梶田 清一さん
~定年退職後30年間を福祉活動の発展に貢献~

名前(年齢) かじた せいいち
梶田 清一さん(88歳)
地域 大阪府池田市
活動概要 定年退職後、地区福祉委員会の創設に尽力し、昭和57年から30年にわたり委員長を務め、委員会の礎を築き発展に寄与してきた。地域の高齢者や子育て世代が集まるサロンを運営するなど地域福祉の向上に努めている。
表章の類型 自らの時間を活用し、近所づきあいや仲間うちなどでの支え合い活動に積極的に貢献している事例
キーワード 高齢者ふれあいサロン/子育てサロン/一人暮らし高齢者支援/世代間交流/男の料理教室/障害者支援

(注)年齢は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

「みどりの会」の食事会

退職後は何か地域に貢献したい

 退職をすれば何か地域に貢献できる活動をしたいと考えていた矢先、昭和54年(55歳)に緑丘地区福祉委員会が開設され、その草創期に委員会に入り活動を始めました。委員会は、総務、青少年・婦人福祉、障害者福祉、老人福祉、生活環境福祉、民生福祉の6部会を中心とし、地域住民の手による自主的な福祉活動を始めようとするものでした。昭和57年(58歳)には委員長に就任し、現在の地区福祉委員会の礎を築きました。そして平成24年まで30年にわたり委員長を務め、福祉活動の企画から内容充実と発展に尽くしてきました。平成25年4月からは相談役として緑丘地区福祉活動を見守り続けています。

活動内容や現在の活動状況

「子育てサロン」の様子


緑丘小学校校門前に朝立ちして募金活動中の光景
(写真右が梶田さん)

安心して暮らせる地域社会を目指して

 緑丘地区は戸建て住宅を中心とする古いまちと新しく建設された団地からなる地区です。昭和51年に小学校が開校されましたが、少子高齢化も進んでいます。小・中学校が3校あるため、地域と学校の交流が盛んに行われている地区でもあります。
 高齢者を対象とした活動として、平成15年から「ふれあいサロン」を開始しました。毎回30名程が和気あいあいと集い、健康チェックと軽体操や歌、ゲームを楽しみ、昼食会で交流を深めています。
 65歳以上の一人暮らし高齢者を対象とする「みどりの会」は、住み慣れた地域で、健康で心豊かに安心して生活を送り、共に参加することを狙いとしています。年2回の食事会のほか、各種行事の案内と参加を促すようにしています。
 平成13年から始めた「子育てサロン」は、15組の親子で始まりましたが、今では30組以上の参加が続いています。毎月第1・第3火曜日午前10時から11時30分まで、最初の60分は、お母さんたちは話で盛り上がり、子どもたちはおもちゃでそれぞれ遊びを楽しみます。後の30分は、親子一緒に歌やリズム遊び、紙芝居や本の読み聞かせなどを行って過ごします。季節に応じた行事も実施されます。
 地元保育園や小学校への福祉活動として、野菜作り、運動会、餅つきやしめ縄作り、給食会などの世代間交流を行っています。緑丘小学校で開催される12月25日のクリスマス・イルミネーション・コンサートでは、800食の豚汁が振る舞われ、地域の行事として定着しました。
 障害者支援では、地域内の障害者施設で月2回、火曜日の朝から夕方まで作業援助を行っています。

ポイント、工夫している点

福祉委員会と社会福祉協議会の役割を明確に

 急速な少子高齢化、核家族化、地域の結びつきの希薄化、公的サービスの限界などが深刻な問題となっている現状に対し、地域住民の手による自主的な福祉活動が不可欠な状況になっています。その活動の担い手となっている地区福祉委員会が「小地域ネットワーク活動」に取り組んでいます。サロンなどのグループ援助活動をはじめ、見守り・声かけなどの個別援助活動など、要援護者一人ひとりを対象に地区福祉委員会がきめの細かい援助活動を行っています。これに対し、市社会福祉協議会はネットワーク活動の中核的な推進役として、地域活動がスムーズに展開できるよう支援する役割を明確にしました。地域福祉活性化のために、梶田さんは福祉委員会の役員として、福祉委員会の役割と社会福祉協議会の役割を十分に認識することを大切にしながら活動を進めることを見守り続けています。

その他の活動

男性の料理教室でおもてなしの心を学ぶ

 梶田さんの畑で採れた野菜を使って男性の料理教室を年数回開いています。材料費がいらないので参加費なしで開いています。料理方法を学ぶだけではなく、おもてなしの心を学べる教室であることを特色にしています。例えば、器の前後を確認するには器の裏を見ること、料理を盛り付けるときには「後ろを高く、前を低く」などを元日本料理長であった講師から学んでいます。
 特別養護老人ホーム理事、障害者福祉施設の評議員も務めています。地域外の障害者作業所へもボランティアに出かけています。