第3節 障害者基本計画、重点施策実施5か年計画の推進
「障害者基本法」第9条に基づき、国は、障害者の福祉に関する施策及び障害の予防に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害のある人のための施策に関する基本的な計画を策定することを義務づけられており、平成14年12月、現行の「障害者基本計画」が閣議決定されている。
同基本計画は、平成15年度から24年度までの10年間を計画期間としており、「ノーマライゼーション」や「リハビリテーション」といった新長期計画の理念を継承するとともに、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の理念の下に、障害のある人が、社会の対等な構成員として人権を尊重され、自己選択と自己決定の下にあらゆる活動に参加・参画できる社会の実現を目指し、計画期間中に講ずべき障害者施策の基本的方向について定めている。
また、同基本計画の「IV推進体制等」において、「基本計画に基づく諸施策の着実な推進を図るため、具体的な目標及びその達成期間を定めた重点施策実施計画を策定し実施する」こととされており、これを踏まえ、「重点施策実施5か年計画」が決定されている。同基本計画の前期に当たる平成15年度から19年度までの5年間を計画期間とする「重点施策実施5か年計画」(14年12月24日障害者施策推進本部決定。以下「旧5か年計画」という。)が定められ、各府省間の緊密な連携の下に推進が図られた。旧5か年計画の進ちょく状況については、19年度末までの実績が取りまとめられている。
これにひきつづき平成19年度に同基本計画の後期に当たる20年度から24年度までを計画期間とする後期5か年計画が、障害当事者、その家族、関係団体、学識経験者等延べ120の団体・個人から意見聴取や「中央障害者施策推進協議会」の審議等を経て、決定された。
後期5か年計画は、自立と共生の理念の下に、「共生社会」の実現に真に寄与するようにするため、
- 地域での自立生活を基本に、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害等の障害の特性に応じ、障害者のライフサイクルの全段階を通じた切れ目のない総合的な利用者本位の支援を行うこと
- 障害者の地域における自立や社会参加に係る障壁を除くための誰もが快適で利用しやすいユニバーサルデザインに配慮した生活環境の整備や、IT(情報通信技術)の活用等による障害者への情報提供の充実等を図ること
- 「障害者自立支援法」の抜本的な見直しの検討とその結果を踏まえた計画の必要な見直しを行うこと
- 障害者権利条約の可能な限り早期の締結を目指しての必要な国内法令の整備を図ること
の4点に重点を置いて施策展開を図ることとしている。
また、後期5か年計画では、平成20年度からの5年間に重点的に取り組むべき課題について、旧5か年計画の倍に相当する120の施策項目並びに新規42項目を含む57の数値目標(旧5か年計画では34項目)及びその達成期間等を定めている。後期5か年計画においては、個々の障害に係るニーズや社会・経済の状況等に適切に対応するとともに、必要に応じ計画の見直しを行うこととしているほか、計画の着実かつ効果的な推進を図るため、その進ちょく状況を毎年度内閣府障害者施策ホームページに掲載し、主なものを障害者白書に掲載している。