2.障害者問題に関する国際的な取組への参加
(1)障害者権利条約
国連においては、平成13年12月、障害者の権利及び尊厳を保護し、及び促進するための包括的かつ総合的な国際条約を検討するためのアドホック委員会を設置する決議が採択されるに至った。この決議を受けて、14年7月から8月にかけて、同委員会第1回会合がニューヨーク国連本部において開催され、その後、18年8月の第8回会合まで計8回の会合が行われた。
その結果、障害者権利条約は、平成18年12月、第61回国連総会本会議においてコンセンサス採択され、19年3月30日から署名のために開放された。本条約は、20年5月3日に発効した。24年3月31日現在、締約国数は111か国となっている。我が国は19年9月、この条約に署名し、現在、早期締結を目指しているところ。
この条約は、
<1> 障害者の尊厳、自律及び自立の尊重、無差別、社会への完全かつ効果的な参加及び包容等を一般原則とし、
<2> 障害に基づくいかなる差別もなしに、すべての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進することを締約国の一般的義務とし、
<3> 障害のある女子及び児童を含む障害者に保障されるべき個々の人権及び基本的自由について定めた上で、これらの人権及び基本的自由を確保し、及び促進するための措置を締約国がとること等を定めている。
<4> また、この条約の効果的な実施を確保するために、締約国が国内における実施及び監視のための枠組みを維持し、強化し、指定し、又は設置すること、締約国が選出する委員から構成される障害者の権利に関する委員会を設置すること等について定めている。
我が国は、本条約の作成過程に起草段階から積極的に参加するとともに、国内NGO との意見交換の実施や障害者NGO 代表の政府代表団顧問としての参加を通じて、障害当事者のための条約づくりを目指してきた。
現在、障がい者制度改革推進本部及び推進会議の動きも踏まえながら、本条約の早期締結を目指しているところ。
(2)アジア太平洋障害者の十年(2003-2012年)
「アジア太平洋障害者の十年」は、アジア太平洋地域において障害のある人への認識を高め、域内障害者施策の水準向上を目指すために、「国連障害者の十年」に続くものとして、平成4年に我が国と中国が主唱し、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)第48回総会において決議された。その最終年となる14年のESCAP 第58回総会において、我が国の主唱により「アジア太平洋障害者の十年」が更に10年延長されるとともに、同年10月25日から28日の4日間、滋賀県大津市で開催された「アジア太平洋障害者の十年を締めくくるハイレベル政府間会合」において、アジア太平洋地域における「十年」の行動計画である「アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワーク」(以下「びわこミレニアム・フレームワーク」という。)が採択された。
「びわこミレニアム・フレームワーク」では、優先的行動のための7つの分野として、「障害者の自助団体及び家族、親の団体」、「女性障害者」、「早期発見、早期対処と教育」、「自営を含む職業訓練と雇用」、「各種施設・公共交通機関へのアクセス」、「情報通信技術及び支援技術を含む情報と通信へのアクセス」、「能力構築、社会保障と持続的生計プログラムによる貧困の緩和」が挙げられており、それぞれの項目ごとに、重要課題、目標及び求められる行動が示されている。「びわこミレニアム・フレームワーク」の全文は内閣府のホームページに掲載している。
また、「アジア太平洋障害者の十年」の中間年に当たる平成19年9月には、タイのバンコクにおいて「アジア太平洋障害者の十年の中間評価に関するハイレベル政府間会合」が開催され、「びわこミレニアム・フレームワーク」を補完し、20年から24年までの実施を促進するための行動指針となる「びわこプラスファイブ」が採択された。「びわこプラスファイブ」の全文についても内閣府のホームページに掲載している。
障害者権利条約への署名(平成19年9月28日)