障害者政策委員会第5小委員会(第3回)議事録

平成24年11月26日(月)
16:30~18:30
中央合同庁舎4号館220会議室

【議事に使用されている資料については「議事次第」のページにまとめて掲載していますのでご参照ください。】

氏田座長 こんにちは。時間となりましたので「障害者政策委員会第5小委員会」の第3回会合を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日の第5小委員会第3回会合は、18時30分までの2時間を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
 皆様方にいつものお願いで恐縮ですが、小委員会の開催に先立ちまして、1点お願いがございます。
 本小委員会におきましても、情報保障の観点から、障害者政策委員会と同様に、各委員が発言を求めるときはまず挙手していただき、指名を受けた後、御自身のお名前を述べられてから、可能な限りゆっくりと御発言いただくようにお願いいたします。
 また、イエロースタンド、皆様のお手元に今回も置かせていただきました。目の前のスタンドを目印に、御発言のスピードあるいはわかりやすさに御配慮いただけるとありがたいです。
 また、今回、第5小委員会におきましては、委員の皆様方の御協力をいただきまして、御提出いただく意見書のわかりにくい横文字あるいは片仮名用語につきましては、できる範囲で括弧や※印をつけて、簡単な説明を併記していただいております。
 河村専門委員からは図解等を用いて概念説明する支援が必要ではないかという御意見頂戴しておりますが、まだまだ十分ではありませんが、少しずつではありますが、これからもできるところから改善していきたいと考えております。皆様の御協力に感謝申し上げます。
 本日の小委員会には、金子恵美内閣府大臣政務官に御出席いただいておりますので、御紹介いたします。

金子政務官 よろしくお願いいたします。

氏田座長 ありがとうございます。金子恵美先生は、公務により30分ほどで御退室される予定でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 なお、本日は所用等により、清原委員、土本委員、川内専門委員、髙橋紘士専門委員、福島オブザーバーが御欠席との連絡を受けております。
 また、隣の席があいておりますが、後藤副座長が所用により若干おくれて到着される予定でございます。後藤副座長がご到着されるまで、第5小委員会メンバーでもある石川委員長に進行のサポートをお願いしています。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題及び資料について、事務局より御説明をお願いいたします。

東室長 どうもこんにちは。担当室の東です。
 今日は、議事次第を開けていただくとわかりますように、論点としては3番目になります。「情報バリアフリー化の推進」ということであります。
 冒頭に、文部科学省、経済産業省、総務省及び厚生労働省からの説明をしていただいた後、委員間で議論していただくということになっております。
 資料としましては、議事次第の後につづってあります、資料をおめくりいただければ、1ページに資料1として「論点③に関する関係省庁資料」というのがあります。
 19ページからは資料2ということで「論点③に関する委員意見」というものが挙がっております。
 参考として、障害者政策委員会の日程という資料もあわせて添付しておりますので、ご覧ください。
 以上が資料についての説明です。資料として足りないものがあれば、事務局の方にお申し出ください。
 以上です。どうも。

氏田座長 ありがとうございます。欠席委員について、1名急遽欠席だとの御連絡があったということで、大変失礼をいたしました。門川委員も本日欠席とのことでございます。
 それでは、議事2の論点③に関する審議に入ります。
 第1回小委員会で議論のありました点も含めて、論点③、第22条「情報バリアフリー化の推進」について、文部科学省、経済産業省、総務省、厚生労働省より、御説明をいただきたいと思っております。この御説明いただく枠を全体で30分ほど考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

まずは文部科学省より、河村専門委員からも第1回のときの御質問がございました。それも含めまして御説明をよろしくお願いいたします。

三輪課長補佐 文部科学省特別支援教育課課長補佐の三輪でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お尋ねのありました点の当省関係部門につきまして、御説明をさせていただきます。資料は、お手元の資料1の1ページと2ページが文部科学省の関係資料となりますので、ごらんください。よろしいでしょうか。
 当省におきましては、教科書のアクセシビリティに関する取り組みということで御説明させていただきます。教科書のアクセシビリティに関する取り組みとしまして、当省はいろいろ取り組んでおりますが、本日は大きく4点御紹介させていただきます。
 「1.民間組織・支援技術を活用した特別支援教育研究事業」という予算事業を実施しております。予算規模としましては、ここにございますように2,500万円ぐらいでございます。
 この事業は概要としましては、いわゆる発達障害等のある児童生徒の障害特性などに応じました教科用特定図書等や教材を提供するため、その支援技術等に関する研究や普及推進を実施するものでございます。また、特に課題とされている分野等につきまして、先導的な取り組みを行っておりますNPO等民間団体に対し、実践研究を委託するものでございます。抽象的なもので恐縮でございますが、具体例で申しますと、例えばいわゆる拡大教科書というものが今発行されておるわけですが、これは視覚に障害のある子だけではなく、読字障害であるとかLDといった発達障害等のある子どもたちへの有用性なども指摘されておりまして、そういったものも含めた包括的な調査研究を行うものでございます。
 「2.学びのイノベーション事業」でございます。予算規模としましては、2億8,100万円規模でございます。この事業は資料にもありますように、21世紀を生きる子どもたちに求められる力を育む教育を実現するために、さまざまな学校種、子どもたちの発達段階、教科等を考慮しまして、1人1台の情報端末や電子黒板、無線LAN等が整備された環境におきまして、デジタル教科書・教材を活用した教育の効果とか影響の検証、指導方法の開発、モデルコンテンツの開発を行う実証研究を行う事業でありまして、平成23年度、昨年度から25年度まで行うことを予定しております。
 今、御説明の中でデジタル教科書という言葉を使いましたが、具体的には実証研究のために開発しておりますのは、現時点ではいわゆるデジタル教科書教材のモデルコンテンツというものでございまして、例えば教科書そのものというよりは、国語で言うと『大造じいさんとガン』といった一部のコンテンツのみを電子化したもので、文字の拡大機能でありますとか、白黒反転機能などを含んだものを活用した実証研究を行っているところでございます。
 2ページ「3.教科用特定図書等普及推進事業」でございます。予算規模としましては、1億2,000万円、25年度概算要求としましては1億900万円程度となっております。これは障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進に関する法律、いわゆる教科書バリアフリー法などを踏まえまして、障害のある児童生徒が十分な教育を受けることができるよう、多くの弱視児童生徒のニーズに対応した標準規格に基づく拡大教科書等の普及促進を図るとともに、ボランティア団体等にとって使い勝手のよい教科書デジタルデータを提供するなど、教科用特定図書等の普及促進を図るものでございます。これはもう端的に、いわゆる教科書バリアフリー法の実施、普及を踏まえた事業となっております。
 最後に「4.独立行政法人特別支援教育総合研究所における研究」でございます。文部科学省本体の取り組みとは離れまして、文部科学省の独立行政法人であります特別支援教育総合研究所におきましても、デジタル教科書に関する研究を行っております。研究課題名としましては、本年度はここにありますように、デジタル教科書・教材の試作とガイドラインの検証、アクセシブルなデジタル教科書の作成を目指してというタイトルとなっておりまして、概要としましては、昨年度23年度に特別支援教育総合研究所はデジタル教科書の作成ガイドライン(試案)を作成しておりまして、これに基づいたデジタル教科書の試作を行う、試作品つくるというのが今年度の取り組みでございます。
 その後、研究協力者による機能評価、学校での機能評価等を通じまして、ガイドライン(試案)の有効性を評価しまして、ガイドラインの改善に反映していくという取り組みでございます。これらの取り組みなども踏まえまして、教科書のアクセシビリティの向上に向けて引き続き取り組んでいきたいと考えてございます。
 文部科学省からは以上でございます。

氏田座長 ありがとうございました。御質問については、また後ほど受けさせていただきますので、続きまして経済産業省よりお願いいたします。

伊吹課長 経済産業省の文化情報関連産業課の課長をしております伊吹と申します。今日は、ぜひよろしくお願いいたします。
 経済産業省で情報バリアフリー化のために取り組んでいることは、1つは、これから私が説明させていただきます書籍の電子化の取り組みを進めるというのが1点。2点目は、障害者に配慮した情報通信機器の開発普及、これのためにJIS規格の制定を行っています。
 まず1点目の書籍の電子化について御説明させていただきたいと思いますので、お配りいただいています資料の3ページ目をごらんになってください。
 電子書籍全体について、まず全体の話を少し最初にさせていただきます。今から2年ほど前にデジタルネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会という会議がございまして、これは総務省、文部科学省、経済産業省の副大臣、政務官の共同懇談会という形をとっています。
 これはどうしてこういう形をとっているかといいますと、新しい産業、新しい利用形態で電子書籍というものができたときに、省庁がばらばらに対応するのではなくて、政府一体となってきちんと漏れがなく全体を進めようということでこういう形をとっています。その中でおのおのの役所の役割分担というのを決めていまして、経済産業省はそこに書かせていただきます1点目、外字・異体字。これは常用漢字とか以外の字体についてどういうふうに利用環境を整備するかということです。
 2点目は、電子書籍のフォーマットに関する国際標準化。その他、担当させていただいています。
 総務省さんはメタデータの総合運用性の確保、電子書籍のアクセシビリティの確保といった点を御担当されています。
 文部科学省は、デジタルネットワーク社会における図書館のあり方、出版社への権利付与などについて、各省庁それぞれ担当して全体として進めていこうということでございます。経済産業省は電子書籍については、今、申し上げた2点以外に少し予算をかけて大きく取り組んでいる事業がありますので、それを御紹介させていただきます。
 3ページの真ん中に四角で囲んでありますが、コンテンツ緊急電子化事業、23年度の補正で繰り越しをして使っていますので今年度いっぱいの事業でございます。今まで紙の本だったものを電子化しようということで、これの費用の半額を経済産業の予算で補助する形をとっています。これは補正事業でありまして、東北の復興に資することをぜひ取り組みたいと思っていまして、2点やっています。
 1点目は、そこに書いてあります東北の関連の書籍については、特に補助率を厚くしてしっかり取り組んでいこうというのが1点です。
 資料に記載がないのですが、もう一つは、電子化をする事業そのものを東北地方でやっていただこうということで、例えばイメージとしては、この事業の実際の電子化をする作業というのは印刷会社さんがやっていることが多いわけですけれども、印刷会社さんに東北で自分の事業所で人を雇ってやっていただくか、あるいは関連する東北の事業所に発注していただく形でこのデジタル化の事業をしていただこうということで、もちろん、全体としてはデジタル書籍という市場を大きくしたいという目的はあるわけですけれども、もう一つは東北でそういう事業を集中的にやれば、今後デジタル書籍の市場が広がっていくときに、東北で作業できる事業者の方が多くなって、中長期的に雇用につながるのではないかということを期待してそういう事業をしています。
 事業の効果、特にアクセシビリティとの関係でどういう効果があるということを3ページの真ん中から下のポツのところに書いてありますけれども、今までは紙、要は印刷されて固定されているものでしたので、それを読むしかないというのが紙の世界だったわけですけれども、電子という形でデータになるわけですので、例えば皆さんもスマートフォンでふだんごらんになっているとき、見にくかったら大きくして見るということができるようになるというのが1つ。
 最近は、民間でも文章を読み上げて、例えば障害をお持ちの方だけではなくて、高齢者の方とか、自分で本を読むのがつらいという方に対して文章を読み上げるというような機能に結びつくために、それの大前提がデジタル化されたデータがあるということですので、まずはその総数をふやしていくということが中長期的にアクセシビリティの向上が期待される1つの大きな大前提になるのではないかということで、この事業はそういう効果があると考えています。
 書籍の電子化については以上です。また後ほど総務省の方からいろいろ御説明があると思いますが、経産省の事業はそういうことでございます。

鈴木室長 続きまして、経済産業省の情報電子標準化推進室の室長をしております鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 私の方からは、情報アクセシビリティに関する標準化の取り組みということで、資料の5ページ、6ページをごらんいただければと思っております。
 障害者にとって使いやすいように配慮した情報通信機器、パソコンとか電話とかオフィス機器などのことでございますけれどもこういった情報通信機器等の設計指針等をJISX8341シリーズとしまして、6件制定いたしております。
 1つは、製品・サービス全体の規格ということで、JISX8341-1、高齢者・障害者等配慮設計指針ということで、共通的な指針を設けさせていただいております。具体的には、パソコン、携帯電話、ソフトウェア、サービスなどの情報処理機器・サービス全般を対象といたしまして、情報通信機器、ソフトウェア、サービス等を企画・開発・設計の際に配慮しなければいけない項目について規定させていただいております。
 続きまして、個別製品ごとの設計規格ということで、この個別製品分野ごとの設計規格は5つ制定しております。その1つ目でございます。JISX8341-2ということで、パソコン等の情報処理装置、周辺機器、ソフトウェアを対象としまして、ハードウェアにおける操作のしやすさ、キーボードだけで入力可能、文字が見やすい等の操作のしやすさへの配慮をするということで規定いたしております。
 6ページ目、2つ目、JISX8341-3、ウエブコンテンツでございます。ブラウザを用いてアクセスする情報・サービスを対象といたしまして、インターネット等における色のコントラストへの配慮、音声つき動画への字幕付与等への配慮という事項を規定してございます。
 3つ目でございます。JISX8341-4、電気通信機器関係でございますが、固定電話機、携帯電話機、ファクシミリ、テレビ電話機などを対象といたしまして、電話機、ファックス等における見やすい画面、押しやすいボタン等への配慮の規定をいたしております。
 4つ目、JISX8341-5、事務機器ということでオフィス用の複写機、複合機及びページプリンタを対象といたしまして、オフィス用のコピー機、プリンター等における音声認識機能や操作の簡便性への配慮の規定をいたしております。
 最後に5つ目でございます。JISX8341-7、アクセシビリティ設定ということで、アクセシビリティ設定のユーザーインターフェースを対象といたしまして、コンピュータにおける画面や文字の拡大設定等を行う際の操作性への配慮というようなことを規定してございます。
 以上、6件のJIS規格を制定しているところでございますけれども、今、申し上げました中で8341-5から7、6が飛んでおりまして、6はまだできておりません。これにつきましては、ソフトウェアのアクセシビリティについての考慮すべき事項というようなことで、現在はJIS原案がもう作成されておりまして、JIS制定に向けて作業を鋭意進めているところでございます
 なお、これらのJIS規格と同等のISO、IEC等の国際標準化についても既に制定をされておるところでございます。その点、つけ加えさせていただきます。
 私の方からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

氏田座長 ありがとうございました。
 引き続きまして、総務省より御説明いただきますが、総務省の皆様には竹下委員、石野委員、門川委員から第1回に頂戴した御質問も含めて御説明をいただきます。
 総務省の方、よろしくお願いいたします。

長塩課長 それでは、総務省から、資料の7ページ以降について御説明させていただきます。最初に、視聴覚障害者向け番組の普及促進について、地上放送課の長塩から御説明します。
 御質問の1点目、視覚障害者向け副音声制作等に充てられた補助件数、金額ということで、前年度、平成23年度に解説番組の制作に充てられた助成は、432番組(11社)で、合計5,725万円です。
 次です。字幕を付すことが技術的に可能でないものについてですが、これは視聴覚障害者向け放送普及行政の指針を、現行のものは2007年に策定し、2008年度から2017年度までの10年計画を立てています。その行政指針の中で御質問の点が明記されており、現在、字幕を付すことが難しいものということで、4点、掲げられています。
 1つ目が、技術的に字幕を付すことができない放送番組と表記されており、狭い意味ではここについての御質問ということになろうかと思いますが、具体的な事例としては、現在のところ複数人が同時に会話をする生番組についてはなかなか難しいであろうという整理です。
 広い意味で現在字幕がついていないものとしては、そのほか外国語の番組ですとか、大部分が器楽演奏の音楽番組、あるいは権利処理上の理由等により字幕を付すことができない放送番組、こういったものが行政の指針に明記されているところです。
 次に、BS放送、CS放送については、その指針上どのように書かれているのか、扱われているのかという点です。関係部分の抜粋ですが、字幕放送について、BS放送については、2017年度までに対象の放送番組の全てに字幕を付与するということ。大規模災害等緊急時放送については、できる限り全てに字幕付与するということです。ここは地上放送と同列の表記で、その次の括弧書きで、目標年次を弾力的に捉えることとするということがBS放送については付加的に記載されているところです。
 CS放送については、当面はできる限り多くの放送番組に字幕を付与するという表記になっており、こうした点は、地上放送、BS放送、CS放送について、若干現状等を踏まえて書き分けた記述になっています。
 解説放送についてです。BS放送については、2017年度までに対象の放送番組の10%に解説を付与するということ。BSについては、今、申し上げたのは地上放送も同様ですが、目標年次を弾力的に捉えることとするという付記がなされています。また、CS放送については、当面はできる限り多くの放送番組に解説を付与することという表記になっています。
 その次です。CM番組への字幕付与については、指針の規定はどのようになっているのかという点についてです。行政指針については、CM番組を通常の放送番組と区別して取り扱っておりません。一般に放送番組として扱われる場合には、普通にご覧になるドラマ等の一般的な放送番組も含まれますし、CM番組も含まれています。
 ただし、CM番組は一般的には権利処理上の理由等により、字幕を付すことができない放送番組として目標の対象外とされているという実態があります。
 次に8ページ、放送事業者と合意して緊急時には全部字幕をつけるとお互いに合意して実行段階に入っているのかという御質問ですが、この点については、大規模災害等緊急時放送についてはできる限り全てに字幕を付与と、今回御説明した指針上の表記ですが、実はこの部分については、この春から総務省で研究会、検討の場を開いておりまして、放送事業者の方にも御参加いただき、関係者に広く御参画いただいた上での取りまとめを行っています。その取りまとめを踏まえて、まさにこの秋の10月に追加した分です。これは放送事業者も御参加の上、議論を踏まえて作成したものとなっています。
 字幕について、コマーシャルに対して助成があるのかという点ですが、助成制度上、CM番組について除外されてはいません。助成対象に入っていますが、実態としてCMへ付与される字幕の制作について、助成した実績はないという状況です。

佐藤課長 続きまして、電子出版のアクセシビリティに関する総務省の取り組みを御説明いたします。総務省情報通信利用促進課の佐藤です。
 先ほど経済産業省からも説明があったとおり、総務省においては、資料の9ページの2にありますように、電子出版のアクセシビリティの推進に関して調査研究を進め、ガイドラインを策定しました。
 また、電子出版の日本語の拡張仕様である、例えば縦書きとか読み仮名を振るということですが、これらが国際規格にも採用されましたので、今後は電子出版を含め、各分野でこの規格が採用されて利用が促進されるということを期待しております。

岡崎課長 総務省情報流通行政局郵政行政部郵便課の岡崎でございます。
 御質問いただきました心身障害者用の低料第三種郵便物制度について、お答えしたいと思います。御質問の中身は、大きく分けまして1つは現在の低料第三種郵便物の要件を少し緩和していただきたいというものと、これとは異なりまして、全く新しい新たな心身障害者向けの割引料金の制度をつくってみてはいかがかというような御質問をいただいているかと思います。
 お答えしますけれども、まずその前提としまして、現在、心身障害者向けの低料第三種郵便物という制度がどのようになっているかについて、御説明してからお答えしたいと思います。資料の10ページをご覧ください。
 障害者向けの割引料金あるいは無料料金としましては、このほかに第四種の方に点字郵便物が無料になる制度もございますけれども、今回、話題になっております第三種郵便物制度というのは、10ページに書いてありますように、もともと国民文化の普及向上に貢献すると認められる刊行物の郵送料を安くして、購読者の負担軽減を図ることにより、その入手を容易にし、もって社会、文化の発達に資するという趣旨のもとにつくられたものでございまして、第一種郵便物、通常の例えば定型の封筒ですと80円、少し大きなもので50gまでですと120円という料金がありますけれども、これを安くしてございます。
 この第三種郵便物の承認条件というのは、一部法律に、また一部約款に落とされておりますけれども、こちらに書いてありますように、毎年4回以上発行されるものである。発売の終期が予定されていないか、政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、または議論することを目的とし、あまねく発売されるものであることといった要件が課されております。この中の要件は約款に落とされているものもありますけれども、基本的には法律に書いてあります要件の趣旨を深めるという形で定められておるものでございまして、なかなか簡単に外すというわけには、法律を運用するという観点からはいかないようになっております。
 その中で、心身障害者向けの割引としては、2に書いてあります低料第三種郵便物制度というのを昭和51年度からつくっております。心身障害者団体が発行する定期刊行物については、一般の第三種郵便物よりも非常に低廉な料金を適応してございます。
 要件は、通常の第三種郵便物の要件に加えまして、発行団体が心身障害者団体であること、発行する定期刊行物、中身が心身障害者の福祉を図ることを目的とするものということが要件になっております。
 この制度が適用されますと、11ページ、ちょっとびっくりされるのではないかと思いますけれども、通常、定型ですと80円、定型外ですと50gまで120円です。これが低料の第三種郵便物になりますと、月3回以上発行されるようなものですと50gまで8円、通常、月刊とか季刊とかになりますけれども、これですと50gまで15円ということで、6分の1~12分の1、比べる対象によって違いますけれども、ものすごく安い料金が提供されることになっております。
 ただ、御質問がこういうふうに出た理由は、現在、この制度の利用が少し前よりも減ってきております。その理由としましては、12ページに参考をつけておりますけれども、平成16年から平成20年にかけて、これは新聞にも載りまして非常に話題になった事件ですので覚えておられる方も多いかと思います。障害者団体を装った団体が、低料第三種郵便物の料金が非常に安いということに目をつけまして、ものすごく大量の広告郵便物を出した。その結果、非常に安い郵便料金が適用されたという事件がございまして、現実に実際に不適正利用者に加えて、厚生労働省あるいは旧郵便事業株式会社で逮捕者が出ております。
 これを受けまして、会計検査院により郵便会社の方に指摘を受けておりまして、①、②と書いてありますように、きちんと要件が守られるように不適正利用がないように、きちんと手続を遵守してください、そのほかのそもそもの審査の手続をきちんと明確にしてくださいというようなことが指摘されておりまして、現在、郵便会社の方では、これを受けてきちっと運用しているという状況になっています。それを受けて多少利用が減っているという現状があるようです。
 現在の状況ですけれども、もう既に8回を数えておりますけれども、総務省、厚生労働省、日本郵便株式会社、前の郵便事業株式会社ですけれども、障害者団体の方々の4者で、今後この制度についてどのようにしていくかということについて、現在協議を行っております。協議の中で、総務省の方からある一定の提案もさせていただいておるのですけれども、なかなか関係者全員が納得いくという解決には至っておりませんで、現在も鋭意協議中です。現在、近々次回の協議を再開するために調整を図っておるところでございます。
 以上です。

君島室長 引き続き15ページにまいります。厚生労働省でございます。自立支援振興室長の君島でございます。
 大きく分けまして、まず1つ目がコミュニケーションの支援体制の充実、もう一つが情報バリアフリー化の推進に向けた取り組みということでございます。
 まず、1番目のコミュニケーション支援体制の充実。いろいろございますが、大くくりで言えば、国がやっていることというのは、各種の専門団体に委託をして指導者を養成しているということでございます。手話につきましては、手話研修センター、要約筆記者につきましては、障害者情報文化センター、盲聾者の通訳介助につきましては全国盲ろう者協会、それぞれ委託をいたしまして指導者を養成していただいているという状況でございます。
 次に、都道府県、市町村におきましては、これも結果的には都道府県、市町村レベルの専門団体ということになろうかとは思いますが、まず奉仕員の研修、派遣、これらにつきましては、都道府県、市町村を中心に実施していただいているということでございます。
 16ページの④ですが、このように実施してきた事業でございますが、来年の4月、御案内のとおり自立支援法が障害者総合支援法になることによりまして、このコミュニケーション支援体制を強化するということで、基本的なスキームは今私が説明したように変えてはございませんが、例えば市町村においての養成については、今までは任意でしたが、必須事業とする。あるいは手話通訳者、要約筆記者等々の養成、これは都道府県レベルでございますが、これについても必須の事業とする。あるいは通訳者の派遣、これは先ほど市町村の事業と申しましたが、市町村だけでは市町村圏域をまたがったりする場合の調整機能が不備だということから、都道府県において調整機能を必須事業ということで、基本的なスキームは変えていませんが、それぞれテコ入れを図るということとしているところでございます。
 大きな枠組みの情報バリアフリー化でございますが、1つは点字図書館を中心とする視覚障害者向けの録音図書などの製作、貸出。もう一つは、聴覚障害者情報提供施設というのがありまして、字幕、手話入りの録音物の製作、貸出というものをやっていただいております。聴覚情報提供施設が全県設置に至っていないということが大きな課題として私どもは認識しておるところでございます。
 視覚障害者の情報通信技術ということで、自宅にいながら全国の点字図書館の蔵書、図書、そういうものの点字の情報を受け取ることができる図書情報ネットワーク(サピエ)を現在、日本点字図書館に対しまして補助して運営していただいており、かなりな利用率を上げているということでございます。
 17ページ、日本盲人会連合というところに対しまして補助している事業といたしましては、日々の新聞、ニュース、こういうものを点字または音声のデータによりインターネット配信しております。
 障害者に対してパソコンなど周辺機器、そういうものを指導するボランティア、そういうパソコンボランティアの養成派遣を都道府県事業で行っております。ITサポートにつきましても、都道府県レベルで実施しております。
 機器に関しましては、日常生活用具給付等事業というのがございまして、これも市町村において実施しておるところですが、点字のディスプレイ、視覚障害者用の拡大読書器、パソコン等々の物品を給付しているというのが現状でございます。
 以上でございます。

氏田座長 ありがとうございます。
 第1回のときの門川委員から、地域で暮らすために必要なケアホーム、グループホーム、公営、民間のことの御質問と、石野委員の方から聴覚障害者の場合の住宅改修の助成金の制度についてということで、本日、口頭で御説明があると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。

君島室長 引き続き私の方から説明しますが、まず石野委員から聞かれました聴覚障害者に対します住宅改修。聴覚障害者は対象外なのではないかということでございますが、いわゆる住宅改修は日常生活用具給付等事業、先ほど最後に説明した事業で位置づけられておりまして、市町村の判断で実施できるということにしております。
 特に聴覚障害者にとりましては、火災報知機や光で知らせるお知らせランプというようなものがまずは必要かなと思いますが、これは既に日常生活用具給付事業として給付することが可能になっておりますので、そちらを利用していただければということでございます。

氏田座長 もう一つ、ケアホーム、グループホーム、公営、民間の借り上げというご質問についてはいかがですか?

君島室長 前回のときに説明済みだと聞いておりますので。

氏田座長 今日、門川委員がお休みなのですけれども、よろしいですか。

君島室長 大丈夫だと思います。

氏田座長 分かりました。ありがとうございました。
 どうもありがとうございます。それでは、事前に御提出いただいている委員の御意見、資料2の19ページからになります。最初の議論に入りたいと思いますが、ただいまの各省庁の説明についてお聞きしたいという点があれば、こちらにつきましても議論の中で御発言いただきたいと思います。
 本日、委員の皆様より御提出いただきました御意見について、本来ですと、ここで後藤副座長が事前に取りまとめていただいたものの発表があるのですけれども、御到着がおくれておりますので私から簡単に御紹介させていただき、その後、議論に入っていただければと思っております。
 本日の情報のバリアフリー化についてにかかわる論点③についてなのですが、5つに分類しています。1番目が機器・システム関係、2番目が放送関係、3番目がコミュニケーション支援、4番目に国などの情報提供、5番目に第三種郵便、そしてその他ということで整理させていただいているのですけれども、5番目の第三種郵便と合わせたその他なのですが、体制。例えば組織や法制度の問題について、多くの委員の方から意見が出されています。直接該当する項目が今回ございませんので、その他として整理させていただきました。
 体制の整備が障害者基本計画になじむのか、吟味が必要と思われる部分もございますけれども、施策を進めるために、体制の整備が鍵を握るとも思われますので、大切な論点だと思うことから、最後のところで少し皆さんに御意見いただいておりますので、議論していただければと思っております。
 5つの分類別の意見は、1番の機器・システム関係というところでは、個別の機器開発について、開発や評価体制の整備、普及の制度、給付や調達の充実という御意見を頂戴しています。今、御説明のありました標準化についても御意見を頂戴いたしております。
 2番の放送関係というところでは、個別の対応ということで、副音声などの御意見であるとか、盲聾対応についての放送の御意見。2番の横断的、網羅的な対応ということで、今、御説明いただいた全地上波放送の字幕の問題とかBSの問題とかの御意見を頂戴しています。
 3つ目になります。コミュニケーション支援というところでは、コミュニケーション支援の提供の拡充。網羅的、根本的な対応というところで御意見を多くの委員からいただいております。
 4つ目になります。国などの情報提供ということでは、急がれるニーズ。災害とか緊急時情報の提供というところでの御意見と、それを実現するための方策ということで御意見を頂戴しています。
 5つ目になります第三種郵便、郵便の制度は必要であるという緩和策あるいは新設ということで御意見を頂戴しています。
 その後、その他ということで体制について5人の委員の方から御意見をいただいておりますので、ここについても御議論いただければと思っています。
 残りの時間が60分ぐらいなのですけれども、最初に、今、御説明申し上げた中の1の1番、2番、つまり、機器・システム関係、放送関係、その後、次に、コミュニケーション支援、国等の情報提供、最後に5番の第三種郵便と体制についてということで、この3ブロックぐらいに分けて御意見を頂戴したいと思いますが、そのような進め方でよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、どうぞ御意見をお願いいたしたいと思います。
 どうぞ。

竹下委員 今の各省庁からの御説明に対する質問等はどこでしたらいいのでしょうか。

氏田座長 議論の中で御一緒にしていただいて、その都度答えていただきたいと思っております。

竹下委員 竹下ですけれども、それはどれに入るかよくわからない。例えば文科省の御説明に対する質問はどれに入るのですか。

氏田座長 では1番に入れてということなのですが、いかがでしょうか。
 では、河村専門委員、石川委員、竹下委員、石野委員、新谷委員の順番でお願いいたします。

河村専門委員 河村です。ありがとうございます。
 まず質問を出しますので、各省庁の該当する方は後で答えていただきたいと思います。
 1ページの教科書のアクセシビリティにかかわることで、1ページ、2ページを通して次のように質問させていただきます。
 2ページの3のところに教科用特定図書等普及推進事業費とあります。これは約1億2,000万あるいは1億900万という金額がそれぞれの年度ということで出ているのですが、質問は、現在これを活用して教科書が読めるようになっている子どもは何人いるのかということと、普通教室にいる、実際には教科書を読むことができないと思われている子どもというのがさまざまな推計がありまして、5%ぐらいから、少ない方でも2%ぐらいと言っていますし、私の経験でも40人学級でしたら1人か2人はいるのだろうなという経験を持っておりますが、では残っている今配られている普通の教科書が読めない子どもは何人いると文科省は推定されていて、その子どもたちには読める教科書をどのように提供する予定をされているのか。
 それにかかわって、1番の民間支援技術を活用した特別支援教育研究事業、2番の学びのイノベーション事業、4番の研究事業において、これまでに何が明らかになって、先ほど私が申し上げた読みの障害等で普通教室にいて、まだ教科書が読めないという子どもたちについて、何がわかって、あと何を明らかにするための研究が行われているのか。その部分が、どうも長年こういうことをやっていますというだけの感じなので、もう少し御説明いただきたい。
 特にLD、ディスレクシア等の学習障害の子どもたちが、先ほど拡大教科書が役に立つのだと、効果があるということをおっしゃっていたのですが、拡大教科書で十分なのかということについての質問です。

氏田座長 御質問については一つ一つお答えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

三輪課長補佐 文部科学省の三輪でございます。
 すみません、お答えをしたいのですが、データに関するお答えがまずございまして、お時間をいただいてもよろしいでしょうか。

氏田座長 全てよろしいでしょうか。了解いたしました。
 では、石川委員、お願いいたします。

石川委員 石川です。
 標準化について、まずお伺いしたいと思います。また意見書の中でそれについて述べております。
 経済産業省の鈴木室長がおっしゃったように、JISX8341を策定されました。現場で策定に尽力された方々を存じ上げており、ご尽力に改めて敬意を表したいと思います。また、それを日本がISOなどに提案して国際標準にしたことも高く評価したいと思います。
 問題はその先なのですが、これは目的ではなくて手段であるはずなのです。何のための手段かというと、アクセシビリティを進めていくための手段、つまり、公共調達にこれは使えるはずだという話で前回の基本計画ではそのように書かれていたと思いますけれども、実際には総務省の情報通信利用促進課の方で進められたみんなの公共サイトのように、積極的に施策を打って行ったものについては成果が挙がったと思いますけれども、ただ単にJISにしたから、あるいは国際標準にしたからといって公共調達においてそれが進んだという形跡はないと思うのですけれども、これについての経産省の御認識を伺いたいというのが1点です。
 私が意見書の中で書いたのは、WTOの政府調達協定に日本も参加していて、国際標準に準拠した機器やサービス、システムを調達しなければならないとなっていて、ちょうどつい最近、ワールド・ワイド・ウエブ・コンソーシアムが策定したウエブについてのアクセシビリティガイドラインが国際標準になりました。
 したがって、一定規模の入札案件に関しては、必ずこれに準拠しなければいけないはずなのですが、その理解が正しいかどうか、これについてもお伺いしたいと思います。

氏田座長 鈴木室長、お願いできますか。

鈴木室長 今の御質問につきまして、私、経済産業省の鈴木の方からお答えいたします。
 まず、JIS及び国際規格、両方とも制定されておりまして、私どもの方としましては、そのJISを普及させていきたい、あるいは国際標準を普及させていきたいということで、規格につきましては私どもの日本工業標準調査会の方でホームページを設けておりまして、そのホームページ上で閲覧をできるというような形で進めているところでございます。
 また、各地域にございます私どもの経済産業局であったり沖縄総合事務局におきましても、事務所内で閲覧を可能という形でさせていただいています。
 有料となってしまうのでございますが、一般財団法人日本規格協会におきまして、JIS規格の冊子も発行されておりまして、冊子として入手いただくということも可能としているところでございます。
 ということで、私どもの方としては、普及に努めるというようなことで今業務を遂行しているところでございます。御質問にありました公共調達の件につきましては、私どもの方の業務の範疇から外れてしまいますものですから、私の方からの回答は致しかねるということでございます。

氏田座長 お答えいただける方はいらっしゃいますか。公共調達の件でお答えいただけるのはどなたになりますか。

石川委員 石川です。前回、私は公共調達について議論すべきだと申し上げて、今日お答えいただきたいとお願いしたつもりでしたが、そうしましたら、文書で経済産業省の幹事を通して回答いただくということは可能ですか

氏田座長 いかがでしょうか。

石川委員 政府調達協定についても教えていただきたいのですが、どこが所管しているのかよくわからないということのようなので、あとで事務局の方で確認してもらいます。

氏田座長 では、後ほど事務局と相談しまして、回答をお願いしたいと思います。
 続きまして、竹下委員、お願いいたします。

竹下委員 竹下です。
 2点だけ。まず文科省、不勉強で申しわけないのですけれども、拡大教科書の支援はわかったのですが、点字教科書への支援がどうなっているかと、この前もお聞きして答えがないのですけれども、高等学校における弱視も含めて視覚障害者への支援がどうなっているかについての報告をお願いします。
 2点目、経産省ですけれども、機器のことは私は不勉強なのかもしれませんが、JIS規格のことがどんどん説明があるのですけれども、最近ほぼ主流になりかけているパネルタッチの機器に対するアクセシビリティはどうなっているのかについての説明があればお願いします。
 以上です。

氏田座長 では、文科省からお願いいたします。

三輪課長補佐 文部科学省でございます。
 2点お尋ねがございました。まず、点字教科書に関する支援状況でございますが、これはもし不正確でしたら後で訂正いたしますが、いわゆる教科書バリアフリー法によりまして、点字教科書の給与に関しましても無償給与の対象となっております。実績は後ほど数字ですので確認させていただきます。高等学校における支援状況もお時間いただいてよろしいでしょうか。確認いたしますので。

氏田座長 続きまして、新谷委員、お願いいたします。

新谷委員 新谷です。

氏田座長 パネルタッチのことを抜かしましたね。失礼いたしました。ちょっとお待ちください。新谷さん、すみませんでした。文科省の次に、経済産業省の方からパネルタッチについてよろしくお願いいたします。

鈴木室長 パネルタッチの標準化の件でございますか。

竹下委員 竹下ですけれども、標準化という言葉そのものは理解できておらぬのですが、要するに視覚障害者はパネルタッチの通信機器に限りませんけれども、アクセスというのは極めて困難ないしは不可能な場合が多いわけですが、そういうものについては何ら検討されていないのでしょうかという質問です。

石川委員 最近タブレット端末とかスマートフォンでいわゆるパネルをタッチして操作するような機器というのが出ておりますが、iOSやAndroidを採用した製品では、音声での読み上げ機能を持ったタブレット端末とかスマートフォンが開発されています。なぜそういったものが出ているかということが実は大事で、それはアメリカ障害者法やリハビリテーション法があるがゆえにそうなっているといえます。またAmazonのKindleという電子書籍リーダーがありますが、これは音声での読み上げ機能を内蔵しています。つまり、電子書籍を買えばすぐに音声で読める。視覚障害者であろうが高齢者であろうが、あるいは運転中のドライバーであろうが読める、聞ける。ですが、日本でも最近Kindle端末が発売されKindleストアがオープンしましたが、音声読み上げ機能はありません。なぜないかというと、それを進めていくような法的な基盤が日本にはないからです。これが一番の問題だと思います。
 たまたまグローバリゼーションによってアップルのiOSやGoogleのAndroidなどを搭載したスマートフォンやタブレット端末が日本でも使われているので、アメリカにおける努力の言わば副産物として日本でもたまたま利用できているけれども、そうでないものについては意識的に対応しないとできないということだと思います。

氏田座長 アメリカが進んでいるということですか。

石川委員 アメリカ障害者法とかリハビリテーション法という障害者の権利を守るための法律を整備しているがゆえにそれができているので、日本でもそのようなものが必要なのではないかという議論になるのではないかと思います。

氏田座長 竹下先生、補足がございますか?

竹下委員 竹下です。
 石川君が言ってくれたので、あと補足することはありません。一言で私の理解の限りで言うと、パネルタッチの機器に対して視覚障害者が使えるようにするための施策を国としてやらないと、メーカーがそれに対応していくことが現実には進まないのではないかと思ったからの質問なのですが、石川先生が言ってくれたので、私の方は分かりました。分かりましたというのは、経産省の方で少し御検討いただきたいということです。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 そうしましたら、すみません、新谷さんを先にさせていただいて、石野委員ということでお願いします。

新谷委員 新谷です。
 意見は別に後で言わせていただきたいのですけれども、最初、質問事項から。6ページの先ほど石川委員からも発言がございましたけれども、JISの問題なのですけれども、JISというのはこの場合のウエブコンテンツに関するJIS規格というのはよくわからないのですけれども、調達仕様書とか提案する中にこういうJIS規格に該当するようにというスペックとして出して、そういうスペックに準拠しますとか準拠できませんとか書いて、それで調達について採用が決まっていくかという判断をされるという基準ですね。別にそれが義務づけられているのではなくて、あくまでも基準であって、ISOとか認証を受けたから若干競争入札上優位になるという理解でよろしいのですか。
 それで問題は、ここに書いてあります例えばJISX8341-3ですと、音声つき動画への字幕付与について、このスペックの中は私はわからないのでどういうスペックになったか、後で文書で教えていただきたいと思います。現在、変な話ですけれども、政府、各省庁の動画チャンネルはYouTubeを使って動画配信されているのが非常に多いですね。YouTubeには確かに日本語字幕機能があるわけですけれども、これはGoogleが開発した、もともとは文章を字幕化するような機能ではなくて、単語検索を中心とした音声認識機能なわけです。実際に見ていただいたらわかると思いますけれども、YouTubeにそのまま自動変換機能をつけて見ますと、非常に認識率が悪いというか、とてつもない字幕が出るわけです。
 政府が出している、省庁が出している公共的な動画ニュースがなぜああいう認識の悪い字幕を放置されているのかがわからないのです。政府は少なくとも、みんなの公共サイト選択モデルでこういうふうにホームページを運用しないといけないというガイドラインを推定されているわけです。あのガイドラインから見てとんでもない字幕ですね。今、唯一しっかりしているのは、政府インターネットテレビの字幕は確かに特別な字幕をつけてしっかりしていますけれども、それがYouTube利用というのを省庁が簡単にやっていいのか。そこの品質維持をどうされているのかというのを、JISでせっかく規格をつくられたら、政府調達物そのものではなくて政府提供物なので、当然JISの規格に準拠していないといけないと思うのですけれども、その辺のお考えはいかがか教えていただきたいと思います。

佐藤課長 総務省の佐藤です。
 各府省でYouTubeの自動キャプション機能を使っていることに関して、私どもも調べてみたところ、YouTubeの自動キャプション機能は、私が話をしている動画が、YouTubeにアップロードされると、そのまま話し言葉が字幕で出るというサービスですが、現在、ベーター版で開発途上にあるということです。
 国や地方公共団体がこういったツールを積極的に活用するか否か、どのように情報発信をするかについては、各団体の判断に委ねられる部分です。ただ、御指摘のあったように、音声認識技術の精度をよく理解した上で、情報提供者が正しい文字情報をテキストで合わせてきちんと提供するなど、そういったウェブアクセシビリティへの配慮というのは必要であると思っております。
 みんなの公共サイト運用モデルにおいては、積極的な情報発信、できるだけ情報を早く伝えるといったことですが、積極的な情報発信とウェブアクセシビリティの対応を両立させることを呼びかけております。ウェブアクセシビリティに配慮するあまり情報発信をしないということになっては元も子もないので、その両立ということを呼びかけており、それぞれの情報提供者、国や地方公共団体において判断をしていただきたいものと考えております。
 以上です。

氏田座長 鈴木室長、どうぞ。

鈴木室長 経済産業省の鈴木でございます。
 先ほどのJISが義務ではないかというような御質問につきまして、JISにつきましては一応規格は用意させていただくということで、使用を義務づけてはいないというようなことでございます。

氏田座長 石川委員の方から御意見ですね。

石川委員 JISについては、工業標準化法で努力義務になっていると思いますけれども、申し上げたのは、国際標準にしたことによって、また日本がWTOの政府調達協定に参加したことによって状況は随分変わったのではないでしょうかという話をしたかったわけです。この場合、今度は訴訟リスクを伴う義務になる。一定規模の入札案件に関しては、国際標準を満たすような機器とかサービスとかを調達しなければいけないということになったので、いわゆるJISレベルの話で公共調達は進まなかったけれども、今度は違うのではないかということを申し上げたいのと、だからこそ日本は国際標準の中にアクセシビリティにかかわる基準を積極的に提案していって、先手を打って日本の産業界がそれに対応することによって、グローバル戦略としてもそれは優位に立てるのではないか。つまり、ウィン・ウィンになるのではないかという意味合いで申し上げた次第です。

氏田座長 新谷委員、どうぞ。

新谷委員 義務づけではないというのはよく理解しているのですけれども、質問したのは、省庁の動画ニュースがYouTubeを使うというのは1つの判断なので、YouTubeのスペックをチェックされて、これは確かに情報発信として十分だという御判断をされてYouTubeを使われているのかどうかということをお聞きしたいのです。
 逆に私の質問で、全部YouTubeの日本語機能を外してしまうという逆のことをやられたらとんでもないのですけれども、政府のインターネットテレビは、きちっとした品質のものを持っておられるわけですから、ああいう品質のものをほかの省庁関係の動画ニュースにどうして適用できないのかということをお聞きしています。

氏田座長 お願いします。

佐藤課長 総務省の佐藤でございます。
 私どもは、各省庁がそれぞれ判断されていることを申し上げる立場にはないのですが、政府の情報発信というのはそれぞれの省庁に広報担当部門がありますので、そちらへは、いただいた御意見がきちんと伝わるような形で連絡をしたいと思います。

氏田座長 よろしいですか。よろしくお願いいたします。
 お待たせしました。石野委員、お願いいたします。

石野委員 石野です。
 2つ質問をさせていただきます。
 1つは、素朴な質問なのですが、資料の7ページにありますコマーシャル字幕についてお聞きします。私の理解では、権利処理上の理由等によりと書いてありますが、字幕を付すことができない放送番組は、どういったものなのかを教えていただきたいと思います。
 2つ目ですが、字幕放送に対しては助成制度があると聞いております。大手テレビ局に対してだけではなく、ローカル局など小さな地元の局に対しても助成があるのか、もしあるようであれば、どのような実績があるのかということでお伺いさせてください。
 意見は後でまた述べさせていただきます。

氏田座長 ありがとうございます。
 では、総務省の方からお願いいたします。

長塩課長 1つ目の御質問です。CM番組についてのお尋ねですが、権利処理上といいますのは、CM番組は基本的にはスポンサーの企業の方々等がつくり、それを放送事業者が放送番組として放送するので、まずもってスポンサーの方々の了解をとる必要があります。
 そういうスポンサーの方々が、ではこれはぜひ字幕をつけようと言っていただける例がまだまだ少なくて、一部のスポンサーの方々からトライアル、実証してみようという形での実施の例が幾つかあるというところです。
 ただ、CM番組については少し補足しますと、普通の番組とは違うシステム、技術的な仕組みをとっており、普通の番組に現在字幕が付されているのと同様な水準で字幕を付与するようになるためには、もう少し研究が必要だと伺っています。その研究、検討を現在スポンサーの方々と一緒になって、放送事業者の方々が進めているところと聞いています。
 2点目です。冒頭御説明した字幕番組の助成については、キー局、ローカル局を問わず適用があります。したがいまして、ローカル局の方々からも、申請があれば実際に支援しているところです。ただ、一般に地方あるいは都市部を問わずご覧になっている番組については、キー局がつくった番組をそのまま配信している例があります。東京以外のところでご覧になる番組も字幕がついている例は多々ありますが、それはローカル局が放送してはいますが、実質的に制作段階はキー局でつくっているものが多くありますので、そういった番組については、結果としてキー局の方々が字幕を付与し、助成の申請をしているという実態です。
 以上でございます。

氏田座長 ありがとうございました。
 石野委員、どうぞ。

石野委員 石野です。
 私としては、そういう状況のお話を聞いているのではなくて、具体的な実績についてお伺いしています。コマーシャルに字幕をつけるというのは、1社だけではないかと思うのですが、ほかは余り聞いてはいないのです。
 2番目について、ローカル局からも申請があれば助成をするというお話で理屈はわかるのですが、実際の実績というのをお伺いしたいと思って質問しています。

長塩課長 お答えいたします。CMの字幕付与につきまして、ここ2年程の間にトライアルという形で実験的な取り組みが行われてきています。これはデータを整理してまた改めてお時間をいただき、お示しさせていただきたいと思います。
 またローカル番組についての実績につきましても、数字を確認させていただいて、後ほど回答させていただきたいと思います。

氏田座長 石野委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次の論点もありますので、河村専門委員、石川委員、中野専門委員。恐縮です。時間を少し守っていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

河村専門委員 河村です。
 簡単な質問なので、数字で答えていただけるといいのですが、3ページの経済産業省の御説明のところに、いわゆるコンテンツ緊急電子化事業がアクセシビリティの向上が期待される事業だと書いてあります。もう一つ、9ページのところに電子出版のアクセシビリティの推進と書いてありまして、ガイドラインを策定したと書いてございます。
 したがいまして、このコンテンツ緊急電子化事業については、経産省と総務省、文部科学省の3省で行った事業の成果としての電子出版のアクセシビリティの確保のためのガイドライン、策定されたガイドラインを使った成果があらわれているのではないかと思うのですが、具体的に6万冊の緊急電子化事業の中でもう2年目に入っているわけですか。それで何冊が読み上げ可能なアクセシブルなものになっているのか。
 拡大についても、たしか事業仕分けのときに、PDFよりはよりよいものをつくると回答されていたと思いますが、よりよいものというと拡大に関してはリフローと言いまして、字を大きくしても回り込んで枠からはみ出ない、自動的に字だけが大きくなるという機能だと思います。
 リフローあるいは読み上げ可能なものが、このコンテンツ緊急電子化事業で何タイトル既にできているか。10億円事業の中で何タイトルできているのか。それがアクセシビリティの向上ができたかできないかという大きな指標になると思いますので、それについて具体的な数字が分かりましたらお願いしたいと思います。

伊吹課長 質問は2点あったかと思いますけれども、まず1点目の総務省さんがガイドラインをつくられているものにどれぐらい緊急化デジタル事業のものができているかということなのですが、実際に障害者の方がデジタル化されたものを読み上げ等で利用するには、まず前提としてデジタル化されていることが必要です。
 2点目として、例えば読み上げ機能が付加されるとか、字が大きくされるとか、そういうツーステップが必要になるわけです。緊急化デジタル事業というのは、そのワンストップ目のデジタル化をするというところまでの事業ですので、ツーステップ目について、今、手元に数字はございません。
 それにも関連しますが、2段階目の実際にデジタル化したものを読み上げ機能等でやっていくときに、御指摘があったように、イメージとしてはPDFみたいな、要は形として認識をする、業界の人たちはよくフィックスと言っていますけれども、フィックスという形と完全にデータとして見られるリフローというものがあります。今、6万冊を目標にしてこの事業を遂行すると言っていますけれども、11月20日の段階で、今、大体1万3,000件ぐらいのタイトル申請が来ていまして、その中でフィックスで出ているものは4,700ぐらい、リフローの形で出ているものが今3,100ぐらい。そういういわゆる読むというか、文芸とかとは別にコミックで出ているものは大体5,500件ぐらいという構成になっていますので、今1万3,000件ぐらいのうちの3,000件ですので、20~30%ぐらいのものがリフローで申請が来ているという状況です。
 今、1万3,000件で目標としては6万件ですので、あと半年の間にこれがどういうふうに推移するかというのは注意深く見ていきたいと思います。

氏田座長 お願いいたします。

中野専門委員 慶応大学の中野です。
 文部科学省にお伺いします。学びのイノベーションを実施しておられる一方、教育の現場では、自由にネットを利用できない。障害者対応のさまざまなソフトウェアを学校のPC等にインストールできないという現状が教育委員会で実施されていることをどの程度把握されているかと、それに対して今後どのような対応を考えておられるかという御説明をお願いしたいと思います。

氏田座長 中野専門委員のご意見は3番に入りましたが、このまま進めます。

三輪課長補佐 文部科学省の三輪でございます。
 回答の機会をいただきましたが、今お尋ねの点については、回答を確認しましてからお返ししたいと思います。よろしくお願いします。

氏田座長 ありがとうございます。活発なご議論をいただき、少し時間が押しているのですが、まず1番のところで石川委員がもう一つ追加のご意見があるということなので、石川委員、お願いします。

石川委員 河村専門委員の先ほどの質問に関してのお答えなのですけれども、たとえリフロー型のコンテンツをつくったとしても、TTSを搭載した端末等利用者まで届く流れを確保しない限り、利用できないわけです。それについての見通しは立っていません。
 2段階とおっしゃったのですが、それは違うと思います。最初に画像にして、その後、次の段階でテキストにするということは、甚だ効率が悪い。OCRを使って画像をテキストにするというのは非常に非合理的な方法です。最初から出版社からテキスト情報を含んだデータを調達してリフロー型で作っておかないとできないわけなのですけれども、緊急デジタル化事業を受けている企業は質より量だとおっしゃっているし、また今後官民ファンドから大規模な投資が予定されていると発表されていて、そこでも100万冊、質より量だと、画像でいいからとにかく量をふやしたいのだとおっしゃっています。官民ファンドと言いながらも、ほとんどが公的なファンドで、公的な資金なわけです。
 そのときに、誰でも使えるような電子書籍のコンテンツを非競争的な方法でつくっていくのだというのであれば正当性があるけれども、とにかく質より量で画像なのだと言われると、そもそも3省の懇談会から始まった議論の流れとどういうふうに整合性がとれているのかということについて、お考えをお伺いしたいと思います。
 経産省、総務省にお願いできればと思います。

氏田座長 お願いします。

伊吹課長 では、お答えさせていただきます。まず、デジタル緊急支援化事業についてですが、1点目、先ほど申し上げた数字の中で、フィックスというものが非常に数としては多いということなのですが、これは昔のもの、古いものというのは必ずしもテキストデータが出版社の方にないケースがありますので、そういうものの申請はどうしてもフィックスになるということであります。
 一方、新しいものは、今、石川先生の御指摘にあったように、データというものがありますので、それを中心に出版社の方は申請をしてきているというのが今の実態でございます。
 出版デジタル機構だと思いますけれども、官民ファンドから出資をされているところについて御指摘がありました。これについてどういうふうに考えるかというのは、出資元である産業革新機構、実際に経営している出版デジタル機構というところは一義的にはまず考えなければいけないわけですけれども、3省懇の流れの中からどういうふうにして考えていくかということですが、出版事業というのは基本的には1つのビジネスとして各出版社はされておりまして、この中であり体に言うと、デジタル書籍というものがビジネスとしてきちんと成立しないと、いろんなコストというのは出していけないわけです。
 今、デジタル書籍というのは、市場としてきちんともうかる状態になる前の黎明期の段階でして、恐らく出版社がリフローもやっていますし、フィックスも例えば古い電子ものとかそういうものもやりたいと品ぞろえを多くしたいと考えているのが、まず紙のビジネスは紙のビジネスとして成立するとして、デジタルというビジネスをきちんと成立させる。マーケットを大きくしていく中でいろんなことに対応していきたいというのが恐らく今出版社が考えていることだと思いますし、出版デジタル機構というのもそういう考え方が恐らく経営陣の中には出版社の人、実際に作業する印刷会社の人、お金を出している産業革新機構の人、そういう人たちが取締役で入っていますので、そういうのが基本的な考え方だと思います。
 今、御指摘があったことは、彼らに対しても障害者委員会から指摘されたということはしっかり伝えたいと思います。

氏田座長 3番のコミュニケーション支援のことで先ほど御意見、御質問をいただいていますので、国などの情報提供についても一緒に御意見、御質問をいただきたいと思います。
 最後のところで第三種郵便と体制というところで最後の時間で御意見、御質問、両方今回は混ざっておりますので、どちらもどうぞ御意見をいただきたいと思います。
 では、3番のコミュニケーション支援、国などの情報提供ということで、新谷委員、御意見がある方はお手を挙げてください。
 竹下委員、中野専門委員、光増専門委員、後藤副座長の順番でお願いいたします。
 では、新谷委員、お願いいたします。

新谷委員 まだまだ積み残している話がいっぱいある。

氏田座長 そうなのです。よくわかっております。1番、2番のところが。

新谷委員 質問をしたのですけれども、第1小委員会の第2回目のときに、障害者が文化的活動に参加したりする環境整備のところで、映画字幕、邦画の字幕とDVD字幕のことを質問したのですけれども、あのときは文科省の方しかおられなくて経済産業省の方はおられなかったので質問が保留になっているのですけれども、御存じだと思うのですが、メディアアクセスサポートセンターの昨年度の実績調査では、劇場公開された方がアニメが441本中字幕つきが60本、公開されたDVDは8,669本中269本しか字幕がついていないという報告が挙がっているのですけれども、これについて経済産業省の方でこの状態は認識されて、助成策の強化とかそういうことを図っておられるのかというのが質問の1点目です。
 2点目は意見なのですけれども、意見の中に書きましたけれども、これはどこの管轄になるのかわかりませんが、音声自動認識ソフトの開発を国レベルで本格的に取り組んでくださいという意見が非常に強くあります。その理由は、音声認識ソフトが先ほどYouTubeの話をしましたけれども、あれよりももっと汎用性の高い認識度の高い音声認識ソフトが開発されますと、その利用範囲が放送字幕にとどまらないで個人の会話、携帯電話に内蔵してマンツーマンでの会話にも使えますし、緊急時の放送の対応にも使えますし、非常に利用範囲が広いのです。
 厚生労働省の特別予算で2年間会話ソフトの開発をやったわけですけれども、一定程度の成果は上げているのですが、本当に本格的なものの開発になっていないので、非常に限定されたものしか使われていないということで、これはこれからの字幕機能をつけるという音声情報の文字化のキーになる技術だと思いますので、その開発について、これは意見ですけれども、ぜひ障害者基本計画の中に書き込んでいただきたいと思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。時間の制約があり大変恐縮でございます。ここから先は、やりとりをぜひしたいので、意見を頂戴したいと思います。申しわけないです。
 新谷さんの御質問については、簡潔にお答えをお願い出来ますか?

伊吹課長 御指摘があったように、去年の劇場公開されている映画というのは441本中60本が字幕つきで上映されているということは認識しています。これは中身を見ていくと、1つはいわゆる映画製作者連盟といいまして、東宝さんとか東映さんとか松竹さんとか角川さんとか、こういう大手の人たちがどれぐらい対応しているかという数字を見てみますと、そういう大手の作品というのは去年75本公開されています。そのうち51本が彼らの字幕をつけている本数になって、大体比率としては68%ぐらいです。
 これで十分かという議論はありますけれども、実は2010年、彼らがどういう対応をとっていたかというのも調べてみたのですが、2010年は対応率が大体58%ぐらいということになっていますので、少し対応はよくなってきているということかと思います。
 あと中身を見ると、傾向としてはアニメ作品というのは、どうしてもお子さんが見るものなので、字幕をつけてごらんになるということは余りなくて、対応しているのは大人向けの普通の実写、実際に人間が出ている作品については高い比率の対応率になっています。それに対してどういう支援をしていくかということで、今、製作費補助についての仕組みは経産省では持っておりません。今日、御指摘がありましたので、放送番組と同じに議論する必要は必ずしもないかもしれませんけれども、我々がどう考えるかということと、業界の方がどういうことを考えるかということの両方を示し合わせて議論を進めていきたいと思います。

氏田座長 ありがとうございました。
 この後、残り時間が少なくなっておりますので、先ほど申し上げましたように、御意見について述べていただきたいと思います。
 竹下委員からお願いいたします。

竹下委員 竹下です。
 簡潔に。コミュニケーション支援事業についてです。結論的には、コミュニケーション支援事業において、視覚障害者のための代筆代読サービスを明確に位置づけて、これの周知徹底を図っていただきたいてということが結論です。
 理由というよりも中身ですけれども、先ほどの君島室長の報告にもありましたように、この支援事業で実施されているのは聴覚障害者及び盲聾障害者に対してです。現実には、要綱の中では「等」という規定の中に視覚障害者が含まれているというのはこれまでの厚労省の説明でした。しかし、「等」ではいけないだろうと、それは視覚障害者に対して失礼だと申し上げたことがあるのですが、その現にあらわれが今日の報告にあらわれているわけです。落ちている。
 したがって、視覚障害者については、今回せっかく障害者自立支援法が総合支援法になってコミュニケーション支援事業が必置事業になりましたので、その際にこの部分についてのきちっとした位置づけをしながら、この基本計画の中で位置づけることが必要だろうと思っていますので、質問プラス意見として申し上げます。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 河村専門委員、中野専門委員、どうぞ。

河村専門委員 河村です。
 コミュニケーションの支援に関してもかかわることなのですが、やはり全体の社会的な基盤整備というものをそれぞれの障害、不便さに対するその場の対応ということだけに終始しないで済むように、社会全体がどういうふうに基盤を整理していくのかということが重要だと思います。これは誰も異論がないことだと思うのですが、実はそれが規格、いろんな工業生産物を規格として規定していって、少しでもよくアクセシブルなものになっていくとするための省庁の役割に大きく期待したい。
 それであるがゆえに、先ほど先送りをするという、大阪まで行くのだったら乗っていきませんか、静岡までしかいかない列車ばかりだということだと、それは実態として方便に使ったということになるわけですから、これまで電子書籍に関しては1999年ぐらいの高齢者、障害者に優しい電子書籍と言ってかなりの助成金をつぎ込んで、その後、いつの間にか全くアクセシビリティを放置して、また今回アクセシビリティを確保するという事業があったにもかかわらず、その後、まだアクセシブルなものが本当に手にできているのかどうか。
 そういうものとは全然別なところでEPUBという国際標準の流れの中で、やっとアクセシビリティの展望が開けている。これを日本でのこれまでの3省懇以後のあり方を一度検証していただきたい。そうしないと、また繰り返すということを非常に強く感じます。
 もう一つは、問題を解決するために共通で使えるものは障害分野別にこれはどの障害分野のものということではなくて、かなり障害を越えて共通に使える解決策というものが技術の進歩の中で出てきていますので、それをまとめ上げていって、さらにマルチモダリティという障害がある人もない人もいろんな状況で使える便利さ、それを新しい産業の超高齢化社会の中でのばねにしていくという大きな政策、そこに障害のある人たちが参加していくという枠組みが絶対必要だと思います。
 以上です。

中野専門委員 もう3まで入れてもよろしいでしょうか。まだ3はだめですか。

氏田座長 はい。どうぞ。

中野専門委員 もう全部いいですね。簡潔に言うと、各省庁が持っておられる個々の制度を見るとすばらしい内容のものがあるのですが、現場で機能していないということが最大の問題点だと思います。例えば通訳に関して言うと、生活の中では使われているのですが、学校現場に行ったときに使えないという問題があって、これは省庁間の壁をぜひ撤廃していただかないと困るだろうと思います。
 先ほど学校でのLANのお話をさせていただいたのですが、障害のある教員が教員を途中で辞めざるを得ない事態が多々起こっています。これは例えば学校内で視覚障害のある教員がスクリーンリーダーを入れることさえできさえすれば継続できるはずのところが、教育委員会の規定で入れられないというようなことがあるので、業務が遂行できないというような問題ができています。
 JISのいろんな規格があるのですが、この規格が職場に導入されていなければ当然ながら使えないという問題があります。ぜひ現場で機能するような、省庁串刺しにするような評価のあり方というのを考えていただく必要があるのではないかと思います。
 以上です。

氏田座長 内容的には5番までの議論に入っています。御意見を簡潔に述べていただけるとありがたいです。
 光増専門委員、石野委員、森オブザーバー、お願いいたします。
 光増専門委員、お願いいたします。

光増専門委員 光増です。
 今日は土本さんが参加していなくて残念なのですけれども、特に重度の知的障害の方だとか、重症心身障害の方たちのコミュニケーション支援だとか、そういうのはすごく大きな今度の計画でも課題になると思うのですけれども、そういう機器の開発を各省庁もぜひ全力を挙げて取り組んでほしいなとは思います。
 例えば言語がなくても指差しで文字盤だとか絵カードを組み合わせて自分のコミュニケーションができるのを音声発生で自分の意思表示をする機器を開発するだとか、そういうのはそれほど難しくなくできるのではないかと思うのです。そういう機器を例えば日常生活用具で知的障害や自閉症の人にも給付できるようにすると、もっともっと広がりができるのではないかと日ごろ思っています。
 これは各省庁にお願いしたいところなのですけれども、知的障害の人も含めて、わかりやすいホームページだとかわかりやすい公文書を出していただきたいと思っています。ルビ振りだけではなくて、わかりやすい版をつくるという姿勢を各省庁も努力すると、毎回毎回土本君が主張することもなくできるような世の中にする必要があるのではないかと思います。各省庁のホームページも、自動ルビ振り機能をつけるだとか、わかりやすい情報提供をすることでもっと障害の重い人たちの社会参加も進むのではないかなと思います。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。
 続きまして、森オブザーバー、どうぞ。

森オブザーバー 第三種のことでよろしいですか。

氏田座長 結構です。

森オブザーバー 1つは、第三種の御説明について舌足らずではないか、あるいは我々の考えと全然違うということをお話ししたいと思うのです。
 事件があった後、多少利用者が減ってきたという感覚です。この感覚は、大変団体に対して残念ですというのは、一つ一つの団体がみんな大切なのです。軽々しく言ってもらいたくない。
 もう一つは、50%の案を出した。それで、全員が賛成しなかったからという話。ほとんど反対です。これは我々の文書、ちゃんと要望書を読んでもらえばわかることではないですか。あなたの言っていることは、ただ8回というのは正しいです。なぜ50%ではだめなのかということは言っていないです。それと利用率が減ってきたと言ったらば、具体的にどう把握しているのか、それもない。そういうことで、見てもらえればわかるとおり、我々が言っているのは、事件について我々も何も言っているわけではないのです。既にこういう権利条約だとか基本法の話になっていて、最初の51年当時、あるいはもっと前からあったと思うのですけれども、それは国民への文化的な向上普及だという時点から言っているわけですけれども、今、我々が言っているのは、コミュニケーション保障なのです。だから、その観点から考えていただきたいという話をしているので、これは無理だということはわかっています。
 ですから、これについて、我々は長期的でもいい、あるいは中期的でもいいから、ちゃんとした案を示してくれということを言っているので、同じことを8回も繰り返しただけなのです。だからみんな情緒不安定を起こしてしまった。
 私が言っているのはなぜかと言いますと、これは全国の障害者団体定期刊行物協会連合会をつくったのです。14団体で1,500名ぐらいいるわけです。それと日本障害フォーラムが出て行ったわけです。私は、日本障害フォーラムの責任者になっているのです。そういう形で、みんないろいろなことを例えば欠格条項だって書いているではないですか。新しい目で見てもらいたいというのに、会計検査が来ているからこうだこうだとみんな締めつけているから落ちている。委員の中から相当意見が出ているではないですか。そういうことをちゃんとはっきりしてもらいたい。
 以上です。

氏田座長 ありがとうございます。お時間があったら後でお答えいただきたいと思いますが、石川委員、後藤副座長、ほかにいらっしゃいますか。
 では、先に石野委員、お願いいたします。

石野委員 石野です。
 第三種郵便については、先ほど森オブザーバーからのお話がありました。実は私もお話しようと思っていたのですが、感情的になりそうなので、今ぐっとこらえて置いておきます。確かに聴覚障害者にとっては、第三種郵便は非常に大切なものです。ぜひとも新しい制度を考えていただきたいと思っています。それを基本計画にもぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
 また別のことですが、今回、情報バリアフリーを審議するには、2時間ではとても時間が足りません。見えない、聞こえない、話せない、書けない、読めないという障害の場合には、情報バリアーがあるわけです。これについてはきちんと考えていただきたいと思います。第1回目の政策委員会のときにも、アクセシビリティ分科会をつくるべきだということを提案しました。この場で2時間だけではとても足りません。今後もぜひとも部会としてきちんと設けていただきたいと考えております。
 1週間前までイギリスへ視察に行ってきました。イギリスでは、テレビは全て字幕がついていました。コマーシャルにも全部ついていました。それは放送法に字幕をつけなければならない、手話通訳をつけなければならないとはっきり決められているからです。これは長い間、ワーキンググループで積み重ねをした結果、このようなことが実現したそうです。イギリスだけではなく、アメリカ、韓国についても同様です。日本ではこの考え方がまだ進んでおりません。国連の権利条約の中でもアクセシビリティが大事だということが書かれていますので、この考え方をもっと進めていっていただきたいと考えております。
 以上です。

氏田座長 御意見ありがとうございます。
 石川委員が同じ御意見だということで後藤副座長に振られましたので、お願いします。

後藤副座長 後藤でございます。
 3、4、5のうち4の政府による情報提供のところで、JIS規格、みんなの公共サイト運用モデル、総務省行政評価局からの勧告が2010年前後から出ています。これらを進めていくとしつつ、まだ緒についていないところさえある。どこがどう進んでいるのか公表するという措置を基本計画でお願いしたく思います。
 次の点は、機器の開発や支援の提供の最低限のところはナショナルミニマムを決めて義務づけること。建物の物理的不便さにはエレベーター、エスカレーターの義務づけがあります。情報の分野も、ミニマムは義務づけ、プラスアルファは家電製品や自動車で例があるトップランナー方式、進んでいる自治体を選んで補助を出すという進め方も、この分野に入れてよいのではないかと思います。
 最後に、委員意見で、新法をつくる、省庁横断的な体制をつくる、情報アクセスの部会をつくると、実施するための体制について指摘があります。内閣府か各省か分かりませんが、体制を整えてこそ施策が進むと思います。基本計画に書けることと思いますので考えていただきたく思います。

氏田座長 御意見ありがとうございました。
 先ほど石野委員からも御指摘がありましたように、情報のバリアフリーという重要なテーマについてのご議論を限られた大変短い時間の中でありがとうございました。
 もう一つですか。どうぞ。

後藤副座長 すみません、1つだけ。第三者郵便は、国ではなくて民営化したのでできないという言いわけがあるのかもしれませんが、株主は100%国のはずですので、国がみずからやることではないにしても、この場で出た「司法は独立しているので政府から要請できない」という議論の裏返しで、株主としての権利を実行することはできると思います、それもお考えいただければと思います。

氏田座長 よろしいですか。

岡崎課長 余り長くなると悪いので、幾つか簡単にお答えしたいと思います。
 まず、事実関係についてですけれども、基本的な数字につきまして、私は把握しておりますけれども、非常に細かい数字になるので、この場では差し控えさせていただいております。
 協議の経緯につきましても、いろいろな御意見、見方があるということは理解しております。ただ、一致した意見ではないというのも私の認識ですし、それは議事録からも明らかですので、そういったことも含めて、今後の協議で4者協議の4者の立場というものをはっきりさせて、もしこれまでの協議の進め方がなかなか同じところを回って進まないというのであれば、現状、一度きちんと確認してから先に進ませていただければと思います。
 3点目、民営化されたからではないかという御意見がありましたけれども、郵政事業、郵便の担当課長といたしましては、民営化されたからというわけではなくて、むしろ国の時代も会社になってからもそうなのですけれども、郵便事業というのは税金を使わずに、言わば郵便事業全体の収入でもって郵便制度、システムを維持してございます。その中で、新聞等を読んでおられるとすぐわかるかと思いますけれども、最近、ITの進展に伴いまして、非常に郵便物全体の利用数が減っておりまして、昨年度、一昨年度と大きな赤字を出しております。その中で、特に低料第三種郵便物、先ほど御説明しましたように非常に安い料金になっておりますので、普通に使っていただける分には全く問題ないですし、むしろそれは社会的にも必要なことだと思いますけれども、事件がありましたような度を超えた不正利用というものがありますし、郵便制度全体の維持というものが非常に難しくなりますので、そういった全体のバランスも考えながら、先ほどちょっとありましたけれども、社会全体でとおっしゃいましたが、まさに社会全体でどの程度ならいいのかということを、バランスをとりながら今後ぜひ関係者皆が納得できる解決策を探せればと考えております。

氏田座長 よろしいでしょうか。
 竹下委員、時間なので、簡潔にお願いします。

竹下委員 竹下です。
 今の説明は何のためにされたのですか。皆さん委員の方がおっしゃっていることを真正面から総務省は受けとめるつもりがないという答えですか。そうしか聞こえないです。
 不正があった、それに絡んだ役所の人間がいた。では、その犠牲者に障害者がならねばいけないのですかということをみんな質問しているのです。なぜ今の答えになるのですか。それがバランスですか。そうではなくて、そういう事件があったことは不幸です。けしからぬことです。でも、この制度の必要性から、障害者団体がまさに情報提供やあるいはコミュニケーションの現実な補助的な手段としても、十分な制度としての広がりが必要だと言っていることに対するお答えをお願いしているということを御理解いただけないでしょうか。

氏田座長 お願いします。

岡崎課長 ここで議論することではないですけれども、もう一度確認させていただきますけれども、私が今申し上げましたのは、いろいろ御意見がありますので、ちゃんとその場も設定されていますから、そこできちっと協議をして次の解決を探りたいと申し上げて、まさに真正面から受けとめていただきたいと申し上げたつもりです。

氏田座長 ありがとうございます。
 進行が悪くて申しわけございません。本日、委員の皆様、専門委員の皆様からたくさんの意見書も提出いただいておりますので、この後、本日の議論も含めまして、第5小委員会の報告については、第1回~第3回の議論のまとめ案を座長、副座長の方でつくりまして、皆様に前回同様事前にお諮りした上で、次回の10日の第4回政策委員会に御報告をさせていただく予定でございます。これまでの皆様の御協力に感謝申し上げます。ありがとうございました。
 また、省庁の皆様、御説明いただきまして、ありがとうございました。
 最後に、今後の予定につきまして、事務局よりお願いいたします。

東室長 どうも御苦労様でございました。担当室の東です。
 今日で小委員会としての会合は終わりになります。この意見は座長の方で次回の第4回政策委員会に出していただく。そのまとめの過程においては皆様の意見も伺った上でということになります。
 次回なのですが、12月17日を従前予定しておりましたけれども、次回の政策委員会は12月10日に開くということになりました。年内の予定としては、今言いましたように、従前の予定していた12月17日ということです。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

氏田座長 どうもありがとうございました。
 これで第5小委員会を閉会とします。