第5章 住みよい環境の基盤づくり 第2節 2

目次]  [前へ]  [次へ

第2節 障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策

2.社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及

(1)電子投票の実施の促進

電子投票とは、電磁的記録式投票機(いわゆる電子投票機)を用いて投票する方法であり、開票事務の迅速化に貢献するとともに、自書が困難な選挙人であっても比較的容易に投票することが可能である。

我が国における電子投票は、平成14(2002)年2月より、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙において導入することが認められている。

総務省としては、電子投票システムの更なる信頼性向上のための技術的な課題や電子投票促進のための改善点等についての検討を引き続き行い、地方公共団体に対する必要な情報の提供に取り組んでいる。

(2)テレワークの推進

テレワークは、ICTを利用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であり、女性、高齢者、障害のある人等の就業機会の拡大にも寄与するものと期待されている。

政府では、テレワークが様々な働き方を希望する人の就業機会の創出及び地域の活性化等に資するものとして、関係府省が連携し、テレワークの一層の普及拡大に向けた環境整備、普及啓発等を推進することとしている。

総務省においては、社内コミュニケーションに不安がある、セキュリティが心配であるといった様々な課題に対応すべく、セミナーの開催、専門家の派遣、先進事例の表彰、セキュリティガイドラインの策定・改定等の様々な施策を推進している。

また、平成29(2017)年から、関係府省・団体が連携し、2020年東京オリンピックの開会式が予定されている7月24日を「テレワーク・デイ」と位置付け、全国一斉のテレワークを実施している。平成29年度の実施においては、全国各地から様々な分野の企業、自治体など約950団体、6.3万人が参加した。

/総務省
第5章第2節 2.社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及
TOPICS
IoT・AIなどテクノロジーの進展を踏まえた新たな共生社会の実現

今後、ますます発展することが想定されるIoT(※)やAI(※)などの新たなICTは、障害がある方々に対し、障害の特性、状態、生活実態等の様々な状況にきめ細かな対応を可能とする製品やサービスの開発・提供に資するものと期待される。

現在、総務省では、平成29(2017)年11月から、情報通信審議会において、2030~2040年頃を展望しつつ、日本の「未来」をつくる情報通信政策の在り方について検討を行っているが、上記の観点から、同審議会の下に専門的なサブワーキンググループを設置の上、障害者の方々がIoTやAI等の新たなICTを利活用できるようにするための施策を検討している。

同審議会では、障害当事者の方々の御意見を丁寧に伺った上で、平成30(2018)年6月頃を目処に答申をとりまとめていただく予定であり、総務省としては、これを踏まえて具体的なICT施策を推進していくこととしている。

また、学校でのプログラミング教育を通じてICTへの興味・関心を高めた児童生徒が、障害の有無によらず、地域において発展的・継続的に学べる環境づくりに資するために、平成30年度より「地域におけるIoTの学び推進事業」を実施する予定である。

※IoTとは、Internet of Things (モノのインターネット)の略。自動車、家電、ロボット、施設などあらゆるモノがインターネットにつながり、情報のやり取りをすることで、モノのデータ化やそれに基づく自動化等が進展し、新たな付加価値を生み出すというコンセプトを表した語。

※AIとは、Artificial Intelligence (人工知能)の略。コンピュータを使って、学習・推論・判断など人間の知能のはたらきを人工的に実現するための技術。

<事例:テレワークを活用した障害者雇用>
OKIワークウェルの取組(全社員数83名のうち障害者70名)
【平成29年度テレワーク先駆者百選総務大臣賞受賞】
  • 通勤の困難な重度肢体障害者50名(北海道から鹿児島まで)が、自宅(テレワーク)で自社開発のコミュニケーションシステムを利用してソフトウェア関連の業務を実施。
  • バーチャルオフィスを実現し、在宅勤務の課題である「コミュニケーションの確保」「適切な労務管理」「孤独感の解消」を可能にしている。
テレワーク
執務室で、TV会議システムを通じ障害を持つテレワークマネジメント社の社員と会話する野田総務大臣

目次]  [前へ]  [次へ