障害者政策委員会第1小委員会(第3回)議事録

平成24年10月15日(月)
10:30~12:30
中央合同庁舎4号館220会議室

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

○三浦座長 時間となりましたので、「障害者政策委員会第1小委員会」の第3回会合を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の会議は、12時30分までの2時間を予定しております。
 本日は、保坂専門委員が欠席となります。あと幾らかおくれて来られる委員もいらっしゃるかもしれません。
 小委員会の開催に先立ちまして、1点お願いがございます。
 第1小委員会におきましても、情報保障の観点から、「障害者政策委員会」と同様に、各委員が発言を求めるときは、まず挙手をしていただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようにお願いいたします。
 それでは、議事に入る前に、本日の議題及び資料について、事務局、東室長より御説明をお願いします。

○東室長 おはようございます。担当室の東です。
 今日は、私の前にブザーがあります。多くの人に発言の機会をいただくために、原則として委員の方の発言は3分とさせていただきたいと思っております。この機械は、発言が始まったら、まず青からすぐスタートするのですが、残り1分のときに赤になります。だから赤がついているときにはもう1分以内だなと思っていただければと思っています。
 まず、今日の議事次第に書いてありますけれども、冒頭に、文部科学省さんの方から、論点④と論点⑤。論点④は「初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備①(就学相談・就学先決定等)」であります。論点⑤は「初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備②(合理的配慮及び基礎的環境整備等)」でありますが、その両方について説明を行っていただきます。その後、それぞれ論点④と論点⑤の順で、委員の間で議論していただくということになります。
 関係資料は、資料1が文部科学省から提出されている資料であります。
 資料2が、論点④に関する委員の意見。
 資料3が、論点⑤に関する委員の意見ということでまとめてあります。
 資料については以上のとおりでありますが、お手元にない方がいらっしゃればお申し付けください。お願いします。
 以上です。

○三浦座長 それでは、早速、議事に入りたいと思います。
 まず、論点④「初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備①(就学相談・就学先決定等)」及び論点⑤「初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備②(合理的配慮及び基礎的環境整備等)」について、文部科学省より、まとめて御説明をお願いします。20分程度でお願いいたします。

○大山課長 それでは、御説明させていただきます。ただいま御紹介いただきました文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長の大山でございます。
 本日の論点となっております、「初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備」につきまして、1つ目は就学相談・就学先決定について、2つ目は合理的配慮及び基礎的環境整備、これらにつきまして、まとめて御説明をさせていただきたいと存じます。
 また、もしよしければ、その後に引き続き、前回に質問をいろいろいただいておりましたので、これに対する御回答もあわせて続けて御紹介できればと考えてございます。
 まず、資料1の1ページ、就学相談・就学先決定等についての御説明でございます。この資料は、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進の報告書の概要でございます。
 それでは、前回の会合の際に、共生社会の形成に向けての1~2ページのあたりは既に御説明をしたところでございますので、本日、3ページをごらんください。冒頭に「(1)早期からの教育相談・支援」について記載してございます。ここでは、早期からの教育相談・支援の充実や、市町村教育委員会と関係機関等との連携等について、以下のようにおまとめいただいているところでございます。
 まず、子ども一人一人の教育的ニーズに応じた支援を保障するためには、乳幼児期を含め、早期からの教育相談や就学相談を行うことにより、本人・保護者に十分な情報を提供するとともに、幼稚園等において、保護者を含め関係者が教育的ニーズと必要な支援について共通理解を深めることにより、保護者の障害受容につなげ、その後の円滑な支援にもつなげていくことが重要である。また、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を図っていくことが重要である。
 そして、乳児期から幼児期にかけて、子どもが専門的な教育相談・支援が受けられる体制を医療、保健、福祉等との連携のもとに早急に確立することが必要であり、それにより、高い教育効果が期待できるとされております。
 「(2)就学先決定の仕組み」のところでは、就学先の決定の従来の仕組みを改めること。そして、就学先決定について、意見が一致しない場合の対応等につきまして、以下のようにまとめていただいております。
 就学基準に該当する障害のある子どもは、特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、教育学、医学、心理学等、専門的見地からの意見。学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する仕組みとすることが適当である。その際、市町村教育委員会が本人・保護者に対し十分情報提供しつつ、本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教区委員会、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とし、最終的には市町村教育委員会が決定することが適当であるとされています。
 現在、多くの市町村教育委員会に設置されております「就学指導委員会」については、早期からの教育相談・支援や就学先決定時のみならず、その後の一貫した支援についても助言を行うという観点から、「教育支援委員会」(仮称)といった名称とすることが適当であるとされています。この「教育支援委員会」(仮称)については、機能を拡充し、一貫した支援を目指す上で重要な役割を果たすことが期待される。
 就学時に決定した「学びの場」は固定したものではなく、それぞれの児童生徒の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら柔軟に転学ができること、全ての関係者の共通理解とすることが重要である。
 就学相談の初期の段階で、就学先決定についての手続の流れや就学先決定後も柔軟に転学ができることなどについて、本人・保護者にあらかじめ説明を行うことが必要である。これは就学に関するガイダンスということでございます。
 本人・保護者と市町村教育委員会、学校等の意見が一致しない場合については、例えば本人・保護者の要望を受けた市町村教育委員会からの依頼に基づき、都道府県教育委員会が、市町村教育委員会への指導・助言の一環として、都道府県教育委員会の「教育支援委員会」(仮称)に第三者的な有識者を加えて活用することも考えられるとされています。
 4ページ「(3)一貫した支援の仕組み」のところでは、以下のようにまとめていただいております。
 可能な限り早期から成人に至るまでの一貫した指導・支援ができるように、子どもの成長記録や指導内容等に関する情報を、その扱いに留意しつつ、必要に応じて関係機関が共有し、活用することが必要である。
 「(4)就学先相談・就学先決定に係る国・都道府県教育委員会の役割」では、以下のようにおまとめいただいております。
 都道府県教育委員会の就学先決定にかかわる相談・助言機能を強化する必要がある。
 就学相談については、それぞれの自治体の努力に任せるだけでは限界があることから、国において、何らかのモデル的な取り組みを示すとともに、具体例の共有化を進めることが必要である。
 引き続きまして、2つ目の論点、合理的配慮及び基礎的環境整備等について、御説明をいたします。
 4ページ「(1)『合理的配慮』について」では、合理的配慮の定義等について、以下のようにおまとめいただいております。
 条約の定義に照らし、本報告における「合理的配慮」とは、「障害のある子どもが、他の子どもと平等に『教育を受ける権利』を享有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある子どもに対し、状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であって、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義した。なお、障害者の権利に関する条約において、「合理的配慮」の否定は、障害を理由とする差別に含まれるとされていることに留意する必要がある。
 障害のある子どもに対する支援については、法令に基づき、または財政措置により、国は全国規模で、都道府県は各都道府県内で、市町村は各市町村内で、教育環境の整備をそれぞれ行う。これらは、「合理的配慮」の基礎となる環境整備であり、それを「基礎的環境整備」と呼ぶこととするとされています。これらの環境整備は、その整備の状況により異なるところではあるが、これらをもとに、設置者及び学校が、各学校において、障害のある子どもに対し、その状況に応じて「合理的配慮」を提供する。
 「合理的配慮」の決定に当たりましては、障害者の権利に関する条約の第24条第1項にあります、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするといった目的に合致するかどうかの観点から検討が行われることが重要である。
 「合理的配慮」は、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されるものであり、設置者・学校と本人・保護者により、発達の段階を考慮しつつ、「合理的配慮」の観点を踏まえ、「合理的配慮」について可能な限り合意形成を図った上で決定し、提供されることが望ましく、その内容を個別の教育支援計画に明記することが望ましいとされております。
 このあたり、5ページに入っておりますが、なお、設置者・学校と本人・保護者の意見が一致しない場合には、「教育支援委員会」(仮称)の助言等により、その解決を図ることが望ましい。また、学校・家庭・地域社会における教育が十分に連携し、相互に補完しつつ、一体となって営まれることが重要であること共通理解とすることが重要である。さらに、「合理的配慮」の決定後も、幼児児童生徒一人一人の発達の程度、適応の状況等を勘案しながら柔軟に見直しができることを共通理解とすることが重要である。
 移行時における情報の引き継ぎを行い、途切れることのない支援を提供することが必要であるとされています。
 5ページ「(2)『基礎的環境整備』について」では、以下のように指摘いただいております。
 「合理的配慮」の充実を図る上で、「基礎的環境整備」の充実は欠かせない。そのため、必要な財源を確保し、国、都道府県、市町村は、インクルーシブ教育システムの構築に向けた取り組みとして、「基礎的環境整備」の充実を図っていく必要がある。
 共生社会の形成に向けた国民の共通理解を一層進め、インクルーシブ教育システム構築のための施策の優先順位を上げていくことが必要である。
 「(3)学校における『合理的配慮』の観点」では、以下のようにおまとめいただいております。
 この報告では、「合理的配慮」の観点について整理するとともに、障害種別の「合理的配慮」について、その代表的なものと考えられるものを例示しています。示されているもの以外は提供する必要がないということではなく、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されることが望ましい。
 現在、必要とされている「合理的配慮」は何か、何を優先して提供するかなどについて、関係者間で共通理解を図る必要がある。
 複数の種類の障害をあわせ有する場合には、各障害種別の「合理的配慮」を柔軟に組合せることが適当であるとされています。
 最後に「(4)『合理的配慮』の充実」では、以下のようにおまとめいただいております。
 これまで学校においては、障害のある児童生徒等への配慮は行われてきたものの、「合理的配慮」は新しい概念であり、現在、その確保についての理解は不十分であり、設置者・学校、本人・保護者の双方で情報が不足していると考えられる。そのため、早急に「合理的配慮」の充実に向けた調査研究事業を行い、それに基づく国としての「合理的配慮」のデータベースを整理し、設置者・学校、本人・保護者の参考に供することが必要である。また、中長期的には、それらを踏まえて、「合理的配慮」「基礎的環境整備」を充実させていくことが重要であり、必要に応じて、学校における「合理的配慮」の観点や代表的なものと考えられる例を見直していくことが考えられる。
 このあたりは6ページ目に入っております。「合理的配慮」は、その障害のある子どもが十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要であり、それについても研究していくことが重要である。例えば個別の教育支援計画、個別の指導計画について、各学校において計画に基づき実行した結果を評価して定期的に見直すなど、PDCAサイクルを確立させていくことが重要である。
 以上が、本日の2つの論点について、中教審の報告からの御紹介でございます。
 よろしければ続きまして、前の会合におきまして、いろいろと質問を頂戴しておりますので、これらの質問について御説明をしたいと思います。お手元の資料1の9ページ以降で質問事項への回答を記載してございますので、御説明したいと思います。
 1つ目ですが、9ページ、10ページは、23年5月1日現在の小・中学校における学校教育法施行令第22条の3に該当する者の数について、文科省において行った調査の結果です。本調査によりますと、全国の小学校の通常の学級に2,026人、特別支援学級に1万2,277人。同じく全国の中学校の通常の学級に741人、特別支援学級に4,737人の学校教育法施行令第22条の3に該当する児童生徒が在籍しているという結果になっております。
 2つ目ですが、11ページ、12ページは、就学免除・就学猶予者数の推移です。これは文部科学省で実施しております学校基本調査の項目となっております。11ページが就学免除者、12ページが就学猶予者の推移となっております。両ページともに、2つ目のポツのところに、障害を理由とする就学猶予・就学免除者の数を記載しておりますが、全体的な傾向といたしましては、年々該当者数は減ってきております。
 なお、一番下のポツのその他については、年々該当者数がふえておりますが、その理由につきましては、学校基本調査の担当課が幾つかの教育委員会に聞き取りを行ったところでは、重国籍の方が多いと聞いているとのことでございました。
 3つ目、13ページ、14ページは、個別の教育支援計画の様式等についての資料です。文部科学省におきましては、個別の教育支援計画につきまして、特定の様式を定めてはおりませんが、特別支援学校学習指導要領及びその解説において、作成時の留意事項等について記載しているほか、文部科学省と厚生労働省が平成20年3月に示したガイドラインの試案におきましても、その内容について示しているところでございます。
 御参考として、ガイドラインにおける個別の教育支援計画の記載内容の抜粋をここに付してございますので、御参照いただければと存じます。
 次の論点、15~19ページでは、特別支援教育の実施に係る条件整備について御説明しております。通常の学級に在籍する障害のある児童生徒に措置されている予算についてのみを切り出して説明することは難しい、できないということでございまして、ここでは小・中学校における特別支援教育に対する予算等を中心に御説明いたします。
 15ページでは、学級編成及び教職員配置について記述しておりますが、学級編成の標準に基づく学級数に応じて、教職員定数の算定が行われております。また、児童生徒が通常の学級に在籍しつつ「通級による指導」が行われる場合への対応等のため、教職員の加配措置が講じられておりまして、平成24年度で申しますと、5,341人が措置されております。
 16ページ、ここでは学校施設の整備について記述しておりまして、建物の新築または増築事業に対しまして、国は事業費の2分の1を国庫補助しており、今年度予算では1,246億円が計上されております。
 17ページ、教材整備についてでございます。教材整備計画に基づきまして、小・中学校、特別支援学校合わせて約800億円が措置されております。
 また、教材整備指針においては、小・中学校に係る教材にも特別支援教育に必要な教材の例示がなされているところでございます。
 続きまして、就学奨励費について同じく17ページに書いてございます。特別支援学校及び小・中学校の特別支援学級等への就学の特殊事情を踏まえまして、これらの学校に就学する児童生徒等の保護者の経済的負担を軽減するために、通学費、学用品等の就学に必要な経費を援助しておりまして、今年度予算では約78億円が計上されております。
 この就学奨励につきましては、来年度の概算要求から通常の学級に在籍する学校教育法施行令第22条の3に該当する児童生徒も支給対象として計上してございます。
 続けてよろしいでしょうか。少し飛ばさせていただきまして、そのあたり、引き続き体制整備関係について18~19ページに書いているところでございます。その他、特別支援教育の支援員の配置等についても記載してございます。
 20ページ、「障害のある子どものための地域における相談支援ガイドライン(試案)」の内容について前回御質問いただきましたので、記載してございます。地方自治体における一貫した相談・支援のための関係部局の連携が円滑に行われるようにといったようなことを念頭に置いた例が示されております。
 21ページには、前回御紹介するようにということで御指示のありました、25年度の概算要求について記述をしてございます。大きく新しい要求をしておりますのが、インクルーシブ教育システム構築事業、発達障害に関する教職員の専門性向上事業という、この大きな2つの柱が新規でございまして、それ以外にも継続のものも要求してございます。
 インクルーシブ教育システム構築事業は、今回の改正障害者基本法の趣旨、中教審の報告を踏まえた新しい取り組みということで、まさに早期からの教育相談・支援体制の構築ですとか、幼・小・中・高の合理的配慮の充実、そのための実践をするためのモデルスクール事業や、拠点地域等でのモデル事業、さらには医療的ケアのための看護師配置や、インクルーシブ教育システムに関するデータベースの構築やセミナーの開催を通じた合理的配慮の実践例についての普及、情報共有を図るということを予定しております。
 また、もう一つの新規の柱の発達障害に関する教職員の専門性向上事業では、発達障害に関して教育に正しい理解を持っていただくための、例えばセミナーのようなものを開催する、あるいは教職員の育成のための事業といったようなことを予定しております。
 22~24ページは、副次的な籍についての御紹介の資料でございまして、こちらは中教審の報告の参考資料からの抜粋で、東京都、横浜市、埼玉県における内容を御紹介しております。
 最後でございますが、学校現場にどの程度障害のある教職員がいるかということについて、文科省においては調査を実施しておりませんが、厚生労働省さんにおかれまして、公表されております障害者雇用状況の集計結果に教育委員会における障害者の雇用率がございますので、御紹介いたします。
 25ページ、集計結果によりますと、都道府県教育委員会における実雇用率は1.75%、市町村教育委員会における実雇用率は1.86%となっております。
 以上で御説明を終わります。

○三浦座長 大山課長、御説明ありがとうございました。
 それでは、残りの時間で、ただいまの説明を踏まえまして、御議論いただきたいと思います。なお、大まかな目安でございますが、前半45分程度、特に論点④について御議論いただき、後半45分程度は論点⑤についてお話をいただきたいと思います。
 議論に先立ちまして、各委員より、たくさんの意見をいただいております。まず、論点④に関する委員からの御意見の特徴につきまして、棟居副座長より、御報告をさせていただきます。

○棟居副座長 それでは、以下、取りまとめをさせていただきます。ただし、個別の委員さんのお名前等はあえて出しませんで、言わば共通のキーワードでくくらせていただくという格好をとっております。ですから、こちらの集約が自分の意見を完全に反映していないとお思いの方もおられるかもしれませんが、あくまで全体のまとめということでお聞きください。
 教育内容及び教育支援体制の整備、就学相談・就学先決定等についての御意見の取りまとめということでございます。
 まず、就学相談に当たりましては、就学前から一貫した相談体制が必要であり、そのためには、医療、保健、福祉等の関係機関の連携が必要であるという御意見がありました。
 また、就学相談に当たり、難聴やろう児教育の専門家が加わる必要があるという御意見、地域の学校に就学をするインクルーシブ教育の理念と、同じ障害者が集団として活動する場でのアイデンティティを保持する権利の両方が必要であるという御意見もございました。
 多くの委員からは、就学先の決定に当たって、障害者本人及び保護者の意に反した就学先決定は行うべきではない。就学先の決定は、障害者本人及び保護者であって、教育委員会はその結論を承認する役割を担うべきであるというように、本人・保護者の意向に沿った就学先の決定が行われるべきであるという御意見がありましたが、障害の状態、本人の教育的ニーズ等の総合的な観点から、就学先を決定する仕組みとすることが妥当であるという御意見もありました。
 就学先を決定する情報提供のあり方につきましては、全ての選択肢を提示することや、体験入学の導入が必要であるという御意見がありました。また、副籍や支援籍の導入について検討すべきであるという御意見がありました。
 このほか、個別の教育支援計画について、全ての障害のある児童生徒に策定し、柔軟に見直す仕組みが必要であるという御意見。策定に当たっては、保護者の参画のもとに、地域生活を目指す計画づくりが必要であるという御意見がありました。
 基本計画策定に当たっては、基本方針に障害のある子どもとない子どもが、自己の住む地域の学校で分け隔てられない施策を講じるようにすべきである。そのために、市町村教育委員会が進捗状況を確認できるような数値目標を設定すべきであるという御意見がございました。
 以上が、委員の御意見の概要ということになります。

○三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、今、取りまとめを簡単に御説明させていただきましたけれども、論点④に関して、各委員から御意見、御質問がございましたら、お願いいたします。どうぞ挙手をなさってください。
 栗川専門委員、大谷委員、阿部委員、一木専門委員の順でお願いいたします。
 栗川専門委員、どうぞ。

○栗川専門委員 専門委員の栗川治です。
 今、まとめていただきましたように、いろんな意見が就学先決定に関して出ている。ある意味では不一致の部分もあると思います。基本的には障害者権利条約及び基本法で、障害のある子どももない子どもも、分け隔てなく学ぶということが基本としてあって、ただ、そこに基本法の16条で可能な限りといったような形でのものがついたことによって、その中でどこまでが可能なことなのかというところで意見が分かれているのかなという印象を私としては持っています。
 ただ、その中で、今回基本的には権利条約のインクルーシブな社会をつくっていくということのための議論ですし、前々回、第1回の会議で石川委員長がホップ、ステップ、ジャンプというようなことをお話しされましたけれども、そのお言葉をお借りするならば、今回が特別支援教育からインクルーシブ教育へのジャンプ。これが国際的な標準であるインクルーシブなものということになると思います。
 就学先決定に関して、もし今回、保護者や本人の意に反するような形での決定がなし得るということが制度的に残った場合、恐らく総合的な観点で判断するということがそういうことにつながりかねないのではないかという懸念を持っていますけれども、そうなった場合には、せっかくの今回の文科省としても就学先決定を転換するのだとおっしゃっているわけですけれども、そこの部分が古い今までの部分に引きずられた形でなった場合に、エクスクルーシブな要素が残ってしまうのでは不本意な形になるのではないかと考えています。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、続いて大谷委員、どうぞ。

○大谷委員 大谷です。おはようございます。
 この委員会は、基本計画策定のための意見出しということで自覚しておりますので、基本計画に何を盛り込むべきかとするならば、障害者基本法がどのような立場に立ったのかということを第一に考えるべきだと思っております。
 また、これは政策委員会のもとでの小委員会と思っておりますから、政策委員会は、別に差別禁止部会を持って、差別禁止部会で9月の中旬だったかに意見をまとめております。この意見とも矛盾なく、この意見を基本計画の中に盛り込むような形を意識した形での方向づけがされるべきだと思っております。
 その観点からすると、もう既に栗川専門委員が言ってくれたこととほとんど同旨なのですけれども、私なりの言葉遣いで言わせてもらうと、文科省さんの総合的観点での就学先決定の仕組みは、4つの要素が並列にされています。障害の状態、本人の教育的ニーズ、保護者の意見、専門家の意見。この4つの意見が並列されて、どこに重点があるかが分からない。しかし、障害者基本法は、まず第1に学ぶことに配慮する、第2番目に保護者の意見を尊重する、第3番目に交流という形で大きな枠組みをつくったと理解しております。
 差別禁止法では、基本的に排除は差別と、就学段階で障害を理由に排除することは差別。これは高等教育でも言われましたけれども、基本的に差別禁止部会でも確認されているとするならば、まずは排除しない、そして保護者の意向を尊重する、合理的配慮を保障する。これが大きな基本になって、それでもどうしてもだめな場合、専門家の意見とか障害の状態とか教育ニーズから判断して、ここではどうしてもだめだということを学校もしくは設置者が証明し得たときには、そちらでもやむを得ないというような構造になるべきだと考えておりますので、このような並列的なことに関しては、やはり少し検討していただきたいと、それは基本計画の段階でも盛り込んでいただきたいと思っております。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございます。
 障害者基本法と、9月14日に出されました差別禁止部会の部会意見取りまとめを基本計画に盛り込んでいこうという御意見でございました。ありがとうございます。
 次に、阿部委員、お願いいたします。

○阿部委員 阿部です。
 私の意見といいますのは、文科省の意見、棟居副座長のまとめを踏まえた上で、まずは就学先決定に関しては、本当に本人・保護者の意見を最も大事なものとして尊重して、その上で教育支援計画等相談支援を徹底する。教育支援計画に関してのモニタリングをしっかりと取り組む中で、定期的にというよりも、ニーズが発生したときには速やかに教育支援計画、相談援助の仕組みが機能するようにしてほしいというものです。また、その中で、経験のある先輩保護者、当事者本人によるピアサポートも、その相談の中で十分にかかわる必要があるのではないかと思いました。

柔軟に教育支援計画、指導計画が運用されることが重要です。教育支援計画の例が示されていてありがとうございます。ただし、これはA4判1枚程度ということになりますので、これを裏打ちする、いわゆる教育ポートフォリオというか、生育歴、教育歴、社会活動歴等の細部のことに関しましては、今、IT技術が進展していますので、でき得る限り、後で資料として活用し、考察するときに重要な情報を保存していくような仕組みが大事ではないかと思います。
 ただし、その場合、個人情報保護がありますので、開示する先ということを徹底的に検討していただく必要があります。今お話しましたけれども、教育支援計画はA41枚しかないので不安を覚えました。ということで、詳細なさまざまな情報もどなたか、おそらく保護者の方が持っているということが必要なのかなと思いました。それによって、一貫した支援の仕組みが可能になると思った次第です。
 以上です。

○三浦座長 本人・保護者の意向を尊重するという点におきまして、教育支援計画が非常に重要な役割を果たすということ、策定のプロセスでありますとか、運用に関して貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。
 それでは、一木専門委員、お願いいたします。

○一木専門委員 専門委員の一木です。よろしくお願いいたします。
 意見書でも出させていただいていますが、まずは基本計画の基本方針が転換したのだということを明確に委員間で共有したいと思っています。昨年改正された障害者基本法の16条第1項に、「共に教育を受けられるよう」という言葉が入った。しかも、当時の副大臣が、「通常学級に在籍しながら教育を受けられるようにするという基本的方向を示した」と明確に答弁していますので、これが今後の基本計画の基本方針になるべきだと思っております。
 それに伴いまして、前回高等教育の報告がありましたが、そこで第1として、障害により障害者の入学は拒否しないと明確に言っていた。すばらしいと思いました。この観点をぜひ幼稚園、小・中・高から一貫したものにしてほしいと考えます。
 同じくこの観点から、阿部委員もおっしゃっていましたが、保護者・本人の意向に沿う就学先決定を行うということが大事かと思います。まさに今、地域の小学校、中学校に行きたいといって就学相談を受けている子どもと保護者が、文科省の中教審報告に基づいて、おたくの娘さん、息子さんはインクルーシブ教育の対象ではないと教育委員会にはっきり言われ、地域の学校への就学を拒否されている、そのような実態があります。保護者は精神的にも体力的にも非常にまいっているという状態がある。
 せっかく就学先決定の仕組みを転換すると文科省が言っているのに、以前と同じ状態が教育相談で行われているということがあります。保護者本人の意向に沿う就学先決定のあり方を計画の基本の骨格の部分に書いてほしいと思います。
 以上です。

○三浦座長 一木専門委員、事例を踏まえて貴重な御意見ありがとうございます。
 それでは、宮﨑専門委員、小中専門委員、新谷委員の順で御発言をお願いいたします。

○宮﨑専門委員 ありがとうございます。専門委員の宮﨑です。
 就学先決定の仕組みについて、先ほど文部科学省から御説明がありましたけれども、報告では4つの要素を並列的に述べたものではなくて、これをしっかり読んでいただくと、資料1の3ページ、その際、市町村教育委員会が本人・保護者に対して十分情報提供しつつ、本人、保護者の意見を最大限尊重し、そして合意形成を行うことを原則とするとありますので、これが一番ベースにあるのです。そのことは並列ではないということをまずしっかり押さえていただきたいと思います。
 その上で、もう一つ申し上げますけれども、今回の障害者基本法の中では、「可能な限り」という文言が入っているということは御承知のとおりで、何人かの委員からお話があったとおりで、現在の状況を変えていくということは、そのとおりだと思います。
 ただし、これも言葉がすぎるかもしれませんが、障害のある子どもについての教育を区別して行っていることが差別ではないかといった考え方があると思います。障害のある子どもの障害の状況や能力に応じて教育の機会を確保するということを目的として行われているわけでして、障害者の権利条約の第5条に明記されている特別の措置ということは言えるわけです。障害のある子どもの教育について、国や自治体は相当規模の予算を投入しているわけですが、それは差別をするために行っていることではないと思います。
 誤解があるといけませんので、このことについてはきちっと言っておきたいと思うのですが、障害のない子どもと異なる取扱いをするということが全く適当だという趣旨ではなくて、可能な限りともに学ぶという観点を踏まえつつ、一人一人の教育的なニーズに応ずる教育を行うべきだと思っております。これは決して不当な扱いではない。あるいは差別に当たるということではないと解するべきであると思います。
 このことを前提に物事を考えなければいけないし、当然、合理的配慮とか特別措置というのはきちんと整理して考えていかなければいけないと思っています。このことは教育制度全般に大きな影響を与えることになりますので、その点もぜひ踏まえてお考えいただきたいと思っています。
 先ほど栗川専門委員から、ホップ、ステップ、ジャンプとおっしゃいましたけれども、いきなり大ジャンプはなかなか難しいので、助走を今しているところで、最初のホップのところをどのぐらい飛べるかというのは、今回の大きな役目ではないかなと思っております。
 以上です。

○三浦座長 宮﨑専門委員、どうもありがとうございます。
 それでは、なるべくたくさんの御意見を伺いたいと思いますので、このまま次の委員へ進めてまいります。
 小中専門委員、お願いいたします。

○小中専門委員 専門委員の小中でございます。
 まず、1つ目ですが、早期教育相談支援体制についての整備を進めていく方針については分かりましたが、十分な情報提供がされなければいけません。その内容のあり方、理念に関しては、分かるような分からない状態です。やはり相談支援チームのメンバーを見ますと、医師の力が大変強いと思います。専門家ということで医師の話に対応できるほかの学校の先生方、またコーディネーター等、多くの人たちがきちんと専門性を持てればいいのですけれども、そのあたりがまだ弱いと感じています。社会モデルとしての成人した障害者当事者が生活している状態をきちんと見通した上で、相談支援ができる専門員が必要であるということです。
 2つ目です。地域の学校に入っていくときに、拒否されない、除外されないことが非常に重要です。あわせて、障害者が1人だけになるような状態は問題があると考えています。特に聴覚障害者の場合には、聾学校という専門性を向上させるための分厚い報告書も出していただいていますので、その中でサラマンカ宣言、インクルーシブの方向がきちんと示されています。その中でも聴覚障害者は例外がある。つまり、聾学校が最大の場であると打ち出しております。
 そのように、聞こえない子どもたちが自由にコミュニケーションできる、子ども同士が手話でコミュニケーションができるという環境があるということが非常に重要です。その中でアイデンティティを持ち、権利をきちんとサポートする、その権利条約を大事にするということを示していくことが必要です。それをもとにして社会に進出していくということが可能になるわけです。障害者団体と一緒にインクルーシブの教育、平等、どちらも大事だという考え方を基本に持っていただきたいと思っております。
 その上で、いろいろな学ぶ場の中で、障害のある人とない人が一緒に勉強していくこと、また、ともに学ぶという目的は何なのかをきちんと考える上で、地域との学校、また特別支援学校、どちらも大きな意味があるということを踏まえて、最終的には成人した障害者が社会の中で、障害のない人と対等に生きていけるよう、そういった教育を目標として考えなければならないと思っております。
 まだ不十分と思いますが、以上で終わりにします。

○三浦座長 小中専門委員、どうもありがとうございます。
 それでは、新谷委員、どうぞ御発言ください。

○新谷委員 新谷です。
 2点ありますけれども、1点目は就学先決定の件ですが、これについては「障がい者制度改革推進会議」の中で、第一次意見、第二次意見があって議論を重ねて基本法の改正に至ったという流れがあります。
 それと並行して特特委員会の議論があって、それでずっと今に至っているわけです。少なくとも民主党の議員連盟は、学校教育法施行令についての改正案を議連でまとめて、そのときには5月でしたか、文科省の副大臣の方も、お役人の方も全部出席されて議論をお聞きになっているわけです。それで今日、文部科学省として特特委員会の報告もある、議連の改正提案もあるということを踏まえて、これから学校教育施行令をどういうふうに変えるのかという御説明ぐらいはあるかなと思ったのですけれども、特特委員会の御説明だけで終わってしまったので、これからどう議論を深めていくのか分からないのです。
 少なくとも10月、11月になったら、来年度の入学者の学校先の指定が始まるわけです。そういうタイミングに来ているときに、学校教育法施行令の改正について文部科学省がどういうふうにお考えになっているのか。そういうアウトラインの御説明を今日いただけないのかなと思うのです。
 2点目は簡単な話ですけれども、相談に対して、健康診断記録の継続性の話をずっと取り上げているのですけれども、1歳半、3歳児、就学時、学校に入って、小学校、中学校、高校、大学と行くわけですけれども、これの健康記録の継続性を何回かお尋ねしているのですがお返事をいただいていない。学校に上がっても、小学校、中学校は全部分断されて記録の一貫性がなくて、これを共有するというのは具体的にどういう方法を考えておられるのかということをお聞きしたいと思います。
 以上です。

○三浦座長 それでは、意見をお伺いすることを先に進めさせていただきます。
 尾上委員、お続けください。

○尾上委員 尾上です。どうもありがとうございます。
 時間がありませんので、簡単に申し上げていきたいと思いますが、35ページから私の意見を述べております。この小委員会で新しい障害者計画をつくるということが目的だと思っているのですが、9月10日のとき、今日も課長さんの方から丁寧な御説明をいただきましたが、大山課長さんの方から、ともに学ぶ教育に関しては、啓発、広報、福祉、教育の推進のところに1か所書かれているのだと思っています。それは大山課長さんの説明が悪いとか云々ではなくて、まさに10年前の障害者基本計画がその程度のものだったからだと思うのです。
 皆さんから指摘のあったとおり、今回、改正障害者基本法でともに学ぶ、障害のある子とない子が分け隔てられることなく、ともに学ぶことが基本だということになったわけですから、そのことを基本とするということを基本計画の中に明確に書き込むべきである。そうしないと、また5年、10年後、同じような報告が繰り返されたらたまったものではないと思うわけなのです。
 それを受けて、先ほどから話のありました学校教育法施行令第5条の改正について、これも私が何度も資料をつけていますけれども、東大阪市などでは、既に障害のある子とない子を、まずは就学通知を全員出して、そしてその上で特別に希望がある場合は、本人・保護者の希望に基づいて、特別支援学校ももちろん選べるという仕組みになっています。このことによって何一つ問題は起きていないです。むしろどこにいても泣く子をつくらないというのが、私たち小委員会の共通合意であるべきではないかと思うのです。
 とするならば、先ほど新谷さんが紹介されたインクルーシブ教育の改正あるいはそれをもう既に先行的に実施しているような東大阪市のような事例をなぜ参考にしていただけないかということをもう少し御説明いただければと思っています。
 最後ですけれども、就学に対する十分な情報提供に対してなのですが、実は大阪府下、先ほどの東大阪市も含めて、比較的ともに学び育つ教育が進められてきたと言われてきた地域でございます。
 ところが、先ほど一木専門委員からもありましたけれども、これは別の地域ですが、大阪府内のある市において、今年の1月、本人・保護者が地域の学校に行きたいと希望しているにもかかわらず、今までうちの市では、地域の学校で障害のある子の受け入れの前例がないから、つまり、その子がどうこうではなくて、前例がないということを理由にして、だから、障害がある子は特別支援学校に行かれたらどうですか。誘導的な、それを指導と言うのかどうか知りませんけれども、情報提供をされていたわけです。ぜひ改正障害者基本法を踏まえた形で、地域の学校に行けるのだという情報提供、パンフレットなどをぜひお願いしたい。
 第1回目の小委員会のときに、就学前のときに、保育所や幼稚園のこともぜひ論点に入れてほしいということを申し上げましたが、残念ながら論点には入っていません。せめて幼稚園や保育所や、そういう就学前の関係のスタッフの方々に、この障害者基本法の趣旨を踏まえて、地域の学校に行けるのだということを教育というかトレーニングをしていただきたいということ。
 何人かの方から障害者基本法に「可能な限り」というのが入ってということの御指摘もありましたけれども、一方で国会というのは、国権の最高機関と言われています。そのときに大臣、副大臣はこうはっきり言われています。「可能な限り」というのは、行政がやらない、先ほどのように前例がないからできないのだ、そういうエクスキューズのためではなくて、最大限その方向でやるためにということが「可能な限り」なのだと、こういう解釈で、「可能な限り」というのもこの委員会で行うべきではないでしょうか。そのことを最後、御指摘しておきたいと思います。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございました。
 文科省の方からは幾つか質問をもらっておりますけれども、お答えいただけますでしょうか。

○大山課長 御質問、ありがとうございます。
 それでは、新谷委員、尾上委員からも御質問を頂戴しておりますので、学校教育法の施行令の改正についてどうなっているかという点につきましては、中教審の報告の内容、趣旨を踏まえまして、新谷委員もおっしゃっておられましたが、議員連盟の御提案、その他いろいろな御意見をいただいているところでございます。
 ですので、文科省としては、中教審の報告を踏まえ、また、さまざまな御意見の趣旨も勘案しつつ、今、施行令の改正案の作成作業を一生懸命やっているところです。ただ、何分非常に大事な事柄でもございますので、いつまでということが今の時点で申し上げられない状況でございます。
 新谷委員から、来年の4月入学に向けての手続というのは、もうこの秋始まるではないかという御指摘もあったのですが、まだしばらく施行令の改正の準備作業に時間がかかると考えておりますので、25年、来年4月1日入学者への新制度の適用というのは無理だと考えているところでございます。私どももいろんな意見も踏まえながら、しっかりやっていくべき事柄と思っておりますので、また状況に応じまして情報提供等させていただきたいと思っているところでございます。
 健康診断記録について、継続性の必要性についての御指摘をいただいたかと思います。御趣旨、全く分断されることなく、しかるべき継続性を持ってということが当然一方で、しかるべき共有をして、一人一人の子どもに合った支援、教育が行われるということがもちろん大事だと思っておりますし、他方で、最初に阿部委員の方からもお話がありましたが、個人情報の保護等も含めて勘案するべき観点もあるかと存じますので、いただいた御趣旨を十分念頭に置いて、どういう姿が一番いいのかというのを引き続き考えていくということかと考えております。
 以上でございます。

○三浦座長 大山課長、ありがとうございました。
 それでは、石川委員、竹田専門委員、藤田専門委員、大谷委員の順で御発言をお願いします。

○石川委員 石川です。
 2点、申し上げたいと思います。
 まず、1点目は、大きな方向性としてインクルーシブ教育を進めていく、本人及び保護者の意見を最大限尊重しつつ合意形成を図っていくというのが中教審の報告です。
 文部科学省におかれては現在学校教育法の施行令の改正作業をされていると理解しますが、今年度の就学先決定についても、今後の方向性についての教育委員会等への御紹介、御指導をお願いしたいというのが1点です。これは尾上委員がおっしゃった件ともかかわってまいります。
 もう一点、10年前に障害者基本計画が策定されたときは、ちょうど特殊教育から特別支援教育への制度改革のための作業がなされている時期であったかと思います。基本計画にはその内容がある程度入っていますけれども、全部入れられたわけではなかったと思います。今回は、特別支援教育システムからインクルーシブ教育システムへという大きな制度改革の中身を余すところなく基本計画の中に入れられるようにしたいと希望します。そういう点から、学校教育法の施行令の改正作業が、基本計画の意見具申のタイミングに間に合うとよいと考えております。

○三浦座長 どうもありがとうございます。
 それでは、竹田専門委員、御発言ください。

○竹田専門委員 就学先の決定について考えを述べさせていただきたいと思うのです。
 御本人と保護者の意見を最大限尊重して決めるということは全くそのとおりで、非常に賛成なのですが、そのときに先ほど文科省からも御説明があったように、今後、市町村の「教育支援委員会」(仮称)の役割が非常に大きくなると思うのです。それが従来の就学指導委員会と全く同じで名称だけ変えたのでは意味がないと思うのです。
 就学に先立って、特に初等教育の段階で本人というのは非常に限度があると思うので、保護者の方あるいは地域の学校教育現場に対して、どういう助言あるいはインフォメーションを十分提供して、それでコンセントを形成するかという仕組みをしっかりと制度整備してからでないと、形態だけ教育の制度で統合したからインクルージョン、特別支援教育学校にいけばエクスクルージョンという議論だと、結果的には御本人にとって不利益な結果にならないようにしていかなければいけないのではないかと思いましたので、そのあたりもまだ仮称ということで、今後詰めていくことになると思いますが、市町村あるいは都道府県の教育支援委員会、それのありようについてしっかり議論していくことがとても大事なのではないかと思いました。

○三浦座長 ありがとうございます。「教育支援委員会」(仮称)の役割、本人にとって不利益にならないようにというような御意見をいただきました。
 次の御意見を藤田専門委員にお願いいたします。

○藤田専門委員 専門委員の藤田でございます。
 就学相談・就学先決定という論点からややずれるのかもしれないのですが、発言させていただきたいと思います。
 これは特別支援学校に就学決定した子どもさんたちに言えることなのですが、卒業後、彼らが地域の中で孤立してしまうというか、私の専門であるスポーツとかであれば、卒業後もスポーツをやりたいのに、結局地域の中ではやる相手もいないし、どこに行ったらいいのか分からないという状況があります。生涯学習の観点、あるいは一人の地域住民であるということを考えても、そういった特別支援学校に就学が決定しても地域との交流が持てるような仕組みであるとか、そういったことを相談することができるようなシステム、環境をつくっていただきたい、考えていただきたいと思います。
 以上でございます。

○三浦座長 藤田専門委員、ありがとうございます。
 それでは、大谷委員、お待たせいたしました。

○大谷委員 すみません、ここは議論する場ではないので、簡単に言います。石川委員が言ってくださったように、本人・保護者等というところはベースになっていくことは理解します。もちろん、宮﨑専門委員が言っていることも理解します。ですけれども、私がどうしても腑に落ちないのは、ともに学ぶことに配慮しつつということがどこにも入ってこない。ともに学ぶことに配慮しつつ、本人・保護者の合意形成を図るということであれば、全体の合意は図れるのだろうと思うのですけれども、なぜともに学ぶことに配慮しつつということがそこのベースに入ってこないのか、どうしても疑問です。
 竹田専門委員の意見に関しても、私は基本的に賛成します。就学指導委員会がかなり上からの目線ということで非常に評判は悪いのですけれども、教育支援という形で変えるということは、きっと必要なことだろうと思います。
 そのときに、従来の名前を変えるだけではなくて、ここは権利擁護の場面であると、学習権保障という人権にかかわる場面であるということをぜひ認識した形での委員会づくりが不可欠だと思っています。
 もう一つだけ。先ほど言った特別の措置という条約上の文言、これは例外的な場合に特別な措置も必要であるということを認めていると私たちは認識しておりますから、統合された環境の中で保障されるべきである。どうしても統合されていない場合には、特別な措置。ですから、交流教育とかそういうことも、もちろん、特別支援学校もそういう場合があるかもしれないけれども、それはやはり全体としての統合が不十分な場合の例外措置であると我々は認識しておりますので、そこは議論されても仕方がないと思いますけれども、反論だけさせていただきたいと思います。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、滋賀県の嘉田知事の代理で、森本課長、お願いいたします。

○嘉田委員代理 滋賀県の障害福祉課長の森本でございます。
 抽象的な意見になって申しわけないのですけれども、先ほどからお話が出ていますように、就学先の決定に当たりましては、やはり本人・保護者の方の意見を最大限に尊重するということが重要なことかなと思っております。
 そのためには、現状のような連続性のある多様な学びの場を用意しておくということが必要ですし、また、就学時に決定した学びの場を固定したものではなく、その子どもの発達の程度や適用の状況を勘案しながら柔軟に対応できるようにしていくことが必要であると考えております。
 また、適切な教育支援を実施するに当たっては、やはり教育と福祉、また卒業後における労働、そういうふうな関係機関の連携が大変重要であると認識しております。私ども行政の部分でも、その辺は共通した認識でございますが、なかなか教育委員会と知事部局との連携が具体的にうまく進まないという現状がございます。
 こういったことから、いろいろな情報を事前に提供して、適切な教育の決定に結びつけ、また、卒業後のいろいろな福祉サービスの提供がスムーズに的確に行われるように、教育、福祉、労働が連携する仕組みなり情報を共有できる、具体的な仕組みの検討が必要ではないかと考えているところです。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございます。
 最後の御発言になります。申しわけありません。時間の都合がありますので、先に手が挙がりました尾上委員、どうぞ。

○尾上委員 先ほどからの議論で、もう一度確認をしておきたいのです。障害者基本計画は、障害者基本法の改正を受けたものである。そして、第16条第1項には、ともに学び育つことが基本ということが書かれている。副大臣もそういうふうに答弁されている。それに基づいた基本計画をつくるということで、それは当然ですね。それが私たちに与えられている使命だということの確認をしたいというのが1点。
 その上で、先ほど多様な学びの場自身、この委員会、誰も否定はしていないと思うのですが、先ほど大谷委員がおっしゃられたことと関係がするのですけれども、要は、ともに学び育つこと、それを基本とした上で、例えば多様な学びの場。ともに学び、育つことを基本とした多様な教育の展開といった、どこに基本があるかということが明確にならないから、先ほどのような議論がずっと繰り返しにどうしてもなってしまうのではないかというのが1点目。
 もう一つは、当然、教育の評価ということになるのでしょうか、その際、先ほど委員がおっしゃられたとおり、1つは雇用の関係がどうかというのが非常に重要な部分だと私も思います。

さらに、もう一つ、つい先週ですが、東京大学で行われたあるシンポジウムの研究会に私は出させてもらったのです。時間の関係で詳しくは紹介いたしませんけれども、アメリカにおける障害のある子どもの教育というか、インクルーシブ教育に関する法律では、最近改正されたという報告がありました。その中で、IEPや最も制約の少ない環境ということ、加えて、適正手続の確保、無償の教育というようなこと。それらを通じて重要なのは、雇用並びに自立生活につながっているかどうか。権利条約で言えば地域生活に寄与しているかどうか。雇用のみならず地域生活に寄与しているかどうかいうことも、ぜひこのインクルーシブ教育の際の評価の観点に付け加えていただきたいということを申し上げさせていただきます。

○三浦座長 尾上委員、ありがとうございました。
 それでは、まだ論点⑤の議論の時間が残っておりますので、先の方へ進ませていただきたいと思います。
 次に、論点⑤「初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備②(合理的配慮及び基礎的環境整備等)」について、まず、各委員からいただきました御意見の特徴をまとめて、棟居副座長より御報告をいたします。

○棟居副座長 これも先ほどと同じように、委員さんの固有名詞は一切省かせていただきまして、キーワードに基づく集約ということでございます。
 まず、合理的配慮につきましては、その基礎となる基礎的環境整備の充実が不可欠であるという御意見、これら2つの概念。つまり、合理的配慮と基礎的環境整備という2つの概念で整理することは妥当であるという御意見がございました。
 その一方で、基礎的環境整備が不十分であっても合理的配慮が提供されないということは起きないようにすべきであり、さらに決定に当たっては、障害者本人、保護者の代理の立会いを認めるようにすべきであるという御意見がありました。
 合理的配慮については、例えば聴覚障害については、遮音効果の高い教室を用意するなど、改善された施設環境において、補聴援助システムの整備が必要であるという御意見。手話通訳や要約筆記が合理的配慮に含まれることを周知すべきであるという御意見。地域の学校で学ぶ子どもにも、盲学校と同水準の教科書を準備すべきであるという御意見がありました。
 また、地域の学校で学ぶようにするために、学習支援、通学支援、医療的ケアを含む人的配置が必要であるという御意見がありました。それらを個別支援計画に盛り込む際には、障害者本人、保護者の参画のもとに作成し、その作成プロセスを明らかにすることが重要であるという御意見がありました。
 合理的配慮を提供する人材の育成や研修が重要であるという御意見や、インクルーシブ教育を担う人材育成のためには、大学で養成する際に必修にする等の工夫が求められているという御意見がありました。
 合理的配慮に関する周知については、都道府県、市町村教育委員会に周知させるよう、国の役割が重要で、障害者本人・保護者に分かりやすく説明しなければならないという御指摘がありました。
 以上が委員意見の概要でございます。

○三浦座長 ありがとうございます。
 非常に多岐にわたる御意見をいただいております。なかなか1つにまとめることは難しいですけれども、それぞれの御意見をこの時間、あと40分ほどございますので、委員さんからいただきたいと思います。御意見、御質問がございましたら、挙手をお願いいたします。
 土本委員、どうぞ。

○土本委員 土本です。
 小学校はまだまだ振り仮名を振っていないところもあるし、学校の玄関に入ってスロープがあったときに入れるのですけれども、体育館の壇上に上がるときには階段という形で、せっかくそこまで行けたのにそこに階段があった。それは壁であったりしていますし、全国もまだまだ不十分ではないかと思うし、例えば知的の障害を持っている子が教室に入るときに、こういう子が入るということも伝える必要があるのではないかと思う。
 いきなり障害のことも含めて理解するというのは難しいところもあるのですけれども、そういうことも話し合って決めていくといいのかなと思うし、スロープとか実際に使う人がやらないと、ただつくっただけで本当に使えないことになってしまうので、ぜひそういうことも含めてやっていきたいと思っています。
 以上です。

○三浦座長 一人一人に応じた丁寧な合理的配慮という趣旨の御発言だったかと思います。ありがとうございます。
 それでは、棟居副座長、どうぞ。

○棟居副座長 もちろん、一委員としての意見でありますが、差別禁止部会をずっと大谷委員などとともにやってきた者としての感想というか、情報提供的な発言もお許しいただきたいと思います。
 それは、本日、文部科学省さんの方で御提供いただいております、資料1の最初、共生社会の形成に向けての(1)の2つ目のポツに、権利条約24条。この内容がピックアップされておるわけでありますが、特別支援学級とか、特別支援学校が、すなわち合理的配慮であって、それを提供しておれば差別はないのだと、区別かもしれないが、差別ではないという考えは基本的になじまないのではないかと、差別禁止部会の議論をしておる者は考えておりました。
 なぜかというと、1ページの資料の真ん中あたりでございますが、障害のある者と障害のない者がともに学ぶ仕組みであり、障害のある者がジェネラルエデュケーションシステム、この訳は教育制度一般という訳が仮訳となっておりますので、とりあえずこれを前提にしますけれども、そこから排除されないことというので区切りがあるわけで、「排除されないこと、」でありまして、自己の生活、地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な合理的配慮が提供されるということで、とにかく排除がまずだめである。排除したら、すなわち差別ですということでありまして、これは我々の差別禁止部会が出しました意見書でも、差別というのは不均等取扱いである。それは禁止されるというのを1点押さえて、それとは別に、合理的配慮を提供しなければいけませんという、障害者の側から言うと権利性があるのだという二本立ての構造になっているわけであります。
 ですから、もう時間がありませんけれども、例えば学校には、先ほどの就学の話ですけれども、普通学級に入れる。しかし、そこで聴覚障害があれば情報保障するという個別の合理的配慮が求められるということで、初めから、あなたは別扱いだというのがここで言う合理的配慮かというと違うという前提の議論をしてきたという情報提供です。すみません。

○三浦座長 分かりやすく御説明をいただき、ありがとうございます。
 それでは、ほかに御意見ございますか。
 石川委員、栗川専門委員、竹田専門委員、藤田専門委員、 宮﨑専門委員、新谷委員の順で御発言いただきます。

○石川委員 石川です。
 棟居副座長の特特委の報告書に対する読み方についてですが、私はそうは書いていないと思うのです。特別支援学校があればそれは即合理的配慮であるということは決して書いていないです。
 また、通常学級で学ぶことがインクルーシブであり、そうではない場合はエクスクルーシブであるということでもないと考えます。差別禁止部会でも、本人、保護者の意思に反して、あるいは希望を無視して地域の学校に就学を認めないということを不均等待遇と定義されていたと思います。
 インクルーシブな社会というのは共生社会とも呼ばれ、多様性を承認する社会とも呼ばれていますけれども、多様性の承認という中には、ともに生きる、ともに学ぶということとともに、もう一つ、少数派が例えば文化とか自分たちの言語とか自分たちの言語とか自分たちのネットワークとかを守りたいといったときに、その意思を尊重するということも含めて多様性の承認と通常は考えるわけです。先住民だとか少数言語の話者であるとか、異なる宗教を持った移民の場合であるとか、それらも含めて、多様性の承認、あるいは多文化主義といっているわけです。
 教育において、インクルーシブ教育システムというのは、その両方を含む概念とするのか、前者、主として統合に力点を置いて概念規定するのかというところ、ここが論点だと思いますので、これは丁寧に議論をしていかないといけない。
 ともに生きるということを強調して、そのための基礎的環境整備とか合理的配慮というものを十分担保した上で、なおかつ自分たちの独自性とか、自分たちの言語的な共同性とか、自分たちの仲間集団の中で育てたいのだという意思があったときには、それを尊重するということまで含めてインクルーシブ教育システムと呼ぶ方が、私としては正しいのではないかと考えています。

○三浦座長 御意見ありがとうございます。
 それでは、栗川専門委員、御発言ください。

○栗川専門委員 専門委員の栗川です。
 私の意見書は、このことに関して墨字の資料では74ページに書かせていただきました。時間もありませんので、先ほどの棟居副座長がおっしゃっていなかった部分に重点を置いて発言します。
 1つは、障害のある子ども、特に私自身が視覚障害を持っていますので、その関係から、特に盲学校においては、点字の教科書が点字出版所でプロの手によってつくられているという形になっていますが、現時点では普通校でインクルーシブ教育を受けている子どもたちの教科書に関しては、そういう形での保障がされていませんので、今度の基本計画あるいは今後の施策の中で、それが同等に実現できるようにしていただきたいということが1点です。
 それとともに、人的な介助も通学も含めて必要ですし、それが現時点でまだまだ子どもたちに対して保護者の同席介助を求められたりとか、非教育職の介助者がついた場合には、教育活動にはかかわってはいけないというような制約がされてしまうというようなこともありますので、教育活動をちゃんと支援できる形での人的な配置を、これも今度の基本計画あるいは今後の施策の中で実現してほしいということがあります。
 大きな2点目として、障害のある教職員の問題も、ぜひとも子どもたちと並べて、今回の施策の中で位置づけていただきたいと思います。先ほど大山課長の方からは、文科省としては、障害のある教職員についての実態を把握していないとおっしゃられ、実際に資料としては厚労省からの雇用率のことが今回出てきている状態だと思います。
 第2回の大学教育のところでは、かなり詳細な、あれは学生たちに関してですけれども、障害の種別や、どういう支援を必要としている人たちがどのぐらいの数いるのかについて調査がされておりましたので、あるいは私が勤めている学校や教育委員会においても、毎年雇用率のカウントの関係があるのでしょうか、障害を持っている人は申し出てくださいということで、教育委員会は調査をしていると思います。
 そういう点では、これから障害を持っている教員が学校現場で働いていくということもインクルーシブな社会あるいはインクルーシブ教育を進めていく上で1つの重要な要素だと思いますので、そのことについて実態を把握するということから始めざるを得ないのかもしれませんけれども、それとともに必要な人的な合理的配慮も含めて行っていくということのために、ぜひとも文科省の中で、何らかの障害を持っている教員が働くための対策会議、そのためのそういうものをつくって、障害を持っている者が働くためにはどういう合理的配慮が必要なのか。
 私自身は、視覚障害になって20年間働き続けられていますけれども、これは決定的に、人的な介助、常勤のアシスタントが私についてさまざまなサポートをしてくれているから働けているわけでありまして、この条件が文科省の制度としてできれば、障害を持っている教員の雇用は飛躍的に進むと思いますので、ぜひともそういう検討の場を設けていただきたいと思います。
 以上です。

○三浦座長 御意見ありがとうございます。
 それでは、竹田専門委員、御発言ください。

○竹田専門委員 先ほど石川委員の方からもありましたけれども、副座長の取りまとめのところでも御発言があったかと思うのですが、特別支援学校とか学級が排除というようなニアリーイコールみたいな議論に、どうしても油断するとそういう誤解を与えてしまう傾向がないように注意しなければいけないかなと思うわけです。
 特別支援教育は、我が国の場合は非常に国際的にも質の高い、歴史的にもやってきた経緯がありまして、そこにかかわっているものとしても、特別支援教育というのは、本来は社会におけるインクルージョンを保障するための教育を成す制度的なものですので、それをどういうふうに生かしていくかという観点はとても大事ではないかと思って、大谷委員の先に出していただいた意見書の中にもありますけれども、それに当たっては、例えば教員養成において、地域の学校にこれまで以上に特別支援教育の中身を理解、熟知した教員というものが必要とされると思いますし、特別支援教員のライセンスを持った教員をどういうふうに配置していくかという、むしろそういう機能的なというか、質的な地域の教育の質をどういうふうに保障していくかということがとても大事ではないかと思います。
 最後に、基礎的環境整備ということで、これは国あるいは地方自治体等が責任を担うということになっていますが、それによって地域格差というか、濃淡が出るということがあってはならないと思います。教育の現場というのはさまざまな地域によって違いがあると思いますので、その責任の分担、責任を持つ場所がどういうところか、あるいは地域がどういうところかということで濃淡があってはいけないと思います。
 以上です。

○三浦座長 竹田専門委員、ありがとうございます。
 それでは、藤田専門委員、どうぞ。

○藤田専門委員 専門委員の藤田でございます。
 私の意見書、101ページにございますので、そこを見ながら聞いていただければと思います。
 まず、各論になるかと思いますが、学校体育の中での合理的配慮というのは一体いかなるものか。あるいはインクルーシブ体育をどういうふうに進めていけばいいかということに関する研究をぜひ早急に進めていただきたいと思います。これはスポーツ基本計画の中でもうたわれておりますので、ぜひ推進していただきたいと思います。
 と申しますのも、体育というのは体を使ってやる。できる、できない、できた、できなかったが人前ではっきりしてしまうという特徴があります。それができない子のいじめにつながったりということも考えられなくはないと思います。
 またもう一つ難しいのは、では100%インクルーシブな体育をやればいいのかというと、必ずしもそうではありませんで、そうしてしまうと、今度は障害のない子どもたちの運動欲求であるとか、必要な運動量というのが確保できなくなってしまう可能性もあります。
 では、インクルーシブ体育をしなければいいかというと決してそんなことはありませんし、お互いの学びというのも制限してしまうことにつながると思います。ですから、そのためにどこまでやれば合理的配慮と言えるのか、どういうふうにすればインクルーシブ体育がうまくいくのかというのをあらかじめきちんと検討した上で、それに必要な基礎的な環境を充実させていただきたいと思います。ぜひその部分のガイドラインなり、そういったものをつくっていただきたいと思います。
 以上でございます。

○三浦座長 ありがとうございます。
 それでは、今、藤田専門委員から御発言いただきましたけれども、次に宮﨑専門委員、新谷委員、先ほど手が挙がりましたので御発言いただいた後に、尾上委員、阿部委員の方へ進んで、全て入れさせていただきますので、よろしくお願いします。
 宮﨑専門委員、どうぞ。

○宮﨑専門委員 ありがとうございます。専門委員の宮﨑です。
 合理的配慮の検討なのですが、私自身は、障害のある子の学びが達成感を持って充実した教育活動ができていく、その時間を保障していくというようなことが大事だと。先ほど、尾上委員がおっしゃいましたけれども、地域生活につながっていくような力を持つ、今、生きる力を身に着けていけるような教育ができるのが大原則だ。そのための整備であると考えております。
 現実に今までの学校社会で、これはいろいろあったことでありますが、現実の現在の日本の教育については、通常の学級や通級による指導とか、特別支援学級あるいは学校でそれぞれ学んでいるわけですが、それぞれの情報提供が完全に不足しているわけですから、そういう意味の連携を行いながら、経験の共有を図りながら基礎的な基盤整備を図っていくということがまず何よりも大事ではないか。そうすることを今回大事に指標として考えていかなければいけないのではないかというのが1点です。
 2点目に、日本の教育環境整備というのは、本当に課題が山積しております。国も地方も予算が非常に厳しい状況であることは分かっておりますけれども、こうした困難な時期であることは分かりますが、大事なことというのが、1つは人に対する対応です。
 1点目は、少人数学級というのが諸外国から比べたら格段にないのです。日本の制度では、やっと小学校1年生、2年生が35人学級になる。諸外国から比べたら10人ぐらい違うという状況があります。そういったようなことを考えると、今後、少人数学級を徹底して進めていくという仕組みをつくらなければいけないというのが人に関しては1点ございます。
 2点目は、先ほど竹田専門委員がおっしゃいましたように、障害児者に対する専門性といったようなことについて、教員養成で十分学んできていないという実態がありますので、そういった点での特別支援教育に関する専門性を担保する仕組みをつくっていくというようなことが何よりも大事であろう。これは教員養成、学校へ入ってからの仕組みという点で重要になってくると思います。
 3点目は、先ほど来あったような、いわゆる物理的な面での環境整備です。この点は、基礎的環境整備として私どもはまとめたわけですが、バリアフリー化、先ほど土本委員からありましたように、これについては、各都道府県あるいは市町村で計画的に整備をしていく仕組みをつくっていく。これを今回はぜひ俎上にのせて、その整備計画をするような方向性を出していったらどうか。この仕組みができていくと、いわゆるインクルーシブな教育システムの実がとれていくのではないかと思っております。私の意見書になかったところをこれだけ追加させていただきました。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、新谷委員、お待たせいたしました。

○新谷委員 新谷です。
 特特委員会が合理的配慮と基礎的環境整備に分けて議論を深化させたというのは非常に評価するのですけれども、2年前の推進会議で文科省のヒアリングのときに、文科省が説明されたのを非常に印象的に覚えているのです。想定A、Bということで、基礎的環境整備プラス合理的配慮も入っているのか分かりませんけれど、小・中学校の通常学級への進学を原則として保護者が希望する場合は、特別支援学校に就学。その場合の費用は12兆円ですと。それで、保護者の希望を踏まえつつ、義務教育の実施に責任を持つ教育委員会が総合的に判断した場合の費用は1.2兆円ですという報告があったわけです。それは非常に概算ですというお話だったのです。
 中教審の特特委員会の議論を踏まえて、この辺の考え方は恐らくいろいろ整理されていると思うのですけれども、現在、資料でいただいた来年度の概算要求として3,017億円。16ページ、17ページに載っていますけれども、これは特特委員会の報告されているああいう方向を踏まえたら、初年度は3,017億円かかるという試算をされているのでしょうか。それとも、今までの進め方でいくと、とにかく3,017億円かかるのだという試算をされているのか。全体の特特委員会の報告を踏まえた場合は、全体としてこれぐらいのお金がかかるのだと、そういう方向の中から、来年度の概算要求が出てきているのかということをお伺いしたいのです。
 ただ、踏まえるべきは、資料にも書きましたけれども、OECDの31カ国で2年間も日本は教育支出は最下位という現実があるわけでしょう。そういうところがありますので、単に1,245億円が3,017億円ふえたということをどう評価していいのか分からないのです。そういう非常に厳しい現状がありますので、今回、特特委員会の報告を含めてどういうふうに文科省としてお金の工面をイメージされているのか、その辺でもお聞かせいただければと思います。

○三浦座長 予算措置のことを含めての御質問でしたので、大山課長の方にできる範囲でお答えいただければと思います。

○大山課長 まず、新谷委員が御指摘いただいている3,017億円というのは、施設整備に係る部分についてのみの部分だと思います。いろんな予算については施設整備以外も含めて、教職員の配置のための給与費の負担ですとか、体制整備ですとか、教材、教科書、その他、就学書類、いろんなものが入っているということを一言申し添えさせていただきたいと思います。
 先ほど触れられた試算については、いろいろな条件設定の仕方によって、かなり試算も変わってくると思っております。以前に2年前に紹介されたものも、1つの例えばということで設定を置いて試算するとそうなるというものと御理解いただければというのが2点目でございます。
 文科省は来年度予算をどう考えているかというところについてですが、本日の配付資料の21ページのところでも、特別支援教育の充実のための来年度の予算要求について書いているところでございます。その中で、今回の特特委員会の報告を受けて、特に合理的配慮というのは新しい概念ですので、いろんな実践例を積み上げて、かつ、それを普及して共有化して現場で進めていただこうという趣旨にのっとってというところでは、21ページの資料にございますインクルーシブ教育システム構築事業という新規のものがこれに対応していると考えております。
 モデル事業という形でございますが、学校、幼・小・中・高で、障害のある子どもを受け入れるための実践ですとか、交流共同学習の取り組みの実践、特別支援学校、地域の通常の学校の通常の学級や特別支援学級など、さまざまな教育資源を組み合わせた形でのスクールクラスタといったようなものを活用するといった実践。さまざまな形の実践事例を積み上げて、これをデータベース化し、あるいはセミナーを通じてということで共有、普及して活用していこうということを念頭に置いた要求なども盛り込んでいるところでございます。
 以上でございます。

○三浦座長 ありがとうございます。ちょうど21ページなので素朴な疑問といいましょうか、質問をさせていただきたいのですけれども、文科省の説明資料の中で、内容の(3)の特別支援教育就学奨励費という項目がございますが、特別支援教育に就学することを奨励するということではないのですよね。

○大山課長 就学奨励費というのも歴史も古いものでございまして、子どもさんが特別支援学校や特別支援学級等に就学されるところの親御さん、保護者の方に、例えば特別な文房具が必要であったりとか、通学費が余分にかかったりであるとか、寄宿舎で生活されたり、あるいは帰省の費用がかかったりという特殊な特別な御負担もあるということで、そのための経済的な負担を軽減するための支援をするための経費を出しているというものでございます。

○三浦座長 それが次年度概算要求では、普通学校に通っている障害のあるお子さんにも対象を広げて考えるというような内容の記載を見たのです。

○大山課長 これにつきまして、来年度も拡大しましたということの御紹介を先ほどの説明の中でもしたのですが、これまで通常の学級にいらっしゃる子どもさんについては、通級の場合の通学費のみの支援だったのですが、それを拡大してということで予算要求をしているという趣旨でございます。

○三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、お待ちいただいております尾上委員、阿部委員、一木専門委員、大谷委員、小中専門委員、最後に石川委員、漏れはございませんでしょうか。
 それでは、尾上委員、どうぞ。

○尾上委員 尾上です。64ページから私の意見を入れています。最初の地域の学校で学べるようにするための人員の保障という文については、ほかの方も御指摘がありましたので、時間の関係で詳しく述べませんが、文科省さんの資料の15ページの学級編成の標準ということで、通常の小中学校と特別支援学校の差は何とか縮めてもらえないかというのが基本的でございました。
 その上で、わたしの方で触れておきたいことが、先ほど多様な学びの場ということを皆さん言われたわけですが、実際には事実はそれと反する運用をされている例がございます。65ページのところに書きましたが、例えば特別支援学級籍におられる子どもさんが通常学級で学ぶ場合の時間や特別支援学級で学ぶ時間。それは本当に一人一人そのお子さんに応じてだと思うのです。ところが、これは具体的な自治体名まで挙げられますけれども、ある自治体では、通常学級で学ぶ時間を週11時間までですよと限定したり、支援学級での就学時間を週10時間以上は必ずしなさいと機械的に指導している例があります。
 明らかにこれは先ほどから言われている多様な学びの場というのと矛盾しています。こういったことは絶対あってはならないということを、ぜひこの基本計画の中などでもしっかりと押さえておきたいところでございます。
 66ページ、先ほど就学奨励費が地域の学校で学ぶお子さんにも提供されるということで、第一歩ということで非常に喜んでおりますけれども、加えて、これは議事録に残しておくためにあえて申しますと、ずっと課題となっております通学支援の問題、これは高等教育においても課題になりましたが、初・中教育において通学支援の問題があると。
 4番目、医療的ケアなのですが、これも今年の4月から実施をしていただいておりますが、この実施の仕方によって、自治体によってかなり違いがあるなと思っております。今日、70ページのところに資料を入れておりますけれども、例えば大阪市の場合は、看護師資格のある方を配置して、担当教員を中心にして指導・助言を行って、担当教員も含めて一緒に医療的ケアに当たられる。そういう形で、言わば生活支援行為として医療的ケアを実施されている。こういう姿を目指していくべきだろうということ。
 もう時間が来ておりますが、前回、非常に高等教育のところでクリアな、障害を理由にした入学拒否や受け入れ拒否があってはならないのだということをおっしゃっていただきました。でも、残念ながら、そこに至るまでの後期中等教育や高校の段階での制限をどういうふうに変えていけるのかということで、例として、大阪府の例えば自立支援コースという知的障害の方の地域の学校への進学の例でありますとか、そういった事例なども含めて広げていっていただければと思う。
 もう一つは、高校入試における受験時の配慮実例の全国都道府県の一覧表みたいなものをつくっていただきたい。例えばパソコンを使っての受験を認めておられる自治体もあればそうではないところもあるというような状況でもありますので、ぜひそういったことをお願いしたいと思います。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございます。
 それでは、阿部委員、御発言ください。

○阿部委員 阿部です。
 先ほどの藤田専門委員のお話、④のときにもあったのですけれども、スポーツをしていて、特別支援学校を今度は終了してしまったら地域とつながらなくて、その機会がなくなるということがありました。これは大事な指摘だと思いますし、また特別支援学校も長期の休みもありますので、先ほど文科省からも説明いただきましたけれども、副籍、副次的籍ということで、地域とつながる仕組みが大切だなと思いました。
 子どもはもちろん教育での学びもたいせつですけれども、家庭での学び、地域社会での学びということがありますので、それがすごく大事ではないかと思いました。合理的配慮等では必要な人材を確保することも重要です。特別支援教育支援員、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの方々の社会的な地位といいますか、給料面を踏まえて、継続的にはたらく場合には不安定な環境にあるように思えますので、これをしっかりしていく必要があるのではないかと思います。
 先ほど嘉田委員の代理の森本さん、知事部局と教育部局の関係についてお話しいただきました。基本計画は、地域では障害者計画となります。そのときに、本当に福祉領域と教育領域の連携というのがすごく大事だと思いますし、特別支援学校や支援学級の授業終了後には、放課後等デイサービスとか、さまざまな支援も受けているわけですので、その連携がきちんとできるようにして欲しいと思います。地域における障害者計画、または障害者保健福祉計画でも位置づけ、しっかりと教育も含めた一人一人の生活について議論できるようにする必要があります。教育支援計画、相談支援ということになるのだと思いますけれども、それがすごく大事だと思います。保護者の方の孤立、不安、私が知っている範囲では孤立化が結構多いように思いますので、それらを防ぐためには相談支援事業が重要だと思いますので、システムの構築について徹底されるとよいと思いました。
 また、不登校になった子どもたち、フリースクールに行っている子どもさんたちをどのようにしてしっかりした学びにつなげるかという仕組みも考えていく必要があります。
 もう一つで終わりです。尾上委員も栗川専門委員も、通学支援またはコミュニケーション支援について発言されました。これは教育、社会参加、雇用のところでも出ています。それを一元的に検討する仕組みを何とかできないものかなと思います。教育の場だけでも議論に出ていますし、社会参加でも多分出るだろうし、雇用の場は出ていますね。そのようなことで横断的な取り組みが今回の委員会でも大事なことだと思いました。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございます。
 それでは、一木専門委員、お願いします。

○一木専門委員 一木です。
 2点申し上げます。
 1点目は、基本計画の重点施策として、普通学級における合理的配慮を予算も含めたものを文言として書き落とすべきだと思います。今まで障害のある子が普通学級に就学すると想定されてこなかったので、それが決定的に不足している。普通学級での障害のある子の合理的配慮を優先的に書いてほしいと思います。
 2点目、前半の議論にもかかわるのですけれども、先ほどインクルーシブ体育というのが出てきましたが、インクルーシブ体育も障害者スポーツも、権利条約では否定されていない。多様な学びの場とか、異なった取扱いについては、否定されていないと思うのです。
 ただ、それを強制されるのはやはりだめだろうと。異なった取扱いの場とかというものとか、さらに合理的配慮も含めて、あなたにはこちらの方がいいのだという強制されるというのは違うだろうと思うのです。就学先を本人・保護者の意見に沿うべきだということはその部分だと思うのです。
 合理的配慮については、策定過程をどのように持っていくか、ここが非常に大事な論点になると思います。同じく合理的配慮の中身について強制されてはいけないからです。本人・保護者が参画したもとで策定する。そして、そこには透明性とか公開性が必要だと思いますので、第三者の参加を保障する。イギリスなどではネームドパーソン制度というのがありまして、保護者が指定した第三者が教育相談に出席することが保障されています。そういうものを就学先決定の仕組みにも合理的配慮を決定する際にも、仕組みとして書き込むということが必要だと思います。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございます。
 それでは、お待たせしました、大谷委員、どうぞ。

○大谷委員 時間がないので結論だけ言わせてください。
 最初に、棟居先生と石川先生の話は何ら矛盾するものではなく、我々差別委員会も本人の意思、アイデンティティの保障は十分保障するという前提で、ただ、強制的に排除するということは差別だという議論をしてきました。
 竹田専門委員から、もしくは宮﨑専門委員からも指摘されました教員養成、我々もとても重要だと思っています。ただし、どこかすれ違ってしまうかなと思うのは、非常に残念なのですけれども、特別支援教育もしくは障害児教育の専門家を養成するのではなくて、どの先生も障害のある子を教育できるという意味における教員養成。1人の子どもとして、障害があってもなくても受け入れるだけの教員養成が必要なのではないかという趣旨で言わせていただいていますので、そこはできたら共有したいと思っています。
 宮﨑先生の達成感を持てるというのも、本当に共有したいのですけれども、何が達成感なのかということに関しても一言言わせてもらえれば、それは生きる力、人間関係に行き着く。とするならば、他者から、もしくは同じ仲間から、特に同世代の仲間から認められるということが達成感の第一前提だと思っておりますから、そこもぜひ共有していただけたらと思います。
 支援学校の卒後、この調査はしていただきたい。特に寄宿舎の実態調査も踏まえて、支援学校生がどのように地域生活を送っているのかということはぜひともやっていただきたいと思います。
 最後、データベース、モデル地域、モデル学校という形で文科省が取り組んでいただくのはありがたいのですけれども、ぜひそのときに、我が国には特に反差別、人権教育としてともに学ぶ教育を実践してきた、それはもう実践の積み上げがあります。特に関西に大きくそこは集積されておりますので、それを掘り起こす形で、我が国における共生教育は人権教育だったのだということをまとめてデータベース、もしくはモデル地域、モデル学校として指定し、共有していただきたいと思います。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございます。
 こちらで棟居副座長の方から御意見がございます。

○棟居副座長 先ほど私、未熟な言い方をしましたけれども、今、大谷委員に補っていただいたとおりのことを差別禁止部会で議論しておったということ。
 便乗でもう一個、結局、どうしても特別支援学校というものが何か別のものに見てしまう。この根底に学習指導要領の二本立てということがあると思うのです。この学習指導要領については、特別支援学校学習指導要領というものと、普通学校に対する学習指導要領という二本立て体制というのを今後も継続されるのでしょうか。
 つまり、個別の教育支援計画を作成するという特別支援学校学習指導要領に置かれております考え方は、障害のない子どもにもみんな今必要な時期になっているのではないですか。私は大学で教師をやっていますけれども、従来は考えられなかったようなあの手、この手のプリント教材を配ってようやく理解してもらえる。さらに個別の質問に答えると教育が非常に個別化して、個々の特性に踏み込んでいって初めて伝わるという、それだけ教育内容も高度化していると思うのです。本来の筋とは違う話かもしれませんが、学習指導要領についてもし教えていただければありがたく存じます。

○三浦座長 それでは、課長の方からよろしいでしょうか。文科省資料の13ページです。

○大山課長 学習指導要領につきまして、まさに新しい学習指導要領ができて、これについて現場でその趣旨を踏まえて取り組んでいただくようにということで普及というか情報提供を進めているところでございますので、新しい学習指導要領に沿った形で、一人一人の子どものニーズに合った形の教育が行われるようにということで始めていくと考えております。

○三浦座長 ありがとうございます。
 それでは、続けます。次は、小中専門委員、御発言ください。石川委員、宮﨑専門委員の順で御発言いただいて、一応この論点⑤に関しては終了の時間になります。

○小中専門委員 小中です。
 1つ目ですが、先ほど栗川専門委員からも御意見がございました、障害のある教職員の働くための合理的配慮についても非常に大事なことであります。聾学校で働く聴覚障害教職員も、現場にはいろいろ苦しみを抱えながら頑張って指導しております。もっときちんとした配慮、また考え方、手話通訳をつける等の配慮がされる必要があると思っています。その中で、教員と公務員採用も同様ですけれども、配慮をしないという条件で採用されるということ、そのことについてはなくすべきだと考えております。
 また、2つ目になりますが、聾教育の専門性の向上のために報告書がありますけれども、専門性をきちんと持った教職員を確保するために、人事異動について配慮することが非常に大事だと思っております。
 専門性とは何かと言いますと、技術的なことだけではなく、障害のない先生が障害を持った子どもを教える。障害が何かということをきちんと受け止めて指導できる人材の養成が必要と思います。エンパワーメント、またアドボカシーの考え方をきちんと持った上で、成人した後の生活も見通して対応できる教員がふえてほしいと思っています。機械的に、10年過ぎたら人事異動する、配転するということでは、機会をつくるのだったらいいかもしれませんが、人を育成するには非常に大きな欠陥になると思います。心を大事にして教育できるという資質が大事だと思いますので、人事異動についてもきちんと熱意を持った先生が継続して働けるように、またそういう人たちのネットワークができ、養成できるようなことを検討していただきたいと思います。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、お時間でございますけれども、まとめを含めまして7分程度の延長をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 2人、石川委員、宮﨑専門委員、恐れ入りますが、手短にお願いします。

○石川委員 石川です。
 合理的配慮は学校現場に要請される作為義務であり、基礎的環境整備は国が行うべき義務であるということで、この両方によって、インクルーシブ教育はダンピングに陥らずに、十分な実質的な平等を担保できるというのが中教審の報告書には基本的な考え方として書かれているわけです。
 その基礎的環境整備について、例えば既にどういうことが取り組まれつつあるのかということで1例を申しますと、教科用特定図書、いわゆる教科書バリアフリーに関する法律というのがあって、標準拡大教科書というのは教科書会社が出版するようになっていて、それは国が買い上げているわけです。それ以外のとりわけ学習障害に関しては、当時、今後の課題ということで、言わば見切り発車となって、今後研究していきましょうということになったのですが、もう大分時間がたっておりますし、今回のインクルーシブ教育システムへと飛躍しようというときに、教科書教材という最も重要な基礎的環境の一つについて、はっきりと前に進めていくということが大事だと考えております。基本計画の中にそういうことまで含められると望ましいと思っております。

○三浦座長 ありがとうございます。
 では、最後に宮﨑専門委員、どうぞ。

○宮﨑専門委員 ありがとうございます。専門委員の宮﨑です。
 インクルーシブ教育システムの構築のために、私はいわゆる特別支援教育の推進を踏まえた評価・検証の仕組みをつくる必要があると思っております。例えば今、学校は校長が学校経営の方針を出して、それに基づいて評価する仕組みをつくっているわけですけれども、その中にインクルーシブ教育システム構築のための評価指標を入れる。その観点から、今後、特別支援教育というか、インクルーシブ教育システムを進めていくのだということを学校全体で考えていく仕組みをつくる必要がある。
 今、文部科学省が6つの項目で今日資料も出ておりますが、特別支援教育体制の整備について項目を出しているのですが、それをもっと細かい指標で見ていくような仕組みをつくらないと進まないだろうと。これが大事だろうと思っております。そこのチェックリストを検討してもらうということをぜひ文部科学省にお願いしたい。
 もう一点は、個別の教育支援計画をつくって個別の支援を進めていくのですが、今日、資料が出ておりますが、ニーズの把握、支援の目標、支援の内容、支援を行う関係団体、評価、改訂、引き継ぎというような形で、これは学校現場が中心になってつくったものなのですけれども、これも学校現場に委嘱をしてモデルをつくってもらって、その中に合理的配慮についてはどう考えるか。私は支援の内容のところに細かく個別のことですので書いていけるかなと思っているのです。そういったものをつくって啓発活動をしてもらいたい。より具体的に一歩進めていく仕組みをつくらなければいけないだろうということがありますので、ぜひその点も今後の予算要望書の中でいろいろ検討されているようですので、そういう視点からぜひモデル事業を立ち上げてほしいと願っております。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございました。
 それでは、本日の議題は終了といたしまして、今日、第1小委員会は3回目で、この第1小委員会としては終了の時期を迎えますので、これまでの議論の概要を含めまして、棟居副座長に簡単に振り返っていただきたいと思います。

○棟居副座長 前2回分につきまして、まずお手元にメモをこさえておりますので、それを読ませていただきます。
 論点①は、インクルーシブ教育システムの構築についてということでございました。共生社会の実現に向け、学校教育においては、インクルーシブ教育システムの構築が求められているということについては、大方の委員で一致していました。
 その際に、普通学級以外の就学の場が想定されていることで排除に結び付きやすいという御意見、普通学級での学びを原則にすべきであるという御意見や、ともに学ぶ中で個別の支援が必要であるという御意見がありました。また、現在の普通学級に就学する障害のある児童生徒に対しては、障害が把握されないために適切な支援が提供されずに放置されているという課題の指摘がありました。
 障害の有無にかかわらず、ともに学ぶということについては、障害の種類や発達段階等によっては必ずしも、ともに学ぶことで学びが充実しない可能性があるという指摘がありました。
 以上が、論点①にかかわるこちらでの集約でございます。
 論点②高等教育における障害学生支援についてでございます。大学入学に当たり、障害を理由に障害者が拒否されないことを原則にすることについては、大方の委員で一致がございました。
 大学教育は専門性を担保し、人材育成をする責務があるため、レベルを落とすべきでないという御意見に対しては、一部そのような御意見もございましたが、そのような御意見に対しては、大学教育は人間の可能性が広がる場であるべきという御意見、学力だけではなく、多様な人間のあり方が求められるべきという御意見、社会的自立も視野に含めるべきという御意見等がございました。
 大学で提供される合理的配慮のうち、手話通訳や要約筆記については、質が確保されるようにすべきという御意見や、そのための研修体制を整備する必要があるという御意見がございました。
 論点③障害者が文化的諸活動に参加しやすい環境の整備についてでございます。文化振興に当たり、障害者を囲い込むようなことはすべきでなく、障害の有無にかかわらず、ともに参加できる展覧会や楽しめるスポーツ施設が整備されるべきであるという御意見があり、それを実現するための手法について、さまざまな御意見が出されました。
 美術館の説明にはルビが振られていないことが多く、知的障害者には理解できないため、ルビが必要であるという御意見や、手話通訳、字幕の付与等、障害者が文化やスポーツに参加するために移動支援が必要になるという御意見がありました。
 また、指導者の養成では、資格を取りやすくする施策の工夫や、大学教育での科目履修上の工夫も必要であるという御意見がありました。これらの取り組みと合わせ、全国障害者スポーツ大会の取り組みの強化や、障害者スポーツセンターの充実も同時に行われるべきであるという御意見がありました。
 以上が前2回の論点3つにわたるこちらでの集約でございます。なお、先ほど論点⑤につきまして、私、「インクルーシブ体育」と言うべきところを「インクルーシブ教育」という誤読をいたしておりました。インクルーシブ教育の中でも、特にインクルーシブ体育についての藤田専門委員の御意見を紹介する中で読み間違えをしましたので、お詫びしつつ訂正させていただきます。ということで、前2回については以上です。
 本日につきまして、論点④、論点⑤の2点にわたり、時間をオーバーして活発な御議論を頂戴したわけであります。論点④初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備ということで、この点につきましては、特に本人・保護者への十分な情報提供に基づく当事者の意思決定が重要であるということについては大方の異論を見なかったのではないかと思います。
 ただ、就学相談や就学先決定につきましては、そもそもインクルーシブ教育というのは一体何なのか、あるいは合理的配慮というのが何なのかという次の論点にもかかわる基本的な理解について熱心に御議論いただきましたが、取りまとめというような共通の方向性は必ずしもなかったかも分かりません。
 その中で特に文部科学省さんに提出していただきました考え方として、基礎的環境整備という言葉について、それをどのように合理的配慮と関連づけて捉えるかという点が大きな1つの問題点として、課題として残ったと私個人は感じております。
 論点⑤初等中等教育における教育内容及び教育支援体制の整備その2、合理的配慮及び基礎的環境整備等という、まさに今の論点④ともかぶっておる内容についてでございます。合理的配慮というのを普通学級の中で個別になされるべきことを原則とするのか、それとも、基礎的環境整備というものを一定国が整備し、そこには特別支援学級、ただし、従来のそれではなく、かなり多様化、開放化されたそれということになろうかと思いますけれども、特別支援学級を基礎的環境整備の1つの重要なコマとして位置づけつつ、それに合理的配慮というものを乗せていくという考え方が、恐らくホップ、ステップ、ジャンプの助走を丁寧にとるという方向からは出て行き、それに対して大いなる飛躍を求める側からは、基礎的環境整備という、言わばハード面の充実よりも、むしろ人の充実、教員養成、教員の研修、そして普通学級の中に取り込んだ形での合理的配慮というこちらの方に力点を移すという方向性があったと思います。
 この点につきましても、大きな論点提示がなされたということで、意見集約ということはこの場で避けたいと思います。
 以上です。

○三浦座長 ありがとうございます。
 これまでの審議の状況につきましては、今、おおむねまとめていただきましたけれども、また改めて整理をいたしまして、11月5日、次回の第3回政策委員会全体会の方で私から報告させていただきます。
 本日は政策委員会の委員の皆様並びに特に専門委員の。

○一木専門委員 時間のないところすみません。11月5日に報告する文章の内容で
 すが、事前に委員に見せてもらえますか?

○三浦座長 まだ予定はしておりません。御意見として承ります。
 政策委員会の委員の皆様、特に専門委員の皆様におかれましては、本当に全員参加での活発な御議論をいただき、3回にわたりありがとうございました。また、第1小委員会の運営に当たりまして、資料の提供、御発言、質疑応答等、御協力いただいた文科省を初めとする関係省庁の皆様にも厚く御礼を申し上げます。
 最後に今後の予定につきまして、事務局の東室長よりお願いいたします。

○東室長 どうも御苦労さんです。担当室の東です。
 資料の最後(105)のページに「障害者政策委員会の年内の予定」ということで書いてあります。第1小委員会は今日で終わりになるわけですが、これの議論は11月5日、月曜日、第3回の「障害者政策委員会」、親会議で報告があるということになります。22日からは、後半の小委員会、これも3つのグループがありますが、その日程が書いてあります。こういう形で進んでいくということになります。今後の予定は大体以上のとおりです。どうも今日は本当にありがとうございました。

○三浦座長 どうもありがとうございました。終了いたします。