障害者政策委員会ワーキング・セッションIII:インクルーシブ教育システム、雇用など 議事録
○辻井委員 ワーキング・セッションIII「インクルーシブ教育システム、雇用など」の第2回を開催させていただきます。
本日の司会を務めさせていただきます、本ワーキング・セッションのコーディネーターの辻井です。
委員の皆様方におかれましては、御多忙中のところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日の会議は、3時半までを予定しております。
では、事務局から委員の出欠状況について報告をお願いいたします。
○加藤参事官 事務局でございます。
本日のワーキング・セッションIIIには、コーディネーターの佐藤委員、柘植委員、辻井委員のほか、阿部委員、伊藤委員、上野委員は遅れておられるようです。大日方委員も遅れておられるようです。加野委員、河井委員、野澤委員も遅れておられるようです。松森委員が出席されています。
なお、会議冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入り、写真撮影が行われますので御承知おきください。
以上です。
○辻井委員 それでは、議事に入ります。
毎回のお願いで恐縮ですが、議事に入る前にお願いがございます。
各委員から発言を求めるときは、まず挙手をいただき、司会からの指名を受けてから発言をお願いいたします。できれば最初に結論を述べ、その後、理由あるいは説明をしていただくというのが合理的配慮としてはよいのではないかと思っております。
また、御発言の際は、まずお名前を名乗り、可能な限りゆっくりわかりやすく御発言いただくようお願いいたします。できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は、必ずマイクのスイッチをオフにしていただくようお願いいたします。
また、障害者基本計画(第3次)実施状況に関しまして、委員あるいは参考人より御発言いただく際、可能な限り、事前にお配りしております障害者基本計画(第3次)の実施状況のいずれの項目に関連しての御意見なのかを資料のページ数とあわせてお知らせくださいますようお願いいたします。例えば「実施状況、4ページにある項目番号1-(1)-5についての意見です」というようにお願いいたします。
本日は、インクルーシブ教育、雇用などの分野における第3次障害者基本計画の実施状況について御議論いただきたいと考えております。
それでは、会議の資料と流れについて、事務局より御説明願います。
○加藤参事官 本ワーキング・セッションの会議資料と流れについて御説明いたします。
まず、会議資料でございます。
資料1「障害者基本計画(第3次)の実施状況に対する意見」
資料2-1「第1回における質問への回答」
資料2-2「インクルーシブ教育システム構築事業」
資料3「委員及び参考人からのご質問に対する回答」
参考資料1「障害者政策委員会ワーキング・セッションについて」
参考資料2「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視に係る今後のスケジュールについて(案)」
参考資料3「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視について(案)(第20回障害者政策委員会 資料)【抜粋】」となっております。
なお、委員の皆様には、机上に常備いたします資料として「障害者基本法」「障害者基本計画」「障害者基本計画の概要」「障害者基本計画の実施状況」「障害者の権利に関する条約」を御用意しております。
次に、具体的な進行についてですが、まず、雇用の分野について参考人からヒアリングを行った後、残りの時間を2つに分け、前半では雇用の分野における第3次障害者基本計画の実施状況について、前回のワーキング・セッションで委員より御質問のあった事項について、厚生労働省と内閣人事局からの回答と質疑応答を行い、25分間意見交換を行います。その後、10分間の休憩を挟みまして、後半ではインクルーシブ教育システムの分野における第3次障害者基本計画の実施状況について、前回のワーキング・セッションで意見なり御質問があった事項につきまして、文部科学省からの回答と質疑応答を行い、その後、30分間意見交換を行います。
なお、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますようお願いいたします。
以上です。
○辻井委員 それでは、前回に引き続き、今度は雇用についての参考人からのヒアリングを行いたいと思います。お手元の参考資料1をごらんください。
各ワーキング・セッションのコーディネーターと参考人が記載されていますが、ワーキング・セッションIIIの参考人4名のうち、この議題については参考人として上智大学の永野仁美様、また、ヒアリングは行いませんが、名城法律事務所の田中伸明様、以上のお二方にお越しいただいております。本日は、お忙しい中おいでいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
具体的な進め方についてですが、まずは永野様から10分間意見を述べていただき、その後、10分間質疑応答を行うという形で進めてまいります。議事進行への御協力をお願いいたします。
それでは、永野様、よろしくお願いいたします。
○永野参考人 ただいま御紹介にあずかりました永野と申します。
本日は、第3次障害者基本計画の実施に関する意見をお出しする機会をいただきまして、ありがとうございました。では、早速、意見から述べさせていただきたいと思います。
まず、実施状況の36ページ、4-(1)に関することから述べていきます。4-(1)-1の障害者雇用促進法に関する意見です。
障害者雇用の分野では、2013年の法改正により、障害者に対する差別禁止及び合理的配慮の提供義務が導入されるとともに、精神障害者の雇用が義務化されました。その施行に向けて、障害当事者や企業に対して改正の趣旨や、2015年3月に公表されました「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」等について情報提供していくことが求められようかと思います。
また、これとの関係で、障害者自身に対する就労支援だけでなく、企業に対する支援も行っていくことが必要になろうかと思います。といいますのも、2013年法改正によりまして、企業は、障害者に対する差別禁止と合理的配慮の提供という新たな義務を課せられるとともに、これは雇用の質的改善につながると思いますが、こうした新たな義務を課せられるとともに、精神障害者の雇用義務化により、さらなる障害者雇用を求められることとなりました。これは障害者の雇用の量的改善につながるものだと思いますが、そういう新しい義務が課せられるということになりました。既に高齢・障害・求職者雇用支援機構によりまして各種の助成がなされておりますけれども、それらについての情報提供であるとか、その内容の見直しを適宜行っていることが求められるのではないかと思っております。
また、4-(1)-1に関しましては、前回、田中参考人からも御意見がありましたけれども、私も教育委員会における雇用義務の達成が低いということが課題だと思っております。障害を持つ児童だけでなく、障害を持つ教職員が教育現場にいることは、インクルーシブ教育の推進の観点から見ても重要だと思いますし、また、それが将来の障害者の雇用の促進にもつながるのではないかと考えております。
続きまして、37ページの4-(1)-3、特例子会社に関しまして意見を述べさせていただきます。
特例子会社は、障害者に対する雇用そのものの提供であるとか、障害に配慮した就労環境の提供において重要な役割を果たしていると考えております。しかしながら、他方で、特例子会社は障害者のインクルージョンの観点からは問題があるとの指摘もあるところです。特例子会社の存在意義を認めつつ、新たに導入されました差別禁止原則に抵触しない特例子会社のあり方。例えば障害がある人は特例子会社でしか雇用がなされないといったような取り扱いがなされないよう、今後一層配慮していくことが求められるのではないかと考えております。
続きまして、4-(2)-4、5に関する事柄について意見を述べさせていただきたいと思います。40ページです。
先ほど申しましたとおり、障害者に対する就労支援に加え、企業に対する支援を行っていくことが必要であると考えておりますけれども、中でも、とりわけ中小企業に対する支援が重要になってこようかと思います。精神障害者の雇用義務化に伴う法定雇用率の引き上げによって、雇用義務を負う企業の範囲は拡大することとなります。また、納付金制度の対象となる企業の範囲も拡大しているところでございます。既に、さまざまな支援がなされていますけれども、これをさらに充実させていくことが課題になろうかと思っております。
続きまして、4-(3)-4、4-(4)-2、どちらも障害者優先調達推進法に関する項目です。43ページと44ページの部分に関する意見を述べさせていただきます。
障害者優先調達推進法は、特例子会社や就労継続支援事業で就労している障害者の賃金・工賃の引き上げに寄与するものと言えようかと思います。しかしながら、私自身がさまざまなところでインタビュー調査を行いますと、随意契約ではなく入札がなされる場合、特例子会社等では競合他社に太刀打ちすることができないという声をよく聞くことがあります。障害者就労支援施設等からの物品等の調達についての指針におきまして、随意契約を活用するということが確認されているところではありますが、また、障害者就労施設ばかりがなぜ優遇されることになるのかという問題を生じさせる可能性もありますけれども、この仕組みを改善することはできないかと考えております。
続きまして、4-(4)-1、44ページ、福祉的就労に関する部分について意見を述べさせていただきます。
私見では、障害者というのは多様な存在であるがゆえに、障害者が働く場所についても労働法の適用のないB型であるとか、適用のあるA型、さらには一般就労と多様な選択肢が存在していることが重要であると考えています。しかしながら、A型での就労や一般就労が可能であるにもかかわらず、A型事業所の不足であるとか、その他の理由によりまして、労働法による保護がないまま就労せざるを得ない障害者がいるということは問題であると考えています。ですので、この点の改善が求められるのではないかと思っております。
また、A型での就労や一般就労が困難な障害者につきましては、すなわちB型で働いている障害者につきましては、労働法による保護とは別の形で、工賃を含む就労条件を保障していくことが必要なのではないかと考えております。
続きまして、45ページの4-(5)-1、障害年金と就労所得との関係に関するところについて意見を述べさせていただきます。
初診日に二十未満でありました障害者につきましては、所得が一定の額を超えた場合に障害基礎年金の支給が停止されるということになっております。障害者の就労条件の改善に伴いまして賃金が増大していくことは望ましいと思いますけれども、その際、障害基礎年金の支給停止が障害者のさらなる就労あるいは賃金のアップを阻害する要因となる可能性はあるのではないかと思っております。
私見では、障害年金は障害者の就労インセンティブに配慮しつつ、稼働能力の減退・喪失に対する給付として再構築する必要があると考えておりますけれども、また、このテーマはここで議論できる話ではないかもしれませんけれども、まずは、その前段階といたしまして、現在の障害基礎年金の支給停止の状況について把握しておく必要があるのではないかと考えております。
以上が実施状況に関します私の意見ですけれども、そのほかといたしまして、情報提供あるいは情報の把握をお願いしたいものとして、次のことを挙げております。
まず、特例子会社における障害者の内訳です。特例子会社においては、とりわけ知的障害者の雇用が非常に有効になされていると言われてもいますけれども、実際どのような障害者がここで働いているのか、情報の把握をしていただけると非常にうれしいなと思っております。
実施状況におきまして、就職率のみが掲載されている項目について定着率も書いていただけると非常にありがたいと思っております。
さらに、企業におけます中途障害者、特に精神障害者の数であるとか、企業におけるリハビリ就労の実施状況についても調査していただけるとうれしいなと思っております。精神障害者の雇用義務化に伴いまして、企業は今後一層の精神障害者の雇用に取り組まなければならなくなりますけれども、企業内には既に手帳を持たない多くの精神障害者を持っていらっしゃる方がいらっしゃると思われます。そうした精神障害を持っている方々について、また、彼らの雇用維持のための取り組みについての情報収集をお願いしたいと思っております。
さらに、企業に対する助成が既にさまざまなされていますけれども、それに対する申請数であるとか、申請に対して許可数、どのぐらいの助成がなされたのかといった助成額、こういったことについても情報をいただけるとうれしいと思います。
そして、福祉的就労に関するものとして、A型、B型事業者の数であるとか、A型における最賃減額特例の許可件数であるとか、平均賃金・工賃、こういった情報もいただけるとうれしいです。もう既に意見のところで述べておりますけれども、障害基礎年金の支給停止件数についても調査をしていただけるとうれしいと思っております。
以上です。
○辻井委員 永野さん、ありがとうございました。
それでは、質疑応答に移りたいと思います。
各委員から、御意見や御質問等がおありでしたら挙手をお願いいたします。
まず、阿部委員から。
○阿部委員 日身連の阿部です。
永野委員から大事なポイントを押さえて説明いただき、ありがとうございます。その中で、質問といいますか、障害者優先調達推進法に関するところでのことです。
永野委員のこの文章で、特例子会社では競合他社に太刀打ちすることができないとの声があるということをまたインタビューの中で整理されているということですけれども、ここの中でこの仕組みを改善することが大事なポイントだということでもありますので、インタビューの中から見えてきた競合他社に太刀打ちすることができない、その具体のことについてお話しいただければ改善を考えることができると思いますので、お願いいたします。
○辻井委員 では、永野さんからお願いします。
○永野参考人 永野です。
私も具体的に仕組みがどのようになっているのかというところまでは、自分で経験していませんのでわからないところがありますけれども、何らかの事業につきまして、それが入札にかかるとどうしても価格を下げる方向で入札がなされますので、特例子会社等々におきましては、そこまで価格が下がってしまうと、もうその仕事を引き受けることができないということになってしまい、ほかの価格を下げた競合他社に入札で負けてしまうことが多々あるということでした。随意契約の場合には、そういうことは起きないわけですけれども、そういう問題があると伺っております。
○阿部委員 阿部です。
価格のことで厳しい状況にあるということとか、あとは多分優先調達推進法で行政が求めるものの内容の製品をうまくつくるためのさまざまな試みとかというのは、これから蓄積してくることだと思います。そのようなことも含めて、永野参考人にはこれからの研究をお願いしたいと思いますとともに、これが実効性のある推進法であってほしいなと思います。ありがとうございました。
○辻井委員 委員の中でほかに御質問はございますでしょうか。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 伊藤です。
今の優先調達推進法ですが、実際、現場ではなかなか難しいことがいっぱいあって、例えば価格だけの競争ではなくて供給力とか品質の問題もあったりして、太刀打ちできないところがあるのかなと思うのですが、全体としては、むしろ低賃金というか低価格に引きおろしていっているようなきっかけにもなっているような気がして、これはこの仕組みの中ではいかがなものかなと思うので、この調達方法が全体の価格といいますか、そういうものを引き下げている原因だとすれば何が問題なのか、あるいは今後これがずっと推進されていくということがいいのかどうかという問題も、現場ではそういう声がちらちらと聞こえてはいるのですが、いかがでしょうか。
○辻井委員 では、永野参考人、どうぞ。
○永野参考人 永野です。
今、御意見を伺いまして、私自身も同じように感じました。ですので、これからももう少し私自身で、企業の方々の御意見も聞いて調査を進められるようにしたいと思います。
○辻井委員 時間は限られているのですが、この件は厚労省のほうなりで何か把握される状況があれば。
○厚生労働省 障害福祉課の香月でございます。
優先調達法については、平成25年からスタートして、25年度の実績はここに書いてあるとおりです。26年度の状況については、今まさに集計をしているので、25年度の123億がもっと上がっているかもしれないし、上がっていないかもしれないのですけれども、これはまた公表させていただくことになると思います。
障害者就労施設に配慮するために随意契約をまず可能にし、これまでは随意契約さえできなかったところから進んだことで、この法律の意義があるのではないかと思います。
2つ目については、一つ一つの施設は小さいので大きな受注、大きな調達案件だと参加できないというのはありますけれども、それについては、共同受注窓口という、福祉施設が連合して窓口をつくる。そういった施設が集まって例えばNPO法人をつくったり、一般社団法人をつくったりという例が全国で30~40カ所ぐらいあり、そういった1つの施設で受けられないものを連合して受けられるということをやろうというところには、補助金を出させていただいて、そういった窓口をどんどんつくっていってくださいという取り組みを過去5年位行ってきておりまして、今年度もまさに締め切ったところなのですけれども、そういった都道府県の取り組みを応援させていただいているところでございます。
時間がありませんので、これぐらいにさせていただきたいと思います。
○辻井委員 ありがとうございます。
要するに、この法律がむしろ価格を結果的に押し下げる。配慮を欠くような形に使われていないかどうかということに関しては、いずれにしても、今、出た意見としては、今後把握して御報告できるようにしていただけるとありがたいかなと思います。
では、時間の都合もありますので、雇用の分野における第3次障害者基本計画の実施状況についての議論に入りたいと思います。なので、質疑応答を終了させていただきます。御協力ありがとうございました。
前回のワーキング・セッションで質問があった事項について、厚生労働省及び内閣人事局から説明をお願いいたします。
まず、厚生労働省のほうから。
○厚生労働省 厚生労働省の障害者雇用対策課の宮本でございます。
資料3で、前回いただきました御質問等について御回答させていただきたいと思います。
資料3の1ページ目をごらんください。
河井委員、田中参考人から、ジョブコーチ、障害者就業・生活支援センター、ハローワークにおける定着率というのはどういう考えなのかということについてお尋ねがございました。
回答のところにございますが、どれほどの期間であれば定着かということに確固たる定義というのはないのですけれども、前回も少し説明させていただきましたように、ジョブコーチというのは、要するに既に働いておられる障害者の方にいろいろ問題があったときに途中で介入をして、いろいろな雇用管理であるとか障害の方の働き方を支援するというものなので、その支援の効果がどれぐらいあったかということで、ジョブコーチの期間は大体2~8カ月間ぐらいやるのですけれども、それが終わった後、どれぐらい障害者の方が続けてその職場で働くことができたかを把握するため、その後、6カ月間の定着率を見ることで、そのジョブコーチ事業の効果としているところでございます。
一方、障害者就業・生活支援センター、中ポツセンターと我々呼んでおりますけれども、こちらは障害のある方が就職をしようとする段階から就職した後まで、一貫して継続的に支援をするというようなセンターでございますけれども、こちらのほうは就職から1年間ということで定着率を見ております。そういう意味では、大体定着というのは1年間ぐらいで考えているということだと思います。ジョブコーチにおいても、大体ジョブコーチの支援が2カ月から8カ月ぐらいあって、その後、6カ月見ているので、1年以上はそこに働いていることになりますから、大体1年間で見ているということが言えるのではないかと思います。
ハローワークなのですが、ハローワークを通じて就職される方は8万人ぐらいおられるのですけれども、そのハローワークで就職された方全てについて定着率がどうであるか、どれぐらいかということのデータはとっておりません。しかしながら、5年に一度、実態調査という形で、いわゆる統計調査をやっておりまして、直近の平成25年度障害者雇用実態調査におきましては、勤続年数という形で、そこに身体障害者10年、知的障害者7年9カ月、精神障害者4年3カ月という数字が出ております。ここで見ても明らかなように、精神の方は勤続年数が短いので、精神の方の定着支援というのが今後の課題になると考えております。
次、質問2でございます。男女別データ、地域別データ、未就職者の性別、年齢別の分析についてということで、松森委員、阿部委員から御質問いただいた点でございます。
これも25年度障害者実態調査によれば、そこのページの一番上にありますように、身体障害者の男性が66.7%、女性が32.3%、知的障害者であれば男性が67.1%、女性が32.3%、精神障害者であれば男性が63.3%、女性が35.2%となっております。
いわゆる就職率、就職を希望した方が実際に就職できた割合ですけれども、それで見ますと男性が47.5%、女性が47.0%となっていて、そこは余り変わりがない、大きな差はないという結果になっております。
また、就職率を年齢別で見た場合におきましては、60歳以上が若干下がっておりますけれども、各年齢で余り就職率に差はないという状況になっております。この前、阿部委員からは、我々がやっております障害者雇用状況報告調査の中で男女調べればよいのではないかということなのですけれども、その障害者雇用状況報告調査は要するに何のためにやっているかというと、阿部委員には釈迦に説法かもしれませんけれども、障対法という法律で企業に雇用義務というのが課してありまして、その雇用義務を把握するために障害者雇用状況報告調査という形で、対象となる各企業に悉皆的に報告させているものでございまして、その雇用義務の中で男女別というものがないものですから、男女の別をそこで聞くということは、その法律上とっているデータとしてはなかなか難しいということがありますので、なかなか法律上そのデータでとるということは難しいということになります。
地方のデータでございますけれども、地方のデータも同じことでございまして、企業グループ全体で本社のところで企業数をカウントして、そこで雇用義務を見ておりますので、各支社ごとに、どこの県にある支社で何人ということを把握することは、要するに法律上は必要がないものですから、そのデータでとることは難しいということになります。
しかし、御案内のように、大企業より中小企業のほうが日本の場合は多いですから、そうなりますと、大体あのデータを見ればどの都道府県が頑張っているかということは、必ずしも正確ではないのですけれども、大体のことはわかりますので、それに従いまして私たちは、データの低いところは地方の労働局にもっと頑張れということでハッパをかけておりますので、一応そういうとり方であるから全く使えないということはないのではないかと考えております。
松森委員から、質問3ですけれども、合理的配慮の別表の中に要約筆記や手話通訳の記載がないというお話がございました。実は合理的配慮の指針について別表に出ている例は、多くの企業が取り組むことができる事例ということで、比較的軽度の合理的配慮を載せております。それは審議会の中で議論をして、多くの企業が取り組めるものを事例として載せようということになりまして、それで載せたということになります。
ただし、今、事例集というのを集めていて、その中ではさまざまな合理的配慮の事例を集めています。それはかなりここまで配慮しているというような事例も含めて事例を集めて、その事例集を公表しようとしております。大体今月中には公表できるのではないかと考えておりまして、その事例の中には手話通訳も載せるという方向で考えておりますので、御了承いただきたいと考えております。
次、問いの4、伊藤委員から、発達障害者、難病患者が雇用率に入らない理由について。あるいは発達障害者、難病患者に係る助成金額が多少他の障害と異なる理由についてということでございます。
もう御案内だと思いますけれども、雇用率制度は昭和51年から導入された制度ですが、平成30年度から法定雇用率の算定基礎に今度精神障害者が加わるというように、これだけの年月をかけて徐々に範囲を拡大してきているということをやっております。前回は平成25年の改正で、精神障害者をようやく法定雇用率の算定基礎の中に入れるということが法律で定められて、それが平成30年度から実施をされるという、永野先生がおっしゃっていたような状況になっているところでございます。
25年の法律を出したときの労政審の意見書においては、雇用義務制度の趣旨を踏まえると、障害者手帳を所持しない発達障害者、難病患者等の障害者については、現時点では雇用義務の対象とすることは困難であるが、今後、職業生活上の困難さを把握、判断していくための研究を行っていく必要があるとなっておりますので、これ以上なかなか私の口からは言えませんけれども、この次の課題であると思っております。
助成金については、これも御案内だと思いますけれども、いわゆる手帳を持っている方については、特定就職困難者雇用開発助成金、特開金と言っているものが支給されまして、障害者手帳を持っていない発達障害者や難病の患者については、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金、長い名前なのですが、発難金と我々は呼んでいる、そういった資金が雇い入れのときに払われるという仕組みになっているのですけれども、今、金額は同じになっているのですが、実は特開金のほうは重度という概念があって、手帳制度に重度というものがリンクしておりますので、その手帳制度の重度というので、重度については額が少し高くなることになっております。それは発難金の中にはないということで、そこのところだけ金額が違うということになっております。
辻井委員から指摘がございました、就労移行支援事業を利用した者のハローワークを使用している数については、障害部のほうからお答えをお願いしたいと思います。
○厚生労働省 障害福祉課でございます。
経路については把握しておりません。就職された人数しかとれない状況になっており、申しわけございません。
以上でございます。
○厚生労働省 今、障害部のほうから答えがありましたけれども、ほとんどはハローワークを通じて就職していると考えております。
質問6、大濱委員から特例子会社の位置づけ、特例子会社における親会社と子会社の賃金の比較についてという御質問がありました。
特例子会社につきましては、先ほど永野先生がおっしゃったとおりに、要するに雇用環境を整備して、かなり重度である知的障害の方も雇うことができるようになったというメリットと、1つインクルージョンの観点から問題ではないかという御指摘とあるのですけれども、平成25年度のまさに雇用分野における合理的配慮と差別禁止という議論をしました労政審の議論におきましては、特例子会社制度は知的障害者を初めとする障害者の雇用促進に果たしてきた役割は大きく、その障害者のその特性を配慮して継続して雇用するという観点でも貢献しており、特例子会社制度は存続させることが必要である。こういう判断が一応されております。
もちろん、今回の合理的配慮、差別禁止の指針の中では、例えば障害者雇用の枠ではなくて一般雇用の枠の中で、障害者はお断りであると。要するに、障害者は必ず特例子会社に募集してほしいと、そういうようなことは差別であるとして、それは禁止をされます。だから、当然、一般企業のところに障害者も募集ができるということでありまして、それを妨げるようなことは差別に当たると解しておりますので、特例子会社については、そういう運用には十分気をつけてまいりたいと考えております。
田中参考人からありました50人以上の企業で雇用される、いわゆる雇用率制度の対象となる企業の実雇用率です。雇用率制度においてはダブルカウントといって重度の方は2人分にカウントし、短時間、20時間以上の労働者の方は0.5ポイント、0.5カウントしておりますので、この25年の40万人という数字は、そういった制度的に把握された数字でございます。それが実数ベースで何人になるのかということでございますが、それは初めの行に書いておりますように32万人になるということでございます。その内訳は以下のとおりでございます。
田中参考人からの要求資料で、49人以下の規模の企業において雇用されている障害者の数ということで、これは実態調査から基づきます推計値でございますけれども、5人以上49人以下の企業における雇用障害者数は22.2万人ということで、50人以下の企業においてもかなりの数の人数が雇われているという状態でございます。
田中参考人からの要求資料で、これは内閣官房で府省全体を取りまとめておられますが、チャレンジ雇用された後の就職先がどうなっているのかということでございます。チャレンジ雇用というのは3年間雇われるということになっておりますので、その先ということなのですが、これも厚労省全体でそれを取りまとめたものはないのですが、我々の労働局においてチャレンジ雇用をやっておられる方のうち、平成25年度にチャレンジ雇用を終了した188人のうち、一般企業に就職された方は138名となってございます。
田中参考人からの要求資料で、企業内で活動するジョブコーチの実数というのがございました。2号のいわゆるジョブコーチの資格を受けた方は180人となっておりますが、これは助成金の対象になっておる、いわゆる助成金が支給された実績が180人ということでございまして、実際にはジョブコーチの資格を持って企業で働いている方はもっと多い数がいると考えております。
要求資料の5ですが、これは最低賃金除外特例の申請数ということで資料のような数字でございます。
私のほうからは以上でございます。
○辻井委員 ありがとうございました。
続いて、内閣人事局から説明をお願いいたします。
○内閣人事局 内閣官房内閣人事局、澁谷と申します。
私のほうからは、せんだって田中参考人のほうから、37ページの4-(1)-4につきまして、1つはチャレンジ雇用を列記されていない府省等でも実施をお願いしたいというお話を頂戴したと伺っております。この御指摘については当然理解させていただいております。チャレンジ雇用自体は、実施主体、これは各省ということになるのですけれども、私どものほうでは政府全体の国家公務員の人事行政を推進するため、政府内の人事管理の基本方針といたしまして、人事管理運営方針というものを毎年度策定いたしております。各府省等におかれましては、この方針のもとに人事管理を行っていくということを行ってございます。
実は、この中に知的障害者等が一般雇用に向けて経験を積むためのチャレンジ雇用を推進するという文言を盛り込ませていただいております。せんだって、厚労省さんのほうからも次官会議のほうでチャレンジ雇用について要請されているというお話があったかと思うのですが、私どものほうでも各府省の人事担当課長が集まる会議におきまして、この内容を御確認いただく。さらなる実施を要請するということを行っているところでございます。
また、レベルは下がってしまうのですけれども、各府省の実務担当者に、これも一昨日実施したところでございますけれども、これも厚労省さんのほうに御協力いただいているところでございますが、チャレンジ雇用の必要性というものにつきまして御理解いただく。推進するよう要請を行っているということでございます。いずれにせよ、各府省とも連携しながら、引き続き各府省等に対してチャレンジ雇用、障害者雇用、こういったものに積極的に取り組むよう働きかけていきたいと考えているところでございます。
もう一点、同じく田中参考人のほうからの御意見といたしまして、常勤職員としての採用ということで検討をお願いしたいというお話を頂戴したと伺っております。実は、国家公務員の場合については御承知かと思いますが、基本的に競争試験を通じた成績主義に基づいて採用を行っておりまして、この試験の実施につきましては、公平、平等、公開、こういったものを旨に行っておりますので、いわゆる障害をお持ちの方であっても常勤職員として現在も採用できるような状況になっているということを御承知いただければと思います。
私のほうからは以上でございます。
○辻井委員 ありがとうございました。
それでは、あと残り2時35分をめどに幾つかの議論を行いたいと思います。
まず、今の御説明、永野参考人にお話をいただいて以降、雇用に関連してという形で委員の皆様から御意見、御質問をいただければと思います。よろしいでしょうか。
それでは、阿部委員、伊藤委員、松森委員。とりあえずよろしいでしょうか。
では、お三方、阿部委員から順番に。
○阿部委員 日身連の阿部です。
先ほど厚生労働省の説明、ありがとうございました。ロクイチ調査については男女ということもないというのも存じ上げていますし、企業全体のというのもありますけれども、就労の実態をしっかり把握するためにもということで、今後の検討課題として男女の人数とか地域ということも工夫次第によってはできることかと思うので、今後検討していただければと思います。これまでにはないというのは存じ上げております。
質問5との関連で、確認ですけれども、雇用率に反映するためにはハローワークを通さないといけないと思っていたのですが、必ずしもそうではないということなのかどうかの確認です。
チャレンジ雇用につきまして、各省庁からの報告は本当に大事なことでありまして、これからもっと進めていただきたいと思うこととともに、地方自治体でもチャレンジ雇用を行っていますね。そのようなことというのは私たちの国の障害者雇用に向けての大きな取り組む姿勢だと思いますけれども、そのような数、実態というのは把握できないものなのかどうかということの確認でございます。
以上、3点です。お願いします。
○辻井委員 御回答その他はまた追ってという形で、先に質問のほうをとらせていただきつつと思いますので。
それでは、伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 伊藤です。
お願いが1つと質問が1つです。
ただいまの説明で、障害者手帳を所持していない発達障害者、難病患者等のことについて御説明いただいたのですけれども、これはお願いになるのですが、しかし、障害者手帳を持つに至らない難病患者というのは、むしろ全体的には稼働能力がまだ高いのではないかと考えられている人が多いのですが、同時に、最も就労上の困難にも直面している人たちなのです。例えば私どもの調査でも、退職に至るというか、退職させられた、あるいは職場にいにくく感じるようになったというのは、むしろ病気の初期のころの方あるいはまだ重度にならない方々が多いわけでして、そういう意味で今後何らかの対策をお願いしたいなと。手帳を持っている人はまだそれを使えるわけですけれども、それに至らない方。こういう方々は、退職が多いというだけではなくて、障害年金ももちろん非該当ですし、生活保護も働けるのではないかというような指導を受けて不認定になっていくという層で、二重三重に最も厳しい層なわけです。かつ、病院にも行かなければならないという方々ですので、そういう状況でも働かなければならない状況というのはいっぱいあると思いますので、今後、このこともぜひ労政審の障害者雇用分科会等においてはお伝えいただいて、議論の俎上にのせていただきたいということです。
質問というか、これもお願いなのですが、いろいろなデータが出ておりますけれども、まだ具体的な成果が上がるというところまでいっていないせいなのでしょうか。難病患者の就職サポーターというのがハローワークに配置されているわけですが、この方々の実際の今、上げている成果の状況であるとか、課題であるとか、そういうのもほかのデータと同じように取り上げていただきたいというようにお願いをしておきたいと思います。
○辻井委員 それでは、松森委員、お願いします。
○松森委員 松森です。
私も阿部委員と重なる部分があるのですけれども、障害者雇用状況報告の中に男女別の統計がないことは理解しました。しかし、政府として、権利条約に沿って障害者基本計画等を運用していくことになっているので、男性か女性かということにも着眼しなければ成り立ちません。そこからも調査の直接の目的が雇用促進であるということが性別のデータをとらない理由にはなりませんし、事業者の負担ももちろん理由にはならないと思っています。
障害者雇用状況報告と障害者雇用実態調査、この2つの調査はどちらも同じ課が所管していますが、根拠法が異なっており、毎年調査をして詳細内容がある障害者雇用状況報告の利活用が進まないと、基本計画の評価にも支障が出ると思います。よろしくお願いします。
○辻井委員 そのほか委員あるいは参考人のほうで何か御意見ありますでしょうか。
田中参考人からの資料も幾つかきょう出てきたりということもありましたので、田中参考人、何かよろしいですか。
○田中参考人 田中です。
いろいろ資料を提供いただきまして、ありがとうございます。感謝します。
1点だけ申し上げたいと思います。きょう提供いただきました資料を見ますと、49人以下の企業での雇用実績がかなりの数あります。22.2万人ということです。これから障害者雇用を考えていく上では、雇用率の達成も重要ですが、こういう中小企業での就労を進めていくということも非常に大きいことかと思います。温かい雰囲気の中で家族ぐるみのような感じで障害者を支えていくという面もありますし、大きいと思います。
そういう意味では、実施状況の(2)-4のところに、中小企業等に対する障害者就労雇用相談啓発事業の実施状況の数が書いてあります。552件とありますけれども、こういうものをもう少し数字を上げていっていただくことで雇用を推進する政策に力を入れていただければと思います。
私からは以上です。
○辻井委員 では、コーディネーターのほうからも御意見というか御質問をと思うのですが、佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。DPI日本会議の佐藤です。
2つあるのですけれども、1つ、合理的配慮の指針を出していただきましたけれども、事例の収集というのはされているのでしょうか。もし、そういうのがあればされているのか、予定があれば教えていただきたいと思います。
というのは、去年、熊本市を全盲の方が受験するときに、点字の試験がないということで断られたのですけれども、このときいろいろ報道されまして、北九州の人がインタビューに答えていて、北九州では全盲の人を何年も前から雇っている。ちゃんと労働力として活躍しているのだということを言われていました。ですから、どのように働いているかという事例を示せば、ほかの自治体もより積極的に雇用が進むのではないかなと思いました。
もう一つは、先日、相談を受けたのですけれども、障害を持っている方なのです。車椅子に乗っている方で一般就職されています。体調を崩して入院されたときに、その会社は特例子会社を持っているそうなのですけれども、そちらのほうに移ったほうがいいのではないかと勧められたということなのです。その人がおっしゃるには、特例子会社のほうに行くと待遇が非常に悪い。しかも、一度行ったら二度と親会社には戻れない、だから絶対移らないようにしたのだということを言われていました。こういう実態がありますので、賃金の格差はかなりあるのではないかなと思いました。
今回、そのデータが出てこなかったのですけれども、こういう実態があるのであればインクルーシブの視点からは少し問題があるのではないか。そこに関してどういうように思われるかということを教えてください。
以上です。
○辻井委員 では、私のほうから。
定着率というあたり、質問1の関連のところで少しお答えをいただいたのですが、これが実は先ほど助成金が5ページのところで少し出てきたと思うのですが、若干関連するのですが、就労で雇用に関連しての助成金、例えば1年とか2年とかというような雇い入れに関連しての助成金となると、その期間が終わったところで切られるということが実際問題としては結構あって、そうすると、数字としては助成金の期間中にどのぐらいあって、それが終わった後、実際にそのまま継続しているのかどうなのか。要するに、助成金目当てのために雇用してもらうわけではなくて、障害者の方たちのインクルーシブの生活で、実際に働いていくことを実現するためにそれは本来あるのだろうと思うので、そうした意味で定着という形でいうと、助成の期間が切れた後も雇い続けているところがどのくらいあるのかということをきちっと明記しないと、せっかくの意義が多分なくなっていくのだろうと思いますので、このあたり、もし可能であれば、今はなくても今後少し明記していただけるといいのかなと思います。
あと、先ほど私が質問した6ページのところあたりなのですが、同じ省内の中でも制度が違うと、その間をどう移行したのかという統計がないというのはかなり大きな問題だと思います。この辺のところは連動して障害のある方たちが働けるようにということを実現していくという政策であるはずですので、障害者の福祉政策と雇用の政策というのが連動してどう動いていくかという実態が示されないと、それは数字としては意味がないものになるのではないかと思います。
ほかに委員あるいは参考人のほうで御意見あるいは御質問ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
でしたら、今、可能な範囲で、特にすぐお答えできやすいようなものからお答えいただいて、今の全部のところをお答えいただいて35分というのは無理なような気がしますので、それについては、また書面でお答えいただくという形でお願いできればと思うのですが、厚労省のほうからでしょうか。
○厚生労働省 厚生労働省の障害者雇用対策課の宮本でございます。
今たくさんいただきましたけれども、難しいと思われるものについて意見を述べたいと思います。
まず、雇用率制度の中で男女であるとか都道府県のものをついでに把握したらいいのではないかということですけれども、阿部委員も委員ですからわかると思いますが、施策として例えば何を把握するために男女の統計をとるのか。都道府県を把握するときに、今のものではだめで、その精緻なものをとって何をやるのかということが非常に大事で、もし、そういうメリットがすごく上回るようであれば、それは毎年毎年とるわけですから、今とっていないものをとるのですから企業には大きな負担になるわけですけれども、それをとってもらう何かそういうメリットがあったり、あるいは国際的な何か義務みたいなものがあって、絶対それをやらなくてはいけないというようなことが説明できれば、企業のほうにそれをお話しすることができるかもしれませんが、もう少しその辺をむしろ整理してもらわないと、なかなか我々のほうからは、全く別のものですから、その中でそれを把握しろということを言うのを持ち出すのは難しいということでございます。
事例集については、先ほど申し上げたのですけれども、今、事例集を集めて、昨年からずっとハローワークで労働局で合理的配慮の事例集を集めておりまして、今月中にもその事例集は公表したいと思っております。ネット等などでも厚生労働省のホームページから見られるような形にしたいと考えております。
特例子会社の実態なのですけれども、よくない特例子会社もあると思いますが、なかなか賃金の格差ということだけでそれを見ることは難しくて、実は特例子会社と本社は違う仕事をしているので、いわゆる同一労働ではないので、必ずしも同一賃金ではないわけですので、なかなか賃金の違いということだけで特例子会社はよくないみたいな感じで見ていくというのは難しいものですから、いい特例子会社と悪い特例子会社を見ていくことは大事だと思いますけれども、余り単純な賃金比較みたいなことをやってどうかというのは比較の基準にはならないのではないかなと思います。あとはなるべく善処して資料をいろいろ集めたいと思っております。
あと、雇用率の対象はハローワーク経由でなければだめかというのは、そんなことはございませんので、ハローワーク経由でなくても雇用率のカウントになります。
私のほうから、とりあえず以上でございます。
○辻井委員 厚労省、その他の課のほうはよろしいでしょうか。
あと委員、参考人の方、よろしいでしょうか。
では、予定からすると5分ほど早いのですが、休憩を10分ほどとらせていただきまして、2時40分から再開ということでさせていただければと思います。
では、休憩に入ります。
(休憩)
○辻井委員 インクルーシブ教育システムに移りたいと思います。ここからの司会は柘植委員にお願いしたいと思います。
柘植委員、よろしくお願いします。
○柘植委員 筑波大学の柘植でございます。
インクルーシブ教育システムの分野における第3次障害者基本計画の実施状況についての議論に入りたいと思います。
なお、本日、ヒアリングは行いませんが、この議題につきまして参考人の村上由美様、全国特別支援教育推進連盟の大南英明様の代理の落合勇様にもお越しいただいておりますので、御発言がございましたら、よろしくお願いいたします。
まず、前回のワーキング・セッションで質問がありました事項について、文部科学省から説明をお願いします。
○文部科学省 文部科学省特別支援教育課長の井上でございます。お世話になります。
前回のワーキング・セッションで多岐にわたる御意見を頂戴いたしまして、時間内に全て処理をすることができませんでしたので、資料2-1という形で今回御準備させていただいております。項目が多岐に渡りますので、簡潔に資料をご覧いただきながら御説明をさせていただければと思います。
それでは、1ページから御説明をさせていただきます。
最初、松森委員からいただきました情報保障について、教育支援資料の中での扱いということでございました。御案内のとおり、教育支援資料は、平成25年度の就学先決定の方法を変更するという際に、制度の改正の概要でありますとか、障害の実態把握の方法あるいは教育的対応などを取りまとめた資料でございます。
その中で聴覚障害の部分がございますけれども、その中の各項目で、いわゆる情報保障の考え方につきましては、それを含む合理的配慮の部分について記述はさせていただいておるところでございますけれども、そのそれぞれに情報保障というタイトルとか、そういうことは記載されておらないという状況でございます。
2番のところ、これも松森委員に御指摘いただいた点で、今後のICTの活用等の充実、どのような考えでおるのかという部分でございますけれども、ICTの技術は非常に高くなってきているということで、それを積極的に活用できるように、教育の分野でもできるようにということで、昨年度から、学習上の支援機器等教材活用促進事業という事業を立ち上げて取り組んでいるところですけれども、2つ大きくございまして、1つは支援機器教材等の開発を大学あるいは企業にお願いをして開発をしていただいて、それをできるだけ広めていけるように開発をお願いするという部分と、指導方法に関する実践的な研究を行っていただくという部分の2つからなっている事業を立ち上げたところでございます。
また、国立特別支援教育総合研究所、以下、特総研と呼ばせていただきますけれども、におきましても昨年度、特別支援教育教材のポータルサイトを3月に開設をいただいて、広く活用の周知を行っているところでございます。
3番目、松森委員から御提出いただきました点字や手話のできる教員の確保の困難性のところでございますけれども、大きく教員の資質の問題にかかわってくることかと思いますが、今、そもそも特別支援学校免許状を保有している特別支援学校の教員がまだ7割少しという背景を踏まえまして、免許状取得のためのさまざまな条件整備を行っている。具体的には、免許の認定講習の機会の拡充等を行っているところでございます。
また、指導者を対象とした特総研の専門研修と呼んでおりますけれども、2カ月にわたる各分野の研修の充実に努めているところでございます。
特総研では、視聴覚障害の教育の専修プログラムというものを実施しているということ。あと、各学校においての取り組みになりますけれども、点字や手話に関する校内研修等も行われております。この部分につきましては、非常に重要な部分ですので、引き続き教職員の専門性の向上に取り組んでいきたいと思っております。
2ページ、4番目になりますけれども、玉木委員からいただきました就学手続に関する手順の部分でございます。資料に記載させていただきました4つの大きな流れで今、行われているということで、早期からの教育相談というところから始まりまして、2番の期日を決めた学齢簿の作成、就学時健康診断を経て教育支援委員会等を設置した教育委員会での総合的な判断を経て、4番の入学時期、学校のお知らせをしていくというような流れになっております。
ページをまたぎますけれども、5番目としまして、これも玉木委員からいただきました学校の個別の教育支援計画と障害児通所支援事業所などで作成されている障害児支援利用計画の連携について、あるいは地域連絡協議会の設置について言及いただいた部分でございますけれども、この2つの計画、できるだけ連携をよくしていく、シームレスでやっていくことが重要ということで、平成24年4月に両省の連名の文書を発出しております。また、その後もこの通知を引いて、行政の関係の会議等で引き続きお願いをしているところでございます。
2点目になりまして、特別支援連携協議会の設置については、この設置の率というのは調査を今、行っていないという状況でございます。
3ページ、6、7番につきまして、大濱委員のほうからいただきました。特別支援教育支援員のことでございますけれども、現在、地方財政措置で対応をしておりまして、総務省に文科省のほうから年次ごとの実態の実数をお知らせして、今のところ、総務省のほうで、その実態を踏まえた措置を次の年に必ずそれを踏まえてやっていただいているというような状況でございますけれども、引き続き総務省との連携を密にとりながら、特別支援教育支援員の充実に努めてまいりたいと考えております。7番目として、通学の話でございます。通常学級への通学の部分でございますけれども、先ほど就学のところがございましたけれども、設置者・学校と本人・保護者の十分な話し合いの上で就学先を総合的に判断する。そして、どういう通学方法あるいは合理的配慮をやっていくのかというのを合意の上で、また、個別の教育支援計画に盛り込みながら進めていっていただく必要があろうかと思っておりますけれども、御指摘いただいた部分につきまして、さまざまな観点からの検討、議論が必要なのかなと考えているところでございます。
大日方委員のほうからいただきました個別の教育支援計画の作成率の点でございますけれども、これは各校ごとでの率ということで毎年教育委員会のほうに聞きまして比較をしていっているところでございますけれども、最終的な目標というものは、やはり一人一人の子供につきまして作成が必要と判断された子供には、全て作成をしていただけるように今後とも周知をしていきたい。この周知の中には学習指導要領でどのような形で触れていくかということも次期学習指導要領の検討が始まっておりますので、中教審でも御議論いただきたいと考えておるところでございます。
そして、体育の授業への参加の話。先達ての政策委員会のほうで少し言及させていただきましたけれども、特別支援学校ではさまざまな工夫、授業内容の工夫によって、ほとんどの子供たちが何らかの形で授業に参加しているというお話をさせていただきましたが、数字的に特別支援学校、小、中学校とも、体育の参加率というところは、今、情報、数値を持っていないところでございます。
それと、体育のところに関しましては、現在、体育の授業の指導方法について調査研究を実施しているというような状況もございます。
4ページ、伊藤委員のほうから幾つか御提出いただいた部分でございますけれども、短期入院を繰り返す子供への支援についてというところで、そこに言及をさせていただきましたように、平成6年あるいは平成25年に、入院中の病気療養児に関する考え方を教育委員会に通知させていただきまして周知を図っているところでございます。
また、最近の状況といたしまして、昨月、初めての実施になりましたけれども、長期入院児童生徒の実態調査をさせていただきまして、調査の結果をお知らせしたところなのでございますけれども、この結果も踏まえて、今後のさらなる教育支援について検討を進めていきたいと考えているところでございます。
11番、学校行事に参加する学校保健師、保健関係の方ということだと受け取らせていただきましたけれども、その様子というところでございますが、公立の小中学校における医療的ケアを行う看護師につきましては、現在26年度の数字になりますけれども、380人配置されているということ。保健に関連しまして養護教諭につきましては、国公私立の小中学校に約3万人が配置されているという状況でございます。
同じく伊藤委員からいただきました教育と福祉の地域連携についてでございます。特に教育のところで課題となってきますのが、地域や産業界と連携して職業教育とか進路指導の充実をどう図っていくかというところが事項としてございますけれども、労働福祉関係機関との連携強化、厚生労働省関連の事業の活用についてお知らせをしながら、積極的な活用をお願いしましたり、あと、昨年度からになりますけれども、高等学校段階をテーマとしまして、キャリア教育・就労支援の充実事業を実施しているというような状況でございます。
5ページの13番になりますけれども、周りの子供たちへの思いやりや友情。これは理解促進という部分が関連してくる事項だと思いますけれども、その教育的な位置づけに関して、今、学習指導要領に明記されております交流及び共同学習を積極的に進めていってください。それによって相互理解を促進していきましょうという形で教育の分野では行っているところでございますけれども、文部科学省としては、交流及び共同学習のガイドを作成したり、実践研究を行うモデル事業、後ほどまた出てきますけれども、インクルーシブ教育システム構築事業を展開しているところでございます。
14番、就学先決定が25年度に変更になった。それの結果どうなったのかという現状分析、データ等についてということで石川委員長のほうから御指摘をいただいた点でございます。いろいろな見方ができるのかとは思いますけれども、小中学校への就学者数のみによって評価することはできないのではないのかなと思うのですが、いろいろな見方のものとして、教育支援委員会が設置をされて検討されるという形になってございますけれども、その検討対象となった者の数あるいは教育委員会が取り組んでいる取り組みの状況を見ていくというのが一つあるのかなと考えてございます。最初に申しました教育支援委員会の検討対象となったものの数字でございますけれども、25、26と見てみますと、3万9,000人から4万2,000人という数字が出ているところでございます。
そのほか、就学前の情報提供を行った市町村数も増加していたり、あるいは就学手続、就学支援の体制が整備されつつあるという状況であろうかと思います。
15番になりますけれども、石川委員長から御指摘いただいた、マルチメディアデイジー教科書の部分につきまして、先達て行われましたワーキング・セッションIV、情報アクセシビリティーの部分でお答えをさせていただいたところですので、ご覧いただければと思いますけれども、平成26年度から開始した調査研究委託事業等を示させていただいております。
16番、加野委員からいただいた部分、知的障害の児童生徒には特別支援教育支援員は配置できないと言われる場合が多いという御指摘の部分でございますけれども、知的障害のある児童生徒に対して支援員を配置できないということではございません。その対応につきましては、さまざま状況があろうかと思いますけれども、就学相談等におきましては、教育委員会、保護者が十分に話し合った上で支援方法を決定していただくことが重要ではなかろうかと考えているところでございます。
佐藤委員から御指摘いただきました17番のところでございます。1月31日の期日までに就学通知が発出されない実態についてのところでございます。この部分については、網羅的な調査は行ってはいないのでございますけれども、私どもにも情報をいただいておりまして、合意形成に時間がかかる事例もあると承知しているところでございます。
また、最後の7ページになりますけれども、インクルーシブ教育システムのモデル事業につきましては、今回、横表の資料をつけさせていただきました。この事業、モデル事業と一つで言っておりますけれども、たくさんの事業がその傘のもとにぶら下がり構成されているというような状況でございまして、大きく言って、合理的配慮の実践事例を収集するとともに、交流及び共同学習の実施、あるいはスクールクラスター、地域の資源、教育資源を活用した取り組みの実践研究を行っていっていただいて、その成果をまた広くフィードバックしていくという事業になってございます。
これにも関連することかと思いますけれども、最後、19番として合理的配慮の好事例というところでございます。先ほど申しましたインクルーシブ教育システム構築事業について、平成25年度から行っておりますけれども、その中で行われた合理的配慮の実践事例を収集し、特総研のほうでそれを分析、整理いただいてデータベースの形で公開をしているということで、去年の夏から数十事例から始まりまして公開をいただきまして、現在115事例が登録をされているというところでございますけれども、これに関しましては、今後さらに充実をしていきたいということでございます。
その事業の報告の中での記述を一番最後のパラでさせていただいておりますけれども、誤植がございまして、2つ目の○の最初の出だしが「事業の報告の中で障害のない」とありますけれども、「ある子供」の「ある」の間違いでございます。大変失礼いたしました。
以上、前回いただきました御意見に対しまして御説明をさせていただきました。
○柘植委員 ありがとうございました。
たくさんの質問に御回答いただきました。ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に対する質疑応答に入りたいと思うのですが、その前に、この残りの時間の全体の流れについて確認したいと思います。
本日の会議は3時半が終了ですので、30分ほどございます。先回の参考人お二人の方、きょう来ていただいておりますので、その方へのさらなる何か御質問だとか、参考人の方からの御発言でありますとか、あるいはインクルーシブ教育システム全体的な協議もここでしておく必要がございます。したがいまして、今、御回答いただいた文部科学省の説明、それへの質疑応答等を最初に少しいたしまして、その後、全体的な協議をできれば20分かそれ以上とりたいかなと思いますので、よろしくお願いします。
ただいまの文部科学省の御回答について、質疑応答をしたいと思います。どうぞ。伊藤委員、松森委員、河井委員、阿部委員、その4名で終わりにして、その後、全体協議の中でまた御発言いただければと思います。
それでは、手の挙がった順番からお願いします。
○伊藤委員 伊藤です。
丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございました。
この11番のことなのですが、医療的ケアを行う看護師というのは、親とかそういう利用する側からの要望で配置していただけるのか、どういうぐあいにして配置するのかということと、非常に報酬が不安定ということ。報酬とか勤務状況が不安定でなり手が少ないということも聞いたのですが、そこらあたりの条件等がありましたら、お願いいたします。
○柘植委員 それでは、続けて質問をお願いしたいと思います。
松森委員、お願いします。
○松森委員 松森です。
私からは、4ページ目、12番目の質問についてです。
都道府県教育委員会に対して連携の強化、厚生労働省関連の事業の活用等について周知しているとすれば、その周知による聴覚障害における早期支援連携体制の現状改善はどうなっているのかお聞きしたいと思いました。ここに主に卒業後のことについて書かれています。私がこの質問をした理由は、聴覚障害においては新生児の聴覚スクリーニングが全国的に普及していっています。しかし、医療・療育関係者主導で早期検査や支援が行われており、聴覚特別支援学校をはじめとする教育機関との連携が構築されていないという現状があるからです。
以上です。
○柘植委員 続きまして、河井委員、お願いします。
○河井委員 河井です。ありがとうございます。
インクルーシブ教育について御説明がありましたけれども、今年度から東京都においては副籍、他の都道府県においては支援籍とか二重籍とか多分言い方があると思いますが、特別支援学校に学籍のある児童生徒が地域の学校に行って、ともに学ぶ制度が本格化しているのですけれども、地域の小中学校は各市区町村の教育委員会で設置されている学校というところで、校長先生の裁量によって非常に受け入れ体制に温度差があるといいましょうか、物すごく両手を広げて迎え入れてくれるところもあれば、来たいのだったら来ればぐらいの感じのところもあるということを聞いているのです。充実を図っているということなのですが、インクルーシブ教育のシステムに実効性を持たせるために、文科省として具体的にどういったことを今後されていく予定があるのかないのか、あれば伺いたいと思います。
以上です。
○柘植委員 それでは、4人目、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日身連の阿部です。
2点あります。
最初は、3ページの8番の個別の教育支援計画について。先ほどの説明の中で必要な子供さんにはということで説明いただきました。私の理解が十分なのかどうか。これは特別支援学校に在籍しているだけではなくて、特別支援学級の子供さんも含めるかどうかの確認です。
もう一点は、12番目、支援学校、きょうの前半では職場への定着という話がありましたけれども、支援学校の職業教育、進路指導の先生が時間がたっても訪れたりしているところは定着がしっかりしているようにも思いますが、そういう実践というのは、私、幾つかしか知っていないので、ほかにも一般化されていることなのか。進路指導の先生は必ずしも授業を持っているわけではなくて、連携の取り組みをしている先生が存在するというのは大きい意味があることだと思います。十分かどうかは、各委員のお話から十分ではないのかなとは思いましたけれども、そういう取り組みの事例がしっかりしている事例もあるのになと思いながら、進路担当の先生、職業進路担当の教員の実態について簡単に説明願えればと思いました。
以上です。
○柘植委員 それでは、4人の委員の皆さんからの発言について御回答をお願いしたいと思います。お願いします。
○文部科学省 失礼いたします。特別支援教育調査官の分藤と申します。
1点目の医療的ケアに関する御質問に対する御回答でございます。
学校に配置されている看護師につきましては、就学する前の段階で医療的ケアが必要なお子さんが入学してくるというところから、市町村教育委員会、学校、そして保護者、本人と十分にお話し合いをした上で、基礎的環境整備等として就学先の学校に学校看護師を配置する、必要な看護師を配置するというところが一番多いと思われます。
そして、勤務条件ですけれども、おっしゃるとおりなのですが、多くは子育てが一段落して、そろそろ働きに出たいという看護師さんが全国を見ますと多いようです。自分の家庭の時間も欲しいなと。働きながら子育てもしたい。自分の子供が学校で学んでいる時間帯に特別支援学校で働くというような看護師免許を持った看護師の配置が多いと認識しております。
○文部科学省 松森先生のほうからいただきました部分、聴覚での連携の部分につきまして、少しお時間をいただいて、またお伝えをさせていただく形にさせていただければと思います。
個別の教育支援計画あるいは指導計画のことについてでございますけれども、これは特別支援学校に限らず、小中学校における部分も含めましてというと、特別支援学級も含めた全体の実施率を上げていかないといけないという認識でございます。
また、就労の定着の部分につきましてですけれども、やはり定着ということは重要な部分であろうと思いますので、そういった観点からも、教員の方々が卒業後もかかわっていく必要があろうかと思いますし、先ほど御紹介をさせていただいた事業におきましては、教員ではございませんけれども、就労支援コーディネーターという方々に御活躍いただこうということで、そういう方を指名してやっていただいておりまして、そういう成果もフィードバックをまたしていきながら、検討していきたいと考えてございます。
○文部科学省 特別支援教育課の齋藤でございます。
副籍、支援籍の関係でございますけれども、交流及び共同学習ということで、これは障害者基本法あるいは学習指導要領にも位置づけられております。また、インクルーシブ教育システムの中で、可能な限りともに学ぶということですけれども、特別支援学校あるいは特別支援学級に進学、進級する場合もある。そうしたお子さんについても可能な限りともに学ぶということで交流及び共同学習。これは副籍、支援籍、各自治体で取り組んでいただいておりますけれども、これも含めて取り組んでいく必要があると考えております。文部科学省としても、その実践事例等々、そういったものも周知をしながら、その推進に取り組んでいきたいと考えております。
○文部科学省 職場定着につきまして追加をさせていただきます。
特別支援学校には進路指導部という分掌部が設置されております。そこの中に進路指導主事以下、進路指導を支える部員の方々が複数名所属しておられます。高等部卒業後も進路先を回ってアフターフォローを行うということは、各特別支援学校がしっかりとやっているということでございます。当然そこで進路先を支えていらっしゃる労働機関等とも連携をしながらやっているということでございますので、補足をさせていただきます。
○柘植委員 よろしいですか。後でまた詳しく調べてということについては、よろしくお願いします。
残りの時間を使いまして、インクルーシブ教育システムの全体での意見交換を始めたいと思います。よろしくお願いします。どうぞ。
それでは、加野委員、辻井委員、松森委員、阿部委員、まずそれだけの方、順番にお願いします。
加野委員、どうぞ。
○加野委員 加野です。
文科省からいただいた回答の16に関連することですけれども、御回答の中では、知的障害のある児童生徒に対しても、特別支援教育支援員を配置できないということではないというお答えでしたけれども、やはり消極的というか、知的障害のある子の学習支援は特別支援教育支援員の支援対象ではないということのように理解しました。
文科省の御回答にあるとおり、知的障害のある子の場合、特別支援学級等において特別な教育課程の編成を含む、より包括的な支援を行うことが適当である場合もあるということは理解しておりますけれども、発達障害の児童生徒に対する学習支援は特別支援教育支援員の支援対象であるのに、知的障害のある子の学習支援は、特別支援教育支援員の支援対象ではないというのは、第3次障害者基本計画の28ページ、3-(1)-3で、合理的配慮を含む必要な支援を受けながら、同じ場でともに学ぶことを追求するとある点に反するのではないかという疑問を持っております。
障害者権利条約でも個別の支援の前提として、まずインクルーシブというのがあります。現在、個別の支援を望む保護者もふえており、特別支援学校に進学する子供の数が増加し、例えば東京では特別支援学校を増設してもすぐいっぱいになってしまうという状況があります。特別支援学校でも交流等の努力をされていることは理解していますが、やはり自分が生活する地域で学ぶというインクルーシブの理念からは遠いと思っています。
個別の支援を求めて特別支援学校へ進学する子供がふえるというインクルーシブと逆の流れになっていることを懸念しております。障害者権利条約の締約国として、インクルーシブ教育を実現するためには、まずは地域の学校で受け入れることができないか、そのためにどのような支援が可能かということを第一に考えるべきではないでしょうか。
このような立場で考えた場合に、知的障害のある子の学習支援が支援員の支援対象でないというのはおかしいのではないかと思っております。インクルーシブ教育実現のためには、予算配分のバランス等も検討し、保護者、本人が希望すればできるだけ地域の学校で受け入れるという体制づくりが必要でないかと考えております。
以上です。
○柘植委員 ありがとうございました。
続きまして、辻井委員、お願いします。
○辻井委員 辻井です。お願いします。
発達障害の子供たちの取り組みそのものは進んでいるのですが、課題も特に高校段階のところではどうもあるようで、というのは、そもそも障害の種別との関連で、要するに自閉症、情緒障害学級に在籍する中学生の子たちが、その後、高校段階でどこに行くのかというと、種別の中で今のところそれに該当するような特別支援学校は一応ない。ただ、都道府県それぞれでは工夫はしてくださっているのですが、やはり選抜の段階での若干排除的なことというのは起こり得るようで、例えば通常学級に在籍していてという形で、あるいは手帳を持っていないとということでいうと、その特別支援学校の高等部を希望してもなかなか受け入れもらいづらいような事例というのはどうも生じていたり、あるいは今度は逆に特別支援学級のほうにいる子たちが昼間定時制の高校などを受験しようとすると、内申その他の仕組みの中で不利になるというような事例というのはあったり、中にはうまくいっている事例ももちろんあるのだけれども、機会均等というのは非常に重要なことになってくるものですから、そのあたりのことに関連して、課題をどのように乗り越えていくのかということは少し明確にする必要もあるし、逆にどういう課題があるのかということは明記していただけるといいのかなと。障害種別概念で規定されていないところで排除が起きるということが、特に選抜の場で起こることは、恐らく合理的配慮の中の実現ということからいうと一番まずいことにはなり得るのだろうと思いますので、そのあたりのところは議論の話題になるのかなと思います。
以上です。
○柘植委員 続きまして、松森委員、お願いします。
○松森委員 松森です。
私からまず1つ目、私の理解不足だったら申しわけないのですけれども、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への指導方法に関する実態調査があれば、資料として出していただきたいなと思っていました。
次に、高等教育については余り議論させていませんので、私から3つ質問したいと思います。
まず1つ目、3-(3)-1、3-(3)-5について、実施状況にはセミナーを通して啓発に努めていると書かれていますが、大学における情報保障やバリアフリー化、相談窓口の設置状況等については、日本学生支援機構の調査により、もっと具体的な実態が明らかにされているはずです。実施状況には、こうした調査に基づき、より具体的な実態を記載していただきたいと思います。
また、文科省としては、こうした調査の結果をどのように評価しているのかを記載した資料が追加されるとよいと思います。それをもとにして、どんな施策につなげていくか、課題を出せると思います。
次に2つ目、3-(3)-1について、障害のある学生の平等な授業参加には、この支援を行う専門的人材、例えば専門性のある専任教職員、コーディネーター、相談員、手話通訳等の技術を持つ支援者の存在が不可欠です。この養成については、ここに書かれている文科省報告の第1次まとめにおいても重要な中長期的課題とされていますが、具体的な取り組みが見えてきません。取り組み状況や取り組みのための計画等があれば教えてください。
次に3つ目、3-(3)-5について、先進的な取り組みを行う大学等を支援し、大学間ネットワークを育てるための手段として、文科省報告、第1次まとめでは、地域の拠点校を整備し、その取り組みを重点的に支援していくと書かれています。この拠点校は、日本学生支援機構の障害学生修学支援ネットワーク事業の拠点校とは別物であると注釈が書かれているのですが、この部分についての取り組み、地域拠点校の記載に関しては現状どうなっているのか、お聞きしたいと思います。
以上です。
○柘植委員 続きまして、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 阿部です。
先ほどのお答えの中で、進路指導の先生がさまざまな取り組みにかかわっているということで、私も幾つかそのような先生たちを存じ上げていますけれども、ただ、転勤などになると、やはり1対1の顔のわかる関係性の信頼感というのがあるので、転勤になったときに大変なのかなと思いましたけれども、そのようなことにはどのような配慮があるかということ。
あとは、定時制の高校の先生とかフリースクールの関係者の方から、発達障害などで通常の学校で学べなかった方が定時制の高校などを利用している方々もいらっしゃるというような、やはり学ぶ機会の多様性というのはすごく大事だと思いますけれども、そのような学ぶ機会の多様性についての実際的な把握というのはあるものなのかどうかということなどをお聞きしたいと思います。
そして、もう一点。通信教育の意味というのも、障害があって通学が難しい場合に通信教育の意味が大きくもあろうかなとも思いますけれども、そのようなことも多様な学びの中に入るのかなと思いまして、実態とかがおわかりでありましたら教えていただければと思いました。
以上です。
○柘植委員 ありがとうございました。
残りの時間を考えますと、ここでお答えをいただくよりも、発言をしていただいたほうがよりよいのかなと思います。さらに発言がおありの方はいらっしゃいますか。
それでは、参考人の方、教育のほうでお二人来てくださっていますので、村上様と大南様の代理の方、もしあればということで、では、お願いします。
○村上参考人 言語聴覚士の村上です。
ずっと伺っていて、先ほど厚労省のほうからいただいた資料3の5ページ、職業生活上の困難さを把握、判断するための研究という記述と、文科省の合理的配慮の話などはかなり共通点が多いと思います。これは要望ですが、ぜひそれは省庁間の垣根を越えて合理的配慮についてはまとめていただけたらなと。その情報を学校だけではなく、その後の就労や家庭生活においても引き継げるようなシステムをつくっていただきたいと思っています。
また、合理的配慮の好事例という文科省からの19番、書いてあるのですけれども、私はこれと同時に、むしろ失敗例もきちんと挙げていただきたいなと希望を出します。なぜかといいますと、うまくいっている例というのは名人芸に近いような先生方の事例が多い印象があるのです。ただ、そういう先生方というのは転勤してしまうと、途端にその学校のシステムが崩れるということはいろいろお話を伺っていると多くお見受けするのです。なので、名人芸ではなくて、どなたでもできるシステムというのをつくっていくためにも、まず失敗例を分析していくということと、こちらの13番などにも思いやりとか友情とか書いてあるのですけれども、これはすごく効果測定しづらいですね。もう少し行動とかのベースに落とし込んだ評価しやすい指標をきちんと出して、それでどう変わったのか、それでどううまくいかなかったのかというのを出していくということも重要なのではないかという印象を持ちました。
これは今回、障害者関係でずっと議論は交わされていると思うのですが、他の視点からのお話をさせてください。私は4年前、フィンランドへ特別支援教育の視察に行ったのですが、あちらでは母語がフィンランド語ではない、第二言語を学習するという立場のお子さんも特別支援教育の対象になっていたのです。そういうお子さんにも通じるような支援というものも本来は必要なのではないかなと、私は現地へ行って改めて感じています。そういうことも念頭に置いていただきたいなと考えています。
以上です。
○柘植委員 ありがとうございました。
それでは、お願いします。
○落合参考人 この前のときに少しお話ししたのですが、教室不足の問題というのは知的障害の場合、特に深刻なのです。東京都の場合でも7メートル、7メートルの四角い教室1つを半分にして使っているわけです。実際に小学校、中学校でもし教室がないといった場合には、そんなことあり得ないですね。それが今なお、この前、後で聞いた話ですが、3,900ばかり教室が現在でも不足している。これは合理的配慮の前の段階の基礎的な条件整備ですので、ぜひとも設置者に指導をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○柘植委員 ありがとうございました。
本日、委員で大日方委員、御発言がないのですが、もし何かありましたら。よろしいですか。
○大日方委員 ありがとうございます。
加野委員のほうからも御発言がありましたが、インクルーシブ教育にとって重要なことは、どこをスタートラインにするかという議論なのではないかなと先ほどから聞いて思いました。
つまり、インクルーシブの前提というのは、全てのあらゆる障害があるお子さんが一緒に教育を受けるということをベースにした上で、それぞれのニーズにどこまで対応できるのかという基本的な考え方に立って、これらのものを報告していくといった視点が必要であると感じた次第です。
以上です。
○柘植委員 では、最後、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。佐藤です。
資料を提供していただいて、ありがとうございました。合理的配慮の事例、データベースでも見させていただきました。ありがとうございます。ぜひこれからも継続して蓄積していただきたいと思います。
1点ですけれども、学校教育施行令の22条の3に該当する児童生徒で、普通学級に在籍している人がどのぐらいいるのかというのを教えていただきたいと思います。これは先週の政策委員会でマッカラムさんが御講演してくださったのですけれども、このときに言われたことで印象的だったのですが、障害を持つ子供が普通の学校にどのぐらい行っているのか、そういうものを知りたい。各国に対してそれが知りたいということを言われていましたので、普通学校、普通学級に在籍している人がどのぐらいいるのということを教えていただきたいと思います。ありがとうございます。
○柘植委員 ありがとうございました。
たくさんの御質問だとか意見が出たと思います。前半の雇用のときと同じように、ここでは全部お答えをしていただいたり、さらにそれを踏まえて協議ということもできませんので、後日おまとめいただくということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、インクルーシブ教育システムに関する全体協議、このあたりで意見交換を終了したいと思います。皆様、御協力ありがとうございました。
本日は以上となります。また、2回にわたって行われましたワーキング・セッションIIIでの議論もこれで終了となります。
今後の予定につきまして、事務局からお願いいたします。
○加藤参事官 お手元の参考資料2をご覧ください。
この資料には、今後のワーキング・セッションと障害者政策委員会の予定を記載しております。
今、柘植委員のお話にございましたとおり、ワーキング・セッションIIIでの議論はこれで終了し、前回と今回の議論を受けまして、事務局においてワーキング・セッションの議論の整理、たたき台を作成します。それをコーディネーターに御確認をいただいた上で、第23回の障害者政策委員会にコーディネーターのほうから御提示いただいて、ワーキング・セッションの議論概要を御報告いただくことになります。
第23回政策委員会におきましては、これは7月以降の開催となる予定でございますが、日時、会場が決まり次第、御連絡を差し上げる次第でございます。
なお、次回の第22回障害者政策委員会につきましては、6月29日月曜日の13時30分開始。場所は8号館の1階講堂。8号館ですので、官邸の近くのほうの建物になります。そこで第3次障害者基本計画の残りの部分につきまして御議論いただく予定でございます。
以上でございます。
○柘植委員 それでは、これをもちまして、障害者政策委員会ワーキング・セッションIII、第2回を終了いたします。ありがとうございました。