第5章 日々の暮らしの基盤づくり 第1節 7
第1節 生活安定のための施策
7.サービスの質の向上
(1)障害福祉人材の処遇改善
障害福祉サービス等利用者の障害種別ごとの特性や重度化・高齢化に応じたきめ細かな支援が可能となるよう、障害特性に応じた専門性を持った人材の確保策を講じていく必要がある。
このため、2012年度の報酬改定において、「福祉・介護職員処遇改善加算」を創設し、2015年度の報酬改定において、職員1人当たり月額平均2.7万円相当の処遇改善を行ったことに加え、2016年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」等に基づき、2017年度の報酬改定において、競合他産業との賃金差がなくなるよう、職員のキャリアアップの仕組みを構築した事業所について職員1人当たり月額平均1万円相当の処遇改善を行ってきたところである。
また、2017年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」に基づき、2019年10月の報酬改定において、経験・技能のある職員に重点化しつつ、障害福祉人材の更なる処遇改善を行った。
さらに、 2021年度の報酬改定においては、 2019年10月に創設した「福祉・介護職員等特定処遇改善加算」について、 事業者が活用しやすい仕組みとする観点から、 福祉・介護職員間の配分ルールを柔軟化する見直しを行った。
厚生労働省では、2018年度から「共生社会等に関する基本理念等普及啓発事業」を実施している。
この事業は、2016年7月に神奈川県相模原市の障害者支援施設で発生した殺傷事件(※)を踏まえ、「障害者基本法」及び「障害者総合支援法」の共通の目的である「全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ため、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念」等について、障害福祉従事者等が改めて学び、それを実践につなげていくことを目的とした研修を実施している。
共生社会等に関する基本理念等の普及啓発に向けた広報のため、2020年度は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からプログラムを見直し、感染防止対策を施し定員規模を縮小したうえで「共生社会フォーラム」を全国4か所で開催し、また通常プログラムの研修会のみを実施する形とした「福祉職等研修会」を4か所で開催した。
厚生労働省としては、障害福祉従事者等が、共生社会の理念を理解し、障害者やその家族の意思を尊重しながら必要な支援を行うことができるよう、今後も研修の実施等を進めていくこととしている。
※2016年7月26日未明、神奈川県相模原市の障害者支援施設「津久井やまゆり園」に元施設職員の男が侵入し、多数の入所者等を刃物で刺し、19人が死亡、26人が負傷した事件。
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表現活動(千葉会場)
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基調講演「かけがえのないいのちの発信~福祉の思想の伝え方~」(千葉会場)
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グループワーク研修(中堅者)の様子(兵庫会場)
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グループワーク研修(学生・新任者)の様子(千葉会場)
(2)第三者評価事業
利用者に質の高いサービスを提供する取組を継続的に行うための目安として、2000年6月に「障害者・児施設のサービス共通評価基準」を作成し、障害者・児施設等による自己評価を実施している。
第三者評価事業については、事業の更なる普及・定着を図るため、2004年5月に、福祉サービス共通の第三者評価基準ガイドライン、第三者評価事業推進体制等について示した指針を各都道府県に通知し、2018年3月に評価の質の向上と一層の受審促進が図られるよう見直した。これを受け、2020年3月には、障害者・児福祉サービス固有の状況を踏まえた評価が適切に実施されるよう、障害者・児福祉サービスに係る共通評価基準及び内容評価基準等についても、見直しを行っている。
(3)障害福祉サービス等情報公表制度
障害福祉サービス等を提供する事業所数が大幅に増加する中、利用者が個々のニーズに応じて良質なサービスを選択できるようにするとともに、事業者によるサービスの質の向上が重要な課題となっている。
このため、2016年の「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」の一部改正に伴い、施設や事業者が事業の内容等を都道府県知事へ報告し、報告を受けた都道府県知事がこれを公表する仕組みである「障害福祉サービス等情報公表制度」を創設し、2018年9月末より、独立行政法人福祉医療機構において、障害福祉サービス等事業所情報(https://www.wam.go.jp/sfkohyoout/)を公表している。