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第2章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり 第2節 1

第2節 雇用・就労の促進施策

障害のある人の就労意欲が高まっている中で、障害のある人が、希望や能力、適性を十分に活かし、障害の特性等に応じて活躍できることが普通の社会、障害のある人と共に働くことが当たり前の社会の実現に向けて、障害者雇用対策の一層の充実を図っていく必要がある。

1.障害のある人の雇用の場の拡大

(1)障害者雇用の現状

ア 2018年障害者雇用状況報告

対象障害者を1人以上雇用する義務がある民間企業(常用雇用労働者数45.5人以上)については、毎年6月1日時点の障害者雇用の状況を報告することになっている。2018年の報告結果は次のとおりである。

なお、障害者雇用状況報告では、重度身体障害者又は重度知的障害者については、その1人の雇用をもって、2人の身体障害者又は知的障害者を雇用しているものとしてカウントされる。

また、重度身体障害者又は重度知的障害者である短時間労働者(1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者)については、1人分として、重度以外の身体障害者及び知的障害者並びに精神障害者である短時間労働者については、0.5人分としてカウントされる。

ただし、精神障害者である短時間労働者については、雇入れや精神障害者保健福祉手帳を取得してから3年以内の場合、1人分としてカウントされる。

1 民間企業の状況(図表2-5・2-6)

2018年6月1日現在の障害者雇用状況は、雇用障害者数が15年連続で過去最高を更新し、534,769.5人(前年同日495,795.0人)となるなど、一層進展している。また、障害者である労働者の実数は437,532人(前年同日406,981人)となった。雇用者のうち身体障害者は346,208.0人(前年同日333,454.0人)、知的障害者は121,166.5人(前年同日112,293.5人)、精神障害者は67,395.0人(前年同日50,047.5人)と、いずれも前年より増加し、特に精神障害者の伸び率が大きかった。

また、民間企業が雇用している障害者の割合は2.05%(前年同日1.97%)であった。

企業規模別に割合をみると、45.5~100人未満規模で1.68%、100~300人未満規模で1.91%、300~500人未満規模で1.90%、500~1,000人未満規模で2.05%、1,000人以上規模で2.25%となった。

一方、法定雇用率を達成した企業の割合は、45.9%となった。なお、雇用されている障害者数については、全ての企業規模で前年の報告より増加した。

図表2-5 民間企業における障害者の雇用状況
○実雇用率と雇用されている障害者の数の推移 (各年6月1日現在)
注1:雇用義務のある企業(2012年までは56人以上規模、2013年から2017年までは50人以上規模、2018年は45.5人以上規模の企業)についての集計である。
注2:「障害者の数」とは、次に掲げる者の合計数である。
2005年まで
身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)
知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)
重度身体障害者である短時間労働者
重度知的障害者である短時間労働者
2006年以降
2010年まで
身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)
知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)
重度身体障害者である短時間労働者
重度知的障害者である短時間労働者
精神障害者
精神障害者である短時間労働者
(精神障害者である短時間労働者は0.5人でカウント)
2011年以降
身体障害者(重度身体障害者はダブルカウント)
知的障害者(重度知的障害者はダブルカウント)
重度身体障害者である短時間労働者
重度知的障害者である短時間労働者
精神障害者
身体障害者である短時間労働者
(身体障害者である短時間労働者は0.5人でカウント)
知的障害者である短時間労働者
(知的障害者である短時間労働者は0.5人でカウント)
精神障害者である短時間労働者(※)
(精神障害者である短時間労働者は0.5人でカウント)
※ 2018年は、精神障害者である短時間労働者であっても、次のいずれかに該当する者については、1人分とカウントしている。
1 2015年6月2日以降に採用された者であること
2 2015年6月2日より前に採用された者であって、同日以後に精神障害者保健福祉手帳を取得した者であること
注3:法定雇用率は2012年までは1.8%、2013年4月から2017年までは2.0%、2018年4月以降は2.2%となっている。
注4:四捨五入で人数を出しているため、合計が一致しない場合がある。
○企業規模別実雇用率
○企業規模別達成企業割合
資料:厚生労働省「平成30年障害者雇用状況の集計結果」
図表2-6 一般の民間企業における企業規模別障害者の雇用状況
(2018年6月1日現在)
注1:2欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」とは、常用労働者総数から除外率相当数(身体障害者及び知的障害者が就業することが困難であると認められる職種が相当の割合を占める業種について定められた率を乗じて得た数)を除いた労働者数である。
注2:3A欄の「重度身体障害者及び重度知的障害者」については法律上、1人を2人に相当するものとしており、E欄の計を算出するに当たりダブルカウントを行い、D欄の「重度以外の身体障害者及び知的障害者並びに精神障害者である短時間労働者」については法律上、1人を0.5人に相当するものとしており、E欄の計を算出するに当たり0.5カウントとしている。ただし、精神障害者である短時間労働者であっても、以下の注4に該当するものについては、1人とカウントしている。
注3:A、C欄は1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者であり、B、D欄は1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者である。
注4:C欄の精神障害者には、精神障害者である短時間労働者であって、次のいずれかに該当する者を含む。
1 2015年6月2日以降に採用された者であること
2 2015年6月2日より前に採用された者で、同日以後に精神障害者保健福祉手帳を取得した者であること
注5:D欄の精神障害者である短時間労働者とは、精神障害者である短時間労働者のうち、注4に該当しない者である。
注6:F欄の「うち新規雇用分」は、2017年6月2日から2018年6月1日までの1年間に新規に雇い入れられた障害者数である。
注7:( )内は2017年6月1日現在の数値である。なお、精神障害者は2006年4月1日から実雇用率に算定されることとなった。
資料:厚生労働省「平成30年障害者雇用状況の集計結果」

2 国・地方公共団体の状況(図表2-7・2-8)

国の機関(法定雇用率2.5%)に在職している障害者の割合、勤務している障害者数はそれぞれ1.22%、3,902.5人であった。

また、都道府県の機関(法定雇用率2.5%)は2.44%、8,244.5人であり、市町村の機関(法定雇用率2.5%)は2.38%、27,145.5人であった。

さらに、都道府県等の教育委員会(法定雇用率2.4%)は1.90%、12,607.5人であった。

図表2-7 国・地方公共団体における障害者の在籍状況
1 法定雇用率2.5%が適用される国、地方公共団体(2018年6月1日現在)
2 法定雇用率2.4%が適用される都道府県等の教育委員会(2018年6月1日現在)
注1:各表の1欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数」とは、職員総数から除外職員数及び除外率相当職員数(旧除外職員が職員総数に占める割合を元に設定した除外率を乗じて得た数)を除いた職員数である。
注2:各表の2欄の「障害者の数」とは、身体障害者、知的障害者及び精神障害者の計であり、短時間労働者以外の重度身体障害者及び重度知的障害者については法律上、1人を2人に相当するものとしてダブルカウントを行い、重度以外の身体障害者及び知的障害者並びに精神障害者である短時間勤務職員については法律上、1人を0.5人に相当するものとして0.5カウントとしている。
ただし、精神障害者である短時間勤務職員であっても、次のいずれかに該当する者については、1人とカウントしている。
1 2015年6月2日以降に採用された者であること
2 2015年6月2日より前に採用された者で、同日以後に精神障害者保健福祉手帳を取得した者であること
注3:法定雇用率2.4%が適用される機関とは、都道府県の教育委員会及び一定の市町村の教育委員会である。
注4:( )内は、2017年6月1日現在の数値(2018年10月22日公表の再点検結果及びその後の訂正を反映したもの)である。なお、精神障害者は2006年4月1日から実雇用率に算定されることとなった。
資料:厚生労働省「平成30年国の機関等における障害者雇用状況の集計結果」
図表2-8 国の機関ごとの障害者の在籍状況
(2018年6月1日現在)
注1:1欄の「法定雇用障害者数の算定の基礎となる職員数」とは、職員総数から除外職員数及び除外率相当職員数(旧除外職員が職員総数に占める割合を元に設定した除外率を乗じて得た数)を除いた職員数である。
注2:2欄の「障害者の数」とは、身体障害者数、知的障害者数及び精神障害者数の計であり、短時間勤務職員以外の重度身体障害者及び重度知的障害者については、法律上、1人を2人に相当するものとしてダブルカウントとしている。
また、短時間勤務職員である重度身体障害者及び重度知的障害者については1人を1カウントとしている。
さらに、重度以外の身体障害者及び知的障害者並びに精神障害者である短時間勤務職員については、法律上、1人を0.5人に相当するものとして0.5カウントとしている。ただし、短時間勤務職員である精神障害者であって、2015年6月2日以降に採用された者又は2015年6月2日より前に採用され、同日以後に精神障害者保健福祉手帳を取得した者は、1人1カウントとしている。
注3:4欄の「不足数」とは、1欄の職員数に法定雇用率を乗じて得た数(1未満の端数切り捨て)から2欄の障害者の数を減じて得た数であり、これが0.0となることをもって法定雇用率達成となる。
したがって、実雇用率が法定雇用率を下回っていても、不足数が0.0となることがあり、この場合、法定雇用率達成となる。
注4:注4の省庁は、特例承認を受けている。特例承認とは、省庁及び当該省庁におかれる外局の申請に基づき、厚生労働大臣の承認を受けた場合に、当該省庁におかれる外局に勤務する職員を当該省庁に勤務する職員とみなすものである。
【特例承認一覧】
省庁 総務省 文部科学省 経済産業省
外局等 消防庁 文化庁、スポーツ庁 中小企業庁、資源エネルギー庁
注5:運輸安全委員会においては、2018年12月1日現在において、障害者の数0.5人、実雇用率2.56%、不足数0.0人となっている。
資料:厚生労働省「平成30年障害者雇用状況の集計結果」

イ ハローワークの職業紹介状況(図表2-9・2-10)

2017年度のハローワークを通じた就職件数は、2016年度を上回る97,814件(前年度比4.9%増)であった。このうち、身体に障害のある人は26,756件(前年度比0.7%減)、知的障害のある人は20,987件(前年度比3.2%増)、精神障害のある人は45,064件(前年度比8.9%増)、その他の障害のある人(発達障害、難病、高次脳機能障害などのある人)は5,007件(前年度比9.3%増)となり、精神障害のある人の就職件数が大幅に増加した。

また、新規求職申込件数は202,143件(前年度比5.4%増)となり、このうち、身体に障害のある人は60,533件(前年度比0.2%減)、知的障害のある人は35,742件(前年度比4.4%増)、精神障害のある人は93,701件(前年度比9.0%増)、その他の障害のある人は12,167件(前年度比10.2%増)であり、前年度同様に精神障害のある人やその他の障害のある人の申込件数が大きく増加していることがわかる。

図表2-9 ハローワークにおける障害者の職業紹介状況
(件、人、%、%ポイント)
資料:厚生労働省「障害者の職業紹介状況等」
図表2-10 ハローワークにおける障害者の職業紹介件数(2017年度)
資料:厚生労働省「障害者の職業紹介状況等」

(2)障害のある人の雇用対策について

ア 障害のある人の雇用対策の基本的枠組み

障害者施策の基本理念である、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現のためには、職業を通じた社会参加が重要である。この考え方の下に障害のある人の雇用対策の各施策を推進している。

具体的には、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)(以下「障害者雇用促進法」という。)や同法に基づく障害者雇用対策基本方針(平成30年厚生労働省告示第178号)等を踏まえ、障害のある人、一人一人がその能力を最大限発揮して働くことができるよう、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな対策を講じている。

イ 障害者雇用率制度及び法定雇用率の達成に向けた指導

1 障害者雇用率制度

(ア)障害者雇用率制度

障害者雇用促進法では、民間企業等に対し、一定の割合(障害者雇用率)以上の障害のある人の雇用を義務づけている。障害者雇用率は、企業の社会連帯の理念に基づき、身体障害者、知的障害者又は精神障害者に一般労働者と同じ水準の雇用の場を、各事業者の平等な負担の下に確保することを目的として設定している。1960年の制度創設時、民間企業の障害者雇用率は努力義務として事務的事業所1.3%、現場的事業所1.1%であった。その後、1976年に障害者雇用率制度を義務化し、1988年、1998年、2013年及び2018年に障害者雇用率を改正している。2018年4月からは、新たに精神障害者が雇用義務の対象となり、これを踏まえて、障害者雇用率が算定されることに伴い、民間企業の障害者雇用率は2.2%となった(2021年4月までに、さらに0.1%引き上げが行われる)。なお、国等の公的機関については、率先垂範すべき立場にあることから、民間企業を上回る2.5%(都道府県等の教育委員会は2.4%)としている(民間企業と同様に、2021年4月までに、さらに0.1%引き上げが行われる)。

(イ)特例子会社制度等の特例措置

事業主が障害のある人の雇用に特別の配慮をした子会社(特例子会社)を設立した場合には、一定の要件の下でこの特例子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されている者とみなして、雇用している障害者の割合(以下「実雇用率」という。)を算定できる特例措置(特例子会社制度)を設けている。特例子会社制度は、障害のある人の特性に配慮した仕事の確保・職場環境の整備が容易となり、これにより障害のある人の能力を十分に引き出すことができるなど、事業主及び障害のある人双方にメリットがあると考えられる。2018年6月1日現在で486社を特例子会社として認定している。

また、特例子会社を持つ親会社については、関係する他の子会社も含め、企業グループ全体での実雇用率の算定を可能としている。

さらに、特例子会社がない場合も、一定の要件を満たす企業グループとして認定を受けたものについては、企業グループ全体で実雇用率を通算できる「企業グループ算定特例」を設けている。

2 法定雇用率の達成に向けた指導の一層の促進

障害者雇用率制度の履行を確保するため、ハローワークにおいて、法定雇用率未達成企業に対する指導を行っている。

(ア)民間企業等に対する指導

実雇用率の著しく低い民間企業に対しては、ハローワークが障害のある人の雇入れに関する2年間(2012年以降。それ以前は3年間)の計画の作成を命じ、当該計画に基づいて障害のある人の雇用を進めるよう継続的な指導を実施している。また、雇入れ計画を作成したものの、障害のある人の雇用が進んでいない企業に対しては、雇入れ計画の適正な実施に関する勧告を行い、一連の指導にもかかわらず改善がみられない企業については、企業名を公表している。

雇入れ計画を作成していた企業のうち、計画終期で一定の改善が見られなかった企業に対し企業名公表を前提とした特別指導を行っている。

(イ)国・地方公共団体に対する指導等

国及び地方公共団体の機関については、民間企業に率先垂範して障害のある人の雇入れを行うべき立場にあり、全ての公的機関における毎年6月1日現在の雇用状況を発表している。また、未達成である機関については、障害のある人の採用に関する計画を作成しなければならず、その計画が適正に実施されていない場合には、厚生労働省は国及び地方公共団体の各機関の任命権者に対し、計画が適正に実施されるよう勧告を行っている。

3 国の行政機関等における障害者雇用状況報告の不適切計上

(ア)経緯

国及び地方公共団体の機関(法律の規定としては任命権者)は、毎年、6月1日現在の障害のある職員の任免に関する状況を、厚生労働大臣に対して通報しなければならないものとされている。この通報に基づいて集計された、2017年6月1日現在の障害のある職員の任免に関する状況については、民間企業における障害のある人の雇用の状況と併せ、「平成29年障害者雇用状況の集計結果」として、2017年12月12日に公表していた。

2017年に厚生労働省が各機関から通報を受け、同年12月までに集計し公表した際には、国の行政機関においては、全体で、障害のある職員の数は6,867.5人、実雇用率は2.49%に達し、各機関ごとにみても、33機関中1機関を除いて法定雇用率を達成しているものとされていた。さらに、未達成であった1機関についても2017年度末までに達成に至ったことが報告されていた。

2018年5月以降、各機関からの通報について、障害のある人の範囲の確認が適切に実施されていない疑いが生じたことから、同年6月20日に、厚生労働省から各機関に対し、2017年6月1日現在の状況の通報内容に関して、通報の対象となる障害のある人の範囲について再点検を行うよう依頼し、改めて提出された通報について取りまとめ、同年8月28日に公表した(9月21日及び10月22日当該再点検結果の訂正を公表)。

再点検の結果、2017年12月に公表された数値と比較すると、国の行政機関全体として、障害のある職員の数が3,445.5人減少して3,422.0人、2.49%であった実雇用率が1.18%となった。また、各機関の、法定雇用率を達成するために必要な障害のある職員の不足数の合計は、2.0人から3,478.5人に拡大した。法定雇用率を達成していない機関は、1機関から28機関となった。

なお、立法機関及び司法機関、地方公共団体、さらには独立行政法人等においても、2017年6月1日現在の障害のある職員の任免に関する状況の通報内容について再点検が行われ、それぞれ結果を公表している。

(イ)政府としての対応

このように、多数の国の機関と地方公共団体で法定雇用率を達成していない状況であったことが明らかになったことから、政府においては、政府一体として今般の事態に対応するため、2018年8月28日、「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」(議長:内閣官房長官)を設置することとした。

閣僚会議の下に「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」(議長:厚生労働大臣)を設置し、以下の事項について検討を進めてきた。

・今般の事態の検証とチェック機能の強化

・法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組

・国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大

・公務員の任用面での対応

また、事案の実態や原因を明らかにするため、2018年9月7日、連絡会議の下に、弁護士や行政監察、障害者施策に関する有識者等の第三者によって構成される「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会」(委員長:松井巖氏(弁護士、元福岡高検検事長))を設置し、検証を行った。

同検証委員会は、2017年6月1日現在の障害者任免状況通報において不適切に障害のある人として計上された3,700人全てについて、書面(調査票)による調査を行うとともに、33の国の行政機関の人事担当課及び障害者雇用促進制度を所管する厚生労働省(職業安定局)に対してヒアリング調査を行い、2018年10月22日に調査結果を関係府省連絡会議に報告した。

検証委員会の報告書においては、厚生労働省(職業安定局)の問題と各行政機関側の問題とがあいまって、大規模な不適切計上が長年にわたって継続するに至ったものと言わざるを得ないと指摘されている。

厚生労働省(職業安定局)の問題として、国の行政機関における障害のある人の雇用の実態に対する関心の低さが根本的な問題であり、民間事業主に対する指導に重点が置かれ、国の行政機関で適切に対象となる障害のある人が雇用されているかの実態把握の努力をしなかったこと、制度改正等を踏まえた障害のある人の範囲や確認方法等についての周知等に不手際があったことなどが指摘されている。

他方、各行政機関側における今般の事案の基本的な構図として、組織として障害のある人の雇用に対する意識が低く、ガバナンスが著しく欠如している中で、担当者が法定雇用率を達成させようとするあまり、恣意的に解釈された基準により、例えば既存職員の中から対象となる障害のある人を選定する等の不適切な実務慣行を継続させてきたことにあるとの心証を強く形成するに至った旨が明記されている。

検証委員会における検証を行う一方で、関係府省連絡会議においては、公務部門における障害のある人の活躍の場の拡大に向け、障害者団体等からのヒアリングを行い、また、障害のある人の代表や労働者代表・使用者代表も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会においても、事態についての審議を行った。それらの議論や検証委員会における検証も踏まえ、閣僚会議として、2018年10月23日、公務部門における障害者雇用に関する基本方針を策定し、公表した。

この基本方針においては、政府としての今後の取組について、以下の(1)~(5)のとおりとされている。また、その取組状況について、閣僚会議等政府一体となって推進する体制の下でフォローアップを行うこととされている。

1)今般の事態の検証とチェック機能の強化

○今般の事態の検証

「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会」による検証結果について、真摯に受け止め、今般の事態について深く反省し、再発防止に向けて必要な対策を講じていく。

○再発防止のための対策

・厚生労働省における取組として、

1各府省向けに手引きを作成し、障害者の任用状況に関する通報等の実務や再発防止のための取組に係る留意事項を示す

2各府省に対する説明会を毎年実施する

3通報に関する「チェックシート」を各府省に配布し、各府省によるチェック状況を確認する

などを実施していく。

・また、各府省においては

1府省全体で障害者雇用を推進していくための体制を構築し、取組状況のフォローアップを実施

2厚生労働省の示す手引きに従って、通報対象となる障害者の名簿を作成し、関係書類を保存

3実地確認・ヒアリングによる内部点検の実施や、複数の職員によるチェック等の体制強化

などを実施していく。

2)法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組

○法定雇用率を達成していない府省においては、2019年末までの障害者採用計画を策定するとともに、障害者雇用を推進していくために必要な府省内の体制整備、採用活動及び職場定着等に関する具体的な計画を策定する。

○厚生労働省においても、

・障害者雇用に精通したアドバイザーを選任し、各府省が専門的な助言を受けることができる体制の整備

・ハローワークにおける積極的な職業紹介

などにより各府省の取組を最大限支援していく。

3)国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大

○障害者が活躍しやすい職場づくりの推進として、

・障害者雇用の推進に関する実務責任者の配置

・働く障害者向けの相談窓口の配置

・個々の障害者のサポートをする支援者の配置

・障害者の作業環境を整えるための機器の導入・設備改善

・早出遅出勤務の特例の設定、フレックスタイム制の柔軟化、休憩時間の弾力的な設定

などにより、必要な職場環境の整備を行う。

4)公務員の任用面での対応等

〇障害者が希望や能力に応じて公務部門で働くことができるよう、任用面での対応として、

・障害者を対象とした新たな常勤採用の枠組みの導入

・非常勤職員として勤務した後、選考を経て常勤職員となることを可能とするステップアップの枠組みの導入

・非常勤職員の雇用の安定確保等に関する運用指針の策定

 などの対応を講じる。

5)今後に向けて

基本方針に基づく取組状況については、閣僚会議等政府一体となって推進する体制の下においてフォローアップを行い、今般の事態の再発防止及び障害者の活躍の場の拡大に向けた取組を着実に推進していく。

基本方針に基づき、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成と、障害のある人が活躍できる場の拡大に向け、政府一体となって取り組んできた。

また、基本方針においては、国の行政機関等における障害のある人の任免状況に関する、厚生労働大臣によるチェック機能の強化について、法的整備を視野に入れた検討を行うこととされており、このため、障害のある人の団体も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会において、今後の障害のある人の雇用対策の在り方について検討を進め、2019年2月に民間企業における障害のある人の雇用の一層の促進に関する措置も含めた意見書をとりまとめた。そして、意見書を踏まえて、2019年3月19日に、障害のある人の活躍の場の拡大に関する措置や国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置を講ずることを内容とする障害者雇用促進法の改正法案を第198回国会に提出した。

加えて、公務部門における障害のある人の雇用の取組が、名実ともに民間企業に率先するものとなるよう、改正法案の国会への提出と併せて、2019年3月19日の閣僚会議において、公務部門において障害のある人の雇用を推進するために必要となる政府としての取組をとりまとめた。その内容は、1障害者の採用・定着支援等、2対象障害者の不適切計上に対する是正のための勧告、3各府省等の障害者雇用に係る責任体制の明確化、4各府省等の法定雇用率未達成の場合の予算面での対応についてである。

さらに、公務部門における対応に留まらず、社会全体として、障害のある人が希望や能力を活かして活躍できることが極めて重要である。そのために、障害者雇用率制度の実績に直接反映される雇用の量的側面だけではなく、「希望や特性に応じて、安心して、安定的に働き続けることができる」といった意味での「雇用の質」にも着目しつつ、障害のある人の雇用の促進に着実に取り組むとともに、障害のある人の職業的自立を支援する施策全般において、今後さらなる充実を図っていく(この他、障害のある人の職業的自立を支援するための総合的支援施策の推進については、「2.総合的支援施策の推進」参照。)。

/厚生労働省
第2章第2節 1.障害のある人の雇用の場の拡大
TOPICS
公務部門における障害のある人の活躍の場の拡大

障害のある人も含めて、誰もがその能力を存分に発揮できる一億総活躍社会を創り上げることが重要であり、これまで、障害のある人の雇用促進は、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)(以下「障害者雇用促進法」という。)に基づき対策の充実が図られてきた。

障害者雇用促進法の下、国及び地方公共団体の機関も事業主として、障害のある人の雇用の確保や安定を図る責務を有しており、同法に基づき、各機関は、毎年、6月1日現在の障害のある職員の任免に関する状況を、厚生労働大臣に対して通報している。

2018年5月以降、各機関からの通報について、障害のある人の範囲の確認が適切に実施されていない疑いが生じたことから、厚生労働省において再点検を行ったところ、法定雇用率を満たしているとされていた多くの機関において、法定雇用率を満たしていなかったことが明らかとなった(国の行政機関については2018年8月28日に再点検結果を公表)。

このため、政府においては、2018年8月28日「公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議」(議長:内閣官房長官)を設置するとともに、その下に「公務部門における障害者雇用に関する関係府省連絡会議」(議長:厚生労働大臣)を設置し、政府一体となって今般の事態を受けた取組を検討してきた。

また、事案の実態や原因を明らかにするために、連絡会議の下に、弁護士や行政監察、障害者施策に関する有識者等の第三者から構成される「国の行政機関における障害者雇用に係る事案に関する検証委員会」(委員長:松井巖氏(弁護士、元福岡高検検事長))を設置し、検証を行った。

このほか、連絡会議において公務部門における障害のある人の活躍の場の拡大に向けた障害者団体等からのヒアリングを行うなどし、それらの議論や検証委員会における検証も踏まえ、閣僚会議として、2018年10月23日、公務部門における障害者雇用に関する基本方針を策定し、公表した。

基本方針においては、1今般の事態の検証とチェック機能の強化、2法定雇用率の速やかな達成に向けた計画的な取組、3国・地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大、4公務員の任用面での対応等について、政府としての今後の取組をまとめるとともに、その取組状況について、閣僚会議等政府一体となって推進する体制の下でフォローアップを行うこととされている。基本方針に基づき、再発防止はもとより、法定雇用率の速やかな達成と、障害のある人が活躍できる場の拡大に向け、政府一体となって取り組んできた。

また、基本方針において、厚生労働大臣による国の行政機関等における障害のある人の任免状況に関するチェック機能の強化について、法的整備を視野に入れた検討を行うこととされていることも踏まえ、国及び地方公共団体における障害のある人の雇用状況についての的確な把握等を行うための措置を講ずること等を内容とする障害者雇用促進法の改正法案を第198回国会に提出した。

加えて、公務部門における障害者雇用の取組が、名実ともに民間企業に率先するものとなるよう、改正法案の国会への提出と併せて、2019年3月19日の閣僚会議において、公務部門において障害のある人の雇用を推進するために必要となる政府としての取組をとりまとめた。

こうした取組を通じ、障害のある人の就職促進、職場定着などを官民問わず進展させ、障害のある人が希望や能力を活かして活躍できる場を拡大していく。

障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案の概要
障害者雇用をめぐる現状・課題と対応(改正法案の概要)

ウ 障害者雇用納付金制度(図表2-11)

障害者雇用促進法は、障害者雇用率制度に加え、障害のある人の雇用に伴う事業主の経済的負担を調整するとともに、障害のある人の雇用を容易にし、社会全体として障害のある人の雇用水準を引き上げるため、障害者雇用納付金制度を設けている。この制度では、障害者雇用率未達成の民間企業(常用雇用労働者数100人超)から納付金を徴収するとともに、一定水準を超えて障害のある人を雇用している民間企業に対して、障害者雇用調整金、報奨金を支給している。

このほか、障害のある人を雇い入れるために施設、設備の改善等を行う事業主等に対する助成金の支給や在宅就業障害者に仕事を発注する事業主に対する在宅就業障害者特例調整金等の支給を行っている。

図表2-11
障害者雇用納付金制度について
資料:厚生労働省

エ 職業リハビリテーションの実施

障害者雇用促進法において、職業リハビリテーションとは、「障害者に対して職業指導、職業訓練、職業紹介その他この法律に定める措置を講じ、その職業生活における自立を図ること」(同法第2条第7号)としている。これに基づき、障害のある人が職業を通じて社会参加できるよう、ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの機関を中心に障害のある人が希望や能力、適性に応じた職場に就き、それを継続し、それにおいて向上することができるようにするための就労に関するサービスを実施している。

オ 助成金等による企業支援や普及啓発活動

国では、民間企業が無理なく、かつ積極的に障害のある人を雇用できるよう、障害のある人を雇用した場合などに助成金を支給している。

例えば、身体に障害のある人や知的障害のある人、精神障害のある人を継続して雇用する労働者として雇い入れる民間企業に対して助成する「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」や、障害特性に応じた雇用管理や雇用形態の見直し等の措置を実施する企業に対して助成する「障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)」、障害のある人を雇い入れたり、継続して雇用するために必要な職場の環境整備等を行った場合に費用の一部を助成する障害者雇用納付金制度に基づく助成金等を支給している。

また、2018年度から、障害のある人の雇用義務の対象であるものの障害のある人を1人も雇用していない民間企業等を対象に、ハローワーク等が中心となって就労支援機関等と連携した「障害者雇用推進チーム」を設置し、民間企業ごとの状況やニーズ等に合わせて採用に向けた準備から職場定着まで一貫した支援を行っている。

このほか、民間企業等が積極的に障害のある人の雇用を進めるためには、障害のある人の雇用管理に関する先進的な事例等を普及啓発する必要がある。そのため、各種マニュアル等を発行し、民間企業等への配布等を通じて障害のある人の雇用の啓発を行っている。2017年度からは、一般労働者を対象とした「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」を開催し、職場における精神・発達障害のある人を支援する環境づくりに取り組んでいる。

また、厚生労働省では、毎年9月の「障害者雇用支援月間」に障害のある人を積極的に多数雇用している事業所、障害のある人の雇用の促進と職業の安定に著しく貢献した団体又は個人、職業人として模範的な業績をあげている勤労障害者に対し、厚生労働大臣表彰を行い、障害のある人の職業的自立の意欲を喚起するとともに、障害のある人の雇用に対する国民の関心と理解を一層深めることを目指している。2018年度には21の障害者雇用優良事業所、23名の優秀勤労障害者の表彰を行った。

カ 税制上の優遇措置(図表2-12)

障害のある人を雇用する民間企業に対し、税制上の各種の特例措置を講じている。障害のある人の一層の雇用促進につながるよう、2019年度税制改正では、障害のある人を多数雇用する事業主が事業用施設等を取得した場合の不動産取得税の減額措置及び固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限の2年延長を行った。

キ 障害者差別禁止と合理的配慮の提供

雇用分野において障害があることを理由とした差別を禁止し、過重な負担とならない限り、合理的配慮の提供を事業主に義務付けている。

このため、障害者差別の禁止及び合理的配慮の提供義務に関するリーフレットや合理的配慮に係る事例集等を作成・配布して周知・啓発に努めるとともに、全国の都道府県労働局・ハローワークにおいて事業主・障害のある人からの相談に応じ、必要な場合は事業主に助言・指導等を行っているほか、都道府県労働局長や障害者雇用調停会議による紛争解決の援助を行っている。

図表2-12 障害者雇用に係る税制上の優遇措置
事項 内容
機械等の割増
償却措置
(法人税、所得税)
障害者を雇用し、次のいずれかの要件を満たす場合、その事業年度(その年)又はその前5年以内に開始した各事業年度(各年)において取得、製作、建設した機械装置等のうち、障害者が労働に従事する事業所にあるものについては、普通償却限度額の24%(工場用建物等については32%)の割増償却ができる。
1障害者雇用割合が50%以上※1
2雇用障害者数が20人以上※1であり、かつ、障害者雇用割合が25%以上※1
320人以上※2の障害者を雇用し、かつそのうち重度障害者※3の割合が55%以上※2
(障害者雇用率を達成しているものに限る。)
※1 ダブルカウントあり(短時間以外の重度障害者は1人を2人と、重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人とカウント)
※2 ダブルカウントなし(短時間労働者は1人を0.5人とカウント)
※3 重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者
助成金に係る
課税の特例措置
(法人税、所得税)
国や地方公共団体の補助金、納付金及び障害者雇用納付金制度に基づく助成金については、助成金のうち固定資産の取得又は改良に充てた部分の金額に相当する金額の範囲内で、圧縮記帳による損金算入(法人税)又は総収入金額不算入(所得税)とすることができる。
事業所税の
軽減措置
事業所税の従業者割については、課税標準としての従業者給与総額から障害者の給与分を控除し、また、障害者を10人以上雇用し、かつ、その雇用割合が50%以上である事業所であって、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金等の支給に係る施設又は設備に係るものについては、事業所税の資産割に係る課税標準の算定につき、当該事業所床面積の2分の1を控除するものとする。
不動産取得税の
軽減措置
障害者を20人以上雇用し、かつ、その雇用割合が50%以上の事業所の事業主が、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金等を受けて事業用施設(作業の用に供するものに限る)を取得した場合において、その者が当該施設の取得の日から引き続き3年以上当該施設を当該事業所の事業の用に供したときは、当該施設の取得に対して課する不動産取得税については当該税額から価格の10分の1に相当する額に税率を乗じて得た額を減額するものとする。
固定資産税の
軽減措置
障害者を20人以上雇用し、かつ、その雇用割合が50%以上の事業所の事業主が、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金等を受けて取得した事業用の家屋(作業の用に供するもののうち、障害者の雇用割合に応じた部分に限る)に対して課する固定資産税の課税標準は、取得後5年間に限り、当該家屋の課税標準となるべき価格の6分の1を減額した額とする。
資料:厚生労働省
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