付録7 障害者基本計画(第5次)
(令和5(2023)年度からの5年間)
(令和5年3月14日閣議決定)
はじめに
(我が国におけるこれまでの主な取組)
我が国における障害者施策に関する基本法としての位置付けを有する法律を遡ると、昭和45(1970)年に制定された心身障害者対策基本法(昭和45年法律第84号)に端を発することとなる。同法は、心身障害者対策の総合的推進を図ることを目的として、心身障害者の福祉に関する施策の基本となる事項等を定めており、心身障害があるため長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者を「心身障害者」と位置付けていた。
平成5(1993)年、同法は障害者基本法(以下「基本法」という。)に改正され、従来の心身障害者に加え、精神障害により長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者についても、新たに「障害者」と位置付けられることとなった。さらに、法の目的も、障害者の自立とあらゆる分野の活動への参加の促進に改められた。
その後、平成16(2004)年の改正では、障害者差別等をしてはならない旨が基本的理念として新たに規定されるとともに、中央障害者施策推進協議会が創設された。さらに、多くの障害当事者の参画の下で検討が進められた平成23(2011)年の改正では、平成19(2007)年に我が国が署名した障害者の権利に関する条約(以下「条約」という。)の批准に向けた国内法整備の一環として、条約が採用する、いわゆる「社会モデル」の考え方や「合理的配慮」の概念が新たに取り入れられるとともに、国内において障害者基本計画の実施状況を監視し、勧告を行う機関として、障害者政策委員会が新たに設置された。
この基本法に基づき、平成25(2013)年9月には「障害者基本計画(第3次)」、平成30(2018)年3月には「障害者基本計画(第5次)」(以下「本基本計画」という。)の前身に当たる「障害者基本計画(第4次)」(以下「旧基本計画」という。)が閣議決定された。旧基本計画は、我が国が条約を批准した後に初めて策定される障害者基本計画として条約との整合性確保に留意しつつ、各分野に共通する横断的視点として、「条約の理念の尊重及び整合性の確保」、「社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上」、「当事者本位の総合的かつ分野横断的な支援」、「障害特性等に配慮したきめ細かい支援」、「障害のある女性、子供及び高齢者の複合的困難に配慮したきめ細かい支援」及び「PDCA1サイクル等を通じた実効性のある取組の推進」の6点が掲げられるとともに、11の施策分野ごとに基本的考え方や具体的な取組が示されており、本基本計画の策定に至るまでの間、障害者政策委員会における実施状況の監視を経ながら、それぞれの施策分野で着実に取組が進められてきた。
また、令和4(2022)年5月には、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を総合的に推進することを目的として、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(令和4年法律第50号。以下「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」という。)が制定され、障害者基本計画の策定や変更に当たっては同法の規定の趣旨を踏まえることとされた。
(障害者政策委員会における検討)
旧基本計画の計画期間が令和4(2022)年度をもって満了することを踏まえ、障害者政策委員会において、令和3(2021)年11月以降、本基本計画の策定に向けた精力的な調査審議が行われてきた。
本基本計画の調査審議が開始されるまでの間、障害者施策の分野では、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「2020年東京オリンピック・パラリンピック」という。)の開催、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)の改正(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第56号。以下「障害者差別解消法改正法」という。)の成立・公布)等の大きな動きが見られた。また、令和4(2022)年8月には、条約の締約国として、国際連合(以下「国連」という。)ジュネーブ本部にて、障害者の権利に関する委員会(以下「障害者権利委員会」という。)による我が国政府報告の審査が実施され、同年9月には同委員会の見解及び勧告を含めた総括所見が採択・公表された。審査に際しては、「条約の実施を監視するための枠組み」である障害者政策委員会も、障害者権利委員会に対し我が国の取組の進捗状況や今後の課題に係る見解を提出するとともに、政府報告の審査にも参加し、我が国の施策の実施状況に係る説明を行った。
障害者政策委員会における調査審議においては、こうした動向も踏まえつつ、障害者施策の大きな方向性や取り組むべき政策課題等について、大局的・俯瞰(ふかん)的見地より議論が行われた。その結果、計12回にわたる審議を経て、令和4(2022)年12月、「障害者基本計画(第5次)の策定に向けた障害者政策委員会意見」が取りまとめられた。
(本基本計画の策定)
政府においては、障害者政策委員会の意見に即して本基本計画の案を作成し、案文に対する意見募集(以下「パブリックコメント」という。)を経て、令和5(2023)年3月に本基本計画を閣議決定した。
(本基本計画を通じて実現を目指すべき社会)
基本法第1条は、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することが同法の目的である旨を規定している。
本基本計画は、同法の目的の達成はもちろんのこと、次に掲げる社会の実現にも寄与することが期待されている。
・「一人ひとりの命の重さは障害の有無によって少しも変わることはない」という当たり前の価値観を国民全体で共有できる共生社会
・「誰一人取り残さない」というSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)の理念とも軌を一にした、障害の有無にかかわらず国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う社会
・ デジタルの活用により、国民一人一人の特性やニーズ、希望に即したサービスを選ぶことができ、障害の有無にかかわらず多様な幸せが実現できる社会
・ 障害者施策が国民の安全・安心や社会経済の進歩につながるしなやかで豊かな社会
本基本計画に基づく施策を策定し、及び実施するに当たっては、こうした目指すべき社会の姿を常に念頭に置くとともに、その実現に向けた観点から不断に取組を進めていくことが重要である。
Ⅰ 障害者基本計画(第5次)について
1.位置付け
本基本計画は、基本法第11条第1項の規定に基づき、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定されるものであり、政府が講ずる障害者のための施策の最も基本的な計画として位置付けられる。
また、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法第9条第1項の規定に基づき、障害者基本計画の策定や変更に当たっては同法の規定の趣旨を踏まえることとされている。
2.対象期間
本基本計画は、令和5(2023)年度からの5年間を対象とする。
3.構成
本基本計画は、この「Ⅰ 障害者基本計画(第5次)について」、「Ⅱ 基本的な考え方」及び「Ⅲ 各分野における障害者施策の基本的な方向」で構成される。
「Ⅱ 基本的な考え方」では、本基本計画全体の基本理念及び基本原則を示すとともに、各分野に共通する横断的視点や、施策の円滑な推進に向けた考え方を示している。
「Ⅲ 各分野における障害者施策の基本的な方向」では、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を11の分野に整理し、それぞれの分野について、本基本計画の対象期間に政府が講ずる施策の基本的な方向を示している。
4.条約との関係
(1)条約の概要
①経緯
平成18(2006)年6月に条約が採択される前から、国連総会では、障害者の人権を促進及び保護すべく、障害者の権利に関する宣言を採択するなど、様々な取組が行われてきた。
しかしながら、こうした取組にもかかわらず、依然として障害者が人権侵害に直面する状況が指摘されてきたところであり、こうした事態を改善すべく、国際社会において法的拘束力を有する新たな文書を作成する必要性が強く認識されるようになった。
このため、平成13(2001)年12月、第56回国連総会において、障害者の権利及び尊厳を保護し、及び促進するための包括的かつ総合的な国際条約を検討するための条約起草委員会が設置された。
その後、平成14(2002)年から計8回にわたり開催された条約起草委員会を経て、平成18(2006)年12月、条約が国連総会で採択され、平成20(2008)年5月、効力発生の要件が整い発効した。
②主な内容
条約は、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障害者の権利の実現のための措置等について定めており、障害者に関する初の国際条約に当たる。その主な内容は次のとおりである。
・一般原則(障害者の尊厳、自律及び自立の尊重、無差別、社会への完全かつ効果的な参加及び包容等)
・一般的義務(合理的配慮の実施を怠ることを含め、障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進すること等)
・ 障害者の権利実現のための措置(身体の自由、拷問の禁止、表現の自由等の自由権的権利及び教育、労働等の社会権的権利について締約国が採るべき措置等を規定)
・条約の実施のための仕組み(条約の実施及び監視のための国内の枠組みの設置、障害者権利委員会における各締約国からの報告の検討)
③我が国の関連するこれまでの取組
我が国は、条約が国連総会で採択された翌年に当たる平成19(2007)年9月に条約に署名した。一方、条約の批准については、国内の障害当事者等から、批准に先立ち国内法の整備等を進めるべきとの意見が寄せられた。
我が国は、これらの意見も踏まえ、基本法の改正(平成23(2011)年8月)、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)の改正(平成24(2012)年6月。このとき、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「障害者総合支援法」という。)に改称)、障害者差別解消法の制定(平成25(2013)年6月)、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号。以下「障害者雇用促進法」という。)の改正(平成25(2013)年6月)など、様々な国内法の整備を進めてきた。
こうした国内法整備を経て、平成25(2013)年11月に衆議院、12月に参議院で共に全会一致で締結が承認され、平成26(2014)年2月、条約が我が国について効力を生じた。
条約は、締約国に対し、「条約に基づく義務を履行するために採った措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告」の定期的な提出を求めており、我が国は、条約が我が国について効力を生じてから平成28(2016)年2月までの期間を対象とした政府報告を取りまとめ、同年6月、国連事務総長を通じて障害者権利委員会に提出した。
政府報告には、我が国において条約第33条に規定する「条約の実施を監視するための枠組み」の機能を担う障害者政策委員会のコメントを反映させるとともに、パブリックコメントを実施した。また、付属文書として、政府報告の提出を視野に入れて障害者政策委員会が実施した障害者基本計画(第3次)の実施状況の監視の結果を取りまとめた文書(「議論の整理」)を添付した。また、令和4(2022)年8月には、条約の締約国として、国連ジュネーブ本部にて、障害者権利委員会による我が国政府報告の審査が実施され、同年9月には同委員会の見解及び勧告を含めた総括所見が採択・公表された。審査に際しては、「条約の実施を監視するための枠組み」である障害者政策委員会も、障害者権利委員会に対し我が国の取組の進捗状況や今後の課題に係る見解を提出するとともに、政府報告の審査にも参加し、我が国の施策の実施状況に係る説明を行った。
(2)条約の基本的な考え方
①「障害」の捉え方
従来の「障害」の捉え方は、心身の機能の障害のみに起因するとする、いわゆる「医学モデル」の考え方を反映したものであった。一方、条約では、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、心身の機能の障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとする、いわゆる「社会モデル」の考え方が貫かれている。
②平等・無差別及び合理的配慮
条約は、第1条において「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進すること」を目的と定めている。
また、第2条では、障害者の人権と基本的自由を確保するための「必要かつ適当な変更及び調整」であって、「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」を「合理的配慮」と定義し、第5条で、締約国に対し、障害に基づくあらゆる差別を禁止することや、合理的配慮の提供が確保されるための適当な措置を採ることを求めている。
さらに、第4条では、締約国に対し、障害者に関する問題についての意思決定過程において、障害者と緊密に協議し、障害者を積極的に関与させることを求めている。
③実施に関する仕組み
条約は、第33条において、自国の法律上・行政上の制度に従って「条約の実施を監視するための枠組み」を自国内に設置することを締約国に求めている。我が国では、障害者、障害者の自立・社会参加に関する事業の従事者及び学識経験者から構成される障害者政策委員会が設置されており、障害者基本計画の実施状況の監視を通じて条約の実施状況を監視している。この「条約の実施を監視するための枠組み」は、これまでの人権条約には見られない新たな規定である。
また、第35条において、締約国に対し、「条約に基づく義務を履行するために採った措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告」を、国連事務総長を経由して障害者権利委員会に提出することを求めている。この報告の作成に当たっては、公開された透明性のある過程を踏むことを検討するとともに、障害者の関与について十分な考慮を払うことが求められている。
障害者権利委員会は、締約国から選ばれた18名の専門家から構成され、締約国による報告を検討し、提案や勧告を行うことが定められている。この仕組みにより、締約国は条約の実施について国際的に審査されることになる。
(3)条約との整合性の確保
本基本計画では、障害者施策を、条約との整合性を一層高めつつ強力に進めていくために、「Ⅲ 各分野における障害者施策の基本的な方向」で掲げる各分野と、条約の各条項の対応関係を明示するとともに、条約の各条項の順序におおむね沿った構成としている。これにより、本基本計画の実施状況と、条約の国内実施の状況とを対応させつつ、本基本計画に基づく取組をより効果的かつ適切に進めるとともに、本基本計画の実施状況の監視を通じた障害者政策委員会による条約の実施状況の監視の円滑化に資することが期待される。
また、本基本計画に掲げる施策のPDCAサイクルの中で、条約の実施状況に関し令和4(2022)年9月に採択・公表された障害者権利委員会による総括所見等も踏まえて議論が行われ、本基本計画が策定されたことも考慮するなど、本基本計画と条約に係る取組の適切な連携に努めていく。
Ⅱ 基本的な考え方
1.基本理念
条約は、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的として、障害者の権利の実現のための措置等について定めている。
こうした条約の理念に即して改正された基本法第1条に規定されているように、障害者施策は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるという理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指して講じられる必要がある。
本基本計画では、このような社会の実現に向け、障害者を、必要な支援を受けながら、自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体として捉え、障害者が自らの能力を最大限発揮し自己実現できるよう支援するとともに、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的な障壁を除去するため、政府が取り組むべき障害者施策の基本的な方向を定めるものとする。
2.基本原則
障害者を、必要な支援を受けながら自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体として捉えた上で、政府は、条約の理念に即して改正された次に掲げる基本法の各基本原則にのっとり、当該理念の実現に向けた障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する。
(地域社会における共生等)
基本法第3条において、共生社会の実現は、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提とする旨が規定されていること、また、条約も「全ての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進すること」を目的としていることに鑑みれば、本基本計画に関しても、全ての障害者が、障害者でない者と平等に、基本的人権を享有する個人として、その尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる機会の適切な確保・拡大を図ることを旨として障害者施策を実施する必要がある。
・社会を構成する一員として社会、経済、文化その他のあらゆる分野の活動に参加する機会の確保
・障害者の地域生活への移行を促進するための基盤整備を進め、地域社会において他の人々と共生することを妨げられず、どこで誰と生活するかについて選択する機会の確保
・言語(手話を含む。以下同じ。)その他の意思疎通のための手段について選択する機会の確保
・情報の取得又は利用のための手段について選択する機会の拡大
(差別の禁止)
基本法第4条において、障害者差別その他の障害者に対する権利利益の侵害行為が禁止されるとともに、合理的配慮の提供が求められていること、また、条約第5条においても、障害に基づくあらゆる差別を禁止するとともに、合理的配慮の提供が確保されるための適当な措置を採ることが求められていること、さらに、障害者差別解消法においてこうした趣旨が具体化されていることに鑑みれば、障害者差別その他の権利利益を侵害する行為を禁止するとともに、社会的障壁を除去するための合理的配慮が提供される必要がある。
我が国においては、平成28(2016)年4月から障害者差別解消法が施行された後、検討規定に基づく所要の見直しが行われ、令和3(2021)年6月に障害者差別解消法改正法が公布された。障害者差別解消法改正法では、事業者に対し合理的配慮の提供を義務付けるとともに、行政機関相互間の連携の強化を図るほか、障害を理由とする差別を解消するための支援措置が強化され、その施行期日は、公布の日(令和3(2021)年6月4日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日(令和6(2024)年4月1日)とされている。障害者差別解消法改正法の施行に向けては、政府全体の方針として改定された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(令和5年3月14日閣議決定)を受けて、各省庁において所管分野を対象とした対応指針の見直しや、各地方自治体における相談体制の整備を始めとした様々な対応が必要となる。これらの取組や国民全体への周知啓発といった施行前に必要となる準備を十分に行うことが求められる。
(国際的協調)
基本法第5条において、共生社会の実現は、国際的協調の下に図られなければならない旨が規定されていること、また、条約第32条においても、国際協力及びその促進の重要性について規定されていること、さらに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策が国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑みれば、国際的な協調の下で共生社会の実現が図られる必要がある。
我が国においては、条約を批准するとともに、政府報告を障害者権利委員会に提出するなど、これまでも国際的な枠組みとの連携を深めてきたところであるが、今後、こうした連携をより一層推進し、国際的協調の理念を体現していくことが求められる。
3.社会情勢の変化
(1)2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシー継承
令和3(2021)年夏、東京は夏季パラリンピック競技大会が同一都市で2度開催された史上初めての地となった。同大会は共生社会の実現に向けて社会の在り方を大きく変える絶好の機会であり、この機を逃さぬよう、政府においては、共生社会の実現に向けた大きな二つの柱として、「心のバリアフリー」2及び「ユニバーサルデザインの街づくり」を「ユニバーサルデザイン2020行動計画」(平成29年2月20日ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定。以下「行動計画」という。)として取りまとめるとともに、平成30(2018)年12月には、障害者の視点を施策に反映させる更なる枠組みとして、ユニバーサルデザイン2020評価会議を創設し、同会議を通じて行動計画の実行の加速化を図ってきた。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、2020年東京オリンピック・パラリンピックは史上初めて1年延期された大会となり、大会を取り巻く環境も当初想定されていた形から大きく変わることとなったが、ユニバーサルデザイン2020評価会議における総括でも述べられているとおり、障害当事者の意見を取り入れた新国立競技場の整備、2度にわたる高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号。以下「バリアフリー法」という。)の改正、新しい学習指導要領における「心のバリアフリー」に関する記載の充実、一定規模以上のホテルにおけるバリアフリー客室の1%以上の整備義務化など、行動計画の取組を通じて「心のバリアフリー」と「ユニバーサルデザインの街づくり」は大きく進展した。一方で、地方部における障害当事者の参画、人口減少や技術革新による非対面サービスの広がりに起因する格差の拡大への対応や情報アクセシビリティの確保等といった、引き続き取り組むべき課題や新たな課題も指摘されている。
2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機とした機運を一過性のものにすることなく、日本全国に広げていくことが重要であり、これまでの取組が大会のレガシーとして大きく花開くよう、本基本計画においても引き続き横断的視点において「共生社会の実現に資する取組の推進」の一つとして社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上を掲げ、具体的施策にも反映するとともに、「重点的に理解促進等を図る事項」として「心のバリアフリー」の理解促進に継続して取り組む旨等を明記し、その実施状況を障害者政策委員会において評価・監視すること等を通じて、世界に誇れる共生社会の実現に向けた取組を推進していくこととする。
(2)新型コロナウイルス感染症拡大とその対応
令和2(2020)年1月以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は国民生活に様々な影響を及ぼしており、特に、障害者を含め脆弱な立場に置かれている人々が大きな影響を受けている。感染拡大防止措置の影響による地域の交流・見守りの場、相談支援を受ける機会の喪失等によって、社会に内在していた孤独・孤立の問題も顕在化・深刻化しており、障害者やその家族等に対しても、「孤独・孤立対策の重点計画」(令和4年12月26日孤独・孤立対策推進会議決定)を踏まえた支援が必要となっている。また、障害者へのサービス提供を担う事業者側でも、経営に影響が出るなどの課題が生じている。さらに、感染症拡大防止のため身体的距離の確保やマスク着用等の「新しい生活様式」の実践が求められる中、オンライン活用の拡大等がアクセシビリティ向上等に寄与する一方で、コミュニケーション方法の制約等が生じ情報取得等に困難を抱える障害者もいる。
このような感染症拡大時を始め、地震・台風等の災害発生時といった非常時には、障害者を含め脆弱な立場にある人々がより深刻な影響を受けることから、本基本計画に掲げる各種施策についても、非常時に障害者が受ける影響やニーズの違いに留意しながら取組を進めることが求められる。
(3)持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現(SDGsの視点)
平成27(2015)年9月、国連サミットにおいてSDGsが全会一致で採択された。SDGsは「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指す世界共通の目標であり、令和12(2030)年を達成年限として、17のゴールと169のターゲットから構成されるものである。我が国ではSDGsの採択を受け、平成28(2016)年12月にSDGs推進のための中長期戦略である「SDGs実施指針」(平成28年12月22日SDGs推進本部決定)が策定され、令和元(2019)年12月には同指針の改定が行われた。同指針では、「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」を始めとした8つの優先課題と課題に取り組むための主要原則が掲げられている。
「誰一人取り残さない」というSDGsの理念は、共生社会の実現に向け、政府が取り組むべき障害者施策の基本的な方向を定める旨を基本理念として掲げる本基本計画においても、その重要性に何ら変わるところはない。障害者施策の推進に当たっては、SDGs推進の取組とも軌を一にし、障害者のみならず行政機関等・事業者といった様々な関係者が共生社会の実現という共通の目標の実現に向け、協力して取組を推進することが求められる。
4.各分野に共通する横断的視点
本基本計画に記載する各分野の施策については、前述の基本原則や社会情勢の変化を踏まえつつ、以下の視点に留意しながら推進するものとする。
(1)条約の理念の尊重及び整合性の確保
障害者に係る施策、制度、事業等を策定し、及び実施するに当たっては、条約の理念を尊重するとともに、条約との整合性を確保することが重要である。
「私たちのことを、私たち抜きに決めないで3」の考え方の下、「インクルージョン4」を推進する観点から、障害者を施策の客体ではなく、必要な支援を受けながら、自らの決定に基づき社会に参加する主体として捉えるとともに、障害者施策の検討及び評価に当たっては、障害者が政策決定過程に参画することとし、障害者の意見を施策に反映させることが求められる。その際、障害者の社会参加は、障害者の自立にもつながることに留意する。
また、障害者の政策決定過程への参画を促進する観点から、国の審議会等の委員5の選任に当たっては、障害者の委員の選任に配慮する。特に、障害者施策を審議する国の審議会等における障害者の委員については、障害種別及び性別にも配慮して選任を行うものとする。また、障害者である委員に対する障害特性に応じた適切な情報保障6その他の合理的配慮を行う。
あわせて、障害者本人の自己決定を尊重する観点から、障害者本人が適切に意思決定を行い、その意思を表明することができるよう、相談の実施等による意思決定の支援とともに、言語その他の意思疎通のための手段を選択する機会の提供を促進する。
(2)共生社会の実現に資する取組の推進
①社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティ向上の視点の採用
条約が採用している、いわゆる「社会モデル」の考え方に即して改正された基本法第2条においても、障害者を「障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義しており、障害者が経験する困難や制限が障害者個人の障害と社会的な要因の双方に起因するという視点が示されている。
こうした視点に照らして、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している事物、制度、慣行、観念等の社会的障壁の除去を進めることにより、障害者の社会への参加を実質的なものとし、障害の有無にかかわらず、その能力を伸長し、最大限に発揮しながら安心して生活できるようにする必要がある。加えて、社会的障壁の除去を進めるに当たっては、障害者の参加を確保し、障害者の意見を施策に反映させるとともに、障害者・行政機関・事業者・地域住民といった様々な関係者が、障害のある人と障害のない人が同じ地域社会でともに暮らし、学び、働く共生社会(インクルーシブな社会)という共通の目標の実現に向け、協力して取組を進めていくことが重要である。
そのためには、バリアフリー法に基づく公共施設等のバリアフリー化や障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上、意思表示・コミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援等による環境整備と、障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供を両輪として障害者のアクセシビリティ7向上を図ることが重要であり、社会的障壁の除去に向けた各種の取組をより強力に推進していくため、社会のあらゆる場面でアクセシビリティ向上の視点を取り入れていく。
また、障害を理由とする差別は、障害者の自立又は社会参加に深刻な悪影響を与えるものであり、社会のあらゆる場面においてその解消に向けた取組が行われる必要がある。このため、障害者差別解消法及び障害者雇用促進法に基づき、地方公共団体や障害者団体を始めとする様々な主体の取組との連携を図りつつ、事業者・事業主や国民一般の幅広い理解の下、障害者差別の解消に向けた取組を積極的に推進する。
あわせて、社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上を推進する観点から、積極的な広報・啓発活動に努めるとともに、企業・市民団体等の取組を積極的に支援する。
さらに、審議会等の開催時を含め、情報を公開する際や、命令、計画等に関するパブリックコメントを行う際には、障害特性に配慮した適切な情報保障を実施するなど、障害者がその必要とする情報を十分に取得できるようアクセシビリティの向上が求められることに留意する。
②アクセシビリティ向上に資する新技術の利活用の推進
近年、画像認識、音声認識、文字認識等のAI技術が進展し、自分に合った方法(音声、ジェスチャー、視線の動き等)でデジタル機器・サービスが利用可能となっている。こうした新たな技術を用いた機器やサービスは、アクセシビリティとの親和性が高いという特徴があり、社会的障壁の除去の観点から、障害者への移動の支援や情報の提供、意思疎通、意思決定支援等様々な場面でアクセシビリティに配慮したICTを始めとする新たな技術の利活用について検討を行い、積極的な導入を推進する。
「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」(令和2年12月25日閣議決定)においても、多様な国民がニーズに合ったサービスを選択でき、国民一人一人の幸福に資する「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を進めることとされており、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和4年6月7日閣議決定)の定めるところにより、国、地方公共団体、企業、国民等が皆で支え合うデジタル共生社会の実現を図るため、デジタル機器・サービスに不慣れな障害者の支援も含めデジタル機器・サービスに係るアクセシビリティ環境の整備を促進するための各種取組を推進することとする。
また、アクセシビリティに配慮した機器・サービス等の政府調達を一層推進するため、WTO政府調達協定等の適用を受ける調達等8を行うに当たっては、WTO政府調達協定等9の定めるところにより、適当な場合には、アクセシビリティに関する国際規格が存在するときは当該国際規格10に基づいて技術仕様を定める。
さらに、アクセシビリティの向上に資する技術等を含め、中小・ベンチャー企業が行う先進的な技術等については、市場創出が大きな課題となるため、市場創出の呼び水としての初期需要の確保等の観点から、国が需要側の視点に立った施策の充実を図る必要がある。このため、アクセシビリティの向上に資する新技術を含め、公共部門における新技術を用いた製品の調達に当たっては、「科学技術・イノベーション基本計画」(令和3年3月26日閣議決定)の定めるところにより、日本版SBIR制度11を活用して開発された製品等を政府が調達し、初期需要を創出するなどの必要な措置を講ずる。
なお、新たな技術を用いた機器やサービスの利活用に当たっては、当該機器・サービスが新たな社会的障壁となる可能性があることにも留意することとする。
あわせて、遺伝子診断、再生医療等に見られるように、科学技術の社会実装に関し、倫理的・法制度的な課題について社会としての意思決定が必要となる事例が増加しつつあることにも留意する。
(3)当事者本位の総合的かつ分野横断的な支援
障害者の尊厳、自律及び自立の尊重を目指す条約の趣旨を踏まえ、障害者が多様なライフステージに対応した適切な支援を受けられるよう、教育、文化芸術、スポーツ、福祉、医療、雇用等の各分野の有機的な連携の下、施策を総合的に展開し、切れ目のない支援を行う。
支援に当たっては、基本法第2条の障害者の定義を踏まえ、障害者施策が、障害者が日常生活又は社会生活で直面する困難に着目して講じられる必要があること、障害者の支援は障害者が直面するその時々の困難の解消だけに着目するのではなく、障害者の自立と社会参加の支援という観点に立って行われる必要があること、障害者の家族やヤングケアラーを含む介助者など関係者への支援も重要であることに留意する。
また、複数の分野にまたがる課題については、各分野の枠のみにとらわれることなく、関係する機関、制度等の必要な連携を図ることを通じて総合的かつ横断的に対応していく必要がある。
(4)障害特性等に配慮したきめ細かい支援
障害者一人一人の固有の尊厳を重視する条約の理念を踏まえ、障害者施策は、障害特性、障害の状態、生活実態等に応じた障害者の個別的な支援の必要性を踏まえて策定及び実施する。その際、外見からは分かりにくい障害が持つ特有の事情を考慮するとともに、状態が変動する障害は、症状が多様化しがちであり、一般に、障害の程度を適切に把握することが難しい点に留意する必要がある。
また、知的障害、精神障害、発達障害、難病、高次脳機能障害12、盲ろう、重症心身障害その他の重複障害等について、障害特性等の社会全体の更なる理解の促進に向けた広報・啓発活動を行うとともに、施策の充実を図る必要がある。
特に発達障害、難病、高次脳機能障害については、社会全体の理解促進、家族支援、福祉・労働・教育・医療分野の取組等を総合的に進めていくことが重要である。
(5)障害のある女性、こども及び高齢者に配慮した取組の推進
条約第6条、第7条等の趣旨を踏まえ、障害のある女性を始め、複合的に困難な状況に置かれた障害者に対するきめ細かい配慮が求められていることを踏まえて障害者施策を策定し、及び実施する必要がある。
①障害のある女性
障害のある女性は、それぞれの障害の種別ごとの特性、状態により様々な支援が必要であることに加えて、女性であることにより、いわゆる複合的差別など更に困難な状況に置かれている場合があることから、こうした点も念頭に置いた障害者施策の策定・実施には政策決定過程への当事者参画が重要である。このため、「第5次男女共同参画基本計画」(令和2年12月25日閣議決定)の定めるところにより、女性の参画拡大に向けた取組を行うとともに、障害のある女性の政策決定過程への参画拡大に向け、前述のとおり障害者施策を審議する国の審議会等における障害者の委員の選定に当たっては、性別のバランスに配慮しつつ、障害のある女性委員の人数・比率について定期的に調査・公表を行う。あわせて、団体推薦による障害のある審議会等委員について、各団体等に対して、団体からの委員の推薦に当たって性別に配慮するよう格段の協力を要請することとする。
②障害のあるこども
「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」(令和3年12月21日閣議決定)においては、こども13に関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えて(「こどもまんなか社会」)、こどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもの権利を保障し、こどもを誰一人取り残さず、健やかな成長を後押しすることとされている。障害のあるこどもに対しても、地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進する観点等を踏まえた、こどもと家族に対する妊娠期からの切れ目のない継続支援を早期から行うことが必要であり、この場合、成人の障害者とは異なる支援を行う必要性があることに留意することとする。
③障害のある高齢者
障害のある高齢者は、障害に加えて高齢であることにより、更に困難な状況に置かれている場合があることから、こうした点も念頭に置き、また、条約との整合性に留意して障害者施策の策定・実施が求められる。
(6)PDCAサイクル等を通じた実効性のある取組の推進
「確かな根拠に基づく政策立案14」の実現に向けた必要なデータ収集及び統計の充実を図るとともに、PDCAサイクルの構築、着実な実行及びPDCAサイクル等を通じた施策の不断の見直しを図ることについては、条約第31条(統計及び資料の収集)、第33条(国内における実施及び監視)等の趣旨を踏まえ、旧基本計画においても各府省に対し取組を進めるよう求めてきたが、当事者参画の観点等において分野ごとに進捗の差がみられる。
障害者施策の更なる推進のためには、障害者政策委員会が政府全体の見地から本基本計画の実施状況を監視するのみならず、各府省において取り組む個々の施策に対しても、国の審議会等及び懇談会等行政運営上の会合への障害者委員の参画や、障害者やその家族を始めとする関係者への意見聴取等を通じた当事者参画の推進に留意しつつ、適切な評価・監視がなされることが重要である。障害者政策委員会及び各府省においては、次に掲げるところにより、各施策の進捗状況の点検をより充実させるとともに、更なる取組の推進を図るよう努めることとする。
①企画(Plan)
「確かな根拠に基づく政策立案」を実現する観点から、障害当事者や障害当事者を取り巻く社会環境の実態把握を適切に行うため、障害者の性別、年齢、障害種別等の観点に留意しつつ必要なデータ収集や統計の充実を行うことが重要である。
このため、各分野における障害者施策の一義的な責任を負うこととなる各府省は、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(令和2年6月2日閣議決定)において施策上のニーズ等を踏まえた障害者統計の充実が求められていることも踏まえつつ、障害者の状況や障害者施策等に関する情報・データの適切な収集・評価の在り方等を検討するとともに、本基本計画に掲げる施策について具体的な成果目標を設定し、より効果的な施策を企画できるよう努める。
本基本計画の着実な推進を図るために策定する各分野における成果目標は、それぞれの分野における具体的施策を、他の分野の施策との連携の下、総合的に実施することにより、政府全体で達成を目指す水準であり、地方公共団体や民間団体等の政府以外の機関・団体等が成果目標に係る項目に直接取り組む場合においては、成果目標は、政府がこれらの機関・団体等に働きかける際に、政府として達成を目指す水準として位置付けられる。本基本計画に掲げる施策を計画的に推進していく観点からは、施策の特性等に応じ、各府省において、施策の実施に当たり成果目標の達成に向けた年度ごとの目標設定等に取り組むことが望ましい。
②実施(Do)
各府省は、障害の多様性にも留意しつつ、障害者やその家族を始めとする関係者の意見を聴き、本基本計画に基づく取組の計画的な実施に努める。また、障害者施策を適切に講ずるため、障害者の実態調査等を通じて、障害者の状況や障害者施策等に関する情報・データの収集・分析を行うとともに、障害者の性別、年齢、障害種別等の観点に留意しつつ、その充実を図る。
また、効果的かつ効率的に施策を推進する観点から、高齢者施策、医療関係施策、こども・子育て関係施策、男女共同参画施策等、障害者施策に関係する他の施策・計画等との整合性を確保し、総合的な施策の展開を図る。
③評価(Check)
障害者施策の評価に当たっては、障害者が政策決定過程に参画することとし、障害の多様性にも留意しながら、障害者の意見を施策に反映させることが求められる。また、当事者参画にも留意しつつ、障害者施策の推進に係る取組の実施状況の継続的な評価・監視を行うことが重要である。
こうした考え方の下、各府省は、数値等に基づき取組の実施状況及びその効果の把握・評価を行う。また、障害者施策の実施に当たり課題や支障が生じている場合は、その円滑な解消に資するよう、具体的な要因について必要な分析を行う。
また、障害者政策委員会は、基本法に基づき、政府全体の見地から本基本計画の実施状況の評価・監視を行う。
④見直し(Act)
各府省は、障害者施策の推進に係る取組の実施状況やその効果に係る評価結果を踏まえ、不断に取組の見直しを行う。また、必要があると認められる場合には、所要の法制的な整備を含め検討を行う。
障害者政策委員会においては、基本法に基づき、政府全体の見地から本基本計画の実施状況を評価・監視し、必要に応じて内閣総理大臣又は内閣総理大臣を通じて関係各大臣に本基本計画の実施に関して勧告を行う。さらに、「条約の実施を監視するための枠組み」としての立場から、本基本計画の実施状況の監視を通じて条約の実施状況の監視を行う。また、障害者政策委員会の円滑かつ適切な運営のため、事務局機能の充実を図る。
社会情勢の変化等により本基本計画の変更の必要性が生じた場合、あるいは本基本計画の推進及び評価を通じて本基本計画の変更の必要性が生じた場合には、計画期間の途中であっても、政府は本基本計画を柔軟に見直すこととする。
また、成果目標のうち、計画期間の途中で目標の期限が到来するものについては、本基本計画を通じて実現を目指すべき社会の姿に照らしつつ、当該目標の達成状況等も踏まえて、連続性の確保に留意しながら新たな成果目標の設定を行うなど、必要な対応を行う。
障害者の実態調査等を通じて得られた知見については、本基本計画の推進状況の評価及び評価を踏まえた取組の見直しへの活用に努める。
5.施策の円滑な推進
(1)連携・協力の確保
政府の障害者施策を一体的に推進し、総合的な企画立案及び横断的な調整を確保するため、各府省相互間の緊密な連携・協力を図る。
また、本基本計画は政府の障害者施策の基本的方向を定めるものであるが、障害者の地域移行を推進し、障害者が必要なときに必要な場所で、地域の実情に即した適切な支援を受けられるようにするなど、実効性ある形で取組を実施していくためには、地方公共団体との連携・協力が必要不可欠である。このため、適切な役割分担の下、地方公共団体との連携・協力体制の一層の強化を図るとともに、地方公共団体において優良かつ先進的な取組やモデルを実施している場合は、その知見もいかしつつ施策を展開する。
さらに、SDGs推進の取組と軌を一にしつつ障害者の自立と社会参加に関する取組を社会全体で進めるためには、「SDGs実施指針」に掲げられる包摂性・参画型の原則も踏まえ、障害者団体のみならず、専門職による職能団体、企業、経済団体等の関係者も一体となり全員参加型で施策の推進に取り組むことが重要であり、施策の推進に当たっては、これら関係団体等の協力を得るよう努める。特に、障害者の自立及び社会参加の支援に当たり、障害者団体等の自主的な活動は重要な役割を果たしており、本基本計画の推進に当たっては、これらの団体等との情報共有等の一層の促進を図る必要がある。
また、国際機関、諸外国政府等との連携に努めるとともに、関係行政機関相互の緊密な連携の下、条約の国内実施に十分留意する必要がある。
障害者政策委員会においても、政府の障害者施策の一体的な推進を図る観点から必要があると認められる場合は、他の審議会等との情報共有等を図ることとする。
(2)理解促進・広報啓発に係る取組等の推進
①重点的に理解促進等を図る事項
障害者への偏見や差別意識を社会から払拭し、一人一人の命の重さは障害の有無によって少しも変わることはない、という当たり前の価値観を社会全体で共有し、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるという理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会が実現するよう、国民の理解促進に努める。また、本基本計画の実施を通じて実現を目指す「共生社会」の理念やいわゆる「社会モデル」の考え方について必要な広報啓発を推進するとともに、2020年東京オリンピック・パラリンピック後も「心のバリアフリー」への理解を深めるための取組を継続して進める。
知的障害、精神障害、発達障害、難病、高次脳機能障害、盲ろう、重症心身障害その他の重複障害など、より一層の国民の理解が必要な障害や、外見からは分かりにくい障害について、その障害特性や必要な配慮等に関する理解の促進を図る。
一般国民における、点字、手話、視覚障害者誘導用ブロック、身体障害者補助犬15、障害者用駐車スペース等に対する理解を促進するとともに、その円滑な利活用に必要な配慮等について周知を図る。また、障害者団体等が作成する啓発・周知のためのマーク等について、関連する事業者等の協力の下、国民に対する情報提供を行い、その普及及び理解の促進を図る。
こどもや地域住民等のボランティア活動に対する理解を深め、その活動を支援するよう努めるとともに、企業等の社会貢献活動に対する理解と協力を促進する。
②理解促進等に当たり配慮する事項
障害者施策は幅広い国民の理解を得ながら進めていくことが重要であり、行政はもとより、企業、民間団体、マスメディア等の多様な主体との連携による幅広い広報・啓発活動を計画的かつ効果的に推進する。その際、効果的な情報提供や、国民の意見の反映に努めるとともに、障害当事者以外に対する訴求も重要であることに留意する。
また、地域社会における障害者への理解を促進するため、福祉施設、教育機関等と地域住民等との日常的交流の一層の拡大を図るとともに、NPO法人(特定非営利活動法人)、ボランティア団体等、障害者も含む多様な主体による障害者のための取組を促進するため、必要な活動環境の整備を図る。
国内外の取組等に関する調査研究や先進的な事例の紹介等に努める。その際、障害に係る訳語の統一を図ることが分かりやすさや比較の便宜に資することに留意する。
また、基本法に定められた障害者週間16における各種行事を中心に、一般市民、ボランティア団体、障害者団体など幅広い層の参加による啓発活動を推進する。
障害のあるこどもと障害のないこどもとの相互理解を深めるための活動を一層促進するとともに、障害者に対する理解と認識を深めるための取組を推進する。
Ⅲ 各分野における障害者施策の基本的な方向
1.差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止
【基本的考え方】
社会のあらゆる場面において障害を理由とする差別の解消を進めるため、地方公共団体、障害者団体等の様々な主体の取組との連携を図りつつ、障害者差別解消法の一層の浸透に向けた各種の広報・啓発活動を展開するとともに、事業者や国民一般の幅広い理解の下、環境の整備に係る取組を含め、障害者差別の解消に向けた取組を幅広く実施することにより、障害者差別解消法等の実効性ある施行を図る。
また、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号。以下「障害者虐待防止法」という。)等の適正な運用を通じて障害者虐待を防止するとともに、障害者の権利侵害の防止や被害の救済を図るため、相談・紛争解決体制の充実等に取り組むことにより、障害者の権利擁護のための取組を着実に推進する。
(1)権利擁護の推進、虐待の防止
○ 障害者虐待防止法等に関する積極的な広報・啓発活動を行うとともに、障害者虐待防止法等の適切な運用を通じ、障害児者に対する虐待の相談支援専門員等による未然防止、一時保護に必要な居室の確保及び養護者を含めた家族に対する相談等の支援に取り組む。また、障害福祉サービス事業所等における虐待防止委員会の設置や従事者への虐待の防止のための研修の実施、虐待防止責任者の設置を徹底し、虐待の早期発見や防止に向けて取り組む。[1-(1)-1]
○ 強度行動障害を有する者の支援体制の整備が障害者虐待の防止に重要な関わりがあるとの観点を踏まえつつ、強度行動障害を有する者の支援に関する研修の実施などの支援体制の整備に取り組む。[1-(1)-2]
○ 障害福祉サービスの提供に当たっては、利用者の意向を踏まえ、本人の意思に反した異性介助が行われることがないよう取組を進める。[1-(1)-3]
○ 障害者本人に対する意思決定支援(意思を形成及び表明する段階の支援を含む。)を踏まえた自己決定を尊重する観点から、相談支援専門員やサービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者等に対する研修等を通じた意思決定支援の質の向上や意思決定支援ガイドラインの普及を図るとともに、成年後見制度の適切な利用の促進に向けた取組を進める。[1-(1)-4]
○ 自ら意思を決定すること(意思を形成及び表明する段階を含む。)に支援が必要な障害者等が障害福祉サービス等を適切に利用することができるよう、本人の自己決定を尊重する観点から、相談支援専門員やサービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者等に対する研修等を通じた意思決定支援の質の向上や意思決定支援ガイドラインの普及を図ること等により、意思決定の支援に配慮しつつ、必要な支援等が行われることを推進する。[1-(1)-5]
○ 当事者等により実施される障害者の権利擁護のための取組を支援する。[1-(1)-6]
○ 障害者に対する差別及びその他の権利侵害を防止し、その被害からの救済を図るため、相談・紛争解決等を実施する体制の充実等に取り組むとともに、その利用の促進を図る。[1-(1)-7]
○ 知的障害又は精神障害17により判断能力が不十分な者による成年後見制度の適切な利用を促進するため、必要な経費について助成を行うとともに、成年後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るための研修を行う。あわせて、尊厳のある本人らしい生活の継続や本人の地域社会への参加等へのノーマライゼーションの理念を十分考慮した上で、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う。[1-(1)-8]
○ 都道府県労働局において、使用者による障害者虐待の防止など労働者である障害者の適切な権利保護のため、個別の相談等への丁寧な対応を行うとともに、関係法令の遵守に向けた指導等を行う。[1-(1)-9]
(2)障害を理由とする差別の解消の推進
○ 障害者差別解消法並びに同法に基づく基本方針、対応要領及び対応指針に基づき、障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止や、障害者に対する必要かつ合理的な配慮(合理的配慮)の提供を徹底するなど、障害を理由とする差別の解消に向けて着実に取組を進めるとともに、事業者による合理的配慮の提供を義務付けること等を内容とする障害者差別解消法改正法の円滑な施行に向け、事業者が適切に対応できるよう必要な取組を行う。[1-(2)-1]
○ 障害者差別解消法及び同法に基づく基本方針に基づき、社会的障壁の除去の実施についての合理的配慮を的確に行うため、技術進歩の動向を踏まえつつ、ハード面でのバリアフリー化施策、情報の取得・利用・発信におけるアクセシビリティ向上のための施策、職員に対する研修等の環境の整備の施策を着実に進める。その際、各施策分野の特性を踏まえつつ、当該施策分野における環境の整備に係る具体的な考え方等を指針等において具体化するなど、施策の円滑な実施に配意する。[1-(2)-2]
○ 地域における障害を理由とする差別の解消を推進するため、都道府県とも連携しつつ、地方公共団体における対応要領の策定及び障害者差別解消支援地域協議会の設置等の促進に向けた取組を行うとともに、対応要領の策定状況、障害者差別解消支援地域協議会の設置状況等について把握を行い、取りまとめて公表する。[1-(2)-3]
○ 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を踏まえ、障害者や事業者、都道府県・市区町村等からの相談に対して法令の説明や適切な相談窓口等につなぐ役割を担う国の相談窓口について検討を進め、どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることがないよう取り組む。[1-(2)-4]
○ 障害者差別解消法等の意義や趣旨、求められる取組等について幅広い国民の理解を深めるため、内閣府を中心に、関係省庁、地方公共団体、事業者、障害者団体等の多様な主体との連携により、同法の一層の浸透に向けた各種の広報・啓発活動を展開するとともに、差別事例や合理的配慮の事例等を収集・整理してデータベース化し、ホームページ等を通じて公表するなどの取組を行う。[1-(2)-5]
○ 都道府県労働局及び公共職業安定所(以下「ハローワーク」という。)において、雇用分野における障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供に係る相談・通報等があった場合は、必要に応じて助言、指導、勧告を行うとともに、当事者からの求めに応じ、労働局長による紛争解決援助又は第三者による調停の紛争解決援助を行う。[1-(2)-6]
○ 障害者に対する差別及びその他の権利侵害を防止し、その被害からの救済を図るため、相談・紛争解決等を実施する体制の充実等に取り組むとともに、その利用の促進を図る。[1-(2)-7:再掲]
○ 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)の対象者の社会復帰の促進を図るため、同法対象者に対する差別の解消を進める。[1-(2)-8]
○ 各種の国家資格の取得等において障害者に不利が生じないよう、高等教育機関に対し、入学試験の実施や国家資格試験の受験資格取得に必要な単位の修得に係る試験の実施等において合理的配慮の提供等を促すとともに、国家資格試験の実施等に当たり障害特性に応じた合理的配慮を提供する。また、民間資格の試験を実施する事業者に対しても同様に、試験の実施等に当たっての合理的配慮の提供を促す。[1-(2)-9]
○ 法令上、自署によることを求められている手続を除き、本人の意思確認を適切に実施できる場合に代筆による対応を認めることを促すとともに、銀行や保険会社等の金融機関の職員に対する周知の状況等をフォローするなど、書類の記入が必要な手続におけるアクセシビリティの確保に向けた対応を検討する。[1-(2)-10]
※本基本計画においては、障害者に対する合理的配慮の提供や環境の整備等に関する取組については、分野横断的なものを除き、原則として各分野において掲載している(例えば、行政サービス等の分野における配慮等は5に、教育分野における配慮等は8に、雇用・就業分野における配慮等は9に掲載。)。
2.安全・安心な生活環境の整備
【基本的考え方】
障害者がそれぞれの地域で安全に安心して暮らしていくことができる生活環境の実現を図るため、障害当事者等の意見を踏まえ、障害者が安全に安心して生活できる住環境の整備、障害者が移動しやすい環境の整備、アクセシビリティに配慮した施設等の普及促進、障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進等を通じ、障害者の生活環境における社会的障壁の除去を進め、アクセシビリティの向上を推進する。
(1)住宅の確保
○ 公営住宅を新たに整備する際にはバリアフリー対応を原則とするとともに、既存の公営住宅のバリアフリー化改修を促進し、障害者向けの公共賃貸住宅の供給を推進する。また、障害者に対する優先入居の実施や単身入居を可能とするための取組、保証人の免除などの配慮が地方において行われるよう、福祉部局と住宅部局が連携して障害者に対する取組を進めていくよう地方公共団体に対して周知・情報提供を行っていく。[2-(1)-1]
○ 民間賃貸住宅の空き室や空き家を活用した、障害者等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度等を内容とする住宅セーフティネット制度の活用を推進し、バリアフリー化を含めた住宅の改修、入居者負担の軽減等や居住支援協議会等の居住支援活動等への支援を実施することにより、民間賃貸住宅等への円滑な入居を促進する。[2-(1)-2]
○ 障害者や民間賃貸住宅の賃貸人が行うバリアフリー改修等を促進するとともに、障害者の日常生活上の便宜を図るため、日常生活用具の給付又は貸与及び用具の設置に必要な住宅改修に対する支援を行う。[2-(1)-3]
○ 障害者の地域における居住の場の一つとして、日常生活上の介護や相談援助等を受けながら共同生活するグループホームの整備を促進するとともに、重度障害者にも対応した一層の体制の充実を図る。また、地域で生活する障害者の支援の拠点となる地域生活支援拠点等の整備を図る。こうした取組と合わせて、精神障害者とその家族が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、当事者・家族・保健・医療・福祉・教育等関係者による協議の場及び住まい18の確保支援も含めた地域の基盤整備を推進し、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を推進する。[2-(1)-4]
○ 障害福祉サービス等を利用しながら、障害者が安心して生活できるよう、障害福祉施設等について非常災害時における消防団や近隣住民との連携体制の構築を促進するとともに、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び消防法(昭和23年法律第186号)の基準に適合させるための改修費用や消火設備の設置費用の一部を助成すること等により、防火安全体制の強化を図る。[2-(1)-5]
(2)移動しやすい環境の整備等
○ 駅等の旅客施設における段差解消、ホームドア等の転落防止設備や様々な障害特性を持つ方に対する案内設備等、公共交通移動等円滑化基準に適合した旅客施設や車両等の整備を促進することにより、ハード面における公共交通機関のバリアフリー化を推進する。[2-(2)-1]
○ 交通事業者等における障害者に対する適切な対応の確保に向け、旅客施設や車両等を使用した役務の提供に関する基準の遵守等を目的として、接遇ガイドライン等の普及・啓発やガイドラインを活用した教育訓練の促進を図るなど、「心のバリアフリー」を始めソフト面における公共交通機関のバリアフリー化を推進する。[2-(2)-2]
○ 過疎地域等地方における移動手段の確保や、ドライバー不足への対応等が喫緊の課題であることを踏まえ、高齢者、障害者等の安全快適な移動に資するTSPS(信号情報活用運転支援システム)、ETC2.0等のITS(高度道路交通システム)の研究開発及びサービス展開を実施するとともに、高度自動運転システムの開発や、地方、高齢者、障害のある人等向けの無人自動運転移動サービス実現に取り組む。[2-(2)-3]
(3)アクセシビリティに配慮した施設、製品等の普及促進
○ バリアフリー法に基づき、一定の建築物の新築時等における建築物移動等円滑化基準への適合義務に加え、同法に基づく条例による適合義務付けの対象となる建築物の追加及び規模の引下げ等、地域の実情を踏まえた取組や「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準19」の設計者等への周知を通じ、店舗やホテル、共同住宅等多数の者が利用する建築物のバリアフリー化を促進する。[2-(3)-1]
○ 小規模店舗については、バリアフリー法に基づく条例により小規模建築物に対応した基準を柔軟に設定可能とした20ことを踏まえ、地方公共団体に対して条例の制定を働きかける。さらに、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」に盛り込んだ小規模店舗のバリアフリー設計等に関する考え方・留意点を店舗事業者や設計者に周知し、バリアフリー整備を促進する。また、既存の小規模店舗等のバリアフリー改修に対して支援を行う。[2-(3)-2]
○ 窓口業務を行う官署が入居する官庁施設については、バリアフリー法に基づく建築物移動等円滑化誘導基準に規定された整備水準の確保などによる整備を推進する。[2-(3)-3]
○ 都市公園の整備に当たっては、安全で安心した利用のためバリアフリー法に基づく基準や支援制度により、出入口や園路の段差解消、高齢者や障害者等が利用可能なトイレの設置等を進める。[2-(3)-4]
○ 身近な自然空間である河川の魅力を誰もが享受できるような水辺整備をまちづくりと一体となって進める。[2-(3)-5]
○ 日常生活製品等のユニバーサルデザイン化21に関し、障害者の利用に配慮した製品、設備等の普及のニーズがある場合、高齢者・障害者配慮設計等に関する標準化を推進する。[2-(3)-6]
○ 多様な消費者のアクセシビリティにも配慮しつつ、分かりやすく活用される食品表示の検討を行う。[2-(3)-7]
○ 障害者が安心して商品の購入やサービスを利用できるよう、事業者が電話や電子メール等多様な障害特性に配慮したサポートを適切に提供するよう周知・啓発を行う。[2-(3)-8]
(4)障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進
○ バリアフリー法及びバリアフリー整備目標に基づき、地方部を含めたバリアフリー化の一層の促進、聴覚障害及び知的障害・精神障害・発達障害に係るバリアフリーの進捗状況の見える化、「心のバリアフリー」の推進等、ハード・ソフト両面でのバリアフリー化をより一層推進する。[2-(4)-1]
○ 福祉・医療施設の市街地における適正かつ計画的な立地の推進、公園等との一体的整備の促進、生活拠点の集約化等により、バリアフリーに配慮し、障害者が安心・快適に暮らせるまちづくりを推進する。[2-(4)-2]
○ バリアフリー法に基づき市町村が定める重点整備地区内の旅客施設周辺等の主要な生活関連経路22において、公共交通機関等のバリアフリー化と連携しつつ、幅の広い歩道の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善、無電柱化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等を推進する。[2-(4)-3]
○ 歩道等が設置されていない道路における視覚障害者誘導用ブロックや踏切道における「表面に凹凸のついた誘導表示等」の設置の在り方等について検討する。[2-(4)-4]
○ 特定道路や障害者等の利用がある踏切道において、路面の平滑化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等により安全な歩行空間の確保を図る。また、全方位型警報装置、非常押ボタンの整備、障害物検知装置の高規格化を推進する。[2-(4)-5]
○ 国立公園等においては、優れた自然景観の魅力を利用者の誰もが楽しめるようにする観点から、魅力の本質である自然資源を損なわないよう留意しつつ、主要な利用施設であるビジターセンター、園路、公衆トイレ等のバリアフリー化を実施するとともに、情報提供等のソフト面を含めた取組を推進する。[2-(4)-6]
○ バリアフリー法に基づき市町村が定める重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路において、音響により信号表示の状況を知らせる音響式信号機、歩行者等と車両が通行する時間を分離する歩車分離式信号、歩行者青時間の延長を行うPICS(歩行者等支援情報通信システム)等のバリアフリー対応型信号機、見やすく分かりやすい道路標識等の整備を推進する。[2-(4)-7]
○ バリアフリー法に基づき市町村が定める重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路のうち、道路又は交通の状況に応じ、視覚障害者の移動上の安全性を確保することが特に必要であると認められる部分における音響信号機及びエスコートゾーンの整備を推進する。[2-(4)-8]
○ 障害者が安全に安心して自動車を運転できるよう、信号灯器のLED(発光ダイオード)化、道路標識・道路標示の高輝度化等を推進する。[2-(4)-9]
○ 障害のある人を含む全ての人が安全に安心して道路を通行できるよう、生活道路等において、警察と道路管理者が緊密に連携し、最高速度30km/hの区域規制と物理的デバイスとの適切な組合せにより交通安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し、人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図るとともに、外周幹線道路の交通を円滑化するための交差点改良やエリア進入部におけるハンプや狭さくの設置等によるエリア内への通過車両の抑制対策を推進する。[2-(4)-10]
○ 車椅子使用者用駐車施設やバリアフリートイレ等を始めとした高齢者障害者等用施設等の在り方等についての検討を踏まえ、トイレの機能分散等も含めた施設整備の優良事例等の周知や適正利用推進キャンペーン等を行い、高齢者障害者等用施設等の適正利用を推進する。[2-(4)-11]
○ 高齢者や障害者等も含め、誰もが屋内外でストレスなく自由に活動できるユニバーサル社会の構築に向け、ICTを活用した歩行者移動支援の普及促進を図るため、歩行空間情報等のデータを収集・活用しやすいオープンデータ環境の整備を加速させるとともに、民間事業者等が多様な歩行者移動支援サービスを提供できる環境づくりを推進する。[2-(4)-12]
3.情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実
【基本的考え方】
障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法に基づき、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策を充実させ、障害者が必要な情報に円滑にアクセスすることができるよう、障害者に配慮した情報通信機器・サービス等の企画、開発及び提供の促進や、障害者が利用しやすい放送・出版の普及等の様々な取組を通じて情報アクセシビリティの向上を一層推進する。あわせて、障害者が円滑に意思表示やコミュニケーションを行うことができるよう、意思疎通支援を担う人材の育成・確保やサービスの円滑な利用の促進、支援機器の開発・提供等の取組を通じて意思疎通支援の充実を図る。
(1)情報通信における情報アクセシビリティの向上
○ 障害者の情報通信機器及びサービス等の利用における情報アクセシビリティの確保及び向上・普及を図るため、障害者に配慮した情報通信機器及びサービス等の企画、開発及び提供を促進する。[3-(1)-1]
○ 研究開発やニーズ、ICTの発展等を踏まえつつ、情報アクセシビリティの確保及び向上を促すよう、適切な標準化23を進めるとともに、必要に応じて国際規格提案を行う。また、各府省における情報通信機器等24の調達は、情報アクセシビリティの観点に配慮し、国際規格、日本産業規格への準拠・配慮に関する関係法令に基づいて実施する。特に、WTO政府調達協定等の適用を受ける調達等を行うに当たっては、WTO政府調達協定等の定めるところにより、適当な場合には、アクセシビリティに関する国際規格が存在するときは当該国際規格に基づいて技術仕様を定める。[3-(1)-2]
○ 官民挙げての利用者視点からのアクセシビリティやユーザビリティ確保のためのサービスデザインの取組について、政府機関・地方公共団体等に横展開を図る。[3-(1)-3]
○ 企業等が自社で開発するデジタル機器・サービスが情報アクセシビリティ基準(JIS X 8341シリーズ等)に適合しているかどうかを自己評価するチェックシートである「情報アクセシビリティ自己評価様式」等の普及展開を促進する。また、引き続き、デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインにのっとり、政府情報システムに係る調達において当該様式などを用いて、障害の種類・程度を考慮した確認を求める。[3-(1)-4]
○ 国立研究機関等において障害者の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発を推進する。[3-(1)-5]
○ 障害者に対するICT機器の紹介や貸出、利用に係る相談等を行うICTサポートセンターの設置や、障害者に対しICT機器の操作についての支援を行うパソコンボランティアの養成・派遣等により、障害種別や障害特性を考慮しつつ、障害者のICT機器の利用機会の拡大や活用能力の向上を図る。また、このような取組も含め、関係省庁、地方公共団体、ボランティア団体等と連携し、デジタル機器・サービスに不慣れな方に対するサポートを行う「デジタル推進委員」の取組について、全国津々浦々に展開できるよう国民運動として更なる拡大を図りつつ、地域における相談体制の整備を図る。[3-(1)-6]
○ 公共インフラとしての電話リレーサービスが、国民に広く認知及び理解され、その利活用が推進されるよう関係機関と連携して取組を推進するとともに、利用者ニーズや今後の技術の進展等を踏まえたサービス提供内容の充実を図る。また、銀行や保険会社等の金融機関に対し、顧客に対して電話にて提供されているサービスについては、電話リレーサービスを利用した場合であっても同様に提供されるよう促すとともに、その対応状況をフォローする。[3-(1)-7]
(2)情報提供の充実等
○ 身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律(平成5年法律第54号)に基づく放送事業者等への番組制作費や設備整備費への助成、「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」に基づく放送事業者の取組等の促進により、ローカル局も含め、字幕放送25、解説放送、手話放送等の普及を通じた障害者の円滑な放送の利用を図る。[3-(2)-1]
○ 聴覚障害者に対して、字幕(手話)付き映像ライブラリー等の制作及び貸出し、手話通訳者や要約筆記者の養成・派遣、相談等を行う聴覚障害者情報提供施設について、ICTの発展に伴うニーズの変化も踏まえつつ、その支援を促進する。[3-(2)-2]
○ 身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律に基づく助成等により、民間事業者が行うサービスの提供や技術の研究開発を促進し、障害によって利用が困難なテレビや電話等の通信・放送サービスへのアクセスの改善を図る。[3-(2)-3]
○ 電子出版は、視覚障害、上肢障害、学習障害等により紙の出版物の読書に困難を抱える障害者の出版物の利用の拡大に資すると期待されることから、新たな技術開発の促進や、電子書店、電子図書館、出版社その他の関係事業者への普及啓発等を通じて、アクセシビリティに配慮された電子出版の普及に向けた取組を進めるとともに、今後、これらの取組の一層の促進を図る。また、電子出版物の教育における活用を図る。[3-(2)-4]
○ 心身障害者用低料第三種郵便については、障害者の社会参加に資する観点から、利用の実態等を踏まえながら、引き続き検討する。[3-(2)-5]
○ 「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を踏まえ、デジタル社会推進標準ガイドライン群において多様な障害特性に考慮した内容の充実を図り、障害者等を始めとする誰もがICT機器・サービスにアクセスできるよう環境整備の推進に努める。[3-(2)-6]
(3)意思疎通支援の充実
○ 聴覚、言語機能、音声機能、視覚、盲ろう、失語、知的、発達、高次脳機能、重度の身体などの障害や難病のため意思疎通を図ることに支障がある障害者に対して、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員、失語症者向け意思疎通支援者等の派遣、設置等による支援や点訳、代筆、代読、音声訳等による支援を行うとともに、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員、失語症者向け意思疎通支援者、点訳・音声訳を行う者等の養成研修等の実施や若年層を中心とする人材の確保が促進されるよう、高等教育機関等と連携した人材養成等の取組を進めることにより、意思疎通支援者の育成・確保を図り、コミュニケーション支援を充実させる。[3-(3)-1]
○ 情報やコミュニケーションに関する支援機器を必要とする障害者に対して日常生活用具の給付又は貸与を行うとともに、障害者等と連携してニーズを踏まえた支援機器の開発の促進を図る。[3-(3)-2]
○ 意思疎通に困難を抱える人が自分の意思や要求を的確に伝え、正しく理解してもらうことを支援するための絵記号等の普及及び理解の促進を図る。[3-(3)-3]
(4)行政情報のアクセシビリティの向上
○ 各府省において、行政情報、特に障害者や障害者施策に関する情報提供及び緊急時における情報提供等を行う際には、字幕・音声等の適切な活用や、知的障害者、精神障害者等にも分かりやすい情報の提供を徹底し、多様な障害の特性に応じた配慮を行う。[3-(4)-1]
○ 各府省において、障害者を含む全ての人の利用しやすさに配慮した行政情報の電子的提供の充実に取り組むとともに、ウェブサイト等で情報提供を行うに当たっては、キーボードのみで操作可能な仕様の採用、動画への字幕や音声解説の付与など、最新のウェブアクセシビリティ規格を踏まえ、必要な対応を行う。また、「みんなの公共サイト運用ガイドライン26」について必要な見直しを行うこと等により、公的機関等のウェブアクセシビリティの向上等に向けた取組を促進する。[3-(4)-2]
○ 各府省における行政情報の提供等に当たっては、ICTの利活用も踏まえ、アクセシビリティに配慮した情報提供を行う。[3-(4)-3]
○ 災害発生時若しくは災害が発生するおそれがある場合、又は事故発生時に障害者に対して適切に情報を伝達できるよう、民間事業者、消防機関、都道府県警察等の協力を得つつ、障害特性に配慮した多様な伝達手段や方法による情報伝達の体制や環境の整備を促進する。[3-(4)-4]
○ 政見放送への手話通訳・字幕の付与、点字版、CDや音声コード等による音声版、拡大文字版又はインターネットを通じた候補者情報の提供等、ICTの進展等も踏まえながら、障害特性に応じた選挙等に関する情報提供の充実を図る。[3-(4)-5]
4.防災、防犯等の推進
【基本的考え方】
障害者が地域社会において安全に安心して生活することができるよう、第3回国連防災世界会議27で採択された「仙台防災枠組2015-2030」を踏まえつつ、災害に強い地域づくりを推進するとともに、災害発生時における障害特性に配慮した適切な情報保障や避難支援、福祉避難所28(福祉避難スペース)を含む避難所や応急仮設住宅の確保、福祉・医療サービスの継続等を行うことができるよう、防災や復興に向けた取組を推進する。また、障害者を犯罪被害や消費者被害から守るため、防犯対策や消費者トラブルの防止に向けた取組を推進する。
(1)防災対策の推進
○ 障害者や福祉関係者等の参加及び防災関係部局と福祉関係部局の連携の下での、地域防災計画等の作成、防災訓練の実施等の取組を促進し、災害に強い地域づくりを推進する。[4-(1)-1]
○ 自力避難の困難な障害者等が利用する要配慮者利用施設が立地する土砂災害のおそれのある箇所において、砂防えん堤29等の施設整備及び土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)に基づく基礎調査や区域指定等、ハード・ソフト一体となった土砂災害対策を重点的に推進する。[4-(1)-2]
○ 災害発生時若しくは災害が発生するおそれがある場合、又は事故発生時に障害者に対して適切に情報を伝達できるよう、民間事業者、消防機関、都道府県警察等の協力を得つつ、障害特性に配慮した多様な伝達手段や方法による情報伝達の体制や環境の整備を促進する。[4-(1)-3:再掲]
○ 障害者に対する避難支援などの充実を図るため、福祉や防災などの関係者が連携し、避難確保計画、非常災害対策計画、業務継続計画、個別避難計画等の各種計画の策定や実効性の確保等を促進することにより、当事者参画の下、地域の関係者が協力し、安全な避難先を定めるなど計画策定を通じた災害に強い地域社会づくりにつなげる。[4-(1)-4]
○ 避難所、応急仮設住宅のバリアフリー化を推進するとともに、「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」等を踏まえ、必要な福祉避難所の確保、避難所における障害特性に応じた支援30と合理的配慮、福祉避難所への直接避難等が促進されるよう市町村の取組を促していく。さらに、被災者のニーズに応じて、車椅子利用者も使用できる応急仮設住宅の確保が適切に図られるよう、地域の実情を踏まえつつ、災害救助法(昭和22年法律第118号)に基づく応急救助の実施主体である都道府県の取組を促していく。[4-(1)-5]
○ 災害発生後にも継続して福祉・医療サービスを提供することができるよう、障害者支援施設・医療機関等における災害対策を推進するとともに、福祉避難所の協定など、地域内外の他の社会福祉施設・医療機関・教育機関等との広域的なネットワークの形成に取り組む。[4-(1)-6]
○ 火災や救急事案の発生時に聴覚・言語機能障害者がいつでもどこからでも円滑な緊急通報を行えるよう、全国の消防本部におけるスマートフォン等を活用した音声によらない緊急通報システムの導入を推進する。[4-(1)-7]
○ 水害・土砂災害時に要配慮者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、浸水想定区域や土砂災害警戒区域内の要配慮者利用施設における避難確保計画の作成及び訓練の実施を促進する。[4-(1)-8]
○ 障害等に対応する一人一人の環境やニーズに合った水害ハザードマップの作成を促進する。[4-(1)-9]
○ 障害福祉サービス等を利用しながら、障害者が安心して生活できるよう、障害福祉施設等について非常災害時における消防団や近隣住民との連携体制の構築を促進するとともに、建築基準法、消防法の基準に適合させるための改修費用や消火設備の設置費用の一部を助成すること等により、防火安全体制の強化を図る。[4-(1)-10:再掲]
○ 各地方公共団体における平常時の防災体制や、災害発生後の避難所、応急仮設住宅等において、障害のある女性を含め、防災・復興の取組での女性への配慮を促すため、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」等の内容を踏まえ、情報提供を行う。[4-(1)-11]
○ 災害発生後も精神障害や発達障害など障害の特性により障害者が在宅に留まる場合に、必要となる情報の収集や適切な対応が行えるよう、在宅に留まる障害者への支援方法を紹介しているリーフレットの周知に取り組む。[4-(1)-12]
○ 訪問診療が必要な人工呼吸器使用患者が使用する人工呼吸器が長期停電時においても稼働できるよう、停電時に備えて患者に貸し出せる簡易自家発電装置等を整備し、災害時においても患者の生命を維持できる体制の整備を図る。[4-(1)-13]
(2)東日本大震災を始めとする災害からの復興の推進
○ それぞれの地域の復興施策の企画・立案及び実施における、障害者やその家族等の参画を促進し、地域全体のまちづくりを推進するため、事例集の作成・公表などの情報提供を行う。[4-(2)-1]
○ 障害者の被災地での生活の継続、被災地への帰還を支援するため、被災地の障害福祉サービス事業者に対する支援を実施し、被災地における安定的な障害福祉サービスの提供を図る。[4-(2)-2]
○ 住み慣れた生活環境から離れて避難生活を行っている障害者に対する心のケア、見守り活動、相談活動等の取組の充実を図る。[4-(2)-3]
○ 被災地における雇用情勢を踏まえ、産業政策と一体となった雇用の創出、求人と求職のミスマッチの解消を図り、障害者の就職支援を推進する。[4-(2)-4]
(3)防犯対策の推進
○ 聴覚に障害のある方等、音声による110番通報が困難な方が、スマートフォン等を利用して、文字等で警察に通報できる「110番アプリシステム」を運用しているほか、電話リレーサービスを利用した手話による110番通報を受け付けるなど、障害者からの緊急通報に対して迅速・的確な対応を行う。[4-(3)-1]
○ 警察職員に対し障害及び障害者に対する理解を深めるための研修の充実に取り組むとともに、障害者のコミュニケーションを支援するため、手話で会話ができる警察官等の交番等への配置、コミュニケーション支援ボードの活用等を図る。[4-(3)-2]
○ 警察と地域の障害者団体、福祉施設、行政等との連携の促進等により、犯罪被害の防止と犯罪被害の早期発見に努める。[4-(3)-3]
○ 平成28(2016)年7月に発生した障害者支援施設における殺傷事件を踏まえ、障害者支援施設等を利用する障害者が安心して生活できるように、防犯に係る安全確保のための施設整備や防犯に係る職員の対応に関する点検等の取組を促進するとともに、関係機関や地域住民等と連携し安全確保体制の構築を図る。[4-(3)-4]
○ 「女性に対する暴力をなくす運動31」等を通じて、障害者を含む女性に対する暴力の予防と根絶に向けた国民運動を一層推進するとともに、障害者を含む性犯罪・性暴力の被害者や配偶者等からの暴力の被害者に対する支援体制の充実を図るため、行政の関与する性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの運営の安定化及び相談員等に対する研修の充実や配偶者暴力相談支援センター等における相談機能の充実を図る。[4-(3)-5]
(4)消費者トラブルの防止及び被害からの救済
○ 消費者トラブルの防止及び障害者の消費者としての利益の擁護・増進に資するよう、必要な情報提供、障害者及び障害者に対する支援を行う者の各種消費者関係行事への参加の促進、研修の実施等を行いつつ、障害者等に対する消費者教育を推進する。[4-(4)-1]
○ 障害者団体、消費者団体、福祉関係団体、行政等、地域の多様な主体の連携により、障害者等の消費者被害防止のための見守りネットワーク(消費者安全確保地域協議会)の設置を促進する。[4-(4)-2]
○ 地方公共団体の消費生活センター等におけるメール等での消費生活相談の受付や、消費生活相談員の障害者理解のための研修の実施等の取組を促進することにより、障害者の特性に配慮した消費生活相談体制の整備を図る。[4-(4)-3]
○ 被害を受けた障害者の被害回復に係る法制度の利用の促進のため、日本司法支援センター(以下「法テラス」という。)の各種業務及びこれを遂行する体制の一層の充実に努める。[4-(4)-4]
○ 常勤弁護士を始めとする法テラスの契約弁護士が、福祉機関等との連携・協力体制を密にすることにより、配慮を要する障害者などの振り込め詐欺の被害や悪質商法による消費者被害の早期発見・被害回復に努める。[4-(4)-5]
5.行政等における配慮の充実
【基本的考え方】
障害者がその権利を円滑に行使できるよう、司法手続や選挙等において必要な環境の整備や障害特性に応じた合理的配慮の提供を行う。また、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法も踏まえ、行政機関の窓口等における障害者への配慮を徹底するとともに、行政情報の提供等に当たっては、ICT等の利活用も踏まえ、アクセシビリティに配慮した情報提供を行う。さらに、心身の障害等により制限を付している法令の規定(いわゆる相対的欠格条項)については各制度の趣旨や技術の進展、社会情勢の変化、障害者やその他関係者の意見等を踏まえ、真に必要な規定か検証し、必要に応じて見直しを行う。
(1)司法手続等における配慮等
○ 被疑者・被告人あるいは被害者・参考人となった障害者が、意思疎通等を円滑に行うことができるよう、手話通訳の利用を含め、刑事事件における運用において手続上の配慮を適切に行う。あわせて、これらの手続に携わる職員に対して、障害や障害者に対する理解を深めるため必要な研修を実施する。[5-(1)-1]
○ 知的障害等によりコミュニケーションに困難を抱える被疑者等に対する取調べの録音・録画や心理・福祉関係者の助言等の取組を継続するとともに、更なる検討を行う。[5-(1)-2]
○ 矯正施設に入所する障害者に対して、社会復帰支援のためのプログラムの提供を促進するとともに、これらの施設の職員に対して必要な研修を実施する。[5-(1)-3]
○ 矯正施設に入所する障害者等の円滑な社会復帰を促進するため、地域生活定着支援センター、保護観察所等の関係機関等の連携の下、矯正施設に入所する障害者等が出所等後に必要な福祉サービスを受けるための支援を行う。[5-(1)-4]
○ 弁護士、弁護士会、日本弁護士連合会、法テラス等の連携の下、罪を犯した知的障害者等の社会復帰の障害となり得る法的紛争の解決等に必要な支援を行うなど、再犯防止の観点からの社会復帰支援の充実を図る。[5-(1)-5]
○ 障害者が民事事件、家事事件等の法的紛争の当事者その他の関係人となった場合において、その障害特性に応じた意思疎通等の手段を確保するべく、日本弁護士連合会や法テラス等と連携の下、障害者に対する配慮・支援の充実を図るとともに、これらの手続に携わる職員等に対して、障害や障害者に対する理解を深めるため必要な研修を実施する。[5-(1)-6]
(2)選挙等における配慮等
○ 政見放送への手話通訳・字幕の付与、点字版、CDや音声コード等による音声版、拡大文字版又はインターネットを通じた候補者情報の提供等、ICTの進展等も踏まえながら、障害特性に応じた選挙等に関する情報提供の充実を図る。[5-(2)-1:再掲]
○ 移動に困難を抱える障害者に配慮した投票所のバリアフリー化、障害者の利用に配慮した投票設備の設置、投票所における投票環境の向上に努めるとともに、障害者が障害特性に応じて、自らの意思に基づき円滑に投票できるよう、取組事例の周知等を通じて投票の秘密に配慮した代理投票の適切な実施等の取組を促進する。また、選挙人を介護する者やその他の選挙人とともに投票所に入ることについてやむを得ない事情がある者として、投票管理者が認めた者は投票所に入ることができることの周知を図る。[5-(2)-2]
○ 指定病院等における不在者投票、郵便等による不在者投票の適切な実施の促進により、選挙の公正を確保しつつ、投票所での投票が困難な障害者の投票機会の確保を図る。[5-(2)-3]
○ 全国の選挙管理委員会による主権者教育の取組の調査を行うとともに、障害のある個々のこどもに応じた取組の実施に向け、各自治体の実施事例について周知を行うなど、主権者教育の充実を図る。[5-(2)-4]
(3)行政機関等における配慮及び障害者理解の促進等
○ 各行政機関等における事務・事業の実施に当たっては、障害者差別解消法に基づき、障害者が必要とする社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(合理的配慮)を行うとともに、ソフト・ハードの両面にわたり、合理的配慮を的確に行うために必要な環境の整備を着実に進める。[5-(3)-1]
○ 行政機関の職員等に対する障害者に関する理解を促進するため、より一層の理解の促進が必要な障害や、外見からは分かりにくい障害の特性、コミュニケーションに困難を抱える障害や、複合的に困難な状況に置かれた障害者に求められる合理的配慮を含めた必要な配慮等を含めて必要な研修を実施し、窓口等における障害者への配慮の徹底を図る。[5-(3)-2]
○ 各府省において、行政情報、特に障害者や障害者施策に関する情報提供及び緊急時における情報提供等を行う際には、字幕・音声等の適切な活用や、知的障害者、精神障害者等にも分かりやすい情報の提供を徹底し、多様な障害の特性に応じた配慮を行う。[5-(3)-3:再掲]
○ 各府省において、障害者を含む全ての人の利用しやすさに配慮した行政情報の電子的提供の充実に取り組むとともに、ウェブサイト等で情報提供を行うに当たっては、キーボードのみで操作可能な仕様の採用、動画への字幕や音声解説の付与など、最新のウェブアクセシビリティ規格を踏まえ、必要な対応を行う。また、「みんなの公共サイト運用ガイドライン」について必要な見直しを行うこと等により、公的機関等のウェブアクセシビリティの向上等に向けた取組を促進する。[5-(3)-4:再掲]
○ 各府省における行政情報の提供等に当たっては、ICTの利活用も踏まえ、アクセシビリティに配慮した情報提供を行う。[5-(3)-5:再掲]
(4)国家資格に関する配慮等
○ 各種の国家資格の取得等において障害者に不利が生じないよう、高等教育機関に対し、入学試験の実施や国家資格試験の受験資格取得に必要な単位の修得に係る試験の実施等において合理的配慮の提供等を促すとともに、国家資格試験の実施等に当たり障害特性に応じた合理的配慮を提供する。また、いわゆる相対的欠格条項について各制度の趣旨や技術の進展、社会情勢の変化、障害者やその他関係者の意見等を踏まえ、真に必要な規定か検証し、必要に応じて見直しを行う。[5-(4)-1]
6.保健・医療の推進
【基本的考え方】
精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、精神障害者への医療の提供・支援を可能な限り地域において行う。また、入院中の精神障害者の早期退院及び地域移行を推進し、いわゆる社会的入院の解消を進める。また、精神障害者の地域への円滑な移行・定着が進むよう、切れ目のない退院後の支援に関する取組を行う。
障害者が身近な地域で必要な医療やリハビリテーションを受けられるよう、地域医療体制等の充実を図る。
また、優れた基礎研究の成果による革新的な医薬品等の開発を促進するとともに、最新の知見や技術を活用し、疾病等の病因・病態の解明、予防、治療等に関する研究開発を推進する。さらに、質の高い医療サービスに対するニーズに応えるため、AIやICT、ロボット技術の活用等による革新的な医療機器の開発を推進する。
あわせて、保健・医療人材の育成・確保や、難病に関する保健・医療施策、障害の原因となる疾病等の予防・治療に関する施策を着実に進める。
(1)精神保健・医療の適切な提供等
○ 精神障害者への医療の提供・支援を可能な限り地域において行うとともに、入院中の精神障害者の早期退院(入院期間の短縮)及び地域移行を推進し、いわゆる社会的入院を解消するため、次に掲げる取組を通じて、精神障害者が地域で生活できるよう正しい理解を促進し、支援体制や社会資源を整備する。[6-(1)-1]
ア 専門診療科以外の診療科、保健所等、健診の実施機関等と専門診療科との連携を促進するとともに、様々な救急ニーズに対応できる精神科救急システムを確立するなど地域における適切な精神医療提供体制の確立や相談機能の向上を推進する。[6-(1)-1-ア]
イ 精神科デイケアのサービス提供内容の充実を図るとともに、外来医療、ひきこもり等の精神障害に対する多職種によるアウトリーチ(訪問支援・在宅医療)を充実させる。[6-(1)-1-イ]
ウ 居宅介護など訪問系サービスの充実や地域相談支援(地域移行支援・地域定着支援)、自立生活援助の提供体制の整備を図る。[6-(1)-1-ウ]
エ 精神障害者の地域移行の取組を担う精神科医、看護職員、精神保健福祉士、公認心理師等について、人材育成や連携体制の構築等を図る。[6-(1)-1-エ]
○ 学校、職域及び地域における心の健康に関する相談、カウンセリング等の機会の充実により、一般国民の心の健康づくり対策を推進する。加えて、学校においてはこどもの心の変化に気付くための取組の促進、職域においては事業者によるメンタルヘルス不調者への適切な対応、地域においては保健所、精神保健福祉センターで心の健康相談を行う。また、精神疾患の予防と早期発見方法の確立及び発見の機会の確保・充実を図り、適切な支援につなげる。[6-(1)-2]
○ 精神障害者及び家族のニーズに対応した多様な相談体制の構築を図る。精神障害者とその家族に対する当事者及び家族による相談活動に取り組む地方公共団体に対し支援を行う。また、身近な地域で、必要なサービスを切れ目なく受けられるよう、市町村における相談支援体制を整備するための支援を行う。[6-(1)-3]
○ 精神医療における人権の確保を図るため、精神医療審査会運営マニュアルの見直しや地方公共団体における好事例の周知などにより、都道府県及び指定都市に対し、その機能の充実・適正化を促す。[6-(1)-4]
○ 精神疾患について、患者の状態像や特性に応じた精神病床の機能分化を進めるとともに、適切な医療の提供を確保し、患者・家族による医療機関の選択に資するよう、精神医療に関する情報提供及び安全対策の推進を図る。[6-(1)-5]
○ 令和4(2022)年6月に取りまとめられた「地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会」の報告書の内容を踏まえ、精神科病院に入院中の患者の権利擁護等の観点から、研修を受講した第三者により病院を訪問して行う相談支援の仕組みを都道府県等の事業として構築する。[6-(1)-6]
○ 精神障害者とその家族が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、当事者・家族・保健・医療・福祉・教育等関係者による協議の場及び住まいの確保支援も含めた地域の基盤整備を推進し、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を推進する。[6-(1)-7:再掲]
○ 精神障害者の地域への円滑な移行・定着を進められるよう、社会的活動の拠点、在宅医療の充実や地域住民の理解の促進を図るとともに、働くことを含めた、精神障害者の退院後及び外来通院時の切れ目のない支援に係る取組を行う。[6-(1)-8]
○ 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律に基づき、同法対象者に対する精神保健医療の提供や医療と福祉が連携した支援を充実させる。[6-(1)-9]
○ 精神科病院において、誰もが安心して信頼できる入院医療が実現されるよう、今後、非自発的入院のあり方及び身体拘束等に関し、精神障害を有する当事者等の意見を聞きながら、課題の整理を進め、必要な見直しについて検討を行う。[6-(1)-10]
(2)保健・医療の充実等
○ 障害者が身近な地域で必要な医療やリハビリテーションを受けられるよう、地域医療体制等の充実を図る。その際、特に、高齢化等による障害の重度化・重複化の予防及びその対応に留意する。[6-(2)-1]
○ 障害者総合支援法に基づき、障害者等の心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療について、医療費(自立支援医療費)の助成を行う。[6-(2)-2]
○ 国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、乳幼児期から高齢期までの重度・重複障害者等に対して医療から職業訓練・社会生活にかけて一貫した支援を提供するとともに、二次障害の予防や健康増進活動等の支援サービスを提供する。また、発達支援及びリハビリテーション手法の開発や、試行的サービスを提供し、その情報発信を行う。[6-(2)-3]
○ 骨、関節等の機能や感覚器機能の障害、高次脳機能障害等のリハビリテーションによる機能の維持、回復が期待される障害について、適切な評価、病院から地域等への一貫したリハビリテーションの確保を図る。[6-(2)-4]
○ 障害者の健康の保持・増進を図るため、福祉サービスと連携した保健サービスの提供体制の充実を図る。また、障害に起因して合併しやすい疾患、外傷、感染症等の予防と、これらを合併した際の障害及び合併症に対して適切な医療の確保を図る。[6-(2)-5]
○ 定期的に歯科検診を受けること等又は歯科医療を受けることが困難な障害者に対する歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持・増進を図る取組を進めるとともに、障害の状況に応じた知識や技術を有する歯科専門職を育成するための取組を促進する。[6-(2)-6]
(3)保健・医療の向上に資する研究開発等の推進
○ 優れた基礎研究の成果による革新的な医薬品・医療機器の開発を促進するため、研究の支援、臨床研究・治験環境の整備、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のRS戦略32相談の活用等を推進する。[6-(3)-1]
○ 最新の知見や技術を活用し、倫理的側面に配慮しつつ、疾病等の病因・病態の解明、予防、治療等に関する研究開発を推進する。また、再生医療について、多くの障害者、患者が活用できるよう、研究開発の推進及び実用化の加速に取り組む。[6-(3)-2]
○ 脳機能研究の推進により、高次脳機能障害、感覚認知機能障害等に関する新たな診断法の開発、リハビリテーションの効率化及び訓練プログラムの改善を進める。[6-(3)-3]
○ 障害者の生活機能全体の維持・回復のため、リハビリテーション技術の開発を推進する。[6-(3)-4]
○ 質の高いサービスに対するニーズに応えるため、AI(人工知能)やICT、ロボット技術の活用等による革新的な医療機器の開発を推進するとともに、障害者の生活や自立を支援する機器の開発を支援する。[6-(3)-5]
(4)保健・医療を支える人材の育成・確保
○ 医師・歯科医師の養成課程及び生涯学習において、障害者に対する医療や総合的なリハビリテーションに関する教育の充実を図り、「社会モデル」の考え方を踏まえ障害に関する理解を深めるなど、資質の向上に努めるとともに、様々な場面や対象者に対応できる質の高い看護職員等の養成に努める。[6-(4)-1]
○ 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等のリハビリテーションに従事する者について、専門的な技術及び知識を有する人材の確保と資質の向上を図る。[6-(4)-2]
○ 地域において健康相談等を行う保健所、保健センター等の職員の資質の向上を図るとともに、障害者にとって必要な福祉サービス等の情報提供が速やかに行われるよう地域の保健・医療・福祉事業従事者及び教育関係者間の連携を図る。[6-(4)-3]
○ 発達障害の早期発見、早期支援の重要性に鑑み、発達障害の診療・支援ができる医師の養成を図るとともに、巡回支援専門員等の支援者の配置の促進を図る。[6-(4)-4]
(5)難病に関する保健・医療施策の推進
○ 難病患者の実態把握、病因・病態の解明、画期的な診断・治療法の開発を推進するとともに、診断基準・治療指針の確立及び普及を通じて、難病患者が受ける医療水準の向上を図るため、幅広い難病の研究を推進する。[6-(5)-1]
○ 難病患者に対し、総合的な相談・支援や地域における受入病院の確保を図るとともに、在宅療養上の適切な支援を行うことにより、安定した療養生活の確保と難病患者及びその家族の生活の質の向上を図る。[6-(5)-2]
○ 難病に関する医療の確立、普及を図るとともに、難病患者の医療費の負担軽減を図るため、医療費助成を行う。[6-(5)-3]
○ 長期にわたり療養を必要とし、及びその生命に危険が及ぶおそれがある疾病であって、療養のために多額の費用を要するものに対し、健全育成の観点から、その疾病にかかっている患児家庭の医療費の負担軽減を図るため、医療費助成を行う。[6-(5)-4]
○ 難病患者の療養上、日常生活上での悩みや不安等の解消を図るとともに、難病患者の様々なニーズに対応したきめ細やかな相談や支援を通じて地域における難病患者支援対策を実施するため、各種相談支援事業やピアサポート等を行う難病相談支援センターを中心とし、難病診療連携拠点病院、地方公共団体等の様々な関係者間での連携を推進し、地域で生活する難病患者の日常生活における相談・支援や地域交流活動の促進などを行う。[6-(5)-5]
○ 小児慢性特定疾病児童等においては、幼少期から慢性的な疾病にかかっており、長期にわたり療養が必要なことから、社会との接点が希薄になり、社会生活を行う上での自立が阻害されているため、地域の実情に応じた相談支援等の充実により社会生活への自立の促進を図る取組を行う。[6-(5)-6]
○ 難病患者等に対する障害福祉サービス等の提供に当たっては、障害者総合支援法の対象疾病の拡大を図っていくとともに、各地方公共団体において、難病等の特性(病状の変化や進行、福祉ニーズ等)に配慮した円滑な事務が実施されるよう、理解と協力の促進を図る。[6-(5)-7]
(6)障害の原因となる疾病等の予防・治療
○ 妊産婦・乳幼児・児童に対する健診及び保健指導、新生児聴覚スクリーニング等の適切な実施、周産期医療・小児医療体制の充実等を図るとともに、これらの機会の活用により、疾病等の早期発見及び治療、早期療養を図る。また、障害の早期発見と早期の発達支援を図るため、診断、治療及び発達支援の知見と経験を有する医療・福祉の専門職の確保を図る。[6-(6)-1]
○ 生活習慣病を予防するとともに合併症の発症や症状の進展等を予防するため、栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣の改善による健康の増進、医療連携体制の推進、健康診査・保健指導の実施等に取り組む。[6-(6)-2]
○ 疾患、外傷等に対して適切な治療を行うため、専門医療機関、身近な地域における医療機関及び在宅における医療の提供体制の充実並びに保健所、精神保健福祉センター、児童相談所、市町村等による保健サービス等の提供体制の充実並びにこれらの連携を促進する。[6-(6)-3]
7.自立した生活の支援・意思決定支援の推進
【基本的考え方】
障害者の望む暮らしを実現できるよう自ら意思を決定すること及び表明することが困難な障害者に対し、本人の自己決定を尊重する観点から必要な意思決定支援を行うとともに、障害者が自らの決定に基づき、身近な地域で相談支援を受けることのできる体制を構築する。
また、障害者の地域移行を一層推進し、障害者が必要なときに必要な場所で、地域の実情に即した適切な支援を受けられるよう取組を進めることを通じ、障害の有無にかかわらず、国民が相互に人格と個性を尊重し、安全に安心して暮らすことのできる地域社会の実現を図る。
さらに、障害者及び障害のあるこどもが、基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、在宅サービスの量的・質的な充実、障害のあるこどもへの支援の充実、障害福祉サービスの質の向上、アクセシビリティ向上に資する機器の研究開発、障害福祉人材の育成・確保等に着実に取り組む。
(1)意思決定支援の推進
○ 自ら意思を決定すること(意思を形成及び表明する段階を含む。)に支援が必要な障害者等が障害福祉サービス等を適切に利用することができるよう、本人の自己決定を尊重する観点から、相談支援専門員やサービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者等に対する研修等を通じた意思決定支援の質の向上や意思決定支援ガイドラインの普及を図ること等により、意思決定の支援に配慮しつつ、必要な支援等が行われることを推進する。[7-(1)-1:再掲]
○ 知的障害又は精神障害により判断能力が不十分な者による成年後見制度の適切な利用を促進するため、必要な経費について助成を行うとともに、成年後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るための研修を行う。あわせて、尊厳のある本人らしい生活の継続や本人の地域社会への参加等へのノーマライゼーションの理念を十分考慮した上で、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う。[7-(1)-2:再掲]
(2)相談支援体制の構築
○ 障害者が自らの決定に基づき、身近な地域で相談支援を受けることのできる体制を構築するため、様々な障害種別、年齢、性別、状態等に対応し、総合的な相談支援を提供する体制の整備を図る。[7-(2)-1]
○ 障害者個々の心身の状況、サービス利用の意向や家族の意向等を踏まえたサービス等利用計画案の作成等、当事者の支援の必要性に応じた適切な支給決定の実施に向けた取組を進める。[7-(2)-2]
○ 相談支援事業者への専門的指導や人材育成、障害者等の相談等を総合的に行い、地域における相談支援の中核的な役割を担う基幹相談支援センターの必要性を周知し、その設置を促進する。また、関係機関の連携の緊密化や地域の実情に応じた体制整備についての協議会の運営の活性化を図ることにより、障害者等への支援体制の整備を進める。[7-(2)-3]
○ 発達障害者支援センター等において、発達障害児者やその家族に対する相談支援やペアレントメンター33の養成等を行うとともに、地域の医療、保健、福祉、教育、雇用等の関係者による発達障害者支援地域協議会で地域の課題等を協議し、発達障害者支援センターを中心とした地域生活支援体制の充実を図る。[7-(2)-4]
○ 高次脳機能障害児者34への支援について、地域の支援拠点に相談支援コーディネーターを配置し、ライフステージに応じた専門的な相談支援や都道府県及び市町村が障害者等への支援体制の整備を図るために設置する協議会を始めとした関係機関との連携・調整等を行うとともに、高次脳機能障害に関する情報発信の充実を図る。[7-(2)-5]
○ 難病患者の療養上、日常生活上での悩みや不安等の解消を図るとともに、難病患者の様々なニーズに対応したきめ細やかな相談や支援を通じて地域における難病患者支援対策を推進するため、難病相談支援センター等により、地域で生活する難病患者の日常生活における相談・支援を行う。[7-(2)-6]
○ 障害者虐待防止法等に関する積極的な広報・啓発活動を行うとともに、障害者虐待防止法等の適切な運用を通じ、障害児者に対する虐待の相談支援専門員等による未然防止、一時保護に必要な居室の確保及び養護者を含めた家族に対する相談等の支援に取り組む。また、障害福祉サービス事業所等における虐待防止委員会の設置や従事者への虐待の防止のための研修の実施、虐待防止責任者の設置を徹底し、虐待の早期発見や防止に向けて取り組む。[7-(2)-7:再掲]
○ 各種ガイドラインの策定及び普及、障害者相談員や相談支援に従事する職員に対する研修の実施等により、相談業務の質の向上を図るとともに、児童相談所、更生相談所、保健所等の関係機関間のネットワークの形成及びその活用を推進し、障害者が身近な地域で専門的相談を行うことができる体制を構築する。[7-(2)-8]
○ 家族と暮らす障害者について情報提供や相談支援等によりその家庭や家族を支援する。また、ピアサポーターの育成を行うとともに、ピアカウンセリング、ピアサポート体制の強化等35の障害者同士・家族同士が行う援助として有効かつ重要な手段である当事者等による相談活動の更なる拡充を図る。[7-(2)-9]
○ 発達障害児者やその家族に対する支援を強化するため、地域生活支援事業の活用によって、ピアサポートを行う人材を育成するとともに、ピアサポートを推進する。[7-(2)-10]
○ 「女性に対する暴力をなくす運動」等を通じて、障害者を含む女性に対する暴力の予防と根絶に向けた国民運動を一層推進するとともに、障害者を含む性犯罪・性暴力の被害者や配偶者等からの暴力の被害者に対する支援体制の充実を図るため、行政の関与する性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの運営の安定化及び相談員等に対する研修の充実や配偶者暴力相談支援センター等における相談機能の充実を図る。[7-(2)-11:再掲]
(3)地域移行支援、在宅サービス等の充実
○ 障害者が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、個々の障害者のニーズ及び実態に応じて、在宅の障害者に対する日常生活又は社会生活を営む上での、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護等の支援を行うとともに、短期入所及び日中活動の場の確保等により、在宅サービスの量的・質的充実を図るほか、必要な時に救急医療が受けられる体制整備を推進する。[7-(3)-1]
○ 常時介護を必要とする障害者が、自らが選択する地域で生活できるよう、日中及び夜間における医療的ケアを含む支援の充実を図るとともに、体調の変化・支援者の状況等に応じて一時的に利用することができる社会資源の整備を促進する。[7-(3)-2]
○ 障害者の身体機能又は生活能力の向上を目的とした自立訓練(機能訓練、生活訓練)の整備を推進するとともに、利用者の障害特性に応じた専門職員による訓練の取組を促進し、利用者が身近な事業所において必要な訓練を受けられるようにする。[7-(3)-3]
○ 外出のための移動支援、創作的活動や生産活動の機会を提供するとともに、日常生活に必要な便宜を供与する地域活動支援センターの機能の充実等、地域生活を支援するために地方公共団体が地域の特性や利用者の状況に応じて実施する取組に対する支援を推進する。[7-(3)-4]
○ 地域で生活する障害者の支援を進めるために、地域生活支援拠点等の整備を図り、障害の重度化・高齢化にも対応できるよう、居住支援、サービスの提供体制の確保及び専門的ケアの支援を行う機能を強化する。また、地域生活支援拠点等については、緊急時の受入れ対応とともに、体験の機会・場の提供や入所施設・病院、親元からグループホームや一人暮らしなどへの生活の場の移行支援などの役割を担う。[7-(3)-5]
○ 地域生活への移行を進める観点から、障害者支援施設においては、入所者の意思決定の支援を行いながら、地域生活移行支援や地域で生活する障害者の支援を推進し、また、障害者の地域における居住の場の一つとして、多様な形態のグループホームの整備を促進するとともに、重度障害者にも対応した体制の充実を図る。[7-(3)-6]
○ 障害者の一人暮らし等を支える自立生活援助を使いやすい制度にすることにより、障害者の地域生活への移行を推進する。[7-(3)-7]
○ 精神障害者とその家族が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう、当事者・家族・保健・医療・福祉・教育等関係者による協議の場及び住まいの確保支援も含めた地域の基盤整備を推進し、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築を推進する。[7-(3)-8:再掲]
○ ヤングケアラーを始めとする障害者の家族支援について、相談や障害福祉サービス等に関する情報提供を実施して必要な支援につなぐとともに、こども等の負担軽減を図る観点も含め、障害者の家事援助、短期入所等の必要なサービスの提供体制の確保に取り組む。[7-(3)-9]
(4)障害のあるこどもに対する支援の充実
○ 障害児やその家族を含め、全てのこどもや子育て家庭を対象として、身近な地域において、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)に基づく給付その他の支援を可能な限り講ずるとともに、障害児を受け入れる保育所のバリアフリー化の促進、障害児保育を担当する職員の確保や専門性向上を図るための研修の実施、保育所等訪問支援事業の活用等により、障害児の保育所での受入れを促進する。[7-(4)-1]
○ 障害児の発達を支援する観点から、幼児の成長記録や支援上の配慮に関する情報を、情報の取扱いに留意しながら、必要に応じて関係機関間で共有するなど、障害児及びその家族に対して、乳幼児期から学校卒業以降も一貫した効果的な支援を地域の身近な場所で提供する体制の構築を図り、発達支援等に関する情報提供やカウンセリング等の支援を行う。[7-(4)-2]
○ 発達障害の早期発見、早期支援の重要性に鑑み、発達障害の診療・支援ができる医師の養成を図るとともに、巡回支援専門員等の支援者の配置の促進を図る。[7-(4)-3:再掲]
○ 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に基づき、障害児に対して発達支援等を行う児童発達支援等を提供するとともに、障害者総合支援法に基づき、居宅介護、短期入所、障害児を一時的に預かって見守る日中一時支援等を提供し、障害児が身近な地域で必要な支援を受けられる体制の充実を図る。また、障害児の発達段階に応じて、保育所等訪問支援及び放課後等デイサービス等の適切な支援を提供する。[7-(4)-4]
○ 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和3年法律第81号)に基づき、医療的ケアが必要な障害児等に対して、医療的ケア児支援センターが、相談に応じ、情報の提供や助言その他の支援、関係機関等への情報提供及び研修の実施等を推進する。また、地域において包括的な支援が受けられるように、保健・医療・福祉・教育等の関係機関の連携促進に努める。[7-(4)-5]
○ 障害児について情報提供や相談支援等によりその家庭や家族を支援するとともに、在宅で生活する重症心身障害児者について、専門的な支援の体制を備えた短期入所や居宅介護、児童発達支援等、在宅支援の充実を図る。[7-(4)-6]
○ 児童発達支援センターについて、障害の重度化・重複化や多様化を踏まえ、その専門的機能の強化を図るとともに、地域における中核的支援施設と位置付け、地域の事業所等との連携や、障害児の医療的ケアを含めた多様なニーズに対応する機関としての役割を担うため、必要な体制整備を図る。また、障害児入所施設についても、地域において、虐待を受けた障害児等への対応を含め、様々なニーズに対応するため、専門的機能の強化を図った上で、より家庭的な環境の整備等、必要な体制整備を図る。なお、これらの機関が、相互に連携しながら支援体制を構築することを推進する。[7-(4)-7]
○ こどもの意見を聴く機会の確保等が重要とされていることから、障害児においても、こどもの意思形成支援を含む意思決定支援等に配慮しつつ必要な支援等が行われることを推進する。[7-(4)-8]
(5)障害福祉サービスの質の向上等
○ 障害福祉サービス及び相談支援が円滑に実施されるよう、これらのサービス等を提供する者、又はこれらの者に対し必要な指導を行う者を養成し配置を促進する。[7-(5)-1]
○ 障害福祉サービス事業所等の職員が、条約などを踏まえ、共生社会の理念を理解し、障害者やその家族の意思を尊重しながら必要な支援を行うことができるよう、研修の実施等を推進する。[7-(5)-2]
○ 障害福祉サービス等を提供する事業者に対する適切な苦情解決の推進、事業者による自己評価や外部評価など、サービスごとの特性を踏まえた質の評価の取組の推進等に努める。また、障害福祉サービス等情報公表制度の活用により、障害福祉サービス等を利用する障害者等が個々のニーズに応じて良質なサービスを選択できるようにするとともに、事業者によるサービスの質の向上を図る。[7-(5)-3]
○ 自ら意思を決定すること(意思を形成及び表明する段階を含む。)に支援が必要な障害者等が障害福祉サービス等を適切に利用することができるよう、本人の自己決定を尊重する観点から、相談支援専門員やサービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者等に対する研修等を通じた意思決定支援の質の向上や意思決定支援ガイドラインの普及を図ること等により、意思決定の支援に配慮しつつ、必要な支援等が行われることを推進する。[7-(5)-4:再掲]
○ 地方公共団体における障害福祉計画の策定に当たり、国において、障害者の地域生活を支援するためのサービス基盤整備等に係る数値目標等を定めた基本指針を策定し、障害福祉サービス及び相談支援並びに市町村及び都道府県の地域生活支援事業を提供するための体制の確保が計画的に図られるように取り組む。[7-(5)-5]
○ 長時間サービスを必要とする重度訪問介護利用者等に対して、適切な支給決定がなされるよう実施主体である市町村への周知に取り組むとともに、都道府県との連携の下、市町村に対する支援を行う。[7-(5)-6]
○ 障害福祉サービスの提供に当たっては、都道府県による管内市町村への適切な支援等を通じ、地域間におけるサービスの格差について引き続き均てんを図る。また、65歳を超えた障害者が必要な支援を受けるための、障害福祉サービスの支給決定について市町村ごとの運用状況の差異をできる限りなくし、より適切な運用がなされるよう、地方自治体への周知に取り組む。[7-(5)-7]
○ 難病患者等に対する障害福祉サービス等の提供に当たっては、障害者総合支援法の対象疾病の拡大を図っていくとともに、各地方公共団体において、難病等の特性(病状の変化や進行、福祉ニーズ等)に配慮した円滑な事務が実施されるよう、理解と協力の促進を図る。[7-(5)-8:再掲]
○ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律(平成28年法律第65号)による改正後の障害者総合支援法及び児童福祉法の施行後3年を目処とした見直しや、都道府県及び市町村が策定する障害福祉計画や障害児福祉計画に基づく業務の実施状況等を踏まえながら、障害者の生活ニーズを踏まえた障害福祉サービスの更なる充実等を図るための方策について、継続的な検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。[7-(5)-9]
(6) 福祉用具その他アクセシビリティの向上に資する機器の普及促進・研究開発及び身体障害者補助犬の育成等
○ 良質で安価な福祉用具の供給による利用者の利便性の向上を図るため、研究開発の推進等を進める。また、研究開発や障害者等のニーズを踏まえ、ユニバーサルデザイン化を促進し、誰もが使いやすいものづくりを推進する。さらに、福祉用具の適切な普及促進を図るため、積極的に標準化を進めるとともに、必要に応じて国際規格提案を行う。[7-(6)-1]
○ 補装具の購入、借受け又は修理に要する費用の一部に対する公費の支給、日常生活用具の給付・貸与を行うとともに、福祉用具に関する情報提供などにより、障害者のニーズや時代に応じた福祉用具等の普及を促進する。日常生活用具の給付・貸与については、市町村の実施状況について情報収集を行い、品目や対象者、基準額などの見直しに資する効果的な取組について検討のうえ、市町村に検討の成果を発信することにより、地域の障害者のニーズを踏まえた対応を促していく。[7-(6)-2]
○ 情報提供機関や相談機関のネットワーク体制の構築により、福祉用具に関する情報の提供や相談窓口の整備を推進するとともに、研修の充実等により、福祉用具の相談等に従事する専門職員の資質向上を図る。[7-(6)-3]
○ 身体障害者補助犬の育成を図るとともに、身体障害者補助犬を使用する身体障害者が施設等の利用を拒まれることがないよう、普及啓発を推進する。[7-(6)-4]
○ 障害者等の自立行動支援の観点から、安全・安心な生活に向けた支援のためのロボット技術等の研究開発を推進する。また、ロボット介護機器の開発を推進する。[7-(6)-5]
(7)障害福祉を支える人材の育成・確保
○ 社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の福祉専門職について、その専門性や知見の有効な活用を図りつつ、養成及び確保に努めるとともに、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、言語聴覚士、公認心理師36等のリハビリテーション等に従事する者37について、専門的な技術及び知識を有する人材の確保と資質の向上を図り、相談支援の質の向上を図る観点から、地域の中核的な役割を担う主任相談支援専門員の養成を推進する。また、ホームヘルプサービスについて、障害特性を理解したホームヘルパーの養成及び研修を行う。さらに、障害福祉サービス等を提供する事業者に対し、労働法規の遵守を徹底するとともに、サービス従事者の処遇改善や職場環境の改善などに努める。[7-(7)-1]
○ 国立障害者リハビリテーションセンター等の国立専門機関等において障害に係る専門的な研究を行うとともに、情報の収集・提供等を行い、障害保健福祉に従事する職員の養成・研修においてこれらの機関の積極的な活用を図る。[7-(7)-2]
○ 発達障害児者やその家族に対する支援を強化するため、地域生活支援事業の活用によって、ピアサポートを行う人材を育成するとともに、ピアサポートを推進する。[7-(7)-3:再掲]
8.教育の振興
【基本的考え方】
障害の有無によって分け隔てられることなく、国民が相互に人格と個性を尊重し合う共生社会の実現に向け、可能な限り共に教育を受けることのできる仕組みの整備を進めるとともに、いわゆる「社会モデル」を踏まえつつ、障害に対する理解を深めるための取組を推進する。また、高等教育を含む学校教育における障害のある幼児児童生徒及び学生に対する支援を推進するため、障害のある幼児児童生徒及び学生に対する適切な支援を行うことができるよう環境の整備に努めるとともに、合理的配慮の提供等の一層の充実を図る。さらに、障害者が、学校卒業後も含めたその一生を通じて、自らの可能性を追求できる環境を整え、地域の一員として豊かな人生を送ることができるよう、生涯を通じて教育やスポーツ、文化等の様々な機会に親しむための関係施策を横断的かつ総合的に推進するとともに、共生社会の実現を目指す。
(1)インクルーシブ教育システム38の推進
○ 障害のある幼児児童生徒の自立と社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち、基礎的環境の整備を進めつつ、個別の指導計画や個別の教育支援計画の活用を通じて、幼稚園、小・中学校、高等学校、特別支援学校等(以下「全ての学校」という。)に在籍する障害のある幼児児童生徒が合理的配慮の提供を受けながら、適切な指導や必要な支援を受けられるようにする。こうした取組を通じて、障害のある幼児児童生徒に提供される配慮や学びの場の選択肢を増やし、障害の有無にかかわらず可能な限り共に教育を受けられるように条件整備を進めるとともに、個々の幼児児童生徒の教育的ニーズに最も的確に応える指導を受けることのできる、インクルーシブ教育システム(包容する教育制度)の整備を推進する。[8-(1)-1]
○ あわせて、「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)等を踏まえ、障害のある幼児児童生徒が関わるいじめ等の防止や早期発見等のための適切な措置を講ずる。[8-(1)-2]
○ 「社会モデル」の考え方を踏まえ、学校の教育活動全体を通じた障害に対する理解の促進や、異なる学校間の取組に当たっての体制整備を含む交流及び共同学習の事例や在り方等に関する情報収集や周知を行うことで、一層の推進を図り、障害の有無等にかかわらず互いを尊重し合いながら協働する社会を目指す。[8-(1)-3]
○ 障害のある児童生徒の就学先決定に当たっては、本人・保護者に対する十分な情報提供や相談の下、本人・保護者の意見を最大限尊重しつつ、本人・保護者と市町村教育委員会、学校等が、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とすることについて引き続き関係者への周知を行う。また適切な「学びの場」の選択に関する情報や、教育的ニーズに応じて、柔軟に「学びの場」を変更できることについて、引き続き、関係者への周知を行う。特別支援学校と小・中・高等学校のいずれかを一体的に運営するインクルーシブな学校運営モデルを創設する。[8-(1)-4]
○ 校長のリーダーシップの下、校内の状況を適切に把握するとともに、必要に応じて外部の専門家等とも連携し、特別支援教育コーディネーターを中心とした校内支援体制を構築し、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、看護師、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士等の専門家及び特別支援教育支援員の活用を図ることで、全ての学校が組織として、障害のある幼児児童生徒の多様なニーズに応じた支援を提供できるよう促す。[8-(1)-5]
○ 各学校における障害のある幼児児童生徒に対する合理的配慮の提供に当たっては、全ての学びの場において、情報保障やコミュニケーションの方法について配慮するとともに、幼児児童生徒一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等を把握し、それに応じて設置者・学校と本人・保護者間で可能な限り合意形成を図った上で決定・提供されることが望ましいことを引き続き周知する。[8-(1)-6]
○ 医療的ケアを必要とする幼児児童生徒や病気療養児等長期入院を余儀なくされている幼児児童生徒が教育を受けたり、他の幼児児童生徒と共に学んだりする機会を確保するため、医療的ケア看護職員の配置やこれらの幼児児童生徒への支援体制の整備に向けた調査研究等の施策の充実に努める。[8-(1)-7]
○ 障害のある生徒の高等学校の入学試験の実施に際して、別室実施や時間の延長、ICTの活用など、個別のニーズに応じた合理的配慮を含めた必要な配慮の充実を図る。[8-(1)-8]
○ 小・中学校における通級による指導を担当する教師に係る定数が段階的に基礎定数化されていることや、高等学校における通級による指導が制度化されたこと等を踏まえ、自校通級、巡回通級の充実を始めとして、通級による指導がより一層普及するよう努める。[8-(1)-9]
○ 障害のある児童生徒が様々な支援を利用しつつ、自立と社会参加を促進できるよう、福祉、労働等との連携の下、障害のある児童生徒のキャリア教育や就労支援の充実を図る。[8-(1)-10]
○ 医療、保健、福祉等との連携の下、乳幼児に対する健康診査や就学時の健康診断の結果等を活用し、障害の早期発見や早期支援につなげる。また、個別の教育支援計画等も活用し、入学後の児童生徒の状態等を踏まえ、本人や保護者に対する教育相談・支援体制の充実を図る。[8-(1)-11]
○ 障害者が就学前から卒業後まで切れ目ない指導・支援を受けられるよう、幼児児童生徒の成長記録や指導内容等に関する情報を、情報の取扱いに留意しながら、必要に応じて関係機関間で共有・活用するため、本人・保護者の意向等を踏まえつつ、医療、保健、福祉、労働等との連携の下、個別の指導計画や個別の教育支援計画の活用を促進する。[8-(1)-12]
(2)教育環境の整備
○ 障害により特別な支援を必要とする幼児児童生徒は、全ての学校、全ての学級に在籍することを前提に、教職課程において必修化されている特別支援教育に関する内容の着実な実施のほか、全ての学校における特別支援教育の体制の整備を促すとともに、最新の知見も踏まえながら、管理職を含む全ての教職員への研修等を促進することを通して、障害に対する理解や特別支援教育に係る専門性を深める取組を推進する。その際、柔軟な運用に配慮しつつ、小・中学校、高等学校等の全ての新規採用教員がおおむね10年目までの期間内において、特別支援学級の教師や、特別支援学校の教師を複数年経験することや、都道府県教育委員会等が策定する教員育成指標において特別支援教育を明確に位置付けることを目指し、必要な周知・調査等を行う。[8-(2)-1]
○ 幼稚園、小・中学校、高等学校等における特別支援教育の体制整備や地域における障害のある幼児児童生徒の支援強化に資するよう、特別支援学校の地域における特別支援教育のセンターとしての機能を充実する。[8-(2)-2]
○ 幼稚園、小・中学校、高等学校等に在籍する障害のある幼児児童生徒の支援における特別支援教育支援員の役割の重要性に鑑み、各地方公共団体における特別支援教育支援員の配置の促進を図る。[8-(2)-3]
○ 障害のある児童生徒の教育機会の確保や自立と社会参加の推進に当たってのコミュニケーションの重要性に鑑み、アクセシブルなデジタル教科書等の円滑な制作・供給やコミュニケーションに関するICTの活用も含め、障害のある児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じた教科書、教材、支援機器等の活用を促進する。[8-(2)-4]
○ 学校施設のバリアフリー化や特別支援学校の教室不足解消に向けた取組等を推進する。特に、災害発生時の避難所として活用されることもある公立小・中学校施設については、令和2(2020)年度に定めた令和7(2025)年度末までの5年間の緊急かつ集中的なバリアフリー化の整備目標を踏まえ整備を推進することや、トイレの洋式化、自家発電設備を含む防災機能強化については、学校設置者の要望を踏まえて、必要な支援に努める。[8-(2)-5]
○ 障害のある幼児児童生徒の学校教育活動に伴う通学を含む移動に係る支援の充実に努めるとともに、各地域における教育と福祉部局との連携を促す。[8-(2)-6]
○ 特別支援学校、特別支援学級、通級による指導を担当する教師については、特別支援教育に関する専門性が特に求められることに鑑み、特別支援学校教諭免許状コアカリキュラムに基づいた教職課程の充実や、特別支援学校教諭等免許状保有率の向上の推進など、専門性向上のための施策を進める。[8-(2)-7]
○ 病気の状態により学校に通うことが困難な病気療養児の支援の充実に向け、ICTを活用した学習機会の確保を促す等、環境の整備を促す。[8-(2)-8]
(3)高等教育における障害学生支援の推進
○ 大学等が提供する様々な機会において、障害のある学生が障害のない学生と平等に参加できるよう、授業等における情報保障やコミュニケーション上の合理的配慮を含めた必要な配慮、教科書・教材に関する合理的配慮を含めた必要な配慮等及び施設のバリアフリー化を促進する。[8-(3)-1]
○ 障害のある学生一人一人の個別のニーズを踏まえた建設的対話に基づく支援を促進するため、各大学等における相談窓口の統一や支援担当部署及び紛争の防止、解決等に関する調整機関の設置、専門知識や技術を有する障害学生支援担当者の養成・配置など、支援体制の整備や、大学間連携等の支援担当者間ネットワークの構築を推進する。[8-(3)-2]
○ 障害学生支援についての姿勢・方針、手続などに関する学内規程や、支援事例を大学ホームページで公表することを促進する。加えて、これらの学内規程や支援事例のガイダンスにおける学生への周知を促進する。[8-(3)-3]
○ 障害のある学生の就職を支援するため、学内の修学支援担当と就職支援担当、障害のある学生への支援を行う部署等の連携を図り、学外における、地域の労働・福祉機関等就職・定着支援を行う機関、就職先となる企業・団体等との連携やネットワークづくりを促進する。[8-(3)-4]
○ 障害のある学生の支援について理解促進・普及啓発を行うため、その基礎となる調査研究や様々な機会を通じた情報提供、教職員に対する研修等の充実を図る。[8-(3)-5]
○ 大学入学共通テストにおいて実施されている障害等のある受験者の配慮については、一人一人のニーズに応じて、ICTの活用等により、より柔軟な対応に努めるとともに、高等学校及び大学関係者に対し、合理的配慮を含めた必要な配慮の取組について、一層の周知を図る。[8-(3)-6]
○ 障害のある学生の能力・適性、学習の成果等を適切に評価するため、大学等の入試や単位認定等の試験における適切な合理的配慮を含めた必要な配慮の実施を促進する。[8-(3)-7]
○ 大学等の入試における合理的配慮を含めた必要な配慮の内容、施設のバリアフリー化の状況、学生に対する支援内容・支援体制、障害のある学生の受入れ実績等に関する大学等の情報公開を促進する。[8-(3)-8]
(4)生涯を通じた多様な学習活動の充実
○ 学校卒業後の障害者が社会で自立して生きるために必要となる力を生涯にわたり維持・開発・伸長するため、効果的な学習や支援の在り方等に関する研究や成果普及等を行い、障害者の各ライフステージにおける学びを支援する。このことを通じ、障害者の地域や社会への参加を促進し、共生社会の実現につなげる。[8-(4)-1]
○ 障害の有無にかかわらず、全てのこどもたちの成長を地域全体で支える社会が実現できるよう、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動を一体的に推進し、こどもたちの多様な学習・体験活動等を充実する。[8-(4)-2]
○ 放送大学において、テレビ授業への字幕の付与や点字試験問題の作成など、障害のある学生への学習支援を一層充実する。[8-(4)-3]
○ 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第49号)及び「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(令和2年7月策定)等を踏まえ、公共図書館、学校図書館、国立国会図書館、視覚障害者情報提供施設等が連携を図りながら、障害者の読書環境の整備を促進するとともに、図書館サービス人材等の育成を図る。[8-(4)-4]
○ 障害者が生涯にわたり教育やスポーツ、文化などの様々な機会に親しむことができるよう、訪問支援を含む多様な学習活動を行う学びの場やその機会を提供・充実する。[8-(4)-5]
9.雇用・就業、経済的自立の支援
【基本的考え方】
障害者が地域で質の高い自立した生活を営むためには就労が重要であるとの考え方の下、働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、多様な就業の機会を確保するとともに、就労支援の担い手の育成等を図る。また、一般就労が困難な者に対しては工賃の水準の向上を図るなど、総合的な支援を推進する。
さらに、雇用・就業の促進に関する施策と福祉施策との適切な組合せの下、年金や諸手当の支給、経済的負担の軽減等により障害者の経済的自立を支援する。
(1)総合的な就労支援
○ 福祉、教育、医療等から雇用への一層の推進のため、ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターを始めとする地域の関係機関が密接に連携して、職場実習の推進や雇用前の雇入れ支援から雇用後の職場定着支援までの一貫した支援を実施する。[9-(1)-1]
○ ハローワークにおいて、障害の種類・程度に応じたきめ細かな職業相談・紹介、職場適応指導等を実施する。[9-(1)-2]
○ 障害者雇用への不安を解消するため、トライアル雇用39の推進等の取組を通じて、事業主の障害者雇用への理解の促進を図る。[9-(1)-3]
○ 障害者を雇用するための環境整備等に関する各種助成金制度を活用し、障害者を雇用する企業に対する支援を行う。 あわせて、障害者雇用に関するノウハウの提供等に努める。[9-(1)-4]
○ 地域障害者職業センターにおいて、障害者に対する専門的な職業リハビリテーションを行うとともに、事業主に対して雇用管理に関する助言等の支援を行う。また、障害者の職場への適応を促進するため、職場適応援助者(ジョブコーチ)による直接的・専門的な支援を行うとともに、地域の就労支援機関等に対し、職業リハビリテーションサービスに関する技術的な助言・援助等を行い、地域における障害者の就労支援の担い手の育成と専門性の向上を図る。[9-(1)-5]
○ 障害者の身近な地域において、雇用、保健福祉、教育等の関係機関の連携拠点である障害者就業・生活支援センターの設置の促進・機能の充実を図り、障害者に対し就業面及び生活面からの一体的な相談支援を実施する。また、地域の就労支援機関と連携をしながら、継続的な職場定着支援を実施する。[9-(1)-6]
○ 障害者職業能力開発校における受講については、障害者本人の希望を尊重するよう努め、障害の特性に応じた職業訓練を実施するとともに、技術革新の進展等に対応した在職者訓練等を実施する。また、一般の公共職業能力開発施設においては、障害者向けの職業訓練を円滑に実施できるよう体制を整備するほか、民間教育訓練機関等の訓練委託先を活用し、障害者の身近な地域において障害者の態様に応じた多様な委託訓練を実施する。さらに、障害者の職業能力の開発・向上の重要性に対する事業主や国民の理解を高めるための啓発に努める。[9-(1)-7]
○ 就労移行支援事業所等を利用して一般就労をした障害者については、就労に伴う生活面の課題に対する支援を行う就労定着支援により職場定着を推進する。[9-(1)-8]
○ 就労移行支援事業所等において、一般就労をより促進するため、積極的な企業での実習や求職活動の支援(施設外支援)等の推進を図る。また、好事例等を収集し周知することで支援ノウハウの共有を図り、就労の質を向上させる。[9-(1)-9]
(2)経済的自立の支援
○ 障害者が地域で質の高い自立した生活を営み、自らのライフスタイルを実現することができるよう、雇用・就業(自営業を含む。)の促進に関する施策と福祉施策との適切な組合せの下、年金や諸手当を支給するとともに、各種の税制上の優遇措置、低所得者に対する障害福祉サービスにおける利用者負担の無料化などの各種支援制度を運用し、経済的自立を支援する。また、受給資格を有する障害者が、制度への理解が十分でないことにより、障害年金を受け取ることができないことのないよう、制度の周知に取り組む。さらに、年金生活者支援給付金制度の着実な実施により所得保障の充実を図るとともに、障害者の所得状況を定期的に把握する。[9-(2)-1]
○ 特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律(平成16年法律第166号)に基づき、同法にいう特定障害者に対し、特別障害給付金を支給する。[9-(2)-2]
○ 障害者による国や政府関係法人が所有・管理する施設の利用等に当たり、その必要性や利用実態を踏まえながら、利用料等に対する減免等の措置を講ずる。[9-(2)-3]
(3)障害者雇用の促進
○ 障害者雇用促進法に基づく障害者雇用率制度を中心に、引き続き、障害者雇用の促進を図る。平成25(2013)年の障害者雇用促進法の改正により、精神障害者の雇用が義務化40されたことも踏まえ、精神障害者の雇用の促進のための取組を充実させる。[9-(3)-1]
○ 障害者雇用ゼロ企業を始め、法定雇用率を達成していない民間企業については、ハローワークによる指導などを通じ、法定雇用率の達成に向けた取組を進める。また、国の機関においては、民間企業に率先垂範して障害者雇用を進める立場であることを踏まえ、引き続き積極的に障害者雇用を推進する。あわせて、官民ともに法定雇用率の達成のみならず、障害者が個々に持てる能力を発揮していきいきと活躍できるよう雇用の質の向上に向けて取り組む。[9-(3)-2]
○ 地方公共団体における障害者雇用を一層促進するため、地方公務員の募集及び採用並びに採用後の各段階において、平等取扱いの原則41及び合理的配慮指針42に基づく必要な措置が講じられるよう、引き続き、地方公共団体の取組を促していく。[9-(3)-3]
○ 特例子会社制度等を活用し、引き続き、障害者の職域の拡大及び職場環境の整備を図るとともに、障害者雇用率制度43の活用等により、引き続き、重度障害者の雇用の拡大を図る。[9-(3)-4]
○ 一般企業等への就職につなげることを目的として、各府省において知的障害者等を雇用し、1~3年の業務を経験するチャレンジ雇用44を実施する。[9-(3)-5]
○ 都道府県労働局において、使用者による障害者虐待の防止など労働者である障害者の適切な権利保護のため、個別の相談等への丁寧な対応を行うとともに、関係法令の遵守に向けた指導等を行う。[9-(3)-6]
○ 都道府県労働局及びハローワークにおいて、雇用分野における障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供に係る相談・通報等があった場合は、必要に応じて助言、指導、勧告を行うとともに、当事者からの求めに応じ、労働局長による紛争解決援助又は第三者による調停の紛争解決援助を行う。[9-(3)-7:再掲]
○ 障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)により、個々の中小事業主における障害者雇用の取組を促進することに加え、既に認定を受けた事業主の取組状況を、地域における障害者雇用のロールモデルとして公表し、認定事業主の社会的認知度を高め、他社の参考とできるようにすることで、中小事業主全体で障害者雇用の取組が進展することを図る。[9-(3)-8]
○ 国の機関の職員の中から選任された支援者(職場適応支援者)に対して、必要な知識・スキルを習得するためのセミナーを開催するなど、公務部門における自律的な障害者雇用を促進するための取組を実施する。[9-(3)-9]
(4)障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保
○ 多様な障害の特性に応じた支援の充実・強化を図る。また、採用後に障害者となった者についても、必要な職業訓練の機会の確保等円滑な職場復帰や雇用の安定のための施策を講ずる。[9-(4)-1]
○ 職場内で精神・発達障害のある同僚を見守る精神・発達障害者しごとサポーターの養成講座を開催するなどにより精神障害に関する事業主等の理解を一層促進するとともに、精神・発達障害者の特性に応じた支援の充実・強化を通じて、精神障害者等の雇用拡大と定着促進を図る。その際、精神障害者に対する就労支援に当たっては、医療機関等と十分な連携を図るほか、発達障害者、難病患者等に対する専門的な支援の強化を図る。[9-(4)-2]
○ 短時間労働や在宅就業、自営業など障害者が多様な働き方を選択できる環境を整備するとともに、ICTを活用したテレワーク45の一層の普及・拡大を図り、適切な雇用管理を行った上で、時間や場所を有効活用できる柔軟な働き方を推進する。[9-(4)-3]
○ 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(平成24年法律第50号。以下「障害者優先調達推進法」という。)に基づき、障害者就労施設等の提供する物品・サービスの優先購入(調達)を推進する。[9-(4)-4]
○ 障害者等の農林水産業に関する技術習得、多世代・多属性が交流・参加するユニバーサル農園の開設、障害者等が作業に携わる生産・加工・販売施設等の障害者の就労訓練及び雇用を目的とした福祉農園の整備等を推進する(「農」と福祉の連携の推進プロジェクト)。[9-(4)-5]
○ 農業に取り組む障害者就労施設や企業等に対する情報提供、6次産業化支援等を通じて、農業分野での障害者の就労支援を推進する。[9-(4)-6]
(5)一般就労が困難な障害者に対する支援
○ 事業所の経営力強化に向けた支援、共同受注化の推進等、就労継続支援B型事業所等における工賃の向上に向け、官民一体となった取組を推進する。また、就労継続支援A型事業所における就労の質を向上させるため、平成29(2017)年4月に改正した指定障害福祉サービス等基準46に基づき、事業所の生産活動の収支を利用者に支払う賃金の総額以上とすることなどとした取扱いを徹底し、安易な事業参入の抑制を図るとともに、基準を満たさない事業所に経営改善計画の提出を求めることにより、事業所の経営状況を把握した上で地方公共団体が必要な指導・支援を行うことを通じ、障害者の賃金の向上を図る。[9-(5)-1]
○ 障害者優先調達推進法に基づき、障害者就労施設等の提供する物品・サービスの優先購入(調達)を推進する。[9-(5)-2:再掲]
10.文化芸術活動・スポーツ等の振興
【基本的考え方】
全ての障害者の芸術及び文化活動への参加を通じて、障害者の生活と社会を豊かにするとともに、国民の障害への理解と認識を深め、障害者の自立と社会参加の促進に寄与する。また、レクリエーション活動を通じて、障害者等の体力の増強や交流、余暇の充実等を図る。さらに、共生社会の実現に向け、障害の有無にかかわらず誰もが障害者スポーツに親しめる機会をつくるとともに、地域における障害者スポーツの一層の普及に努め、競技性の高い障害者スポーツにおけるアスリートの育成強化を図る。
(1)文化芸術活動、余暇・レクリエーション活動の充実に向けた社会環境の整備
○ 共生社会の実現に向けて、障害者が地域において鑑賞、創造、発表等の多様な文化芸術活動に参加することができるよう、施設・設備の整備等を進めるとともに、障害者のニーズに応じた文化芸術活動を支援する人材の養成や確保、相談体制の整備、関係者のネットワークづくり等の取組を行い、障害者差別解消法改正法により事業者による合理的配慮の提供が義務付けられたことも踏まえて、障害の有無にかかわらず文化芸術活動を行うことのできる環境づくりに取り組む。特に、障害者の文化芸術活動に対する支援や、障害者の優れた芸術作品の展示等の推進、地方公共団体における障害者による文化芸術活動に関する計画策定の促進を図る。[10-(1)-1]
○ 小・中学校・特別支援学校等において、文化芸術活動団体による実演芸術の公演や、障害のある芸術家の派遣を実施することにより、こどもたちに対し文化芸術の鑑賞・体験等の機会を提供する。[10-(1)-2]
○ 国立博物館、国立美術館、国立劇場等における文化芸術活動の公演、展示等において、字幕、音声による解説、手話による案内、触察資料の提供、障害者向けの鑑賞イベントの実施等、障害者のニーズを踏まえつつ、ICT等を活用しながら、アクセシビリティの向上を図る。[10-(1)-3]
○ 全ての障害者の芸術及び文化活動への参加を通じて障害者の生活と社会を豊かにするとともに、国民の障害への理解と認識を深め、障害者の自立と社会参加の促進に寄与するため、障害者芸術・文化祭を開催し、障害者の文化芸術活動の普及を図る。また、文化芸術団体や地方公共団体等が行う障害者の文化芸術活動に関する取組を支援する。[10-(1)-4]
○ 文化芸術振興費補助金において、聴覚障害者のためのバリアフリー字幕及び視覚障害者のための音声ガイド制作支援を行うことにより、我が国の映像芸術の普及・振興を図る。[10-(1)-5]
○ 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律及び「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」等を踏まえ、公共図書館、学校図書館、国立国会図書館、視覚障害者情報提供施設等が連携を図りながら、障害者の読書環境の整備を促進するとともに、図書館サービス人材等の育成を図る。[10-(1)-6:再掲]
○ レクリエーション活動を通じて、障害者等の体力増強、交流、余暇活動等に資するため、各種レクリエーション教室や大会・運動会などを開催し、障害者等が地域社会における様々な活動に参加するための環境の整備や必要な支援を行う。[10-(1)-7]
○ 劇場・音楽堂等や博物館などの地域の文化施設において、ユニバーサルデザイン化・バリアフリー化を推進し、文化施設へのアクセシビリティの向上を支援する。[10-(1)-8]
○ 令和7(2025)年に開催される日本国際博覧会において、2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを踏まえ、障害の有無にかかわらず全ての人が快適に移動や利用ができ、不安や不自由なく過ごすことができる施設を整備するとともに、文化芸術による共生社会の実現に向けた我が国の取組を発信する。[10-(1)-9]
(2)スポーツに親しめる環境の整備、パラリンピック等競技スポーツに係る取組の推進
○ 障害者が地域においてスポーツに親しむことができる施設・設備の整備等を進めるとともに、障害者のニーズに応じたスポーツに関する人材の養成及び活用の推進等の取組を行い、障害の有無にかかわらずスポーツを行うことのできる環境づくりに取り組む。その際、指導者になる障害者の増加や障害者自身のボランティアへの参画を図る。併せて、特別支援学校中学部等を含めた運動部活動の地域連携・地域移行に向けて、生徒のスポーツ機会の実態等を踏まえ、広く障害者スポーツに係るリソースも積極的に活用し、人材の育成や、地域の体制整備を図る。さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピックのレガシーをいかし、共生社会の実現に向け、障害の有無にかかわらず誰もが障害者スポーツに親しめる機会をつくり、パラリンピック等の障害者スポーツの振興を図る。[10-(2)-1]
○ 全国障害者スポーツ大会の開催を通じて障害者スポーツの普及を図るとともに、民間団体等が行うスポーツ等に関する取組を支援する。[10-(2)-2]
○ パラリンピック競技大会、デフリンピック競技大会47、スペシャルオリンピックス世界大会48等への参加の支援等、スポーツ等における障害者の国内外の交流を支援するとともに、国立障害者リハビリテーションセンター等の関係機関と連携し、パラリンピック等の競技性の高い障害者スポーツにおけるアスリートの育成強化を図る。[10-(2)-3]
○ 性別、年齢、能力等に関係なく、地域において誰もがスポーツ施設でスポーツを行いやすくするため、模範となるTokyo2020アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえ、ハード面の整備だけでなくソフト面での知恵と工夫による積極的な対応も含めた施設のユニバーサルデザイン化等について、2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機に整備された施設の取組を含む先進事例の情報提供等により推進する。[10-(2)-4]
11.国際社会での協力・連携の推進
【基本的考え方】
条約の締約国として、障害者権利委員会による審査等に適切に対応するとともに、障害者施策を国際的な協調の下に推進するため、障害分野における国際的な取組に積極的に参加する。また、開発協力の実施に当たっては、SDGsの達成に向けて、条約が規定するように、障害者を包容し、かつ、障害者にとって利用しやすいものであることを確保するとともに、能力の開発49を容易にし、及び支援することなどに取り組む。さらに、文化芸術活動やスポーツ等の分野を含め、障害者の国際交流等を推進する。
(1)国際社会に向けた情報発信の推進等
○ 我が国の障害者施策について、国連や地域の国際機関等、国際的な非政府機関における障害者のための取組への積極的な参加や、障害者権利委員会による審査等への適切な対応も含めて、その特徴や先進性に留意しつつ、対外的な情報発信を推進する。[11-(1)-1]
○ 障害者権利委員会を始めとする国際機関や外国政府等の障害者施策に関する情報の収集及び提供に努める。[11-(1)-2]
(2)国際的枠組みとの連携の推進
○ 障害者施策は国際的な協調の下に行われることが必要であり、国連や地域の国際機関等、国際的な非政府機関における障害者のための取組に積極的に参加するほか、条約の締約国として、障害者権利委員会による審査等に適切に対応する。[11-(2)-1]
○ 平成27(2015)年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に基づき、SDGsの達成のため、障害者を含めた「誰一人取り残さない」取組を推進する。[11-(2)-2]
○ 令和5(2023)年から10年間の「アジア太平洋障害者の十年」について、アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)事務局や他加盟国と十分に連携しながら、域内の障害分野における国際協力に積極的に取り組む。[11-(2)-3]
(3)政府開発援助を通じた国際協力の推進等
○ 「開発協力大綱」(平成27年2月10日閣議決定)に基づき、開発協力の実施に当たっては、相手国の実情やニーズを踏まえるとともに、障害者を含む脆弱な立場に置かれやすい人々に特に焦点を当て、その保護と能力強化を通じて、人間の安全保障の実現に向けた努力を行い、相手国においてもこうした我が国の理念が理解され、浸透するように努め、国際社会における主流化を一層推進する。[11-(3)-1]
○ 開発途上国において障害分野における活動に携わる組織・人材の能力向上を図るため、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じた研修員の受入れや専門家の派遣等の協力を行う。また、草の根・人間の安全保障無償資金協力等を通じて、各障害分野における活動を行う現地の非政府組織(以下「NGO」という。)等に対する支援を行う。[11-(3)-2]
○ 障害分野における国際協力の実施に当たっては、支援の提供と受入れの両面における障害者の一層の参画を得るように努める。[11-(3)-3]
(4)障害者の国際交流等の推進
○ 障害者団体等による国際交流や障害分野において社会活動の中核を担う青年リーダーの育成を支援する。また、開発途上国における障害者関連事業に携わる我が国のNGOと連携を図るとともに、当該NGOの事業に対する支援を行う。[11-(4)-1]
○ スポーツ外交推進の観点から、障害者スポーツに関しても、スポーツ器材の輸送支援を可能な限り実施する。[11-(4)-2]
○ 広報文化外交の観点から、障害者の文化芸術活動を含む日本の多様な魅力の発信に努める。[11-(4)-3]
おわりに ~今後に向けて~
本基本計画は、障害者を、必要な支援を受けながら自らの決定に基づき社会のあらゆる活動に参加する主体として捉えた上で、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することで、条約が目指す社会の実現につなげる。
加えて、災害発生時や新型コロナウイルス感染症の感染拡大など、非常時に障害者が受ける影響やニーズの違いに留意しながら取組を進めることが必要であることや、2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機とした機運を一過性のものにすることなく、障害者への偏見や差別意識を社会から払拭し、障害の「社会モデル」等障害者の人権の確保の上で基本となる考え方や原則への理解促進に継続して取り組み、多様性と包摂性のある社会の実現を目指すことが重要である。これらの社会情勢の変化を踏まえ、政府において本基本計画に記載する各分野の施策を総合的かつ計画的に実施する。
令和4(2022)年8月に、条約の締約国として、障害者権利委員会による我が国政府報告の審査が実施され、同年9月には同委員会の見解及び勧告を含めた総括所見が採択・公表された。総括所見では、インクルーシブ教育を受ける権利の認識、障害者の脱施設化及び自立生活支援、精神障害者の非自発的入院及び隔離・拘束に関わる法制度の見直し、意思決定を代行する制度から支援を受けて意思決定をする仕組みへの転換等多岐にわたる事項に関し、見解及び勧告が示されたことを受け、各府省において、本基本計画に盛り込まれていない事項も含め、勧告等を踏まえた適切な検討や対応が求められる。また、障害者政策委員会においても、必要に応じ、各府省における検討や対応を踏まえながら、本基本計画の実施状況の把握等を通じ、勧告等への対応について監視を行っていく。なお、障害者施策の検討及び評価に当たっては、「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」の考え方の下、障害者が政策決定過程に参画し、障害者の意見を施策に反映させることが重要である。
全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら、世界に誇れる共生社会の実現を目指して、政府全体で不断に取組を進めていく。
1 企画(Plan)、実施(Do)、評価(Check)及び見直し(Act)をいう。
2 様々な心身の特性や考え方を持つ全ての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションを取り、支え合うこと。「心のバリアフリー」を体現するためのポイントは、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、以下の3点とされている。
(1)障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。
(2)障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。
(3)自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、全ての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。
3 英語表記では「Nothing About Us Without Us」。
4 英語表記では「inclusion」。条約第3条(c)では「包容」と訳されている。
5 臨時委員、特別委員及び専門委員を含む。
6 障害により情報の取得が困難な者に対して、代替手段を用いて情報を提供すること。
7 施設・設備、サービス、情報、制度等の利用しやすさのこと。
8 WTOの政府調達に関する協定(以下「WTO政府調達協定」という。)その他の国際約束の適用を受ける調達又は「政府調達手続に関する運用指針等について」(平成26年3月31日関係省庁申合せ。以下「運用指針等」という。)の適用を受ける調達をいう。
9 WTO政府調達協定その他の国際約束又は運用指針等をいう。
10 JISZ8071「規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針」など、国際規格に整合する国内の指針等を含む。
11 中小企業等に対する研究開発補助金等の支出機会の増大を図り、その成果の事業化を支援する省庁横断的な制度(SBIR:Small Business Innovation Research)。
12 交通事故や病気などによる脳への損傷に基づく後遺症により、記憶、注意、遂行機能、社会的行動などの認知機能(高次脳機能)が障害された状態を指し、器質性精神障害として位置付けられる。
13 同基本方針における「こども」とは、大人として円滑な社会生活を送ることができるようになるまでの成長の過程にある者をいうとされている。
14 英語表記では「Evidence-Based Policy Making」。
15 盲導犬、介助犬及び聴導犬をいう。
16 毎年12月3日から9日までの1週間を期間とする。
17 発達障害を含む(7- (1)-2において同じ)。
18 医療を受けられる環境の整備を含む(6- (1)-7及び7- (3)-8において同じ)。
19 令和3(2021)年3月に改正。
20 バリアフリー法施行令改正(令和2(2020)年12月9日公布、令和3(2021)年10月1日施行)による。
21 施設や製品等について、誰にとっても利用しやすいデザインにするという考え方。
22 駅、官公庁施設、病院等を相互に連絡する道路をいう(2- (4)-7及び2- (4)-8において同じ)。
23 日本産業規格等を想定。
24 ウェブコンテンツ(掲載情報)に関するサービスやシステムを含む。
25 CM番組を含む。
26 ウェブアクセシビリティ(誰もがウェブサイト等で提供される情報や機能を支障なく利用できること)の維持・向上に向けた公的機関の取組を支援することを目的とした手順書。
27 我が国で開催された国連関係の国際会議としては史上最大級として、平成27(2015)年3月に仙台市で開催された。「アクセシブル・カンファレンス」(障害者も苦労することなく会議に参加できる会議)とすることを目指してバリアフリー化や情報保障等の様々な取組が行われ、200名以上の障害当事者の参加が得られた。また、全体会合でも初めて障害者グループの代表の発言機会が確保され、障害当事者の登壇者より、各国が取り組む防災の行動枠組みが障害者を含めインクルーシブなものであることを求める主張等がなされた。
28 一般の避難所では生活することが困難な要配慮者のために特別な配慮がなされた避難所。福祉避難所の指定に当たっては、要配慮者や同居家族の生活圏やコミュニティとのつながりに配慮することが望ましい。
29 土砂災害防止のために渓流等に設置される砂防設備。
30 必要な物資を含む。
31 毎年11月12日から11月25日(女性に対する暴力撤廃国際日)までの2週間に行われる。
32 レギュラトリーサイエンス戦略相談(大学・研究機関、ベンチャー企業を主な対象とし、医薬品、医療機器又は再生医療等製品の候補選定の最終段階から臨床開発初期に至るまでに必要な試験・治験計画策定等に関する相談)。
33 発達障害児の子育て経験のある親であって、その経験をいかし、こどもが発達障害の診断を受けて間もない親などに対して相談や助言を行う人のこと。
34 失語症等の関連症状を併発した場合を含む。
35 ピア(peer)は「仲間、同輩、対等者」の意。同じ課題や環境を体験する者がその体験から来る感情を共有することにより、専門職による支援では得がたい安心感や自己肯定感を得ることなどを目的とする。
36 平成30年に第1回国家試験を実施。
37 理学療法士は「PT」、作業療法士は「OT」、言語聴覚士は「ST」と表記する場合もある。
38 条約第24条において、「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みとされている。
39 障害者を短期の試行雇用の形で受け入れることにより、その後の常用雇用への移行の促進を図ることを目的とする。
40 平成30(2018)年4月施行。
41 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第13条の規定に基づく原則。
42 雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成27年厚生労働省告示第117号)
43 障害者雇用率制度では、重度身体障害者及び重度知的障害者(短時間労働者を除く。)については、1人を2人として算定することとされている。
44 各府省・各地方公共団体において知的障害者等を雇用し、1~3年の業務の経験を積んだ後、ハローワーク等を通じて一般企業等への就職の実現を図ることを目的とする。
45 ICTを活用した、場所や時間を有効活用できる柔軟な働き方のこと。
46 障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)
47 4年に一度行われる聴覚障害者の国際スポーツ大会であり、夏季大会と冬季大会が開催されている。
48 4年に一度行われる知的障害者の国際スポーツ大会であり、夏季大会と冬季大会が開催されている。
49 情報、経験、研修計画及び最良の実例の交換及び共有を通じたものを含む。
障害者基本計画(第5次)関連成果目標
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
権利擁護の推進、虐待の防止 | 成年後見制度の適切な利用のための支援の実施状況 | 地域生活支援事業(成年後見制度利用支援事業)を実施する地方公共団体の数 | 1,650団体 (2020年度) |
1,741団体 (2024年度末) |
担い手(法人後見実施団体)の養成研修を実施する都道府県の数 | 15都道府県 (2020年度) |
全都道府県 (2024年度末) |
||
ピアサポートの実施状況 | 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業(ピアサポートの活用に係る事業)を実施する地方公共団体の数 | 52団体 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
障害者ピアサポート研修事業を実施する都道府県の数及び研修修了者数 | 9都道府県 (2021年度) |
全都道府県 (2023年度末) |
||
641人 ※ピアサポーター、管理者及び基礎・専門・フォローアップ研修の合計値 |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
ピアカウンセリングの実施状況 | 地域生活支援事業(ピアカウンセリングの活用に係る事業)を実施する地方公共団体の数 | 634団体 (2021年4月) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
障害を理由とする差別の解消の推進 | 障害者差別解消に向け行政機関職員が遵守すべき服務規律の整備状況 | 障害者差別解消法に基づく対応要領を策定している地方公共団体の割合 | 市町村(※1):73.5% (2021年4月) |
100% (2027年度) |
地域で取組を効果的かつ円滑に行うためのネットワークの形成状況 | 障害者差別解消支援地域協議会を設置している地方公共団体の割合 | 中核市等(※2):83% (2021年4月) |
100% (2027年度) |
|
その他市町村(※1):55.9% (2021年4月) |
80%以上 (2027年度) |
(※1)政令指定都市及び中核市等(※2)以外の市並びに町村
(※2)中核市、特別区及び県庁所在地(政令指定都市を除く。)
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
住宅の確保 | 障害者が地域で安全に安心して暮らせる住環境の整備状況 | 公的賃貸住宅団地(100戸以上)における地域拠点施設併設率(注)高齢者世帯、障害者世帯、子育て世帯等の支援に資する施設。 | 29% (2019年度) |
おおむね4割 (2030年度) |
障害者が地域で安全に安心して暮らすための支援の実施状況 | 共同生活援助のサービス見込量 | 154,680人 (2022年1月) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | |
障害者が地域で安全に安心して暮らすための支援体制の整備状況 | 地域生活支援拠点を少なくとも一つ整備している市町村又は障害福祉圏域の数 | 921市町村118圏域 (2021年4月) |
全ての地域 (2027年度) (注)各市町村又は各障害福祉圏域に少なくとも一つ整備 |
|
精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進事業(精神障害者の住まいの確保支援に係る事業)を実施する地方公共団体の数 | 5地方公共団体 (2020年3月) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
居住支援協議会を設立する市区町村による人口カバー率 | 28% (2021年度) |
50% (2030年度) |
||
移動しやすい環境の整備等 | 旅客施設のバリアフリー化の進捗状況 | 一定の旅客施設のバリアフリー化率(※3) | 段差解消:94.5% (2020年度) |
原則100% (2025年度) |
視覚障害者誘導用ブロックの整備:96.7% (2020年度) |
原則100% (2025年度) |
|||
案内設備の設置:80.3% (2020年度) |
原則100% (2025年度) |
|||
障害者用トイレの設置:91.6% (2020年度) |
原則100% (2025年度) |
|||
ホームドア又は可動式ホーム柵の整備番線数(鉄軌道駅全体):2192番線 (2020年度) |
3000番線 (2025年度) |
|||
ホームドア又は可動式ホーム柵の整備番線数(平均利用者数1日10万人以上の駅):334番線 (2020年度) |
800番線 (2025年度) |
|||
車両等のバリアフリー化の進捗状況 | 車両等のバリアフリー化率(※4) | 鉄軌道車両のバリアフリー化率:48.6% (2020年度) |
約70% (2025年度) |
|
バス車両(基準の適用除外の認定を受けた車両を除く。)のうち、ノンステップバスの導入率:63.8% (2020年度) |
約80% (2025年度) |
|||
適用除外認定を受けたバス車両のうち、リフト付きバス又はスロープ付きバスの導入率:5.8% (2020年度) |
約25% (2025年度) |
|||
鉄軌道アクセスがない一定の航空旅客ターミナル(※3)へのアクセスバス路線における、バリアフリー化されたバス車両が運行されている運行系統の割合:32% (2020年度) |
約50% (2025年度) |
|||
貸切バスの導入台数:1,975台 (2020年度) |
約2,100台 (2025年度) |
|||
タクシー車両のうち、福祉タクシーの導入台数:41,464台 (2020年度) |
約90,000台 (2025年度) |
|||
各都道府県におけるタクシーの総車両数に対するユニバーサルデザインタクシーの割合:―% (2020年度) |
約25% (2025年度) |
|||
旅客船のバリアフリー化率:53.3% (2020年度) |
約60% (2025年度) |
|||
航空機のバリアフリー化率:99.7% (2020年度) |
原則100% (2025年度) |
|||
アクセシビリティに配慮した施設、製品等の普及促進 | 不特定多数が利用する施設等のバリアフリー化の進捗状況 | 不特定多数の者等が利用する一定の建築物のバリアフリー化率(※5) | 約63% (2021年度) |
約67% (2025年度) |
規模の大きいおおむね2ha以上の都市公園における園路及び広場、駐車場、便所のバリアフリー化率 | 園路及び広場:約63% (2018年度) |
約70% (2025年度) |
||
駐車場:約53% (2018年度) |
約60% (2025年度) |
|||
便所:約61% (2018年度) |
約70% (2025年度) |
|||
障害者に配慮した道路の整備状況 | 特定道路におけるバリアフリー化率 | 67% (2020年度) |
70% (2025年度) |
|
障害者に配慮した交通安全施設等の整備状況 | 主要な生活関連経路における信号機等のバリアフリー化率 | 99% (2019年度) |
原則100% (2025年度) |
|
視覚障害者の移動上の安全性を確保することが特に必要と認められる部分に設置されている音響信号機及びエスコートゾーンの設置率 | 50.8% (2021年度) |
原則100% (2025年度) |
(※3) 鉄軌道駅及びバスターミナルについては、平均利用者数が3,000人/日以上の施設及び2,000人/日以上3,000人/日未満で重点整備地区内の生活関連施設に位置付けられた施設、旅客船ターミナル及び航空旅客ターミナルについては、平均利用者数が2,000人/日以上の施設を対象。なお、鉄軌道駅の現状値については、平成30年3月に改正された公共交通移動等円滑化基準の改正前の基準をもって適合率を算定
(※4) 公共交通移動等円滑化基準に適合した車両等の割合又は台数
(※5) 床面積2,000m2以上の特別特定建築物(病院、劇場、ホテル、老人ホーム等の不特定多数の者又は主として高齢者、障害者等が利用する建築物。公立小学校等を除く。)の総ストック数のうち、バリアフリー法に基づく建築物移動等円滑化基準に適合するものの割合
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
情報通信における情報アクセシビリティの向上 | 障害者に配慮した情報通信の充実に向けた支援の進捗状況 | 「デジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発支援」事業終了後3年以上経過した案件の事業化率 | 58.3% (2018年度) |
前年度比同水準 (~2027年度) |
意思疎通支援に資する機器の実用化に向けた状況 | 障害者自立支援機器等開発促進事業の開発助成を経て製品化された機器数(累計) (注)助成から製品化まで数年間を要するものが多い |
21件 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
ICTサポートセンターの設置状況 | ICTサポートセンターを設置している都道府県数 | 31都道府県 (2022年度) |
全都道府県 (2024年度) |
|
電話リレーサービスの普及状況 | 電話リレーサービスの認知及び理解に資する講習会や利用登録会等の実施を通じた利用者の登録件数 | ― (注)2022年度から電話リレーサービス提供機関において利用者登録会等を実施 |
前年度比増 (~2027年度) |
|
情報提供の充実等 | 障害者に配慮した放送番組の普及状況 | 「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」の対象の放送番組の放送時間に占める字幕放送時間の割合 | NHK総合:100% 在京キー5局平均:100% (2021年度) |
(「視聴覚障害者等向け放送の充実に関する研究会」における議論を踏まえ設定)【参考】現行の「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」における目標値 NHK総合及び在京キー5局:100%(2027年度) |
「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」の対象の放送番組の放送時間に占める解説放送時間の割合 | NHK総合:15.2% NHK教育:19.9%在京キー5局平均:17.6% (2021年度) |
(「視聴覚障害者等向け放送の充実に関する研究会」における議論を踏まえ設定)【参考】現行の「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」における目標値 NHK総合及び在京キー5局:15%以上( 2027 年度) NHK教育:20 % 以上(2027年度) |
||
1週間当たりの手話放送時間 | NHK総合:1時間16分 NHK教育:4時間8分 在京キー5局平均:18分 (2021年度) |
(「視聴覚障害者等向け放送の充実に関する研究会」における議論を踏まえ設定)【参考】現行の「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」における目標値 NHK及び在京キー5局:平均15分/週以上(2027年度) |
||
障害者に配慮した通信・放送サービスの普及に向けた支援の進捗状況 | 「身体障害者向け通信・放送役務の提供・開発等の推進」助成終了後2年経過時の事業継続率 | 100% (2019年度) |
前年度比同水準 (~2027年度) |
|
意思疎通支援の充実 | 意思疎通支援に資する機器の実用化に向けた状況 | 障害者自立支援機器等開発促進事業の開発助成を経て製品化された機器数(累計)[再掲] (注)助成から製品化まで数年間を要するものが多い |
21件 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
行政情報のアクセシビリティの向上 | 公的機関のウェブサイトにおける情報アクセシビリティの確保状況 | 公的機関のウェブサイトの情報バリアフリーに関するJIS規格への準拠率 | 76.5% (2021年度) |
84.5% (2027年度) |
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
防災対策の推進 | 災害発生時における迅速な避難等に関する取組の実施状況 | 土砂災害ハザードマップにおける土砂災害警戒区域の新規公表数 | 約16,000か所 (2020年度) |
約56,000か所 (2025年度) |
復興の推進 | 復興施策における障害者に関する取組の実施状況 | 「男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~」等に掲載されている障害者関係施策のフォローアップ記事や新規事例記事の掲載件数 | 1件 (2022年度) |
3件 (2023~2027年度) |
消費者トラブルの防止及び被害からの救済 | 障害者等の消費生活上特に配慮を要する消費者を見守るための体制の整備状況 | 消費者安全確保地域協議会の設置市区町村の都道府県内人口カバー率50%以上の都道府県数 | 16府県 (2022年4月) |
全都道府県 (2024年度) |
地域の見守り活動に消費生活協力員・協力団体を活用する市区町村の都道府県内人口カバー率50%以上の都道府県数 | 3県 (2021年4月) |
全都道府県 (2024年度) |
||
消費者生活相談員の研修参加率(各年度)が100%となる都道府県数 | 3県 (2021年4月) |
全都道府県 (2024年度) |
||
消費者行政職員の研修参加率(各年度)が80%以上となる都道府県数 | 全ての都道府県で未達成 (2021年4月) |
全都道府県 (2024年度) |
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
選挙等における配慮等 | 選挙における視覚障害者への配慮の状況 | 国政選挙において「選挙のお知らせ」の点字版及び音声版を配布する都道府県の数 | 全都道府県 (2019年度) |
全都道府県 (2027年度) |
選挙における身体障害者への配慮の状況 | 国政選挙における投票所及び期日前投票所の段差解消等への対応状況 | 期日前投票所:99.6% (2019年度) |
100% (2027年度) |
|
投票所:99.8% (2019年度) |
100% (2027年度) |
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
精神保健・医療の適切な提供等 | 精神病棟における長期入院の状況 | 精神病床における1年以上の長期入院患者数(注) (注)認知症患者を含む。 |
約17.1万人 (2020年度) |
13.8万人 (2026年度) |
精神保健観察の対象者の社会復帰の状況 | 精神保健観察事件年間取扱件数に占める処遇終了決定(注)を受けた者及び期間満了により精神保健観察を終了した者の数の割合 (注)心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号)第56条第1項第2号に基づく保護観察所長の申立てによる処遇終了決定に限る。 |
26.1% (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
精神障害者の地域移行に向けた支援の実施状況 | 地域移行支援のサービス見込量 | 0.05万人 (2021年11月) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | |
地域定着支援のサービス見込量 | 0.4万人 (2021年11月) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | ||
地域移行・地域生活支援事業を実施する地方公共団体の数[一部再掲] | アウトリーチ事業:30団体 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
ピアサポート活用事業:25団体 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進事業を実施する事業所数 | 9,111事業所 (2020年3月) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
精神障害者の地域移行の取組を担う精神保健福祉士及び公認心理師の資格登録数 | 精神保健福祉士:97,339人 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
公認心理師:54,248人 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
精神保健・医療を提供する体制の整備状況 | 指定通院医療機関(病院、診療所)の数 | 689か所 (2022年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
全国の精神医療審査会における退院等請求の平均審査期間(請求受理から結果通知まで) | 35日 (2020年度) |
前年度比減 (~2027年度) |
||
訪問系サービスの見込量 | 居宅介護 185,183人 (2020年度月次平均) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
重度訪問介護 11,331人 (2020年度月次平均) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
同行援護 23,997人 (2020年度月次平均) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
行動援護 10,611人 (2020年度月次平均) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
心の健康づくり対策の実施状況 | メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合 | 61.4% (2020年度) |
80%以上 (2027年度) |
|
心の健康づくりに関する情報発信の状況 | ウェブサイト「みんなのメンタルヘルス」のアクセス件数 | 13,538,191件 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
保健・医療の充実等 | 医療の提供が必要な障害者の受入れ体制の整備状況 | 医療型短期入所のサービス見込量 | 22,863人/日 (2020年度) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) |
289か所 (2020年4月) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | |||
精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進事業を実施する事業所数[再掲] | 9,111事業所 (2020年3月) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
都道府県が指定する高次脳機能障害における支援拠点機関の設置数 | 119か所 (2022年4月) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
障害者の地域移行に向けた支援の実施状況 | 地域移行・地域生活支援事業を実施する地方公共団体の数[再掲] | アウトリーチ事業:30団体 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
ピアサポート活用事業:25団体 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
福祉施設における歯科口腔保健の推進に向けた取組状況 | 障害者支援施設及び障害児入所施設における定期的な歯科検診の実施率 | 77.9% (2019年度) |
(次期の歯科口腔保健の推進に関する基本的事項を踏まえて策定) | |
難病患者等に対する相談支援の実施状況 | 難病相談支援センターにおける相談件数 | 108,374件 (2018年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
保健・医療の向上に資する研究開発等の推進 | 医薬品等の研究開発の状況 | 治験の届出数 | 808件 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で医療上の必要性が高いと判断され、開発要請がかかった品目の薬事承認や適応拡大の件数 | 11件 (2021年度) |
年間7件 | ||
再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号)に基づく再生医療等提供計画の届出件数 (注)臨床研究に限る。 |
109件 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
医療機器等の研究開発の状況 | 革新的な医療機器・システムの実用化の件数 | 4件 (2021年度) |
5件 (2027年度) |
|
SBIR推進プログラム(福祉課題)のうち高齢者の自立支援や介護者の負担軽減等に資する福祉機器の開発の採択件数 | 3件 (2022年度まで) |
10件 (~2027年度) |
||
医薬品等の研究開発に対する支援の実施状況 | RS戦略相談の実施件数 (注)RS戦略相談:レギュラトリーサイエンス戦略相談 |
104件 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
保健・医療を支える人材の育成・確保 | 地域における保健・医療人材の育成に向けた体制の整備状況 | 地域保健従事者現任教育推進事業を実施する地方公共団体の数 | 59団体 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
難病に関する保健・医療施策の推進 | 難病に関する医療費助成の状況 | 特定医療費受給者証の所持者数 | 1,033,770人 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
小児慢性特定疾病医療受給者証の所持者数 | 123,693人 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
難病患者等に対する相談支援の実施状況 | 難病相談支援センターにおける相談件数[再掲] | 108,374件 (2018年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
難病に関する研究の支援状況 | 難病に関する研究課題の採択状況 | 101課題(難治性疾患政策研究事業:公募19課題、指定1課題、難治性疾患実用化研究事業:1次公募67課題、2次公募14課題) (2021年度) |
前年度比同水準以上 (~2027年度) |
|
難病に関する医療を提供する体制の整備状況 | 都道府県における難病診療連携拠点病院の設置率 | 93% (2021年度) |
100% (2027年度) |
|
障害の原因となる疾病等の予防・治療 | 疾病等の患者に対する支援の実施状況 | 地域移行・地域生活支援事業(アウトリーチ事業)を実施する地方公共団体の数 | 30団体 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進事業を実施する事業所数[再掲] | 9,111事業所 (2020年3月) |
前年度比増 (~2027年度) |
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
意思決定支援の推進 | 成年後見制度の適切な利用のための支援の実施状況 | 地域生活支援事業(成年後見制度利用支援事業)を実施する地方公共団体の数[再掲] | 1,650団体 (2020年度) |
1,741団体 (2024年度末) |
担い手(法人後見実施団体)の養成研修を実施する都道府県の数[再掲] | 15都道府県 (2020年度) |
全都道府県 (2024年度末) |
||
相談支援体制の構築 | 障害者等に対する相談支援の実施状況 | 相談支援事業の利用者数 | 計画相談支援:22.3万人 (2021年12月) |
前年度比増 (~2027年度) |
障害児相談支援:7.3万人 (2021年12月) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
都道府県が開催する「相談支援従事者研修」(初任者・現任)の修了者数 | 7,392人 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
障害者ピアサポート研修事業を実施する都道府県の数及び研修修了者数[再掲] | 9都道府県 (2021年度) |
全都道府県 (2023年度末) |
||
641人 ※ピアサポーター、管理者及び基礎・専門・フォローアップ研修の合計値 |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
難病相談支援センターにおける相談件数[再掲] | 108,374件 (2018年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
都道府県が指定する高次脳機能障害における支援拠点機関の設置数[再掲] | 119か所 (2022年4月) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
地域移行支援、在宅サービス等の充実 | 福祉施設入所者の地域移行の状況 | 福祉施設入所者の地域生活への移行者数(累計) | 4.6万人 (2008~2018年度) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) |
円滑な地域生活に向けた支援の実施状況 | 共同生活援助のサービス見込量[再掲] | 154,680人 (2022年1月) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | |
自立生活援助のサービス見込量 | 1,251人 (2022年1月) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | ||
訪問系サービスの見込量[再掲] | 居宅介護 185,183人 (2020年度月次平均) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
重度訪問介護 11,331人 (2020年度月次平均) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
同行援護 23,997人 (2020年度月次平均) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
行動援護 10,611人 (2020年度月次平均) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
自立訓練(機能訓練・生活訓練)のサービス見込量 | 1.9万人 (2021年3月) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | ||
短期入所のサービス見込量 | 385,523人/日 (2021年度) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | ||
円滑な地域生活に向けた支援体制の整備状況 | 地域生活支援拠点を少なくとも一つ整備している市町村数 | 921市町村 (2021年4月) |
全ての地域 (2023年度) (注)各市町村に少なくとも一つ整備 |
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精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築推進事業を実施する事業所数[再掲] | 9,111事業所 (2020年3月) |
前年度比増 (~2027年度) |
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障害のあるこどもに対する支援の充実 | 障害のあるこどもに対する支援の実施状況 | 児童発達支援事業等を行う事業所数 (注)児童福祉法等に基づくもの |
児童発達支援:8,408事業所 (2021年3月) |
(地方公共団体が作成する第2期障害児福祉計画等の状況を踏まえ設定) |
医療型児童発達支援:90事業所 (2021年3月) |
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放課後等デイサービス:15,994事業所 (2021年3月) |
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保育所等訪問支援:985事業所 (2021年3月) |
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児童発達支援センター:719事業所 (2021年3月) |
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障害児入所施設:379事業所 (2021年3月) |
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巡回支援専門員整備事業を行う市町村数 | 460市町村 (2020年度) |
500市町村 (2025年度) |
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重症心身障害児に対する支援の実施状況 | 重症心身障害児を対象に児童発達支援事業等を行う事業所数 (注)児童福祉法等に基づくもの |
児童発達支援:598事業所 (2021年3月) |
(地方公共団体が作成する第2期障害児福祉計画等の状況を踏まえ設定) (注)原則として各市町村に少なくとも1か所以上を想定 |
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医療型児童発達支援:59事業所 (2021年3月) |
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放課後等デイサービス:1,859事業所 (2021年3月) |
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発達障害者の支援体制の整備状況 | 発達障害者支援センターの複数設置又は地域支援マネージャーの配置のいずれかを行っている都道府県及び政令指定都市の割合 |
79%
(2021年度) (注)内訳 ・発達障害者支援センターの複数設置の割合:31%
・地域支援マネージャーの配置の割合:78% |
100% (2027年度) |
|
発達障害に対する医療関係者の理解促進に向けた取組状況 | かかりつけ医等発達障害対応力向上研修を実施している都道府県数 | 30都道府県 (2021年度) |
全都道府県 (2027年度) |
|
障害福祉サービスの質の向上等 | サービスを提供する者に対し指導を行う者の養成状況 | 都道府県が開催する「サービス管理責任者研修」・「児童発達支援管理責任者研修」(基礎・実践・更新)の修了者数 | 25,295人 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
福祉用具その他アクセシビリティの向上に資する機器の普及促進・研究開発及び身体障害者補助犬の育成等 | 障害者のアクセシビリティの向上に資する機器の製品化に向けた状況 | 障害者自立支援機器等開発促進事業の開発助成を経て製品化された機器数(累計)[再掲] (注)助成から製品化まで数年間を要するものが多い |
21件 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
福祉用具の製品化に向けた状況 | SBIR推進プログラム(福祉課題)のうち高齢者の自立支援や介護者の負担軽減等に資する福祉機器の開発の採択件数[再掲] | 3件 (2022年度まで) |
10件 (~2027年度) |
|
障害福祉を支える人材の育成・確保 | 障害福祉を支える人材の育成状況 | 精神障害者の地域移行の取組を担う精神保健福祉士及び公認心理師の資格登録数[再掲] | 精神保健福祉士:97,339人 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
公認心理師:54,248人 (2021年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
インクルーシブ教育システムの推進 | 個別の指導計画や個別の教育支援計画の活用 | 幼・小・中・高等学校等において、個別の指導計画の作成を必要とする児童等のうち、実際に個別の指導計画が作成されている児童等の割合 | 90.9% (2018年度) |
おおむね100% (2027年度) |
幼・小・中・高等学校等において、個別の教育支援計画の作成を必要とする児童等のうち、実際に個別の教育支援計画が作成されている児童等の割合 | 84.8% (2018年度) |
おおむね100% (2027年度) |
||
幼・小・中・高等学校等において、合理的配慮の提供について個別の指導計画又は個別の教育支援計画に明記することとしている学校の割合 | 72.4% (2018年度) |
おおむね100% (2027年度) |
||
通級による指導の普及状況 | 小・中・高等学校等において通級による指導を受けている児童生徒数 | 164,697人 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
特別支援教育の推進に向けた体制の整備状況 | 特別支援教育を行うための体制の整備及び必要な取組を行っている幼・小・中・高等学校等の割合 (注)校内委員会の設置、特別支援教育コーディネーターの指名、教師の専門性向上 |
校内委員会の設置 86.1% (2018年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
特別支援教育コーディネーターの指
名率 84.9% (2018年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
教師の専門性向上 78.4% (2018年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|||
教育環境の整備 | 特別支援学校の教師の専門性の向上 | 下記の要件のいずれかに該当せず、かつ特別支援学校教諭免許状を取得していない特別支援学校教諭の割合 (要件) ①当該教師の前任校が、小学校等の他の学校種又は他の障害種を対象とする特別支援学校である ②配置しようとする障害種の特別支援学校の教師として必要な特別支援教育領域の特別支援学校教諭免許状を取得する計画がある者 |
― (注)今後把握予定のため、現時点では不掲載。 |
おおむね0% (2027年度) |
小・中・高等学校等に採用後、おおむね10年目までの期間内において、特別支援学級の教師や、特別支援学校の教師を複数年経験した教員の割合 | ― (注)今後把握予定のため、現時点では不掲載。 |
前年度比増 (~2027年度) |
||
管理職の選考に当たり、特別支援教育の経験も考慮している都道府県教育委員会等の割合 | ― (注)今後把握予定のため、現時点では不掲載。 |
前年度比増 (~2027年度) |
||
教員育成指標において特別支援教育を明確に位置付けている都道府県教育委員会等の割合 | ― (注)今後把握予定のため、現時点では不掲載。 |
前年度比増 (~2027年度) |
||
特別支援学校のセンター的機能の発揮状況 | センター的機能を主として担当する校務分掌・組織(例:「地域支援部」等)を設けている割合 | 96.3% (2017年度) |
100% (2027年度) |
|
学校施設のトイレの洋式化状況 | 全国の公立小中学校における約136万基の便器を対象としたトイレの洋式化率 | 57% (2020年度) |
95% (2025年度) |
|
公立小中学校等施設のバリアフリー化に関する整備状況(校舎) | 車椅子使用者用トイレの整備率 | 65.2% (2020年度) |
避難所に指定されている全ての学校に整備する。(令和2年度調査時点で約95%に相当) (2025年度) |
|
スロープ等による段差解消 ①門から建物の前まで ②昇降口・玄関等から教室等まで |
①78.5% ②57.3% (2020年度) |
全ての学校に整備する。 (2025年度) |
||
エレベーターの整備率 | 27.1% (2020年度) |
要配慮児童生徒等が在籍する全ての学校に整備する。(令和2年度調査時点で約40%に相当) (2025年度) |
||
公立小中学校等施設のバリアフリー化に関する整備状況 (屋内運動場) |
車椅子使用者用トイレの整備率 | 36.9% (2020年度) |
避難所に指定されている全ての学校に整備する。(令和2年度調査時点で約95%に相当) (2025年度) |
|
スロープ等による段差解消 ①門から建物の前まで ②昇降口・玄関等から教室等まで |
①74.4% ②57.0% (2020年度) |
全ての学校に整備する。 (2025年度) |
||
エレベーターの整備率 | 65.9% (2020年度) |
要配慮児童生徒等が在籍する全ての学校に整備する。(令和2年度調査時点で約75%に相当) (2025年度) |
||
高等教育における障害学生支援の推進 | 障害学生に対する合理的配慮の提供等の状況 | 障害学生が在籍する大学等において、授業に関する支援を実施している大学等の割合 | 82.7% (2020年度) |
おおむね100% (2025年度) |
障害学生が在籍する大学等において、授業以外の支援を実施している大学等の割合 | 74.3% (2020年度) |
おおむね100% (2025年度) |
||
障害学生の支援等に関する体制の整備状況 | 障害学生支援に関する規程等、又は障害者差別解消法に関する対応要領、基本方針等を整備している大学等の割合 | 69.6% (2020年度) |
100% (2025年度) |
|
障害学生支援担当者を配置している大学等の割合 | 96.0% (2020年度) |
100% (2025年度) |
||
紛争の防止、解決等に関する調整機関を設置している大学等の割合 | 50.7% (2020年度) |
100% (2025年度) |
||
ホームページで障害学生支援情報を公開している大学等の割合 | 58.1% (2020年度) |
100% (2025年度) |
||
ガイダンスにおいて、障害学生支援の手続などに関する学内規程や支援事例等を周知している大学等の割合 | 22.2% (2020年度) |
100% (2025年度) |
||
障害学生への就職指導の状況 | 障害学生が在籍する大学等において、就職先の開拓、就職活動支援を実施している大学等の割合 | 23.5% (2020年度) |
おおむね100% (2025年度) |
|
障害学生が在籍する大学等において、障害学生向け求人情報の提供を実施している大学等の割合 | 22.5% (2020年度) |
おおむね100% (2025年度) |
||
大学等の入試における障害学生への配慮に関する情報公開の状況 | 募集要項等への障害学生への配慮に関する記載を行っている大学等の割合 | 85.8% (2020年度) |
100% (2025年度) |
|
生涯を通じた多様な学習活動の充実 | 学校卒業後の障害者の生涯学習の状況 | 学校卒業後に学習やスポーツ・文化等の生涯学習の機会があると回答する障害者の割合 | 34.3% (2018年度) |
50% (2025年度) |
公共図書館、学校図書館における障害者の読書環境の整備状況 | サピエ図書館を利用している施設・団体数(公共図書館を含む。) | 458件 (2022年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
国立国会図書館から視覚障害者等用データ提供を受けている図書館数 | 153件 (2022年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
||
全国の学校におけるコミュニティ・スクールの導入状況 | 全国の公立学校におけるコミュニティ・スクールの数 | 15,221校 (2022年度) |
(文部科学省が作成する次期教育振興基本計画等を踏まえ検討) |
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
総合的な就労支援 | 就労支援の実施状況 | 「障害者向けチーム支援」による障害者の就職率 | 54.6% (2021年度) |
55.6% (2027年度) |
就労移行支援の利用者数 | 63.9万人日分 (2020年度) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | ||
福祉施設から障害者就業・生活支援センターへ誘導する福祉施設利用者数 | 12,595人 (2020年度) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | ||
就労支援に向けた体制の整備状況 | ジョブコーチの養成数 | 14,062人 (2021年度) |
(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の新たな中期目標の状況を踏まえ設定) | |
就労支援を受けた障害者の就職状況 | 一般就労への年間移行者数 | 1.7万人 (2020年度) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | |
障害者就業・生活支援センター登録者の就職件数 | 1.8万人 (2021年度) |
2.4万人 (2027年度) |
||
障害者職業能力開発校の修了者における就職率 | 62.9% (2020年度) |
70% (2027年度) |
||
障害者の委託訓練修了者における就職率 | 48.5% (2020年度) |
55% (2027年度) |
||
就労支援を受けた障害者の職場定着状況 | 就労定着支援事業所のうち就労定着率が8割以上の事業所の割合 | ― (注)2022年度から調査を開始したため、現時点では現状値を算出不可 |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) | |
ジョブコーチによる支援の終了者のうち精神障害者、発達障害者及び高次脳機能障害者の職場定着率 | 89.8% (2021年度) |
(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の新たな中期目標の状況を踏まえ設定) | ||
障害者就業・生活支援センター登録者のうち精神障害者の就職者の職場定着率 | 75.3% (2021年度) |
79.4% (2027年度) |
||
障害者雇用の促進 | 民間企業における障害者雇用の状況 | 障害者の雇用率達成企業の割合 | 47.0% (2021年6月) |
56.0% (2027年度) |
公的機関における障害者雇用の状況 | 障害者雇用率を達成する公的機関の数 | 2,002機関(2,782機関中) (72%) (2021年6月) |
全ての公的機関 (2027年度) |
|
公共職業安定所における職業紹介の状況 | 公共職業安定所における就職件数(障害者) | 96,180件 (2018~2021年度の累計39.2万人) |
62.2万件 (2023~2027年度の累計) |
|
障害特性に応じた就労支援及び多様な就業の機会の確保 | 障害者が多様な働き方を選択できる環境の整備状況 | テレワーク制度等に基づく雇用型テレワーカーの割合 | 24.5% (2021年度) |
(新型コロナウイルス感染症への対応状況及びその後の社会情勢の変化を踏まえ設定) |
ICTを活用したテレワークの普及・拡大に向けた取組状況 | 通信利用動向調査の企業におけるテレワーク導入率 | 51.9% (2022年5月) |
(最新の調査結果を踏まえ、テレワーク推進に関する新たな政府目標を検討) | |
農業分野における障害者の就労支援に向けた取組状況 | 農福連携による障害者の就農促進プロジェクトを実施する都道府県の数 | 24道府県 (2020年度) |
全都道府県 (2027年度) |
|
障害者就労施設等の受注機会の確保に向けた取組状況 | 障害者就労施設等が提供する物品・サービスの優先購入(調達)の実績額 | 199億円 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
|
一般就労が困難な障害者に対する支援 | 就労継続支援B型事業所から得られる収入の状況 | 就労継続支援B型事業所の月額平均工賃額 | 15,776円 (2020年度) |
(地方公共団体が作成する第6期障害福祉計画等の状況を踏まえ設定) |
障害者就労施設等の受注機会の確保に向けた取組状況 | 障害者就労施設等が提供する物品・サービスの優先購入(調達)の実績額[再掲] | 199億円 (2020年度) |
前年度比増 (~2027年度) |
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
文化芸術活動の充実に向けた社会環境の整備 | 障害者の文化芸術活動に対する支援の状況 | 障害者芸術文化活動普及支援事業を実施する都道府県数 | 37都道府県 (2021年度) |
全都道府県 (2027年度) |
地域における障害者の文化芸術活動の取組状況 | 障害者による文化芸術活動の推進に関する計画を策定した都道府県数 | 27都道府県 (2021年10月) |
全都道府県 (2027年度) |
|
スポーツに親しめる環境の整備 | 地域における障害者スポーツの普及状況 | 障害者の週1回以上のスポーツ実施率 | 成人:31% (2021年度) |
成人:40%程度 (2026年度) |
若年層:41.8% (2021年度) (注)7~19歳 |
若年層:50%程度 (2026年度) |
|||
一般の成人の障害者スポーツの実施状況 | 一般の成人の障害者スポーツを体験したことのある者の割合 | 5.7% (2021年度) |
20%程度 (2026年度) |
|
スポーツ施設のユニバーサルデザイン化 | 対策の優先順位の考え方等を記載した質の高い個別施設計画における地方公共団体の策定率 | 11% (2019年度) |
50% (2026年度) |
|
競技スポーツに係る取組の推進 | アスリートの育成強化の状況 | パラリンピック競技大会における金メダル数 | 夏季大会:13個 (2021年) 冬季大会:4個 (2022年) |
過去最高の金メダル数
(注) 夏季大会:18個以上
(2024年) 冬季大会:13個以上 (2026年) |
目標分野 | 把握すべき状況 | 指標 | 現状値(直近の値) | 目標値 |
---|---|---|---|---|
政府開発援助を通じた国際協力の推進等 | 国際協力の担い手の育成状況 | 障害者を対象としたJICAの取組における研修員の受入れ数 | 215人 (2021年度) |
前年度比同水準以上 (~2027年度) |
国際協力の担い手の活動状況 | 障害者を対象としたJICAの取組における専門家の派遣数 | 16人 (2021年度) |
前年度比同水準以上 (~2027年度) |
|
障害者を対象としたJICAの取組におけるJICAボランティアの数 | 29人 (2021年度) |
前年度比同水準以上 (~2027年度) |
||
障害者に関する技術協力の実施状況 | JICAを通じた障害者を対象とする技術協力プロジェクト事業の件数 | 6件 (2021年度) |
前年度比同水準以上 (~2027年度) |
|
障害者の国際交流等の推進 | 国際交流等を担う民間団体等への支援の状況 | 日本NGO連携無償資金協力を通じた事業の採択件数 | 6件 (2021年度) |
前年度比同水準以上 (~2027年度) |