<< 前頁   [目次]   次頁 >>
第5章 住みよい環境の基盤づくり > 第1節 障害のある人の住みよいまちづくりのための施策 > 2.ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進

平成24年版障害者白書

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第5章 住みよい環境の基盤づくり

第1節 障害のある人の住みよいまちづくりのための施策

2.ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進

国土交通省では、高齢者や障害のある人のみならず可能な限りすべての人を対象として想定し、「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に基づき、今後の社会資本整備、交通分野における取組方針を「ユニバーサルデザイン政策大綱」として平成17年7月に公表している。

同大綱を踏まえ、公共交通機関、建築物、歩行空間等の一体的・連続的なバリアフリー化を促進し、バリアフリー施策を総合的に推進するため、「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」と「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(以下「交通バリアフリー法」という)」を統合・拡充した「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下「バリアフリー法」という)」を平成18年6月に制定、12月から施行しており、同法や、バリアフリー化の目標、施設設置管理者が講ずべき措置、基本構想の指針等を示した「移動等円滑化の促進に関する基本方針(最終改正平成23年国家公安委員会、総務省、国土交通省告示第1号)」に基づき、公共施設等のバリアフリー環境の整備を推進している。

「バリアフリー法」の主な内容は、次のとおりである。

(1)バリアフリー法の対象

「バリアフリー法」では、身体障害のみならず、知的障害、精神障害、発達障害を含む、すべての障害のある人を対象にしている。

(2)公共交通施設や建築物のバリアフリー化の推進

「バリアフリー法」では、公共交通機関・建築物・道路・路外駐車場・都市公園について、バリアフリー化基準に適合するように求め、高齢者や障害のある人などが日常生活や社会生活において利用する施設の整備の促進によって、生活空間におけるバリアフリー化を進めることとしている。

なお、公共交通機関には、鉄軌道、バス、福祉タクシー、旅客船、航空機が含まれ、これらの車両等を新たに導入する際には、基準に適合させることとしている。

(3)地域における重点的・一体的なバリアフリー化の推進

市町村は、移動等の円滑化を図ることが必要な一定の地区を重点整備地区とし、移動等の円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本構想を作成することができる。

基本構想の作成にあたっては、利用者の視点を反映するよう、以下の制度を設けている。

ア 協議会制度

基本構想の作成の際、高齢者や障害のある人などの計画段階からの参加の促進を図るため、作成に関する協議等を行う協議会制度を法律に位置づけている。この協議会は、特定事業の実施主体はもとより、高齢者や障害のある人、学識経験者その他市町村が必要と認める者で構成される。

加えて、バリアフリー化の対象となる事業の実施主体は、市町村から通知を受けた場合に、正当な理由がある場合を除き、必ず協議会に参加することとしており、協議の場の設定を法的に担保することで、調整プロセスの促進を図ることとしている。

イ 基本構想作成提案制度

基本構想を策定する市町村の取組を促す観点から、基本構想の内容を、高齢者や障害のある人などが市町村に対し具体的に提案できる提案制度を設けている。

(4)「スパイラルアップ」と「心のバリアフリー」

ア 「スパイラルアップ」の導入等

高齢化やユニバーサルデザインの考え方が進展する中、バリアフリー化を進めるためには、具体的な施策や措置の内容について、施策に関係する当事者の参加の下、検証し、その結果に基づいて新たな施策や措置を講じることによって段階的・継続的な発展を図っていく「スパイラルアップ」の考え方が重要であり、「バリアフリー法」では、これを国の果たすべき責務として位置づけている。

イ 「心のバリアフリー」の促進

「バリアフリー法」では、バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め、バリアフリー化の実施に関する国民の協力を求める、いわゆる「心のバリアフリー」を深めていくことを国の責務として定めるとともに、高齢者や障害のある人などが円滑に移動し施設を利用できるようにすることへの協力だけではなく、高齢者や障害のある人などの自立した日常生活や社会生活を確保することの重要性についての理解を深めることが、国民の責務として定められている。

▲ このページの上へ