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平成24年版障害者白書

発達障害の早期発見・早期支援に向けた取組

自閉症を含む発達障害は、できる限り早期に発見し、適切な支援につなげていくことが重要です。1歳6ヶ月及び3歳児を対象とした健康診査で発達障害の早期発見に留意するだけでなく、身近な保護者の方や周囲の方が正確な知識を基に早い時期から気付くことなども重要であり、今日、発達障害の早期発見・早期支援に向けた様々な取組が行われています。

○発達障害情報センター

発達障害は、「どのような能力に障害があるのか」「どの程度の障害なのか」「どのような支援があれば能力が発揮できるのか」等が周りから見て理解されにくいこと、誤った情報によって不適切な対応を受けることがあること等から、社会参加について様々な困難さを抱えています。このような状況を踏まえて、厚生労働省では平成20年3月28日に発達障害情報センターを開設し、WEB サイトを通して、本人・家族の方、発達障害を知りたい方、発達障害に関わる方(支援者)に対して、発達障害の気付き方や相談窓口などの情報提供を開始しました。また、平成20年10月からは国立障害者リハビリテーションセンターに同センターを移管し、引き続き情報提供及び普及・啓発活動を行っています。

http://www.rehab.go.jp/ddis/別ウインドウで開きます

発達障害に関する信頼のおける情報を分りやすく提供することによって、保護者や周囲の人が早い時期から気付き、本人が適切な理解と支援を速やかに受けられるようになることを目指しています。

○民間団体との協力

発達障害のある人一人ひとりに合わせた支援を提供するためには、様々な機関の役割分担や協力が必要となっており、民間団体と行政との協力も重要な課題となっています。このため、先進的な支援手法の開発とその検証を行う「発達障害者支援開発事業」におけるモデル事業の実施を社会福祉法人や特定非営利活動法人等にも委託できることとし、民間団体との協力体制を整備しています。

例えば、同事業において、佐賀県の「特定非営利活動法人それいゆ」は、これまで行政の施策としては十分ではなかった親同士の支え合いを行う「ペアレントメンター(信頼のおける相談相手という意味)」の養成に取り組んでいます。ペアレントメンターは、特に、診断前後の親に対して専門家とは別の役割を担い、例えば、同じ親として話を聞くことや共感すること、地域の情報を提供することによって、様々な疑問や不安に応えることを目指しています。このような取組を国としても十分に検証し、支援手段として確立させ、発達障害情報センターを通して全国に普及を図ることとしています。

○地方自治体での多様な取組

発達障害の中には、注意欠陥多動性障害など、3歳児の健康診査の後に、保育所などの集団生活のなかで問題が明らかとなる場合があります。このため、保育所などにおいて的確に気付き、保健指導につなげていくことが重要となりますが、一部の地方自治体では、5歳児を対象とした健康診査などを実施しているところもあります。鳥取県では、平成19年度からすべての市町村において5歳児健康診査あるいは5歳児発達相談が行われています。地方自治体における地域の実情に応じた多様な取組が期待されています。

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