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第2章 相互の理解と交流 > 第2節 我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に係る施策 > 1.国際協力等の推進

平成24年版障害者白書

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第2章 相互の理解と交流

第2節 我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に係る施策

1.国際協力等の推進
(1)国際協力の基本的な方針

我が国は、国際社会の一員として、障害のある人に対する各施策分野において、我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に努める必要がある。障害者施策は、福祉、保健・医療、教育、雇用等の広範な分野にわたっているが、我が国がこれらの分野で蓄積してきた技術・経験などを政府開発援助(ODA)や民間援助団体(NGO)の活動などを通じて開発途上国の障害者施策に役立てることは、極めて有効であり、かつ、重要である。平成15年8月に改定された「政府開発援助大綱」においては、政府開発援助の基本方針の一つとして公平性の確保を掲げ、ODA 政策の立案及び実施に当たり、障害のある人を含めた社会的弱者の状況に配慮することとしている。また、17年2月に策定された「政府開発援助に関する中期政策」においても、社会的弱者への配慮を含めた公平性の確保に言及している。障害者施策の各分野においては、援助を行うに当たり、援助対象国の実態や要請内容を十分把握し、その国の文化を尊重しながら要請に柔軟に対応することが大切である。このため、我が国は、密接な政策対話を通じ、援助対象国と我が国の双方が納得いく援助を行うよう努めている。また、NGO との連携強化や草の根・人間の安全保障無償資金協力、日本NGO 連携無償資金協力等の活用、青年海外協力隊の派遣など開発途上国の草の根レベルに直接届く協力も行っており、現地の様々なニーズにきめ細かく対応している。

(2)有償資金協力

有償資金協力では、鉄道建設、空港建設等においてバリアフリー化を図った設計を行う等、障害のある人の利用に配慮した協力を行っている。平成23年度においても、8件の障害者配慮に関連した事業計画への援助を決定した。

(3)無償資金協力

無償資金協力では、障害のある人のためのリハビリテーション施設や職業訓練施設の整備、移動用ミニバスの供与等、毎年多くの協力を行っている。平成23年度においては、草の根・人間の安全保障無償資金協力により、39件の障害者関連援助を、NGO・教育機関・地方公共団体等に対し実施した。

(4)技術協力

技術協力の分野では、開発途上国の障害者支援に携わる組織・人材の能力向上を目的として、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて研修員の受入れや専門家及び青年海外協力隊の派遣など幅広い協力を行っている。平成23年度には障害者スポーツリーダー育成コースをはじめ20の研修コースを本邦において実施し、研修員183人を受け入れたほか、専門家76人、養護教員・理学療法士・作業療法士等の青年海外協力隊員65人の派遣などを行った。

技術協力プロジェクトでは、アジア太平洋地域の障害者のエンパワーメントとバリアフリー社会の促進を目的とする広域プロジェクト「アジア太平洋障害者センター(APCD)プロジェクト」(タイ・バンコク)を平成14年度より5年間実施し、引き続き19年度より同プロジェクトのフェーズ2(5年間)を開始した。同センターでは、域内の障害関連人材の育成事業(障害者自立生活、障害当事者団体の運営・強化、CBR(地域に根ざしたリハビリテーション)、障害者のための情報技術(ICT)等)、情報支援事業(情報集積、ホームページ(http://www.apcdfoundation.org別ウインドウで開きます)による発信事業等)、地域内の関係機関の連携促進といった活動を実施している。

また、平成20年度に開始されたミャンマー「社会福祉行政官育成(ろう者の社会参加促進)プロジェクト(3年間)」については、引き続き平成23年度より同プロジェクトのフェーズ2(3年間)を開始し、フェーズ1で培った手話指導技術を基礎に手話指導者の指導能力向上を目指している。

そのほか、障害者の社会参加の促進を目指す事業として、平成21年度よりマレーシア「障害者の社会参加支援サービスプロジェクト(3年間)」等を実施中であり、平成18年度に開始したコスタリカ「ブルンカ地方における人間の安全保障を重視した地域住民参加の総合リハビリテーション強化プロジェクト(5年間)」、及び平成20年度に開始したパキスタン「障害者社会参加促進プロジェクト(3年間)」については、所定の成果を達成し平成23年度中にそれぞれ終了した。

地方公共団体においても、スポーツ大会を通じた障害者間の交流や障害者福祉関係者への招へい等について自主的な取組がみられる。

開発途上国における我が国のNGO の活動も近年活発化しており、NGO による草の根の援助は現地のニーズにきめ細かく対応することが可能であることから、大きな効果を得ている。政府は、NGO との連携強化に努めており、NGO 支援として、平成23年度には日本NGO 連携無償資金協力により、11件の障害者支援関連事業を実施した。援助対象国に対する直接的援助のほか、我が国では国連等国際機関を通じた協力も行っている。昭和63年度から国連障害者基金に対して継続的な拠出を行っており、23年度には約3万ドルを拠出した。さらに、アジア太平洋地域への協力としては、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)に対し、日本エスカップ協力基金(JECF)を通じた活動支援を実施しており、平成23年度には約8.5万ドルの支援を行った。

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