障害者政策委員会第3小委員会(第2回)議事録

平成24年10月1日(月)
16:00~18:00
中央合同庁舎4号館220会議室

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

氏田座長 こんにちは。定刻となりましたので、障害者政策委員会の第3小委員会の第2回会合を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の会議、第3小委員会は18時までの2時間を予定しております。本日の欠席者は、菅専門委員、山本専門委員の2名です。
 まず、小委員会の開催に先立ちまして、いつもどおり1点お願いがございます。本小委員会におきましても、情報保障の観点から、障害者政策委員会と同様に、各委員が発言を求めるときはまず挙手していただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようにお願いいたします。
 議事に入る前に、本日の議題及び資料について事務局より御説明をお願いします。

東室長 担当室の東でございます。
 議事次第を見ていただければおわかりと思いますけれども、主に2つのテーマで議論いたします。前回の小委員会の御意見を踏まえまして、本日は2つ目及び3つ目の論点として、論点②「選挙等における必要な配慮の提供、成年後見制度と選挙権について」、論点③「公的活動への障害者の参画の拡大(審議会委員への登用の促進等)」について御議論いただきます。
 まず、論点②「選挙等における必要な配慮の提供、成年後見制度と選挙権について」は、冒頭に総務省から説明を受け、その後、委員間で議論していただくということを予定しております。関連資料としましては、資料一覧という少し分厚いのがあるかと思いますが、資料1、論点②に関する総務省資料ということで出ております。また、資料2が論点②に関する委員の意見ということで、皆様方の意見が記載されてございます。
 続きまして、論点③ですが「公的活動への障害者の参画の拡大(審議会委員への登用の促進等)」におきましては、冒頭に事務局から提出している資料について説明を行います。その後、委員間で議論していただくということになります。事務局で用意しました資料は、資料3ということで21ページ以下にあります。また、委員の皆様方の御意見は資料4ということでまとめてございます。
 以上が議題と資料に関する説明であります。資料が足りないものがあれば事務局にお申し出ください。ありがとうございます。

氏田座長 ありがとうございます。
 それでは、議事に入りたいと思います。論点②になります。「選挙等における必要な配慮の提供、成年後見制度と選挙権について」、まず総務省より御説明を願います。皆さんのお手元の資料1を御参照ください。資料集の1ページとなります。総務省の皆さん、お願いいたします。

笠井課長 こんにちは。総務省選挙部管理課長をしております笠井と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料1に従いまして、電子投票について御説明をさせていただきたいと思います。第1回目の小委員会で電子投票の障害者基本計画における推進状況等につきまして御説明をさせていただきました。田中委員から電子投票の概要やコスト等について資料でも欲しいとの御意見も頂戴いたしました。今日はお時間をいただきまして、お手元の資料に基づき御説明をさせていただきます。
 初めに、1ページの対象となる選挙でございますが、電子投票につきましては、条例を定めました地方公共団体の議会の議員または長の選挙が対象となっております。
 2つ目の○でございますが、そのメリットといたしましては、3つございます。
 1つは、選挙結果の判明が迅速かつ正確であること。2つ目は、有権者の意思を正確に反映できること。これは疑問票ですとか無効票の解消につながるということでございます。3つ目が、自書が困難な有権者の方も容易に投票ができるということでございます。
 2ページ、電子投票の流れについてでございますが、左側の上段のところをごらんいただきたいと思いますが、①ということで受付から始まります。投票用入場券を持参いただいて、選挙人名簿との対照による本人確認をさせていただく。ここは通常の投票と同じでございます。
 次に②のところでございますが、電子投票による投票ということになりますが、まずは候補者を電子投票機器によって選択していただきまして、選択した候補者を確認していただきまして、投票内容を電磁的記録媒体に記録。タッチパネルにおいてタッチしていただくということで投票していただくことになります。
 地方公共団体の投票所ごとに機器が設置されておりますので、例えば投票所A、投票所B、投票所Cにおいて、それぞれ電子投票機器において投票していただきます。期日前投票所においても同様でございます。
 ③になりますが、下段の終了。全投票が終了後におきましては、電磁的記録媒体を開票所へ送致するということになります。
 その結果を全投票所のデータを集計いたしまして、開票・集計端末におきまして集計いたします。
 最後に、候補者ごとの得票数を計算いたします。また、不在者投票などの結果と合わせまして、そういう報告を受けまして最終的に選挙結果が出てくるという電子投票の流れになるところでございます。
 3ページ、こちらに代理投票制度と操作補助制度について記載させていただいておりますが、投票用紙による投票の場合におきましても、身体の故障または文盲により投票用紙に候補者の氏名等を記載することができない場合には、その選挙人にかわりまして代理者が投票用紙に記載する代理投票の方法が認められておりますが、電子投票におきましてもこれと同じように、身体の故障または文盲により電子投票機を使用して投票することができない場合には、代理投票の方法が認められております。
 具体的には、投票管理者にその旨お話をしていただいて、投票管理者は立会人の意見を聞いて投票を補助する者2人をその承諾を得て決めます。そのようなことの後、立会人のもとにおきまして、選挙人にかわって代理者に投票機を操作、投票してもらう、させることができるという制度でございます。
 次に、操作補助制度でございますが、操作補助制度は代理投票の要件には該当しないのですが、投票機の操作が困難な場合には代理投票制度と同様に投票管理者に申し立てることで、立会人のもと、投票機の操作の補助を受けることができるというものでございます。
 具体的には、口頭によります助言から投票機の操作の介助、また代行までを含むものでございますが、補助制度である以上、投票しようとする候補者の選択までは行えるわけでございますが、その選択を投票機に記録するための電子投票機の操作は選挙人みずからが行わなければならないということになっているところでございます。
 また、点字投票は※印で記載させていただいておりますが、点字投票は、電子投票の対象外でございますので、代理投票を行うか、投票用紙による点字投票を行うことになります。機種によりましては、イヤホンですとかコントローラーを使用した音声ガイドラインによる投票ができる投票機もあるということでございます。
 次にコスト面のお話をさせていただきますと、電子投票に要する経費につきましては、過去の実績から投票機自体のレンタルは1台あたりおおむね約7万円ということでございます。このほかに運用支援を行ってもらうためのシステムエンジニアの人件費ですとか、地域住民への周知、啓発費用、また担当する職員への研修費用などが必要となってくることがございますが、これらは団体の規模ですとか投票所数、また選挙人の人数、規模等によって変わってくるので一概に幾らということは言えないところでございます。
 なお、地方団体が電子投票を実施した場合には、その経費の一部を特別交付税により措置するという制度もあるところでございます。
 最後に、技術的問題でございます。過去の選挙におきまして、この電子投票機が動かなくなるなどの問題が発生いたしましたが、それ以後、信頼性向上の取り組みといたしまして、電子投票導入のための手引きの作成ですとか、これまでのトラブル事例を踏まえまして、平成18年には電子投票システムの技術的条件の見直し、さらには電子投票機の技術的条件への適合確認・公表を行っているところでございまして、安んじて安心して電気投票を導入できる環境を構築しているところでございます。現在におきましては、トラブル等の報告は受けていないというところでございます。
 前回、田中委員から御質問ございました電子投票につきまして、今回御説明をさせていただきました。よろしくお願いいたします。

氏田座長 ありがとうございました。
 田中委員、特によろしいですか。

田中委員 ありがとうございました。

氏田座長 では、論点②の議論の方に進めたいと思います。論点②の議論、「選挙等における必要な配慮の提供、成年後見制度と選挙権について」と入っております。時間を区切って行いたいと思います。資料2を御参照ください。資料集の5ページとなります。
 初めに、選挙等における必要な配慮の提供に関して、ただいまの説明を踏まえ、御意見、御質問等をお受けしたいと思いますが、皆さんから頂戴いたしました御意見について、議論に先立ち少しまとめていただいています。北野副座長よりお願いいたします。

北野副座長 皆さんの意見を少し整理させていただきました。まず、選挙権であるとか被選挙権の行使を含めた選挙等の政治的参加に関して幾つかの意見がありましたので整理して。
 1つは、政見放送であるとか公開討論会であるとか、選挙公報、もっと広くパブリックコメントであるとか公聴会等に関して、1つはどのような情報保障がなされるべきであるかということについて、さまざまな情報保障に関する御意見をいただきました。
 2つ目は、特に知的障害の方に対してどのような支援がなされるべきであるかということについてさまざまな御意見をいただきました。
 次に、投票行為における御意見を幾つかいただいております。1つは、一般的なバリアフリーをどう推進するかというところでの御意見です。あと、特に一般的なバリアフリーではなくて、ガイドヘルパー等の個別的な合理的配慮の保障についての御意見もいただきました。
 投票方法における御意見を幾つかいただいております。つまりそれは電子投票の部分と不在者投票の部分と、郵便投票に関してそれぞれの制度の拡大であるとか利用者の拡大についての御意見をいただきました。また、特に推進会議の第一次意見書あるいは改正障害者基本法、障害者総合支援法等が基づいている障害者の権利条約の第12条の法的権利の部分と第29条の政治的及び公的活動の参加についての引用を多くの委員がなされておられますので、それだけ少し御紹介しておきたいと思います。
 国連の権利条約の第12条、どんな表現かといいますと、「締結国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者との平等を基礎として、法的能力を享有することを認める。」もう一つは、「締結国は、障害者がその法的能力を行使するに当たって必要とする支援を利用する機会を提供するために適切な措置を取る。」ということが多くの方々が引用された部分です。
 あと29条についても何人かの方から引用やコメントをいただいています。政治的な公的活動の参加につきまして、締結国は障害者に対して政治的権利を保障し、及び他の者との平等を基礎としてこの権利を享受する機会を保障することとし、次のことを約束する。
 障害者が直接に、または自由に選んだ代表者を通じて、他の者との平等を基礎として、政治的及び公的活動に効果的かつ完全に参加することができること。(障害者が投票し、かつ選挙される権利及び機会を含む)を確保するということで、幾つか書いてありますけれども、特に大事なことは、1つは、投票の手続、設備及び資料を適切に準備する。2つ目が、適切な場合には支援機器及び新たな機器の使用を容易にする。3番目は、選挙人としての障害者の意思の自由な表明を保障する。そのために必要な場合には、障害者の要請に応じて当該障害者により選択される者が投票の際に援助することを認めるといった項目がありますので、そういうことも参照してもらいながら御議論していただければと思います。
 以上です。

氏田座長 北野副座長、ありがとうございました。
 皆さんの御意見もお手元の資料に頂戴しておりますが、この第3小委員会、専門委員として、川崎市選挙管理アドバイザーの小島専門委員に御出席をいただいておりますので、小島専門委員の御意見も中に入っておりますが、小島専門委員に口火を切っていただければと思います。よろしくお願いします。

小島専門委員 川崎市選挙管理アドバイザーの小島でございます。
 長年これまで3月まで選挙の現場で実務をやらせていただきまして、今、川崎市で選挙管理アドバイザーという新しい職を設置していただいて、選挙実務を今やっている、いろんなアドバイスをしているようなところでございます。
 私の方から第1回のときにもお出ししたのですが、12ページにございます5点の細かいものを若干出させていただきました。この細かいものというのは実際的なものであって、理屈っぽいというよりも実際にどうしたらいいのだ、どうしてほしいというようなお話を現場で私もいろいろ聞いてきたものの中から主なものをピックアップいたしまして、論点というよりも現場ではこういうことが大きくは要望されているのですということでございますので、それぞれ各委員の皆様方十分御案内のこととは思いますけれども、若干補足説明をさせていただきたいと存じます。
 1つ目に、不在者投票のできる施設の対象に、知的障害者施設を加えることについてということでございますけれども、これは知的障害者の施設におきましては、知的障害者の方は1人では投票所に行くことが困難であるという場合が多いということでございます。施設利用者または保護者の要望にお応えいたしまして、支援者が投票所まで引率をしているのが現状であるということでございます。
 そのため、わざわざ投票所まで出向くということになるわけですけれども、知的障害者の方の投票環境がより向上するための入所している施設内で不在者投票ができるということで、そういった施設の対象として知的障害者の入っているところも含めてほしい、そういうことを明文化してほしいというお話でございます。
 2つ目に、郵便等投票のできるもの及び郵便等投票における代理記載のできる者の範囲を拡大することについてということがあります。これにつきましては、身体障害者の方ですとか要介護者の参政権の保障という観点から、郵便等による不在者投票のできる対象者、郵便等による不在者投票の代理記載のできる対象者を含めまして範囲を拡大してほしいというものでございます。
 特に資料に記載はありませんけれども、1つには重度障害の方、2つ目に生活保護法に基づく介護扶助において、要介護5と認定された方。3つ目ですが、四肢体幹機能の障害の程度が1級である方のうち、自書することができないと認められる方。4つ目ですが、介護保険の要介護5に該当しない方であっても、事実上外出が困難と認められる在宅の寝たきりの高齢者の方など。5つ目ですが、重度の紫外線アレルギー、精神病等の疾病のため外出することができない方などを挙げることができるのではないかと思っております。
 3つ目でございます。郵便等投票につきまして、視覚障害者が点字で投票できるようにすることについてでございます。これは視覚障害者の方々の参政権の保障、選挙権行使という観点から、点字投票が認められていない郵便等投票の不在者投票につきましても、これを認めるよう改善を求める趣旨だと理解いたしております。
 4つ目、演説会等において、演説内容を要約筆記し、その文字をOHPスクリーンに投影することを可能とすることについてでございます。これは聴覚障害者の方々が個人演説会におきまして候補者の政見等を知る機会をできるだけ確保するため、演説内容をビジュアルに紹介することによって、政見等をわかりやすくする必要があるというものでございます。
 5つ目、最高裁判所裁判官国民審査における視覚障害者の点字投票におきましても、一般投票と同様に記号等により投票できるようにすることについてという点でございます。
 これにつきましては、国民審査の投票におきまして、点字投票の場合は罷免を可とする裁判官がありますときには、記号の×ではなくてその裁判官の氏名を点字で打たなければならないため、投票用紙へ点字を打つために投票時間がかかる。そして、それによって投票の秘密が侵されるということが懸念されるというものでございます。
 罷免を可とする裁判官の氏名を点字で打たなければならない有権者にとっても非常に労力がかかるという声もいただいているところでございます。したがいまして、国民審査における点字による投票につきましても、記号や工夫によりますけれども、番号ですとか、そういったものによって簡便に投票することができるようにしてほしいと理解いたしております。
 最後、これは私から申すまでもないのですけれども、基本的な共通認識であると思いますが、基本法の28条の選挙等における配慮、すなわち選挙等におけるバリアフリーを考える場合の視点といたしまして、これは4つほどあると思います。物理的なバリアフリー、心理的バリアフリー、制度的バリアフリー、情報のバリアフリーといった視点があると思います。こういった視点でいろいろな障害の方がいらっしゃいますので、こういういろんな角度から検討することが求められるのかなと思います。長くなりましたけれども、この会議の口火を切るという意味で若干補足させていただきました。よろしくお願いいたします。

氏田座長 小島専門委員、どうもありがとうございました。
 そうしましたら、ここからは選挙等における必要な配慮の提供ということで、委員の皆様から5時ぐらいをめどに御意見を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 中西委員、関口委員でお願いいたします。

中西委員 中西由起子です。
 小島専門委員の御意見、現状からさらに一歩進んだものとして受け取りましたが、ただ、その中に感じましたのは、ここで言うところの代理人投票、また不在者投票というのが基本的には障害を持つ人たちがほかの人と平等に投票所に行って投票するということがだめな場合にバリアーがあったときに、それがまだ改善されていない状態としてのあくまでも措置であって、基本的には投票所に行って投票するということが基本だと思っています。
 そのために知的障害の施設、特に引っかかりましたのが、知的障害の施設のところで代理人投票を可能にするということになりますと、今までは投票所に出かけることが施設によっては楽しみといったらいけないのですけれども、1つ日曜日の活動の一環ととらえて外出の機会ととらえられていたところがなくなるような社会機会的な参加の機会の阻止にもつながるのではないかということを少し懸念しました。
 もう一つ、自分の意見に書きましたことと同様なことが視覚障害者の場合におっしゃってらっしゃったのですが、私は知的の場合での記号やマークによる投票ということを御配慮いただき、推進していただきたいと思っています。視覚障害の方がそういうふうに思ってらっしゃるということを知らずにいたのですが、知的障害の場合にも、字は書けないけれども、記号とか色とかの識別可能な方はたくさんいますので、そういう方を配慮して今後はほかの国では既に実施されている例もありますので、それを参照に記号、マーク等での候補者の識別、そしてそれによる投票が実行されることが必要だと思っています。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございました。
 続きまして、関口委員、お願いいたします。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口明彦です。
 最初に、異様な感じがしたので御質問ですけれども、電子投票が行われている自治体というのは現在どれくらいあるのかということを質問したいと思います。
 もう一つは、電子投票という方法自体が合理的配慮の最初に来るというのはどうも解せないのです。書くのは誰でも書けるわけですし、代理人でも書けるわけですから、アメリカの大統領選挙において電子投票機械がインチキをしたのではないかという話もありました。要するに、何が問題かというと、証拠が残らないのです。数え直しができないのです。そのようなシステムに大事な参政権の1票を預けるということは、たとえ精神障害者であっても私はしたくありません。
 もう一つ、論点になると思うのですけれども、私は入院中に確かに選挙したことがありますけれども、地方選挙の場合、例えば私は中野区に住んでいますけれども、中野区議会議員の選挙とか、そういうのは病院ではしませんね。つまり、そもそも送られてこないわけです。選挙公報も投票券も何も送られてこない。だから、その辺の配慮をちゃんと入院中も保障するような形でやっていただきたいなということを感じています。
 あとは投票の秘密というけれども、立会人がいるのだったら別に立会人にはわかってしまって当然だと思うし、代筆する人とか、指さし投票でもってこの人だということがわかってそれを書く人にはわかってしまって当然なので、点字だからわかるからまずいというのは論理的によく理解できませんでした。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございました。幾つか質問があったかと思うのですが、総務省の方に設置場所はどのくらいあるのかということと、電子投票についての質問。また、自治体の選挙のところで入院中の配慮というご質問がありました。お答えをお願いできますか。

笠井課長 電子投票につきまして、平成14年に電磁的記録投票法という法律が施行されてから、地方選挙におきまして各自治体の判断によって条例を制定して実施可能となってこれまでに10団体で合計22回の電子投票が実施されております。また、現在、電子投票条例を制定している団体は7団体という状況でございます。

氏田座長 関口委員、よろしいでしょうか。

関口委員 ですから、物すごい手間だとは思います。例えば1つの病院にはいろんな自治体の人がいますから、自治体の選挙をいちいち選挙公報を送って郵便投票してもらうというのは大変な手間だと思うのですけれども、そこをどこまでを過度の負担というのか、みたいな話ですけれども、つまり、合理的配慮としてやれるのかやれないのかという可能性みたいなものの見通しがありましたらお知らせください。

氏田座長 いいですか。

小島専門委員 今の指定病院ですとか老人ホーム、不在者投票の御請求があって、投票用紙を送る際に、その時点で選挙公報が印刷されていれば、これまでの川崎市の例では一緒にお送りする。ただ、選挙公報というのは選挙人名簿に登録された各世帯に配布するという法律の組み立てになっていますけれども、便宜的な行為として、やはり送らないと投票するに当たって正確に候補者の名前も書けないでしょう、判断もできないでしょうということで、そういう配慮でやっております。
 選挙公報がまだできていない段階では立候補者の告示の写しですとか、そういうものをお送りするという配慮はやっておりました。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。ほかに御意見。
 田中委員、お願いいたします。

田中委員 全日本育成会の田中です。
 先ほどの中西委員の話とも重なる部分が多いのですが、小島専門委員からの御説明にありました不在者投票のできる施設の対象に知的障害者施設ということで知的障害の方の困難さを補うということを視点にお話をいただいたと理解しておりますが、2番で示していただいた方々の困難さとさほど大きく変わらない困難さだとすると、知的障害の方だけをここで特筆していることについて、少し違和感を持ちました。
 よくよく文章を眺めてみますと、対象に加えることについてということになっているので、知的障害者施設以外の対象施設というのがあれば、具体的にどのような機能をしているのかということで教えていただければと思っています。
 というのは、知的障害者施設を加えるということで、知的障害の方の利便性が高まる、本人の視点で対応を促進するということでよいのだろうと思って聞いておりましたが、逆に不在者投票の場所として、施設の利用者の方しか使えない場所なのか、今日のユニバーサルな視点で言うと、不在者投票ができる場所として確保されたことが一般の方々にどう影響するのかということも気になりましたので、その点で少し違和感を持ちましたということが、情報が足りないことでそのようなことになっているのであれば教えていただければと思っております。
 以上です。

氏田座長 小島専門委員、よろしいでしょうか。

小島専門委員 小島でございます。
 今の御質問ですけれども、知的障害の方の施設を入れるというのは、都道府県の選管連合会ですとか、そういうところからの法改正要望の中にも入ってきているという御要望が高いということなのですが、その施設はあくまでもその施設に入所している方が対象になる。ただ、その施設でやるかやらないかというのは、あくまでも御本人の選択ということになります。投票用紙の請求方法につきましても、例えば知的障害施設が規制されたといたしましてそこの施設の長にお願いして請求する方法と、御自身がみずから名簿の登録がある選管に請求する方法がございます。ですから、投票方法としては3者ある。
 もう一つは、当日投票にもし行かれないとすれば、事前に区役所ですとかいろんなところに設置されている期日前投票所に行って事前に投票することも可能である。ですから、そこに固定されるということよりも、選択の幅が広がるということで、御本人のあくまでも意思というものが生きてくる、生かせる選択の幅が広がるということのように私は理解しています。よろしいでしょうか。

氏田座長 では、この件について総務省の方からもお答えくださるということなのでお願いします。

総務省(鈴木) 総務省選挙課の鈴木と申します。
 不在者投票ができる施設ということで御質問ですが、ちょっと御説明させていただきますと、法令上では、今、御説明があった分もあるのですけれども、例えば船舶ですとか、これは話が違うのですけれども、病院あるいは老人ホーム、身体障害を持たれている方の施設などにおいて不在者投票ができるという、政令の方でそのような仕組みになってございます。

氏田座長 ありがとうございます。
 田中委員、よろしいでしょうか。

田中委員 田中です。
 付け加えてということであって、なおかつ、選択の幅が広がればということが、あとは運用の問題ということになるので、運用上、若干心配なのは、先ほど中西委員から、せっかく可能である参加と活動の機会が自前で用意できるのであれば運用上その可能性がつまれてしまうことは危惧しますが、設定する前提としての条件整備としては、そんなに合理性はないかと思いますので、運用面でぜひここにとどまることがないような展開を望むということを前提に、状況については理解いたしました。

氏田座長 御意見ありがとうございます。ほかによろしくお願いします。
 どうぞ。

大濱委員 大濱です。
 今、田中委員から運用の話がありましたが、私たちが危惧しているのは、知的障害者や高齢者の人たちが、施設長等に誘導されて投票するという実態があるという噂をあちこちで聞いていることです。このあたりの実態を踏まえて、知的障害者だから、高齢者だからということで、特に認知症の方も含めて安易に不在者投票というのはちょっと危険かなという気がします。それに対するチェック機能が備わればいいのですが。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。関口委員と大胡田専門委員。関口委員からお願いします。

関口委員 大濱委員の意見についてですけれども、成年後見制もそうですけれども、行為能力を認めないという立場に立ってしまう、あるいは行為能力を侵害されやすいからまずいという立場に立ってしまうと、他の者と平等というのはそもそも成り立たなくなってしまうので、これは参政権は認める。ただし、それに対して指導なり示唆なりしたものに関しては厳しく取り締まるという形しかとりようがないと思うのです。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 大胡田専門委員、お願いいたします。

大胡田専門委員 総務省の御担当の方に質問なのですが、選挙公報に関しまして点字や録音媒体による提供の場合には、「選挙のお知らせ版」という名称になっているのはなぜなのでしょうか。

氏田座長 総務省からよろしくお願いします。

笠井課長 今、大胡田専門委員からお話がありましたが、選挙のお知らせ版につきまして、全国の選挙管理委員会において配布していただいているところでございます。それは今の御質問の趣旨は、点字による選挙公報の発行を制度化するべきではないかという御質問ではないかと思うわけでございますが、そういうことでよろしいでしょうか。

氏田座長 大胡田専門委員、お願いします。

大胡田専門委員 私が聞き及ぶところによりますと、これは内容が選挙公報とまるっきり同じではないために選挙公報という名前を使えないと聞いているのです。そのあたりの認識は正しいですか。

笠井課長 点字によりますところの選挙公報の発行につきまして、従来からいろいろ意見があったところでございます。各選挙管理委員会が限られた選挙運動の期間中、選挙は公示日から投票日まで期間が限られております。その限られた期間の中において、期間内に誤りなく点字による選挙公報を強制することができるのかどうか。また、調整した選挙公報を視覚障害者に公平に配布することができるのかどうかという技術的な問題がございます。これを実現することは困難であると考えているところでございます。
 そういうことでございますが、視力に障害のある有権者が投票しやすいように各都道府県の選挙管理委員会におきましては、候補者の氏名や経歴等を点字で掲載した「選挙のお知らせ版」を配布しているところでございますし、また、音声による「選挙のお知らせ版」につきましても発行をしていただいているということでございます。そういうことでお答えになりますでしょうか。

氏田座長 大胡田専門委員、お願いします。

大胡田専門委員 そうしますと、視覚障害者には健常者であれば得られる情報が完全には保障されていないというのが現状だということは間違いないと思います。最善の努力は尽くしていただいているとは思うのですが、それでは、平等の情報を得た上で選挙を行うという理想にはかなっていないように思いますので、点字や録音媒体という技術的な制約に余り縛られずに、例えば選挙管理委員会の管理するサーバー上にホームページで選挙公報を出すとか、そういったことであると、比較的時間的にも技術的にもロスがなく、視覚障害者に情報提供することができる場合もあるかと思いますので、より柔軟な方法を御検討いただきたいと思っております。

氏田座長 ありがとうございます。
 総務省からございますか。

笠井課長 種々のお話につきましてはわかりました。総務省においても障害者の方が投票しやすいような環境をつくることができるように、また内容の充実等についてどのような工夫ができるかということにつきましては、日々検討させていただいおりますが、先ほどもお話しさせていただきましたとおり、選挙の公平・公正という観点から技術上の問題点があるために今まで制度化されていないという状況でございまして、いろいろな工夫等につきましてはできる範囲でしていきたいと思っていますが、そういう状況でございますので御理解もいただきたいと思います。

氏田座長 ありがとうございます。
 大胡田専門委員、よろしいでしょうか。ほかにお願いいたします。
 小島専門委員、どうぞ。

小島専門委員 小島でございます。よろしくお願いします。
 今の選挙公報の録音版の話ですが、川崎市では1967年、昭和42年の衆議院の総選挙のとき、初めてボランティア団体の方々が録音版のテープをつくってやっております。それ以来ずっとやっているのですけれども、選挙公報、現状で言いますと、図があったり、またグラフがあったり、イラストが入っている部分がございます。当然、それは音声にしづらい部分がございますので、どういう形で読むものを決定しているかと申しますと、各候補者にどういう順番でどこをどういうふうに読んでほしいのだということを候補者サイドに指示していただいて、それに基づいて録音、読んでいるという状況でございます。
 ですから、点字の場合につきましても、まだ川崎市では細かい話はやっておりませんけれども、点字につきましても当然図ですとかイラストですとか、そういうものが全く一分の隙もなく点字に引き写せるか、また音声にできるかというとなかなかしづらい部分がございますので、現状ではお知らせ版という表現にならざるを得ない。
 本当に制度化するのであれば、点字用の原稿、音声用の原稿を正式に出していただかないと、これはいつまでたってもお知らせ版にすぎないということになろうかと思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 田中委員、お願いします。

田中委員 全日本育成会の田中です。
 先ほど知的障害者施設を加えることの事情の理由については、前提となる老健施設や病院などがあるということも含めて理解しましたし、関口委員からも条件を整備することと実際に運用でやってしまうことはそもそも運用をきちんとチェックすればいいということでしたので、今日この時間でこの発言をしておかないとということであえてさせていただくと、そのような条件のもとで進めていく際に、今日、副題的に用意されている成年後見をとると選挙権が活用できなくなるということについて。

氏田座長 田中委員、この辺はその次のところでお願いできるとありがたいのです。申しわけないです。

田中委員 後ほどまたお時間いただければと思います。

氏田座長 ありがとうございます。
 最初の部分の選挙への配慮というところでまず先に御意見を頂戴できればと思います。
 中西委員、お願いいたします。

中西委員 中西です。
 私は車いすで投票するのですが、車いす用の投票ボックスというのは大きな投票ボックスのすぐ横に1段低く設置されていて、自分が書いている内容がほかの人に見られるのではないか、見下ろされるのではないかという危惧感があるのです。そういう意味で、ほかにも例えば代理人がいらっしゃる方に関しては、これだ、あれだと言っている指示の部分が隣のブースにいる人、近くを通った人に聞こえてしまう。私の場合には、書いているものが見えてしまうという危惧感があって、そのような投票の際のブースの位置にも今はバリアフリーにしておりますということで低いブースがあればその投票所はオーケーというような風潮があるのですが、その位置も配慮されねばいけないと思っています。
 以上です。

氏田座長 御意見ありがとうございます。
 石野委員、お願いいたします。

石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
 聴覚障害者としては、選挙公示から投票所に行くまで特に非常に緊張する期間です。なぜかと申しますと、聴覚障害者の場合は情報が非常に重要ですので、候補者の方の政党、政策等、考え方を聞かなければいけない。その場合に、例えば選挙公報を読み、そこで判断するという方法もありますが、テレビの政見放送の手話や字幕などを見て判断しなければなりません。
 しかし、それでも万全ではないのです。来年からは選挙において政見放送に手話通訳をつける、字幕もつけるというような方向は載っており、以前と比べて進展は確かに見えます。しかし問題が1つあり、誰でも自由に選挙活動ができるということにはなっておりますが、政党などの後援会または選挙の候補者、立候補者が例えば電話でいろいろお願いをするということもあります。ところが、聴覚障害者の場合は、選挙活動をやろうと思っても、もちろん、電話はできません。その場合ファックスあるいは携帯メールということになりますと、実際に公職選挙法に抵触するという事になります。
 聴覚障害者の場合、ではどうやって活動すればいいのか。これも1つの問題になっています。公職選挙法にも問題もあるということです。
 2つ目は、戦後、聴覚障害者の場合、初めて議員になった例が1つあります。長野県の白馬村というところで、櫻井さんという女性の聴覚障害者が立候補して当選しました。しかし、コミュニケーションが手話や要約筆記の方法をとるということになりますが、ほとんど保障がないという状況の中で議員活動・議会活動もしてきました。ようやく2~3年たってから情報保障がついたという環境になったわけです。任期は終わりましたけれども、それだけではなく、やはり権利条約の理念などを考えてみますと、すぐに通訳が配慮できるようにきちんと保障していく必要があると思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。ほかにございますか。
 どうぞ。

北野副座長 副座長の北野です。
 氏田座長の方から滝乃川学園の説明を出してもらっていますので、ぜひとも御紹介してほしいので少し御説明していただけますか。

氏田座長 7ページのところにあります。私の息子も自閉症と知的障害がありますので、
 本人にわかるような選挙広報もなされていないのが現状ですので、選挙に毎回どんな形で参加するかということで大変苦労していまして、いろいろ調べて先輩からもお話を聞きましたら、候補者を選ぶということで滝乃川学園の実践のことを伺いました。
 こちらの学園では、選挙管理委員会公認の立会演説会を同じ園内にて開催して、立候補者から入所者へ直接話してもらうという取り組みを1970年代から実施していらっしゃるということで、現在ももちろん続いてらっしゃいまして、市長候補者は全員だそうです。そして、市議会候補者のほぼ全員が参加されているとのことでした。広報誌だけではなかなかわからないところを本人にわかりやすい言葉で候補者自身が語りかけて説明してくださったりというのは大変有効ではないかと思っています。
 学園の利用者のみではなくて市内のほかの施設からの参加もふえているということですので、こういう形で拠点になるような場所があって本人向けの選挙広報がなされることで、先ほどのご意見にもあった押しつけとか主導的ではない、という心配も改善されると思います。御本人の意思決定支援に配慮した選挙権の行使のあり方というのが1つ実行されているという事例だと思います。
 次の投票するというところでも、指さし投票というのが選挙管理委員会の合意を得て認められているというお話でした。文字を書けない人の場合には、投票所に入ると選挙管理委員会の職員や市の職員が立ち会ってくださり、ブースで職員が選挙広報紙を開いて、本人が投票したいと思う候補者を指さしするという方法だそうです。
 本当にさまざまないろいろな障害の方がいらっしゃって、個別のニーズを持たれているので、そこに対しての支援がこんな形でできるとすごくいいなと思っていましたので、意見の方に書かせていただきました。
 以上です。あと5分ほどありますので、引き続きご発言をお願いします。
 大胡田専門委員、どうぞ。

大胡田専門委員 たびたび恐れ入ります。先ほどの川崎の選挙アドバイザーの方の意見にもありましたけれども、郵便投票が非常に限定された条件でしか使えないというのは大変大きな問題だと思っておりまして、知的障害や精神障害等の理由によって外出が困難な方、それについては事実上現状では投票機会が失われた状態にあると言わざるを得ませんので、この点は即刻改善されるべきだと考えております。

氏田座長 ありがとうございます。
 後藤委員、よろしくお願いします。

後藤委員 日本福祉大学の後藤でございます。ありがとうございます。
 出口から権利条約を批准しにいこうという取り組みが基本法であり、基本計画を実施することでそれを実現しようという大きい流れと思います。権利条約12条や29条でそれを求めていますので、これをしていけば権利条約を批准して問題ないということでよいのか。全体を見るのはどの組織になりますか。内閣府が全体を見てよいと判断するのか、総務省なのか。総務省は選挙のうちの一部だけか、28条や29条は総務省が全部について責任を負っているのか。形成判断といいますか、いま進んでいる方向で行けば権利条約の批准も大丈夫と思ってよいのかお伺いしたく思います。

氏田座長 室長、お願いいたします。

東室長 権利条約の批准については、担当室が所管しているわけではありませんので、責任を持って答えられることではないと思っています。最終的には、手続的には外務省が取りまとめて最後の批准の手続はすると思います。これらの条項について権利条約と実際抵触しているのか、改正しなければならないのかといった大きな判断をどこで下すのかどうかということについては別として、少なくとも現状として正面から抵触する部分があるかどうかについては、投票環境について現状が権利条約に正面から違反しているという部分は必ずしもそんなにはないのではないかというのが議論の前提だと思っています。
 後で成年後見人の話がありますけれども、その部分がどうなのかというのはかなり権利条約との関係で大きな問題ではあるかもしれませんけれども、基本計画を立てるというレベルの問題として対応できるかどうかというのはまた別の問題になってくるのかなと思っています。

氏田座長 後藤委員、どうぞ。

後藤委員 後藤でございます。
 電子投票も、実績は22回、10団体、条例が7団体という水準です。今までの福祉は、制度を国が用意しても、現場にできない事情がありました。権利条約では、結果を出すことが批准の際に求められるのが変わる点です。今日出ているのも、批准できる水準にないという意見だと思います。国が施策によって、どの自治体は条例をつくった、どこは担保できていると実名を出して促して権利条約の水準を満たすという出口の結果をつくりに行くこと。呼びかけて、後は自治体に任せています、自治体はしていないところもありますというのだと今までと変わりません。出口とはそういう意味で申しております。

氏田座長 モニタリングを今後しっかりやっていくということですね。
 ありがとうございました。ちょうど5時をちょっと回ったところなので、今、出ていました批准に関係するということで、次のところになります。論点の2つ目です。成年後見制度と選挙権についてというところで議論に入らせていただきたいと思います。議論に入る前に事務局より補足説明をいただけるということなので、よろしくお願いいたします。

東室長 議論の初めに説明させていただいた方が適切かどうかはわからないのですが、これまでも推進会議等でこの問題はいろいろと御議論いただいているところなのです。ただ、本委員会との関係でいいますと、主たる目的は障害者基本計画という行政ベースの計画をつくるというために御審議いただいているところなのです。成年被後見人が選挙権もしくは被選挙権の欠格事由となっておりますが、この問題は、1つは、公職選挙法に基づく規定であるために、国会議員の選挙の基本の部分に当たる問題であるわけです。この公職選挙法の改正につきましては、正確に知識を持っているわけではありませんが、議員の身分に関連する問題でありますので、行政の方からいろいろと議論をするのではなく、国会での判断、国会での議論をベースになされてきたという経緯もあるそうなのです。
 そういった観点から、内閣府は一般的には法案を提出する権限を持っておるのですが、公職選挙法は一般の法案と比べてそういった点で違う取扱いがなされてきたということです。ですから、これらの問題は基本的には国会において各党各会派で議論してもらうということが基本だろうということです。
 あと1つは、現在、御存じのように4件ほど違憲訴訟が提起されているわけです。国会がつくった法律が違憲かどうかの審査権は司法にあるわけです。行政はむしろ国会でつくった法律に基づいて行政が行うという憲法上の立場があるわけです。そういった三権分立上の問題を考えると、現在、違憲訴訟としてなされている場合においては、まずは司法の判断をいただく。その上で、行政施策としてできるところがあればやるという、それがオーソドックスな議論だということです。
 ですから、この問題に関しては、具体的に施策として何かを盛り込むということがなかなか難しいというのが現実的なところだと思っています。ただ、この問題について委員の皆様がどういう意見を持っているのが、それをこの場で発言していただいて、共有できるところは共有していくということは非常に大事なことと思っているわけです。
 つきましては、この点について具体的に施策に落とすということは一定限界があるという前提での御議論をお願いしますとしか事務局的には御説明できない苦しいところがあるということを最初に御了解願えればと思っているところです。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。東室長より、留意すべき点があることをご示唆いただきましたので、これらについても意識しつつ議論を進めたいと思います。
 田中委員、先ほどとめてしまって申しわけなかったです。お願いいたします。

田中委員 全日本育成会の田中です。
 いきなり冷水をかぶって気持ちをウォーミングアップしていたところでいきなり指されるとは思っていなかったので、それでも前向きにしゃべりたいと思います。いろいろな条件があるとしても、そもそも論からここで積み上げていかないと、基本的にはいろいろな不都合が、例えば権利条約に照らし合わせていろいろなものを見直すということも1つの物差しがあって、それが今までの国内での積み上げてきた文化とかいろいろなものと大きな隔たりがなければ変えていこうという流れをつくろうとしているわけですから、今、室長からお話しいただいたことも1つの流れではあって、それをこの場でいっきに竿をさして曲げることはできないということがあるとしても、議論はすべきだろうと思っていますので、そんなふうに気持ちを切りかえてお話しさせていただきます。
 基本的には個人の問題としてとらえると、やはり参政権がないということは非常に人権上大きな問題があると位置づけて、この参政権がいろいろな文化の発展や民主主義の発展の中で積み上げられて権利として保障されている中で、障害があって、できなさ具合として後見人に託さなければいけない財産上の法的な行為を託すがゆえに選挙権も一緒に奪われてしまうという制度上の不備があるということについては、人権を尊重するという前提で制度に不備があるという視点で見直しをしていただきたいということが成年後見を活用しようと思った瞬間に今までできていたこととしてできなくされるという当事者の立場からすると、非常に理不尽なものがあるという視点で、ぜひここは今回の計画の中に盛り込めるかどうかはわかりませんが、盛り込むという立場で臨むことは大事だろうと思って意見をまとめさせていただきました。
 今、お話しさせていただいたことを資料の中では具体的にお伝えさせていただいておりますし、15ページ、このたびそのような位置づけをもっと明確にするということで意思決定支援ということも日常の本人の暮らしに対する意向をさまざまに聞いていくという非常に日常を重視した意思ということから、今、いろいろお話しさせていただいた法的に本人の人権を尊重する大前提で意思があるということを支援することに関して、その象徴のように選挙権の問題はありますので、選挙権が奪われている中で意思決定支援を充実させるというのは出来事としても非常に不都合があるということになりますので、基本的には成年後見制度で本人の事理弁識能力という難しい言葉すらもよくわからない状況で能力を審査するということには選挙権についてはなっていませんし、そもそも選挙権は能力の問題でそれを行使するべき立場があるなしを云々するものではないということも含めて、きちんと位置づけるべきだと思っておりますので、能力を理由に与えられないということがないようにするということにおいても、成年後見における能力の不足が1つの引き金になって選挙権が奪われるということは非常に不条理だということで、その前提で検討していただければと思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございました。
 石野委員、お願いします。次、関口委員、お願いします。

石野委員 石野です。
 成年後見制度について、理屈抜きで私個人の親としての体験をお話しさせていただきます。
 私、実は娘、息子とも知的障害者です。それまでは選挙管理委員会から名簿をいただいて、名前は家族4人の名前が書いてあって、参政権については皆同じと思っていたのですが、成年後見人制度を活用するということにした後は、送られた名簿には娘と息子の名前はありませんでした。私たち夫婦だけの名前で非常にショックを受けました。
 なぜ同じ国民なのにのぞかれてしまったのか、排除されてしまったのかということで非常に驚きました。選挙に行く行かないは本人が決めることです。そのような仕打ちを受けたことが忘れられません。皆さんのお話を聞いて親としての経験をお話しさせていただきました。
 以上です。

氏田座長 石野委員、ありがとうございます。
 では、関口委員、お願いいたします。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口明彦です。
 障害者基本計画、今回のキーワードは多様性の尊重とインクルージョンということだと思います。12条についてはさんざんぱら出ているので法的能力を認めるということなのですけれども、条約の前文、(i)項に障害者の多様性を認めという文言が出てきます。3条に、差異の尊重並びに人間の多様性の一部及び人類の一員としての障害者の受け入れということが出てきます。19条に、この条約の締約国は全ての障害者が他の者と平等の選択の機会を持って地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障害者がこの権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に抱擁され、インクルージョンされ、及び参加することを容易にするための効果的かつ適当な措置をとると書いてあります。どう読んでもこれは選挙権、例えば同じ程度の知的障害者あるいは同じ程度の認知症の方がいて、片方は成年後見を受けていて片方は受けていなかったら、成年後見を受けている人だけ選挙権が奪われるという、これは他の者と平等ではないですね。選挙権はある。つまり、人間の尊厳とともに人間の権利能力はあるのだから、それは認めるということです。
 ただ、ここで考えなければいけないのは、成年後見制というのは例えば財産を取得する、相続とか債券を売るとか、株を売るとか、そういうことに関しては同意しなければいけないのです。同意か拒否かどちらかですけれども、要するに後見人が決めるわけです。建前上は本人が望んでね。それができない人の場合は後見人が完全に代理人みたいな形になって財産を管理するということになるのでしょうけれども、いずれにしても後見人という制度は障害者の権利を保護するためにその障害者の権利を制限するという手段を持ってするわけです。ですから、このスキームは直さなければいけないと思います。
 成年後見制のスキームをもう少し意思決定支援、例えば勝手に財産を売り払ってお金にしてしまったらまずいではないかと言うけれども、そういうことをそそのかした人の方が悪いのではないかということです。つまり、知的障害者の女性に男がだまして寄ってくるから、では子どもの生まれない体にしてしまおうという、これは逆の発想ですね。だます男が悪いのです。ですから、そこのところをちゃんと押さえた上で、成年後見制という枠組み自体を変えるということも含めた上で権利能力があるということを認めないとおかしな議論になると思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 ほかの委員の方、いかがでしょうか。
 中西委員、大胡田専門委員、よろしくお願いします。

中西委員 中西です。
 私、自分の意見に成年後見法の制度の改正ということを訴えときに、知的障害者でしか書かなかったのですけれども、知的障害の方たちは結構今運動してらっしゃって、それ以外の障害者もいるので、その部分の成年後見制度というのは誰にも余りよく知られていない現状です。誰が含まれるかということをきちんと認識しなければいけないと同時に、選挙権の話しかなかなか出て来ないので、被選挙権を含めての公職選挙法での改正を、私もここにはきちんと書きませんでしたが、今度の基本計画に明記しなければいけないと考えます。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 大胡田専門委員、お願いします。

大胡田専門委員 これまでの皆さんの意見に全て賛成なのですけれども、現在の成年後見開始の審判では、もっぱら私法上の財産管理の能力の有無という観点から後見を開始するべきかどうかの判断が行われておりまして、この後見開始の審判の過程では、選挙で特定の候補を選ぶことができる能力があるかどうかということは一切問題にされません。
 にもかかわらず、成年後見が開始されると自動的に選挙権を失うという現在の制度というのは、憲法上も大きな問題があると思っております。
 選挙の公正を確保するため、一定の場合に選挙権を制限しなければいけないというやむにやまれぬ必要があるのであれば、成年後見とは別に、その方の選挙を行う能力に着目し、選挙権を喪失させるのが相当かどうかを特に判断する新たな審判制度のようなものを設ける必要があるのではないかと考えております。

氏田座長 大胡田専門委員、ありがとうございました。
 ちょうど時間なのですけれども、どうしてもこれだけはここで言っておきたいという方がいらっしゃいましたらご発言をお願いします。よろしいでしょうか。
 御協力ありがとうございます。
 続きまして、次の議題に入りたいと思います。論点③「公的活動への障害者の参画の各課題(審議会委員への登用の促進等)」について、事務局より御説明をお願いします。資料3を御参照ください。資料集の21ページとなります。よろしくお願いいたします。

東室長 担当室の東です。
 資料3は21ページで1枚物になっております。事務局としましては、公的活動への参加ということで、審議会の方への参加状況を調査してみました。資料3の表題は「国の審議会等における障害者等の参画状況について」となっております。
 調査の趣旨は、障害者政策を形成するプロセスに障害者参画を広げていくことが必要であるといった観点から、国の審議会等に障害者等が委員または専門委員として参加している現状を把握するといったことにあったわけです。
 ここで専門委員等というのは、各審議会の臨時委員、特別委員、または専門委員のことを言っております。さらに障害者等という意味は、障害者及び障害者の家族のことを指しております。それを前提に御説明したいと思います。審議会等という言葉もありますけれども、これは法令上の根拠に基づくものを指しております。少し条文を挙げますと、国会行政組織法第8条、並びに内閣府設置法第37条及び54条に基づく審議会等を対象にしております。調査時点は8月31日現在ということです。
 ですから、例えば政策委員会の前身である「障がい者制度改革推進会議」は法律上のもとで設置されたものではありませんので、もう既になくなっておりますが、あったとしても対象にならないということであります。
 この調査をする上で、委員本人が障害者等に該当するということを公表していない場合もあります。全体として見ればむしろ公表していない場合が多いのだと思うのです。ですから、ここで挙げられた数は委員会の庶務を行う省庁において、委員が障害者等に該当することを把握している場合だけの数字でありまして、把握していない場合には障害者等に該当しないという扱いで数字が挙がっております。したがいまして、実際上は今回の調査結果よりも多くの障害者等が委員または専門委員として参画している可能性は十分にあると考えております。
 調査結果の概要でありますけれども、まず委員については、国の審議会等が118ありますが、そのうち障害者等が委員として参画しているのは2つの審議会等であります。1つは、この障害者政策委員会でありまして、もう一つは、交通政策審議会です。また、国の審議会等の委員は1,800人ぐらいおりますけれども、障害者等の委員は17名となっております。その内訳は、障害者政策委員会で16名、もう一つの交通政策審議会で1名となっております。
 次に、委員ではなくて専門委員等について見てみますと、次の審議会等118のうち、障害者等が専門委員として参画しているものは6つであります。それを紹介しますと、障害者政策委員会、文部科学省独立行政法人評価委員会、中央教育審議会、社会保障審議会、厚生科学審議会、労働政策審議会となります。
 人数につきましては、国の審議会等の専門委員約8,000名超のうち、障害者等の専門委員等は25名となっております。その内訳は、障害者政策委員会7名、文部科学省独立行政法人評価委員会1名、中央教育審議会10名、社会保障審議会1名、厚生科学審議会2名、労働政策審議会4名となっております。
 なお、この調査は今日発表するために暫定的に行ったものでありますので、変動する数字であるということを申し添えておきます。
 以上です。

氏田座長 御説明ありがとうございました。
 続きまして、今の東室長の御説明も踏まえまして御意見、御質問等ありましたら、委員の皆さんからお願いいたします。いかがでしょうか。
 関口委員、お願いします。

関口委員 私の意見は非常に短くて、あらゆる分野で障害者をちゃんとインクルージョンするというか、包含しろという意見です。なぜかというと、12条で法的な能力はあると書いてある。5条に、締約国は全ての者が法律の前に、または法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを認めると書いてある。
 障害者の事実上の平等を促進し、または達成するために必要な特別な措置はこの条約に規定する差別と化してはならないと書いてある。つまり、これは言ってみればアファーマティブアクションをある程度許容していると読み取れるわけです。であるとするならば、少なくとも総人口に占める障害者のパーセンテージぐらいのパーセンテージは審議会等の委員になっていなければおかしいというのが私の意見です。
 ですから、障害者は障害者の問題だけやっていればいいのだというのも変な話だと思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 中西委員、お願いします。

中西委員 中西です。
 私の出した意見は、この知的障害者の特に審議会等への参加についての細かい方法、これは八王子市で実践のものですが、その例を書かせていただきました。これは審議会に参加するというだけではなくて、2番のポイントで言っているように、必要な情報が準備できるような配慮の提供ということで、会議の前に事前に主催者側が支援者を同行して知的障害者に来てもらって、その人たちが会議の内容と発言を求められる内容と時間帯などの説明を受けて、支援者と発言内容についての事前のペーパーづくりを行って、そして審議会に参加します。これはほかの障害者に対しても言えることで、参加に対して十分な情報が提供できるような配慮がない限り、審議会への参加等チャンスがあっても十分に活動できませんので、審議会に参加すると同時に事前に十分な情報保障というのもあわせて考えていただきたいと思っています。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 石野委員、お願いいたします。

石野委員 石野です。
 今、示されました資料を拝見しておりますが、審議会やさまざまな場所の会議において、障害当事者が積極的に参画すべきという考え方は皆さん共通にお持ちだと思います。
 例えば障害者雇用率というものがありますが、今、民間企業の場合は1.8%雇用しなければならないということが法定で定められています。その考え方に基づきますと、審議会におきましてもいろいろな会議の場面においても、例えば当事者が何%というようなこともあってもいいのではないかと思っています。
 会議を開く前にきちんとした形の資料提供、特にこのような政策会議などの場合には情報保障についての整備等々、当然もっとさらに広げていかなければいけないと考えています。これも1つの課題だと思っています。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 大胡田専門委員、お願いいたします。

大胡田専門委員 障害当事者があらゆる審議会に積極的に登用されるべきというのは、恐らく皆さん共有されている意見だと思います。では、どうすればいいのかと考えたときに、私が1つ思いついたのは、例えば本日点字の資料を用意していただいたり、この政策委員会では大変充実した配慮がされているわけでございます。こういったことを1つのスタンダードとしてつくりまして、こういう配慮ができるのであれば、障害者も積極的に審議に参画できるのだということを何か権威のある機関から出していただけると、委員を任命する側も安心してこういうことができれば任命してもちゃんとやれるのだということで積極的に障害者を登用してくれるのではないかと思いますので、こういったスタンダードづくりをお願いできればと考えております。

氏田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。
 田中委員、お願いします。

田中委員 全日本育成会の田中です。
 今、石野委員も言われたように、参加すべきだということがこの計画で提言されるのは、もう既に何年も提言され続けていますので、提言されてなるほどというレベルは多分大前提にはなっているのだと思いますが、わかっているけれども、できないということについての具体策として1つ数値目標が出されたわけですが、もう一つ、具体的な方法論を明示して、中西委員から実践例を出していただきましたし、今、大胡田専門委員からは具体的な方法をもっと積極的に示すべきだとされておりましたが、私の意見としては、そういったことに関して特に知的障害者や精神、コミュニケーションに課題がある方については、1つの方法論が全てをカバーできるということにならない側面もありますので、少し専門性というと表現を間違えてしまうかもしれませんが、その人の特性に見合った支援方法は少し具体化して提案しないとうまくいかないということで、今日、手話とか要約筆記の方がいらっしゃって、それが研修体制を伴って特別な支援を要請しているように、コミュニケーションに課題がある方についても中西委員が提案していただいたようなことをきちんとこなせる支援者がいる。ただ隣にいればいいということではない支援者として用意していかないと具体化されていかないのだろうと思います。
 そして、必要性があるということについては、見かけ上と実質の部分と分けて考えると、参加しているということがあるということが形だけにとどまらずに、参加していただいていることによって生まれる何かをもう少しいろいろな審議会などで特性を踏まえて発言があったところでのよさとして披露していくということもいろいろな機会に活用して、よい順番をつくっていかないと、冒頭の話に戻りますが、参加するべきだということについては異論がない。ただ、そこから一歩も進んでいかない状況が今日の報告にあるということだと思いますので、提案するとすれば、今、お伝えしたようなことが何か具体策として書かれていく必要があるかなと思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。公的活動を支援する人たちの配置の方法だったりとか、養成だったりなど、参加することが形だけにとどまることのないよう、そこをもっと推し進めてということですね。ありがとうございます。

東室長 参画の方向というのは権利条約で明らかにされているわけですけれども、対象として例えば全ての委員会においてと無条件に書いてあるわけでは決してないのです。権利条約の第4条、国の一般的義務というところの3項では、締約国はこの条約を実施するための法令及び政策の作成及び実施に当たり、並びにその他の障害者に関する問題についての意思決定過程において障害者を代表する団体を通じ、密接に協議し、積極的に関与されるといったような書きぶりをしているわけです(政府仮訳とは違うものを読んでいます。)
 他面、関口委員が言われたようなところもあるのですが、アファーマティブアクションは事実上の差別を是正するための具体策ということで、全ての委員会の委員に一定の枠組みを決めて入れるということがそれに当たるかどうかという議論は権利条約自体ではなされていないところだと思います。
 ですから、全ての委員会にということをある意味積極的にするためには、もう少し議論が要るのかなという感じを受けているところです。例えば韓国の仕組みについて、正確ではありませんが、国会議員の枠組みとして一定障害者を入れるという仕組みがあるようです。国会議員の場合は全ての問題について議論するということが前提ですので、そういう枠組みというのは1つの合理性があるのかなという感じはしますけれども、全く障害の問題と関係ないところまで障害者枠を当てはめるべきだという結論は、一足飛びにそこまで行けるのかどうなのか、議論が必要だと思います。本当にこれをきちっと制度化するというのであれば、そういったところまで詰めた議論が必要と事務局的には思う次第ですが、いかがでしょうか。

氏田座長 大濱委員、お願いします。

大濱委員 今の室長の話もそうですが、これは二面性があると思います。全ての委員会と、障害者にかかわる委員会と、そこは数値目標を変えて設定する必要があると思います。特に障害者にかかわる委員会については、こんな数字ではなくてきちんと過半数に近い数値目標を設定すべきだというのが1点目です。
 障害者が少なくとも人口の1割を占めているわけですから、あらゆる委員会の中で全く障害者にかかわりのない委員会が本当にあるのかということも疑問です。あらゆる委員会に少しでも障害者のことがかかわる可能性があるのであれば、基本的には1割程度、障害者委員を参加させて、情報がきちんと障害者にも入ってくる形が必要ではないかと思います。ですから、このような形で障害者にかかわる委員会とそうでない委員会とで異なる数値目標を2本立てにする必要があるのと思います。まずそれが1点目です。
 もう一つ、委員会だけではなくてもう一段踏み込んで、障害者にかかわる行政機関で政策や法律などをつくるときに、行政機関にきちんと障害者が参加する、場合によっては行政職員として携わる、雇用するというシステムを今後は積極的に提案していく必要があると思います。委員会の委員以外にそういう形で行政職員の1人として参画していくことも必要なのではないでしょうか。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでございますか。
 大胡田専門委員、関口委員、中西委員でお願いいたします。

大胡田専門委員 大濱委員の意見にほぼ大賛成なのであえて発言させてください。
 およそ全ての生活分野において障害者に関係しない分野というのは果たして想定できるのかなというとなかなか考えにくいように思います。大なり小なり障害者というのは社会の構成員として大体16~17人の1人と言われていますか。厚労省の手帳保持者で言うといるということですので、相当な割合で障害者はいるわけですから、決して障害者に関する審議会だけに障害者を入れればいいというものではなくて、全ての委員会には障害者が入っていくのが望ましいと思っております。

氏田座長 では、どうぞ。

東室長 例えば航空宇宙に関するような審議会があったとしますね。そこでも、障害の問題と全く100%絶対に関係ないかといえば、将来宇宙に旅行できるようになるときに障害者が連れていかれないとかそういう問題は出てくるのかもしれませんけれども、現段階においてそこに障害者を入れなければならないという必然性の問題があるのかどうか。もしくは障害以外の一般国民との関係で言って、そこで選ばれる人というのは一般国民を対象としてメンバーを選んでいるわけではなくて、その業界に知見を有する人という形で選んでいるわけです。
 これまで、例えば障害分野でさえ特に障害当事者とか家族は、毎日生活していてある意味専門家であるにもかかわらず、保護の対象として政策立案する側から排除されてきた。それは非常に問題だというのが権利条約の意識なのです。ただ、そこを飛び越えて、全ての委員会にどういう審議会であるのかどうかも不問のまま一律に入れろというのはどうなのでしょうか。

氏田座長 関口委員、どうぞ。

関口委員 全国「精神病」者集団の関口です。
 先ほど読んだ5条の差別には当たらないという、いわゆるアファーマティブアクションは差別に当たらないと読める部分ですけれども、では、差別とは何かというと、障害に基づく差別とは、障害に基づくあらゆる区別、排除または制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的、その他のあらゆる分野において他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、または行使することを害し、妨げるまたは効果を有する者を言うということになっているのです。
 別に私は精神障害者であろうと車いす障害者であろうと、原子力工学に詳しければ別に原子力の委員会に入っていいと思います。つまり、障害に基づく差別がまずいのであって、言わんとするところは、能力があるならば外交委員会だろうと何だろうと入ればいいわけです。そこを障害者だから障害に関連するところ、私は大濱さんの二段階論、つまりそちらはそちらでちゃんと重点的にやって、あと全体も目指すべきだというのは賛成ですけれども、何も能力がないといったらあれですが、不適切というような人を除くのは障害に基づく差別ではないです。その委員会に対して不適格ということであるからね。

東室長 関口さんがおっしゃっていることはそのとおりなのですけれども、それは差別の問題なのです。そういうものはあってはならないというスタンス、それは共通していると思います。しかし、逆に、専門的知見がない人であっても障害者であれば1割入るべきだという議論を立てるのかということです。

関口委員 そういう議論は立てないと思います。

東室長 要するに枠組みとして1割入れろということは結果的にはそうなることだと思うのです。たまたまその分野で専門的な知見を持っているけれども、障害があるがゆえにオミットする、これは差別の問題。これはアファーマティブアクション以前の話です。しかし、それのまるで対局としての1割の枠付けでは、アファーマティブアクションとパラレルな議論にはならないと思うのです。
 結局、障害分野についてはこれまでそういう専門的なものを本来は持っているけれども、いわゆる学者とか行政関係者しか専門家として認められなかった、そこは差別の問題として当然出てくるわけですけれども、そこで求められるものと無関係に1割なら1割入れろという議論は少し難しいのではないかというのが感想ですが、いかがでしょう。

氏田座長 中西委員、後藤委員も手を挙げてくださって、次が大濱委員の順でよろしくお願いします。

中西委員 中西由起子です。
 これはアファーマティブアクションとは異なる視点なのですが、アファーマティブというか、今までの障害者の権利条約の議論から言いますと、障害分野にかかわる審議会においては、そのメンバーがNothing about us without usの点で50%を超えるようなあり方が望ましいはずです。そういう点で見ると、例えば男女共同参画推進のように、あそこは今度30%という目標値を掲げているようなのですが、少なくともそれが難しいとか難しくないとかという議論の以前として関口委員がおっしゃったように人口の何%かは障害者がいるはずですので、審議会の中でもある程度パーセンテージとして目標としてのパーセンテージ、数字は掲げた方が参加推進は進められていくのではないかと考えています。

氏田座長 ありがとうございます。
 後藤委員、お願いします。

後藤委員 日本福祉大学の後藤でございます。
 大濱、中西、大胡田委員に賛成です。いま、男女共同参画推進本部決定、平成18年4月4日のホームページを見ていますが、もし反対論があるのであれば、中身を入れかえてそのまま使えます。「我が国が将来にわたり活力ある経済・社会を創造していくためには、国の政策・方針決定過程へ多様な視点を導入し、幅広い議論を行い、新たな発想を取り入れていく必要がある。また、行政への国民参加の確保の観点から、国の審議会等は、国民の意見を的確に反映できるような委員構成である必要がある。そのためには、人口の半分を占める女性が委員として参加する割合をさらに向上させ、男女の人数をなるべく均衡させる」として審議会への女性の参加を2020年に4割、途中段階として2010年に33.3%としています。
 ですから、中西委員の仰せのように、頭から何%と数字を言うことに値打ちがある。反論としてあり得るのは、「それは専門性があってのことだろう」ということですが、それでずっときて、今、上のような修正が必要になっています。今、各省庁では、新しく審議会を始める際には、とにかく女性を入れよと強烈な指示が窓口の部署、人事などの部署から来ます。これは小生自身が経験したことです。決めれば現場はそうして数字で結果が出るように一斉に動きます。
 先ほど長く読んだ文章ですが、障害者数はこれだけあるのでと、基本計画に数字を入れてそれを実現する。もし反論が来ても、男女共同参画とどう違うのかと内閣府さんが対応していただけるのではと思います。

東室長 意見として。

氏田座長 御意見として伺うそうです。
 大濱委員、お願いします。次、田中委員。

大濱委員 先ほど私は1割と申し上げました。確かに、例えば宇宙航空分野は難しいかもしれませんが、全人口の1割ですから、その中できちんと探せば、各分野に精通した障害者がいるかもしれません。専門委員が障害者の中に全くいないのであれば、その分野に精通した障害者を探す努力を本当にしているのかということが問題だと思います。そういう努力をしていないとしたら、逆にこれは差別だと思います。本当にその専門分野に適した障害者は全くいないのか、きちんと検討しているのかということも精査してもらいたい。このようなことも含めて、あらゆる委員会に数値目標をきちんとつくって、各専門委員にふさわしい障害者を見つけることが必要だという気がしています。
 以上です。

氏田座長 田中委員、お願いします。

田中委員 全日本育成会の田中です。
 考え方として割合を持って、社会構造の中でその割合を持ってきちんと発言の立場を用意するというのは、1つの見識だとは思うのです。一方で、今、認知症の方が305万人になっているということについて、数字どのように割合の中で取り込んでいくのかということも含めて、余り割合に1つの価値を見出しすぎると割合の中でどう割り合っていくのかという障害分野ごとのことにならない障害ということで1つのくくりで割合を決めていくのはその意味で本当に議論が必要だろうと思っていますので、今日、出された意見の幾つかはもう少し整理していかないと、単に割合の中でその立場を得るべきだということが結論になるのは議論が足りないのではないかと思いますので、数値目標を持つということについてはもう少し議論が必要だと思います。

氏田座長 後藤委員、お願いします。

後藤委員 後藤です。
 ごもっともですが、形からつくるということもあります。誰もが最初から専門家なわけではなく、鶏と卵の譬えでもありませんが、議論すると責任を持たねばならず、参加して意見を言う当事者や後ろにいる団体が育っていく場合もあります。先の例では、結果的に男性ばかりになっているので数字をつくりにいく、と判断したわけです。今までも、専門性の高い女性がいるのに排除していたわけでなく、良かれと思って専門家を選んだ結果、男性ばかり多かった。しかし、専門家だけで決めることによる問題も生じている。狭い意味での専門性で劣る場合でも、社会の構成は女性も半分いるので、頭から半分とは言わず、2割や3割からですが、今より高めてよいのではという論理です。
 障害の分野でも全く同じと思います。そういう人たちが入ることによって、多様性のある意見を反映できることは、国の活力やよい政策をつくるために大事であり、それで押していくべきではという考え方です。ぜひ御検討いただければと思います。

氏田座長 田中委員、どうぞ。

田中委員 田中です。
 ですので、今、後藤委員が言われたことも私も非常に賛成する部分もあって、割合だけで決めていくと全体の3%とか5%なのかということにもなりかねないので、割合を持つのであればもうちょっと違う意図も入れた割合を持つべきだという意見ですので、割合を持つなということではないということであえて付け加えさせていただければと思います。

氏田座長 お一方お手を挙げてらっしゃいませんでしたか。大丈夫ですか。よろしいですか。
 北野副座長が発言をぜひということですか。

北野副座長 時間がありそうなので。
 皆さんの御意見を聞かせていただいて、違うように聞こえてほぼ同じ方向を求めていらっしゃるのだなと思ったのです。1つは、国や自治体における各種の審議会であるとか委員会における障害当事者の参加の割合をどう設定するのかという設定です。
 1つは、もっぱら障害者の制度政策に関する委員会、審議会というのは過半数というものを明確化していくということ。2つ目は、障害者に深くかかわる医療であるとか福祉であるとか、教育であるとか、そういう一般的な委員会に関してどれぐらいの数を考えるのかということと、もう一つは、それ以外の国民一般の生活にかかわる委員会にどの程度のパーセントでという3つぐらいを精査してそれぞれまた考えていけたらと思いました。
 2つ目は、実は大濱委員から文書でいただいている部分なのですけれども、形だけの参加にならないようにしたいと、ぜひとも例えば重度の障害を持っている方の地域生活に関する委員会にそういうことがほとんど関係していらっしゃらない軽度の障害者の方だけが数だけ入っているということでは問題であろうと。つまり、そのテーマにふさわしい障害者の方が参加、参画できるということをきっちり保障するためにどうしたらいいかということを議論しようということは大事だと読ませていただきました。
 3つ目は、委員会でこれは田中委員おっしゃっているように、知的の方や発達障害の方が参画されるときに、本当に真に参加、参画を保障する支援の仕組みを中西委員からちゃんと書いてもらったように事前のサポート、会議中のサポート、事後のサポートと、こういう全体のサポートの仕組みをきっちり大胡田専門委員おっしゃったようにスタンダードのガイドラインを障害者政策委員会を中心にこういうことをちゃんとつくるという方向を検討したいということだと皆さんの御意見を聞かせていただきました。

氏田座長 関口委員、どうぞ。

関口委員 1つだけ言っておきたいのですけれども、どうしても言っておきたいのは、例えば障害者基本計画をつくるときにいろんな法律が邪魔をするではないですか。例えば民法にも差別条項はいっぱい残っているし、そういう意味では障害者の弁護士さんはいるわけですから、法制審議会あたりにちゃんと1つ席を用意してもらってちゃんと入るべきだと思います。そうしないと、いつまでたっても障害者差別の法律は変わらないです。

氏田座長 御意見ありがとうございます。議論がまだ続きそうなのですがちょうど時間になりましたので、特にどうしても言っておきたいという御意見がありましたら。よろしいでしょうか。
 石野委員、お願いします。

石野委員 今まで各委員の皆さん方の御意見を伺いまして、私、聴覚障害者の場合に当てはめて考えますと、例えば、耳鼻咽喉科関係の医師会や人工内耳の問題についての審議会があると思いますし、各県、地域において新生児スクリーニングという検討会も始まっています。その中のほとんどの委員は耳鼻咽喉科の医師あるいは学識経験者の集まりとなっていて、聴覚障害当事者の参画を要望してもなかなか受け入れていただけないのです。専門性を持たないからという理由でということなのでしょうが、そういうところでも拒否されているように聞いております。障害当事者が参画できないような例が二度と起こらないようによろしくお願いしたいと思います。

氏田座長 ありがとうございます。
 では、これをもちまして本日の議題、全て終了いたしました。次回の日程等につきまして、事務局よりよろしくお願いいたします。

東室長 どうもありがとうございました。次回の日程でありますけれども、第3回目になります。10月15日月曜日で、時間帯としては今日と同じ16時~18時を予定しております。テーマとしては2つありまして、1つは論点④として、司法手続における必要な配慮の提供及び研修の実施といったものであります。また、論点⑤として、障害を有する受刑者、出所者等に対する処遇及び支援のあり方であります。
 これらがメインのテーマでありますが、なお、消費者問題に関する意見が菅専門委員から出されておりますが、今日御欠席ですので、次回に発言していただく機会を作ることができればと思っているところです。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

氏田座長 短い時間の中での御議論、ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして障害者政策委員会第3小委員会の第2回会議を終了いたします。御協力ありがとうございました。