第6章 住みよい環境の基盤づくり
1 障害のある人の住みよいまちづくりと安全・安心のための施策
「どこでも、だれでも、自由に、使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」に基づき、施設等(旅客施設、車両等、道路、路外駐車場、都市公園、建築物等)の新設等の際の「移動等円滑化基準」への適合義務、既存の施設等に対する適合努力義務を定めるとともに、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」において、平成32年度末までの整備目標を定めている。交通政策基本法(平成25年法律第92号)に基づく交通政策基本計画(平成27年2月閣議決定)においても、バリアフリーをより一層身近なものにすることを目標の1つとして掲げており、これらを踏まえながらバリアフリー化の推進を図っている。
【主な施策等】
- (1) 新設されるすべての公営住宅、都市再生機構賃貸住宅、改良住宅及び公社賃貸住宅について、原則として障害のある人の心身の特性に応じた設備等の設置に配慮し、バリアフリーを標準仕様としている。また、既設のものについても、建替えや改善を行うことによりバリアフリー化を進めている。
- (2) 「バリアフリー法」では、バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め、バリアフリー化の実施に関する国民の協力を求める、いわゆる「心のバリアフリー」を深めていくことを国の責務として定めるとともに、高齢者や障害のある人などが円滑に移動し施設を利用できるようにすることへの協力だけではなく、高齢者や障害のある人などの自立した日常生活や社会生活を確保することの重要性についての理解を深めること及び具体的な施策や措置の内容について、施策に関係する当事者の参加の下、検証し、その結果に基づいて新たな施策や措置を講じることによって段階的・継続的な発展を図っていく「スパイラルアップ」の考え方が重要であることが、国民の責務として定められている。
- (3) 不特定多数の人々が利用する交通施設、観光施設、スポーツ文化施設、商業施設などの公共施設や企業内の施設において、文字や言語によらず対象物、概念又は状態に関する情報を提供する図形(案内用図記号JISZ8210)は、一見してその表現内容を理解できる、遠方からの視認性に優れている、言語の知識を要しないといった利点があり、一般の人だけでなく、視力の低下した高齢者や障害のある人、さらに外国人等でも容易に理解することができ、文字や言語に比べて優れた情報提供手段である。
- (4) 案内用図記号については、「案内用図記号(JISZ8210)」があるが、平成27年5月には「ベビーカーが利用できる施設を表示する図記号」及び、「ベビーカーの使用を禁止する場合に表示する図記号」を追加し、併せて、当該図記号の使用方法を参考に記載するための改正を行った。
また、平成28年3月にも改正し、「土石流注意」等2つの注意図記号及び「洪水/内水氾濫」等、5つの災害種別一般図記号を追加した。 - (5) 平成26年9月に制定された、「津波避難誘導標識システム」のJISZ9097を基に、洪水、内水氾濫、高潮、土石流、崖崩れ・地滑り及び大規模な火事にも素早く安全な場所に避難することが可能になるように、避難場所までの道順や距離についての情報を含んだ標識を、避難場所に至るまでの道のりに一連のものとして設置する場合に考慮すべき事項について規定し、「災害避難誘導標識システム」のJISZ9098を平成28年3月に制定した。また、これらをISOに提案するための作業を開始した。
- (6) 都市鉄道整備事業補助及び地域公共交通確保維持改善事業において、鉄軌道駅等のバリアフリー化に要する経費の一部補助を実施している。また、地方公営企業の交通事業のうち、地下鉄事業のバリアフリー化を含む建設改良事業に対する財政融資及び地方公共団体金融機構の融資制度が設けられている。
- (7) ノンステップバス、リフト付きバス、福祉タクシー、低床式路面電車(LRV)等の導入に対して、地域公共交通確保維持改善事業において経費の一部補助を行っている。
- (8) 障害のある人が自立して生活し、積極的に社会参加していく上で、まち全体を障害のある人にとって利用しやすいものへと変えていくことの重要性が、近年、広く認識されるようになっている。このため、幅の広い歩道の整備や建築物の出入口の段差の解消、鉄道駅舎のエレベーターの設置、音響信号機等の整備等による障害のある人の円滑な移動の確保、公園整備等による憩いと交流の場の確保等、福祉の観点も踏まえた総合的なまちづくりが各地で進められている。
- (9) 最近における地方公共団体の動きとしては、総合的なまちづくりを効果的に進めるために、福祉のまちづくりに関する条例の制定など制度面の整備が行われるとともに、事業面においても、ユニバーサルデザインによるまちづくり(すべての人にやさしいまちづくり)が行われている。総務省では、地方公共団体が行う高齢者、障害のある人、児童等すべての人が自立していきいきと生活し、人と人との交流が深まる共生型の地域社会の実現に向けた取組を支援するため、ハード・ソフト両面から必要な地方財政措置を講じている。ソフト事業として、ユニバーサルデザインによるまちづくりやNPO等の活動の活性化を推進する地方公共団体の取組に要する経費に対して、普通交付税措置を行うとともに、ハード事業として、ユニバーサルデザインによるまちづくり、地域の少子高齢化社会を支える保健福祉施設整備、共生社会を支える市民活動支援のための施設整備等に対して、地域活性化事業債等により財政措置を講じている。
- (10) 国民一人一人が、高齢者や障害のある人の困難を自らの問題として認識し、その社会参加に積極的に協力する「心のバリアフリー」社会を実現するため、国土交通省では主に小・中学校生を対象としたバリアフリー教室を開催している。
- (11) 「バリアフリー法」に基づく基本方針において、重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機等については、平成32年度までに、原則としてすべての当該道路において、バリアフリー対応型信号機等の設置等の移動等円滑化を実施することを目標としており、音響により信号表示の状況を知らせる音響式信号機や、歩行者・自転車と車両が通行する時間を分離して交通事故を防止する歩車分離式信号等の整備を推進している。
- (12) 平成26年6月に設立した「ICTを活用した歩行者移動支援の普及促進検討委員会」(主宰:国土交通技監、委員長:坂村健東京大学大学院情報学環教授)において普及促進に必要な事項が検討され、平成27年4月に提言がとりまとめられた。これを踏まえ、国土交通省では、同年7月には歩行者移動支援サービスに関するオープンデータサイトを開設し、鉄道駅等の旅客施設や不特定多数の者が利用する建築物のバリアフリーデータ等を公開したほか、同年9月にはオープンデータの活用による歩行者移動支援サービスの提供に向けた取組手順等を解説した市町村向けのガイドラインを作成し、周知する等の取組を実施した。
- (13) 観光庁では「観光立国推進基本計画」に基づき、平成27年度には、地域の受入体制を強化するための取組の一つとして、地域におけるバリアフリー旅行に関する相談窓口の多言語化を含めた活動強化を行った。
- (14) 「道路交通法」においては、肢体不自由を理由として免許に条件を付された者が、身体障害者標識を表示して普通自動車を運転している場合には、他の運転者は、危険防止のためやむを得ない場合を除いて、その普通自動車に対して幅寄せや割込みをすることが禁止されている。さらに、同法においては、身体に障害のある歩行者等その通行に支障がある歩行者が道路を横断し、又は横断しようとしている場合において、当該歩行者から申出があったときその他必要があると認められるときは、警察官等その他その場所に居合わせた者は、当該歩行者が安全に道路を横断することができるように努めなければならないこととし、車両等の運転者は、身体に障害のある歩行者等その通行に支障のある者が通行しているときは、その通行を妨げないようにしなければならないこととされている。
- (15) ハイブリッド車や電気自動車は、「音がしなくて危険と感じる」との意見が寄せられていることを受け、国土交通省においては、学識経験者、視覚障害者団体、自動車メーカー等からなる「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」の結果を踏まえて、平成22年1月に「ハイブリッド車等の静音性に関する車両接近通報装置のガイドライン」を定めるとともに、自動車メーカー等の関係者に周知し、対策の早期普及を促してきた。現在、本ガイドラインを基に、国連において国際基準の策定作業が進められており、同基準の早期策定に向けて、国際議論を主導しているところである。
- (16) 運転者に対しては、障害のある人を含む全ての歩行者に対する保護意識の高揚を図るため、運転者教育、安全運転管理者による指導その他広報啓発活動を推進している。また、障害のある人に対しては、字幕入りビデオの活用や参加・体験・実践型の交通安全教室の開催等により、交通安全のために必要な技能及び知識を習得できるよう、障害の程度に応じたきめ細かい交通安全教育を推進している。
- (17) 東日本大震災の教訓を踏まえ、防災対策における高齢者、障害者、乳幼児等の「要配慮者」に対する措置は一層重要になってきている。
平成25年6月の災害対策基本法の改正を受け、避難行動要支援者名簿の作成・活用に係る具体的手順等を盛り込んだ「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」を平成25年8月に策定・公表した。同法改正においては、避難所における生活環境の整備等に関する努力義務規定も設けられ、この取組を進める上で参考となるよう、主に、避難所運営に当たって高齢者を含む避難者の支援に関して留意すべき点等を盛り込んだ、「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」を策定・公表した。平成27年度においては、市町村におけるより一層の取組を促進するため、避難所や福祉避難所の指定の推進、避難所のトイレの改善、要配慮者への支援体制の構築等に係る課題について、有識者による検討会を設け、幅広く検討を行った。 - (18) 平成27年8月には、文部科学省、厚生労働省、国土交通省が、社会福祉施設、学校、医療施設等その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設における土砂災害対策を推進するため、土砂災害のおそれのある箇所及び同箇所に立地する当該施設に関する基本的な情報の共有等、各関係機関に連携強化を図るよう助言している。また、要配慮者の安全かつ迅速な避難が可能となるように、防災情報システム等の整備強化を図ることに加え、洪水、津波、高潮、土砂災害等が発生した場合に備え、過去の災害や危険箇所、情報入手方法、避難場所、避難経路等を具体的に示したハザードマップ等によるきめ細かな情報の提供を推進し、防災意識の高揚に努めている。
- (19) 平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴い、被災地、被災者に対して講じられた施策のうち、障害のある人への支援の一環として実施されているものとして、主に次のような施策がある(平成26年3月現在)。
<1> 利用負担減免等
厚生労働省は、障害のある人や障害福祉サービスの提供を行う事業者に対し、以下のような利用者負担の減免や障害福祉サービスに係る措置を弾力的に行うよう通知等を行った。
- (ア) 利用者への対応について
- 特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律により、介護給付費等の支給決定等について、平成25年2月28日まで延長した。
- 被災した障害者等にかかる障害福祉サービス等の利用者負担を市町村が免除した場合、この利用者負担額について、国がその全額を財政支援することとした。
- (イ) 障害福祉サービスの提供について
- 被災者等を受け入れたときなどに、一時的に、定員を超える場合を含め人員配置基準や施設設備基準を満たさない場合も報酬の減額等を行わないこととした。
- また、やむを得ない理由により、利用者の避難先等において、安否確認や相談支援等のできる限りの支援の提供を行った場合は、これまでの障害福祉サービスとして報酬の対象とすることとした。
- 避難所においてホームヘルプサービスを提供した場合も報酬の対象とすることとした。
- さらに、利用者とともに仮設の施設や他の施設等に避難し、そこにおいて障害福祉サービスを提供した場合も報酬の対象とすることとした。
- (ウ) 介護職員等の派遣、避難者の受入等
- 各事業所等において、介護職員等が不足している場合には、国や県などの調整を受けて、別の事業所等より介護職員等の派遣を行った。
- また、被災等により利用者の避難が必要である場合には、国や県等において調整を行い、受入先を確保した。
- (エ) 被災地における障害福祉サービス等の再開支援について
- 震災を受け被災した障害者支援施設等の復旧事業や事業再開に要する経費に関する国庫補助事業を実施し、復旧支援を行った。
- 甚大な被害を受けた被災地の障害福祉サービス事業所等が復興期においても安定したサービス提供を行うことができるよう、被災県ごとに支援拠点を設置し、
- (a) 障害者就労支援事業所の活動支援(業務発注の確保、流通経路の再建等)
- (b) 福祉人材等のマンパワー確保のための支援
- (c) 障害者自立支援法、児童福祉法による新体系サービスへの定着支援
- (d) 障害者自立支援法による基幹相談支援センター立ち上げのための支援
- (e) 発達障害児・者のニーズを踏まえた障害福祉サービス等の利用支援
<2> 心のケア
また、心のケアについては、災害救助法に基づき、精神科医、看護師、精神保健福祉士等4、5人程度で構成される「心のケアチーム」が、市町村の保健師と連携を取りながら避難所の巡回等を行った。
被災者の生活の場が仮設住宅や自宅に移った後も、PTSDの症状が長期化したり、うつ病や不安障害の方が増加したりすることが考えられることから、岩手、宮城、福島の各県に「心のケアセンター」を設置し、継続的に心のケアを行う看護師、精神保健福祉士、臨床心理士等の専門職が、保健所及び市町村と連携しながら、心のケアが必要な方への相談支援等を実施している。
<3> 発達障害
全国の発達障害者支援センターの中核として、国立障害者リハビリテーションセンターに設置されている発達障害情報・支援センターでは、震災直後から、発達障害のある人に対する円滑な支援を図るため、被災地で対応する方々に向けて、支援の際の留意点等の情報提供を行った。また、災害時に必要な対応をまとめた冊子を作成し、ホームページに掲載するとともにその周知を行った。
<4> 教育機会確保・就学支援等
文部科学省では、障害のある幼児児童生徒も含め、幼児児童生徒の教育機会確保のため、就学援助等を実施するとともに、各都道府県教育委員会等に対し、被災幼児児童生徒の学校への受入れを実施している。
さらに、震災により就学等困難となった特別支援学校及び特別支援学級等の幼児児童生徒に対し就学支援を行うための経費や、障害のある幼児児童生徒も含め、被災した幼児児童生徒等の心のケアの充実を図るため、スクールカウンセラー等を緊急派遣する経費及び特別支援学校における学習活動の充実を図る外部専門家の活用のための経費を措置し、障害のある幼児児童生徒の就学支援の確保を図っている。
<5> 教師のためのハンドブック
国立特別支援教育総合研究所は、平成23年度に「震災後の子どもたちを支える教師のためのハンドブック~発達障害のある子どもへの対応を中心に~」を作成し、関係機関に配布するとともに、ホームページに掲載をしている。
<6> 幼児児童生徒の状況把握等
文部科学省及び厚生労働省では、被災した障害のある幼児児童生徒の状況把握及び支援、教育委員会、学校等が支援を必要とする幼児児童生徒を把握した場合に保護者の意向を確認した上で市町村障害児福祉主管課に連絡するなどの教育と福祉との連携、障害児支援に関する相談窓口等の周知について、各都道府県教育委員会、障害児福祉主管課に対し要請している。
- (ア) 利用者への対応について
- (20) 障害のある人が警察へアクセスする際の困難を取り除くための対策としては、全都道府県警察において、FAX及びEメールでの緊急通報の受理を行っていること(FAX 110番及びメール110番)、FAXネットワーク等による情報提供に努めていること、交番等へのスロープ設置等を行っていることなどが挙げられる。
障害のある人が犯罪や事故の被害に遭うことの不安感を除くための対策としては、巡回連絡等を通じて、障害のある人の相談や警察に対する要望に応じるとともに、身近な犯罪や事故の発生状況、防犯上のノウハウ等の安全確保に必要な情報の提供に努めていることなどが挙げられる。
2 障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策
情報通信の活用によるメリットを十分に享受するためには、障害のある人を含めだれもが、自由に情報の発信やアクセスができる社会を構築していく必要がある。
各府省は、高齢者や障害のある人を含めたすべての人々の利用しやすいものとするため、ウェブコンテンツ(掲載情報)に関する日本工業規格(JIS X 8341-3)を踏まえ、ホームページにおける行政情報の電子的提供の充実に努めている。
【主な施策等】
- (1) 地域生活支援事業においては、障害のある人の情報通信技術の利用・活用の機会の拡大を図るため、IT関連施策の総合サービス拠点となる障害者ITサポートセンターの運営(26都府県:平成26年度末時点)や、パソコンボランティア養成・派遣等が実施されている。
- (2) 家電メーカーや通信機器メーカーにおいては、引き続き障害者・高齢者に配慮した家電製品の開発・製造に努めているところである。また、昨年より国際標準化団体のISO/IEC JTC 1にてスマートフォンのアクセシビリティ向上を目的とした議論が開始され、我が国製造メーカーも参加している。
- (3) 我が国における電子投票は、平成14年2月より、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において導入することが認められている。平成28年3月末現在、電子投票条例を制定している市町村は6団体である。総務省としては、電子投票の導入を促進するにあたり、電子投票システムの更なる信頼性向上のための技術的な課題や導入団体の実施状況等についての調査分析を引き続き行い、地方公共団体に対する必要な情報の提供に取り組んでいる。
- (4) 内閣府では、視覚に障害がある方に対して政府の重要な施策の情報を提供するため、政府広報として音声広報CD「明日への声」及び点字・大活字広報誌「ふれあいらしんばん」を発行(年6回、各号約4,600部)し、それぞれ全国の視覚障害者情報提供施設協会、日本盲人会連合、特別支援学校、都道府県立図書館、地方公共団体等、約3,000か所に配布している。
- (5) 法務省刑事局では、犯罪被害者やその家族、さらに一般の人々に対し、検察庁における犯罪被害者の保護・支援のための制度について分かりやすく説明したDVD 「もしも…あなたが犯罪被害に遭遇したら」を全国の検察庁に配布しているが、説明のポイントにテロップを利用しているほか、全編に字幕を付すなどしており、聴覚障害のある人も利用できるようになっている。また、犯罪被害者等向けパンフレットの点字版及び同パンフレットの内容を音声で録音したCDを作成し、全国の検察庁及び点字図書館等へ配布を行い、視覚障害者の方々に情報提供している。
- (6) 法務省の人権擁護機関では、各種人権課題に関する啓発広報ビデオを作成する際に、字幕付ビデオも併せて作成するとともに、啓発冊子等に、音声コード(専用の機械に読み取らせることにより、本文の音声読み上げを行うことができるコード)を導入し、視覚障害のある人も利用できるようにしている。
- (7) 障害のある人が投票を行うための必要な配慮として、点字による「候補者名簿及び名簿届出政党等名簿」の投票所等への備付け、投票用紙に点字で選挙の種類を示す取組、点字版やカセットテープ、コンパクトディスク等の音声版による候補者情報の提供、投票所における車いす用スロープの設置や点字器の備え付け等を行っている。
- (8) 「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」においては平成29年度までに、字幕放送については対象放送番組のすべてに字幕付与、大規模災害等緊急時放送については、できる限りすべてに字幕付与、解説放送については対象放送番組の10%に解説を付与、手話放送については実施時間をできる限り増加させる等の普及目標を定めており、その達成に向けて、放送事業者の取組を促している。
また、字幕付きCM関係者が抱える課題と展望を共有する場である字幕付きCM普及推進協議会(平成26年10月、日本アドバタイザーズ協会、日本広告業協会、日本民間放送連盟によって設立)において、字幕付きCMセミナーによる普及啓発等の字幕付きCM制作の拡充に向けた取組が継続されている。 - (9) 経済産業省では、日本映画の字幕付与について、映画関係団体とともに引き続き取組を促進することとしている。聴覚障害のある人のために、字幕(手話)入り映像ライブラリーや手話普及のための教材の制作貸出し、手話通訳者等の派遣、情報機器の貸出し等を行う聴覚障害者情報提供施設については、全都道府県での設置を目指し、その整備を促進している。
- (10) 視覚障害のある人から改善を求める要望を受け、財務省は、国立印刷局、日本銀行とともに、現行の日本銀行券がより使いやすいものとなるよう、平成25年4月26日に「日本銀行券の券種の識別性向上に向けた取組み」を公表し、その後、<1>改良五千円券の発行(平成26年5月12日発行開始)、<2>スマートフォン用の券種識別アプリ(言う吉くん)の提供(平成25年12月3日配信開始)、<3>券種識別専用機器について民間企業等へ技術情報の提供を行った。
- (11) 各都道府県警察においては、聴覚に障害のある人のための字幕スーパー入り講習用映画の活用や手話通訳員の確保に努めている。また、言語での意思伝達を困難とする人たちと警察官とのコミュニケーションを円滑にするため、協力団体とともに開発し、提供を受けた「コミュニケーション支援ボード」につき、イラストを追加するなどの改定を行い、全国の交番、パトカー等に配備し、活用している。