第5章 住みよい環境の基盤づくり
第1節 障害のある人の住みよいまちづくりのための施策
1.住宅のバリアフリー化の推進
(1)設計、設備の面で障害のある人に配慮した住宅の供給
ア 公共賃貸住宅のバリアフリー化の推進
新設されるすべての公営住宅、都市再生機構賃貸住宅、改良住宅及び公社賃貸住宅について、障害のある人の心身の特性に応じた設備等の設置に配慮し、バリアフリーを標準仕様としている。また、既設のものについても、建替えや改善を行うことによりバリアフリー化を進めている。
なお、障害のある人向けの公営住宅の建設に当たっては、規模の大きなものや特別の設備を設置するものに対しては、工事費に係る助成の限度額を特例的に引き上げている。
イ 障害のある人等の利用に配慮した住宅ストックの形成の推進
障害のある人等の利用に配慮した住宅ストックを形成するため、「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」により、身体機能が低下した場合にも住み続けられるような住宅の設計上の配慮事項を示している。
独立行政法人住宅金融支援機構においては、証券化支援事業の優良住宅取得支援制度により、バリアフリー性等が優れた住宅について、融資金利の引下げを行っている。なお、平成22年9月の「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」に基づき、当初10年間の金利引下げ幅の拡大(0.3%→1.0%)を平成23年9月末までの時限的措置として実施した。
沖縄振興開発金融公庫においては、障害のある人等に配慮した住宅として、上記の指針に基づき定められた基準に適合する住宅等一定の良質な住宅に対して、金利の優遇を行っている(1戸当たり床面積が175m2以下の住宅について、適用を行っている)。新築住宅については、上記の基準に適合する住宅の場合(160万円/戸)、ホームエレベーター、階段昇降機、車いす対応キッチンユニットなどの設備を併設する場合(260万円/戸)、障害のある人等が同居し比較的規模の大きな住宅を建設する場合(310万円/戸)に融資の増額を行っている。
(2)住宅リフォーム
障害のある人等が安心して快適に自立した生活を送ることのできる環境の整備を促進し、障害のある人等の居住の安定の確保を図るため、平成21年度税制改正において、障害のある人等が居住する住宅について、一定のバリアフリー改修工事を行った場合に、所得税額を軽減する特例措置(住宅借入金がある場合)を延長するとともに、平成23年度の税制改正において、借入金がない場合でも一定のバリアフリー改修工事を行った場合には、所得税額を軽減する特例措置を、平成24年の税額控除額の上限額を15万円とした上で延長した。また、障害のある人等が居住する住宅について一定のバリアフリー改修工事を行った場合の固定資産税額を軽減する特例も設けている。
平成23年度第3次補正予算により再開した復興支援・住宅エコポイント制度において、エコリフォームと併せて行うバリアフリーリフォームについてもポイント発行対象とし、住宅の省エネ化と併せて、住宅のバリアフリー化を促進している。
既存住宅ストックを障害のある人の生活や家族の介護に配慮した住みやすいものへと改造することが可能となるよう、適切な設計・施工ができる専門家の育成を目的に一般社団法人住宅リフォーム推進協議会において、増改築相談員及びマンションリフォームマネジャーに対し、高齢化対応リフォーム及び介護保険における住宅改修等に関するテキストを作成して、情報提供を行っている。
住宅リフォームを行うに当たっては、住宅分野と保健福祉分野の連携による適切な相談体制の確立が必要である。このため、関係省庁間の密接な連携の下、国及び地方公共団体において、障害のある人が住みやすい住宅増改築、介護機器についての相談体制を整備している。
また、障害のある人等の居宅を建築関係の専門家等が訪問し、家屋の構造や障害の程度を踏まえた住宅改造に関する適切なアドバイスを行う「住宅改良ヘルパー制度」が平成5年から設けられている。
沖縄振興開発金融公庫においては、住宅の改良につき、段差解消等のバリアフリー化、障害のある人が日常生活を支障なく営むことができるように必要な設備を設置する工事等を行う場合には、平成10年度より融資を大幅に増額している(9年度560万円→10年度以降1,060万円等)。