平成29年 青年国際交流事業に関する検討会(第5回)議事要旨

  1. 日時:平成29年5月23日(火)13:55~15:45
  2. 場所:中央合同庁舎第8号館8階特別中会議室
  3. 出席者:
    (委員)牟田座長、池上委員、井上委員、ERIKO委員、田中委員
    (内閣府)和田内閣府青年国際交流担当室長
    中村内閣府青年国際交流担当室参事官
    越田内閣府青年国際交流担当室参事官補佐
    金児内閣府青年国際交流担当室参事官補佐
    濱尾内閣府青年国際交流担当室参事官補佐
    大部内閣府青年国際交流担当室参事官補佐
    吉田内閣府青年国際交流担当室参事官補佐
    水野内閣府青年国際交流担当専門官
    坪井内閣府青年国際交流担当室上席政策調査員
  4. 概要:
    • (1)開会
    • (2)内閣府からの資料説明等
      • 【資料1】 平成28年度地域課題対応人材育成事業「地域コアリーダープログラム」概要
      • 【資料2】 「地域コアリーダープログラム」事業における日本人参加青年の構成
      • 【資料3】 中間とりまとめ(案)における「育成すべき青年像」から見た「地域コアリーダープログラム」事業の現状と方向性
      • 【資料4】平成28年度「地域コアリーダープログラム」事業参加者アンケート結果
    • (3)内閣府への質疑応答
      • 地域課題対応人材育成事業「地域コアリーダープログラム」の応募倍率はどの程度か。
        → 2倍程度。
      • 派遣と招へいはリンクしているのか。
        → 派遣青年の一部がNPOマネジメントフォーラムに参加しており、派遣と招へいはリンクしている。また、視察訪問先職員の参加による、派遣・招へい両プログラムの交流を促進している。
      • NPOマネジメントフォーラムに参加した派遣日本青年の割合はどの位か。
        → 約1割である。NPOマネジメントフォーラムの運営・企画を行う実行委員という立場で関わる方が、既参加青年を中心に2割以上いる年もある。NPOマネジメントフォーラムに参加してから本事業に応募するケースも多い。
      • 他の事業は長期スパンで若者の成長をみるものであるが、この事業は短期間で参加後の活動に影響を与えることが目的となっているという認識でよいか。
        → 本事業は自身が日ごろ携わっている業務の具体的な課題を短期間で考え、学んでくるという点では比較的即効性が期待できる。社会人向けプログラムのため、本業外での事後活動がなかなか難しい側面もある。
      • 日本青年の事後活動の成果をまとめているものがあるか。
        → 中堅の実務者であるため形にするのは上手である。例としては、NZやデンマークについての本の自主出版、各種学会での発表、自身のネットワークを生かした行政との協働など。
      • 中間取りまとめ(案)における本事業の方向性として、「訪問先の話を聞くだけでなく、日本の現状と課題について青年が説明する機会を設ける」ことが書かれているが、是非行うべき。インプットも大事だが、アウトプットすることで日本人としてのアイデンティティを感じる機会が得られる。
      • 1年ごとにフォローアップを行っているということだが、本事業で派遣された方が、現場に戻った時に事業の中で得たことをどのように生かし、どのように変わったかをホームページに写真なども付けながら分かりやすい形で掲載すると広報になる。
        → 来年度に向けて広報での見せ方を工夫して参りたい。
      • コア事業は何年続いているのか。
        → 15年である(平成28年度(2016年度)実績)。
      • 具体的にどのような課題があった青年が、どのように課題解決ができたかという視点を事例紹介すると分かりやすい。
      • 日本の場合、組織的に青少年活動をしている人の数が減っている。15年間同じ3分野で事業をやってきたということだが、地方のリーダー育成のために必要とされている分野は、災害や子育ての分野など、新しいニーズが出てきているのではないか。
        → 日本国内で色々な課題が出てきている中、もう少し広い視点で、この事業は中長期的にどうあるべきかを考えて参りたい。
      • 連邦制を敷くドイツとでは国と地方の関係が大きく異なるが、州政府・自治体・民間の関係や役割分担は日本にとっても学びの対象となると思う。東西格差を経済格差や教育格差という言葉で言い換えれば、これも日本にとって非常に重要な点であるし、移民の問題も大きな関心事項である。ドイツは帰国後の評価が比較的高いようだが、参加青年はどのような反応だったのか。
        → 相違点から学ぶことは大きかったと察せられる。このプログラムは首都と地方都市の両方を視察できるように構成しており、参加青年は移民の問題等、日本では肌で感じられないものを、まさに異文化の衝突という形で経験している。訪問国での経験を自身の立場でどう生かしていくか、日本全体の施策としてどのような方向性を持つべきか、議論を発展させながら、日々振り返りを行っていたようである。
      • 参加青年の参加費用はいくらで、どの程度所属組織が払っているのか。全て個人負担という方の割合はどの位か。団体負担が多ければ、組織としても役に立つとみなされていることになる。青年派遣は所属組織にとっても便益があるという働きかけをしてはどうか。
        → 自己負担額は10万円で、負担の割合については尋ねていないのでわからない。ほぼ100%が有給休暇を取得しての参加である。
      • 訪問国は一定なのか、それとも毎年変わるのか。
        → 毎年訪問国を調整しており、一定ではない。分野における活動、取り組みで先進的と思われる国を中心として訪問国を検討している。ニュージーランドは障害者権利条約の早期批准国。欧州、スカンジナビアの国が比較的多くなっている。イギリスが多いのは、チャリティー、ボランティアという精神の発祥の地という観点からでもある。
      • 訪問国の宗教や文化など根本的なところが日本と全く違うので、訪問国の良いと思われるところを日本の現場に並行輸入しようと思うと、実際に落とし込む時にひずみが出てくるのではないか。その点は研修や知識の補足を行っているのか。
        → 訪問国で日本大使館や省庁を訪問する際にも、気づきの機会があると思っている。制度をそのまま並行輸入するのではなく、社会制度や条件の違いに気づき、日本にとってどういう解決策があるのかを自分達で考えられるように活動日程を構成している。
      • 課題解決にはマクロとミクロの両視点が必要だが、参加者のレポート等を見るとマクロの観点から語っているものが多い。現実の問題を解決できる人材を育成するのであれば、目の前にどんな問題があり、それをどうやって変えていきたいのか、変えるために何が足りないのか、そして、他国の視察に行くことでどの足りない点を補うのか、といったミクロの視点からの議論が必要。例えば地域包括ケアシステムをやるにしても、施設で働く人の増員が必要なのか、それとも高齢者のケアの仕方を変えるべきなのか、一人一人に目が届く体制づくりを誰がどのようにやっていくのか、など具体策を考える必要がある。中間支援団体が必要という意見もあるが、日本は中間支援団体が多すぎる傾向があるように思う。やはり実際は現場で目の前の人を救っている方々が重要になってくるが、こういった現場視点から議論は行っているのか。
        → 団のテーマ、個人のテーマを事前研修で構築し、最終的に決定するのが自主研修という自主学習のセッションである。そこでは、自分の地域における課題の洗い出しから取り組まれる方が多い。課題解決まで議論してはいるが、報告書の中に掲載されていない点は、今後の課題として捉えさせて頂きたい。 高齢分野、障害者分野、青少年分野の3分野合同で話す中で、分野は違うように見えてもどこかしら繋がっていることに気づき、連携の取り方を考えることにつながっているようである。
    • (4)意見交換
      • 社会の中で周辺化されてしまった人たちをメインストリーム化する上で、若い人の役割を打ち出せるという点がコアリーダープログラムの売りなのではないか。そこがリーダーシップ発揮の機会となる。
      • SDGs(持続可能な開発目標)の対象は開発途上国だけではなく先進国も含まれる。国内の課題に対して取り組むコアリーダープログラムは、まさにSDGsの国内版といえるため、国際的な目標に向けて日本国内でもこういった活動をしているのだといえるのではないか。何が社会的な課題で、何が個人で変えられたのか変えられなかったのか、変えられたとしたらどのように変えられたのか、変えられなかったとしたら何が問題で変えられなかったのかというような個人の分析と、システム全体を変えられるような提言ができれば望ましい。それを最初から行うのは難しいと思うが、各施設や地域の中で高齢者、障害者、青少年と取り組む中で何を自分が社会問題として認識できるかという気持ちの持ち方が変われば、それは1つの成果であり、評価に耐え得る項目なのではないか。
      • SDGsという言葉は経済界でも随分使われるようになった。日本は先進国のままでいられるのかという意識や、企業が収益源を新興国等に求めている現状がある中、日本国内のしっかりした目標を立てると同時に、新興国等でも同じように活用し、それによって日本企業の評価も付加価値も高めていこうという意識があるように思われる。日本の足元の問題を考えると、団体や自治体の具体的な事業に落とし込むことも重要だが、大目標を共有化する取り組みがもっと必要。コア事業は、社会貢献分野に取り組もうとしている企業の人々が、日本企業としてできることや、NPOやNGO、公的機関とどういう連携がとれるかなどを考えてもらうことに使えるのではないか。「地域課題対応人材育成事業」というと地域の現場を持つ方が対象となるが、地域の現場を支援する側の企業人にも是非本事業を経験して頂きたい。教育政策の面からも、子供たちが成人していく過程で社会から取り残されてしまう問題は、大学制度と相まって重要なテーマになっている。国を挙げて対応してもらうとともに、経済界も協力するような形でやっていかなければいけない。
      • 派遣と招へいのリンクが1割では低い。招へい者を資源として派遣者のブラッシュアップに役立てるべきであり、それは派遣後のフォローアップにも役立つ。そのためには派遣青年に対して、NPOマネジメントフォーラムへの参加やホームステイの受入れなどに協力することなどを義務化してはどうか。派遣して学んだことを確かめる機会となるし、招へい者へのインプットにもなる。それが本当の交流。改善の余地がある。
      • 参加者が全員社会人ということであれば、もっと施設や団体の方に働きかけ、有休の利用ではなく研修として参加させること、さらには幾らかでも参加費を負担すること、そうやってたくさん人を出してくれれば組織にとってもメリットがあるということを上手くPRすれば、このプログラムはもっとよくなると思う。
      • 先進事例のある国ではなく、全く機能していない国を訪問することも、自分の力を生かせる点が分かり、プログラムの意義が深まるのではないか。新しい発想が出てくる契機となるだろう。
      • 3分野の参加者が一緒に議論をし、悩みの共有や連携のきっかけをつくることは非常に重要であり、本事業は意義があるといえる。もう一歩踏み込むのであれば、例えばひきこもりの若者に高齢者の手伝いをする機会を提供すると、彼らにとっては家から出てくるきっかけとなり、高齢者にとっては話し相手になるため、一つの問題解決となる。本事業での取り組みも、そういった問題解決につながっていくとよい。
      • 3分野の課題を可視化すべき。その方法の1つとして、具体的な名前を入れて課題を説明する、というアプローチが効果的である。どこの施設の誰々さんがどういう問題を抱えていて、どのような解決をしたかということを具体的に説明できるようにすること。個人名でなくても施設名でもいい。個人や施設を特定することで、今後の展開を追っていくこともできるようになる。
      • 日本の調査団・視察団はたくさん質問し、日本に帰ってきたら終わりという行きっぱなしのことが多く、訪問国へのフィードバックがない。例えば、各施設へのお礼状に担当を決めて、実際に学んだ内容、何が良かったのか等を書き、送るようにすると良いのではないか。
      • 礼状に日本の実情をサマリーにし、派遣の視察先で得られた知見についてのレポートを送付すると、先方からも反応が返ってきて良い。
  5. 閉会
以上