4.就労
(1)就業の状況
ア 年齢階層別就業率
就業率を年齢階層別に見ると、身体障害者の就業率は、一般の就業率と比べて全体的に20~30%ほど低い分布となっている。これに対し、知的障害者の就業率は、20歳代では一般とほぼ同水準の60%台であるが、30~40歳代では身体障害者と同様の水準まで低下し、更に50歳代後半からは急速に低下する傾向が見られる。
調査の概要
○身体障害者、知的障害者及び精神障害者就業実態調査(厚生労働省)
15歳以上65歳未満の身体障害者、知的障害者、精神障害者及びその属する世帯を対象とした抽出調査であり、ほぼ5年ごとに実施。
○障害者雇用実態調査(厚生労働省)
従業員5人以上の民間事業所及び常用雇用されている身体障害者、知的障害及び精神障害者を対象とした抽出調査であり、ほぼ5年ごとに実施。
イ 就業形態
身体障害者や知的障害者の就業率を構成する就業形態には、一般の就業形態にはほとんど見られない「授産施設等・作業所等」が含まれている。その割合は身体障害者では6.5%に止まるが、知的障害者では59.1%にも達しており、就業形態の中核を占めている。このため、就業率の比較に当たっては、障害種別により就業形態に大きな違いがある点に留意する必要がある。
(2)障害種別の職種
ア 身体障害者
就業している身体障害者(18歳以上)の職種を見ると、視覚障害ではあんま・マッサージ・はり・きゅう(29.6%)、聴覚・言語障害では生産工程・労務(21.8%)の割合が高い。これに対し、肢体不自由と内部障害では、職種に際立った特徴は見られない。
イ 知的障害者
就業している知的障害者の職種のうち作業所を除いた職種の状況を見ると、製造加工業(15.7%)の割合が高い点に特徴がある。作業工程の定型化を図ることにより、製造加工業では知的障害者が働きやすい状況を作りやすい面があると考えられている。
(3)雇用の状況
ア 障害種別雇用状況
事業所を対象とした調査によれば、従業員5人以上の規模の事業所に雇用されて働いている障害者は、身体障害者34.6万人、知的障害者7.3万人、精神障害者2.9万人となっている。精神障害者については、精神障害のあることを事業者側に伝えずに働いている者も多く、雇用者数はかなり低めに出ている可能性がある。
イ 事業所規模別雇用状況
雇用事業所の規模を見ると、身体障害者は一般の常用労働者の場合と比べてより規模の大きい事業所に雇用される傾向が見られるのに対し、知的障害者は500人規模以上の事業所に雇用される割合は低くなっている。もっとも最近では大手の事業所でも知的障害者を雇用する動きが出てきており、新たな職域開拓が試みられていることがうかがわれる。