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第6章 日々の暮らしの基盤づくり

第1節 生活安定のための施策

5.スポーツ・文化芸術活動の推進

(1)スポーツの振興

ア 障害者スポーツに関する事業の移管

平成23年8月に施行されたスポーツ基本法において、障害のある人の自主的かつ積極的なスポーツを推進するとの理念が掲げられた。また、パラリンピック競技大会をはじめ、近年、障害者スポーツにおける競技性の向上は目覚ましく、障害者スポーツに関する施策を、福祉の観点に加え、スポーツ振興の観点からも一層推進していく必要性が高まっている。

これらを踏まえ、平成26年度より、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会への補助や全国障害者スポーツ大会開催事業といったスポーツ振興の観点が強い障害者スポーツに関する事業を厚生労働省から文部科学省に移管し、文部科学省において、障害者スポーツの競技力向上と裾野の拡大の両面から、障害者スポーツの推進に取り組んでいる。

なお、障害のある人のリハビリテーションの一環として行う事業については、引き続き厚生労働省において実施している。

第33回大分国際車いすマラソン大会
イ 障害者スポーツの裾野の拡大

平成25年度の文部科学省委託調査によると、障害のある人(成人)の週1回以上のスポーツ・レクリエーション実施率は18.2%(成人一般の実施率は47.5%(平成24年度文部科学省調査))にとどまっており、地域における障害者スポーツの一層の普及促進に取り組む必要がある。

具体的には、文部科学省において、平成24年度から3年間、障害のある人とない人が一緒に楽しめるスポーツ・レクリエーション活動の推進のための実践研究や障害者スポーツに関するニーズ等の実施把握を実施した。

加えて、平成26年度は、障害のある人がスポーツに参加する際の安全確保に関する調査研究を実施した。また、我が国の障害者スポーツの普及・振興を図る統括団体である日本障がい者スポーツ協会に対する補助を通じて、障害者スポーツの普及・啓発や障害者スポーツ指導者の養成・確保・活用等を進めている。

平成26年11月には、障害者スポーツの全国的な祭典である第14回全国障害者スポーツ大会を長崎県で開催し、約5,500名の選手・監督等が参加した。

ウ 障害者スポーツの競技力向上

平成26年度より、スポーツ振興の観点から行う障害者スポーツに関する事業が厚生労働省から文部科学省に移管されたことを受け、オリンピック・パラリンピックの選手強化を文部科学省において一体的に実施することとなった。このため文部科学省においては、従来オリンピック競技のみを対象としていた事業について、パラリンピック競技も対象とするなど、パラリンピック選手の強化に取り組んでいる。

具体的には、日本パラリンピック委員会(JPC)への補助を通じて強化合宿や国際競技大会へのナショナルチームの派遣等を支援した。なお、平成27年度からは、より戦略的な選手強化の実施に向けて、従来のJPCへの補助事業を見直し、オリンピックの選手強化と同様に日本スポーツ振興センター(JSC)に資金を一元化するとともに、JPCとも連携して選手強化費の配分を行うこととしている。

また、パラリンピック競技大会でメダル獲得が期待される競技をターゲットとしてアスリート支援や研究開発等の多方面からの専門的かつ高度な支援を戦略的・包括的に実施するマルチサポート事業を、平成26年度はパラリンピック競技を対象にトライアル実施するなど、障害者アスリートへの支援を行った。更に、パラリンピックで活躍が期待できる選手の発掘事業についても、平成26年度よりJPCへの補助を通じて行った。

加えて、オリンピック競技とパラリンピック競技の強化・研究活動拠点の機能強化やその在り方について検討するため文部科学省に開催された有識者会議にて、平成27年1月に「最終報告」が取りまとめられ、トップレベル競技者が同一の活動拠点で集中的・継続的にトレーニング・強化活動を行う拠点であるナショナルトレーニングセンター(NTC)や、スポーツ医・科学の中枢機関である国立スポーツ科学センター(JISS)のオリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用化及びNTCの拡充整備等について提言された。これを受け、文部科学省においては、オリンピック競技とパラリンピック競技の一体的な拠点構築を進めている。

主な国内・国際障害者スポーツ大会

◯全国障害者スポーツ大会

平成13年度から、それまで別々に開催されていた身体に障害のある人と知的障害のある人の全国スポーツ大会が統合され、「全国障害者スポーツ大会」として開催されています。平成20年度から、精神障害者のバレーボール競技が正式種目に加わり、全国の身体、知的、精神に障害のある方々が一堂に会して開催される大会となっています。本大会は、障害のある選手が、競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験するとともに、国民の障害に対する理解を深め、障害のある人の社会参加の推進に寄与することを目的として、国民体育大会の直後に、当該開催都道府県で行われています。

平成26年度の第14回大会は、長崎県において開催されました。

なお、平成27年度の第15回大会については、和歌山県で開催されます。

全国障害者スポーツ大会(第14回長崎がんばらんば大会2014)

◯全国ろうあ者体育大会

本大会は、聴覚に障害のある人が、スポーツを通じて技を競い、健康な心と体を養い、自立と社会参加を促進することを目的として、昭和42年度から開催されています。

平成26年度は、第48回となる夏季大会が沖縄県で開催されました。今回の大会では10競技が行われ、選手・役員合わせて約1,100人が参加しました。

◯ジャパンパラ競技大会

競技力の向上と国際大会へ派遣する選手の選考を目的とした本大会は、平成3年度から陸上競技と水泳、5年度からスキー、6年度からアイススレッジホッケー、10年度からアーチェリーの大会が、各々開催されています。

陸上競技、水泳及びスキーの大会には、身体に障害のある人と知的障害のある人が、また、アイススレッジホッケー及びアーチェリーの大会には身体に障害のある人が参加しています。

2012ジャパンパラリンピック陸上競技大会 (C)エックスワン

◯デフリンピック

4年に一度行われる、聴覚に障害のある人の国際スポーツ大会であり、夏季大会と冬季大会が開催されています。

夏季大会は1924年を第1回としており、2013年には、ブルガリアのソフィアにおいて開催されました。日本選手団として選手・役員合わせて219名が参加し、金メダル2個、銀メダル10個、銅メダル9個を獲得しました。次回の夏季大会は、2017年にトルコのアンカラで行われる予定です。

冬季大会は1949年を第1回としており、本年3月28日~4月7日にはロシアのハンティ・マンシースクにおいて第18回大会が開催されました。日本選手団として選手・役員合わせて48名が参加し、金メダル3個、銀メダル1個、銅メダル1個を獲得しました。

◯アジアパラ競技大会(旧フェスピック大会)

アジアパラリンピック委員会が主催するアジア(中東地域を含む)地域最大の障害者の総合スポーツ大会です。

我が国の呼びかけにより、1975年より、9回にわたり開催されてきたフェスピック競技大会を前身としています。

2014年に韓国の仁川(インチョン)において第2回大会が開催されました。日本選手団として選手・役員合わせて298名が参加し、金メダル38個、銀メダル49個、銅メダル56個を獲得しました。

次回は、2018年にインドネシアのジャカルタにおいて開催が予定されています。

◯スペシャルオリンピックス世界大会

4年に一度行われる、知的発達障害のある人のスポーツの世界大会であり、夏季大会と冬季大会が開催されています。順位は決定されるものの最後まで競技をやり遂げた選手全員が表彰される、といった特徴がある大会です。

夏季大会は1968年を第1回(米国・シカゴ)としており、2011年にはギリシャのアテネにおいて第13回大会が開催されました。次回は2015年にアメリカのロサンゼルスにおいて開催されます。冬季大会は1977年を第1回(米国・コロラド州)としており、2013年には韓国の平昌(ピョンチャン)において第9回大会が開催されました。次回は、2017年にオーストリアにおいて開催されます。

◯パラリンピック競技大会

オリンピックの直後に当該開催地で行われる、障害者スポーツの最高峰の大会であり、夏季大会と冬季大会が開催されています。

夏季大会は、1960年にイタリアのローマで第1回大会が開催され、オリンピック同様4年に一度開催されています。

2012年には、イギリスのロンドンにおいて第14回大会が開催されました。次回は、2016年、ブラジルのリオデジャネイロにおいて開催が予定されています。

冬季大会は、1976年にスウェーデンのエンシェルツヴィークで第1回大会が開催されて以降、オリンピック冬季大会の開催年に開催されています。2014年3月には、ロシアのソチにおいて第11回大会が開催されました。次回は、2018年に韓国の平昌(ピョンチャン)で開催が予定されています。

ソチ2014パラリンピック競技大会 (C)エックスワン

2020年パラリンピック競技大会について

平成25年9月に開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会(アルゼンチン/ブエノスアイレス)において、2020年オリンピック・パラリンピックの開催都市が東京都に決定した。これにより、東京都は史上初めて、2度目のパラリンピック夏季競技大会を開催する都市となった。

パラリンピック競技大会は、世界のトップアスリートが参加し、スポーツを通じて、障害のある人の自立や社会参加を促すとともに、様々な障害への理解を深めることにつながるものである。また、アクセシビリティに配慮した会場やインフラの整備により、東京のまち全体を障害のある人をはじめとするすべての人々が安全で快適に移動できるようになり、ユニバーサルデザイン都市、東京の実現が促進されるものである。

2020年パラリンピック競技大会は、8月25日の開会式に始まり、9月6日の閉会式まで12日間、オリンピックと共に60日間の1つの祭典として開催される。大会の実施競技については、平成26年10月の国際パラリンピック委員会(IPC)理事会で、新規採用競技として、バドミントンの実施を決定した。また、平成27年1月のIPC理事会で、新規採用競技として、テコンドーの実施を決定し、既存競技のうち、セーリング、脳性麻痺者7人制サッカーについては、2020年パラリンピック協議大会での非実施を決定し、全22競技の実施が決定した。

平成26年1月24日には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(大会組織委員会)が一般財団法人として設立され、会長に森喜朗元内閣総理大臣、事務総長に武藤敏郎大和総研理事長が就任した。平成27年1月1日には、大会組織委員会は、内閣府から公益財団法人としての認定を受け、「公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」へと移行した。現在、大会組織委員会が中心となり、東京都、日本オリンピック委員会(JOC)や日本パラリンピック委員会(JPC)、政府が一丸となって大会準備を行っている。

平成26年12月15日~16日には、IPC委員が来日し、2020年パラリンピック東京大会の計画や運営に対して助言を行う「IPCプロジェクトレビュー(第1回)」が行われた。2020年に向けて、大会ビジョン、アクセシビリティ、アクション&レガシープラン、コマーシャル&ブランド等、幅広いテーマについて意見交換が行われ、全ての分野において順調な進捗状況であることが確認された。

IPCプロジェクトレビュー 出典:Tokyo 2020/ Shugo TAKEMI
組織委員会設立 出典:Tokyo 2020/Shugo TAKEMI

(2)文化活動の振興

最近では、障害のある人による芸術活動や、障害のある人も楽しめる舞台芸術公演、展覧会等も各地で開催されるようになってきている。また、国立劇場や新国立劇場においては、障害のある人の入場料の割引を、国立美術館、国立博物館においては、展覧会の入場料の無料を実施しているほか、全国各地の劇場、コンサートホール、美術館、博物館などにおいて、車いす使用者でも利用ができるトイレやエレベーターの設置等障害のある人に対する環境改善も進められている。

また、障害のある人の生活を豊かにするとともに、国民の障害への理解と認識を深め、障害のある人の自立と社会参加の促進に寄与することを目的として、「第14回全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会」(平成26年度)が鳥取県において開催された。

第14回全国障がい者芸術・文化祭とっとり大会(クライマックスイベント・フィナーレの様子)

さらに、平成25年に開催された「障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会」中間とりまとめを受け、平成26年度からは芸術活動を行う障害のある人やその家族、福祉事務所等で障害のある人の芸術活動の支援を行う者を支援するモデル事業を実施するなど、障害者の文化芸術活動の振興を深める取組を行っている。

「障害者の芸術活動支援モデル事業」

障害者の芸術活動支援モデル事業の概要
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