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第6章 日々の暮らしの基盤づくり

第2節 保健・医療施策

1.障害の原因となる疾病等の予防・治療

(1)障害の原因となる疾病等の予防・早期発見

ア 健康診査

健康診査は、リスクの早期発見による疾病等の発症予防、疾病の早期発見による重症化予防の機会として重要であり、必要に応じて保健指導に結び付ける機会でもある。

フェニールケトン尿症等の先天性代謝異常や先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)などの早期発見・早期治療のため、各都道府県で新生児を対象としたマス・スクリーニング検査を実施しており、平成23年度にはタンデムマス法を用いた検査の普及を図ったところである。

また、幼児期において、身体発育及び精神発達の面から最も重要な時期である1歳6か月児及び3歳児のすべてに対し、総合的な健康診査を実施しており、その結果に基づいて適切な指導を行っている。

学校においては、就学時や毎学年定期に児童生徒の健康診断を行っており、疾病の早期治療や早期発見に役立っている。

職場においては、労働者の健康確保のため、労働者を雇い入れた時及び定期に健康診断を実施することを事業者に義務づけている。

イ 保健指導

妊産婦や新生児・未熟児等に対して、障害の原因となる疾病等を予防し、健康の保持増進を図るために、家庭訪問等の個別指導による保健指導が行われている。

身体の機能に障害のある児童又は機能障害を招来する児童を早期に発見し、療育の指導等を実施するため、保健所及び市町村において早期に適切な治療上の指導を行い、その障害の治癒又は軽減に努めている。身体に障害のある児童については、障害の状態及び療育の状況を随時把握し、その状況に応じて適切な福祉の措置を行っている。

ウ 生活習慣病の予防

急速な人口の高齢化の進展に伴い、疾病構造が変化し、疾病全体に占める、がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病等の生活習慣病の割合が増加している中、健康寿命の更なる延伸、生活の質の向上を実現し、元気で明るい社会を築くためには、若いうちから生活習慣の見直しなどを通じて積極的に健康を増進し、疾病の「予防」に重点を置いた対策の推進が急務である。

このため、がん、糖尿病等のNCDs(非感染性疾患)の予防等の具体的な目標等を明記した「健康日本21(第二次)」(厚生労働省告示)に基づく国民健康づくり運動を平成25年度より開始している。

また、平成20年度から「適度な運動」、「適切な食生活」、「禁煙」に焦点を当てた新たな国民運動として「すこやか生活習慣国民運動」を展開するなど、生活習慣病対策の一層の推進を図ってきたが、平成22年度からはこの運動をさらに普及、発展させた「スマート・ライフ・プロジェクト」を開始し、幅広い企業連携を主体とした取組等を通じて、生活習慣病対策の一層の推進を図っている。

(2)障害の原因となる疾病等の治療

リスクの高い妊産婦や新生児などに高度な医療が適切に提供されるよう、各都道府県において、周産期医療の中核となる総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センターを整備し、地域の分娩施設との連携体制の確保などを行っている。

また、平成26年第186回国会において「難病の患者に対する医療等に関する法律」(以下「難病法」という。)が成立し、平成27年1月1日に施行された。難病法では、医療費助成の対象となる疾病を指定難病として指定することとしており、第1次実施分として、特定疾患治療研究事業で対象としていた56疾病から110疾病へと拡大した。今後、第1次実施分と合わせて平成27年夏までに約300疾病に拡大する予定である。また、医療費助成に加え、難病法の基本理念である難病の克服に向けた調査・研究事業を推進している。

(3)正しい知識の普及

ア 学校安全の充実

学校においては、児童生徒等が自他の生命を尊重し、日常生活全般における安全に必要な事柄を実践的に理解し、安全な生活ができるような態度や能力を養うことが大切である。このため、体育科、保健体育科、特別活動など学校の教育活動全体を通じて安全教育を行っている。

文部科学省では、安全教育の充実を図るため、各都道府県において指導的な役割を果たしている小・中・高等学校の教員等を対象とした「健康教育指導者養成研修学校安全コース」(独立行政法人教員研修センターが実施。)を開催し、指導者の学校安全に関する資質の向上を図っている。

「難病の患者に対する医療等に関する法律(平成26年法律第50号)」に基づく新たな難病対策について

難病対策については、昭和47年10月に策定された難病対策要綱に基づき本格的に推進されるようになって40年以上が経過した。その間、各種の事業を推進してきた結果、難病の実態把握や治療方法の開発、難病医療の水準の向上、患者の療養環境の改善及び難病に関する社会的認識の促進に一定の成果をあげてきた。

しかしながら、医療の進歩や患者及びその家族のニーズの多様化、社会・経済状況の変化に伴い、同じような疾病であっても、医療費助成の対象となる疾病とならない疾病があり、疾病間で不公平感があるなど、様々な課題が指摘されるようになった。特に、都道府県における超過負担の問題は制度自体の安定性をゆるがすものとされ、難病対策全般にわたる改革が強く求められるようになった。

このため、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会において、平成25年12月に、「難病対策の改革に向けた取組について(報告書)」がとりまとめられ、報告書の内容に沿って、厚生労働省ではさらなる検討を進めた。その結果、平成26年第186回国会において「難病の患者に対する医療等に関する法律」(以下「難病法」という。)が成立し、平成27年1月1日に施行された。

難病法では、医療費助成の対象となる疾病を指定難病として指定することとしており、第1次実施分として、特定疾患治療研究事業で対象としていた56疾病から110疾病へと拡大した。今後、第1次実施分と合わせて平成27年夏までに約300疾病に拡大する予定である。

また、医療費助成にとどまらず難病法の基本理念である難病の克服に向けた調査・研究事業の推進、就労支援、難病患者の療養生活の質の維持向上等を図るため、難病対策の総合的な支援を推進するための基本方針を平成27年夏を目処に策定する予定である。

難病の患者に対する医療等に関する法律
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