障害者政策委員会ワーキング・セッションII:精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など 議事録
○大濱委員 ワーキング・セッション「II 精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など」の第1回目を開催させていただきます。
本日の前半の司会を務めさせていただきます、このワーキング・セッションのコーディネーターの大濱です。よろしくお願いいたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙中のところお集まりいただき、ありがとうございます。
本日のこの会議は、15時30分までを予定しております。
それでは、委員の出欠席を事務局からお願いいたします。
○加藤参事官 事務局でございます。
本日のワーキング・セッションIIでございますが、コーディネーターの上野委員、大濱委員、川﨑委員、平川委員のほか、石川委員長、伊藤委員、大河内委員、大日方委員、河井委員、佐藤委員、松森委員、三浦委員が出席されています。
なお、会議の冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入りまして、写真撮影が行われますので御承知おきください。
以上です。
○大濱委員 それでは議事に入りますが、その前に、この会議のときは委員長から毎回お願いがあると思うのですが、挙手をいただき、司会の私から指名を受けてから発言をお願いします。最初に結論を述べて、できるだけその結論に即した理由や説明をしていただきたいのですが、そういう形での合理的配慮をしていただければよいのではないかと思っています。
また、発言の際はまずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり、わかりやすく発言するようお願いいたします。できるだけマイクに近寄って、皆さんに聞こえるように発言をしていただきたいということです。
本日は、精神障害者と医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援などの分野における第3次障害者基本計画の実施状況について、議論をいただきたいと考えております。
それでは、会議の資料と流れについて事務局より御説明をお願いいたします。
○加藤参事官 事務局でございます。
本ワーキング・セッションの会議資料と流れにつきまして御説明いたします。
まず、会議資料でございます。
資料1「障害者政策委員会ワーキング・セッションII 精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など」
資料2「進行性神経筋疾患児(者)の地域生活における課題について」
資料3-1「1年未満群平均残存率と1年以上群退院率」
資料3-2「各年6月入院者に対するその後の退院患者数の割合」
資料3-3「グループホームの利用者数の推移」
資料3-4「精神病床における患者の動態の年次推移」
資料3-5「入院期間別疾患別推計」
資料3-6「精神病床の利用状況調査結果報告(詳細)(論点整理を踏まえたデータ)」
資料3-7「障害者保健福祉関係予算の概要について」
資料3-8「平成23年度厚生労働省主要予算概要(抜粋)」
参考資料1「障害者政策委員会ワーキング・セッションについて」
参考資料2「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視に係る今後のスケジュールについて(案)」
参考資料3「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視について(案)(第20回障害者政策委員会資料の抜粋)」となっております。
なお、委員の皆様には、机上に常備いたします資料として「障害者基本法」「障害者基本計画」「障害者基本計画の概要」「障害者基本計画の実施状況」「障害者の権利に関する条約」をファイルで御用意してございます。
次に具体的な進行についてですが、まず、厚生労働省、国土交通省より、精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援などの分野における第3次障害者基本計画の実施状況について説明があります。
その後、残りの時間を2つに分けまして、前半では精神障害者の地域移行の支援について参考人からのヒアリングを行い、5分間の休憩を挟んで、コーディネーター3名の方から委員陳述を行い、その後、20分間意見交換を行います。
後半では、医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援について参考人からのヒアリングを行い、その後、質疑応答を行います。
以上でございます。
なお、これ以後の写真撮影は御遠慮いただきますようお願いいたします。
○大濱委員 ありがとうございました。
それでは、厚生労働省からの説明をお願いします。
○厚生労働省 厚生労働省精神障害保健課精神保健医療統括推進官を務めております江浪と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
私からの御説明に関しましては、この会議におきましてデータを示すようにと幾つかいただいたものがありますので、それを中心に御説明をさせていただければと考えております。
まず、お手元の資料3-1をごらんください。
資料3-1は、平成16年9月の精神保健医療福祉の改革ビジョンで提示されました平均残存率と退院率というものを資料として提出するようにということでございましたので、抜粋したものを提出させていただいたものでございます。可能であれば認知症と他の精神疾患を分けた形でのデータをということでございましたけれども、今回、分けた形でのお示しができていないことを御理解いただければと思っております。
次に資料3-2でございますけれども、入院後3カ月時点の退院率、入院後1年時点の退院率に関しまして、平成16年から直近までの各都道府県別のデータをお示しするようにということを受けまして、提出をさせていただいた資料でございます。
若干見にくい表でございますけれども、1ページとなっているものが、6月に入院した方に関します8月までの退院患者の割合ということでございます。
その後、右側にございますのが、6月入院者に対しますその後の退院患者数の割合ということでございます。
資料3-3に関しましては、地域の受け皿についての進捗ということでお求めのあった資料についてでございます。この受け皿に関しましては、いろいろな考え方があるかと思いますけれども、今回お示しをさせていただいておりますのは、グループホームの利用者数の推移を示させていただいたものでございます。これに関しましては、精神障害ということで限ったものではなく、障害者全体の数字であるということにつきまして御留意いただければと考えております。
資料3-4に関しましては、精神病床の入院患者さんの動態の年次推移ということで、平成21年度から直近のものということでお求めのあった資料でございます。資料を見ていただきますと、年間新規入院患者数はおおよそ40万人いらっしゃいまして、そのうち1年以上入院される方がおおよそ5万人ぐらいいらっしゃるということでありまして、1年以上入院されている方が20万人ぐらいいらっしゃるという状況でございます。
資料3-5は、入院期間別の疾患別の状況でございます。精神疾患による推計入院患者数在院期間別というものと、疾患別の在院日数別の年次推移というものをお示しさせていただいているところでございます。
資料3-6に関しましては、精神病床の利用状況に関する調査速報の確定版をという御依頼のあったものでございます。これに関しましては、平成20年6月の検討会で、速報ということで御報告を申し上げておりますが、同年9月の検討会に詳細版ということでデータを報告させていただいておりますので、本日その資料を御参考までに配らせていただいたものでございます。
また、資料3-7と3-8でございますけれども、障害保健福祉関係予算の概要ということで、21年度から直近のものまでという御依頼があったものでございますけれども、平成24年度以降のものにつきましては資料3-7に載せておりまして、平成23年度に関しましては資料3-8に、厚生労働省の主要予算からの抜粋ということで、本日出させていただいております。平成21年度と22年度に関しましては、磁気媒体での準備ができなかったので、本日配付させていただくことができなかったということでございます。
私からの説明は、一旦以上です。
○厚生労働省 引き続きまして、私、厚生労働省障害福祉課の障害児・発達障害者支援室長の竹林でございます。
私からは、この会議に先立ちまして、大濱委員から医療的ケアを必要とする重度障害者の地域移行に関しまして資料提供の御依頼がございまして、それに関してでございますが、御依頼の内容が、医療的ケアの要否を区別できるサービスの利用者数や費用の額につきまして、喀痰吸引等支援体制加算といった医療的ケアに関する加算の算定の有無と、障害支援区分や年齢階級あるいは性別あるいは独居、家族同居の別などをクロスをさせて集計できないかということであったわけでございますけれども、実は医療的ケアに関する加算の算定の有無別に集計をするといったことが、現時点ではできないという状況がございます。
したがいまして、お求めの数字自体は集計ができないということで、本日この場で資料は提出していないわけでございますが、クロスをさせない形で、例えば各サービスについての喀痰吸引等支援体制加算などの算定人数でございますとか、障害支援区分ごとの障害福祉サービスの利用者数など、単純に集計することができる部分もございますので、この場をかりまして、これらについて簡単に口頭で補足説明をさせていただきたいと思います。
まず、各種加算の算定の状況は27年1月の状況でございますけれども、サービス種別ごとということですので、居宅介護の喀痰吸引の加算が785人、重度訪問介護の喀痰吸引の加算が825人、同じく重度訪問介護のいわゆる15%加算、重度障害者等包括支援対象者の場合の加算は1,268人、行動援護の喀痰吸引の加算の算定者数が1人、同行援護の同じ加算の算定者数が10人、短期入所の重度障害者支援加算が2,329人、共同生活援助、グループホームでございますけれども、重度障害者支援加算が4,029人、施設入所支援の重度障害者支援加算が3万5,654人でございます。
障害支援区分ごとでありますとか、年齢階級ごとの障害福祉サービスの利用状況でございますが、重度ということですので、区分4について全体の利用者数が8万8,452人、1人当たりの利用額が19万1,621円。区分5ですが、利用者数が8万2,748人、1人当たりの費用が28万1,319円。区分6ですが、利用者数が12万6,625人、1人当たりの費用が37万5,414円でございます。
あと、年齢階級ごとの利用者数ということで、これも同じく27年1月の状況ですけれども、18歳未満が1万6,462人。これは障害福祉サービスということですので、児童のサービスは含んでいないはずです。18歳以上20歳未満が1万9,590人、20歳以上30歳未満が12万7,601人、30歳以上40歳未満が13万3,033人、40歳以上50歳未満が15万5,537人、50歳以上60歳未満が12万7,464人、60歳以上65歳未満が6万8,608人、65歳以上が7万6,468人、合計で72万4,763人という状況でございます。
私からの補足説明は以上でございます。
○大濱委員 ありがとうございます。
厚生労働省の方、今の数字はペーパーで出してもらえないのですか。
○厚生労働省 間に合わなかったので口頭で申し上げましたが、例えば次回のワーキング・セッションなり、いずれかの場でお出しすることは当然可能でございます。
○大濱委員 遅くとも次回まで。できれば、きょうの15時からこのあたりの議論をしますので、15時に間に合うようでしたら出してください。
○厚生労働省 わかりました。点字とかは無理ですけれども、そのままお出しすればよろしゅうございますでしょうか。
○大濱委員 ありがとうございます。
それでは、国土交通省の方、よろしくお願いします。
○国土交通省 国土交通省住宅局住宅政策課の植田と申します。
私から、お手元の青いファイルの「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)」というのが上から4つ目のポツでございまして、青表紙の第3次の実施状況というペーパーの47ページと48ページに、生活環境関係の施策の基本的方向と実施状況、推進状況が書かれたところで、47ページが国土交通省関係で3項目、48ページの一番下のほうに1項目、計4項目ございますので、こちらの4項目を資料に沿って報告させていただきます。
1点目が、公営住宅のバリアフリー対応についてです。
現在、公営住宅を新たに整備する際には、バリアフリー対応を原則とするとともに、既存の公営住宅のバリアフリー化改修を促進し、障害者向けの公共賃貸住宅の供給を推進しています。新たな公共住宅については、平成24年度については1.5万戸、25年度については1.6万戸を供給しております。また、既存の公営住宅等のバリアフリー化のストックについては、平成25年度で約103万戸となっております。
2点目、民間賃貸住宅への円滑な入居の促進についてです。現在、障害者世帯を含む住宅の確保に配慮を要する方々への民間賃貸住宅への円滑な入居の推進を図るため、地方公共団体、不動産関係団体、居住支援団体が連携して、住宅セーフティーネット法に基づく居住支援協議会を設置し、必要な情報の提供など、地域の実情に応じた活動を行っているところです。国土交通省では、これらの取り組みに対する支援を実施しておりまして、平成25年度末現在で42協議会、26年度時点で48協議会が設立されております。
3点目は、障害者や民間賃貸住宅の賃貸人が行うバリアフリー改修等の促進についてです。障害者等の入居を拒まない民間賃貸住宅を整備することを目的としまして、民間賃貸住宅の賃貸人が行うバリアフリー改修等について支援を実施しております。支援の実績についてですが、平成25年度は約1.1万戸、平成26年度は約0.9万戸という数字になってございます。
最後に、住宅のバリアフリー化についてお話しします。これは障害者に限定した話ではなく、65歳以上の高齢者が居住する住宅についてのものになるのですが、2カ所以上の手すり、あるいは屋内の段差解消といった一定のバリアフリーがなされた住宅の割合としまして、平成20年度は37%、平成25年度は41.2%となっております。
また、2カ所以上の手すりと、屋内の段差が解消されることと、車椅子で通行が可能な廊下幅という全てを満たす高度なバリアフリー化がなされた住宅の割合としましては、平成20年度は9.5%、平成25年度は10.7%となっており、緩やかではありますが、増加傾向にあります。
以上、私からの報告とさせていただきます。ありがとうございました。
○大濱委員 ありがとうございます。
それでは、質疑応答に移りたいと思いますので、各委員、質問がある方は挙手をお願いいたします。
左から、川﨑委員、お願いします。
○川﨑委員 精神障害者の家族会の川﨑です。
今の国土交通省の資料の説明についてですが、一般、民間の入居に関しましては、やはり精神障害者ということでなかなか受け入れてもらえていないという実情がありまして、今、いわゆる一般のアパートなどにはなかなか入れない状況にあるのですけれども、そういうところへの啓発みたいなことはやっていらっしゃるのでしょうか。
○国土交通省 先ほど2点目で、民間賃貸住宅への入居の支援の推進ということで協議会の数を申し上げましたが、この協議会においてそういったところの推進を行っております。
○川﨑委員 まだ地域ではなかなか進んでいなくて、断られる方が多いということを聞いておりますので、ぜひともこの点を含めて協議を深めていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○大濱委員 ありがとうございます。
国土交通省さん、よろしいですか。
○国土交通省 ありがとうございます。
○大濱委員 ほかに質問は。河井委員、どうぞ。
○河井委員 全肢連の河井です。
厚生労働省の方に伺います。分野別の1-(2)の部分で、各サービスの実績等の数字が出ているのですけれども、これらについてのニーズの調査はどういう形で行われているのかということ。
あと、達成率はどうなのか。全体を包括した数字は、このページの途中に出ているのですけれども、居宅であるとか重訪といった形の達成率が出ておりませんので、それがわかれば、きょうでなくてもいいのですけれども、後日教えていただきたい。
分野別の保健・医療の2-(1)で医療のことが書かれているのですが、実施状況が精神の方の実施状況のみ記載されておりまして、医療が必要なのは精神の方だけではなく、重度重複の身体の人たちも、リハビリテーションも含めて必要としているところでありまして、これらの取り組みについて何かあれば伺いたいと思います。
以上です。
○大濱委員 厚生労働省の方、できる範囲内で返答をしていただきたいのですが。
○厚生労働省 厚生労働省でございます。今、御指摘の資料がどれのことだか確認をさせていただいています。
○河井委員 「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)」という資料の分野別2-(1)です。ここに在宅サービスの利用状況ということで実績が記されているのです。達成率に関しましては、この項目の後ろのところに包括した形で記されているのですが、これの目標値をどのように算定しているのかということと、分野別の各事業別の達成率がわかればということです。きょうは難しいかもしれないですけれども。
○厚生労働省 まず、目標値の立て方は、きょう私が申し上げることが間違っているようであれば次回訂正させていただきたいと思いますが、基本的に障害福祉計画については市町村で計画値を立てる。そのときには、足元というか、過去直近の何年間かの実績とか利用者の利用意向、そういったものを総合的に勘案して目標値を立てるということだと思います。もう少し補足できることがありましたら、次回補足させていただきます。
○厚生労働省 精神障害保健課でございます。
御指摘の内容「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)」の15ページの2-(1)の部分でしょうか。
○河井委員 はい。
○厚生労働省 精神障害者の関係でアウトリーチの関係とかの記載があるけれども、他の障害に関する医療の状況、何かここで述べることができることはないかということでございますと、精神障害の関係については、今、これで記載をさせていただいておりますが、他の障害なり疾病に関しましてはどういった記載ができるかを少し検討いたしまして、また次回のワーキング・セッションにおいてお答えさせていただければと思っております。よろしくお願いします。
○大濱委員 ありがとうございました。
石川委員長。
○石川委員長 先ほどの川﨑委員のお話と国土交通省からのお話、どちらも関係者はよくわかっていらっしゃるのだと思うのですけれども、私は理解できなかったので確認です。
精神障害があると民間住宅への入居が困難であると川﨑委員はおっしゃったのですけれども、もしそういうことがあるのだとすると、私が精神障害者だとすれば、賃貸契約の際にわざわざそう名乗って契約を結ぶということは絶対にしないと思うのですね。多くの人はそのようにしないと思うので、オーナー側あるいは管理会社等が関与して途中解約されるみたいな話であれば理解可能なのですけれども、そもそも最初から入り口のところで契約を結べないということが起き得るのかどうかということと、仮にそういうことが起きるとすると、差別解消法からすれば、精神障害であれ何の障害であれ不当な差別的取り扱いに当たるので、民間に対する支援云々という施策の話とは違うと思うのです。そのあたりについて、教えていただきたいと思います。
○大濱委員 ありがとうございます。
今、委員長の発言がありましたが、次のヒアリングの中で、特に池原先生からそんなお話があると思いますので、次に深めていきたいと思います。それでよろしいですか。
それでは、議題1の精神障害者の地域移行支援に入ります。お手元の資料1をごらんください。きょう、この中で山本深雪さんが発表の用意をされていないということで、冒頭に池原先生からお願いしたいと思いますが、よろしいですか。
○池原参考人 弁護士の池原と申します。
きょうは、貴重な機会をいただきましてありがとうございます。
15分ぐらいお話をしたほうがいいのでしょうか。
○大濱委員 10分でお願いしたいと思います。
○池原参考人 わかりました。
私がお話しする題材は、精神障害の方の地域移行支援についてですけれども、特にきょうお話しさせていただこうと思っていますのは、障害者権利条約、その他の日本国が既に批准済みの国際人権条約、例えば自由権規約とか拷問等禁止条約とかと幾つかあるわけですけれども、そういうものの観点から見たときに、日本の精神保健、医療、福祉というものにどういう課題があるのかということを少し確認したいと思います。そういう観点から、もう一度、この政策の推進を今後どう見ていくかということの御参考にしていただければありがたいと思います。
とりわけ、既にこの政策委員会でテーマとされていることであると思っておりますけれども、来年、日本は障害者権利委員会に対して、障害者権利条約の履行状況について政府報告をしなければならないということになっていて、そういう観点からしても、我が国の政策が国際的な水準から見て大変おくれているとか、不十分であるという不名誉な批判を受けないように、各省の皆さん、あるいはこの政策委員会の皆さんにも、今後一層御努力をいただきたいと思っているところです。
私のお話は、そういう意味では大きく分けて2つ。まず、我々にとって一番の根幹になっている障害者権利条約という条約から、幾つか地域移行支援に関係したポイントを抽出したいということと、それ以外の人権条約、とりわけ自由権規約、いわゆるB規約と呼ばれていますけれども、この自由権規約と拷問等禁止条約で、既に日本政府は数回にわたって条約の委員会から懸念や勧告を受けておりまして、それを踏まえた上でさらに先へ進んでいく必要があるということから、その2つの柱でお話をしたいと思います。
まず、障害者権利条約ですけれども、地域移行に関して言えば、もう言うまでもなく19条が最も基本になる条分ということになります。あえて繰り返すまでもないと思いますけれども、御承知のように19条はその柱書で、全ての障害者が他の者と平等の選択の機会を持って地域社会で生活する平等の権利を有することを認めるものとし、障害者がこの権利を完全に享受し、並びに地域社会に完全に包容され、及び参加することを容易にするための効果的かつ適切な措置をとると規定されていまして、さらっと読んでしまうとそれまでですけれども、ここの「地域社会に完全に包容される」、英語ではインクルージョンとかインクルードという言葉が使われているわけですけれども、ここが非常に重要でして、実は障害者権利条約は3条というところに一般原則というのを規定していて、この条約において最も基本的に重視されなければいけない原則を定めているわけです。
その中に、3条の(b)というところに差異の尊重並びに人間の多様性ないし人間性の一部及び人類の一員としての障害の受け入れということがありまして、つまりこれを受けて19条が地域社会に包容される、インクルージョンされることが必要だと言っているわけです。
どういうことかというと、精神障害の人だけがいるような社会とか、逆に精神障害の人がいらっしゃらない社会というのは多様性のない社会で、それはインクルードされていない社会だということになるわけです。ですから、地域移行とか地域での生活ということを考えるときに、精神障害の方々が他の一般の市民の方とまじり合いながら地域社会で生活できる状況が実現されているということが、19条が求めているところだと考えなければいけないということです。
そして、19条の(a)項には、他の者との平等を基礎として居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないことという有名な条項が出てきます。
ここでさらに注意していただきたいのは「特定の生活施設で生活する義務を負わない」と書いていますけれども、これは別に法的に何かを強制されるということだけではなくて、英語の原文はbe obliged toになっているわけです。つまり、事実上であれ、ほかに選択肢がなくてそこにいるしかないような状況というのは、義務を負っている状況と同じだと。つまり、法的または事実上ほかの選択肢がない、そういう生活のあり方しかできないような状態に置いてはいけないということを19条の(a)項は言っているわけですね。
さらに「特定の生活施設」というのは、英語の原文ですとparticular living arrangementということになっていて、言ってみれば精神障害の人だけが生活しているような施設ですね。そういうところに住むほかないような状態に置いてはいけないというのが、19条(a)項が言っていることです。
したがって、19条から解釈すると、2つの重要なことが地域移行との関係で言えると思います。
1つは、多様な人々の包容された社会で住むことができていなければいけないということなので、単に物理的な空間とか設備が、病室ではなくて居住施設であるというだけで、地域移行の権利が実現されているということは言えないということですね。つまり、一般の人が住んでいる地域のアパートとか住宅で生活ができているということが実現できて初めて19条の要請が満たされているのであって、非常に明確な言い方を申し上げれば、病院の建物を住宅に変えて、そこで生活ができているからといって、それで地域移行が実現されているとは到底言えない。むしろそのような生活の場というのは、particular living arrangementになってしまって、結局そこにいるしかないのだということになれば、そういう特定の生活施設での生活を余儀なくされているということになり、結局19条に違反しているという批判を受けることになるということです。
2番目に重要なことは、大変失礼な言い方で申しわけないですけれども、19条が言っているのは地域移行の権利ではないわけですね。地域生活の権利なのです。
それはどういうことかというと、残念ながら私たちが地域移行ということを考えなければいけないのは、振り返ってみると、大量の長期の入院者をいまだに残している。ある意味で、誤った政策を今後清算していかなければいけない。病院に滞留してしまった人を何とかして地域に戻していかなければいけないということですけれども、これはそもそも前提が間違っていたということですね。
権利条約はそのことを直接要求しているのではなくて、最初から地域で生活する権利を保障しなさいと。もうちょっと言えば、入院をしないで済むような政策をとりなさいと言っているわけで、入院している人を退院させなさいということが第一義的な意味ではないわけです。
ですから、そこはもう一度、地域移行を考えるのと同時に、今後、現に精神障害を持っていらっしゃる方とか、あるいは今後障害を負うことになる人が、今までの失敗とか、今までの轍を踏むことなく、地域で生活できるような資源を開発することが重要だということになります。
2番目に、障害者権利条約12条は、既に御承知のとおり、法的能力の平等性、法的能力行使についての支援を受ける権利ということを保障しています。これは時間の関係で余り詳しくお話ししませんけれども、このことから考えると、精神保健福祉法33条が医療保護入院を規定していることが妥当なのかどうか、正しいのかどうかということは再検証をする必要があると思います。
なぜかといえば、医療保護入院という精神保健福祉法33条が規定している入院形式というのは、自分の意思で入院することができない状態にある人について医療保護入院をします。つまり、入院についての判断能力がない人に対しての強制入院という枠組みをつくっているわけですね。これは法的能力の平等性を規定した12条との関係で、非常に難しい問題を提起している。端的に言えば、普通に素直に読めば、判断能力がないことを前提にして人を強制的に入院させるというのは、12条に反すると言ってもいいはずだということになるわけで、これも今後、短期的には難しいかもしれませんけれども、医療保護入院をどうしていくのかということは真剣に考えなければいけない問題だと思います。
さらに、権利条約の14条は、これも有名ですけれども、障害の存在が自由の剥奪を正当化しないと書いているわけですね。ところが、日本の精神保健福祉法は、例えば措置入院は精神障害者であり、かつ、医療保護のために入院させなければ、その精神障害のために自傷他害のおそれを生じさせるという言い方をしていて、まさに強制入院の基本要件の中に精神障害が組み込まれているわけです。つまり、精神障害がなければ強制入院にならないわけですけれども、精神障害があることが強制入院になる前提条件になっているわけですね。
医療保護入院も、精神障害であり、かつ、医療保護のために入院の必要があるものであって、当該精神障害のために第20条の規定による入院が行われる状態にないと判定されているものと書いているわけですから、当然これも精神障害が前提要件になっているということになりますと、日本の精神福祉法の強制入院というのは、障害者権利条約14条にダイレクトに抵触してしまうということになるわけで、この点も今後十分に考えていかなければいけないということになると思います。
4番目に、家族の支援を受ける権利ということに関してですけれども、例えば現在の医療保護入院では、家族の同意に基づいて強制入院をさせることができるという形になっているわけですけれども、これについては、むしろ家族の同意を外すべきだという議論が従来からあります。しかしながら、家族同意が外れれば全ての問題が解決するのかというと、必ずしもそうではない。つまり、精神障害を持っている方が御家族にいらっしゃる、例えば高齢になられたお父さん、お母さんとかが、単に法律的な同意権限が外れただけで全てが解決するということにはならない。つまり、家族そのものが支援を受ける必要性があるということです。
ときにこれは見落とされやすいのですけれども、障害者権利条約前文の(x)というところに、家族が社会の自然かつ基礎的な単位であること、並びに社会及び国家による保護を受ける権利を有することを確信し、また、障害者及びその家族の構成員が、障害者の権利の完全かつ平等な共有に向けて家族が貢献することを可能にするために、必要な保護及び支援を受けるべきであると書いているわけですね。
つまり、障害のある人の完全参加と平等を実現するために、家族というある種の社会資源が重要な役割を果たしていて、その家族自身にそのための支援をしていくことが必要だということを権利条約は言っているわけでして、この点の充実も必要だということになります。
ちょっと時間が超過していますが、2点目の大きな柱について、ごく簡単に申し上げたいと思います。
2点目は、今までは障害者権利条約について申し上げましたけれども、その他の日本国が批准している人権条約、とりわけ自由権規約と拷問等禁止条約については、先ほど申し上げましたように、既に過去数回にわたってその条約の委員会から、日本政府は勧告や懸念を示されています。どんな点が指摘されているかということについて、簡単に御紹介をしたいと思います。
まず、自由権規約については、強制入院の要件が緩過ぎるということ。それから、強制入院についての異議申し立てとか救済の実効性のある手続がないということ。精神医療審査会というものがあるのですけれども、それが現実的には役割を果たしていないと、自由権規約委員会から批判を受けているということですね。
3番目に、入院を回避する代替手段が欠けている。その結果、入院が長期化している。
4番目に、地域に基盤のあるサービスが存在していない。代替手段の充実が必要である。
5番目に、長期入院は最終手段であって、最も短い期間行われるべきものである。
それから、入院の必要性と入院の長さとか程度というのは、当然比例していなければいけない。比例原則を守りなさいということが言われています。
最後に、精神医療福祉施設での虐待の摘発とか、制裁とか、賠償についての適切な手続が欠けていて、これらの虐待などについての独立の監視報告機関が存在していないことも大きな問題だと指摘されています。
2番目に、拷問等禁止条約についても日本政府はさまざまな批判を受けております。
まず、精神保健指定医の強制権限についての疑問がある。なぜ、民間病院に勤務している精神保健指定医の判断で強制的な入院が成立するのか。これは国際人権法的には説明ができないと言われている。
2番目に、入院に対する不服とか、病院の管理運営に対する不服とか、病院内での虐待に対する不服に対する司法審査が十分に機能していない。
3番目に、医療保護入院に対する実効的で徹底した司法的コントロールが欠けている。
4番目に、長期入院の解消に向けた政策がとられていない。
5番目に、隔離、拘束、強制投薬の非人道性が指摘されている。
6番目に、入院に代替する措置が欠如している。つまり、入院を回避するような方法が提案されていない。
7番目に、拘束が過剰に使用されていて、それについて公平な調査が欠けているということがさまざま指摘されています。
非常に早口で申し上げて、お手元に資料が配付できなかったのでちょっとわかりにくくて申しわけなかったのですけれども、私のお話は以上にさせていただきます。
どうもありがとうございます。
○大濱委員 池原参考人、ありがとうございます。
もう時間がありませんが、先ほどの石川委員長からお話の件、池原参考人から御意見がありましたら。
○池原参考人 私が経験している範囲ですと、確かに賃貸借契約のときに、あえて自分が精神障害であるとか、精神科に通院しているということを言う必要はないのですけれども、例えば収入とか、所得とか、資産に関しての説明をしなければいけないときに、一定の年齢になっているけれども、特に仕事はありませんとか、今まで仕事をしていませんということになると、どうしていたのですかみたいな話になって、結局のところ、実は入院をしたり、ちょっと具合が悪くてという話でわかってしまったり、それとなくわかってしまうという場合もあって、その結果、御遠慮したいと言われてしまうことがあります。
石川先生がおっしゃるように、差別解消法で一定の効果を得ることができるのですけれども、差別解消法の一つの限界として難しいのは、貸し主の人が貸さないというのは、確かに差別であって違法だということになるのですね。ところが、契約の成立を強制できるのかという問題がもう一つあって、例えば精神障害を理由に契約を解除するとか、雇っている人を解除するとか、これを無効だと言えば解雇とか解除が無効になるので、元に戻ってしまうわけですね。
ところが、まだ契約していない人に対して契約しないのは違法だと言っても、恐らく損害賠償がある程度請求できるだけであって、契約の成立を擬制するというのがなかなか難しいという限界があって、この辺は何かもうちょっと別の法的な、あるいは政策的な手当をする必要があるかなと思っております。
○大濱委員 ありがとうございました。
もう時間がありませんので、ここから5分の休憩に入りたいと思います。この後は、上野委員、川﨑委員の意見陳述があります。この後、25分まで休憩にしたいと思いますので、よろしくお願いします。
(休憩)
○大濱委員 各10分です。上野委員、よろしくお願いします。
○上野委員 精神科医をしている上野と申します。
それでは、10分間、発表をさせていただきます。
日本の精神科医療のよく知られた特徴の一つは、入院者数の多さです。精神科入院に関しては、強制的な入院の割合が約4割と諸外国に比べて高いことが問題とされることが多いのです。この強制的入院に関しては、先ほど池原先生から、障害者権利条約12条もしくは14条にダイレクトに抵触するという御指摘がありました。そういった多くの問題点があります。
私が今日指摘したいのは、実は自発的な入院、自分の意思で入院するはずの任意入院に、我が国の精神科医療の問題点のかなりの部分が集約されているということです。
一つのデータを御紹介します。中根允文先生による平成23年の厚生労働科学研究「日本国内における精神科病院在院患者統計調査結果の再点検―任意入院の現状―」という報告書です。その中に、平成21年6月30日の調査のデータ、いわゆる630調査のデータが紹介されています。このとき、自発的な入院の任意入院者数は17万9,290人、強制的な入院である医療保護入院者は12万7,757人でした。この医療保護入院者、強制的な入院の方13万人のうち5年以上入院中の方は4万3,246人と、13万人のうちの33.9%だったのです。これに対して自発的な入院の任意入院者約18万人のうち5年以上入院の人は7万3,911人と、41.2%いたのです。
このように、現在の日本では、強制的な入院である医療保護入院よりも、自発的な入院である任意入院において長期的入院者の割合が高い。医療保護入院の33%の人が5年以上、自発的な入院である任意入院の中では41.2%が5年以上の入院という形で、自発的な入院である任意入院において長期入院の方の割合が高く、絶対数も4万3,246人対7万3,911人とずっと多いのですね。本来ならば、自発的な入院だから自発的に退院して、長期入院者はずっと少なくなりそうなものです。でも、実際はこうなのですね。一体なぜなのでしょう。
理由の一つは、自発的入院の任意入院において、確かに自発的に自分で入院されるのですけれども、退院の自由というのが認められていないのですね。例えば任意入院していた方が急に退院したいと言い出したり、病院の許可を得ずに自宅に戻ってしまったらどうなるでしょうか。恐らく、「よく戻ってきたね、退院しようか」ということにはならず、病院にそのまま連れ戻されて、その時点で72時間の退院制限というのをかけられて、多くの場合は、この間に医療保護入院に変更されてしまうということになると思います。というわけで、任意入院というのは、実は退院したいと言わない人、地域で生活したいと言わなくなった人という側面があるのです。
私は二十何年間精神科医をやっていますけれども、慢性期の病棟を担当していたころ、定期的に回診に回りますと、「先生、私だけは退院させないでください」と、真剣に頼んでくる患者さんが結構たくさんいました。うそだと思われるかもしれませんけれども、本当の話です。こちらは精神疾患の進行と相まって、いわゆる施設化のために生活能力が低下してしまって、外での生活が怖くて退院できなくなってしまったという結果なのです。
長期入院している任意入院の人の多さ、これは私たち日本の精神科医療の中で、地域で生活したいという希望を失った人、地域で生活したいという希望を奪われた人がたくさんつくられているということを示しています。
これはどうしてなのかということを考えてみたいと思うのですけれども、一つの問題は精神科病棟の密室性と、その中でビラミッド型の権力構造が存在しているということなのです。現状、多くの精神障害者の方が、ほぼ密室の狭い精神科病棟の中で生活されています。皆さん、その生活を想像することができますか。
今はちょっとあれなのですけれども、若いころの私は精神科病院での仕事が本当に大好きで、もう病棟でずっと過ごしていて、当直の仕事もたくさんしていたのですね。でも、私自身、当直は連続2泊というのが限界でした。それは忙しくて眠れないからではありません。多くの民間精神科病院での当直というのは、「寝当直」と呼ばれるように、ほとんどコールされることはなくて、夜間もゆっくり休めるというのが特徴なのです。しかし、私の場合は2泊3日というのが限界でした。結局、病院にいなくてはいけないということにいらいらしてしまうのですね。病院内を自由に動ける当直医でもそんな感じでした。
翻って考えてみると、患者さんは24時間365日、多くは閉鎖的環境の病棟の中だけでずっと過ごしているのです。狭い空間の中にずっといると、どういう反応が出てくるか。いわゆる拘禁反応というのが出てきます。拘禁反応ではさまざまな精神症状、不安、抑うつ、幻覚や妄想が出てくることがあります。さまざまな精神症状が引き起こされるのです。
こういった拘禁反応というのが起こるために、残念ながら鎮静を目的とした多くの精神科薬が必要となったり、その結果として治療抵抗性の精神病が引き起こされて、多くの薬剤を併用して、たくさん使うという「多剤併用大量療法」をやらざるを得ないということがあるのです。日本の精神科医療の中で、多剤併用大量療法というのはかなり批判されていますけれども、その背景には、こういったことも一つの理由としてあります。
さらに、精神保健福祉法の行動制限規定の問題があります。確かに精神障害の方は幻覚や妄想に左右されたり、興奮状態にあったりして強制的な入院加療とか、入院後も隔離や身体拘束などの行動制限が必要な場合があります。問題は、その精神保健福祉法の中で、こういった行動制限が原則的に合法とされていることなのです。そして、制度上は精神保健指定医に強大な権限が与えられて、精神病棟の中では指定医を頂点としたピラミッド型の権力構造が形成されています。
そして、病棟内の人権制限規定を支える指定医制度に実は大きな制度的欠陥があります。5年以上の臨床経験、うち3年以上の精神科臨床経験と一定の講習を受けて、8例の症例レポートを提出して、合格すると指定医になれるのです。しかし、そもそも誰が書いたかわからないレポートを合否判定の基礎としているなど、申請するお医者さんは絶対に不正行為はしないという「医師に対する過剰な信頼」に基づいた制度設計だったのですね。それが今回、川崎市の聖マリアンナ医科大学における指定医の不正取得問題で、もろくもこの信頼は崩れ去ったわけです。
さらに、私も精神保健指定医でありますけれども、その現行の指定医制度のもと、病棟内では絶大な権限がある。何でも決められるのですね。それに対する第三者チェック機能というのが事実上機能していません。これも、指定医の人は公明正大であって人権侵害はしないという過剰な信頼に基づいた制度設計になっているのです。
私が思うに、入院中行動制限が原則合法とされていること、そして何かがあれば行動制限、すなわち保護室への隔離や身体拘束が行われるという無言の圧迫が、入院中の精神障害者の方からみずからの思いを表現する意思を奪っているのではないかと思うのですね。例えば病棟の中でいろいろな精神症状で暴れてしまったり、例えば私たちに対して反抗した患者さんに対しては、隔離や身体拘束が行われることが多いのです。そして、身近でそうした光景を見ていれば、あのようにはなりたくないから自分の希望はなるべく我慢をしようとか、スタッフの言うことには何も言わずに、それに従って生活していこうという生活態度になりがちなのではないかと考えます。
日本において、諸外国と比較した精神科病床の数の多さというのが指摘されることはありますけれども、外国のデータというのは精神科病床の定義が異なっているので、簡単に比較することはできません。
でも、私は日本における精神科病床の問題というのは、適正な手続規定とは言い難い行動制限規定のもと、行動制限が合法とされている精神科の病棟に、客観的には入院が不必要な数多くの精神障害の方が、治療のためではなくて、普通に生活しているということなのだと思うのです。彼らは、何かがあれば行動制限をかけられるという無言の圧迫の中で、病気の進行と相まって急速に施設化されていってしまいます。地域で生活したいという希望を奪われていってしまう。これが自発的な入院であるはずの任意入院において、実は長期入院の人の割合が高いという現実を引き起こしているのではないかと思うのです。
もう一つ指摘させていただきたいのは、日本の家族制度の問題です。日本の家族制度は、扶養義務が親権者と未成年者の間だけではなくて、直系血族と兄弟姉妹の間にも認められるなど、家族依存性の強さが特徴です。こうした家族制度を背景として、昭和53年の厚生白書では、「日本の家族同居率の高さは我が国の福祉予算の含み資産である」などという記載がなされました。現在、親亡き後をどうするかなど、日本の障害者制度においては、御家族への過剰な負担を担うことができる人がいなくなったときにどうするかということが共通の問題になっています。
精神障害の場合にも、御家族の負担はとても大きなものです。それは、強制的入院の中で最も多い医療保護入院で、家族等の同意というのが入院の要件になっていることに象徴されています。そして、この家族等の同意で入院させる制度があることが、長期入院を生む一つの要因になっています。
例えば私が病棟を担当していたときに、御家族が消極的な場合には、退院というのは相当難しかったのです。これは結局、御家族に対する支援、例えば24時間365日対応の訪問支援型の医療とか、保健サービスがないことであるとか、御家族に対する社会的なサポートが乏しい。それで御家族が消極的になってしまうということが、その背景にあります。
もう一つ御紹介したいのは、現在、長期入院の精神障害者の地域移行が問題となっています。平成24年の批評社という出版社の雑誌『精神医療』69号の中に、「変わりゆく精神病院」という特集がありました。そこで紹介されたある精神科病院のケースを御紹介したいと思います。
こちらは210床の民間の精神科の病院でした。こちらでは、平成12年から18年までに、ほかの病院へ転院させるということは全くなしで、1年以上長期在院されている方百数十人を全員退院させたらしいのです。そして、その多くの退院場所というのはアパートだったそうです。
この6年間の過程で病院関係者が感じたのは、退院できない理由の多くは、家族関係、経済関係で、20年、30年の家族関係がいろいろあった人たちの矛盾をいろいろ丁寧にして、どちらの生活も成り立つようにして切り離すと、退院できるようになるケースが多かったというお話でした。このように、精神科の長期入院者の地域移行には、家族関係の問題の整理であるとか家族の負担の軽減とともに、家族やケアラーへの強力な支援が必要なのではないかと思うのです。
精神科の入院、強制的な入院も自発的な入院も問題が多いということなので、その解決策は多分「入院させない」ということになると思います。そのためには、現状、入院のニーズが非常にたくさんあるので、「入院をさせない」、ただそれだけを叫んでいてもだめなので、そのためには入院のニーズを下げることが必要になります。それには御本人への支援、家族の支援の充実が必要になります。それは、先ほど御紹介した24時間365日対応の訪問支援型の医療サービスだとか、保健サービスであったり、そういった支援の充実が必要になると思います。
現状、日本の精神科病院に入院されている方はすごくたくさんいるのです。その方たちに対してはどうしたらいいか。先ほどの話では、私は密室性と、その中でのピラミッド型の権力構造が問題なのではないかと思います。それを破るためにはどうしたらいいか。密室であることをなくすことですね。いろいろな第三者の方に入っていただいたり、あとは病院と無関係の患者さんの権利の代弁者をつけることが必要になると思います。
以上、私の発表を終わらせていただきます。
○大濱委員 ありがとうございました。
川﨑委員、できれば10分以内でお願いします。
○川崎委員 川﨑です。
私は家族の立場でいろいろと発言をさせていただきます。
最初に、精神障害者とその家族が偏見社会に生きているという生きづらさを、ぜひとも御理解いただきたいと思います。現在、隠れるように生活をしている、孤立している家族がたくさんいます。そういう方には情報が届いていなくて、今、全く制度につながっていない。それで、残念なことにいろいろ新聞報道がされるような事件が出ているということは、これからあってはならないことではないことではないかと思っております。それが1つ。
もう一つ、家族の中に精神障害者がいることによって、その家庭全体が偏見の中に巻き込まれます。実は私のところも兄が統合失調症で、妹がいるのですけれども、妹の結婚が全てだめになりました。お兄ちゃんが精神障害ということで結婚がだめになる。そのことによって、妹がとてもお兄ちゃんを恨むわけです。お兄ちゃんのせいで私の人生はだめになった。また、兄弟関係だけでなく、夫婦、両親でも意見が違ったりして、離婚につながっているケースも多々あります。このように家族関係が崩壊してしまっているというのが、現在の精神障害者を抱えている家庭、家族ではないかと思っております。
もう一つ、家族は高齢化しておりまして、年金生活で身体的にも経済的にも当事者を支えることが困難になっているというのが、現状の家族の実情であります。
それと、今回の地域移行について考えたいのですが、例えば地域移行といいますと、どこかの施設からの移行と考えがちですが、私は家庭からの移行ということも含めまして、障害者の地域生活をいかに支えたらいいかということで話させていただきます。
現在、地域生活をするためのいろいろな受け皿的なことがよく言われております。例えば住まいの場としてはグループホームが挙げられますけれども、先ほどの偏見がありまして、精神のグループホームをつくると言いますと、町会から物すごく反対が出まして、つくりたいという家族会でも現在グループホームができない状態にありまして、精神障害者のグループホームも、先ほどのデータですとふえているようでしたけれども、なかなか進んでいないという感じを持っております。
また、先ほどのアパートの件なのですけれども、池原先生からお話がありましたように、契約の段階に所得保障が言われるわけです。実は私も息子で経験いたしました。どの会社に勤めているの、幾らもらっているの。それに対する答えは、実は障害基礎年金が所得のほとんどで、事業所からもらう1万円足らずのものが所得ですと言いますと、はっきりとそれではここは受け入られませんと言われます。
それと、障害年金をもらっていて、精神障害者ということがはっきりしてしまいますと、何かがあったら一体誰が責任をとるのだという非常に威圧的な言葉を受けまして、アパートでのひとり暮らしというのは、今の段階では無理な問題だと思っております。
そのような所得保障の問題もありますし、また、保証人問題もありまして、家族も高齢化してなかなか保証人になれないということで、現在、精神障害者がアパートでひとり暮らしをするというのは、かなり困難なことではないかと思っております。
今回そのような問題を解決するために、先ほど池原先生も上野先生もおっしゃいましたように、24時間365日の訪問型の家族支援、私はぜひともこれを政策としてやっていただきたい。
実はイギリスやフィンランドやベルギーなどでも、家庭訪問ということをすることによりまして、精神障害者が入院しないで地域で生活ができていて、大変に病床数が減っているということも報告されております。病床数を減らして、医師も含めましてコメディカルの人たちに地域医療を充実させていただき、そこに保健との連携をとって、それこそ24時間。これは別に精神障害者だけではないと思います。現在の制度は家族依存なのです。家族がいるからいいという考えで、先ほど含み予算ということがありましたけれども、英国の場合は、家族会が家族でやっている支援をお金に換算しまして、それを国に訴えました。そういうところから、英国では家族支援策というのが国策ででき上がっており、それによって大変入院患者も減っているし、本当に地域で生活をできている方が多いということも実証されております。
今までずっとこれを訴えてきましたけれども、やはり財源がねということで、財源で言われてしまうと本当に何もできないのですけれども、ここはしっかりと国として、今回の精神障害者や医療ケアを必要とする障害者のために新たな制度をつくりまして、しっかり財源の確保をお願いしたいと思っております。
以上です。よろしくお願いいたします。
○大濱委員 ありがとうございます。続いて、平川委員、お願いします。
○平川委員 精神科病院協会の平川と申します。
まず、資料に沿って御意見を言わせていただきたいのですけれども、まず、厚生労働省からの資料です。資料3-6で平成20年の調査をベースにお話をされておりますが、これ以降の調査というのが、小さなものはあったかもしれませんが、こういう形できちんとしたものがなかったために、きょう平成20年のデータを出されたということだと思うのです。先ほど池原先生がおっしゃっていましたけれども、精神科医療は政策のミスだと思います。精神病床をつくれというところで、ライシャワー事件以来、病床をふやしていくという政策が間違っていたということで、そこは平成21年に認めて、きちんとそれをやり直そうという立場に立って精神科医療は進んでいくという方針が立ったと思いますので、ぜひその辺の認識を持っていただきたいと思います。今後も調査を継時的にやっていただきたいというのが一つの意見でございます。
それから、池原先生に対する意見ですけれども、誤った政策であることは確かにそのとおりだと思います。
もう一つ、病院の建物をアパートに転換するというのはとんでもない話だと。私も大賛成であります。精神障害者だけを収容するような住宅をつくることは、我々病院にとっても決して幸せなことではありません。これもよく委員会で、さも病院協会の代表が申し上げましたような偏見に満ちた攻撃を受けますが、決してそうではなくて、我々もあれについては反対をしておりますので、そのように勘違いをされていた方々は、ぜひ考えを改めていただければと思います。
上野先生から、精神科病院の当直は寝当直だという話がございましたが、今は高齢化でお腹が痛いとか、転んだ、出血したというので、当直医は余り寝られません。2日も、何もせずに当直することはできません。それほど大変です。先生はいつごろのイメージで話をされているかわからないけれども、多分30年か20年以上前の話だと思います。昔は野球大会をしたりバレーボールをしたりしていましたが、今はゲートボールか、風船バレーをしています。それほど高齢化しております。強い鎮静を必要とするとか、そういうところの病棟もございますが、ちょっと風景が変わっています。
それから、抗精神病薬の目的が幻覚・妄想を押さえるということで、今は鎮静が少ない薬がよい薬とされています。そういう意味で、鎮静が少ない状態でいかに看護するかということで、看護師さんたちも新しい精神科看護を病棟内でやらなければいけないという考え方を持っておりますので、この辺も、違います。もちろん、過去の適切な薬のない時期には鎮静をかけて考えることもできなくして縛りつけているという時期もございましたが、今は精神保健福祉士とか看護師の教育にしても、医師の教育にしても、全てそれであってはいけないということで病院の中が回っておりますので、決して先ほどの指定医がピラミッドの頂点に立って奴隷のように病棟運営をすることはなくて、チーム医療、みんなで一例一例カンファレンスをして、どうしていったらいいかということを考えているのが現状です。
精神科の先生がこういう内情をおっしゃると、さもそれが本当のことのようにとられますけれども、それは過去のことで、我々は事実そういうこともございましたので、反省をして今の状態にあるということで、少しは変わっていることを御理解いただきたいと思います。
先ほど川﨑委員がおっしゃいましたけれども、何につけても精神科については財源がございません。さらに、65歳になりますと介護保険が優先しますので、精神の制度を使おうとしても、利用が進まず、高齢化になった患者さんはなかなか地域移行に行けない。施設も偏見のためになかなか入れてもらえない。住宅を確保しようとしても、もし病状が悪化したときに誰が責任をとるのだということで、私が大家さんのところに頭を下げに行ったり、何か怠薬で症状が悪くなったときに警察が来たりするときもお詫びに回ることもあります。そうやって、病院が地域へ出て行った人たちを支えながらやっていかないと、もうどうにもならないような状況にあります。
ですから、今、精神保健福祉法は違法だとおっしゃいましたが、地域でどうやって病気を持っている、障害を持っている人たちを支えるかという点で、地域での精神保健福祉法を何か考えていただかないといけないと思います。家にいて引きこもってしまった人にはどうやっても手が出せないというのが現状です。やはり早く医療的に戻して、また地域へ早く帰るという仕組みをとらないと、地域移行も一方通行ではないので、進んでいかないと思います。
ぜひ、病院と地域が信頼関係を持って、もちろん患者さんともそうですけれども、信頼に基づいた地域移行が進んでいくことを私は願いたいと思います。
以上です。
○大濱委員 ありがとうございました。
これから意見交換に入りたいと思いますが、今のヒアリングと意見陳述の中で幾つかキーワードが出てきたと思います。地域移行ではなくて、地域で生活できることが大事だと。そのためには、家族支援や本人支援がもっとないとだめだと。あとは、精神病棟の密室性やピラミッド構造はどうなのかという問題も指摘されています。これに対して、以前とは違うという平川先生の意見もありました。それから、人権条約等に照らして、これに違反しているのではないかという問題提起もありました。平川先生から、地域での生活のための精神保健福祉法を変えたほうがいいのではないかという御意見もありました。
このような幾つかのキーワードがありますので、そのあたりに沿って約15分間、15時10分まで意見交換をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
御意見がある方、手を挙げてください。山本さん、何か発言がありましたら。
○山本参考人 山本です。お尋ねでもよろしいですか。
○大濱委員 どうぞ。
○山本参考人 資料に対する質問です。資料3-6で、「統合失調症で近い将来退院の可能性なしとされた患者像について」という44ページからの資料があります。45ページに、1年未満の患者さんに対して21%の方が状態の改善が見込まれず、近い将来退院の可能性はないと数字が出ています。この点についてのお尋ねをしたいと思います。
フランスとかよその国のデータでは、こうした統計データをとったときに、私がこれまで見てきた資料の中では、8%という数字が出ていると読み取っております。日本の統計データが出てくる折には、こういう類いの数字が21%ないしは23%という数字で出てくることが多いなと見て接してきました。
とても驚いているのですが、統合失調症という病態像が国によって違うとは思えませんので、なぜ日本において、入院後1年がたった方の薬が合わないとか治療方針が見出せないという形で主治医がさじを投げた方が、他の国の約3倍近くの数字が常に挙げられているのかというあたりの捉え返しなど、どこかで議論をされてきたり、もしくは資料としてつけられてきたということはあるでしょうか。
○大濱委員 厚生労働省の方、今、説明をすることは可能ですか。
○厚生労働省 精神障害保健課の江浪でございます。
今回お求めがあって提出をさせていただいた資料の45ページに、1年未満の方について評価をした段階で、現時点で状態の改善が見込まれず、近い将来退院の可能性がないということで把握された方が21%あったという数字が出ているわけでありますけれども、フランスの8%の数字というのは、私は存じ上げておりませんで、そことの比較という意味で、この21%という数字を評価したような議論につきましては、私自身、残念ながら承知をしていないところであります。
なお、御参考までに申し上げますと、今、障害福祉計画におきまして、精神障害で入院された方について、1年時点の退院率の上昇ということを計画の目標に入れているわけでございますけれども、その目標におきましては、平成29年度におきまして入院後1年時点の退院率を91%以上とするという目標を立てておりまして、そういった意味からしますと、1年時点の段階では91%以上の方が帰られる。逆に言いますと、1年以上入院される方に関しましては、9%以下にするという目標を立てているということでございます。
○大濱委員 山本さん、それでよろしいですか。
どなたか、質問や意見はありますか。
○上野委員 よろしいですか。
資料3-2に出してきていただいたもので、2ページ、各年6月入院者に対するその後の退院患者数の割合で、翌年5月までなのでちょうど1年ですね。退院患者数の割合が1年でどうかという数字が出ています。平成16年から、全国で見ると87.1%、平成23年が87.3%でほとんど変わらないのですけれども、87%ぐらいの方は1年間で退院しているという感じです。だから、13%ぐらいの方が残っている。
○大濱委員 ありがとうございます。
質問や意見があったらどうぞ。
上野委員。
○上野委員 平川先生、どうもありがとうございます。
私も二十何年間も医者をやっていて、確かに寝当直だったこともあればそうでないこともあるのですけれども、先生がおっしゃる精神科病院が変わったという話を客観的に示すようなエビデンスというか、調査資料みたいなものがありますか。あったら、ぜひ知りたいなと思います。
○大濱委員 平川先生、どうぞ。
○平川委員 平川です。今、こちらで毎年40万人が入院しているわけです。ですから、過去にはそんなに流動性はなかったわけですから、精神病床が30万床としても1回転以上しているわけですね。ですから、以前のように何年も長く入院していくというイメージが変わってきていることは、それを見ていただいても歴然だと思います。
私どもの病院は、私が院長になった20年前は、入院が年間60人程度でしたが、26年度は577人です。ですから、大変短期で帰してという努力をしてきていると私自身は思っています。
よろしいですか。
○大濱委員 ありがとうございます。
ほかに御意見はありますか。あと5分ぐらいですが、大丈夫ですか。意見、質問、何でもいいです。
では、佐藤委員からどうぞ。
○佐藤委員 佐藤です。ありがとうございます。
いろいろお話を聞かせていただいて、日本の誤った政策の結果、こういう精神科病床が非常に多い状況になったというのはよくわかりました。その中で、池原先生のお話でもありましたけれども、病院から退院させるためではなくて、そもそも地域の中で生活するためのものだという御指摘があったのですけれども、ほかの国は地域の中でどのように精神障害の人の生活を支える仕組みがあるのか、家族も含めてどのような支える仕組みがあるのかということを知りたいと思いました。そういう資料を出していただくことは可能なのでしょうか。
○大濱委員 今の佐藤委員からの発言なのですが、厚生労働省は何かそういう資料を持っていますか。
○厚生労働省 今、日本におきましても、重度の方を地域で支えるための医療という観点で、例えばアウトリーチということで出ていくことに関しましては、一部診療報酬化されたりという動きもあります。この動きに関しましては、諸外国におけます制度を勉強しながら、そういったものが日本でも必要ではないかということでスタートしたものだと認識しております。
そういった意味で、海外の取り組みについて、我々のほうでどの程度わかるかにつきまして資料を用意するようにということであれば、わかる範囲ということになりますけれども、何か用意をさせていただきたいと思います。
○大濱委員 では、厚生労働省の方、次回までによろしくお願いします。
河井委員。
○河井委員 全肢連の河井です。ありがとうございます。
提供可能な情報ということで、医療的ケアの部分についての数字を出していただきまして、ありがとうございました。
私のほうで、例えば居宅介護で喀痰吸引等の支援を必要としている人が何人いるかという数字は持っていないのですけれども、感覚として、全国でこれしかいないのと。実際785人というのは少ないような気がします。厚生労働省として、これで充足しているとお考えなのか。
私の実感としては、支援する人が足りないがために、必要としているけれどもこのサービスが受けられないという人が多く潜在していると思っているのですが、厚生労働省としての受けとめ方がどんなものか伺いたいと思います。
○大濱委員 河井委員、ちょっと待ってください。今は精神障害者の支援についての意見交換なので、これが終わった後の15時、次の時間帯でお願いします。
○河井委員 はい。
○大濱委員 厚生労働省も次の時間帯で回答をお願いします。
石川委員長。
○石川委員長 先ほど、平川委員から病院と地域での連携・協力がすごく大事なのだと、そういう方向に向かって病院も取り組んでいるという話があって、大変前向きなお話をお聞きできたのですけれども、つい先頃ですが、厚生労働省は省令で、病院の敷地内にグループホームをつくることは可能であるとなさったかと思うのですが、これは平川先生の立場からするとどのように受けとめていらっしゃるのでしょうか。
○平川委員 これは委員会の議論の中で、病院側でない方から発言があって、そういうものにマスコミが殺到したというのが実情で、病院の中で一部を住居化しても、病院というのは医療をして収入を得ていますので、一部を病棟転換にしたところで、逆に自分の首を絞めるようなもので、我々とすると決して病棟転換は望まないというか、経済的に実質的に不可能ですので、今回そういう話があっても、多分手を挙げるところはほとんどないと思います。もちろん、現在どんどん病床利用率が下がっていますので、地域によっては70%を切っていますので、空いた病床をそういうものに転換するという考えを持つ方はいらっしゃるかもしれません。でも、それは特殊な事情のあるところで、通常の病院ではちょっと考えられないと思っています。
○大濱委員 続いて、上野委員。
○上野委員 今の石川委員長の質問と関連して平川先生になのですけれども、病床転換型、例えばアパートとかグループホームは希望されないということだと思うのですけれども、例えば平成24年の日精協の将来ビジョンの中で出てきた介護精神型老人保健施設へ移行をさせたいと希望されている病院経営者は、かなりたくさんいらっしゃるのではないかと思うのです。それはいかがですか。
○大濱委員 どうぞ。
○平川委員 やはり財源問題がございまして、少しでも介護保険を精神障害者の方に有効に使っていただくというところで、そういう枠を提案しているということでございます。高齢化している長期入院者の方に対しては、もう時間がないのでどんなことをしてでも少しでもチャンス、選択肢を広げることで退院促進を進めたいということで、先ほどの病棟転換型もその一部で出てきた話でございますので、その辺は御理解いただきたいと思います。
○大濱委員 ありがとうございます。
伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 難病団体の伊藤です。
厚生労働省にお尋ねしたいのですが、こういう資料が出てきていますけれども、一括して精神障害とか精神病床という形でデータが出ておりますけれども、例えば精神科の病院にかかっているか、精神障害者福祉手帳を持っている人の追跡なのだと思うのですが、一部の認知症であるとか、あるいは進行がかなり進んだ神経変性性の疾患であるとか、あるいはてんかんというのも全部これに含まれているのか。そうでない統計をとっておられるのか。これは中身が全然違うと思いますのでお願いいたします。
○大濱委員 厚生労働省、お願いします。
○厚生得労働省 今回お示しいたしました資料のうち資料3-2あるいは資料3-4の数字に関しましては、精神病床に入院された方を総数でとっておりますので、これに関しましては全患者さんとなっておりまして、疾患で分けているものではございません。
○伊藤委員 ということは、ほかのデータは全部一緒にくるめているということですね。
○厚生労働省 厚生労働省の江浪でございます。
今、申し上げたうち資料3-6に関しましては、ちょっと自信がなかったものですからそのようなことを申し上げたわけでございますけれども、研究に関しましては、時々、入院されている方で最も数が多いのが統合失調症の方であるという意味で、統合失調症に限っている場合があるものですから、ものごとに違うのかなという意味で、ぱっとお答えできる分だけお答えしたというのが現状でございます。
例えば資料3-6でいきますと、11ページからに関しましては、統合失調症による長期入院患者さんについてという形でまとまっておりますので、統計によっては疾患を一部絞って集計されているものもあると考えてございます。
○大濱委員 ありがとうございます。
伊藤委員は、今の回答でよろしいですね。
○伊藤委員 いいのですけれども、議論として精神障害ということで全部一緒に議論をするのは、かなり乱暴かなと思います。
○大濱委員 もう時間がないので、石川委員長でおしまいにしたいと思います。
○石川委員長 せっかくなので池原先生にもう一点お聞きしたいのですが、ほかの人権条約体、とりわけ自由権規約の人権条約体から日本は厳しい勧告を受けているというお話があったのですけれども、これは自由権規約という立場からしたときの原則主義的な勧告だと、楽観的に考える立場もあろうかと思うのです。
それとも、実態ベースで見て、ほかの国にも多少ともそういったことはあるとしても、日本がとりわけ問題視されていると考えるべきなのか。あるいはそうでなくて、ほかの国も多かれ少なかれ同様の勧告を受けている状況があるのか。だからいいとか悪いとかと言いたいわけではないのですが、日本と他の国との間の比較という点について教えていただけないでしょうか。
○池原参考人 ありがとうございます。
ほかのデータでもしばしば触れられていますように、日本の強制入院が使われている比率というのが、OECD諸国の平均値の4倍を超えているということが言われていて、強制入院が非常に多用されているということ。その観点から、国連の人権理事会がなぜそうなのかというと、例えば1991年の国連原則にもかかわらず、日本の精神保健福祉法の措置入院や医療保護入院の要件が法律上緩過ぎるのではないかと。だから、ある意味で入り口が広いので、当然入院者が多くなるということを一つ指摘しているわけですね。
それと同時に、入院を避けるための代替措置や、退院を促進するための地域の資源というものに対する財政的な投入の度合いも極めて低くて、言わば財政面から見ても入院中心主義ということが見えてきてしまう。これは、少なくとも欧米先進諸国の地域資源の状態に比べると、日本ほどの経済力とか文化的水準のある国でなぜそうなのかということは、人権理事会では全く理解されていなくて、そのことについては数度にわたって、日本政府に対して懸念や勧告が表明されているわけです。
実のところ、人権条約の間でもその理解の仕方に多少違いがあって、自由権規約に関しての人権理事会は、強制入院は最終手段としては残してもやむを得ないのではないかという理解に一応立っているのですね。それは、もともと歴史的には1991年の国連原則で、自傷他害の危険性が非常に高くある場合だとか、判断能力が低くて、症状が重篤で、入院以外に治療方法がない場合には入院をさせるという原則が定めてあって、これは自由権規約由来の国連原則ですので、伝統的に自由権規約についての人権理事会は、強制入院を全廃しろとは言っていないわけです。
ところが、障害者権利委員会の障害者権利条約のほうは、12条とか14条という観点から考えていったときに、従来型の強制入院、つまり精神障害に特化したような自由剥奪の制度というものを残していくことは、権利条約から容認できないのではないかという考えを非常に強くしていて、基本的にはどこの国でも20世紀型の強制入院、自傷他害の場合とか判断能力のない場合の強制入院制度というのは持っているわけですけれども、かなりの国に対して、既に政府報告に対する懸念事項と勧告として、強制入院について考え直すべきだという指摘もされているわけで、そうして見ると、日本の今の状況がこのまま進んでいくと、日本の第1回目の政府報告に当たって、障害者権利委員会からかなり厳しい指摘を受けることは必至だろうと私は思っています。
だから、それを避けるためには、一部分では法改正でもっと要件を厳格化するような努力は必要だろうし、財政的にも地域資源にバランスを十分にかけた資源開発をやっていますということが言えなければ、言いわけというか、申し開きが全然できないということになるのではないかと思います。
○大濱委員 ありがとうございました。
時間がないので終わりにしたいのですが、今の強制入院の話で1点だけお聞きしたいと思います。強制入院に関して、日本では医師の権限が強過ぎると理解してよろしいのですか。第三者のチェック機関が全くないとか、そういう事情があるので、先ほどの4倍という数字が出ていると。それはいかがですか。
○池原参考人 もう一点の指摘としては、医療保護入院は、実は法律上は何で強制力が発動するのかというのが説明しにくい制度なのですね。措置入院というのは行政権限で、知事の権限で入院させていますので、国際的にも一応システムとしては理解できると。しかし、一民間病院の勤務医である精神保健指定医が医療保護入院に相当すると判断したときに、なぜ強制的に入院させることができるのか。言わば私人が私人に対して、民間人が民間人に対して強制力を行使するという形態になってしまっているので、かなり国際的に理解を得るのは難しい、説明が難しいものになっているわけです。ですから、それは要件の緩過ぎさとか資源の乏しさと並んで、システムとしての不可解さというのが、言ってみれば批判の対象にされているということになると思います。
○大濱委員 ありがとうございました。
時間がないので、きょうの精神障害者の議論はここで終わりたいと思います。次回続きがありますので、そのときは参考人の山本さん、よろしくお願いします。
この後、続きまして「医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援について」ですが、ここからの司会は平川委員にバトンタッチしたいと思いますが、よろしいですか。
○平川委員 大濱委員、お疲れさまでした。ありがとうございました。
今回の議題につきましては、参考人としてホップ障害者地域生活支援センターの竹田保様にお越しいただいております。
本日は、お忙しい中をおいでくださいまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
具体的な進め方ですが、まずは竹田様から10分間意見を述べていただき、その後5分間質疑応答を行うという形で進めてまいります。議事進行への御協力をお願いいたします。
それでは、竹田様、よろしくお願いいたします。
○竹田参考人 本日は、政策委員会に発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私自身が進行性脊髄性筋萎縮症という病気のために、幼少期から全身性の障害のために、起立歩行をしたという記憶がありません。そういう生活の中から、自分が抱えている障害によって不便を感じたことに対して解決したいという思いもあって、私が今、所属している団体を1988年に設立をさせていただくことになりました。
今回の発言をいただいた10分という時間の中ですので、経験から得た課題ですとか、あるいは事前にお渡しした資料を中心にしながら、あとは政策の基本計画の中で、若干資料を拝見させていただいて感じた感想を含めて、発言をさせていただければと思っています。
私どもの団体自体は、先ほども言いましたとおり、1988年にコンピューターを中心としたソフトウエアを授産活動とした、無認可の作業所としてスタートした経緯があります。団体を設立して27年になりますが、この活動の中から出てきた課題を考えていく中で、授産活動から生活支援を含めた活動へと、この27年間の中で変わってきました。
今、行っているサービス自体は、障害福祉サービスですとか、あるいは居宅訪問、あるいはいわゆる公的なサービスではありませんが、スペシャルトランスポートサービスという分類に入るのだと思いますが、そういうものを含めて、札幌市内を中心に約300名に対してサービスを提供している団体です。
先ほども申しあげましたとおり、授産活動を行う小規模な無認可作業所として活動を開始しましたが、とりわけ重度の障害者が働くということを行うためには、当然ですが、働くこと以外に生活の基盤が整っているということが前提条件になるわけであります。
その中でも家族介入が難しい障害者にとっては、例えば札幌の場合でしたら、雨や雪などの天候条件にかかわらず通うということ、あるいは生活の中で必要な、着がえであったり、排泄であったり、そういう最低限の生活の基盤さえも自分たちの意思だけでは解決ができない、解決できないがために仕事を休まなければいけないという状況を見た中で、自分たちで何とか解決できないかということで、この間、活動をしてきました。
先ほど申し上げたとおり、私自身も進行性の難病を抱えておりますので、現在まで常に症状が悪化していくという難病患者の一人として生活をしています。原因が不明の難病ということもあり、特定疾患の指定も受けていますが、いわゆる病態、その日の体調ですとかそういうものの変化によって、筋力低下あるいは進行性疾患として、障害の変化あるいは重度化などを日々感じながら過ごしています。
具体的には、着がえですとか、トイレ、寝返りなども1人で行うことはできないわけですが、また、最近は食事の際の咀嚼ですとか嚥下、今日もお聞きにくいかもしれませんが、肺活量が1,000ccを切って800以下という状態になっていますので、呼吸を自分で管理するということも非常に難しい状態になっています。例えば食事のときは、いわゆる誤嚥ですね。唾も含めて誤嚥ということもありまして、そういうときには介助者に腹部を圧迫してもらうということをしながら生活をしています。
また、自分では、今、右手が若干動く程度ですので、体圧分散ですとかそういうこともできませんので、体の中には発赤を含めて褥瘡に近いような状態も複数箇所に出ているという状態です。
本日は、そのような前提の中で、基本的には個人的な見解としてお話をさせていただくということを前提にお聞きいただければと思っています。
北海道内には約540万人の人が暮らしていると言われておりますが、本日資料として事前に提出させていただいたものの中に、北海道難病連という伊藤様もかつて代表をされていた団体があり、31団体の中で関係すると思われる団体の情報を少し持ってきました。
実際この数字を足すと、約1,250名という会員になるのかと思いますが、実際には、筋ジストロフィーの一疾病の形態の中のデュシャンヌという疾病は、成人男性が約350~500人に対して1人の割合で発生をすると言われておりますので、そういうことを考えれば、まだまだ多くの患者が患者会あるいは団体とはかかわりのない中で、地域の中で暮らしているのではないかと思います。その患者が支援あるいは情報、医療等を本当に適切な形で受けているのかというと、そうではないような中で、地域で生活をしているのではないかと私自身は推測をしています。
基本政策の中で難病患者の相談体制の充実が示されていますが、進行性疾患あるいは筋疾患の難病患者にとっては、現在だけではなくて、将来の病態の変化に伴って、生活状態の変化に対応した医療や福祉、施策の総合的な相談窓口が身近なところに存在してほしいと思っています。
支援者は患者の側に寄り添って必要な援助を行うだけではなく、患者の代理者としての役割もあるかと思いますので、そういうことも含めて、ぜひそういう体制を地域の中でつくっていただきたいと考えています。
基本政策の個別の項目に関しては、発言時間の関係もありますので、全てに関して意見を述べさせていただくことはできませんので、何点かということになると思います。
資料によれば、重度訪問介護を含め在宅サービスは、年度を重ねていくに従ってサービス利用の増加傾向があるようですが、必要なサービスが地域によって偏ることがなく、必要なサービスが対象者の需要に沿って提供されているのかということを、ぜひ検討していただきたいと思っています。
私自身は、もう40年も前のことになりますが、学校を卒業し、就職を考えたときに、実際に職場に車椅子用のトイレがあるという場所は、当時は官公庁を含めてなかなか探すことができませんでした。そういう中で就職をするということは、1人でトイレに行けないという障害者にとって、我慢をするという選択肢しかないというのが現実でした。私の場合は、22歳のときに運よく仕事を見つけることができましたが、1人ではトイレに行くこともできませんでしたので、勤務中はトイレに行くのを我慢するという毎日でした。
また、働くということは、今のサービスで言えば自己負担の発生ですね。それまでは自己負担がない状態で暮らしていても、働いて収入を得ることによって自己負担が発生する。場合によっては、税金を払えば3万円の自己負担がかかるわけですね。私のように補装具ですとか居宅サービスということになると、それぞれに対して自己負担がかかるわけですから、収入を得ることによって多くの自己負担がかかるということがわからない中で就職を選択していって、初めて驚くことがあるということも、ぜひ検討課題の中で考えていただきたいと思っています。
基本政策の中では、障害者が基本的人権を享有する、個人としての尊厳にふさわしい日常生活を営むことができるよう、個々の障害者のニーズ及び実態に応じた質、量を図るとなっています。また、常時介護を必要とする障害者が、みずからが選択する地域で生活できるように、日中及び夜間における医療ケアを含む支援の質と量の充実を図るとともに、体調の変化云々ということが記されていたのではないかと記憶しています。
資料の中に少し札幌市内のことを書かせていただいていますが、札幌市は全道の人口の3分の1の方が住む非常に大きな都市ですが、この都市の中において重度訪問介護の支給決定者は約350名となっています。350名のうち、いわゆる24時間介護の支給決定者は8名となっています。大半の対象者は、月のサービスのことを考えたら、24時間の半分以下のサービスの中で生活をしているということが読み取れるのではないかと思っています。
また、資料は1ページにということでしたので記入できませんでしたが、市内の例えば重度心身障害児(者)のデータを見たときに、約857名の重症児(者)がいるわけですが、そのうち在宅で暮らしている方が半数以上の525名、施設入所は332名となっています。これだけを見ると在宅での生活者が多いと感じますが、年齢の構造を見てみると、18歳以上では約5割の333名が在宅です。ところが、18歳未満の児童では、192名の方が在宅で暮らしています。89%の方が在宅で暮らしていながら、18歳を超えた段階では50%の方に減ってしまうということも読み取れるのではないかと思っています。これは24時間介護の支給決定者が少ないこと、あるいは必要なサービスが提供されていないということの裏返しではないのかと私自身は感じています。
私もそうですが、神経筋疾患の難病患者にとっては、自分の病気だけではなく、日々の気候や日常の生活によって、その日その日によって状態が都度変化するということもあります。それは疾病の軽症あるいは重症にかかわらず起きてくることであり、私の場合で言えば、比較的気温の高い、きょうで言えば東京のようなところでは気温が高いので体も動くのですが、気温が低いところでは手が動かなくなるということもありますので、そういう地域特性も含めて、ぜひ検討をいただきたいと思います。
○平川委員 竹田さん、時間が押しているのでよろしくお願いします。
○竹田参考人 もう時間もないので余り言えないのですが、あと国土交通省のことについて若干です。
国土交通省の資料は、きょう事前には用意していなかったのですが、先ほど資料の御説明を聞いていて若干感じたのですけれども、いわゆる福祉タクシーの普及を図るとなっていますが、福祉タクシーの普及を図るときに、果たしてこれが限定なのか一般の車両なのかによって使いやすさというものは変わってくるのではないか。そういう意味では、福祉タクシーのあり方そのものを考えていくべきかなというのと、もう一点だけ、国土交通省の中ではコンパクトシティーのような考え方もあると聞いていますが、このコンパクトシティーが地域を施設化してしまうことにつながっていくのではないかという懸念も抱いていますので、そういうことにならないようなコンパクトシティーのあり方というものも、ぜひ検討いただきたいと思っています。
以上、長くなって申しわけありませんでした。
○平川委員 竹田様、どうもありがとうございました。
それでは、時間がありませんので質疑応答に入りたいと思います。各委員から御意見や御質問がありましたら挙手をお願いします。
先ほど河井委員から質問がございました。まず、厚生労働省からお答えをいただいてからでもよろしいですか。
○厚生労働省 紙で配られました喀痰吸引などの加算の算定者数をどう評価するかということだと思いますけれども、例えば居宅介護で見ますと、かなり小さな数字になっていますが、サービスの種類ごとに喀痰吸引を必要とする方がどのぐらいおられるのか。例えば居宅介護に比べれば重度訪問介護のほうが多いのでしょうし、そういう意味で、それぞれのサービスごとにこのぐらい潜在的なニーズがあるはずだという数字をつかまえていないので、そういう観点からの評価は難しいのですが、喀痰吸引の研修を受ければ喀痰吸引ができるという仕組みになってから、そして、その加算で評価するとなってから時間がたっていませんので、そういう意味では潜在的なニーズはもっとたくさんあるだろうと思っています。
○平川委員 河井委員、よろしいですか。
ほかに御意見はございませんか。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 難病の伊藤です。
きょうは、ずっと精神のほうで大分時間をとりまして、ここの問題ではそろそろ終わりなのだと思うのですけれども、また続きはあるのですか。
○平川委員 次回もう一度あると思います。
○伊藤委員 参考人も来られて。
○平川委員 そうですね。
ありがとうございました。それでは、次回もございますので、このあたりで質疑応答を終了させていただきます。皆様、御協力ありがとうございました。
○大濱委員 本日予定していた議題は以上です。
次回の日程について、事務局からよろしくお願いします。
○加藤参事官 事務局でございます。
お手元の参考資料2をごらんください。この資料2には、今後のワーキング・セッションと障害者政策委員会の予定が記載されております。次回のワーキング・セッションIIにつきましては、6月1日月曜日13時30分から開始を予定しております。場所は同じ4号館の408会議室を予定しております。
また、この資料にありますとおり、第21回の障害者政策委員会、その他のワーキング・セッションも並行して開催されることとしております。
以上でございます。
○大濱委員 それでは、本日の政策委員会ワーキング・セッションII、第1回目を終了させていただきます。ありがとうございました。