障害者政策委員会ワーキング・セッションII:精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など 議事録

○大濱委員 これより障害者政策委員会ワーキング・セッションIIの「精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など」の第2回を開催させていただきます。
 本日の前半の司会を務めさせていただきます、このワーキング・セッションのコーディネーターの大濱です。よろしくお願いします。
 本日の会議は15時30分までを予定しています。
 それでは、事務局から委員の出欠状況についての報告をお願いします。

○加藤参事官 事務局でございます。
 本日のワーキング・セッションIIでございますが、コーディネーターの上野委員、大濱委員、川﨑委員、平川委員のほか、石川委員長、伊藤委員、大河内委員。大日方委員は少し遅れておられるようです。河井委員、佐藤委員。野澤委員も遅れておられるようです。松森委員、三浦委員が出席されています。
 なお、会議の冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入り、写真撮影が行われますので御承知おきください。
 以上でございます。

○大濱委員 それでは議事に入りますが、毎回のお願いで恐縮ですが、議事に入る前にお願いです。各委員が発言を求めるときはまず挙手をいただき、司会から指名を受けてから発言をしてください。できれば最初に結論を述べて、その後理由あるいは説明をしていただくというのが合理的配慮としてよいのではないかと思っています。
 また、御発言の際はまずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり、わかりやすく御発言いただくようお願いします。できるだけマイクに近づいてお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしていただくようにお願いします。
 また、障害者基本計画(第3次)実施状況に関しまして、委員あるいは参考人より御発言をいただく際、可能な限り、事前にお配りしております障害者基本計画(第3次)実施状況のいずれの項目に関連しての意見なのか、資料のページとあわせて発言していただければと思います。例えば「実施状況の4ページにある項目番号、1-(1)-5についての意見です」というようにお願いいたします。
 本日は、精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援などの分野における第3次障害者基本計画の実施状況について、御議論いただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。
 事務局より説明をお願いいたします。

○加藤参事官 事務局です。
 本ワーキング・セッションの会議資料と流れについて御説明いたします。
 まず、会議資料でございます。
 資料1「第1回の主な議論のまとめ(メモ)」
 資料2「障害者政策委員会ワーキング・セッションII:精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など」
 資料3「諸外国における地域移行をめぐる動向について」
 資料4「重度の身体障害者を含めた障害者に対する保健・医療施策について」
 参考資料1「障害者政策委員会ワーキング・セッションについて」
 参考資料2「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視に係る今後のスケジュールについて(案)」
 参考資料3「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視について(案)(第20回障害者政策委員会資料)【抜粋】」となっております。
 なお、委員の皆様には、机上に常備いたします資料として「障害者基本法」「障害者基本計画」「障害者基本計画の概要」「障害者基本計画の実施状況」「障害者の権利に関する条約」を御用意しております。
 次に具体的な進行についてですが、会議を2つに分けまして、前半では精神障害者の地域移行の支援について、前回のワーキング・セッションで委員より質問があった事項について厚生労働省からの回答、それから参考人2名からのヒアリング、コーディネーター3名からの意見陳述を行い、その後20分間、意見交換を行います。
 後半では、医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援につきまして、前回のワーキング・セッションで委員より質問があった事項について厚生労働省からの回答、参考人1名からのヒアリングと質疑を行い、その後30分間意見交換を行います。
 以上でございます。
 なお、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますようお願いいたします。

○大濱委員 ありがとうございます。
 それでは、前半の部の精神障害者の地域移行の支援についてですが、まず、前回のワーキング・セッションで佐藤委員から諸外国における精神障害者やその家族の地域移行をめぐる動向についての質問がありましたので、それについての厚生労働省からの説明をお願いします。

○厚生労働省 厚生労働省精神障害保健課の江浪でございます。
 お手元の資料3をごらんいただければと思います。諸外国におきまして、地域で精神障害がある方を支える仕組みということでございまして、過去に整理した資料がないかということで提出をさせていただいたものがこれでございます。
 1枚めくっていただきましたところに書いてございますが、平成20年6月に行いました「今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会」において配付した資料であります。
 2ページの頭に書いてございますけれども、この資料に関しましては、過去に国ごとに見た場合に、病床削減率が高い国あるいはそれほど高くない国と、大きく1グループ、2グループと分けまして、それぞれ減少した国に関しましては60~70年代に病床数が大きく減少した国と、80年代に病床数が減少した国というふうに2つのグループに分けまして、この合計3つのグループごとに概要を研究班の報告をもとにまとめたものということでございます。
 例えば、2ページにありますが、1Aグループ、病床削減率が高くて、60~70年代に病床数が大きく減少した国の例としてオーストラリアを挙げておりますけれども、この制度の概要のところに下線を引いておりますが、オーストラリアにおきましては家庭医がプライマリーケアに当たり、必要に応じて専門医に紹介するという制度を採用しているということでございました。
 そのほか、次のページにかけまして、オーストラリアにおけます改革の概要、改革の成果、そういったことをまとめているというものでございます。
 前回、私のほうで申し上げました多職種が地域で支える仕組みということに着目しますと、3ページの1Bグループ、フィンランドの精神医療改革例の線を引いているところの直前でございますけれども、全国に200カ所あるコミュニティメンタルヘルスセンターが各2~3万人のエリアを担当し、高度な教育を受けた多職種医療チームがケアを担当しているという記載がありますほか、例えばさらに2枚めくっていただきまして5ページ、これは1Bグループということでございますので、病床削減率が高くて、80年代に病床数が減少した国の例としてのイギリスの中におきますと、例えば3にございますけれども、積極的アウトリーチチームから成る24時間体制の確立、24時間の電話相談、そのような取り組みというものが行われているということでございます。
 この資料に関しましては、制度の概要、改革の概要、そういったものを精査しようということでございまして、時間も限られていますので、かいつまんだ説明ということで以上になりますけれども、また後でごらんいただければと思っております。
 以上でございます。

○大濱委員 ありがとうございました。
 続いて、参考人のヒアリングに入りたいと思います。お手元の参考資料1をごらんください。ワーキング・セッションのコーディネーターと参考人が記載されていますが、ワーキング・セッションIIの参考人の4名のうち、この議題について、まず最初に大阪精神医療人権センター、山本深雪様より10分間の予定で発言をお願いいたします。

○山本参考人 大阪から来ました山本深雪と申します。
 大阪の私たちのセンターは、府下にある精神科病院の60の閉鎖病棟や密室性がある病院に訪問を続けてまいりました。そして、そこの病棟の中における精神障害者への人権侵害を未然に防止して、安心してかかれる精神科医療を実現するための活動を30年にわたって続けてきています。入院体験のある者、家族、医療従事者、弁護士、市民などで構成されている認定NPO法人です。
 私は入院体験のある一メンバーとして、事務局のお仕事を担って25年経過しています。その中で、今回の提供されていた資料3、第3次障害者計画実施状況の2-(2)-6、分野別施策の基本的方向というところに、入院中の精神障害者の意思決定及び意思の表明について、支援のあり方という項目がございます。この部分に関する意見を主に述べたいと思います。
 精神保健福祉法の附則においては、代弁者制度の検討というふうに現在でも書き込まれておりますが、現場においては全然実現されていません。そうした中で、御承知のように、去る4月、聖マリアンナ医科大学において、精神保健指定医という、入院する者にとってみれば強制入院とか隔離、あるいは身体拘束などの行動制限の必要性を判断する大きな権限を持っている方がみなし公務員としてその職務に当たっているわけですけれども、そうした研修をきちんと履修されていなかった、そして法令で定められた一定の実務経験を有することがなされていなかったにもかかわらず、多数の方の強制入院のチェック等のお仕事に当たったということで、20名の資格取り消しが公表されました。
 こうした事態というのは、この医療機関が大学病院であったということから見て、医療技術の面だけでなくて、倫理面も含めて、医師を育成して社会に送り出すという責務のある大学病院での事件ということから考えれば、今回のケースが氷山の一角にすぎないということを意味していると私たちは思っています。
 それは、日本では先回の池原先生のお話にもありましたが、国際基準と比較して、人口当たりの精神科病床数が4倍を占めています。非常に多い数字です。その上で、強制入院、隔離、拘束の件数も年々増加し続けてきております。これは認知症の患者さんの増加ということだけでは説明できない増加の伸びを示しています。病棟に入れば、そうした隔離室に入り、身体拘束から入るのが私の病院のルールですというふうに堂々と説明される医療機関が急性期治療を担う病棟においてよく遭遇します。
 こうした権利制限が乱用されていると言ってもよい現状がある中で、指定医が一旦そのことにゴーサインを出して判断していけば、幾らでもそのことが可能になって、その必要性とか妥当性の実質的なチェックがなされていない、できていないという実態からこうした事態が起こっていると私たちは判断しています。
 このような状況を見直して改善していくためには、強制入院や隔離、身体拘束の最小化を推し進めるために、第三者機関による監視体制が必要不可欠であると思っております。そのことが代弁者制度の検討というふうに、法律の見直しのときに書き込まれた内容をさらにきめ細かく行っていく権利擁護官の仕事として位置づけていただくこと以外には難しいのではないかというのが私たちの危惧するところです。
 大阪においては、全ての精神科病棟に訪問することができています。それはどうしてなのかというと、平成12年5月の大阪府の精神保健福祉審議会において、以下のような確認が文章でなされています。それは、1.我が国の精神医療がなお非医療的であり、単に精神科病院に入院、収容させて、地域から隔離するといった機能を残していること、2.精神障害者のことを正しく理解していなければならないはずの精神科病院において、人権侵害が行われていた事実が明らかになり、精神科医療に従事する者においても、偏見と差別意識があることが改めて明らかになってきていること、3.こうした精神障害者に対する差別意識は適切な精神科医療を受ける権利を持っている精神障害者と、その家族にとって医療を受ける上で大きな障害となり、社会復帰をおくらせる原因となっていること等の諸問題を改めて提起していると知事にも意見具申をいたしました。こうした事態は残念ながら現在も続いていると言わざるを得ません。
 1番目の精神科病院が収容の場になっているのではないかという問題に関しましては、余りこれは議論されておりませんが、療育園という名前をかぶせた重心の障害児者の療養空間となっているところにおいては、もろもろの障害者が家庭では見られない部分の方々をずっとそこで長期にわたって療養を受け入れるという機能も果たしており、そのことが地域から切り離されて、施設内でしか生きられないという空間をつくって、情報から遮断していることなども、非常に大きな問題であると私たちは感じています。病棟に入った折には、患者の方の診察の折、主治医に落ちついて話を聞いてもらえないんだという声は相変わらず続いております。
 これはなぜなのかということを考えてみますと、精神科病棟においては医療法の特例の中で、医師等は少なくてもよいとしてきたことが改善されていないことが背景にあると思われます。精神科医師は48床に1人いればよいと名簿上でなっているために、私の主治医はころころとかわっていくんだということを訴える患者さんともよく会います。
 そういう信頼関係が取り結べないようなところで、長期間の収容となっていることが結果として、先ほどからお伝えしている人権侵害が繰り返し発生する土壌になっていると思っておりまして、こういう事態を変えるために、現状の34万床強のベッドを10万床強削減していく計画をきちんと策定することを強く求めていきたいと思います。それが不十分だったというのが私たちの反省です。
 2番目ですが、任意入院の患者さんに対する違法な退院制限も、現在も存在しています。本人が長期入院の中で、ここにいてもいいよというふうにサインをしたために、形式的には任意入院となっているだけで、事実上、非自発的入院と同様の処遇になっている方が多数存在します。そして、外への散歩等、自由に外出もできないというようになっております。こうした事態は、やはり私たちから見れば不当な退院制限に当たると言わざるを得ません。
 5点目に、他科の医療従事者からの差別、偏見により合併症治療の受け入れの拒否が現在も存在しています。これは入院している患者さん、通院中の方、家族、あるいは精神科の病棟スタッフからも継続して訴えが届いているものです。
 なぜ合併症治療が受けられないのかということについて、断った医療機関と話をしていますと、それは医療法の施行規則に背景があると説明を受けました。どういうことですかと聞くと、施行規則第10条の3項に、精神病患者は精神病室でない病室に入院させないことと明治時代から記載されており、それが変わっていない。そのために、内科病院においてもそれを守らなければならないので、そういう病室がうちにはないということで、外科的な手術や簡単な治療であっても断られるという事態が現在も発生しています。
 こういうことは、この項目の(2)の障害者計画の実施条項のところにはきちんと書き込まれていないように私は思いました。抜け落ちていると思いますので、こういう差別的な事態というのは法律をつくられた厚労省のほうにおいて改善していただきたいと強く願うものです。
 どうしていったらいいのかということを考えました。1つは、こうした密室性を背景に運営されている精神科病棟の中においては、利害関係のない第三者が病棟に来て、入院中の方の権利擁護者ということでついていくことが絶対に必要だと言えます。地域の事業者や入院経験者、弁護士などで病棟内の権利擁護官のネットワーク化をして、外部の生活者目線で患者さんの声を聞ける、そういう仕組みをつくることが大切であると、私たち大阪の取り組みからも確信しております。
 なぜならば、病棟の中にはさまざまな多職種のスタッフの方々がいますが、入院して3カ月が過ぎていくと、退院したいとか、外出したいという希望を口にすることを諦めてしまう空気が存在しています。それは、職員に質問に行く回数が多い患者さんが縛られたり、保護室に入れられていくのを目の前で見ていることがその原因にあります。そうすると、物がだんだんと言えなくなります。
 職員の方は、事故防止のためだと私たちには言われますが、それは管理のまなざしで本人を見ていることだと私たちは感じています。外出から帰った折の荷物チェック、ボディーチェック、言葉遣いの上から目線や、食事のときの目線等々で、私たちは日々、どうかこういう時間がたんたんと過ぎますようにと願うしかない力関係が存在しています。
 そういう言いたいことが言えなくなっていく長期入院の弊害というものをきちんと見ることなく、資料のどこかに配られていました長期入院の理由ということで、IADL困難度、これは退院阻害要因のような形でGAFと並んで表現されておりましたが、これらは管理された空間において主治医が調査するということの作法自身が、私から見れば、明らかに大事なところを調べることができていない調査であると言わざるを得ません。
 ですので、入院体験のある者が病棟に行くこともできて、そして地域でこんなふうに暮らすことができているよという自分たちの暮らしぶりをDVDなどにもおさめておりますので、それを病棟の中でオンエアして、交流をして、自分も退院していくことができるんだなという自信がじわっと湧いてくるような、そういう交流の場をもっと活発に行うことができますように、ぜひ地域移行支援の以前の、病棟の中での交流の機会というものにもう一度予算をつけていただきたいと思います。
 資料の2-(2)-1-ウでは、地域移行支援の実利用人数が全国において、平成26年12月で379名となっております。これは余りにも低過ぎるなと驚きました。これは報酬が低過ぎるために、精神障害者の障害特性の中で、状態に揺れがあって、入院したらグループホームの入居費を運営委員会から持ち出し負担をせざるを得ないという仕組み上の問題点があるがゆえに、そこから撤退していく事業所がこの間増加してきております。さらに、結婚とか出産の折に職場を離れていく地活の事業所の方々も、ずっと継続して残念なことに存在しているという関係などなどから、事業を継続して使っていくことができない入院中の方々の不安な状態をかもし出していると思います。
 政策的な理由によってつくられてきた長期入院の結果の部分を御本人の個別給付の事業の利用という形で、持ち出しでやっていきなさいという政策的な今の位置づけというのは、非常に腸捻転を感じるぐらいのおかしさで、利用者たちは介護人の分も含めての交通費、1回外出につき数千円かかる費用を生活保護の中から捻出することはできないという訴えを私たちはよく聞きます。
 なぜこういう利用人数の少なさがあるのかという分析をもう一度きちんとしていただいて、身の丈にあった予算のつけ方、何が問われているのかというところで、きちんと障害特性に見合った予算の設定を求めたいと思います。
 中途半端になりましたが、以上です。できれば質問で補っていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

○大濱委員 ありがとうございます。
 続きまして、東京アドヴォカシー法律事務所の池原先生、その後コーディネーター3名より5分ずつ発言していただきたいと思います。
 最初に池原毅和様、よろしくお願いいたします。5分でお願いします。

○池原参考人 前回、幾つか御指摘させていただいたので、きょうは2つ申し上げておきたいと思います。
 1つは、前回少しお話しできなかったことですけれども、障害者権利条約の19条とか、あるいはその他の関連規定からすると、いわば地域での生活ができるような医療とか福祉のあり方を考えていかなければいけない、それはもう大前提ですけれども、いかにしてそういうことができるのかという一つの方法論を少し考えなければいけないということがある。これは、本日厚生労働省からも資料が出されていますけれども、その辺を少し考えたいということと、もう一つ、現在の精神科医療で新しく起こってきたといいますか、大きく問題になりつつあるものとして、認知症の方の精神科病院への入院という問題があります。
 これは、もしかすると、高齢者問題であって、障害者問題ではないのではないかと思われる可能性があるのですけれども、障害者差別解消法の障害の定義からすると、当然認知症も障害の中に含まれるということになるわけです。
 一応確認までに申し上げておきますと、これは定義自体は基本法も同じですけれども、障害者の定義というのは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害も含む)、その他の心身の機能の障害がある者であって、その障害及び社会的障壁によって継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける者ということですから、認知機能に障害があるということは、当然差別解消法の障害の定義に当てはまるわけで、この政策委員会での視野の中に当然入れるべき対象になると考えてよいと思います。
 細かいお話をする時間はありませんけれども、海外のさまざまな脱施設化から病床の削減ということができてきている国の先行的な経験を参考にすると、一つ浮かび上がってくることというのは、地域での最も典型的なのはモバイルチーム、つまり障害のある方とか精神障害のある方のほうにむしろ出向いていって、福祉的なサービスや医療的なサービスを提供するというあり方です。つまり、逆に精神障害のある人が病院に来なさいとか、入院しなさいというような、来ることを求めるのではなくて、訪問をしていく、そして柔軟にニーズに合わせて動き回ることができるということが一つの共通項として出てくると思います。
 特に、これは前回も申し上げましたけれども、自由権規約についての国連の人権理事会とか、あるいは拷問等禁止条約に関する条約の委員会が、入院を回避するための代替的な措置を開発すべきであると。それは、いわば地域の資源を充実させることであると言っていて、したがってこれは地域の中に人手とか、当然それのために必要なお金とか時間、こういう資源を増加させることが非常に重要だということになると思います。
 例えば、きょう厚生労働省でお出しいただいた資料3の3ページを見てみると、オーストラリアの成功体験の中で、改革の成果の中で、地域ケアの支出の増加とか、地域ケアへの人員配置の増加とか、当然のことですけれども、まず社会的な資源、地域で生活を支えながら医療や福祉を提供することが必要だということがわかってくるわけです。
 これに対して一番懸念していますのは、少し雑駁なまとめ方ですけれども、象徴的に言うと、今の日本の精神医療の進み方は手っ取り早く強制力と向精神病薬を使っていく。それは時間もかからなければ、人手もかからなければ、お金も少し安く済むかもしれないということがあって、いわば人として障害のある人を扱うのではなくて、とにかく強制力で、はい入院ですと、入院したら、じゃあ拘束ですと。そうしたら、はい、向精神病薬ですと。こういう安易な方法がとられているというところが今の国際的な動向とは大きく食い違っている。極端に言うと、逆行しているとさえも言えるのではないかということがあると思います。ですから、この点を今後の政策の評価の上では重点的に考えなければいけないし、ぜひその方向を広げていかなければいけないということです。
 それから、2点目ですけれども、現在、日本はもちろん高齢社会になっていって、認知症の患者さんが非常にふえているということがあり、この方々の受入先として精神科病院がかなりの役割を果たしている。そして、そのさらに法的な制度としては医療保護入院が使われているということがあって、医療保護入院の増加、あるいは患者さんの増加というところが、認知症の方の増加に伴って行われているということが十分予測される、見てとることができるわけですね。
 また、最近の認知症の高齢者の方に対する、いわゆる新オレンジプランと呼ばれているものも、言ってみれば、循環型と言ってはいるのですけれども、患者さんというか、認知症の方が必要に応じて病院に入院したり、あるいは別の施設に行ったりという、いわば認知症の方が循環していくというシステムとしてオレンジプランはでき上がっているわけです。
 これも非常に逆行した考え方であって、あえて申し上げるまでもないですけれども、認知症で確かに精神症状が周辺症状として出ることはあるわけですが、根本的には精神症状が根本的な症状ではないし、むしろさまざまな生活上の困難を抱えていらっしゃるわけで、福祉的なアプローチというのは最も基本になるべきものですね。その方々を医療保護入院という形で、必ずしも福祉というサービスとして専門機関ではない精神科病院に入院をさせるというのは、手段として恐らく適切なものではないはずですし、循環型と呼ばれているやり方が、先ほどのモバイルというのは言ってみれば御本人のところにサービスが動いていくわけですね。
 ところが、オレンジプランはサービスのほうに本人が動いていくという形になっていて、これは全く逆の発想になりますし、認知症の方にとって生活環境が目まぐるしく変わるということは非常に大きな影響があるので、そういう点については今後十分に、差別解消法とか、あるいは権利条約という観点からもしっかりと評価をしていく必要があると思っています。

○大濱委員 ありがとうございました。
 続いて、コーディネーターから、まず川﨑委員からお願いします。

○川﨑委員 川﨑です。
 山本さんと池原先生、いろいろとありがとうございました。実は、私の場合は、ここ20年ほど入院ということをしておりませんで、山本さんがおっしゃるようなことが現在も続いているのかということを今改めて実感しております。
 私の子供が入院した当時は、私の子供ではありませんでしたけれども、保護室で24時間拘束されている。それが1年以上続いているということがありまして、やはりこれは幾ら家族に本人が訴えても、なかなかこれは改良されませんでしたし、また面会も家族しかできないというような状況があったのですけれども、今なおこれが尾を引いているのかなということで、精神科病院の密室は今回ぜひとも改善されるようにすべきだということを改めて感じました。
 それと、実は私は家族ですけれども、なかなか地域移行が進まないところの原因は、地域基盤ができていないということを今までずっと訴えてきました。その一つとして、先ほど池原先生がおっしゃいましたモバイルといいますか、訪問型の支援、今回厚生労働省の資料にありますように、訪問型の支援によって精神障害者の再発が防げて、それで地域で生活できているというデータがしっかり出ているわけですから、これをしっかりやっていただきたいのですが、やはり人材の養成がものすごく必要だと思っております。
 現在、介護保険の訪問看護ステーションも精神障害者への支援がいろいろとできるということになっておりますけれども、私がいろいろと尋ねて、精神障害者のヘルパー派遣をお願いいたしましたが、それをできる人がいないと言うのです。以前、特に精神障害者に対してなかなか難しいということを言われました。それで、私があたりました30ぐらいの訪問看護ステーションでは、精神障害者へのヘルパー派遣はしていないと言うのです。私どもが今一番必要としておりますヘルパーさんとか訪問看護、そういうことによって、いわゆる精神障害者の急性期ではなくて、見守り体制からひどくならないで入院を防げるということを感じておりますので、こういう体制づくりはやはり財源がなければできないと思いますが、以前、東京都では精神障害者専用のホームヘルパーの養成事業をしておりました。現在それがされておりませんけれども、やはりこういうことをして、精神障害者に対する専門職の養成を強く望みたいと思いますし、それによって精神障害者の退院もできていきますでしょうし、入院も極力減らしていけるものと思っておりますので、その辺の地域基盤の財源づくり、財源確保をぜひとも厚生労働省にお願いしたいと思います。
 以上です。ありがとうございます。

○大濱委員 ありがとうございます。
 続きまして、上野委員、よろしくお願いします。

○上野委員 精神科医をしております上野です。
 今回は、私も池原先生と同じく、精神科医療と認知症の問題に関してお話しさせていただこうと思います。
 ことし1月に認知症施策総合戦略、通称「新オレンジプラン」が発表されました。この中では、当事者本位の支援と介護者の支援を打ち出しており、この点では極めて画期的な内容となっています。しかし、その一方では、精神科医療の役割を強調し過ぎた内容になっており、大きな問題であると私は考えております。
 具体的には、池原先生も御指摘されましたけれども、新オレンジプランの中の循環型の仕組みが大きな問題なんですね。この循環型の仕組み、池原先生もおっしゃいましたが、認知症の当事者の周囲の人が最もふさわしい場所での適切なサービスを選択し、そのサービスに当事者を当てはめていくという形になっていて、何が循環するかというと、認知症の当事者の方がサービスの間を循環していくというモデルになっています。
 ほかの疾病と違って、認知症においてはその認知機能低下のために、環境変化により状態が悪化するというリロケーションダメージというのがあるのです。当事者をいろいろな場所で循環させるというのは、リロケーションダメージがあるために、非常に大きな問題であるということになります。
 今回の新オレンジプランの中心的なコンセプトである認知症当事者本位の支援モデルの構築のためには、認知症の人の思いと希望を最優先して、たとえ状態が変化しても、その認知症の方が暮らしたいと希望する場所で、必要なサービスを受けて暮らし続けることができるという仕組みが必要です。当事者が何しろ暮らしたいと希望する場所に固定して、その状態に応じてサービスを工夫するというモデルです。
 そして、最大の問題は、認知症の人の精神科の入院を積極的に肯定していることなのです。現在、残念ながら、認知症の方の精神科入院ニーズが非常に高いです。しかし、統合失調症などの入院自体に治療的な意義がある疾患とは異なり、精神科病棟は認知症の方の治療に適切な環境ではありません。
 確かに、私も病棟を担当しておりましたが、入院で認知症の人の状態がかなり改善することがあります。しかし、それはほとんど適切な薬物療法による効果です。であるとすれば、何らかの形で適切な薬物療法の提供ができるような仕組み、精神科のアウトリーチサービス、モバイルチームなどがあれば、入院させるよりもよりよい治療効果が期待されるのです。
 また、新オレンジプランでは、認知症の方の精神科入院の要件が書いてあります。それは本人及び介護者等の生活が阻害され、専門医による医療が必要とされる場合など、その要件が余りに緩過ぎるのです。これは、外来レベルで十分対応可能な状態であると考えます。
 認知症は、一旦正常に発達した知的機能が持続的に低下し、複数の認知障害があるために、日常生活、社会生活に支障を来すようになった状態を言います。認知症においては物忘れとか判断力の低下という認知機能障害と、一部の認知症の人に不安とか焦燥、いらいらです、抑鬱状態、鬱状態とか、幻覚や妄想、興奮であるとか、行くところがわからないで迷っていると徘回と呼ばれてしまう。きれいにしたくてもできないと、不潔行為などと呼ばれてしまう。いわゆる行動心理症状と呼ばれる精神症状が一部の認知症の方に認められます。
 そして、認知症の人は、日常生活、社会生活に支障を来しているので、まず必要なのは適切な生活支援になります。さまざまな状態像になり得る認知症の方に対して、当事者本位の適切な支援を提供することがまずとても大切になります。
 認知症の原因疾患は、医学的な疾患です。その意味で医療の関与は欠かすことはできません。しかし、現在、医学的に完全な予防法であるとか、完全な治療法は開発されていないです。そうすると、医療というのは認知症の人の生活を支援する場面での下支えの役割、バックアップの役割に徹すべきであると考えます。
 もし、完全な治療法があれば、その正確な診断とそれに基づく治療が支援の中心になることでしょう。また、完全な予防法があれば、それを広めるというのがとても大切になります。残念ながら、現状ではそのどちらも存在しないということです。
 現在の日本では、こうした認知症の人への適切な支援が提供されているとは言いがたい現状にあります。そのために、認知機能が低下した認知症の人は環境に適応できずに混乱したりして、精神科医療が必要となるケースが非常にたくさんあります。
 しかし、私たち国民の認知症に対する正しい理解が深まって、適切な支援が提供されるようになれば、こうした認知症の人への精神科医療の必要性というのは減ってくるのです。いわば認知症の人への精神科医療の必要性というのが少なければ少ないほど、私のような精神科医師の必要性が少なくなればなるほど、その社会は認知症、高齢者等に優しい社会と言えるのではないかと思います。例えば、各国の認知症の国家戦略では、認知症の人に対する精神薬の一種である向精神病薬の処方を減らすことが大きな目標の一つとなっているくらいです。
 認知症の人を支援する場面において、精神科医療機関に司令塔の役割を持たせるとか、精神科医療を前面に出さなくてはいけない社会というのは、認知症、高齢者等に優しい社会とは到底言えないと思います。確かに、認知症は精神疾患に分類されています。そして、現状は精神科医療が必要な場面は多々あります。しかし、それはその方が安心して暮らすことができる場面で提供されるということが望ましくて、残念ながら精神科病院というのは、余り適切ではないのです。精神科医療の提供は必要です。でも、精神科病院への収容とは意味が違うということを忘れないでください。
 さらに、認知症の人の入院では、多くが医療保護入院になります。前回、池原先生のお話にあったように、権利条約第14条に抵触しています。さらに、山本さんのお話にあったように、精神保健福祉法の行動制限規定には致命的な欠陥があるのです。
 国連の拷問等禁止委員会は、2007年5月の審査でこう述べました。委員会は、私立の精神病院で働く精神科指定医が、精神的疾患を持つ個人に対し拘禁命令、これは多分隔離、拘束のことだと思いますが、拘禁命令を出していること、私立精神病院の管理、経営、そして患者からの拷問もしくは虐待行為に関する不服への不十分な司法的コントロールに懸念を表明すると述べられているのです。
 そもそも、精神保健福祉法に規定されている行動制限の手続というのは、一人の精神保健指定医に権限が集中しており、第三者チェック機能が事実上機能していない現在、本人の権利を守るための仕組みが全くありません。精神保健指定医の恣意的な判断による行動制限を防止することができない制度設計になっています。到底、個人の尊厳を尊重し、人権に配慮した適正な手続になっているとは言いがたいものです。
 そして、山本さんの指摘にありました、今回の指定医不正取得事件です。指定医は、そもそも資格認定において、誰が書いたかわからないケースレポートが合否判定の基礎になっているのです。悪用して資格取得をすることが可能な制度設計になっているということが大きな問題だと思います。今回の指定医不正取得事件というのは氷山の一角にすぎないという指摘もあって、日本の精神科医療体制の信頼が根本から揺らいでいます。
 前回のワーキング・セッションで、現在、厚生労働省が推進している病床転換型居住系施設というのが話題となりました。参考人の池原弁護士から、権利条約第12条、第14条との関係で大きな問題があるという指摘がなされ、さらにコーディネーターの平川委員も強い反対を表明されました。私も今すぐ中止すべき施策であると考えます。
 社会的な役割を失った精神科病棟は閉鎖すべきものだと思います。例えば介護精神型老人保健施設を含め、用途を変えて、再び人を隔離、収容するために利用するなどということはあってはならないことであると考えます。
 以上です。

○大濱委員 ありがとうございました。
 続きまして、平川委員、よろしくお願いします。時間が押していますので、よろしくお願いします。

○平川委員 まず、最初の山本さんのお話から御意見を申し上げたいと思います。本当に長い間、大阪では貴重な活動をされていて、一般的に精神科は閉鎖的で隔離状態だと言われますけれども、外部から随分入っていただいて、山本さんほど民間の精神科病院の現状を御存じの方はいらっしゃらないと私は思っていますので、それにもかかわらず、まだ人権侵害が精神科病院で行われているというきょうのお話でしたが、少しは改善してきているのかなとは私自身は思っているのですけれども、きょうのお話は大変重く受けとめました。
 そんな中、多職種の外部組織による監視体制というのは、私も逆に精神科病院への偏見といいますか、精神科病院は本当に中で何をしているかわからないという見方をされている偏見、これについては大変残念に思っておりますので、ぜひこういう制度ができて、精神科の病院もまんざらひどくないんだなと思っていただけるような仕組みができたら一番いいなと思います。
 それから、やたらと拘束をするというお話が池原先生からございましたが、皆さんが拘束というのはどういう状況か想像がつくかはわかりませんが、我々精神科病院では、新人オリエンテーションでは拘束体験、自分たち自身が縛られてみて、どんな気持ちになるかというのをやっています。私自身も経験しましたし、とても不安なもので、こんな思いを患者さんたちがするのだったら、できるだけ早く拘束を解こうというふうな思いであります。
 それから、いわゆるエコノミークラス症候群です。じっとしていると、下肢の静脈血栓を起こして、肺塞栓で死に至るような病態が医療事故としてかなり取り上げられています。これについても、松沢病院が数年前に事故を起こして、それからきちんとした拘束をしようということで、エコノミークラス症候群の発生を防ぐような形のケアをどのようにしたらいいか、15分置きに観察したり、足をマッサージしたり、場合によっては血栓をつくらないお薬を使ったりして、とにかく安全な拘束をしようという体制をつくっています。
 また、行動制限最小化委員会というのを義務づけまして、行動制限がほかの病棟から見ても適切かどうか、長引いている人がいないかどうかという院内での監視体制もできています。これについても、指定医の勝手なふるまいを制限するものがないということでございましたが、我々からすると、精神保健指定医が一人で全部責任をかぶるというのは、これは私たちにとっては大変重いもので、それはやはり病院全体の中で適切な対処法ができているということも、指定医を守らなければならない立場もありますので、その辺も御理解をいただきたいと思います。
 それから、アウトリーチチーム、訪問チームについては、池原先生がおっしゃるとおりだと思うのです。例えばオーストラリアのケースですけれども、訪問チームは動いてはいるのですが、医療的な中断、例えば薬を飲まれないとか、注射に行かれないとか、そういうことで患者さんが治療を拒否した場合には直ちに入院する仕組みができています。これは医者の判断ではなくて、その治療を拒否した段階で地域からまず入院をして治療ができる体制にするというのが一つの約束事になっていると聞いております。
 やみくもに治療も受けないで地域にいるということについては、これは非常に問題だと思いますし、また地域で医療介入する仕組みが日本にはありません。地域で何か問題が起きた場合には、保健所が一応様子を見に行くような仕組みはあるのですけれども、なかなか地域生活での精神科医療をどのように受けるかという仕組みがないので、この辺も一つ問題として指摘していただければと思います。
 最後に、認知症があると、例えばがんになってしまった人が、もう胃がんです、認知症があるから手術はできません、あとは在宅でとなった後に、そういう患者さんが家で何年も高齢の方は生きることは多くあります。そうすると、認知症もつらいし、体もつらいとなると、たびたびせん妄状態になったたり、御家族にも負担が大変大きくなってしまいます。その辺、今、精神科病院では合併症がある認知症患者さんなどが入院としては多くいらっしゃるように思います。精神科病院でおみとりすることは、どこまでしていいのかという私たちの悩みもありますが、一般病院での治療をしない、見放されたような認知症高齢者がかなりたくさんいらっしゃって、そういう方々の何かお役に立ちたいという思いもございます。
 精神科病院には、認知症は入院環境としてふさわしくないというような偏見がございますが、決してそうではなく、我々としてもできるだけのことをしてあげたというところで、内科医も常時いる中での精神科医療と内科医療が一緒になったような病院もふえてきておりますので、その辺もぜひ、いろいろな病院を見学していただきまして、精神科病院は本当にだめなんだという決めつけで、私どもは大変情けないですけれども、その辺からオープンになって、皆さんの目にさらされて、大変改善しているのだなということがわかるように、この基本計画の中でも進捗状況の中でお示しいただくような仕組みがあればいいなと思います。よろしくお願いいたします。

○大濱委員 ありがとうございました。
 今、コーディネーター及び参考人の意見発表が相当長かったので、余り議論の時間がありませんが、これから少し議論をしたいと思います。発言されたい方は先に挙手をお願いできますか。それでは2名の方から発言をしていただきます。
 まず、池原参考人、よろしくお願いします。

○池原参考人 平川先生に御指摘いただいて、おっしゃることもわかります。ただ、私はちょっと視点が違う立場から発言しているかなと思っていますのは、精神科病院が悪いから地域に出しなさいとか、地域の生活を守らなければいけないというふうに申し上げているのではなくて、精神科病院がいいか悪いかの問題は、ある意味では横に置いておいて、障害者権利条約の基本的な要請からすると、障害のある人も障害のない人と同じように地域で生活するという原則が守られなければいけない。
 そういうことからすると、医療とか福祉というのをどう組み立てていったらいいのかと考えると、もちろん非常に病状の重いときとか、一定の場合に、入院しなければ医療ができないような状態のときに、病院というものは、これは内科でも外科でも必要なのだろうと思うのですけれども、しかし、ベースはやはり自分の生まれ育った地域というか、本人が根を張っている生活の場において、生活を可能な限り持続できるようにしていくということが障害者権利条約の要請だろうと考えていて、決して精神科病院が悪だからそこに行かないようにしなければいけないとか、そういうふうに考えているわけではないということが1つです。
 もう一つは、議論の立て方で今後も難しいところだと思いますけれども、確かに海外の先見的な経験に学ぶということは大事なことだと思います。ただ、実は障害者権利条約が幾つかの批准国に対して、既に政府レポートに対する勧告とか懸念事項を示していて、オーストラリアも当然、成年後見制度も含めてそうですけれども、さまざまな勧告や懸念事項が示されているわけです。
 例えば、今までだと、私たちはどちらかというとイギリスに学べとか、オーストラリアに学べとか、カナダがいいんじゃないかとか、もちろん私も例えばベルギーとかフィンランドはどうなんだみたいなことを言ったりもするわけですけれども、ある意味で、今この権利条約が21世紀に切り開いた地平というのは、新しい地平に向けての人類の挑戦みたいな部分があって、どこの国だったら模範解答ですということが今のところないわけです。だから、オーストラリアは治療を中断したら直ちに強制入院をさせているのです。だから、日本もそれでいいのですという立論は、必ずしも私は納得できないところがあって、これはさらにそれを超えて、権利条約がいわば、特に25条の健康に対する規定のところでは、任意のインフォームドコンセントが十分な情報を与えられた上での納得して医療を受けるという原則が維持されなければいけないとか、12条がどんな場合でも法的能力というのは平等だとか、14条が障害を理由とした強制、自由の剥奪は許されないと、こういうあたりを本当に実現していくためには、いわば20世紀にやってきたことを繰り返してもだめなんだと。
 それから、ある意味で、どこの国でも100点とれている答案は書けていないわけです。それをなるべく100点に近いような答案をつくっていくためにどうしたらいいのか。そのために、当然先行する経験を学びながら、さらにその先行する経験では不十分なところを、では日本はどう乗り越えていこうか、そういう姿勢が特にこの障害者政策委員会には期待されているのではないかと、私は思っているところです。

○大濱委員 ありがとうございました。
 平川先生、何かございますか。

○平川委員 池原先生と私は何かきょうは同じことを申し上げているようで、患者さんたちのためにうまい仕組みができればと、私も願っています。

○大濱委員 三浦委員、お願いします。

○三浦委員 身障協の三浦です。
 山本さんの御報告で、私は熊本でやはり同じような状況を伺って、介入できないのかと問われたことがありました。それは同性介助が行われていなかったり、同性介助や、性差に配慮したケアが行われていないという内容でしたが、その機関に介入するすべがなかったという経験がありまして、山本さんの御発言なさった事例は民間の医療機関でしょうか。それとも、国立の病院の重心病床だったかを教えていだきたいと思います。

○大濱委員 山本参考人、どうぞ。

○山本参考人 民間の私立の医療機関です。

○大濱委員 よろしいですか。
 時間がないので、1点だけ、山本さんの御発言の5番目で、合併症の入院の拒否があるということでした。これは池原先生に法律的に伺いたいのですが、精神保健福祉法にこのような規制があるということですか。

○山本参考人 医療法上にそういう規定があります。

○大濱委員 今でもあるということですか。

○山本参考人 今でも残っています。

○大濱委員 ありがとうございました。
 それでは、これから10分間休憩に入ります。その後、第2部に移りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


(休憩)


○大濱委員 議題2「医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援」に移りたいと思いますが、ここからの司会は平川委員にお願いします。よろしくお願いします。

○平川委員 まず、前回のワーキング・セッションで河井委員から、基本計画2-(2)-1の関連で、重度障害者等に対するリハビリテーションなどの取り組みについての質問があったと思います。これについて、厚生労働省から説明をお願いします。

○厚生労働省 厚生労働省精神障害保健課、江浪でございます。
 資料4をごらんください。今回、資料4として用意させていただきました資料は、「重度の身体障害者を含めた障害者に対する保健・医療施策について」という中で、もともとの報告の中では精神障害者に限られた内容でございましたので、それ以外の施策についてどういったものがあるかということで、改めて御報告をさせていただくものであります。
 私からは、1枚めくっていただきました1ページの1.について御報告を申し上げますが、自立支援医療費に関しまして、利用者負担につきまして市町村民税の所得割の額23万5,000円未満であるということが支給要件とされているところでありますが、平成30年3月31日までの間は、市町村民税の所得割の額が23万5,000円以上であって、かつ高額治療継続者である者についても、自立支援医療費の対象者とする経過措置を講じているということがございましたので、これを追加で御報告をさせていただきます。

○厚生労働省 引き続きまして、私、厚生労働省の障害児・発達障害者支援室長のタケバヤシでございます。
 2.の「障害福祉サービス(医療系)について」ということで、こちらの部分が前回保健・医療に関して精神医療以外の項目もということに対する直接的な回答になりますが、1つ目としまして療養介護というものでございます。
 対象者としましては、(ア)とございますとおり、病院などへの長期の入院による医療的ケアに加え、常時の介護を必要とする身体・知的障害者のうちALS患者など気管切開を伴う人工呼吸器による呼吸管理を行っている者であって障害支援区分6の方々、それから筋ジストロフィー患者、または重症心身障害者であって障害者支援区分5以上の方々、それから(イ)としまして、平成24年3月末において現に重症心身障害児施設または指定医療機関に入院している方々で、平成24年4月以降も療養介護を利用する方々ということでございます。
 サービス内容については、イのところですが、病院などへの長期入院による医学的管理のもと、食事や入浴、排せつなどの介護や、日常生活上の相談支援を提供するということです。利用状況につきまして、次の2ページ目でございますが、平成26年3月実績で1万9,309人という状況でございます。
 続きまして(2)ですが、医療型短期入所というのがございまして、障害者総合支援法上は短期入所というサービスの項目になっておりますが、障害報酬の告示の中で、福祉型の短期入所と医療型の短期入所というものに分かれております。医療型短期入所というのは、一言で言いますと、医療機関で短期入所を受けとめるといったサービスということになります。
 対象者でございますが、先ほど説明いたしました療養介護対象者または重症心身障害児、遷延性意識障害者など、それから3つ目のポツですけれども、区分1以上に該当し、医師によりALSなどの運動ニューロン疾患の分類に属すると診断された方々。
 サービス内容につきましては、病院、診療所または介護老人保健施設において行われる入浴、排せつ及び食事の介護等ということですが、短期入所という形でこういうサービスが提供されるということ。それから、※印のところにございますけれども、特に医療ニーズの高い方々については、加算による評価も行っているところでございます。
 利用状況ですが、平成26年3月の実績といたしまして、3,334人となっております。
 説明は以上でございます。

○平川委員 ありがとうございました。河井委員、よろしいでしょうか。
 続いて、この議題について、参考人として人工呼吸器をつけた子の親の会<バクバクの会>折田みどり様にお越しいただいております。
 本日は、お忙しい中をおいでくださいまして、ありがとうございます。よろしくお願いします。
 具体的な進め方ですが、まずは折田様から10分間意見を述べていただき、その後、5分間質疑応答を行うという形で進めてまいります。議事進行への御協力をお願いいたします。
 それでは、折田様、よろしくお願いいたします。

○折田参考人 人工呼吸器をつけた子の親の会<バクバクの会>事務局長の折田みどりです。このたびは、このような機会をつくっていただきましたことを感謝申し上げます。
 資料2でお示ししておりますけれども、バクバクの会について少し説明させていただきます。
 バクバクの会は、人工呼吸器をつけた子供や、もう既に大人になった子供たちもいるのですけれども、そういった当事者とその家族、それから支援者で構成された全国組織の団体であります。26年前に、長期にわたって人工呼吸器をつけて入院生活を送っていた子供たちの生活の質の向上、昔はクオリティー・オブ・ライフと言っておりましたけれども、その生活の質の向上を願って、院内の家族が集まり結成したのが始まりです。
 現在の会員数は約500名。バクバクの会は「子供たちの『いのちと思い』を何よりも大切に」を基本理念にして、人工呼吸器をつけていても、どんな障害があっても、一人の人間、一人の子供として、地域の中で当たり前に自立して生きられる社会の実現を目指して活動を続けています。
 会の大きな特徴としましては、人工呼吸器をつけているという状態で集まっておりますので、人工呼吸器をつけるに至った理由は、病気であったり、難病であったり、さまざまな事故であったり、いろいろな理由があって呼吸器をつけているということと、身体的状況につきましても、呼吸器をつけているのですけれども、日中は元気に走り回っているような子供もいれば、逆に低酸素脳症などで意識障害が大変重く、寝たきりの子供もおります。そのように、病態も容体も本当にさまざまな人工呼吸器使用者が集まっている会ということになります。
 また、年齢も現在既にゼロ歳から50歳ぐらいまでと幅広くなっておりまして、会員が抱えている問題や課題は常に多様で、多岐にわたっているところです。
 主な活動内容としましては、保育や教育、生活全般、また震災等の実態調査や情報収集、情報提供、それから相談支援、人工呼吸器をつけた子供たちへの社会的理解を図る活動として医療的ケアの研修事業やいのちの学習会、講演会の開催などを行っています。
 また、生活便利帳や防災ハンドブック、退院支援ハンドブックといった生活に役立つ冊子の発行や、会員相互の情報交換、意見交換、交流会なども行っています。
 現在、全国に13支部ございます。
 本日は、医療的ケアを必要とする当事者である折田涼さんと一緒に参りました。彼は現在26歳で、6年前から親元を離れて、ヘルパーさんが常時2人体制でひとり暮らしをしています。24時間人工呼吸器を使用しながら地域生活を送ってきた彼の実践的な取り組みと、全国の会員から寄せられる相談やアンケート調査結果等を踏まえて、医療的ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援などの現状と課題もあわせて述べさせていただきます。
 大濱さん資料1の1ページのII-2-(1)-2、1-(1)-2、2ページの1-(2)-1、1-(2)-2、4ページの1-(3)-4、1-(3)-5、5ページの1-(3)-6、1-(4)-4、1-(4)-5、6ページの1-(4)-6、それから15ページの2-(5)-4の難病のところにも関連するお話になるかと思います。
 では、地域で当たり前に生きるということも踏まえてお話しさせていただきます。
 人工呼吸器を使用しているなど医療的ケアを必要とする子供たちが、地域で当たり前に生きていくためには、保育・教育を含めたあらゆる日常生活の場面において、医療的ケアを含めて本人を主体にした支援がなされる必要があります。
 しかし、医療的ケアが提供されないため、親が学校や保育所にも常に付き添いをしなければならないケースや、居宅介護においても医療的ケアを提供してもらえず、子供のそばから片時も離れられないといったケースはまだまだ多く、24時間のケアで親は疲れ切り、子供の将来の地域生活に展望が見出せなくなっている方もおられます。そのため、親が年をとれば、最終的には施設に入所させるしかないといった選択をせざるを得ないという悪循環を断ち切ることができていないのが現状だと思います。
 大濱さんの資料を見せていただいて、厚生労働省から種々示されております在宅サービス基本計画の実施状況等は年々進んでいるということですけれども、子供の場合、例えば人工呼吸器使用で常時介護や見守りを必要とするという場合であっても、子供は1カ月間13時間までしか居宅介護時間は出さないとか、子供は2時間以上連続のサービスは提供できないとか、未就学児は移動支援の利用は一切認めていないといった対応をしている市町村があります。年齢に関係なく、個々の障害のニーズや実態に応じて在宅サービスの提供がされるべきかと思いますが、子供は一律の扱いをされていて、それ以上の対応をしてもらえておりません。
 そこで、2点、ぜひお願いしたいのですけれども、各サービスの実施状況の報告に、子供の利用状況がどうなのか、進んでいるのかいないのかがわかるようにしていただきたいというのが1つと、子供であることで単に一律の扱いをするべきではないということを市町村に周知していただきたいというのが1つです。
 次に、医療的ケアについてですが、実施のためには喀痰吸引等の研修を受けなければならず、やはり新たに医療的ケアを提供する事業所は少ないです。そのため、人材は常に不足しています。ヘルパー研修費の補助や喀痰吸引等の体制加算の算定を、特定事業所加算を受けている事業所も受けることができるようにするなど、医療的ケアの人材育成のための施策をもっと考えていただければと思っています。
 また、居宅サービスにおける医療的ケアは、細々とではありますが、推進されているようですけれども、保育や教育の場における医療的ケアの推進状況や、当事者と家族の切実な声を内閣府や厚生労働省の皆様も把握されているのでしょうか。さきにも述べましたが、保育・教育の場での親の付き添いの強制が後を絶ちません。
 バクバクの会で昨年行った保育や教育の実態調査では、7割以上の親が学校での付き添いをさせられており、付き添いをしている親のほぼ全員が医療的ケアも行っているという結果でした。要するに、医療的ケアが提供されないために、親が付き添わざるを得ないということです。子供たちにとって保育や教育の場も地域生活の中の大切な一つですが、親の付き添いは親離れ子離れの機会を奪い、子供の自立と社会参加を妨げる大きな要因となっています。
 喀痰吸引等の制度が最大限有効活用され、保育・教育の場でも医療的ケアが提供されるように、研修費の補助や医療的ケア実施体制のための補助費をつけるなどして、子供たちが親の付き添いなく保育所や学校に通えるようにしていただきたいです。
 それから、医療的ケアのニーズの把握についてですが、子供を親が見るのは当たり前とされて、各種行政の窓口で申請そのものを受け付けてくれなかったというケースも後を絶っていません。果たして、ニーズがあるその人たちのことも把握されているのかも疑問です。子供にも医療的ケアを提供しますという事業所はさらに少なく、申請しても受け付けてもらえないということで諦めている親も多いと思われます。本当に医療的ケアを必要としている人のニーズをきっちり把握し、計画に反映させていただきたいと思っています。
 私から以上ですが、続いて折田涼より発言させていただきます。

○折田涼氏 大阪府池田市から参りました折田涼と申します。
 私は、指定難病の一つ、脊髄性筋萎縮症を持って生まれてきました。その中でも、乳児期に発症する重症型で、生まれたときから筋力が弱く、生後6カ月より24時間人工呼吸器を使用しています。現在は、眼球以外は自力で動かせるところはなく、身体的には寝たきりの状態です。コミュニケーションは、まばたきによるイエスノー方式でとっています。座位も不能なため、移動時は寝たままの状態で乗れるベッド型の車椅子を使用しています。
 私の車椅子は幅70センチ、長さが160センチあるため、エレベーターがあっても乗れないことや、公共交通機関で乗車拒否されることがあります。特に新幹線は120センチ以上のものは乗せられない規定があるそうで、先日も新潟のバクバクの会の子が乗車拒否に遭い、学校の友達と一緒に修学旅行に行けなかったということがありました。
 5年ほど前ですが、私も品川駅で、そのときは人工呼吸器を使用しているので乗せられないと言われ、乗車拒否を受けたことがあります。きょうは運よく乗車拒否に遭わず、無事に皆さんのところに来ることができましたが、帰りに乗車拒否に遭って大阪に帰れないかもしれないという不安が若干あります。
 では、1-(2)-2、1-(2)-1、1-(2)-2、1-(4)-4、1-(4)-5、1-(4)-6、2-(2)-1、II-2-(1)-2に関連して発言させていただきます。
 私からお伝えしたいことは、24時間人工呼吸器使用、寝たきり、コミュニケーションはまばたきのみ、全介助が必要でも親の付き添いなしで地域の学校に通い、ひとり暮らしもできるということです。
 必要なときに必要なケアをしてくれる人が常にそばにいてくれれば、私はどこへでも行けるし、どこででも暮らせます。けれども、24時間2人体制の介護時間はどの地域ででも保障されるわけではありません。
 今住んでいる池田市でも、24時間2人体制の時間数は出ていません。大阪市に住んでいた私と同じ病気の友達も、自立を目指してひとり暮らしにチャレンジをしましたが、大阪市からは重度訪問介護を400時間しか出してもらえず、自立生活の夢をかなえることができませんでした。彼女は、400時間で生きていくことができないことが明らかな者に対して、それでも行政は400時間の支給が妥当であると言う、それは自立して生きることを認めないと言っているのと同じだと言っていました。
 そして、一番言いたいことは、障害が重くて医療的ケアが必要で、2人介護が必要で、それでも自立して自分らしく生きたいという気持ちはほかの人と変わりありません。そんな人にひとり暮らしは無理でしょうという偏見、差別をなくしてください。どんな人でも自立して生きられるよう、一緒に考えてください。本当に困っていますと、今も天国から諦めず伝え続けています。
 住む地域によって介護時間やサービスに違いが出るのは大きな問題です。どうすれば全国どこの地域ででも必要な介護時間が保障され、住みたいところに住めるようになるのか考えていただきたいです。
 医療的ケアが必要な重度の人も、周りに支えてくれる人や見守ってくれる人がたくさんいれば、地域の中でずっと暮らしていけるはずです。そのためには、子供のときから当たり前の生活の中で、親ありきではなく、医療的ケアを含めた本人主体の支援を行う視点が必要です。そのことを忘れないでいただきたいと思います。
 以上です。

○平川委員 ありがとうございました。
 それでは、質疑応答に移りたいと思います。各委員から御意見や御質問等がおありでしたら、挙手をお願いいたします。
 河井さん、どうぞ。

○河井委員 河井です。
 折田さん、遠路はるばるありがとうございました。大変参考になるお話でした。厚生労働省の方にも短い期間で数字を出していただいて、ありがとうございます。
 この中で、折田さんに質問ですけれども、現状で療養介護というのは施設入所ということでありまして、重心の方が入所して、その施設内で24時間365日を完結しているという制度ですね。私どもも子供が重度で、仲間うちの中で、どうしても医療の支援が必要なんだけれども、療養介護を利用すると、結局そこにしかいられなくて、日中ほかの生活を選択することができない。だから、それはやはり選択肢の中になくて、在宅で医療的ケアなものがなかなか受けられなくて、親は大変なのだけれども、子供のことを考えたら療養介護を選ぶことができないという人が多いのですけれども、折田さんのおられる団体の中で、療養介護という制度について何かお考えがあれば、例えば夜間と日中を分離して、日中の活動を保障するとか、何かそういったものの御要望があるかどうか伺いたいと思います。

○折田参考人 滋賀のびわこ学園とか、そういうところに入所されている方も会員の中には何名かいらっしゃいまして、就学中は日中は学校に行ったり、お出かけすることも可能なのですけれども、卒後の日中活動が極端に減るということで、やはり大変困っていらっしゃる。今は移動支援が若干使えるようになったということで、それでも月に1回ぐらいの時間しか出ていないのですけれども、それを使って出かけることはできているのですが、それ以外のところで、例えばどこか地域移行のためにヘルパーさんと出かけていってお泊まりの練習をするとか、そういうものがないということで、相談支援は受けておられて、相談には乗ってもらっているのですけれども、そうですねと言うだけで、何もないですねというところでとどまっているということで、親御さんも本人さんも出られない状態であるということは確かにあります。
 ボランティアの活用ということも考えておられるのですけれども、大変山の中にある施設でして、なかなかボランティアさんも来られないということなので、もっともっと地域の中にそういう小ぢんまりとした拠点があったほうが、より多くの人にかかわってもらいやすいだろうなと思います。
 ケアホームが進んでいますけれども、やはり人工呼吸器をつけた人までは手が回らない。採算が合わないので、やりますというところもなかなか出てこないという状況は聞いております。

○平川委員 ありがとうございました。
 ほかに。佐藤さん、どうぞ。

○佐藤委員 DPI日本会議の佐藤です。折田さん、ありがとうございました。
 喀痰吸引に関する加算が不十分ではないかというお話があったと思います。その中で、厚労省にぜひデータをお出しいただきたいと思ったのですけれども、喀痰吸引は数年前からヘルパーもできるようになりましたが、この間の人員、ヘルパーの数、利用時間、事業所の数、利用者の数といったもののデータの推移を教えていただきたい。これが1つです。
 もう一つは、文科省になるのかもしれませんけれども、学校の中での親の付き添いというのが非常に多い、これは学校の中での医療的ケアがされていないからだというお話がありました。では、実際どのぐらいの付き添いが実態として学校の中であるのか。特別支援学校、普通学校、それぞれあると思いますので、そちらのデータもお願いしたいと思います。
 以上です。

○平川委員 ありがとうございました。
 厚労省のほうから。

○厚生労働省 きょうはちょっと無理だと思いますが、把握している限りのデータをお出ししたいと思います。

○平川委員 よろしくお願いします。佐藤さん、それでよろしいですか。

○佐藤委員 はい。

○平川委員 それでは、三浦さん、お願いします。

○三浦委員 2点ほど質問と、意見がございます。
 まず、先ほどの療養介護、河井さんの御質問に関してですけれども、厚労省のほうに確認ですが、療養介護は入所支援と一体となっている制度のみだったでしょうか。事業所の受け入れが可能であれば、昼夜を分離して、日中だけの療養介護というのは可能であるか、もしくは日中活動として生活介護のほうで医療的ケアが必要な方々も全部カバーするようにと、制度上しておられるかを確認したいのです。

○厚生労働省 療養介護ですけれども、障害者総合支援法の中では少し特殊な位置づけのサービスになっておりまして、日中活動と位置づけられてはいるのですが、基本的に病院、要は入院をしていただく形で活用をしていただく。
 要は、病院に入院されているので、例えば病院に対する報酬の基本的なところは実は診療報酬で払われるのですけれども、診療報酬で見ているスタッフとは別の追加的な福祉のスタッフを置いていただくことに対して、障害者総合支援法のほうから療養介護に対する報酬を支払うという形になっていますので、入所支援と一体とかそういうことではないのです。ただ、病院に入院をしているという状態を前提にしておりますので、そこから別の生活介護などに通うことを想定しているものではないというのが今の仕組みになります。

○平川委員 三浦さん、どうぞ。

○三浦委員 ありがとうございます。
 そうしますと、御家族でいらっしゃる河井さん方が御質問されたように、医療的ケアが必要でも、今、日中活動としてその方々を受け入れることのできる制度上の仕組みは生活介護しかないわけですね。生活介護の支給日数は、原則は一月に22日だったと思いますので、土日の支給までは、特別な事情がないと認めておられませんけれども、そのあたりはいかがでしょうか。何か御検討をなさっておられますか。

○厚生労働省 確かに、大人になった障害者の方に関して言いますと、療養介護以外の日中活動としては生活介護ということになります。それで、原則としては22日までということで、ただ現場の運用は、医療的ケアが必要だから30日認められているのかどうか、今ちょっとわかりませんけれども、どのぐらい医療的ケア、特に重度の方々に対応できているかというのがなかなかわからない面もありますが,少なくともこの4月から、常勤で看護師さんを置く場合にはそれ用の加算というのを新設しておりますので、もう少しその加算の算定状況などを見ますと、実態のほうはわかってくるのかなというところでございます。

○三浦委員 ありがとうございます。加算は1人までなのです。平均大体4人ぐらい看護師はいるのですけれども、今そこは重要なポイントで、地域で暮らしやすくなれるかどうかがホームヘルプの支給とあわせて、日中活動の場の確保と言われておりまして、そのあたりは要望としてもお願いしたいところです。
 もう一点ですが、このワーキング・セッションに入る前に、1カ所、もっと早く気づけばよかったのですけれども、厚労省のほうの文書でも、今、折田さんの御発言の中でも、「医療ケア」ではなくて、「医療的ケア」と申しております。この医療的のほうになりますと、直接医療職が行わなければいけないケアだけではなくて、先ほど佐藤さんからも御発言がありましたように、一定の研修を受けた介護職や教職の方々かケアができるように、法が改正されましたので、もしよろしければ、私たちのセッションのほうも「医療的」と、「的」を追加していただければと提案をさせていただきます。

○平川委員 ありがとうございました。お答えはいただくのですけれども、これはまとめで答えていただくということでよろしいでしょうか。
 まだ時間が少しございますが、御意見はございませんでしょうか。
 御意見がないようですが、時間的には質疑応答を終了するようなシナリオにはなっているのですけれども。どうぞ、伊藤さん。

○伊藤委員 今、三浦委員の発言ですけれども、医療ケアと医療的ケアというのは違うもののようには感じるのですけれども、このあたりの解釈というのはどうなのでしょうか。

○平川委員 厚労省のほうでお答えいただけますか。

○厚生労働省 医療的ケアが何であるかということ自体は、特に法令で規定されていませんので、医療的ケアという用語は、使う人によっていろいろな使われ方をするのだと思いますけれども、一般的には急性期の治療行為ではないような、日常の生活を支えるための例えば人工呼吸器の管理とか、そういったもので、これはものによっていわゆる侵襲性の高い低いというのはあると思うのですけれども、基本的には医療職の方が行っているのだけれども、最近の制度改正で一部、痰の吸引などのように一定の研修を受けた人であれば、福祉職でありますとか、学校の先生でもできるというものも入っているわけです。そんなものばかりではなくて、医療的ケアというのは本当に医療職しかできないようなケアも含まれていると私は理解しております。

○平川委員 ありがとうございます。難しいですね。
 では、大濱さん、どうぞ。

○大濱委員 今の説明の中での医療的ケアですが、それは、医療職にしかできないけれども違法性阻却に基づいて実施されている行為だけではなく、例えば摘便のように医行為かどうか明示されていないものも含んでいるという意味合いですか。

○厚生労働省 私でよろしいですか。違法性阻却ということについては、なかなか私もお答えするのは難しいですけれども、一般的に医療的ケアということを言ったときには、研修で明確に福祉職でもできますというものではない部分も含まれていると、私個人は理解しておりました。

○平川委員 大濱さん、どうぞ。

○大濱委員 いわゆるグレーゾーンと言われるものについても、全て医療的ケアということで厚労省は解釈している、そういう意味合いでよろしいのでしょうか、そうではないということでしょうか。

○厚生労働省 医療的ケアの範囲のオフィシャルな定義を私のほうで言うのも難しかったりするので、今、私個人として、日々業務の中で医療的ケアということを言うときに、どういう意味合いで言っているかということを申し上げた次第でございまして、ここで公的な見解をと言われると、すぐには説明ができない、準備をしていないということでございます。

○平川委員 ありがとうございます。
 では、伊藤さん、どうぞ。

○伊藤委員 しつこいようですけれども、このタイトルにある「精神障害者・医療ケアを必要とする」云々というタイトルと、今、三浦委員の言われたような医療的ケアを必要とするということだと、これまでの議論の積み立て方がかなり違ってきたのではないかという気もするものですから、これは2つ分けて使うのか、どちらか1つにするのかはっきりしないと、今後も困るのではないかと思います。

○平川委員 三浦さん、助けてください。

○三浦委員 伊藤委員、済みません。大きなテーマに係ることかと思いましたので発言をしてしまいましたけれども、医療ケアというときには医療従事者しか行えないケアという印象を私たち福祉関係の者は持っているものですから、この議論の渦中で大濱さんが常時介護を必要とするような人たちの地域移行もこのテーマの中に入れてくれと言っていただきましたときに、非常に短い時間で議論をいたしまして挙げていって、医療的ケアなのか、医療ケアなのかの議論までがなされていなかったなという反省に基づき、もし医療的ケアと、きょう厚労省のほうの文書も、それから折田さんの御発言もありましたので、いわゆる医療職以外の人たちも行えるようになったケアを含んでというイメージで、「医療的」という「的」を入れたらどうかという整理の提案をしたところでございますが、大濱さん、いかがでしょうか。

○平川委員 大濱さん、どうぞ。

○大濱委員 そうですね。三浦委員の整理で正しいと思います。医療職の資格のない人たちが研修等を受けて行う痰の吸引と経管栄養、あとグレーゾーンので実施されている摘便や人工呼吸器の管理などを医療的ケアと呼んでいるという実情は在宅支援でも同じです。これに対して、いわゆる医療ケアというのは、医療従事者でなければ行えないケアというイメージです。ですから、どちらかというと、地域移行については「医療的ケア」という言葉を使ったほうが正しいと思います。ありがとうございます。

○平川委員 議論、ありがとうございます。
 ほかに。折田さん、竹田さん、せっかく見えていらっしゃるから、何か御意見があれば最後に一言いただければと思います。

○竹田参考人 竹田です。
 ユニバーサルのことについて、前回も少しだけ最後にお話しさせていただいたのですが、やはりユニバーサルの基準をどう捉えていくのかというのはもう少し考えていただきたいなと。今はどちらかというと、基準をつくったものに対して合っているか合っていないか、段差とかスロープがあるとかないとか、トイレの広さがどうなのかということで、震災対策を含めて基準が考えられていると思います。
 でも、震災の経験からいうと、例えば電源対策がなかったがために、人工呼吸器や電動の車椅子が使えなかったりという、災害対策自体がユニバーサル基準としては少し合わなくなってきたのではないかと思います。
 そういう意味では、今の時代のユニバーサルの基準がどういう基準に合わせていったらいいのかということを考えていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 また、国交省の方に前回もお伝えしたのですが、資料を見ますと、福祉ハイヤーが伸びているとなっているわけですが、実際に私たちが地域で暮らしていく中では、手を挙げてとまれるような車椅子のタクシーが走っているという実感は全くないのです。なぜタクシーがふえているのに、一方では自由に使えるような移動環境が整っていないのか。タクシーという基準自体が、私たちが思っている福祉タクシーの基準とここに取り上げられている福祉タクシーの数の推移というものが違うのではないかと感じていますので、この辺の言葉の使い方として、福祉タクシーとは何なのか、あるいは障害者自身が抱えているタクシーの情報というものがどういうものなのかということをぜひ検討していただきたい。
 最後にもう一点ですが、療養介護の部分ですが、私たちは政策医療としての療養介護という位置づけが変わってきたと思っているのですが、この療養介護の位置づけが変わったときに、もともと政策医療は児童福祉法ですとか、そういうものを背景にしてでき上がってきた部分があるのかなと思います。そう考えたときに、区分5以上が療養介護の対象だということになれば、進行性の難病の子供たちはこれから障害が重くなるわけですから、療養介護を必要としている子供たちのニーズをどう捉えていくのか。要するに、重度にならなければ使えないということになると、果たして児童福祉法を背景とした政策医療と療養介護の区分5というものがつながっていっていないのではないかと思っていますので、この辺の検討もぜひお願いしたいと思います。

○平川委員 ありがとうございました。
 国交省の方が見えているので、一言、どうぞ。

○国土交通省 国交省の総合政策局のホリウチでございます。
 先ほどの福祉タクシーの件につきましては、前回バリアフリーのところで、第21回障害者政策委員会で少し御説明したのですが、まず2020年までに2万8,000台を目標としておりまして、現状2013年度末としては1万3,978台ということで、20年までの目標に対しても半分ぐらいしか行っておらず、まだまだ未整備だということと、あと、先ほどの御指摘の数だけふやしてもということで、障害者の方がより使いやすくなるというところに関しては、あわせて所管部局の自動車局を含めて総合政策局として今後検討してまいりたいと考えております。
 以上です。

○平川委員 ありがとうございました。
 時間が大体来ましたので、このあたりで質疑応答を終了いたします。皆様、御協力、ありがとうございました。
 本日は以上となります。また、ワーキング・セッションIIでの議論もこれで終了となります。
 今後の予定について、事務局からお願いいたします。

○加藤参事官 事務局です。
 お手元の参考資料2をご覧ください。資料2は今後のワーキング・セッションと障害者政策委員会の予定を記載しております。
 今、平川委員のほうから御説明がございましたとおり、ワーキング・セッションIIでの議論はこれで終了し、前回と今回の議論を受けて、事務局におきましてワーキング・セッションの議論の整理、たたき台を作成します。それをコーディネーターに御確認いただき、第23回の障害者政策委員会にコーディネーターから提示していただいて、ワーキング・セッションでの議論の概要を御報告いただくことになります。
 第23回政策委員会につきましては、現在、7月以降を予定しておりますが。日時や場所につきましては、決まり次第、事務局のほうから御連絡を申し上げます。
 なお、次回、第22回の障害者政策委員会につきましては、6月29日月曜日の13時30分を開始予定としております。場所は8号館1階講堂でございます。この建物ではなくて、官邸のほうに近い8号館の1階でございます。
 以上でございます。

○平川委員 これをもちまして、障害者政策委員会ワーキング・セッションII(第2回)を終了いたします。
 ありがとうございました。