4-1 韓国の障害者権利条約の国内実施体制
韓国については、平成25年度調査で障害者の権利に関する条約の国内実施体制を調査した、その結果をまとめた体制概要図を示す。
韓国は、条約批准以前から、障害者政策に積極的に取り組んできた国である。1998年以降、5年ごとに障害者政策総合計画を策定し、その都度、障害者政策の対象となる領域を拡大するとともに実施体制の整備を図ってきた。
第1次5か年計画(1998~2002)3機関 | 保健福祉部 教育部 労働部 |
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第2次5か年計画(2003~2007)6機関 | 国務調査室 保健福祉部 教育人的資源部(旧、教育部) 労働部 情報通信部 建設交通部 |
第3次5か年計画(2008~2012)8機関 | 行政安全部(旧、行政部) 文化スポーツ観光部 教育科学技術部 保健福祉部 労働部 国土海洋部(旧、建設交通部) 国家報勲処 放送通信委員会 |
第4次5か年計画(2013~2017)12機関 | 行政安全部 知識経済部 文化スポーツ観光部 教育科学技術部 保健福祉部 女性家族部 法務部 雇用労働部 国土海洋部 国家報勲処 放送通信委員会 中小企業庁 |
出典:平成25年度障害者権利条約の国内モニタリングに関する国際調査報告書
条約実施に当たっては保健福祉部障害者政策局が中央連絡先となり、12部庁が関連部局に位置付けられている。また、調整のための仕組みとして国務総理(首相)直属の障害者政策調整委員会が設けられている。障害者政策調整委員会は国務総理以下、政府委員15名、民間委員14名で構成され、民間委員には韓国の主な障害者団体又はその連合体の幹部が含まれている。
政府外の関係組織としては、国家人権委員会(NHRC)が独立した仕組みに指定されている。国家人権委員会は11名の委員で構成され、障害者差別に関する独自調査や救済を行う権限、個別の障害者差別に関する苦情申立てを受け付け、処理する権限を有している。さらに市民社会においては、国内の主要な障害者団体が集まった「国連障害者権利条約NGO報告書連帯」が組織され、国連障害者権利委員会へのパラレルレポートの作成・提出を行っている。
図表4-2 韓国の国内実施体制の概要(図表4-2のテキスト版)
4 韓国政府機関の「部」は、日本の「省」に相当する。