<< 前頁   [目次]   次頁 >>
第4章 日々の暮らしの基盤づくり > 第2節 保健・医療施策 > 2.障害のある人に対する適切な保健・医療サービスの充実

平成24年版障害者白書

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第4章 日々の暮らしの基盤づくり

第2節 保健・医療施策

2.障害のある人に対する適切な保健・医療サービスの充実
(1)障害のある人に対する医療・医学的リハビリテーション

ア 医療・リハビリテーション医療の提供

障害のある人のための医療・リハビリテーション医療の充実は、障害の軽減を図り、障害のある人の自立を促進するために不可欠である。

「障害者自立支援法」に基づき、身体障害を軽減又は除去するための医療(更生医療及び育成医療)及び精神疾患に対する継続的な治療(精神通院医療)を自立支援医療と位置づけ、その医療費の自己負担の一部又は全部を公費負担している。

また、平成24年度の診療報酬改定においても、超重症児(者)に対する入院医療の評価を、平成22年度診療報酬改定に引き続き充実させた。

歩行困難等のために身体障害者更生相談所が実施する巡回相談に参加することが困難な在宅の重度身体障害者に対しては、「在宅重度身体障害者訪問診査」を市町村において実施しており、訪問診査においては、全身の状態を診断するとともに、リハビリテーション器具等の利用に関する助言や各種医療制度に関する指導、補装具費の支給等を行っている。

イ 医学的リハビリテーションの確保

国立障害者リハビリテーションセンター病院では、開設当初から身体上の障害のある者及びそのおそれのある者に対する医学的リハビリテーションの臨床・研究活動を行っており、各障害に対応した機能回復訓練を行うとともに、早期退院・社会復帰に向けた医療相談及び心理支援を行っている。

交通事故や病気等により脳に損傷を受け、その後遺症等として記憶、注意、社会的行動といった認知機能(高次脳機能)が低下した状態を高次脳機能障害という。高次脳機能障害は日常生活の中で現れ、外見からは障害があると分かりにくく、「見えない障害」や「隠れた障害」などと言われている。

このため、平成13年度から5年間にわたり高次脳機能障害支援モデル事業を実施し、診断基準、標準的な訓練プログラム、支援コーディネートマニュアル等を作成すると共に、高次脳機能障害者への支援ネットワークづくりなどを行った。

平成18年10月からは、このモデル事業の成果を踏まえ、都道府県に高次脳機能障害者への支援を行うための支援拠点機関を置き、〈1〉相談支援コーディネーターによる高次脳機能障害者に対する専門的な相談支援、〈2〉関係機関との地域ネットワークの充実、〈3〉高次脳機能障害の支援手法等に関する研修等を行う「高次脳機能障害支援普及事業」を開始し、全国で高次脳機能障害に対する適切な対応が行われるよう取り組んでいる。22年6月には、全都道府県に支援拠点機関が設置された。

また、平成23年10月には、国立障害者リハビリテーションセンターに「高次脳機能障害情報・支援センター」を設置し、高次脳機能障害者支援に必要な最新の国内外の情報や研究成果等を集約し、高次脳機能障害のある人やその家族及び支援関係者等に役立つ情報をホームページ等通じて発信している。

なお、平成24年度からは、障害のある人の健康増進のためのモデル事業等を実施し、障害のある人の健康づくりを推進するとともに、障害のある人が安全にスポーツを行いつつ競技力の向上が図られるよう、障害者スポーツ選手に対するメディカルサポート体制について検討を行うこととしている。

刑事施設においては、医療刑務所等にリハビリテーション機器を整備し、受刑者のうち、運動機能に障害を有する者や長期療養等で運動機能が低下した者に対して、機能回復訓練を行っている。

(2)難病患者に対する保健医療サービス

入院治療が必要になった重症難病患者の入院施設確保・受入体制の整備が円滑に行われるよう、都道府県ごとの難病医療拠点・協力病院の指定、保健所を中心に在宅難病患者に対する地域での支援の強化など、地域における保健医療福祉サービスの提供を推進している。

(3)保健・医療サービス等に関する難病患者への情報提供

難病患者への情報提供について、難病情報センターによりインターネットを活用した最新の医学・医療情報等を提供している。難病患者のもつ様々なニーズに対応したきめ細やかな相談や支援が行えるよう、「難病相談・支援センター」を全都道府県に設置し、地域における難病患者支援を推進しているところである。

▲ このページの上へ