平成29年 青年国際交流事業に関する検討会(第2回)議事要旨

  1. 日時:平成29年2月22日(水)10:00~12:00
  2. 場所:中央合同庁舎第8号館8階特別大会議室
  3. 出席者:
    (委員)牟田座長、池上委員、井上委員、ERIKO委員、竹尾委員、田中委員
    (参考人)宇井参考人、竹林参考人、丸山参考人、稲垣参考人、間嶋参考人
    (内閣府)和田内閣府青年国際交流担当室長
    中村内閣府青年国際交流担当室参事官
    田中内閣府青年国際交流担当室参事官補佐
    金児内閣府青年国際交流担当室参事官補佐
    吉田内閣府青年国際交流担当室参事官補佐
    水野内閣府青年国際交流担当室専門官
  4. 概要:
    • (1)開会
    • (2)団長経験者・既参加青年からのヒアリング
    ○ 団長経験者からの話
    (参加事業の優れた点について)
    • 相手国に訪問施設や訪問先でのレクチャー内容など日本青年の要望を反映した柔軟な対応をしてもらえた。現地では専門家と多様な交流ができた。
    • 国対国の事業であるため、行先国では政府が視察先、交流機会等を準備しており、クオリティーが高かった。
    • 事前研修を合宿形式で実施していることから、参加青年の一体感や国の代表たる自覚の醸成ができていた。
    • 長年の事業実施からノウハウ(現地受け入れ体制の準備、プログラム既参加者の関わり等)の蓄積をうまく利用している。
    • 国の事業ということもあり、日本参加青年の能力や意識が高い。
    (参加事業が青年に与えた影響について)
    • 参加青年同士が事業で出会ったことをきっかけに、事後交流(研究会の開催等)を深めており、(具体的な成果として)提言を出すことも企画している。
    • 相手国について理解するとともに、自国についても深い理解を得られるきっかけとなった。
    • 学生にとっては社会人になるための教育機会となっていた。帰国後に留学に出る学生もおり、事業がよい自己啓発になっていた。
    • 現地での交流を通して、自身のコミュニケーション・語学力不足を自覚するよい機会となっていた。
    • 他国の困難な歴史を知ることで平和の価値、国際情勢の再認識の良い機会となった。
    (参加事業の改善すべき点について)
    • 事業の性質上難しいが、テーマの達成度測定をどのようにすべきか検討すべきでは。
    • 口コミ中心の帰国報告会をもっと大規模にするなど、応募者を増やす広報の工夫が必要。
    • 参加青年の出身県に偏りがあるように感じる。
    • より多くの社会人が参加できるような工夫も必要では。
    • 国際青年交流会議(於東京、9月)のディスカッションの進め方に工夫が必要。派遣中の上質なディスカッションには優秀な現地コーディネーターが貢献していた。
    ○ 既参加青年からの話
    (参加事業を通して得られたことについて)
    • チームビルディングをする経験は貴重。特に、学生と社会人が入り混じることは、色々な衝突も起きるが、得難い経験であり学ぶことが多かった。
    • 日本青年間のネットワークに加え、外国参加青年との強固なネットワークを構築できた。現在は、自身の関わる分野について、国を超えた意見交換ができている。
    • 外国参加青年とのネットワークづくりには内閣府の事業が最適。濃密な時間を送り、強い絆を作れるのは内閣府の事業だけだと思っていた。
    • 参加青年は様々な分野から集まっていたため、幅広い分野の話を聞け、分野を超えたネットワークを構築できた。
    (参加事業で得た経験を具体的に活かしている点について)
    • 他国の例を容易に聞けるネットワークが構築でき、仕事に役立っている。
    • 事業経験や他国の歴史を身近な者に伝えることで、他者の国際感覚を高める結果にもつながった。
    • 成果を所属元で実践経験や客観的根拠に基づく事業評価プログラムを構築し、導入することを考えている。
    (参加事業の改善すべき点について)
    • 外国参加青年は政府や同窓会組織から情報提供を受けたりするなど、既参加青年からのバックアップ体制が強いと感じた。一方で、日本は、既参加青年に質問する機会が乏しいなど、バックアップ体制が弱く感じた。自らの経験を下の代により詳しく伝えたい。
    • 帰国報告会は事業ごとにばらばら。いろんな人が来る機会のほうが、広報効果が見込まれる。
    • 事前研修で在京大使館を訪問し、渡航前に派遣国の知識を得たかった。
    • コア事業では、分野ごとに派遣国が分かれているが、多分野の人が入り混じってもよいのではないか。
    ○ 委員から団長経験者・既参加青年への質問
    (団長・リーダーはどのように団員へ関わっているのか)
    • (地域課題対応人材育成事業では)参加青年は基本的に実務経験を数年持つ社会人。その為、自分たちで物事を進められ、団長は必要に応じて助けに入る程度。
    • (日本・中国青年親善交流事業では)団長の役割は基本にサポート役。相談あれば、アドバイスを与えていた。
    • 青年の知識不足が原因で視察内容を理解できないことがある。団長が背景も含めて説明できることで視察効果も望めることから、団長の英語力は必要。
    • 参加青年のモチベーションは高かったので、トップダウンの指示にならないように心掛けた。各自が何かのリーダーになるように工夫し、結果報告だけ求めた。
    • 学生の参加青年は、企業への対応等で困難に出会い、気を落とすこともある。ここを社会人の参加者がいかにフォローしていくかが重要と感じた。
    (事業参加後のフィードバックはどのようにしているのか)
    • 事業参加後には、報告会の準備と実施及び報告書の作成がある。団長も報告会に参加しており、感想としては大変素晴らしいものであった。
    • 自主的に国際交流イベント等に参加して経験談を語ることや、同窓会組織で合宿して意見交換を行った。
    (社会人の参加を促進するために必要な取り組み)
    • 所属組織の了解を得ることが難点。仕事を辞めて参加する道しかないこともある。参加のための努力が必要。
    • 参加事業で得られることが所属組織でも活かせると考えたが、一般論として業務としての派遣はどこも難しいだろう。
    (青年が事業を通じて学んだこと、事業参加後の変化)
    • 言葉一つで相手の受け止めが変わるという気づきがあり、気を付けるようになった。また、「夢を持て」と口でいうだけではなく実際にその姿を他人に見せてこそ伝わるものだと感じた。
    • 人に伝える前に、まず人の話を聞かなければいけないという気づきがあった。また、行動に落とし込むことの重要性も感じるようになった。
    • 人を好きになること、人を認めること、を学んだ。
    • 平和ぼけの日本青年にとって国際情勢の緊張感に気付く良い機会となった。
    (過去の参加者からの引継ぎ)
    • 団長用務の前任からの引継ぎ形式は様々。事前研修合宿中の壮行会など。遠方から遥々来訪される前任もおり、その熱意はありがたかった。プロトコール面は前任ではなく内閣府等から説明を受けた。
    (事前研修の意義)
    • 派遣国への渡航にあたっては事前準備が重要であり、現地で準備する時間はない。事前準備をしていたから、実際のプログラムもより有意義になった。期間短いと感じた。決められたプログラムをこなすのに徹夜に近い状態が続いた。
    • 企業協賛の取り付けなど、研修としてではなく自分たちで計画した内容にも取り組めた。
    • 訪問国の政策を事前に学べた。
    • 研修中に以前の参加者と意見交換する機会があったのは良いが、事業の全容が分かる前ではなく少し後のほうがよかった。
    • (3)委員間の意見交換(主な発言)
    (事業の更なる充実に向けて)
    • 過去の経験を活かしていく意味で既参加者による参加者(団長含む)のバックアップ体制が重要。時代背景等は違うかもしれないが、既参加者から事前に話を聴くことは有益。既参加者から話を聴く機会づくりを支援するため、政府からは既参加者への交通費支給を検討してはどうか。
    • 初めて事業参加者と話し、自身の想像と違う点があった。参加者のモチベーションは高く、目的意識を持って参加していると感じた。
    • 国の事業としての価値は、現地でのディスカッションプログラム等教育色の強い点。目的意識がはっきりしたプログラムである。
    • 事業に参加するうえで、事前準備が最も大切。準備段階で問題意識を明確にしている方が、その後の事業参加で得られることが大きい。
    • 各事業は縦割りで報告会も別々の開催。もう少し交流して共通資産化できないか。
    (事業成果の社会への還元)
    • 身近に挑戦している人がいることは、周りの人間も大きく影響を受ける。体験格差を乗り越えるには、実際に体験した人から話を聞くことが重要。
    • 事業参加により自分のみならず周囲をも変えたか、という視点で見ると、本日のヒアリングでは素晴らしいケースを聞けた。参加に向けた信念を持って努力した経験そのものも貴重。厳しい環境でも自らの道を切り拓こうというマインドをもった人材が集まると内閣府事業の価値も更に上がるだろう。
    • 船事業は2か月間という濃密な期間を共にするするため、深い信頼関係が築かれる。国内外につながりができるメリットは具体的にはないが、今でも訪問すれば皆が集まってくれる強い絆となっている。一人一人の意識向上や他国理解という価値の積み重ねは大きい。
    (事業の募集・広報及び事業参加青年の多様化について)
    • 教員の参加を重点的に拡大すべき。教員本人の人材育成ともなるし、青少年育成の観点から児童・生徒への大きな波及効果も見込まれる。
    • 所属先に派遣の了承をしてもらうのに苦労したという話があったが、対象が公務員の場合、国として何か出来ないか。また、自分の経験を生徒に伝えたことで、学習意欲などに多くのインパクトがあったという話だが、教員を募集のターゲットの一部にできないか。例えば、JICAは教員が参加する場合に代替職員配置のための人件費を補助金として学校に支給している。同様の取組ができないか。
    • 参加の大義名分が必要。トビタテ!留学JAPAN(文部科学省)やKAKEHASHI Project(外務省)など冠のあるものは受け入れられやすい。内閣府事業は認知度が低い。
    • 大学ではスタッフデベロップメントが来年4月から義務付けられる。取り組み状況によって助成金にも差が出る仕組み。内閣府事業は大学教職員の訓練機会として使えるのではないか。ニーズを掘り起こしてほしい。
    • 社会人参加者を募りたいのであれば、送り出し企業に補助金を出すというのはどうか。企業が意欲的になる仕組みづくりが必要。
    • 事業参加してどのように変わったかというロールモデルを作ることも重要。
    • 青年のキャパを見るような選考が望ましい。社会人枠を設けること、選考方法を変えることなど改善できることがあるのではないか。
  5. 閉会
以上