第1章 障害者施策の総合的かつ計画的な推進-新たな障害者基本計画(第4次)の策定- 第1節 1
第1節 第4次基本計画の策定の経緯
1.第4次基本計画の検討開始までの主な取組
障害者施策に関する基本法としての位置付けを有する我が国初の法律として、昭和45(1970)年に心身障害者対策基本法(昭和45年法律第84号)が制定された。同法は、心身障害者対策の総合的推進を図ることを目的として、心身障害者の福祉に関する施策の基本となる事項等を定めており、心身障害があるため長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者を「心身障害者」と位置付けていた。
平成5(1993)年、同法は障害者基本法に改正され、従来の心身障害者に加え、精神障害により長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者についても、新たに「障害者」と位置付けられることとなった。さらに、法の目的も、障害者の自立とあらゆる分野の活動への参加の促進に改められた。
その後、平成16(2004)年の改正では、障害者差別等をしてはならない旨が基本的理念として新たに規定されるとともに、中央障害者施策推進協議会が創設された。さらに、平成23(2011)年の改正では、障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一環として、いわゆる「社会モデル」の考え方や「合理的配慮」の概念が新たに取り入れられるとともに、国内において障害者基本計画の実施状況を監視し、勧告を行う機関として、障害者政策委員会が新たに設置された。
この障害者基本法に基づき、平成25(2013)年9月に「障害者基本計画(第3次)」(以下「第3次基本計画」という。)が閣議決定された。第3次基本計画では、各分野に共通する横断的視点として、「障害者の自己決定の尊重及び意思決定の支援」、「当事者本位の総合的な支援」、「障害特性等に配慮した支援」、「アクセシビリティ(※1)の向上」及び「総合的かつ計画的な取組の推進」の5点が掲げられるとともに、10の分野ごとに基本的考え方や具体的な取組が示されており、障害者政策委員会における実施状況の監視を経ながら、それぞれの分野において、同計画に基づき着実に取組が進められた。
※1:アクセシビリティ
施設・設備、サービス、情報、制度等の利用しやすさのこと。