障害者政策委員会ワーキング・セッションIII:インクルーシブ教育システム、雇用など 議事録

○佐藤委員 ワーキング・セッションIII「インクルーシブ教育システム、雇用など」の第1回を開催させていただきます。
 本日の司会を務めさせていただきます、本ワーキング・セッションのコーディネーターの佐藤です。どうぞよろしくお願いします。
 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、まことにありがとうございます。本日の会議は、16時を終了予定にしております。
 では、事務局から委員の出欠状況について報告をお願いいたします。

○加藤参事官 事務局でございます。
 本日のワーキング・セッションIIIには、コーディネーターの佐藤委員、柘植委員、辻井委員のほか、阿部委員、石川委員長、伊藤委員、上野委員は今のところおられませんけれども、大河内委員、大濱委員、大日方委員、加野委員、河井委員、田中委員も席におられませんようですが、それから玉木委員、松森委員が出席しておられます。
 なお、会議冒頭、委員の皆様の御迷惑にならない範囲で取材が入り、写真撮影が行われますので御承知おきください。
 以上でございます。

○佐藤委員 それでは、議事に入ります。
 毎回のお願いで恐縮ですが、議事に入る前にお願いがございます。各委員から発言を求めるときは、まず挙手をいただき、司会からの指名を受けてから発言をお願いいたします。できれば最初に結論を述べ、その後、理由あるいは説明をしていただくと合理的配慮としてよいのではないかと思っております。
 また、御発言の際は、まずお名前を名乗り、可能な限りゆっくりわかりやすく御発言いただくようお願いいたします。できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は、必ずマイクのスイッチをオフにしていただくようお願いいたします。
 また「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)」に関しまして、委員あるいは参考人より御発言をいただく際、可能な限り、事前にお配りしております「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)」のいずれの項目に関連しての御意見なのか、資料のページ数とあわせてお知らせくださいますようお願い申し上げます。例えば「実施状況の4ページにある項目番号1-(1)-5についての意見です」とお願いいたします。
 本日は、インクルーシブ教育システム、雇用などの分野における第3次障害者基本計画の実施状況について御議論いただきたいと考えております。
 それでは、会議の資料と流れについて、事務局より御説明をお願いいたします。

○加藤参事官 事務局です。
 本ワーキング・セッションの会議資料と流れについて御説明いたします。
 まず、会議資料でございます。
 資料1「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)についての意見」
 資料2「私が考える発達障害児への合理的配慮は」
 資料3「障害者基本計画(第3次)の実施状況に対する意見」
 参考資料1「障害者政策委員会ワーキング・セッションについて」
 参考資料2「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視に係る今後のスケジュールについて(案)」
 参考資料3「障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の実施状況の監視について(案)(第20回障害者政策委員会 資料)【抜粋】」となっております。
 なお、委員の皆様には、机上に常備いたします資料として「障害者基本法」「障害者基本計画」「障害者基本計画の概要」「障害者基本計画の実施状況」「障害者の権利に関する条約」を御用意しております。
 次に、具体的な進行についてですが、会議時間を3つに分けまして、第1パートではインクルーシブ教育システムの分野における第3次障害者基本計画の実施状況についての文部科学省からの説明、参考人からのヒアリングを行った後、質疑応答を行いたいと思います。
 その後、10分間の休憩を挟んで、第2パートでは雇用の分野における第3次障害者基本計画の実施状況について厚生労働省から説明の後、参考人からのヒアリングを行い、質疑応答を行いたいと思います。
 最後のパートで全体の意見交換を行う予定でございます。
 以上でございます。
 なお、これ以降の写真撮影は御遠慮いただきますようお願いいたします。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 このワーキング・セッションは、今回と次回で2回あります。全体的な流れをあらかじめ御説明いたします。
 インクルーシブ教育と雇用という大きな2つのテーマがございます。このワーキング・セッションだけ、4人の方の参考人に来ていただきます。教育でお二方、雇用でお二方です。本日は3人の参考人の方に御発言をいただき、次回はお一方に御発言いただくという形になります。きょうは、参考人の方あるいは省庁の方への質問等をできるだけしていただいて、中身の議論については、次回できるだけ長く時間をとって深めていきたいと思っております。
 それでは、議題1「インクルーシブ教育システム」に入ります。第3次障害者基本計画の実施状況について、文部科学省から説明をお願いいたします。

○文部科学省 文部科学省特別支援教育課の齋藤でございます。
 私からは、基本計画のインクルーシブ教育システムということで、教育分野の実施状況につきまして御説明をさせていただきます。
 お手元の資料、紙ファイルの中の「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)」の28ページをお開きいただければと思います。
 まず「インクルーシブ教育システムの構築」につきまして、3-(1)-1、就学先を決定する仕組みの構築、柔軟な学びの場の変更ですけれども、平成25年度に障害のある子供の就学先を決定する仕組みを改めたところでございます。
 具体的には、障害のある児童生徒について、特別支援学校への就学を原則としていた仕組みを改め、市町村教育委員会が障害の状態、教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制の整備の状況、その他の事情を勘案して総合的な観点から就学先を決定する仕組みとする等の学校教育法施行令の改正を行ったところでございます。
 また、柔軟に学びの場を変更できることを含めまして、今回の制度改正の趣旨、保護者の意向を最大限尊重することなどの留意点について通知を出したところでございます。
 さらに、これらの詳細な解説資料として、教育支援資料、これは就学手続と早期からの一貫した支援の充実のために作成した資料でございますけれども、これを作成し、全都道府県、市町村教育委員会に配付をするとともに、文部科学省ホームページにも記載をし、その周知を図ったところでございます。
 なお、保護者の意向の最大限の尊重につきましては、保護者のみならず本人も加えるべきとの御指摘もいただいているところでございますけれども、この教育支援資料におきましては「本人・保護者の意見の最大限の尊重」とさせていただいておりますほか、各種会議等の場でも「本人・保護者」という御説明をさせていただいております。
 続きまして3-(1)-2、合理的配慮の提供の周知につきましては、先ほどの教育支援資料に記載をしておりますほか、合理的配慮に関する調査研究を行うインクルーシブ教育システム構築事業を実施したところでございます。
 なお、これは平成25年度の取り組みではございませんけれども、この事業による合理的配慮の実践事例について、特別支援教育総合研究所が立ち上げたインクルーシブ教育システム構築データベースに、平成26年7月から掲載を始めたところでございます。
 続きまして3-(1)-3、連続性のある多様な学びの場の充実につきましては、通級、加配を含めました特別支援教育の充実のための教員加配定数の改善や、特別支援教育支援員の地方財政措置の拡充を図ったところでございます。
 3-(1)-4、関係機関連携による早期からの教育相談の実施につきましては、関係機関と連携しつつ、早期からの教育相談、支援体制を構築するための事業等を実施したところでございます。
 このほか、先ほど御説明申し上げました教育支援資料の中にも、早期からの教育相談等について記載をしているところでございます。
 続きまして29ページ、3-(1)-5、早期からの一貫した指導・支援のための個別の教育支援計画の策定・活用につきましては、体制整備のための経費の補助、学習指導要領等における記載、早期からの教育相談支援体制を構築するための事業等を行っております。
 なお、幼稚園、小、中、高等学校での平成25年度の個別の教育支援計画の作成率は78.7%になっております。
 3-(1)-6、先進的な事例の収集や関係者への情報提供につきましては、先ほど申し上げましたインクルーシブ教育システム構築モデル事業を立ち上げまして、合理的配慮の実践事例の収集を始めたところでございます。
 3-(1)-7、入学試験における配慮の充実でございますけれども、高校入試におけます障害のある生徒への対応状況につきまして調査をするとともに、その結果を全国高等学校入学者選抜改善協議会などの場におきまして、各教育委員会等に対して周知を図ったところでございます。
 3-(1)-8、福祉、労働等との連携のもとでの就労支援につきましては、教育と福祉の連携の一層の推進に関する文部科学省と厚生労働省の連名による事務連絡、あるいは労働関係機関と教育、福祉、医療等関係機関の連携体制の構築、強化に関する通知を発出したところでございます。
 また、実践研究充実事業という事業におきまして、地域社会と連携したキャリア教育に関する教育課程の研究等を行ったところでございます。
 続きまして、30ページ「(2)教育環境の整備」でございます。
 3-(2)-1、教育的ニーズに応じた支援機器の充実につきましては、拡大教科書の発行あるいはボランティア団体等に対する教科書デジタルデータの提供、また、ボランティア団体等が制作するデイジー教材等の音声教材等について、その普及を促進するための事業を行ったところでございます。
 3-(2)-2、学校施設のバリアフリー化の推進等につきましては、国庫補助を行うなど、各地方公共団体の取り組みの支援を行っているところでございます。
 3-(2)-3、指導方法に関する調査研究の推進、成果の普及につきましては、実践研究充実事業など、各種の事業を通じた研究や成果のホームページでの公表のほか、こちらも協議会、特別支援教育課程等研究協議会の開催による情報交換、研究協議等を行ったところでございます。
 続きまして、3-(2)-4、教員の専門性の確保また特別支援学校のセンター的機能の充実等につきましては、特別支援学校教諭免許状取得率の向上のための取り組み、特別支援教育総合研究所による専門的な各種の研修、特別支援学校の外部人材の配置、活用等を目的とした特別支援学校機能強化モデル事業などを実施したところでございます。
 続きまして、高等教育における支援の推進につきましては、担当課より別途御説明をいたします。

○文部科学省 それでは、担当をかわりまして、文部科学省高等教育局大学振興課の荒木から「(3)高等教育における支援の推進」について御紹介をさせていただきます。
 「(3)高等教育における支援の推進」でございますけれども、文部科学省では、平成24年度に高等教育段階におきます障害のある学生の修学支援のあり方について検討をするため、本日もいらっしゃっております石川委員長にも御参加をいただきました「障害のある学生の修学支援に関する検討会」を開催いたしまして、同年12月に「第一次まとめ」を取りまとめたところでございます。
 この検討会におきまして、先ほどの冊子の31ページでございますけれども、3-(3)-1の進捗状況にお示しをさせていただいておりますとおり、情報保障やコミュニケーション上の配慮、施設設備のバリアフリー化、32ページになりますけれども、3-(3)-4にお示ししておりますような各大学の情報公開の促進でございますとか、さらに3-(3)-5にお示ししておりますとおり、相談窓口や支援担当窓口の設置などの項目につきまして、検討を行ったところでございます。
 文部科学省では、この「第一次まとめ」で示されました合理的配慮の考え方ですとか、関係機関が取り組むべき課題につきまして、独立行政法人日本学生支援機構や大学等が主催いたしますセミナー、会議などを通じまして周知・啓発を行うとともに、各大学の取り組みを促しているところでございます。
 また、3-(3)-5及び3-(3)-6にお示しさせていただきましたように、日本学生支援機構におきまして、大学等からの支援方法などの相談に対応するため、障害学生修学支援ネットワークというネットワークを形成いたしまして、実態調査の実施や大学等の教職員を対象といたしましたセミナーですとか、ワークショップの開催を進めておるところでございます。
 ページが戻って恐縮でございますけれども、31ページから32ページにかけましての3-(3)-2及び3-(3)-3につきまして、それぞれお示しをさせていただいておるところでございますけれども、大学入試センター試験においての対応として、点字、拡大文字による出題ですとか、レーズライターによる解答、代筆解答の受験上の配慮を実施しているところでございます。
 また、平成25年度の大学入試センター試験より、受験上の配慮に関する案内を通知するとともに、各種説明会の場において通知の周知を図っておるところでございます。
 各大学におきます個別試験につきましても、大学入学者選抜におけるガイドラインとして策定、通知をさせていただいております大学入学者選抜実施要項におきまして、受験上の配慮をお願いするとともに、各種説明会の場においても、受験において配慮するようにお願いしているところでございます。
 私からは以上でございます。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 続いて、参考人からのヒアリングを行いたいと思います。
 お手元の参考資料1をごらんください。各ワーキング・セッションのコーディネーターと参考人が記載されておりますが、ワーキング・セッションIIIの参考人4人のうち、この議題についてはお二方にお越しいただいております。
 全国特別支援教育推進連盟の落合勇様です。大南様は本日所用で来られないということで、代理でお越しいただきました。
 もうお一方は、ボイスマネージの村上由美様です。
 本日は、お忙しい中をおいでくださいまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 具体的な進め方についてですが、まずは各参考人から10分ずつ意見を述べていただき、その後、20分間質疑応答を行うという形で進めてまいります。議事進行への御協力をよろしくお願いいたします。
 それでは、落合様、よろしくお願いいたします。

○落合参考人 御紹介いただきました、全国特別支援教育推進連盟の落合と申します。理事長がきょうは所用で来られませんので、代理で代読をしたいと思っています。
 話し始める前に、御存じかと思いますが、私どもの全国特別支援教育推進連盟は、全国の学校、PTA連合会や手をつなぐ育成会連合会など各種親の会、自閉症協会など、各種の障害別の全国規模の17団体で構成されている団体でございます。
 きょう、出がけにALDの親の会からぜひという御意見もあったのですが、ちょっと間に合いませんので、大体理事長がまとめたことを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 「障害者基本計画(第3次)の実施状況(案)」について意見を述べる機会を与えられましたことに、心より感謝を申し上げます。
 最初に、教育の面について評価している点を申し上げたいと思います。
 先ほど文部科学省からも説明がありましたが、インクルーシブ教育システムの構築についてですけれども、教育支援資料を全国に配付し、就学に関する理解を深めた点は大変効果的であったと考えております。私どもは、委託事業である冊子をつくっておるのですが、各都道府県の教育委員会、市町村の教育委員会等から、私どもも教育支援資料にのっとった資料を作成して、理解・啓発を図ったところでございますが、大変好意的な御意見をいただいております。
 インクルーシブ教育システム構築モデル事業を実施し、都道府県、市町村、学校等の協力を得て大きな成果を上げていると考えております。とりわけ早期からの教育相談、支援体制事業や特別支援学校機能強化モデル事業などは、大いに評価しております。
 また、多様な学びの場の充実を図るために、教員定数の改善、特別支援教員支援員の配置や増員についても評価しているところでございます。
 2番目に、教育環境の整備については、教育的ニーズに応じた教材の提供、拡大教科書や教科書のデジタルデータ等々、特に発達障害関係の方々の読み上げの教材等については、もっともっと推進してほしいという御意見が挙がっております。
 「災害に強い学校施設の在り方について」を文部科学省が取りまとめまして、津波対策や避難所となる学校施設のあり方などが検討されました。そうした流れを受けて、本連盟に加盟している全国知的障害PTA連合会が、全国各地で勉強会や冊子をつくったりして啓発に努めたところでございます。
 以上でございます。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 2番目の雇用のところも、今、お願いいたします。

○落合参考人 障害者雇用については、障害者の雇用が関係者の御努力で大変大きく推進されていることはすばらしいと思っております。特例子会社の雇用も推進されていることは、大きく評価しております。
 今後に対する要望ですが、教育について、多様な学びの場を全国で展開するには、どうしても教員の定数改善が必要です。
 さらに、平成25年4月の教育振興計画で指摘された4,633の教室不足の課題も、一定程度は改善されているかと思いますが、まだ大きな課題として残っているのではないかと思います。合理的配慮が求められていますが、まずは基本的な環境整備が大事かと思います。私もある学校の校長だったのですが、そこに7メートル四方の教室を2つに分けて、高等部の生徒8人ぐらいが2つに分かれる、こういう教室不足が実際にあるわけですね。そういうものを解決することが、まずは第一ではないかと思います。合理的配慮を進める上でも、まずは基本的な環境整備を行ってほしいと思っています。
 教育的ニーズに応じた適切な指導を進めるため、公立の場合は個別の教育支援計画が78.7%の学校でつくられていますが、実態から言うと、作成の段階から活用を推進することが求められているのではないかと考えております。実際に、まだまだ絵に描いたもちになっている事例がたくさんございますので、ぜひその辺の改善をお願いしたいと思っています。
 先ほどの教室不足の問題については、最終的には設置者への働きかけをぜひ進めてほしいと思っております。
 雇用については、障害者の雇用ができていない企業に対し、ぜひ障害者理解の推進を図ってほしいと思っております。
 法定雇用率の達成は大きな課題ですが、49人以下の企業・事業所への雇用を推進する必要があります。大勢の中では仕事の能率が上がらなくとも、少人数の中では特技を発揮できる知的障害者、自閉症者が大勢おります。ぜひこの辺についても改善を図ってほしいと思います。今、出ているもので言うと100人以上のところが圧倒的に多いのですが、49人以下は数パーセントという実態から言うと、子供の自閉症者や知的障害者の中では、そういう少人数の中で非常に家族的な配慮があったところでの就労が、かなり大きな力を発揮していたのではないかと思っています。
 平成25年の高等部等の卒業生の企業就労者の数が約5,000人、文部科学省の調べですが、昭和55年の中学校特殊学級や、特殊学校の高等部の卒業生の企業就労者は、6,531人いたのですね。今は人数がふえているにもかかわらず、企業就労の数が減っている。これはどういうことなのかということを、私どもはよく議論をしているところでございます。これも当時の調べですので、どうしてこうなってしまったのか、ぜひ考えてほしいと思っています。
 私の個人的なものですけれども、昨年の暮れ、卒業生の忘年会に行きましたところ、ちょうど私が退職する前に一流の企業に就労した自閉症のお子さんA君が、会社をやめたと聞いて驚きました。お母さんに詳しく事情を聞きますと、担当者が人事異動でかわってしまい、パニックがとまらなくなってやめてしまったということです。企業の雇用管理に関する支援もさまざまに行われているのは承知しておりますが、障害の特性に十分対応できるような支援を継続的にお願いできればと考えております。
 以上でございます。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 それでは、引き続いて村上様、よろしくお願いいたします。

○村上参考人 よろしくお願いします。言語聴覚士の村上と申します。
 私は発達障害の当事者であって、4歳までしゃべっていなかったことで、たまたま早期発見・早期療育を受けました。ただ、当時は通常級では特別支援教育が何もない時代で、私は公立の小学校から高校まで行って、大学は私立でしたが、一般の大学へ行って、卒業をしてという経験を踏まえた上で、きょうはお話しできたらと思っています。
 卒業後、また支援者として言語聴覚士の立場でお子さんたちの相談に乗ったりしています。また、パートナーもASDの当事者なので、そういう療育を受けていない当事者を見て感じたこと、私がずっと経験してきたことも踏まえてお話をしたいと思っています。詳細は配付していただいた資料をもとにお話をします。
 発達障害の人が過ごす学校の中での合理的配慮はどういうことが望ましいかといいますと、まず学校にいられるための配慮が必要だと。どうしても授業を考えがちですが、まず学校に通うための下準備の配慮が、全然といっては失礼かもしれないですが、とても少ないというのが現状です。
 たとえば今日も、私は感覚過敏があるので、この会場は寒くてたまらないのですけれども、そういう感覚が非常に敏感なことがあります、他にも本当にいろいろなところから音が聞こえてきて私は結構ナーバスになっていますが、そういう音とか、光とか、においへの配慮というのは、今の学校では、そういうことを通常級で配慮してほしいと言った時点で、わがままだの一言で片づけられてしまうというのが現実だと思うのですね。まず、そういうことも頭に入れていただきたいのです。
 あと、学校というのは、どうしても持ち物の管理とか時間を守って行動するということが求められますが、それが難しいお子さんも発達障害の中には多いということが意外と知られていません。なので、できないから迷惑だということで、だんだんいづらくなってしまうというのが現状だと思います。
 学校にいられるための環境設定がものすごく重要だというのと同時に、次に授業を受けるにあたっても、どうしてもカリキュラムで進められるとは思うのですが、授業内容の設定の仕方についてもカリキュラムの内容をわかるための前提がよくわからないお子さんがいることが見落とされています。特に発達障害の中には多くて、たとえIQが100以上あっても、それがわからない子は意外といます。
 資料には算数の例を書きましたが、算数以外も、国語なんかは私にとってはなぞの授業が多くて、本当に公式のように自分なりの解き方を編み出して何とか対応していましたけれども、そういう方法を考えることができない子にとっては、授業というのは苦痛な場でしかないし、勉強ができればまだ授業は居場所になりますが、それも大変な子にとっては、学校というのは苦痛な場所でしかないのですね。それも、だんだん引きこもっていくということにつながっているのではないかと私は感じています。
 先生方の声かけも、たまに学校に行って伺っていると、本当に空気を読むというか、先生の意図を理解することを前提に先生方はお話をされているのだなとつくづく感じています。そういうことがわからない子もいるかもしれないという想定はまずないのだなと私は感じていますし、自閉症の当事者でもあるので、特に心を一つにとか言われると、心とは何だろうとか、精神論で語られてしまうと私にとってはすごく難しいことで、何でそんなことを言われなくてはいけないのだろうと、本当に子供のころから困ってしまうことが多かったなと、今になっても思っています。
 また、予定調和が本当に多いので、先生方に何か質問はありませんかと聞かれて素直に質問をすると怒られたりして、小中学校はそれもあってずっといじめられていたので、そのあたりは先生方もいじめに加担している面もあるなと感じたことがありました。
 また、教科書も、最近は拡大教科書とかデジタル教科書は出てきています。けれども、その教科書自体もディスレクシアのお子さんにとって読みやすいのかというと、疑問が残るものもあります。そもそも通常級の先生はそういう教材があることすらご存じない方が意外と多いかなという印象を持っています。また拡大教科書やマルチメディアデイジーは、視覚障害者の人に使えるということは知っているかもしれないけれども、それがディスレクシアの人にも使えるのだという知識がなければ、当然子供たちはそういうものを使う機会がないわけですね。そういうことへの知識とか啓蒙が今後の課題なのかなと私は感じています。
 そして教え方もそうですし、教材もそうですが、あと学校ではよく宿題でプリントとかを渡しますが、私は自分でも指導をしている経験から見ると、プリントの解き方がわからないお子さんは結構多いです。そうすると、自分でプリントが解けないので、結局親御さんや先生方がつき添わないと、そのプリントは解けない。意外と現場の先生は、プリントの読解力というものが必要なのだということを御存じないのだなと感じることが多いです。
 3番に私が書いたのは、将来に向けての自立の話で、これは雇用にもつながるかもしれません。先ほども言いましたけれども、感覚過敏などがあるので、まず自分の体の管理が物すごく重要になってくると思います。ただし、さらに難しくなるのが、第2次性徴が入ると過敏の傾向がさらに過敏になることがあって、私も実際にそれでつらいことがあります。
 そういう意味では、手帳もなければという当時の状況だと、本当に何も配慮がないままとにかく頑張って、就労をして、働いて、生活をしてということをやらざるを得なかったのですが、そうなってくると次に難しくなるのが家事でした。私の場合、生活をしていくということは、本当に様々な工夫をしながらやらざるを得ませんでした。発達障害の人は一度にいろいろなことをこなすのが難しいのですが、生活というのは、朝の支度をとっても、時間も気にして、身支度をして、食事もとって、ごみなども捨てて家を出るということになります。けれども、そこがうまくいかなくて、だんだん仕事もうまくいかなくなるとか、生活が回らなくなるというケースが多いです。
 ほかにも、人間関係なんかでだんだんつまずいていくということもあるのですが、そういうこともあって、最近は学校現場でもソーシャルスキルトレーニングというものを進められていることが多いし、私もいろいろ聞いてはいます。ですが、それと同時に私が自分の自立に必要だったのは、時間と物とお金の管理がある程度できていることで随分助けられたなと思っています。
 皆さん、学校現場ではコミュニケーション能力を上げようと努力されるかもしれないのですけれども、そういう物の管理とか時間の管理、お金の管理ができていないと、現場では信用されないのです。就労現場では、とにかく信用されることが大切です。どんなにコミュニケーションがうまくいっても信用されなければ、結局いづらくなって続かないということがあるのではないかと私は感じています。
 学校の先生方もそういうことを意識した上で、学校生活をより快適に過ごせるような合理的配慮というものを根本から考えていただけると、私はとてもうれしいなと感じています。
 私からは以上です。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 物すごく順調に進んでおりまして、今、予定の時間より少し早くなっております。ありがとうございます。
 これから3時まで質疑応答に移りたいと思います。お三人の方に御発言いただきましたけれども、各委員から御意見や御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。
 阿部委員、お願いします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 文部科学省の方からいろいろ説明をいただきありがとうございます。その中で3つの点の確認をさせていただきたいと思います。
 1つは、特別支援教育支援員について地方財政措置を講じているということですけれども、特別支援教育支援員のかかわりの成果ということ。それから、これは小学校から中学校までずっと続けて利用できるものなのか。ある地域では3年間しか使えないということも聞いていますけれども、その辺のところで、これから検討すべき課題もあるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
 2点目は、資料1に伴いまして、先ほども落合参考人から個別の教育支援計画作成率が78.7%ということの評価をいただきましたけれども、基本計画でもなかなか100%という目標値が設定されませんが、基本計画の立て方の中で、それができないのはどういう理由なのかということ。それから、落合参考人から、個別の教育支援計画を評価する一方、絵に描いたもちではないかということで、まだまだ改良すべきことがあるのか。さまざまな関係分野の方々の協力、連携のもとに個別の教育支援計画ができている成果というのは本当に大事なことだと思いますので、それが2点目です。
 3点目は、災害時の避難所についてです。避難所などの指定は市町村が行うということですが、東日本大震災のときには特別支援学校が県立であったために、なかなか支援学校の活用ができなかったということを聞いていますけれども、今はその辺は順調にうまく進んでいるのだろうなと思いながらお聞きしていたので、その3点について文部科学省の方、それから、先ほどの個別の教育支援計画に関しては文部科学省の方から御発言いただいて、落合参考人にも教えていただきたいと思います。
 以上、3点です。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 そうしたら、文部科学省さんから先にお答えいただけますか。

○文部科学省 文部科学省特別支援教育課の齋藤でございます。御質問ありがとうございます。
 特別支援教育支援員でございますけれども、御案内のとおり、公立の幼稚園、小中学校、高等学校におきまして、校長先生、教頭先生、特別支援教育コーディネーター、担任の先生等と連携の上、日常生活上の介助あるいは発達障害等のお子さんに対する学習支援、幼児、児童生徒の健康、安全確保、周囲のお子さんの障害理解促進等を行うものでございます。これは、学校現場のほうから支援員の拡充という要望もかなり多くいただいておりまして、非常に学校現場、子供たちのためになる取り組みだと考えております。
 この支援員につきましては、地方財政措置ということで、各学校あるいは各設置者の御判断で各学校に配置されますので、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、場合によっては連続して支援員の配置を受けることができないということもあり得るかと思っておりますが、今後とも支援員の拡充に取り組んでいきたいと考えております。
 それから、個別の教育支援計画の作成率でございます。これはお手元の実施状況(案)の35ページでございます。現状は、直近の値が平成24年度で76.2%、25年度は申し上げましたもので78.7%、目標が平成29年度で80%でございます。この指標の目標の立て方は、過去の伸び率を踏まえて、順調にいくと29年度に80%以上になるだろうということで出した数字でございます。これにつきましては、当然のことながら我々としても、必要なお子さんについては作成するという方向で取り組んでいきたいと考えております。
 現在、小中学校の学習指導要領におきましては、こうした個別の教育支援計画の作成は、例えば作成するという記述でございまして、これを現在、次の学習指導要領の改訂に向けた作業を進めているところでございますが、中央教育審議会の中でもう少し積極的に書き込むことができるかについてもご議論いただくことと考えておりますし、さらに学習指導要領改訂前にも、必要なお子さんについて作成するということについて、各教育委員会に働きかけ、取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○文部科学省 特別支援教育調査官の分藤と申します。避難所の御質問につきまして、お答えさせていただきます。
 ある県では、地域にある学校ということで、設置者である県と市町村が連携をして、実際に避難訓練をして備えている地域がございますので、設置者が異なるからといって避難所になっていないというところは、少しずつ改善されていると思いますし、実際に避難をしてみて備蓄品が足りなかったとか、御老人が段差を超えられないとか、障害者の方を含めて、そういった視点から改善に取り組む自治体も増えていると認識をしております。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 それでは、参考人の落合様、お願いいたします。

○落合参考人 先ほどの絵に描いたもちというのは言い過ぎかもしれませんけれども、実態として個別の教育支援計画は学校が策定するものですから、実際に幼少のときから卒業後までを見通した上での中身は、やはり実際はかなり難しいのですね。同時に、話し合いの場が部分的にはできているのですけれども、全体的になかなか進んでいかないというのが実態でございます。
 ですから、作成をして、さらにその上で個別の指導計画とタイアップしながらやっていかなければなりませんので、その辺の詰めの具合は、実態としては各学校の中でそれぞれの先生方が苦労しているところでございます。
 以上です。

○阿部委員 ありがとうございます。
 先ほどの特別教育支援員の方にお話を伺ったのですけれども、とてもやりがいのある仕事でとても大事なことです。でも、夏休みになると収入がなくなるということも聞きましたので、それは時期によって違うかもしれませんけれども、継続して仕事ができるような仕組みができることが望ましいと思いました。ありがとうございました。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 そうしたら、ほかの委員の方、御質問。
 3人の方ですね。では、松森さんからお願いいたします。

○松森委員 松森と申します。
 私からは聞こえない立場で3つ質問です。
 まず、28ページの3-(1)-2のところ、推進状況の下から3行目に教育支援資料のことが書かれていると思います。
 31ページの3-(3)-1のところでは、大学等で授業における情報保障やコミュニケーション上の配慮ということが明記されているのに対して、教育支援資料の聴覚障害の部分では、情報保障という言葉が明記されていません。それはなぜでしょうか。理由を伺いたいと思います。
 2つ目は、30ページの3-(2)-1、聴覚障害のある児童生徒の一人一人の教育ニーズに応じた教科書を初めとする教材について、情報通信技術(ICT)と書かれています。この部分の充実について、現在、既に音声認識や遠隔通訳による支援の事例がふえてきています。このような事例にも着目し実施状況の中に明記していく必要があると思うがどうか。また、こうした支援を充実させていくことを考えているかどうか。
 3つ目は、31ページの3-(2)-4、特別支援教育に関する教職員の専門性の確保とあります。しかし、人事異動が3年から4年など、短期化されていることによって、例えば手話や点字などのできる教員の確保が困難になっていると聞いています。特に手話は、日常会話が可能になるためには約3年がかかると言われています。さらに、授業のような専門的な内容になると、さらに約5年がかかると言われています。この現状を解決するための施策を考えているかどうかをお聞きしたいと思います。
 あわせて、教育においては、地域の手話通訳士養成事業とは異なる枠組みが必要になると思っています。例えばろうあ連盟が、大学の授業で手話通訳士養成を行うコースを設置してはどうかという話をしているとも聞いています。こうしたことを積極的に推進してほしいと思います。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 先ほど手がたくさん挙がりましたので、まとめて質問をいただいて、それから回答をしていただくようにします。
 確認なのですけれども、先ほど手を挙げていただいた方がいっぱいいらっしゃいますね。そうしたら、伊藤委員と石川委員長は、後半の最後のところでもう一度時間をとりますので、そちらでもいいですか。
 ありがとうございます。
 では、玉木委員、お願いします。

○玉木委員 玉木です。
 文科省の方と村上さんに質問をしたいと思います。
 文科省の方には、28ページの一番上に、子供の状況に応じて考えていくという趣旨を書いておられると思いますが、以前は就学前教育相談や就学適正化委員会たるものの中で、最初に一度あなたは特別支援教育ですよとか、あなたは通常教育ですよと決まってしまうと、ほぼ変更のないまま教育を受けていくというのが実際はあって、現実、今もなおお母さん方の中には、教育相談に行ってみると結論ありきの相談になっているみたいなことがよく聞かれるのですけれども、ここで書かれている内容については、その都度その都度確認をしていきながら、その子に合わせた教育には何が必要なのかということを確認するという趣旨のことは理解できるのですけれども、その確認作業をいつの段階で、誰がどのようなプロセスを用いて確認していっているのかということを聞かせていただきたいということ。
 2点目は、先ほどから個別の指導教育計画という話もあったのですけれども、一方で厚生労働省から、障害児相談支援ということで、障害児のサービス等利用計画を立てるに当たっては、個別の指導教育計画と関係を密に持ちながら計画を立てていこうという目標が挙がっていると思うのですが、今回の説明の中にはそういう文言が一切出てきていないと私は理解しております。
 あわせて、特別支援教育に関する校内委員会の設置率とか、特別支援教育コーディネーターの指名率は提示されているのですけれども、一方で仕組みを考えていく、恐らく特別支援教育地域連携協議会というものを都道府県の教育委員会であったり、市町の教育委員会に設置することにもなっているはずなのですけれども、その特別支援教育地域連携協議会の設置率とか、そこの効果というのがどういう形で出てきているのかということをお聞かせいただきたい。
 村上さんについては、私が聞いたことですけれども、発達障害の方で、例えば中学校とか高校に入る段階でわかったと。実はそこまでにもいろいろな壁とか、コミュニケーションの課題があったにもかかわらず、簡単に言うとスルーされてきたわけですね。高校になってから初めて、あなたはどういう勉強の仕方がいいか一緒に考えていきましょうねとか、もしくは担任も、私はよくわからないからゆっくり考えていきますみたいな現状もある中で、私はゆっくりではだめだと思っていて、早い段階で、この子はちょっと難しそうだなとか、この子は別のやり方が必要なのかな、その別のやり方は視覚的な情報の入れ方であったり、聴覚的な情報の入れ方であったり、その人の特性に合わせた情報の入れ方というのがあると思うのですけれども、そういうことをいち早く見極めていく機能というのが私は足りていないと思っているのです。そこら辺で、村上さんに何か御意見があればお聞きしたいということです。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 時間がなくなってきて大分焦ってきました。御質問だけ続けてあとお二方にいただいて、その後、順番が変わるのですけれども、真ん中で休憩を入れたいと思います。
 大濱委員、お願いします。

○大濱委員 司会が困っているので手短にいたします。
 文部科学省にお聞きしたいのですが、28ページの3-(1)-3の2つ目の○についてです。特別支援教育支援員の配置は地方交付税交付金を含めた地方自治体の一般財源で予算が組まれているようですが、これについてお聞きします。私のところに大体1年に1人か2人ぐらいの障害を持ったお子さんの父兄の方から、やはり普通学級に行きたいという相談があります。そこで、教育委員会に話に行きますと、やはり支援員を追加するための予算は組んでいません。一般財源から支出することに加えて、もともと教育委員会でもそれほど大きな予算規模ではないので、そこで新たに支援員を追加しようとしても、予算の組み直しなどはなかなか難しい。そんなに簡単にはできませんよという結論になってしまいます。ですから、これは地方自治体の一般財源ではなく、きちんと文部科学省の予算として補助金等を組んでいただきたいというのが1点目です。
 2点目としまして、障害のあるお子さんが普通学校に1人で通えないので、親御さんが必ず送り迎えしてくださいねという話になります。ですが、親御さんが働いている場合などではなかなか難しいわけです。したがって、障害を持ったお子さんの通学について、1人で行けないお子さんは多いわけですから、やはりきちんと予算をつけてもらわないとできません。私はそれぞれ市区町村の窓口に行って、特別に予算をつけてくださいと要望して、かなり無理やり実現したこともあります。実際にどれぐらい予算がかかるかモデル的に取り組んでくださいということで、1年間は継続してもらうことになっています。これからインクルーシブ教育といっても、障害を持ったお子さんはなかなか1人で普通学校に通うことができないということが現実ですので、やはり通学も含めてきちんと考えていただきたい。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 大日方委員、お願いします。

○大日方委員 ありがとうございます。手短にいきたいと思います。
 29ページの3-(1)-5のところで、個別の教育支援計画作成率は78.7%とありますが、100%というのは何を対象としているのか。つまり、発達障害の方とか障害のある児童生徒についての作成をするということで、100を目指すと思うのですが、発達障害の方々を全員把握するということはできないと思いますので、仮にこの数字が100になればそれでよしなのか、その考え方をお示しいただきたい。あるいはもう少しわかりやすく書いていただくということをお願いしたいと思います。
 それから、先ほど大濱委員からもありましたけれども、特別支援ではなく、普通学級に通っている障害のあるお子さんたちに対する施策という取り組みのところが、もう少し書きぶりがないだろうか。特に学校外の活動であったり、体育の授業といったところに対する現状の取り組みのことがわかる推進状況のようなものがあるのであれば、例えば参加率が低いということがもしあるのであれば、そういうことも書いていただければと思っています。
 発達障害のことで参考人の方にお聞きしたいのですが、いろいろな課題があると教えていただきましたけれども、例えば特別支援教育支援員のような方が発達障害の方にも対応することで解決ができる問題なのかどうか。1つの解決策として有効かどうかというお考えをお聞かせいただければと思います。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 そうしたら、一度ここで休憩を入れさせていただいて、その後、文部科学省さんと参考人の方から御回答をいただきたいと思います。
 今、3時2分ぐらいです。ちょっと時間がなくて焦っているので、3時12分再開でもいいですか。そのぐらいをめどにお願いいたします。
 では、休憩に入ります。

(休憩)

○佐藤委員 休憩の間にコーディネーターで進行の打ち合わせをしました。必殺技を考えました。時間がなくなりそうですので、文部科学省さんへの御質問は、次回、文章で回答していただくということになりました。どうぞよろしくお願いします。
 参考人の村上様に2つ御質問があったと思いますので、これからそれをお答えいただきたいと思います。村上さん、よろしくお願いします。

○村上参考人 村上です。よろしくお願いします。
 まず、玉木委員からの御質問ですが、早期発見・早期支援の件ですね。私も就学前のお子さんの現場で相談などをやっているので、それはとても感じています。そういう現場でも、徐々に支援の必要性とか、そういう子供たちがいるという認識は進んできています。ただし、次の段階のどうしたらいいのかというのが現状です。今、ようやくそれが小学校の現場に移ってきたかなと。
 ただ、こういう学習面とか人間関係の問題が表面化するのは、いわゆる9歳の壁の小学校3、4年ぐらいから本格的に問題になってくるので、それまでの人生9年から10年の間、当事者の中では自信喪失体験の積み重ねが相当できているし、学習面でもわからないという経験を相当積み重ねているので、その芽をいかに早く見つけるかは大きな課題です。
 私も現場にいて、この子はこういうところがというのはできるだけ早く申し送りをしているのです。ただ、それを受け取ってくださるかどうかというのは、難しいなと感じている日々です。
 大日向委員の支援員は有効かという御質問ですが、これは支援員お一人お一人で随分違っているなというのが正直な印象です。とても勉強をされて詳しく熱心な方は有効だと思いますが、それはかえって子供が傷つくのではないかということをやってしまう指導員もいる。それは教員も同じことだと思うのですが、発達障害の場合、どうしてもわがままだとかしつけがなっていないという問題で片づけられがちなので、親御さんも普通の子になってほしいという願望がものすごく強いのですね。だから、それは違うのだということをいかに啓蒙していくかということも、同時に必要なのではないかと考えています。より適切な対応ができる人をいかにふやしていくかが課題だと私は感じています。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 それでは、一旦ここで区切らせていただいて、議題2の「雇用」に入りたいと思います。第3次障害者基本計画の実施状況について、厚生労働省から説明をお願いいたします。

○厚生労働省 厚生労働省の障害者雇用対策課長の宮本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 資料の36ページをお開きください。まず、4の(1)障害者雇用の促進について御説明いたします。
 36ページの4-(1)-1について、平成25年6月1日現在の民間企業等における雇用障害者数は40万9,000人、うち精神障害者数は2万2,000人となっております。
 また、ハローワークによる障害者の就職件数につきましては、7万7,883件となっておりまして、うち精神障害者の就職件数は2万9,404件となっております。
 この7万7,883件の中で、いわゆる49人以下の企業の就職件数は、実は3万人ほどありまして、従業員が49人未満の企業の就職件数は、ハローワークの就職件数という形では必ずしも少なくないということを申し上げておきます。
 次に、37ページの4-(1)-2について、平成26年6月1日現在では、4万8,901の未達成企業に対しまして、個別指導、雇用率達成セミナー等により雇用義務を達成していただくように指導をしている状況でございます。雇用率が著しく低く、なお障害者雇用率を達成するために雇い入れなければならない障害者数が一定以上の企業に対しましては、平成25年度においては雇い入れ計画作成命令というのをつくっておりまして、それが193件、適正実施勧告が206件、特別指導を52件やっております。
 4-(1)-3について、平成25年6月1日現在の特例子会社数は380社、障害者雇用者数は実数で1万3,863人となっております。特例子会社の設立につきましては、各ハローワークにおいて支援を行いまして、平成25年度の認定数は19社となっております。法定雇用率未達成の企業を中心に、積極的に設置をお願いしているところでございます。
 また、特例子会社を有する企業が関連する子会社も含めて障害者雇用を進める場合に、企業グループの雇用率算定を可能といたします、特例子会社制度のグループ適用の認定というのを行っております。平成25年度の認定件数は10件となっております。
 次に4-(1)-4につきまして、各府庁において知的障害者等を非常勤職員として雇用し、1年から3年の業務を経験していただくチャレンジ雇用というのを実施しております。平成25年度における実績は、資料の38ページにあるとおりとなっております。
 なお、平成25年7月及び平成26年4月の事務次官連絡会議では、各省庁に対しましてチャレンジ雇用の積極的活用をお願いしているところでございます。
 次に、基本計画の4の「(2)総合的な就労支援」について説明をいたします。
 39ページの4-(2)-1について、ハローワークが中心となって、就労の準備段階から職場定着までの一連の支援を行うチーム支援というのを実施しておりまして、平成25年におきましては、支援対象者が2万2,943人、就職者数は1万2,673人となっております。
 40ページに参りまして、4-(2)-5について、独立行政法人の地域障害者職業センターで、障害者に対する専門的な職業リハビリテーション及び事業主に対する障害者の雇用管理に対する支援を実施しております。平成25年度におきましては、実施対象者が3万1,658人、実施事業者数が1万7,767所となっております。
 4-(2)-6について、雇用、保健福祉、教育関係者との連携した就職面、生活面との支援を一体的に行う障害者就業生活支援事業を実施しております。平成25年においては、センター数は319カ所、支援対象者数は12万5,286名、就職件数は1万7,408件となっております。
 41ページの4-(2)-7につきまして、都道府県や独立行政法人の高齢障害求職者雇用支援機構が運営する障害者職業能力開発校において、一般の職業能力開発施設や、民間では職業訓練を受けることが困難な重度障害者等に対して、その障害の対応に配慮した職業訓練を実施しております。平成25年度の訓練者数は2,093人、就職率は69.1%となっております。
 また、障害者職業能力開発校で実施する職業訓練のほか、一般の人を対象といたしました公共職業能力開発施設において、障害の対応に配慮した職業訓練を実施しております。
 さらに、先導的な職業訓練を実施している機構運営の障害者職業能力開発校では、職業訓練の指導技能に関する研修等を実施しております。平成25年度の訓練者数は663人、就職率は81.4%となっております。
 続いて、42ページでございます。基本計画のIIIの「(3)障害特性に応じた就業支援及び多様な就業の機会の確保」について御説明いたします。
 42ページの4-(3)-1について、ハローワークにおける精神障害者の新規雇用者数の増加に対応するため、精神障害者雇用トータルサポーターをハローワークに設置することにより、総合的かつ継続的な支援を実施しております。
 また、発達障害者、難病患者等に対する専門的な支援の強化を図るため、難病患者就職サポーターを配置し、発達障害に関する就職ナビゲーターの増員による支援も実施しております。
 最後に4の「(4)福祉的就労の底上げ」について説明をいたします。
 44ページの4-(4)-1について、工賃の向上を図るため、経営力の強化、技術の向上や人材育成を行う事業、共同受注窓口の体制整備を図るための事業を工賃向上計画支援事業において実施をしております。
 4-(4)-2において、国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人において調達方針を作成し、当該方針に基づき障害者就労施設等からの物品の購入を推進しており、平成25年度の調達実績は約123億円となっております。
 以上で説明を終わります。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 続いて参考人からのヒアリングを行いたいと思います。この議題については、参考人としてお二方にお願いしております。名城法律事務所の田中伸明様、上智大学の永野仁美様です。永野先生に関しましては、次回御発言をいただくということです。
 それでは、具体的な進め方ですけれども、まず田中様から10分間意見をいただき、その後、10分間質疑という形で進めてまいります。
 それでは、田中様、よろしくお願いいたします。

○田中参考人 御紹介いただきました田中です。
 私も視覚障害当事者としての立場から、この件につきまして意見を述べさせていただきます。こういう機会をいただきまして、ありがとうございます。
 まず、雇用につきまして、第3次基本計画の4-(1)について意見を述べさせていただきます。
 4-(1)-1ですけれども、法定雇用率に関する報告がございました。見させていただきますと、法定雇用率の達成率につきましては、民間企業、都道府県などの教育委員会につきましては、まだ達成ができておりません。特に都道府県の教育委員会というのは、教育の現場を統括する機関でもありますし、ここに障害者を職員として採用することは、障害者の教育の面でも施策推進に役立つと考えますので、ぜひ努力をいただきたいと思っております。
 次に4-(1)-3につきましては、特例子会社についての言及があります。先ほどもありましたように、グループ適用の認定を推進するというお話があります。特例子会社制度自体は、障害者雇用を推進する一つの非常に大きな制度ですので評価されるべきだと思うのですが、反対に、グループ適用ということになりますと、留意すべきは障害者を特例子会社のみに採用する。親会社には障害者が一人もいないということになると、特例子会社が障害者を区別する道具として使われる危険性もあります。
 したがいまして、グループ適用に際しましては、特に親会社と特例子会社の間で人事交流を図るとか、あるいは特例子会社で蓄積された障害者雇用のノウハウを親会社でも生かすという工夫を、ぜひお願いしたいと思います。
 次に4-(1)-4についてですけれども、各府省において一般就労につなげるためのチャレンジ雇用の言及があります。このチャレンジ雇用自体は非常に大切なものだと思いますので、特にこの報告書案で列記されていない府省省もありますが、こういうところでも、ぜひ実施をお願いしたいと思っております。
 あわせて、非常勤職員ということですけれども、チャレンジ雇用ですから非常勤職員ということになるのでしょうが、ぜひ常勤の職員としての採用の道も十分に検討していただきたい。どうしても障害者は非常勤職員として採用される場合が多いですので、地位がかなり不安定になります。ぜひ、常勤職員としての採用の御検討をお願いしたいと思っております。
 4-(1)-6ですけれども、これは雇用促進法に関する言及です。雇用促進法につきましては、3月27日に厚生労働省から指針の公表がありました。ガイドラインとしては、小さく生んで大きく育てるという趣旨もありますので、着実な実施をお願いしたいと思います。
 それとともに、障害者枠の採用につきましては、知的障害者や精神障害者を除外するような募集のされ方もあるようですし、身体障害者の中でも等級を制限して採用をかけるところもあるようです。ガイドラインを見ましても、業務遂行に必要な条件を付すという点については差別に当たらないけれども、業務遂行に不必要な条件を課すことで、事実上特定の障害者を排除してしまうことは差別に当たると明記されておりますので、障害者枠での障害種別の制限につきましては、この点を十分に御検討いただきたいと考えております。
 次に4-(2)-1、4-(2)-2、4-(2)-6についての意見を申し上げます。ここでは定着支援ということが中心になっております。特にハローワークが中心的な機能を果たすということになりますので、今後、発達障害や難病の方を含めて多種多様な障害の方が相談に来られることが考えられますが、今後も引き続きハローワーク職員への研修を充実させていただきたいと考えます。
 また、就労後の定着支援ということも非常に大事になってまいります。実施状況の報告書案でも、定着支援あるいはチーム支援ということに力を入れるということになっていますので、これは非常によいことだと思います。ぜひ、推進に御努力いただきたいと思います。
 次に4-(2)-4ですけれども、これは障害者雇用についてのノウハウを発信していくという言及があります。このノウハウにつきましては、さまざまなツールを使っての発信が考えられますが、特に先ほど申し上げました特例子会社については、ノウハウの蓄積がかなりあるかと思いますので、このノウハウの発信をすることで障害者雇用を推し進めるということにしていただきたいと思います。
 次に4-(2)-7ですけれども、ここでは障害者についての能力開発であるとか訓練についての言及です。特に在職訓練や能力開発については、障害者の職域の拡大にも資するものですので、ぜひ十分にお願いをしたいと考えます。
 次に4-(3)-1についてです。ここでは採用後、障害を負うこととなった者に対する支援ということが書いてあります。これは中途障害者に対する支援ですが、これは手薄になりがちなテーマです。現状、中途で障害を背負うと退職に追い込まれる事例が相当数あります。これは非常にもったいない話でありまして、まず中途で障害を背負うということは、障害がない時代を生きてきた人が障害者として今後生きていくということになります。ですので、一定時間障害を自分のものとして背負う時間的な猶予というものが必要ですし、自分が背負った障害に対応したスキルアップの時間というものも必要です。
 したがって、そういうリハビリ休暇とか、これはどういう名前でもいいですが、一定の時間を中途障害を背負った方に与えることで、復帰の努力をさせていただきたい。企業側としても、ぜひ復帰についての理解を持っていただきたい。もう既に当該企業でのスキルとか人脈のある方ですので、障害を背負ったから退職ということは、その企業においても非常にもったいないと私は考えます。
 次に4の「(5)経済的自立の支援」についての意見ですが、自立についてどういう施策を今後打っていくかということについては、やはり障害者の所得状況の把握というのが重要になってくるかと思います。この点、資料があればぜひ御提出いただきたいのですが、もしないようでしたら、今後のモニタリングという意味においても把握に努めていただけたらと希望いたします。
 意見は以上です。
 次に、2の質問事項は飛ばしまして、3の御提供いただきたい資料という点について述べたいと思います。もし、資料がなければ、今後モニタリングに必要な資料ということで御理解いただけたらと思います。
 まず①と②ですが、これは現状把握という意味で提供をお願いしたい資料です。
 ①は50人以上の企業につきましての障害種別ごとの雇用実数、それから、ダブルカウントの対象となっている障害者の実数等をお示しいただけたらと思います。報告書の別紙4というところにはさまざまな実数がありまして、精神障害者の方の実数等は載っておりますが、身体障害や知的障害等の実数はありませんので、ぜひこれをお願いしたいと思います。
 ②につきましては「50人以下」と書きましたが「49人以下」です。これは先ほど落合参考人からも意見がありましたが、やはり中小企業が担う役割というのは非常に大きいわけで、その実数をぜひ把握したいと考えております。
 ③~⑤は、定着支援に関する資料のお願いです。
 ③ですが、ハローワークについては、就職者の数は書いてありますが、その後の定着率の数字がありません。これもモニタリングには必要かと思いますので、御検討いただきたいと思います。
 それから、各府省でのチャレンジ雇用というのが実施されていますが、実際にチャレンジ雇用をした後の就職につながった実数等も、把握している場合にはお示しいただけたらと思います。
 障害者の定着には、企業内で働くジョブコーチが非常に大切です。たしかジョブコーチの実数というのはありましたけれども、1号、2号の別がありまして、企業内で働くジョブコーチの実数等があれば、お示しいただけたらと思います。
 最後に⑥ですが、これは経済的自立に関してお願いする資料です。障害者を雇用する場合、最低賃金の減額特例を利用する場合も多いかと思いますので、最低賃金の減額特例について、申請件数と書きましたが、許可された件数でも結構です。把握されている場合には、ぜひ御提供いただけたらと思います。
 最後に、2へ戻りまして質問事項ということでお書きしましたが、御説明いただきたい事項ということで御理解いただけたらと思います。
 まず、定着率という言葉がよく出てきますが、この定着率はどういう基準で定着したと見るのかの根拠が不明ですので、ぜひお願いしたいと思います。
 障害者雇用につきましては、人的サポートであるとか、あるいは通勤支援、自営業者への支援とか、いろいろな課題があります。こういったことについては、第3次基本計画の中に入っていないのかもしれませんが、今後、障害者雇用を促進するためには大切なテーマになるかと思いますので、検討状況等でも御説明いただけるとありがたいと思います。
 私からは以上です。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 まず、資料の提供ということで、ここの6項目、その前の障害者の所得状況の把握で7点、これを厚生労働省様から次回提出していただくということでよろしいでしょうか。

○田中参考人 結構です。ありがとうございます。

○厚生労働省 厚生労働省の障害者雇用対策課長の宮本です。
 今、御指摘がありました資料については、厚生労働省だけの資料ではなくて、内閣府等の資料もあります。我々の所管部局だけでなく省内のものもありますので、そういったものを調整させていただいて、出せるものについては提出させていただきたいと思っています。

○佐藤委員 よろしくお願いいたします。
 それと御質問があった2点についてはどうしましょうか。これも資料でとしましょうか。

○厚生労働省 お時間の関係もあるので資料でも構いませんが、今、ここの中で出ているものだけ説明をさせていただければ。

○佐藤委員 お願いします。

○厚生労働省 40ページの4-(2)-5に、ジョブコーチ支援後の定着率といいますのと、そのすぐ下、4-(2)-6に障害者就労生活支援センターにおける定着率というものがございまして、そこで使っている定着率というのは、まさにそこに書いてありますとおりに、ジョブコーチという支援が終了した後、6カ月間引き続き職場で仕事をされている方がどれぐらいおられるか。支援を受けた方を分母といたしまして、その人たちの中で6カ月間仕事が継続している方、そういったものの割合が88.2%と出しております。
 その下の就労生活支援センターの1年間経過時点での職場定着率というのは、就職する際に障害者就労支援センターの支援を受けて就職をした方が、1年間たってまだその職場で働いている割合がどれぐらいかということで、この74.4%という数字を出しております。
 この資料に出ております定着率というものにつきましては、以上のような定義となっております。
 それから、御質問していただきました点で、雇用された障害者に対する人的なサポートあるいは通勤支援のあり方、自営業者等の支援の扱いということで、人的支援につきましては、我々は助成金という形で、支援をする方を企業で委託をされるとか、雇われるという形になった場合に助成金を出すという形の支援をさせていただいております。
 また、人的支援という形では、ジョブコーチという形の支援もありますし、障害者就業・生活支援センターというところが、就職した後、定着支援という形で見守って、どういう感じで働いておられるか、状況は大丈夫か、そういうものを見守るということもありますので、そういう形も人的な支援ということになろうかと思います。
 また、通勤支援については非常に難しい問題なのですけれども、我々の労働行政の中においては、通勤支援については事業主になるべく通勤支援、通勤に対する配慮をしていただくという観点から、通勤支援をしていただいときに助成金を出すという仕組みを設けております。なるべく事業主の方に、そういう配慮をしていただけるようにしております。通勤時間についても事業主の方に考えていただいて、なるべく通勤が難しい方も何とか通勤ができるような支援というものをしております。
 自営業者に対する支援ということですが、我々はいわゆる雇用支援という形でやっておりますので、自営業者である障害者の方に対する支援というのは、直接はやっていないのですけれども、起業支援ということであれば経済産業省がやっているかもわかりません。我々は社会局などで、例えば障害者の方が起業をする場合に支度金を貸しつける制度は設けております。あるいは能力開発事業の中で、障害者の方が一定の資格を取るということについて支援をするといった支援がございます。
 短い中で説明が不十分なので、また必要があれば、資料等で次回提出をさせていただきたいと考えております。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 それでは、質疑応答に移りたいと思います。雇用のテーマについて、各委員から御意見・御質問がございましたらどうぞ。
 今、4人の方ですね。河井委員、松森委員、伊藤委員、阿部委員。順番にいきますね。河井委員、お願いいたします。

○河井委員 ありがとうございます。全肢連の河井です。
 今、お話にありました40ページの定着率なのですが、上の4-(2)-5では、支援終了後6カ月時点の定着率、その下のところでは就職後1年経過時点での定着率、これは6カ月と1年とどうして違うのか。何をもって定着と言えるのかという考え方がはっきりしないと、これをどう判断すればいいのかなという疑問があります。
 先ほども話がありましたけれども、職場環境が変わったことによって人間関係が崩れて離職してしまうというのをよく聞きますし、地域の就労支援センターでは、6カ月とか1年とかと切らずに、支援が必要な人に対しては継続してずっと支援をしている実情がありますから、何をもって定着と言うのかという考え方を一度はっきりさせるべきかなと思いました。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 まとめていきますね。松森委員、お願いします。

○松森委員 松森です。
 私からは、今後把握を求める資料として追加していただきたいものが2つ。
 1つ目は、障害者雇用状況調査の調査票に性別の項目を入れて、ジェンダーの視点からも見た集計です。本来は全ての調査で横断的に必要なことだと思っています。
 もう一つ、ハローワークによる障害者の就職件数に関する定着率について。これも数字が39ページに載っておりますけれども、もう一つ重要なことは何かというと、求職をして就職につながっていない人の状況はどうなっているのかということ。就職につながっていない障害者の数はハローワークで把握されており、これは障害者白書にも載っています。その中には障害の種類別の数字も載っていますけれども、さらに性別や年齢階層に分けた分析が必要だと思っています。今後しっかり把握していただきたいと思っています。
 最後に1つ質問です。厚生労働省で、雇用に関するガイドラインがことしの1月にできました。この中の合理的配慮で、聴覚障害に関する部分には筆談としか書かれておりません。実際には手話通訳や要約筆記なども必要です。これらを記載していない理由は何か、お伺いしたいと思います。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 続きまして、伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員 難病団体の伊藤です。
 質問をしたいのですが、1つは36ページの4-(1)-1です。雇用の問題とか雇用開発助成金、発達障害と難病が一緒になっているのですが、そういうところとか、あるいは雇用率が4-(1)-1、あとは42ページの4-(3)-2なのですが、雇用の開発助成金とか雇用率で、発達障害と難病が他の障害と少し額、その他が違っておりますね。こういうものを解消する見通しはあるのだろうかということ。
 それから、難病患者についても障害者並みの法定雇用率になるという目標をみんな持っているわけですけれども、見通しはどうなのかなと。何が要因で妨げとなっているのかがわかれば教えていただきたい。
 42ページの4-(3)-2ですが、難病患者も就職サポーターのシステムをつくっていただいて、かなり成果が上がってきているとは聞いているのですが、その中身も知りたいのです。ただ、我々もいろいろやってみて思うのですが、新しく就職をするよりも途中で病気になる人が多いものですから、離職を防ぐのがまず大事なのではないかと思っているのです。この中で離職を防ぐことについての言及をされている部分はあるのでしょうか。見当たらなくてわからないので、教えていただければと思います。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 続きまして、阿部委員、お願いいたします。

○阿部委員 日身連の阿部です。
 まず、4-(1)-1のところで、雇用率が着実に伸びていることは本当にすばらしいことだと思います。
 2点ありまして、1点は松森さんと同じことで、男女の雇用率ということ。
 もう一点は、地域の雇用率の算定の仕方について確認と、やはり地域の状況が把握できるようにしていただきたいという要望でございます。お聞きしましたところによりますと、この雇用は企業の申告が、本社機能ということで本社からの雇用人数が出てきますので、支社とかが地域にあってもその数が反映できないということを伺っています。
 そうすると、東京に本社があれば東京のほうが高くなって、支社があるところは、実際には雇用しているのだけれども、その地域の数値が上がってこないようなところがあると思いますので、それの確認です。
 それから、今度は企業の報告ということで、また一ついろいろ難しいところもあるかもしれませんけれども、地域の状況が把握できるように企業からの報告をいただいて、もし、地域の温度差があるのであれば、地域でどのようなことを取り組めばいいかということを考えるときに大事だと思いますので、地域における本当の雇用率ですね。本当の雇用率というのはおかしいですけれども、本社がない地域で雇用された人の数は、それぞれの地域には反映していないということを聞いていますので、その辺のところを今後ということでよろしくお願いいたします。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 もうお一方、コーディネーターの辻井委員からも御質問がありますのでお願いします。

○辻井委員 2つあるので簡潔にいきますけれども、4-(1)-1、4-(1)-3とか4-(2)-1、4-(2)-2、4-(2)-3とかと関連するような形になると思うのですが、雇用のところから出てくるものと、基本的に就労に関しては、障害福祉サービスの就労移行という枠組みの障害者福祉のサービスからの流れと、雇用からのところと、我が国には2通りのもの、それこそ厚生省でやってきたことと労働省でやってきたことがあって、労働のところのデータが一貫した形で出てくるのですが、可能な範囲でいいので、少なくともハローワークの前のところで、こういう就労移行を使っていた人たちが、ハローワークの窓口を訪れてこのようになっていますという形で、やはり1つの省なので、関連のところを、例えばハローワークということを1つの窓口として、どういう連動があるのかということをわかる範囲でいいので見せていただけると、今の施策がいかにうまく進んでいるのかがわかるのではないかと思います。
 もう一個、もうずっと出てきていることなのですが、定着という形の中で、5年定着、10年定着、15年定着という何かしらのデータがあるのであれば、可能な範囲でお出しいただけるといいのかなと。というのは、補助金が出るような1年、2年のところで雇っておいて、補助金が切れるところで雇いどめになるケースは実は多くて、そうすると雇用率とかで上がってくる数字は、新年度にとれましたという話でいかにもハッピーに出てくるのですが、実は補助金のところで切られているという話は全然定着ということにはならないので、もしあれば5年、10年という形で数値を出していただけると大変ありがたいと思います。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございました。
 今、時間が3時52分です。もう残り少なくなりまして、ここで御回答をいただいている時間がないかなと思います。大変申しわけないのですけれども、厚生労働省様にも、今の御質問を文章で次回出していただくということでよろしいでしょうか。

○厚生労働省 厚生労働省の障害雇用対策課長のミヤモトです。
 今、いろいろ御意見をいただいたり、提出資料ということを言われました。今すぐ出せないこともありますけれども、なるべく頑張って、次回提出するようにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 では、大濱委員から。

○大濱委員 特例子会社について、障害者だけを選別して雇っているというちょっとおかしな形態で、権利条約の批准を踏まえて、今後、特例子会社のあり方も問われる可能性があると思います。例えば本社やグループ内と特例子会社を比べて賃金格差があるのかどうか。特例子会社の賃金水準が全体よりも明らかに低い、障害者を安く雇っているような実態であれば、かなり問題があると思いますので、このあたりの数字があれば追加資料としてお願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 今の御質問もあわせて次回ということでお願いいたします。

○伊藤委員 先ほど教育で質問をしたものも後でという話。

○佐藤委員 ここからやろうと思います。
 では、雇用に関しては、これで一旦締めさせていただきたいと思います。
 そうしましたら、前半の教育のところでお二方、手を挙げていただいて時間がありませんので、この最後のところでお願いしたいと思います。
 追加で質問があるという人、今のうちに確認しましょうか。伊藤委員と石川先生、加野委員と大日方委員ですね。この4人の方。実は私もあります。
 そうしたら、伊藤委員からお願いいたします。

○伊藤委員 ありがとうございました。どうなるかなと思ってちょっと焦ったのです。
 では、手短に質問だけにします。
 1つは教育の問題ですけれども、特別支援学級とか学校ということではなくて、病院に長く入院しているお子さんたち、うんと長期ならまた別なのですけれども、30日とか、1カ月とか、2カ月とか、そういう単位で入院されている、あるいはそれを繰り返すという方々の教育の支援というのはどういう状況にあるのか。NHKでちょっと報道されていたのですが、小学校、中学校、特に高校が問題のように報道では見ていましたけれども、そういうものは何か特別に方策があるのかを知りたいと思います。
 もう一つは、小学校、中学校では、学校の行事に参加する、特に病気の子供が参加することを保障するためには、学校保健師の役割が大変大きいと思うのですが、この学校保健師の配置が現状どうなっているのかを知りたいと思います。
 それから、3-(1)-8みたいな地域連携。教育と保健と福祉のような地域連携が大事だと書いてあるのですけれども、それが具体的にどう進められているのかがわからない。
 もう一点、これは私の考え方ですけれども、病気や障害を持った子たちは、やはり中で阻害されがちだと思うのですね。それを防ぐためには、教育の中で思いやりとか友情を育てることが非常に大事だと思うのです。単に勉強というだけではなくて、思いやりや友情を育てるために、昔の子供たちは一緒に遊んでいる中で自然にそういうものを身につけるわけですけれども、今の教育の中ではそれがどのような位置づけになっているのかを知りたいと思います。
 以上です。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 石川委員長、お願いします。

○石川委員長 2点お願いいたします。
 まず、学校教育法の施行令の改正が一昨年に行われたわけですけれども、その顕著な効果について、基本計画の実施に関してもさることながら、特に権利委員会の政府報告においては、法律とか施行令を改正したということだけをもって、日本はインクルーシブ教育に精いっぱい取り組んでいると主張をしても説得的にはならないので、本人及び保護者の意思の尊重という観点からこのような実績になっているとか、地域の学校への就学について、初等教育、中等教育においてこのように着実に前へ進んでいるといったことが言えるといいなと思うのですが、そういった方法での現状分析というか、データがございましたら、そうなっていないという場合もあるかもしれませんけれども、いずれにしましても御提供いただければありがたいというのが1点です。
 もう一点は、30ページの教科書等教材の提供推進ということなのですが、言うまでもなく、この責任主体というのは政府あるいは文部科学省ということになるわけですけれども、その中で標準拡大教科書以外の拡大教科書については、ボランティアグループがやっていて、それを支援している。マルチメディアデイジー教科書についてはボランティアグループがやっていて、文部科学省としても調査研究を進めているという書きぶりになっているのですけれども、ボランティアグループを支援するという立場ではないはずなので、この点につきましても、基本計画の5年間の中で、さらに一段、二段と、提供・推進の責任主体としての実施の御準備とか、そういったことについて御報告をいただけるとありがたいということです。
 よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 続きまして、加野委員、お願いします。

○加野委員 文科省の方に2点質問があります。
 この2点は関連しているのですけれども、1点目は特別支援教育支援員についてなのですが、先ほど特別教育支援員についての御説明の中で、発達障害等の学習支援という御説明があったかと思うのですが、知的の障害のある子供に対する学習支援というのは、特別支援教育支援員については想定をされていないのでしょうかというのが1つ目です。
 といいますのは、先ほど大濱委員からのお話もありましたけれども、保護者が地域の通常学級に知的障害のある子供を通学させたいと考えて、就学相談に臨んだ場合に、通常学級では知的障害のある子には支援員をつけられませんと、個別の支援が必要な場合は、支援学級、支援学校に行ってくださいと言われるケースが多いと聞いています。ですので、保護者の意思を尊重するというインクルーシブ教育への推進となっていますけれども、実際に子供のことを考えると、地域の学校を選ぶことが難しい、支援員をつけてもらえないという状況があるように聞いています。そういう状況についてどのようにお考えになっているかということについても御意見を伺いたいと思っております。よろしくお願いします。

○佐藤委員 ありがとうございます。
 大日方委員、お願いします。

○大日方委員 33ページの「文化芸術活動、スポーツ等の振興」について、きょうここについての文部科学省からの御説明はなかったかと思うのですが、実はスポーツ等の振興については実施率等の推進状況があろうかと思います。また、スポーツ基本法ができ上がり、基本計画が上がっておりますので、そういった視点からの推進状況といったものを説明していただきたい。ここの推進状況を見ますと、推進を図る、実施しました、何々をやりましたということで、余り推進の実態状況が見えないところが多くあります。
 34ページの3-(4)-4に関しても、派遣しました、参加を支援しました、育成強化を実施しましたということで、余りにも具体性に欠けますので、もう少し推進状況について出せる定量的なものがあるかと思いますので、次回お示しいただければと思います。

○伊藤委員 ありがとうございました。
 時間をオーバーしていて恐縮なのですけれども、私からも文部科学省に3点、資料の提供をお願いしたいと思います。
 1つ目は3-(1)-1です。石川委員長の御質問と重なるのですけれども、学校教育法の施行令が改正されまして、総合的な判断で就学先を決める仕組みになりました。1月31日までに就学通知を出すということで、1月31日までに就学通知が出ていない人、就学先について調整が必要な人となるのですけれども、そういった人はどれぐらいいるのかというのを2014年と2015年だったら出していただけるかなと思いましたので、その資料をお願いします。
 2つ目は3-(1)-2、インクルーシブ教育システム構築モデル事業。きょう御説明いただきましたけれども、これの詳細の資料を提供していただけたらと思います。
 3点目、3-(1)-2と3-(1)-3にかかわるのですけれども、国連の権利委員会はこれまでの総括所見の中で、教育の場を分けずに同じ場でということに結構こだわって出しているのですけれども、同じ学校、同じ場で実際にどういう合理的配慮をされている好事例があるのか、その事例を教えていただきたい。
 以上の3点です。
 では、時間が過ぎてしまって恐縮ですけれども。

○加藤参事官 事務局でございます。
 先ほどの大日方委員の御質問は、実は5月29日の第21回政策委員会で、教育、文化芸術活動、スポーツ等ということで御議論していただく予定でございまして、今日文部科学省からはインクルーシブ教育に特化した御説明、議論となっておりますので、5月29日のほうでよろしくお願いします。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 それでは、本日予定している議題は以上となります。参考人の皆様、お越しいただいてありがとうございました。
 次回の日程について事務局からお願いいたします。

○加藤参事官 それでは、お手元の参考資料2をご覧ください。
この資料には、今後のワーキング・セッションと障害者政策委員会の予定を記載してございます。
 次回のワーキング・セッションIIIにつきましては、6月5日金曜日13時30分開始を予定しております。場所はこの建物4号館の220会議室ですので、この会議室を予定してございます。
 また、この資料にあるとおり、第21回の障害者政策委員会、その他のワーキング・セッションも並行して開催する予定でございます。
 以上でございます。

○佐藤委員 それでは、これをもちまして障害者政策委員会ワーキング・セッションIII、第1回を終了いたします。どうもありがとうございました。