第2章 障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり 8

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8.公共サービス従事者等に対する障害者理解の促進

障害のある人が地域において安全に安心して生活していく上では、公務員を始め公共サービス従事者等が障害及び障害のある人について理解していることが重要である。

警察では、警察学校や警察署等の職場において、新たに採用された警察職員に対する採用時教育の段階から、障害のある人とのコミュニケーション方法に係る研修や、有識者による講話等、障害のある人の特性への理解を深めるための取組を行っている。

刑務所等矯正施設に勤務する職員に対しては、矯正研修所及び全国7か所の矯正研修所支所において、各種研修を行っているが、その中では、人権擁護、精神医学などの科目を設けて適切な対応の仕方について講義しているほか、社会福祉施設における介護等体験実習を実施するなどし、障害のある人に対する理解を促進している。2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響により介護等体験実習の実施を見合わせることとなったが、社会福祉施設職員へのインタビューや施設内の様子をまとめた研修用教材を作成し、効果的な研修の実施を図っている。

更生保護官署職員に対しては、各種研修において、職員の経験や業務内容に応じ、障害のある人や障害特性に対する理解を深めるための講義等を実施し、障害のある人に対する理解の促進とその徹底を図っている。

法務省の人権擁護機関では、中央省庁等の職員を対象として、人権に関する国家公務員等の理解と認識を深めることを目的とした「人権に関する国家公務員等研修会」を、また、都道府県及び市区町村の人権啓発行政に携わる職員を対象として、その指導者として必要な知識を習得させることを目的とした「人権啓発指導者養成研修会」を実施している。その中で、障害のある人をテーマとした人権問題も取り上げている。これらの取組を通して、障害のある人の人権問題を含む各種人権問題への理解と配慮の必要性を訴えている。このほか、検察職員、矯正施設職員、入国管理関係職員及び裁判官・家庭裁判所調査官に対する研修等に講師を派遣し、法執行機関及び司法機関の職員の人権問題に関する理解と認識を深めることに努めている。

日本司法支援センター(法テラス)では、本部の担当職員が公益財団法人日本ケアフィット共育機構が認定するサービス介助士の資格を取得し、全国の職員が参加する研修で、障害のある人への支援の方法や、利用者の立場を理解した丁寧かつ適切な対応方法等の知識を伝達し、各地の取組につなげている。さらに、各地で取り組んだ障害のある人への合理的配慮等を全国の職員間で共有することで、法テラス全体における職員の対応や事務所の環境の改善につなげている。

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