援しております。具体的には総合開会式における手話を導入したり、特別支援学校部門を設け、特別支援教育学校の生徒の作品を展示したり、ワークショップやコンサートを開催したりしております。
 また、芸術水準の向上に資すると認められる舞台芸術や日本映画の政策活動に対する授業におきましては、団体等からの申請に応じまして、字幕作成に係る経費を助成対象に含めております。
 さらに平成25年度からは、国際映画等の活動を支援対象としてバリアフリー上演活動を募集案内に明記することといたしました。独立行政法人の国立文化財機構、国立美術館、日本美術文化振興会におきましては、バリアフリーに向けた取り組みも進めております。
 各国立博物館、国立美術館、国立劇場等におきましては、それぞれエレベーターやオストメイト対応のトイレ、駐車場、スロープ、段差階表記の整備、車いすの配備などを行っております。また、視覚障害者が文化財の複製品に触れることにより作品を理解することができるハンズオンのプログラムの実施や点字による案内パンフレットの配布、手話通訳のボランティアの配置、筆談用コミュニケーションボードの設置、字幕、音声ガイドの提供、障害者及び介助者1名の入場無料化、盲導犬を伴う施設利用などの取り組みも進めております。
 以上、御説明いたしました3点のほかに、本年6月に議員立法により劇場・音楽堂等の活性化に関する法律が施行されました。この前文には、劇場・音楽堂等は、個人の年齢もしくは性別または個人を取り巻く社会的な状況等にかかわりなく、全ての国民が潤いと誇りを感じることのできる心豊かな生活を実現するための場として機能しなければならないと規定されております。この趣旨を踏まえつつ、現在文化庁では、劇場・音楽堂等の活性化のための取り組みに関する指針の作成に向け鋭意作業を進めているところでございます。今後とも障害者が円滑に文化芸術活動に参加できるようにするための諸条件の整備のため、必要な取り組みを進めていきたいと思っております。
 以上、簡単でございますが、文化芸術活動における取り組みについて御説明いたしました。

三浦座長 ありがとうございました。
 そのまま続けて厚生労働省より御説明をお願いいたします。

君島室長 厚生労働省の自立支援振興室長の君島と申します。よろしくお願いいたします。
 出しました資料はスポーツに限定しております。その部分で御説明したいと思います。39ページになります。厚生労働省では、障害者の社会参加ということを大前提にいたしまして、障害に対する国民の理解を深める、促進するという観点から、例えば全国障害者スポーツ大会というようなものを開催して、すそ野を広げる取り組みを進めてまいりました。御案内のように出発点は昭和39年の東京オリンピック、その後に初めてのパラリンピックを開催したというのが大きな契機になっているのは御承知のとおりであります。
 国民体育大会の後に障害者のスポーツ大会というようなものを抱き合わせでやるようになってまいりまして、その後、全国身体障害者スポーツ大会が、「身体」がとれて、全国障害者スポーツ大会になってきた。身体と知的の方々を一緒のスポーツ大会にしてきたというような経緯がございます。
 基本的にはリハビリテーションの延長という考え方、今回、皆様方の応援がありましたパラリンピックでも発祥の地がロンドンの病院であったように、私どももリハビリテーションが出発点ということで、そこから出発して日常生活の中で社会参加、健康づくり、そういうもので楽しむスポーツということでまいってきたわけですが、現状ではさらに進んで、競技性の強いスポーツになってきているという状況でございます。
 先ほど言いました全国の障害者スポーツ大会にしろ、地域でのスポーツにしろ、多くのボランティアの皆様に支えられているのが現状でございます。もちろん、その会場の設営とかということだけではなく、例えば審判をしてくださる審判員の方とか、合理的配慮をしてくださる方々、多くのボランティアで支えられているのが現状であります。競技性の高いスポーツということでは公益財団法人の日本障害者スポーツ協会、それとその中に設置されております日本パラリンピック協会というのがあります。この日本パラリンピック委員会には、その傘下に61の競技団体がございます。実際のところはその61の競技ごとの団体によって進められているというのが現状でございます。
 いずれにいたしましても、ボランティア団体、競技団体、資金的に応援してくださる民間企業等々の連携なしには障害者スポーツが成り立たないということになりますので、さらにそれを踏まえまして取り組んでいきたいと思っています。
 資料の40ページ、今回のパラリンピックでも大きく取り上げられましたように、そのように地域的な広がり、裾野を広げるという取り組みと相まって、多くのいわゆる世界的なトップアスリートと言われる競技性の高い障害者の選手たちが出てきたのも事実であります。私どもといたしましては、そのようなトップアスリートに対する対応と日本全国津々浦々で行う障害者スポーツの取り組み、その両方をこれから進めていく必要があると考えております。
 あと、資料の40ページは予算的な話になりますので、細かくは申し上げませんが、先ほども全国スポーツ大会の経費ですとか、普及啓発、障害者スポーツ指導者の養成、今まで基金事業でやってまいりました体育館等のバリアフリーの整備など、予算的に確保してきたところでございます。
 国際的なメダルを獲得するというためには、国際競技大会への派遣事業ということで、今年度は1億2,800万、国際的な協議への指定強化、強化事業ということでは、5億9,000万ということで、この予算は平成21年度から比べますと、当時は1.8億円でございましたが、平成24年度には5.8億円ということで、私どもとしてそれなりに強化活動費はつけてきたのかな、頑張ってきたのかなという思いはあります。
 文部科学省さんとの連携でございますが、先ほど申し上げましたように、国体の後に行っております全国障害者スポーツ大会、全て国体が終了した後の競技場、体育館、プール、全てそのままの状態で地元の方々の協力を得て開催できているということでございますので、今年は、先日、天皇皇后両陛下が来ましたが、岐阜で行われておりますが、開催県岐阜の立場から見れば、国体と全国障害者スポーツ大会は同じところで行うという経費の節減というか、そういう意味では同じものだと考えていると思っております。
 文部科学省さんとはそういった現場での連携を含め、障害者スポーツ施策連携協議会というようなものを定期的に厚生労働省と開催しておりまして、従来からやってきたところですが、昨年、スポーツ基本法ができ上がりまして、スポーツの基本計画というものもこれから順次実施していかなければいけないということですので、より一層連携を深めながらやっていきたいとは考えております。
 あとは資料では先ほど申し上げました日本障害者スポーツ協会の概要、日本パラリンピック委員会の概要、先ほど言いました61の競技連盟の名簿等がついておりますが、これについては説明を省略させていただきたいと思います。
 私の方からは以上でございます。

三浦座長 室長、御説明ありがとうございました。
 それでは、それぞれの委員さん方からもたくさん御意見出ておりますが、時間の都合もありますのでまとめずにさらにこの部分を強調したいという御意見などありましたら承ることから始めたいと思いますので、あと30分ほどの時間になりますけれども、ただいまの文科省、厚労省からの説明等を受けてそれぞれに御意見ございましたら、挙手をもってお願いいたします。
 新谷委員、保坂専門委員、土本委員、あと全部順番に指名させていただきますので、新谷委員からどうぞ。

新谷委員 新谷です。
 資料で幾つか質問を出しているのですけれども、これは回答いただけるのですか。先ほどの論点もそうなのですけれども、質問していることの回答というのは文書回答か口頭回答か、何らかの形で全部いただけると理解してよろしいのですか。それともこれは資料としては難しいから出せないというのだったら、それはそういうお話をいただければそれを前提に話をしていきたいと思うのです。
 私が書いている部分は、文化庁の著作権絡みで、DVDの字幕とか、テレビ番組をダビングして字幕を入れるという話を書いたのですけれども、実態は経済産業省とかいろんな省庁に絡む部分が大きいと聞いているのです。だから、文部科学省の著作権改正、22年の改正でこういう方針を出されても、それを受けて実際に字幕を進めるためには経済産業省の補助金も要るとか何とかといういろんな議論が出ていますので、どの辺まで議論していいのか、これは情報バリアフリーの方に持っていってしまって、そこで経済産業省とか総務省も入れて議論するのか、ここで議論するのか、その辺をまずお伺いしたかったのです。

東室長 事務局の担当室の東です。
 少し検討させていただきたいと思っています。おっしゃいますように、どこの分野でどういう回答ができるか検討するだけの時間がございませんでしたので、今日間に合わずに申しわけないと思っております。

新谷委員 では、1点だけ文部科学省の文化庁の方にお伺いしたいのですけれども、先ほど劇場とか国が設置されているいろんな施設にはバリアフリーな環境をつくるということが法律で決まっているからそういう施策を進めているのだというお話があったわけですけれども、これはどういう法律ですか。
 私どもは市町村でこの話を持ち出したときには、市町村でバリアフリー、まちづくり条例とか持っているところはそのガイドラインに沿った話を持ち出していろいろ議論するのですけれども、まちづくり条例というのは市町村によってまちまちなのです。だからもとになる法律が何なのか、国の方で全般的な縛りがあれば、国ではこう言っているのだけれども、あなたの住んでいる市町村ではそういう決まりはないけれども、国の法律に従ってやるべきではないかという話もできるのです。先ほど言った漠然とした聞きやすい文化を享受しやすい環境ぐらいのところで私どもが市町村に行って突っ込んだ話ができるのかどうか非常に不安なのですけれども、そういう法律的な根拠。それともここにちょっと書きましたけれども、障害者基本計画に書いてあるからこれでどうなのだという話をするのか、その辺の考え方を聞きたかったのです。

三浦座長 それでは、文科省の方、お願いいたします。

吉田課長補佐 すみません、私の説明が十分ではない部分があったからかと思いますが、私から御説明差し上げました法律というのが、恐らく本年6月にできました劇場・音楽堂等の活性化に関する法律を御紹介させていただいた件だと思われます。この法律につきましては、バリアフリーを特に目的とした法律というものではなく、劇場・音楽堂等のソフト面、施設のようなハード面ではなくて、ソフト面を含め劇場・音楽堂等を活性化させるためにどのような取り組みが必要かということを法律で国や地方公共団体の役割を明確化することによって活性化を図っていくということを定めている法律でして、その前文を御紹介させていただきまして、前文には、全ての国民が心豊かな生活を実現する場として劇場・音楽堂が機能しなければならないという理念が既定されておりますので、今後、文部科学省においてこの法律に基づいた指針をつくっていく中ではこの理念をいかに生かしていくかということを検討していきたいと考えているということを御説明差し上げました。
 一方、施設のバリアフリー化の取り組みにつきましては、何点か具体的な事例を御説明差し上げましたが、これはバリアフリーについての法律で義務的に定めがあるからというよりは、おっしゃるような障害者の基本計画等に基づきまして、各国立博物館ですとか、国立美術館ですとか、国立劇場等において進められている取り組みを御紹介させていただいた次第でございます。

三浦座長 以上ですか。新谷委員の方からは、市町村でと、そこへどう落とし込んでいかれるのかというような趣旨の質問ではなかったと思いますけれども、また今後どうぞよろしくお願いします。
 すみません、新谷委員の後、保坂専門委員、土本委員、藤田専門委員、小中専門委員という順番で御発言いただければと思います。その後、こちらの方に御発言いただきます。
 それでは、保坂専門委員、お願いします。

保坂専門委員 専門委員の保坂です。よろしくお願いいたします。
 先ほど文化庁の方からも御紹介あったかと思いますが、34ページに文化芸術振興基本法というものがありまして、これは実際美術館で働いている側からするとすごい内容だと思うのです。いろんな意味で非常に可能性のある案だと思っています。それを実際にここに書いてあるように必要な施策を講ずるものとする際にぜひ念頭に置いていただければ嬉しいなと思うのは、ともすればこういう施策が行われる場合に、障害者をある意味で囲い込むというか、障害者を守るようなイベントが行われることがあるかと思いますが、それは決して望ましい結果だけを生むのではないだろうなという気がしています。
 言いかえるならば、障害者あるいは障害者でない人がともに参加できるような展覧会といったものが開催されて、なおかつそれに対してさまざまな人が審査する側、単に障害者のつくる美術を専門としている人だけでない人がかかわっていく。いろんな意味で多様な人々がかかわれる場をつくっていくことが大事だろうと思っております。
 というのも、先ほど、大学の高等教育でレベルを落とす、落とさないみたいな話がありましたが、美術の側から言いますと、全部が全部ではないのですけれども、障害者の方がつくる作品で、障害者ではない人がつくる作品では想像もできないような世界が生まれることがあるのです。それは驚きを持って、ある種の敬意を持って受け入れることになります。恐らくそれが今ここで議論されているインクルーシブとか共存社会といったものの1つの望ましいあり方かなと聞いていても思うのですが、それがたとえ小さな規模であっても実現する場として、そうした展覧会が機能するのではないかというふうに思っておりますので、そうした展覧会が単発でも開かれていけば、最終的には例えば美術の殿堂と言われているような公立の美術館であるとか、あるいはひょっとすると美大、1つの大学機関だと思いますけれども、そうしたところもまた障害者という人たちに対してさまざまなレベルで、ハード面でもソフト面でも開いていくことができるのではないかと実感しておりますので、ぜひとも御検討いただければと。
 実際、そうした言わばインクルーシブな展覧会というのがふえてきておりまして、近いところですと千代田区の3331という秋葉原にあるスペースがポコラートという展覧会を開催しておりますので、御興味ある方はぜひともごらんいただければと思います。
 以上です。

三浦座長 貴重な御意見ありがとうございました。保坂専門委員は61ページからですけれども、あわせてこれまでの歴史的な日本における障害者による芸術政策と発表に関する年表ということで大変貴重な資料も提供いただきましてありがとうございました。
 それでは、土本委員、お願いいたします。

土本委員 ピープルファースト北海道の土本と申します。
 私も美術館とか行くのですけれども、説明されていないものは文章でこられても、どんな人が絵を描いたのか分かりません。振り仮名を振っていない説明しかありませんし、案内の人も何も説明しなかったし、絵もどこまで近づいていいのかという、赤い線で引かれていればここから行ってはいけないのだなと分かるのですけれども、点字の必要な人がそこまで行ってしまうと絵にぶつかってしまうのではないか、ブロックが何もなかったといいう点もあったし、いろんな情報が何もない。ただ絵を見てくださいだけであって、何の美術鑑賞なのかを含めてです。
 もう一つは、空き教室、空いている学校を使いながら美術を展示する箇所をもっとふやしてほしい。障害を持っている仲間たちが芸術をしたいと思ってもなかなか限られている場所でやらなければならないということになると全然できない状況になるから、もっと空いているところをもっと使ってそういう芸術をしていきたいと思っています。
 パラリンピックですが、分けてオリンピックをやるのではなくて、今一遍にすぐではなくても、少しずつ一緒なスポーツ大会、身体障害のスポーツもそれで分けて大会をしてしまっているということではなくて、できるものは一緒にやりたいと思っているし、それだったら障害のこととかもっと理解ができるのではないかと思いますし、ある人に言わせると、スポーツでも器具を使うとすごくお金がいっぱいかかる。スポーツ大会に参加したいけれども、なかなか費用がかさんでしまってできないという話も聞いたりしています。その2点です。
 以上です。

三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、藤田専門委員、どうぞ。

藤田専門委員 同志社大学の藤田でございます。
 私はスポーツのことに関して少し意見を述べさせていただきたいと思います。意見書の59ページにまとめてございますので、そちらをごらんいただきながらと思います。
 まず、障害のある人のスポーツを普及、振興していく鍵になるのは指導者だと思います。キーワードとしては、障害者も指導できる指導者の養成が非常に重要だと考えております。文科省が推進している総合型地域スポーツクラブにおいては、障害のある人のことを理解している人がいるクラブほど障害者の受け入れが多くなっています。全国の総合型地域スポーツクラブを対象として行った調査から明らかになっております。
 受け入れられていないクラブでは、一番の課題は障害のある人を指導できる指導者が必要ということでありました。そういう障害者も指導できるスポーツ、障害のない人だけではなくて、障害者も指導できる指導者の養成は非常に重要かと思われます。ですから、日本体育協会のスポーツ指導者であるとか、クラブの指導者あるいはスポーツ推進委員とか、日本レクリエーション協会の指導者たちが、障害者スポーツ指導員資格、障害者スポーツ協会が出しております指導員資格を取りやすくするような促進するような施策が必要ではないかと考えております。
 事情は学校においても全く同じで、体育においては特に体を使うというほかの強化とは異なった特殊性があります。そこでどういうふうに障害のある子とない子を一緒にスポーツ、体育をやっていくかというのは非常に難しいことだと思われます。そこは今、大学などでの体育教員の養成では、障害のある人のスポーツに関してカリキュラムが必修にはなっておりません。特に地方の教員養成の核となっている独立行政法人の大学などでは、予算の面が非常に厳しいということもあるかと思いますが、障害者のスポーツに関する授業を置くことも難しいという状況があるかと思います。しかし、そこを出た教員になった子、先生、教師は、普通学校であれ、特別支援学校であれ、障害のある子を目の前に指導しなくてはいけないという状況があります。そういった意味では、大学の教員養成カリキュラム、体育教員の養成カリキュラムの中に障害者スポーツ関連の授業を必ず取るような必修にしていくようなことが必要ではないかと思っております。
 今も小学校、中学校においても先生方も自分の配慮というか、工夫の中でしかできていないというか、インクルーシブ体育に関しても指導ができてないというような調査結果もありますので、ぜひそういうインクルーシブ体育に関する研究もこの先進めていく必要があるかなと思います。
 次のページ、前回、私、欠席したのですけれども、パラリンピックに行っておりました。今、一緒にやった方がいいかというお話も出たのですが、一緒にやるかどうかは別で、今回のパラリンピックはオリンピックとパラリンピックは全く同じ扱いにしていました。もちろん、オリンピックの方が人気があるとは書いてありますけれども、扱いとしては全く同じものとして、その指針はぶれていませんでした。それは報告したいと思います。
 そこで日本の障害者スポーツ、パラリンピックの選手、頑張ったのですけれども、スポーツ基本法に書いてある北京並みのメダル獲得を目指したということでしたが、かなり下回る結果になっております。かなり競技力が高くなっているということがあります。片足義足の選手が10秒90で走る、そういう世界です。ただ、日本がメダルをたくさん取ることだけを目指すことが必要かというと、私はそうではなくて、日本独自の強化の仕方であるとか、選手の養成システムを考える必要があるかと思います。
 理由はいろいろとあるのですけれども、日本は幸い交通事故であるとかが減ってきてという状況もありますので、日本らしい強化の仕方をJOC、JPC、そのほか企業関係者、マスコミ関係者を一堂にして考えていく必要があるのかなと思っております。
 文科省と厚労省、ほかの省庁もかかわっていることですが、そこをすり合わせして無駄のない効率的な施策の推進が必要と考えます。
 障害のある人のスポーツの普及とか実施率を示す根拠、確たる数字というのは今のところ当面財務諸表化してもないのです。1つあるのは、厚労省が5年に1回やっております身体障害者の実態調査の中では、過去1年にスポーツ教室とか大会に参加した人の数ということで、大体毎回8%前後ということになっておりますが、これもいわゆる体協とか内閣府でやっているようなスポーツ実施率の調査の仕方とは違いますので単純比較はできません。かといって、私たちで調査をしようとすると、個人情報の問題もあってなかなかできないので、ぜひ根拠となるスポーツを普及していく、障害のある人たちにスポーツを普及していく根拠となる数字を出していただきたいと、厚労省のやっている調査の中に1項目そういう項目を入れていただけると非常にいいのではないかと考えております。
 以上でございます。

三浦座長 ありがとうございました。厚労省の方の根拠となる数字という部分に関しては、お尋ねは調査項目のことになりますね。

藤田専門委員 そういうものを入れていただけるのかどうかということです。

三浦座長 厚労省の方、お答えいただけますか。

君島室長 先生、ありがとうございます。認識している点は全く同じでございまして、情けないというか恥ずかしいことですが、先ほど先生が推進した方がいいとおっしゃったスポーツ指導員も数は把握しておりますが、どの人がどこで何をしているかまでは把握しておりませんし、障害者のスポーツに対する意識のようなものも数字としてとったことはございませんので、そういう基本的な数字からとることについてはこれから努力していきたいと思います。そんなに難しいことだとは思っておりません。

三浦座長 ありがとうございます。
 今、お三方の委員、芸術、スポーツの分野でインクルーシブというイメージが膨らんでくるような御発言が続いておりますけれども、また意見書の方も詳しく読ませていただき、集約していくことができればと思っております。あとまた御意見が何名かいらっしゃいますので、小中さん、大変お待たせいたしました。

小中専門委員 小中でございます。
 1つは、文化的な問題に関して、趣味、教養に関する文化的な講演、講座あるいは教室に聴覚障害者が参加したいと思ってもまだまだ現実には参加できない状況があります。主催者に手話通訳をつけて欲しいと要望しても予算がないということもあれば、コミュニケーション支援事業を利用する場合、個人の趣味は対象外であるとされることもあります。趣味、教養のための講座受講も含めた文化的な活動を保障することが非常に重要であり、合理的配慮の義務としての法整備が必要だと考えております。
 2つ目ですが、例えば音楽は聴覚障害者には無縁だと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、補聴器をつけて音楽を楽しむ聴覚障害者の方もいます。また、字幕がついていれば見ながら聞きながら楽しむこともできます。音楽面でもニーズがあることを知って頂きたいと思います。有名なタレントの公演を見たろう者から、手話通訳もいない、字幕もないという状況で、手話通訳を付けて欲しいと伝えたが門前払いをされたという実例も聞いております。聴覚障害者が排除されるイベントには問題があります。障害者が排除されない文化的な活動、イベントの開催についても法整備をぜひともお願いしたいと思っています。
 3点目ですが、美術館ですとか博物館に行きましても、例えば東京の国立博物館では、手話通訳をボランティアで用意するとか、コミュニケーションボードを用意するというような配慮をしているという話がありますけれども、これは先ほど高等教育の話にも発言させていただきましたが、手話通訳がボランティアという位置づけでは困ります。ボランティアでは質的に手話通訳を担えるのかどうか疑問です。情報保障というものをきちんと整備していただきたいと思います。また、国立博物館のホームページについても、動画もありますが、その動画には字幕がついていません。字幕をつけてほしいと要望してもなかなか反映されないので、情報アクセスとしてホームページの動画に字幕をつける体制を整備していただきたい。
 スポーツ活動について、1つお願いがございます。パラリンピックと同じように、聴覚障害者の場合には「デフリンピック」という大会が開かれております。非常に伝統ある大会ですが、国民の認知が非常に低いのです。ぜひ、パラリンピック、デフリンピックと列記した形で出していただきたいと思っています。
 以上です。

三浦座長 御意見どうもありがとうございました。
 栗川専門委員、その後、阿部委員でお願いします。

栗川専門委員 専門委員の栗川です。
 私自身が視覚障害を持って地域で暮らしているということの中から体験してあるいは考えていることについて意見を述べさせていただきます。先日、新国立劇場というオペラハウスがありまして、そこでローエングリンというオペラを鑑賞したのですけれども、ドイツ語のワーグナーのオペラなのですが、劇場には字幕の日本語が出ていたらしいのですが、私自身は、音楽は聞いて意味の分からない言葉としては耳から入ってきて、ある程度楽しめはしましたけれども、例えば字幕は出ているということは既にデータが電子化されているのだろうと思います。舞台の脇にずっと日本語が出ていたらしいのです。そういう点では、そういうところで例えば点字ディスプレイでデータが提供されれば、恐らく私自身の鑑賞の中身は大分変わったのではないかと思います。そういう点では、先ほど文科省の担当の方から、劇場や音楽堂やいろんなところでのバリアフリーを推進していくということの中に、本当に多様な意見や立場があると思いますので、それらのことについてさまざまな意見、要望を聞いて、それを推進していっていただきたいと思います。
 同じようなことが例えば来週日曜日に新潟で新潟シティマラソンというのがありまして、私も参加することにはしているのですが、この間、地元のランニングクラブで要望しているのが、あらゆる障害のある人が参加できるようにしてくださいということを要望していますが、残念ながら今年も車いすの人は参加できませんということに要綱でなっています。それは車いすの方が参加するということについて、なぜ要綱でできないというのかということについては問題だと思います。今日の芸術あるいはスポーツ、さまざまな文化についての障害のある人の参加ということについては、特別な空間を障害を持っている人のために用意して、そこに参加できる場面を少しずつふやしていきますというトーンが感じられるのですけれども、それこそオリンピック、パラリンピックモデルが今後のインクルーシブ社会ということを考えたときに適切なのかという問題も私はあると思うのですけれども、パラリンピックなどで障害を持っている人がスポーツに参加するのだという社会の中での認識が深まっていったというのは事実ですし、そのことは重要なステップだと思いますが、それが1つのインクルーシブな社会のあり方のモデルとして示されてしまうと、先ほど土本委員もおっしゃっていましたけれども、障害のない人はオリンピック、ある人はパラリンピックという一種の教育における別学とかというところにもつながっていくようなイメージができていくところがあると思います。
 そういう点では、地域の中でのさまざまな活動にとにかく障害のある人が参加していくのであると、一緒に参加していくのだということを前提に、そのために必要な合理的配慮をしていくという枠組みで物事を考えていっていただかないと、障害のある人のためのこういう大会や場所やそういったものを一つ一つつくっていますという形ではインクルーシブとは違うイメージができていきますし、実際上、そうやって排除されていったり、十分に参加できないということが起こっていますので、そういう点では文化芸術、スポーツ、その他、さまざまな分野に関してもこの観点で進めていくということを考えていただきたいというのがあります。
 もう一つ、これは質問にもなるのかもしれませんけれども、今回、読書とかの問題はここの文化的なところで入るのかどうかが分からずに来たのですけれども、文化的活動の中で読書は非常に重要なテーマとしてありますので、今日はもう時間もありませんが、ここの分科会のテーマなのか、あるいはほかのところでやるのか分かりませんけれども、読書する権利をどう保障していくのかという部分について考えて、どこかの場でお願いしたいと思います。
 以上です。

三浦座長 ありがとうございます。御意見承ります。
 それてでは、もうお一方、一木専門委員、阿部委員。すみません、時間の都合で1分ずつでお願いいたします。

一木専門委員 簡単に申します。今回オリンピック選手の銀座パレードがありましたね。どうしてパラリンピック選手と一緒にしないのでしょうか。啓発活動として考えるならば、あのようなパレードこそオリンピック選手、パラリンピック選手が一緒にすると、インクルーシブとか共生社会という意識につながるのではないかと思います。

三浦座長 ありがとうございます。
 では、阿部委員、どうぞ。

阿部委員 全国障害者スポーツ大会について説明いただきました。全国障害者スポーツ大会の身体障害者の部は、全国身体障害者スポーツ大会の岐阜大会から始まって47都道府県全部の都道府県で開催して、また岐阜大会が開催されました。このことによってスポーツ活動が広まったと思います。ただし、その種目にあればこそ、ようやく地域での予選会というレベルでの地域の普及が行われます。そのようなことから、出場種目について幅広く選択肢の種目をふやしていただきたいということと、身体障害、知的障害の種目に加え、精神障害の種目はソフトバレーボールの種目に限られています。さらに発達障害の方のスポーツニーズというのもとても多いのだと思います。全国障害者スポーツ大会の意味は大きいということを評価しつつも、発達障害の方、精神障害の方に関しての出場について検討すべきではないかと思います。
 障害者スポーツ施設について過去には先駆的な地域で開設がなされた時代もありましたが、ほとんど施設のない地域もあります。障害者スポーツの専用施設等、専門体制は地域の格差が大きいのだと思います。ただし、今、インクルーシブということですから、ソフト面、障害者スポーツ指導員の養成等を含めてどこでも誰でもスポーツできる環境をつくっていくということが大切だと思います。
 今度は学校教育の中でスポーツについてですが、なかなか体育の授業を受けることができない場合などもあるのではないかと思いますので、個別の教育支援計画の中で、地域の中には障害者スポーツの活動、指導員もありますし、障害者スポーツ協会、総合型地域スポーツクラブでも取り組んでいるということですので、どうか個別教育支援計画の中で、土日の過ごし方ということで他の機関、団体などと連携がとれるようにするべきではないかと思いました。
 保坂専門委員のお話にもありましたように、障害があって本当にすばらしい芸術性を持っている方がいらっしゃいます。でも、それは、指導して評価してくれる支援があるから頃、芸術分野において力を発揮できる方がいるのではないかと思います。展示についてもありました。芸術作品も展示の仕方で随分評価が変わると思います。障害者スポーツに関しましては、障害者スポーツ指導員の養成制度があります。これも充実していただくとともに、障害のある方々の文化芸術活動を支える人材の育成も大事ではないか。持っている能力を引き出すという視点、文化芸術、スポーツに関してよろしくお願いいたします。
 以上です。

三浦座長 ありがとうございます。
 権利条約の第30条の2項のところに、創造的、芸術的及び知的な潜在能力を開発し、および活用する機会を有することを可能とするための適当な措置をとると大変踏み込んで、そして潜在能力を開発することを重要なこととして権利としてうたってございます。そこまで日本の文科省の方にもぜひ政策をいろんな御検討をいただきたいと思うところです。
 それでは、時間となりましたので、事務局の東室長の方へお戻しいたします。

東室長 どうも長時間ありがとうございました。
 次回になりますけれども、次回は第3回目ということで、10月15日月曜日でございます。時間帯としては、10時半~12時半までです。今日の時間帯と違いますのでお間違えのないようにお願いします。
 テーマとしては、論点④が初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備①として、就学相談、就学決定等を議論するということになっています。論点⑤が初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備②として、合理的配慮及び基礎的環境の整備等を議論するということになっております。
 今日はこれで以上でございますが、実は30分後に別の委員会をここで開くことになます。終わった後、早急に移動をお願いしたいと思っているところです。

三浦座長 それでは、新谷委員、一言。

新谷委員 新谷です。
 次回、3回目でこの小委員会が終わるわけですけれども、小委員会の意見取りまとめ、障害者基本計画に反映する意見取りまとめというのはやるのですか。それともそういう取りまとめはなくて、ここの議論とか資料の反映は全部障害者基本計画の全体のまとめの中で反映されるということですか。

東室長 ただいまの御質問に対してですが、ここでの議論は議論した結果、何がいいかということをみんなで決めるという場としては想定しておりません。皆様からいただいた議論を一応整理して、親委員会である政策委員会に上げるといったところが一番の大きな役目だろうと思っているわけです。そういった意味で、ここでの議論を座長、副座長あたりに一任する形でまとめていただいて、政策委員会に上げるということで考えております。

三浦座長 どうぞ。

一木専門委員 すみません、一木です。
 前回、文科省に何点か実態調査の結果や資料の提示をお願いしたのですが、それは次回までにいただけるのでしょうか。

三浦座長 内容が7つほどありましたけれども、そのあたりは初等中等関連が多かったかと思います。次回準備するということで準備を進めております。

一木専門委員 ありがとうございます。

三浦座長 1回目の宿題、みんなで考えましたけれども、なかなか今日の議題とはなじまなかったインクルーシブ教育のイメージの共有に関しましても、次回3回目で最終的な場所でイメージを共有することができればと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして政策委員会の第1小委員会の第2回目の会合を終了させていただきます。御協力ありがとうございました。