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第6章 国際的な取組 2

我が国の国際的地位にふさわしい国際協力に関する施策

2.国際協力等の推進

(1)国際協力の基本的な方針

障害者施策は、福祉、保健・医療、教育、雇用等の広範な分野にわたっているが、我が国がこれらの分野で蓄積してきた技術・経験などを政府開発援助(ODA)などを通じて開発途上国の障害者施策に役立てることは、極めて有効であり、かつ、重要である。協力を行うに当たり、対象国の実態や要請内容を十分把握し、その国の文化を尊重しながら要請に柔軟に対応することが大切である。このため、我が国は、密接な政策対話を通じ、対象国と我が国の双方が納得いく協力を行うよう努めている。また、草の根・人間の安全保障無償資金協力、日本NGO連携無償資金協力等の活用を通じたNGOとの連携、青年海外協力隊の派遣など開発途上国の草の根レベルに直接届く協力も行っており、現地の様々なニーズにきめ細かく対応している。

(2)有償資金協力

有償資金協力では、鉄道建設、空港建設等においてバリアフリー化を図った設計を行う等、障害のある人の利用に配慮した協力を行っている。

(3)無償資金協力

無償資金協力においても、障害のある人の利用に配慮した協力を行うとともに、障害のある人のためのリハビリテーション施設や職業訓練施設の整備、移動用ミニバスの供与等、毎年多くの協力を行っている。平成29(2017)年度においては、草の根・人間の安全保障無償資金協力により49件の障害者関連援助を、NGO・教育機関・地方公共団体等に対し実施した。また、平成29年度には日本NGO連携無償資金協力により、10件の障害者支援関連事業を実施した。

(4)技術協力

技術協力の分野では、開発途上国の障害者の社会参加と権利の実現に向けて、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて、障害者を対象とした取組に加え、開発プロセスのあらゆる分野において障害者の参加を支援するために、研修員の受入れや専門家及びJICAボランティアの派遣など幅広い協力を行っている。平成29(2017)年度には「地域に根ざしたインクルーシブアプローチによる障害者の社会参加と生計」をはじめ12の研修コースを本邦において実施し、研修員190人を受け入れたほか、専門家5人、言語聴覚士・理学療法士・作業療法士等のJICAボランティア98人の派遣などを行った。また、NGOや大学等を始めとする市民団体の発意に基づく事業を実施するJICA草の根技術協力事業を活用し、平成29年度には16件の障害と開発関連事業を実施した。また、これら技術協力に日本及び開発途上国双方の障害者が参加し、中心的な役割を担うことを推進している。

技術協力プロジェクトでは、現在6つのプロジェクトを実施中である。平成28(2016)年5月に、南アフリカにおいて「障害者のエンパワメントと障害主流化促進プロジェクト」が開始され、地域レベルでの障害についての理解の促進と障害者のエンパワメントを進めている。今後は、南アフリカが南部アフリカ地域の障害者の社会参加促進の活動基盤となることを目標としている。

平成28年5月には、モンゴルにおいて「ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト」が開始され、ウランバートル市内のアクセスの改善と障害者団体の能力強化、行政官を育成する等、開発の過程に障害者が参加できるように協力を行っている。また、平成27(2015)年8月から「障害児のための教育改善プロジェクト」が実施されており、障害児に対する診断・発達支援・教育モデルを構築するための活動を行っている。

平成28年8月には、パラグアイの国家障害者人権庁へ個別専門家(障害者の社会参加促進アドバイザー)を派遣し、省庁の組織力強化及び人材育成を支援している。さらに、平成29年1月には、ヨルダンにおいて「障害者の経済的エンパワメント及び社会参加促進プロジェクト」を開始しており、ジョブコーチ制度の確立と障害についての理解の促進を進め、障害者の就労促進に寄与している。平成27年3月から実施しているコロンビアの「障害のある紛争被害者のソーシャルインクルージョンプロジェクト」においては、「障害のある紛争被害者のソーシャルインクルージョン戦略」を策定し、今後パイロットサイトで検証を行う予定である。

(5)国際機関等を通じた協力

援助対象国に対する直接的援助のほか、我が国では国連等国際機関を通じた協力も行っている。昭和63(1988)年度から国連障害者基金に対して継続的な拠出を行っており、平成27(2015)年度には7,300ドルを拠出した。さらに、アジア太平洋地域への協力としては、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)に対し、日本エスカップ協力基金(JECF)を通じた活動支援を実施しており、平成29(2017)年には、障害者インクルーシブな津波防災のためのe-ラーニングツールの開発について5万ドルの支援を行った。

図表6-1 技術協力の状況(平成29年度)
(1)本邦研修
注: 課題別研修/国別研修/青年研修の受入人数
資料:外務省
(2)ボランティア
注:障害児・者支援、養護、理学療法士、作業療法士、鍼灸マッサージ師、ソーシャルワーカー、福祉用具、言語聴覚士の8職種を障害者支援関連職種とし、新規派遣人数を計上。短期ボランティアを含む。
資料:外務省
(3)技術協力プロジェクト事業(平成29年度)
注:前年度からの継続による専門家派遣・研修員受入人数を含む。専門家派遣については第三国人材の派遣及びコンサルタント契約による専門家人数を除く。また、研修員受け入れについては協力相手国内もしくは第三国で実施された研修コース分を除く。
資料:外務省
(4)草の根技術協力事業(平成29年度障害者支援関連事業)
資料:外務省
図表6-2 日本NGO連携無償資金協力(平成29年度障害者支援関連事業)
(単位:円)
資料:外務省
/外務省
第6章 2.国際協力等の推進
TOPICS
ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト

「ウランバートル市における障害者の社会参加促進プロジェクト」は、モンゴルの総人口の半数近くが住んでいる首都ウランバートル市において、障害者の社会参加が促進されるよう支援を行うプロジェクトである。

具体的には、専門家を現地に派遣し、障害者権利条約の理解の促進、障害統計・情報の整理、障害者団体と障害者リーダーの育成、物理・情報アクセシビリティの向上に関する人材育成と実施、障害理解を促進する障害平等研修等を実施している。その一つの成果として、モンゴル初の障害者白書が平成29(2017)年12月に完成した。

また、派遣された専門家の中には、視覚に障害のある専門家も派遣されており、現地の障害者を研修の担い手として育成している。育成されたファシリテーターによって、障害平等研修は、これまでに140回を越え、行政機関を中心に4,000名以上が受講しており、物理的バリアフリーの改善や意識改革につながっている。他にも、障害政策委員会の設立や新空港の物理アクセシビリティ評価も行うなど、現地の省庁や障害者団体と連携した活動を展開している。

障害平等研修(DET)1
障害平等研修(DET)2
障害者の物理アクセシビリティ向上に向けた
人材育成1
障害者の物理アクセシビリティ向上に向けた
人材育成2
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