金田一 勝太郎さん
~歌と手品で憩いのひとときを運ぶボランティア宅急便~

名前(年齢) きんだいち かつたろう
金田一 勝太郎さん(80歳)
地域 岩手県遠野市
活動概要 岩手県内の福祉施設などを訪問し、手製のウクレレやハーモニカ演奏によるボランティア活動を続けている。奥様とともにマジックも披露し、楽しませている。活動期間は約16年にも及び、訪問回数は720回を超えている。
表章の類型 中高年から一念発起して、物事を成し遂げた事例
キーワード ウクレレ/ハーモニカ/マジック/福祉施設慰問/被災地慰問

(注)年齢は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

「24時間テレビ愛は地球を救う」の揃いのTシャツで活動するご夫婦の様子

引退後は、趣味を生かして、地域社会の役に立とう

 平成9年(65歳)に家業の自動車整備・販売業を引退した後、幼少の頃から楽器演奏が好きであったことから、手製のウクレレとハーモニカ演奏の趣味を地域のためにいかせないかと考えていました。
 平成9年11月、地域の児童・民生委員に就任すると、地元幼稚園の園長から「卒園式に何かパフォーマンスをやってもらえないだろうか」と依頼があり、得意な手製のウクレレを弾きながら皿回しとバルーンアートを披露したところ、園児たちから拍手喝采を浴びました。
 この噂を聞いた市内の老人保健施設の施設長から、「毎月定期的に、1時間ほど歌うことを楽しむボランティアをしてもらえないだろうか」と、相談されたことをきっかけにボランティア活動を始めました。

活動内容や現在の活動状況

老人保健施設でハーモニカを演奏しながら皿回しを演じる様子


老人保健施設訪問回数500回を記念して演じるご夫婦

夫婦で支え合い、楽しみのひとときを演出

 県内の高齢者福祉施設や児童館などを中心に、ウクレレとハーモニカ演奏で、童謡・民謡・歌謡曲・演歌の中から四季折々の歌を選び、みんなで歌って楽しんでいます。子どものころによく口ずさんだ夕焼け小焼け、故郷、青春時代の懐メロ青い山脈、星影のワルツ、影を慕いて、上を向いて歩こうなど、リクエストに応えてレパートリーも700曲を超えています。歌詞カードは奥様の久子さん(77歳)の手作りです。
 歌を歌うだけではなく、得意なハーモニカを演奏しながら皿回しやバルーンアートも取り入れるようなり、さらに、マジックも習得して披露するようになりました。
 最初は道具(音響設備やマジックの小道具)の運搬を手伝っていた久子さんが、歌を楽しむ会が終わって帰ろうとした時、一人の利用者さんに「ありがとう」と礼を言われたことをきっかけに、自分も何か役に立つことをしようと考えました。お孫さんから手品の玩具をプレゼントされたこととも重なり、2年後にマジックを習得し、ご夫婦での二人三脚のボランティア活動が始まりました。
 現在7か所の福祉施設を中心に、月平均10回の定期的活動に、花見、誕生会、七夕まつり、敬老祭、クリスマス会や忘年会などの特別行事を加えると、活動回数は月平均15回に及びます。活動を始めた平成9年3月から平成25年7月までの訪問回数は延べ720回に上りました。
 平成23年の東日本大震災後は、岩手県沿岸部の山田町や大槌町、釜石市などの被災地の仮設住宅の集会所にご夫婦で訪問し、互いに励まし合いながら楽しいひとときを過ごしています。

ポイント、工夫している点

全てが手づくりでボランティア活動

 マジックに使用するロープ、布、その他の花や器などの小道具は全て手作りです。素材を選んでいる最中、製作している最中にマジックのタネが生まれることも演目を増やすコツになっています。久子さんは、「歌は練習しても上手に歌うのは難しいけれども、マジックは練習を重ねれば人前でタネがばれないように披露できるのです」と話されます。久子さんがマジックを演じる間、勝太郎さんはウクレレとハーモニカ演奏でその場の雰囲気を盛り上げています。
 「自分たちだけが楽しむのではなく、地域にも役立てれば嬉しい」、「一人でも多くの人に喜んで貰いたい」と考えるご夫婦は、「訪問先の皆さんとの仲間意識が生まれたこと、それが何よりの財産です」と話されるように、それがボランティア活動を続ける原動力となっています。

その他の活動

健康を維持しながら郷土芸能の伝承にも貢献

 平成21年から毎年、遠野市社会福祉協議会の協賛事業として「24時間テレビ愛は地救を救う」にも参加しています。自らの健康を維持するために、毎朝のウォーキングが日課で、1日4時間、距離にして30kmを歩いています。遠野市が推進する地域医療ネットワーク(ICT)を活用して、医療機関と連携した遠隔医療ウォーキングを遠野市ウォーキング協会の会員に指導も行い、5年後に地球2周目を達成できるようにウォーキングを続けています。
 遠野市には代表的な町方の踊りで、祭礼に供える山車のはやしで有名な「南部ばやし」があります。金田一さんは「仲町南部ばやし保存会」の会長を20年前(平成4年)から務め、郷土芸能の伝承にも貢献しています。